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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-21
(45)【発行日】2024-01-04
(54)【発明の名称】製袋機、製袋方法
(51)【国際特許分類】
   B31B 70/66 20170101AFI20231222BHJP
   B31B 70/81 20170101ALN20231222BHJP
【FI】
B31B70/66
B31B70/81
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021530678
(86)(22)【出願日】2020-07-03
(86)【国際出願番号】 JP2020026243
(87)【国際公開番号】W WO2021006216
(87)【国際公開日】2021-01-14
【審査請求日】2023-04-14
(31)【優先権主張番号】P 2019125859
(32)【優先日】2019-07-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000143880
【氏名又は名称】株式会社細川洋行
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【弁理士】
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100152146
【弁理士】
【氏名又は名称】伏見 俊介
(72)【発明者】
【氏名】野辺 進太郎
(72)【発明者】
【氏名】梅中 一博
【審査官】佐藤 秀之
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-105517(JP,A)
【文献】特開2015-16900(JP,A)
【文献】特開2014-180774(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第102529150(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B31B 70/00
B65D 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯状のフィルムを重ね合わせた多重フィルムを搬送する搬送部と、
前記多重フィルムの搬送方向に対して直角な幅方向に沿って、所定の間隔で前記フィルム同士を熱融着する側縁部シール装置と、
前記搬送方向において前記側縁部シール装置よりも上流側に配置され、長手方向が前記搬送方向に沿うように前記フィルム同士の間に配したチャック部材の一部を、超音波によって軟化させて押し潰す超音波装置と、
を有する製袋機であって、
前記側縁部シール装置は、
前記多重フィルムを支持する受け台と、前記多重フィルムに接する位置と離間する位置との間で往復動する発熱ヘッドとを有し、
前記超音波装置は、前記多重フィルムを支持するアンビルと、前記多重フィルムに接する位置と離間する位置との間で往復動する超音波ホーンヘッドとを有し、
前記発熱ヘッドおよび前記超音波ホーンヘッドは、互いに共通のリンク部材を介して、同一周期で往復動する、製袋機。
【請求項2】
前記リンク部材は、単一の回転装置及びカム機構に接続されている、請求項1に記載の製袋機。
【請求項3】
前記超音波ホーンヘッドは、バネによって前記多重フィルムに向けて付勢されている、請求項1または2に記載の製袋機。
【請求項4】
前記搬送方向において前記側縁部シール装置よりも下流側に配置され、前記多重フィルムの一部を打ち抜くパンチ装置をさらに有し、
前記パンチ装置は、
前記多重フィルムを支持するメス刃と、
前記メス刃に嵌合して前記多重フィルムの一部を打ち抜く位置と、前記多重フィルムと離間する位置との間で往復動し、前記多重フィルムの前記一部を打ち抜くオス刃とを有し、
前記発熱ヘッド、前記超音波ホーンヘッド、および前記オス刃は、前記リンク部材を介して、同一周期で往復動する、請求項1から3のいずれか一項に記載の製袋機。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載された製袋機を用いた製袋方法であって、
長手方向が前記搬送方向に沿うように前記フィルム同士の間に前記チャック部材を配する工程と、
前記チャック部材の両端部を超音波によって軟化させて押し潰す工程と、
前記幅方向に沿って、所定の間隔で前記フィルム同士を熱融着する工程と、
を少なくとも備える、製袋方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製袋機、及びこれを用いた製袋方法に関する。本願は、2019年7月5日に日本に出願された特願2019-125859号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
【背景技術】
【0002】
端部のシールが開封された後、袋の内側に形成されたチャック部材によって、開口部を開閉可能にしたチャック付き袋が知られている。こうしたチャック付き袋を製造する際には、2枚の樹脂フィルムの間にチャック部材を配し、このチャック部材を長手方向に沿って樹脂フィルムに接合した後、袋の周縁部となる部分において2枚の樹脂フィルム同士を熱融着している。
【0003】
しかしながら、袋の周縁部となる部分を熱融着する際に、この周縁部にチャック部材の両端部が重なる部位がある。こうした部位は、チャック部材の厚みが厚いために、そのまま熱融着すると、チャック部材の両端部に隙間が生じて、内部の気密性が保たれなくなる懸念がある。そのため、袋の周縁部となる部分で樹脂フィルム同士を熱融着する前に、このチャック部材の両端部を超音波装置によって軟化させて、厚みが薄くなるように予め潰しておくことが一般的である(例えば、特許文献1を参照)。
【0004】
こうしたチャック部材の両端部を潰すための超音波装置は、樹脂フィルムの他面側を支持するアンビル(受け台)と、樹脂フィルムの一面側に接する位置と退避する位置との間で上下動する超音波ホーンとを備えている。従来、こうした超音波ホーンは、エアーシリンダーを動力源として往復動している(例えば、特許文献2を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】日本国特開2008-114546号公報
【文献】日本国特開2014-180774号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、超音波ホーンを往復動させるエアーシリンダーは、シリンダー内に圧搾ガスを充填し、所定以上の圧力になった時点で超音波ホーンに連結されたピストンが上昇するという機構である。そのため、応答速度が遅く、単位時間当たりで超音波ホーンの往復動可能な回数に制約があった。このため、チャック付き袋の製造効率の向上が困難であるという課題がある。
【0007】
一方、チャック部材の両端部を潰す工程の後工程である、袋の周縁部となる部分を熱融着する工程では、モーターおよびカム機構を用いて発熱ヘッドを往復動させている。そのため、一定の速度で搬送される樹脂フィルムに対して、発熱ヘッドと超音波ホーンの往復動の周期がズレてしまう懸念もある。
【0008】
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、チャック付き袋の製造効率の向上を可能にし、また、各工程の同期が容易な製袋機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
即ち、本発明の第1の態様の製袋機は、帯状のフィルムを重ね合わせた多重フィルムを搬送する搬送部と、前記多重フィルムの搬送方向に対して直角な幅方向に沿って、所定の間隔で前記フィルム同士を熱融着する側縁部シール装置と、前記搬送方向において前記側縁部シール装置よりも上流側に配置され、長手方向が前記搬送方向に沿うように前記フィルム同士の間に配したチャック部材の一部を、超音波によって軟化させて押し潰す超音波装置と、を有する製袋機であって、前記側縁部シール装置は、前記多重フィルムを支持する受け台と、前記多重フィルムに接する位置と離間する位置との間で往復動する発熱ヘッドとを有し、前記超音波装置は、前記多重フィルムを支持するアンビルと、前記多重フィルムに接する位置と離間する位置との間で往復動する超音波ホーンヘッドとを有し、前記発熱ヘッドおよび前記超音波ホーンヘッドは、互いに共通のリンク部材を介して、同一周期で往復動する。
【0010】
また、本発明の第2の態様は、上記の第1の態様において、前記リンク部材は、単一の回転装置及びカム機構に接続されている。
【0011】
また、本発明の第3の態様は、上記の第1または2の態様において、前記超音波ホーンヘッドは、バネによって前記多重フィルムに向けて付勢されている。
【0012】
また、本発明の第4の態様は、上記の第1から3の態様のいずれか1つにおいて、前記製袋機は、前記搬送方向において前記側縁部シール装置よりも下流側に配置され、前記多重フィルムの一部を打ち抜くパンチ装置をさらに有し、前記パンチ装置は、前記多重フィルムを支持するメス刃と、前記メス刃に嵌合して前記多重フィルムの一部を打ち抜く位置と、前記多重フィルムと離間する位置との間で往復動し、前記多重フィルムの一部を打ち抜くオス刃とを有し、前記発熱ヘッド、前記超音波ホーンヘッド、および前記オス刃は、互いに共通の前記リンク部材を介して、同一周期で往復動している。
【0013】
また、本発明の第5の態様の製袋方法は、上記の第1から4の態様のいずれか1つに記載された製袋機を用いた製袋方法であって、長手方向が前記搬送方向に沿うように前記フィルム同士の間に前記チャック部材を配する工程と、前記チャック部材の両端部を超音波によって軟化させて押し潰す工程と、前記幅方向に沿って、所定の間隔で前記フィルム同士を熱融着する工程と、を少なくとも備える。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、チャック付き袋の製造効率の向上を可能にし、また、各工程の同期が容易な製袋機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】チャック付き袋の一例を示す正面図である。
図2図1のA-A’線に沿ったチャック付き袋のチャック形成部分を示す要部拡大斜視図である。
図3】本発明の一実施形態の製袋機の概略構成を示す模式図である。
図4】超音波装置および側縁部シール装置を駆動させる駆動機構を示す概略構成図である。
図5】本発明の一実施形態の変形例に係る製袋機の概略構成を示す模式図である。
図6】本発明の一実施形態の変形例に係るチャック付き袋の一例を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態の製袋機、およびこれを用いた製袋方法について説明する。なお、以下に示す実施形態は、発明の趣旨をより良く理解できるように具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。また、以下の説明で用いる図面は、本発明の特徴をわかりやすくするために、便宜上、要部となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。
【0017】
(チャック付き袋)
まず最初に、本発明の一実施形態の製袋機で製造可能なチャック付き袋について説明する。図1は、チャック付き袋の一例を示す正面図である。また、図2は、図1のA-A’線に沿ったチャック付き袋のチャック部材とその周辺を示す要部拡大斜視図である。チャック付き袋1は、例えば、サプリメント、医薬品、菓子などの固形状の内容物や調味料などの粉状または顆粒状の内容物を気密状態で収容でき、かつ、開封後もチャック部材14によって開閉自在にされた収容袋である。
【0018】
チャック付き袋1は、2枚の樹脂フィルム13a,13bを重ねて、1辺を所定の幅で熱融着した部分がチャック付き袋1の底部1Dとされる。また、この底部1Dに対して直角方向に延びる両端部で樹脂フィルム13aと樹脂フィルム13bとを所定の幅で熱融着した部分が側縁部1B,1Cとされる。また、底部1Dの反対側で樹脂フィルム13aと樹脂フィルム13bとを所定の幅で熱融着した部分が開封部1Aとされる。
【0019】
また、開封部1Aから底部1D側に所定の間隔をあけて、樹脂フィルム13aと樹脂フィルム13bとの間に、チャック部材14が取り付けられている。さらに、側縁部1Bまたは側縁部1Cの開封部1Aとチャック部材14との間には、開封用の切込み(ノッチ)4が形成されている。切込み(ノッチ)4は、側縁部1Bおよび側縁部1Cの開封部1Aと、チャック部材14との間に形成されていてもよい。
【0020】
図2に示すように、本実施形態のチャック付き袋1を構成する樹脂フィルム13a,13bは、それぞれ基材層131、中間層132、熱融着層133から構成されている。基材層131は、例えば、樹脂フィルム13a,13bのそれぞれ表面側に位置するように設計される。基材層131の特性としては、印刷適性に優れ、さらに突刺し耐性、剛性、耐衝撃性等を備えたフィルムが好ましい。基材層131の具体的な材質としては、例えば、ポリエステル、ポリアミド、ポリプロピレン等の延伸フィルムが挙げられる。基材層131の厚みは、例えば、5μm~50μm程度の範囲にすることが好ましい。
【0021】
また、中間層132は、チャック付き袋1に収容する内容物の種類や内容量に応じて任意に形成され、省略することもできる。中間層132としては、樹脂フィルム13a,13bにガスバリア性を付与する目的として、アルミニウム、銅、マグネシウム等の金属箔の他、ポリエステル、ポリアミド、ポリプロピレン等の延伸フィルムに、アルミニウム、アルミナ、シリカ等の金属や金属酸化物を蒸着して形成した無機蒸着フィルムを用いることができる。
【0022】
また、中間層132には、突刺し強度や落下強度等の強靭性を樹脂フィルム13a,13bに付与するためにポリエステル、ポリアミド、ポリプロピレン等の延伸フィルムを用いることができる。中間層132の厚みは、例えば、5μm~50μm程度の範囲にすることが好ましい。なお、中間層132は、単層であっても、必要に応じて2層以上設けてもよく、限定されるものではない。
【0023】
熱融着層133は、樹脂フィルム13a,13bの最内面層に位置するように設計される。熱融着層133の材質としては、樹脂フィルム13a,13bに通常用いられるものであれば特に限定されない。熱融着層133の具体的な材質例としては、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンが、樹脂フィルム13a,13bとチャック部材14との接着性を高める点から好ましい。
【0024】
熱融着層133の材質には、熱融着層133とチャック部材14との接着性をより高めるために、チャック部材14と同種の材質(例えば、ポリエチレンに対してポリエチレン、ポリプロピレンに対してポリプロピレン等)を組み合わせることが、好ましい。熱融着層133の厚さは、例えば、20μm~150μm程度の範囲にすることが好ましい。
【0025】
なお、樹脂フィルム13a,13bは、基材層131に熱融着性の樹脂を用いることもできる。樹脂フィルム13a,13bは、熱融着層133を必要としない場合には、基材層131の1層で構成することもできる。なお、樹脂フィルム13a,13bを基材層131の1層で構成する場合には、樹脂フィルム13aと樹脂フィルム13bとが対向する内面側に、熱融着可能な層を有する樹脂フィルムを用いる必要がある。また、中間層132を設けずに、基材層131と熱融着層133の2層から樹脂フィルム13a,13bを構成することもできる。
【0026】
チャック部材14は、樹脂フィルム13aと樹脂フィルム13bとが対向する内面側に取り付けられる。チャック部材14は、チャック付き袋1を再封するための機能を有する部材である。本実施形態のチャック部材14は、細長状であり、互いに嵌合する挿入部15と受入部16とを有する。挿入部15は、突条15aと、台座部15bとを有する。また、受入部16は、突条15aを着脱可能な溝16aと、台座部16bとを有する。
【0027】
なお、チャック部材14の形状は、上述した形状に限定されるものではなく、チャック部材14を備えたチャック付き袋1を再封することができるものであれば特に制限されるものではない。例えば、チャック部材14は、凹凸形状の嵌合部を有するものでなくてもよく、例えば、面ファスナー等でもよい。
【0028】
チャック部材14の大きさに制限はなく、製造する包装袋の容積、用途に応じてチャック部材14の大きさを設定できる。例えば、チャック部材14の台座部15b,16bの幅Gは、3mm~20mmに形成されればよい。
【0029】
本実施形態のチャック部材14は、ポリオレフィンからなる。ポリオレフィンとしては、ポリエチレン、ポリプロピレンが好ましい。ポリエチレンとしては、柔軟性や耐寒性に優れているため、低密度ポリエチレンや直鎖状低密度ポリエチレンが好ましい。なお、チャック部材14は、本願発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の成分を含んでいてもよい。
【0030】
チャック部材14は、例えば、ダイスを備えた押出機でポリオレフィン樹脂組成物を溶融押出成型して得られたものを用いてもよく、また、各社から市販されているチャック部材を用いてもよい。
【0031】
チャック部材14の台座部15b,16bは、例えば、30μm~500μmであることが好ましい。なお、ここでいう厚みとは、対象物を鉛直方向に切断した断面を微分干渉顕微鏡にて撮影して任意の5箇所測定した平均値をいう。
【0032】
なお、挿入部15の台座部15bと樹脂フィルム13a、および受入部16の台座部16bと樹脂フィルム13bとが互いに熱融着しない材料からなる場合、これら挿入部15の台座部15bと樹脂フィルム13aとの間、および受入部16の台座部16bと樹脂フィルム13bとの間を熱融着させる熱融着層(図示略)をそれぞれ形成してもよい。
【0033】
このような構成のチャック付き袋1は、後述する製袋機での製造時においては、図1中の矢印Cで示す搬送方向に沿って搬送される、樹脂フィルム13aと樹脂フィルム13bとを重ねた長尺帯状の樹脂フィルム(フィルム)13から切り出される。以下の説明においては、この搬送方向Cに対して直角な方向を幅方向Wと称する。
【0034】
チャック部材14は、樹脂フィルム13aと樹脂フィルム13bとの間に接合される際に、長手方向の両端部、即ち樹脂フィルム13aと樹脂フィルム13bとを熱融着した側縁部1B,1Cと重なる部分が押し潰される。なお、ここでいうチャック部材14の長手方向の両端部とは、図1の幅方向Wに沿って長手方向が延びるように配されたチャック部材14のうち、チャック付き袋1の側縁部1B,1Cに相当する(重なる)部分をいう。
【0035】
以上のような構成のチャック付き袋1は、切込み4から搬送方向Cに沿って開封部1Aを切り取ることで開封される。これにより、内容物を取り出すことができる。また、チャック部材14の挿入部15と受入部16とを嵌合させることによって、内容物を残すなどした状態で、開封後のチャック付き袋1を閉じることができる。
【0036】
なお、チャック付き袋1は、上述した実施形態のように、2枚の樹脂フィルム13aと樹脂フィルム13bとを重ね合わせて形成したもの以外にも、1枚の樹脂フィルム13を折り返して重ね合わせ、この折り返し部分を境にして樹脂フィルム13aおよび樹脂フィルム13bにしたものを用いて形成してもよい。この場合、底部1Dを樹脂フィルム13の折り返し部分にしても、これとは逆に開封部1Aを樹脂フィルム13の折り返し部分にしてもよい。また、チャック部材の形状は、開閉することができるものであれば特に制限されない。
【0037】
(製袋機)
本発明の一実施形態の製袋機を説明する。図3は、本発明の一実施形態の製袋機の概略構成を示す模式図である。また、図4は、超音波装置および側縁部シール装置を駆動させる駆動機構を示す概略構成図である。本実施形態の製袋機20には、樹脂フィルム供給部21と、反転切断部22と、チャック部材導入部23と、チャックシール装置24と、縦縁部シール装置25と、超音波装置26と、側縁部シール装置27と、カッターユニット28とが、搬送方向Cに沿って順に設けられている。
【0038】
また、チャック部材導入部23とチャックシール装置24との間には、ダンサーロール31および前段搬送ロール32が形成されている。また、縦縁部シール装置25と超音波装置26との間には、第1冷却部33および中間搬送ロール34が形成されている。さらに、側縁部シール装置27とカッターユニット28との間には、第2冷却部35および後段搬送ロール36が形成されている。
【0039】
このうち、前段搬送ロール32、中間搬送ロール34、および後段搬送ロール36によって、樹脂フィルム供給部21から供給される樹脂フィルム13を複数重ねた多重フィルムSを搬送方向Cに沿って搬送する搬送部37が、構成される。この搬送部37は、チャック付き袋1の1つ分の長さで、多重フィルムSを搬送、停止を繰り返すように間欠的に搬送する。そして、多重フィルムSの停止時に、後述するリンク部材51を介して、超音波ホーンヘッド42、発熱ヘッド45、第1冷却部33(後述する冷却ヘッド)、第2冷却部35(後述する冷却ヘッド)、およびカッターユニット28の切断刃を、ズレを生じさせることなく同一周期で共に上下動(往復動)させる。図3は、超音波ホーンヘッド42と発熱ヘッド45を同一周期で共に上下動(往復動)させる機構を説明するためにリンク部材51の一例を概略的に示している。搬送方向Cに延在するリンク部材51の寸法は、搬送方向Cに並ぶ超音波ホーンヘッド42と発熱ヘッド45以外の部材を超音波ホーンヘッド42と発熱ヘッド45と同一周期で共に上下動(往復動)させるために、適宜調整してもよい。本実施形態では、リンク部材51に少なくとも超音波ホーンヘッド42と発熱ヘッド45が連結されていればよい。なお、本実施形態では、樹脂フィルム13の幅方向に2列分のチャック付き袋1を製袋することができる。
【0040】
樹脂フィルム供給部21は、例えば樹脂フィルムロールから、長尺帯状の樹脂フィルム(フィルム)13を供給する。
【0041】
反転切断部22は、樹脂フィルム供給部21から繰り出された樹脂フィルム13の搬送方向をターンバー22aによって90°の角度で変える。次に、センター刃22bによって幅方向Wにおける中央位置で樹脂フィルム13を2つに切断する。更に切断された2つの樹脂フィルム13a,13bの向きを、それぞれ、M字板22cによって90°の角度で再び変える。これにより、樹脂フィルム13a、13bのそれぞれの内面同士が、向かい合う状態に重ね合わされる。これによって、多重フィルムSが形成される。
【0042】
チャック部材導入部23は、チャック部材供給装置から供給されるチャック部材14を、長手方向が搬送方向Cに沿うように、樹脂フィルム13a,13bの内面同士の間に挿入する。その後、樹脂フィルム13a,13b同士を重ね合わせて多重フィルムSを形成する。
【0043】
ダンサーロール31は、製袋機20上の樹脂フィルム13a,13bの張力(テンション)を一定に保つ一対のロールである。こうしたダンサーロール31が上下動(往復動)することによって、樹脂フィルム供給部21からダンサーロール31の間において、連続的に樹脂フィルム13a,13bが搬送される。ダンサーロール31から後段搬送ロール36の間では、搬送方向Cにおける位置合せが行われた状態で、製造するチャック付き袋1の1つ分の長さに合わせて、間欠的に樹脂フィルム13a,13bが搬送される。
【0044】
チャックシール装置24は、加熱ヘッドと受け台とを備えている。チャックシール装置24は、樹脂フィルム13a,13b同士の間に配されたチャック部材14を熱融着層133(図2を参照)を介して樹脂フィルム13a,13bに熱融着させる装置である。チャックシール装置24を経た多重フィルムSは、チャック部材14の長手方向が多重フィルムSの搬送方向Cに沿うように、樹脂フィルム13a,13b同士の間にチャック部材14が(樹脂フィルム13a,13bに)接合される。こうしたチャックシール装置24は、縦縁部シール装置25と同期して動作する。
【0045】
縦縁部シール装置25は、加熱ヘッドと受け台とを備えている。縦縁部シール装置25は、チャック付き袋1において底部1Dに相当する位置(図1を参照)で、多重フィルムSを構成する樹脂フィルム13aと樹脂フィルム13bとを、搬送方向Cに沿って所定の幅で熱融着する。こうした縦縁部シール装置25は、チャックシール装置24と同期して動作する。この場合は、ユーザーは、開封部1Aから内容物を収容した後に開封部1Aを熱融着する。なお、縦縁部シール装置25は、チャック付き袋1において開封部1Aに相当する位置(図1を参照)で、多重フィルムSを構成する樹脂フィルム13aと樹脂フィルム13bとを、搬送方向Cに沿って所定の幅で熱融着させてもよい。この場合は、ユーザーは、底部1Dから内容物を収容した後に底部1Dを熱融着する。
【0046】
第1冷却部33は、冷却ヘッドと受け台とを備えている。第1冷却部33は、例えば水冷装置を有し、冷却ヘッドと受け台の内部に形成された冷媒管に冷却水を通すことで温度上昇を抑える構造となっている。これにより、チャックシール装置24や縦縁部シール装置25での熱融着によって加熱された多重フィルムSを冷却する。そして、チャック付き袋1の製造途上において、熱によって多重フィルムSが変形することを防止する。すなわち、チャック付き袋1の製造途上において、熱収縮等によって多重フィルムSが変形することを防止する。こうした第1冷却部33は、チャックシール装置24や縦縁部シール装置25と同期して動作する。なお、第1冷却部33は、水冷装置以外にも、空冷装置によって冷却する構成であってもよい。
【0047】
図4に示すように、超音波装置26は、多重フィルムSの他面側(図3中の下側)を支持するアンビル(受け台)41と、多重フィルムSの一面側(図3中の上側)に接する位置(印加位置)と離間する位置(退避位置)との間で上下動(往復動)する超音波ホーンヘッド42とを有している。なお、超音波ホーンヘッド42は、本実施形態のように上下動するものに限定されるものではなく、樹脂フィルム13a,13bの搬送方向Cに応じて最適な方向に往復動させる構成であればよい。
【0048】
超音波装置26では、チャック部材14の長手方向の両端部、即ち、図1における幅方向Wに沿って長手方向が延びるように配されたチャック部材14のうち、チャック付き袋1の側縁部1B,1Cに相当する(重なる)部分のチャック部材14を、多重フィルムSを介して超音波ホーンヘッド42とアンビル(受け台)41との間に配置して、超音波ホーンヘッド42をアンビル(受け台)41に向けて付勢する。これにより、超音波ホーンヘッド42が、チャック部材14に超音波振動を印加し、この超音波振動によってチャック部材14を軟化させ、チャック部材14の厚みが略均一になるように平坦に押し潰す。
【0049】
図4に示すように、超音波ホーンヘッド42は、印加位置において樹脂フィルム13を介してチャック部材14に接し、また、退避位置にあるときに多重フィルムSが搬送方向Cに搬送される。なお、超音波装置26のアンビル(受け台)41は、超音波ホーンヘッド42によって印加される超音波振動がチャック部材14の両端部に集中するように形成されていることが好ましい。
【0050】
側縁部シール装置27は、多重フィルムSの他面側(図3中の下側)を支持する受け台44と、多重フィルムSの一面側(図3中の上側)に接する位置(加熱位置)と離間する位置(退避位置)との間で上下動(往復動)する発熱ヘッド45とを有している。なお、発熱ヘッド45は、本実施形態のように上下動するものに限定されるものではなく、樹脂フィルム13a,13bの搬送方向Cに応じて最適な方向に往復動させる構成であればよい。
【0051】
側縁部シール装置27を構成する発熱ヘッド45は、前工程である超音波装置26によって潰されたチャック部材14を含むチャック付き袋1の両側部に相当する部分および多重フィルムSを介して受け台44に圧着され、側縁部1B,1C(図1を参照)を形成する。
【0052】
図4に示すように、リンク部材51は、単一の回転装置(例えば、サーボモータ)57及びカム機構(例えば、偏心カム装置)56に接続されている。超音波装置26を構成する超音波ホーンヘッド42は、連結部材52を介してリンク部材(リンクバー)51に係着されている。また、側縁部シール装置27を構成する発熱ヘッド45も、連結部材53を介してリンク部材51に係着されている。リンク部材51は、連動部材54a,54b,54cを介して連結棒55に回動自在に係合されている。連結棒55は、偏心カム装置(カム機構)56及びベルト58を介して、1つのサーボモータ(回転装置)57に接続されている。
【0053】
以上のような構成の駆動機構50は、1つのサーボモータ57を回転させることによって、超音波ホーンヘッド42および発熱ヘッド45が共通して連結されているリンク部材51を介して、超音波ホーンヘッド42および発熱ヘッド45を、ズレを生じさせることなく同一周期で共に上下動(往復動)させる。ただし、駆動機構50は、超音波ホーンヘッド42と発熱ヘッド45を、ズレを生じさせることなく同一周期で共に上下動(往復動)させるために、リンク部材51を上下動(往復動)させることができれば、このような構成に限定されない。例えば、リニスライダ、モーターとボールねじ、油圧シリンダー、等を使用してもよい。
【0054】
なお、超音波ホーンヘッド42とリンク部材51とを連結する連結部材52は、本実施形態の製袋機20において、幅方向Wの片側または両側に形成されていればよい。また、発熱ヘッド45とリンク部材51とを連結する連結部材53も、本実施形態の製袋機20において、幅方向Wの片側または両側に形成されていればよい。
【0055】
また、超音波ホーンヘッド42や発熱ヘッド45を、バネによって多重フィルムSの一面側(図3中の上側)に向けて付勢させる構成にしてもよい。すなわち、超音波ホーンヘッド42は、バネによって多重フィルムSに向けて付勢されていてもよい。こうしたバネを設けることによって、超音波ホーンヘッド42や発熱ヘッド45の多重フィルムSに対する押し付け力が増大し、より確実に多重フィルムSに対して超音波や熱を加えることができる。ただし、バネを設けなくても、超音波ホーンヘッド42や発熱ヘッド45は、多重フィルムSに対して超音波や熱を加えることもできる。超音波ホーンヘッド42や発熱ヘッド45を多重フィルムSに押し付けるための付勢部材は、バネに限らない。例えば、付勢部材は、ゴム等の弾性部材でもよい。
【0056】
なお、駆動機構50は、超音波ホーンヘッド42および発熱ヘッド45に加えて、更にチャックシール装置24の加熱ヘッドや縦縁部シール装置25の加熱ヘッドをリンク部材51に連結すれば、これら加熱ヘッドも(超音波ホーンヘッド42および発熱ヘッド45と)同一周期で上下動(往復動)させることができる。
【0057】
このように、本発明の製袋機20によれば、チャック部材14の両端部を押し潰す超音波装置26の超音波ホーンヘッド42と、押し潰したチャック部材14の両端部を樹脂フィルム13aと樹脂フィルム13bとの間で挟むように側縁部1B,1C(図1を参照)を形成する側縁部シール装置27の発熱ヘッド45とを、互いに同期ズレが生じることなく同一周期で上下動(往復動)させることができる。
【0058】
そして、こうした駆動機構50は、回転速度を容易に上げることができる回転装置、例えばサーボモータ57によって、超音波ホーンヘッド42を上下動(往復動)させることができる。そのため、従来のような、応答速度の遅いエアーシリンダーによって超音波ホーンヘッドを上下動(往復動)させる超音波装置と比較して、超音波ホーンヘッド42の単位時間当たりの上下動回数を容易に高めることができる。
【0059】
また、従来のエアーシリンダーを用いた超音波装置は、エアーシリンダーが上下方向に長く伸びる構造であったため、製袋機の設置個所の高さを高くする必要があった。しかしながら、本実施形態の製袋機20では、エアーシリンダーを用いない。そのため、設置個所の高さが低くても製袋機20を設置することが可能になり、設置場所のサイズの制約を低減させることができる。すなわち、従来の製袋機が設置される設置個所(設置空間)には、エアーシリンダーが収納可能な室内高が要求された。しかしながら、本実施形態の製袋機20が設置される設置個所は、エアーシリンダーを収納可能な室内高を必要としない。そのため、本実施形態の製袋機20が設置される設置個所のサイズは、従来の製袋機が設置される設置個所と比べて上下方向で小さくて済む。すなわち、本実施形態の製袋機20によれば、設置個所のサイズに要求される制約を減らことができる。
【0060】
なお、ここでいう上下動は、本発明の一例としての本実施形態における動作方向の具体例を示したものである。そのため、超音波ホーンヘッド42、発熱ヘッド45、チャックシール装置24の加熱ヘッド、縦縁部シール装置25の加熱ヘッドは、樹脂フィルム13a,13bの搬送方向Cに応じて最適な方向に往復動させる構成であればよい。
【0061】
第2冷却部35は、冷却ヘッドと受け台とを備えている。第2冷却部35は、例えば水冷装置を有し、冷却ヘッドと受け台の内部に形成された冷媒管に冷却水を通すことで温度上昇を抑える構造となっている。これにより、超音波装置26や側縁部シール装置27で加熱された多重フィルムSを冷却する。そして、チャック付き袋1の製造途上において、熱によって多重フィルムSが変形することを防止する。すなわち、チャック付き袋1の製造途上において、熱収縮等によって多重フィルムSが変形することを防止する。こうした第2冷却部35は、超音波装置26や側縁部シール装置27と同期して動作する。なお、第2冷却部35は、水冷装置以外にも、空冷装置によって冷却する構成であってもよい。
【0062】
カッターユニット28は、チャック付き袋1の1つ分の長さごとに、間欠的に切断刃を上下動(往復動)させて、多重フィルムSから個々のチャック付き袋1を切り出す。
【0063】
以上より、一例として、上記一実施形態の製袋機20は、帯状のフィルム13a,13bを重ね合わせた多重フィルムSを搬送する搬送部37と、多重フィルムSの搬送方向Cに対して直角な幅方向に沿って、所定の間隔でフィルム13a,13b同士を熱融着する側縁部シール装置27と、搬送方向Cにおいて側縁部シール装置27よりも上流側に配置され、長手方向が搬送方向Cに沿うようにフィルム13a,13b同士の間に配したチャック部材14の一部を、超音波によって軟化させて押し潰す超音波装置26と、を有する。側縁部シール装置27は、多重フィルムSを支持する受け台44と、多重フィルムSに接する位置と、多重フィルムSと離間する位置との間で往復動する発熱ヘッド45とを有する。超音波装置26は、多重フィルムSを支持するアンビル41と、多重フィルムSに接する位置と、多重フィルムSと離間する位置との間で往復動する超音波ホーンヘッド42とを有する。発熱ヘッド45および超音波ホーンヘッド42は、互いに共通のリンク部材51を介して、同一周期で往復動する。
【0064】
なお、本発明は、図面を参照して説明した上記一実施形態に限定されるものではなく、その技術的範囲において様々な変形例が考えられる。
【0065】
例えば、図5は、上記一実施形態の変形例に係る製袋機の概略構成を示す模式図である。変形例の製袋機30には、上記一実施形態の製袋機20に加えて、パンチ装置60が形成されている。変形例の製袋機30のうち、上記一実施形態の製袋機20と同一の構成要素には、同じ符号が付されている。
【0066】
製袋機30は、搬送方向Cにおいて側縁部シール装置27よりも下流側に配置され、多重フィルムSの一部を打ち抜く(切り抜く)パンチ装置60を有する。パンチ装置60は、搬送方向Cにおいて第2冷却部35と後段搬送ロール36との間に配置されている。また、パンチ装置60は、多重フィルムSを支持するメス刃61と、メス刃61に嵌合して多重フィルムSの一部を打ち抜く位置と、多重フィルムSと離間する位置との間で往復動し、多重フィルムSの一部を打ち抜くオス刃62とを有する。メス刃61とオス刃62は、それぞれ、刃と刃が設置可能な台座とを含む部材として解釈されてもよい。また、発熱ヘッド45、超音波ホーンヘッド42、およびオス刃62は、リンク部材51を介して、同一周期で往復動する。発熱ヘッド45、超音波ホーンヘッド42、およびオス刃62は、リンク部材51に接続され、同一周期で上下動(往復動)する。オス刃62とリンク部材51は、発熱ヘッド45とリンク部材51、および超音波ホーンヘッド42とリンク部材51と同様に接続されている。
【0067】
このような製袋機30によれば、パンチ装置60により、多重フィルムSにパンチ加工を行うことができる。例えば、多重フィルムSに、ノッチ(切込み)、コーナーカット(ラウンドカット等)、フック穴、等を形成することができる。また、発熱ヘッド45、超音波ホーンヘッド42、およびオス刃62を同一周期で上下動(往復動)させることができる。
【0068】
パンチ装置60のパンチ加工について、説明する。図6は、上記一実施形態の変形例に係るチャック付き袋の一例を示している。変形例のチャック付き袋2のうち、上記一実施形態のチャック付き袋1と同一の構成要素には、同じ符号が付されている。パンチ装置60により多重フィルムSにパンチ加工を行うことにより、チャック付き袋2を製造することができる。パンチ装置60において、チャック付き袋2のうち、側縁部1Bおよび側縁部1Cの開封部1Aと、チャック部材14との間にノッチ4が形成されるように、オス刃62のうちノッチ3を形成するオス刃が、多重フィルムSの一部を打ち抜く。また、チャック付き袋2の4つの角にコーナーカット(ラウンドカット)6が形成されるように、オス刃62のうちコーナーカット6を形成するオス刃が、多重フィルムSの一部を打ち抜く。また、チャック付き袋2の開封部1Aのうち長手方向(搬送方向C)の中央位置にフック穴5が形成されるように、オス刃62のうちフック穴5を形成するオス刃が、多重フィルムSの一部を打ち抜く。なお、チャック付き袋2は、縦縁部シール装置25により、開封部1Aに相当する位置(図1を参照)で樹脂フィルム13a、13bを搬送方向Cに沿って所定の幅で熱融着させている。
【0069】
パンチ装置60の配置について、説明する。パンチ装置60は、搬送方向Cにおいて側縁部シール装置27よりも下流側に配置され、搬送方向Cにおいて第2冷却部35と後段搬送ロール36との間に配置されている。これは、多重フィルムSのうち熱融着している部分にパンチ加工するためである。多重フィルムSのうち熱融着している部分とは、縦縁部シール装置25が開封部1Aをシールする場合の開封部1A、側縁部1B、および側縁部1Cであり、縦縁部シール装置25が底部1Dをシールする場合の底部1D、側縁部1B、および側縁部1Cである。多重フィルムSのうち熱融着していない部分にパンチ加工をしようとしても、樹脂フィルム13a、13b同士が滑り易く、オス刃62は多重フィルムSの一部を打ち抜くことが難しい。仮に多重フィルムSのうち熱融着していない部分の一部を打ち抜くことができても、高い精度のパンチ加工を実現できない。また、パンチ加工の高い精度を維持しようとして樹脂フィルム13a、13bに滑り難い素材を選定しても、チャック付き袋2の取り扱い性能が低下する可能性がある。また、多重フィルムSのうちパンチ加工が完了した熱融着していない部分を熱融着しても、樹脂フィルム13a、13bの各々に形成されたノッチ、コーナーカット、フック穴、等が互いにズレた状態で樹脂フィルム13a、13bが熱融着される可能性があるだけでなく、ノッチ、コーナーカット、フック穴、等を打ち抜いて形成される切断面から熱融着層133が融け出してチャック付き袋2の外観を悪くする可能性がある。そのため、パンチ装置60を搬送方向Cにおいて第2冷却部35と後段搬送ロール36との間に配置することにより、フィルムSのうち熱融着している部分(樹脂フィルム13a、13b同士がズレない部分)にパンチ加工を行うことを可能にしている。
【0070】
パンチ装置60の動力源について、説明する。一般的に、パンチ装置の動力源は、エアーシリンダーであり、シール装置(側縁部シール装置、超音波装置)の動力源と異なる。しかしながら、パンチ装置の動力源がエアーシリンダーである場合、製袋機を高速で稼働させたときに、製袋機の動作にパンチ装置の動作が正確に追従できなくなる可能性がある。このような場合、設計通りのパンチ加工を実現できなくなる。そのため、外観不良や異物混入を伴う製品(所望の形状と異なる形状にカットされた製品、抜きカスが除去されずに残った製品、等)が生じ易くなる。
【0071】
これに対し、変形例の製袋機30によれば、変形例の製袋機30を高速で稼働させたときに、製袋機30の動作に対するパンチ装置60の動作の追従性を向上させることができる。これにより、パンチ装置の動力源がエアーシリンダーである場合に生じやすい外観不良や異物混入を伴う製品を生じ難くすることができる。そのため、変形例の製袋機30のように製袋機20にパンチ装置60を設ける場合には、オス刃62も、発熱ヘッド45や超音波ホーンヘッド42と同一周期で上下動(往復動)させることが好ましい。
【0072】
(製袋方法)
本発明の一実施形態の製袋方法は、上述した構成の製袋機20を用いてチャック付き袋1を製造する方法であって、チャック部材導入部23において、長手方向が搬送方向Cに沿うように、樹脂フィルム13a,13b同士の間にチャック部材14を配する工程と、超音波装置26によって、チャック部材14の両端部を超音波によって軟化させて押し潰す工程と、幅方向Wに沿って、所定の間隔で樹脂フィルム13a,13b同士を熱融着する工程と、を少なくとも備えている。
【0073】
本発明の一実施形態の製袋方法によれば、超音波装置26の超音波ホーンヘッド42と、側縁部シール装置27の発熱ヘッド45とが、ズレなく同期する。そのため、製造したチャック付き袋1に、同期ズレに起因する皺などが生じることがない。また、サーボモータ57などの回転装置によって超音波装置26の超音波ホーンヘッド42を往復動させる。そのため、チャック付き袋1の生産性を向上させることができる。
【0074】
なお、本発明は、図面を参照して説明した上記一実施形態の製袋機を用いた製袋方法に限定されるものではなく、その技術的範囲において様々な変形例が考えられる。
【0075】
例えば、図5に示すように、変形例の製袋機30を用いた製袋方法は、上記一実施形態の製袋機20を用いた製袋方法に加えて、パンチ装置60によって、多重フィルムSを打ち抜く工程を備える。本発明の変形例の製袋方法によれば、超音波装置26の超音波ホーンヘッド42と、側縁部シール装置27の発熱ヘッド45と、パンチ装置60のオス刃62が、ズレなく同期する。そのため、製造したチャック付き袋2に、同期ズレに起因する皺などが生じることがなく、外観不良や異物混入も生じにくい。
【0076】
以上、本発明の実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明によれば、チャック付き袋の製造効率の向上を可能にする、また、各工程の同期が容易な製袋機を提供することができる。
【符号の説明】
【0078】
1,2…チャック付き袋
4…ノッチ
5…フック穴
6…コーナーカット
1A…開封部
1B,1C…側縁部
1D…底部
13,13a,13b…樹脂フィルム
14…チャック部材
20…製袋機
21…樹脂フィルム供給部
22…反転切断部
23…チャック部材導入部
24…チャックシール装置
25…縦縁部シール装置
26…超音波装置
27…側縁部シール装置
28…カッターユニット
41…アンビル(受け台)
42…超音波ホーンヘッド
45…発熱ヘッド
51…リンク部材(リンクバー)
56…偏心カム装置(カム機構)
57…サーボモータ(回転装置)
60…パンチ装置
61…メス刃
62…オス刃
C…搬送方向
S…多重フィルム
W…幅方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6