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特許7407830Lachnospiraceae bacterium ND2006のCAS12A変異型遺伝子およびそれらによってコードされるポリペプチド
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-21
(45)【発行日】2024-01-04
(54)【発明の名称】Lachnospiraceae bacterium ND2006のCAS12A変異型遺伝子およびそれらによってコードされるポリペプチド
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/09 20060101AFI20231222BHJP
   C12N 9/22 20060101ALI20231222BHJP
   C12N 15/31 20060101ALI20231222BHJP
   C12N 15/55 20060101ALI20231222BHJP
   C12N 15/63 20060101ALN20231222BHJP
【FI】
C12N15/09 110
C12N9/22 ZNA
C12N15/31
C12N15/55
C12N15/63 Z
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021548687
(86)(22)【出願日】2020-02-21
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-21
(86)【国際出願番号】 US2020019168
(87)【国際公開番号】W WO2020172502
(87)【国際公開日】2020-08-27
【審査請求日】2022-09-27
(31)【優先権主張番号】62/808,984
(32)【優先日】2019-02-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505092968
【氏名又は名称】インテグレーティッド ディーエヌエイ テクノロジーズ インコーポレーティッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100196243
【弁理士】
【氏名又は名称】運 敬太
(72)【発明者】
【氏名】ボードワン,サラ・フランツ
(72)【発明者】
【氏名】コリンウッド,マイケル・アレン
(72)【発明者】
【氏名】バクルスカス,クリストファー・アンソニー
【審査官】上條 のぶよ
(56)【参考文献】
【文献】特表2019-503716(JP,A)
【文献】特表2018-518183(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 15/09
C12N 9/22
C12N 15/31
C12N 15/55
C12N 15/63
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
E795Lを含む、野生型LbCas12aタンパク質に導入された単一アミノ酸置換変異(配列番号5)を含む、単離された変異型LbCas12a。
【請求項2】
a)請求項1に記載の変異型LbCas12aタンパク質;および、
b)gRNA複合体、
を含む、単離されたリボ核タンパク質複合体であって、CRISPR/Cas12aエンドヌクレアーゼシステムとして活性であり、結果として生じるCRISPR/Cas12aエンドヌクレアーゼシステムは、野生型CRISPR/Cas12aエンドヌクレアーゼシステムと比べて、維持されたオンターゲット編集活性を提示する、
単離されたリボ核タンパク質複合体。
【請求項3】
変異型LbCas12aタンパク質およびgRNAを含むCRISPR/Cas12aエンドヌクレアーゼシステムであって、
前記変異型Cas12aタンパク質が、E795Lを含む、野生型LbCas12aタンパク質に導入された単一アミノ酸置換変異(配列番号5)を含む、
前記CRISPR/Cas12aエンドヌクレアーゼシステム。
【請求項4】
DNA発現ベクターによってコードされる、請求項に記載のCRISPR/Cas12aエンドヌクレアーゼシステム。
【請求項5】
DNA発現ベクターが、プラスミド媒介性のベクターを含む、請求項に記載のCRISPR/Cas12aエンドヌクレアーゼシステム。
【請求項6】
DNA発現ベクターが、細菌発現ベクターおよび真核生物発現ベクターから選択される、請求項に記載のCRISPR/Cas12aエンドヌクレアーゼシステム。
【請求項7】
変異型LbCas12aタンパク質をコードする単離された核酸であって、
変異型LbCas12aタンパク質が、野生型CRISPR/Cas12aエンドヌクレアーゼシステムと比べて、維持されたオンターゲット編集活性を提示するCRISPR/Cas12aエンドヌクレアーゼシステムにおいて活性であり、
前記変異型Cas12aタンパク質が、E795Lを含む、野生型LbCas12aタンパク質に導入された単一アミノ酸置換変異(配列番号5)を含む、
前記単離された核酸。
【請求項8】
請求項7に記載の変異型LbCas12aタンパク質をコードする単離された核酸であって、
前記変異型LbCas12aタンパク質をコードする単離された核酸が配列番号12で示される、
前記単離された核酸。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001]本出願は、2019年2月22日出願の、米国仮出願第62/808,984号の利益を主張するものであり、その開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
[0002]本発明は、Lachnospiraceae bacterium Cas12aベースのCRISPR遺伝子、それらによってコードされるポリペプチド、Cas12を安定的に発現する哺乳動物細胞株、crRNAならびにCRISPR-Cas12aシステムの組成物および方法におけるこれらの材料の使用に関する。
【背景技術】
【0003】
[0003]Cas12a(前称Cpf1)は、クラス2/タイプV CRISPR RNAガイドエンドヌクレアーゼである。(Zetsche,Bら、(2015) Cas12a is a single RNA-guided endonuclease of a class 2 CRISPR-Cas system.Cell 163:1~13ページ)。Cas12aは、ゲノム編集に使用される効果的なヌクレアーゼであり、Cas9酵素に代わるものである。Cas12aはおよそ1300個のアミノ酸のタンパク質であり、S.pyogenes由来のCas9よりもわずかに小さい。Cas12システムは個別のtracrRNAを利用せず、標的DNA配列を特定するとともに、Cas12aヌクレアーゼへのRNAの結合も誘導する、長さ40~45個のヌクレオチドの単一の短いcrRNAのみを必要とする。(Hur,J.K.ら(2016) Targeted mutagenesis in mice by electroporation of Cas12a ribonucleoproteins.Nature Biotechnology、34:807~808ページ)。Cas12aのPAM認識配列は、Cas9がアクセスできないゲノムのアデニンおよびチミジンのリッチ領域での伸長カバレージを可能とする、TTTVである。
【0004】
[0004]Cas12aによる切断は、4~5個のヌクレオチドのオーバーハングを伴うDNAの互い違いの二本鎖切断をもたらし、これは、PAM部位の遠位に付着末端を残す(Gao,Pら、(2016) Type V CRISPR-Cas Cas12a endonuclease employs a unique mechanism for crRNA-mediated target DNA recognition.Cell Research 26:901~913ページ)。こうした二本鎖切断は、次いで、多くの場合切断部位で変異もしくは挿入/欠失にいたる非相同末端結合(NHEJ)、または、正確な編集事象を生み出すことができる部位特異的修復もしくは相同性組換え修復(HDR)、を介して修復され得る。さらに、Cas12aは、切断する場合、Cas9よりもPAMからさらに離れて切断し、これは、標的部位からもさらに離れている。結果として、プロトスペーサー、特にプロトスペーサーのシード配列は、編集される可能性が低く、それによって、所望の修復事象が最初に起こらない場合、切断の第2ラウンドの可能性を残す。
【0005】
[0005]LbCas12aとは、Lachnospiraceae bacterium ND2006(Lb)種由来のクラスター化され規則的に間隔が空いた短い回文構造の反復(CRISPR)適応免疫系からの、RNAガイドエンドヌクレアーゼである。Cas12aヌクレアーゼはクラス2 V型CRISPRシステムとして分類され、CRISPR RNA(crRNA)と複合体を形成すると5-ヌクレオチドの5’オーバーハングを伴う互い違いのDNA二本鎖切断をもたらす[1]。LbCas12a:crRNA複合体は、CRISPRリボ核タンパク質(RNP)複合体と呼ばれる。
【0006】
[0006]LbCas12aは、AsCas12a(Acidaminococcus sp. BV3L6)と一緒に、2015年に最初に特性を明らかにされ[1]、それ以来、真核細胞でのゲノム編集に首尾よく使用されてきた[1~8]。2つのCas12aバリアント、AsとLbは、34%の配列同一性を共有し、Nurekiグループ[9~10]によって両方とも結晶化された。Cas12aの両バリアントのRuvCおよびNucのドメインは、構造的に類似しており、類似のメカニズムによって標的DNAを切断する[9~10]。両バリアントは、TTTVをカノニカルPAMとして認識し、非カノニカルPAMとしてCTTV、TCTVおよびTTCVを容認することが示された[6、10]。
【0007】
[0007]操作されたCas12aタンパク質は、変化したPAM特異性を示すことが、Zhangおよび共同研究者によって報告された[11]。彼らの主たる目的は、AsCas12aで構造情報に基づく変異誘発スクリーニングを実行すること、これに続いて、LbCas12aにおいてミラー変異を実行すること、であった。このことは、2つの変異型バリアント、AsCas12a-S542R/K607RおよびAsCas12a-S542R/K548V/N552Rをもたらし、これらはそれぞれPAMのTYCVおよびTATVを認識した。これらの変異型は、それらのCRISPRタンパク質の高特異性を保持し、それらの変異型をLbCas12a(それぞれ、G532R/K595RおよびG532R/K538V/T542R)に導入することは、同様のPAM特異性変化をもたらした[11]。
【発明の概要】
【0008】
[0008]本発明は、Cas12a CRISPR遺伝子および変異型、それらによってコードされるポリペプチド、Cas12aを安定して発現する哺乳動物細胞株、ならびにCIRSPR-Cas12aシステムの組成物および方法におけるそれらの使用に関する。Lachnospiraceae bacterium ND2006(Lb)由来のCpf1システムを用いる例が示されるが、これは、他の種から単離されたCas12aホモログまたはオルソログに及ぶ範囲を制限することを意図するものではない。
【0009】
[0009]さらに、本発明は、CRISPR/LbCas12aヌクレアーゼシステムによる、正確な位置で、生きている生物体の二本鎖DNAを切断する能力に関する。さらに、本発明は、野生型Cas12aバリアント、LbCas12aおよびAsCas12aと比較して、ゲノム編集効率を増強するLbCas12aの単一アミノ酸置換について記載し、LbCas12a-E795Lとして請求される。本発明はまた、野生型LbCas12aと同様のゲノム編集を示した、LbCas12aの他の6つの変異型、N527R、D559P、N527R/D559P、N527R/E795L、D559P/E795LおよびN527R/D559P/E795Lを含む。
【0010】
[0010]第1の実施形態では、単離された変異型Cas12aタンパク質が提供される。単離された変異型Cas12aタンパク質は、クラスター化され規則的に間隔が空いた短い回文構造の反復(CRISPR)/CRISPR関連タンパク質エンドヌクレアーゼシステム(「CRISPR/Cas12aエンドヌクレアーゼシステム」)において活性である。CRISPR/Cas12aエンドヌクレアーゼシステムは、野生型CRISPR/Cas12aエンドヌクレアーゼシステムと比べて、オンターゲット編集活性を維持していた。別の態様では、Cas12aタンパク質はLachnospiraceae bacterium ND2006(Lb)から単離される。
【0011】
[0011]第2の実施形態では、単離されたリボ核タンパク質(RNP)複合体が提供される。RNP複合体は、変異型Cas12aタンパク質およびcrRNAを含む。単離されたリボ核タンパク質複合体は、CRISPR/Cas12aエンドヌクレアーゼシステムとして活性であり、結果として生じるCRISPR/Cas12aエンドヌクレアーゼシステムは、野生型CRISPR/Cas12aエンドヌクレアーゼシステムと比べて維持されたオンターゲット編集活性を提示する。
【0012】
[0012]第3の実施形態では、変異型Cas12aタンパク質をコードする単離された核酸が提供される。変異型Cas12aタンパク質はCRISPR/Cas12aエンドヌクレアーゼシステムにおいて活性であり、CRISPR/Cas12aエンドヌクレアーゼシステムは野生型CRISPR/Cas12aエンドヌクレアーゼシステムと比べて維持されたオンターゲット編集活性を提示する。
【0013】
[0013]第4の実施形態では、CRISPR/Cas12aエンドヌクレアーゼシステムが提供される。CRISPR/Cas12aエンドヌクレアーゼシステムは、変異型Cas12aタンパク質およびcrRNAを含む。CRISPR/Cas12aエンドヌクレアーゼシステムは、野生型CRISPR/Cas12aエンドヌクレアーゼシステムと比べて維持されたオンターゲット編集活性を提示する。
【0014】
[0014]第5の実施形態では、維持されたオンターゲット編集活性を有する遺伝子編集を実施する方法が提供される。本方法は、候補編集DNA標的部位遺伝子座を、適当なcrRNAと複合体を形成した変異型Cas12aタンパク質を有する活性なCRISPR/Cas12aエンドヌクレアーゼシステムと接触させるステップを含む。前記相互作用は、例えば、生きている動物、生細胞、またはin vitroでの単離されたDNAにおいて、あらゆる状況で行い得る。
【0015】
[0015]別の実施形態では、本発明のCRISPR/Cas12aエンドヌクレアーゼシステムは、野生型CRISPR/Casエンドヌクレアーゼシステムと比べて、維持されたオンターゲット編集活性を提示し、野生型CRISPR/Casエンドヌクレアーゼシステムと比較した場合、減少したオフターゲット編集活性を提示することができる。別の態様では、本発明のCRISPR/Cas12aエンドヌクレアーゼシステムは、野生型CRISPR/Cas12aエンドヌクレアーゼシステムと比べて維持されたオンターゲット編集活性を提示し、野生型CRISPR/Cas12aエンドヌクレアーゼシステムと比較した場合、減少したオフターゲット編集活性を提示することができる。
【0016】
[0016]別の実施形態では、本発明のCRISPR/Cas12aエンドヌクレアーゼシステムは、野生型CRISPR/Casエンドヌクレアーゼシステムと比べて維持されたオンターゲット編集活性を提示し、野生型CRISPR/Casエンドヌクレアーゼシステムと比較した場合、減少したオフターゲット編集活性を提示することができる。別の態様では、本発明のCRISPR/Cas12aエンドヌクレアーゼシステムは、野生型CRISPR/Cas12aエンドヌクレアーゼシステムと比べて維持されたオンターゲット編集活性を提示し、野生型CRISPR/Cas12aエンドヌクレアーゼシステムと比較した場合、減少したオフターゲット編集活性を提示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1A】[0017]図1A~1Dは、AsCas12a(上)およびLbCas12a(下)の一次および二次の構造アラインメントを示す。A-ヘリックスはくねった線で表され、β-ストランドは矢印で表され、ターンは「TT」で表される。同一残基は赤一色で仕切られ、類似の残基は青の輪郭で仕切られる。
図1B】[0017]図1A~1Dは、AsCas12a(上)およびLbCas12a(下)の一次および二次の構造アラインメントを示す。A-ヘリックスはくねった線で表され、β-ストランドは矢印で表され、ターンは「TT」で表される。同一残基は赤一色で仕切られ、類似の残基は青の輪郭で仕切られる。
図1C】[0017]図1A~1Dは、AsCas12a(上)およびLbCas12a(下)の一次および二次の構造アラインメントを示す。A-ヘリックスはくねった線で表され、β-ストランドは矢印で表され、ターンは「TT」で表される。同一残基は赤一色で仕切られ、類似の残基は青の輪郭で仕切られる。
図1D】[0017]図1A~1Dは、AsCas12a(上)およびLbCas12a(下)の一次および二次の構造アラインメントを示す。A-ヘリックスはくねった線で表され、β-ストランドは矢印で表され、ターンは「TT」で表される。同一残基は赤一色で仕切られ、類似の残基は青の輪郭で仕切られる。
図2】[0018]図2は、HEK293ヒト細胞における48時間後の、野生型LbCas12aおよびAsCas12a-M537R/F870L変異型と比較した、LbCas12a変異型の編集効率を示す。
図3】[0019]図3は、IDT Alt-R(登録商標)Electroporation Enhancerを含むHEK293ヒト細胞における48時間後の、野生型LbCas12aと比較した、LbCas12a変異型の編集効率を示す。
図4】[0020]図4は、IDT Alt-R(登録商標)Electroporation Enhancerを含まないHEK293ヒト細胞における48時間後の、野生型LbCas12aと比較した、LbCas12a変異型の編集効率を示す。
図5】[0021]図5は、IDT Alt-R(登録商標)Electroporation Enhancerを含むHEK293ヒト細胞における48時間後の、野生型LBCas12aおよびAsCas12a-M537R/F870L変異型と比較した、LbCas12a変異型の編集効率を示す。
図6A】[0022]図6Aは、IDT Alt-R(登録商標)Electroporation Enhancerを含むHEK293細胞において48時間後に測定された、RNP 1.0μM用量として送達された、AsCas12a野生型およびAsCas12a-M537R/F870L変異型と比較した、LbCas12a野生型およびE795L変異型LbCas12aの編集効率を示す。
図6B】[0023]図6Bは、IDT Alt-R(登録商標)Electroporation Enhancerを含むHEK293細胞において48時間後に測定された、RNP 0.22μM用量として送達された、AsCas12a野生型およびAsCas12a-M537R/F870L変異型と比較した、LbCas12a野生型およびE795L変異型LbCas12aの編集効率を示す。
図6C】[0024]図6Cは、IDT Alt-R(登録商標)Electroporation Enhancerを含むHEK293細胞において48時間後に測定された、RNP 0.05μM用量として送達された、AsCas12a野生型およびAsCas12a-M537R/F870L変異型と比較した、LbCas12a野生型およびE795L変異型LbCas12aの編集効率を示す。
図6D】[0025]図6Dは、IDT Alt-R(登録商標)Electroporation Enhancerを含むHEK293細胞において48時間後に測定された、RNP 0.01μM用量として送達された、AsCas12a野生型およびAsCas12a-M537R/F870L変異型と比較した、LbCas12a野生型およびE795L変異型LbCas12aの編集効率を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
[0026]本明細書に記載の本発明の方法および組成物は、CRISPR/Cas12aシステムで使用するための変異型LbCas12aの核酸およびポリペプチドを提供する。本発明は、RNP複合体として送達された場合でさえ、野生型タンパク質と比べて高いオンターゲット編集活性を維持しつつ、オフターゲット編集活性を低レベルに減少する新規のCas12a変異型について記載する。本発明のこれらおよびその他の利点、ならびに本発明のさらなる特性は、本明細書で提供される本発明の説明から明らかになるであろう。
【0019】
[0027]Cas12aは、ゲノムのGCリッチ領域(Cas9)からATリッチ領域(Cas12a)まで標的化され得るPAM配列の範囲を拡大することによって、Cas9に有用な補完を提供し、それにより、CRISPRゲノム工学法を使用して改変され得る配列の範囲を拡大する。TリッチPAM部位を有することに加えて、Cas9と比較したCas12aシステムの別の利点は、単一の短いRNA分子の使用である。
【0020】
[0028]第1の実施形態では、単離された変異型Cas12aタンパク質が提供される。単離された変異型Cas12aタンパク質は、クラスター化され規則的に間隔が空いた短い回文構造の反復(CRISPR)/CRISPR関連タンパク質エンドヌクレアーゼシステム(「CRISPR/Cas12aエンドヌクレアーゼシステム」)において活性である。CRISPR/Cas12aエンドヌクレアーゼシステムは、野生型CRISPR/Casエンドヌクレアーゼシステムと比べて維持されたオンターゲット編集活性を提示する。別の態様では、Cas12aタンパク質は、Lachnospiraceae bacterium ND2006(Lb)から単離される。好ましい単一変異型Cas12aタンパク質は、以下の位置:N527、D559、およびE795で導入されたWT-LbCas12aへの置換変異を含む。例示的な単一変異型Cas12aタンパク質は、WT-LbCas12aに導入された以下の特定の変異を含む:N527R、D559P、およびE795L。例示的な単一変異型Cas12aタンパク質は、配列番号3~9からなる群から選択される少なくとも1つのメンバーを含む。さらなる置換変異が、単一変異型Cas12aタンパク質のアミノ酸配列のアミノ酸バックグラウンドに含ませられ得るが、結果として生じるCas12aタンパク質はCRISPR/Cas12aエンドヌクレアーゼシステムとして活性であるという条件であり、結果として生じるCRISPR/Cas12aエンドヌクレアーゼシステムは、野生型CRISPR/Cas12aエンドヌクレアーゼシステムと比べて、維持されたオンターゲット編集活性を提示する。
【0021】
[0029]好ましい多置換変異型Cas12aタンパク質は、以下の位置:N527/D559、D559/E795、N527/E795、およびN527/D559/E795のうちの少なくとも2つに導入されたWT-LbCas12aにおける変異を含む。例示的な多置換変異型Cas12aタンパク質は、以下のアミノ酸変異:N527R/D559P、D559P/E795L、N527R/E795LおよびN527R/D559P/E795L、から選択される、WT-LbCas12aにおける変異を含む。例示的な多置換変異型Cas12aタンパク質は、配列番号3~9からなる群から選択される少なくとも1つのメンバーを含む。さらなる置換変異が、単一変異型Cas12aタンパク質のアミノ酸配列のアミノ酸バックグラウンドに含ませられ得るが、結果として生じるCas12aタンパク質はCRISPR/Cas12aエンドヌクレアーゼシステムとして活性であるという条件であり、結果として生じるCRISPR/Cas12aエンドヌクレアーゼシステムは、野生型CRISPR/Cas12aエンドヌクレアーゼシステムと比べて、維持されたオンターゲット編集活性を提示する。
【0022】
[0030]第2の実施形態では、単離されたリボ核タンパク質複合体が提供される。RNPは、変異型Cas12aタンパク質およびcrRNA複合体を含む。ある点で、crRNAは、所与の遺伝子座の特定の編集標的部位に対して誘導されるAlt-R(登録商標)crRNA(Integrated DNA Technologies、Inc.(Coralville、IA、(米国))を含む。好ましい変異型Cas9タンパク質は、上記のものを含む。
【0023】
[0031]別の実施形態では、変異型LbCas12aタンパク質をコードする単離された核酸が提供される。好ましい単離された核酸は、上記のように変異型LbCas12aタンパク質をコードする。変異型LbCas12aタンパク質をコードする例示的な単離された核酸は、組換えDNA手順または化学合成法を使用して、野生型LbCas12aタンパク質をコードする核酸から容易に生成され得る。この目的向けの好ましい核酸は、細菌(例えば、大腸菌)または哺乳動物(例えば、ヒト)細胞におけるLbCas12aタンパク質の発現用に最適化されたものを含む。大腸菌およびヒト細胞におけるWT-LbCas12aを発現するための例示的なコドン最適化核酸は、配列番号1を含む。さらに、本発明は、WT-Cas12aと変異型LbCas12aの融合タンパク質を企図し、WT-Cas12aと変異型LbCas12aのコード配列は、真核細胞における融合タンパク質の核局在化(「NLS」)をコードするアミノ酸配列またはタンパク質の精製を容易にするアミノ酸配列に融合される。
【0024】
[0032]さらなる実施形態では、単離された核酸は、前述の変異型LbCas12aタンパク質のうちの1つをコードするmRNAを含む。第2の点において、単離された核酸は、前述の変異型LbCas12aタンパク質のうちの1つの遺伝子をコードするDNAを含む。好ましいDNAは、変異型LbCas12aタンパク質をコードする遺伝子をコードするベクターを含む。かかる送達方法には、当業者によく知られているように、プラスミドおよび種々のウイルス送達ベクターが含まれる。変異型LbCas12aタンパク質はまた、適切な発現ベクターを使用して細胞に安定的に形質転換されて、変異型LbCas12aを構成的または誘導的に発現する細胞株を作出することもできる。前述の方法はまた、胚に適用されて、変異型LbCas12aを構成的または誘導的に発現する子孫動物を作出することもできる。
【0025】
[0033]別の実施形態では、CRISPR/Cas12aエンドヌクレアーゼシステムが提供される。CRISPR/Cas12aエンドヌクレアーゼシステムは変異型LbCas12aタンパク質を含む。好ましい変異型LbCas12aタンパク質は、上記のものを含む。一態様では、CRISPR/Cas12aエンドヌクレアーゼシステムは、DNA発現ベクターによってコードされる。一実施形態では、DNA発現ベクターは、細菌発現ベクターまたは真核生物発現ベクターから選択される。別の態様では、CRISPR/Cas12aエンドヌクレアーゼシステムは、変異型LbCas12aタンパク質およびcrRNAを含むリボ核タンパク質複合体を含む。
【0026】
[0034]さらなる実施形態では、遺伝子編集を実施して、向上したオンターゲット編集活性を持たせる方法が提供される。本方法は、候補編集標的部位遺伝子座を、変異型LbCas12aタンパク質を有する活性なCRISPR/Cas12aエンドヌクレアーゼシステムと接触させるステップを含む。一態様では、本方法は、以下の位置:N527、D559、およびE795のうちの1つで導入された、WT-LbCas12aに変異を有する単一変異型LbCas12aタンパク質を含む。例示的な単一変異型LbCas12aタンパク質は、WT-LbCas12aに導入された以下の特定の変異:N527R、D559P、およびE795L、を含む。例示的な単一変異型LbCas12aタンパク質は、配列番号3~9からなる群から選択される少なくとも1つのメンバーを含む。さらなる置換変異が、単一変異型LbCas12aタンパク質のアミノ酸配列のアミノ酸バックグラウンドに含ませられ得るが、結果として生じるLbCas12aタンパク質はCRISPR/Cas12aエンドヌクレアーゼシステムとして活性であるという条件であり、結果として生じるCRISPR/Cas12aエンドヌクレアーゼシステムは、野生型CRISPR/Cas12aエンドヌクレアーゼシステムと比べて、維持されたオンターゲット編集活性を提示する。
【0027】
[0035]別の実施形態では、本方法は、以下の位置:N527/D559、D559/E795、N527/E795、およびN527/D559/E795のうちの少なくとも2つに導入された、WT-LbCas12aにおける変異を含む多置換変異型LbCas12aタンパク質を含む。例示的な多置換変異型Cas12aタンパク質は、以下のアミノ酸変異:N527R/D559P、D559P/E795L、N527R/E795LおよびN527R/D559P/E795L、から選択される、WT-LbCas12aにおける変異を含む。例示的な多置換変異型LbCas12aタンパク質は、配列番号3~9からなる群から選択される少なくとも1つのメンバーを含む。さらなる置換変異が、単一変異型LbCas12aタンパク質のアミノ酸配列のアミノ酸バックグラウンドに含ませられ得るが、結果として生じるLbCas12aタンパク質はCRISPR/Cas12aエンドヌクレアーゼシステムとして活性であるという条件であり、結果として生じるCRISPR/Cas12aエンドヌクレアーゼシステムは、野生型CRISPR/Cas12aエンドヌクレアーゼシステムと比べて、維持されたオンターゲット編集活性を提示する。
【0028】
[0036]Cas12aおよびLbCas12aベースのツールの適用は数多く、多様である。適用には、植物遺伝子編集、酵母遺伝子編集、哺乳動物遺伝子編集、生きている動物の臓器の細胞の編集、胚の編集、ノックアウト/ノックイン動物系統の迅速な生成、病状の動物モデルの生成、病状の修正、レポーター遺伝子の挿入、および全ゲノム機能スクリーニングが含まれるが、これらに限定されない。
【実施例
【0029】
実施例1
野生型および変異型LbCas12aタンパク質およびAsCas12aタンパク質のDNA配列およびアミノ酸配列
[0037]下のリストは、本発明に記載の異なる野生型(WT)および変異型Cas12aヌクレアーゼを示す。多くの場合、複数のコドンが同じアミノ酸をコードすることができるので、異なる多くのDNA配列が同じアミノ酸(AA)配列をコードする/発現することができることは、当業者であれば理解するであろう。下に示すDNA配列は例としてのみ利用するものであり、同じタンパク質(例えば、同じアミノ酸配列)をコードする他のDNA配列が企図される。さらに、NLSドメイン等などのさらなる特性、エレメント、またはタグを前記配列に付加することができることを理解されたい。WT LbCas12a(Cpf1)、WT AsCas12a、および変異型N527R LbCas12a、変異型D559P LbCas12a、変異型E759L LbCas12a、二重変異型N527R/D559P LbCas12a、二重変異型N527R/E795L LbCas12a、二重変異型D559P/E795L LbCas12a、三重変異型N527R/D559P/E795L LbCas12a、および二重変異型M537R/F870L AsCas12a、について例を示す。LbCas12aおよびAsCas12aの変異型について、アミノ酸配列およびDNA配列のみが提供されるが、NLSドメインおよびHisタグドメインが付加されて、哺乳動物細胞で使用するための組換えタンパク質の産生での使用を容易にすることができること、が企図される。
【0030】
[0038]配列番号1
WT Lachnospiraceae bacterium ND2006(Lb)Cas12a DNA配列
【化1-1】
【化1-2】
【化1-3】
【化1-4】
【0031】
[0039]配列番号2
WT LbCas12アミノ酸配列
【化2】
【0032】
[0040]配列番号3
変異型N527R LbCas12aアミノ酸配列
【化3】
【0033】
[0041]配列番号4
変異型D559P LbCas12aアミノ酸配列
【化4】
【0034】
[0042]配列番号5
変異型E795L LbCas12aアミノ酸配列
【化5】
【0035】
[0043]配列番号6
変異型N527R/D559P LbCas12aアミノ酸配列
【化6】
【0036】
[0044]配列番号7
変異型527R/E795L LbCas12aアミノ酸配列
【化7】
【0037】
[0045]配列番号8
変異型D559P/E795L LbCas12aアミノ酸配列
【化8】
【0038】
[0046]配列番号9
変異型N527R/D559P/E795L LbCas12aアミノ酸配列
【化9】
【0039】
[0047]配列番号10
変異型N527R LbCas12a DNA配列
【化10-1】
【化10-2】
【化10-3】
【化10-4】
【0040】
[0048]配列番号11
変異型D559P LbCas12a DNA配列
【化11-1】
【化11-2】
【化11-3】
【化11-4】
【0041】
[0049]配列番号12
変異型E795L LbCas12a DNA配列
【化12-1】
【化12-2】
【化12-3】
【化12-4】
【0042】
[0050]配列番号13
変異型N527R/D559P LbCas12a DNA配列
【化13-1】
【化13-2】
【化13-3】
【化13-4】
【0043】
[0051]配列番号14
変異型N527R/E795L LbCas12a DNA配列
【化14-1】
【化14-2】
【化14-3】
【化14-4】
【0044】
[0052]配列番号15
変異型D559P/E795L LbCas12a DNA配列
【化15-1】
【化15-2】
【化15-3】
【0045】
[0053]配列番号16
変異型N527R/D559P/E795L LbCas12a DNA配列
【化16-1】
【化16-2】
【化16-3】
【化16-4】
【0046】
[0054]配列番号17
WT AsCas12a DNA配列
【化17-1】
【化17-2】
【化17-3】
【化17-4】
【0047】
[0055]配列番号18
WT AsCas12aアミノ酸配列
【化18】
【0048】
[0056]配列番号19
変異型M537R/F870L AsCas12a DNA配列
【化19-1】
【化19-2】
【化19-3】
【化19-4】
【0049】
[0057]配列番号20
変異型M537R/F870L AsCas12aアミノ酸配列
【化20】
【0050】
実施例2
大腸菌細胞におけるLbCas12a変異型の過剰発現および精製
[0058]本実施例は、7つのCas12a変異型、N527R、D559P、E795L、N527R/D559P、D559P/E795L、N527R/E795LおよびN527R/D559P/E795Lの過剰発現および精製を実証する。LbCas12a変異型を、標準的なPCR条件とプライマーを使用して部位特異的変異誘発によって導入した(表1)。大腸菌BL21(DE3)細胞に形質転換した後、適当な株を有するコロニーを使用して、カナマイシン(0.05mg/mL)を含むTB培地に接種し、OD約0.9が達するまで37℃で増殖させ、次いでフラスコを18℃に30分間冷却した。1M IPTG(500μL)の添加を使用してタンパク質発現を誘導し、これに続いて18℃で19時間増殖させた。細胞を回収し、細胞ペレットを再懸濁し、15~20kpsiで4℃に予冷したAvestin Emulsiflex C3上で、3回パスで溶解させた。溶解物を16,000×gで、4℃で20分間、遠心分離して細胞デブリを除去した。
【0051】
[0059]清澄化溶解物をHisTrap HP COLUMNにかけた。手順は、レジンをHis-結合緩衝液(20mM NaPO pH6.8、0.5M NaCl、10mMイミダゾール、5%グリセロール)で平衡化し、これに続いて、試料のローディングを行うことから、構成された。試料をHis-結合緩衝液で洗浄し、これに続いて、さらなる標準洗浄および10%His-溶出緩衝液(10mM NaPO pH6.8、250mM NaCl、150mMイミダゾール、5%グリセロール)からなる10%「B」洗浄を行った。最後に、His-溶出緩衝液を使用して試料を溶出した。次いで、LbCas12a変異型をHiTrap Heparin HP COLUMNにかけた。手順は、レジンをヘパリン-結合緩衝液(20mM NaPO pH6.8、250mM NaCl、10%グリセロール)で平衡化し、これに続いて、試料のローディングを行うことから、構成された。次いで、試料をヘパリン-結合緩衝液で洗浄し、これに続いて、5% ヘパリン溶出緩衝液(10mM NaPO pH6.8、1M NaCl、10%グリセロール)からなる5%「B」洗浄を行った。最後に、ヘパリン溶出緩衝液を使用して精製タンパク質を溶出した(10mM NaPO、pH6.8、1M NaCl、10%グリセロール)。最後に、精製タンパク質を、ヘパリンを使用して溶出した。
【0052】
[0060]精製LbCas12a変異型を、約10mg/mLに濃縮し、保管緩衝液(25mM Tris-HCl pH7.4、0.3M NaCl、1mM EDTA、1mM DTT、50%グリセロール)中、-20℃で保存した。
【0053】
【表1】
【0054】
実施例3
新規LbCas12a置換変異型は、リボ核タンパク質複合体を介してヒト細胞に送達される場合、ヒト細胞株ベースの活性アッセイにおいて切断活性を増強する。
[0061]以下の実施例が実証するところは、RNP複合体として送達される場合、ゲノム編集効率を改善するLbCas12a変異型の能力である。本例が実証するところは、エレクトロポレーショントランスフェクションによるヒト細胞へと、リボ核タンパク質(RNP)複合体による高用量で送達された場合に同等のゲノム編集効率を示し、それらによる低用量で送達された場合に向上したゲノム編集効率を示す、LbCas12a変異型の能力である。
【0055】
[0062]RNP複合体を、精製LbCas12aおよびsgRNA(表2、エントリー3および9)を、PBS緩衝液中で1:1.2の比で室温で10分間インキュベートすることによって形成した。RNP複合体(5μM最終用量)を、Lonza 4D-Nucleofector(商標)およびAlt-R(登録商標)Cpf1 Electroporation Enhancer(3μM、Integrated DNA Technologies)を含むAmaxa(登録商標)96ウェルShuttle Deviceを使用して、HEK293不死化ヒト細胞にトランスフェクトした。実験は生物学的に3回繰返しで行い、37℃で48時間後、付着細胞をQuickExtract(商標)DNA抽出溶液(50μL)で溶解した。
【0056】
【表2-1】
【表2-2】
【0057】
[0063]粗溶解物を65℃で15分間インキュベートし、これに続いて98℃で3分間、熱不活化した。粗ゲノムDNAをTE緩衝液で5倍に希釈し、PCRテンプレートとして使用した。PCR(表3に列記のプライマー)を使用して、Q5(登録商標)DNA Polymerase(New England Biolabs)および以下のパラメーターを使用してHPRT遺伝子座の1.2kbp断片を増幅した:98℃で30秒間、続いて98℃で10秒間、65℃で15秒間および72℃で1分間、これを24回繰り返して、続いて72℃で2分間の最終伸長を行った。ヘテロ二重鎖を、NEBuffer 2を添加し、最初に95℃に10分間加熱し、室温へとゆっくりと冷却することによって形成した。次いで、ヘテロ二重鎖をT7エンドヌクレアーゼI(New England Biolabs)2Uによって37℃で1時間切断した。切断生成物を、キャピラリー電気泳動(Fragment Analyzer、Advanced Analytical)によって分析した。
【0058】
【表3】
【0059】
[0064]HEK293ヒト細胞における野生型および変異型LbCas12aのエンドヌクレアーゼ活性を図2および表4に記載する。LbCas12a変異型、D559P、E795LおよびD559P/E795LのRNP送達は、野生型LbCas12aおよびAsCas12a-M537R/F870Lと同様の活性をもたらした(およそ80%切断)。この最初のスクリーニングは最高用量(5μM)での活性を決定することであったので、より低濃度(2、1、および0.05μM)のRNPでの用量反応を実施して、これらの変異型が増強された活性を注入できるかどうかについて決定した。
【0060】
【表4-1】
【表4-2】
【0061】
[0065]用量反応を上記のように行い、RNPの量を2分の1の減分で減少させ(Alt-R(登録商標)Electroporation Enhancerを含むおよび含まないで)、2μMの用量で開始した。結果を図3~4および表5~6に示す。LbCas12aのRNP送達には、最大の切断効率のためにAlt-R(登録商標)Cpf1 Electroporation Enhancerの添加が必要である。これらの用量では、LbCas12a変異型は、野生型と比較して、同様のまたは活性のわずかな向上のいずれかを示した;したがって、活性の差異を示すために、新しい部位とさらに低い用量について調査する必要があった。
【0062】
【表5-1】
【表5-2】
【0063】
【表6-1】
【表6-2】
【0064】
[0066]本実施例における最終用量反応を、上記のように設定し、RNPの量をさらに5分の1の減分で減少させ、2μMの用量で開始した。RNPを、LbCas12a RNPについてはsgRNA 2と8およびAsCas12a RNPについては14と20を使用して形成した(表1)。結果を図5および表7に示す。LbCas12a-E795LのRNP送達は、0.4μMの低用量でのHPRT遺伝子座の38228部位にて、野生型LbCas12a(およそ22%切断)およびAsCas12a-M537R/F870L(およそ19%切断)と比較して、向上した活性(およそ90%切断)を示し、野生型LbCas12aで見られるように、38104部位にて高い切断活性(およそ90%切断)を保持した。LbCas12aヌクレアーゼの単一E795L変異型は、最低用量(0.4μM)でゲノム編集活性を4.5倍まで向上させた。
【0065】
【表7-1】
【表7-2】
【0066】
実施例4
単一LbCas12a置換変異型は、低用量でリボ核タンパク質複合体を介してヒト細胞に送達された場合、ヒト細胞株ベースの活性アッセイにおいて切断活性を増強する。
[0067]以下の実施例が実証するところは、エレクトロポレーショントランスフェクションによるヒト細胞へと、RNP複合体による低用量で送達された場合に、向上したゲノム編集効率を示す、変異型E795L LbCas12aの能力である。すなわち、本発明は、野生型または変異型Cas12aがRNP複合体としてヒト細胞へと送達される場合に、ゲノム編集効率を向上させる。
【0067】
[0068]RNP複合体を、精製Cas12aとsgRNA(表2、LbCas12a RNPについてはエントリー1~12、およびAsCas12a RNPについてはエントリー13~24)を、PBS緩衝液中で1:1.2の比で室温で10分間インキュベートすることによって形成した。RNP複合体(1、0.22、0.05、および0.01μMの最終用量)を、Lonza 4D-Nucleofector(商標)およびAlt-R(登録商標)Cpf1 Electroporation Enhancer(3μM、Integrated DNA Technologies)を含むAmaxa(登録商標)96ウェルShuttle Deviceを使用して、HEK293不死化ヒト細胞にトランスフェクトした。実験を生物学的に2回繰返しで実施し、37℃で48時間後、付着細胞をQuickExtract(商標)DNA抽出溶液(50μL)で溶解した。
【0068】
[0069]粗溶解物を65℃で15分間インキュベートし、これに続いて98℃で3分間、熱不活化した。粗ゲノムDNAをTE緩衝液で15倍に希釈し、PCRテンプレートとして使用した。PCR(表3に列記のプライマー)を使用して、Q5(登録商標)DNA Polymerase(New England Biolabs)および以下のパラメーターを使用してHPRT遺伝子座の1.2kbp断片を増幅した:98℃で30秒間、続いて98℃で10秒間、65℃で15秒間および72℃で1分間、これを24回繰り返して、続いて72℃で2分間の最終伸長を行った。ヘテロ二重鎖を、NEBuffer 2を添加し、最初に95℃に10分間加熱し、室温へとゆっくりと冷却することによって形成した。次いで、ヘテロ二重鎖をT7エンドヌクレアーゼI(New England Biolabs)2Uによって37℃で1時間切断した。切断生成物を、キャピラリー電気泳動(Fragment Analyzer、Advanced Analytical)によって分析した。
【0069】
[0070]HEK293ヒト細胞における野生型および変異型AsCas12aと比較した、野生型および変異型LbCas12aのエンドヌクレアーゼ活性を、図6A図6b、図6C図6Dおよび表8に記載する。全体として、LbCas12a-E795LのRNP送達は、野生型LbCas12aおよびAsCas12aと比較して改善された活性を示した。0.05μMの用量は、低用量でも酵素の向上した活性を示す(図6c)。この用量では、LbCas12a-E795Lは、HPRT 38146部位で野生型LbCas12aの活性を23倍まで(表8、エントリー51および55)、および、HPRT 38186部位で野生型AsCas12aの活性を3倍まで(表8、エントリー103および107)上回る。LbCas12aバリアントについて識別可能な最高用量(0.22μM、図6b)で、E795L変異型は、HPRT 38146部位で野生型バージョンに勝って11倍まで(表8、エントリー50および54)および、同じ部位で野生型AsCas12aに対してほぼ2倍で(表8、エントリー54および58)向上した活性を提示した。
【0070】
【表8-1】
【表8-2】
【表8-3】
【表8-4】
【0071】
[0071]本明細書において引用される刊行物、特許出願および特許を含めて、全ての参考文献は、各参考文献が、個々にかつ具体的に参照により組み込まれることが示され、その全体が本明細書に記載されているのと同じ程度に、参照により本明細書に組み込まれる。
【0072】
[0072]本発明を説明する文脈における(特に以下の特許請求の範囲の文脈における)「a」および「an」および「the」という用語ならびに同様の指示語の使用は、本明細書において別途指示しない限りまたは文脈により明らかに矛盾しない限り、単数および複数の両方をカバーするものと解釈される。「含む(comprising)」、「有する(having)」、「含む(including)」および「含有する(containing)」という用語は、別途記載されない限り、オープンエンドの用語として解釈される(すなわち、「含むが、限定されない」を意味する)。本明細書における値の範囲の詳述は、本明細書において別途指示されない限り、その範囲内に含まれる各個別の値を個々に言及することの簡易方法として役立つことが意図されるにすぎず、各個別の値は、これが本明細書において個々に詳述されるように、本明細書に組み込まれる。本明細書に記載の全ての方法は、本明細書において別途指示されない限りまたは文脈により明らかに矛盾しない限り、いずれかの適切な順序で実施され得る。本明細書において提供されるいずれかのおよび全ての例または例示的な言語(例えば、「などの」)の使用は、本発明をより良く説明することが意図されているにすぎず、別途要求されない限り、本発明の範囲に限定を与えるものではない。本明細書におけるいかなる言語も、請求されていないいずれかの要素が本発明の実践に必須であるとして示すものと解釈されるべきではない。
【0073】
[0073]本発明を実施するために本発明者らに知られている最善の方法を含めて、本発明の好ましい実施形態が本明細書に記載されている。これらの好ましい実施形態の変形形態は、前述の説明を読みとくことで当業者には明らかとなり得る。本発明者らは、当業者がかかる変形形態を適切に用いることを期待し、本発明者らは、本発明が本明細書に具体的に記載されている方法とは異なる方法で実践されることを意図する。したがって、本発明は、準拠法により許可される通り、本明細書に添付されている特許請求の範囲内に詳述される主題の全ての改変物および等価物を含む。さらに、それらのあり得るすべての変形形態における上記要素のあらゆる組合せもが、本明細書において別途指示されない限りまたは文脈により明らかに矛盾しない限り、本発明に包含される。
【0074】
[0074]「野生型LbCas12a」(「野生型Lb酵素」または「WT-LbCas12a」)という用語は、天然に存在するLachnospiraceae bacterium ND2006 Cas12a(例えば、配列番号:2)の同一のアミノ酸配列を有し、かつ、活性CRISPR/Cas12aエンドヌクレアーゼシステムを形成するのに適切なcrRNAと組み合わせた場合に生化学的および生物学的活性を有する、タンパク質を包含する。「野生型AsCas12a」(「野生型As酵素」または「WT-AsCas12a」)という用語は、天然に存在するAcidaminococus sp.BV3L6 Cas12a(例えば、配列番号18)の同一のアミノ酸配列を有し、かつ、活性CRISPR/Cas12aエンドヌクレアーゼシステムを形成するのに適切なcrRNAと組み合わせた場合に生化学的および生物学的活性を有する、タンパク質を包含する。
【0075】
[0075]「変異型LbCas12aタンパク質」という用語は、野生型Lachnospiraceae bacterium ND2006 Cas12aとは異なるアミノ酸配列を有し、かつ、活性CRISPR-Cas12aエンドヌクレアーゼシステムを形成するのに適切なcrRNAと組み合わせた状態で生化学的および生物学的活性を有する、タンパク質形態を包含する。これは、野生型Lachnospiraceae bacterium ND2006 Cas12aと異なるアミノ酸配列を有するオルソログおよびCas12aバリアントを含む。
【0076】
[0076]「ポリペプチド」という用語は、複数のアミノ酸を含む任意の直鎖または分枝のペプチドを指す。ポリペプチドはタンパク質またはその断片またはその融合物を含むが、かかるタンパク質、断片または融合物は有用な生化学的または生物学的活性を保持するという条件である。
【0077】
[0077]融合タンパク質とは通常には、タンパク質に対して天然ではない追加のアミノ酸情報を含み、この追加のアミノ酸情報はそのタンパク質に共有結合で付着している。かかる追加のアミノ酸情報は、融合タンパク質の精製または同定を可能にするタグを含むことができる。かかる追加のアミノ酸情報は、融合タンパク質が細胞内に輸送されることおよび/または細胞内の特定の位置に輸送されることを可能にするペプチドを含むことができる。こういった目的のためのタグの例には以下が含まれる:タンパク質がストレプトアビジンによって単離され得るように酵素BirAによるビオチン化を可能にするペプチドである、AviTag(GLNDIFEAQKIEWHE);タンパク質カルモジュリンによって結合されているペプチドであるカルモジュリンタグ(KRRWKKNFIAVSAANRFKKISSSGAL);Mono-Qなどのアニオン交換樹脂に効果的に結合しているペプチドであるポリグルタメートタグ(EEEEEE);抗体によって認識されるペプチドであるEタグ(GAPVPYPDPLEPR);抗体によって認識されるペプチドであるFLAGタグ(DYKDDDDK);抗体によって認識されるヘマグルチニン由来のペプチドであるHAタグ(YPYDVPDYA);通常にはニッケルまたはコバルトキレートによって結合されている5~10個のヒスチジンであるHisタグ(HHHHHH);抗体によって認識されるc-mycに由来するペプチドであるMycタグ(EQKLISEEDL);組換えタンパク質の、ウェスタンブロッティング、ELISA、フローサイトメトリー、免疫細胞化学、免疫沈降およびアフィニティ精製を含めて、広範囲の適用に有用である、モノクローナルIgG1抗体によって認識される新規の18個のアミノ酸合成ペプチドであるNEタグ(TKENPRSNQEESYDDNES);リボヌクレアーゼAに由来するペプチドであるSタグ(KETAAAKFERQHMDS);ストレプトアビジンに結合するペプチドであるSBPタグ;(MDEKTTGWRGGHVVEGLAGELEQLRARLEHHPQGQREP);哺乳動物発現を意図するSoftag1(SLAELLNAGLGGS);原核生物発現を意図するSoftag3(TQDPSRVG);ストレプトアビジンまたはストレプトアクチン(streptactin)と呼ばれる修飾ストレプトアビジンに結合するペプチドであるStrepタグ(StrepタグII:WSHPQFEK);抗体によって認識されるペプチドである、FlAsHおよびReAsH二ヒ素化合物(CCPGCC)V5タグによって認識されるテトラシステインタグであるTCタグ(GKPIPNPLLGLDST);抗体によって認識されるペプチドであるVSVタグ(YTDIEMNRLGK);Xpressタグ(DLYDDDDK);ピリン-Cタンパク質に共有結合しているペプチドであるIsopeptag(TDKDMTITFTNKKDAE);SpyCatcherタンパク質に共有結合しているペプチドであるSpyTag(AHIVMVDAYKPTK);SnoopCatcherタンパク質に共有結合しているペプチドであるSnoopTag(KLGDIEFIKVNK);ストレプトアビジンによる認識を可能にするためにBirAによってビオチン化されているタンパク質ドメインであるBCCP(ビオチンカルボキシルキャリアタンパク質);固定化グルタチオンに結合するタンパク質であるグルタチオン-S-トランスフェラーゼタグ;自発蛍光性であり、抗体によって結合され得るタンパク質である緑色蛍光タンパク質タグ;多種多様な基質への付着を可能にするために反応性ハロアルカン基質に共有結合で付着する変異型細菌ハロアルカンデハロゲナーゼであるHaloTag;アミロースアガロースに結合するタンパク質であるマルトース結合タンパク質タグ;Nusタグ;チオレドキシンタグ;ならびに二量化および可溶化を可能にし、Protein-A Sepharose上での精製のために使用され得る免疫グロブリンFcドメインに由来するFcタグ。SV40から得られるものなどの、核局在化シグナル(NLS)は、タンパク質が細胞に侵入するとすぐに核に輸送されることを可能にする。天然のCas9タンパク質が細菌起源であり、したがってNLSモチーフを天然に含まないと仮定すると、組換えCas9タンパク質への複数のNLSモチーフの付加は、標的ゲノムDNA基質が核に存在する真核細胞において使用される場合、改善されたゲノム編集活性を示すことが期待される。当業者であれば、これらの種々の融合タグ技法ならびにこれらを含む融合タンパク質をどのように作製し、使用するかを理解すると思われる。
【0078】
[0078] 参考文献
[0079] 1. Zetsche, B., et al., Cpf1 Is a Single RNA-Guided Endonuclease of a Class 2 CRISPR-Cas System. Cell, 2015. 163: p. 759.
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[0082] 4. Kim, D., et al., Genome-wide analysis reveals specificities of Cpf1 endonucleases in human cells. Nature Biotechnology, 2016. 34(8): p. 863.
[0083] 5. Kleinstiver, B. P., et al., Genome-wide specificities of CRISPR-Cas Cpf1 nucleases in human cells. Nature Biotechnology, 2016. 34(8): p. 869.
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[0089] 11. Gao, L., et al., Engineered Cpf1 variants with altered PAM specificities. Nature Biotechnology, 2017. 35(8): p. 789.
[0090] 13. Robert, X. and Gouet, P., Deciphering key features in protein structures with the new ENDscript server. Nucleic Acids Research, 2014. 42(W1): p. W320.
以下、出願時の特許請求の範囲の記載を示す。
[請求項1]
a)以下の位置:N527、D559、およびE795から選択される、野生型LbCas12aタンパク質に導入された単一置換変異;または、
b)以下の位置:N527、D559、およびE795のうちの少なくとも2つから選択される、野生型LbCas12aタンパク質に導入された複数の置換変異、
からなる群から選択される置換変異を含む、単離された変異型LbCas12a。
[請求項2]
配列番号3、配列番号4、および配列番号5からなる群から選択される、請求項1に記載の単離された変異型LbCas12aタンパク質。
[請求項3]
配列番号6、配列番号7、配列番号8、および配列番号9からなる群から選択される、請求項1に記載の単離された変異型LbCas12aタンパク質。
[請求項4]
a)請求項1に記載の変異型LbCas12aタンパク質;および、
b)gRNA複合体、
を含む、単離されたリボ核タンパク質複合体であって、CRISPR/Cas12aエンドヌクレアーゼシステムとして活性であり、結果として生じるCRISPR/Cas12aエンドヌクレアーゼシステムは、野生型CRISPR/Cas12aエンドヌクレアーゼシステムと比べて、維持されたオンターゲット編集活性を提示する、
単離されたリボ核タンパク質複合体。
[請求項5]
変異型LbCas12aタンパク質が、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、および配列番号9からなる群から選択される、請求項4に記載の単離されたリボ核タンパク質複合体。
[請求項6]
変異型LbCas12aタンパク質およびgRNAを含むCRISPR/Cas12aエンドヌクレアーゼシステムであって、
野生型CRISPR/Cas12aエンドヌクレアーゼシステムと比べて、維持されたオンターゲット編集活性を提示する、
CRISPR/Cas12aエンドヌクレアーゼシステム。
[請求項7]
DNA発現ベクターによってコードされる、請求項6に記載のCRISPR/Cas12aエンドヌクレアーゼシステム。
[請求項8]
DNA発現ベクターが、プラスミド媒介性のベクターを含む、請求項7に記載のCRISPR/Cas12aエンドヌクレアーゼシステム。
[請求項9]
DNA発現ベクターが、細菌発現ベクターおよび真核生物発現ベクターから選択される、請求項8に記載のCRISPR/Cas12aエンドヌクレアーゼシステム。
[請求項10]
変異型LbCas12aタンパク質をコードする単離された核酸であって、
変異型LbCas12aタンパク質がCRISPR/Cas12aエンドヌクレアーゼシステムにおいて活性であり、
CRISPR/Cas12aエンドヌクレアーゼシステムは、野生型CRISPR/Cas12aエンドヌクレアーゼシステムと比べて、維持されたオンターゲット編集活性を提示する、
単離された核酸。
[請求項11]
変異型LbCas12aタンパク質が、
a)以下の位置:N527、D559、およびE795から選択される、野生型Cas12aタンパク質に導入された単一置換変異;または、
b)以下の位置:N527、D559、およびE795のうちの少なくとも2つから選択される、野生型Cas12aタンパク質に導入された複数の置換変異、
からなる群から選択される置換変異を含む、請求項10に記載の変異型LbCas12aタンパク質をコードする単離された核酸。
[請求項12]
変異型Cas12aタンパク質が、
配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、および配列番号16からなる群から選択される、
請求項10に記載の変異型Cas12aタンパク質をコードする単離された核酸。
図1A
図1B
図1C
図1D
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図6D
【配列表】
0007407830000001.app