(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-21
(45)【発行日】2024-01-04
(54)【発明の名称】無線通信ネットワークにおける鏡面反射コンポーネントの推定
(51)【国際特許分類】
H04B 7/06 20060101AFI20231222BHJP
H04B 7/08 20060101ALI20231222BHJP
H04L 27/26 20060101ALI20231222BHJP
【FI】
H04B7/06 956
H04B7/08 802
H04L27/26 100
(21)【出願番号】P 2022023444
(22)【出願日】2022-02-18
(62)【分割の表示】P 2019558432の分割
【原出願日】2018-04-23
【審査請求日】2022-03-18
(32)【優先日】2017-04-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100122769
【氏名又は名称】笛田 秀仙
(72)【発明者】
【氏名】ハウシュタイン,トーマス
(72)【発明者】
【氏名】ティーレ,ラルス
(72)【発明者】
【氏名】ケウスゲン,ウィルヘルム
(72)【発明者】
【氏名】グロスマン,マルクス
(72)【発明者】
【氏名】ランドマン,マルクス
【審査官】原田 聖子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2009/0080560(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0270118(US,A1)
【文献】特開2011-244475(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0013711(US,A1)
【文献】特開平11-251986(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/06
H04B 7/08
H04L 27/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザ機器であって、
無線チャネルを介してマルチアンテナ基地局からマルチキャリア信号を受信するように構成された、複数のアンテナを有するアンテナアレイであって、前記マルチキャリア信号は、少なくとも2つのサブキャリアを有し、各サブキャリアは、前記基地局で
鋭いビームとしてそれぞれのサブキャリアビームフォーマへマッピングされるアンテナアレイと、
ユーザ機器と基地局との間の無線信号通信の1つ以上の通信方向を識別するように構成されたプロセッサであって、前記通信方向は、サブキャリアビームフォーマに関連する無線チャネルの1つ以上の鏡面反射パスコンポーネントに基づいて識別されるプロセッサとを含み、
前記プロセッサは、
前記サブキャリアの各々で前記無線チャネルの前記鏡面反射パスコンポーネントの信号エネルギーを検出し、
検出された前記信号エネルギーが特定のサブキャリア上で第1の閾値に達するかまたは超えた場合、前記無線信号通信の前記通信方向として、前記特定のサブキャリアの前記サブキャリアビームフォーマがその信号エネルギーを指す方向を識別し、
前記識別された通信方向に従って前記基地局が無線信号ビームフォーマを計算可能にするために、前記識別された通信方向を前記基地局に信号送信し、
前記識別された通信方向に従って無線信号ビームフォーマを計算するように構成されるユーザ機器。
【請求項2】
前記プロセッサは、前記検出された信号エネルギーが特定のサブキャリア上の第2の閾値を下回る場合、前記特定のサブキャリアの前記サブキャリアビームフォーマがその信号エネルギーを指す特定の方向を前記無線信号通信に適していないと識別するように構成される、請求項1に記載のユーザ機器。
【請求項3】
前記プロセッサは、前記識別された通信方向に従って送信機が無線信号ビームフォーマを計算可能にするために、前記識別された通信方向を前記送信機に信号送信するように構成され、
前記プロセッサは、
前記検出された信号エネルギーが前記第1の閾値に到達した、またはそれを超えた前記サブキャリアに関する情報を前記送信機へ信号送信するか、または、
前記送信機の送信方向を取得し、前記送信機に一連の角度を信号送信す
るように構成される、請求項1または2に記載のユーザ機器。
【請求項4】
前記プロセッサは、
前記マルチキャリア信号の送信を開始するように前記基地局に信号送信することにより、前記通信方向の前記識別を開始するか、または、
前記基地局からの信号に応答して、前記通信方向の前記識別を開始するように構成される、請求項1~3のいずれか一項に記載のユーザ機器。
【請求項5】
前記基地局からの前記信号送信は、物理的ダウンリンク制御チャネルPDCCHを使用し、前記基地局への前記信号送信は、物理的アップリンク制御チャネルPUCCHを使用する、請求項4に記載のユーザ機器。
【請求項6】
基地局であって、
無線チャネルを介してマルチアンテナユーザ機器からマルチキャリア信号を受信するように構成された、複数のアンテナを有するアンテナアレイであって、前記マルチキャリア信号は、少なくとも2つのサブキャリアを有し、各サブキャリアは、前記ユーザ機器で
鋭いビームとしてそれぞれのサブキャリアビームフォーマへマッピングされるアンテナアレイと、
基地局とユーザ機器との間の無線信号通信の1つ以上の通信方向を識別するように構成されたプロセッサであって、前記通信方向は、サブキャリアビームフォーマに関連する無線チャネルの1つ以上の鏡面反射パスコンポーネントに基づいて識別されるプロセッサとを含み、
前記プロセッサは、
前記サブキャリアの各々で前記無線チャネルの前記鏡面反射パスコンポーネントの信号エネルギーを検出し、
検出された前記信号エネルギーが特定のサブキャリア上で第1の閾値に達するかまたは超えた場合、前記無線信号通信の前記通信方向として、前記特定のサブキャリアの前記サブキャリアビームフォーマがその信号エネルギーを指す方向を識別し、
前記識別された通信方向に従って前記ユーザ機器が無線信号ビームフォーマを計算可能にするために、前記識別された通信方向を前記ユーザ機器に信号送信し、
前記識別された通信方向に従って無線信号ビームフォーマを計算するように構成される基地局。
【請求項7】
前記プロセッサは、前記検出された信号エネルギーが特定のサブキャリア上の第2の閾値を下回る場合、前記特定のサブキャリアの前記サブキャリアビームフォーマがその信号エネルギーを指す特定の方向を前記無線信号通信に適していないと識別するように構成される、請求項6に記載の基地局。
【請求項8】
前記プロセッサは、前記識別された通信方向に従って送信機が無線信号ビームフォーマを計算可能にするために、前記識別された通信方向を前記送信機に信号送信するように構成され、
前記プロセッサは、
前記検出された信号エネルギーが前記第1の閾値に到達した、またはそれを超えた前記サブキャリアに関する情報を前記送信機へ信号送信するか、または、
前記送信機の送信方向を取得し、前記送信機に一連の角度を信号送信す
るように構成される、請求項6または7に記載の基地局。
【請求項9】
前記プロセッサは、
前記マルチキャリア信号の送信を開始するように前記ユーザ機器に信号送信することにより、前記通信方向の前記識別を開始するか、または、
前記ユーザ機器からの信号に応答して、前記通信方向の前記識別を開始するように構成される、請求項6のいずれか一項に記載の基地局。
【請求項10】
前記信号送信は、前記基地局によってトリガーされるときに、物理ダウンリンク制御チャネルPDCCHを使用するか、または前記ユーザ機器によってトリガーされるときに、物理アップリンク制御チャンネルPUCCHを使用する、請求項9に記載の基地局。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モバイル通信ネットワークの分野に関し、より具体的には、モバイル通信ネットワークのそれぞれのエンティティ間の信頼性の高い通信、例えばモバイル通信ネットワークの基地局とモバイルデバイスまたは別のユーザ機器(UE)との間の、またはモバイル通信ネットワークの複数の基地局間の、またはモバイル通信ネットワークの複数のモバイルデバイス間の信頼性の高い通信を可能にするアプローチに関する。
【背景技術】
【0002】
図1は、コアネットワーク102および無線アクセスネットワーク104を含む無線ネットワーク100の一例の概略図である。無線アクセスネットワーク104は、複数の基地局eNB1~eNB5を含むことができ、各基地局は、それぞれのセル1061~1065によって概略的に表される基地局を囲む特定のエリアにサービスを提供する。基地局は、セル内のユーザにサービスを提供するために提供される。ユーザは、固定デバイスまたはモバイルデバイスとすることができる。さらに、無線通信システムは、基地局またはユーザに接続するIoTデバイスによってアクセスされ得る。IoTデバイスには、電子機器、ソフトウェア、センサー、アクチュエータなどが内部に埋め込まれた物理デバイス、車両、建物、およびその他のアイテム、ならびにこれらのデバイスが既存のネットワークインフラストラクチャ全域にわたってデータを収集および交換できるようにするネットワーク接続が含まれる。
【0003】
図1は5つのセルのみの例示的な図を示しているが、無線通信システムはより多くのそのようなセルを含んでもよい。
図1は、セル1062内にあり、基地局eNB2によってサービス提供される、ユーザ機器(UE)とも呼ばれる2個のユーザUE1およびUE2を示す。別のユーザUE3がセル1064に示されており、これは基地局eNB4によってサービス提供される。矢印1081、1082、および1083は、ユーザUE1、UE2、およびUE3から基地局eNB2、eNB4にデータを送信するため、または基地局eNB2、eNB4からユーザUE1、UE2、UE3にデータを送信するためのアップリンク/ダウンリンク接続を概略的に表す。
【0004】
さらに、
図1は、セル1064内の2つのIoTデバイス1101および1102を示しており、これらは定置型デバイスまたはモバイルデバイスであり得る。IoTデバイス1101は、矢印1121によって概略的に表されるように、基地局eNB4を介して無線通信システムにアクセスしてデータを送受信する。IoTデバイス1102は、矢印1122によって概略的に表されるように、ユーザUE3を介して無線通信システムにアクセスする。それぞれの基地局eNB1~eNB5は、それぞれのバックホールリンク1141~1145を介してコアネットワーク102に接続され、これらは
図1では「コア」を指す矢印によって概略的に表されている。コアネットワーク102は、1つ以上の外部ネットワークに接続され得る。
【0005】
無線通信システムは、直交周波数分割多重化(OFDM)システム、直交周波数分割多重アクセス(OFDMA)システム、またはCP有りまたは無しのその他のIFFTベースの信号(例えば、DFT-s-OFDM)のような、周波数分割多重化に基づくシングルトーンまたはマルチキャリアシステムであり得る。マルチアクセス用の非直交波形のような他の波形、例えばフィルターバンクマルチキャリア(FBMC:filter-bank multicarrier)、汎用周波数分割多重化(GFDM:generalized frequency division multiplexing)、またはユニバーサルフィルタードマルチキャリア(UFMC:universal filtered multi carrier)を使用できる。無線通信システムは、LTEおよび5G/NR(新たな無線:new radio)に従って動作され得る。
【0006】
データ伝送には、物理リソースグリッドを使用できる。物理リソースグリッドは、様々な物理チャネルと物理信号がマッピングされるリソース要素の組を含み得る。例えば、物理チャネルは、ダウンリンク・アップリンクペイロードデータとも呼ばれるユーザ固有のデータを運ぶ物理ダウンリンク・アップリンク共有チャネル(PDSCH、PUSCH:physical downlink and uplink shared channels)、例えばマスター情報ブロック(MIB:master information block)およびシステム情報ブロック(SIB:system information block)を運ぶ物理ブロードキャストチャネル(PBCH:physical broadcast channel)、ダウンリンク制御情報(DCI:downlink control information)を運ぶ物理ダウンリンク制御チャネル(PDCCH:physical downlink control channel)などを含み得る。
【0007】
アップリンクの場合、物理チャネルは、UEがMIBとSIBを同期して取得すると、ネットワークにアクセスするためにUEが使用する物理ランダムアクセスチャネル(PRACHまたはRACH:physical random access channel)をさらに含み得る。物理信号は、基準信号(RS)、同期信号などを含み得る。リソースグリッドは、時間ドメインで10ミリ秒のような特定の持続時間を有し、周波数ドメインで所与の帯域幅を有するフレームを含み得る。フレームは、所定の長さの特定の数のサブフレーム、例えば、1ミリ秒の長さの2つのサブフレームを有し得る。各サブフレームは、サイクリックプレフィックス(CP:cyclic prefix)の長さに応じて、6または7個のOFDMシンボルの2つのスロットを含み得る。
【0008】
例えば
図1に示されるようなモバイル通信ネットワークでは、基地局BSとユーザ端末またはユーザ機器UEとの間の無線モバイル通信は無線チャネルを使用する。無線チャネルには、見通し線(LoS)パスとも呼ばれる直接パス、および/または非見通し線(NLoS)パスとも呼ばれる1つ以上の反射パスが含まれ得る。パスは、コンポーネントとも呼ばれる。
【0009】
図2は、一例に係る、基地局とUEとの間のモバイル通信のための無線チャネルのそれぞれのパスの概略図である。基地局BSは、BSによって定義されたセル内でUEにサービスを提供する
図1に示される基地局のうちの1つであり得る。セル内には、多くの障害物2001および2002(例えば、建物、樹木、丘、または山)が存在し得る。基地局BSとUEとの間の通信は、
図2に示す例では、LoSパス202ならびに複数のNLoSパス204a、204bの両方を含む無線チャネル200を使用する。第1のNLoSパス204aは、基地局BSから第1の障害物2001まで延びる第1のセグメント204a1と、第1の障害物2001からUEまで延びる第2のセグメント204a2とを含む。言い換えれば、BSによって第1の障害物2001に向かう方向に無線チャネル200内で送信された信号は、障害物で反射され、またUEで受信される。同様に、第2のNLoSパス204bは、基地局BSから第2の障害物2002まで延びる第1のセグメント204b1と、第2の障害物2002からUEまで延びる第2のセグメント204b2とを含む。
【0010】
BSは、複数のアンテナおよび複数の送信/受信信号処理チェーンを備えることができ、また、大規模MIMO(Multiple Input Multiple Output:複数入力複数出力)BSと呼ばれ得る。BSは、1つ以上の送信ビームまたはエネルギーを複数の異なる方向に同時に向けることができ、複数の異なる方向から1つ以上のビームまたはエネルギーを同時に受信することができる。UEはまた、UEが複数の異なる方向に/からビームまたはエネルギーを送信/受信することを可能にする、少なくとも2つのアンテナおよび送信/受信チェーンなどの複数のアンテナおよび複数の送信/受信チェーンを含み得る。そのようなUEはMIMO UEとも呼ばれる。2つのアンテナが適切な間隔を有していると仮定すると、UEは、送信/受信される信号が最も強い半平面ごとの第1の方向と、信号の送信/受信が可能でない半平面ごとの第2の別の方向とを生成し得る。第2の方向は、ヌル方向とも呼ばれる。
【0011】
信頼性の高い通信を行うには、無線通信に無線チャネルの最も強力なコンポーネントまたはパスを使用することが望まれる。例えば、BSからUEへのダウンリンクでのワイヤレス送信を検討する場合、BSはUEにつながる特定の方向に送信エネルギーを供給し、UEは、その複数のアンテナを使用してビーム形成/最大比結合またはMIMO多重化などの空間信号処理を実行して、送信された情報を抽出する。
図2に示す例では、BSは、LoSおよびNLoSパス202、204に沿ってUEに向けて送信エネルギーを供給することができる。最も強いコンポーネント/パスは、LoSパスと鏡面反射から生じる。逆に、UEからBSへのアップリンク通信では、UEは複数のアンテナを使用して特定の方向にエネルギーまたはビームを送信し、BSはそれに応じてBSの複数のアンテナを適応させることにより、特定の方向からエネルギーまたはビームを受信する。
【0012】
信頼性の高い通信を可能にするために、BSおよびUEは、無線チャネルの最強のコンポーネントまたはパスについての知識を有し、BS/UEの複数のアンテナをこれらのパスに正しく適応させることを可能にする必要がある。例えば、FD-MIMO(フルディメンションMIMO)で使用される従来のアプローチに従って、プリコーディングされた(されていない)CSI-RS(チャネル状態情報参照信号)を使用して、BSとUEとの間の無線チャネルを推定し、ダウンリンク(DL)方向でUEごとに最良、適切、または望ましいビームフォーマを選択することができる。しかしながら、これには、十分に正確ではない可能性があり、かなりの計算オーバーヘッドを含む可能性がある周波数/時間ドメインの信号を推定する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の根底にある目的は、計算のオーバーヘッドを回避するモバイル通信ネットワークのエンティティ間の通信のための無線チャネル内の最強パスを決定する改善されたアプローチを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
この目的は、独立請求項で定義される主題によって達成される。
【0015】
実施形態によれば、本発明は、複数のアンテナを有するアンテナアレイを含む基地局またはユーザ機器のような装置を提供し、アンテナアレイは、無線チャネルを介してUEまたはBSのようなマルチアンテナ送信機からマルチキャリア信号を受信するように構成される。マルチキャリア信号は少なくとも2つのサブキャリアを有し、各サブキャリアは送信機でそれぞれのサブキャリアビームフォーマにマッピングされる。それぞれのサブキャリアビームフォーマは、ヌルとビームコーンの方向が異なる。装置は、装置と送信機との間の無線信号通信の通信方向を識別するためのプロセッサを含み、通信方向は、サブキャリアビームフォーマのヌルまたは最大値に関連する無線チャネルの1つ以上の鏡面反射パスコンポーネントに基づいて識別される。
【0016】
本発明のアプローチによれば、受信信号を推定するのではなく、MIMO通信リンク内で最も主要なマルチパスコンポーネントとも呼ばれる最も強いパスが暗黙的に抽出される。従来のアプローチとは対照的に、周波数/時間ドメインの信号を推定する必要はなく、むしろ適切な送信および受信技術(例えば、送受信ビームフォーマ、干渉調整、およびハンドオーバー)を導出するのに使用される無線チャネル内の鏡面反射コンポーネントが得られる。実施形態によれば、装置は基地局であってもよく、送信機はユーザ機器であってもよい。他の例では、装置はユーザ機器であってもよく、送信機は、デバイスツーデバイス(D2D)通信の場合、別のユーザ機器であり得るか、または基地局であり得る。本発明のアプローチの実施形態によれば、基地局である装置の例を考慮すると、BSは、UEのような送信機によって提供されるマルチキャリア信号のサブキャリアに対するヌルまたはビームフォーマの最大値に関連する無線チャネルのパスコンポーネントに基づいて、BSとUEとの間のその後の無線信号通信に使用される通信方向を決定する。
【0017】
実施形態によれば、本発明は、複数のアンテナを有するアンテナアレイを含む、UEのような装置を提供する。アンテナアレイは、少なくとも2つのサブキャリアを有するマルチキャリア信号を、無線チャネルを介してBSのような受信機に送信するように構成される。マルチキャリア信号の各サブキャリアをそれぞれのサブキャリアビームフォーマにマッピングするように構成されたプロセッサが提供され、それぞれのサブキャリアビームフォーマは非同一のヌルおよびビームコーン方向を有する。装置と送信機との間の無線信号通信のための通信方向を識別する受信機からの信号に応答して、プロセッサは、識別された通信方向に従って無線信号ビームフォーマを計算するように構成される。
【0018】
例によれば、装置はUEであってもよく、受信機はBSであってもよく、またはD2D通信の場合は別のUEであってもよい。この実施形態によれば、装置がUEであると考えるとき、UEは、BSとの通信のためにマルチキャリア信号を提供する。BSは、UEからマルチキャリア信号を受信すると、例えば本発明の推定アプローチを使用して通信方向を決定し、識別された通信方向を示す信号をUEに提供し、この信号に基づいて、UEは、例えばUEからBSへのアップリンク(UL)通信に対して、無線信号のビームフォーマを計算する。
【0019】
上述の実施形態は、所望の通信方向または通信リンクの最も主要なマルチパスコンポーネントが、受信周波数/時間ドメイン信号を使用する無線チャネルの推定に基づいて識別されないため、有利である。むしろ、無線チャネルの通信方向またはパスコンポーネントは、送信機のサブキャリアビームフォーマの特性に応じて、より具体的には鏡面反射コンポーネントがヌルまたはその最大値に関連するかどうかに基づいて決定される。これにより、決定プロセスが容易になり、無線チャネルを推定するための複雑な計算プロセスが回避される。
【0020】
実施形態によれば、本発明は、UEのような送信機から無線チャネルを介してマルチキャリア信号を受信するように構成されたアンテナアレイを含むBSのような装置を提供する。マルチキャリア信号は少なくとも2つのサブキャリアを有し、各サブキャリアは送信機でそれぞれのサブキャリアビームフォーマにマッピングされる。それぞれのサブキャリアビームフォーマは、ヌルとビームコーンの方向が異なる。装置は、ヌルまたはサブキャリアビームフォーマの最大値に関連する無線チャネルの1つ以上の主要な鏡面反射パスコンポーネントを識別するプロセッサを含み、マルチキャリア信号内の1つ以上の主要なパスコンポーネントが削除されるようにサブキャリアビームフォーマを調整するように送信機に信号送信する。
【0021】
この実施形態によれば、装置がより高い分解能で他の空間/鏡面反射コンポーネントを受信または測定することができる無線チャネル内の最も主要なマルチパスコンポーネントを除去することにより、ダイナミックレンジの拡張を達成できる。装置はBSであってもよく、送信機はUEであってもよい。他の例によれば、例えばUEとBSとの間のアップリンク通信において、装置はUEであり、送信機はBSであってもよい。ただし、D2D通信の場合、送信機は別のUEであってもよい。
【0022】
実施形態は従属請求項に定義されている。
【0023】
ここで、本発明の実施形態を添付の図面を参照してさらに詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】無線通信システムの無線ネットワークまたは無線ネットワークインフラストラクチャの一例の概略図を示す。
【
図2】一例に係る、基地局とUEとの間のモバイル通信のための無線チャネルのそれぞれのパスの概略図である。
【
図3(a)】複数のアンテナおよび複数の送信/受信チェーンを含むUEまたはBSの概略図を示す。
【
図3(b)】2つのアンテナを使用するときに
図3(a)のUEによって形成され得る2つのサブキャリア依存ビームフォーマを概略的に示す。
【
図4】DoAに基づいてBSとUEとの間のULチャネルの強い鏡面反射コンポーネントを推定するためのプロセスまたは方法の一実施形態を表す流れ図である。
【
図5】信号エネルギー推定に基づく本発明のアプローチの一実施形態に係る、BSとUEとの間の通信方向の推定のためのプロセスの流れ図を示す。
【
図6】信号エネルギー推定およびDoAに基づく本発明のアプローチの一実施形態に係る、BSとUEとの間の通信方向の推定のためのプロセスの流れ図を示す。
【
図7】
図3~
図6の実施形態に関して上述したように方法での通信方向推定に続くダウンリンク通信のためにBSによって選択された無線チャネルのパスコンポーネントの概略図である。
【
図8】本発明のアプローチに従って説明された方法のステップのみならずユニットまたはモジュールが実行され得るコンピュータシステムの一例を示している。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下において、本発明の好ましい実施形態は、同じまたは類似の機能を有する要素が同じ符号によって参照される添付の図面を参照してさらに詳細に説明される。
ここで、本発明のアプローチの実施形態について説明する。UEによって空間コーディングで提供されるマルチキャリア信号は、UEとBSとの間のアップリンク(UL)通信における信頼性の高い通信に有用な鏡面反射コンポーネントの推定に使用され得る。
【0026】
図3(a)は、複数のアンテナANT1~ANT3および複数の送信/受信チェーン206a~206cを含むUEの概略図を示す。BSは同様の構造を有し得る。2つ以上のアンテナポートと少なくとも2つの送信/受信チェーン206a~206cを有するUEは、十分なアンテナ間隔、例えば0.8ラムダ未満のアンテナ間隔を有する2つのアンテナ、例えばアンテナANT1およびANT2の組を選択して、空間ドメイン内で単一のヌルを確保し得る。
【0027】
UEは、UEからBSへのアップリンク(UL)通信のために、マルチキャリア信号、例えばOFDM信号を送信し得る。信号が各アンテナポートに供給される前に、適切な位相シフトおよび/または振幅シフトが適用され得る。これらのシフトは、各アンテナポートが送信されたマルチキャリア信号の時間ドメインと振幅の重み付けに異なる遅延を導入するように、サブキャリアおよびアンテナに依存し得る。このようにして、UEがエネルギーを送受信する方向を決定する、有効なアンテナアレイ放射パターンとも呼ばれる個別のサブキャリア依存ビームフォーマが生成される。
【0028】
例によれば、異なるアンテナポートを介して送信されるマルチキャリア信号は、次の特性を有し得る:
・マルチキャリア信号の各サブキャリアは、狭帯域ビームフォーマにマッピングされ得る。
・サブキャリア依存のビームフォーマは、スペクトルドメインで互いに直交し得るが、空間ドメインでは重複し得る。
【0029】
さらなる実施形態によれば、シフトは、サイクリック遅延ダイバーシティ(CDD)概念と同様に、異なるアンテナポートに特定の遅延を導入することにより達成され得る。基地局は、どの遅延を使用するかをUEに通知し得る。
【0030】
他の実施形態によれば、例えばコードブックを使用して、固定ビームフォーマの大きな組を生成することができ、使用されるサブセットをUEに通知することができる。例えば、コードブックは、利用可能な帯域幅に基づいてサブキャリアごとに放射方向の特定の変化を定義するために提供され得る。例えば、OFDMシンボルのような複数のシンボルの場合、マッピングをコードブックに従って変更して、BSがフラットフェーディングの影響または他のエラーの発生源を緩和するのを助けることができる。
【0031】
この実施形態によれば、ヌル方向の選択は、CSI-RSの場合と同様の方法で、すなわち、環状ドメイン内に特定のオーバーサンプリングを有するDFTベースのコードブックを使用して構築され得る定義済みコードブックから導出されると想定される。環状ドメインのヌルの構造により、オーバーサンプリング係数は増加し得る。オーバーサンプリング係数は、セル固有の特性としてBSから通知され得るか、または必要に応じて調整され得る。コードブックは、MTポイントDFTマトリックスの最初のM行を切り捨てることで構築され得るDFTベースのコードブックであり得る。
【0032】
図3(b)は、2つのアンテナを使用するときに
図3(a)のUEによって形成され得る2つのサブキャリア依存のビームフォーマを概略的に示す。ビームフォーマには、非同一のヌル方向と最大ビームコーン方向がある。ヌル方向とビームコーン方向は、BSとUE間の通信リンクの所与の/使用される信号帯域幅の空間ドメインに均等に分散され得る。他の例によれば、狭帯域ビームフォーマは、各サブキャリア信号に適切な位相および振幅の重み付けを適用するときに、空間領域全体の特定の空間ドメインのみをカバーするように設計され得る。
【0033】
ここで、BSとUEとの間の通信の最も強いまたは最も主要な鏡面反射コンポーネントを推定する実施形態を説明する。
【0034】
図4は、BSとUEとの間のULチャネルの強い鏡面反射コンポーネントを推定するためのプロセスまたは方法の一実施形態を表す流れ図である。このプロセスは、サウンディングプロセスまたは手順とも呼ばれる。
【0035】
プロセスは、推定手順またはサウンディング手順が開始されるS100で始まる。例によれば、推定は、例えば、PDCCHなどのBSとUEとの間の信号化チャネルを使用して、BSによって開始され得る。他の例によれば、推定は、推定プロセスで開始する承認のために、物理アップリンク制御チャネル(PUCCH)などの信号化チャネルを介してBSに尋ねるUEによって開始され得る。
【0036】
例えば、
図1に示すように、BSには、大規模MIMOアンテナアレイなどの複数のアンテナを装備できる。BSは、S102で、無線チャネルを介してUEからマルチキャリア信号を受信する。UEは、
図3を参照して説明したように、マルチキャリア信号を生成する。
【0037】
S104で、BSは、各サブキャリア上で、またはチャネルパスコンポーネントのすべてのサブキャリア上で共同して、到来方向(DoA)推定を実行する。例によれば、無線チャネルのパラメトリック記述が想定され、各鏡面反射パスコンポーネントは、パス依存パラメータDoAおよびDoD(出発方向)によって記述され得る。
【0038】
S106で、推定されたDoAの最初のものが選択され、S108で、選択されたDoAαに関連するチャネルコンポーネントまたは鏡面反射パスが1つの特定の単一サブキャリア上でフェードまたは消失しているかどうかがBSによって判定される。選択されたDoAαに関連するチャネルコンポーネント/鏡面反射パスがBSの特定の単一サブキャリア上でフェード/消失している場合、UE側のこの特定のサブキャリアに関連するビームフォーマ、例えば狭帯域ビームフォーマは、パラメータα、βで記述され得るこの鏡面反射パスコンポーネントの正確な出発方向(DoDβ)にそのヌルを指している。フェード/消失チャネルコンポーネント/鏡面反射パスにより、S110で、BSのDoAαおよびUEのDoDβによって記述された通信方向には、単一の強い鏡面反射コンポーネントのみが含まれることを導出する。
【0039】
S108で、選択されたDoAに対して鏡面反射パスがフェード/消失する単一のサブキャリアがないと判定された場合、S112で、選択されたDoAは通信に適さないと判定される。例えば、選択されたDoAに対して信号が複数またはすべてのサブキャリア、つまりUEの複数またはすべてのDoDのBSに対して消失する場合、この選択されたDoAは通信には適していない。また、所与のDoAに対して信号が常に存在し、信号が消失する特定のサブキャリアが存在しないか、またはBSでそのようなサブキャリアが識別され得ない場合、対応するDoAまたは通信パスは、BSの角度ドメインで区別することができないいくつかのマルチパス/鏡面反射コンポーネントの重ね合わせと見なされ、したがって、このDoAは、UEからBSへのデータ通信のような通信には適さないと見なされる。
【0040】
選択されたDoAがS108~S112で評価または処理されると、S114において、S104で推定されたすべてのDoAまたは特定数のDoAが評価または処理されたかどうかが判定される。1つ以上のDoAが残っている場合、プロセスはS116で評価されるべき次のDoAを選択し、S108~S114が繰り返される。DoAの処理が完了すると、実際の推定フェーズが終了し、BSは、ULチャネルの強い鏡面反射コンポーネントのDoAを認識し、それに応じて、例えばUEからBSへのULデータ送信のために、S118に示されるように、その複数のアンテナを通信に適応させることができる。
【0041】
さらなる実施形態によれば、BSは、S120に示されるように、強い鏡面反射コンポーネントをUEに信号送信し得る。例えば、BSは、UE側で特定のヌル出発方向に関連する強い鏡面反射コンポーネントのサブキャリアインデックスを知っていてもよく、この情報はS120でUEに送信されてもよい。この知識に基づいて、UE側で、
図4のS122に示すように、強い鏡面反射コンポーネントの方向を指す1つ以上のビームフォーマ、例えば広帯域ビームフォーマを計算できる。
【0042】
本発明のアプローチの上述の実施形態によれば、BSは、BSとUEとの間の適切な通信方向の組を導出することができ、それに応じてビームフォーマを計算することができる。UEはまた、標準チャネル推定および空間受信ビームフォーミング、例えばMMSEまたはZFを実行して、シングルおよびマルチストリーム受信のために信号を復号することができる。
【0043】
ここで、本発明の推定またはサウンディング手順のさらなる実施形態について説明する。これらの実施形態によれば、BSでは、UEからBSへの通信の通信方向を決定するために受信信号エネルギーが推定される。実施例によれば、UEは多数のアンテナを装備することができ、それにより、各サブキャリアは、信号エネルギーがメインビーム指示方向に非常に集中する単一の超狭ビームまたは鋭いビームにマッピングされ得る。そのような例では、各ビームコーンは、
(a)単一の鏡面反射パスコンポーネント、または、
(b)非常に少ないチャネルパスコンポーネント、または、
(c)パスコンポーネントなし、
に関連付けられ得る。
【0044】
サブキャリア依存のビームコーンは、BSとUEとの間の通信リンクの所与の/使用される信号帯域幅に対して空間ドメインに均等に分布され得る非同一のビーム指示方向を有し得る。他の例によれば、ビームコーンは、空間領域全体の特定の空間ドメインのみをカバーするように設計され得る。
【0045】
図5は、本発明のアプローチの実施形態に係る、BSとUEとの間の通信方向の推定のためのプロセスの流れ図を示す。S200で、例えば
図4のS100でのプロセスに関して上述したのと同様の方法で、推定プロセスが開始される。
【0046】
S202で、BSは、無線チャネルを介してUEからマルチキャリア信号を受信する。UEは、
図3を参照して上述した方法で、または鋭いビームを形成するための上述の多数のアンテナを提供することにより、マルチキャリア信号を生成することができる。
【0047】
この実施形態によれば、BSは、サブキャリア上で信号エネルギー検出を実行する。S204で、BSは、UEから受信したマルチキャリア信号のサブキャリアの各々における信号エネルギーを推定し、S206でサブキャリアのうちの1つを選択する。
【0048】
S208で、BSは、選択されたサブキャリアの推定されたエネルギーが所定の閾値以上であるかどうかを判定する。推定されたエネルギーが閾値よりも大きい場合、S210で、サブキャリアが通信に適していると判定される。より具体的には、サブキャリアで十分な信号エネルギーが検出された場合、UE側のこの特定のサブキャリアのビームフォーマは、1つ以上の鏡面反射パスコンポーネントの方向にそのエネルギーを向け、BSは対応する方向に対して、BSとUEとの間のデータ通信のような通信に利用される可能性のある1つ以上の鏡面反射パスコンポーネントが存在することを導出する。
【0049】
S206で、選択されたサブキャリアの推定されたエネルギーが所定の閾値を下回ると判定された場合、S212で、サブキャリアはデータ通信に適していないと判定される。より具体的には、選択されたサブキャリア上に有意な信号エネルギーがないことをBSが検出した場合、UE側の対応するDoDはデータ通信に適していない。
【0050】
S214では、すべてまたは一定数のサブキャリアが処理されたか否かが判定され、未処理または未評価のサブキャリアが残っている場合、S216で別のサブキャリアが選択され、S206~S212の推定が繰り返される。
【0051】
推定フェーズの後、BSは、S218で示されるように、S118で
図4を参照して上述したのと同様の方法で、強い鏡面反射コンポーネントのサブキャリアインデックスを認識し、それに従ってそのアンテナを適応させることができる。
【0052】
さらなる実施形態によれば、S220に示されるように、強い鏡面反射パスコンポーネントに関する情報をUEに信号送信またはフィードバックすることができ、UEは、S222に示されるように、それに従ってデータ送信用にUEアンテナを適応させることができる。例えば、UEは、BSからUEで受信された信号によって示される鏡面反射チャネルパスコンポーネントの方向に向けられる単一または複数のビーム、例えば広帯域ビームを形成することができる。
【0053】
さらなる実施形態によれば、BSはまた、BSの複数のアンテナを使用して、サブキャリア上でDoA推定を実行することもできる。
図5を参照して上述した信号エネルギー検出の代わりに、またはそれに加えて、DoA推定を実行してもよい。
図6は、この実施形態に係る、各サブキャリア上でBSによって実行されるDoA推定のプロセスを示す流れ図である。
【0054】
図6のプロセスは、S202~S204で
図5を参照して説明したように、推定を開始することと、BSでマルチキャリア信号を受信し、各サブキャリアで信号エネルギーを推定することを含む。
【0055】
S230で、BSは、各サブキャリアのDoAを推定し、S232でDoAを選択する。
【0056】
S234において、所定の第1の閾値以上の推定信号エネルギーを有する単一のサブキャリアが存在するかどうかが判定される。そのような単一のサブキャリアが存在する場合、S236で、1つ以上の鏡面反射パスコンポーネントが通信に適していると判定される。より具体的には、1つ以上のチャネルコンポーネント/鏡面反射パスに関連し得る選択されたDoAαについて、単一のサブキャリア上で十分なエネルギーが検出される場合、UE側のこの特定のサブキャリアのビームフォーマは、鏡面反射パスコンポーネントの正確な出発方向(DoD)βのその信号エネルギーを指示している。BSは、BSのDoAαおよびUEのDoDβによって記述される通信方向が、BSとUEとの間の通信に利用され得る1つ以上の鏡面反射パスコンポーネントを含むことを導出する。
【0057】
第1の閾値を超える推定された信号エネルギーを有する単一のサブキャリアが存在しない場合、S238で、1つ以上のチャネルコンポーネント/鏡面反射パスコンポーネントに関連する選択されたDoAαについて、複数の隣接サブキャリアに十分な信号エネルギーがあるかどうか、すなわち、複数の隣接サブキャリアの信号エネルギーが第2の閾値を超えるかどうかが判定される。第2の閾値は、第1の閾値と同じであってもよいし、第1の閾値と異なっていてもよい。
【0058】
これが当てはまる場合、S236で示されるように、それぞれのコンポーネントは通信に適していると見なされる。そうでない場合、選択されたDoAは、S240に示されるように通信には適さないと見なされる。言い換えると、1つ以上のチャネルコンポーネント/鏡面反射パスコンポーネントに関連する特定のDoAαに対して、複数の隣接するサブキャリアで十分な信号エネルギーが検出された場合、UE側の対応するビームフォーマは、データ通信に利用され得るそれぞれの鏡面反射パスコンポーネントの方向にそれらの信号エネルギーを指示している。
【0059】
選択されたDoAの評価/処理に続いて、S242で、すべてのDoAまたはS230で推定された特定の数のDoAが評価または処理されたかどうかが判定される。評価/処理する必要があるDoAが残っている場合、S244で選択された次のDoAと推定がS234~S240で繰り返される。
【0060】
推定フェーズの後、BSは無線チャネルの強い鏡面反射パスコンポーネントのサブキャリアインデックスならびにDoAを認識し、
図5を参照して説明したように、S218でBSはそれに応じてそのアンテナを適応させることができる。また、S220で示されるように、この情報はUEにフィードバックされ得る。UEは、それに従ってデータ送信用にその複数のアンテナを適応させることができる。例えば、UEは、S222で示されるように、UEにより示される鏡面反射チャネルパスコンポーネントの方向に向けられる単一または複数のビーム(広帯域ビームなど)を形成し得る。さらに、BSは、BSとUEとの間の適切な通信方向の組を導出することができる。
【0061】
実施形態によれば、サウンディング手順、例えばULサウンディングは、時間/周波数リソースにわたるスキャニングヌルを通して実施され得る。例えば、各サブキャリアは、半空間あたり1つのヌルを含むUEの有効なビームフォーマにマッピングされ得る。空間ドメイン全体は、利用可能なリソース/サブキャリアの組でカバーされ得る。
【0062】
他の実施形態によれば、サウンディング手順は、ビームフォーマ/ヌル設計を通して実施され得る。例えば、UE側に単一のヌルを含むサブキャリア依存のビームフォーマは、角度ドメイン全体の特定の角度領域をより高い密度でカバーするように設計され得る。このようにして、BSは、より高い分解能で特定の角度領域内の鏡面反射パスコンポーネントを識別することができる。
【0063】
さらに別の実施形態によれば、サウンディング手順は、3つ以上のUEアンテナによるヌル走査を使用して実施されてもよい。UEにM個のアンテナが装備されている場合、各々の可能なビームフォーマは、特定の方向にM-1個のヌルを配置できる。サブキャリア依存のビームフォーマは、M-2個のヌルを既知の方向に向けるように設計され得るため、例えば、不要な強力なマルチパスまたはLoSパスコンポーネントが除去され、無線チャネルには所望の強力な鏡面反射パスのみが残る。BSは、残りのパスコンポーネントのDoAをより高い精度で測定できる。
【0064】
この実施形態によれば、UEにおけるM>2の送信機/受信機チェーン206(
図3(a)を参照)が想定され、複数、すなわちM-1個のヌルを設定することにより追加の鏡面反射コンポーネントを除去できる。特に、上記の実施形態で説明したように、UEは、所望の方向にM-2個の静的なまたは固定したヌルを配置することができ、同時に角度ドメインをスキャンするために別のヌルを使用することができる。静的な/固定したヌルの配置は、UEと対応するBSとの間に一緒に配置することができ、つまり、2つのエンティティ間で交換される追加の信号送信/フィードバックメッセージがあり得る。他の例によれば、静的な/固定したヌルの配置は、UEによって自律的に実行され得る。
【0065】
実施形態によれば、チャネルサウンディング/推定は、データ送信を使用して実行され得る。例えば、標準参照信号を使用することができ、送信された信号にエンコードすることができる。より具体的には、推定プロセスのためにUEからBSに提供されるマルチキャリア信号は、マルチキャリア信号にエンコードされる標準参照信号を含み得る。言い換えれば、鏡面反射コンポーネント推定は、標準参照信号、すなわち、アップリンク方向のビームフォーミングされたCSI-RSまたはDMRS(DeModulation Reference Signal:復調基準信号)の形式で実行され得る。
【0066】
他の例によれば、PUSCHは、個々の/独立した鏡面反射コンポーネントが推定されるようにチャネル推定手順が変更されるので、可能なペイロードデータを搬送することを許可され得る。例えば複数のMCSレベルを使用することにより、変調および符号化方式(MCS)が堅牢な方法で選択されると仮定すると、信号対干渉プラスノイズ比(SINR)が所与のデータに対してBSで最大化されなくても、BSでのペイロードのエラーのない復号が保証され得る。
【0067】
BSによるUEへの鏡面反射コンポーネントの信号化に関して上述した実施形態では、例えば実施形態に従って、
図4および
図5のステップS116およびS216で、BSはサブキャリアインデックスを信号送信することができる。上記のように、BSは独立した鏡面反射コンポーネントの組を決定し、どのサブキャリアで所望のコンポーネントが消失したか、または単一キャリアまたは隣接キャリアで十分なエネルギーが利用可能であった場所をUEに通知する。他の実施形態によれば、BSは、UEで所望の出発角(AoD)を信号送信することができる。BSは、UEに対応する送信方向を取得し、UEに角度の組を信号送信することができる。
【0068】
さらなる実施形態によれば、単一リンクごとのUL/DL通信のランク表示が実行され得る。独立した鏡面反射コンポーネントの分析に基づいて、BSは、ロードされたデータストリームの量に、受信アンテナ、送信アンテナおよび数値sのうちの最小のもの未満の最大数sを与え得る。
【0069】
上述の実施形態では、UEからBSへのアップリンク通信の通信方向について説明したが、推定された通信方向は、BSからUEへのダウンリンク通信にも同様に使用することができる。
図7は、ダウンリンク通信の概略図であり、より具体的には、
図3~
図6の実施形態に関して上述した方法での通信方向推定に続くダウンリンク通信のためにBSによって選択される無線チャネルのパスコンポーネントのための概略図である。
図7に見られるように、BSにはUEへの直接パスがなく、上記の実施形態に従って実行され得る推定に基づいて、UEへのダウンリンク通信のための3つの方向が使用され、そのすべてがNLoSパスである。
【0070】
さらなる実施形態によれば、空間多重化は、上述の実施形態に従って推定された鏡面反射コンポーネントに基づき得る。例えば、独立した鏡面反射コンポーネントの知識を使用して、最小の送信アンテナと最小の独立した鏡面反射コンポーネントを用いた空間多重化モードでUEにサービスを提供するために、個々のデータストリームをUEに供給してもよい。サウンディング/推定は、2つのアンテナに基づくことができる。
【0071】
上述の実施形態は、BSとUEとの間の通信の文脈で説明されたが、本発明のアプローチはそのような実施形態に限定されないことに留意されたい。また、例えば2つのUE間のデバイス間通信の場合、通信方向は上記の原理に基づいて推定され得る。さらなる実施形態によれば、2つ以上の基地局間の通信についても、通信方向は上記の原理に基づいて推定され得る。
【0072】
本発明のアプローチの別の一態様によれば、推定プロセスのダイナミックレンジの拡張は、基地局によって実施され得る。基地局は、
図3および
図4を参照して説明された実施形態により決定され得るように、2つ以上のアンテナを有するUEに単一のヌルを設定するように指示することにより、追加の測定モードを開始でき、これによって直接またはLoSコンポーネントが除去され、残りのマルチパスコンポーネントのみが残る。この特定のケースでは、LoSコンポーネントが主要なコンポーネントであり、この主要なコンポーネントの除去により、BSはここで、例えば、BSでの自動ゲイン制御(AGC)の適応により、より高い分解能で他の空間/鏡面反射コンポーネントを受信および測定できる。主要なマルチパスコンポーネントに対して同様の機構を使用でき、主要なこれらのマルチパスコンポーネントが識別されると、BSはUEをトリガーして、この特定の方向に単一のヌルを設定し、残りのコンポーネントの処理をより高い分解能で可能にし得る。
【0073】
説明された概念のいくつかの態様は装置の文脈で説明されたが、これらの態様は、ブロックまたは装置が方法ステップまたは方法ステップの構成に対応する対応方法の説明も表すことは明らかである。同様に、方法ステップの文脈で説明される態様は、対応するブロックまたはアイテムまたは対応する装置の機能の説明も表す。
【0074】
本発明の様々な要素および構成は、アナログおよび/またはデジタル回路を使用するハードウェア内で、ソフトウェア内で、1つ以上の汎用または専用プロセッサによる命令の実行を通じて、またはハードウェアとソフトウェアの組み合わせとして実装することができる。例えば、本発明の実施形態は、コンピュータシステムまたは別の処理システムの環境で実施され得る。
【0075】
図8は、コンピュータシステム300の一例を示している。ユニットまたはモジュール、ならびにこれらのユニットによって実行される方法のステップは、1つ以上のコンピュータシステム300上で実行することができる。コンピュータシステム300は、特殊目的または汎用デジタル信号プロセッサのような1つ以上のプロセッサ302を含む。プロセッサ302は、バスまたはネットワークのような通信インフラストラクチャ304に接続されている。コンピュータシステム300は、例えばランダムアクセスメモリ(RAM)などのメインメモリ306と、例えばハードディスクドライブおよび/またはリムーバブルストレージドライブなどの二次メモリ308とを含む。
【0076】
二次メモリ308は、コンピュータプログラムまたは他の命令がコンピュータシステム300にロードされることを可能にし得る。コンピュータシステム300は、ソフトウェアおよびデータがコンピュータシステム300と外部装置との間で転送されることを可能にする通信インターフェース310をさらに含み得る。通信は、電子、電磁気、光学、または通信インターフェースで処理できるその他の信号の形式をとることができる。通信は、ワイヤまたはケーブル、光ファイバー、電話回線、携帯電話リンク、RFリンク、およびその他の通信チャネル312を使用できる。
【0077】
「コンピュータプログラム媒体」および「コンピュータ可読媒体」という用語は、一般的に、リムーバブルストレージユニットまたはハードディスクドライブにインストールされたハードディスクなどの有形の記憶媒体を指すために使用される。これらのコンピュータプログラム製品は、ソフトウェアをコンピュータシステム300に提供するための手段である。コンピュータ制御ロジックとも呼ばれるコンピュータプログラムは、メインメモリ306および/または二次メモリ308に格納される。コンピュータプログラムはまた、通信インターフェース310を介して受信され得る。コンピュータプログラムは、実行されると、コンピュータシステム300が本発明を実施することを可能にする。
【0078】
特に、コンピュータプログラムは、実行されると、本明細書に記載の方法のいずれかなどの本発明のプロセスをプロセッサ302が実施できるようにする。したがって、そのようなコンピュータプログラムは、コンピュータシステム300のコントローラを表し得る。本開示がソフトウェアを使用して実装される場合、ソフトウェアは、コンピュータプログラム製品に格納され、リムーバブルストレージドライブ、通信インターフェース310のようなインターフェースを使用してコンピュータシステム300にロードされ得る。
【0079】
ハードウェアまたはソフトウェアでの実装は、それぞれの方法が実行されるようにプログラミング可能なコンピュータシステムと協働する(または協働することができる)電子的に読み取り可能な制御信号が格納されたデジタル記憶媒体、例えばクラウドストレージ、フロッピーディスク、DVD、ブルーレイ、CD、ROM、PROM、EPROM、EEPROM、またはフラッシュメモリを使用して実行できる。したがって、デジタル記憶媒体はコンピュータで読み取り可能であり得る。
【0080】
本発明に係るいくつかの実施形態は、本明細書に記載の方法のうちの1つが実行されるように、プログラミング可能なコンピュータシステムと協働することができる電子的に読み取り可能な制御信号を有するデータキャリアを含む。
【0081】
一般的に、本発明の実施形態は、プログラムコードを備えたコンピュータプログラム製品として実装することができ、プログラムコードは、コンピュータプログラム製品がコンピュータ上で実行されるときに本方法のうちの1つを実行するように動作する。プログラムコードは、例えば、機械読み取り可能なキャリアに保存され得る。
【0082】
他の実施形態は、機械読み取り可能なキャリアに保存された、本明細書に記載の方法のうちの1つを実行するためのコンピュータプログラムを含む。したがって、言い換えれば、本発明の方法の一実施形態は、コンピュータプログラムがコンピュータ上で実行されるときに、本明細書に記載の方法のうちの1つを実行するためのプログラムコードを有するコンピュータプログラムである。
【0083】
したがって、本発明の方法のさらなる一実施形態は、本明細書に記載の方法のうちの1つを実行するためのコンピュータプログラムを含み、それを内部に記録したデータキャリア(またはデジタル記憶媒体、またはコンピュータ可読媒体)である。したがって、本発明の方法のさらなる一実施形態は、本明細書に記載の方法のうちの1つを実行するためのコンピュータプログラムを表すデータストリームまたは信号シーケンスである。データストリームまたは信号シーケンスは、データ通信接続を介して(例えば、インターネットを介して)転送されるように構成され得る。
【0084】
さらなる一実施形態は、本明細書に記載の方法のうちの1つを実行するように構成または適応された処理手段、例えばコンピュータ、またはプログラマブルロジックデバイスを含む。さらなる一実施形態は、本明細書に記載の方法のうちの1つを実行するためのコンピュータプログラムを内部にインストールしたコンピュータを含む。
【0085】
いくつかの実施形態では、プログラマブルロジックデバイス(例えば、フィールドプログラマブルゲートアレイ)を使用して、本明細書に記載の方法の機能の一部またはすべてを実行することができる。いくつかの実施形態では、フィールドプログラマブルゲートアレイは、本明細書に記載の方法のうちの1つを実行するためにマイクロプロセッサと協働することができる。一般的に、これらの方法は、任意のハードウェア装置によって実行されることが好ましい。
【0086】
上述の実施形態は、本発明の原理の単なる例示である。本明細書に記載の構成および詳細の修正および変更は、他の当業者には明らかであろうことが理解される。したがって、本明細書の実施形態の記述および説明として提示される特定の詳細によってではなく、以下の特許請求の範囲によってのみ制限されることが意図されている。
【0087】
本発明は、以下の第1態様から第31態様としてもよい。
【0088】
第1態様は、装置(BS、UE)であって、無線チャネルを介してマルチアンテナ送信機(UE)からマルチキャリア信号を受信するように構成された、複数のアンテナを有するアンテナアレイであって、マルチキャリア信号は、少なくとも2つのサブキャリアを有し、各サブキャリアは、送信機(UE、BS)でそれぞれのサブキャリアビームフォーマへマッピングされ、それぞれのサブキャリアビームフォーマは非同一のヌルおよびビームコーン方向を有するアンテナアレイと、装置(BS)と送信機(UE)との間の無線信号通信(BS-UE、UE-BS)の通信方向を識別するように構成されたプロセッサであって、通信方向は、ヌルまたはサブキャリアビームフォーマの最大値に関連する無線チャネルの1つ以上の鏡面反射パスコンポーネントに基づいて識別されるプロセッサとを含む装置(BS、UE)である。
【0089】
第2態様は、第1態様において、プロセッサは、サブキャリアの各々の無線チャネルの鏡面反射パスコンポーネントの到来方向(DoA)を決定し、特定のDoAに関連する鏡面反射パスコンポーネントが単一のサブキャリアでフェード/消失している場合、無線信号通信(BS-UE、UE-BS)の通信方向として特定のDoAを決定するように構成される。
【0090】
第3態様は、第2態様において、プロセッサは、特定のDoAに関連する鏡面反射パスコンポーネントが複数またはすべてのサブキャリアでフェード/消失するか、または複数またはすべてのサブキャリアに存在する場合、特定のDoAが送信機(UE)との無線信号通信(BS-UE、UE-BS)に適していないことを決定するように構成される。
【0091】
第4態様は、第2態様または第3態様において、プロセッサは、第1の閾値に基づいてサブキャリア上の鏡面反射パスコンポーネントのフェード/消失を検出し、第2の閾値に基づいてサブキャリア上の鏡面反射パスコンポーネントの存在を検出し、第1の閾値と第2の閾値は同じまたは異なるように構成される。
【0092】
第5態様は、第1態様において、プロセッサは、サブキャリアの各々で無線チャネルの鏡面反射パスコンポーネントの信号エネルギーを検出し、検出された信号エネルギーが特定のサブキャリア上で第1の閾値に達するかまたは超えた場合、無線信号通信(BS-UE、UE-BS)の通信方向として、特定のサブキャリアのサブキャリアビームフォーマがその信号エネルギーを指す方向(DoD)を識別するように構成される。
【0093】
第6態様は、第5態様において、プロセッサは、検出された信号エネルギーが特定のサブキャリア上の第2の閾値を下回る場合、特定のサブキャリアのサブキャリアビームフォーマがその信号エネルギーを指す特定の方向(DoD)を無線信号通信(BS-UE、UE-BSに適していないと識別するように構成される。
【0094】
第7態様は、第5態様または第6態様において、プロセッサは、サブキャリアの各々の無線チャネルの鏡面反射パスコンポーネントの到来方向(DoA)を決定し、特定のDoAに関連する1つ以上の鏡面反射パスコンポーネントで、検出された信号エネルギーが、単一のサブキャリア上で、または複数の隣接サブキャリア上で、第1の閾値に到達するか、またはそれを超える場合、無線信号通信(BS-UE、UE-BS)の通信方向として特定のDoAを決定するように構成される。
【0095】
第8態様は、第5~7態様のいずれかにおいて、第1の閾値以上の信号エネルギーは、送信機(UE)側のサブキャリアビームフォーマの最大値の方向に信号エネルギーが向けられていることを示す。
【0096】
第9態様は、第1~8態様のいずれかにおいて、プロセッサは、識別された通信方向に従って無線信号ビームフォーマを計算するように構成される。
【0097】
第10態様は、第1~9態様のいずれかにおいて、プロセッサは、識別された通信方向に従って送信機(UE)が無線信号ビームフォーマを計算可能にするために、識別された通信方向を送信機(UE)に信号送信するように構成される。
【0098】
第11態様は、第10態様において、プロセッサは、特定のDoAに関連する鏡面反射パスコンポーネントがフェード/消失したサブキャリア、または検出された信号エネルギーが第1の閾値に到達した、またはそれを超えたサブキャリアに関する情報を送信機(UE)へ信号送信するか、または、送信機(UE)の送信方向を取得し、送信機に一連の角度を信号送信するか、または、無線チャネルの鏡面反射パスコンポーネントの分析に応じて、通信に使用されるデータストリームの最大数を信号送信するように構成される。
【0099】
第12態様は、第1~11態様のいずれかにおいて、プロセッサは、マルチキャリア信号の送信を開始するように送信機(UE)に信号送信することにより、通信方向の識別を開始するか、または、送信機(UE)からの信号に応答して、通信方向の識別を開始するように構成される。
【0100】
第13態様は、第12態様において、信号送信は、装置によってトリガーされるときに、PDCCHを使用するか、または送信機(UE)によってトリガーされるときに、PUCCHを使用する。
【0101】
第14態様は、装置(UE、BS)であって、少なくとも2つのサブキャリアを有するマルチキャリア信号を受信機(BS)に無線チャネルを介して送信するように構成された、複数のアンテナを有するアンテナアレイと、マルチキャリア信号の各サブキャリアをそれぞれのサブキャリアビームフォーマにマッピングするように構成され、それぞれのサブキャリアビームフォーマが非同一のヌルおよびビームコーン方向を有するプロセッサとを含み、装置(BS)と送信機(UE)との間の無線信号通信(BS-UE、UE-BS)の通信方向を識別する受信機(BS、UE)からの信号に応答して、プロセッサは識別された通信方向に従って無線信号ビームフォーマを計算するように構成される装置(UE、BS)である。
【0102】
第15態様は、第14態様において、プロセッサは、アンテナアレイの角度ドメイン全体にわたって、各サブキャリアを単一のヌルを有するサブキャリアビームフォーマにマッピングするか、または、アンテナアレイの角度ドメイン全体の特定の角度領域にわたって、各サブキャリアを単一のヌルを有するサブキャリアビームフォーマにマッピングするか、または、各サブキャリアまたは各グループのサブキャリアを、特定の方向にM-1個のヌルを有するサブキャリアビームフォーマにマッピングし、アンテナアレイのうちのM個のアンテナが利用されるように構成されるか、または、利用可能な帯域幅に基づいて、サブキャリアごとに放射方向の特定の変化を定義するコードブックが提供される。
【0103】
第16態様は、第14態様または第15態様において、マルチキャリア信号は標準参照信号を含む。
【0104】
第17態様は、第14~16態様のいずれかにおいて、無線信号通信(BS-UE、UE-BS)のための通信方向の識別に続いて、プロセッサは、パイロット信号を使用することなく受信機(BS)と通信するように構成される。
【0105】
第18態様は、第14~17態様のいずれかにおいて、無線信号通信の通信方向を識別するプロセスのために、プロセッサは、(1)第1のステップで、受信機(BS)から標準参照信号に基づく通信方向の第1の推定値を受信するようにマルチキャリア信号を送信し、(2)第2のステップで、受信機(BS)から通信方向の第2の推定値を受信するようにマルチキャリア信号を送信し、第1の推定値は第2の推定値よりも粗いように構成される。
【0106】
第19態様は、第14~18態様のいずれかにおいて、プロセッサは、PUCCHがペイロードデータを搬送することを可能にするように構成されている。
【0107】
第20態様は、装置(BS、UE)であって、無線チャネルを介して送信機(UE、BS)からマルチキャリア信号を受信するように構成された、複数のアンテナを有するアンテナアレイであって、マルチキャリア信号は、少なくとも2つのサブキャリアを有し、各サブキャリアは、送信機(UE、BS)でそれぞれのサブキャリアビームフォーマへマッピングされ、それぞれのサブキャリアビームフォーマは非同一のヌルおよびビームコーン方向を有するアンテナアレイと、ヌルまたはサブキャリアビームフォーマの最大値に関連する無線チャネルの1つ以上の主要な鏡面反射パスコンポーネントを識別し、マルチキャリア信号内の1つ以上の主要なパスコンポーネントが除去されるようにサブキャリアビームフォーマを調整するように送信機に信号送信するプロセッサとを含む装置(BS、UE)である。
【0108】
第21態様は、第20態様において、1つ以上の主要なパスコンポーネントを除去することにより、装置は、より高い分解能で残りのパスコンポーネントを受信/処理する。
【0109】
第22態様は、第20態様または第21態様において、1つ以上の主要なパスコンポーネントは、直接LOSパスコンポーネントおよび/または信号エネルギーが減少する信号を搬送する1つ以上の鏡面反射パスコンポーネントを含む。
【0110】
第23態様は、第20~22態様のいずれかにおいて、プロセッサは、第1~19態様で定義されたような方法で1つ以上の主要なパスコンポーネントを決定するように構成される。
【0111】
第24態様は、第1~13態様のいずれか、または、第20~23態様のいずれかの装置を含む送信機(UE/BS)と、第14~19態様のいずれかに記載の装置を含む受信機(BS/UE)とを含むシステムである。
【0112】
第25態様は、第24態様において、無線通信ネットワーク、セルラーネットワーク、無線ローカルエリアネットワーク、または無線センサーシステムを含む。
【0113】
第26態様は、第24態様または第25態様において、送信機および/または受信機は、モバイル端末、IoTデバイス、または基地局を含む群から選択される。
【0114】
第27態様は、第24~26態様のいずれかにおいて、通信は、IFFT(逆高速フーリエ変換)ベースの信号を使用し、IFFTベースの信号は、CPを含むOFDM、CPを含むDFT-s-OFDM、CPを含まないIFFTベースの波形、f-OFDM、FBMC、GFDM、またはUFMCを含む。
【0115】
第28態様は、無線チャネルを介して送信機(UE)からマルチキャリア信号を受信することであって、マルチキャリア信号は少なくとも2つのサブキャリアを有し、各サブキャリアは送信機(UE)でそれぞれのサブキャリアビームフォーマにマッピングされ、それぞれのサブキャリアビームフォーマは、非同一のヌルおよびビームコーン方向を有する、受信することと、装置(BS)と送信機(UE)との間の無線信号通信(BS-UE、UE-BS)の通信方向を識別することであって、通信方向は、ヌルまたはサブキャリアビームフォーマの最大値に関連する無線チャネルの1つ以上の鏡面反射パスコンポーネントに基づいて識別される、識別することとを含む方法である。
【0116】
第29態様は、無線チャネルを介して少なくとも2つのサブキャリアを有するマルチキャリア信号を受信機(BS)に送信することであって、マルチキャリア信号の各サブキャリアはそれぞれのサブキャリアビームフォーマにマッピングされ、それぞれのサブキャリアビームフォーマは同一ではないヌルおよびビームコーン方向を有する、送信することと、受信機(BS)からの信号に応答して、装置(BS)と送信機(UE)との間の無線信号通信(BS-UE、UE-BS)の通信方向を識別し、識別された通信方向に従って無線信号ビームフォーマを計算することとを含む方法である。
【0117】
第30態様は、受信機(BS)で無線チャネルを介して送信機(UE)からマルチキャリア信号を受信することであって、マルチキャリア信号は少なくとも2つのサブキャリアを有し、各サブキャリアは送信機(UE)でそれぞれのサブキャリアビームフォーマにマッピングされ、それぞれのサブキャリアビームフォーマは非同一のヌルおよびビームコーン方向を有する、受信することと、受信機(BS)で、ヌルまたはサブキャリアビームフォーマの最大値に関連する無線チャネルの1つ以上の主要な鏡面反射パスコンポーネントを識別することと、送信機に信号送信し、マルチキャリア信号内の1つ以上の主要なパスコンポーネントが除去されるようにサブキャリアビームフォーマを調整することとを含む方法である。
【0118】
第31態様は、コンピュータ上で実行されると、第28~30態様のいずれか一個に記載の方法を実行する命令を格納するコンピュータ可読媒体を含む非一時的コンピュータプログラム製品である。