(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-21
(45)【発行日】2024-01-04
(54)【発明の名称】制御方法、制御装置及び製造装置
(51)【国際特許分類】
B23K 26/342 20140101AFI20231222BHJP
B23K 26/34 20140101ALI20231222BHJP
B23K 26/142 20140101ALI20231222BHJP
B29C 64/153 20170101ALI20231222BHJP
B29C 64/282 20170101ALI20231222BHJP
B29C 64/371 20170101ALI20231222BHJP
B29C 64/393 20170101ALI20231222BHJP
B33Y 10/00 20150101ALI20231222BHJP
B33Y 30/00 20150101ALI20231222BHJP
B33Y 50/02 20150101ALI20231222BHJP
B22F 12/45 20210101ALI20231222BHJP
B22F 10/366 20210101ALI20231222BHJP
B22F 10/322 20210101ALI20231222BHJP
【FI】
B23K26/342
B23K26/34
B23K26/142
B29C64/153
B29C64/282
B29C64/371
B29C64/393
B33Y10/00
B33Y30/00
B33Y50/02
B22F12/45
B22F10/366
B22F10/322
(21)【出願番号】P 2021552607
(86)(22)【出願日】2020-03-02
(86)【国際出願番号】 EP2020055386
(87)【国際公開番号】W WO2020178216
(87)【国際公開日】2020-09-10
【審査請求日】2021-11-01
(31)【優先権主張番号】102019001522.3
(32)【優先日】2019-03-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】514298748
【氏名又は名称】エスエルエム ソルーションズ グループ アーゲー
【氏名又は名称原語表記】SLM Solutions Group AG
【住所又は居所原語表記】Estlandring 4, 23560 Luebeck, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【氏名又は名称】森本 有一
(74)【代理人】
【識別番号】100126848
【氏名又は名称】本田 昭雄
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス ホッペ
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアーネ ティール
(72)【発明者】
【氏名】アン-カテリン オッテ
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル ブルック
(72)【発明者】
【氏名】ヤン ビルケス
(72)【発明者】
【氏名】ディーター シュバルツェ
【審査官】松田 長親
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-030373(JP,A)
【文献】特開2018-127710(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 26/00-26/70
B29C 64/00-64/40
B33Y 10/00
B33Y 30/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
積層造形法を用いて3次元ワークピースを製造するシステム用の複数のビームを生成するための2つ以上のビーム源を備えたマルチビーム装置を制御するための制御方法であって、3次元ワークピースを製造するための固化可能な材料を基体の表面上に層状に塗布し、各層の固化可能な材料が固化可能な材料上の複数のビームのそれぞれの衝突点で複数のビームによって固化され、
前記3次元ワークピースを製造するための固化可能な材料の層の1つの選択的領域を固化するために、前記ビームの前記衝突点がそれぞれ基体の表面上でガス流のガス流方向と実質的に反対方向に制御され、当該制御方法は、
(a)各層の固化すべき材料を少なくとも2つのセクションに分割し、前記少なくとも2つのセクションのうちの2つのセクションは、前記少なくとも2つのセクションのうちの前記2つのセクションで優勢なガス流のガス流方向に少なくとも部分的に前後して延びていることと、
(b)前記少なくとも2つのセクションのうちの前記2つのセクションのうちの少なくとも1つのセクションを、前記ガス流のガス流方向に少なくとも2つの面部分に分割することと、
(c)各面部分を正確に1つの特定のビームに割り当てて、当該ビームは割り当てられた面部分の固化すべき材料を固化することと、
(d)少なくとも固化すべき材料を露光する時点で、少なくとも2つの面部分の固化すべき材料が固化されるように、且つ、前記衝突点の各中心と前記衝突点の他のすべての中心との間に延びる直線からなるネットワークは、前記衝突点のすべての中心が互いに非干渉距離の外側にある同時露光のいかなる時点においても、前記少なくとも2つのセクションのうちの前記2つのセクションで優勢なガス流のガス流方向に対して平行な直線を持たないように前記ビームの前記衝突点を制御することを含み、
前記非干渉距離は、部品の材料及び/又は前記マルチビーム装置のレーザー出力及び/又は所望の部品の品質に基づいて決定される、
制御方法。
【請求項2】
前記ビームの前記衝突点は、前記基体の表面上で少なくとも部分的に連続的に制御される、請求項1に記載の制御方法。
【請求項3】
前記衝突点の中心のうちの少なくとも2つは、少なくとも所定の時間、互いに前記非干渉距離の外側にある、請求項1又は2に記載の制御方法。
【請求項4】
前記衝突点のすべての中心が、少なくとも所定の時間、互いに前記非干渉距離の外側にある、請求項3に記載の制御方法。
【請求項5】
前記各面部分を正確に1つの特定のビームに割り当てる前に、前記各面部分が前記基体の表面及び/又はガス流のガス流出口に対する位置により、前記複数のビームのうち1つ以上の特定のビームに割り当てられる、請求項1から4のいずれか一項に記載の制御方法。
【請求項6】
前記基体の表面上のセクションの位置及び/又は長さ、及び/又はセクションの数は、
固化可能な材料の層内の3次元ワークピースの領域及び/又は位置、及び/又はビームの走査面の位置、に基づいて定義され、
前記ビームの走査面の位置は、ビームの垂直入射点と、前記基体の表面を基準として及び/又はそれぞれのビームの垂直入射軸に対する角度によって構成される、請求項1から5のいずれか一項に記載の制御方法。
【請求項7】
すべてのセクションは、前記ガス流のガス流方向に対して垂直な方向に同じ長さで定義される、請求項1から6のいずれか一項に記載の制御方法。
【請求項8】
前記ガス流のガス流方向におけるすべてのセクションが同じ長さで定義される、請求項1から7のいずれか一項に記載の制御方法。
【請求項9】
前記少なくとも2つのセクションのうちの第1のセクションのすべての面部分の固化すべき材料が完全に照射された後でのみ、前記ガス流方向で少なくとも部分的に前記第1のセクションの前で延びる第2のセクションで各面部分の露光が開始される、請求項1から8のいずれか一項に記載の制御方法。
【請求項10】
前記衝突点のそれぞれは、ガス流方向で、各層の固化すべき材料が既に照射された箇所までの放出距離の外側にないように制御され、前記放出距離は、加工によって発生するスパッタが再び前記固化可能な材料上に降下する前に、前記ガス流によって加工地点から運び去られる距離である、請求項1から9のいずれか一項に記載の制御方法。
【請求項11】
対応するセクションが分割される面部分の数は、ガス流のガス流方向に対して垂直なセクションの長さ及び/又は固化可能な材料の層内のセクションの位置に基づいて定義される、請求項1から10のいずれか一項に記載の制御方法。
【請求項12】
前記セクション内の前記面部分の数は、前記セクション内の同じ時点に露光する前記ビームの最大数、又はその倍数によって定義される、請求項1から11のいずれか一項に記載の制御方法。
【請求項13】
前記セクション
の少なくとも1つが等しい大きさの面部分に分割される、請求項1から12のいずれか一項に記載の制御方法。
【請求項14】
層の固化すべき材料の前記面部分への分割が、
前記ガス流のガス流方向に対して回転された格子縞パターンであり、前記層
におけるビームの走査過程
は前記格子縞パターン内のハッチベクトルに対応す
る、請求項1から12のいずれか一項に記載の制御方法。
【請求項15】
層の固化すべき材料の前記面部分への分割が、それぞれのビームに割り当てられた露光時間に基づく、請求項1から12のいずれか一項に記載の制御方法。
【請求項16】
複数のビームのうちの特定のビームに割り当てられた各面部分が、特定のビームのビーム径に基づいて前記特定のビームの照射フィールドに割り当てられる、請求項1から15のいずれか一項に記載の制御方法。
【請求項17】
3次元ワークピースの輪郭を作成するために各層において形成される閉じた輪郭線が、面部分の区分の位置に関係なく単一のビームに割り当てられる、請求項1から16のいずれか一項に記載の制御方法。
【請求項18】
各層の固化すべき材料が、グリッド又は複数のグリッドの重ね合わせによって面部分に区分される、請求項1から17のいずれか一項に記載の制御方法。
【請求項19】
第1のグリッドは、層を単一のビーム又は複数のビームが到達可能な領域に区分し、当該領域は、前記単一のビーム又は複数のビームの垂直入射点と、前記基体の表面を基準として及び/又は前記単一のビーム又は複数のビームのそれぞれのビームの垂直入射軸に対する角度によって構成される、請求項18に記載の制御方法。
【請求項20】
第2のグリッドは、各層の固化すべき材料を単一のビーム又は複数のビームの
走査ストラテジのベクトルブロックに従って
面部分に分割し、
前記走査ストラテジのベクトルブロックは格子縞状であり、前記
ベクトルブロック内のベクトルは前記単一のビーム又は複数のビームによる走査
過程に対応する、請求項18又は19に記載の制御方法。
【請求項21】
前記ベクトルは
、隣接する面部分
において、
単一のビームにのみ割り当てられる、請求項20に記載の制御方法。
【請求項22】
前記セクションは、前記ガス流のガス流方向に対して実質的に垂直に延びる列として形成され、各列の長さは、すべての列が同じ数及び/又は同じ長さの加工ベクトル及び/又は同じ計算された露光時間を有するように、前記ガス流のガス流方向に対して平行に画定される、請求項1から21のいずれか一項に記載の制御方法。
【請求項23】
前記少なくとも2つのセクションのうちの少なくとも1つは、各面部分で面部分を露光するために固化すべき材料に利用可能な等しい数のビーム及び/又は各面部分における実質的に等しい数のベクトル及び/又は各面部分におけるベクトルの長さの実質的に等しい合計及び/又は各面部分における実質的に等しい露光時間が達成されるように、面部分に区分される、請求項1から22のいずれか一項に記載の制御方法。
【請求項24】
前記少なくとも2つのセクションのうちの少なくとも1つで、セクション内の少なくとも1つの面部分に割り当てられたそれぞれのビームに、等しい数及び/又は全長のベクトル及び/又は等しい露光時間及び/又は等しい数の面部分が割り当てられる、請求項1から23のいずれか一項に記載の制御方法。
【請求項25】
さらに、第1の面部分における層内の固化すべき材料をビームの1つで照射することに基づいて、基体の表面に関して、第1の面部分における照射によって生じる煙霧及び/又はスパッタの発生が予想される領域を決定すること、及び
前記第1の面部分における照射によって生じる煙霧及び/又はスパッタの発生が予想される領域に基づいて、第2の面部分を当該ビーム又は他のビームで照射できるかどうかを決定すること、を含む、請求項1から24のいずれか一項に記載の制御方法。
【請求項26】
ビームはレーザービームを含む、請求項1から25のいずれか一項に記載の制御方法。
【請求項27】
すべてのレーザービームが、実質的に等しい波長及び/又は実質的に等しい出力及び/又は等しい衝突点の形状を有する、請求項26に記載の制御方法。
【請求項28】
ビームが、異なる波長及び/又は異なる出力及び/又は異なる衝突点の形状を有する少なくとも2つのレーザービームを含む、請求項26に記載の制御方法。
【請求項29】
請求項1から28のいずれか一項に記載の制御方法の少なくとも一部を実行するために、コンピュータプログラムが制御装置上で実行されるときに、プログラムコードを用いてプログラム可能な制御装置にロードできるコンピュータプログラム。
【請求項30】
電気信号、光信号、無線信号又はコンピュータ可読記憶媒体を包含する、請求項29に記載のコンピュータプログラムを含んだデータ媒体。
【請求項31】
積層造形法を用いて3次元ワークピースを製造するシステム用の複数のビームを生成するための1つ以上のビーム源を備えたマルチビーム装置を制御する制御装置であって、
1つ以上のプロセッサと、
1つ以上のプロセッサによって実行可能な命令を格納したメモリと、を含んでおり、これにより制御装置は、請求項1から28のいずれか一項に記載の方法を実行するように作動可能である制御装置。
【請求項32】
積層造形法を用いて3次元ワークピースを製造するための製造装置であって、当該製造装置は、
複数のビームを生成するための1つ以上のビーム源を備えたマルチビーム装置と、
請求項31に記載の制御装置と、を有する製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層造形法を用いて3次元ワークピースピースを製造するシステム用の複数のビームを生成するための1つ以上のビーム源を備えたマルチビーム装置を制御するための制御方法に関する。さらに、本発明はコンピュータプログラムが制御装置上で実行されるときに、本発明に係る制御方法の少なくとも一部を実行するために、プログラムコードを用いてプログラム可能な制御装置にロードできるコンピュータプログラムに関する。さらに、本発明はまた、コンピュータプログラムを含んだデータ媒体に関する。さらに、本発明は積層造形法を用いて3次元ワークピースを製造するシステム用の複数のビームを生成するための1つ以上のビーム源を備えたマルチビーム装置を制御する制御装置に関する。さらに、本発明は積層造形法を用いて3次元ワークピースを製造するための製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
3次元ワークピースを製造するための造形法、特に積層造形法では、運動装置を使用して高さ調節可能な基体に原料粉末を層状に塗布し、最終的に所望の形状のワークを得るために、箇所に応じて照射し、例えば溶融又は焼結によって固化することが知られている。この照射は、電磁ビーム、特にレーザービーム又は粒子ビームによって行うことができる。ワーク層が固化すると、高さ調節可能な基体が層の厚さだけ垂直に下げられ、加工されていない原材料粉末材料の新しい層が、既に製造されたワーク層に塗布される。この目的のために、公知の被覆装置又は粉末塗布装置を使用することができる。続いてこのとき最上層で加工されていない原材料粉末層が再び照射される。したがってワークは層ごとに連続的に形成され、各層はワークの断面及び/又は輪郭を画定する。さらに、これに関連して、ワークを実質的に自動的に製造するために、CAD又は同等のワークデータを援用することも知られている。
【0003】
3次元ワークピースを製造するための公知の装置は、例えば特許文献1及び特許文献2に記載されている。
【0004】
マルチビームシステムは、とりわけ特許文献3に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】欧州特許出願公開第2961549号明細書
【文献】欧州特許出願公開第2878402号明細書
【文献】国際公開第2018/172080A1号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、マルチビーム装置の走査ストラテジ(Scan-Strategie)を改善する制御方法を提供することである。特に、本発明の課題は、積層造形法を用いて3次元ワークピースを製造するシステム用の複数のビームを生成するための1つ以上のビーム源を備えたマルチビーム装置を制御するための制御方法を提供することである。この造形法は、すべてのビーム源又は光学系の均一な利用を実現して、煙のたなびきとビームの衝突を回避して、固化すべき材料のスパッタ粒子が一緒に溶け込むのを防ぐ。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題は、独立請求項に係る制御方法、制御装置及び製造装置によって解決される。その好適な実施形態が、従属請求項に記載されている。
【0008】
開示された制御方法は、固化可能な材料若しくは部品のすべての層に使用する必要はなく、少数の(即ち所定の数の)層にのみ、それどころか単一の層にのみ適用することもできる。特に、例えば非常に繊細な部品の部分又は支持体におけるように、層内で固化すべき材料のために(非常に)少ない及び/又は非常に小さい領域(即ち所定の最大寸法を有する領域)のみが設けられている場合、この方法の適用は省略できる。本発明の目的のために、個々の層に適用することも、この制御方法の適用として理解される。しかしながら、この方法は固化すべき材料若しくは部品のすべての層に適用することが好ましい。
【0009】
本開示は、積層造形法を用いて3次元ワークピースを製造するシステム用の複数のビームを生成するための1つ以上のビーム源を備えたマルチビーム装置を制御するための制御方法を記述する。この制御方法において、3次元ワークピースを製造するための固化可能な材料を基体の表面上に層状に塗布し、各層の固化可能な材料が固化可能な材料上の複数のビームのそれぞれの衝突点で複数のビームによって固化され、3次元ワークピースを製造するための固化可能な材料の層の1つの選択的領域を固化するために、ビームの衝突点がそれぞれ基体の表面上でガス流のガス流方向と実質的に反対方向に制御される。この制御方法は、
(a)各層の固化すべき材料を少なくとも2つのセクションに分割し、少なくとも2つのセクションのうちの2つは、少なくとも2つのセクションのうちの2つで優勢なガス流のガス流方向に少なくとも部分的に前後して延びていることと、
(b)少なくとも2つのセクションのうちの2つのうちの少なくとも1つを少なくとも2つの面部分に分割することと、
(c)各面部分を正確に1つの特定のビームに割り当てて、当該ビームは割り当てられた面部分の固化すべき材料を固化することと、
(d)少なくとも固化すべき材料を露光する時点で、少なくとも2つの面部分の固化すべき材料が固化されるように、且つ、衝突点の各中心と衝突点の他のすべての中心との間に延びる直線からなるネットワークは、衝突点のすべての中心が互いに所定の距離(例えば以下に定義される非干渉距離)の外側にある露光のいかなる時点(実際の露光時間、例えば所定の時間の間)でも、少なくとも2つのセクションのうちの2つで優勢なガス流のガス流方向に対して平行な直線を持たないようにビームの衝突点を制御することを含む。
【0010】
この場合、セクションは異なる形状を有することができる。幾つかの実施形態では、セクションはガス流のガス流方向に対して実質的に垂直に延びる列を含む、即ち、固化すべき材料の層は、少なくとも2つの列に分割され、これらの列はガス流のガス流方向に対して実質的に垂直に延びている。ここで、セクションの数及び/又は位置及び/又は形状は、装置の光学的構成によって、例えば材料を固化するためのビームの数及び/又は加工範囲によって決定されてよい。代替的又は追加的に、セクションの数及び/又は位置及び/又は形状は、1つ以上のセンサーの観察範囲及び/又は位置及び/又は形状によって、及び/又は固化すべき層内の部品形状の所望の品質、又はその品質の結果として材料を固化するためにビームを材料層上に向けるベクトルによって作用されてよい。この目的のために、例えば走査ミラーの角度偏向及び/又は導入されたレーザー出力及び/又は煙コーンによる許容可能な影響及び/又はハッチベクトルの結合領域の位置及び/又は造形時間の最適化も考慮に入れることができる。しかしながら、ガス流のガス流方向に対して実質的に垂直に延びる列若しくはセクションのそのような整列は、一般に必ずしも必要ではなく、原則として自由形状を有することもできる。追加的又は代替的に、1つのセクションが別のセクションを包囲すること、及び/又は1つのセクションが複数の関連していない面から形成されることも可能である。しかしながら、少なくとも2つのセクションは、ガス流方向から見ると少なくとも部分的にアンダーカットされることによって規定される。このアンダーカットのために、それぞれ異なるセクションにある少なくとも2つのフィールドの間に、あるフィールドの加工が別のフィールドの加工によって生成された煙コーンによって影響されるという関係が生じる。
【0011】
2つのセクション間の境界は、特定の公差範囲を有することができる。このことは特に、部品形状におけるベクトル分布に基づいて面部分を分割する際にベクトルの微細化を回避するのに役立つことができる。したがって、必要に応じて面部分はある程度まで(例えば所定の最大オーバーラップ長さ及び/又は所定の最大面サイズまで)別のセクション内に進入できる。
【0012】
本明細書で非干渉距離と呼ばれる距離の内部では、2つの加工ビームの煙霧及び/又はスパッタによる相互影響は特定の程度を超過することはない。この非干渉距離は、制御の一般的な尺度として実装でき、又は具体的な造形注文に対して決定できる。非干渉距離は、部品の材料及び/又は両レーザービームの導入されるレーザー出力(即ち露光点のスポットサイズ及び/又は形状及び/又は面積当たりのレーザー出力及び/又は波長及び/又は送り速度及び/又はビームと粉末表面との間の衝突角)及び/又は所望の部品の品質に依存し得る。ビームパラメータが異なる複数のビームを使用する場合、それぞれのビームの組み合わせに対する非干渉距離は互いに異なってよい。幾つかの実施形態では、この定義された非干渉距離の内部では、2つのビームがガス流方向で同時に連続的に作動できる。
【0013】
本明細書では、互いに関係する2つのビームの加工の相互影響に関係のある別の距離が放出距離(Abfuehrungsabstand)として定義される。放出距離とは、加工によって発生するスパッタが再び造形フィールド(Baufeldes)の平面に降下する前に、即ちそれらが粉末床に着地する前に、ガス流によって加工地点から運び去られる距離として理解される。この距離は、非干渉距離とは異なる。非干渉距離は、固化すべき材料の照射によって発生する加工ビームのビーム経路における煙霧及びスパッタによる影響、とりわけビーム照射の焦点ぼけ及び/又は遮断を考慮するのに対し、放出距離は粉末床に落下したスパッタによる影響を考慮する。この距離は、一方では実際の加工のスパッタ傾向、即ち造形材料と導入されるレーザー出力のパラメータ(スポットサイズ、面積当たりのレーザー出力、波長、送り速度、ビームと粉末表面と間の衝突角)に依存し、他方では加工箇所で優勢なガス流の流速に依存する。放出距離は、全体的に均一な値として保存することも、加工ビームごとに定義することもできる。さらに、放出距離を固化すべき材料上の各照射箇所に対する上記のパラメータの1つ以上に依存して別々に決定することも可能である。マルチビーム装置でガスを最適に案内すれば、造形フィールドのすべての箇所で放出距離が無限になる。即ち、スパッタが造形フィールドに落下しないようにすべてのスパッタがガス流によって搬出される。しかし幾つかの実施形態では、放出距離は非干渉距離よりも大きい。既に加工された箇所からの放出距離の外側ではガス流方向でスパッタが落下している可能性があり、それらが当該箇所の照射、ひいては部品の品質に悪影響を与え得るため、幾つかの実施形態ではこの箇所では照射は行われない。したがって、固化すべき材料の照射の順序は、好ましくは、ビームの衝突点がガス流方向で、各層の固化すべき材料の既に加工された箇所までの放出距離内に常に案内されるように制御される。しかしながら、特に好ましくは、ビームの衝突点が各層の固化すべき材料の既に加工された箇所に、一般にガス流向に対して反対方向にのみで案内されるように、ビームは、制御される。
【0014】
この場合、ビーム源は当業者に公知の光学系(例えばビームスプリッター)によって複数のビームを生成するために利用できる。代替として、ビームはそれぞれのビーム源によって生成される。
【0015】
複数のビームのそれぞれの衝突点は異なってよく、少なくとも部分的に同一であり及び/又は重なり合う可能性がある。
【0016】
幾つかの実施形態では、面部分を正確に1つの特定のビームに割り当てる前に、各面部分は、基体の表面及び/又はガス流のガス流出口に対する位置により複数のビームの1つ以上の特定のビームに関連付けられる。したがって有利には、特定の領域は、固化すべき材料に衝突するときの衝突角が特定の角度範囲内にある1つ以上のビームによってのみ照射できる。
【0017】
幾つかの実施形態では、ビームの衝突点は、基体の表面上で少なくとも部分的に連続的に制御される。
【0018】
幾つかの実施形態では、衝突点の中心のうちの少なくとも2つは、少なくとも所定の時間、互いに所定の距離の外側にある。幾つかの実施形態では、衝突点のすべての中心は、少なくとも所定の時間、互いに所定の距離の外側にある。これにより層を異なる領域で効率的に照射できる。
【0019】
幾つかの実施形態では、基体の表面上のセクションの位置及び/又は延長、及び/又はセクションの数は、固化可能な材料の層内の3次元ワークピースの延長及び/又は位置、及び/又はビームの走査面の位置に基づいて定義され、前記ビームの走査面は、ビームの垂直入射点と、基体の表面を基準とする延長及び/又はそれぞれのビームの垂直入射軸に対する角度によって構成される。こうすることにより、特に有利には、3次元ワークピースの製造効率を高めることができ、特定の領域は、固化すべき材料に衝突するときの衝突角が特定の角度範囲内にある1つ以上のビームによってのみ照射できる。
【0020】
幾つかの実施形態では、すべてのセクションは、ガス流のガス流方向に対して垂直な方向に同じ延長で定義される。代替的又は追加的に、すべてのセクションは、ガス流のガス流方向に対して垂直な方向に同じ延長で定義される。この均一な分布により、特にセクションを特定のビームに関連付ける際に均一な分布を保証できるため、3次元ワークピースの製造効率を高めることができる。
【0021】
幾つかの実施形態では、第1のセクションのすべての面部分の固化すべき材料が完全に照射された後でのみ、ガス流方向で少なくとも部分的に他方の第1のセクションの前へ延びる第2のセクションで各面部分の露光が開始される。このようにすることにより有利には、第2のセクションの露光が、第1のセクションで既に露光された材料に影響を及ぼさないことを保証できる。これにより3次元ワークピースの品質を向上させることができる。
【0022】
幾つかの実施形態では、各衝突点は、ガス流方向で、各層の固化すべき材料が既に照射された箇所までの放出距離の外側にないように制御される。このようにすることにより、特定の領域の露光中に発生するスパッタは、既に露光された別の領域にのみ着地することを保証できる。これにより特定の層内のスパッタが露光されないことが実現される。したがって、3次元ワークピースの品質を向上させることができる。
【0023】
幾つかの実施形態では、対応するセクションが分割される面部分の数は、ガス流のガス流方向に対して垂直なセクションの延長及び/又は固化可能な材料の層内のセクションの位置に基づいて定義される。例えば製造すべき3次元ワークピースの狭い部品の領域では使用されるビームを少なくすることができ、対応する1つ以上のセクションをより少ないビームに合わせて区分することができる。
【0024】
幾つかの実施形態では、セクション内の面部分の数は、セクション内の同じ時点に露光するビームの最大数、又はその倍数によって定義される。こうすることにより、特に固化すべき材料を露光するためにすべてのビームが同時に使用されるため、3次元ワークピースの製造効率を高めることができる。
【0025】
幾つかの実施形態では、セクション内の面部分が実質的に等しい大きさの面部分に分割される。この場合、幾つかの実施形態では、各列は、ビームの数に応じて等距離の部分若しくは同じ大きさの面部分に分割される。これらの各部分で、ベクトルを対応するビームにベクトルを割り当てることができる。このようにして、ビームの均一な利用を達成することができる。
【0026】
幾つかの実施形態では、各セクションの面部分の所定の数は、複数のビームの数に対応している。
【0027】
幾つかの実施形態では、複数のビームのうちの特定のビームに関連付けられた各面部分が、特定のビームのビーム径及び/又は特定のビームの最大偏向角に基づいて複数の照射フィールドに区分される。このことはビームの特に均一な利用につながり、特に、例えばズーム光学系を用いてビーム径を拡張する光学構成を備えた製造システムで使用できる。
【0028】
幾つかの実施形態では、3次元ワークピースの輪郭を作成するための閉じた輪郭線が、面部分の輪郭線の位置に関係なく1つ以上のビーム、特に単一のビームに割り当てられる。特に、3次元ワークピースの輪郭を作成するための閉じた輪郭線は、単一のビームに割り当てることができる。このようにして、3次元ワークピースの良好な表面品質を(可能な限り目に見える重なりがないことによって)確保できる。輪郭線は個別の面部分として区分でき、したがって主として存在するグリッドとは明らかに区別できる。しかし好ましくは、輪郭線は造形フィールド(Baufeld)の上に重なるグリッドとは独立して加工できる。即ち、ビームに輪郭線を割り当てることは、グリッドの面部分を異なる加工ビームに割り振ることとは無関係に行うことができる。面部分自体はさらに適用された走査ストラテジに従って加工ビームに割り当てられる。しかしそれにもかかわらず、面部分の相互の位置関係から生じる影響、並びにそれから生じる加工順序は、輪郭線と面部分の加工のために維持することができる。本発明の意味において、輪郭線の要素を含まない面領域が第1の加工ビームに割り当てられている領域であって、別の1つ以上の加工ビームに割り当てられた1つ以上の輪郭線がその領域を通って延びているものは、第1の加工ビームのみに割り当てられていると理解される。
【0029】
幾つかの実施形態では、各層の固化すべき材料は、グリッド又は複数のグリッドの重ね合わせによって面部分に区分される、3次元ワークピースを製造するための製造システム内部の走査システムに層のベクトルを関連付ける際には、造形時間に関する最適化と部品の品質との間で妥協を行わなければならない。グリッド若しくは複数のグリッドの重ね合わせで、ベクトル、特に利用可能なすべての光学系にわたるハッチベクトルの均一な分布が、ガス流方向と反対方向の同期化された走査の進行によって、煙霧との相互作用も考慮しながら実現できる。代替的又は追加的に、ベクトルを異なるビーム(若しくはビーム源)に割り当てる若しくは区分する際に、ベクトルの数を考慮することができる。この割り当ては、製造すべき3次元オブジェクトの品質が最適化されるように選択できる。したがって幾つかの実施形態では、層の固化すべき材料の分割は、それぞれのビームに割り当てられたベクトルの数及び/又は長さに基づいており、これらのベクトルはビームによる層の走査プロセスを定義する。代替的又は追加的に、この分割はそれぞれのビームの露光時間に基づくこともできる。好ましくはベクトルを加工ビームに合わせて区分し及び/又はグリッドの面部分を加工ビームに割り当てる際に、加工ビームが互いに交差しないように(又は少なくとも所定の時間は交差しないように)走査システムの走査面の位置を考慮することができる。
【0030】
幾つかの実施形態では、層の固化すべき材料の分割は、それぞれのビームに割り当てられた、特に実質的に均一に分布された露光時間に基づく。3次元ワークピースの製造効率を上げることにより、全体の露光時間を短縮することができる。
【0031】
幾つかの実施形態では、第1のグリッドは、層をそれぞれ単一のビーム又は複数のビームによって到達される領域に区分する。これらの領域は、ビームの垂直入射点と、基体の表面を基準とする延長及び/又はビームの垂直入射軸に対する角度によって構成される。
【0032】
幾つかの実施形態では、第2のグリッドは、各層の固化すべき材料をビームのベクトル(例えばハッチベクトル)のベクトル方向に従って(ハッチパターン内のハッチベクトルについてハッチパターンのハッチ距離及びハッチ回転に基づいて)区分し、これらのベクトルが(基体表面上の)ビームの進行を定義する。この場合、ベクトルブロックは保持でき、(ハッチ)ベクトルは細分されず、ベクトルの微細化は行われない。
【0033】
幾つかの実施形態では、ベクトル(例えばハッチベクトル)が融合する(即ちベクトル方向で互いに合併する)領域は、異なるビームに割り当てられる異なるセクションに分割されない。フィールドの融合を考慮することができる。特に隣接する面部分内のベクトルのベクトル方向は、ベクトルが互いに面の境界に収束しないように定義することができる。したがってそれぞれの端部が互いに向き合い同じx-y座標を持つベクトルが、異なるビームによって同時に走査されることはない。この位置若しくはこの箇所で過熱及び材料の望ましくない蒸発を回避できるため、深部溶接効果により細孔が発生するのを防ぐことができる。具体的には融合領域は好ましくは単一のビームにのみ割り当てられるので、遭遇する2つのベクトルの同時加工は排除されている。特に好ましくは互いに向かって収束するベクトルは結合されるので融合領域はなくなる。
【0034】
幾つかの実施形態では、セクションは、ガス流のガス流方向に対して実質的に垂直に延びる列として形成され、各列の延長は、すべての列が同じ数及び/又は同じ長さの加工ベクトル及び/又はビームの同じ計算された露光時間を有するように、ガス流のガス流方向に対して平行に画定される。こうすることにより、全体的に走査の進行を区切るために走査面の分布を利用できる。
【0035】
幾つかの実施形態では、少なくとも1つのセクションは、各面部分で面部分を露光するために固化すべき材料に利用可能な等しい数のビーム及び/又は各面部分における実質的に等しい数のベクトル(例えばハッチベクトル)及び/又は各面部分におけるベクトルの長さの実質的に等しい合計及び/又は各面部分における実質的に等しい露光時間が達成されるように、面部分に区分される。各面部分に対して、それぞれの面部分の露光に使用可能な光学系若しくはビーム、各面部分における(ハッチ)ベクトルの数及び(ハッチ)ベクトルの長さに関する情報が存在できる。
【0036】
幾つかの実施形態では、少なくとも1つのセクションで、セクション内の少なくとも1つの面部分に割り当てられたそれぞれのビームに、等しい数及び/又は全長のベクトル(例えばハッチベクトル)及び/又は等しい露光時間及び/又は等しい数の面部分が割り当てられる。このようにすることにより、均一な走査の進行及び/又は走査時間の最適化(最良の場合はほぼ均一な分布)を保証することができる。
【0037】
格子構造の場合、幾つかの実施形態では、分割は全マーキング時間及び/又は全マーキング長さ及び/又は全マーキング数に基づいて行うことができる。
【0038】
幾つかの実施形態では、制御方法はさらに、第1の面部分における層内の固化すべき材料をビームの1つで照射することに基づいて、基体の表面に関して、第1の面部分における照射によって生じる煙霧及び/又はスパッタの発生が予想される領域を決定することと、煙霧及び/又はスパッタの発生が予想される領域に基づいて、第2の面部分をこのビーム又は他のビームで照射できるかどうかを決定することを含む。これにより3次元ワークピースを製造する時間を短縮することができ、ビームが煙霧と衝突したり、最初のビームによって引き起こされたスパッタが他のビームによって溶かされたりしないことが保証される。
【0039】
本発明の意味において、制御方法全体がマルチビーム装置に統合された制御装置上で実行される必要はなく、部分的にのみその上で実行することも可能であることが容易に理解できる。特に、制御方法の一部は、例えば従来のPCワークステーションで実行することができる。次いでそこから生じるマルチビーム装置に対する命令は、例えばネットワーク接続又はデータ媒体によって、マルチビーム装置に転送することができる。
【0040】
幾つかの実施形態では、ビームはレーザービームを含み、特にすべてのビームがレーザービームである。特に、1つ以上のビーム源はレーザーを含む。特に、すべてのレーザービームは、実質的に等しい波長及び/又は実質的に等しい出力及び/又は等しい、特に点状の衝突点の形状を有する。幾つかの実施形態では、ビームは、異なる波長及び/又は異なる出力及び/又は異なる衝突点の形状を有する少なくとも2つのレーザービームを含む。
【0041】
レーザービームは、同じであっても異なっていてもよく、例えば少なくとも2つのレーザービームは、異なる波長及び/又は異なる出力及び/又は異なる照射面及び/又は異なる照射面の形状を有することができる。相違は、それぞれのビームのビーム経路でビームを形成する異なる光学系によって達成することができ、及び/又は少なくとも個々のビーム特性は異なるレーザービーム源によって達成できる。そのために例えば固体レーザー(ディスクレーザー、ロッドレーザー又はファイバーレーザー)、ダイオードレーザー又はガスレーザーを使用することができる。
【0042】
さらに、コンピュータプログラムが制御装置上で実行されるときに、本明細書による制御方法の少なくとも一部を(例えば完全に)実行するために、プログラムコードを用いてプログラム可能な制御装置にロードできるコンピュータプログラムが記述される。
【0043】
本開示は、さらにコンピュータプログラムを含んだデータ媒体をさらに含み、データ媒体は電気信号、光信号、無線信号又はコンピュータ可読記憶媒体を包含する。
【0044】
本開示はさらに、積層造形法を用いて3次元ワークピースを製造するシステム用の複数のビームを生成するための1つ以上のビーム源を備えたマルチビーム装置を制御する制御装置を包含し、この制御装置は1つ以上のプロセッサと、1つ以上のプロセッサによって実行可能な命令を格納したメモリを含んでいる。これにより制御装置は、本明細書に記載された実施形態による方法のd)(上記参照)に従い少なくとも(又は完全に)ビームの衝突点の制御を実行するように作動可能である。
【0045】
さらに本開示は、積層造形法を用いて3次元ワークピースを製造するための製造装置を包含し、この製造装置は、複数のビームを生成するための1つ以上のビーム源を備えたマルチビーム装置と、本明細書に記載された実施形態による制御装置を有する。
【0046】
ビーム源を利用する場合、複数のビームは、ビームスプリッタなど当業者に公知の光学系によって生成することができる。
【0047】
造形フィールド、固化可能又は固化すべき材料の表面、材料層、部品又は部品層、基体及び粉末床という用語は、相互の位置関係に基づき、分割に関して同義語として使用される。上記のものの1つの分割が他のものの同様の分割を生じさせることは容易に理解される。したがって造形フィールドについて言及する場合、それによって造形フィールド内にある材料層又はその表面、若しくはそこで造形される部品も意味されている。
【0048】
以下に本発明を添付の概略図に基づいて詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【
図1】
図1は、積層造形法を用いて3次元ワークピースを製造するための層を走査する走査ストラテジの概略図を示す。
【
図2】
図2は、積層造形法を用いて3次元ワークピースを製造するための層を走査する別の走査ストラテジの概略図を示す。
【
図4】
図4は、例示的な光学構成の造形フィールドと走査面との間の位置関係の概略図を示す。
【
図5】
図5は、基体プレートの例示的な区分の概略図を示す。
【
図6】
図6は、基体プレートの別の例示的な区分の概略図を示す。
【
図7】
図7は、別の走査ストラテジの概略図を示す。
【
図8】
図8は、別の走査ストラテジの概略図を示す。
【
図12】
図12は、煙コーンと、その層の分割との関係の概略図を示す。
【
図16】
図16は、レーザーと他のレーザーの煙のたなびきとの相互作用の概略図を示す。
【
図17】
図17は、レーザーと非干渉距離外にある他のレーザーの煙のたなびきとの相互作用の概略図を示す。
【
図21】
図21は、ガス流が造形フィールドの中心から半径方向外側に延びる層の分割の概略図を示す。
【
図22】
図22は、位置に起因する非干渉距離と放出距離を有する加工点の概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0050】
本発明は、特にマルチビーム装置、特にマルチレーザー選択的レーザー溶融機の走査ストラテジに関する。
【0051】
本明細書に記載の実施形態で、加工スポットの煙のたなびきが他のビーム(例えばレーザービーム)内に進入しないこと(又はその逆、即ちビーム(例えばレーザービーム)が他のビームによって生成される煙のたなびき内に導かれないこと)が達成される。
【0052】
幾つかの実施形態では、装置は例えば、7、12、15又はそれ以上のレーザーを含み、他の任意の数のレーザーを使用することができる。
【0053】
幾つかの実施形態は、これらの走査ベクトルをどのようにマルチビーム加工機(例えばマルチレーザー加工機)の様々な光学系(例えばレーザービーム)に合わせて区分できるかというストラテジからなる。
【0054】
本開示におけるレーザー若しくはレーザー源の記述は、粒子源(例えば電子ビーム源)などの他のビーム源にも同様に関係する。したがって本明細書に開示されるすべての実施形態は、必ずしもレーザー若しくはレーザー源に限定されるわけではない。
【0055】
走査ベクトルを異なる光学系に区分する目的は、とりわけすべてのレーザーを均一に利用すること、並びに煙のたなびきとレーザービームとの衝突を防ぐこと、及びスパッタ粒子の溶け込みを(ガス流と反対方向の露光に基づいて)防ぐことであり、異なる領域の照射の間に待機時間が生じる可能性がある。ビーム間の最小距離及び最大距離は、記載された実施形態によって達成することができる。幾つかの実施形態では、ビーム当たりのベクトルの数が同じであるにもかかわらず、異なる露光時間が達成されるため、ビームによって検出される幅x及び長さyの列を処理した後で、この列中の最後のベクトルが処理されたという信号を待機しなければならない。幾つかの例では、その後で初めて後続の列の露光が継続される。これにより隣接するビーム間の最大距離が制限され、ベクトルを列区分の形式でデータレジスタに書き込む必要がある場合がある。
【0056】
層(スライス)のベクトルを、例えば選択的レーザー溶融システム内の走査システムに関連付ける際には、造形時間の観点からの最適化と部品の品質の観点からの最適化の間で妥協する必要がある。
【0057】
本明細書に記載された実施形態は、選択的レーザー溶融システム内の種々の走査システムにおいて走査ベクトルを時間及び品質の点で最適化して区分することを可能にする。この目的のために、幾つかの実施形態では層を複数のフィールドに区分するために、異なるグリッドの重ね合わせが使用され、これらのフィールドは均一な分布という考えに基づいて光学系のすべての光学素子に割り当てることができる。しかしながら同時に、ガス流方向と反対方向での均一な進行を保証することができる。そうすることにより、理想的に分布されていない製造プロセスの場合において、ガスの流入口に近い領域を優先することにより時間の最適化を達成する可能性があり、その際に(特に煙コーンを考慮することによって)ワークの品質は悪影響を受けない。
【0058】
製造されるワークの輪郭に対して、固化すべき層の領域と光学系の品質の点で最適化された割り当てが追求される。この場合、例えば光学領域を面に基づいて限定して、これらの領域におけるワークの品質をそれぞれの光学系のビームの偏向角に関して最適化することができる。代替的又は追加的に、閉じた輪郭線を可能な限り少ない光学系に割り当てることができる。この目的のために、輪郭線の加工ビームへの割り当てについて、この割り当てをセクションと面部分の区分とは無関係に考察して、単に面部分と輪郭線の加工順序を決定するために面区分を援用することが可能である。このことは良好な表面品質を確保する(目に見える重なりが可能な限りない)。
【0059】
ハッチに対して、ガス流方向と反対方向のすべての光学系の均一な走査の進行と、光学系の煙コーンと依然として露光すべき領域との相互作用を回避することを考慮して、速度の点で最適化された割り当てが追求される。
【0060】
図1は、積層造形法を用いて3次元ワークピースを製造するために層を走査する走査ストラテジの概略
図100を示す。
【0061】
図は、造形フィールドにある造形フィールド102、部品104、レーザースポット106、煙コーン108、ガス流方向110、及び加工が進む方向112を示す。
【0062】
ここでは、例として7つのレーザービーム若しくは露光点106を7つの走査光学系によって造形フィールド102に向けることができる装置構成を想定しており、各走査光学系は造形フィールド102のすべての箇所に向けることができる。即ち、走査光学系の走査面は完全に重なり合っている。
【0063】
露光点(ここではレーザースポット106)は、常に造形面(Bauebene)(x、y)内のガス流方向に対して垂直な線上にほぼ配置されているように制御される。
【0064】
加工は左から右に、即ちガス流と反対方向に進む。
【0065】
図1に示されるように、部品層(若しくは複数の部品の場合は造形フィールド)は、x方向で適切な数の列又はセクション(この例では列1~13の番号が付けられている)に分割される。これらの列は必ずしも真っ直ぐである必要はなく、例えば表示されている列に対してある角度で回転できる格子縞状のフィールド(ベクトルブロック)に沿って限定することができる。
【0066】
さらに、2つのレーザースポット間の最小距離及び/又は最大距離をアルゴリズムで定義でき、そのため
図1で右部分の部品のように狭い部品の領域ではすべての(この例では7つの)レーザーが使用されず、セクションはより少ない数のレーザー(例えば5つのレーザー)に区分される。これは、スパッタが隣接するレーザーに過度の影響を与えるのを回避し、狭い箇所で複数のレーザーを使用することによる局所的な過熱を防ぐために有利であり得る。
【0067】
各列は、レーザーの数に応じて等距離の面部分に分割される。等距離の面部分とは、ここでは同じ大きさのエリアの面部分と理解されている。これらの各面部分において、ベクトルは対応するレーザーに割り当てられる。
【0068】
列の幅は、例えば事前に固定値として選択することも、例えばハッチベクトルを有するフィールドとして存在する既存のハッチパターンに依存して選択することもできる。特に列が、ベクトルの数及び/又はベクトルの長さ及び/又はそれらの露光時間がほぼ均一に分布している(ビーム源の数に応じた)フィールドに区分されるように、列の幅を選択することができる。さらに、列の幅は2つのレーザースポット間の最小距離及び/又は最大距離に依存して選択することもできる。
【0069】
この走査ストラテジにより、部品形状に関係なく部品層の非常に簡単な区分が可能になり、計算能力が低くても短時間で計算できる。列ごとの処理に基づき、レーザースポット106が他のレーザースポットの煙コーン108によって影響されることが効果的に回避される。しかしながら部品形状によっては、他のストラテジに比べてより多くの加工時間が必要になる。
【0070】
図2は、例示的に別の走査ストラテジ200を示しており、ガス流110のガス流方向及び格子縞状のフィールドの加工順序の方向202が各レーザーについて示されている。
【0071】
ここでは、例示的に12のレーザービームを12個の走査光学系によって造形フィールド102に向けることができる装置構成を想定しており、各走査光学系は加工方向202で造形フィールド102の全幅にわたって延びる当該造形フィールド102の行に向けることができる。加工方向202に垂直な行の延長は、走査光学系の走査面が少なくとも部分的に重なるように設計されている。
【0072】
格子縞パターンに従って面部分を対応するレーザー割り当てることにより、レーザーの均一な利用が達成される。この目的のために、部品層内で加工方向202に垂直な線上にある面部分の数は、この領域内にある走査光学系の走査面の数によって、即ち使用可能なレーザービームの数によって分割されてレーザービームに割り当てられる。
【0073】
図3は、部品形状300の概略図を示す。ガス流110のガス流方向及びガス流と反対の露光の方向302が示されている。
【0074】
想定された装置構成は、例えば15以上の走査光学系を含むことができ、各走査光学系は造形フィールド102の全幅にわたって加工方向302に延びる造形フィールド102の行に向けることができる。加工方向302に垂直な行の延長は、走査光学系の走査面が少なくとも部分的に重なるように設計されている。しかし代替的に、レーザースポットを平行送りだけで造形フィールド全体にわたって加工方向302に案内すればよいように多数のビームを設けることもでき、このために1つの共通の光学系によって複数のビームを誘導することもできる。さらに、レーザースポットは必ずしも円形の形状である必要はなく、例えば楕円形、長方形又は多角形の形状を有することもできる。1つ以上の光学系は、必ずしも走査光学系である必要はなく、1つ以上の可動な加工光学系であってもよい。
【0075】
この例では、レーザースポットは常にガス流方向に対して垂直な方向にほぼ1列に配置されている。
【0076】
したがって
図3の図中の点は、加工方向302における異なる時点のレーザースポット若しくは溶融バンドを表している。
【0077】
このストラテジは、多数の部品がプラットフォーム上に配置されている場合も相応に機能する。
【0078】
図4は、7つの走査光学系を備えた例示的な光学構成と造形フィールド102との関係の概略図を示す。点401~407は、ビームがそれぞれの走査光学系の造形フィールド102に垂直に入射する際のレーザービームの位置、即ちいわゆる光学中心を示す。フィールド411は点401に属する光学系の走査面を表し、領域416は点406に属する光学系の走査面を表す。点402~405に属する光学系の走査面は、見やすくするために示されていないが、フィールド411及び416と同様の大きさである。点407に属する光学系の走査面は、造形フィールド102全体をカバーする。
【0079】
図5は、
図4に従う光学構成を有する装置について、造形フィールド、即ち基体プレート、若しくは基体表面に塗布された固化すべき材料の層の例示的な区分500の概略図を示す。
【0080】
ここでの基本的な考え方は、この例における製造プラットフォームは、光学構成の走査面の重なり領域によって生じる3つの全体列511~513に完全に区分されるということである。この例では各列が複数の行に分割されている。各行は次に特定の光学系に割り当てられる。この例では各列に到達する光学系の数に基づいて、第1列511と第3列513は4行に分割され、第2列512は7行に分割される。
【0081】
この例では、行と列の境界の位置が固定されている。加工は、ガス流と反対の加工方向502で列ごとに行われる。次の列の加工は、現在の列が完全に加工されてから開始される。
【0082】
この走査ストラテジの利点は、簡単に実装できることである。煙霧/煙コーンとスパッタの発生に基づく問題は、この走査ストラテジによって解決することができる。ベクトルブロックは、走査ファイルで適宜定義できる。
【0083】
この走査ストラテジでは、幾つかの例では一部の光学系は利用されないが、同時に他の光学系は層の材料を固化するために利用される。
【0084】
この走査ストラテジでは、層の区分が可能である。ここでは、ガス流方向と反対の加工方向を考慮することができる。
【0085】
図6は、
図5の区分に基づく別の走査ストラテジ600の概略図を示す。
【0086】
この走査ストラテジでは、ハッチ分布の最適化に基づいて各列の行の境界の最適な位置が計算される。この場合、特にハッチベクトルの数及び/又は長さのほぼ均一な分布を追求することができる。この例では、行の境界の位置はもはや固定されておらず、個々の行を他の行より広くすることができる。これは図では第3の主列513に示されており、内側に位置する2行は外側の行より明らかに狭い。なぜなら、例えば加工される部品層の第3の主列513の部品形状(図示せず)は、列の中央の領域に限定されているからである。これによりワークの製造速度を最適化することができる。
【0087】
この例では、3つの主列511~513のそれぞれは、
図5に従って追加の副列に分割される。列に含まれているすべての行の加工が完了してから初めて次の列の加工が開始される。こうすることによって煙コーンとスパッタに関する挙動を改善できる。行内におけるレーザービームの進行を急ぐことは、その煙コーンによって損なわれる可能性がある限りで可能ではない。列の大きさにより、2つの隣接するレーザースポット間の定義された最大距離が強制的に守られる。この目的のために、例えば最大距離に等しい列の幅を選択することができる。
【0088】
ベクトルの微細化を防ぐために、セグメントが隣接するグリッドセルに進入することが許されてよい。この場合、最小セルサイズが定義され、列若しくは格子縞面部分の幅(ハッチベクトルの最大長)に依存する。
【0089】
列の照射は同期して行われる。例えば列内のすべての行を同時に照射することができる。次の列の照射は、前の列がすべての光学系若しくは走査装置によって照射されてから開始される。こうすることにより、先行のレーザービームによって生成された煙コーン又はスパッタによって引き起こされる可能性のある問題は解決若しくは回避される。その際に、ワークの製造時間が追加の待機時間によって長くなるケースもある。
【0090】
図6はまた、第3の主列513における行の境界がより中央に向かってシフトしていることを示しているが、これは例えば第3の主列では作成される部品が生成すべき面を周縁領域よりも多く有するためである。原則として行の分布の変化は、主列が移行する場合だけでなく、副列から副列に移行する場合も許されてよい。副列は、特にそれ自体もセクションと見なすことができる。
【0091】
【0092】
この例示的な走査ストラテジでは、製造率若しくは製造速度を改善するために、行内のすべてのセルが順次、同じ列のセルとは独立して照射される。しかしながら煙コーン及び/又はスパッタによって引き起こされる可能性のある問題をより適切に解決できるようにするために、各セルについて、当該セルの照射が他のセルによって阻止されていないかチェックされる。これにより製造率が向上して、前述の問題が解決若しくは考慮される。
【0093】
この例では、セル702を照射する結果として煙コーンが生じたなら、それがセル704を同時に照射すると部品の品質に悪影響を与える可能性があるので、セル702の照射はセル704によって潜在的に阻止される。同時に照射した場合に煙コーンによってどのセルが悪影響を受ける可能性があるかは、部品の材料、導入されるレーザー出力(即ちスポットの大きさ、面積当たりのレーザー出力、偏向速度)、並びに所望の部品の品質などのパラメータに応じて決まる。したがってセル702は、セル704内にある形成すべき部品形状が照射される前に照射することができない。
【0094】
【0095】
この例示的な走査ストラテジでは、グリッドがさらに定義される。
【0096】
上述した例示的な走査ストラテジでは、グリッドは軸に位置合わせされていた。これによりグリッドサイズによっては、過度に多くの分離したベクトルブロックが生じる可能性がある。
【0097】
走査ストラテジ800では、グリッドは軸に位置合わせされておらず、ハッチパターンに位置合わせされたセルグリッド810が使用され、そのフィールド820はこの例では軸に対して45°回転して、ハッチベクトル825を含んでいる。これにより、同じグリッドサイズに対する分解が少なくなり、全体としてより少ないセルが定義され、その結果としてワークを製造するための生産能力が増加する。
【0098】
幾つかの実施形態では、グリッドはハッチセグメントの方向と直角をなし、若しくは造形フィールドを直角のフィールド820に分割する。
【0099】
この走査ストラテジでは、定義される分割が少ないため、ベクトルブロックのスペースをより適切に使用できる。
【0100】
幾つかの実施形態では、ハッチ回転に位置合わせされたマルチグリッドが、ガス流方向110と反対方向の同期化された走査の進行によって、煙霧との相互作用も考慮しながら、すべての利用可能な光学系にわたるハッチベクトルの均一な分布のために利用されるように、走査面の区分が行われる。
図8では、矢印801~807は、7行の光学系、即ち互いに隣接して動作する7つの加工ビームの加工方向を示す。
【0101】
図8のグリッドは、フィールド820が-列ごとに各光学系の行801~807のそれぞれに1つのフィールドを含む列の定義において-ガス流方向110で見て互いにアンダーカットされるように選択されている。したがってすべての加工ビームが同時に造形フィールドに向けられると、2つのビームがガス流方向に同時に連続的に作動することができるようになる。このことは互いの距離が十分小さい場合に、部品の品質を著しく劣化させることなく受け入れることができる。これについては
図17に関する詳述を参照されたい。相互の影響が特定の程度を超えない最大距離を、本明細書では非干渉距離と呼ぶ。非干渉距離は、部品の材料及び/又は2つのレーザービームの導入されるレーザー出力(即ちスポットの大きさ、面積当たりのレーザー出力、偏向速度)及び/又は所望の部品の品質に依存してよい。ビームパラメータが異なる複数のビームを使用する場合、非干渉距離はそれぞれのビームの組み合わせによって互いに異なることがある。この定義された非干渉距離内では2つのビームはガス流方向でも連続して作動してよいので、互いに非干渉距離内にあるビームの2つの衝突点は、これらの衝突点を通る曲線がいかなる時点でもガス流方向に対して平行に進む接線を有しないという曲線関係を確認するために、円の中心の位置を持つ点として扱われる。
【0102】
図9は、層若しくは造形フィールドの分割の概略図を示す。
【0103】
ここではグリッド900が定義され、
図4の光学構成によるそれぞれの光学系の到達可能な最大領域が、ビームの垂直入射点と、そのx方向とy方向における延長によって考慮される。
【0104】
この例では、フィールドが当該フィールドに到達可能な光学系の割り当てを含めて表示されている。
【0105】
図10は、
図9によるグリッド上で構成される層若しくは造形フィールド102の別の分割の概略図を示す。
【0106】
グリッド1000は、
図9のグリッドと、層ごとにハッチ回転を動的に考慮してベクトル方向に従って定義される別のグリッドとの重ね合わせに基づいている。グリッドは、ハッ距離とハッチ回転から生じる。
【0107】
ここではベクトルブロックは維持されている。ハッチベクトルは分割されず、ベクトルの微細化は行われない。
【0108】
ここでは、フィールドの結合を考慮して融合されたハッチベクトルを分割せずに表示できる。
【0109】
幾つかの実施形態では、融合されたハッチベクトルブロックの場合のベクトル方向の補正を実行することができる。それぞれの端部が互いに向き合い、同じx-y座標を持つベクトルは、同時に異なるビームによって走査されることはない。この位置若しくはこの箇所では、過熱及び材料の望ましくない蒸発を回避できるため、深い溶接の効果によって細孔が発生するのを防ぐことができる。
【0110】
グリッド1000内で生成されたフィールドは、
図9に示されたそれぞれ特定の光学系によって到達できる領域と重ね合わされている。
【0111】
幾つかの実施形態では、フィールドが完全に光学系のカバー範囲内にある場合、当該フィールドをその光学系に割り当てることができる。この場合、フィールドの光学系への割り当ては、部品形状の分布、即ち造形フィールド102内の実際のハッチ配置、及び場合によっては部品の品質及び/又は加工時間に影響を与えるその他のパラメータに依存して行われる。上述したストラテジの1つに従って、さらに列及び/又は行に区分することもできる。
【0112】
図11は、層若しくは造形フィールド102の別の分割の概略図を示す。
【0113】
この例では、グリッド1100は、幅が可変でガス流方向に対して垂直な列を画定しており、各列に可能な限り等しい数と長さのハッチベクトルが存在して、すべての光学系にわたり均一に分布できるようにされている。これはそのための計算時間を節約するために面を用いて近似できる。
【0114】
これにより、全体的な走査面分布を利用して走査の進行を区切ることができる。
【0115】
したがって、グリッド1100は、光学系ごとに均一な走査面を有する列に基づいている。
【0116】
この例では、列の最小幅から生じる最小列数が定義される。この例では、列の最小幅はハッチの長さとハッチの回転から生じる。
【0117】
この例では、列はガス流方向110と反対に処理される。
【0118】
この例では、列の境界は必ずしもガス流方向に対して垂直な直線である必要はなく、自由な形状であってもよい。
【0119】
図11のグリッド1100を生成するために、例えば
図10のグリッド1000から出発することができる。この目的のためにグリッド1000は、造形面上で作成すべき部品構造104に適用される。次いでベクトルの長さ、露光時間、及び/又は走査光学系への露光面の均一な分布に従って列区分が行われる。各列の境界と、
図11のグリッド1100と
図10のグリッド1000との交点から出発して、ハッチ回転に従いフィールドの境界が生じる。
【0120】
この例では、各フィールドについて次の情報を利用できる。(i)対応するフィールドを走査するために使用できる光学系、(ii)フィールド内のハッチベクトルの数、(iii)フィールド内のハッチベクトルの長さ。
【0121】
本明細書に記載された例では、個々の領域の光学系への割り当ては、均一な走査の進行を保証するために、列(グリッド1100を参照)内の各光学系に可能な限り等しい量(即ち数)及び/又はハッチベクトルの長さが割り当てられるという基本的な考え方に基づいている。
【0122】
さらに、不均一な分布(例えばグリッド1000でチェックする)が部品形状に起因して避けられない場合、即ち列内の1つ以上の光学系に必然的に他の1つ以上の光学系よりも短い露光時間が割り当てられている場合は、造形時間を節約するためにより右側の列の領域を優先できないかチェックすることができる。但し、それによって発生する煙霧がより左側の列内のフィールドの走査に干渉しないことが前提である。この例は、
図11に示すグリッドの列6内の部品構造1106であり、これは部分的にガス流方向110で列1内の部品構造と単にアンダーカットを形成する。造形フィールド102の下部で作動する加工ビームを上部に偏向できない場合は、これらの加工ビームは列2~5の加工中に造形フィールド102に短時間だけ向けられて、上部部品構造の加工中は遮断されるであろう。
【0123】
図12は、そのような煙霧コーンの概略図を示す。フィールドの制限領域は、煙霧コーンによって重ね合わされるフィールドの左側にあるすべてのフィールドである。
【0124】
【0125】
この例では、次のフィールド、即ちフィールドA2は光学系1により、フィールドA3及びB3は光学系2により既に加工されている。この例では現在フィールドA6が光学系4によって加工されている。この例ではこれからフィールドB6が光学系4により、フィールドA7が光学系5により、フィールドE2は光学系2により加工される。
【0126】
この例では光学系2は準備ができているので、この光学系に関連付けられた次のフィールドを露光できるかどうかチェックされる。光学系2にとって次のフィールドはフィールドE2である。このフィールドは、領域1302によってマークされたフィールド(即ち領域1302の左側に位置するフィールド)の露光が完了したら、露光のために「解放」される。ここで、領域1302の定義は、煙/スパッタ角度に依存しており、定義されたフィールド又は関数(造形フィールドのx、y)に依存してよい。
【0127】
この例では、光学系2は、フィールドA6の露光が完了するとすぐにフィールドE2の露光を開始できる。フィールドB6の露光を待つ必要はない。
【0128】
図14は、例示的な制御方法1400のフローチャートを示す。
【0129】
この例では、制御方法1400は、造形フィールド上の個々の加工ビームの走査面、即ち造形フィールドの各層に固化すべき材料を固化するためのビームの可能な加工範囲、並びにガス流方向に関するデータを提供するためのステップS1402を含む。したがってステップS1402で、現在の装置構成のパラメータが提供される。
【0130】
ステップS1404で、造形フィールドの各層における部品形状、即ち選択的に固化すべき領域が提供される。
【0131】
次に、ステップS1406で、各層の固化すべき領域が、ガス流方向に少なくとも部分的に前後に延びる少なくとも2つのセクションに分割される。セクションの数及び/又は位置及び/又は形状は、装置の光学的構成によって、例えば材料を固化するためのビームの数及び加工範囲によって決定できる。代替的又は追加的に、セクションの数及び/又は位置及び/又は形状は、1つ以上のセンサーの観察範囲によって、及び/又は固化すべき層内における部品形状の位置及び/又は形状及び/又は所望の品質、及び/又はそれから生じる、材料を固化させるビームを材料層に誘導するための層内のベクトルによっても影響されてよい。この目的のために、例えば走査ミラーの角度偏向、及び/又は導入されるレーザー出力、及び/又は煙コーンによる許容可能な影響、及び/又はハッチベクトルの結合領域の位置、及び/又は造形時間の最適化を考慮に入れることができる。セクションは、さらに分割されないで少なくとも2つのセクションが同時に加工されたなら、セクションが互いに悪影響を与える可能性のある関係を持つように、即ち1つのセクションの少なくとも一部を同時に加工した際に他のセクションの少なくとも一部の加工が悪影響を受けるように選択することができる。
【0132】
ステップS1408で、少なくとも1つのセクションが少なくとも2つの面部分に分割される。区分基準はセクションに分割する場合と実質的に同じであり、特にセクション内で露光のために可能なレーザービームの数、及び/又は固化すべき材料上にビームを制御するためのベクトル分布は、面部分の数を規定することができる。面部分は好ましくは、単一のセクションにおいて少なくとも2つの面部分を同時に加工することが可能になるように選択されている。特に、面部分の区分をするために、上述した方法とストラテジの1つを使用できる。他のセクションも面部分に区分でき、又は単に面部分を含むことができる。したがって少なくとも1つのセクションを少なくとも2つの面部分に区分した後で、各層内の固化すべき材料は少なくとも3つの面部分に分割されている。
【0133】
ステップS1410で、各面部分は正確に1つの加工ビームに割り当てられる。上述のように、作成すべき部品の輪郭線は複数の面部分にわたって延びることができ、その場合は割り当てから切り離されたと見なされ、したがって本発明の意味では面部分の一部とは見なされず、そのため面部分に割り当てられたビームとは別のビームによって加工されてもよい。好ましくは各面部分には加工ビームが割り当てられるだけでなく、さらにビームに割り当てられたすべての面部分の加工順序も全体的に又はセクションごとに規定される。
【0134】
上述したストラテジから、要求された基本条件(例えば部品の品質)の下で可能な限り高速な加工を提供する方法が選択されることが好ましい。
【0135】
ステップS1412で、加工ビームは割り当て、及び場合によっては割り当てられた順序に従って制御され、少なくとも1つの時点で少なくとも2つの面部分の固化すべき材料が固化される。即ち、少なくとも2つの加工ビームが同時に2つの面部分を照射する。
【0136】
ステップS1402-S1412の個々のステップはサブステップを含むことができ、さらにステップS1402-S1412の前、間及び/又は後に別のステップを実行できる。さらに、制御方法1400は固化すべき材料若しくは部品のすべての層に適用される必要はない。さらにまた、個々のステップ又は複数のステップをマルチビーム装置の外部、例えばコンピュータワークステーションで実行することも可能である。ステップS1412だけは、マルチビーム装置の制御装置によって実行される必要がある。
【0137】
図15は、製造装置2000の概略図を示す。製造装置2000は、複数のビームを生成するための1つ以上のビーム源を備えたマルチビーム装置2002を含んでいる。さらに、マルチビーム装置は、1つ以上の光学系、例えば走査光学系を持つことができる。製造装置はさらに、本明細書に記載の実施形態による制御方法を実行するための、マルチビーム装置に接続された制御装置2004を備える。図示されていないプロセスチャンバー内で、製造装置はさらに固化可能な材料1510を受容するための材料床(ここでは粉末床)1506を有しており、材料1510の選択的固化によって部品104が製造される。材料床1506の表面は、造形フィールド102を形成する。材料1510を受容するための垂直方向に調節可能な基体1505が材料床1506内に配置されている。この図は、4つの材料層1511~1514が既に基体上に配置されており、最上部の材料層1514がちょうど加工されている時点を示す。このために造形フィールド102上で第1のレーザービーム1531の第1の衝突点106´、並びに第2のレーザービーム1532の第2の衝突点106´´が制御される。最上部の材料層1514は異なる領域を示しており、第1のジグザグ線でハッチングされた領域1521は、固化用に設けられていない固化可能な材料を表している。斜線でハッチングされた第2の領域1522は、部品104を作成するために固化すべき材料を表す。第3のレンガ状にハッチングされた領域1523は、既に固化された材料を表す。製造装置2000はさらに図示されていないセンサー、例えばカメラなどのビームセンサーを含んでよく、これらのセンサーは造形フィールド102及び/又はマルチビーム装置2002に関連付けられ、又はその中に含まれて、制御装置2004と接続されることができる。さらに、製造装置2000は、例えば1つのノズル又は複数のノズルの形態のガス供給装置1500を有しており、これらのノズルを通ってガスが(場合によっては造形フィールドの異なる点で局所的に異なる)ガス流方向110で加工中に発生する煙霧及び/又はスパッタを運び去るために加工点106´、106´´の上を案内される。
【0138】
図16と
図17は、レーザーと、第2のレーザーによって生成されたスパッタ1601及び煙のたなびき1602との相互作用の概略図を示す。
【0139】
図16では、レーザー1は、レーザー2によって引き起こされる煙のたなびき1602と相互作用する。この例では、2つのレーザー間のx方向の距離は(
図17に示される例と比べて)比較的大きい。煙のたなびきはz方向で比較的強く現れている。レーザービーム1は、煙のたなびきによって焦点がぼける。その結果、粉末床内へのエネルギー導入が減少する。
【0140】
図17では、レーザー1はレーザー2によって引き起こされる煙のたなびきと同様に相互作用する。この例では、2つのレーザー間のx方向の距離は比較的小さい。煙のたなびきはz方向で比較的少ない。レーザービーム1は、煙のたなびきによってわずかに焦点がぼけているだけである。粉末床へのエネルギー導入の減少は、x方向の定義された最大距離によって制限できる。
【0141】
図16と
図17には、いずれも放出距離A、並びに非干渉距離Uが示されている。
【0142】
図18は、造形フィールド102の、第1のセクション1810と第2のセクション1820への分割を示す。セクション1810は、ガス流方向セクション1820の後ろに延びている。両セクション間の分割線は、造形フィールドを斜めに横切って延びており、それにより図示の材料層の部品構造104a、104bに沿って方向付けられている。本発明に従い、構造104aの加工は少なくとも部分的に構造104bの前に行われる。
【0143】
図19は、造形フィールド102の、第1の円形セクション1910、第2の円形セクション1920、及び2つのセクション1910及び1920を囲む第3のセクション1930への別の分割を示す。これらのセクションは、例えば部品構造104がセクション1910及び1920の領域でより高い品質上の要求を有するため、又はそこでは部品形状が加工にとってあまり有利でない可能性があるために選択することができる。本発明によれば、セクション1910及び1920の加工は、少なくとも部分的にセクション1930の前に行われ、場合によってはセクション1910及び1920の加工は少なくとも部分的に同時に行われることができる。
【0144】
図20は、別のセクション分割を示す。ここでは第1のセクション2010と第2のセクション2020は、造形フィールド102全体を含んでおらず、部品構造104に従って方向付けられている。この区分は、例えば、露光時間の均一な分布に基づいて行うことができる。本発明の意味において、セクション2010は、少なくとも部分的にセクション2020の前に加工されるであろう。
【0145】
図21は、材料層若しくは造形フィールド102もしくは部品104の別の分割を示す。この例では、造形フィールドの中心から半径方向外側に延びるガス流方向110´が想定されている。造形フィールドは、第1のセクション2101、第2のセクション2102、第3のセクション2103、及び第4のセクション2104を含む。他のすべてのセクションは、ガス流方向110´で完全にセクション2101の後方に延びている。さらに第4のセクション2104は、部分的にガス流方向110´で第3のセクション2103後方に延びている。
【0146】
図22は、造形フィールド102に内にある材料層における第1のレーザービームの衝突点106を示す。加工点106の周りには(加工点106をそれ自体の延長のない点と見なせば)半径若しくは曲線距離である非干渉距離Uによって、第2のレーザービームの同時照射が行われてもよい非干渉ゾーン2201が生じる。曲線片2202は、半径若しくは曲線距離である放出距離によって、ガス流方向でその後方では第1のレーザー又は第2のレーザーの同時露光又は後続露光が行われてはならない限界を示している。
【0147】
以下の例は、同様に本開示に包含され、本明細書に記載された本発明の実施形態に全部又は一部含めることができる。
【0148】
1.積層造形法を用いて3次元ワークピースを製造するシステム用の複数のビームを生成するための1つ以上のビーム源を備えたマルチビーム装置を制御するための制御方法であって、
当該制御方法は、
3次元ワークピースを製造するための複数のビームによって固化すべき材料が塗布されている基体の表面に複数のビームが衝突する際に、前記複数のビームが実質的に1本の線に沿って配置されているようにビームを制御することを含み、当該線は固化すべき材料をビームによって固化する際に発生する煙霧を除去するために使用されるガス流のガス流方向に対して実質的に垂直に位置しており、
3次元ワークピースを製造するための固化可能な材料の層を固化するためのビームは、基体の表面上でガス流のガス流方向と実質的に反対方向に制御され、
当該制御方法はさらに、
固化すべき材料の層を所定の数のセクションに分割することを含み、各セクションはガス流のガス流方向に対して実質的に垂直に延びており、
各セクションを所定の数の面部分に分割することを含み、各面部分は複数のビームの1つ以上の特定のビームに関連付けられており、当該ビームは関連付けられた面部分の固化すべき材料を固化し、さらに、各セクションは、3次元ワークピースを製造するための固化可能な材料の層を固化する間にビームが基体の表面に衝突する際に隣接するビーム間の事前に定義された最小距離及び/又は最大距離に基づいて、面部分に分割される。
【0149】
2.例1に係る制御方法であって、対応するセクションが分割される所定の数の面部分が、ガス流のガス流方向に対して垂直なセクションの延長に基づいて定義され、この延長は固化される層内の3次元ワークピースの延長に基づいている。
【0150】
3.例1又は2に係る制御方法であって、セクション内の面部分は等距離の面部分を含む。
【0151】
4.例1から3のいずれか1つに係る制御方法であって、各セクションの所定の数の面部分が複数のビームの数に対応している。
【0152】
5.例1から4のいずれか1つに係る制御方法であって、層の分割は、それぞれのビームに関連付けられるベクトルの数に基づいており、これらのベクトルがビームによる層の走査過程を定義する。
【0153】
6.例1から5のいずれか1つに係る制御方法であって、複数のビームのうちの特定の1つのビームに関連付けられた各面部分が、特定のビームのビーム径に基づいて複数の照射フィールドに分割される。
【0154】
7.例6に係る制御方法であって、3次元ワークピースの輪郭を作成するための閉じた輪郭線が、複数のビームの特定の数より少ないビームに関連付けられる。
【0155】
8.例1から7のいずれか1つに係る制御方法であって、固化すべき材料の層が、グリッド又は複数のグリッドの重ね合わせを用いて面部分に分割される。
【0156】
9.例8に係る制御方法であって、第1のグリッドは層を、それぞれ複数のビームによって到達される最大の領域に区分する。
【0157】
10.例9に係る制御方法であって、領域は、ビームの垂直入射点と、基体の表面に対してx-y方向における延長により構成される。
【0158】
11.例8から10のいずれか1つに係る制御方法であって、第2のグリッドが固化すべき材料の層をビームのベクトルのベクトル方向に従って区分し、これらのベクトルがビームの進行を定義する。
【0159】
12.例11に係る制御方法であって、ベクトルはハッチベクトルを含み、第2のグリッドが固化すべき材料の層を、ハッチパターンのハッチ距離及びハッチ回転に基づきハッチパターン内のハッチベクトルのベクトル方向に従って画定する。
【0160】
13.例11又は12に係る制御方法であって、ベクトルが結合する領域が、異なるビームに関連付けられる異なるセクションに分割されない。
【0161】
14.例13に係る制御方法であって、領域内のベクトルのベクトル方向が、領域内のベクトルが互いに収束しないように定義される。
【0162】
15.例11から14のいずれか1つに係る制御方法であって、例9又は10のいずれかに依存する場合に、層は第1のグリッドと第2のグリッドとの重ね合わせに基づいて面部分に分割される。
【0163】
16.例1から15のいずれか1つに係る制御方法であって、セクションがガス流のガス流方向に実質的に垂直な列を含み、各列の延長がガス流方向に対して平行に、各列が同じ数及び/又は同じ長さのビームのベクトルを有するように画定される。
【0164】
17.例16に係る制御方法であって、例15に依存する場合に、重な合わせは、第1のグリッド及び第2のグリッドと列との重ね合わせを含む。
【0165】
18.例1から17のいずれか1つに係る制御方法であって、層は、フィールドを走査するために層のフィールドに利用可能なビーム源の数と、フィールド内のベクトルの数と、ベクトルの長さに基づいて分割される。
【0166】
19.例1から18のいずれか1つに係る制御方法であって、セクションのうちの1つの各ビーム源に、等しい数及び/又は長さのベクトルが割り当てられる。
【0167】
20.例1から19のいずれか1つに係る制御方法であって、さらに、
ビームの1つによる第1の面部分の層内の材料の照射に基づいて、基体の表面に関して、第1の面部分における照射によって発生する煙霧及び/又はスパッタの領域を決定すること、及び
煙霧及び/又はスパッタの領域に基づいて、第2の面部分を当該ビーム又は他のビームによって照射できるかどうかを、当該ビーム又は他のビームが層に衝突する際の煙霧及び/又はスパッタの領域に対して相対的な位置を考慮して決定することを含む。
【0168】
21.例1から20のいずれか1つに係る制御方法であって、ビームがレーザービームを含む。
【0169】
22.例1から21のいずれか1つに係る制御方法を実行するために、コンピュータプログラムが制御装置上で実行されるときに、プログラムコードを用いてプログラム可能な制御装置にロードできるコンピュータプログラム。
【0170】
23.例22に係るコンピュータプログラムを含むデータ媒体であって、電気信号、光信号、無線信号、又はコンピュータ可読記憶媒体を包含する。
【0171】
24.積層造形法を用いて3次元ワークピースを製造するシステム用の複数のビームを生成するための1つ以上のビーム源を備えたマルチビーム装置を制御する制御装置であって、
1つ以上のプロセッサと、
1つ以上のプロセッサによって実行可能な命令を格納したメモリを含んでおり、これにより制御装置は、例1から21のいずれか1つに係る方法を実行するように作動可能である。
【0172】
25.積層造形法を用いて3次元ワークピースを製造するための製造装置であって、当該製造装置は、
複数のビームを生成するための1つ以上のビーム源を備えたマルチビーム装置と、
例24に係る制御装置を含む。
本発明の実施形態の態様として、更に、以下に示すものがある。
[態様1]
積層造形法を用いて3次元ワークピースを製造するシステム用の複数のビームを生成するための1つ以上のビーム源を備えたマルチビーム装置を制御するための制御方法であって、3次元ワークピースを製造するための固化可能な材料を基体の表面上に層状に塗布し、各層の固化可能な材料が固化可能な材料上の複数のビームのそれぞれの衝突点で複数のビームによって固化され、
前記3次元ワークピースを製造するための固化可能な材料の層の1つの選択的領域を固化するために、ビームの衝突点がそれぞれ基体の表面上でガス流のガス流方向と実質的に反対方向に制御され、当該制御方法は、
(a)各層の固化すべき材料を少なくとも2つのセクションに分割し、少なくとも2つのセクションのうちの2つは、少なくとも2つのセクションのうちの2つで優勢なガス流のガス流方向に少なくとも部分的に前後して延びていることと、
(b)少なくとも2つのセクションのうちの2つのうちの少なくとも1つを少なくとも2つの面部分に分割することと、
(c)各面部分を正確に1つの特定のビームに割り当てて、当該ビームは割り当てられた面部分の固化すべき材料を固化することと、
(d)少なくとも固化すべき材料を露光する時点で、少なくとも2つの面部分の固化すべき材料が固化されるように、且つ、衝突点の各中心と衝突点の他のすべての中心との間に延びる直線からなるネットワークは、衝突点のすべての中心が互いに所定の距離の外側にある露光のいかなる時点においても、少なくとも2つのセクションのうちの2つで優勢なガス流のガス流方向に対して平行な直線を持たないようにビームの衝突点を制御することを含む、制御方法。
[態様2]
前記ビームの衝突点は、前記基体の表面上で少なくとも部分的に連続的に制御される、態様1に記載の制御方法。
[態様3]
前記衝突点の中心のうちの少なくとも2つは、少なくとも所定の時間、互いに所定の距離の外側にある、態様1又は2に記載の制御方法。
[態様4]
前記衝突点のすべての中心が、少なくとも所定の時間、互いに所定の距離の外側にある、態様3に記載の制御方法。
[態様5]
面部分を正確に1つの特定のビームに割り当てる前に、各面部分が基体の表面及び/又はガス流のガス流出口に対する位置により、複数のビームの1つ以上の特定のビームに割り当てられる、態様1から4のいずれかの態様に記載の制御方法。
[態様6]
前記基体の表面上のセクションの位置及び/又は延長、及び/又はセクションの数は、
固化可能な材料の層内の3次元ワークピースの延長及び/又は位置、及び/又は
ビームの垂直入射点と、基体の表面を基準とする延長及び/又はそれぞれのビームの垂直入射軸に対する角度によって構成されるビームの走査面の位置に基づいて定義される、態様1から5のいずれかの態様に記載の制御方法。
[態様7]
すべてのセクションは、ガス流のガス流方向に対して垂直な方向に同じ延長で定義される、態様1から6のいずれかの態様に記載の制御方法。
[態様8]
ガス流のガス流方向におけるすべてのセクションが同じ延長で定義される、態様1から7のいずれかの態様に記載の制御方法。
[態様9]
第1のセクションのすべての面部分の固化すべき材料が完全に照射された後でのみ、ガス流方向で少なくとも部分的に他方の第1のセクションの前で延びる第2のセクションで各面部分の露光が開始される、態様1から8のいずれかの態様に記載の制御方法。
[態様10]
前記衝突点のそれぞれは、ガス流方向で、各層の固化すべき材料が既に照射された箇所までの放出距離の外側にないように制御される、態様1から9のいずれかの態様に記載の制御方法。
[態様11]
対応するセクションが分割される面部分の数は、ガス流のガス流方向に対して垂直なセクションの延長及び/又は固化可能な材料の層内のセクションの位置に基づいて定義される、態様1から10のいずれかの態様に記載の制御方法。
[態様12]
セクション内の面部分の数は、セクション内の同じ時点に露光するビームの最大数、又はその倍数によって定義される、態様1から11のいずれかの態様に記載の制御方法。
[態様13]
前記セクションのうちの1つの面部分が実質的に等しい大きさの面部分に分割される、態様1から12のいずれかの態様に記載の制御方法。
[態様14]
層の固化すべき材料の分割が、それぞれのビームに割り当てられたベクトルの数及び/又は長さに基づいており、ベクトルが層の走査過程をビームによって定義する、態様1から12のいずれかの態様に記載の制御方法。
[態様15]
層の固化すべき材料の分割が、それぞれのビームに割り当てられた、特に実質的に均一に分布された露光時間に基づく、態様1から12のいずれかの態様に記載の制御方法。
[態様16]
複数のビームのうちの特定のビームに割り当てられた各面部分が、特定のビームのビーム径に基づいて複数の照射フィールドに区分される、態様1から15のいずれかの態様に記載の制御方法。
[態様17]
3次元ワークピースの輪郭を作成するための閉じた輪郭線が、面部分の輪郭線の位置に関係なく1つ以上のビーム、特に単一のビームに割り当てられる、態様1から16のいずれかの態様に記載の制御方法。
[態様18]
各層の固化すべき材料が、グリッド又は複数のグリッドの重ね合わせによって面部分に区分される、態様1から17のいずれかの態様に記載の制御方法。
[態様19]
第1のグリッドは、層をそれぞれ単一のビーム又は複数のビームによって到達される領域に区分し、当該領域は、ビームの垂直入射点と、基体の表面を基準とする延長及び/又はそれぞれのビームの垂直入射軸に対する角度によって構成される、態様18に記載の制御方法。
[態様20]
第2のグリッドは、各層の固化すべき材料をビームのベクトルのベクトル方向に従って区分し、ベクトルがビームの進行を定義する、態様18又は19に記載の制御方法。
[態様21]
ベクトルのベクトル方向は隣接する面部分で、当該ベクトルが互いに面の境界に収束しないように定義される、態様20に記載の制御方法。
[態様22]
前記セクションは、ガス流のガス流方向に対して実質的に垂直に延びる列として形成され、各列の延長は、すべての列が同じ数及び/又は同じ長さの加工ベクトル及び/又は同じ計算された露光時間を有するように、ガス流のガス流方向に対して平行に画定される、態様1から21のいずれかの態様に記載の制御方法。
[態様23]
少なくとも1つのセクションは、各面部分で面部分を露光するために固化すべき材料に利用可能な等しい数のビーム及び/又は各面部分における実質的に等しい数のベクトル及び/又は各面部分におけるベクトルの長さの実質的に等しい合計及び/又は各面部分における実質的に等しい露光時間が達成されるように、面部分に区分される、態様1から22のいずれかの態様に記載の制御方法。
[態様24]
少なくとも1つのセクションで、セクション内の少なくとも1つの面部分に割り当てられたそれぞれのビームに、等しい数及び/又は全長のベクトル及び/又は等しい露光時間及び/又は等しい数の面部分が割り当てられる、態様1から23のいずれかの態様に記載の制御方法。
[態様25]
さらに、第1の面部分における層内の固化すべき材料をビームの1つで照射することに基づいて、基体の表面に関して、第1の面部分における照射によって生じる煙霧及び/又はスパッタの発生が予想される領域を決定すること、及び
煙霧及び/又はスパッタの発生が予想される領域に基づいて、第2の面部分を当該ビーム又は他のビームで照射できるかどうかを決定すること、を含む、態様1から24のいずれかの態様に記載の制御方法。
[態様26]
ビームはレーザービームを含み、特にすべてのビームがレーザービームである、態様1から25のいずれかの態様に記載の制御方法。
[態様27]
すべてのレーザービームが、実質的に等しい波長及び/又は実質的に等しい出力及び/又は等しい、特に点状の衝突点の形状を有する、態様26に記載の制御方法。
[態様28]
ビームが、異なる波長及び/又は異なる出力及び/又は異なる衝突点の形状を有する少なくとも2つのレーザービームを含む、態様26に記載の制御方法。
[態様29]
態様1から28のいずれかの態様に記載の制御方法の少なくとも一部を実行するために、コンピュータプログラムが制御装置上で実行されるときに、プログラムコードを用いてプログラム可能な制御装置にロードできるコンピュータプログラム。
[態様30]
電気信号、光信号、無線信号又はコンピュータ可読記憶媒体を包含する、態様29に記載のコンピュータプログラムを含んだデータ媒体。
[態様31]
積層造形法を用いて3次元ワークピースを製造するシステム用の複数のビームを生成するための1つ以上のビーム源を備えたマルチビーム装置を制御する制御装置であって、
1つ以上のプロセッサと、
1つ以上のプロセッサによって実行可能な命令を格納したメモリと、を含んでおり、これにより制御装置は、態様1から28のいずれかの態様に記載の方法の少なくとも一部(d)を実行するように作動可能である制御装置。
[態様32]
積層造形法を用いて3次元ワークピースを製造するための製造装置であって、当該製造装置は、
複数のビームを生成するための1つ以上のビーム源を備えたマルチビーム装置と、
態様31に記載の制御装置と、を有する製造装置。