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特許7407802可逆熱変色性筆記具用水性インキ組成物、ならびにそれを内蔵したレフィルおよび水性ボールペン
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-21
(45)【発行日】2024-01-04
(54)【発明の名称】可逆熱変色性筆記具用水性インキ組成物、ならびにそれを内蔵したレフィルおよび水性ボールペン
(51)【国際特許分類】
   C09D 11/17 20140101AFI20231222BHJP
   B43K 7/02 20060101ALI20231222BHJP
   B43K 7/01 20060101ALI20231222BHJP
   B43K 29/02 20060101ALI20231222BHJP
   C09D 11/18 20060101ALI20231222BHJP
【FI】
C09D11/17
B43K7/02
B43K7/01
B43K29/02 F
C09D11/18
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021513578
(86)(22)【出願日】2020-03-30
(86)【国際出願番号】 JP2020014445
(87)【国際公開番号】W WO2020209118
(87)【国際公開日】2020-10-15
【審査請求日】2023-01-12
(31)【優先権主張番号】P 2019075890
(32)【優先日】2019-04-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2019076696
(32)【優先日】2019-04-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】303022891
【氏名又は名称】株式会社パイロットコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100187159
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 英明
(74)【代理人】
【識別番号】100206265
【弁理士】
【氏名又は名称】遠藤 逸子
(72)【発明者】
【氏名】桝重 直登
(72)【発明者】
【氏名】小椋 麻美子
(72)【発明者】
【氏名】大野 いつ香
【審査官】福山 駿
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-206823(JP,A)
【文献】特開2006-335848(JP,A)
【文献】特開2013-122058(JP,A)
【文献】特開昭60-063265(JP,A)
【文献】特開2018-069548(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09D 1/00-201/10
B43K 7/02
B43K 7/01
B43K 29/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)電子供与性呈色性有機化合物と、(b)電子受容性化合物と、(c)前記(a)成分および(b)成分の呈色反応の生起温度を決める反応媒体とを含んでなる可逆熱変色性組成物が、有機樹脂からなるマイクロカプセルに内包された可逆熱変色性マイクロカプセル顔料と、
重合度が2~20であるN-ビニル-2-ピロリドン重合体と、
グリセリンと、
水と、
を含んでなる可逆熱変色性水性インキ組成物であって、
前記インキ組成物の総質量に対する、前記可逆熱変色性マイクロカプセル顔料、前記N-ビニル-2-ピロリドン重合体、および前記グリセリンの含有率(質量%)をPMC、PPVP、およびPとするとき、
0.3≦PMC/(PPVP+P)≦4、かつ
0.2≦PPVP/P≦5
である、可逆熱変色性水性インキ組成物。
【請求項2】
前記PMCが5~40質量%である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記PMCが5~40質量%、前記PPVPが1~20質量%、前記Pが1~20質量%である、請求項1または2に記載のインキ組成物。
【請求項4】
前記PMC、前記PPVP、および前記Pの総計が20~50質量%である、請求項1~3のいずれか1項に記載のインキ組成物。
【請求項5】
多糖類をさらに含む、請求項1~4のいずれか1項に記載のインキ組成物。
【請求項6】
前記多糖類がサクシノグリカンまたはキサンタンガムである、請求項5に記載のインキ組成物。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載の可逆熱変色性水性インキ組成物を内蔵した、レフィル。
【請求項8】
請求項1~6のいずれか1項に記載の可逆熱変色性水性インキ組成物を内蔵した、水性ボールペン。
【請求項9】
出没式機構を備えた、請求項8に記載の水性ボールペン。
【請求項10】
摩擦部材が固着された、請求項8または9に記載の水性ボールペン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
可逆熱変色性筆記具用水性インキ組成物、およびそれを内蔵したレフィルおよび水性ボールペンに関する。さらに詳細には、温度変化により大きなヒステリシス特性を示して発色と消色の可逆熱変色性を呈し、変色に要した熱又は冷熱の適用を取り去った後にあっても、着色状態と消色状態のいずれかを互変的且つ可逆的に保持する可逆熱変色性筆記具用水性インキ組成物、ならびにそれを内蔵したレフィルおよび水性ボールペンに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、常温域など一定の温度域において、変色前後の状態を互変的に記憶保持できる筆跡等を形成できる、可逆熱変色性筆記具用水性インキ組成物、およびそれを内蔵した筆記具が提案されている。このような筆記具は、ボールペン、マーキングペン、万年筆、または固形筆記体など、多岐にわたって提案されている。可逆熱変色性筆記具用水性インキ組成物を内蔵する筆記具においては熱変色性が重要な性能であるが、一般的な筆記具と同様に、筆記性、筆跡濃度、耐光性など、様々な性能も高いことが望まれる。しかし、熱変色性組成物は、用いられる着色剤が比較的特殊であるため、一般的なインキ組成物と同様の材料や配合比率を採用しても、優れた特性を得ることが難しい。特に可逆熱変色性組成物がマイクロカプセルに内包されたマイクロカプセル顔料を用いた場合には、高い濃度を実現するために顔料の配合率を高くすることが必要となることがあり、従来のインキ組成比をそのまま適用することが困難である。
【0003】
特に可逆熱変色性筆記具用水性インキ組成物は、可逆熱変色性着色剤としての有機材料を含むが、組成物中に含まれるその他の有機材料との相互作用が起こることがある。例えば、有機着色剤粒子の凝集、組成物の粘度上昇、筆跡濃度の低下、筆記性の劣化などが起こることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2009-292878号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、可逆熱変色性着色剤を含む筆記具用水性インキ組成物における問題点を解決し、種々の特性を同時改良することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による可逆熱変色性水性インキ組成物は、
(a)電子供与性呈色性有機化合物と、(b)電子受容性化合物と、(c)前記(a)成分および(b)成分の呈色反応の生起温度を決める反応媒体とを含んでなる可逆熱変色性組成物が、有機樹脂からなるマイクロカプセルに内包された可逆熱変色性マイクロカプセル顔料と、
重合度が2~20であるN-ビニル-2-ピロリドン重合体と、
グリセリンと、
水と、
を含んでなる可逆熱変色性水性インキ組成物であって、
前記インキ組成物の総質量に対する、前記可逆熱変色性マイクロカプセル顔料、前記N-ビニル-2-ピロリドン重合体、および前記グリセリンの含有率(質量%)をPMC、PPVP、およびPとするとき、
0.3≦PMC/(PPVP+P)≦4、かつ
0.2≦PPVP/P≦5
であることを特徴とするものである。
【0007】
また、本発明によるレフィルは、前記可逆熱変色性インキ組成物を内蔵したことを特徴とするものである。
【0008】
また、本発明による水性ボールペンは、前記可逆熱変色性インキ組成物を内蔵したことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、筆記性、特にペン先が乾燥した場合であっても書き出し時のかすれが少ない、可逆熱変色性インキ組成物が提供される。さらにこのインキ組成物は、有機着色剤粒子の凝集、組成物の粘度上昇、筆跡濃度の低下などを抑制する効果にも優れている。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】感温変色性色彩記憶性組成物の色濃度-温度曲線におけるヒステリシス特性を説明するグラフ。
図2】別の感温変色性色彩記憶性組成物の色濃度-温度曲線におけるヒステリシス特性を説明するグラフ。
図3】本発明の第1の実施の形態のボールペンの例を示す断面図。
図4】本発明の第2の実施の形態のボールペンの例を示す断面図。
図5】本発明のボールペンレフィルの例を示す断面図。
図6】本発明のボールペンおよびボールペンレフィルに備わるペン先(ボールペンチップ)の例を示す断面図。
図7図6のX-X断面図。
図8】実施例のインキ組成物を用いた場合の耐ドライアップ性評価後の筆跡。
図9】比較例のインキ組成物を用いた場合の耐ドライアップ性評価後の筆跡。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
【0012】
<<可逆熱変色性筆記具用水性インキ組成物>>
本発明による可逆熱変色性筆記具用水性インキ組成物(以下、簡単に「インキ組成物」と表すことがある)は、可逆熱変色性マイクロカプセル顔料と、N-ビニル-2-ピロリドンの重合体と、グリセリンと、水とを含んでなる。これらの各成分について詳細に説明すると以下の通りである。
【0013】
<可逆熱変色性マイクロカプセル顔料>
本発明において可逆熱変色性マイクロカプセル顔料(以下、簡単に「マイクロカプセル顔料」と表すことがある)は、
(a)電子供与性呈色性有機化合物、
(b)電子受容性化合物、および
(c)前記(a)成分及び(b)成分による電子授受反応を特定温度域において可逆的に生起させる反応媒体
を含んでなる。
【0014】
マイクロカプセル顔料としては、特公昭51-44706号公報、特公昭51-44707号公報、特公平1-29398号公報等に記載されたものを用いることができる。これらのマイクロカプセル顔料は、所定の温度(変色点)を境としてその前後で変色し、高温側変色点以上の温度域で消色状態、低温側変色点以下の温度域で発色状態を呈するものである。そして、前記両状態のうち常温域では特定の一方の状態しか存在せず、もう一方の状態は、その状態が発現するのに要した熱または冷熱が適用されている間は維持されるが、熱または冷熱の適用がなくなれば常温域で呈する状態に戻るという特徴を有している。ここで、これらのマイクロカプセル顔料に含まれる組成物は、ヒステリシスの程度を示す温度幅(以下、ヒステリシス幅ΔHという)が比較的小さい特性(ΔH=1~7℃)を有する加熱消色型(加熱により消色し、冷却により発色する)の可逆熱変色性組成物である(図1参照)。
【0015】
また、特公平4-17154号公報、特開平7-179777号公報、特開平7-33997号公報、特開平8-39936号公報等に記載されているマイクロカプセル顔料を用いることもできる。これらのマイクロカプセル顔料は比較的大きなヒステリシス特性(ΔH=8~50℃)を示すものである。即ち、温度変化による着色濃度の変化をプロットした曲線の形状が、温度を変色温度域より低温側から上昇させていく場合と逆に変色温度域より高温側から下降させていく場合とで大きく異なる経路を辿って変色する(図2参照)。
【0016】
可逆熱変色性組成物の色濃度-温度曲線におけるヒステリシス特性について、図を参照しながら詳細に説明すると以下の通りである。
【0017】
図2において、縦軸に色濃度、横軸に温度が表されている。温度変化による色濃度の変化は矢印に沿って進行する。ここで、Aは完全消色状態に達する温度t(以下、完全消色温度と称す)における濃度を示す点であり、Bは消色を開始する温度t(以下、消色開始温度と称す)における濃度を示す点であり、Cは発色を開始する温度t(以下、発色開始温度と称す)における濃度を示す点であり、Dは完全発色状態に達する温度t(以下、完全発色温度と称す)における濃度を示す点である。
【0018】
変色温度域はtとt間の温度域であり、着色状態と消色状態のいずれかの状態を呈することができ、色濃度の差の大きい領域であるtとtの間の温度域が実質二相保持温度域である。
【0019】
また、線分EFの長さが変色のコントラストを示す尺度であり、線分EFの中点を通る線分HGの長さがヒステリシス幅ΔHであり、このΔH値が小さいと変色前後の両状態のうち常温域では特定の一方の状態しか存在しえない。また、ΔH値が大きいと変色前後の各状態の保持が容易となる。
【0020】
色彩記憶性を有する可逆熱変色性組成物として具体的には、完全発色温度tを冷凍室、寒冷地等でしか得られない温度、即ち-50~0℃、好ましくは-40~-5℃、より好ましくは-30~-10℃、かつ、完全消色温度tを摩擦体による摩擦熱、ヘアドライヤー等身近な加熱体から得られる温度、即ち45~95℃、好ましくは50~90℃、より好ましくは60~80℃の範囲に特定し、ΔH値を40~100℃に特定することにより、常態(日常の生活温度域)で呈する色彩の保持に有効に機能させることができる。
【0021】
以下に(a)、(b)、および(c)の各成分について具体的に化合物を例示する。
【0022】
本発明の(a)成分、即ち電子供与性呈色性有機化合物は、色を決める成分であって、顕色剤である(b)成分に電子を供与し、発色する化合物である。
【0023】
電子供与性呈色性有機化合物としては、フタリド化合物、フルオラン化合物、スチリノキノリン化合物、ジアザローダミンラクトン化合物、ピリジン化合物、キナゾリン化合物、ビスキナゾリン化合物等が挙げられ、これらのうちフタリド化合物およびフルオラン化合物が好ましい。
【0024】
フタリド化合物としては、例えばジフェニルメタンフタリド化合物、フェニルインドリルフタリド化合物、インドリルフタリド化合物、ジフェニルメタンアザフタリド化合物、フェニルインドリルアザフタリド化合物、およびそれらの誘導体などが挙げられ、これらの中でも、フェニルインドリルアザフタリド化合物、ならびにそれらの誘導体が好ましい。
また、フルオラン化合物としては、例えば、アミノフルオラン化合物、アルコキシフルオラン化合物、およびそれらの誘導体が挙げられる。
【0025】
以下に(a)成分に用いることができる化合物を例示する。
3,3-ビス(p-ジメチルアミノフェニル)-6-ジメチルアミノフタリド、
3-(4-ジエチルアミノフェニル)-3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)フタリド、
3,3-ビス(1-n-ブチル-2-メチルインドール-3-イル)フタリド、
3,3-ビス(2-エトキシ-4-ジエチルアミノフェニル)-4-アザフタリド、
3-(2-エトキシ-4-ジエチルアミノフェニル)-3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-4-アザフタリド、
3-(2-ヘキシルオキシ-4-ジエチルアミノフェニル)-3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-4-アザフタリド、
3-〔2-エトキシ-4-(N-エチルアニリノ)フェニル〕-3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-4-アザフタリド、
3-(2-アセトアミド-4-ジエチルアミノフェニル)-3-(1-プロピルインドール-3-イル)-4-アザフタリド、
3,6-ビス(ジフェニルアミノ)フルオラン、
3,6-ジメトキシフルオラン、
3,6-ジ-n-ブトキシフルオラン、
2-メチル-6-(N-エチル-N-p-トリルアミノ)フルオラン、
3-クロロ-6-シクロヘキシルアミノフルオラン、
2-メチル-6-シクロヘキシルアミノフルオラン、
2-(2-クロロアミノ)-6-ジブチルアミノフルオラン、
2-(2-クロロアニリノ)-6-ジ-n-ブチルアミノフルオラン、
2-(3-トリフルオロメチルアニリノ)-6-ジエチルアミノフルオラン、
2-(3-トリフルオロメチルアニリノ)-6-ジペンチルアミノフルオラン、
2-(ジベンジルアミノ)-6-ジエチルアミノフルオラン、
2-(N-メチルアニリノ)-6-(N-エチル-N-p-トリルアミノ)フルオラン、
1,3-ジメチル-6-ジエチルアミノフルオラン、
2-クロロ-3-メチル-6-ジエチルアミノフルオラン、
2-アニリノ-3-メチル-6-ジエチルアミノフルオラン、
2-アニリノ-3-メトキシ-6-ジエチルアミノフルオラン、
2-アニリノ-3-メチル-6-ジ-n-ブチルアミノフルオラン、
2-アニリノ-3-メトキシ-6-ジ-n-ブチルアミノフルオラン、
2-キシリジノ-3-メチル-6-ジエチルアミノフルオラン、
2-アニリノ-3-メチル-6-(N-エチル-N-p-トリルアミノ)フルオラン、
1,2-ベンツ-6-ジエチルアミノフルオラン、
1,2-ベンツ-6-(N-エチル-N-イソブチルアミノ)フルオラン、
1,2-ベンツ-6-(N-エチル-N-イソアミルアミノ)フルオラン、
2-(3-メトキシ-4-ドデコキシスチリル)キノリン、
スピロ〔5H-(1)ベンゾピラノ(2,3-d)ピリミジン-5,1’(3’H)イソベンゾフラン〕-3’-オン,2-(ジエチルアミノ)-8-(ジエチルアミノ)-4-メチル、
スピロ〔5H-(1)ベンゾピラノ(2,3-d)ピリミジン-5,1’(3’H)イソベンゾフラン〕-3’-オン,2-(ジ-n-ブチルアミノ)-8-(ジ-n-ブチルアミノ)-4-メチル、
スピロ〔5H-(1)ベンゾピラノ(2,3-d)ピリミジン-5,1’(3’H)イソベンゾフラン〕-3’-オン,2-(ジ-n-ブチルアミノ)-8-(ジエチルアミノ)-4-メチル、
スピロ〔5H-(1)ベンゾピラノ(2,3-d)ピリミジン-5,1’(3’H)イソベンゾフラン〕-3’-オン,2-(ジ-n-ブチルアミノ)-8-(N-エチル-N-i-アミルアミノ)-4-メチル、
スピロ〔5H-(1)ベンゾピラノ(2,3-d)ピリミジン-5,1’(3’H)イソベンゾフラン〕-3’-オン,2-(ジブチルアミノ)-8-(ジペンチルアミノ)-4-メチル、
4,5,6,7-テトラクロロ-3-〔4-(ジメチルアミノ)-2-メトキシフェニル〕-3-(1-ブチル-2-メチル-1H-インドール-3-イル)-1(3H)-イソベンゾフラノン、
4,5,6,7-テトラクロロ-3-〔4-(ジエチルアミノ)-2-エトキシフェニル〕-3-(1-エチル-2-メチル-1H-インドール-3-イル)-1(3H)-イソベンゾフラノン、
4,5,6,7-テトラクロロ-3-〔4-(ジエチルアミノ)-2-エトキシフェニル〕-3-(1-ペンチル-2-メチル-1H-インドール-3-イル)-1(3H)-イソベンゾフラノン、
4,5,6,7-テトラクロロ-3-[4-(ジエチルアミノ)-2-メチルフェニル]-3-(1-エチル-2-メチル-1H-インドール-3-イル)-1(3H)-イソベンゾフラノン、
3’,6’-ビス〔フェニル(2-メチルフェニル)アミノ〕-スピロ[イソベンゾフラン-1(3H),9’-〔9H〕キサンテン]-3-オン、
3’,6’-ビス〔フェニル(3-メチルフェニル)アミノ〕-スピロ[イソベンゾフラン-1(3H),9’-〔9H〕キサンテン]-3-オン、
3’,6’-ビス〔フェニル(3-エチルフェニル)アミノ〕-スピロ[イソベンゾフラン-1(3H),9’-〔9H〕キサンテン]-3-オン、
2,6-ビス(2’-エチルオキシフェニル)-4-(4’-ジメチルアミノフェニル)ピリジン、
2,6-ビス(2’,4’-ジエチルオキシフェニル)-4-(4’-ジメチルアミノフェニル)ピリジン、
2-(4’-ジメチルアミノフェニル)-4-メトキシ-キナゾリン、
4,4’-(エチレンジオキシ)-ビス〔2-(4-ジエチルアミノフェニル)キナゾリン〕
【0026】
なお、フルオラン類としては、キサンテン環を形成するフェニル基に置換基を有する化合物の他、キサンテン環を形成するフェニル基に置換基を有すると共にラクトン環を形成するフェニル基にも置換基(例えば、メチル基等のアルキル基、クロロ基等のハロゲン原子)を有する青色や黒色を呈する化合物であってもよい。
【0027】
前記(b)成分、即ち電子受容性化合物は、(a)成分から電子を受け取り、(a)成分の顕色剤として機能する化合物である。
【0028】
前記電子受容性化合物としては、活性プロトンを有する化合物群、偽酸性化合物群(酸ではないが、組成物中で酸として作用して(a)成分を発色させる化合物群)、電子空孔を有する化合物群等から選択される化合物があり、これらの中でも活性プロトンを有する化合物群から選択される化合物が好ましい。
【0029】
活性プロトンを有する化合物群としては、例えば、フェノール性水酸基を有する化合物及びその誘導体、カルボン酸及びその誘導体、好ましくは、芳香族カルボン酸及びその誘導体、炭素数2~5の脂肪族カルボン酸及びその誘導体、2-ヒドロキシカルボン酸誘導体、N-置換アミノ酸誘導体、酸性リン酸エステル及びその誘導体、アゾ-ル系化合物及びその誘導体、1,2,3-トリアゾール及びその誘導体、環状カルボスルホイミド類、炭素数2~5のハロヒドリン類、スルホン酸及びその誘導体、無機酸類等が挙げられる。
【0030】
偽酸性化合物群としては、例えば、前記フェノール性水酸基を有する化合物の金属塩、前記カルボン酸の金属塩、前記酸性リン酸エステルの金属塩、前記スルホン酸の金属塩、芳香族カルボン酸無水物、脂肪族カルボン酸無水物、芳香族カルボン酸とスルホン酸との混合酸の無水物、シクロオレフィンジカルボン酸無水物、尿素及びその誘導体、チオ尿素及びその誘導体、グアニジン及びその誘導体、ハロゲン化アルコール類等が挙げられる。
【0031】
電子空孔を有する化合物群としては、例えば、硼酸塩類、硼酸エステル類、無機塩類等が挙げられる。
【0032】
これらの中でも、有効な熱変色特性を発現させることができることから、フェノール性水酸基を有する化合物が好ましい。
【0033】
前記フェノール性水酸基を有する化合物はモノフェノール化合物からポリフェノール化合物まで広く含まれ、更にビス型、トリス型フェノール等及びフェノール-アルデヒド縮合樹脂等もこれに含まれる。フェノール性水酸基を有する化合物の中でも、少なくともベンゼン環を2以上有するものが好ましい。また、これら化合物は置換基を有していてもよく、置換基としてアルキル基、アリール基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルボキシ基、及びそのエステル又はアミド基、ハロゲン基等が挙げられる。
【0034】
前記フェノール性水酸基を有する化合物の金属塩等が含む金属としては、例えば、ナトリウム、カリウム、カルシウム、亜鉛、ジルコニウム、アルミニウム、マグネシウム、ニッケル、コバルト、スズ、銅、鉄、バナジウム、チタン、鉛、及びモリブデン等が挙げられる。
【0035】
フェノール性水酸基を1つ有する化合物としては、
フェノール、
o-クレゾール、
m-クレゾール、
p-クレゾール、
4-エチルフェノール、
4-n-プロピルフェノール、
4-n-ブチルフェノール、
2-tert-ブチルフェノール、
3-tert-ブチルフェノール、
4-tert-ブチルフェノール、
4-n-ペンチルフェノール、
4-tert-ペンチルフェノール、
4-n-オクチルフェノール、
4-tert-オクチルフェノール、
4-n-ノニルフェノール、
4-n-ドデシルフェノール、
3-n-ペンタデシルフェノール、
4-n-ステアリルフェノール、
1-(4-ヒドロキシフェニル)デカン-1-オン、
4-クロロフェノール、
4-ブロモフェノール、
4-トリフルオロメチルフェノール、
4-メチルチオフェノール、
4-ニトロフェノール、
2-フェニルフェノール、
4-フェニルフェノール、
2-ベンジルフェノール、
2-ベンジル-4-クロロフェノール、
4-クミルフェノール、
4-ヒドロキシベンゾフェノン、
4,4′-ジヒドロキシベンゾフェノン、
4-クロロ-4′-ヒドロキシベンゾフェノン、
4-フルオロ-4′-ヒドロキシベンゾフェノン、
4-シクロヘキシルフェノール、
2-ヒドロキシベンジルアルコール、
3-ヒドロキシベンジルアルコール、
4-ヒドロキシベンジルアルコール、
4-(2-ヒドロキシエチル)フェノール、
3-メトキシフェノール、
4-エトキシフェノール、
4-n-プロポキシフェノール、
4-n-ブトキシフェノール、
4-n-ヘプチルオキシフェノール、
4-(2-メトキシエチル)フェノール、
α-ナフトール、
β-ナフトール、
2,3-ジメチルフェノール、
2,4-ジメチルフェノール、
2,6-ジメチルフェノール、
2,6-ジ-tert-ブチルフェノール、
2,4-ジクロロフェノール、
2,4-ジフルオロフェノール、チモール、
3-メチル-4-メチルチオフェノール、
2-tert-ブチル-5-メチルフェノール、
2,6-ビス(ヒドロキシメチル)-4-メチルフェノール、
2,3,5-トリメチルフェノール、
2,6-ビス(ヒドロキシメチル)-4-tert-オクチルフェノール、
6-ヒドロキシ-1,3-ベンゾオキサチオール-2-オン、
2,4-ビス(フェニルスルホニル)フェノール、
2,4-ビス(フェニルスルホニル)-5-メチルフェノール、
2,4-ビス(4-メチルフェニルスルホニル)フェノール、
2-フェニルフェノール、
4-フェニルフェノール、
2,6-ジフェニルフェノール、
3-ベンジルビフェニル-2-オール、
3,5-ジベンジルビフェニル-4-オール、
4-シアノ-4′-ヒドロキシビフェニル、
1-ヒドロキシベンゾトリアゾール、
1-ヒドロキシ-5-メチルベンゾトリアゾール、
1-ヒドロキシ-5-クロロベンゾトリアゾール、
1-ヒドロキシ-5-メトキシベンゾトリアゾール、
1-ヒドロキシ-4-ベンゾイルアミノベンゾトリアゾール、
1-ヒドロキシ-4,5,6,7-テトラクロロベンゾトリアゾール、
1,4-ヒドロキシベンゾトリアゾール、
1-ヒドロキシ-5-ニトロベンゾトリアゾール、
1-ヒドロキシ-5-フェニルベンゾトリアゾール、
1-ヒドロキシ-5-ベンジルベンゾトリアゾール、
1-ヒドロキシ-5-エチルベンゾトリアゾール、
1-ヒドロキシ-5-n-オクチルベンゾトリアゾール、
1-ヒドロキシ-5-n-ブチルベンゾトリアゾール、
4-ヒドロキシ安息香酸n-ブチル、
4-ヒドロキシ安息香酸n-オクチル、
4-ヒドロキシ安息香酸2-ヘプタデカフルオロオクチルエタン、
4-ヒドロキシ安息香酸ベンジル、
4-ヒドロキシ安息香酸ベンジルエステル、
4-ヒドロキシ安息香酸-o-メチルベンジル、
4-ヒドロキシ安息香酸-m-メチルベンジル、
4-ヒドロキシ安息香酸-p-メチルベンジル、
4-ヒドロキシ安息香酸-p-エチルベンジル、
4-ヒドロキシ安息香酸-p-プロピルベンジル、
4-ヒドロキシ安息香酸-p-tert-ブチルベンジル、
4-ヒドロキシ安息香酸フェニルエチル、
4-ヒドロキシ安息香酸-o-メチルフェニルエチル、
4-ヒドロキシ安息香酸-m-メチルフェニルエチル、
4-ヒドロキシ安息香酸-p-メチルフェニルエチル、
4-ヒドロキシ安息香酸-p-エチルフェニルエチル、
4-ヒドロキシ安息香酸-p-プロピルフェニルエチル、
4-ヒドロキシ安息香酸-p-tert-ブチルフェニルエチル
等が挙げられる。
【0036】
フェノール性水酸基を2つ有する化合物としては、レゾルシン、
2-メチルレゾルシン、
4-n-ヘキシルレゾルシン、
4-n-オクチルレゾルシン、
4-tert-オクチルレゾルシン、
4-ベンゾイルレゾルシン、
4-ニトロレゾルシン、
β-レゾルシン酸メチル、
β-レゾルシン酸ベンジル、
2-クロロ-4-ペンタノイルレゾルシン、
6-クロロ-4-ペンタノイルレゾルシン、
2-クロロ-4-ヘキサノイルレゾルシン、
6-クロロ-4-ヘキサノイルレゾルシン、
2-クロロ-4-プロパノイルレゾルシン、
6-クロロ-4-プロパノイルレゾルシン、
2,6-ジクロロ-4-プロパノイルレゾルシン、
6-フルオロ-4-プロパノイルレゾルシン、
2-クロロ-4-フェニルアセチルレゾルシン、
4-フェニルアセチル-6-クロロレゾルシン、
2-クロロ-4-β-フェニルプロパノイルレゾルシン、
6-クロロ-4-β-フェニルプロパノイルレゾルシン、
2-クロロ-4-フェノキシアセチルレゾルシン、
6-クロロ-4-フェノキシアセチルレゾルシン、
4-ベンゾイル-2-クロロレゾルシン、
6-クロロ-4-m-メチルベンゾイルレゾルシン、
4-〔1′,3′,4′,9′a-テトラヒドロ-6′-ヒドロキシスピロ(シクロヘキサン-1,9′-[9H]-キサンテン)-4′a-[2H]-イル〕-1,3-ベンゼンジオール、
ヒドロキノン、
メチルヒドロキノン、
トリメチルヒドロキノン、カテコール、
4-tert-ブチルカテコール、
1,6-ジヒドロキシナフタレン、
2,7-ジヒドロキシナフタレン、
1,5-ジヒドロキシナフタレン、
2,6-ジヒドロキシナフタレン、
2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-2′-メチルベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-3′-メチルベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-メチルベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-エチルベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-n-プロピルベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-イソプロピルベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-n-ブチルベンゾフェノン、2,4-ジヒドロキシ-4′-イソブチルベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-tert-ブチルベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-n-ペンチルベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-n-ヘキシルベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-n-ヘプチルベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-n-オクチルベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-n-デシルベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-2′,3′-ジメチルベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-2′,4′-ジメチルベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-2′,5′-ジメチルベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-2′,6′-ジメチルベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-3′,4′-ジメチルベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-3′,5′-ジメチルベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-2′,4′,6′-トリメチルベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-2′-メトキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-3′-メトキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-メトキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-2′-エトキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-エトキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-n-プロポキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-イソプロポキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-n-ブトキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-イソブトキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-n-ペンチルオキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-n-ヘキシルオキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-n-ヘプチルオキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-n-オクチルオキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-n-ノニルオキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-2′,3′-ジメトキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-2′,4′-ジメトキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-2′,5′-ジメトキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-2′,6′-ジメトキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-3′,4′-ジメトキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-3′,5′-ジメトキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-3′,4′-ジエトキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-2′,3′,4′-トリメトキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-2′,3′,6′-トリメトキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-3′,4′,5′-トリメトキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-3′,4′,5′-トリエトキシベンゾフェノン
等が挙げられる。
【0037】
更にビス型フェノールの化合物としては、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-ブタン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-ペンタン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-ヘキサン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-ヘプタン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-オクタン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-ノナン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-デカン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)デカン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-ドデカン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-2-メチルプロパン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3-メチルブタン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3-メチルペンタン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-2,3-ジメチルペンタン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-2-エチルブタン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-2-エチルヘキサン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3,7-ジメチルオクタン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチル)シクロヘキサン、
ジフェノール酸、
1-フェニル-1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)メタン、
2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-ブタン、
2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-ペンタン、
2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-ヘキサン、
2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-へプタン、
2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-オクタン、
2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-ノナン、
2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-デカン、
2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-ドデカン、
2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-6,10,14-トリメチルペンタデカン、
1-フェニル-1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、
2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)メチルプロピオネート、
2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ブチルプロピオネート、
2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)メチルプロピオネート、
2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)エチルプロピオネート、
2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-4-メチルペンタン、
2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-4-メチルヘキサン、
2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、
2,2-ビス(3,5-ジヒドロキシメチル-4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、
2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)プロパン、
2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)ブタン、
2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-イソプロピルフェニル)プロパン、
2,2-ビス(3-sec-ブチルフェニル-4-ヒドロキシ)プロパン、
2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-フェニルフェニル)プロパン、
2,2-ビス(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
2,2-ビス(3-フルオロ-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
2,2-ビス(3,5-ジヒドロキシメチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)フルオレン、
1,3-ビス〔2-(4-ヒドロキシフェニル)-2-プロピル〕ベンゼン、
1,4-ビス〔2-(4-ヒドロキシフェニル)-2-プロピル〕ベンゼン、
3,3-ビス(4-ヒドロキシフェニル)オキシインドール、
3,3-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)オキシインドール、
ビス(2-ヒドロキシフェニル)メタン、
ビス(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)メタン、
ビス(2-ヒドロキシ-3-ヒドロキシメチル-5-メチル)メタン、
4,4′-〔1,4-フェニレンビス(1-メチルエチリデン)〕ビス(2-メチルフェノール)、
1,1-ビス(4-ヒドロキシ-3-フェニルフェニル)シクロヘキサン、
3,3-エチレンオキシジフェノール、
1,4-ビス(4-ヒドロキシベンゾアート)-3-メチルベンゼン、
4,4″-ジヒドロキシ-3″-メチル-p-ターフェニル、
4,4″-ジヒドロキシ-3″-イソプロピル-p-ターフェニル、
2,2-ジメチル-1,3-ビス(4-ヒドロキシベンゾイルオキシ)プロパン、
2,2′-ビフェノール、
4,4′″-ジヒドロキシ-p-クアテルフェニル、
4,4-ジヒドロキシジフェニルエーテル、ビス(4-ヒドロキシフェニルチオエチル)エーテル
ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルホン、
4-ベンジルオキシ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(4-メチルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(4-エチルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(4-n-プロピルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(4-イソプロピルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(4-n-ブチルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(4-イソブチルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(4-sec-ブチルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(4-tert-ブチルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(3-メチルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(3-エチルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(3-n-プロピルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(3-イソプロピルベンジルオキシ)-4′-ジヒドロキシフェニルスルホン、
4-(3-n-ブチルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(3-イソブチルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(3-sec-ブチルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(3-tert-ブチルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(2-メチルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(2-エチルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(2-n-プロピルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(2-イソプロピルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(2-n-ブチルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(2-イソブチルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(2-sec-ブチルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(2-tert-ブチルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
2,4′-ジヒドロキシジフェニルスルホン、
3,4′-ジヒドロキシジフェニルスルホン、
4-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-メチル-4′-ヒドロキジシフェニルスルホン、
4-エチル-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-n-プロピル-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-イソプロピル-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-クロロ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-フルオロ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-クロロ-2-メチル-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-メトキシ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-エトキシ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-n-プロポキシ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-イソプロポキシ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-n-ブトキシ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-イソブトキシ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-sec-ブトキシ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-tert-ブトキシ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-n-ペンチルオキシ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-イソペンチルオキシ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(1-プロペニルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(2-プロペニルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-ベンジルオキシ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(β-フェノキシエトキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(β-フェノキシプロポキシル)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
ビス(2-アリル-4-ヒドロキシジフェニル)スルホン、
ビス〔4-ヒドロキシ-3-(2-プロペニル)フェニル〕スルホン、
ビス(3,5-ジブロモ-4-ヒドロキシフェニル)スルホン、
ビス(3,5-ジクロロ-4-ヒドロキシフェニル)スルホン、
ビス(3-フェニル-4-ヒドロキシフェニル)スルホン、
ビス(4-ヒドロキシ-3-n-プロピルフェニル)スルホン、
ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)スルホン、
3,4-ジヒドロキシジフェニルスルホン、
3′,4′-ジヒドロキシ-4-メチルジフェニルスルホン、
3,4,4′-トリヒドロキシジフェニルスルホン、
ビス(3,4-ジヒドロキシフェニル)スルホン、
2,3,4-トリヒドロキシジフェニルスルホン、
4-イソプロポキシ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-n-プロポキシ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-アリルオキシ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-ベンジルオキシ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(2-プロぺニルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
3-ベンジル-4-ベンジルオキシ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
3-フェネチル-4-フェネチルオキシ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
3-メチルベンジル-4-メチルベンジルオキシ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-ベンジルオキシ-3′-ベンジル-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-フェネチルオキシ-3′-フェネチル-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-メチルベンジルオキシ-3′-メチルベンジル-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
α,α′-ビス{4-(p-ヒドロキシフェニルスルホン)フェノキシ}-p-キシレン、
4,4′-{オキシビス(エチレンオキシド-p-フェニレンスルホニル)}ジフェノール
ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルフィド、
ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)スルフィド、
ビス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)スルフィド、
ビス(3-エチル-4-ヒドロキシフェニル)スルフィド、
ビス(3,5-ジエチル-4-ヒドロキシフェニル)スルフィド、
ビス(4-ヒドロキシ-3-n-プロピルフェニル)スルフィド、
ビス(3,5-ジ-n-プロピル-4-ヒドロキシフェニル)スルフィド、
ビス(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)スルフィド、
ビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)スルフィド、
ビス(4-ヒドロキシ-3-n-ペンチルフェニル)スルフィド、
ビス(3-n-ヘキシル-4-ヒドロキシフェニル)スルフィド、
ビス(3-n-ヘプチル-4-ヒドロキシフェニル)スルフィド、
ビス(5-tert-オクチル-2-ヒドロキシフェニル)スルフィド、
ビス(2-ヒドロキシ-3-tert-オクチルフェニル)スルフィド、
ビス(2-ヒドロキシ-5-n-オクチル-フェニル)スルフィド、
ビス(5-クロロ-2-ヒドロキシフェニル)スルフィド、
ビス(3-シクロヘキシル-4-ヒドロキシフェニル)スルフィド、
ビス(4-ヒドロキシフェニルチオエトキシ)メタン、
1,5-(4-ヒドロキシフェニルチオ)-3-オキシペンタン、
1,8-ビス(4-ヒドロキシフェニルチオ)-3,6-ジオキサオクタン
等が挙げられる。
【0038】
フェノール性水酸基を3つ有する化合物としては、ピロガロール、フロログルシノール、フロログルシノールカルボン酸、没食脂酸、没食子酸オクチル、没食子酸ドデシル等が挙げられる。
【0039】
更に、トリス型フェノールの化合物としては、
4,4′,4″-メチリジントリスフェノール、
4,4′,4″-メチリジントリス(2-メチルフェノール)、
4,4′-〔(2-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2,3,5-トリメチルフェノール)、
4,4′-〔(4-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2-メチルフェノール)、
4,4′-〔(4-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2,6-ジメチルフェノール)、
4,4′-〔(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)メチレン〕ビスフェノール、
4,4′-〔(4-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2-シクロヘキシル-5-メチルフェノール)、
4,4′,4″-エチリジントリスフェノール、
4,4′,4″-エチリジントリス(2-メチルフェノール)、
4,4′-〔(2-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2-シクロヘキシル-5-メチルフェノール)、
2,6-ビス〔(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)メチル〕-4-メチルフェノール、
2,4-ビス〔(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)メチル〕-6-シクロヘキシルフェノール、
4,4′-[1-{4-〔1-(4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}メチリデン]ビスフェノール、
4,4′-[1-{4-〔1-(4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビスフェノール、
4,4′-[1-{4-〔1-(4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}プロピリデン]ビスフェノール、
4,4′-[1-{4-〔1-(4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}ブチリデン]ビスフェノール、
4,4′-[1-{4-〔1-(4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}ペンチリデン]ビスフェノール、
4,4′-[1-{4-〔1-(4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}ヘキシリデン]ビスフェノール、
4,4′-[1-{4-〔1-(4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}ヘプチリデン]ビスフェノール、
4,4′-[1-{4-〔1-(4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}イソブチリデン]ビスフェノール、
4,4′-[1-{4-〔1-(4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}ネオペンチリデン]ビスフェノール、
2,2′-[1-{4-〔1-(2-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビスフェノール、
3,3′-[1-{4-〔1-(3-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビスフェノール、
4,4′-[1-{4-〔1-(3-フルオロ-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス(2-フルオロフェノール)、
4,4′-[1-{4-〔1-(3-クロロ-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス(2-クロロフェノール)、
4,4′-[1-{4-〔1-(3-ブロモ-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス(2-ブロモフェノール)、
4,4′-[1-{4-〔1-(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス(2-メチルフェノール)、
4,4′-[1-{4-〔1-(3-エチル-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス(2-エチルフェノール)、
4,4′-[1-{4-〔1-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス(2-tert-ブチルフェノール)、
4,4′-[1-{4-〔1-(4-ヒドロキシ-3-トリフルオロメチルフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス(2-トリフルオロメチルフェノール)、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-4-(4-ヒドロキシ-α-エチル)ベンジルシクロヘキサン、
4,4′-〔(3-エトキシ-4-ヒドロキシシフェニル)メチレン〕ビスフェノール、
4,4′-〔(3-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2,6-ジメチルフェノール)、
2,2′-〔(4-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(3,5-ジメチルフェノール)、
4,4′-〔(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)メチレン〕ビス(2,6-ジメチルフェノール)、
2,2′-〔(2-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(3,5,6-トリメチルフェノール)、
4,4′-〔(3-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2,3,6-トリメチルフェノール)、
4,4′-〔(4-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2,3,6-トリメチルフェノール)、
4,4′-〔(3-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2-シクロヘキシル-5-メチルフェノール)、
4,4′-〔(4-ヒドロキシフェニル-3-メトキシ)メチレン〕ビス(2-シクロヘキシル-5-メチルフェノール)、
1,1-ビス(4-ヒドロキシルフェニル)-4-ヒドロキシフェニルシクロヘキサン、
4,4′-〔3-(5-シクロヘキシル-4-ヒドロキシ-2-メチルフェニル)-3-フェニル)プロピリデン〕ビス(2-シクロヘキシル-5-メチルフェノール)、
4,4′-〔(2-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2-メチルフェノール)、
2,4′,4″-メチリジントリスフェノール、
4,4′-〔(2-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(3-メチルフェノール)、
4,4′-〔4-(4-ヒドロキシフェニル)-sec-ブチリデン〕ビス(4-ヒドロキシフェノール)、
2,2′-〔(3-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(3,5-ジメチルフェノール)、
4,4′-〔(2-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)メチレン〕ビス(2,5-ジメチルフェノール)、
4,4′-〔(2-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)メチレン〕ビス(2,6-ジメチルフェノール)、
2,2′-〔(2-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)メチレン〕ビス(3,5-ジメチルフェノール)、
2,2′-〔(3-ヒドロキシ-4-メトキシフェニル)メチレン〕ビス(3,5-ジメチルフェノール)、
2,2′-〔(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)メチレン〕ビス(3,5-ジメチルフェノール)、
4,4′-〔(2-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2-イソプロピルフェノール)、
4,4′-〔(3-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2-イソプロピルフェノール)、
4,4′-〔(4-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2-イソプロピルフェノール)、
2,2′-〔(3-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(3,5,6-トリメチルフェノール)、
2,2′-〔(4-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(3,5,6-トリメチルフェノール)、
2,2′-〔(4-3-エトキシ-4-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(3,5-ジメチルフェノール)、
1,1-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)-4-(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、
4,4′-〔(2-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)メチレン〕ビス(2-イソプロピルフェノール)、
4,4′-〔(3-ヒドロキシ-4-メトキシフェニル)メチレン〕ビス(2-イソプロピルフェノール)、
4,4′-〔(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)メチレン〕ビス(2-イソプロピルフェノール)、
2,2′-〔(2-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)メチレン〕ビス(3,5,6-トリメチルフェノール、
2,2′-〔(3-ヒドロキシ-4-メトキシフェニル)メチレン〕ビス(3,5,6-トリメチルフェノール)、
2,2′-〔(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)メチレン〕ビス(3,5,6-トリメチルフェノール)、
4,4′-〔(3-エトキシ-4-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2-イソプロピルフェノール)、
2,2′-〔(3-エトキシ-4-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(3,5,6-トリメチルフェノール)、
4,4′-〔(3-エトキシ-4-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2,3,6-トリメチルフェノール)、
1,1-ビス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)-4-(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、
4,4′-〔(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)メチレン〕ビス(2-tert-ブチル-5-メチルフェノール)、
4,4′-〔(2-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2-シクロヘキシルフェノール)、
4,4′-〔(3-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2-シクロヘキシルフェノール)、
4,4′-〔(3-エトキシ-4-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2-tert-ブチル-6-メチルフェノール)、
4,4′-〔(3-メトキシ-2-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2-シクロヘキシルフェノール)、
4,4′-〔(3-ヒドロキシ-4-メトキシフェニル)メチレン〕ビス(2-シクロヘキシルフェノール)、
4,4′-[1-{4-〔1-(3-フルオロ-4-ヒドロキシロフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス(2-tert-ブチルフェノール)、
4,4′-[1-{4-〔1-(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス(2,6-ジメチルフェノール)、
4,4′-〔(3-エトキシ-4-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2-シクロヘキシル-5-メチルフェノール)、
4,4′-〔(3-シクロヘキシル-4-ヒドロキシフェニル)エチリデン〕ビス(2-シクロヘキシルフェノール)、
4,4′-〔(5-シクロヘキシル-4-ヒドロキシ-2-メトキシフェニル)エチリデン〕ビス(2-シクロヘキシル-5-メチルフェノール)、
4,4′-[1-{4-〔1-(3-シクロヘキシル-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス(2-シクロヘキシルフェノール)、
4,4′-[1-{4-〔1-(3-フルオロ-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビスフェノール、
4,4′-[1-{4-〔1-(3-フルオロ-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス(2-メチルフェノール)、
4,4′-[1-{4-〔1-(3-フルオロ-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス(2,6-ジメチルフェノール)、
2,6-ビス〔(5-フルオロ-2-ヒドロキシフェニル)メチル〕-4-メチルフェノール、
2,6-ビス〔(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)メチル〕-4-メチルフェノール、
2,6-ビス〔(4-ヒドロキシフェニル)メチル〕-4-メチルフェノール、
2,6-ビス〔(4-ヒドロキシフェニル)メチル〕-4-エチルフェノール、
2,4-ビス〔(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)メチル〕-6-メチルフェノール、
2,6-ビス〔(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)メチル〕-4-メチルフェノール、
2,6-ビス〔(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)メチル〕-4-エチルフェノール、
2,6-ビス〔(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)メチル〕-4-エチルフェノール、
2,6-ビス〔(3,5-ジメチル-2-ヒドロキシフェニル)メチル〕-4-メチルフェノール、
2,6-ビス〔(2,4-ジメチル-6-ヒドロキシフェニル)メチル〕-4-メチルフェノール、
2,4-ビス〔(4-ヒドロキシフェニル)メチル〕-6-シクロヘキシルフェノール、
2,6-ビス〔(2,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)メチル〕-3,4-ジメチルフェノール、
2,6-ビス〔(2,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)メチル〕-4-エチルフェノール、
2,6-ビス〔(4-ヒドロキシ-2,3,6-トリメチルフェニル)メチル〕-4-メチルフェノール、
2,4-ビス〔(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)メチル〕-6-シクロヘキシルフェノール、
2,6-ビス〔(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)メチル〕-4-シクロヘキシルフェノール、
2,6-ビス〔(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)メチル〕-4-シクロヘキシルフェノール、
2,6-ビス〔(4-ヒドロキシ-2,3,5-トリメチルフェニル)メチル〕-4-エチルフェノール、
2,4-ビス〔(2,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)メチル〕-6-シクロヘキシルフェノール、
4,4′,4″-メチリジントリス(2,6-ジメチルフェノール)、
α-(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)-α,α′-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-1-エチル-4-イソプロピルベンゼン、
α′-(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)-α,α-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-1-エチル-4-イソプロピルベンゼン、
α,α-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)-α′-(4-ヒドロキシフェニル)-1-エチル-4-イソプロピルベンゼン、
α,α′-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)-α-(4-ヒドロキシフェニル)-1-エチル-4-イソプロピルベンゼン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-4-〔1-(4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルプロピル〕シクロヘキサン、
2,6-ビス〔(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)メチル〕-4-エチルフェノール、
1,1′-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-4-〔1-(4-ヒドロキシフェニル)プロピル〕シクロヘキサン、
1,1′-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)-4-〔1-(4-ヒドロキシフェニル)プロピル〕シクロヘキサン、
1,1′-ビス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)-4-〔1-(4-ヒドロキシフェニル)プロピル〕シクロヘキサン、
1-(4-ヒドロキシフェニル)-1-〔4,4-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキシル〕-4-イソプロピルシクロヘキサン、
4,4′-〔3-(2,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)ブチレン〕ビス(2,5-ジメチルフェノール)、
1,3,5-トリ(4-ヒドロキシ-3-フェニルフェニル)アダマンタン、
1,3,5-トリ(3-シクロヘキシル-4-ヒドロキシフェニル)アダマンタン、
2,4-ビス〔(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)メチル〕-6-シクロヘキシルフェノール、
2,6-ビス〔(2,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)メチル〕-4-シクロヘキシルフェノール、
2,4-ビス〔(3-シクロヘキシル-4-ヒドロキシフェニル)メチル〕-6-メチルフェノール、
2,4-ビス〔(4-ヒドロキシ-2,3,5-トリメチルフェニル)メチル〕-6-シクロヘキシルフェノール、
2,6-ビス〔(5-フルオロ-2-ヒドロキシフェニル)メチル〕-4-フルオロフェノール、
2,6-ビス〔(3-フルオロ-4-ヒドロキシフェニル)メチル〕-4-フルオロフェノール、
2,4-ビス〔(3-フルオロ-4-ヒドロキシフェニル)メチル〕-6-メチルフェノール、
4,4′-〔3-(5-シクロヘキシル-4-ヒドロキシ-2-メチルフェニル)-3-ビフェニルプロピリデン〕ビス(5-シクロヘキシル-2-メチルフェノール)、
4,4′-〔3-(2,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)-3-フェニルプロピリデン〕ビス(2,5-ジメチルフェノール)、
2,4-ビス〔(2,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)メチル〕-6-メチルフェノール、
1,1,2-トリス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、
1,1,3-トリス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
1,1,4-トリス(4-ヒドロキシフェニル)ブタン、
1,2,2-トリス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
1,2,2-トリス(4-ヒドロキシフェニル)ブタン、
1,2,2-トリス(4-ヒドロキシフェニル)ペンタン、
1,2,2-トリス(4-ヒドロキシフェニル)ヘキサン、
1,2,2-トリス(4-ヒドロキシフェニル)へプタン、
1,2,2-トリス(4-ヒドロキシフェニル)オクタン、
1,2,2-トリス(4-ヒドロキシフェニル)-3-メチルブタン1,2,2-トリス(4-ヒドロキシフェニル)-3,3-ジメチルブタン、
1,2,2-トリス(4-ヒドロキシフェニル)-4,4-ジメチルペンタン、
1,3,3-トリス(4-ヒドロキシフェニル)ブタン、
1,3,3-トリス(4-ヒドロキシフェニル)ペンタン、
1,3,3-トリス(4-ヒドロキシフェニル)ヘキサン、
1,3,3-トリス(4-ヒドロキシフェニル)へプタン、
1,3,3-トリス(4-ヒドロキシフェニル)オクタン、
1,3,3-トリス(4-ヒドロキシフェニル)ノナン、
1,4,4-トリス(4-ヒドロキシフェニル)ペンタン、
1,4,4-トリス(4-ヒドロキシフェニル)ヘキサン、
1,4,4-トリス(4-ヒドロキシフェニル)へプタン、
1,4,4-トリス(4-ヒドロキシフェニル)オクタン、
1,4,4-トリス(4-ヒドロキシフェニル)ノナン、
1,4,4-トリス(4-ヒドロキシフェニル)デカン、
1,2,2-トリス(2-ヒドロキシフェニル)プロパン、
1,1,2-トリス(3-ヒドロキシフェニル)プロパン、
1-(4-ヒドロキシフェニル)-2,2-ビス(2-ヒドロキシフェニル)プロパン、
1,2,2-トリス(3-フルオロ-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
1,2,2-トリス(3-クロロ-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
1,2,2-トリス(3-ブロモ-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
2,2-ビス(3-エチル-4-ヒドロキシフェニル)-1-(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
2,2-ビス(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)-1-(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
2,2-ビス(2-ヒドロキシ-3-ビフェニリル)-1-(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
2,2-ビス(3-トリフルオロメチル-4-ヒドロキシフェニル)-1-(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
2-(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)-1,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
1-(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
3-(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)-1,3-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ブタン、
1-(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)-3,3-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ブタン、
4-(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)-1,4-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ペンタン、
1-(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)-4,4-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ペンタン、
1,2-ビス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)-2-(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
3,3-ビス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)-1-(4-ヒドロキシフェニル)ブタン、
1,3-ビス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)-3-(4-ヒドロキシフェニル)ブタン、
4,4-ビス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)-1-(4-ヒドロキシフェニル)ペンタン、
1,4-ビス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)-4-(4-ヒドロキシフェニル)ペンタン、
1,1,2-トリス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)エタン、
1,2,2-トリス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
1,1,3-トリス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
1,3,3-トリス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)ブタン、
1,1,4-トリス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)ブタン、
1,4,4-トリス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)ペンタン、
4,4′-〔4-(4-ヒドロキシフェニル)-sec-ブチリデン〕ビス(2-メチルフェノール)
等が挙げられる。
【0040】
フェノール性水酸基を4つ以上有する化合物としては、
ビス〔2-ヒドロキシ-3-(2-ヒドロキシ-5-メチルベンジル)-5-メチルフェニル〕メタン、
4,6-ビス〔(4-ヒドロキシフェニル)メチル)-1,3-ベンゼンジオール、
4,4′-〔(3,4-ジヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2,6-ジメチルフェノール)、
4,4′-〔(3,4-ジヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2-シクロヘキシル-5-メチルフェノール)、
4,4′-〔(3,4-ジヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2-メチルフェノール)、
4,4′-〔(3,4-ジヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2,3,6-トリメチルフェノール)、
1,1,2,2-テトラキス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、
1,1,2,2-テトラキス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)エタン、
1,1,2,2-テトラキス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)エタン、
1,1,4,4-テトラキス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)ベンゼン、
2,2′-ビス〔4,4-(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)シクロヘキシル〕プロパン、
2,2′-〔(3,4-ジヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(3,5-ジメチルフェノール)、
3,6-ビス〔(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)メチル)カテコール、
4,6-ビス〔(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)メチル)-1,3-ベンゼンジオール、
2,2′-〔(3,4-ジヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(3,5,6-トリメチルフェノール)、
4,4′-〔(3,4-ジヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2-シクロヘキシルフェノール)、
ビス〔3-(2-ヒドロキシベンジル)-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル〕メタン、
ビス〔3-(3-ヒドロキシベンジル)-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル〕メタン、
ビス〔3-(4-ヒドロキシベンジル)-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル〕メタン、
ビス〔3-(2-ヒドロキシベンジル)-2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル〕メタン、
ビス〔3-(2-ヒドロキシベンジル)-3-ヒドロキシ-5-メチルフェニル〕メタン、
ビス〔3-(2-ヒドロキシベンジル)-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル〕メタン、
ビス〔3-(3-ヒドロキシ-2-メチルベンジル)-2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル〕メタン、
ビス〔3-(4-ヒドロキシ-3-メチルベンジル)-2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル〕メタン、
ビス〔3-(3-ヒドロキシ-4-メチルベンジル)-2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル〕メタン、
ビス〔3-(2-ヒドロキシ-3-メチルベンジル)-2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル〕メタン、
α,α′,α″,α′″-テトラキス(4-ヒドロキシフェニル)ベンゼン、ビス〔3-(3,6-ジメチル-2-ヒドロキシベンジル)-2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル〕メタン、
〔3-(3,6-ジメチル-2-ヒドロキシベンジル)-2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル〕〔3-(2,5-ジメチル-4-ヒドロキシベンジル)-2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル〕メタン、
ビス〔3-(2,5-ジメチル-4-ヒドロキシベンジル)-2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル〕メタン、
ビス〔3-(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシベンジル)-2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル〕メタン、
ビス〔3-(2-ヒドロキシ-3,4,6-トリメチルベンジル)-2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル〕メタン、
ビス〔2-ヒドロキシ-3-(4-ヒドロキシ-2,3,5-トリメチルベンジル)-5-メチルフェニル〕メタン、
4,4′,4″,4′″-テトラキス(4-ヒドロキシフェニル)-1,1′-ビシクロヘキシル、
2,2′-ビス〔4,4-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキシル〕プロパン、
4,4′,4″,4′″-テトラキス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)-1,1′-ビシクロヘキシル、
ビス〔3-(5-シクロヘキシル-4-ヒドロキシ-2-メチルベンジル)-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル〕メタン、
4,4′,4″,4′″-テトラキス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)-1,1′-ビシクロヘキシル、
1,1-ビス〔3-(2-ヒドロキシ-5-メチルベンジル)-5-シクロヘキシル-4-ヒドロキシフェニル〕シクロヘキサン、
1,1-ビス〔3-(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシベンジル)-5-シクロヘキシル-4-ヒドロキシフェニル〕シクロヘキサン、
1,1-ビス〔3-(5-シクロヘキシル-4-ヒドロキシ-2-メチルベンジル)-5-シクロヘキシル-4-ヒドロキシフェニル〕シクロヘキサン、
4,6-ビス〔α-メチル-(4-ヒドロキシフェニル)ベンジル-1,3-ベンゼンジオール、
2,2-ビス〔3-(4-ヒドロキシ-3-メチルベンジル)-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル〕プロパン、
2,6-ビス〔(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)ベンジル〕-4-〔α-メチル-(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)ベンジル〕フェノール、
4,4′,4″,4′″-テトラキス(4-ヒドロキシ-3-イソプロピルフェニル)-1,1′-ビシクロヘキシル、
4,4′-ビス〔(3,4-ジヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2-イソプロピルフェノール)
2,4,6-トリス(4-ヒドロキシベンジル)-1,3-ベンゼンジオール、
4,6-ビス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシベンジル)ピロガロール、
3,3′-〔(2-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(5-メチルカテコール)、
2,6-ビス(2,4-ジヒドロキシベンジル)-4-エチルフェノール、
2,4-ビス(2,4-ジヒドロキシベンジル)-6-シクロヘキシルフェノール、
2,6-ビス(5-tert-ブチル-2,3-ジヒドロキシベンジル)-4-メチルフェノール、
2,4,6-トリス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシベンジル)レゾルシン、
2,4,6-トリス(3,5-ジメチル-2-ヒドロキシベンジル)レゾルシン、
2,6-ビス(2,4-ジヒドロキシベンジル)-3,4-ジメチルフェノール、
2,6-ビス〔3-(2-ヒドロキシ-5-メチルベンジル)-2,5-ジメチル-4-ヒドロキシベンジル〕-3,4-ジメチルフェノール、
4,6-ビス(α-メチル-4-ヒドロキシベンジル)ピロガロール、
4,4′-[1-{4-〔1-(3,5-ビス(4-ヒドロキシベンジル)-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス〔2,6-ビス(4-ヒドロキシベンジル)フェノール〕、
4,4′-[1-{4-〔1-(3,5-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルベンジル)-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス〔2,6-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルベンジル)フェノール〕、
4,4′-[1-{4-〔1-(3,5-ビス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシベンジル)-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス〔2,6-ビス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシベンジル)フェノール〕、
4,4′-[1-{4-〔1-(3,5-ビス(4-ヒドロキシ-2,3,6-トリメチルベンジル)-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス〔2,6-ビス(4-ヒドロキシ-2,3,6-トリメチルベンジル)フェノール〕、
ビス〔5-(2,4-ジヒドロキシベンジル)-4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル〕メタン、ビス〔3-(2,4-ジヒドロキシベンジル)-2,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル〕メタン、
ビス〔3-(2,4-ジヒドロキシ-3-メチルベンジル)-2,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル〕メタン、
ビス〔5-(4-ヒドロキシベンジル)-2,3,4-トリヒドロキシフェニル〕メタン、
1,1-ビス〔5-(4-ヒドロキシベンゾイル)-2,3,4-トリヒドロキシフェニル〕エタン、
3,3′,5,5′-テトラキス(4-ヒドロキシベンジル)-4,4′-ジヒドロキシビフェニル、
3,3′,5,5′-テトラキス(4-ヒドロキシ-3-メチルベンジル)-4,4′-ジヒドロキシビフェニル、
3,3′,5,5′-テトラキス(2-ヒドロキシ-5-メチルベンジル)-4,4′-ジヒドロキシビフェニル、
3,3′,5,5′-テトラキス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシベンジル)-4,4′-ジヒドロキシビフェニル、
ビス〔3-(α,α-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)メチル-4-ヒドロキシフェニル〕メタン、
ビス〔3,5-ビス(2-ヒドロキシ-5-メチルベンジル)-4-ヒドロキシフェニル〕メタン、
4,4′,4″-エチリジントリス{〔2-(2-ヒドロキシ-5-メチル)ベンジル〕-6-メチルフェノール}、
2,2-ビス〔3,5-ビス(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニルメチル)フェニル〕プロパン、ビス〔3-(α,α-ビス(2,5ージメチル-4-ヒドロキシフェニル)メチル-4-ヒドロキシフェニル〕メタン、
ビス〔5-(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシベンジル)-2,3,4-トリヒドロキシフェニル〕メタン、
ビス〔3-(2,3,4-トリヒドロキシベンジル)-2,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル〕メタン、
1,1-ビス〔3-(2,3,4-トリヒドロキシベンジル)-5-シクロヘキシル-4-ヒドロキシフェニル〕シクロヘキサン、
1,8,15,22-テトラノニル-3,5,10,12,17,19,24,26-オクタヒドロキシ[1,1,1,1]-メタシクロファン、
4,4′-[1-{4-〔1-(3,5-ビス(4-ヒドロキシ-2-メチルベンジル)-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス〔2,6-ビス(4-ヒドロキシ-2-メチルベンジル)フェノール〕、
4,4′-[1-{4-〔1-(3,5-ビス(2-ヒドロキシ-5-メチルベンジル)-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス〔2,6-ビス(2-ヒドロキシ-5-メチルベンジル)フェノール〕、
4,4′-[1-{4-〔1-(3,5-ビス(3-エチル-4-ヒドロキシベンジル)-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス〔2,6-ビス(3-エチル-4-ヒドロキシベンジル)フェノール〕、
4,4′-[1-{4-〔1-(3,5-ビス(3,5-ジメチル-2-ヒドロキシフェニル)-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス〔2,6-ビス(3,5-ジメチル-2-ヒドロキシフェニル)フェノール〕、
4,4′-[1-{4-〔1-(3,5-ビス(4-ヒドロキシ-3-イソプロピルフェニル)-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス〔2,6-ビス(4-ヒドロキシ-3-イソプロピルフェニル)フェノール〕、
ビス〔3-(α,α-ビス(3,5ージメチル-4-ヒドロキシフェニル)メチル-4-ヒドロキシフェニル〕メタン、
ビス〔3-(α,α-ビス(5ーシクロヘキシル-4-ヒドロキシ-2-メチルフェニル)メチル-4-ヒドロキシフェニル〕メタン、
4,4′-〔4-ヒドロキシ-3,5-ビス(2-ヒドロキシベンジル)メチレン〕ビス〔2,6-ビス(2-ヒドロキシベンジル)〕フェノール、
4,4′-〔4-ヒドロキシ-3,5-ビス(4-ヒドロキシベンジル)メチレン〕ビス〔2,6-ビス(4-ヒドロキシベンジル)〕フェノール、
4,4′,4″-エチリジントリス〔2,6-ビス(2-ヒドロキシベンジル)フェノール〕、
4,4′,4″-エチリジントリス〔2,6-ビス(4-ヒドロキシベンジル)フェノール〕、
2,2-ビス〔3,5-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルベンジル)-4-ヒドロキシフェニル〕プロパン、
1,8,15,22-テトラエチル-3,5,10,12,17,19,24,26-オクタヒドロキシ[1,1,1,1]-メタシクロファン、
α,α′,α″,α′″-テトラキス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)-1,4-ジメチルベンゼン、
4,4′-[1-{4-〔1-(3,5-ビス(2-ヒドロキシ-5-イソプロピルフェニル)-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス〔2,6-ビス(2-ヒドロキシ-5-イソプロピルフェニル)フェノール〕、
4,4′-[1-{4-〔1-(3,5-ビス(4-ヒドロキシ-2,3,5-トリメチルフェニル)-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス〔2,6-ビス(4-ヒドロキシ-2,3,5-トリメチルフェニル)フェノール〕、
4,4′-[1-{4-〔1-(3,5-ビス(3-sec-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス〔2,6-ビス(3-sec-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)フェノール〕、
4,4′-[1-{4-〔1-(3,5-ビス(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス〔2,6-ビス(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)フェノール〕、
2,6-ビス{〔3-(2,4-ジヒドロキシベンジル)-2,5-ジメチル-4-ヒドロキシ〕ベンジル}-4-メチルフェノール、
1,1-ビス〔5-(2,4-ジヒドロキシベンジル)-3-シクロヘキシル-4-ヒドロキシフェニル〕シクロヘキサン、
1,1-ビス〔5-(2,3,4-トリヒドロキシベンジル)-3-シクロヘキシル-4-ヒドロキシフェニル〕シクロヘキサン、
2,2-ビス〔4,4′,4″,4′″-テトラキス(3,5-ジヒドロキシメチル-4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキシル〕プロパン
等が挙げられる。
【0041】
カルボン酸及びその誘導体としては、
3,5-ジ(α-メチルベンジル)サリチル酸、
4-(2-p-メトキシフェニルオキシエトキシ)サリチル酸、
4-ヒドロキシフェニル安息香酸、
p-クロロ安息香酸、
4-〔2-(p-メトキシフェノキシ)エチルオキシ〕サリチル酸、
4-〔3-(p-トリルスルホニル)プロピルオキシ〕サリチル酸、
5-〔p-(2-p-メトキシフェノキシエトキシ)クミル〕サリチル酸、
4-オクチルオキシカルボニルアミノサリチル酸、
3,5-ジスチレン化サリチル酸、
N-(p-トルエンスルホニル)-グリシン、
N-(p-トルエンスルホニル)-アラニン、
N-(p-トルエンスルホニル)-β-アラニン、
N-フェニルアミノカルボニル-グリシン、
N-フェニルアミノカルボニル-バリン、
N-(m-トリルアミノカルボニル)-フェニルアラニン、
N-(m-トリルアミノカルボニル)-システイン-S-ベンジル、
N-(m-トリルアミノカルボニル)-メチオニン、
N-(m-トリルアミノカルボニル)-チロシン、
N-(p-トリルアミノカルボニル)-フェニルアラニン、
N-(p-トリルアミノカルボニル)-システイン-S-ベンジル、
N-(p-トリルアミノカルボニル)-メチオニン、
N-(p-トリルアミノカルボニル)-メチオニン、
N-(フェニルアミノカルボニル)-メチオニン、
N-(p-トリルアミノカルボニル)-チロシン、
N-(m-トリルアミノカルボニル)-メチオニン、
N-(p-トリルアミノカルボニル)-メチオニン、
N-(フェニルアミノカルボニル)-メチオニン、
N-(m-トリルアミノカルボニル)-バリン、
N-(m-トリルアミノカルボニル)-フェニルグリシン、
N-(m-トリルアミノカルボニル)-チロシン、
2-O-(フェニルアミノカルボニル)-マンデル酸、
2-O-(p-トリルアミノカルボニル)-マンデル酸、
2-O-(m-トリルアミノカルボニル)-マンデル酸、
2-O-(o-トリルアミノカルボニル)-マンデル酸、
2-O-(1-ナフチルアミノカルボニル)-マンデル酸、
2-O-(3-イソプロペニル-α、α-ジメチルベンジルアミノカルボニル)-マンデル酸、
2-O-(ベンジルアミノカルボニル)-マンデル酸、
2-O-(フェネチルアミノカルボニル)-マンデル酸、
2-O-(フェニルアミノカルボニル)-乳酸、
2-O-(p-トリルアミノカルボニル)-乳酸、
2-O-(m-トリルアミノカルボニル)-乳酸、
2-O-(o-トリルアミノカルボニル)-乳酸、
2-O-(1-ナフチルアミノカルボニル)-乳酸、
2-O-(3-イソプロペニル-α、α-ジメチルベンジルアミノカルボニル)-乳酸、
2-O-(ベンジルアミノカルボニル)-乳酸、
2-O-(フェネチルアミノカルボニル)-乳酸
等が挙げられる。
【0042】
前記酸性リン酸エステル化合物としては、メチルアシッドホスフェート、エチルアシッドホスフェート、ブチルアシッドホスフェート、ブトキシエチルアシッドホスフェート、2-エチルヘキシルアシッドホスフェート、イソデシルアシッドホスフェート、イソトリデシルアシッドホスフェート、オレイルアシッドホスフェート、テトラコシルアシッドホスフェート、モノブチルホスフェート、ジブチルホスフェート、モノイソデシルホスフェート、ビス(2-エチルヘキシル)ホスフェート等が挙げられる。
【0043】
前記フェノール性水酸基を有する化合物が最も有効な熱変色特性を発現させることができるが、芳香族カルボン酸及び炭素数2~5の脂肪族カルボン酸、カルボン酸金属塩、酸性リン酸エステル及びその金属塩、1,2,3-トリアゾール及びその誘導体から選ばれる化合物等であってもよい。
【0044】
(a)および(b)成分による電子授受反応を特定温度域において可逆的に生起させる反応媒体である(c)成分について説明する。(c)成分としては、エステル類、ケトン類、エーテル類、アルコール類、酸アミド類を挙げることができる。
【0045】
(c)成分としては、色濃度-温度曲線に関し、大きなヒステリシス特性(温度変化による着色濃度の変化をプロットした曲線が、温度を低温側から高温側へ変化させる場合と、高温側から低温側へ変化させる場合で異なる)を示して変色する、色彩記憶性を示す可逆熱変色性組成物を形成できる5℃以上50℃未満のΔT値(融点-曇点)を示すカルボン酸エステル化合物、例えば、分子中に置換芳香族環を含むカルボン酸エステル、無置換芳香族環を含むカルボン酸と炭素数10以上の脂肪族アルコールのエステル、分子中にシクロヘキシル基を含むカルボン酸エステル、炭素数6以上の脂肪酸と無置換芳香族アルコールまたはフェノールのエステル、炭素数8以上の脂肪酸と分岐脂肪族アルコールとのエステル、ジカルボン酸と芳香族アルコールまたは分岐脂肪族アルコールのエステル、ケイ皮酸ジベンジル、ステアリン酸ヘプチル、アジピン酸ジデシル、アジピン酸ジラウリル、アジピン酸ジミリスチル、アジピン酸ジセチル、アジピン酸ジステアリル、トリラウリン、トリミリスチン、トリステアリン、ジミリスチン、ジステアリン等が用いられる。
【0046】
また、炭素数9以上の奇数の脂肪族一価アルコールと炭素数が偶数の脂肪族カルボン酸から得られる脂肪酸エステル化合物、n-ペンチルアルコールまたはn-ヘプチルアルコールと炭素数10~16の偶数の脂肪族カルボン酸より得られる総炭素数17~23の脂肪酸エステル化合物も有効である。
【0047】
具体的には、酢酸n-ペンタデシル、酪酸n-トリデシル、酪酸n-ペンタデシル、カプロン酸n-ウンデシル、カプロン酸n-トリデシル、カプロン酸n-ペンタデシル、カプリル酸n-ノニル、カプリル酸n-ウンデシル、カプリル酸n-トリデシル、カプリル酸n-ペンタデシル、カプリン酸n-ヘプチル、カプリン酸n-ノニル、カプリン酸n-ウンデシル、カプリン酸n-トリデシル、カプリン酸n-ペンタデシル、ラウリン酸n-ペンチル、ラウリン酸n-ヘプチル、ラウリン酸n-ノニル、ラウリン酸n-ウンデシル、ラウリン酸n-トリデシル、ラウリン酸n-ペンタデシル、ミリスチン酸n-ペンチル、ミリスチン酸n-ヘプチル、ミリスチン酸n-ノニル、ミリスチン酸n-ウンデシル、ミリスチン酸n-トリデシル、ミリスチン酸n-ペンタデシル、パルミチン酸n-ペンチル、パルミチン酸n-ヘプチル、パルミチン酸n-ノニル、パルミチン酸n-ウンデシル、パルミチン酸n-トリデシル、パルミチン酸n-ペンタデシル、ステアリン酸n-ノニル、ステアリン酸n-ウンデシル、ステアリン酸n-トリデシル、ステアリン酸n-ペンタデシル、エイコサン酸n-ノニル、エイコサン酸n-ウンデシル、エイコサン酸n-トリデシル、エイコサン酸n-ペンタデシル、ベヘニン酸n-ノニル、ベヘニン酸n-ウンデシル、ベヘニン酸n-トリデシル、ベヘニン酸n-ペンタデシル等を挙げることができる。
【0048】
ケトン類としては、総炭素数が10以上の脂肪族ケトン類が有効であり、2-デカノン、3-デカノン、4-デカノン、2-ウンデカノン、3-ウンデカノン、4-ウンデカノン、5-ウンデカノン、2-ドデカノン、3-ドデカノン、4-ドデカノン、5-ドデカノン、2-トリデカノン、3-トリデカノン、2-テトラデカノン、2-ペンタデカノン、8-ペンタデカノン、2-ヘキサデカノン、3-ヘキサデカノン、9-ヘプタデカノン、2-ペンタデカノン、2-オクタデカノン、2-ノナデカノン、10-ノナデカノン、2-エイコサノン、11-エイコサノン、2-ヘンエイコサノン、2-ドコサノン、ラウロン、ステアロン等を挙げることができる。
【0049】
また、総炭素数が12~24のアリールアルキルケトン類、例えば、n-オクタデカノフェノン、n-ヘプタデカノフェノン、n-ヘキサデカノフェノン、n-ペンタデカノフェノン、n-テトラデカノフェノン、4-n-ドデカアセトフェノン、n-トリデカノフェノン、4-n-ウンデカノアセトフェノン、n-ラウロフェノン、4-n-デカノアセトフェノン、n-ウンデカノフェノン、4-n-ノニルアセトフェノン、n-デカノフェノン、4-n-オクチルアセトフェノン、n-ノナノフェノン、4-n-ヘプチルアセトフェノン、n-オクタノフェノン、4-n-ヘキシルアセトフェノン、4-n-シクロヘキシルアセトフェノン、4-tert-ブチルプロピオフェノン、n-ヘプタフェノン、4-n-ペンチルアセトフェノン、シクロヘキシルフェニルケトン、ベンジル-n-ブチルケトン、4-n-ブチルアセトフェノン、n-ヘキサノフェノン、4-イソブチルアセトフェノン、1-アセトナフトン、2-アセトナフトン、シクロペンチルフェニルケトン等を挙げることができる。
【0050】
エーテル類としては、総炭素数10以上の脂肪族エーテル類が有効であり、ジペンチルエーテル、ジヘキシルエーテル、ジヘプチルエーテル、ジオクチルエーテル、ジノニルエーテル、ジデシルエーテル、ジウンデシルエーテル、ジドデシルエーテル、ジトリデシルエーテル、ジテトラデシルエーテル、ジペンタデシルエーテル、ジヘキサデシルエーテル、ジオクタデシルエーテル、デカンジオールジメチルエーテル、ウンデカンジオールジメチルエーテル、ドデカンジオールジメチルエーテル、トリデカンジオールジメチルエーテル、デカンジオールジエチルエーテル、ウンデカンジオールジエチルエーテル等を挙げることができる。
【0051】
アルコール類としては、炭素数10以上の脂肪族一価の飽和アルコールが有効であり、デシルアルコール、ウンデシルアルコール、ドデシルアルコール、トリデシルアルコール、テトラデシルアルコール、ペンタデシルアルコール、ヘキサデシルアルコール、ヘプタデシルアルコール、オクタデシルアルコール、エイコシルアルコール、ドコシルアルコール等を挙げることができる。
【0052】
酸アミド類としては、ヘキサン酸アミド、ヘプタン酸アミド、オクタン酸アミド、ノナン酸アミド、デカン酸アミド、ウンデカン酸アミド、ラウリル酸アミド、トリデカン酸アミド、ミリスチン酸アミド、パルミチン酸アミド、ステアリン酸アミド、ドコサン酸アミド等を挙げることができる。
【0053】
また、(c)成分として、下記一般式(1)で示される化合物を用いることもできる。
【化1】
(ここで、Rは水素原子又はメチル基を示し、q1は0~2の整数を示し、Xのいずれか一方は-(CHOCOR’又は-(CHCOOR’、他方は水素原子を示し、kは0~2の整数を示し、R’は炭素数4以上のアルキル基又はアルケニル基を示し、Yはそれぞれ独立に炭素数1~4のアルキル基、メトキシ基、又はハロゲンを示し、p1はそれぞれ独立に0~3の整数を示す。)
【0054】
式(1)で示される化合物のうち、Rが水素原子の場合、より広いヒステリシス幅を有する可逆熱変色性組成物が得られるため好適であり、更にRが水素原子であり、かつ、mが0の場合がより好適である。
【0055】
なお、式(1)で示される化合物のうち、より好ましくは下記一般式(1a)で示される化合物が用いられる。
【化1a】
(ここでR1aは、炭素数8以上のアルキル基又はアルケニル基、好ましくは炭素数10~24のアルキル基、更に好ましくは炭素数12~22のアルキル基である。)
【0056】
前記化合物として具体的には、オクタン酸-4-ベンジルオキシフェニルエチル、ノナン酸-4-ベンジルオキシフェニルエチル、デカン酸-4-ベンジルオキシフェニルエチル、ウンデカン酸-4-ベンジルオキシフェニルエチル、ドデカン酸-4-ベンジルオキシフェニルエチル、トリデカン酸-4-ベンジルオキシフェニルエチル、テトラデカン酸-4-ベンジルオキシフェニルエチル、ペンタデカン酸-4-ベンジルオキシフェニルエチル、ヘキサデカン酸-4-ベンジルオキシフェニルエチル、ヘプタデカン酸-4-ベンジルオキシフェニルエチル、オクタデカン酸-4-ベンジルオキシフェニルエチルを例示できる。
【0057】
更に、(c)成分として、下記一般式(2)で示される化合物を用いることもできる。
【化2】
(ここで、Rは炭素数8以上のアルキル基又はアルケニル基を示し、p2はそれぞれ独立に0~3の整数を示し、Xはそれぞれ独立に炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のアルコキシ基、又はハロゲンを示す。)
【0058】
前記化合物として具体的には、オクタン酸1,1-ジフェニルメチル、ノナン酸1,1-ジフェニルメチル、デカン酸1,1-ジフェニルメチル、ウンデカン酸1,1-ジフェニルメチル、ドデカン酸1,1-ジフェニルメチル、トリデカン酸1,1-ジフェニルメチル、テトラデカン酸1,1-ジフェニルメチル、ペンタデカン酸1,1-ジフェニルメチル、ヘキサデカン酸1,1-ジフェニルメチル、ヘプタデカン酸1,1-ジフェニルメチル、オクタデカン酸1,1-ジフェニルメチルを例示できる。
【0059】
更に、(c)成分として下記一般式(3)で示される化合物を用いることもできる。
【化3】
(ここで、Xはそれぞれ独立に炭素数1~4のアルキル基、メトキシ基、又はハロゲン原子のいずれかを示し、p3はそれぞれ独立に0~3の整数を示し、q3は1~20の整数を示す。)
【0060】
前記化合物としては、マロン酸と2-〔4-(4-クロロベンジルオキシ)フェニル)〕エタノールとのジエステル、こはく酸と2-(4-ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、こはく酸と2-〔4-(3-メチルベンジルオキシ)フェニル)〕エタノールとのジエステル、グルタル酸と2-(4-ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、グルタル酸と2-〔4-(4-クロロベンジルオキシ)フェニル)〕エタノールとのジエステル、アジピン酸と2-(4-ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、ピメリン酸と2-(4-ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、スベリン酸と2-(4-ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、スベリン酸と2-〔4-(3-メチルベンジルオキシ)フェニル)〕エタノールとのジエステル、スベリン酸と2-〔4-(4-クロロベンジルオキシ)フェニル)〕エタノールとのジエステル、スベリン酸と2-〔4-(2,4-ジクロロベンジルオキシ)フェニル)〕エタノールとのジエステル、アゼライン酸と2-(4-ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、セバシン酸と2-(4-ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、1,10-デカンジカルボン酸と2-(4-ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、1,18-オクタデカンジカルボン酸と2-(4-ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、1,18-オクタデカンジカルボン酸と2-〔4-(2-メチルベンジルオキシ)フェニル)〕エタノールとのジエステルを例示できる。
【0061】
更に、(c)成分として下記一般式(4)で示される化合物を用いることもできる。
【化4】
(ここで、Rはそれぞれ独立に炭素数1~21のアルキル基又はアルケニル基を示し、p4はそれぞれ独立に1~3の整数を示す。)
【0062】
前記化合物としては、1,3-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとカプリン酸とのジエステル、1,3-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとウンデカン酸とのジエステル、1,3-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとラウリン酸とのジエステル、1,3-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとミリスチン酸とのジエステル、1,3-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとパルミチン酸とのジエステル、1,3-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとシクロヘキサン酸カルボン酸とのジエステル、1,3-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとシクロヘキサン酸プロピオン酸とのジエステル、1,4-ビス(ヒドロキシメトキシ)ベンゼンと酪酸とのジエステル、1,4-ビス(ヒドロキシメトキシ)ベンゼンとイソ吉草酸とのジエステル、1,4-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンと酢酸とのジエステル、1,4-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとプロピオン酸とのジエステル、1,4-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンと吉草酸とのジエステル、1,4-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとカプロン酸とのジエステル、1,4-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとカプリル酸とのジエステル、1,4-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとカプリン酸とのジエステル、1,4-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとラウリン酸とのジエステル、1,4-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとミリスチン酸とのジエステル、1,4-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとシクロヘキサンプロピオン酸とのジエステルを例示できる。
【0063】
更に、(c)成分として下記一般式(5)で示される化合物を用いることもできる。
【化5】
(ここで、Xはそれぞれ独立に炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のアルコキシ基、又はハロゲン原子のいずれかを示し、p5はそれぞれ独立に0~3の整数を示し、q5は1~20の整数を示す。)
【0064】
前記化合物としては、こはく酸と2-フェノキシエタノールとのジエステル、スベリン酸と2-フェノキシエタノールとのジエステル、セバシン酸と2-フェノキシエタノールとのジエステル、1,10-デカンジカルボン酸と2-フェノキシエタノールとのジエステル、1,18-オクタデカンジカルボン酸と2-フェノキシエタノールとのジエステルを例示できる。
【0065】
更に、(c)成分として下記一般式(6)で示される化合物を用いることもできる。
【化6】
(ここで、Rは炭素数4~22のアルキル基、シクロアルキルアルキル基、シクロアルキル基、炭素数4~22のアルケニル基のいずれかを示し、Xは水素原子、炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のアルコキシ基、ハロゲン原子のいずれかを示し、q6は0又は1を示す。)
【0066】
前記化合物としては、4-フェニル安息香酸デシル、4-フェニル安息香酸ラウリル、4-フェニル安息香酸ミリスチル、4-フェニル安息香酸シクロヘキシルエチル、4-ビフェニル酢酸オクチル、4-ビフェニル酢酸ノニル、4-ビフェニル酢酸デシル、4-ビフェニル酢酸ラウリル、4-ビフェニル酢酸ミリスチル、4-ビフェニル酢酸トリデシル、4-ビフェニル酢酸ペンタデシル、4-ビフェニル酢酸セチル、4-ビフェニル酢酸シクロペンチル、4-ビフェニル酢酸シクロヘキシルメチル、4-ビフェニル酢酸ヘキシル、4-ビフェニル酢酸シクロヘキシルメチルを例示できる。
【0067】
更に、前記(c)成分として下記一般式(7)で示される化合物を用いることもできる。
【化7】
(ここで、Rは炭素数3~18のアルキル基、または炭素数3~18の脂肪族アシル基のいずれかを示し、Xは水素原子、炭素数1~3のアルキル基、炭素数1または2のアルコキシ基、ハロゲン原子のいずれかを示し、Yは水素原子、メチル基のいずれかを示し、Zは水素原子、炭素数1~4のアルキル基、炭素数1又または2のアルコキシ基、ハロゲン原子のいずれかを示す。)
【0068】
前記化合物としては、4-ブトキシ安息香酸フェノキシエチル、4-ペンチルオキシ安息香酸フェノキシエチル、4-テトラデシルオキシ安息香酸フェノキシエチル、4-ヒドロキシ安息香酸フェノキシエチルとドデカン酸とのエステル、バニリン酸フェノキシエチルのドデシルエーテルを例示できる。
【0069】
更に、(c)成分として下記一般式(8)で示される化合物を用いることもできる。
【化8】
(ここで、Rは炭素数4~22のアルキル基、炭素数4~22のアルケニル基、シクロアルキルアルキル基、シクロアルキル基のいずれかを示し、Xは、それぞれ独立にアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子のいずれかを示し、p8は0または1を示し、q8は0~5を示し、r8は0~4を示す。)
【0070】
前記化合物としては、p-ヒドロキシ安息香酸オクチルの安息香酸エステル、p-ヒドロキシ安息香酸デシルの安息香酸エステル、p-ヒドロキシ安息香酸ヘプチルのp-メトキシ安息香酸エステル、p-ヒドロキシ安息香酸ドデシルのo-メトキシ安息香酸エステル、p-ヒドロキシ安息香酸シクロヘキシルメチルの安息香酸エステルを例示できる。
【0071】
更に、(c)成分として下記一般式(9)で示される化合物を用いることもできる。
【化9】
(ここで、Rは炭素数3~17のアルキル基、炭素数3~8のシクロアルキル基、炭素数5~8のシクロアルキルアルキル基を示し、Xは水素原子、炭素数1~5のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、ハロゲン原子を示し、p9は1~3の整数を示す。)
【0072】
前記化合物としては、4-フェニルフェノールエチレングリコールエーテルとシクロヘキサンカルボン酸とのジエステル、4-フェニルフェノールジエチレングリコールエーテルとラウリン酸とのジエステル、4-フェニルフェノールトリエチレングリコールエーテルとシクロヘキサンカルボン酸とのジエステル、4-フェニルフェノールエチレングリコールエーテルとオクタン酸とのジエステル、4-フェニルフェノールエチレングリコールエーテルとノナン酸とのジエステル、4-フェニルフェノールエチレングリコールエーテルとデカン酸とのジエステル、4-フェニルフェノールエチレングリコールエーテルとミリスチン酸とのジエステルを例示できる。
【0073】
更に、電子受容性化合物として炭素数3~18の直鎖または側鎖アルキル基を有する特定のアルコキシフェノール化合物を用いたり(特開平11-129623号公報、特開平11-5973号公報)、特定のヒドロキシ安息香酸エステルを用いたり(特開2001-105732号公報)、没食子酸エステル等を用いた(特公昭51-44706号公報、特開2003-253149号公報)加熱発色型(加熱により発色し、冷却により消色する)の可逆熱変色性組成物を内包してなるマイクロカプセル顔料を適用することもできる。
【0074】
(a)、(b)、および(c)成分の配合割合は、濃度、変色温度、変色形態や各成分の種類に左右されるが、一般的に所望の変色特性が得られる成分比は、(a)成分1質量部に対して、(b)成分0.1~50質量部、好ましくは0.5~20質量部、(c)成分1~800質量部、好ましくは5~200質量部の範囲である。
【0075】
ここで、マイクロカプセル顔料中、或いは、インキ中に非熱変色性の染料、顔料等の着色剤を配合して、有色(1)から有色(2)への互変的色変化を呈することもできる。
【0076】
可逆熱変色性組成物をマイクロカプセルに内包させる方法は特に限定されないが、例えば界面重合法、界面重縮合法、in Situ重合法、液中硬化被覆法、水溶液からの相分離法、有機溶媒からの相分離法、融解分散冷却法、気中懸濁被覆法、スプレードライング法等があり、用途に応じて適宜選択される。
【0077】
カプセルの材質としては、有機樹脂、例えばエポキシ樹脂、尿素樹脂、ウレタン樹脂、イソシアネート樹脂等が挙げられる。本発明においては、顔料粒子の表面が有機材料によって構成されていることにより、後述するN-ビニル-2-ピロリドンの重合体およびグリセリンとの三相互作用によって、優れた特性を示すものである。したがって、カプセルの材質は有機材料であることが必要である。
【0078】
更にマイクロカプセルの表面には、目的に応じて二次的な樹脂皮膜を設けて耐久性を付与したり、表面特性を改質させて実用に供することもできる。
【0079】
マイクロカプセル顔料は、平均粒子径が好ましくは0.1~5.0μm、より好ましくは0.1~4.0μm、さらに好ましくは0.5~3.0μmの範囲にあるものが用いられる。
【0080】
また、可逆熱変色性組成物とマイクロカプセル壁膜の質量比率は、可逆熱変色性組成物:壁膜=7:1~1:1(質量比)、好ましくは6:1~1:1の範囲を満たすことが好ましい。
【0081】
マイクロカプセル顔料の平均粒子径が5.0μmを越えると筆記具に用いた際に滑らかな筆記感が得られ難く、最大外径の平均値が0.1μm未満では高濃度の発色性を示し難くなる。
【0082】
平均粒子径が前記範囲、特には0.5~3.0μmの範囲にあるマイクロカプセル顔料は高濃度の発色性を示すとともに筆記具に用いた際には良好な吐出性が得られやすい。
【0083】
可逆熱変色性組成物の壁膜に対する比率が前記範囲より大になると、壁膜の厚みが肉薄となり過ぎ、圧力や熱に対する耐性の低下を生じ易く、壁膜の可逆熱変色性組成物に対する比率が前記範囲より大になると発色時の色濃度および鮮明性の低下を生じ易くなる。
【0084】
なお、平均粒子径の測定は、マウンテック社製の画像解析式粒度分布測定ソフトウェア「マックビュー」を用いて粒子の領域を判定し、粒子の領域の面積から投影面積円相当径(Heywood径)を算出し、その値による等体積球相当の粒子の平均粒子径として測定した値である。
【0085】
また、全ての粒子或いは大部分の粒子の粒子径が0.2μmを超える場合は、粒度分布測定装置(ベックマン・コールター株式会社製、製品名:Multisizer 4e)を用いてコールター法により等体積球相当の粒子の平均粒子径として測定することも可能である。さらに、標準試料またはコールター法による測定装置を用いて計測した数値を基にしてキャリブレーションを行ったレーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置(装置名:LA-300、株式会社堀場製作所製)を用いて、体積基準の粒子径および平均粒子径(メジアン径)を測定してもよい。
【0086】
<N-ビニル-2-ピロリドンの重合体>
本発明によるインキ組成物はN-ビニル-2-ピロリドンの重合体(以下、簡単に「PVP」と表すことがある)をさらに含んでなる。本発明によるインキ組成物において、PVPは種々の特性を同時に完了する効果がある。具体的には、インキ組成物の粘度を調整する効果、マイクロカプセル顔料の凝集を抑制する効果、インキ成分の紙への固着性や粘着性を改良する効果などがある。さらに、本発明者らの検討によれば、マイクロカプセル顔料を含むインキ組成物においては、ドライアップ抑制の効果があることがわかった。例えば、インキ組成物をボールペンやマーキングペン、特にノック式ボールペンに用いた場合には、そのペン先は乾燥しやすい状況に置かれる。その結果、それらの筆記具は筆記不能になることがある。このような状態をドライアップというが、本発明によれば、PVPを特定のインキ組成物に用いることでドライアップを抑制することができ、優れた筆記性を達成することができる。
【0087】
PVPは、N-ビニル-2-ピロリドンが重合したものであるが、その重合度が2~20であるものを用いることが必要であり、2~10であることが好ましく、2~6であることがより好ましい。重合度がそのような範囲にあることで、インキ組成物中の水分が蒸発した場合、インキ組成物の粘度の上昇やマイクロカプセル顔料の凝集を抑制することができる。重合度が過度に高いPVPを用いると、インキ組成物の粘度も過度に高くなって筆記性能に悪影響を及ぼすことがあるので注意が必要である。
【0088】
<グリセリン>
本発明によるインキ組成物は、グリセリンをさらに含んでなる。グリセリンは、一般的なインキ組成物に対して有機溶剤や粘度調整剤として使用されることがある。しかし、本発明においてグリセリンは、従来知られていなかった機能を奏するものである。すなわち、有機樹脂を表面に有するマイクロカプセル顔料およびPVPと特定の比率で共存することで、三成分の間での相互作用が生じて、顕著な筆記特性の改良を実現できるのである。
【0089】
<水>
本発明によるインキ組成物は、水性インキ組成物であり、主たる溶媒として水を含んでなる。本発明に用いられる水としては、特に制限はなく、例えば、イオン交換水、限外ろ過水または蒸留水などを用いることができる。
【0090】
<インキ組成物の組成>
本発明において、インキ組成物の総質量に対するマイクロカプセル顔料の含有率(PMC)は、5~40質量%であることが必要であり、10~30質量%であることが好ましく、更に好ましくは10~25質量%配合することができる。例えばボールペンなどの用途にインキ組成物を用いる場合、一般的な顔料の配合量はインキ組成物全量に対して10質量%未満であるが、着色剤としてマイクロカプセル顔料を用いる場合は、十分な発色を実現するための配合量を多くすることが好ましい。そして、一般的にはマイクロカプセル顔料の含有率が高いインキ組成物は固形分含有率が一般的なインキに比べて高いためドライアップ性能などの性能が劣化することがある。しかしながら、本発明によるインキ組成物は特定の材料を特定の比率で配合することによって、そのような問題を解決している。
【0091】
本発明において、インキ組成物の総質量に対するPVPの含有率(PPVP)は、1~20質量%であることが好ましく、2~10質量%であることが好ましい。PVPの含有率をこの範囲内にすることで、インキ組成物のペン先からの吐出性が良好に保たれ、高い筆跡濃度を実現することができる。
【0092】
本発明において、インキ組成物の総質量に対するグリセリンの含有率(PG)は、インキ組成物の総質量に対し、1~20質量%であることが好ましく、2~10質量%であることが好ましい。グリセリンの含有率をこの範囲内にすることで、インキ組成物のペン先からの吐出性が良好に保たれ、鮮明な筆跡を形成させることができる。
【0093】
本発明のインキ組成物は、必須成分として、マイクロカプセル顔料、PVP、グリセリン、および水を含むものであるが、マイクロカプセル顔料、PVP、およびグリセリンの含有率の合計(PMC+PPVP+P)は、20~50質量%であることが好ましく、20~30質量%であることがより好ましい。PMC+PPVP+Pがこの範囲内にあることで、高い筆跡濃度を維持しながら、書き出し時のかすれを抑制し、高い筆記特性とを両立することができる。
【0094】
また、本発明においては、マイクロカプセル顔料、PVPおよびグリセリンが特定の比率で配合されている。具体的には、
0.3≦PMC/(PPVP+P)≦4、かつ
0.2≦PPVP/P≦5
を満たすことが必要であり、
0.5≦PMC/(PPVP+P)≦2.5、または
0.3≦PPVP/P≦2.5
であることが好ましい。
【0095】
本発明においては、マイクロカプセル顔料、PVPおよびグリセリンが、上記の範囲内となるように配合されたときにのみ、期待される効果が発現する。言い換えると、この3者が特定の比率によって配合されたときに、相互作用によって本発明の効果が発現するものと考えられる。すなわち、本発明によるインキ組成物は、筆記濃度、ドライアップ耐性、経時安定性などを同時に実現するものである。しかし、これは単に各成分の効果が発現したものではない。例えば、インキ組成物のドライアップ耐性を改良するための材料としてPVPを用いる場合がある。しかし、本発明者らの検討によれば、マイクロカプセルおよびグリセリンが共存する場合には、PVPの増量によって、ドライアップ耐性が低下していくこともあることがわかった(実施例の項を参照)。また、顔料として一般的な無機顔料を用いた場合には、本願発明において特定された比率で配合されたとしても、本願発明の効果が発現しない。これは、本願発明において用いられるマイクロカプセル顔料は表面に有機樹脂が存在するため、その有機樹脂と、PVPおよびグリセリンとの間に相互作用が生じて、経時安定性や筆記特性が改良されるものと考えられる。すなわち、マイクロカプセル顔料、PVPおよびグリセリンが共存するインキ組成物において、これらの相互の比率が特定の割合であるときに、優れた特性を有するインキ組成物が得られることは予想外であった。
【0096】
<その他の成分>
本発明によるインキ組成物は、上記した必須成分のほかに、本発明の効果を損なわない範囲で任意成分を組み合わせることができる。
【0097】
任意成分のひとつとして、多糖類を用いることができる。多糖類は、種々の効果をもたらすが、主に、インキ粘度の調整(増粘剤)、剪断減粘性の付与(剪断減粘性付与剤)、耐ドライアップ性能向上などの効果をもたらす。
ここで、剪断減粘性とは、静置時には高粘度を有し、剪断力が加えられると粘度が低下する特性である。ボールペンのうち、一般にゲルインキと呼ばれるインキ組成物を内蔵するものがある。ゲルインキ組成物は、剪断応力が加わらない静置時には高粘度であり、筆記具内において安定的に保持されており、筆記時にあってはボールの高速回転によって生じる高剪断力によってボール近傍のインキが低粘度化し、その結果、インキはボールとボール収容部の間隙から吐出して紙面に転写されるものである。インキ組成物に対して、剪断減粘性付与剤を組み合わせることでゲルインキとすることができる。
【0098】
多糖類を用いる場合、適切な多糖類としては、サクシノグリカン、キサンタンガム、ウェランガム、グアーガム、ローカストビーンガム、カラギーナン、およびダイユータンガムならびにその誘導体、セルロース誘導体、グリコマンナン、寒天やカラゲニン等の海藻より抽出されるゲル化能を有する増粘多糖類、デキストリンが挙げられる。これらのうち、サクシノグリカンおよびキサンタンガムは、剪断減粘性の付与効果が大きいので好ましく、サクシノグリカンがより好ましい。サクシノグリカンとしては平均分子量が約100~800万のものが好適に用いることができる。また、セルロース誘導体としてはヒドロキシメチルセルロースなどが挙げられる。
【0099】
本発明によるインキ組成物がサクシノグリカンまたはキサンタンガムを含む場合、インキ組成物の総質量を基準としたサクシノグリカンまたはキサンタンガムの含有率は、0.01~1.0質量%であることが好ましい。これらの含有率をその範囲とすることで、ペン先からのインキ吐出特性を高いレベルで維持し、かつマイクロカプセル顔料の凝集を抑制することができる。
【0100】
また、多糖類としてデキストリンまたはセルロース誘導体を用いると、インキ粘度の調整、剪断減粘性の付与、耐ドライアップ性能向上などの高い改良効果を同時に得ることができる場合がある。これらのうち、デキストリンは耐ドライアップ性能向上効果が大きいので好ましい。
【0101】
デキストリンとしては、8糖以上の澱粉糖化物および/またはその還元物を含む糖混合物であることが好ましい。そして、この糖混合物は、8糖以上の澱粉糖化物等を30質量%以上含むことが好ましく、50%以上含むことがより好ましく、70%以上含むことが特に好ましい。このようなデキストリンは、皮膜形成性に優れるため、インキ組成物を筆記具に適用した場合、ペン先からの水分蒸発抑制の効果が大きいので好ましい。
【0102】
本発明によるインキ組成物がデキストリンまたはセルロース誘導体を含む場合、インキ組成物の総質量を基準としたそれらの含有率は、0.1~5質量%であることが好ましい。デキストリンまたはセルロース誘導体の含有率をその範囲とすることで、ペン先からのインキ吐出特性を高いレベルで維持し、かつインキ垂れ下がりやペン先からの水分蒸発を抑制することができる。
【0103】
これらの多糖類は、単独で、または2種類以上組み合わせて用いることができる。
【0104】
なお、増粘剤として多糖類以外のものを用いることもできる。増粘剤として用いることができるその他の材料としては、アルギン酸アルキルエステル類、メタクリル酸のアルキルエステルを主成分とする分子量10万~15万の重合体、ベンジリデンソルビトール及びベンジリデンキシリトール又はこれらの誘導体、架橋性アクリル酸重合体、無機質微粒子、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレンラノリン・ラノリンアルコール・ミツロウ誘導体、ポリオキシエチレンアルキルエーテル・ポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、脂肪酸アミド等のHLB値が8~12のノニオン系界面活性剤、ジアルキル又はジアルケニルスルホコハク酸の塩類が挙げられる。
【0105】
任意成分のほかのひとつとして、界面活性剤が挙げられる。界面活性剤は、ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、両性界面活性剤など、何れも好ましく用いることができる。界面活性剤としてはリン酸エステル系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、アセチレン結合を構造中に有する界面活性剤、フッ素系界面活性剤などが挙げられる。これらの界面活性剤は、インキ組成物の成分や用途などに応じて適切に選択することができる。例えばインキ組成物を水性ボールペンに用いる場合には、リン酸エステル系界面活性剤が好ましい。リン酸エステル系界面活性剤はチップにおいて良好な潤滑効果を奏し、ボールを円滑に回転させることができるためである。リン酸エステル系界面活性剤の具体例として、ポリオキシエチレンアルキルエーテル又はポリオキシエチレンアルキルアリールエーテルのリン酸モノエステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル又はポリオキシエチレンアルキルアリールエーテルのリン酸ジエステル、或いは、それらの金属塩、アンモニウム塩、アミン塩、アルカノールアミン塩等が挙げられる。本発明によるインキ組成物が界面活性剤を含む場合、その含有率はインキ組成物の総質量を基準として0.1~2.0質量%が好ましく、0.3~1.5質量%であることがより好ましい。
【0106】
任意成分のほかのひとつとして、pH調整剤が挙げられる。インキ組成物のpHを適切な範囲に調整するために、各種の酸または塩基をpH調整剤として用いることができる。そのようなpH調整剤としては、(a)アンモニア、水酸化ナトリウムなどの無機塩基性化合物、(b)リン酸、塩酸、硫酸、硝酸、などの無機酸性化合物、(c)炭酸ナトリウム、リン酸ナトリウムなどの無機塩化合物、(d)トリエタノールアミンやジエタノールアミンなどの水溶性のアミン化合物、尿素、ジメチル尿素、ジエチル尿素、ヒドロキシメチル尿素、ヒドロキシエチル尿素、などの尿素誘導体、アセトアミド、またはN-メチルアセトアミド等のアミド化合物などの有機塩基性化合物、(e)乳酸、 クエン酸、酒石酸など有機酸性化合物、ならびに(f)酢酸ナトリウム、重曹、酒石酸ナトリウム等の有機塩化合物が挙げられる。pH調整剤の含有率は、インキ組成物に対して、0.1~5質量%であることが好ましく、0.5~2質量%であることがより好ましい。
【0107】
本発明によるインキ組成物は、そのほか、
(i)防錆剤、 、例えばベンゾトリアゾール、トリルトリアゾール、ジシクロヘキシルアンモニウムナイトライト、ジイソプロピルアンモニウムナイトライト、サポニンなど、
(ii)防腐剤、または防黴剤、例えばフェノール、1,2-ベンズチアゾリン3-オンのナトリウム塩、安息香酸ナトリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、ソルビン酸カリウム、パラオキシ安息香酸プロピル、2,3,5,6-テトラクロロ-4-(メチルスルフォニル)ピリジンなど、
(iii)比重調整剤、例えばイソタングステン酸ナトリウム、メタタングステン酸ナトリウム、パラタングステン酸ナトリウムなど、
(iv)気泡吸収剤、例えばアスコルビン酸類、エリソルビン酸類、α-トコフェロール、カテキン類、合成ポリフェノール、コウジ酸、アルキルヒドロキシルアミン、オキシム誘導体、α-グルコシルルチン、α-リポ酸、ホスホン酸塩、ホスフィン酸塩、亜硫酸塩、スルホキシル酸塩、亜ジチオン酸塩、チオ硫酸塩、二酸化チオ尿素など
(v)潤滑剤、例えば金属石鹸、2,5-ジメルカプト-1,3,4-チアジアゾールやその塩やオリゴマー、3-アミノ-5-メルカプト-1,2,4-トリアゾール、チオカルバミン酸塩、ジメチルジチオカルバミン酸塩、α-リポ酸、N-アシル-L-グルタミン酸とL-リジンとの縮合物やその塩、エチレンオキサイド付加型カチオン活性剤、N-アシルアミノ酸系界面活性剤、ジカルボン酸型界面活性剤、β-アラニン型界面活性剤など、
(vi)水溶性有機溶媒、例えばエタノール、プロパノール、ブタノール、ソルビトール、グリコール系溶剤、スルフォラン、2-ピロリドン、N-メチル-2-ピロリドン、N-ビニル-2-ピペリドンのオリゴマー、N-ビニル-2-ピロリドン、N-シクロヘキシル-2-ピロリドン、ε-カプロラクタム、N-ビニル-ε-カプロラクタムなど、
(vii)グルコール系溶媒、例えばグリコール系溶剤として
エチレングリコール、ジエチレングリコール、チオジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテートなど、
(viii)水溶性または水不溶性樹脂、例えばポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、ポリビニルアルコール、重合度が20を超えるポリビニルピロリドン、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、アクリル酸樹脂、マレイン酸樹脂、アラビアゴム、セルロース等、およびそれらの誘導体、前記した樹脂の共重合体など、
(ix)マイクロカプセル顔料以外の顔料、例えばアルミニウム粉やアルミニウム粉表面を着色樹脂で処理した金属顔料、透明又は着色透明フィルムに金属蒸着膜を形成した金属光沢顔料、蓄光性顔料、芯物質として天然雲母、合成雲母、ガラス片、アルミナ、透明性フィルム片の表面を酸化チタン等の金属酸化物で被覆したパール顔料等の光輝性顔料、
(x)その他の成分、例えばカゼイン、チオ亜燐酸トリ(アルコキシカルボニルメチルエステル)やチオ亜燐酸トリ(アルコキシカルボニルエチルエステル)等のチオ亜燐酸トリエステルなど
を組み合わせることもできる。
【0108】
<インキ組成物の物性>
本発明によるインキ組成物は、各種の筆記具に用いることができる。このとき、インキ組成物に求められる物性は、筆記具の種類によって異なる。
【0109】
例えば、本発明によるインキ組成物がボールペンに用いられる場合、その粘度は、20℃、回転数3.84sec-1の条件で測定した場合、1~2000mPa・sであることが好ましい。マイクロカプセル顔料の沈降、凝集を抑制することを考慮すれば、粘度は、300~1500mPa・sであることがより好ましく、500~1000mPa・sであることが特に好ましい。また、20℃、回転数384sec-1の条件で測定した場合は、1~200mPa・sであることが好ましく、ペン先からのインキ吐出性を良好とすることを考慮すれば、10~100mPa・sであることがより好ましく、20~50mPa・sであることが特に好ましい。このような範囲を有することにより、分散安定性やボールペンの機構内における組成物の易流動性を高いレベルで維持することができる。
なお、インキ粘度は、ブルックフィールド社製DV-II粘度計(コーンローター CPE42)を用いて20℃の環境下で、剪断速度3.84sec-1(1rpm)、剪断速度384sec-1(100rpm)の条件にてインキ粘度を測定することができる。
【0110】
また、本発明によるインキ組成物がボールペンに用いられる場合、その表面張力は、20℃環境下において、20~50mN/mであることが好ましく、25~45mN/mであることがより好ましい。表面張力が上記数値範囲内であれば、インキ組成物を紙面へ塗布した際、インキ組成物の塗布面への濡れ性を向上させることができるとともに、滲みや、塗布面への裏抜けを防ぐことができる傾向にある。
【0111】
本発明によるインキ組成物がボールペンに用いられる場合、そのpHは、例えば室温(25℃)において3~10であることが好ましく、4~9であることがより好ましく、4~8であることが特に好ましい。pHをこのような範囲に調整することによって、含有されるマイクロカプセル顔料の低温域での凝集、沈降が抑制される。
【0112】
本発明によるインキ組成物がマーキングペンに用いられる場合、その粘度は20℃、回転数30rpmの条件で測定した場合、1~30mPa・sであることが好ましく、2~20mPa・sであることがより好ましい。また、その表面張力は、20℃環境下において、25~45mN/mであることが好ましく、30~40mN/mであることがより好ましい。
【0113】
本発明によるインキ組成物が万年筆に用いられる場合、その粘度は20℃、回転数30rpmの条件で測定した場合、1~20mPa・sであることが好ましく、1~10mPa・sであることがより好ましい。また、その表面張力は、20℃環境下において、30~65mN/mであることが好ましく、35~55mN/mであることがより好ましい。
【0114】
なお、インキ組成物の粘度の測定は、BL型回転粘度計(製品名:TVB-M型粘度計、B型ローター、東機産業株式会社製)を用いて行うことができる。また、表面張力は、協和界面科学株式会社製の表面張力計測器を用い、白金プレートを用いて、垂直平板法によって測定することができる。
【0115】
<<インキ組成物の製造方法>>
本発明によるインキ組成物は、従来知られている任意の方法により製造することができる。具体的には、前記各成分を必要量配合し、プロペラ攪拌、ホモディスパー、またはホモミキサーなどの各種攪拌機やビーズミルなどの各種分散機などにて混合し、製造することができる。
【0116】
<<筆記具>>
本発明によるインキ組成物は、マーキングペンチップやボールペンチップを筆記先端部に装着したマーキングペンや水性ボールペンの他、筆ペン、万年筆、およびカリグラフィーペン等の筆記具に充填して用いられる。
【0117】
水性ボールペンに充填する場合、ボールペン自体の構造、形状は特に限定されるものではなく、例えば、軸筒内部に直接インキを収容し、櫛溝状のインキ流量調節部材や繊維束からなるインキ流量調節部材を介在させ、インキ流量調節部材とチップが連結されてなる構造を備えるボールペン、軸筒内にインキを充填したインキ収容管を有し、インキ収容管はボールを先端部に装着したチップに連通しており、さらにインキの端面には逆流防止用の液栓が密接しているボールペンを例示できる。
【0118】
ボールペンチップについて更に詳しく説明すると、金属製のパイプの先端近傍を外面より内方に押圧変形させたボール抱持部にボールを抱持してなるチップ(パイプ式ボールペンチップ)、あるいは、金属材料をドリル等による切削加工により形成したボール抱持部にボールを抱持してなるチップ、金属またはプラスチック製チップ内部に樹脂製のボール受け座を設けたチップ、あるいは、前記チップに抱持するボールをバネ体により前方に付勢させたもの等を適用できる。また、ボーペンチップが、少なくとも先端部がストレート状の円筒体(直管状円筒体)である金属製パイプを具備していることが好ましい。そのようなボールペンチップの形状として、例えば、ボールペンチップ全体がストレート状円筒体である金属製パイプからなるもの、または、先端部にストレート状の金属製パイプを有し、かつその後方に外径及び内径が拡径する形状を有するものが挙げられる。このうち、後者はインキ吐出性が良好であるので好ましい。
【0119】
又、ボールは、超硬合金、ステンレス鋼、ルビー、セラミック、樹脂、ゴム等からなるものが用いられるのが一般的である。またボール径は一般に0.2~3.0mm、好ましくは0.25~1.5mm、より好ましくは0.25~1.0mm、特に好ましくは0.25~0.5mmのものが適用できる。また、パイプ式ボールペンチップにおいては、ボール径が例えば0.25~1.0mm、好ましくは0.25~0.7mm、特に好ましくは0.25~0.5mmであるボールペンに本発明によるインキ組成物を組み合わせることにより、インキ吐出性およびドライアップ耐性に優れたボールペンを得ることができる。
【0120】
本発明によるインキ組成物を水性ボールペンに充填した場合、そのボール径とインキ消費量とは特定の関係を満たすことが好ましい。具体的には、水性ボールペンの100mあたりのインキ消費量をA(mg)、前記ボール径をB(mm)とした場合、200≦A/B≦800の関係とすることが好ましく、300≦A/B≦700の関係とすることが好ましい。これは、上記範囲とすることで、ボール径に対して、適正なインキ消費量とすることで、インキ流動性を良好とし、筆跡カスレなどを抑制することで、良好な筆跡が得られやすいためである。
【0121】
なお、インキ消費量については、20℃、筆記用紙JIS P3201筆記用紙上に筆記角度70°、筆記荷重100gの条件にて、筆記速度4m/分の速度で、試験サンプル5本を用いて、らせん筆記試験を行い、その100mあたりのインキ消費量の平均値を、100mあたりのインキ消費量と定義する。
【0122】
また、ボールペンチップにおけるボールの縦軸方向の移動可能量(クリアランス)は、ボールペンの製造時または使用開始時に、20~60μmとするのが好ましく、30~45μmとすることが好ましい。これは、上記範囲であれば、インキ吐出量を適切に調整し、線とびやカスレなどを抑制することで、良好な筆跡が得られやすいためであり、さらにクリアランスが上記範囲内であれば、前記の比A/Bも調整しやすい。また、本発明においてインキ組成物はマイクロカプセル顔料を含むが、その平均粒子径に応じて、クリアランスを調整することでインキの吐出性を改善できることがある。そのような観点から、クリアランスG(μm)を基準としたマイクロカプセルの平均粒子径D(μm)の比D/Gが、1/150≦D/G≦1/3を満たすことが好ましく、1/100≦D/G≦1/5を満たすことがより好ましい。
【0123】
ボールペンチップのボールの縦軸方向への移動可能量(クリアランス)とは、ボールがボールペンチップ本体の縦軸方向への移動可能な距離を示す。ここで、移動可能量は、ボールおよびボール座が使用によって摩耗するため、使用に応じて一般的に増大していく。そして、移動可能量はインク吐出量と関係する。したがって、一般的に、ボールペンの製造時または使用開始時における移動可能量は、上記の範囲に設定されるので、安定した筆記特性を達成するために、ボールペンの使用終了時まで、上記範囲内であることが好ましい。
【0124】
インキを収容するインキ収容管は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン等の熱可塑性樹脂からなる成形体が用いられる。また、収容するインキ組成物が酸素によって変性するのを防ぐために、酸素透過性の低い樹脂、例えばエチレンビニルアルコール共重合樹脂、塩化ビニリデン樹脂、アクリロニトリル樹脂、ポリエステル樹脂などからなる成形体が好ましく用いられる。また、インキ収容管は、単層構造でも良く、多層構造であってもよい。多層構造のインキ収容管を採用する場合、少なくとも1層は、エチレンビニルアルコール共重合樹脂、塩化ビニリデン樹脂、アクリロニトリル樹脂、ポリエステル樹脂からなることが好ましい。また、インキ収容管が3以上の多層構造のインキ収容管を採用し、エチレンビニルアルコール共重合樹脂、塩化ビニリデン樹脂、アクリロニトリル樹脂、ポリエステル樹脂からなる層を組み合わせる場合は、それらの層は最外層および最内層以外に配置することが好ましい。
インキ収容管にはチップを直接連結する他、接続部材を介して前記インキ収容管とチップを連結してもよい。
【0125】
尚、インキ収容管はレフィルの形態として、レフィルを樹脂製、金属製等の軸筒内に収容するものでもよいし、先端部にチップを装着した軸筒自体をインキ収容体として、軸筒内に直接インキを充填してもよい。
【0126】
インキ収容管に収容したインキの後端にはインキ逆流防止体が充填されることが好ましい。インキ逆流防止体組成物は不揮発性液体または難揮発性液体からなる。
【0127】
具体的には、ワセリン、スピンドル油、ヒマシ油、オリーブ油、精製鉱油、流動パラフィン、ポリブテン、α-オレフィン、α-オレフィンのオリゴマーまたはコオリゴマー、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、ポリエーテル変性シリコーンオイル、脂肪酸変性シリコーンオイル等があげられ、一種または二種以上を併用することもできる。
【0128】
不揮発性液体および/または難揮発性液体は、増粘剤を添加して好適な粘度まで増粘させることが好ましく、増粘剤としては表面を疎水処理したシリカ、表面をメチル化処理した微粒子シリカ、珪酸アルミニウム、膨潤性雲母、疎水処理を施したベントナイトやモンモリロナイトなどの粘土系増粘剤、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸亜鉛等の脂肪酸金属石鹸、トリベンジリデンソルビトール、脂肪酸アマイド、アマイド変性ポリエチレンワックス、水添ひまし油、脂肪酸デキストリン等のデキストリン系化合物、セルロース系化合物等を挙げることができる。更に、液状のインキ逆流防止体と、固体のインキ逆流防止体を併用することもできる。
【0129】
また、マーキングペンに充填する場合、マーキングペン自体の構造、形状は特に限定されるものではなく、例えば、軸筒内に繊維集束体からなるインキ吸蔵体を内蔵し、毛細間隙が形成された、繊維加工体または樹脂成型体からなるマーキングペンチップを直接或いは中継部材を介して軸筒に装着してなり、インキ吸蔵体とチップが連結されてなるマーキングペンのインキ吸蔵体にインキを含浸させたマーキングペンや、軸筒内部に直接インキを収容し、櫛溝状のインキ流量調節部材や繊維束からなるインキ流量調節部材を介在させ、インキ流量調節部材とチップが連結されてなる構造を備えるマーキングペン、およびチップの押圧により開放する弁体を介してチップとインキ収容管とを配置し、インキ収容管内にインキを直接収容させたマーキングペン等を例示できる。
【0130】
チップは、繊維の樹脂加工体、熱溶融性繊維の融着加工体、フェルト体等の従来より汎用の気孔率が概ね30~70%の範囲から選ばれる連通気孔の多孔質部材、または軸方向に延びる複数のインキ導出孔を有する合成樹脂の押出成型体であり、一端を砲弾形状、長方形状、チゼル形状等の目的に応じた形状に加工して実用に供される。
インキ吸蔵体は、捲縮状繊維を長手方向に集束させたものであり、プラスチック筒体やフィルム等の被覆体に内在させて、気孔率が概ね40~90%の範囲に調整して構成される。
【0131】
また、弁体は、従来より汎用のポンピング式形態が使用できるが、筆圧により押圧開放可能なバネ圧に設定したものが好適である。
【0132】
本発明によるインキ組成物に好適なマーキングペンは、軸筒内に繊維集束体からなるインキ吸蔵体を内蔵し、毛細間隙が形成された、繊維加工体または樹脂成型体からなるマーキングペンチップを直接或いは中継部材を介して軸筒に装着してなり、インキ吸蔵体とチップが連結されてなるマーキングペンのインキ吸蔵体にインキを含浸させたマーキングペン、軸筒内部に直接インキを収容し、櫛溝状のインキ流量調節部材や繊維束からなるインキ流量調節部材を介在させ、インキ流量調節部材とチップが連結されてなる構造を備えるマーキングペンであり、より好ましくは、軸筒内に繊維集束体からなるインキ吸蔵体を内蔵し、毛細間隙が形成された、繊維加工体または樹脂成型体からなるマーキングペンチップを直接或いは中継部材を介して軸筒に装着してなり、インキ吸蔵体とチップが連結されてなるマーキングペンのインキ吸蔵体にインキを含浸させたマーキングペンである。このような機構を備える筆記具には、チップへのインキ供給性の観点から、マイクロカプセル顔料の凝集性が低く、易流動性を有するインキ組成物が求められるため、本発明によるインキ組成物は上記機構を有する筆記具に対して特に好適であり、マーキングペン用可逆熱変色性水性インキ組成物として好ましく用いることが可能である。
【0133】
更に、ボールペンやマーキングペンの形態は前述したものに限らず、相異なる形態のチップを装着させたり、相異なる色調のインキを導出させるペン先を装着させた複合筆記具(両頭式やペン先繰り出し式等)であってもよい。
【0134】
前記した構造の筆記具は、ペン先の保護や、乾燥防止のためにキャップを備えることもできる。
【0135】
また、インキ収容管内に、インキを含浸させたインキ吸蔵体を収容し、ペン体を筆記先端部に装着してレフィルを調製し、レフィルを軸筒内に収容して出没機構の作動によって軸筒開口部から筆記先端部が突出する構造の出没式筆記具とすることもできる。本発明によるインキ組成物は、ペン先の乾燥による筆記特性の劣化が少ないため、このような出没式筆記具に好ましく用いられる。
【0136】
出没機構の操作方法としては、例えば、ノック式、回転式、スライド式等が挙げられる。
【0137】
インキ組成物を収容した筆記具より形成される筆跡は、指による摩擦や加熱具または冷熱具の適用により変色させることができる。
【0138】
加熱具としては、抵抗発熱体を装備した通電加熱変色具、温水等を充填した加熱変色具、ヘアドライヤーの適用が挙げられるが、好ましくは、簡便な方法により変色可能な摩擦部材や摩擦体が用いられる。
【0139】
摩擦部材や摩擦体としては、弾性感に富み、摩擦時に適度な摩擦を生じて摩擦熱を発生させることのできるエラストマー、プラスチック発泡体等の弾性体が好適であるが、プラスチック成形体、石材、木材、金属、布帛であってもよい。
【0140】
なお、消しゴムを使用して筆跡を摩擦することもできるが、摩擦時に消しカスが発生するため、好ましくは前述のような摩擦部材が用いられる。
【0141】
摩擦部材や摩擦体の材質としては、シリコーン樹脂やSEBS樹脂(スチレンエチレンブタジエンスチレンブロック共重合体)、SEPS樹脂(スチレンエチレンプロピレンスチレンブロック共重合体)、ポリエステル系樹脂、EPDM(エチレンプロピレンジエンゴム)が好適に用いられるが、シリコーン樹脂は摩擦により消去した部分に樹脂が付着し易く、繰り返し筆記した際に筆跡がはじかれる傾向にあるため、SEBS樹脂がより好適に用いられる。
【0142】
摩擦部材は筆記具と別体の任意形状の部材(摩擦体)であってもよいが、筆記具に固着させることにより、携帯性に優れる。
【0143】
摩擦部材を固着する箇所は、キャップ先端部(頂部)、或いは、軸筒後端部(筆記先端部を設けていない部分)が挙げられる。
【0144】
冷熱具としては、ペルチエ素子を利用した冷熱変色具、冷水、氷片等の冷媒を充填した冷熱変色具、冷蔵庫や冷凍庫の適用が挙げられる。
【0145】
また、筆記具と、摩擦体とを組み合わせて筆記具セットを得ることもできる。
【0146】
以下に、本実施形態に係るボールペンおよびボールペンレフィルの好ましい構成を図を用いて説明する。
【0147】
<<ボールペン(第1の実施の形態)>>
第1の実施の形態のボールペンを図3に示す。
ボールペン1は、軸筒11と、軸筒11内に前後方向に移動可能に収容されるボールペンレフィル2と、軸筒11外面に設けた操作部12とを備え、操作部12(クリップ)を前方にスライド操作することによって、軸筒11の前端孔よりボールペンレフィル2のボールペンチップ3(ペン先)が出没可能に構成されている。
【0148】
軸筒11は、前軸11aと、該前軸11aが着脱自在に螺着された後軸11bとを備え、前軸11aを後軸11bより取り外すことにより、軸筒11内部のボールペンレフィル2を交換することができる。
【0149】
軸筒11の後端には、弾性材料(例えば、ゴム、エラストマー等の弾性を有する合成樹脂)よりなる摩擦体13が取り付けられる。摩擦体13により、熱変色性インキの筆跡を摩擦しその際に発生する摩擦熱で該筆跡を熱変色(または消色)させることができる。
【0150】
<<ボールペン(第2の実施の形態)>>
第2の実施の形態のボールペンを図4に示す。
【0151】
ボールペン1は、軸筒11と、軸筒11内に収容されたボールペンレフィル2と、軸筒11のボールペンチップ側(ペン先側)外面に着脱自在に嵌合されるキャップ14とを備え、軸筒11の前端孔よりボールペンレフィル2のボールペンチップ3(ペン先)が外部に突出されている。
【0152】
軸筒11は、前軸11aと、該前軸11aが着脱自在に螺着された後軸11bとを備え、前軸11aを後軸11bから取り外すことにより、軸筒11内部のボールペンレフィル2を交換することができる。
【0153】
軸筒11の後端には、弾性材料((例えば、ゴム、エラストマー等の弾性を有する合成樹脂)よりなる摩擦体13が取り付けられる。摩擦体13により、熱変色性インキの筆跡を摩擦しその際に発生する摩擦熱で該筆跡を熱変色(または消色)させることができる。
【0154】
<<ボールペンレフィル>>
前記ボールペン1に用いるボールペンレフィル2の実施の形態を図5~7に示す。
本実施の形態のボールペンレフィル2は、前端部にボール5を回転可能に抱持したボールペンチップ3と、前記ボールペンチップ3の内部に収容配置されるスプリング6と、該ボールペンチップ3が前部に圧入固着されたホルダー7と、該ホルダーの後部が前端開口部に圧入固着されたインキ収容筒8とを備える。
尚、本実施の形態で「前」とはペン先ボール側を指し、「後」とはその反対側を指す。
【0155】
・ボールペンチップ
前記ボールペンチップ3は、チップ本体4とボール5とからなる。前記チップ本体3は、前端にボール5を回転可能に抱持する直円筒状の小径筒部41と、該小径筒部41より後方に一体に連設され且つ後方に向かうに従い漸次拡径するテーパ筒部42と、該テーパ筒部42より後方に一体に連設される直円筒状の大径筒部43とからなる金属製筒体よりなる。前記金属製筒体は、例えば、SUS304、SUS305、SUS321等のオーステナイト系ステンレス鋼により得られる。
【0156】
前記チップ本体3の小径筒部41の前端近傍内面には、内方への押圧変形により、複数(例えば、4個)の内方突出部41bが周方向に等間隔に形成される。前記内方突出部41bによりボール受け座が形成される。また、チップ本体3の前端には、周状に内方に押圧変形されることにより、内向きの前端縁部41aが形成される。前記内方突出部41b(ボール受け座)の前面と前記前端縁部41aの後面との間にはボール5を回転可能に抱持するボール抱持部が形成される。前記内方突出部41bの相互間には、中心部から径方向外方に延び且つ軸方向に貫通するインキ流通孔41cが形成される。即ち、前記ボール受け座には、前記インキ流通孔41cが形成される。前記ボールペンチップ3は、金属製のチップ本体3の前端部にボール受け座を切削加工によって形成するタイプであってもよい。
【0157】
・直円筒状内面
前記内方突出部41bより後方の前記小径筒部41の内面には、直円筒状内面が形成される。前記大径筒部43の内面には、直円筒状内面が形成される。
【0158】
・テーパ状内面
前記テーパ筒部42の内面には、後方に向かうに従い漸次拡径するテーパ状内面(または円錐面状内面)が形成される。
【0159】
・スプリング
前記スプリング6は、前部のロッド部61と、後部のコイル部62とが1本の金属線材(例えば、線径0.11mmのステンレス鋼製線材)により一体に連設される。
【0160】
・ロッド部
前記ロッド部61は、軸方向に直線状に伸び、前記ボール受け座41bのインキ流通孔41cに挿通される。前記ロッド部61の前端がボール5の後面の略中心部に当接され、前記ロッド部61によって、直接、前記ボール5が前方に付勢される。それにより、前記ボール5が前記前端縁部41aの内周面に密接され、チップ本体3の前端からのインキの漏出及びインキの蒸発を防止できる。
【0161】
・コイル部
前記コイル部62は、線材が螺旋状に巻回されて形成される。前記コイル部62の前端部及び後端部には、線材同志が密着する密着巻部が形成される。前記コイル部62の前端部及び後端部を除く中間部には、線材間に隙間を備えた有効巻部が形成される。スプリング6がボール5を前方に付勢する弾発力(具体的にはボール5を後方に0.01mmだけ押圧した際の荷重)は、14グラム~25グラム(好ましくは15グラム~22グラム)の範囲に設定される。
【0162】
・ホルダー
前記ホルダー7は合成樹脂(例えば、ポリプロピレン)の射出成形によって得られる筒状体である。前記ホルダー7は、ボールペンチップ3が取り付けられる先細状の前部71と、インキ収容筒8の前端面に当接する鍔部72と、インキ収容筒8の前端開口部に圧入される後部73とからなる。前記ホルダー7の前部71の取付孔にチップ本体3の後部が圧入固着される。前記取付孔内面の後端に段部74が突設され、前記段部74にチップ本体3の後端が係止されるとともに、前記段部74にスプリング6の後端(コイル部62の後端)が係止される。
【0163】
・インキ収容筒
前記インキ収容筒8は、合成樹脂(例えば、ポリプロピレン)の押出成形により得られる、両端が開口された円筒体である。前記インキ収容筒8の内部には、インキ81と、該インキ81の消費に伴って前進する高粘度流体からなる追従体82が充填される。前記インキ収容筒8の後端開口部に尾栓83が圧入固着される。前記尾栓83は、インキ収容筒8内と外気とを連通可能にする通気孔を有する。前記インキ81は、本発明のボールペンに係る水性インキ組成物である。前記追従体82は、例えば、高粘度流体のみからなる構成、または高粘度流体中に固形物を収容させた構成が挙げられる。
【0164】
・ボール
前記ボール5は、直径Aが、0.25mm~0.7mm(好ましくは0.3mm~0.5mm、さらに好ましくは0.3mm~0.45mm)の範囲のものが採用される。具体的には、ボール5は、所望する筆跡幅に応じて複数種のサイズのものが用意され、例えば、直径が0.25mm、0.3mm、0,4mm、0,5mm、0.7mmのものが採用される。
【0165】
前記ボール抱持部のボール5の軸方向の移動可能量は、円滑なインキ流出性が得られる点で、0.02mm~0.05mmの範囲が好ましい。前記ボール抱持部のボール5の軸方向の移動可能量は、ボール5の直径Aにより異なり、ボール5直径Aの5%~15%(好ましくは8%~12%)の範囲に設定され、それにより、円滑なインキ流出性と十分なボール露出量が得られる。
【0166】
前記ボール4の材料には、ボールペンに一般的に用いられる金属などを用いることができる。例えば、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデン、または前記物質の炭化物もしくは窒化物が挙げられ、タングステンの炭化物(タングステンカーバイド)が好ましく用いられる。また、これらの材料を基材とし、コバルトを結合材として含む超硬合金を用いることも好ましい。
【0167】
なお、ボールがコバルトを含む超硬合金である場合、結合材は、コバルトのみからなっていても、コバルト以外に鉄またはニッケル等の金属を含むものであってもよい。コバルトの含有率は特に限定されないが、ボール表面の変質を抑制し、ボール表面の良好な潤滑性を維持することを考慮すると、超硬合金全質量を基準として5~20質量%とすることが好ましく、8~15質量%であることがより好ましい。ボール中のコバルトは、走査型電子顕微鏡を用いたエネルギー分散型X線分光法の分析で検出可能である。前記測定には、電子顕微鏡(製品名:Miniscope TM-1000、株式会社日立ハイテクノロジーズ製)およびEDX分析装置(製品名:SwiftED-TM、英国Oxford社製)を用いることができる。
【0168】
前記ボール5の軸方向前方への露出量Eは、ボール5の直径Aの22%~32%の範囲に設定される。前記ボール5の軸方向前方への露出量Eは、スプリングの前方付勢に抗してボール5を後方に押圧し、ボール5が各々の内方突出部41b(ボール受け座)に接触した状態で測定される。直径Aが前記範囲(特にボール5の直径Aが0.3mm~0.45mm)において、直径が異なる複数種のボール5を採用し複数種のボールペンチップ3を得る場合、共通のスプリング6が採用される。
【0169】
・小径筒部
ボール5の直径Aが前記範囲(特にボール5の直径Aが0.3mm~0.45mm)の場合において、前記小径筒部41の直円筒状内面の内径Bは、ボール5の直径Aより大きく設定される。具体的には、前記小径筒部41の内径Bは、ボール5の直径Aより、0.03mm~0.06mmだけ大きく設定される。
【0170】
前記小径筒部41の内方突出部より後方の直円筒状内面の軸方向の長さFは、ボール5の直径Aより小さく設定される。それにより、ボール5の後面に潤沢にインキが供給され、円滑なインキ流出性が得られる。
【0171】
・テーパ筒部
ボール5の直径Aが前記範囲(特にボール5の直径Aが0.3mm~0.45mm)の場合において、前記テーパ筒部42のテーパ状内面の角度α(軸線を中心とした円錐面状内面の角度α)は、30度~40度に設定される。前記テーパ状内面の軸方向の長さGは、ボール5の直径Aより大きく設定される。具体的には、前記テーパ状内面の軸方向の長さGは、ボール5の直径Aの1.1倍~5.0倍(好ましくは2倍~4.5倍)に設定される。前記テーパ筒部42により、円滑なインキ流通性が得られるよう、小径筒部41と大径筒部43とが適正に接続される。
【0172】
・大径筒部
ボール5の直径Aが前記範囲(特にボール5の直径Aが0.3mm~0.45mm)の場合において、前記大径筒部43の直円筒状内面の内径Cは、0.9mm以上(好ましくは1mm以上)に設定され、前記大径筒部43の直円筒状内面の外径Dは、1.2mm以上(好ましは1.3mm以上)に設定される。前記大径筒部43の直円筒状内面の軸方向の長さHは、4.0mm~5.0mmの範囲に設定される。
【0173】
また、ボール5の直径Aが前記範囲(特にボール5の直径Aが0.3mm~0.45mm)において、異なる直径の複数種のボール5を採用し複数種のボールペンチップ3を得る場合、各々の大径筒部43の内径Cが同一に設定され、且つ、各々の大径筒部43の外径Dが同一に設定され、それにより、ホルダー7に対するボールペンチップ3の取付部の形状が共通化でき、製造工程の簡略化が可能となる。
【0174】
本実施の形態のボールペンレフィル2は、少なくとも以下の構成を要件とする。
本実施の形態のボールペンレフィル2は、前端部にボール5を回転可能に抱持したボールペンチップ3と、ボールペンチップ3の内部に収容配置されるスプリング6と、該ボールペンチップ3の後部73が固着されたホルダー7と、該ホルダー7の後部73がその前端開口部に固着されたインキ収容筒8とを備え、
インキ収容筒8の内部に、熱変色性インキ81と、該インキ81の消費に伴って前進する高粘度流体からなる追従体82とが充填され、
ボールペンチップ3は、前端にボール5が回転可能に抱持された直円筒状の小径筒部41と、該小径筒部41より後方に一体に連設され且つ後方に向かうに従い漸次拡径するテーパ筒部42と、該テーパ筒部42より後方に一体に連設される直円筒状の大径筒部43とからなる金属製筒体よりなりチップ本体3を備え、
ボール5を前方に付勢するスプリング6の弾発力は、14g~25グラムの範囲に設定され、
ボール5の材料には、コバルトを結合材に含む超硬合金が用いられ、
ボール5の直径Aは,0.25mm~0.7mmの範囲に設定され、
ボール抱持部のボール5の軸方向の移動可能量は、0.02mm~0.05mmの範囲に設定され、
ボール受け座41bより後方の小径筒部41の直円筒状内面の内径Bは、ボール5の直径Aより0.03mm~0.06mmだけ大きく設定され、
ボール受け座41bより後方の小径筒部41の直円筒状内面の軸方向の長さFは、ボール5の直径Aより小さく設定され、
大径筒部43の直円筒状内面の内径Cは、0.9mm以上に設定されている。
【0175】
なお、このようなボールペンまたはボールペンレフィルの構造は、本発明において特定された水性インキ組成物以外のインキ組成物を組み合わせた場合においても、優れた性能を与えることができる。特に、超硬合金のボールは、インキ組成物が強酸性であると表面が変質してボール表面の潤滑性が低下することがある。しかし、インキ組成物が強塩基性であると、インキ組成物に一般的に含まれる増粘剤との相互作用によって、インキ組成物の粘度が上昇することがある。このため、上記したボールペンまたはボールペンレフィル憎み合わせるインキ組成物のpHは、4以上7未満であることが好ましく、4.5以上7未満であることが好ましい。特にインキ組成物が、マイクロカプセル顔料を含むインキ組成物である場合に、優れた特性を有するボールペンまたはボールペンレフィルが得られる。すなわち、可逆熱変色性マイクロカプセル顔料、N-ビニル-2-ピロリドン重合体、およびグリセリンの含有率が本発明によって特定された範囲外のインキ組成物を用いた場合であっても、可逆熱変色性マイクロカプセル顔料と増粘剤とを含み、かつ、4以上7未満のpH値を有する可逆熱変色性水性インキ組成物を内蔵し、コバルトを結合材として含む超硬合金からなるボールをペン先に備える、ボールペンまたはボールペンレフィルは、優れた特性を示すものである。
【実施例
【0176】
以下、実施例により、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0177】
なお、マイクロカプセル顔料の平均粒子径は、コールター法(電気的検知帯法)による測定装置を用いて計測した数値を基にしてキャリブレーションを行った前記レーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置(装置名:LA-300、株式会社堀場製作所製)用いて測定した、体積基準による平均粒子径(メジアン径)である。
【0178】
<調製例1:マイクロカプセル顔料MC1の調製>
可逆熱変色性組成物の調製
電子供与性呈色性有機化合物(成分(a))として2-(2-クロロアニリノ)-6-ジ-n-ブチルアミノフルオラン4.5部、電子受容性化合物(成分(b))として1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-デカン4.5部、および2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン7.5部、反応媒体(成分(c))としてカプリン酸4-ベンジルオキシフェニルエチル(デカン酸4-ベンジルオキシフェニルエチル)50.0部からなる、可逆熱変色性組成物を内包した可逆熱変色性マイクロカプセル顔料懸濁液を得た。前記懸濁液を遠心分離して可逆熱変色性マイクロカプセル顔料を単離した。なお、前記マイクロカプセル顔料の平均粒子径は2.5μmであり、t:-20℃、t:-9℃、t:40℃、t:57℃、△H63℃のヒステリシス特性を有する挙動を示し、黒色から無色、無色から黒色へ可逆的に色変化した。
【0179】
<調製例2:マイクロカプセル顔料MC2の調製>
電子供与性呈色性有機化合物(成分(a))として3-(4-ジエチルアミノ-2-ヘキシルオキシフェニル)-3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-4-アザフタリド2.0部、電子受容性化合物(成分(b))として2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン8.0部、反応媒体(成分(c))としてカプリン酸-4-ベンジルオキシフェニルエチル50.0質量部からなる、感温変色性色彩記憶組成物を内包した可逆熱変色性マイクロカプセル顔料懸濁液を得た。前記懸濁液を遠心分離して可逆熱変色性マイクロカプセル顔料を単離した。前記マイクロカプセル顔料の平均粒子径は2.3μmであり、t:-14℃、t:-6℃、t:48℃、t:60℃、ΔH64℃のヒステリシス特性を有する挙動を示し、青色から無色、無色から青色へ可逆的に色変化した。
【0180】
<実施例1>
下記の各成分を配合し、混合してインキ組成物を得た。
・可逆熱変色性マイクロカプセル(MC1) 18.0質量%
・N-ビニル-2-ピロリドンの重合体(重合度2~20)(P1) 5.0質量%
・グリセリン(G) 5.0質量%
・増粘剤(V1) 0.2質量%
(商品名:レオザン、三晶株式会社製)
・多糖(D) 2.0質量%
(商品名:サンデック30 三和澱粉工業株式会社製)
・界面活性剤(S) 0.5質量%
(第一工業製薬株式会社製、商品名:プライサーフAL)
・pH調整剤(B) 0.5質量%
(トリエタノールアミン)
・防腐剤(AS) 0.2質量%
(商品名:プロキセルXL-2(S)、ロンザジャパン株式会社製)
・水(イオン交換水) 残余
【0181】
得られたインキ組成物の、20℃におけるpHは8.0、20℃で測定した粘度は、回転数3.84sec-1においては、780mPa・s、回転数384sec-1においては35.0mPa・s、20℃における表面張力は37.0mN/mであった。
【0182】
<実施例2~12、比較例1~8>
インキ組成物を表1に表される組成に変更した以外は実施例1と同様にして実施例2~12および比較例1~8のインキ組成物を得た。
【0183】
<水性ボールペンレフィルの作成>
まず、調製した各例のインキ組成物を株式会社パイロットコーポレーション製ボールペンチップ(商品名:フリクションボール05、ボール径0.5mm、クリアランス43μm)がポリプロピレン製パイプの一端に嵌着されたインキ収容管に充填し、更に、インキ逆流防止体を前記インキ後端面に密着させて充填し、ボールペンレフィルを得た。
【0184】
これらのボールペンレフィルについて、100mあたりのインキ消費量を調べた。なお実施例1(ボール径0.5mm)のインキ組成物を収容したボールペンレフィルのインキ消費量は280mgであった。実施例2~9、11~12および比較例1~7(すべてボール径0.5mm)についても同等であった。また、実施例10(ボール系0.5mm)の水性ボールペンレフィルでは、インキ消費量は230mgであった。また、比較例8のインキ組成物を収容したボールペンレフィル(ボール径0.5mm)の100mあたりのインキ消費量は160mgであった。
【0185】
さらに、これら実施例11および12で用いたインキ組成物については、別のボールペンレフィルに充填した場合についても、インキ消費量を調べた。具体的には、前記の第1の実施形態に、ボール径が0.4mmまたは0.5mmのボールを組み合わせたボールペンレフィルを準備し、それにインキ組成物を充填した。実施例11および12のインキ組成物をボール径が0.4mmのボールペンレフィルに組み合わせた場合(実施例11Aおよび12A)のインキ消費量は、いずれも220mgであり、0.5mmのボールペンレフィルに組み合わせた場合(実施例11Bおよび12B)のインキ消費量は、いずれも300mgであった。
【0186】
<評価>
各レフィルを50℃で30日静置した後、初期筆跡濃度およびドライアップ耐性の評価を行った。具体的には、ペン先を紙面に接触させながら、ペン先を連続的に丸を描くように移動させ、筆跡を形成させた。このとき、書き始め部分の筆跡濃度を目視で確認して初期濃度を下記の基準で評価した。
A: 書き始め部分で十分な濃度が確認できる
B: 書き始め部分の濃度が少し低い
C: 書き始め部分で目視確認がほとんどできない
【0187】
また、ドライアップ耐性は、筆跡が形成されるまでの丸の数をカウントして、下記の基準で評価した。
A: 1丸以内のカスレ
B: 3丸以内のカスレ
C: 6丸以内のカスレ
D: 12丸以内のカスレ
E: 書けない
ここで、DおよびEは実用上、利用不可能なレベルである。
【0188】
一般的にレフィルを長期間静置すると、ペン先が乾燥して固化などがおこり、筆記開始時にインキ組成物が正常に吐出されず、筆跡にカスレなどが生じることがある。この筆記開始時のカスレが少ないほど優れたドライアップ耐性を有するということができる。
【0189】
得られた結果は表1に示すとおりであった。
【0190】
【表1】
表中:
MC1: マイクロカプセル顔料MC1
MC2: マイクロカプセル顔料MC2
PIG1: 酸化チタン(商品名:CR-85、石原産業株式会社製、平均粒子径0.25μm)
P1: N-ビニル-2-ピロリドンの重合体(重合度2~20)
P2: ε-カプロラクタム
V1: サクシノグリカン(商品名:レオザン、三晶株式会社製)
V2: キサンタンガム(商品名:ケルザン、三晶株式会社製)
D: デキストリン(8糖以上の澱粉糖化物を94%含む糖混合物、商品名:サンデック30、三和澱粉工業株式会社製)
S: リン酸エステル系界面活性剤(商品名:プライサーフAL、第一工業製薬株式会社製)
B: トリエタノールアミン
AS: 商品名:プロキセルXL-2(S)、ロンザジャパン株式会社製
【0191】
なお、実施例11および12のインキ組成物を、前記の第1の実施態様によるボールペンレフィルに充填した場合の諸性能についても同様の評価を行った。実施例11Aおよび11Bは、実施例11と、実施例12Aおよび12Bは実施例12と、それぞれ同等の評価結果であった。
【0192】
図8は、ドライアップ性能評価における筆跡の一例を示す図である。図8(A)は、実施例1のインキ組成物を用いた場合の耐ドライアップ性評価後の筆跡の写真であり、図8(B)はその書き出し部分(図8(A)の左上部分)の拡大図である。図9(A)は、比較例1のインキ組成物を用いた場合の耐ドライアップ性評価後の筆跡の写真であり、図9(B)はその書き出し部分(図9(A)の左上部分)の拡大図である。
【0193】
<実施例13>
下記の各成分を配合し、混合してインキ組成物を得た。
・可逆熱変色性マイクロカプセル(MC2) 10.0質量%
・光輝性顔料1 1.0質量%
(尾池イメージング株式会社製、エルジーneo SILVER#325)
・光輝性顔料2 4.0質量%
(メルク社製、イリオジン103)
・N-ビニル-2-ピロリドンの重合体(重合度2~20)(P1) 5.0質量%
・グリセリン(G) 5.0質量%
・尿素 1.0質量%
・増粘剤(V1) 0.2質量%
(商品名:レオザン、三晶株式会社製)
・多糖(D) 2.0質量%
(商品名:サンデック30 三和澱粉工業株式会社製)
・界面活性剤(S) 0.5質量%
(第一工業製薬株式会社製、商品名:プライサーフAL)
・pH調整剤(B) 0.2質量%
(トリエタノールアミン)
・防腐剤(AS) 0.2質量%
(商品名:プロキセルXL-2(S)、ロンザジャパン株式会社製)
・水(イオン交換水) 残余
【0194】
<比較例9>
実施例13よりN-ビニル-2-ピロリドンの重合体(重合度2~20)(P1)およびグリセリン(G)を除き、水(イオン交換水)を補填した以外は同様にインキを作成した。
【0195】
実施例13及び比較例9については、調製した各インキ組成物を株式会社パイロットコーポレーション製ボールペンチップ(商品名:フリクションボール07、ボール径0.7mm、クリアランス46μm)がポリプロピレン製パイプの一端に嵌着されたインキ収容管に充填し、更に、インキ逆流防止体を前記インキ後端面に密着させて充填し、ボールペンレフィルを得た。
なお実施例13のインキ組成物を収容したボールペンレフィルの100mあたりのインキ消費量は340mgであった。
【0196】
<評価>
実施例13および比較例9の各レフィルを50℃で15日静置した後、実施例1と相溶の方法で、初期筆跡濃度およびドライアップ耐性の評価を行った。実施例13においては、初期濃度およびドライアップ耐性がA評価であることに対し、比較例9は初期濃度がA評価であるものの、ドライアップ耐性がD評価であり、実施例13のインキ組成物はドライアップ耐性が優れていることが確認された。
【0197】
(参考例1)
(可逆熱変色性マイクロカプセル顔料の調製:マイクロカプセル顔料MCA)
(a)成分として
2-(2-クロロアニリノ)-6-ジ-n-ブチルアミノフルオラン 4.5部、
(b)成分として
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-デカン 4.5部、
2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン 7.5部、
(c)成分として
カプリン酸4-ベンジルオキシフェニルエチル 50.0部
からなる可逆熱変色性組成物を内包したマイクロカプセル顔料(t:-20℃、t:-9℃、t:40℃、t:57℃、ΔH:63℃、平均粒子径:2.5μm、黒色から無色、無色から黒色へ色変化する)
【0198】
(水性インキ組成物の調製)
上記可逆熱変色性マイクロカプセル顔料、下記原材料および配合量にて、室温で1時間攪拌混合することにより、水性インキ組成物を得た。得られた水性インキ組成物のpH値を、IM-40S型pHメーター(東亜ディーケーケー株式会社製)を用いて測定したところ、20℃において5.7であった。
また、水性インキ組成物の粘度をE型回転粘度計(商品名;DV-II粘度計、ブルックフィールド社製、ローター:コーンローター CPE42)により測定したところ、20℃において、回転速度3.84sec-1における粘度は780mPa・sであり、回転速度384sec-1における粘度は35.0mPa・sであった。
【0199】
また、水性インキ組成物の表面張力は、表面張力計測器(20℃環境下、垂直平板法、協和界面科学株式会社製)により白金プレートを用いて測定したところ、37.0mN/mであった。
・可逆熱変色性マイクロカプセル顔料 (マイクロカプセル顔料MCA) 16質量%
・増粘剤 (サクシノグリカン、商品名:レオザン、三晶株式会社製) 0.3質量%
・糖 (デキストリン、商品名:サンデック30、三和澱粉工業株式会社製) 1質量%
・リン酸エステル系界面活性剤 (ポリオキシエチレンアリールエーテルリン酸、商品名;プライサーフAL、第一工業製薬株式会社製) 0.5質量%
・トリエタノールアミン 0.2質量%
・リン酸 0.2質量%
・防腐剤 (ベンゾイソチアゾリン-3-オン、商品名:プロキセルXL-2(S)、ロンザジャパン株式会社製)0.2質量%
・水 81.6質量%
【0200】
(参考例2~10、R1~R6)
参考例1に対して、配合する成分の種類や添加量を表2に示したとおりに変更して、参考例2~10、R1~R6のインキ組成物を得た。
上記例で使用した材料の詳細は以下の通りである。
・顔料(1) [可逆熱変色性マイクロカプセル顔料(前記マイクロカプセル顔料MCA)]
・顔料(2) [酸化チタン(商品名:CR-85、石原産業株式会社製、平均粒子径0.25μm)]
・増粘剤 (サクシノグリカン、商品名:レオザン、三晶株式会社製)
・糖 (デキストリン、商品名:サンデック30、8糖以上の澱粉糖化物を94%含む糖混合物、三和澱粉工業株式会社製)
・リン酸エステル系界面活性剤(1) (ポリオキシエチレンアリールエーテルリン酸、商品名;プライサーフAL、第一工業製薬株式会社製)
・リン酸エステル系界面活性剤(2) (ポリオキシエチレンアリールエーテルリン酸、商品名:DispersogenLFH、クラリアントジャパン株式会社製)
・リン酸エステル系界面活性剤(3) (ポリオキシエチレントリデシルエーテルリン酸、商品名:プライサーフA212C、第一工業製薬株式会社製)
・pH調整剤(1) トリエタノールアミン
・pH調整剤(2) リン酸
・防腐剤 (ベンゾイソチアゾリン-3-オン、商品名:プロキセルXL-2(S)、ロンザジャパン株式会社製)
・水溶性有機溶剤 (グリセリン)
・水
【0201】
調製した水性インキ組成物について、下記の通り、評価を行った。得られた結果は表2に記載したとおりであった。
評価試験には、前記第1の実施形態のボールペンを作製し、用いた。なお、前記ボールペンのボール径は、0.4mmであり、ボールペンに内蔵したインキ量は、0.9gであった。
【0202】
また、表中、ボールに含まれるコバルトは、電子顕微鏡(製品名:Miniscope TM-1000、株式会社日立ハイテクノロジーズ製)を用いたEDX分析(倍率1000倍による面分析)で検出した。前記分析の条件は以下の通りである。
装置: SEM :Miniscope TM-1000(株式会社日立テクノロジーズ製)
EDX :SwiftED-TM(英国Oxford社製)
電子銃 :Wヘアピンフィラメント型熱電子銃
加速電圧:15kV
検出器 :シリコンドリフト検出器(EDX)
測定時間:100秒
【0203】
(筆跡のカスレ、トギレの評価1)
前記ボールペンを50℃、60日間放置した後、温度20℃、筆記荷重100g、筆記角度70°、および筆記速度4m/分の筆記条件下、試験紙に丸状の筆跡を10m連続筆記し、筆跡のカスレ、トギレの有無を目視で確認した。なお、前記試験紙にはJIS P3201筆記用紙Aを用いた。
A:カスレ、トギレは確認されない。
C:カスレ、トギレが発生し、筆跡の視認性が悪い。実用上、問題がある。
【0204】
(筆跡のカスレ、トギレの評価2)
前記、筆跡のカスレ、トギレの評価1で用いたボールペンを、以下の1~2の手順で冷却し、その後試験紙に丸状の筆跡を形成する、10mの連続筆記を行った。その際の筆跡のカスレ、トギレを目視により観察した。なお、筆記条件、試験紙は、前記筆跡のカスレ、トギレの評価1と同条件とした。
1.ボールペンを-20℃下に横置きで24時間放置しインキを凍結させる。
2.室温で24時間放置し、インキを解凍する。
A:カスレ、トギレは確認されない。
C:カスレ、トギレが発生し、筆跡の視認性が悪い。実用上、問題がある。
【0205】
(ボール表面の潤滑性の評価)
前記、筆跡のカスレ、トギレの評価2に使用したボールペンを用いて、インキを全て消費するまで連続して筆記可能か否かを確認した。
A;インキを全て消費するまで、連続的に筆記を継続することができる。
B:インキを全て消費するまで、連続的に筆記を継続することができるが、インキを全て消費する直前に、筆跡にわずかなカスレ、トギレが発生した。実用上は問題なし。
C:インキを全て消費する前にボールが十分に回転しなくなり、筆記が継続不能になった。
【0206】
試験結果を以下の表2に記す。
【表2】
【符号の説明】
【0207】
加熱消色型のマイクロカプセル顔料の完全発色温度
加熱消色型のマイクロカプセル顔料の発色開始温度
加熱消色型のマイクロカプセル顔料の消色開始温度
加熱消色型のマイクロカプセル顔料の完全消色温度
ΔH ヒステリシス幅
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9