(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-21
(45)【発行日】2024-01-04
(54)【発明の名称】不揮発性フラッシュメモリデバイスにおいて使用される改善されたチャージポンプ
(51)【国際特許分類】
G11C 5/14 20060101AFI20231222BHJP
H02M 3/07 20060101ALI20231222BHJP
G11C 16/30 20060101ALI20231222BHJP
【FI】
G11C5/14 400
H02M3/07
G11C16/30 100
(21)【出願番号】P 2021520984
(86)(22)【出願日】2019-07-25
(86)【国際出願番号】 US2019043468
(87)【国際公開番号】W WO2020081139
(87)【国際公開日】2020-04-23
【審査請求日】2022-04-21
(32)【優先日】2018-10-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-12-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】500147506
【氏名又は名称】シリコン ストーリッジ テクノロージー インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】SILICON STORAGE TECHNOLOGY, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】110000626
【氏名又は名称】弁理士法人英知国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】トラン、ヒュー、バン
(72)【発明者】
【氏名】リ、アン
(72)【発明者】
【氏名】ブー、サン
(72)【発明者】
【氏名】ニュエン、カ
(72)【発明者】
【氏名】パム、ヒエン
(72)【発明者】
【氏名】ホン、スタンレー
(72)【発明者】
【氏名】トリン、ステファン、ティー.
【審査官】後藤 彰
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第05982223(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0248386(US,A1)
【文献】米国特許第06914791(US,B1)
【文献】特開2000-123587(JP,A)
【文献】特開2000-173288(JP,A)
【文献】国際公開第2004/047274(WO,A1)
【文献】特開2000-324805(JP,A)
【文献】特開2005-339658(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G11C 16/30
G11C 5/14
H02M 3/07
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力電圧を受け取り、出力電圧を生成するためのチャージポンプであって、前記チャージポンプは、
第1のタイプのN個のブースト段であって、前記N個のブースト段のそれぞれは、
前記ブースト段のための入力ノードと、
前記ブースト段のための出力ノードと、
第1のクロック信号を受け取るための入力端子と、前記入力ノードに結合された出力端子とを含む第1のコンデンサと、
第2のクロック信号を受け取るための入力端子と、出力端子とを含む第2のコンデンサと、
第1の導電型のトランジスタを含むパスゲートであって、前記トランジスタは、前記入力ノードに結合された第1の端子と、前記出力ノードに結合された第2の端子と、前記第2のコンデンサの前記出力端子に結合されたゲートとを含む、パスゲートと、
前記第1の導電型のトランジスタを含むブーストゲートであって、前記トランジスタは、前記入力ノードと前記出力ノードのうちの一方に結合された第1の端子と、前記第2のコンデンサの前記出力端子に結合された第2の端子と、前記入力ノードと前記出力ノードのうちの他方に結合されたゲートとを含む、ブーストゲートと、を含み、
前記ブースト段のための前記入力ノードは、前記N個のブースト段内の別のブースト段の出力ノードに又は前記入力電圧を提供するソースに結合され、
前記ブースト段のための前記出力ノードは、前記N個のブースト段内の別のブースト段の入力ノードに又はM個のブースト段内のブースト段に結合される、第1のタイプのN個のブースト段と、
第2のタイプのM個のブースト段であって、前記M個のブースト段のそれぞれは、
前記ブースト段のための入力ノードと、
前記ブースト段のための出力ノードと、
第1のクロック信号を受け取るための入力端子と、前記入力ノードに結合された出力端子とを含む第1のコンデンサと、
第2のクロック信号を受け取るための入力端子と、出力端子とを含む第2のコンデンサと、
第2の導電型のトランジスタを含むパスゲートであって、前記トランジスタは、前記入力ノードに結合された第1の端子と、前記出力ノードに結合された第2の端子と、前記第2のコンデンサの前記出力端子に結合されたゲートとを含む、パスゲートと、
第2の導電型のトランジスタを含むブーストゲートであって、前記トランジスタは、前記入力ノードと前記出力ノードのうちの前記他方に結合された第1の端子と、前記第2のコンデンサの前記出力端子に結合された第2の端子と、前記入力ノードと前記出力ノードのうちの前記一方に結合されたゲートとを含む、ブーストゲートと、を含み、
前記ブースト段のための前記入力ノードは、前記M個のブースト段内の別のブースト段の出力ノードに又は前記N個のブースト段内のブースト段の出力ノードに結合され、
前記ブースト段のための前記出力ノードは、前記M個のブースト段内の別のブースト段の入力ノードに結合されるか、又は前記出力電圧を提供する、第2のタイプのM個のブースト段と、を含む、チャージポンプ。
【請求項2】
前記N個のブースト段のそれぞれ及び前記M個のブースト段のそれぞれは、
プリチャージ電圧ソースに結合された第1の端子と、前記第1の端子に結合されたゲートと、前記出力ノードに結合された第2の端子とを含むプリチャージゲートを更に含む、請求項
1に記載のチャージポンプ。
【請求項3】
前記第1の導電型はpチャネルであり、前記第2の導電型はnチャネルである、請求項
1に記載のチャージポンプ。
【請求項4】
前記第1の導電型はnチャネルであり、前記第2の導電型はpチャネルである、請求項
1に記載のチャージポンプ。
【請求項5】
前記第1の導電型はpチャネルであり、前記第2の導電型はnチャネルである、請求項
2に記載のチャージポンプ。
【請求項6】
前記第1の導電型はnチャネルであり、前記第2の導電型はpチャネルである、請求項
2に記載のチャージポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(優先権の主張)
本出願は、2018年10月16日に出願された「Improved Charge Pump for Use in Non-Volatile Flash Memory Devices」と題する米国特許仮出願第62/746,408号、及び2018年12月13日に出願された「Improved Charge Pump for Use in Non-volatile Flash Memory Devices」と題する米国特許出願第16/219,424号に対する優先権を主張する。
【0002】
(発明の分野)
不揮発性フラッシュメモリデバイスにおいて消去動作及びプログラム動作を実行するために必要な高電圧を生成するための改善されたチャージポンプ設計の多数の実施形態が開示される。これらの実施形態では、チャージポンプ内の各ブースト段は、電圧が最終ブースト段で実際に低下する先行技術のチャージポンプの欠点を克服するように修正される。
【背景技術】
【0003】
デジタル不揮発性メモリは、周知である。例えば、米国特許第5,029,130号(「’130号特許」)は、フラッシュメモリセルの一種であるスプリットゲート不揮発性メモリセルのアレイを開示し、これは、あらゆる目的のために参照により本明細書に組み込まれる。このようなメモリセル110を
図1に示す。各メモリセル110は、半導体基板12内に形成されたソース領域14及びドレイン領域16を含み、これらの領域の間にチャネル領域18が存在する。浮遊ゲート20は、チャネル領域18の第1の部分の上方に形成され、かつチャネル領域18の第1の部分から絶縁されており(かつチャネル領域18の第1の部分の導電性を制御する)、かつソース領域14の一部分の上方にある。ワード線端子22(典型的には、ワード線に結合される)は、チャネル領域18の第2の部分の上方に配設され、かつチャネル領域18の第2の部分から絶縁されている(かつチャネル領域18の第2の部分の導電性を制御する)第1の部分と、浮遊ゲート20の上方で浮遊ゲート20に向かって延在する第2の部分と、を有する。浮遊ゲート20及びワード線端子22は、ゲート酸化物によって基板12から絶縁されている。ビット線24はドレイン領域16に結合される。
【0004】
メモリセル110は、ワード線端子22に高い正電圧を印加することによって消去され(ここで電子は、浮遊ゲートから除去される)、それにより、ファウラーノルドハイムトンネリングによって浮遊ゲート20からワード線端子22まで中間絶縁体を通って浮遊ゲート20の電子をトンネリングさせる。
【0005】
メモリセル110は、ワード線端子22に正電圧、及びソース領域14に正電圧を印加することによってプログラムされる(電子が浮遊ゲートに印加される)。電子は、ソース領域14からドレイン領域16に向かって流れる。電子は、ワード線端子22と浮遊ゲート20との間の間隙に達すると、加速し発熱する。熱せられた電子の一部が、浮遊ゲート20からの静電引力に起因して、浮遊ゲート20にゲート酸化物を介して注入される。
【0006】
メモリセル110は、ドレイン領域16及びワード線端子22に(ワード線端子の下方のチャネル領域18の部分をオンにする)正の読み出し電圧を印加することによって、読み出される。浮遊ゲート20が正に帯電する(すなわち、電子を消去する)と、浮遊ゲート20の下方のチャネル領域18の部分も同様にオンになり、電流はチャネル領域18を流れ、これは、消去された状態つまり「1」の状態として検知される。浮遊ゲート20が負に帯電する(すなわち、電子でプログラムされる)場合、次に浮遊ゲート20下のチャネル領域の部分は、ほとんど又は完全にオフになり、電流は、チャネル領域18を流れず(又はほとんど流れない)、プログラムされた状態又は「0」の状態として検出される。
【0007】
表1は、読み出し動作、消去動作、及びプログラム動作を実行するためにメモリセル110の端子に印加され得る典型的な電圧範囲を示す。
表1:
図1のフラッシュメモリセル110の動作
【表1】
【0008】
他の種類のフラッシュメモリセルとして、他のスプリットゲートメモリセル構成も知られている。例えば、
図2は、ソース領域14と、ドレイン領域16と、チャネル領域18の第1の部分の上方にある浮遊ゲート20と、チャネル領域18の第2の部分の上方にある選択ゲート22(典型的には、ワード線、WL、に結合される)と、浮遊ゲート20の上方にある制御ゲート28と、ソース領域14の上方にある消去ゲート30と、を含む4ゲートメモリセル210を示す。この構成は、米国特許第6,747,310号に記載され、この米国特許は、あらゆる目的のため参照により本明細書に組み込まれる。ここで、全てのゲートは、浮遊ゲート20を除いて、非浮遊ゲートであり、それらは電圧ソースに電気的に接続される又は接続可能であることを意味する。プログラミングは、熱せられた電子がチャネル領域18から浮遊ゲート20にその電子自体を注入することによって実行される。消去は、電子が浮遊ゲート20から消去ゲート30へトンネリングすることによって実行される。
【0009】
表2は、読み出し動作、消去動作、及びプログラム動作を実行するためにメモリセル310の端子に印加され得る典型的な電圧範囲を示す。
表2:
図2のフラッシュメモリセル210の動作
【表2】
【0010】
図3は、別の種類のフラッシュメモリセルである、3ゲートメモリセル310を示す。メモリセル310は、メモリセル310が別個の制御ゲートを有しないことを除いて、
図2のメモリセル210と同一である。消去動作(消去ゲートの使用を通して消去が起こる)及び読み出し動作は、制御ゲートバイアスが印加されないことを除いて、メモリセル210のものと同様である。プログラミング動作もまた、制御ゲートバイアスなしで行われるため、結果として、プログラム動作中は、制御ゲートバイアスの不足を補償するため、より高い電圧がソース線に印加されなければならない。
【0011】
表3は、読み出し動作、消去動作、及びプログラム動作を実行するためにメモリセル310の端子に印加され得る典型的な電圧範囲を示す。
表3:
図3のフラッシュメモリセル310の動作
【表3】
【0012】
図4は、別の種類のフラッシュメモリセルである、積層ゲートメモリセル410を示す。メモリセル410は、浮遊ゲート20がチャネル領域18全体の上方にわたって延在し、制御ゲート22(ワード線に結合される)が絶縁層(図示せず)によって分離された浮遊ゲート20の上方に延在することを除いて、
図1のメモリセル110と同様である。消去動作、プログラミング動作、及び読み出し動作は、メモリセル110について前述したものと同様の方法で動作する。
【0013】
表4は、読み出し動作、消去動作、及びプログラム動作を実行するためにメモリセル410の端子及び基板12に印加され得る典型的な電圧範囲を示す。
表4:
図4のフラッシュメモリセル410の動作
【表4】
【0014】
図5は、二次元の先行技術のフラッシュメモリシステムのための典型的な先行技術アーキテクチャを示す。ダイ500は、それぞれにデータを記憶するためのメモリアレイ501及びメモリアレイ502であって、各メモリアレイ501及び502は、メモリセルの行及び列を含み、各メモリセルは、任意追加的に、
図1にメモリセル110として、
図2にメモリセル210として、
図3にメモリセル310として、及び
図4にメモリセル410として示されるタイプのうちの1つである、メモリアレイ501及びメモリアレイ502と、ダイ500の他のコンポーネントと、典型的には、ピン(図示せず)に接続するワイヤボンド(図示せず)又はパッケージ化されたダイ500の外側からダイ500にアクセスするために使用されるパッケージバンプとの間の電気通信を可能にするためのパッド503及びパッド504と、正及び負の電圧供給をフラッシュメモリシステムに提供するために使用される高電圧回路505と、冗長性及び組み込み自己試験機能などの様々な制御機能を提供するための制御論理506と、アナログ論理507と、メモリアレイ501及びメモリアレイ502からデータをそれぞれ読み出すために使用される複数の感知回路508及び509と、メモリアレイ501及びメモリアレイ502の選択された行にそれぞれアクセスして、読み出し及び書き込みを行なうために使用される、それぞれXDECと表示されている行デコーダ回路510及び行デコーダ回路511と、メモリアレイ501及びメモリアレイ502の選択された列にそれぞれアクセスして、読み出し及び書き込みを行なうために使用される、それぞれYMUXと表示されている列デコーダ512及び列デコーダ513と、プログラム動作及び消去動作のための増加した電圧をメモリアレイ501及びメモリアレイ502にそれぞれ提供するために使用されるチャージポンプ回路514及びチャージポンプ回路515と、読み出し及び書き込み(消去/プログラム)動作用にメモリアレイ501及びメモリアレイ502によって共有される、NCGと表示されている高電圧ドライバ回路516と、読み出し及び書き込み動作中にメモリアレイ501によって使用される、WSHDRHALFVと表示されている高電圧ドライバ回路517及び読み出し及び書き込み(消去/プログラム)動作中にメモリアレイ502によって使用される、WSHDRHALFVと表示されている高電圧ドライバ回路518と、メモリアレイ501及びメモリアレイ520の書き込み動作中にそれぞれプログラムされることを意図しないビット線を非選択にするために使用されるビット線禁止電圧回路519及びビット線禁止電圧回路520と、を含む。これらの機能ブロックは当業者によって理解されるものであり、
図5に示すブロックレイアウトは当該技術分野において周知である。
【0015】
上記から分かるように、フラッシュメモリセルのためのプログラム動作及び消去動作には高電圧が必要である。これらの高電圧は、典型的には、外部の電圧供給から受け取った電圧を必要なレベルに昇圧するチャージポンプ514及び515などのチャージポンプによって生成される。
【0016】
図6は、先行技術のチャージポンプ600を示す。チャージポンプ600は、入力電圧V
INを受け取り、出力電圧V
OUTを生成する。チャージポンプ600は、段601-1、...、段601-Nとラベル付けされた、N個のブースト段を含み、各ブースト段は、入力電圧を受け取り、入力電圧を特定の量だけ上回る出力電圧を生成する。各段をチャージポンプ600に追加することにより、出力電圧V
OUTを、所望の電圧を達成するように増加することができる。
【0017】
図7は、
図6の段601-1、...、601-Nに使用することができるブースト段の一例である、先行技術のブースト段700iを示す。ここで、iは1~Nの整数である。ブースト段700iは、電圧入力VINiを受け取り、電圧出力VOUTiを生成する。ブースト段700iは、コンデンサ701及び702、グローバルプリチャージゲート(トランジスタ)703、ブーストゲート(トランジスタ)704、及びパスゲート(トランジスタ)705を含む。トランジスタ703、704、及び705は、NMOSトランジスタである。コンデンサ701及び702は、NMOSトランジスタで構成され、ソース及びドレインは相互接続されている。
【0018】
グローバルプリチャージフェーズ中、プリチャージゲート703はオンであり、VOUTiを電圧VB-VTまでリチャージし、VTはNMOSトランジスタの閾値電圧であり、VBはプリチャージゲート703のための供給ドレイン電圧である。各クロックポンピングサイクルには、(ローカル)プリチャージ期間(クロックが低であるとき)及びチャージポンピング期間(クロックが低から高に遷移するとき)が存在する。プリチャージ期間中、コンデンサ701の上部プレートは、CLKPが低のときに電圧VINiである。CLKP及びCLKBは、一般に、非重複の同相クロック信号であり、典型的には、CLKPが高になり、次いでCLKBが高にかつCLKBが低になり、次いでCLKPが低になる。チャージポンピング期間中、CLKPは高になり、コンデンサ701の上部プレートの電圧は、VINi+VDDに昇圧される(VDDは、CLKPの高状態電圧と低状態電圧との電圧差である)。
【0019】
パスゲート705は、そのゲートに印加される電圧がそのソースの電圧(VOUTi)をパスゲート705の閾値電圧VTだけ上回る場合にのみ導通するので、ブースト段700iを直列方式で共に追加することの1つの固有の課題は、VINiが後続の各ブースト段で増加するにつれて、パスゲート705をオンにするためにパスゲート705のゲートに印加しなければならない電圧もまた、増加することである。パスゲート705及びブーストゲート704の閾値電圧VTは、NMOS本体効果に起因して後続の段で漸進的に高くなり、したがって、より高い電圧の段の間で効率的にポンピングすることはより難しくなる。
【0020】
プリチャージ期間中、コンデンサ702の上部プレートであるノードINGは、トランジスタ704の作用からのVINiになる(トランジスタ704のゲートのVOUTiにより、ING=VINiとなる)。次いでCLKBが高になると、すなわち、接地からVDDboostになると、ここで、VDDboostはCLKBの高電圧状態、例えば、VDDboost=約2*VDDであり、INGは、VINi+VDDboost(CLKBの高電圧)まで増加する。この時点で、パスゲート705は、VINiノードにおける電荷(これは、CLKPが前に高になっていることに起因してこのときは=前のVINi+VDDである)を出力ノードVOUTiに導通及び転送する。その時点で、VOUTiは、パスゲート705が完全に導通している場合、ほぼ現在のVINiであり、ノードINGにおける電圧(=前のVINi+VDDboost)が、この時点において>=VOUTi+VTであることを意味する。これは、次の段ではVINi+1になる。ノードINGにおける電圧(=前のVINi+VDDboost)がこの時点で<VOUTi+VTである場合、ノードVINiからノードVOUTiへの電荷転送は不完全であり、この時点でVINi<VOUTiであることを意味する。これは、例えば、低VDD供給において又は高VT値において起こる。したがって、改善は、VDDが低く、かつVTが高い状況に対して特に必要とされる。
【0021】
更に、
図6及び
図7の設計を使用する先行技術のチャージポンプは、チャージポンプの最後の段、すなわち、段601-Nにおいて欠点を有する。全ての先行する段とは異なり、N番目の段(最後の段)は、その後に段を有さず、したがって、VOUT
Nは、後続の段のコンデンサ701に接続されていない。その結果、ノードVOUTiの電圧を昇圧するのを助けるために出力に接続されるコンデンサ701が存在しないため、トランジスタ704のゲート(=VOUTN)がより低い電圧に固定されることにより、ノードINGは、より低い電圧に固定され得る。より低いING電圧は、パスゲート705を早期に遮断させ、VOUTNを、所望されるよりも低い出力電圧にする。
【0022】
これを
図8にグラフで示す。ここで、チャート800は、各段の後のVOUTPUTを示す。この例では、N=15である。N番目の段(チャージポンプの最後の段)において、所望の出力は、前の段の出力を上回る増加した電圧を表すことが分かる。その代わりに、出力は、実際には前の段の出力よりも下に減少する。これは、先行技術のチャージポンプ600及び先行技術のブースト段700の固有の問題である。
【0023】
先行技術の設計の最後の段におけるパスゲートトランジスタの望ましくない遮断及び後続の電圧散逸を排除する改善されたチャージポンプ及びブースト段設計が必要とされている。
【発明の概要】
【0024】
先行技術のチャージポンプに特有の最後のブースト段における垂下電圧の問題を排除する改善されたブースト段設計が、本明細書に開示される。これらの設計は、クロック倍増回路、ローカル自己プリチャージ回路、フィードフォワードプリチャージ回路、フィードバックワードプリチャージ回路、トランジスタ及びダイオードを含むハイブリッド回路、並びにPMOSトランジスタ、DIODEトランジスタ、及びNMOSトランジスタを含む回路のうちの1つ以上の追加を含む。
【0025】
【0026】
【0027】
【0028】
【0029】
【0030】
【0031】
【0032】
【0033】
【0034】
【0035】
【0036】
【0037】
【0038】
【0039】
【0040】
【0041】
【0042】
【図面の簡単な説明】
【0043】
【
図1】先行技術のスプリットゲートフラッシュメモリセルを示す。
【
図2】別の先行技術のスプリットゲートフラッシュメモリセルを示す。
【
図3】別の先行技術のスプリットゲートフラッシュメモリセルを示す。
【
図4】別の先行技術のスプリットゲートフラッシュメモリセルを示す。
【
図5】先行技術のフラッシュメモリデバイスのレイアウトを示す。
【
図6】N個のブースト段を含む先行技術のチャージポンプを示す。
【
図7】先行技術のチャージポンプにおけるブースト段を示す。
【
図8】
図6及び
図7の先行技術のチャージポンプの最後のブースト段に特有の問題を示すチャートを示す。
【
図10】ローカルフィードフォワードプリチャージ回路を含むブースト段を示す。
【
図11】フィードフォワードプリチャージ回路を含むブースト段を示す。
【
図12】フィードバックワードプリチャージ回路を含むブースト段を示す。
【
図13】トランジスタ及びダイオードを利用するハイブリッドブースト段の第1の実施形態を示す。
【
図14】トランジスタ及びダイオードを利用するハイブリッドブースト段の第2の実施形態を示す。
【
図15】PMOSトランジスタ及びNMOSトランジスタを含むブースト段の第1の実施形態を示す。
【
図16】PMOSトランジスタ及びNMOSトランジスタを含むブースト段の第2の実施形態を示す。
【
図17】PMOSトランジスタ及びNMOSトランジスタを含むブースト段の第3の実施形態を示す。
【
図18】第1のクロック倍増回路に結合されたN個のブースト段と、第2のクロック倍増回路に結合されたM個のブースト段とを含むチャージポンプの実施形態を示す。
【
図19】第1のタイプのN個のブースト段及び第2のタイプのM個のブースト段を含むチャージポンプの実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0044】
一実施形態では、コンデンサに提供されるクロック信号の振幅は、クロック信号の通常の動作電圧を超えて増加され、これにより、ブースト電圧の増加及びパスゲートに印加される電圧の増加が引き起こされる。
図9は、入力CLK_IN(典型的には「1」の値のVDDを有する)を受け取り、CLK_INの大きさの2倍(2*VDDなど)を有する出力CLK2X_OUTを生成する、クロック倍増回路900を示す。クロック倍増回路900は、インバータを共に形成するPMOSトランジスタ901及びNMOSトランジスタ902と、ダブラコンデンサ903と、PMOSトランジスタ904及び905と、NMOSトランジスタ906とを含む。ダブラコンデンサ903は、第1の端子と第2の端子と基板とが互いに結ばれた状態のPMOSトランジスタを含む。PMOSトランジスタ904では、第1の端子はVDDに結合され、第2の端子は基板に、並びにPMOSトランジスタ905の第1の端子及び基板に結合されている。PMOSトランジスタ905では、第1の端子及び基板は、PMOSトランジスタ904の第2の端子に結合され、第2の端子は、NMOSトランジスタ906の第1の端子に結合され、出力CLK2X_OUTを提供する。ダブラコンデンサ903の第1の端子(ゲート)への入力は、CLK_INの反転バージョンである。コンデンサ903は、CLK_INの大きさのほぼ2倍である最大電荷を達成する。例えば、CLK_INが0VとVDDとの間で振動し、PMOSトランジスタ901及び904のそれぞれへの電圧供給がVDDである場合、コンデンサ903の第2の端子(ソース/ドレイン/バルク)の電圧は、2*VDDのピークに達する。
【0045】
次に、クロック倍増回路900の動作に関する更なる詳細を提供する。CLK_INが高のとき、NMOSトランジスタ902及び906はオンになり、CLK2X_OUTは低にプルされ、それにより、PMOSトランジスタ904がオンになり、したがって、ダブラコンデンサ903の第2のプレートがVDDに設定されるが、ダブラコンデンサ903の第1のプレートは接地電位にある。CLK_INが低のとき、NMOSトランジスタ902及び906はオフになり、PMOSトランジスタ901及び905はオンになり、ダブラコンデンサ903の第1のプレートはVDDに設定され、したがって、ダブラコンデンサ903の第2のプレートは2*VDDにあり、CLK2X_OUTはコンデンサ903の電圧に等しくなる。したがって、CLK2X_OUTは、CLK_INと同じ周波数及び位相を有するが、その大きさは2倍である。
【0046】
したがって、
図7を参照すると、CLKP及び/又はCLKBの大きさを2倍にしてから、それらをコンデンサ701及び702にそれぞれ印加することができる。CLK2X_OUTの電圧は、コンデンサ701及び/又は702を介して各コンデンサの他方の側の内部ポンプノード(コンデンサ702の場合はノードING)に転送され、転送される電圧は、ダブラコンデンサ903とCLK2X_OUTを受け取るコンデンサ(コンデンサ701及び/又は702)の値との比に依存する。CLK2X_OUTをコンデンサ701に印加することは、VINiに対してより大きなブーストを引き起こし、後者は、より大きな電圧をパスゲート705のゲートに印加してそれをオンに保つ。
【0047】
他の実施形態では、完全な電荷転送のためにパスゲート705をオンに保ち、それによって、先行技術で見られるようなパスゲート705の早期遮断を防止しするために、及び/又はブースト段の入力電圧と少なくとも同じ高さの電圧レベルにブースト段の出力電圧を維持するために、回路が追加される。
【0048】
図10は、ローカルフォワードプリチャージ回路を含むブースト段1000iを示す。ブースト段1000iは、入力VINiを受け取り、出力VOUTiを生成し、チャージポンプ内のi番目のブースト段である。ブースト段1000iはコンデンサ1001及び1002を含み、これらのコンデンサは、それぞれ、その第1の端子において入力CLKP及びCLKBを受け取る。ブースト段1000iは、プリチャージゲート1003、ブーストゲート1004、パスゲート1005、及びローカルフィードフォワードプリチャージトランジスタ1006を更に含む。ここで、ローカルフィードフォワードプリチャージトランジスタ1006は、ダイオードとして構成されている。プリチャージゲート1003、ブーストゲート1004、パスゲート1005、及びローカルフィードフォワードプリチャージトランジスタ1006は、ネイティブNMOSトランジスタである。コンデンサ1001及び1002は、ネイティブNMOSトランジスタから構成される。ネイティブNMOSのVTは、ほぼ0Vである。
【0049】
代替実施形態では、トランジスタ1004は除去される。
【0050】
初期グローバルプリチャージフェーズでは、プリチャージゲート1003はオンであり、VOUTiを電圧VB-VTまでプリチャージする。ブースト段1000iは、トランジスタ1006の動作を除いて、先行技術のブースト段700iと同じ方法で動作する。ここで、トランジスタ1006は、ダイオードとして構成されており(ゲート及びドレインが互いに接続されている)、ノードINGが常に、クロックポンピングサイクルのプリチャージ期間においてVINi-VTと少なくとも同じ高さであり、チャージポンピング(転送)期間においてVINi+VDD-VT+VDDboostと少なくとも同じ高さであることを保証する(+VDDはCLKPの高状態値であり、+VDDboostはCLKBの高状態値である)。これは、パスゲート1005のゲートが、チャージポンピング期間中にVINi+VDD-VT+VDDboostと少なくとも同じ高さの電圧を常に受け取り、その結果、VOUTiがVINiよりも低くならないことを意味する。したがって、N段のチャージポンプにおけるN番目の段の出力電圧は、VINNよりも低くなることはない。これは、垂下効果を制限し、最後の段の出力電圧が最後から2番目の段の出力電圧と少なくとも同じ高さになることを保証する。更に、電圧INGは、CLKPが高になると、トランジスタ1006を介してVINiから追加のブーストを得るので(=VINi+VDD-VT+VDDboost)、VINiからVOUTiへの電荷転送は、特に低VDD及び/又は高VTにおいて、より一層効率的であり、これは先行技術に比べて実質的な改善である。
【0051】
図11は、ローカルフォワードフィーディングプリチャージ及び駆動回路を含むブースト段1100iを示す。ブースト段1100iは、入力VINiを受け取り、出力VOUTiを生成し、チャージポンプ内のi番目のブースト段である。ブースト段1100iはコンデンサ1101及び1102を含み、これらのコンデンサは、そのそれぞれの第1の端子において、入力CLKP及びCLKBを受け取る。ブースト段1100iは、グローバルプリチャージゲート1103、ブーストゲート1104、並びにトランジスタ1105、1106、及び1107を更に含む。ブースト段1100iは、フォワード駆動ネイティブNMOSトランジスタ1107の追加を除いて、ブースト段1000iと同様である。ここで、トランジスタ1107は、パスゲート1105と並列にダイオードとして構成されている。
【0052】
初期グローバルプリチャージフェーズでは、プリチャージゲート1103はオンであり、VOUTiを電圧VBまでプリチャージする。ローカルフィードフォワードプリチャージトランジスタ1106は、ダイオードとして構成されており、ノードINGが常に、クロックポンピングサイクルのプリチャージ期間中にVINi-VTと少なくとも同じ高さであり、電荷転送期間中にVINi+VDD-VT+VDDboostと少なくとも同じ高さであることを保証する。これは、パスゲート1105のゲートが、VINi+VDD-VT+VDDboostと少なくとも同じ高さの電圧を常に受け取ることを意味する。加えて、トランジスタ1107もまた、トランジスタ1107がダイオードとして作用しているので、VOUTiがVINi-VTよりも低くならないことを保証する。したがって、N段のチャージポンプにおけるN番目の段の出力電圧は、N-1番目の段の出力電圧であるVINiよりも低くなることはない。これは、垂下効果を制限し、最後の段の出力電圧が最後から2番目の段の出力電圧と少なくとも同じ高さになることを保証する。これらの改善は、VINiからVOUTiへのより効率的な電荷転送をもたらす。代替実施形態は、ブースト1100iと同じであるが、トランジスタ1106を除去する。
【0053】
別の代替実施形態では、トランジスタ1104は除去される。
【0054】
図12は、フィードバックワードプリチャージ回路を含むブースト段1200iを示す。ブースト段1200iは、入力VINiを受け取り、出力VOUTiを生成し、チャージポンプ内のi番目のブースト段である。ブースト段1200iはコンデンサ1201及び1202を含み、これらのコンデンサは、それぞれ、入力CLKP及びCLKBを受け取る。ブースト段1200iは、プリチャージゲート1203、ブーストゲート1004、及びパスゲート1205を更に含む。ブースト段1200iは、ローカルフィードバックプリチャージトランジスタ1206を更に含み、ローカルフィードバックプリチャージトランジスタ1206は、チャージポンプ内の次の隣接する段から、又は最後のブースト段の場合にはING_PREとラベル付けされた別個の電圧ソースからプリチャージされるダイオードとして構成されている。
【0055】
初期グローバルプリチャージフェーズでは、プリチャージゲート1203はオンであり、VOUTiを電圧VBまでプリチャージし、またプリチャージゲート1206はオンであり、ノードINGをING_PRE-VTまでプリチャージする。ブースト段1200iは、プリチャージトランジスタ1206を除いて、先行技術のブースト段700iと同じ方法で動作する。これは、パスゲート1205のゲートが、ING_PRE-VTと少なくとも同じ高さの電圧を常に受け取ることを保証する。VINiとほぼ同じ又はそれよりも高くなるようにING_PREを選択することにより、VOUTiは、VINiよりも低くならないと保証することができる。したがって、N段のチャージポンプにおけるN番目の段の出力電圧は、N-1番目の段の出力であるVINNよりも低くなることはない。これは、垂下効果を制限し、最後の段の出力電圧が最後から2番目の段の出力電圧と少なくとも同じ高さになることを保証する。更に、トランジスタ1206の作用は、INGを昇圧するのを助け、チャージポンピングをより効果的に向上させる。
【0056】
代替実施形態では、トランジスタ1204は除去される。
【0057】
代替実施形態では、トランジスタ1206は、ダイオード(ショットキーダイオード又はp/n接合ダイオードなど)で置き換えられる。ショットキーダイオードの順電圧(VD)は、典型的には約0.2~0.4Vであり、p/n接合ダイオードの順電圧(VD)は、典型的には0.4~0.6Vである。
【0058】
別の代替実施形態では、トランジスタ1206は、ダイオード(ショットキーダイオード又はp/n接合ダイオードなど)で置き換えられ、トランジスタ1204は除去される。
【0059】
図13は、トランジスタ及びダイオードを含むハイブリッド回路であるブースト段1300iを示す。ブースト段1300iは、入力VINiを受け取り、出力VOUTiを生成し、チャージポンプ内のi番目のブースト段である。ブースト段1300iはコンデンサ1301及び1302を含み、これらのコンデンサは、それぞれ、入力CLKP及びCLKBを受け取る。ブースト段1300iは、プリチャージゲート1303、ブーストゲート1304、パスゲート1305、及びフィードフォワード駆動ダイオード1306を更に含む。フィードフォワード駆動ダイオード1306は、ショットキーダイオード又はp/n接合ダイオードを任意追加的に含む。ブースト段1300iは、トランジスタ1107がダイオード1306で置き換えられていることを除いて、ブースト段1100iと同じである。
【0060】
初期グローバルプリチャージフェーズでは、プリチャージゲート1303はオンであり、VOUTiを電圧VBまでプリチャージする。ダイオード1306は、VOUTiがVINi-VTよりも低くならないことを保証する。したがって、N段のチャージポンプにおけるN番目の段の出力電圧は、N-1番目の段の出力であるVINi-VTよりも低くなることはない。これは、垂下効果を制限し、最後の段の出力電圧が最後から2番目の段の出力電圧と少なくとも同じ高さになることを保証する。フォワード駆動ダイオード1306は、特にトランジスタ1305の閾値電圧が高い場合に、チャージポンピングをより効果的に向上させる。
【0061】
図14は、トランジスタ及びダイオードを含むハイブリッド回路であるブースト段1400iを示す。ブースト段1400iは、入力VINiを受け取り、出力VOUTiを生成し、チャージポンプ内のi番目のブースト段である。ブースト段1400iはコンデンサ1401及び1402を含み、これらのコンデンサは、それぞれ、入力CLKP及びCLKBを受け取る。ブースト段1400iは、プリチャージゲート1403、ブーストゲート1404、パスゲート1405、及びローカルプリチャージダイオード1406を更に含む。ローカルプリチャージダイオード1406は、ショットキーダイオード又はp/n接合ダイオードを任意追加的に含む。ブースト段1400iは、トランジスタ1106がダイオード1406で置き換えられていることを除いて、ブースト段1100iと同様である。フォワードプリチャージダイオード1406は、ノードINGをより高い電圧までプリチャージするのを助けるので、チャージポンピングをより効果的に向上させる。
【0062】
初期グローバルプリチャージフェーズでは、プリチャージゲート1403はオンであり、VOUTiを電圧VBまでプリチャージする。ここで、ローカルプリチャージダイオード1406は、ノードINGが常に、VINi-VD(ダイオード順電圧)と少なくとも同じ高さであることを保証する。これは、パスゲート1405のゲートがVINi-VDと少なくとも同じ高さの電圧を常に受け取ること、及びVOUTiがVINiよりも低くならないことを意味する。したがって、N段のチャージポンプにおけるN番目の段の出力電圧は、VINNよりも低くなることはない。これは、垂下効果を制限する。
【0063】
代替実施形態では、トランジスタ1404はブースト段1400iから除去される。
【0064】
図15は、PMOSトランジスタ及びNMOSトランジスタを利用するブースト段1500iを示す。ブースト段1500iは、入力VINiを受け取り、出力VOUTiを生成し、チャージポンプ内のi番目のブースト段である。ブースト段1500iはコンデンサ1501及び1502を含み、これらのコンデンサは、それぞれ、入力CLKP及びCLKBを受け取る。ブースト段1500iは、プリチャージゲート1503、ブーストゲート1504、及びパスゲート1505を更に含む。プリチャージゲート1503、コンデンサ1501及び1502は、NMOSトランジスタから構成されている。ブーストゲート1504及びパスゲート1505は、そのソースがそのバルクに接続された状態のPMOSトランジスタである。
【0065】
初期グローバルプリチャージフェーズでは、プリチャージゲート1503はオンであり、VOUTiを電圧VBまでプリチャージする。ブースト段1500iは、パスゲート1505及びブーストゲート1504に対するPMOSトランジスタの使用が、VOUTiがVINiよりも低くならないことを確実にするのを助けることを除いて、先行技術のブースト段700iと同じ方法で動作する。これは、PMOSトランジスタの閾値電圧VTが典型的には約0.6Vであり、かつPMOSトランジスタが本体効果を有さず(ソース-バルク間の電圧が0Vである)、かつPMOSのためのVTが一般にVDDよりもはるかに低いからである。したがって、最後の段では、VOUTNは、パスゲート1505により、前の段の出力電圧であるVINiよりも低くならない。これは、垂下効果を制限し、最後の段の出力電圧が最後から2番目の段の出力電圧と少なくとも同じ高さになることを保証する。
【0066】
代替実施形態では、
図15又は
図16のブースト段1500i又は1600iは、
図10~
図14を参照して先に論じたローカルフィードフォワードプリチャージデバイス又はフィードバックワードプリチャージデバイス(例えば、ショットキーダイオード、p/n接合ダイオード、又はダイオード接続トランジスタ)の追加と共に使用される。
【0067】
図16は、PMOSトランジスタ及びNMOSトランジスタを利用するブースト段1600iを示す。ブースト段1600iは、入力VINiを受け取り、出力VOUTiを生成し、チャージポンプ内のi番目のブースト段である。ブースト段1600iはコンデンサ1601及び1602を含み、これらのコンデンサは、それぞれ、入力CLKP及びCLKBを受け取る。ブースト段1600iは、プリチャージゲート1603、ブーストゲート1604、及びパスゲート1605を更に含む。トランジスタ1603、コンデンサ1601及び1602は、ネイティブNMOSトランジスタを構成する。トランジスタ1604及び1605はPMOSトランジスタであり、それらのバルクは、任意の所与の時間においてVINi又はVOUTiからの最高電圧に切り替えられる。ブースト段1600iは、図示のように構成されたバルクスイッチングPMOSトランジスタ1606及び1607を更に含む。
【0068】
初期グローバルプリチャージフェーズでは、プリチャージゲート1603はオンであり、VOUTiを電圧VB-VTまでプリチャージする。パスゲート1605及びブーストゲート1604に対するPMOSトランジスタの使用は、VOUTiがVINiよりも低くならないことを確実にするのを助ける。また、クロス結合されたPMOSトランジスタ1606及び1607の使用は、PMOSトランジスタ1604及び1605のバルクがVINi又はVOUTiよりも低くならないことを保証する。したがって、最後の段では、VOUTNは、前の段の出力電圧であるVINNよりも低くならない。これは、垂下効果を制限し、最後の段の出力電圧が最後から2番目の段の出力電圧と少なくとも同じ高さになることを保証する。本体効果のない低VTを有するPMOSトランジスタの使用は、チャージポンプの効率を向上させる。
【0069】
図17は、PMOSトランジスタ及びNMOSトランジスタを利用するブースト段1700iを示す。ブースト段1700iは、入力VINiを受け取り、出力VOUTiを生成し、チャージポンプ内のi番目のブースト段である。ブースト段1700iはコンデンサ1701及び1702を含み、これらのコンデンサは、それぞれ、入力CLKP及びCLKBを受け取る。ブースト段1700iは、プリチャージゲート1703、ブーストゲート1704、及びパスゲート1705を更に含む。ブースト段1700iは、図示のように構成されたPMOSトランジスタ1706及び1707を更に含む。ブースト段1700iは、コンデンサ1602(トランジスタから作製されている)がMOM(金属-酸化物-金属)又はMIM(金属-絶縁体-金属)コンデンサ1702で置き換えられていることを除いて、ブースト段1600iと同じである。トランジスタの代わりにMOM又はMIMコンデンサを使用することは、MOSトランジスタがコンデンサとして使用される場合のMOSトランジスタのターンオン電圧VTに固有の問題の回避に有利である。MOSコンデンサの両端間の電圧が<VTである場合、静電容量はごくわずかである。これは、チャージポンプの最初の数段、例えば、特に低VDD電圧の段1、2、及び3において、有利である。トレードオフは、MOM又はMIMコンデンサがトランジスタよりも大きい面積を必要とすることである。
【0070】
クロック倍増回路900及びブースト段1000i、1100i、1200i、1300i、1400i、1500i、1600i、及び1700iは、複数のブースト段を含むチャージポンプを作製するために、様々な組み合わせで使用することができる。
【0071】
例えば、複数のブースト段は、
図6に示されるように連続的な方式で互いに結合することができ、この複数のブースト段内の複数のブースト段のそれぞれは、ブースト段1000i、1100i、1200i、1300i、1400i、1500i、1600i、及び1700iの設計のいずれかなど、同じブースト段設計に基づく。このような構成では、最初の段のVIN
1は、VIN(チャージポンプによって受け取られた入力電圧ソース)に結合され、N番目の段のVOUT
Nは、VOUT(チャージポンプの出力電圧)を提供し、他のブースト段のそれぞれのVOUTiは、次の後続のブースト段のVINi+1に結合さる。
【0072】
図18は、チャージポンプの別の実施形態を示す。チャージポンプ1800は、段1801-1~1801-Nとラベル付けされた、N個のブースト段のセット1801(第1のセット)を含む。チャージポンプ1800は、段1802-1~1802-Mとラベル付けされた、M個のブースト段のセット1802(第2のセット)を更に含む。適応型クロックダブラ回路1805は、クロックダブラ回路1803及びクロックダブラ回路1804を含む。段1801-1~1801-Nは、クロックダブラ回路1803によって駆動され、段1802-1~1802-Mは、クロックダブラ回路1804によって駆動される。クロックダブラ回路1803及びクロックダブラ回路1804はそれぞれ、
図9を参照して上述したクロックダブラ回路900を含むことができる。
【0073】
チャージポンプ1800内の各後続段は、漸進的により高い入力電圧VINiを受け取り、したがって、パス及びブーストゲートのVTは、漸進的により高くなる本体効果に起因して漸進的に高くなる。適応型クロックダブラ回路1805は、この現象を補償するように設計されている。チャージポンプの最初の数段は、より低いVTを経験するため、クロックダブラ回路1803は、より低い静電容量値のダブラコンデンサ(例えば、
図9のダブラコンデンサ903)を使用してもよい。次の段は、より高いVTを経験し、したがって、クロックダブラ回路1804は、より高い静電容量値のダブラコンデンサ(例えば、
図9のダブラコンデンサ903)を使用して、INGノードをより効果的に昇圧してもよい。
【0074】
クロックダブラ回路1803は、CLKB1を入力として受け取り、CLKB1-2Xを出力として生成し、CLKB1-2Xは、CLKB1の大きさのほぼ2倍となる大きさを有する。同様に、クロックダブラ回路1804は、CLKB2を入力として受け取り、CLKB2-2Xを出力として生成し、CLKB2-2Xは、CLKB2の大きさのほぼ2倍となる大きさを有する。クロックダブラ回路1803のダブラコンデンサ(例えば、
図9のダブラコンデンサ903)は、クロックダブラ回路1804のダブラコンデンサ(例えば、
図9のダブラコンデンサ903)よりも低い静電容量を有する。次いで、CLKB1-2Xは、ブースト段1801-1~1801-Nによって「CLKB」信号として使用され、次いで、CLKB2-2Xは、ブースト段1802-1~1802-Mによって「CLKB」信号として使用される(「CLKB」信号は、
図7及び
図10~
図17に示される信号である)。したがって、チャージポンプ1800内で、N個のブースト段はCLKB1に応答して動作し、M個のブースト段はCLKB2に応答して動作する。CLKB1及びCLKB2は、任意追加的に、周波数、位相、又は振幅に関して異なることができる。
【0075】
図19は、チャージポンプの別の実施形態を示す。チャージポンプ1900は、段1901-1~1901-Nとラベル付けされた、N個のブースト段のセット1901(第1のセット)を含む。チャージポンプ1900は、段1902-1~1902-Mとラベル付けされた、M個のブースト段のセット1902(第2のセット)を更に含む。段1901-1~1901-Nはそれぞれ、第1のタイプのブースト段を含むブースト段とすることができ、段1902-1~1902-Mはそれぞれ、第2のタイプのブースト段とすることができ、様々なタイプは、
図7及び
図10~
図17に示されるブースト段タイプ、並びに当業者に既知の他のタイプを含む。第1のタイプと第2のタイプのペアリングの例は、NMOSトランジスタのみからなるブースト段(ブースト段1000i、1100i、1200iなど)と、NMOSトランジスタ及びPMOSトランジスタの両方からなるブースト段(ブースト段1500i、1600i、及び1700iなど)、又はNMOSトランジスタのみからなるブースト段(ブースト段1000i、1100i、及び1200iなど)と、NMOSトランジスタ及びダイオードからなるブースト段(ブースト段1300i及び1400iなど)であり得る。
【0076】
本明細書における本発明に対する言及は、いかなる特許請求項又は特許請求項の用語の範囲も限定することを意図するものではなく、代わりに特許請求項の1つ以上によって包含されることがある1つ以上の特徴に言及することを意図するにすぎない。上記で説明した材料、プロセス、及び数値の実施例は、単に例示的なものであり、特許請求の範囲を限定するものとみなされるべきではない。本明細書で使用される、用語「の上方に(over)」及び「に(on)」は共に、「上に直接」(中間材料、要素、又は間隙がそれらの間に配設されていない)及び「上に間接的に」(中間材料、要素、又は間隙がそれらの間に配設されている)を包括的に含むことに留意されるべきである。同様に、用語「隣接する」は、「直接的に隣接する」(中間の材料、要素、又は間隙が間に配設されていない)及び「間接的に隣接する」(中間の材料、要素、又は間隙が間に配設されている)を含む。例えば、「基板の上方に」要素を形成することは、中間材料/要素が介在せずに直接基板にその要素を形成することも、1つ以上の中間材料/要素が介在して間接的に基板にその要素を形成することも含み得る。