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特許7407820メチルセルロースを含むグレイビートッピングを含むペットフード、及びこのようなペットフードの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-21
(45)【発行日】2024-01-04
(54)【発明の名称】メチルセルロースを含むグレイビートッピングを含むペットフード、及びこのようなペットフードの製造方法
(51)【国際特許分類】
   A23K 20/163 20160101AFI20231222BHJP
   A23K 40/20 20160101ALI20231222BHJP
   A23K 50/40 20160101ALI20231222BHJP
   A23K 10/20 20160101ALI20231222BHJP
【FI】
A23K20/163
A23K40/20
A23K50/40
A23K10/20
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2021534765
(86)(22)【出願日】2019-12-20
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-18
(86)【国際出願番号】 IB2019061230
(87)【国際公開番号】W WO2020136536
(87)【国際公開日】2020-07-02
【審査請求日】2022-10-20
(31)【優先権主張番号】62/784,610
(32)【優先日】2018-12-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】590002013
【氏名又は名称】ソシエテ・デ・プロデュイ・ネスレ・エス・アー
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100140453
【弁理士】
【氏名又は名称】戸津 洋介
(72)【発明者】
【氏名】ルアネ, ローラン
(72)【発明者】
【氏名】ワテレイン, アニー
(72)【発明者】
【氏名】ロイ, フランシスコ
(72)【発明者】
【氏名】デソヴァージュ, ジュリアン
【審査官】吉原 健太
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第01527699(EP,A1)
【文献】特開2013-176380(JP,A)
【文献】特表2006-506077(JP,A)
【文献】特開2008-148714(JP,A)
【文献】特開2014-193125(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0081384(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0338383(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23K 10/00 - 50/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
多層ペットフードの製造方法であって、
約0.1重量%~約5.0重量%のメチルセルロースを含むグレイビーである第1の食用組成物を第1の温度で調製する工程であって、前記第1の温度が約10℃~約26℃である、工程と、
前記グレイビーを含む第1の層を容器内に充填する工程と、
前記グレイビーを含む前記容器を第2の温度まで加熱して、前記グレイビーをゼリー化する工程と、
第2の食用組成物を含む第2の層を、前記容器内に及び前記第1の層の上に充填する工程であって、前記第1の層と前記第2の層とが別個の層である、工程と、を含む、方法。
【請求項2】
前記容器を、前記第1の層の前記充填後及び前記加熱前に充填位置から加熱ゾーンに移送する工程を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記加熱ゾーンが、赤外線熱源を備える、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記赤外線熱源が、前記容器の下に配置されている、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記容器を、前記加熱後及び前記第2の層の前記充填前に非加熱ゾーンに移送する工程を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記グレイビーが、約0.1重量%~約5.0重量%のガラクトマンナンを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記ガラクトマンナンが、グアーである、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記グレイビーが、約10重量%以下の量で追加の成分を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記追加の成分が、塩、糖、アミノ酸、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記第2の温度が、約30℃~約70℃である、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記第1の層が、前記ペットフードの総重量の約5%~約20%である、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記第1の層及び前記第2の層の入っている前記容器を密封する工程を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記密封された容器をレトルト処理する工程を更に含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記第2の食用組成物が、ローフ型食品、ミートエマルジョン、及びムースから選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記容器が反転され、前記ペットフードが前記容器から取り出されるとき、前記第2の食用組成物を含む前記第2の層が、前記グレイビーを含む前記第1の層によって実質的に覆われる、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
多層ペットフードであって、
約0.1重量%~約5.0重量%のメチルセルロースと、約0.1重量%~約5.0重量%のグアーとを含むグレイビーである第1の食用組成物、及び
第2の食用組成物を含み、
前記第1の食用組成物と前記第2の食用組成物とが別個の層である、多層ペットフード。
【請求項17】
前記第2の食用組成物が、ミートエマルジョンである、請求項16に記載の多層ペットフード。
【請求項18】
前記第1の食用組成物対前記第2の食用組成物の重量比が、約20:80~約40:60である、請求項16に記載の多層ペットフード。
【請求項19】
多層ペットフードを調製するためのシステムであって、
容器ローディングステーションと、
第1の食用組成物を含む第1の層を、前記容器に分配するための第1の充填器と、
熱源を備える加熱ユニットと、
第2の食用組成物を含む第2の層を前記容器内に及び前記第1の層の上に分配するための第2の充填器と、
蓋閉めステーションと、
前記第1の層及び前記第2の層の入っている前記容器を計量するための計量ステーションと、を備え、
前記加熱ユニットは、前記第1の充填器が前記第1の層を前記容器に分配した後、前記第2の充填器が前記第2の層を前記容器内に及び前記第1の層の上に分配する前に、前記容器を加熱するように構成されている、システム。
【請求項20】
前記熱源が、赤外線熱源である、請求項19に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001]本出願は、2018年12月24日に出願された米国仮出願第62/784,610号の優先権を主張するものであり、その開示の全容がこの参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
[技術分野]
[0002]本明細書では、多層ペットフード組成物及びこのようなペットフード組成物の製造方法が提供される。
【0003】
[背景技術]
[0003]市場には多くのペットフード製品が存在する。ペットフード製品は、キブル、ビスケット、ローハイド製品及びミートエマルジョン製品などの種々の形状及び構造であり得る。典型的には、これらのペットフード製品は、通常、製品全体が同じ材料から製造されるという点で、均質である。異なる材料から製造されているように見えるペットフード製品であっても、通常、ペットフード製品に多要素の外観を付与するよう、同じベース材料に異なる色を施すことによって製造される。
【0004】
[0004]多層ペットフード製品は、消費者にとって非常に魅力的であるが、製造業者にとって困難なものである。例えば、ペットフード産業では、グレイビートッピング仕立てのムース若しくはミートエマルジョンを含む、又はゼリーとグレイビートッピングとで仕立てたチャンクを含む、レトルト製品において、実質的に平坦な頂部を得ることは困難である。
【0005】
[0005]したがって、消費者の関心を更に刺激するために、新しい、興味を引くテクスチャー及び外観を有するペットフード製品が当該産業において必要とされている。
【0006】
[発明の概要]
[0006]本開示は、概して、多層ペットフードの製造方法であって、約0.1重量%~約5.0重量%のメチルセルロースを含むグレイビーである第1の食用組成物を第1の温度で調製する工程であって、第1の温度が約10℃~約26℃である、工程と、グレイビーを含む第1の層を容器内に充填する工程と、グレイビーの入っている容器を第2の温度まで加熱して、グレイビーをゼリー化する工程と、第2の食用組成物を含む第2の層を、前記容器内に及び第1の層の上に充填する工程であって、第1の層と第2の層とが別個の層である、工程とを含む、方法に関する。
【0007】
[0007]本開示の別の態様は、概して、多層ペットフードであって、約0.1重量%~約5.0重量%のメチルセルロースと、約0.1重量%~約5.0重量%のグアーとを含むグレイビーである第1の食用組成物、及び第2の食用組成物を含み、第1の食用組成物と第2の食用組成物とが別個の層である、多層ペットフードに関する。
【0008】
[0008]本開示の別の態様は、多層ペットフードを調製するためのシステムであって、容器ローディングステーションと、第1の食用組成物を含む第1の層を容器に分配するための第1の充填器と、熱源を含む加熱ユニットと、第2の食用組成物を含む第2の層を前記容器内に及び第1の層の上に分配するための第2の充填剤と、蓋閉めステーションと、第1の層及び第2の層の入っている容器を計量するための計量ステーションと、を備える、システムである。
【0009】
[0009]追加の特徴及び利点を本明細書に記載する。これらは、以下の発明の詳細な説明及び図面から明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本開示の実施例1におけるさまざまなグレイビー組成物のグレイビー粘度対温度のグラフである。
図2】本明細書の実施例2に記載の、さまざまな量のメチルセルロースとグアーガムとを含むグレイビー組成物の代表的なレオグラムである。
図3】プロセスの異なる段階、すなわち、グレイビーの容器への充填、グレイビーのゼリー化、そしてグレイビー及びミートエマルジョンの調理、の間の、グレイビー及びミートエマルジョンの代表的なレオグラムである。
図4】本明細書の実施例4に記載のさまざまなグレイビー組成物の、ゼリー化挙動を示す。
図5】金属缶から出した製品を示す写真であり、製品は、本明細書の実施例5に記載のミートエマルジョンのベース層上に、メチルセルロースを含まないさまざまな粘度のグレイビートッピングを含む。
図6】プラスチック製タブから出した製品の代表的な写真であり、製品は、本明細書の実施例6に記載の、ミート/ムースのベース層上にメチルセルロースを含むグレイビーのトッピングを含む。
図7】プラスチック製タブ(左)及び金属缶(中央、右)からの製品の代表的な写真であり、本明細書の実施例7に記載の、ミートのベース層上にメチルセルロースを含む、グレイビーのトッピングを含む。
【0011】
[発明を実施するための形態]
[0010]定義
[0011]以下、いくつかの定義を示す。しかしながら定義が以下の「実施形態」の項にある場合もあり、上記の見出し「定義」は、「実施形態」の項におけるそのような開示が定義ではないことを意味するものではない。
【0012】
[0012]本開示及び添付の特許請求の範囲において使用されるとき、単数形「1つの」、すなわち「a」、「an」及び「the」には、別段の指示がない限り、複数の参照物も含まれる。したがって、例えば、「肉(a meat)」についての言及は、2つ以上の肉を含む。
【0013】
[0013]「X及び/又はY」の文脈において使用される用語「及び/又は」は、「X」又は「Y」又は「X及びYの両方」と解釈される。同様に、「X又はYのうちの少なくとも1つ」は、「X」又は「Y」又は「X及びYの両方」と解釈される。本明細書で使用するとき、用語「例」及び「例えば、」は、特に、用語の列挙が続く場合には、単に例示的かつ例示するものであり、排他的とも包括的とも見なされない。別途記載のない限り、本明細書で開示される任意の実施形態を、本明細書で開示される任意の別の実施形態と組み合わせることができる。
【0014】
[0014]用語「含む(comprise)」、「含む(comprises)」、及び「含んでいる(comprising)」は、排他的にではなく包含的に解釈されるべきである。同様にして、用語「含む(include)」、「含む(including)」及び「又は(or)」は全て、このような解釈が文脈から明確に妨げられない限りは他を包含し得るものであると解釈される。
【0015】
[0015]しかしながら、本明細書において開示される組成物には、具体的に開示されない任意の要素が存在しない場合がある。したがって、「含む/備える(comprising)」という用語を用いた実施形態の開示は、特定されている構成成分「から本質的になる(consisting essentially of)」実施形態、及び「からなる(consisting of)」実施形態の開示を含む。同様にして、本明細書で開示の方法には、本明細書において具体的に開示されない任意のステップが存在しない場合がある。したがって、「を含む」という用語を用いた実施形態の開示は、特定されている工程「から本質的になる」実施形態、及び「からなる」実施形態の開示を含む。「から本質的になる」とは、実施形態が、特定の構成要素を50重量%超、好ましくは特定の構成要素を少なくとも75重量%、より好ましくは特定の構成要素を少なくとも85重量%、最も好ましくは特定の構成要素を少なくとも95重量%、例えば、特定の構成要素を少なくとも99重量%含むことを意味する。
【0016】
[0016]本明細書で使用するとき、「約」、「およそ」、及び「実質的に」は、例えば、参照された数の-10%~+10%以内、参照された数の-5%~+5%以内、参照された数の-1%~+1%、又は参照された数の-0.1%~+0.1%以内の範囲の数を指すものと理解される。更に、本明細書における全ての数値範囲は、その範囲内の全ての整数、整数又は分数を含むものと理解されたい。更に、これらの数値範囲は、この範囲内の任意の数又は数の部分集合を対象とする請求項を支持すると解釈されたい。例えば、1~10という開示は、1~8、3~7、1~9、3.6~4.6、3.5~9.9などの範囲をサポートするものと解釈される。
【0017】
[0017]本明細書に記載する全ての百分率は、別途記載のない限り、組成物の総重量によるものである。pHを参照するとき、値は、標準的な装置を用いて25℃で測定したpHに相当する。
【0018】
[0018]用語「ペット」は、本開示により提示される組成物から利益を得ること、又は当該組成物を楽しむことができる任意の動物を意味する。例えば、ペットは、鳥類、ウシ科動物、イヌ科動物、ウマ科動物、ネコ科動物、ヤギ、オオカミ科動物、ネズミ、ヒツジ又はブタといった動物であってもよいが、ペットは任意の好適な動物であり得る。用語「コンパニオンアニマル」とは、イヌ又はネコを意味する。
【0019】
[0019]用語「食品」、「食品製品」及び「食品組成物」は、ヒトを含む動物によって摂取されることが意図され、動物に少なくとも1種の栄養素を提供する製品又は組成物を意味する。用語「ペットフード」とは、ペットによる摂取を意図した任意の食品組成物を意味する。「ドライフード」は、水分活性が0.75未満のペットフードである。「セミモイストフード」及び「中間水分食品」は、水分活性が0.75~0.85のペットフードである。「ウェットフード」は、水分活性が0.85超のペットフードである。本明細書で使用するとき、「多層」ペットフードは、互いに異なるテクスチャーを有する、好ましくは、層間の境界が見えるように互いに異なる少なくとも1つの視覚的特性を有する、複数の別個の層を有しており、ペットフードの別個の層は、少なくとも周囲条件、すなわち、15℃~25℃の温度及び約100kPaの圧力で互いに混ざり合わない。
【0020】
[0020]別段の定義がない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語、専門用語、並びに頭字語は、本開示の分野(複数可)の当業者により、又は用語が用いられている分野(複数可)において、一般的な理解がなされている意味を有している。本明細書に記載のものと類似する又は等価の任意の組成物、方法、製品、又はその他の手法若しくは材料を使用できるが、好ましい機器、方法、製品、又はその他の手法若しくは材料を本明細書において記載する。
【0021】
[0021]実施形態
[0022]多層ペットフード組成物及び多層ペットフードの製造方法が、以下に詳細に記載されるとおりに開示される。
【0022】
[0023]本開示の一態様は、多層ペットフードの製造方法であって、約0.1重量%~約5.0重量%のメチルセルロースを含むグレイビーである第1の食用組成物を第1の温度で調製する工程であって、第1の温度が約10℃~約26℃である、工程と、グレイビーを含む第1の層を容器内に充填する工程と、グレイビーの入っている容器を第2の温度まで加熱して、グレイビーをゼリー化する工程と、第2の食用組成物を含む第2の層を、前記容器内に及び第1の層の上に充填する工程であって、第1の層と第2の層とが別個の層である、工程とを含む、方法である。
【0023】
[0024]本方法のいくつかの実施形態では、グレイビーは、約0.1重量%~約5.0重量%の量でメチルセルロースを含む。本方法の別の実施形態では、グレイビーは、約0.1重量%~約4.0重量%の量でメチルセルロースを含む。別の実施形態では、グレイビーは、約0.1重量%~約3.0重量%の量でメチルセルロースを含む。別の実施形態では、グレイビーは、約0.1重量%~約2.0重量%の量でメチルセルロースを含む。別の実施形態では、グレイビーは、約1.0重量%~約2.0重量%の量でメチルセルロースを含む。一実施形態では、グレイビーは、約1.0重量%の量でメチルセルロースを含む。一実施形態では、グレイビーは、約1.25重量%の量でメチルセルロースを含む。別の実施形態では、グレイビーは、約1.4重量%の量でメチルセルロースを含む。
【0024】
[0025]本方法のいくつかの実施形態では、メチルセルロースを含むグレイビーは、約10℃~約26℃の第1の温度で調製される。いくつかの実施形態では、メチルセルロースを含むグレイビーは、約26℃より低い第1の温度で調製される。いくつかの実施形態では、グレイビーが調製される温度、及びグレイビーが容器内に充填されて第1の層を形成する温度は、およそ同じ温度である。例えば、約10℃~約26℃である。いくつかの実施形態では、グレイビーの温度が、第1の層の調製及び/又は充填中に約26℃を超える場合、グレイビーを第2の温度まで続けて加熱すると、ゼリー化が完了することもなく、又はいかなる程度までのゼリー化も起きない。
【0025】
[0026]本方法のいくつかの実施形態では、グレイビーを含む第1の層は、ペットフードの総重量の約5~約20%である。いくつかの実施形態では、第1の層は、ペットフードの総重量の約10~約14%である。いくつかの実施形態では、第1の層は、ペットフードの総重量の約10~約13%である。いくつかの実施形態では、第1の層は、ペットフードの総重量の約10~約12%である。いくつかの実施形態では、第1の層は、ペットフードの総重量の約10%、約11%、約12%、約13%、約14%、約15%である。
【0026】
[0027]本方法のいくつかの実施形態では、容器としては、袋、箱、パウチ、カートン、ジャー、ボトル、缶、又はタブが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、容器は、プラスチック、金属、金属合金、紙、ポリマー、ガラス、又はこれらの組み合わせをはじめとするがこれらに限定されない材料で製造することができる。一実施形態では、容器は、金属缶である。一実施形態では、容器は、プラスチック製タブである。容器は、立方体、円筒、円形、楕円形、正方形、又は矩形をはじめとするがこれらに限定されない任意の好適な形状であり得る。容器は、対称であっても非対称であってもよい。
【0027】
[0028]本方法のいくつかの実施形態では、加熱は、充填と同じ位置で行うことができる。例えば、充填は、ある位置で行うことができ、かつ加熱を充填と同じ位置で行うことができ、加熱のために容器を第2の位置に移送する必要はない。いくつかの実施形態では、本方法は、第1の層の充填後及び加熱前に、充填位置から熱源を含む加熱ゾーンへと容器を移送する工程を更に含む。
【0028】
[0029]グレイビーの入っている容器の加熱により、グレイビーの温度を約20℃~約44℃上昇させることができ、例えば、約10℃~約26℃の第1の温度から約30℃~約70℃の第2の温度まで上昇させることができる。いくつかの実施形態では、加熱中のグレイビーの温度は、グレイビー全体にわたって均一なものではない。例えば、加熱中、グレイビーには温度勾配が存在し得る。いくつかの実施形態では、グレイビーの下側部分(例えば、熱源に最も近い部分)は、約60℃~約70℃の温度を有し得、グレイビーの上側部分は、約40℃~約50℃の温度を有し得る。
【0029】
[0030]本方法の一実施形態では、グレイビーの加熱は、マイクロ波、蒸気、熱風、熱水浴、ホットプレート、又は赤外線をはじめとするがこれらに限定されない、食品産業において使用される任意の熱源を用いて達成することができる。用いられる熱源は、概して、容器を構成する材料に適したものであることが理解される。非限定的な例として、赤外線加熱を使用して、容器内の5g~20gのグレイビーを、約20℃から約70℃まで、約10秒~約80秒で加熱することができる。別の非限定的な例では、赤外線加熱を使用して、容器内の7gのグレイビーを、約20℃から約65℃まで、約75秒で加熱することができる。一実施形態では、容器内のグレイビーは、第2の食用組成物が添加される前に冷却工程を経ない。
【0030】
[0031]一実施形態では、容器は、加熱中にこれといった損傷を受けない。例えば、容器は溶融せず、変形されず、及び/又は容器の一体性は、他の方法で損なわれない。例えば、マイクロ波エネルギーが加熱に使用される場合、容器は、好ましくはプラスチックである。
【0031】
[0032]一実施形態では、本方法は、赤外線熱源である熱源を含む。いくつかの実施形態では、熱源は、グレイビーの入っている容器の下に配置されている。いくつかの実施形態では、熱源は、グレイビーの入っている容器の下の加熱ゾーン内に配置されており、加熱ゾーンは、グレイビーを含む第1の層の充填位置とは別個であり下流にある。いくつかの実施形態では、熱源は、熱ランプ、石英ランプ、石英管、金属シース要素、セラミック要素、ガラス又は金属パネルをはじめとするがこれらに限定されない赤外線熱源である。一実施形態では、熱源は、赤外線ランプである。
【0032】
[0033]本方法のいくつかの実施形態では、熱源は、複数の赤外線ランプを備える。いくつかの実施形態では、熱源は、2個の赤外線ランプ、3個の赤外線ランプ、4個の赤外線ランプ、5個の赤外線ランプ、又は6個の赤外線ランプを備える。いくつかの実施形態では、熱源は、最大72個の赤外線ランプを備える。
【0033】
[0034]いくつかの実施形態では、熱源によって得られる総出力は、約180kW~約200kWである。一実施形態では、熱源によって得られる総出力は、約198kWである。例えば、一実施形態では、複数の赤外線ランプのそれぞれにより、それぞれ、約2kW、約3kW、又は約5kWの出力が得られる。
【0034】
[0035]本方法のいくつかの実施形態では、熱源は、追加の構成要素を備える加熱ユニットの一部である。例えば、いくつかの実施形態では、赤外線ランプは、赤外線ランプを囲って赤外線ランプのクリーニング操作を保護及び支持する、エンクロージャを備える加熱ユニットの一部であり得る。いくつかの実施形態では、加熱ユニットは、加熱ユニットの頂部に、耐高温ガラス(例えば、SCHOTTから入手可能なNEXTREMA GLASS)を更に含む。耐高温ガラスは、典型的には、熱源に合った伝達特性を有する。例えば、熱源が赤外線熱源である場合、ガラスは、赤外線範囲での伝達のために適したものにすることができる。いくつかの実施形態では、加熱ユニットは、熱源を冷却するため、冷却ユニットを更に備える。例えば、加熱ユニットは、赤外線ランプを冷却するため、ファン又は他の空気流源を含んでもよい。
【0035】
[0036]本方法のいくつかの実施形態では、加熱ゾーンは、熱源を含む加熱ユニットを更に備える。いくつかの実施形態では、加熱ゾーンは、複数の加熱ユニットを備える。例えば、加熱ゾーンは、熱源を含む複数の加熱ユニットを備える。いくつかの実施形態では、加熱ゾーンは、1個の加熱ユニット、2個の加熱ユニット、3個の加熱ユニット、4個の加熱ユニット、5個の加熱ユニット、又は6個の加熱ユニットを備える。いくつかの実施形態では、各加熱ユニットは、複数の熱源を備える(例えば、各加熱ユニットは、2個、4個、6個、8個、10個、又は12個の赤外線ランプを備えてもよい)。加熱ユニットを備える加熱ゾーンは、複数の構成のうちのいずれか1つで構成することができる。例えば、加熱ゾーンは、端部から端部まで構成された3個の加熱ユニット(例えば、1つの加熱ユニット×3個の加熱ユニットの寸法を有する)を含んでもよい。別の例示的な実施形態では、加熱ゾーンは、2個の加熱ユニット×3個の加熱ユニットの寸法を有する、6個の加熱ユニットを備える。
【0036】
[0037]本方法のいくつかの実施形態では、加熱ユニットの上で容器を水平に搬送してこの加熱ゾーンを通過させることができる。いくつかの実施形態では、容器が加熱ゾーンを通って水平に搬送される速度により、加熱ゾーンにおける容器の滞留時間が規定される。いくつかの実施形態では、加熱ゾーンにおける容器の滞留時間は、熱源の出力設定及びサイクル/単位時間によって規定される(例えば、加熱ゾーンを通る容器の速度によって決定される)システムのスループットに応じて異なる。一実施形態では、グレイビーの入っている容器の、加熱ゾーンにおける滞留時間は、約2分~約3分である。一実施形態では、グレイビーの入っている容器の加熱ゾーンにおける滞留時間は、約2分5秒、2分10秒、約2分15秒、約2分20秒、約2分25秒、約2分30秒、約2分35秒、約2分40秒、約2分45秒、約2分50秒、約2分55秒である。
【0037】
[0038]スループットは、加工時間、容器の列の数、及び各列内の容器の数によって決定することができる。いくつかの実施形態では、スループットは、200~300個/分であり得る。いくつかの実施形態では、スループットは、225~275個/分であり得る。一実施形態では、スループットは、250個/分であり得る。例えば、本方法は、10列の容器を含み、各列が、25個の容器であり、250個/分のスループットを有することができる。一実施形態では、10個の充填密封された容器が、2秒毎にシステムから出る。
【0038】
[0039]熱源を含む加熱ユニットを備える加熱ゾーンに加えて、本方法は、容器の上側の区画(例えば、グレイビー、ゼリー、又はミートエマルジョンの入っていない、又はそれらと接触していない区画)を冷却するように構成された冷却ユニットを更に備えてもよい。冷却ユニットは、容器の上側の区画に向けダクトを通る空気であり得る。冷却ユニットは、グレイビーの入っている容器を熱源が下から加熱しているのと同時に、容器の上側の区画に向けダクトを通る空気を提供することができる。いくつかの実施形態では、グレイビー、ゼリー又はミートエマルジョンと接触していない、又はそれらと接触していない容器の上側の区画は、加熱ゾーンにおける加熱中に約90℃又は約95℃の温度を超えない。
【0039】
[0040]本方法のいくつかの実施形態では、加熱が完了してから(例えば、グレイビーが第2の温度まで加熱され、ゼリーになっている)、容器を、更に下流の非加熱ゾーンまで搬送することができ、第2の食用組成物を含む第2の層が前記容器内に及びゼリーの上に分配される。いくつかの実施形態では、第2の食用組成物は、第2層の充填前に、約40℃~約70℃の温度に予め調理される。いくつかの実施形態では、第2の食用組成物は、第2層の充填中に約40℃~約70℃の温度を有する。
【0040】
[0041]本方法の一実施形態では、グレイビーは、ガラクトマンナンなどのヒドロコロイドを更に含んでもよい。いくつかの実施形態では、ガラクトマンナンは、フェヌグリークガム、グアーガム、タラガム、ローカストビーンガム、及びカシアガムからなる群から選択される。一実施形態では、ガラクトマンナンは、グアーガムである。いくつかの実施形態では、グレイビーは、約0.1重量%~約5.0重量%の量でグアーガムを含む。一実施形態では、グレイビーは、約0.1重量%~約4.0重量%の量でグアーガムを含む。別の実施形態では、グレイビーは、約0.1重量%~約3.0重量%の量でグアーガムを含む。別の実施形態では、グレイビーは、約0.1重量%~約2.5重量%の量でグアーガムを含む。別の実施形態では、グレイビーは、約1.0重量%~約2.0重量%の量でグアーガムを含む。別の実施形態では、グレイビーは、約0.8重量%~約1.4重量%の量でグアーガムを含む。一実施形態では、グレイビーは、約0.8重量%、約1.0重量%、約1.4重量%、又は約1.7重量%の量でグアーガムを含む。
【0041】
[0042]いくつかの実施形態では、第2の温度は、約30℃~約70℃である。別の実施形態では、第2の温度は、約60℃~約70℃である。一実施形態では、第2の温度は、約60℃~約65℃である。
【0042】
[0043]いくつかの実施形態では、メチルセルロースと、ガラクトマンナン、例えばグアーガムとの組み合わせにより、より低い第2の温度でのグレイビーのゼリー化の開始及び/又は完了が可能になる。例えば、メチルセルロースとグアーとの組み合わせにより、約55℃~約65℃でのゼリー化の開始がもたらされる。他の実施形態では、メチルセルロースとグアーとの組み合わせにより、約55℃、約60℃、又は約65℃のゼリー化の開始がもたらされる。いくつかの実施形態では、メチルセルロースと、ガラクトマンナン、例えばグアーガムとの組み合わせにより、より低い温度でのゼリー化の完了がもたらされる。いくつかの実施形態では、メチルセルロースとグアーとの組み合わせにより、ゼリー化は、約65℃、約70℃、又は約75℃で実質的に完了する。
【0043】
[0044]一実施形態では、グレイビーは、追加の成分を更に含んでもよい。いくつかの実施形態では、追加の成分により、より低温でのグレイビーのゼリー化の開始及び/又は完了が可能になる。いくつかの実施形態では、追加の成分により、追加の成分が存在しないメチルセルロースとグアーとの組み合わせにより達成される温度よりも更に低い、ゼリー化の開始及び/又は完了のための温度が可能になる。いくつかの実施形態では、グレイビーは、約10.0重量%以下の量で追加の成分を更に含んでもよい。いくつかの実施形態では、追加の成分は、塩、糖、アミノ酸、又はこれらの組み合わせから選択することができる。一実施形態では、追加の成分は、塩である。いくつかの実施形態では、塩は、NaCl若しくは二リン酸三ナトリウム(TSDP)、又はこれらの組み合わせであり得る。いくつかの実施形態では、塩は、約10重量%以下の量で存在する。いくつかの実施形態では、塩は、約4.0重量%以下の量で存在する。いくつかの実施形態では、塩は、約3.0重量%以下の量で存在する。いくつかの実施形態では、塩は、約2.0重量%以下の量で存在する。別の実施形態では、塩は、約1.0重量%以下の量で存在する。いくつかの実施形態では、追加の成分は、糖である。いくつかの実施形態では、糖は、焦がした糖(burnt sugar)であり得る。いくつかの実施形態では、糖は、約4.0重量%以下の量で存在し、いくつかの実施形態では、糖は、約3.0重量%以下の量、約2.0重量%以下の量、又は約1.0重量%以下の量で存在する。いくつかの実施形態では、追加の成分は、アミノ酸である。いくつかの実施形態では、アミノ酸は、約4.0重量%以下の量で存在し、いくつかの実施形態では、アミノ酸は、約3.0重量%以下の量、約2.0重量%以下の量、又は約1.0重量%以下の量で存在する。
【0044】
[0045]いくつかの実施形態では、本方法は、グレイビー及び第2の食用組成物の入っている容器を密封する工程と、次いで密封された容器をレトルト処理する工程とを更に含んでもよい。例えば、密封された容器は、密封された容器を約121℃~約128℃の温度で、約10~約60分間加熱処理することによってレトルト処理することができる。レトルト処理された容器は、例えば、周囲温度まで冷却することができる。いくつかの実施形態では、レトルト処理された容器が冷却される温度は、冷却操作に供給される水温に応じたものであり得る。例えば、一実施形態では、レトルト処理された容器は、約35℃の温度まで冷却することができる。
【0045】
[0046]本開示の別の態様は、この方法によって製造された多層ペットフードである。本開示の更に別の態様は、本明細書に開示される多層ペットフードを与えることによる、コンパニオンアニマルなどのペットへの栄養の提供方法である。多層ペットフードは、例えば、米国飼料検査官協会(The Association of American Feed Control Officials(AAFCO))の基準に従って、コンパニオンアニマルなどのペット用に配合することができる。
【0046】
[0047]容器を開封し、この容器を反転させてペットフードを容器から取り出すことにより、開封面が給餌装置に向いて下側になる場合、容器内でグレイビー及び第2の食用組成物を充填する順序によりグレイビーが第2の食用組成物の上側表面上に置かれ及び/又はそれを覆うことが確保される。
【0047】
[0048]様々な実施形態では、グレイビー対第2の食用組成物の重量比は、約10:90~約50:50、約12:88~約45:55、又は約20:80~約40:60であり得る。メチルセルロースは、グレイビーにおいて実質的にヒドロコロイドのみであり得(すなわち、グレイビーにおいてヒドロコロイドは、本質的にメチルセルロースからなるか、又はメチルセルロースからなり得る)、グアーガムがグレイビーに含まれる場合、メチルセルロースとグアーガムとは、グレイビーにおいて実質的にヒドロコロイドのみであり得る(すなわち、グレイビーにおいてヒドロコロイドは、メチルセルロースとグアーガムとから本質的になるか、又はそれからなり得る)。
【0048】
[0049]いくつかの実施形態では、第1の層は、グレイビーである第1の食用組成物を含み、第2の食用組成物を含む第2層は、別個の層である。いくつかの実施形態では、第2の食用組成物の平坦な上方表面は、容器内でグレイビーに接する。用語「上/上側」又は「頂部」は、第2の食用組成物が容器から取り出され、給餌装置上に置かれるとき、第2の食用組成物の高さが最も高くなる箇所を意味し、すなわち、第2の食用組成物の上側表面は、容器の開口部から最も離れている第2の食用組成物の表面である。本明細書で使用するとき、表面の少なくとも約70%が同一平面にある、表面の少なくとも約80%が同一平面にある、表面の少なくとも約90%が同一平面にある、又は表面の約100%が同一平面にある場合、表面は「平坦」である。例えば、容器が円筒缶である場合、第2の食用組成物の平坦な上方表面は、容器の開口部に対し実質的に平行であり得る。
【0049】
[0050]好適な容器の非限定的な例としては、金属缶(例えば、3オンス、85gの缶)、プラスチックトレイ、タブ、継ぎ合わされた容器(例えば、缶端部が缶本体と連結されている継ぎ合わされた缶)、可撓性パウチ、ガラスジャー、又はレトルト処理可能な剛性プラスチック容器が挙げられる。本開示は、容器の特定の実施形態に限定されるものではなく、容器は、グレイビー及び第2の食用組成物を受容し、次いでレトルト処理処理の条件に耐えることができる、任意の容器である。回転シーマーによって継ぎ合わされた容器の場合、グレイビーは、継ぎ合わせ中にゼリー化することができ、有利には、第2の食用組成物が容器内のグレイビーに接する、第2の食用組成物の平坦な表面を維持することができる。
【0050】
[0051]グレイビーは、メチルセルロースに加えて、食用成分、例えば、鶏肉風味料、牛肉風味料、魚風味料、野菜風味料、又は焦がした糖などの1つ以上の風味料;1つ以上の着色剤;1つ以上の可視栄養成分、例えば、ホウレンソウ、ニンジン、若しくはクランベリー;及び/又は1つ以上の薬味、例えば、パセリ若しくはオレガノを含有してもよい。追加の食用成分は、メチルセルロースの添加前、添加中、又は添加後に、グレイビーに添加することができる。
【0051】
[0052]一実施形態では、第2の食用組成物は、ムース又はミートエマルジョンなどのローフ型製品である。ムースは、甘味料又は香味料であり得る気泡食品製品であり、ゼラチン又は寒天で安定化することができる。甘いムースは、泡立てた卵白又は泡立てたクリームを用いて製造することができ、裏ごしした果実又はハーブ又はスパイス、例えば、ミント又はバニラで風味付けすることができる。香味のムースは、肉、魚、甲殻類、チーズ、又は野菜から製造することができる。いくつかの実施形態では、第2の食用組成物、例えば、ローフ型製品、ムース、又はミートエマルジョンは、ヒドロコロイドを更に含む。例えば、第2の食用組成物は、ローカストビーンガムを含んでもよい。いくつかの実施形態では、第2の食用組成物からのヒドロコロイドは、レトルト処理中に、ある程度、第1の食用組成物に放出されることがある。
【0052】
[0053]本明細書で使用するとき、ローフ型製品は、周囲温度及び周囲気圧で容器から取り出す最中及びその後に維持される構造を有する、ペットフードであり、その形状は、容器によってローフ型製品上に付与される。例えば、円筒缶から取り出されたローフ型製品は、缶の内部の対応する水平断面と実質的に同じ寸法を有する水平断面を有する、円筒形状を有することができる。一実施形態では、本明細書に開示されるペットフードにおける第2の食用組成物は、ローフ型ペットフードであり、容器から取り出した後に残ったグレイビーを有しておらず、すなわち、グレイビーの少なくとも一部分は、ローフ型ペットフードの頂部表面に位置付けられ、グレイビーの残りは、存在する場合、給餌装置ではなくローフ型ペットフードの外側側面に位置付けられる。一実施形態では、グレイビーは、容器から取り出した後に、ローフ型ペットフードの頂部表面にのみ位置付けられる。いくつかの実施形態では、グレイビーは、容器から取り出した直後には、ある期間にわたってローフ型ペットフードの頂部表面のみに位置付けられ、次いで、このグレイビーの少なくとも一部は、ローフ型ペットフードの1つ以上の側面をつたって下方へと滝状に流れ落ちる。
【0053】
[0054]別の態様では、本開示は、グレイビー及び第2の食用組成物を含む、多層ペットフードの入っている容器を製造することが可能なシステム(例えば、連続製造ライン)を提供する。一実施形態では、システムは、ローディングステーションと、第1の食用組成物を含む第1の層を容器内に分配するように構成された第1の充填器と、熱源を含む加熱ユニットと、第2の食用組成物を前記容器内に及び第1の層の上に分配するように構成された第2の充填器と、第1の層及び第2の層の入っている容器を計量するための計量ステーションと、を備える。充填された容器は、次いで、回転シーマーなどの適切な蓋閉め装置によって密封又は閉じられ、次いでスチーマ/レトルトステーションに搬送することができる。コンベヤーベルトを使用して、容器を連続製造ラインの1つのステーションから別のステーションに移送することができる。いくつかの実施形態では、システムは、第1の層の充填後及び第2の層の充填前に位置付けられた第2の計量ステーションを更に備えてもよい。第2の計量ステーションは、加熱前又は加熱後にグレイビーの入っている容器の重量を記録するように構成することができる。
【0054】
[0055]いくつかの実施形態では、システムは、マイクロ波、蒸気、熱風、熱水浴、ホットプレート、又は赤外線をはじめとするがこれらに限定されない、食品産業(例えば、ペットフード又はヒトの食品)に一般的に使用される任意の熱源を備えてもよい。用いられる熱源は、概して、容器が作り上げられる材料に適したものであることが理解される。一実施形態では、容器は、加熱中にそれほど損傷しない。例えば、容器は溶融せず、変形されず、及び/又は容器の一体性は、他の方法で損なわれない。例えば、マイクロ波エネルギーが加熱に使用される場合、容器は、好ましくはプラスチックである。
【0055】
[0056]非限定的な例として、赤外線熱源を使用して、容器内の5g~20gのグレイビーを、約20℃の第1の温度から約70℃の第2の温度まで、約10~約180秒間で加熱することができる。別の非限定的な例では、赤外線熱源を使用して、容器内の約5g~約20gのグレイビーを、約20℃の第1の温度から約70℃の第2の温度まで、約60~約180秒間で加熱することができる。別の非限定的な例では、赤外線熱源を使用して、容器内の約7gのグレイビーを、約20℃の第1の温度から約65℃の第2の温度まで、約120秒間で加熱することができる。一実施形態では、容器内のグレイビーは、第2の食用組成物が添加される前に、冷却工程を経ない。
【0056】
[0057]一実施形態では、システムは、赤外線熱源である熱源を備える。いくつかの実施形態では、赤外線熱源は、グレイビーの入っている容器の下に配置されている。いくつかの実施形態では、熱源は、グレイビーの入っている容器の下の加熱ゾーン内に配置されており、加熱ゾーンは、グレイビーを含む第1の層の充填位置とは別個であり下流にある。いくつかの実施形態では、赤外線熱源としては、熱ランプ、石英ランプ、石英管、金属シース要素、セラミック要素、ガラス又は金属パネルが挙げられるが、これらに限定されない。一実施形態では、熱源は、赤外線ランプである。
【0057】
[0058]システムのいくつかの実施形態では、熱源は、複数の赤外線ランプを備える。いくつかの実施形態では、熱源は、2個の赤外線ランプ、3個の赤外線ランプ、4個の赤外線ランプ、5個の赤外線ランプ、6個の赤外線ランプ、7個の赤外線ランプ、8個の赤外線ランプ、9個の赤外線ランプ、10個の赤外線ランプ、11個の赤外線ランプ、又は12個の赤外線ランプを備える。いくつかの実施形態では、熱源は、最大72個の赤外線ランプを備える。
【0058】
[0059]システムのいくつかの実施形態では、熱源は、加熱ユニットの構成要素である。システムのいくつかの実施形態では、熱源(例えば赤外線熱源、例えば赤外線ランプ)を備える加熱ユニットは、追加の構成要素を備える。例えば、いくつかの実施形態では、加熱ユニットは、熱源を囲って熱源の洗浄動作を保護及び支持する、エンクロージャを含んでもよい。いくつかの実施形態では、加熱ユニットは、耐高温ガラス(例えば、SCHOTTから入手可能なNEXTREMA GLASS)を更に備える。耐高温ガラスは、典型的には、熱源に合った伝達特性を有する。例えば、熱源が赤外線熱源である場合、ガラスは、赤外線範囲での伝達のために適したものにすることができる。例示的な一実施形態では、加熱ユニットは、赤外線ランプ及び高温抵抗ガラスを、赤外線範囲での伝達に適した加熱ユニットの上側表面に備える。いくつかの実施形態では、加熱ユニットは、熱源を冷却するため、冷却システムを更に備える。加熱ユニットは、複数の構成のうちのいずれか1つで構成することができる。例えば、加熱ユニットは、端部から端部まで構成することができる(例えば、1個の加熱ユニット×3個の加熱ユニットの寸法を有する)。別の例示的な実施形態では、加熱ユニットは、2個の加熱ユニット×3個の加熱ユニットの寸法で構成することができる。
【0059】
[0060]いくつかの実施形態では、熱源によって得ることができる総出力は、約180~約200kWである。一実施形態では、熱源によって得ることができる総出力は、約198kWである。例えば、複数の赤外線ランプにより、それぞれ、約2kW、約3kW、又は約5kWの出力を得ることができる。
【0060】
[0061]熱源を含む加熱ユニットに加えて、システムは、容器の上側の区画(例えば、グレイビー、ゼリー、又はミートエマルジョンの入っていない、又はそれらと接触していない区画)を冷却するように構成された冷却ユニットを更に備えてもよい。冷却ユニットは、容器の上側の区画に向けダクトを通る空気であり得る。冷却ユニットは、熱源を備える加熱ユニットがグレイビーの入っている容器を下から加熱しているのと同時に、容器の上側の区画に向けダクトを通る空気を方向付けることができる。いくつかの実施形態では、グレイビー、ゼリー又はミートエマルジョンと接触していない、又はそれらと接触していない容器の上側の区画は、加熱ゾーンにおける加熱中に約90℃又は約95℃の温度を超えない。
【0061】
[0062]いくつかの実施形態では、システムは、グレイビーの成分、すなわち、少なくともメチルセルロースと、更にグアーガムを含んでもよい水などの液体とを組み合わせるため、機械的ミキサを更に備えてもよい。
【0062】
[0063]いくつかの実施形態では、システムは、グレイビー及び第2の食用組成物の入っている容器を密封し、次いで密封された容器をレトルト処理するための構成要素を更に備えてもよい。例えば、密封された容器は、密封された容器を約121℃~約128℃の温度で、約10~約60分間加熱処理することによってレトルト処理することができる。レトルト処理された容器は、例えば、周囲温度まで冷却することができる。いくつかの実施形態では、レトルト処理された容器が冷却される温度は、冷却操作に供給される水温の関数であり得る。例えば、一実施形態では、レトルト処理された容器は、約35℃の温度まで冷却することができる。
【0063】
[実施例]
[0064]以下の非限定的な実施例により、本開示によって提供される実施形態及びその利点を例示する。
【0064】
実施例1
[0065]粘度分析については、アロマ系を含むが、異なる量のメチルセルロース(Ashland製のBenecel A4M)とグアーガムとを含有し、ベース配合が同じである3つの異なるグレイビーに対し実施した。全てのグレイビーを、20℃~26℃の初期温度で調製した。第1の試料は、1.0重量%のメチルセルロースと、0.8重量%のグアーガムとを含有していた。第2の試料は、1.4重量%のメチルセルロースと、0.8重量%のグアーガムとを含有していた。第3の試料は、1.0重量%のメチルセルロースと、1.0重量%のグアーガムとを含有していた。図1のグラフは、異なるグレイビーの粘度を温度の関数として示す。このグラフは、55℃~60℃の急速なゼリー化を示している。
【0065】
実施例2
[0066]メチルセルロース及びグアーガムを添加及び非添加の、いくつかのグレイビーのゼリー化挙動を、レオメータを使用した振動測定により試験した。弾性率については、グレイビー水分を維持するための高圧セルにて、1000μmのギャップを有する20mmの鋼製平行プレートであった。加熱のための方法パラメータは、変形1%のひずみ、及び周波数1Hz、傾斜温度25℃から120℃まで2℃分の速度で200点とした。冷却のための方法パラメータは、変形1%のひずみ、及び周波数1Hz、傾斜温度120℃から20℃まで5℃分の速度で200点とした。記録したパラメータは、パスカル単位のG’の剛性率、パスカル単位のG”の粘性係数であり、Tan(δ)=G”/G’であった。
【0066】
[0067]ベース配合が同じである、但し異なる量のメチルセルロースとグアーガムとを含む、3つのグレイビーを、上記のパラメータを用いて試験した。第1の試料は、1.0重量%のグアーガムを含有するがメチルセルロースは不含有であり、第2の試料は、1.25重量%のメチルセルロースを含有するがグアーガムは不含有であり、第3の試料は、1.0重量%のグアーガムと、1.25重量%のメチルセルロースとを含有していた。組成物を完全なレオグラム(加熱及び冷却段階)にて分析した。図2は、異なる組成物について、G’の剛性率のレオグラムを、加熱段階中の温度の関数として示している。メチルセルロースとグアーガムとの組み合わせを含有する組成物は、60℃~71℃で急速なゼリー化を示す。メチルセルロースのみを含有する組成物は、より高い温度でゼリー化を示すが、グアーガムのみを含有する組成物は、いかなるゼリー化も示していない。
【0067】
実施例3
[0068]1.0重量%のメチルセルロースと、1.4重量%のグアーガムとを含有するグレイビー組成物のG’の貯蔵弾性率を、レトルト処理中のミートエマルジョンのG’の貯蔵弾性率と比較した。初期加熱段階中、グレイビーは60℃でゼリー化が始まり、71℃まででゲルを形成する。この温度以降、ゲルは100℃まで安定である。ミートエマルジョンを60℃で予め調理し、挽き、次いで、ゼリー化したグレイビーの頂部に添加する。図3は、ゼリー及びミートのG’の貯蔵弾性率が非常に近いので、ゼリー構造がミートエマルジョンの添加によって影響を受けず、ひいては、ゼリーがその構造を120℃でのレトルト処理後にも維持することを示している。
【0068】
実施例4
[0069]メチルセルロースとグアーガムとを含有しており、塩を更に添加した及び非添加の、グレイビー組成物の挙動を調べた。第1の試料は、1.0重量%のメチルセルロースと、1.7重量%のグアーガムとを含有していた。第2の試料は、1.0重量%のメチルセルロースと、1.4重量%のグアーガムと、3.0重量%のNaClとを含有していた。第3の試料は、1.0重量%のメチルセルロースと、1.4重量%のグアーガムと、3.0重量%のNaClと、1.0重量%の二リン酸三ナトリウム(TSDP)とを含有していた。第4の試料は、1.0重量%のメチルセルロースと、1.4重量%のグアーガムと、1.0重量%のTSDPとを含有していた。ゼリー化の開始は、メチルセルロースとグアーガムとに加えて塩を含有する組成物の場合、図4のレオグラムに示すように低温で起こる。
【0069】
実施例5
[0070]85gのアルミニウム缶において、メチルセルロースを含まないグレイビーを、ミートエマルジョンのベース層と共に含有する製品の外観を調査するため、試験を実施した。それぞれの場合で、グレイビーを、20℃~26℃の温度で缶に分配し、ミートエマルジョンをグレイビーの上に積層した。この缶を密封し、120℃でレトルト処理した。缶を冷却し、開封し、反転させて、内部に入っている製品を取り出した。このようにして調製した製品は、図5に見られるように、ミートエマルジョンとグレイビーとを別個の層として維持していなかった。
【0070】
実施例6
[0071]実施例5において説明したとおりに、但し別の型の容器(280gのプラスチック製タブ)にて、追加の試験を実施した。ミートエマルジョンは、実施例5とわずかに異なる配合を有していたが、こちらにもメチルセルロースは含有させなかった。ミートエマルジョンは、図6に見られるように、離型後にグレイビーが頂部にあり、実質的に平坦な表面を維持していなかった。
【0071】
実施例7
[0072]実施例5において記載のとおりに、但し1.0重量%のメチルセルロースと、1.4重量%のグアーガムと、1.0重量%の焦がした糖とを含有するグレイビーを使用して、追加の試験を実施した。これらの場合では、2つの別個の層が維持され、ベース層の頂部は非常に平坦であり、グレイビーはベース層の上に残っていた。図7に示すように、280gのプラスチック製タブ(左)及び85gのアルミニウム缶(中間、右)を使用して、試験を順調に繰り返した。
【0072】
[0073]本明細書で説明されている現在の好ましい実施形態に対する様々な変更及び修正が、当業者には明らかとなる点を理解されたい。かかる変更及び改変は、本発明の主題の趣旨及び範囲から逸脱することなく、かつ意図される利点を損なわずに、行うことができる。それゆえ、そのような変更及び修正は、添付の特許請求の範囲に包含されることが意図されている。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7