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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-21
(45)【発行日】2024-01-04
(54)【発明の名称】付加硬化性シリコーン接着剤組成物
(51)【国際特許分類】
   C08L 83/07 20060101AFI20231222BHJP
   C08K 3/013 20180101ALI20231222BHJP
   C08K 5/541 20060101ALI20231222BHJP
   C09J 183/07 20060101ALI20231222BHJP
   C09J 11/08 20060101ALI20231222BHJP
   C09J 11/00 20060101ALI20231222BHJP
   C09J 183/05 20060101ALI20231222BHJP
【FI】
C08L83/07
C08K3/013
C08K5/541
C09J183/07
C09J11/08
C09J11/00
C09J183/05
【請求項の数】 22
(21)【出願番号】P 2021543201
(86)(22)【出願日】2019-01-23
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-14
(86)【国際出願番号】 US2019014702
(87)【国際公開番号】W WO2020153947
(87)【国際公開日】2020-07-30
【審査請求日】2021-12-16
(73)【特許権者】
【識別番号】508229301
【氏名又は名称】モメンティブ パフォーマンス マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Momentive Performance Materials Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100087642
【弁理士】
【氏名又は名称】古谷 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100082946
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 昭広
(74)【代理人】
【識別番号】100195693
【弁理士】
【氏名又は名称】細井 玲
(72)【発明者】
【氏名】マンダル,スブラタ
(72)【発明者】
【氏名】グプタ,マナヴ
(72)【発明者】
【氏名】太田代 幸樹
【審査官】西山 義之
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-117059(JP,A)
【文献】特開2010-196011(JP,A)
【文献】特開2002-020718(JP,A)
【文献】特開2002-020719(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 1/00-101/14
C08K 3/00- 13/08
C09J183/00-183/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
硬化性シリコーン組成物であって、(a)アルケニル官能性シリコーン;(b)シリコーンヒドリド架橋剤;(c)充填剤;(d)第1の接着促進剤;(e)第2の接着促進剤;(f)任意選択でシラン;(g)抑制剤および(h)触媒を含み、ここで第1の接着促進剤は、式Z-R-O-Ar-O-R-Zの化合物から選択され、ここでRおよびRは、C1-C30二価炭化水素;C2-C20二価炭化水素;C4-C10二価炭化水素;およびC1-C4二価炭化水素からなる群から独立して選択され;
およびZは、独立して
【化1】

または
【化2】

であり、
ここでR、R、R、R、R、R、R、およびR10は、H、C1-C10アルキル、または-OR11から独立して選択され、ここでR11はC1-C10アルキルであり、そしてR、R、R、R、R、R、R、および/またはR10の少なくとも1つはHであり、
xは1から10であり、
yは2から10であり、そして
Arは芳香族基であり、そして
第2の接着促進剤(e)は、式R47-SiR48 (OR493-rの1つまたは複数の化合物から選択され、ここでR48はC1-C10炭化水素基から独立して選択され、各R49は、C1-C10炭化水素から独立して選択され、そしてrは0、1、または2であり、R47は、下記式の基を含む環状ヒドリドシロキサンであり、
【化7】

ここでR51、R52、およびR53は、H、C1-C10アルキル、または-OR54から独立して選択され、ここでR54はC1-C10アルキルであり、そしてR51、R52、およびR53の少なくとも1つはHであり、そして
50は、ケイ素原子に結合した側鎖を有する有機ケイ素基であり、そして次の式で表され、
-C(O)-O-Q
ここで
は、ケイ素原子とエステル結合の間に2つ以上の炭素原子を有する炭素鎖を形成する直鎖または分岐のアルキレン基を表し、そして
は、酸素原子と側鎖:SiR48 (OR493-rのケイ素原子の間に3つ以上の炭素原子を有する炭素鎖を形成する直鎖状または分岐状のアルキレン基を表す;
硬化性シリコーン組成物。
【請求項2】
芳香族基Arは、C6-C30アリーレン基、または式-Ar-X-Ar-の基から選択することができ、ここでArおよびArは、単環式の二価のアリール基から独立して選択され、そしてXは架橋基である、請求項1に記載の硬化性シリコーン組成物。
【請求項3】
ArおよびArは、C6-C30アリーレン基から独立して選択され、Xは、ArとArをつなぐ結合、C1-C30二価炭化水素基、C5-C30二価環状炭化水素基、-O-、-S-、-S(O)-、-S(O)-、または-C(O)-から選択される、請求項2に記載の硬化性シリコーン組成物。
【請求項4】
Ar-X-Arは下記式の基であり、
【化3】

ここでXは、ArとArをつなぐ結合、C1-C30二価炭化水素基、C5-C30二価環状炭化水素基、-O-、-S-、-S(O)-、-S(O)-、または-C(O)-から選択され、R12およびR13は、互いに同じか異なるか、またはそれらが結合されている環内にあり、そして水素、C1-C10アルキル、C1-C10アルコキシ、C2-C8アルケニル、C2-C8アルケニルオキシ、C3-C8シクロアルキル、C3-C8シクロアルコキシ、C6-C10アリール、C6-C10アリールオキシ、C7-C10アラルコキシ、C7-C12アルキルアリール、またはC7-C12アルキルアリールオキシから選択され、そしてtおよびwは0-4であり、ここでtまたはwが4未満のとき、特定されていない単数または複数の原子価は水素によって占められている、請求項2に記載の硬化性シリコーン組成物。
【請求項5】
-X-Arは下記式のものであり、
【化4】

ここでXは前記の通りであり、そしてR14、R15、R16、R17、R18、R19、R20、およびR21は、水素、C1-C10アルキル、C3-C8シクロアルキル、またはC6-C10アリールから独立して選択される、請求項2に記載の硬化性シリコーン組成物。
【請求項6】
Xは-C(R22-であり、ここでR22は、水素、C1-C10アルキル、C3-C8シクロアルキル、またはC6-C10アリールから独立して選択される、請求項5に記載の硬化性シリコーン組成物。
【請求項7】
およびZは、
【化5】

である、請求項6に記載の硬化性シリコーン組成物。
【請求項8】
O-Ar-O-は、下記式のものである、
【化6】

請求項1から7のいずれか一項に記載の硬化性シリコーン組成物。
【請求項9】
第1の接着促進剤が、硬化性シリコーン組成物の総重量に基づいて、0.1重量%から5重量%の量で存在する、請求項1から8のいずれか一項に記載の硬化性シリコーン組成物。
【請求項10】
rが0であり、そしてR49がC1-C10アルキル基である、請求項1から9のいずれか一項に記載の硬化性シリコーン組成物。
【請求項11】
第2の接着促進剤が、硬化性シリコーン組成物の総重量に基づいて、0.1重量%から10重量%の量で存在する、請求項1から10のいずれか一項に記載の硬化性シリコーン組成物。
【請求項12】
硬化性シリコーン組成物であって、第2の接着促進剤(i)および(ii)を含み、ここで
第2の接着促進剤(i)は、式R47-SiR48 (OR493-rの1つまたは複数の化合物から選択され、ここでR47は水素またはヒドリド官能基であり、R48はC1-C10炭化水素基から独立して選択され、各R49は、C1-C10炭化水素から独立して選択され、そしてrは0であり、そして
第2の接着促進剤(ii)は、式R47-SiR48 (OR493-rの化合物から選択され、ここでR48はC1-C10炭化水素基から独立して選択され、各R49は、C1-C10炭化水素から独立して選択され、そしてrは0、1、または2であり、そしてR47は、下記式の基を含む環状ヒドリドシロキサンであり、
【化8】

ここでR51、R52、およびR53は、H、C1-C10アルキル、または-OR54から独立して選択され、ここでR54はC1-C10アルキルであり、そしてR51、R52、およびR53の少なくとも1つはHであり、そしてR50はC1-C30炭化水素;C6-C30アリール基;アルキルアクリレート基;アルキルカルボキシレート基;またはエステル基である、請求項1から11のいずれか一項に記載の硬化性シリコーン組成物。
【請求項13】
第2の接着促進剤(i)は、0.5重量%から3重量%の量で存在し、そして接着促進剤(ii)は、0.1重量%から8重量%の量で存在する、請求項12に記載の硬化性シリコーン組成物。
【請求項14】
アルケニル官能性シリコーンは、式M の化合物から選択され、
ここで
=R232425SiO1/2
=R262728SiO1/2
=R2930SiO2/2
=R3132SiO2/2
=R33SiO3/2
=R34SiO3/2
Q=SiO4/2
ここでR23、R24、R25、R27、R28、R29、R30、R32、およびR33は、C1-C30炭化水素、C6-C30芳香族基、またはC1-C30アルコキシ基から独立して選択され、
26、R31、およびR34は、C1-C30炭化水素、C6-C30芳香族基、C1-C30アルコキシ基、またはC2-C30アルケニル基から独立して選択され、但しR26、R31、および/またはR34のうちの1つまたは複数は、C2-C30アルケニル基から選択されるという条件であり、
下付き文字a、b、c、d、e、f、gは、ゼロまたは正であって、以下の制限:2<a+b+c+d+e+f+g<2000、b+d+f>0を受ける、
請求項1から13のいずれか一項に記載の硬化性シリコーン組成物。
【請求項15】
アルケニル官能性シリコーンは、(i)cが5から1000である式M を有する第1のアルケニル官能性シリコーン、および(ii)c’が1000から1500である式M c’を有する第2のアルケニル官能性シリコーンから選択されるアルケニル官能性シリコーンの混合物を含む、請求項14に記載の硬化性シリコーン組成物。
【請求項16】
アルケニル官能性シリコーンは、複数のQ単位および1つまたは複数のM単位を含む分岐ポリオルガノシロキサンである、請求項14に記載の硬化性シリコーン組成物。
【請求項17】
シリコーンヒドリド架橋剤は、下記式の化合物から選択され、

ここで
=R353637SiO1/2
=R383940SiO1/2
=R4142SiO2/2
=R4344SiO2/2
=R45SiO3/2
=R46SiO3/2
Q=SiO4/2
ここでR35、R36、R37、R41、R42、R45は、C1-C30炭化水素、C6-C30芳香族基、またはC1-C30アルコキシ基から独立して選択され、
38、R39、R40、R43、R44、およびR46は、水素、C1-C30炭化水素、C6-C30芳香族基、C1-C30アルコキシ基、またはC2-C30アルケニル基から独立して選択され、但しR38、R39、R40、R43、R44、および/またはR46の1つまたは複数は水素であるという条件であり、
下付き文字h、i、j、k、m、n、oは、ゼロまたは正であって、以下の制限:1<h+i+j+k+m+n+o<100、i+k+n>0を受ける、請求項1から16のいずれか一項に記載の硬化性シリコーン組成物。
【請求項18】
請求項1から17のいずれか一項に記載の硬化性シリコーン組成物から形成された硬化シリコーン材料。
【請求項19】
基材上に接着剤コーティングを形成する方法であって、請求項1から17のいずれか一項に記載の硬化性シリコーン組成物を基材の表面に適用すること、および硬化性シリコーン組成物を50℃から110℃の温度で加熱することを含む、方法。
【請求項20】
硬化性シリコーン組成物を60℃から100℃の温度で加熱することを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
硬化性シリコーン組成物が10分から3時間の期間にわたって硬化される、請求項19または20に記載の方法。
【請求項22】
基材が、プラスチック材料、金属、金属合金、金属化プラスチック、および/またはコーティングまたは塗装された金属から選択される、請求項19から21のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬化性シリコーン接着剤組成物、接着促進剤を含むそのような組成物、ならびに様々な表面でのそのような硬化性シリコーン組成物の使用および適用に関する。特に、本発明は、接着促進剤を含む低温で速硬化性のシリコーン接着剤組成物、およびそのような硬化性シリコーン組成物の異なるタイプの表面への適用に関する。
【背景技術】
【0002】
プラスチックは、次世代の軽量で効率的なハイブリッドパワーモジュール、インバーター、センサー、および電子制御ユニット(ECU)およびトランスミッション制御ユニット(TCU)システムの開発のために、従来の材料を代替している。たとえば、自動車産業で使用される接着剤は、過酷な動作条件下での設計の柔軟性と長期的な信頼性への貢献に適していなければならない。従来のシリコーン組成物は、一般に、低温ではプラスチック材料に完全には接着しない。ただし、プラスチック材料は、より高い処理温度(たとえば、約150℃)で変形しやすくなる。したがって、高温(たとえば、120℃を超える)での硬化を必要とし得る接着剤組成物は、特定の用途には特に有用ではなく、さまざまな産業での使用を制限することがあり得る。シリコーンのプラスチックへの結合を改善する最近の試みには、芳香族基含有水素化ケイ素材料とともにイソシアネートベースの添加剤の使用が含まれている(例えば、EP 2305765を参照)。他の試みは、例えば、米国特許第8,937,123号および第8,916,646号、ならびに日本国公報2014-205800号および2013-241522号に記載されている。ただし、これらの提案された解決方法では、100℃を超える温度での加熱をいまだ必要としている。
【発明の概要】
【0003】
以下に、いくつかの態様の基本的な理解を提供するため、本開示の概要を提示する。この概要は、重要または重大な要素を特定することも、実施形態または特許請求の範囲の制限を定義することも意図していない。さらにこの概要は、本開示の他の部分でより詳細に説明され得るいくつかの態様の簡略化された概観を提供し得る。
【0004】
プラスチック基材および金属基材の両方を含む様々な基材への良好な接着を示し、比較的低温(例えば、約100℃以下)およびより短い時間(例えば、約30から60分)での組成物の硬化を可能にすることが見出された付加硬化性シリコーン接着剤組成物が提供される。
【0005】
一態様では、(a)アルケニル官能性シリコーン;(b)シリコーンベースの架橋剤;(c)充填剤;(d)第1の接着促進剤;(e)第2の接着促進剤;(f)任意選択のシラン;(g)抑制剤および(h)触媒を含む硬化性シリコーン組成物が提供され、ここで第1の接着促進剤は、式Z-R-O-Ar-O-R-Zの化合物から選択され、ここでRとRは、C1-C30二価炭化水素;C2-C20二価炭化水素;C4-C10二価炭化水素;またはC1-C4二価炭化水素であり、
とZは独立して
【化1】

または
【化2】

であり、
ここでR、R、R、R、R、R、R、およびR10は、H、C1-C10アルキル、または-OR11から独立して選択され、ここでR11はC1-C10アルキルであり、そしてR、R、R、R、R、R、R、および/またはR10の少なくとも1つはHであり、
xは1から10であり;
yは2から10であり;そして
Arは芳香族基である。
【0006】
一実施形態では、芳香族基Arは、C6-C30アリーレン基、または式-Ar-X-Ar-の基から選択することができ、ここでArとArは、単環式二価アリール基から独立して選択され、そしてXは架橋基である。
【0007】
一実施形態では、ArおよびArは、C6-C30アリーレン基から独立して選択され、Xは、ArとArとを接続する結合、C1-C30二価炭化水素基、C5-C30二価環状炭化水素基、-O-、-S-、-S(O)-、-S(O)-、または-C(O)-から選択される。
【0008】
一実施形態では、Ar-X-Arは、以下の式の基である。
【化3】
【0009】
ここでXは、ArとArを接続する結合、C1-C30二価炭化水素基、C5-C30二価環状炭化水素基、-O-、-S-、-S(O)-、-S(O)-、または-C(O)-から選択され;R12とR13は、互いに同じまたは異なり、またはそれらが結合している環内にあり、そして、水素、C1-C10アルキル、C1-C10アルコキシ、C2-C8アルケニル、C2-C8アルケニルオキシ、C3-C8シクロアルキル、C3-C8シクロアルコキシ、C6-C10アリール、C6-C10アリールオキシ、C7-C10アラルコキシ、C7-C12アルキルアリール、またはC7-C12アルキルアリールオキシから選択され、そしてtとwは0-4であり、ここでtまたはwが4未満の場合、特定されていない1つまたは複数の原子価は水素によって占められている。
【0010】
一実施形態では、-Ar-X-Arは下記式であり、
【化4】

ここでXは上記のとおりであり、そしてR14、R15、R16、R17、R18、R19、R20、およびR21は、水素、C1-C10アルキル、C3-C8シクロアルキル、またはC6-C10アリールから独立して選択される。
【0011】
一実施形態では、Xは-C(R22-であり、ここでR22は、水素、C1-C10アルキル、C3-C8シクロアルキル、またはC6-C10アリールから独立して選択される。
【0012】
一実施形態では、ZおよびZは、以下である。
【化5】
【0013】
前記いずれかの実施形態の硬化性シリコーン組成物の一実施形態では、化合物のO-Ar-Oは、以下の式である。
【化6】
【0014】
前記いずれかの実施形態の硬化性シリコーン組成物の一実施形態では、第1の接着促進剤は、組成物の総重量に基づいて約0.1重量%から約5重量%の量で存在する。
【0015】
前記いずれかの実施形態の硬化性シリコーン組成物の一実施形態では、第2の接着促進剤は、式R47-SiR48 (OR493-rの1つまたは複数の化合物から選択され、ここでR47は水素またはヒドリド官能基であり;R48はC1-C10炭化水素基から独立して選択され;各R49は、C1-C10炭化水素から独立して選択され;そしてrは0、1、または2である。
【0016】
一実施形態では、R47は、下記式の基を含む環状ヒドリドシロキサンであり、
【化7】

ここでR51、R52、およびR53は、H、C1-C10アルキル、または-OR54から独立して選択され、ここでR54はC1-C10アルキルであり、そしてR51、R52、およびR53の少なくとも1つはHであり;そして
50は、ケイ素原子に結合した側鎖を有する有機ケイ素基であり、そして以下の式で表され、
-C(O)-O-Q
ここで
は、ケイ素原子とエステル結合の間に2つ以上の炭素原子を有する炭素鎖を形成する直鎖または分岐のアルキレン基を表し、そして
は、酸素原子と側鎖:SiR48 (OR493-rにおけるケイ素原子の間に3つ以上の炭素原子を有する炭素鎖を形成する直鎖または分岐のアルキレン基を表す。
【0017】
一実施形態では、rは0であり、そしてR49はC1-C10アルキル基である。
【0018】
前記いずれかの実施形態の硬化性シリコーン組成物の一実施形態では、第2の接着促進剤は、組成物の総重量に基づいて、約0.1重量%から約10重量%の量で存在する。
【0019】
前記いずれかの実施形態の硬化性シリコーン組成物の一実施形態では、組成物は、第2の接着促進剤(i)および(ii)を含み、ここで
第2の接着促進剤(i)は、式R47-SiR48 (OR493-rの1つまたは複数の化合物から選択され、ここでR47は水素またはヒドリド官能基であり;R48はC1-C10炭化水素基から独立して選択され;各R49は、C1-C10炭化水素から独立して選択され;そしてrは0であり;そして
第2の接着促進剤(ii)は、下記式の化合物から選択される。
【0020】
47-SiR48 (OR493-r、ここでR48はC1-C10炭化水素基から独立して選択され;各R49は、C1-C10炭化水素から独立して選択され;そしてrは、0、1、または2であり、そしてR47は、下記式の基を含む環状ヒドリドシロキサンであり;
【化8】

ここでR51、R52、およびR53は、H、C1-C10アルキル、または-OR54から独立して選択され、ここでR54はC1-C10アルキルであり、そしてR51、R52、およびR53の少なくとも1つおよび少なくとも1つはHであり;そしてR50は、C1-C30炭化水素;C6-C30アリール基;アルキルアクリレート基;アルキルカルボキシレート基;またはエステル基である。
【0021】
一実施形態では、第2の接着促進剤(i)は、約0.5重量%から約3重量%の量で存在し、そして第2の接着促進剤(ii)は、約0.1重量%から約8重量%の量で存在する。
【0022】
前記いずれかの実施形態の硬化性シリコーン組成物の一実施形態では、アルケニルシリコーンは、下記式の化合物から選択され、
、ここで
=R232425SiO1/2
=R262728SiO1/2
=R2930SiO2/2
=R3132SiO2/2
=R33SiO3/2
=R34SiO3/2
Q=SiO4/2
ここでR23、R24、R25、R27、R28、R29、R30、R32、およびR33は、C1-C30炭化水素、C6-C30芳香族基、またはC1-C30アルコキシ基から独立して選択され、
26、R31、およびR34は、C1-C30炭化水素、C6-C30芳香族基、C1-C30アルコキシ基、またはC2-C30アルケニル基から独立して選択され、但しR26、R31、および/またはR34のうちの1つまたは複数は、C2-C30アルケニル基から選択されるという条件であり、
下付き文字a、b、c、d、e、f、gは、ゼロまたは正であって、以下の制限:2<a+b+c+d+e+f+g<2000、b+d+f>0を受ける。
【0023】
一実施形態では、アルケニルシリコーンは、(i)cが約5から約1000である式M を有する第1のアルケニル官能性シリコーン、および(ii)c’が約1000から約1500である式M c’を有する第2のアルケニル官能性シリコーンから選択されるアルケニルシリコーンの混合物を含む。
【0024】
一実施形態では、アルケニルシリコーンは、複数のQ単位および1つまたは複数のM単位を含む分岐ポリオルガノシロキサンである。
【0025】
前記いずれかの実施形態の硬化性シリコーン組成物の一実施形態では、シリコーンヒドリド架橋剤は、以下の式の化合物から選択され、
、ここで
=R353637SiO1/2
=R383940SiO1/2
=R4142SiO2/2
=R4344SiO2/2
=R45SiO3/2
=R46SiO3/2
Q=SiO4/2
ここでR35、R36、R37、R41、R42、R45は、C1-C30炭化水素、C6-C30芳香族基、またはC1-C30アルコキシ基から独立して選択され、
38、R39、R40、R43、R44、およびR46は、水素、C1-C30炭化水素、C6-C30芳香族基、C1-C30アルコキシ基、またはC2-C30アルケニル基から独立して選択され、但しR38、R39、R40、R43、R44、および/またはR46の1つまたは複数が水素であるという条件であり、
下付き文字a、b、c、d、e、f、gはゼロまたは正であって、次の制限:1<h+i+j+k+m+n+o<100、i+k+n>0を受ける。
【0026】
別の態様では、前述の実施形態のいずれかの組成物から形成された硬化シリコーン材料が提供される。
【0027】
さらに別の態様では、前述の実施形態のいずれかの硬化性組成物を基材の表面に適用すること、および組成物を約50℃から約110℃の温度で加熱することを含む、基材上に接着剤コーティングを形成する方法が提供される。
【0028】
一実施形態では、この方法は、組成物を約60℃から約100℃の温度で加熱することを含む。
【0029】
前記のいずれかの実施形態の方法の一実施形態では、組成物は、10分から約3時間の期間にわたって硬化される。
【0030】
前記のいずれかの実施形態の方法の一実施形態では、基材は、プラスチック材料、金属、金属合金、金属化プラスチック、および/またはコーティングまたは塗装された金属から選択される。
【0031】
以下の説明および図面は、様々な例示的な態様を開示している。いくつかの改善および新規の態様が明確に識別され得るが、一方で他のものは説明および図面から明らかであり得る。
【発明を実施するための形態】
【0032】
次に、例示的な実施形態を参照し、その例を添付の図面に示す。他の実施形態を利用することができ、そして構造的および機能的変更を行うことができることを理解されたい。さらに、様々な実施形態の特徴を組み合わせたり、変更したりすることができる。したがって、以下の説明は、例示としてのみ提示されており、例示された実施形態に対して行われ得る様々な代替および修正を決して限定するものではない。本開示において、多くの特定の詳細は、主題の開示の完全な理解を提供する。本開示の態様は、本明細書に記載されているすべての態様などを必ずしも含まない他の実施形態で実施できることを理解されたい。
【0033】
本明細書で使用される場合、「例」および「例示」という用語は、実例または例示を意味する。「例」または「例示」という言葉は、重要なまたは好ましい態様または実施形態を示すものではない。「または」という言葉は、文脈上別段の示唆がない限り、排他的ではなく包括的であることを意図している。一例として、「AはBまたはCを使用する」という句は、任意の包括的順列を含む(例えば、AはBを使用する;AはCを使用する;またはAはBおよびCの両方を使用する)。別の事項として、冠詞「a」および「an」は、文脈が別段の示唆をしない限り、一般に「1つまたは複数」を意味することを意図している。
【0034】
シリコーンベースの接着促進剤を含む付加硬化性シリコーン接着剤組成物が提供される。シリコーンベースの接着促進剤は、芳香族骨格に結合したケイ素含有基およびケイ素原子に結合した少なくとも1つの水素を有する芳香族骨格を有する。シリコーンベースの接着促進剤は、ジヒドロキシ芳香族化合物に由来し得る。本シリコーンベースの接着促進剤は、プラスチック表面から形成された、またはプラスチック表面を有するものなどの基材へのシロキサンベースの硬化性組成物の接着を改善するように機能する。他の接着促進剤と組み合わせて使用すると、本シリコーンベースの接着促進剤は、低温(約100℃以下)にて短時間(30から60分)で硬化しながらも、アルミニウムなどの金属ならびに異なるタイプのプラスチック表面(例えば、PBTおよびPPS)に対して良好な接着を示す硬化性シリコーン組成物を提供し得る。
【0035】
一態様では、硬化性組成物において接着促進剤として機能するのに適したシリコーンベースの材料が提供される。シリコーンベースの材料は、芳香族シリコンヒドリドタイプの材料である。シリコーンベースの接着促進剤は芳香族基を含み、そしてジヒドロキシ芳香族化合物に由来する。一実施形態では、シリコーンベースの接着促進剤は、以下の式の化合物であり、
-R-O-Ar-O-R-Z
ここでRおよびRは、C1-C30二価炭化水素;C2-C20二価炭化水素;C4-C10二価炭化水素;またはC1-C4二価炭化水素であり;
およびZは、独立して
【化9】

または
【化10】

であり、
ここでR、R、R、R、R、R、R、およびR10は、H、C1-C10アルキル、または-OR11から独立して選択され、ここでR11はC1-C10アルキルであり、そしてR、R、R、R、R、R、R、および/またはR10の少なくとも1つはHであり、
Xは1から10であり;
Yは2から10であり;そして
Arは芳香族基である。
【0036】
芳香族基Arは、C6-C30アリーレン基、または式-Ar-X-Ar-の基から選択することができ、ここでArおよびArは、単環式二価アリール基から独立して選択され、そしてXは架橋基である。ArおよびArは、C6-C30アリーレン基から独立して選択できる。Xは、ArおよびArとの結合、C1-C30二価炭化水素基、C5-C30二価環状炭化水素基、-O-、-S-、-S(O)-、-S(O)-、-C(O)-であり得る。適切な架橋基Xの非限定的な例には、メチレン、シクロヘキシル-メチレン、2-[2.2.1]-ビシクロヘプチリデン、エチリデン、イソプロピリデン、ネオペンチリデン、シクロヘキシリデン、シクロペンタデシリデン、シクロドデシリデン、およびアダマンチリデンが含まれる。
【0037】
一実施形態では、Ar-X-Arは下記式の基であり、
【化11】

ここでXは上記のとおりであり、R12およびR13は、互いに同一または異なり、またはそれらが結合する環内にあり、そして、水素、C1-C10アルキル、C1-C10アルコキシ、C2-C8アルケニル、C2-C8アルケニルオキシ、C3-C8シクロアルキル、C3-C8シクロアルコキシ、C6-C10アリール、C6-C10アリールオキシ、C7-C10アラルコキシ、C7-C12アルキルアリール、またはC7-C12アルキルアリールオキシから選択され、そしてtおよびwは0-4であり、ここでtまたはwが4未満のとき、特定されていない1つまたは複数の原子価は水素によって占められている。
【0038】
一実施形態では、-Ar-X-Arは下記式のものであり、
【化12】

ここでXは上記のとおりであり、そしてR14、R15、R16、R17、R18、R19、R20、およびR21は、水素、C1-C10アルキル、C3-C8シクロアルキル、またはC6-C10アリールから独立して選択される。一実施形態では、Xは-C(R22-であり、ここでR22は、水素、C1-C10アルキル、C3-C8シクロアルキル、またはC6-C10アリールから独立して選択される。一実施形態では、化合物の-O-Ar-O-部分は、以下の式である。
【化13】
【0039】
シリコーンベースの接着促進剤は、ジヒドロキシ芳香族化合物に由来し得る。ジヒドロキシ芳香族化合物は、式HO-Ar-OHのものであり得、ここでArは上記の通りである。簡潔にするために、Ar基の説明は再現されていない。接着促進剤を形成するための適切なジヒドロキシ芳香族化合物のいくつかの例示的で非限定的な例には、これらに限定されないが、4,4’-ジヒドロキシビフェニル、1,6-ジヒドロキシナフタレン、2,6-ジヒドロキシナフタレン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)-1-ナフチルメタン、1,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-1-フェニルエタン、2-(4-ヒドロキシフェニル)-2-(3-ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-ブロモフェニル)プロパン、1,1-ビス(ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1-ビス(4-ヒドロキシ-3メチルフェニル)シクロヘキサン 1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)イソブテン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロドデカン、トランス-2,3-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-2-ブテン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)アダマンチン、(アルファ,アルファ’-ビス(4-ヒドロキシフェニル)トルエン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)アセトニトリル、2,2-ビス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(3-エチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(3-n-プロピル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(3-イソプロピル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(3-sec-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(3-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(3-シクロヘキシル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(3-アリル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(3-メトキシ-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、1,1-ジクロロ-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)エチレン、1,1-ジブロモ-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)エチレン、1,1-ジクロロ-2,2-ビス(5-フェノキシ-4-ヒドロキシフェニル)エチレン、4,4’-ジヒドロキシベンゾフェノン、3,3-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-2-ブタノン、1,6-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-1,6-ヘキサンジオン、エチレングリコールビス(4-ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4-ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルホキシド、ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルホン、9,9-ビス(4-ヒドロキシフェニル)フッ素、2,7-ジヒドロキシピレン、6,6’-ジヒドロキシ-3,3,3’,3’-テトラメチルスピロ(ビス)インダン(「スピロビインダンビスフェノール」)、3,3-ビス(4-ヒドロキシフェニル)フタリド、2,6-ジヒドロキシジベンゾ-p-ジオキシン、2,6-ジヒドロキシチアントレン、2,7-ジヒドロキシフェノキサチン、2,7-ジヒドロキシ-9,10-ジメチルフェナジン、3,6-ジヒドロキシジベンゾフラン、3,6-ジヒドロキシジベンゾチオフェン、および2,7-ジヒドロキシカルバゾールなど、レゾルシノール、置換レゾルシノール化合物、例えば5-メチルレゾルシノール、5-エチルレゾルシノール、5-プロピルレゾルシノール、5-ブチルレゾルシノール、5-t-ブチルレゾルシノール、5-フェニルレゾルシノール、5-クミルレゾルシノール、2,4,5,6-テトラフルオロレゾルシノール、2,4,5,6-テトラブロモレゾルシノールなど;カテコール;ヒドロキノン;置換ヒドロキノン、例えば2-メチルヒドロキノン、2-エチルヒドロキノン、2-プロピルヒドロキノン、2-ブチルヒドロキノン、2-t-ブチルヒドロキノン、2-フェニルヒドロキノン、2-クミルヒドロキノン、2,3,5,6-テトラメチルヒドロキノン、2,3,5,6-テトラ-t-ブチルヒドロキノン、2,3,5,6-テトラフルオロヒドロキノン、2,3,5,6-テトラブロモヒドロキノン、ならびに前述のジヒドロキシ芳香族化合物の少なくとも1つを含む組み合わせが含まれる。
【0040】
本シリコーンベースの接着促進剤は、任意の適切な方法によって形成することができる。実施形態において、シリコーンベースの接着促進剤は、ジヒドロキシ芳香族化合物(HO-Ar-OH)をハロゲン化アルケニルと反応させて、式R1’-O-Ar-O-R2’の式を有する化合物にすることによって形成され、ここでR1’とR2’はそれぞれアルケニル末端炭化水素であり、そしてヒドロシリル化タイプの反応を介してその化合物をヒドリドシロキサンと反応させる。任意の適切なヒドロシリル化触媒(例えば、KarstedtまたはAshbyの触媒などの白金ベースの触媒)を使用して、アルケニル含有化合物とヒドリドシロキサンとの反応を促進することができる。
【0041】
本シリコーンベースの接着促進剤は、様々な用途での使用に適している。一態様では、本シリコーンベースの接着促進剤は、硬化性シリコーン組成物において特に有用であることが見出され、特に、低温硬化性シリコーン組成物を提供するために有用であることが見出されている。本シリコーンベースの接着促進剤の使用は、比較的低温(例えば、100℃以下)で、金属および異なるタイプのプラスチックの両方を含む様々な表面への良好な接着を提供することが見出されている。
【0042】
一態様では、(a)アルケニル官能性シリコーン;(b)シリコーンベースの架橋剤;(c)充填剤;(d)本シリコーンベースの接着促進剤から選択される第1の接着促進剤;(e)第2の接着促進剤;(f)任意選択でのシラン;(g)抑制剤、および(h)触媒を含む硬化性シリコーン組成物が提供される。本シリコーンベースの接着促進剤と第2の接着促進剤との組み合わせは、広範囲の表面への良好な接着および比較的低温での硬化を提供することが見出されている。
【0043】
アルケニル官能性シリコーンは、ケイ素原子に結合した1つまたは複数のアルケニル基を有するオルガノポリシロキサンであり得る。一実施形態では、組成物は、ケイ素原子に結合した少なくとも2つのアルケニル基を有するオルガノポリシロキサンを含む。組成物は、2つ以上の異なるアルケニル官能性シリコーン化合物の混合物を含み得る。
【0044】
一実施形態では、組成物は、下記式のアルケニル官能性シリコーン化合物を含み、

ここで
=R232425SiO1/2
=R262728SiO1/2
=R2930SiO2/2
=R3132SiO2/2
=R33SiO3/2
=R34SiO3/2
Q=SiO4/2
ここでR23、R24、R25、R27、R28、R29、R30、R32、およびR33は、C1-C30炭化水素、C6-C30芳香族基、またはC1-C30アルコキシ基から独立して選択され、
26、R31、およびR34は、C1-C30炭化水素、C6-C30芳香族基、C1-C30アルコキシ基、またはC2-C30アルケニル基から独立して選択され、但しR26、R31、および/またはR34のうちの1つまたは複数は、C2-C30アルケニル基から選択されるという条件であり、
下付き文字a、b、c、d、e、f、gは、ゼロまたは正であって、以下の制限:2<a+b+c+d+e+f+g<2000、b+d+f>0を受ける。
【0045】
一実施形態では、アルケニル官能性シリコーンは、2つ以上のアルケニル官能基(すなわち、b+d+f>2)を含む。一実施形態では、アルケニル官能性シリコーンは、式M のものである。
【0046】
さらに、組成物は、2つ以上のアルケニル官能性シリコーンの混合物を含み得ることが理解されることになる。複数のアルケニル官能性シリコーンが使用される場合、アルケニル官能性シリコーンは、異なるタイプ(例えば、M、D、T、およびQ単位に関して異なる全体的な構成を有する)、または異なるサイズ(例えば、類似のM、D、T、Q構造を有するが、特定の単位の数が異なる)であり得る。一実施形態では、組成物は、cが約5から約1000である式M を有する第1のアルケニル官能性シリコーン、およびc’が約1000から約1500である式M c’を有する第2のアルケニル官能性シリコーンを含む。
【0047】
一実施形態では、アルケニル官能性シリコーンは、ケイ素原子に結合した1つまたは複数のアルケニル基を含む分岐したケージ状のオリゴシロキサンである。分岐アルケニル官能性シリコーンは、Q単位(SiO4/2単位)、M単位(RSiO1/2単位)を含み、任意選択で、D単位(RSiO単位)および/またはT単位(RSiO3/2単位)をさらに含み(ここでRはそれぞれ独立して非置換または置換された一価の脂肪族基または脂環式基である)、ここで分子あたり少なくとも3つのRは、好ましくはアルケニル基である。そのような分岐したケージ様シロキサンは、式M によって記載されるアルケニル官能性シロキサン化合物に含まれることが理解されよう。
【0048】
アルケニル官能性シリコーン(または2つ以上のアルケニル官能性シリコーンの混合物)は、組成物の総重量に基づいて、約40から約75重量%;約45から約65の重量%;または、約52から約58重量%の量で存在する。
【0049】
組成物は、有機水素化ポリシロキサンを含む。有機水素化ポリシロキサンは、以下の式の化合物から選択することができ、

ここで
=R353637SiO1/2
=R383940SiO1/2
=R4142SiO2/2
=R4344SiO2/2
=R45SiO3/2
=R46SiO3/2
Q=SiO4/2
ここでR35、R36、R37、R41、R42、R45は、C1-C30炭化水素、C6-C30芳香族基、またはC1-C30アルコキシ基から独立して選択され、
38、R39、R40、R43、R44、およびR46は、水素、C1-C30炭化水素、C6-C30芳香族基、C1-C30アルコキシ基、またはC2-C30アルケニル基から独立して選択され、但しR38、R39、R40、R43、R44、および/またはR46は水素であるという条件であり、
下付き文字a、b、c、d、e、f、gは、ゼロまたは正であって、以下の制限:1<h+i+j+k+m+n+o<100、i+k+n>0を受ける。
【0050】
ヒドリド官能性シリコーン架橋剤(または2つ以上のアルケニル官能性シリコーンの混合物)は、組成物の総重量に基づいて、約0.01から約20重量%;約0.1から約5重量%;または約0.1から約2重量%の量で存在する。
【0051】
本発明において有用な充填剤(c)は、コーティングの半透明性を著しく損なうことがない、すなわちコーティングされた基材は、コーティングを適用した後も元の外観を維持するという条件で、シリコーン組成物において現在知られている、または後に有用であることが見出されたものから選択される充填剤または充填剤の混合物である。
【0052】
適切な充填剤(c)の例には、これらに限定されないが、ステアレートまたはステアリン酸などの化合物で処理された粉砕、沈殿、およびコロイド状炭酸カルシウム;ヒュームドシリカ、沈降シリカ、シリカゲル、疎水化シリカ、シリカゲルなどの補強シリカ;破砕および粉砕された石英、アルミナ、水酸化アルミニウム、水酸化チタン、珪藻土、酸化鉄、カーボンブラック、グラファイト、またはカオリン、ベントナイト、モンモリロナイトなどの粘土が含まれる。
【0053】
一実施形態では、充填剤(c)は、D4およびヘキサメチルジシラザンまたはそれらの組み合わせで処理されたシリカ充填剤などのシリカ充填剤である。本発明において有用な充填剤の量は、一般に、硬化性シリコーン組成物の総重量に基づいて、約1重量%から約50重量%、より好ましくは約5重量%から約30重量%、最も好ましくは約8重量%から約20重量%である。
【0054】
硬化性組成物は、本明細書で前述したように、芳香族シリコーンベースの接着促進剤から選択される第1の接着促進剤(d)を含む。簡潔にするために、芳香族シリコーンベースの接着促進剤の詳細は再現されていない。芳香族シリコーンベースの接着促進剤は、組成物の総重量に基づいて、約0.1%から約5%;約0.5%から約3%;または約0.5%から約2%の重量の量で提供され得る。
【0055】
硬化性組成物は、任意選択で、ヒドリド官能性アルコキシシランから選択される第2の接着促進剤を含む。一実施形態では、ヒドリド官能性アルコキシシランは、以下の式の化合物から選択され、
47-SiR48 (OR493-r
ここでR47は水素またはヒドリド官能基であり;
48はC1-C10炭化水素基から独立して選択され;各R49は、C1-C10炭化水素から独立して選択され、そしてr=0、1、または2である。
【0056】
置換基R48およびR49基の例には、これらに限定されないが、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、t-ブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル、およびデシルなどのアルキル基;2-プロペニル、ヘキセニル、およびオクテニルなどのアルケニル基;ベンジルやフェネチルなどのアラルキル基;フェニル、トリル、およびキシリルなどのアリール基が含まれる。
【0057】
ヒドリド(炭化水素)シランの特定の例には、トリアルコキシシラン、トリアルケノキシシラン、およびトリアリールオキシシランが含まれる。トリアルコキシシランの例には、トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、トリ-n-プロポキシシラン、トリイソプロポキシシラン、トリブトキシシラン、トリイソプロペノキシシラン、およびトリフェノキシシランが含まれる。ジアルコキシシラン、ジアルケノキシシラン、およびジアリールオキシシランの例には、メチルジメトキシシラン、メチルジエトキシシラン、メチルジ-n-プロポキシシラン、メチルジイソプロペノキシシラン、メチルジフェノキシシラン、エチルジメトキシシラン、エチルジエトキシシラン、n-プロピルジメトキシシラン、n-プロピルジエトキシシラン、3,3,3-トリフルオロプロピルジメトキシシラン、3,3,3-トリフルオロプロピルジエトキシシラン、n-ヘキシルジメトキシシラン、n-ヘキシルジエトキシシラン、n-オクチルジメトキシシラン、n-オクチルジエトキシシラン、ベンジルジメトキシシラン、ベンジルジエトキシシラン、フェネチルジメトキシシラン、フェネチルジエトキシシラン、フェニルジメトキシシラン、およびフェニルジエトキシシランが含まれる。モノアルコキシシラン、モノアルケノキシシラン、およびモノアリールオキシシランの例には、ジメチルメトキシシラン、ジメチルエトキシシラン、ジメチル-n-プロポキシシラン、ジメチルイソプロペノキシシラン、ジメチルフェノキシシラン、ジエチルメトキシシラン、メチルエチルエトキシシラン、n-プロピル(メチル)メトキシシラン、n-プロピル(メチル)エトキシシラン、3,3,3-トリフルオロプロピル(メチル)メトキシシラン、ビス(3,3,3-トリフルオロプロピル)エトキシシラン、n-ヘキシル(メチル)メトキシシラン、ジ(n-ヘキシル)エトキシシラン、n-オクチル(メチル)メトキシシラン、ジ(n-オクチル)エトキシシラン、ベンジル(メチル)メトキシシラン、フェネチル(メチル)メトキシシラン、およびメチルフェニルメトキシシランが含まれる。混合アルコキシ基、アルケノキシ基、アラルキルオキシ基、およびアリールオキシ基を有するヒドリド(炭化水素)シランの例には、ジエトキシプロペノキシシラン、ジメトキシフェノキシシラン、ジフェノキシプロペノキシシラン、およびメチルメトキシフェネエトキシシランが含まれる。
【0058】
実施形態において、R47は、下記式の基を含む環状水素化シロキサンであり、
【化14】

ここでR51、R52、およびR53は、H、C1-C10アルキル、または-OR54から独立して選択され、ここでR54はC1-C10アルキルであり、そしてR51、R52、およびR53のうちの少なくとも1つはHであり;そしてR50はC1-C30炭化水素;C6-C30アリール基;アルキルアクリレート基;アルキルカルボキシレート基;またはエステル基である。一実施形態では、式R47-SiR48 (OR493-rのヒドリド官能性アルコキシシラン、R47は環状ヒドリドシロキサンであり、R50は、C1-C30炭化水素;C6-C30アリール基;アルキルアクリレート基;アルキルカルボキシレート基;またはエステル基であり、そして化合物がトリアルコキシシリル基を含むように、rは0である。一実施形態では、R50は、ケイ素原子に結合した側鎖を有し、以下の式で表される有機シリコン基であり、
-C(O)-O-Q
ここで
は、ケイ素原子とエステル結合との間に2つ以上の炭素原子、実施形態では、2-20個の炭素原子、4-15個の炭素原子、または6-10個の炭素原子を有する炭素鎖を形成する直鎖状または分枝状のアルキレン基を表し、そして
は、酸素原子と側鎖:SiR48 (OR493-rにおけるケイ素原子との間に3つ以上の炭素原子、実施形態で、2-20個の炭素原子、4-15個の炭素原子、または6-10個の炭素原子を有する炭素鎖を形成する直鎖状または分岐のアルキレン基を表す。
【0059】
無機基材への様々な有機官能性シランおよびシロキサン接着促進剤は、第2の接着促進剤として組成物において有用である。適切なシランには、エポキシシラン、イソシアヌレートシラン、イミドシラン、無水物シラン、カルボキシレート官能化シロキサンなどが含まれるが、これらに限定されない。様々なタイプの接着促進剤の組み合わせも使用することができる。このような成分は、通常、金属触媒によるヒドロシリル化による硬化を阻む。適切な接着促進剤には、様々なアミノシラン材料、例えば、Momentive Performance Materialsから入手可能な、Silquest(登録商標)A-1120シラン、Silquest A-1110シラン、Silquest A-2120シラン、およびSilquest A-1170シラン;エポキシシラン、例えば、Silquest A-187シラン:イソシアヌレートシラン、例えば、Silquest A-597シラン;およびメルカプトシラン、例えば、Silquest A-189シラン、Silquest A-1891シラン、Silquest A-599シランが含まれるが、これらに限定されない。
【0060】
第2の接着促進剤は、組成物の総重量に基づいて、約0.1%から約10%;約0.2%から約5%;または約0.5%から約3%の重量の量で存在し得る。第2の接着促進剤を使用する実施形態では、第1の接着促進剤と第2の接着促進剤との比は、約3:5;約3:1;または約1:1からであり得る。
【0061】
硬化性組成物は、任意選択で、アルコキシシラン(f)をさらに含む。アルコキシシラン(f)は、以下の式の化合物であり、
55-SiR56 (OR573-n
ここでR55、R56、およびR57は、C1-C30炭化水素、および/またはC6-C30芳香族基から独立して選択され、そしてR55は、C1-C30炭化水素、C6-30芳香族基、C1-C30アルコキシ基、またはC2-C20不飽和炭化水素から選択される。
【0062】
適切なアルコキシシラン(f)の例には、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ-n-プロポキシシラン、メトキシトリエトキシシラン、ジメトキシジエトキシシラン、トリメトキシ-n-プロポキシシラン、ビス(2-エチルヘキソキシ)ジエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、アミルトリエトキシシラン、トリエトキシシラン、メチルトリアセトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、ガンマ-アミノプロピルトリメトキシシラン、ガンマ-アミノプロピルトリエトキシシラン、ベータ-アミノエチルトリメトキシシラン、ベータ-アミノエチルトリエトキシシラン、N-ベータ-アミノエチルアミノプロピルトリメトキシシラン、ガンマ-イソシアナトプロピルトリエトキシシラン、メルカプトプロピルトリメトキシシラン、メルカプトエチルトリメトキシシラン、メルカプトプロピルトリエトキシシラン、グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、4,5-エポキシシクロヘキシルエチルトリメトキシシラン、ウレイドプロピルトリメトキシシラン、ウレイドプロピルトリエトキシシラン、クロロプロピルトリメトキシシラン、クロロプロピルトリエトキシシラン、シアノプロピルトリメトキシシランなどが含まれるが、これらに限定されない。
【0063】
アルコキシシラン(f)として、2つ以上の異なるアルコキシシランを使用できることが理解されよう。アルコキシシランは、存在する場合、組成物の総重量に基づいて、約0.1%から約5%;約0.1%から約3%;または約0.1%から約2.5%の重量の量で存在し得る。
【0064】
硬化性組成物は、任意選択で、重合抑制剤(g)を含む。重合抑制剤は特に限定されるものではなく、特定の目的または使用目的のために必要に応じて選択することができる。適切な抑制剤の例には、エチレン性不飽和アミド、芳香族不飽和アミド、アセチレン化合物、エチレン性不飽和イソシアネート、オレフィンシロキサン、不飽和炭化水素ジエステル、不飽和酸の不飽和炭化水素モノエステル、共役または孤立のエン-イン、ヒドロペルオキシド、ケトン、スルホキシド、アミン、ホスフィン、ホスファイト、亜硝酸塩、ジアジリジンなどが含まれるが、これらに限定されない。組成物に特に適した抑制剤は、アルキニルアルコールおよびマレエートである。適切な重合抑制剤の例には、ジアリルマレエート、ヒドロキノン、p-メトキシフェノール、t-ブチルカテコール、フェノチアジンなどが含まれるが、これらに限定されない。
【0065】
組成物に使用される抑制剤(g)の量は重要ではなく、適度に高い温度、すなわち75から100℃の温度での前記反応を妨げずに、室温で上記の反応を遅らせる任意の量であり得る。成分(g)の範囲は、0から約10重量%、約0.001から2重量%、さらには約0.12から約1重量%であり得る。ここでは、明細書および特許請求の範囲の他の場所と同様に、数値を組み合わせて、新しい代替範囲を形成することができる。
【0066】
ヒドロシリル化触媒(h)は、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、および白金を使用するものなどの貴金属触媒、およびこれらの金属の錯体を含むことができる。本発明で使用するのに適したヒドロシリル化触媒の例には、Ashby触媒;Lamoreax触媒;Karstedt触媒;Modic触媒;およびJeram触媒およびそれらの2つ以上の組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。
【0067】
一実施形態では、組成物は、抑制剤成分(g)およびPt触媒(h)を含まなくてもよい。
【0068】
硬化性組成物はまた、他の添加剤(i)を含み得る。他の添加剤には、酸化防止剤、充填剤、顔料、染料、充填剤処理剤、可塑剤、スペーサー、増量剤、殺生物剤、安定剤、難燃剤、表面改質剤、エージング防止添加剤、レオロジー添加剤、腐食抑制剤、界面活性剤またはそれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。
【0069】
硬化性組成物はまた、抗酸化化合物を含み得る。抗酸化化合物の適切なクラスの例には、ヒンダードアミンおよび/またはヒンダードフェノール化合物が含まれるが、これらに限定されない。
【0070】
ヒンダードアミン抗酸化化合物の例には、ヒンダードアミンシリーズ抗酸化剤(N,N’,N’’,N’’’-テトラキス-(4,6-ビス(ブチル-(N-メチル)-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)アミノ)-トリアジン-2-イル)-4,7-ジアザデカン-1,10-ジアミン、ジブチルアミン-1,3,5-トリアジン-N、N’-ビス-(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル-1,6-ヘキサメチレンジアミン-N-(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)ブチルアミンの重縮合生成物、ポリ[{6-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)アミノ-1,3,5-トリアジン-2,4-ジイル}{(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ}]、コハク酸ジメチルと4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチル-1-ピペリジンエタノールのポリマー、[デカン二酸ビス(2,2,6,6-テトラメチル-1(オクチルオキシ)-4-ピペリジル)エステル、1,1-ジメチルエチルヒドロペルオキシドおよびオクタンの反応生成物](70%)-ポリプロピレン(30%)、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)[[3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシフェニル]メチル]ブチルマロネート、メチル1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジルセバケート、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)セバケート、1-[2-[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]エチル]-4-[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、4-ベンゾイルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、8-アセチル-3-ドデシル-7,7,9,9-テトラメチル-1,3,8-トリアザスピロ[4.5]デカン-2,4-ジオンなど)が含まれるが、これらに限定されない。
【0071】
一実施形態では、抗酸化化合物は、ヒンダードフェノール化合物である。ヒンダードフェノールは、特定の目的または意図された用途のために必要に応じて選択することができる。適切なヒンダードフェノールの例には、モノフェノール、例えば2,6-ジ-t-ブチル-p-クレゾール、2-t-ブチル-4-メトキシフェノール、3-t-ブチル-4-メトキシフェノール、および2,6-t-ブチル-4-エチルフェノール、ビスフェノール、例えば2,2’-メチレン-ビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)、4,4’-チオビス(3-メチル-6-t-ブチルフェノール)、および4,4’-ブチリデン-ビス(3-メチル-6-t-ブチルフェノール);および高分子フェノール、例えば、1,1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-t-ブチルフェニル)ブタン、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス[メチレン-3-(3’,5’-ジ-t-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、ビス[3,3’-ビス(4’-ヒドロキシ-3-t-ブチルフェニル)酪酸グリコールエステル、およびトコフェロール(ビタミンE)、ペンタエリスリトール-テトラキス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、チオジエチレン-ビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート)、N,N’-ヘキサン-1,6-ジイルビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニルプロピオアミド)、ベンゼンプロパン酸3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシC7-C9側鎖アルキルエステル、2,4-ジメチル-6-(1-メチルペンタデシル)フェノール、ジエチル[[3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシフェニル]メチル]ホスホネート、3,3’,3’’,5,5’,5’’-ヘキサン-tert-ブチル-4-a,a’,a’’-(メシチレン-2,4,6-トリル)トリ-p-クレゾール、カルシウムジエチルビス[[[3,5-ビス-(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシフェニル]メチル]ホスホネート]、4,6-ビス(オクチルチオメチル)-o-クレゾール、エチレンビス(オキシエチレン)ビス[3-(5-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-m-トリル)プロピオネート]、ヘキサメチレンビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,3,5-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)-トリオン、N-フェニルベンゼンアミンと2,4,4-トリメチルペンテンの反応生成物、2,6-ジ-tert-ブチル-4-(4,6-ビス(オクチルチオ)-1,3,5-トリアジン-2-イルアミノ)フェノールなどが含まれるが、これらに限定されない。
【0072】
IRGANOX 1330は、BASFから市販されている、立体障害のフェノール系酸化防止剤(「3,3’,3’,5,5’,5’-ヘキサ-tert-ブチル-a,a’,a’-(メシチレン-2,4,6-トリイル)トリ-p-クレゾール」)である。Irganox 1010は、BASFから市販されている立体障害のフェノール系酸化防止剤(「ペンタエリスリトールテトラキス(3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート)」)であり、またはETHANOX(商標)330(Albemarle Corporation)として市販されている、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン、ペンタエリスリトールテトラキス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート](Irganox 1010)、トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート(Irganox 3114)、Irganox 3114としてのトリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)イソシアヌレートである。
【0073】
硬化性組成物は、任意選択で光安定剤を含み得る。光安定剤は特に限定されるものではなく、特定の用途または使用目的に応じて選択することができる。光安定剤に適した材料の例には、2,4-ジ-tert-ブチル-6-(5-クロロベンゾトリアゾール-2-イル)フェノール、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4,6-ジ-tert-ペンチルフェノール、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノール、メチル3-(3-(21-1-ベンゾトリアゾール-2-イル)-5-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート/ポリエチレングリコール300の反応生成物、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-6-(直鎖および分岐ドデシル)-4-メチルフェノール、2-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)-5-[(ヘキシル)オキシ]-フェノール、オクタベンゾン、2,4-ジ-tert-ブチルフェニル-3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンゾエート、Tinuvin622LD、Tinuvin144、CHIMASOSRB 119FL、MARK LA-57、LA-62、LA-67、LA-63、SANDOL LS-765、LS-292、LS-2626、LS-1114、LS-744などが含まれるが、これらに限定されない。
【0074】
硬化性組成物は、それぞれの成分の混合物を提供すること、および混合物を組成物を硬化させるのに十分な時間、十分な温度にさらすことによって硬化させることができる。それぞれの成分は、別々に、またはパッケージが最終組成物に必要な2つ以上の成分を含む場合、材料の2つ以上のパッケージとして加えることができる。一実施形態では、接着促進剤は、(i)第1の接着促進剤としての芳香族ベースのシリコーン化合物および(ii)第2の接着促進剤を含むパッケージとして提供される。一実施形態では、組成物は、150℃未満;125℃未満;110℃未満;100℃未満;または90℃未満の温度で加熱することができる。一実施形態では、組成物は、約75℃から約120℃;約85℃から約110℃;または約90℃から約100℃の温度で加熱される。硬化は、約10分から約3時間;15分から約1.5時間;または約30分から約1時間の期間、高温にさらされた状態で達成することができる。
【0075】
組成物は、様々な用途で使用することができる。実施形態では、組成物は硬化され、シーリング用の材料として、接着剤として;サニタリールームのコーティングとして;異なる材料間のジョイントシール、例えば、セラミックまたは鉱物表面と熱可塑性プラスチックとの間のシーラントとして;ペーパーリリースとして;含浸材料として;ウェザーストリップコーティング、リリースコーティング、接着剤、接着仕上げ、リークタイト製品、ポインティング製品、フォームなどに使用され得る。例として、組成物を硬化させて、汎用および工業用シーラント、ポッティングコンパウンド、コーキング、または建設用接着剤、断熱ガラス、ここでガラスシートは金属フレームに固定および密封され、コーキング、金属板用接着剤、車体、車両、電子機器などとして使用することができる。
【0076】
さらに、この組成物は、様々な基材に使用することができ、優れた接着特性を提供する。適切な基材の例には、有機ポリマー材料、例えば、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン(ABS)樹脂、ポリカーボネート(PC)樹脂、ポリウレタン(PU)樹脂、スチレン樹脂、ポリエチレン(PE)樹脂、ポリプロピレン(PP)樹脂、アクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂、ポリフェニレンオキシド(PPO)樹脂、ポリフェニレンスルフィド(PPS)樹脂、ポリスルホン樹脂、ナイロン(PA)樹脂、芳香族ポリアミド(芳香族PA)樹脂、ポリイミド(PI)樹脂、および液晶樹脂から選択される熱可塑性樹脂を含むがこれらに限定されないポリマー基材が含まれる。組成物はまた、アルミニウム、鉄、ニッケル、ステンレス鋼、金属合金およびめっきされた金属を含む金属基材に接着するために使用することができる。
【0077】
以下の実施例は、本技術の態様および実施形態を説明することを意図している。特に明記されていない限り、すべての部品とパーセンテージは重量であり、すべての温度は摂氏である。本出願で言及されるすべての特許、他の刊行物、および米国特許出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【実施例
【0078】
表1および2に記載された実施例に従って組成物を調製した。組成物は、接着促進剤を組成物に添加すること、および混合して組成物に分散させることによって調製した。ヒドリドアルコキシシラン接着促進剤シランAは、R47-SiR48 (OR493-rに該当するシランであり、ここでR47は、明細書に記載されているように、それに結合した基Q-C(O)-O-Qを有する環状ヒドリドシロキサンである。組成物は、アルミニウム基材、ポリフェニレンスルフィド(PPS)基材、またはポリブチレンテレフタレート(PBT)基材の表面に、145mm×0.15mmの深さの寸法を有するテフロン溝内に適用された。基材をオーブンに入れ、90-100℃で30-60分間硬化させた。硬化した材料のラップ剪断強度は、INSTRON3365引張強度試験機と試験方法ASTMD3163を使用して測定した。
【表1】

【表2】
【0079】
例6-9および11は、比較例として見ることができる。表に示されているように、本接着促進剤は、他の接着促進剤を単独で使用する場合と比較して、良好な接着を提供する。(表2を参照)さらに、第2の接着促進剤と組み合わせた本接着促進剤の使用はまた、改善された接着を、そしてより広い範囲の基質にわたって提供する。
【0080】
上記に記載されていることは、本明細書の例を含む。もちろん、本明細書を説明する目的で構成要素または方法論の考えられるすべての組み合わせを説明することは不可能であるが、当業者は、本明細書のさらに多くの組み合わせおよび順列が可能であることを認識することができる。したがって、本明細書は、添付の特許請求の範囲の精神および範囲内にあるそのようなすべての変更、修正、および変形を包含することを意図している。さらに、「含む」という用語が詳細な説明または特許請求の範囲のいずれかで使用される限り、そのような用語は、請求項における移行句として使用されるときに解釈される「含む」として、「含む」という用語が同様の方法で包括的であることを意図する。
【0081】
前述の説明は、芳香族含有シリコーン化合物およびそのような化合物を含む硬化性組成物の様々な非限定的な実施形態を特定する。当業者および本発明を作製および使用することができる人々に変更が生じ得る。開示された実施形態は、単に例示の目的のためであり、本発明の範囲または特許請求の範囲に記載された主題を限定することを意図するものではない。