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特許7407823引渡し側レピアヘッド、このような引渡し側レピアヘッドを備えた織機および二重緯入れするための方法
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  • 特許-引渡し側レピアヘッド、このような引渡し側レピアヘッドを備えた織機および二重緯入れするための方法 図1
  • 特許-引渡し側レピアヘッド、このような引渡し側レピアヘッドを備えた織機および二重緯入れするための方法 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-21
(45)【発行日】2024-01-04
(54)【発明の名称】引渡し側レピアヘッド、このような引渡し側レピアヘッドを備えた織機および二重緯入れするための方法
(51)【国際特許分類】
   D03D 47/23 20060101AFI20231222BHJP
   D03D 47/18 20060101ALI20231222BHJP
【FI】
D03D47/23
D03D47/18
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021535625
(86)(22)【出願日】2019-12-06
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-09
(86)【国際出願番号】 EP2019083971
(87)【国際公開番号】W WO2020126546
(87)【国際公開日】2020-06-25
【審査請求日】2022-12-06
(31)【優先権主張番号】102018222722.5
(32)【優先日】2018-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】591021578
【氏名又は名称】リンダウェル、ドルニエ、ゲゼルシャフト、ミット、ベシュレンクテル、ハフツング
【氏名又は名称原語表記】LINDAUER DORNIER GESELLSCHAFT MIT BESCHRANKTER HAFTUNG
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100141830
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 卓久
(72)【発明者】
【氏名】ラルス、エラー
(72)【発明者】
【氏名】フランク、ザイフリート
【審査官】▲高▼辻 将人
(56)【参考文献】
【文献】特表2002-530539(JP,A)
【文献】国際公開第2009/135636(WO,A1)
【文献】国際公開第2010/142264(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D03D29/00-51/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
二重緯入れ式のレピア織機用の引渡し側レピアヘッド(4)であって、第1の緯糸(7)用の第1のガイド装置(2)と、第2の緯糸(8)用の第2のガイド装置(3)と、を備え、両方の前記ガイド装置(2,3)は、前記引渡し側レピアヘッド(4)の、前記緯糸の挿入方向における前方の端部に互いに所定の間隔(5)を置いて配置されており、前記第1の緯糸(7)は、開放している前記第1のガイド装置(2)内でガイドされ、前記第2の緯糸(8)用の前記第2のガイド装置(3)は、該第2のガイド装置(3)を閉鎖状態に保つためのクランプ金属薄板(6)を有し、前記緯糸(7,8)は、緯入れ中にレピアクランプ(1)内にクランプされ、該レピアクランプ(1)は操作装置(9)によって、クランプ位置から、クランプしていない開放位置にもたらすことができ、前記クランプ金属薄板(6)は前記操作装置(9)によって、前記第2のガイド装置(3)を閉鎖していない開放位置にもたらすことができる、引渡し側レピアヘッド(4)において、
前記レピアクランプ(1)は、前記操作装置(9)による二重機能の意味において、前記緯糸(7,8)を前記レピアクランプ(1)から引き渡すために、前記クランプ金属薄板(6)の動きから切り離されて操作可能であるか、または前記第2の緯糸(8)を前記第2のガイド装置(3)からも解放するために、前記クランプ金属薄板(6)と一緒に操作可能であり、各々の前記緯糸(7,8)の解放の時点は調整可能であることを特徴とする、引渡し側レピアヘッド(4)。
【請求項2】
前記操作装置(9)は分割型のクランプレバー(10)であり、該分割型のクランプレバー(10)の第1の部分(10a)が、前記レピアクランプ(1)をその開閉のために操作し、前記分割型のクランプレバー(10)の第2の部分(10b)が、前記レピアクランプ(1)を操作し、且つ、前記第2のガイド装置(3)を開閉するために、前記クランプ金属薄板(6)も操作することを特徴とする、請求項1記載の引渡し側レピアヘッド(4)。
【請求項3】
前記レピアクランプ(1)からの前記緯糸(7,8)の解放の前記時点は、受取り側レピアヘッドへの引渡し位置への到達であることを特徴とする、請求項1または2記載の引渡し側レピアヘッド(4)。
【請求項4】
前記クランプ金属薄板(6)の操作による前記第2のガイド装置(3)からの前記第2の緯糸(8)の解放の前記時点は、前記引渡し側レピアヘッドによる、杼口の退出であることを特徴とする、請求項1または2記載の引渡し側レピアヘッド(4)。
【請求項5】
前記レピアクランプ(1)はそのクランプ位置において前記緯糸(7,8)をクランプ範囲内でクランプしており、前記緯糸(7,8)は、前記杼口内への挿入中、前記緯糸(7,8)が前記クランプ範囲内で該クランプ範囲を通じてずれ滑らないようなクランプ力によってクランプされていることを特徴とする、請求項4記載の引渡し側レピアヘッド(4)。
【請求項6】
前記クランプ金属薄板(6)は、前記第2のガイド装置(3)を閉鎖している位置において、前記杼口から外向きへの前記引渡し側レピアヘッド(4)の運動の際に、前記第2の緯糸(8)をガイドして、該第2の緯糸(8)を前記第2のガイド装置(3)を通して滑動させることを特徴とする、請求項5記載の引渡し側レピアヘッド(4)。
【請求項7】
請求項1から6までのいずれか1項記載の特徴を有する引渡し側レピアヘッド(4)と、緯糸引渡しのために該引渡し側レピアヘッド(4)と協働する受取り側レピアヘッドと、を備えた二重緯入れ用のレピア織機であって、前記引渡し側レピアヘッド(4)は、杼口内に2本の緯糸(7,8)を挿入する目的で該2本の緯糸(7,8)をクランプするためのレピアクランプ(1)と、クランプ金属薄板(6)であって、該クランプ金属薄板(6)により閉鎖可能な第2のガイド装置(3)内において前記第2の緯糸(8)をガイドするためのクランプ金属薄板(6)とによって、前記両方の緯糸(7,8)を互いに所定の間隔(5)を置いて前記杼口内に挿入し、該杼口の中間において、前記受取り側レピアヘッドは、互いに離間して配置された2つの凹部によって、互いに離間して前記引渡し側レピアヘッド(4)に保持された前記両方の緯糸(7,8)を、互いに離間した状態で前記引渡し側レピアヘッド(4)から受け取り、該引渡し側レピアヘッド(4)は、前記2本の緯糸(7,8)の引渡しを行った後、前記杼口から外向きに該杼口の挿入側に再び運動可能であり、この最中、前記第2の緯糸(8)は、第1の前記緯糸(7)に対して間隔固定されたまま、前記クランプ金属薄板(6)により閉鎖された第2のガイド装置(3)内で相変わらずガイドされていて、前記受取り側レピアヘッドが、前記杼口の進出側に運動するとき、前記両方の緯糸(7,8)は、全織り幅にわたって、平行から場合により僅かに逸脱して互いに配置されており、その後初めて、前記第2の緯糸(8)は、前記クランプ金属薄板(6)の操作による前記第2のガイド装置(3)の開放によって解放可能である、レピア織機。
【請求項8】
前記引渡し側レピアヘッド(4)は、第1の部分(10a)及び第2の部分(10b)を有するクランプレバー(10)を備え、前記受取り側レピアヘッドに引き渡すための領域において、前記レピアクランプ(1)は、操作装置(9)を介して前記第1の部分(10a)によって、前記緯糸(7,8)をクランプしている位置から、前記緯糸を解放する位置にもたらすことができ、前記クランプレバー(10)の前記第1の部分(10a)の操作は、前記クランプレバー(10)の前記第2の部分(10b)の操作から切り離されていることを特徴とする、請求項7記載のレピア織機。
【請求項9】
前記クランプ金属薄板(6)は、前記引渡し側レピアヘッド(4)の前記クランプレバー(10)の前記第2の部分(10b)によって、前記第2のガイド装置(3)を閉鎖している位置から開放位置にもたらすことができ、前記クランプレバー(10)の前記第2の部分(10b)は、前記クランプレバー(10)の前記第1の部分(10a)を二重機能の意味において一緒に操作することを特徴とする、請求項8記載のレピア織機。
【請求項10】
請求項7から9までのいずれか1項記載の特徴を有するレピア織機によって緯入れするための方法であって、1回の製織サイクルに対する所定の本数の緯糸において、第1の緯糸(7)及び第2の緯糸(8)が選択されると同時に、請求項1から6までのいずれか1項記載の特徴を有する引渡し側レピアヘッド(4)に供糸され、該引渡し側レピアヘッド(4)によって把持され、杼口内に挿入され、該杼口の中間において、両方の前記緯糸(7,8)相互の所定の間隔(5)を維持したまま受取り側レピアヘッドに引き渡され、前記両方の緯糸(7,8)を互いに離間させて前記引渡し側レピアヘッド(4)に保持される、方法において、
クランプ金属薄板(6)から独立して操作される、前記引渡し側レピアヘッド(4)のレピアクランプ(1)内にクランプされた前記両方の緯糸(7,8)は、前記杼口の中間において前記レピアクランプ(1)の開放後に前記受取り側レピアヘッドに引き渡され、まだ閉鎖状態に保たれている第2のガイド(3)内においてガイドされている前記第2の緯糸(8)は前記受取り側レピアヘッドに引き渡され、前記引渡し側レピアヘッド(4)が後退運動によって前記杼口を退出するまで、前記第2のガイド装置(3)は前記クランプ金属薄板(6)によって閉鎖状態に保たれ、これによって、前記受取り側レピアヘッドが前記杼口の進出側に進出するときに、前記両方の緯糸(7,8)は、互いに平行から場合により僅かに逸脱して、互いに離間して互いに配置されたままにすることを特徴とする、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、引渡し側レピアヘッド、このような引渡し側レピアヘッドを備えた織機および二重緯入れするための方法に関する。
【0002】
二重緯入れでは、引渡し側レピアヘッドによって2本の緯糸が同時に杼口内に挿入される。この杼口のほぼ中間において、両方の緯糸は受取り側レピアヘッドに引き渡される。この受取り側レピアヘッドは、緯糸をその引渡し後に杼口から進出側に搬送する。引渡し側レピアヘッドは、杼口から再び挿入側に後退して、そこで、新たに1本または2本の緯糸を受け取る。公知の引渡し側レピアヘッドは2つのガイド装置を有している。これら2つのガイド装置によって、2本の緯糸は互いに離間して杼口内に挿入される。受取り側レピアヘッドによって、確かに、引渡し側レピアヘッドにより離間して杼口内に挿入された緯糸は、離間した形態で杼口から再び進出することができるものの、公知のシステムでは、受取り側レピアヘッドへの引渡しひいては引渡し側レピアヘッドのガイド装置からの緯糸の解放が行われた後、緯糸の離間が失われていってしまうか、あるいは、一方の緯糸におけるこの個別のガイドが、ピック・ア・ピックシステム(Pic a Pic-System)とも呼ばれる自由なカラー選択を不可能にしてしまう。
【0003】
そこで、一方の緯糸用にレピアクランプが設けられていて、第2の緯糸用には、第1のガイド装置として働くレピアクランプに対して離間した第2のガイド装置が設けられている、いわゆるTexo引渡し側レピアヘッド(Texo-Bringer-Greiferkopf)が公知である。つまり、この公知の引渡し側レピアヘッドによって、2本の緯糸が、杼口のほぼ中間にまで互いに離間して挿入され、そこで、受取り側レピアヘッドによって受け取られる。引渡しが行われた後、レピアクランプも第2の緯糸用のガイド装置も開放され、これによって、受取り側レピアヘッドによる両方の緯糸の進出の際に、杼口の幅にわたる離間が再び解消される。つまり、両方の緯糸の間の分離が失われていく。これによって、ねじれの少ない二重緯入れが不可能となってしまう。この公知のシステムの利点は、確かに、第2のガイド装置を開閉することができるという事実のため、自由なカラー選択が可能になるという点にある。しかしながら、緯糸のねじれのない挿入は不可能である。緯糸が杼口の長さにわたって分離され、且つ、少ないねじれで杼口内に挿入できないと、完成した織物が低品質のものとなってしまう。
【0004】
引渡し側レピアヘッドも受取り側レピアヘッドも杼口を退出して、両方の緯糸を接結点に均一に押し付けることができるまで、両方の緯糸相互の離間を全二重緯入れ中に維持するために、レピアクランプと、第2のガイド装置として、開放することができない閉鎖されたアイレットとを有するパナマ引渡し側レピアヘッド(Panama-Bringer-Greiferkopf)と呼ばれる引渡し側レピアヘッドが開発された。第2のガイド装置としてのアイレットを通してガイドされた第2の緯糸は、杼口からの引渡し側レピアヘッドの後退中にも両方の緯糸の間の間隔を確保している。これによって、確かに、第2の緯糸も少ないねじれによって杼口内に導入することができるものの、これによって、ピック・ア・ピックシステムの実現が不可能となってしまう。なぜならば、閉鎖されたアイレットとして形成された第2の糸ガイド装置内の第2の緯糸によって、緯入れごとの緯糸の交換が不可能となってしまうからである。このためには、機械を停止させて、別の緯糸を引き込まなければならない。いずれにせよ、このことは、技術的に意義のある実現とは云えない。杼口内への2本の緯糸の挿入の離間および両方の緯糸の間隔の維持、ひいては杼口内への緯糸のねじれの少ない導入を、受取り側レピアヘッドも引渡し側レピアヘッドも杼口を再び退出するまで可能にし、さらに、いわゆるピック・ア・ピックシステムによって自由なカラー選択が保証されている引渡し側レピアヘッドシステムは、先行技術において公知ではない。
【0005】
国際公開第2010/142264号には、二重緯入れ用のシステムが記載されている。このシステムでは、2本の緯糸が引渡し側レピアヘッドによって杼口内に挿入される。両方の緯糸は、引渡し側レピアヘッドにおいて互いに別個の要素によってガイドされていて、クランプされている。両方の緯糸は、緯入れ中に互いに分離されたままとなるように位置決めされている。受取り側レピアヘッドへの引渡しが行われた後、両方の緯糸は解放され、これによって、引渡し側レピアヘッドが杼口から後退することができる。これによって、両方の緯糸はその相互の離間を失い、したがって、もはや均一に接結点に押し付けることができない。
【0006】
国際公開第2014/206818号には、二重緯入れするための方法および装置が記載されている。杼口内に同時に挿入される両方の緯糸のうちの第1の緯糸は、適合装置によって挿入方向を横切る方向において、第2の緯糸から離れる方向に動かされ、これによって、挿入時に両方の緯糸のねじれが生じないようになっている。第1の緯糸と第2の緯糸とは、レピアのヘッドに間隔を置いて保持される。この間隔は、導入中に適合装置によって増大させられる。緯糸同士の間隔は、杼口が閉鎖して、レピアが杼口の外部に配置されるまで維持されるようになっている。しかしながら、このアセンブリでは、緯糸同士が、杼口の閉鎖の時点で、接結点に対して変化する間隔を有している。この等しくない間隔は、すでに接結点に密接している方の緯糸の一部をすでに接結し、したがって、この緯糸の、第2の緯糸に向かったずれ滑りを阻止するために役立つようになっている。緯糸の自由なカラー選択は、この公知のアセンブリでは記載されていない。
【0007】
国際公開第2009/135636号には、二重緯入れを実現するレピア織機用の引渡し側レピア、受取り側レピアおよび装置が記載されている。同号において、2本の緯糸は、2つのストッパを有しかつ引渡し側レピアの側に配置された緯糸セパレータによって、2つのストッパを通って互いに間隔を置いて保持される。杼口の中間において、引渡し側レピアが、間隔を置いて保持された緯糸を受取り側レピアに引き渡す。この受取り側レピアは、間隔を維持したまま緯糸をクランプして、後退運動によって杼口から進出側における外向きに運動させる。両方の緯糸相互の間隔は、各緯糸が滑動する2つの滑動面により形成される緯糸セパレータの高低差によって実現される。
【0008】
欧州特許第1135548号明細書には、特に複数本の緯糸を杼口内に同時に挿入するための無杼織機用の引渡し側レピアが記載されている。この引渡し側レピアは、少なくとも2本の緯糸をロッドから引き渡され、中空のボックス形状を有していて、上側のカバーを備えている。このカバーは、緯糸が内部に挿入された切込みを有している。この切込み内には、複数の溝が成形されている。各溝は1本の緯糸用に設けられている。そこには、緯糸を把持して、杼口内で受取り側レピアに引き渡すために、把持機構がある。緯糸は、溝内に配置されたままとなるようにするために、引渡し側レピアの軸線方向の運動に関して相対的に角度を付けて傾斜させられた供給路に沿って、それぞれ配置されている。特に傾斜によって、例えば二重緯入れ時に両方の緯糸が相対的に密に相並んで配置されており、これによって、接結点への押付け時に緯糸同士の接触および相互のずれ滑りを完全に回避することができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
この公知先行技術に対して、本発明の課題は、二重緯入れのために2本の緯糸を受取り側レピアヘッドに引き渡す目的で杼口内に互いに離間させた状態で引き渡し、両方の緯糸の間隔の維持を、杼口からの後退の際にも相互に維持している引渡し側レピアヘッドを提供することにある。また、この引渡し側レピアヘッドによって、ピック・ア・ピック緯糸選択が可能となることが望ましい。
【0010】
この課題は、請求項1記載の特徴を有する引渡し側レピアヘッド、請求項7記載の特徴を有する、このような引渡し側レピアヘッドを備えた二重緯入れ用のレピア織機、及び、請求項10記載の特徴を有する、このようなレピア織機によって緯入れするための方法によって解決される。有利な改良形態は各従属請求項に定義してある。
【0011】
本発明に係る二重緯入れ式のレピア織機用の引渡し側レピアヘッドは、第1の緯糸をガイドする第1のガイド装置と、第2の緯糸をガイドする第2のガイド装置と、を有している。両方のガイド装置は、引渡し側レピアヘッドの、緯糸の挿入方向における前方の端部に互いに所定の間隔を置いて配置されている。間隔は、緯糸が、スレーにより最終的に押し付けられる接結点を基準にして杼口内に相前後してもしくは相並んで配置されるように、挿入方向を実質的に横切る方向に延在している。この場合、接結点への押付け前または押付け時に緯糸が互いにねじれないようなサイズの間隔、または、後方の緯糸が、例えば一部であっても前方の緯糸よりも前方に到達せず、これによってねじれないようなサイズの間隔が存在していることが重要となる。第1の緯糸は、挿入方向に向かって開放して形成された第1のガイド装置内でガイドされる。第2の緯糸をガイドする第2のガイド装置は、この第2のガイド装置を閉鎖状態に保つことができるクランプ金属薄板を有している。緯入れ中、緯糸は、同じく引渡し側レピアヘッドの、挿入方向における前方の端部に設けられたレピアクランプ内にクランプされる。このレピアクランプは、操作装置によって、クランプ位置から、クランプしていない開放位置にもたらすことができ、このクランプしていない開放位置から再びクランプ位置にもたらすことができる。クランプ金属薄板は、同じく操作装置によって、第2のガイド装置を閉鎖していない開放位置にもたらすことができるか、もしくは閉鎖していない開放位置から、閉鎖されている位置にもたらすことができる。
【0012】
本発明によれば、操作装置による二重機能の意味において、レピアクランプは、緯糸をレピアクランプから引き渡すために、クランプ金属薄板の動きから切り離されるか、または第2の緯糸を第2のガイド装置からも解放するために、第2の機能により、クランプ金属薄板と一緒に操作される。このとき、各々の緯糸の解放の時点は調整可能である。これは、第2の緯糸用の第2のガイド装置を開放することなしに、レピアクランプを開閉することができることを意味している。つまり、第1の緯糸は、開放している第1のガイド装置内においてガイドされているため、レピアクランプを開放した後に緯糸を受取り側レピアヘッドに引き渡す際、この時点ではまだ閉鎖されている第2のガイド装置から第2の緯糸を解放することなしに、両方の緯糸が、両方の緯糸の間の間隔を維持したまま、受取り側レピアヘッドによって把持され、そこでクランプされ得る。受取り側レピアヘッドへの緯糸の引渡しが行われた後、受取り側レピアヘッドが進出方向に後退運動させられるのと同時に、引渡し側レピアヘッドが後退運動させられるとき、第2の緯糸は第2のガイド装置内においてガイドされたままである。このガイドは、引渡し側レピアヘッドが杼口から外向きの後退運動後に挿入側を通過して、再び杼口を退出するまで、維持されたままとなる。これによって、スレーの全幅にわたって両方の緯糸の平行な離間を維持することが保証される。
【0013】
つまり、杼口の退出後に初めて、この時点で第2の緯糸が第2のガイド装置の開放によって解放されるという事実によって、この時点まで緯糸同士の間の間隔は、いわば凍結される。第2のガイド装置をレピアクランプから独立させて動かすことができ、選択された時点で開放することができることによって、ピック・ア・ピックシステムを実現することが可能となる。つまり、機械を停止させる必要なしに、緯糸を挿入ごとに交換することができる。すなわち、引渡し側レピアヘッドが杼口の外部に位置しているとき、第2のガイド装置の開放位置において、この時点で全く別の新しい緯糸も第2のガイド装置内に導入することができ、これによって、この第2のガイド装置の閉鎖が行われた後、新たな緯入れのために、両方の緯糸を、開放した杼口内に再び挿入することができる。
【0014】
つまり、本発明に係る引渡し側レピアヘッドは、全織り幅、すなわち、杼口を形成する経糸の延びる方向を横切る方向における、杼口の全幅にわたって、同時に挿入された2本の緯糸が、杼口の全幅にわたって、引渡し側レピアヘッドに設けられた第2のガイド装置の間隔により規定もしくは形成された相互の間隔を置いて保持されるという利点を有している。つまり、第2のガイド装置の開閉のための動きが、レピアクランプの動きから切り離されている、すなわち、レピアクランプのクランプ金属薄板の動きから切り離されているので、第2の緯糸を第2のガイド装置から解放することなしに、両方の緯糸を受取り側レピアヘッドに引き渡すことができる。つまり、第2の緯糸は、杼口から外向きの引渡し側レピアヘッドの後退運動の際に再び一緒に戻される。
【0015】
好適な構成によれば、引渡し側レピアヘッドの操作装置が、分割型のクランプレバーとして形成されており、この分割型のクランプレバーの第1の部分が、レピアクランプをその開閉のために操作し、分割型のクランプレバーの第2の部分が、レピアクランプを操作し、且つ、第2のガイド装置を同時に開閉するために、クランプ金属薄板も操作する。これによって、一方で第2のガイド装置およびクランプ金属薄板と、他方でレピアクランプとが、互いに独立して操作可能となる。つまり、両者の操作は互いに切り離されている。
【0016】
レピアクランプからの緯糸の解放の時点が、受取り側レピアヘッドへの引渡し位置に到達した時点であり、レピアクランプのクランプ金属薄板の操作による第2のガイド装置からの第2の緯糸の解放の時点、つまり、第2のガイド装置の開放の時点が、引渡し側レピアヘッドによる、杼口への到達または杼口の退出であるように、好ましくは、操作装置、及びこれに関連して、分割型のクランプレバーが引渡し側レピアヘッドに形成されている。一方でレピアクランプのクランプ金属薄板の操作と、他方で第2のガイド装置の操作とを分割型のクランプレバーにより分離することによって、その都度の開閉の時点の確定または制御が可能となる。
【0017】
好ましくは、レピアクランプはそのクランプ位置において、緯糸がそのクランプ範囲内でクランプされていて、杼口内への挿入中、つまり、杼口内への引渡し側レピアヘッドの前進運動の際、緯糸がクランプ範囲内でこのクランプ範囲を通じてずれ滑るのではなく、ずれ滑りなしに杼口内に、いわば引き込まれるかもしくは挿入されるような、クランプ力を伴って形成されている。緯糸がクランプ範囲内でずれ滑らないことによって、緯糸は、恐らく直接的なクランプ範囲を除いて、損傷を受けることもない。しかしながら、緯糸の直接的なクランプ範囲は、通常、織物の耳よりも外側に位置しており、したがって、切り離される。タック耳の場合、外側ではっきりと目についてしまう緯糸のこの損傷は、織物の耳に限定されており、この織物の耳は、いずれにせよ、のちに仕立て時に一緒に加工されない。
【0018】
これに対して、クランプ金属薄板は、本来の第2のガイド装置に関して、この第2のガイド装置を閉鎖している位置において、杼口から外向きへの引渡し側レピアヘッドの運動の際に、つまり、受取り側レピアヘッドへの緯糸の引渡し後の引渡し側レピアヘッドの後退運動中に、第2の緯糸がそのガイドに際して第2のガイド装置内でこの第2のガイド装置を通して滑動するように、形成されている。第2の緯糸のこの軽快で穏やかな動きは、杼口から外向きへの引渡し側レピアヘッドの後退運動により生じる付加的な動きにもかかわらず第2の緯糸に損傷を与えず、しかしながら同時に、第1の緯糸に対する第2の緯糸の間隔が維持され、これによって、緯糸が、接結点への押付け前の杼口内における配置において、この杼口の全幅にわたって互いに平行に配置されているかもしくは配置されたままとなることを保証していることが望ましい。接結点に向けられたスレーの押付け運動時に初めて、互いに平行に間隔を置いて杼口内に配置された両方の緯糸が、連続して接結点にもたらされる。これによって、緯糸が、相互にずれ滑ってねじれを被るのではなく、実際には連続的に入念に、かつ可能な限り慎重に接結点に押し付けられることが確保されている。
【0019】
本発明の第2の態様によれば、このような引渡し側レピアヘッドを備えた二重緯入れ用のレピア織機が記載される。このレピア織機には、引渡し側レピアヘッド及び受取り側レピアヘッドが設けられている。この引渡し側レピアヘッド及び受取り側レピアヘッドは、緯糸引渡しの際に、レピア織機内、つまり、レピア織機の杼口内で互いに協働する。引渡し側レピアヘッドはレピアクランプを有している。このレピアクランプは、少なくとも2本の緯糸をクランプするために設けられている。これらの緯糸は、クランプされた位置で杼口内に挿入される。付加的には、第2の緯糸をガイドするためのクランプ金属薄板であって、このクランプ金属薄板により閉鎖可能な第2のガイド装置内にガイドが形成されているようにするためのクランプ金属薄板が設けられている。第2のガイド装置とレピアクランプとは互いに離間しており、これによって、緯糸が、杼口内への挿入後に互いに間隔を有している。引渡し側レピアヘッドにより間隔を置いて保持された2本の緯糸は、当該間隔を維持したまま受取り側レピアヘッドに引き渡される。この受取り側レピアヘッドは、互いに離間して配置された2つの凹部を有している。これら2つの凹部内には、両方の緯糸がそれぞれ挿入される。引渡し側レピアヘッドから受取り側レピアヘッドへの緯糸の引渡しが行われた後、一方では、引渡し側レピアヘッドが杼口からこの杼口の挿入側に向かって外向きに後退運動し、他方では、受取り側レピアヘッドも同じく緯糸の引渡し箇所からの後退運動によって、杼口から進出側に向かって外向きに運動する。このとき、第2の緯糸は、クランプ金属薄板により閉鎖されている、引渡し側レピアヘッドの第2のガイド装置内において、第1の緯糸に対して間隔固定されて相変わらずガイドされている。杼口から外向きに進出側に向かって受取り側レピアヘッドが運動する場合でさえ、両方の緯糸は、全織り幅にわたって、平行から場合により僅かに逸脱して互いに配置されたままである。その後初めて、第2の緯糸は、操作装置を用いたクランプ金属薄板の操作による第2のガイド装置の開放によって解放される。本発明に係るレピア織機の重要な利点は、製織技術的に意義があるのであれば、二重緯入れの際に全織り幅にわたって平行、つまり、個々の緯糸相互の間隔が維持されるだけでなく、その都度の個別の緯糸挿入のために別の緯糸を選択することができることにもある。
【0020】
好ましくは、引渡し側レピアヘッドが、クランプレバー、しかも、第1の部分及び第2の部分を有する分割型のクランプレバーを有している。第1の部分によって、レピアクランプが、受取り側レピアヘッドに引き渡すための領域で操作装置を介して操作され、これによって、複数本の緯糸のうちの1本の緯糸を、クランプしている位置から、緯糸を解放する位置にもたらすことができる。このとき、クランプレバーの第1の部分の操作は、クランプレバーの第2の部分の操作から切り離されている。つまり、第2のガイド装置のクランプ金属薄板を操作することなしに、レピアクランプを操作することができる。これによって、レピアクランプのクランプレバーを第1の時点で操作することができ、第2のガイド装置のクランプ金属薄板を、第1の時点と異なる第2の時点で操作することができる。しかしながら、切り離すことをやめて、クランプレバーとクランプ金属薄板とを両方とも互いに同期させて動かすことも可能であり、これによって、本発明に係るレピアヘッドを、先行技術において慣用の公知のレピアヘッドとして使用することもできる。
【0021】
好ましくは、本発明に係るレピア織機用の引渡し側レピアヘッドに設けられた操作装置は、クランプレバーの第2の部分によって、クランプ金属薄板を、第2のガイド装置が閉鎖されている第1の位置から、第2のガイド装置が開放している第2の位置にもたらすことができるように形成されている。クランプレバーの第2の部分は、操作装置の操作時にクランプレバーの第1の部分を二重機能の意味においてクランプレバーの第1の部分と一緒に操作する。
【0022】
本発明の別の態様によれば、前述したレピア織機によって緯入れするための本発明に係る方法では、1回の製織サイクルに対する既存の本数の緯糸において、第1の緯糸及び第2の緯糸が選択されると同時に、前述したような引渡し側レピアヘッドに供糸される。次いで、第1の緯糸及び第2の緯糸が、引渡し側レピアヘッドによって把持され、杼口内に挿入され、この杼口のほぼ中間において、両方の緯糸相互の所定の間隔を維持したまま、受取り側レピアヘッドに引き渡される。引渡し側レピアヘッドにおいて、両方の緯糸が互いに離間して保持される。本発明に係る方法によれば、両方の緯糸が、引渡し側レピアヘッドのクランプ金属薄板から独立して操作されるレピアクランプ内にクランプされる。両方の緯糸は、レピアクランプをまず開放することによって、杼口のほぼ中間において引渡し側レピアヘッドから受取り側レピアヘッドに引き渡される。その際、第2のガイド装置はまだ閉鎖状態に保たれ、これによって、第2の緯糸は、確かに、受取り側レピアヘッドに引き渡されるものの、第2のガイド装置内においてまだガイドされている。引渡し側レピアヘッドが、杼口の中間を起点として挿入側を介して杼口から外向きに後退運動することによって杼口を退出するまで、この第2のガイド装置はクランプ金属薄板によって閉鎖状態に保たれ、これによって、受取り側レピアヘッドが杼口の進出側で進出するときにも、両方の緯糸は、互いに平行から場合により僅かに逸脱して、互いに離間して配置されたままとなる。第2の緯糸は、閉鎖状態に保たれている第2のガイド装置内で杼口の中間を起点として再び杼口から外向きに戻されもするので、第2の緯糸の、いわば遅らされた解放によって、第2の緯糸は、第1の緯糸に対して実質的に一定の間隔を置いて保たれ、これによって、緯糸が互いに重なり合って配置されてねじれ、接結点への押付け後、はっきりと目につく織物欠陥が存在してしまうことを阻止することができる。このような織物欠陥は、まさに、本発明に係る方法によって回避される。以下に、本発明を添付の図面を参照しながら1つの実施例に基づき詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】ガイド装置が配置されている側に向かって見た本発明に係る引渡し側レピアヘッドの三次元図である。
図2図1に示した実施例を示す図であるものの、レピアクランプを備えた引渡し側レピアヘッドの側に向かって見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1には、引渡し側レピアヘッド4が三次元図で示してある。杼口内への引渡し側レピアヘッド4の挿入方向は、図1の左上に示した矢印によって表してある。引渡し側レピアヘッド4の、挿入方向における前方の部分には、レピアクランプ1が示してある。このレピアクランプ1内には、第1の緯糸7と第2の緯糸8とがクランプされている。引渡し側レピアヘッド4を杼口(図示せず)内に挿入する前に、引渡し側レピアヘッド4には、挿入すべき2本の緯糸7,8が供糸され、レピアクランプ1内にクランプされる。緯糸7,8をレピアクランプ1の領域に導入することができるようにするために、レピアクランプ1を開放することができる操作装置9が設けられている。この操作装置9によって、レピアクランプ1の開放と同時にまたは時間的にレピアクランプ1の開放後に、第2の緯糸8をガイドする第2のガイド装置3を開放することができる。これによって、緯糸8を第2のガイド装置3から導出することができ、新しい別の緯糸に取り替えることができる。クランプ金属薄板6が第2のガイド装置3を閉鎖状態に保っている限り、第2の緯糸8は、確かに、第2のガイド装置3内でガイドされるものの、この第2のガイド装置3から取り出すことはできない。したがって、本発明に係る引渡し側レピアヘッド4は、クランプ金属薄板6の可動性によって、第2のガイド装置3を閉鎖状態に保ち、これによって、第2の緯糸8をガイドするか、または第2のガイド装置3を開放する可能性を提供している。このことは、緯糸8を、開放されていない限り閉鎖されているガイド装置から取り出して、新しい緯糸に取り替える可能性を提供している。また、クランプ金属薄板6は操作装置9によって、第2のガイド装置3を閉鎖している位置から、第2のガイド装置3を開放状態に保つ位置へと旋回させられる。このために、操作装置9は分割型のクランプレバー10として形成されている。この分割型のクランプレバー10は、レピアクランプ1だけを開放するための第1の部分10aと、レピアクランプ1及びクランプ金属薄板6を開放するための第2の部分10bと、を有している。このために、クランプ金属薄板6はノーズ状の突起を有している。この突起は、クランプ金属薄板6が降ろされた位置では第2のガイド装置3を閉鎖しているが、クランプ金属薄板6が持ち上げられた位置では第2のガイド装置3を開放状態に保っている。クランプ金属薄板6はその前側に口状のガイドを有している。このガイドは、第1の緯糸7用の第1のガイド装置2を有している。第1のガイド装置2の形態の口状の開口の底部と、第2のガイド装置3との間の間隔は、第1の緯糸7及び第2の緯糸8間の間隔5である。
【0025】
分割型のクランプレバー10の第1の部分10aだけが操作されると、レピアクランプ1だけが開放する。分割型のクランプレバー10の第1の部分10aと、分割型のクランプレバーの第2の部分10bとは、互いに切り離して動かすこともできるし、一緒に動かすこともできる。分割型のクランプレバー10の第1の部分10aが押下げによって操作されると、レピアクランプ1が開放されて、緯糸が収容されるかまたは解放される。分割型のクランプレバー10の第1の部分10aの押圧状態において、次いで、分割型のクランプレバー10の第2の部分10bを同じく操作もしくは押圧することができる。これによって、クランプ金属薄板6が持ち上げられ、ひいては、第2の緯糸8が第2のガイド装置3から解放される。第2のガイド装置3の解放とは、クランプ金属薄板6により最初閉鎖されて形成されている第2のガイド装置3が開放位置に移されることを意味している。第2のガイド装置3が開放されていると、この第2のガイド装置3から緯糸8を導出することができ、新しい緯糸に取り替えることができる。さもないと、先行技術の事例のように、ピック・ア・ピックシステム、つまり、機械を停止させて、その後に閉鎖された第2のガイド装置としてのアイレット内に新しい緯糸を導入することのない自由な緯糸選択が提供されなくなってしまう。
【0026】
しかしながら、操作装置9の分割型のクランプレバー10の第1の部分10a及び第2の部分10bは、分割型のクランプレバー10の第2の部分10bが押し下げられることによって一緒に操作されてもよい。分割型のクランプレバー10の第2の部分10bが、第1の部分10aの後方の端部に上方から係合することで、分割型のクランプレバー10の第2の部分10bを押し下げる際に、両部分10a,10bは、同時に操作される。これによって、レピアクランプ1及び第2のガイド装置3が開放される。なぜならば、クランプ金属薄板6も同期して持ち上げられるからである。したがって、分割型のクランプレバーを第1の部分10aと第2の部分10bとに分割することによって、レピアクランプ1及び第2のガイド装置3を互いに独立させてまたは互いに同期させて操作することができる。第1の緯糸7及び第2の緯糸8は、挿入方向における、クランプ金属薄板6の前方の端部、つまり、第2のガイド装置3よりも前方に配置された第1のガイド装置2によって離間している。第1の緯糸7と第2の緯糸8との間の間隔は符号5で表してある。この間隔は、引渡し側レピアヘッド4から受取り側レピアヘッドへの両方の緯糸7,8の引渡しが行われる際に受取り側レピアヘッドによって維持される。この間隔は、緯糸の挿入が行われた後、つまり、引渡し側レピアヘッド4が杼口から外向きに再び後退運動させられ、また、受取り側レピアヘッドも杼口の進出側に向かって外向きに再び運動させられた後、維持される。これによって、両方の緯糸7,8を二重緯入れの際に互いに規定の間隔を置いて杼口内に挿入することができ、引き続き緯糸を接結点に押し付ける際の緯糸の相互のずれおよびねじれが阻止される。
【0027】
図2には、本実施例において、いわゆる左側のレピアヘッドとして形成された図1に示した引渡し側レピアヘッド4が、レピアクランプ1が位置する側から見た三次元図で示してある。図示の位置では、レピアクランプ1は、閉鎖されていて、両方の緯糸7,8をクランプしている。このとき、レピアクランプ1のクランプ力は、杼口内への両方の緯糸の挿入の際に、この両方の緯糸がレピアクランプ1のクランプ範囲を通じて滑ってしまうことがないかまたはずれ滑ってしまうことがないように規定されている。図面における奥側には、第1の緯糸7をガイドするための第1のガイド装置2を有するクランプ金属薄板6が示されている。
【0028】
図2において明らかであるように、操作装置9は、第1の部分10aと第2の部分10bとを有する分割型のクランプレバー10として形成されている。図2に認めることができるように、第2の部分10bの前方の縁部は第1の部分10aの後方の領域に上方から係合しており、これによって、第2の部分10bの操作の際に操作装置全体が両部分10a,10bによって同時に押圧される。しかしながら、分割型のクランプレバー10の第1の部分10aだけが押圧される場合には、レピアクランプ1のみが開放され、緯糸7,8を解放する。その際、第2のガイド装置3はまだ開放されていない。レピアクランプ1が開放されている場合には、引き続き、分割型のクランプレバー10の第2の部分10bを別個に押圧もしくは操作することができる。これによって、第2のガイド装置3が、クランプ金属薄板6の旋回によって解放される。両方の緯糸7,8が杼口内に挿入されて、受取り側レピアヘッドに引き渡されると、引渡し側レピアヘッド4は再び後退する。この期間、第2のガイド装置3はまだ閉鎖されている。つまり、クランプ金属薄板6が、分割型のクランプレバー10の第2の部分10bによってまだ操作されていない。引渡し側レピアヘッド4が杼口を退出した場合に初めて、分割型のクランプレバー10の第2の部分10bの操作によって、第2の緯糸8が解放され、これによって、杼口内で両方の緯糸7,8が規定の間隔を置いて互いに実質的に平行に配置されている。したがって、両方の緯糸7,8は、押付けの際にも互いに実質的に独立して接結点に押し付けられ、これによって、例えば、第1の緯糸7にわたる第2の緯糸8のずれ滑りが生じないようになっている。挿入方向は、図2において引渡し側レピアヘッド4の前方の端部に示した矢印によって同じく記入してある。
【符号の説明】
【0029】
1 レピアクランプ
2 第1のガイド装置
3 第2のガイド装置
4 引渡し側レピアヘッド(左側のレピアヘッド)
5 第1のガイド装置及び第2のガイド装置間の両方の緯糸の間隔
6 クランプ金属薄板
7 第1の緯糸
8 第2の緯糸
9 操作装置
10 分割型のクランプレバー
10a (レピアクランプを開放するための)第1の部分
10b (レピアクランプ及びクランプ金属薄板を開放するための)第2の部分
図1
図2