(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-21
(45)【発行日】2024-01-04
(54)【発明の名称】管腔内超音波イメージングの疾患に特有且つ処置タイプに特有の制御
(51)【国際特許分類】
A61B 8/12 20060101AFI20231222BHJP
【FI】
A61B8/12
(21)【出願番号】P 2021547902
(86)(22)【出願日】2019-10-25
(86)【国際出願番号】 EP2019079117
(87)【国際公開番号】W WO2020084100
(87)【国際公開日】2020-04-30
【審査請求日】2022-10-20
(32)【優先日】2018-10-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(73)【特許権者】
【識別番号】515122402
【氏名又は名称】フィリップス イメージ ガイディッド セラピー コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110001690
【氏名又は名称】弁理士法人M&Sパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】ラジュル ニヒル シュリーダール
(72)【発明者】
【氏名】チャオ ペイ‐イン
【審査官】冨永 昌彦
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-536917(JP,A)
【文献】国際公開第2017/222964(WO,A1)
【文献】特開2003-299652(JP,A)
【文献】特表2006-513731(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0121475(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0187934(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 8/00 - 8/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
管腔内超音波イメージングカテーテルとの通信のためのプロセッサ回路を備える管腔内超音波イメージングシステムであって、前記プロセッサ回路は、
前記管腔内超音波イメージングカテーテルが患者の体管腔内に位置している間に前記管腔内超音波イメージングカテーテルにより取得された管腔内超音波画像を受信し、
少なくとも2つの画像タイプ選択肢を含むユーザーインターフェースを、前記プロセッサ回路と通信するディスプレイに出力し、
前記画像タイプ選択肢の選択を、前記ユーザーインターフェースを介して受信し、
前記画像タイプ選択肢に基づいて、少なくとも1つの画像処理パラメータに対するプリセット値を選択することであって、前記少なくとも1つの前記画像処理パラメータは、前記管腔内超音波画像が前記ディスプレイにどのように表示されるかの視覚的外観を決定し、各画像処理パラメータが、異なる視覚的外観を決定する、当該プリセット値を選択することを行い、
前記管腔内超音波画像が前記視覚的外観に従って表示されるように、前記管腔内超音波画像を前記ディスプレイに出力
し、前記ユーザーインターフェースにおける少なくとも2つの前記画像タイプ選択肢が、冠動脈脈管構造、末梢静脈脈管構造、又は末梢動脈脈管構造を含む、
管腔内超音波イメージングシステム。
【請求項2】
前記管腔内超音波画像における特徴が、選択された前記画像タイプ選択肢に基づいて強調されるように、前記プロセッサ回路は前記管腔内超音波画像を出力する、
請求項1に記載の管腔内超音波イメージングシステム。
【請求項3】
前記特徴が、ステントを含み、
前記管腔内超音波画像における前記ステントが、選択された前記画像タイプ選択肢に基づいて強調されるように、前記プロセッサ回路は前記管腔内超音波画像を出力する、
請求項2に記載の管腔内超音波イメージングシステム。
【請求項4】
前記特徴が、前記管腔内超音波画像における解剖学的構造を含み、
前記管腔内超音波画像における前記解剖学的構造が、選択された前記画像タイプ選択肢に基づいて強調されるように、前記プロセッサ回路は前記管腔内超音波画像を出力する、
請求項2に記載の管腔内超音波イメージングシステム。
【請求項5】
前記解剖学的構造が、プラーク、病変、亜急性血栓、急性血栓、慢性血栓、ウェブ形成、傷跡、深部静脈血栓、圧縮、非血栓腸骨静脈病変、血栓後症候群、又は慢性完全閉塞のうちの少なくとも1つを含み、
前記管腔内超音波画像における、前記プラーク、病変、亜急性血栓、急性血栓、慢性血栓、ウェブ形成、傷跡、深部静脈血栓、圧縮、非血栓腸骨静脈病変、血栓後症候群、又は慢性完全閉塞のうちの少なくとも1つが、選択された前記画像タイプ選択肢に基づいて強調されるように、前記プロセッサ回路は前記管腔内超音波画像を出力する、
請求項4に記載の管腔内超音波イメージングシステム。
【請求項6】
前記ユーザーインターフェースが、前記特徴に関連した検出選択肢を更に含み、
前記プロセッサ回路が前記検出選択肢の選択を受信したことに応答して、前記プロセッサ回路が前記管腔内超音波画像における前記特徴を決定する、
請求項2に記載の管腔内超音波イメージングシステム。
【請求項7】
前記プロセッサ回路が、閉塞閾値に基づいて前記特徴を識別する、
請求項6に記載の管腔内超音波イメージングシステム。
【請求項8】
少なくとも1つの前記画像処理パラメータが、リングダウン、ゲイン曲線、コントラスト、彩度、色相、視野、又はクロマのうちの少なくとも1つを含み、
前記プロセッサ回路が、リングダウン、ゲイン曲線、明度、コントラスト、彩度、色相、視野、又はクロマのうちの少なくとも1つに基づいて、前記管腔内超音波画像の前記視覚的外観を変更する、
請求項1に記載の管腔内超音波イメージングシステム。
【請求項9】
前記管腔内超音波イメージングカテーテルを更に備える、
請求項1に記載の管腔内超音波イメージングシステム。
【請求項10】
管腔内超音波イメージングカテーテルとの通信のためのプロセッサ回路を備える管腔内超音波イメージングシステムの作動方法であって、
前記作動方法は、
前記プロセッサが、管腔内超音波イメージングカテーテルが患者の体管腔内に位置している間に前記管腔内超音波イメージングカテーテルにより取得された管腔内超音波画像
を受信するステップと、
前記プロセッサが、少なくとも2つの画像タイプ選択肢を含むユーザーインターフェースを、前記プロセッサ回路と通信するディスプレイに出力するステップと、
前記プロセッサが、前記画像タイプ選択肢の選択を、前記ユーザーインターフェースを介して受信するステップと、
前記プロセッサが、前記画像タイプ選択肢に基づいて、少なくとも1つの画像処理パラメータに対するプリセット値を選択するステップであって、少なくとも1つの前記画像処理パラメータが、前記管腔内超音波画像が前記ディスプレイにどのように表示されるかの視覚的外観を決定し、各前記画像処理パラメータが、異なる前記視覚的外観を決定する、当該プリセット値を選択するステップと、
前記プロセッサが、前記管腔内超音波画像が前記視覚的外観に従って表示されるように、前記管腔内超音波画像を前記ディスプレイに出力するステップと、
を
有し、前記ユーザーインターフェースにおける少なくとも2つの前記画像タイプ選択肢が、冠動脈脈管構造、末梢静脈脈管構造、又は末梢動脈脈管構造を含む、管腔内超音波イメージング方法。
【請求項11】
前記画像タイプ選択肢が、前記管腔内超音波画像における特徴を強調するために選択され、前記特徴が、ステント、プラーク、病変、亜急性血栓、急性血栓、慢性血栓、ウェブ形成、傷跡、深部静脈血栓、圧縮、非血栓腸骨静脈病変、血栓後症候群、又は慢性完全閉塞のうちの少なくとも1つを含む、
請求項
10に記載の管腔内超音波イメージング方法。
【請求項12】
前記ユーザーインターフェースが、前記特徴に関連した検出選択肢を更に含み、
前記プロセッサが、前記検出選択肢の選択を受信したことに応答して、前記管腔内超音波画像における前記特徴
を識別するステップを更に有する、
請求項
11に記載の管腔内超音波イメージング方法。
【請求項13】
前記特徴を識別するステップが、閉塞閾値に基づく、
請求項
12に記載の管腔内超音波イメージング方法。
【請求項14】
少なくとも1つの前記画像処理パラメータが、リングダウン、ゲイン曲線、明度、コントラスト、彩度、色相、視野、又はクロマのうちの少なくとも1つを含む、
請求項
10に記載の管腔内超音波イメージング方法。
【請求項15】
脈管内超音波イメージングカテーテルが患者の血管内に位置している間に脈管内超音波画像を取得する前記脈管内超音波イメージングカテーテルと、
前記脈管内超音波イメージングカテーテルとの通信のためのプロセッサ回路とを備える脈管内超音波イメージングシステムであって、前記プロセッサ回路が、
脈管内超音波イメージングにより取得された前記脈管内超音波画像を受信し、
冠動脈脈管構造、末梢静脈脈管構造、又は末梢動脈脈管構造として前記血管を識別する少なくとも2つの画像タイプ選択肢を含むユーザーインターフェースを、前記プロセッサ回路と通信するディスプレイに出力し、
前記画像タイプ選択肢の選択を、前記ユーザーインターフェースを介して受信し、
前記画像タイプ選択肢に基づいて複数の画像処理パラメータに対するプリセット値を選択することであって、複数の前記画像処理パラメータは、前記脈管内超音波画像が前記ディスプレイにどのように表示されるかの視覚的外観を決定し、各前記画像処理パラメータが、異なる前記視覚的外観を決定し、複数の前記画像処理パラメータが、リングダウン、ゲイン曲線、視野、又はクロマのうちの2つ以上を含む、当該プリセット値を選択することを行い、
前記脈管内超音波画像が前記視覚的外観に従って表示されるように、前記脈管内超音波画像を前記ディスプレイに出力する、脈管内超音波イメージングシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001] 本出願は、2018年10月26日に出願された米国仮特許出願第62/750,890号に基づく優先権及び利益を主張し、同出願の全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
[0002] 本明細書において説明されている主題は、医療イメージングのためのシステムに関する。特に、開示されているシステムは、ユーザーが特定の疾患タイプ又は処置タイプを指定することを可能にすることにより、管腔内超音波イメージング制御パラメータの自動事前選択を可能にする。このシステムは、脈管疾患の診断及び処置のための特別だが排他的ではない有用性をもつ。
【背景技術】
【0003】
[0003] 異なる疾患又は医療工程は、異なる寸法、構造、密度、含水量、及びイメージングセンサーに対するアクセスのしやすさを伴う物理的特徴をもたらす。例えば、深部静脈血栓(DVT)が血液細胞の血栓を生成するのに対し、血栓後症候群(PTS)は脈管壁自体と同様の組成をもつ脈管におけるウェブ形成又は他の残留した構造的影響をもたらし、ひいては、脈管壁と区別することが困難となる。ステントは、ある特定の直径まで開いた状態に脈管又は管腔を保持するための、脈管又は管腔内に位置する高密度の(例えば金属の)物体である。脈管におけるステントの配置を示すことに適したイメージングパラメータは、DVT又はPTSの特徴を示さない場合があるのに対し、DVTのサイズ及び配置を示すことに適したイメージングパラメータは、ステント又はPTSをイメージングすることに適さない場合がある。例えば、超音波イメージングセンサーを使用してDVTをイメージングすることが、リングダウン、高いゲイン、及び低コントラストを必要とするのに対し、PTSをイメージングすることは、中程度のゲイン、低コントラスト、及び任意選択的なリングダウンを必要とし、及びステントをイメージングすることは、リングダウン減算、低いゲイン、及び高コントラストを必要とする。多くの場合、脈管内超音波システムを使用する医師は、問題となっている事例に基づいて、例えば、ゲイン(明度)、視野(深さ)、ラベル、注釈などの設定を変更する必要がある。現在のシステムは、これらの設定を微調整するための多くの選択肢をユーザーに提示するが、多くの場合、これらは更なる時間を消費し、更に、特定の事例における最適化された使用のためにこれらの設定を調節するためのユーザーの専門的技術に依存する。
【発明の概要】
【0004】
[0004] 一般的には、医療従事者は、医療イメージング工程中にリアルタイムでこれらのパラメータを調節し、及び結果として得られる画像を記憶媒体に保存しなければならない。生のイメージングデータは非常に大きく、一般的に保存されず、したがって、多くのパラメータが画像の後処理中に変更されることが不可能であり、したがって、臨床的に重要な画像の詳細が失われる。
【0005】
[0005] 本明細書において引用されている任意の参照及びその任意の説明又は議論を含む、本明細書のこの背景技術欄に含まれる情報は、技術的な参照のみを目的として含まれているのであり、本開示の範囲を制限する主題とみなされるのではない。
【0006】
[0006] 特定の疾患タイプ又は処置タイプを指定することにより管腔内イメージングシステム制御パラメータを事前選択するためのシステム-以下で事例特有イメージングプリセットシステムと呼ばれるシステム-が開示されている。例えば、本開示は、末梢脈管内超音波(IVUS)画像の獲得及び表示のための疾患タイプに特有の設定について説明している。本開示の少なくとも1つの実施形態によると、決定の疾患タイプ又は処置を指定することにより管腔内超音波画像制御パラメータを事前選択するためのシステムが提供される。
【0007】
[0007] 本明細書において開示されている事例特有イメージングプリセットシステムは、管腔内超音波イメージング工程に対する特別だが排他的ではない有用性をもつ。事例特有イメージングプリセットシステムの1つの概括的な態様は、管腔内超音波イメージングカテーテルとの通信のために構成されるプロセッサ回路を備える管腔内超音波イメージングシステムであって、当該プロセッサ回路は、管腔内超音波イメージングカテーテルが患者の体管腔内に位置している間に管腔内超音波イメージングカテーテルにより取得された管腔内超音波画像を受信し、少なくとも2つの画像タイプ選択肢を含むユーザーインターフェースをプロセッサ回路と通信するディスプレイに出力し、画像タイプ選択肢の選択を、ユーザーインターフェースを介して受信し、画像タイプ選択肢に基づいて、少なくとも1つの画像処理パラメータに対するプリセット値を選択することであって、少なくとも1つの画像処理パラメータが、管腔内超音波画像がディスプレイにどのように表示されるかの視覚的外観を決定し、各画像処理パラメータが、異なる視覚的外観を決定する、当該プリセット値を選択することを行い、管腔内超音波画像が視覚的外観に従って表示されるように、管腔内超音波画像をディスプレイに出力するように構成される、管腔内超音波イメージングシステムを含む。この態様の他の実施形態は、本方法のアクションを実施するように各々が構成される、対応するコンピュータシステム、装置、及び1つ又は複数のコンピュータストレージデバイスに記録されたコンピュータプログラムを含む。
【0008】
[0008] 実施態様は、以下の特徴のうちの1つ又は複数を含む。上記システムにおいて、管腔内超音波画像における特徴が、選択された画像タイプ選択肢に基づいて強調されるように、プロセッサ回路が、管腔内超音波画像を出力するように構成される。上記システムにおいて、特徴がステントを含む。システムは、管腔内超音波画像におけるステントが、選択された画像タイプ選択肢に基づいて強調されるように、プロセッサ回路が管腔内超音波画像を出力するように構成される。上記システムにおいて、特徴が、管腔内超音波画像における解剖学的構造を含む。上記システムにおいて、管腔内超音波画像における解剖学的構造が、選択された画像タイプ選択肢に基づいて強調されるように、プロセッサ回路が、管腔内超音波画像を出力するように構成される。上記システムにおいて、解剖学的構造が、プラーク、病変、亜急性血栓、急性血栓、慢性血栓、ウェブ形成、傷跡、深部静脈血栓、圧縮、非血栓腸骨静脈病変、血栓後症候群、又は慢性完全閉塞のうちの少なくとも1つを含む。上記システムにおいて、管腔内超音波画像における、プラーク、病変、亜急性血栓、急性血栓、慢性血栓、ウェブ形成、傷跡、深部静脈血栓、圧縮、非血栓腸骨静脈病変、血栓後症候群、又は慢性完全閉塞のうちの少なくとも1つが、選択された画像タイプ選択肢に基づいて強調されるように、プロセッサ回路が、管腔内超音波画像を出力するように構成される。上記システムにおいて、ユーザーインターフェースが、特徴に関連した検出選択肢を更に含む。上記システムにおいて、プロセッサ回路が検出選択肢の選択を受信したことに応答して、プロセッサ回路が、管腔内超音波画像における特徴を決定するように構成される。上記システムにおいて、プロセッサ回路が、閉塞閾値に基づいて特徴を識別するように構成される。上記システムにおいて、ユーザーインターフェースにおける少なくとも2つの画像タイプ選択肢のうちの少なくとも1つが、管腔内超音波画像の解剖学系に対応する。上記システムにおいて、ユーザーインターフェースにおける少なくとも2つの画像タイプ選択肢が、冠動脈脈管構造、末梢静脈脈管構造、又は末梢動脈脈管構造を含む。上記システムにおいて、少なくとも1つの画像処理パラメータが、リングダウン、ゲイン曲線、コントラスト、彩度、色相、視野、又はクロマのうちの少なくとも1つを含む。上記システムにおいて、プロセッサ回路が、リングダウン、ゲイン曲線、明度、コントラスト、彩度、色相、視野、又はクロマのうちの少なくとも1つに基づいて、管腔内超音波画像の視覚的外観を変更するように構成される。上記システムは、管腔内超音波イメージングカテーテルを更に含む。説明されている技術の実施態様は、ハードウェア、方法、若しくは処理、又はコンピュータによりアクセス可能な媒体におけるコンピュータソフトウェアを含む。
【0009】
[0009] 1つの概括的な態様は、管腔内超音波イメージング方法を含み、本方法は、管腔内超音波イメージングカテーテルが患者の体管腔内に位置している間に管腔内超音波イメージングカテーテルにより取得された管腔内超音波画像をプロセッサ回路において受信するステップと、少なくとも2つの画像タイプ選択肢を含むユーザーインターフェースを、プロセッサ回路と通信するディスプレイに出力するステップと、画像タイプ選択肢の選択を、ユーザーインターフェースを介して受信するステップと、画像タイプ選択肢に基づいて、少なくとも1つの画像処理パラメータに対するプリセット値を選択するステップであって、少なくとも1つの画像処理パラメータが、管腔内超音波画像がディスプレイにどのように表示されるかの視覚的外観を決定し、各画像処理パラメータが、異なる視覚的外観を決定する、プリセット値を選択するステップと、管腔内超音波画像が視覚的外観に従って表示されるように、管腔内超音波画像をディスプレイに出力するステップとを有する。この態様の他の実施形態が、本方法のアクションを実施するように各々が構成される、対応するコンピュータシステム、装置、及び1つ又は複数のコンピュータストレージデバイスに記録されたコンピュータプログラムを含む。
【0010】
[0010] 実施態様は、以下の特徴のうちの1つ又は複数を含む。上記方法において、画像タイプ選択肢が画像における特徴を強調するように選択され、特徴が、ステント、プラーク、病変、亜急性血栓、急性血栓、慢性血栓、ウェブ形成、傷跡、深部静脈血栓、圧縮、非血栓腸骨静脈病変、血栓後症候群、又は慢性完全閉塞のうちの少なくとも1つを含む。ユーザーインターフェースが、特徴に関連した検出選択肢を更に含み、本方法は、検出選択肢の選択を受信したことに応答して、管腔内超音波画像における特徴を、プロセッサ回路により識別するステップを更に有する。上記方法において、特徴を識別するステップが、閉塞閾値に基づく。上記方法において、ユーザーインターフェースを出力するステップが、冠動脈脈管構造、末梢静脈脈管構造、又は末梢動脈脈管構造のうちの2つ以上を含む、少なくとも2つの画像タイプ選択肢を出力するステップを有する。上記方法において、少なくとも1つの画像処理パラメータが、リングダウン、ゲイン曲線、明度、コントラスト、彩度、色相、視野、又はクロマのうちの少なくとも1つを含む。説明されている技術の実施態様は、ハードウェア、方法、若しくは処理、又はコンピュータによりアクセス可能な媒体におけるコンピュータソフトウェアを含む。
【0011】
[0011] 1つの概括的な態様は、脈管内超音波イメージングカテーテルが患者の血管内に位置している間に脈管内超音波画像を取得するように構成された脈管内超音波イメージングカテーテルと、脈管内超音波イメージングカテーテルとの通信のために構成されるプロセッサ回路とを含む、脈管内超音波イメージングシステムであって、プロセッサ回路が、脈管内超音波イメージングにより取得された脈管内超音波画像を受信し、冠動脈脈管構造、末梢静脈脈管構造、又は末梢動脈脈管構造として血管を識別する少なくとも2つの画像タイプ選択肢を含むユーザーインターフェースを、プロセッサ回路と通信するディスプレイに出力し、画像タイプ選択肢の選択を、ユーザーインターフェースを介して受信し、画像タイプ選択肢に基づいて複数の画像処理パラメータに対するプリセット値を選択することであって、複数の画像処理パラメータが、脈管内超音波画像がディスプレイにどのように表示されるかの視覚的外観を決定し、各画像処理パラメータが、異なる視覚的外観を決定し、複数の画像処理パラメータが、リングダウン、ゲイン曲線、視野、又はクロマのうちの2つ以上を含む、プリセット値を選択することを行い、脈管内超音波画像が視覚的外観に従って表示されるように、脈管内超音波画像をディスプレイに出力するように構成される、脈管内超音波イメージングシステムを含む。この態様の他の実施形態本方法のアクションを実施するように各々が構成される、対応するコンピュータシステム、装置、及び1つ又は複数のコンピュータストレージデバイスに記録されたコンピュータプログラムを含む。
【0012】
[0012] この概要は、発明を実施するための形態において以下で更に詳しく説明される概念の選択肢を簡略化された形態により提示するために提供される。この概要は、請求項に記載された主題の重要な特徴又は本質的な特徴を特定することを意図したものではなく、この概要は、請求項に記載された主題の範囲を限定することを意図したものでもない。請求項において規定されている事例特有イメージングプリセットシステムの特徴、詳細事項、有用性、及び利点のより広範囲にわたる説明が、本開示の様々な実施形態の以下に記述された説明において提供されており、及び添付図面に示されている。
【0013】
[0013] 本開示の例示的な実施形態が添付図面を参照しながら説明される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】[0014] 本開示の態様による管腔内イメージングシステムの図式的な概略図である。
【
図2】[0015] 人体内の血管(例えば動脈及び静脈)を示す図である。
【
図3】[0016] 血栓を含む血管を示す図である。
【
図4】[0017] 血栓を含む、及び流れを回復するために血管の内部において拡張したステントを含む血管を示す図である。
【
図5】[0018] 本開示の態様による、画像調節に関連したスクリーン表示を示す図である。
【
図6】[0019] 本開示の態様による、画像がどのように表示されるかに関して、より多くの制御をユーザーに提供する高度な設定を含むスクリーン表示を示す図である。
【
図7a】[0020] 本開示の態様による、血管内における血栓をイメージングするための例示的なベースライン画像ゲイン曲線を示す図である。
【
図7b】[0021] 本開示の態様による、血管内におけるステントをイメージングするための例示的なベースライン画像ゲイン曲線を示す図である。
【
図8】[0022] 本開示の態様による、ユーザーが解剖学的特徴又は他の自動化された閾値の高度な/自動的な検出をオン又はオフに切り替えることを可能にする高度検出スクリーン表示を示す図である。
【
図9】[0023] 事例特有イメージングプリセットシステムのための例示的なウェルカムスクリーンを示す図である。
【
図10】[0024] 本開示の態様による、患者事例に対する決定のタイプの脈管イメージングをユーザーが選択することを可能にするスクリーン表示を示す図である。
【
図11】[0025] 本開示の態様による、3つのイメージング工程が実施された後におけるスクリーン表示を示す図である。
【
図12】[0026] 本開示の実施形態による、プロセッサ回路の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[0027] 本開示は、概して管腔内イメージングデバイスを使用した患者の体管腔に関連したイメージングを包含する医療イメージングに関する。例えば、本開示は、末梢脈管内超音波又はIVUS画像の獲得及び表示のための疾患タイプ設定について説明する。本開示の少なくとも1つの実施形態によると、特定の疾患タイプ又は処置タイプを指定することにより管腔内超音波制御パラメータを事前選択するためのシステムが提供され、本システムは、以下で事例特有イメージングプリセットシステムと呼ばれる。
【0016】
[0028] 本明細書において説明されているデバイス、システム、及び方法は、2018年10月26日に出願された米国仮特許出願第62/750,983号(代理人書類整理番号2018PF01112-44755.2000PV01)、2018年10月26日に出願された米国仮特許出願第62/751,268号(代理人書類整理番号2018PF01160-44755.1997PV01)、2018年10月26日に出願された米国仮特許出願第62/751,289号(代理人書類整理番号2018PF01159-44755.1998PV01)、2018年10月26日に出願された米国仮特許出願第62/750,996号(代理人書類整理番号2018PF01145-44755.1999PV01)、2018年10月26日に出願された米国仮特許出願第62/751,167号(代理人書類整理番号2018PF01115-44755.2000PV01)、及び、2018年10月26日に出願された米国仮特許出願第62/751,185号(代理人書類整理番号2018PF01116-44755.2001PV01)において説明されている1つ又は複数の特徴を含み得、各出願の全体が本明細書に完全に記載されているのと同等に参照により本明細書に組み込まれる。
【0017】
[0029] 本明細書において説明されているデバイス、システム、及び方法は、2018年3月14日に出願された米国仮特許出願第62/642,847号(代理人書類整理番号2017PF02103)(及び同出願に基づいて米国特許出願第16/351175号として2019年3月12日に出願された非仮特許出願)、2018年7月30日に出願された米国仮特許出願第62/712,009号(代理人書類整理番号2017PF02296)、2018年7月30日に出願された米国仮特許出願第62/711,927号(代理人書類整理番号2017PF02101)、及び、2018年3月15日に出願された米国仮特許出願第62/643,366号(代理人書類整理番号2017PF02365)(及び同出願に基づいて米国特許出願第16/354970号として2019年3月15日に出願された非仮特許出願)において説明されている1つ又は複数の特徴を更に含み得、各出願の全体が本明細書に完全に記載されているのと同等に参照により本明細書に組み込まれる。
【0018】
[0030] 本開示は、例えば、スキャニング、イメージング、及び画像処理パラメータといったパラメータを自動選択すること、及び、メニュー選択肢及び注釈付けパラメータを自動選択することによりワークフローを改善することにより、(特に、限定されないが、管腔内超音波画像を通して)医療画像を捕捉すること、記録すること、及び注釈付けすることを大幅に補助する。医療イメージングセンサー(例えば管腔内超音波センサー)と通信する医療イメージングコンソール(例えば管腔内イメージングコンソール)において実現されていることから、本明細書において開示されている事例特有イメージングプリセットシステムは、時間の節約と捕捉された画像の質の改善との両方を提供する。この改善されたイメージングは、生のイメージングデータを、望ましくない、又は臨床的に重要でない画像特徴を抑制する、又は、イメージング工程中にリアルタイムで、又は、再生又はレビュー中に、重要な診断画像特徴を強調又は強調表示する、疾患に特有の、及び/又は処置に特有の処理された画像に変換する。これは、画像設定を手動で操作するという通常ルーチン化される必要性を伴わずに行われ、及び、生画像データを破棄すること、及び処理された画像のみを記憶することに関連した問題を大幅に小さくする。この型破りなアプローチは、システムオペレーターが疾患又は処置タイプを識別すること以外に任意の特定のアクションを行う必要を伴わずに、画像及びワークフローの疾患に特有の、及び処置に特有の最適化を可能にすることにより、医療イメージングコンソール及びセンサーの機能を改善する。
【0019】
[0031] 事例特有イメージングプリセットシステムは、出力がディスプレイにおいて視認可能な、及び、キーボード、マウス、又はタッチスクリーンインターフェースからユーザー入力を受け入れる、及び、1つ又は複数の医療イメージングセンサー(例えば管腔内超音波センサー)と通信するプロセッサにおいて実行される制御プロセスにより演算される、論理的分岐及び数学的演算の集合として実現される。その点について、制御プロセスは、イメージング工程の開始時にユーザーにより行われた異なる入力又は選択に応答して、特定の具体的な演算を実施し、工程中にユーザーにより行われた入力に応答してもよい。プロセッサ、ディスプレイ、センサー、及びユーザー入力システムの決定の構造、機能、及び動作は当技術分野において知られており、他の事項が詳細事項を伴って本開示の新規な特徴又は態様を可能にするように本明細書に記載されている。
【0020】
[0032] 本開示は、臨床事例の一般的なタイプ又はカテゴリに特有なプリセットを提供することにより、画像解釈を改善する手法及び脈管内超音波システムの使用のしやすさを提供することにより、システムの取り扱いの専門的技術、画像解釈、及び多岐にわたるワークフローの障壁を乗り越えることに役立つ。幾つかの実施形態において、開示されているシステムは、ユーザーが個人の/病院の好みに基づいて好ましい設定を更に変更及び保存することを更に可能にする。
【0021】
[0033] 様々なタイプの管腔内イメージングシステムが疾患を診断及び処置することに使用される。例えば、脈管内超音波(IVUS)イメージングが、患者の体内における脈管を可視化するための診断ツールとして使用される。これは、(例えば処置前及び処置後における脈管のイメージングを通して)処置の必要性を判定するために、処置を最適化するために、及び/又は、処置の有効性を評価するために、人体内における、例えば動脈又は静脈といった罹患した、又は圧縮された脈管を評価することに役立つ。管腔内医療画像の画像処理は、画像が捕捉されている間に、又は、レビュー又は再生モード中に後から行われてもよい。異なる画像処理パラメータは、明度、コントラスト、彩度、ゲイン、色相、リングダウン、視野、倍率、及び特定の特徴の強調を包含するがこれらに限定されない、処理された医療画像の異なる視覚的外観を制御し、及び、トランスデューサーアレイの挙動を変えること、トランスデューサーアレイからの信号に対する信号処理、及び/又は、信号から生成された画像データに対する画像処理を包含し得る。画像プリセットを選択することは、例えば、リングダウン、ゲイン曲線(例えば入力強度値と出力強度値との間の関連性)、視野に関連した値又はパラメータの同時選択、及び、クロマに対する複数の値(例えば、範囲に対する値、及び、深さに対する値)を選択することを可能にしてもよい。
【0022】
[0034] 幾つかの例において、管腔内イメージングは、1つ又は複数の超音波トランスデューサーを含むIVUSデバイスを使用して実行される。IVUSデバイスは、脈管内に通され、及びイメージングされるエリアに案内される。トランスデューサーは、超音波エネルギーを出射し、脈管で反射された超音波エコーを受信する。超音波エコーは、関心のある脈管の画像を生成するように処理される。関心のある脈管の画像は、脈管内の1つ又は複数の病巣又は閉塞を含む。ステントは、これらの閉塞を処置するために脈管内に位置し、及び脈管内におけるステントの配置を見るために管腔内イメージングが実行される。他のタイプの処置は、血栓除去、アブレーション、脈管形成、薬剤などを包含する。
【0023】
[0035] これらの説明は、例示のみを目的として提供され、事例特有イメージングプリセットシステムの範囲を限定するように考慮されてはならない。特定の特徴が、請求項に記載された主題の趣旨から逸脱することなく追加され、除去され、又は修正される。
【0024】
[0036] 本開示の原理の理解を深めることを目的として、以下で、図面に描かれた実施形態が参照され、その実施形態について説明するために特定の表現が使用される。それにもかかわらず、本開示の範囲を限定することは意図されていないことが理解される。説明されているデバイス、システム、及び方法に対する任意の代替例及び更なる変形例、及び、本開示の原理の任意の更なる用途が、本開示に関連した当業者が通常想起するように十分に想定され、及び本開示に含まれる。特に、一実施形態に関連して説明されている特徴、コンポーネント、及び/又はステップが、本開示の他の実施形態に関連して説明されている特徴、コンポーネント、及び/又はステップと組み合わされてもよいことが十分に想定される。しかし、簡潔であるように、これらの組み合わせに関する多くの繰り返しとなる事項は個々に説明されない。
【0025】
[0037]
図1は、本開示の態様による、管腔内イメージングシステム100の図式的な概略図である。幾つかの実施形態において、管腔内イメージングシステム100は、脈管内超音波(IVUS)イメージングシステムであり得る。管腔内イメージングシステム100は、管腔内デバイス102と、患者インターフェースモジュール(PIM)104と、コンソール又は処理システム106と、モニター108と、脈管造影、超音波、X線、コンピュータ断層撮影(CT)、MRI、又は他のイメージング技術、機器、及び方法を含む外部イメージングシステム132とを含む。管腔内デバイス102は、患者の体管腔内に配置されるように寸法決めされ、形作られ、及び/又は別様に構造的に構成される。例えば、管腔内デバイス102は、様々な実施形態において、カテーテル、ガイドワイヤ、案内カテーテル、圧力ワイヤ、及び/又はフローワイヤであってもよい。幾つかの状況において、システム100は、更なる要素を含んでもよく、及び/又は、
図1に示される要素のうちの1つ又は複数を含まずに実現される。例えば、システム100は、外部超音波システム132とCTシステム134との一方又は両方を省略できる。
【0026】
[0038] 管腔内イメージングシステム100(又は脈管内イメージングシステム)は、患者の管腔又は脈管構造における使用に適した任意のタイプのイメージングシステムであり得る。幾つかの実施形態において、管腔内イメージングシステム100は管腔内超音波(IVUS)イメージングシステムである。他の実施形態において、管腔内イメージングシステム100は、フォワードルッキング管腔内超音波(FL-IVUS)イメージング、管腔内光音響(IVPA)イメージング、心腔内エコー検査(ICE)、経食道心エコー検査(TEE)、及び/又は他の適切なイメージングモダリティのために構成されたシステムを含む。
【0027】
[0039] システム100及び/又はデバイス102は、任意の適切な管腔内イメージングデータを取得するように構成され得ることが理解される。幾つかの実施形態において、デバイス102は、例えば光学イメージング、光コヒーレンス断層撮影(OCT)などの任意の適切なイメージングモダリティのイメージングコンポーネントを含んでもよい。幾つかの実施形態において、デバイス102は、圧力センサー、流量センサー、温度センサー、光ファイバー、反射体、ミラー、プリズム、アブレーション要素、ラジオ周波(RF)電極、伝導体、及び/又はそれらの組み合わせを包含する任意の適切な非イメージングコンポーネントを含む。概して、デバイス102は、管腔120に関連した管腔内イメージングデータを取得するためのイメージング要素を含み得る。デバイス102は、患者の脈管又は管腔120内への挿入のために寸法決めされ、形作られ(及び/又は構成され)る。
【0028】
[0040] システム100は、制御室を含むカテーテル検査室に配備される。処理システム106は制御室内に位置される。任意選択的に、処理システム106は、別の場所に、例えばカテーテル検査室自体に位置されてもよい。カテーテル検査室が除菌場を含んでもよいとともに、その関連する制御室は実施される工程に、及び/又はヘルスケア施設に応じて除菌されたものであってもよく、又は除菌されていないものであってもよい。カテーテル検査室及び制御室は、例えば、脈管造影、蛍光透視法、CT、IVUS、仮想組織構造(VH)、フォワードルッキングIVUS(FL-IVUS)、管腔内光音響(IVPA)イメージング、冠血流予備量比(FFR)決定、冠血流予備能(CFR)決定、光コヒーレンス断層撮影(OCT)、コンピュータ断層撮影、心腔内エコー検査(ICE)、フォワードルッキングICE(FLICE)、管腔内パルポグラフィー、経食道超音波、蛍光透視法、及び他の医療イメージングモダリティ、又はそれらの組み合わせといった、任意の数の医療イメージング工程を実施するために使用される。幾つかの実施形態において、デバイス102は、例えば制御室といった離れた位置から制御されてもよく、したがって、オペレーターが患者の非常に近くにいることが必要とされない。
【0029】
[0041] 管腔内デバイス102、PIM104、モニター108、及び外部イメージングシステム132は、処理システム106に直接的に、又は間接的に通信可能に結合される。これらの要素は、有線接続、例えば、標準的な銅リンク又は光ファイバーリンクを介して、及び/又は、IEEE 802.11 Wi-Fi規格、超広帯域(UWB)規格、無線FireWire、無線USB、又は別の高速無線ネットワーキング規格を使用した無線接続を介して医療処理システム106に通信可能に結合される。処理システム106は、例えばTCP/IPベースのローカルエリアネットワーク(LAN)といった1つ又は複数のデータネットワークに通信可能に結合される。他の実施形態において、例えば同期光ネットワーキング(SONET)といった異なるプロトコルが使用される。幾つかの例において、処理システム106は、広域ネットワーク(WAN)に通信可能に結合される。処理システム106は、様々なリソースにアクセスするためにネットワーク接続機能を使用する。例えば、処理システム106は、ネットワーク接続を介して医用デジタルイメージング及び通信(DICOM)システム、画像保管通信システム(PACS)、及び/又は、病院情報システムと通信される。
【0030】
[0042] ハイレベルにおいて、超音波イメージング管腔内デバイス102が、管腔内デバイス102の遠位端付近に搭載されたスキャナ組立体110に含まれるトランスデューサーアレイ124から超音波エネルギーを出射する。超音波エネルギーは、スキャナ組立体110の周辺における媒体内の組織構造(例えば管腔120)により反射され、超音波エコー信号がトランスデューサーアレイ124により受信される。スキャナ組立体110は超音波エコーを表す電気信号を生成する。スキャナ組立体110は、1つ又は複数の単一超音波トランスデューサー、及び/又は、例えば、平面アレイ、湾曲したアレイ、円周アレイ、環状アレイなどの任意の適切な構成をとるトランスデューサーアレイ124を含み得る。例えば、スキャナ組立体110は、幾つかの場合において、一次元アレイ又は二次元アレイであり得る。幾つかの場合において、スキャナ組立体110は、回転式超音波デバイスであり得る。スキャナ組立体110の有効エリアは、1つ又は複数のトランスデューサー部材、及び/又は、一様に、又は独立して制御され得る、及び有効化され得る超音波要素(例えば1つ又は複数の行、1つ又は複数の列、及び/又は1つ又は複数の配向)の1つ又は複数のセグメントを含み得る。スキャナ組立体110の有効エリアは、様々な基本的な、又は複雑な形状にパターン形成され、又は構造化され得る。スキャナ組立体110は、サイドルッキング配向(例えば、超音波エネルギーが管腔内デバイス102の長軸に垂直に、及び/又は直交して出射される)、及び/又は、フォワードルッキング配向(例えば超音波エネルギーが長軸に平行に、及び/又は長軸に沿って出射される)で位置し得る。幾つかの場合において、スキャナ組立体110は、近位方向に、又は遠位方向に、長軸に対して傾いた角度で超音波エネルギーを出射及び/又は受信するように構造的に配置される。幾つかの実施形態において、超音波エネルギーの出射は、スキャナ組立体110の1つ又は複数のトランスデューサー要素の選択的なトリガーにより電子的に操縦され得る。
【0031】
[0043] スキャナ組立体110の超音波トランスデューサーは、圧電微細加工超音波トランスデューサー(PMUT)、容量性微細加工超音波トランスデューサー(CMUT)、単結晶、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、PZT複合材料、他の適切なトランスデューサータイプ、及び/又はそれらの組み合わせであり得る。一実施形態において、超音波トランスデューサーアレイ124は、例えば2つの音響要素、4つの音響要素、36個の音響要素、64個の音響要素、128個の音響要素、500個の音響要素、812個の音響要素、及び/又はより大きい他の値及びより小さい他の値といった値を包含する、1つの音響要素から1000個の音響要素の間の、任意の適切な数の個々のトランスデューサー要素又は音響要素を含み得る。
【0032】
[0044] PIM104は、受信されたエコー信号を、(流量情報を含む)超音波画像が再構成され、及びモニター108に表示される処理システム106に伝達する。コンソール又は処理システム106は、プロセッサとメモリとを含み得る。処理システム106は、本明細書において説明されている管腔内イメージングシステム100の機能を円滑化するように動作可能である。例えば、プロセッサは、非一時的な有形なコンピュータ可読媒体に記憶されたコンピュータ可読命令を実行し得る。
【0033】
[0045] PIM104は、管腔内デバイス102に含まれる処理システム106とスキャナ組立体110との間における信号の通信を円滑化する。この通信は、管腔内デバイス102内における集積回路制御装置チップにコマンドを提供することと、送信及び受信のために使用されるトランスデューサーアレイ124における特定の要素を選択することと、選択されたトランスデューサーアレイ要素を励起するために電気パルスを生成するために送信器回路を有効化するために集積回路制御装置チップに送信トリガー信号を提供することと、及び/又は、集積回路制御装置チップに含まれる増幅器を介して選択されたトランスデューサーアレイ要素から受信された増幅されたエコー信号を受け入れることとを有する。幾つかの実施形態において、PIM104は、処理システム106にデータを中継する前にエコーデータの予備的処理を実施する。このような実施形態の例において、PIM104は、データの増幅、フィルタ処理、及び/又は収集を実施する。一実施形態において、PIM104は、スキャナ組立体110内の回路を含む管腔内デバイス102の動作をサポートするために高電圧及び低電圧DC電力を更に供給する。
【0034】
[0046] 処理システム106は、PIM104を経由してスキャナ組立体110からエコーデータを受信し、スキャナ組立体110の周辺における媒体内における組織構造の画像を再構成するためにデータを処理する。概して、デバイス102は、任意の適切な解剖学的構造及び/又は患者の体管腔内において使用され得る。脈管又は管腔120の画像、例えば管腔120の断面IVUS画像がモニター108に表示されるように、処理システム106が画像データを出力する。管腔120は、流体により充填された、又は囲まれた自然な構造物と人工の構造物との両方を表してもよい。管腔120は、患者の体内に存在する。管腔120は、心臓脈管構造、末梢脈管構造、神経脈管構造、腎臓脈管構造及び/又は、体内における任意の他の適切な管腔を包含する、患者の脈管系の血管、動脈、又は静脈である。例えば、デバイス102は、限定されないが、肝臓、心臓、腎臓、胆嚢、膵臓、肺を包含する臓器;管;腸;脳、硬膜嚢、脊髄及び末梢神経を包含する神経系構造物;尿路;及び、心臓の血液、心腔、又は他の部分、及び/又は、体の他の系内における弁を包含する任意の数の解剖学的位置及び組織タイプを検査するために使用される。自然な構造物に加えて、デバイス102は、例えば、限定されないが、心臓弁、ステント、シャント、フィルタ、及び他のデバイスといった人工の構造物を検査するために使用される。
【0035】
[0047] 制御装置又は処理システム106は、メモリ及び/又は他の適切な有形のコンピュータ可読記憶媒体と通信する1つ又は複数のプロセッサを含む処理回路を含む。制御装置又は処理システム106は、本開示の1つ又は複数の態様を実行するように構成される。幾つかの実施形態において、処理システム106及びモニター108は独立したコンポーネントである。他の実施形態において、処理システム106及びモニター108は1つのコンポーネントに統合される。例えば、システム100は、タッチスクリーンディスプレイを含むハウジングとプロセッサとを含むタッチスクリーンデバイスを含み得る。システム100は、ユーザーがモニター108に示される選択肢を選択するための、例えば、タッチ感応式パッド又はタッチスクリーンディスプレイ、キーボード/マウス、ジョイスティック、ボタンなどの任意の適切な入力デバイスを含み得る。処理システム106、モニター108、入力デバイス、及び/又はそれらの組み合わせが、システム100の制御装置と呼ばれ得る。制御装置は、デバイス102、PIM104、処理システム106、モニター108、入力デバイス、及び/又は、システム100の他のコンポーネントと通信し得る。
【0036】
[0048] 幾つかの実施形態において、管腔内デバイス102は、従来のソリッドステートIVUSカテーテル、例えばVolcano Corporationから入手可能なEagleEye(登録商標)カテーテル、及び、全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第7,846,101号に開示されているものと同様の幾つかの特徴を含む。例えば、管腔内デバイス102は、管腔内デバイス102の遠位端付近におけるスキャナ組立体110と、管腔内デバイス102の長手本体に沿って延びた伝送線束112とを含む。ケーブル又は伝送線束112は1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、又はそれらより多い伝導体といった、複数の伝導体を含み得る。
【0037】
[0049] 伝送線束112は、管腔内デバイス102の近位端におけるPIMコネクタ114において終端している。PIMコネクタ114は、伝送線束112をPIM104に電気的に結合し、管腔内デバイス102をPIM104に物理的に結合する。一実施形態において、管腔内デバイス102は、ガイドワイヤ出口ポート116を更に含む。したがって、幾つかの場合において、管腔内デバイス102は迅速交換型カテーテルである。ガイドワイヤ出口ポート116は、管腔120を通して管腔内デバイス102を方向付けするために、ガイドワイヤ118が遠位端に向けて挿入されることを可能にする。
【0038】
[0050] モニター108は、例えばコンピュータモニター又は他のタイプのスクリーンといったディスプレイデバイスである。モニター108は、ユーザーに選択可能なプロンプト、指示、及びイメージングデータの可視化結果を表示するために使用される。幾つかの実施形態において、モニター108は、管腔内イメージング工程を遂行するために工程特有のワークフローをユーザーに提供するために使用される。このワークフローは、管腔の状態及びステントの可能性を決定するためにプレ・ステント計画を実施すること、及び、管腔内に配置されたステントをチェックすることを有する。ワークフローは、
図5~
図12に示される表示又は可視化結果のうちの任意のものとしてユーザーに提示される。
【0039】
[0051] 外部イメージングシステム132は、X線、放射線撮影、(例えば造影剤を使用した)脈管造影/静脈造影、及び/又は、(血管120を含む)患者の体の(例えば造影剤を使用しない)蛍光透視画像を取得するように構成され得る。外部イメージングシステム132は、(血管120を含む)患者の体のコンピュータ断層撮影画像を取得するように構成される。外部イメージングシステム132は、体の外部に位置しながら(血管120を含む)患者の体の超音波画像を取得するように構成された外部超音波プローブを含む。幾つかの実施形態において、システム100は、(血管120を含む)患者の体の画像を取得するための他のイメージングモダリティシステム(例えばMRI)を含む。処理システム106は、管腔内デバイス102により取得された管腔内画像と組み合わせて患者の体の画像を使用し得る。
【0040】
[0052]
図2は、人体内の血管(例えば動脈及び静脈)を示す。例えば、人体の静脈がラベル付けされる。本開示の態様は、例えば胴又は脚における静脈といった末梢脈管構造に関連し得る。
【0041】
[0053] 閉塞は、動脈又は静脈において発生し得る。閉塞は、概して、例えば患者の健康に有害な手法により管腔(例えば動脈又は静脈)を通る流体の流れに対する制限をもたらす任意の閉塞又は他の構造的構成を表し得る。例えば、閉塞は、管腔の断面積及び/又は流体が管腔を通って流れるための利用可能な空間が小さくなるように、管腔を狭くする。解剖学的構造が血管である場合、閉塞は、限定されないが、プラーク成分、例えば、繊維質、線維脂質(線維脂肪)、壊死性コア、石灰化(高密度カルシウム)、血液、及び/又は、異なる段階(急性、亜急性、慢性など)の血栓を包含する(例えば外部の脈管からの)圧縮プラーク蓄積に起因した狭窄の結果である。幾つかの場合において、閉塞は、血栓、狭窄、及び/又は病変と呼ばれ得る。概して、閉塞の組成は、評価される解剖学的構造のタイプに依存する。解剖学的構造のより健康な部分は、一様な、又は対称な形状(例えば円形の断面形状をもつ円筒形状)をもつものである。閉塞は、一様な、又は対称な形状をもたないものである。したがって、閉塞を含む解剖学的構造の罹患した、又は圧縮された部分は、非対称な、及び/又は別様に異常な形状をもつ。解剖学的構造は、1つの閉塞又は複数の閉塞を含み得る。
【0042】
[0054] (例えば、血栓、深部静脈血栓又はDVT、慢性完全閉塞又はCTOなどの)閉塞の構築は、末梢脈管構造(例えば、胴、腹部、鼠径部、脚)における静脈の断面積が小さくされる1つの状況である。静脈に接触する他の解剖学的構造は、静脈の断面積を更に小さくし得、以て静脈を通る血流を制限する。例えば、胴、腹部、鼠径部、又は脚における動脈又は靭帯は静脈を押し得、このことが、静脈の形状を変え、静脈の断面積を小さくする。他の解剖学的構造との接触によりもたらされる断面積のこのような低減は、静脈の壁が動脈又は靭帯との接触の結果として圧縮されるという点で圧縮と呼ばれ得る。
【0043】
[0055]
図3は、血栓330を含む血管300を示す。血栓は脈管壁310間において発生し、血流320を制限する。血栓には、亜急性血栓、急性血栓、及び慢性血栓を包含する多くのタイプがある。
【0044】
[0056]
図4は、血栓330を含んだ、及び、流れを回復するために血管300の内部において拡張したステント440を含む血管300を示す。ステント440は、血栓330を圧縮及び拘束し、血栓330が血管300を通って移動することを防ぐ。ステント440は、更に脈管壁310を外向きに押し、したがって、血液320に対する流れの制限を減らす。
【0045】
[0057]
図5は、本開示の態様による画像調節に関連したスクリーン表示を示す。例示的なスクリーン表示又はグラフィカルユーザーインターフェース(GUI)は、事例特有イメージングプリセットシステム500のディスプレイ、例えば、コンソール、カート、ベッドわきの制御装置、モバイルデバイス(例えば、スマートフォン、タブレット、携帯情報端末、又はPDA)、ラップトップコンピュータ、デスクトップコンピュータなどのディスプレイに示され得る。ディスプレイは、タッチスクリーンディスプレイであってもよく、処理回路(例えば1つ又は複数のプロセッサ及びメモリ)を含むコンピュータと通信する。処理回路は、ディスプレイに
図5~
図6のスクリーン表示を表示させるために表示データを生成及び出力し得る。コンピュータ、処理回路、及び/又はプロセッサは、更にユーザーが入力を提供するユーザーインターフェースと通信する。入力は、スクリーン表示における項目の選択であり得る。ユーザーインターフェースは、幾つかの場合において、タッチスクリーンディスプレイであり得、又は、キーボード、マウス、トラックボール、スタイラス、ボタンを含むビデオゲーム形式のコントローラー、及び、ジョイスティックなどを組み込んだものである。
【0046】
[0058] イメージングプリセットシステム表示505は、モードインジケーター510、画像設定プリセットメニュー又は画像タイプ選択メニュー520、及び画像設定プリセット530を含む。
図5に示される例において、モードインジケーター510は、システムが「ライブ」モードであることを示す。他の可能なモードは、「レビュー」、「再生」、「記録」、「引き戻し」、及び「スタンバイ」を包含してもよいがこれらに限定されない。
図5のイメージングプリセットシステム表示500に示されるように、画像調節は、プリセットメニュー520から選択されるユーザーにより選択可能なイメージング設定プリセット530に基づき得る。この例では、可能な画像設定プリセットは、「ステント」、「血栓(急性、亜急性)」、「血栓(慢性)」、及び「DVT」(深部静脈血栓)を含む。これらのプリセットは、イメージングするための事例特有イメージングプリセットシステム500のための異なる疾患又は構造物を表し、
図5では、異なる疾患又は構造物は、特に静脈系の疾患又は物体であるが、事例特有イメージングプリセットシステム500は、他の疾患タイプ(例えば圧縮)、他の物体タイプ(例えばガイドワイヤ)、又は他の解剖学系(例えば、動脈、リンパ、冠動脈)をイメージングするために使用されてもよい。
【0047】
[0059] イメージング設定プリセット530は、IVUS画像がどのように表示されるかを制御する。スクリーン表示は、ユーザーが特定の疾患タイプ又は処置デバイスタイプに対する画像プリセットを選択することを可能にする。プリセット画像設定を含むことは、ユーザーが、特定の疾患タイプ又は処置デバイスタイプをより明確に見ることを可能にする。例えば、それぞれの設定は、対応する疾患タイプ又は処置デバイスタイプの特徴を強調表示する(例えば、より見やすく、又は区別可能にレンダリングする)手法によりIVUS画像の表示を強調し得る。スクリーン表示は、ユーザーが選択するための簡単な選択肢を提供する。現在の選択肢は、(例えばIVUSデータが収集されている間の)ライブモード、又は、(IVUSデータが収集された後の)ライブモードに対して提供され得る。
【0048】
[0060]
図6は、本開示の態様による、画像がどのように表示されるかに関するより多くの制御をユーザーに提供する高度な設定を含むスクリーン表示600を示す。画像設定は、リングダウン設定610、ゲイン曲線620、視野(FOV)設定630、血流検出、クロマ640(範囲、深さ)、などを含み得る。ユーザーにより調節可能な設定は、スライダーバー、スライダーを含むグラフ、オン/オフ、数値などの形態により提供され得る。IVUS画像のライブプレビューペイン650は、設定に近接して提供される。例えば、設定の変更がIVUS画像の表示にどのように影響を与えるかをユーザーが視認し得るように、ライブプレビューIVUS画像はリアルタイムで、又はリアルタイムに近い形態で設定を反映する。この手法により、スクリーン表示は、設定調節が行われている間にIVUS画像がどのように表示されるかのビューをユーザーに提供する。幾つかの実施形態において、例えば、現在の設定に留まる1つのIVUS画像、及び、新しい設定に伴って動的に変わる1つのIVUS画像といった、2つのIVUS画像が設定に近接して表示される。この手法により、ユーザーは、並んだ状態で、設定がIVUS画像にもたらす違いを比較し得る。
【0049】
[0061] 本開示の実施形態によると、画像設定プリセット530の選択は、高度な設定600のうちの1つ又は複数に対するプリセット又はデフォルト値を自動的に選択する。幾つかの実施形態において、画像設定プリセット530の選択は、高度な設定のすべてに対するデフォルト値を自動的に選択する。しかし、依然として、ユーザーが高度な設定スクリーン600に入って、デフォルト設定に手動修正を行うことが可能であってもよい。幾つかの実施形態において、ユーザーが、高度な設定スクリーンにおいて設定600を変更し、次に、新しい名称(例えば「ステント、ポリマーコーティングされたもの」)をもつ新しい設定プリセット530として結果を保存することが可能である。
【0050】
[0062]
図5に示される例において、リングダウン設定610は、システムが時間的に振り返るフレーム数を示すスライダー615により選択され得る。この例において、最左端部にスライダーを設定することはリングダウン減算を示さないのに対し、スライダーを最右端部に設定することは、5フレーム前までに至るリングダウンエコーの減算を示す。同じ例において、ゲイン曲線620は、音響システムのためのグラフィックイコライザーと同様の手法により上方に、又は下方に配置され得る5つの可動データ点622を含んで選択され得る。ゲイン曲線620は、横範囲拡張要素624及び縦範囲拡張要素626により更に変更される。同じ例において、例えば、スライダーの最左位置がイメージングセンサーに対する最小の可能なFOV(例えば30度)を示すのに対し、スライダーの最右位置はイメージングセンサーの最大の可能なFOV(例えば360度)を示すように、スライダー635により視野630が調節され得る。同じ例において、クロマ選択640は、2つの異なるパラメータ645、すなわち、範囲/深さ(血流カラーコーディングが行われる距離)、及び、感度(例えば、より遅い動きに対して暗い赤色、より速い動きに対して明るい赤色といった色変更をもたらすために必要とされる動き量)を調節する。他のタイプのクロマ調節が可能であり、これらに代えて、又は加えて使用されてもよい。
【0051】
[0063] 他の実施形態において、血流検出、明度、コントラスト、彩度、鮮明さ、色相、及び色合いを包含するがこれらに限定されない、本例において示されるもの以外の他の、又は更なるパラメータが更に調節可能であってもよい。これらのパラメータ600が上述のように調節されるとき、プレビューペイン650における画像が新しい設定の効果を示すために変化する。例えば、リングダウン減算610のレベルを変更することにより、ユーザーは発生するリングダウン減算の量を変更し、すなわち、画像アーティファクトを無くすためにリングダウン減算の量を増加させ、又は、外観、視認性、区別可能性、又は不鮮明な組織の詳細のテクスチャを強調し、又は別様に改善するためにリングダウン減算の量を減らす。これらの効果は、ユーザーが高度な設定スクリーンから抜けることを必要とせずに、プレビューペイン650において確認され得る。幾つかの実施形態において、ユーザーがプリセット値に戻すことを可能にするために、キャンセル機能が更に利用可能であってもよい。
【0052】
[0064]
図7aは、本開示の態様による、血管300内における血栓330をイメージングするための例示的なベースライン画像ゲイン曲線を示す。X軸は、ピクセルの入力強度(すなわち、事例特有イメージングプリセットシステム500により受信された生データ点の強度)を表すのに対し、Y軸は、リアルタイムに処理された画像における同じピクセルの出力強度を表す。ゼロ画像処理を使用することで、出力強度はすべての強度に対して入力強度に等しく、又は入力強度に線形に相関する。
【0053】
[0065] 血栓330は、主に血液細胞から構成された血栓であり、概して血栓330を囲む血液媒体320より高密度であり、血栓330と血液媒体320との両方を囲む脈管壁310より低密度である。したがって、血栓320の明確な画像を取得するために、領域710における急勾配の傾き、及び領域720における比較的平らなゲイン曲線(すなわち、入力強度によらない一定の、又は一定に近い出力強度)、及びより高い入力強度に対する領域730におけるより急勾配の曲線により表されるように、低い入力強度に対して高いゲイン(したがって高コントラスト)をもつことが望ましい。これは、血栓330の低強度の(すなわち、低明度の、又は低密度の)特徴を周辺の血液媒体320から区別すること、及び血栓330の分析に関連性の低い中間の密度の特徴における少しの違いを滑らかにしながら、血栓330と血液320との両方を周辺の脈管壁310のより高い強度の(すなわち、より高い明度の、より高い密度の)特徴から区別することに役立つ。
【0054】
[0066]
図7aに示されるゲイン曲線は、低密度の比較的未発達のプラークに適している。当業者は、(例えば領域710及び730において、より緩やかな勾配の、及び領域720において、より平らでない)異なるゲイン曲線が、例えばウェブ形成/傷跡又は壊死性コアといった、より高い密度の特徴を含む発達したプラークをイメージングすることに、より適していることを理解する。既存のシステムでは、このようなゲイン曲線は事例に応じてユーザーにより組立てられなければならない。本開示は、時間と労力との両方を削減し、及び、観察される特徴タイプに最適化されたプリセットゲイン曲線を選択することにより、更に画像品質を改善する。
【0055】
[0067]
図7bは、本開示の態様による、血管300内におけるステント440をイメージングするための例示的なベースライン画像ゲイン曲線を示す。
図8aと同様に、X軸は、ピクセルの入力強度(すなわち、事例特有イメージングプリセットシステム300により受信された生データ点の強度)を表すのに対し、Y軸は、リアルタイムに処理された画像における同じピクセルの出力強度を表す。
【0056】
[0068]
図7bのゲイン曲線は、領域740において比較的平らであり(例えば、小さい傾きをもち)、領域750において急勾配(大きい傾き)であり、及び領域760においてわずかに緩い勾配(中程度の傾き)である。これは、周辺の脈管310からステント440を明確に区別しながら、ステント440の特徴及びマージンが画像において明るく視認可能となることを可能にする傾向を示す。このゲイン曲線は、血栓330の詳細な特徴又は他の脈管疾患を区別することにあまり適さない可能性がある。
【0057】
[0069] 一例において、ゲイン曲線は点を含み、ゲイン曲線を編集することは、点を選択すること、及び動かすことにより実現され、以て異なる領域における曲線の大きさ及び傾きを調節する。
【0058】
[0070]
図8は、本開示の態様による、ユーザーが解剖学的特徴の高度な/自動的な検出又は他の自動化された閾値810をオン又はオフに切り替えることを可能にする高度検出スクリーン表示800を示す。このユーザーにより選択可能な高度検出機能は、画像(例えば静脈内IVUS画像)に示されている解剖学的構造の最適化された理解をユーザーに提供し得る。例えば、例えば血栓又はウェブ形成といった解剖学的特徴は、オンに切り替えられた自動的な検出により自動的に識別され得る。IVUS画像は、例えば、着色、シェーディング、強調表示、テキストラベル、数値ラベルなどにより検出された解剖学的特徴を視覚的に強調する手法により表示され得る。IVUS画像の表示は閾値に更に基づき得る。例えば、静脈の圧縮の程度は、静脈を処置するか否かに関するユーザーガイダンスを提供し得る。高度検出スクリーン表示800は、ユーザーが特定の閾値(例えば50%圧縮又は他の閉塞)を入力/変更することを可能にする。例えば、クリック可能な矢印は、閾値を上げる、又は下げるためにディスプレイにおいて提供され得、及び/又は、数値が閾値フィールドに入力され得、又は、他の入力方法が使用されてもよい。IVUS画像は、例えば、着色、シェーディング、強調表示、テキストラベル、数値ラベルなどにより、閾値をまたいだことについて注意を促す手法により表示され得る。
【0059】
[0071]
図9は、事例特有イメージングプリセットシステム500のための例示的なウェルカムスクリーン900を示す。
図5に示されるイメージングプリセットシステム表示505と同様に、ユーザーは、工程タイプ選択メニュー又は画像タイプ選択メニュー910を介して工程タイプ間の選択をし得る。この例において、利用可能な選択肢は、冠動脈脈管又は脈管構造(Cv)イメージング、末梢脈管又は脈管構造(Pv)静脈イメージング、又はPv動脈イメージングである。異なるタイプの事例の各々が、ユーザーにより異なる工程タイプに特有のモダリティ及びアルゴリズムを提供する。「特徴に特有の」選択肢は、例えばディスプレイ505又は800といった異なる選択スクリーンにユーザーを案内する。他の実施形態において、異なるイメージングタイプ又は工程タイプが選択のために利用可能である。
【0060】
[0072]
図10は、本開示の態様による、患者事例に対する画像タイプ選択メニュー1010を通して特定のタイプの脈管イメージングをユーザーが選択することを可能にするスクリーン表示1000を示す。この例は、Pv静脈事例タイプがウェルカムスクリーン900において選択された後のスクリーン表示を示す。
図10に示される事例ログ1020は、(例えば、疾患タイプ、例えば、圧縮、非血栓腸骨静脈病変又はNIVL、深部静脈血栓又はDVT、血栓後症候群又はPTS、又は、慢性完全閉塞又はCTOといった)Pv静脈に特有なユーザーIVUSモード(事例タイプ)を提供する。幾つかの実施形態は、外部イメージングシステム132から外部イメージングへのアクセス、血栓除去デバイスを使用した処置のための血栓除去ソフトウェアアプリケーションへのアクセスなどを更に含んでもよい。異なるIVUSモードは、疾患に特有のイメージングプリセット、測定のタイプ、ユーザー指示などを含み得る。この手法により、ユーザーは、疾患タイプ及び/又はIVUSイメージングのための測定のタイプを選択し得、その各々が画像処理パラメータ600に対するそれ自体のプリセット又はデフォルト値の集合をトリガーする。
【0061】
[0073] 他の実施形態において、システムは、プラーク又は病変を包含するがこれらに限定されない冠動脈及び動脈疾患に関連した画像タイプを選択するように構成されている。
【0062】
[0074]
図11は、本開示の態様による、1つのDVT工程1010、及び、2つのNIVL IVUS工程1020及び1030という3つのイメージング工程が実施された後におけるスクリーン表示1100を示す。例えば、IVUS工程は、超音波カテーテルが、(例えば、左総腸骨静脈及び右総腸骨静脈が下大静脈から分岐している遠位位置から、枝からより遠いより近位の位置まで)脈管内において長手方向に動かされながら、イメージングデータが取得される引き戻しであり得る。選択されたIVUS事例(3つの事象1010、1020、及び1030のうちの第2の事例1020)は強調表示され得る。画像の右側に示されるように、GUIの報告セクション1050は、ユーザーが処置前又は処置後(例えばステント前又はステント後)として、選択されたイメージング工程に簡単に注釈付けすることを可能にする。選択されたイメージング工程1020からの例示的なIVUSフレーム1052及び1054(例えば、ブックマークされたフレーム、閉塞、病変の近位/遠位縁部、近位/遠位着地ゾーン、近位/遠位基準点を表すフレームなど)が、報告セクション1050に表示される。イメージング工程に関する更なる情報、例えば、脈管の名称、圧縮のパーセンテージ、閉塞のパーセンテージなどが、更に表示されてもよい。GUIは、ユーザーが、例えばアーカイブするために、お気に入りとしてイメージング工程をマーキング(例えば心臓シンボル)することを更に可能にする。この例では、事例1020及び1030はお気に入りにされており、心臓シンボル(第2の事例及び第3の事例の右上の角)により識別される。追加的に、又は代替的に他の識別子が使用されてもよい。
【0063】
[0075]
図12は、本開示の実施形態による、プロセッサ回路1250の概略図である。プロセッサ回路1250は、方法を実施するために必要に応じて、超音波イメージングシステム100又は他のデバイス若しくはワークステーション(例えば、サードパーティーワークステーション、ネットワークルーターなど)において、又はクラウドプロセッサ又は他のリモート処理ユニットにおいて実現されてもよい。示されるように、プロセッサ回路1250は、プロセッサ1260、メモリ1264、及び通信モジュール1268を含む。これらの要素は、例えば1つ又は複数のバスを介して互いに直接的に、又は間接的に通信される。
【0064】
[0076]プロセッサ1260は、機械及び量子コンピュータを包含する、中央処理ユニット(CPU)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、ASIC、制御装置、又は、汎用コンピューティングデバイスの任意の組み合わせ、縮小命令セット演算(RISC)デバイス、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、又は他の関連する論理デバイスを包含してもよい。プロセッサ1260は、本明細書において説明されている動作を実施するように構成された別のハードウェアデバイス、ファームウェアデバイス、又はそれらの任意の組み合わせを更に備える。プロセッサ1260は、DSPコア、又は任意の他のこのような構成と組み合わされて、コンピューティングデバイスの組み合わせ、例えば、DSP及びマイクロプロセッサ、複数のマイクロプロセッサ、1つ又は複数のマイクロプロセッサの組み合わせとして実現される。
【0065】
[0077] メモリ1264は、キャッシュメモリ(例えばプロセッサ1260のキャッシュメモリ)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、磁気抵抗RAM(MRAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、プログラム可能読み出し専用メモリ(PROM)、消去可能でプログラム可能な読み出し専用メモリ(EPROM)、電気的に消去可能でプログラム可能な読み出し専用メモリ(EEPROM)、フラッシュメモリ、ソリッドステートメモリデバイス、ハードディスクドライブ、他の形態の揮発性メモリ及び不揮発性メモリ、又は異なるタイプのメモリの組み合わせを包含する。一実施形態において、メモリ1264は、非一時的なコンピュータ可読媒体を包含する。メモリ1264は、命令1266を記憶する。命令1266は、プロセッサ1260により実行されたとき、本明細書において説明されている動作をプロセッサ1260に実施させる命令を含む。命令1266は、コードとも呼ばれる。「命令」及び「コード」という用語は、任意のタイプのコンピュータ可読ステートメントを包含するように広く解釈されなければならない。例えば、「命令」及び「コード」という用語は、1つ又は複数のプログラム、ルーチン、サブルーチン、機能、工程などを表す。「命令」及び「コード」は、1つのコンピュータ可読ステートメント又は多くのコンピュータ可読ステートメントを包含する。
【0066】
[0078] 通信モジュール1268は、プロセッサ回路1250と他のプロセッサ又はデバイスとの間のデータの直接的な、又は間接的な通信を円滑化するための任意の電子回路及び/又は論理回路を含み得る。その点について、通信モジュール1268は、入力/出力(I/O)デバイスであり得る。幾つかの場合において、通信モジュール1268は、プロセッサ回路1250及び/又は超音波イメージングシステム100の様々な要素間の直接的な、又は間接的な通信を円滑化する。通信モジュール1268は、多くの方法又はプロトコルを通してプロセッサ回路1250内において通信してもよい。シリアル通信プロトコルは、US SPI、I2C、RS-232、RS-485、CAN、Ethernet、ARINC429、MODBUS、MIL-STD-1553、又は任意の他の適切な方法又はプロトコルを包含してもよいがこれらに限定されない。パラレルプロトコルは、ISA、ATA、SCSI、PCI、IEEE-488、IEEE-1284、及び他の適切なプロトコルを包含するがこれらに限定されない。適切な場合は、シリアル通信及びパラレル通信は、UART、USART、又は他の適切なサブシステムにより橋渡しされてもよい。
【0067】
[0079] 外部通信(ソフトウェア更新、ファームウェア更新、プロセッサと中央サーバーとの間のプリセットシェア、又は超音波デバイスからの読み取りを包含するがこれらに限定されない)は、例えば、ケーブルインターフェース、例えば、USB、マイクロUSB、Lightning、又はFireWireインターフェース、Bluetooth、Wi-Fi、ZigBee、Li-Fi、又はセルラーデータ接続、例えば、2G/GSM、3G/UMTS、4G/LTE/WiMAX、又は5Gといった、任意の適切な無線又は有線通信技術を使用して実現されてもよい。例えば、Bluetooth Low Energy(BLE)無線機が、データの伝送のために、及びソフトウェアパッチの受信のために、クラウドサービスとのコネクティビティを確立するために使用され得る。制御装置は、リモートサーバー、又はローカルデバイス、例えば、ラップトップ、タブレット、又は手持ち式デバイスと通信するように構成されてもよく、又は、ステータス変数及び他の情報を示すことが可能なディスプレイを含んでもよい。情報は、例えば、USBフラッシュドライブ又はメモリスティックといった物理媒体に載せて移送される。
【0068】
[0080] 上述の例及び実施形態における多くの変形例が可能である。例えば、事例特有イメージングプリセットシステムは、説明されているもの以外の体内の解剖学系において使用されてもよく、又は、説明されているもの以外の他の疾患タイプ、物体のタイプ、又は工程タイプに対する画像強調プリセットを規定してもよい。本明細書において説明されている技術は、現在存在しているか今後開発されるかに関わらず多様なタイプの管腔内イメージングセンサーに適用される。
【0069】
[0081] したがって、本明細書において説明されている技術の実施形態を実現する論理演算は、動作、ステップ、オブジェクト、要素、コンポーネント、又はモジュールといった様々な形態で呼ばれる。更に、これらは、別様に明示的に請求項に記載されていない限り、及び、特定の順序が請求項の文言により本質的に必要とされていない限り、任意の順序で実施されてよいことが理解されなければならない。例えば、上、下、内、外、上方に、下方に、左、右、横、前、後、上部、底部、上方、下方、縦、水平、時計回り、反時計回り、近位、及び遠位といった方向に関する表現のすべてが、請求項に記載された主題の読み手の理解を助けるために識別目的のために使用されるにすぎず、特に事例特有イメージングプリセットシステムの位置、配向、又は使用について限定をもたらすものではない。例えば、装着された、結合された、接続された、及び連結されたといった接続の表現は広く解釈され、別段の記載のない限り、一群の要素間の中間部材、及び、要素間の相対的な動きを包含してもよい。したがって、接続の表現は2つの要素が直接接続されていること、及び互いに固定された関係であることを暗示するようには限定されない。「又は」という用語は「排他的論理和」ではなく「及び/又は」を意味するように解釈されることとする。請求項において別段の記載がない限り、記載されている値は例示にすぎないと解釈されることとし、限定するように解釈されないこととする。
【0070】
[0082] 上述の説明、例、及びデータは請求項において規定されている事例特有イメージングプリセットシステムの例示的な実施形態の構造及び使用の十分な説明を提供する。しかし請求項に記載された主題の様々な実施形態が特定の詳しさで、又は、1つ又は複数の個々の実施形態を参照しながらここまでに説明されているが、当業者は、請求項に記載された主題の趣旨又は範囲から逸脱することなく、開示されている実施形態に対する多くの代替例を作り得る。更に違う他の実施形態が想定される。上述の説明に含まれている、及び添付図面において示されているすべての内容は特定の実施形態の例示にすぎないと解釈されるのであって、限定ではないと解釈されることとすることが意図されている。後述の請求項において規定されている主題の基本的な要素から逸脱することなく、詳細又は構造の変更が行われてもよい。