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特許7407894ハイブリッドエネルギー貯蔵システムの制御方法、装置及び電子機器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-21
(45)【発行日】2024-01-04
(54)【発明の名称】ハイブリッドエネルギー貯蔵システムの制御方法、装置及び電子機器
(51)【国際特許分類】
   H02J 3/46 20060101AFI20231222BHJP
   H02J 3/38 20060101ALI20231222BHJP
   H02J 3/32 20060101ALI20231222BHJP
   H02J 3/00 20060101ALI20231222BHJP
【FI】
H02J3/46
H02J3/38 160
H02J3/38 130
H02J3/32
H02J3/00 170
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2022182942
(22)【出願日】2022-11-15
【審査請求日】2022-11-15
(31)【優先権主張番号】202210794962.3
(32)【優先日】2022-07-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】520414480
【氏名又は名称】中国長江三峡集団有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100137338
【弁理士】
【氏名又は名称】辻田 朋子
(72)【発明者】
【氏名】李 楽穎
(72)【発明者】
【氏名】鄒 祖冰
(72)【発明者】
【氏名】劉 瑞闊
(72)【発明者】
【氏名】谷 ▲ユウ▼君
(72)【発明者】
【氏名】李 偉
(72)【発明者】
【氏名】姚 維為
【審査官】岩井 一央
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第110535177(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第108429287(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第103595068(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第114548607(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0233679(US,A1)
【文献】特表2015-520599(JP,A)
【文献】特開2015-080378(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 3/00-5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハイブリッドエネルギー貯蔵システムの制御方法であって、
現在時点における風力・太陽光出力電力を取得し、前記風力・太陽光出力電力に基づいて風力・太陽光出力電力変動を平滑化するためのハイブリッドエネルギー貯蔵システムの平滑化出力電力を計算するステップと、
現在時点におけるグリッド周波数変化量を取得し、前記グリッド周波数変化量に基づいてハイブリッドエネルギー貯蔵システムの周波数変調出力電力を計算するステップと、
前記平滑化出力電力と前記周波数変調出力電力とを融合してエネルギー貯蔵総出力電力を得るステップと、
前記エネルギー貯蔵総出力電力を前記ハイブリッドエネルギー貯蔵システムの異なるエネルギー貯蔵ユニットの特性に従って分解し、分解後の出力電力を対応するエネルギー貯蔵ユニットに割り当てることによって、異なるエネルギー貯蔵素子は割り当てられた出力電力に従って現在時点において出力を行うステップと、を含み、
前記風力・太陽光出力電力に基づいて風力・太陽光出力電力変動を平滑化するためのハイブリッドエネルギー貯蔵システムの平滑化出力電力を計算する前記ステップは、前記風力・太陽光出力電力をローパスフィルタリングして系統連携点の実際のニーズを表す系統連携電力を得るステップと、前記系統連携電力を最適化するステップと、前記風力・太陽光出力電力と最適化後の系統連携電力との差を計算し、得た差を前記平滑化出力電力とするステップと、を含み、
前記系統連携電力を最適化する前記ステップは、現在時点における系統連携電力変動範囲に基づいて目的関数を作成するステップと、前記目的関数に基づいて前記系統連携電力を最適化するステップと、を含み、
現在時点における系統連携電力変動範囲に基づいて目的関数を作成する前記ステップは、それぞれ現在時点における系統連携電力変動範囲、ハイブリッドエネルギー貯蔵システムの出力サイズ、電力システムに応答したハイブリッドエネルギー貯蔵システムの周波数オフセット量、電力システムに応答したハイブリッドエネルギー貯蔵システムの周波数変化率及び次の時点における風力・太陽光出力電力変動範囲に対してサブ目的関数を作成するステップと、各サブ目的関数を前記目的関数に組み合わせるステップと、を含む、ことを特徴とするハイブリッドエネルギー貯蔵システムの制御方法。
【請求項2】
前記目的関数に基づいて前記系統連携電力を最適化する前記ステップは、
前記系統連携電力に基づいて複数の候補系統連携電力を初期化するステップと、
前記目的関数を食虫植物アルゴリズムの適応度関数として前記複数の候補系統連携電力に対して食虫植物アルゴリズムによる最適化を行い、前記複数の候補系統連携電力から最適系統連携電力を見つけるステップと、を含む、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ハイブリッドエネルギー貯蔵システムのエネルギー貯蔵ユニットはリチウムイオン電池及びスーパーキャパシタを含む、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記エネルギー貯蔵総出力電力を前記ハイブリッドエネルギー貯蔵システムの異なるエネルギー貯蔵ユニットの特性に従って分解し、分解後の出力電力を対応するエネルギー貯蔵ユニットに割り当てる前記ステップは、
前記エネルギー貯蔵総出力電力を低周波成分及び高周波成分に分解するステップと、
前記低周波成分を前記リチウムイオン電池に割り当て、前記高周波成分を前記スーパーキャパシタに割り当てるステップと、を含む、ことを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
ハイブリッドエネルギー貯蔵システムの制御装置であって、
現在時点における風力・太陽光出力電力を取得し、前記風力・太陽光出力電力に基づいて風力・太陽光出力電力変動を平滑化するためのハイブリッドエネルギー貯蔵システムの平滑化出力電力を計算するための平滑化出力モジュールと、
現在時点におけるグリッド周波数変化量を取得し、前記グリッド周波数変化量に基づいてハイブリッドエネルギー貯蔵システムの周波数変調出力電力を計算するための一次周波数変調出力モジュールと、
前記平滑化出力電力と前記周波数変調出力電力とを融合してエネルギー貯蔵総出力電力を得るためのエネルギー貯蔵システム総出力モジュールと、
前記エネルギー貯蔵総出力電力を前記ハイブリッドエネルギー貯蔵システムの異なるエネルギー貯蔵ユニットの特性に従って分解し、分解後の出力電力を対応するエネルギー貯蔵ユニットに割り当てることによって、異なるエネルギー貯蔵素子は割り当てられた出力電力に従って現在時点において出力を行うための出力割り当てモジュールと、を備え、
前記風力・太陽光出力電力に基づいて風力・太陽光出力電力変動を平滑化するためのハイブリッドエネルギー貯蔵システムの平滑化出力電力を計算することは、前記風力・太陽光出力電力をローパスフィルタリングして系統連携点の実際のニーズを表す系統連携電力を得ることと、前記系統連携電力を最適化することと、前記風力・太陽光出力電力と最適化後の系統連携電力との差を計算し、得た差を前記平滑化出力電力とすることと、を含み、
前記系統連携電力を最適化することは、現在時点における系統連携電力変動範囲に基づいて目的関数を作成することと、前記目的関数に基づいて前記系統連携電力を最適化することと、を含み、
現在時点における系統連携電力変動範囲に基づいて目的関数を作成することは、それぞれ現在時点における系統連携電力変動範囲、ハイブリッドエネルギー貯蔵システムの出力サイズ、電力システムに応答したハイブリッドエネルギー貯蔵システムの周波数オフセット量、電力システムに応答したハイブリッドエネルギー貯蔵システムの周波数変化率及び次の時点における風力・太陽光出力電力変動範囲に対してサブ目的関数を作成することと、各サブ目的関数を前記目的関数に組み合わせることと、を含む、ことを特徴とするハイブリッドエネルギー貯蔵システムの制御装置。
【請求項6】
電子機器であって、メモリ及びプロセッサを備え、前記メモリと前記プロセッサは互いに通信可能に接続され、前記メモリにはコンピュータ命令が記憶されており、前記プロセッサは前記コンピュータ命令を実行することによって請求項1~4のいずれか一項に記載の方法を実行する、ことを特徴とする電子機器。
【請求項7】
コンピュータ可読記憶媒体であって、前記コンピュータに請求項1~4のいずれか一項に記載の方法を実行させるためのコンピュータ命令が記憶されている、ことを特徴とするコンピュータ可読記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は風力・太陽光発電の分野に関し、具体的には、ハイブリッドエネルギー貯蔵システムの制御方法、装置及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
風力・太陽光発電の新エネルギー発電所の進歩に伴い、風力・太陽光発電による系統連系の影響を解決するために、ハイブリッドエネルギー貯蔵システムは風力・太陽光発電分野に広く使用されている。風速、太陽光に不確実性があるため、風力発電と太陽光発電出力には非常に大きなランダム性、変動性及び間欠性がある。最初に、全系統容量に対する風力・太陽光設備容量の割合が小さい場合、風力・太陽光出力の変動はグリッドに悪影響を与えることがないが、グリッドに連系する風力・太陽光容量の継続的な増加に伴い、電力システムの安全及び安定的な運転に対するランダム性、変動性及び間欠性等の風力・太陽光出力特性の影響がますます大きくなり、元の電気エネルギーの品質が大幅に低下し、それによって風力・太陽光の変動は風力・太陽光出力電力の変動を引き起こし、電力の変動はさらにグリッドの周波数変動を引き起こす。その後、ハイブリッドエネルギー貯蔵システム(複数種の異なるエネルギー貯蔵ユニットを組み合わせてなるエネルギー貯蔵システム)に基づく風力・太陽光電力の変動平滑化及び一次周波数変調の技術は発展した。しかしながら、従来技術は、ハイブリッドエネルギー貯蔵システムによって単独で風力・太陽光発電出力電力の平滑化を行う、又はハイブリッドエネルギー貯蔵システムによって単独でグリッドの一次周波数変調に関与するものに過ぎず、上記2つの問題を総合的に解決できるハイブリッドエネルギー貯蔵システムの制御方法がいまだにない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
この事情に鑑みて、本発明の実施形態は、ハイブリッドエネルギー貯蔵システムの制御方法、装置及び電子機器を提供し、それによって風力・太陽光出力電力の平滑化とグリッドの一次周波数変調を総合的に行う機能を実現する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
第1態様によれば、本発明の実施例はハイブリッドエネルギー貯蔵システムの制御方法を提供し、前記方法は、現在時点における風力・太陽光出力電力を取得し、前記風力・太陽光出力電力に基づいて風力・太陽光出力電力変動を平滑化するためのハイブリッドエネルギー貯蔵システムの平滑化出力電力を計算するステップと、現在時点におけるグリッド周波数変化量を取得し、前記グリッド周波数変化量に基づいてハイブリッドエネルギー貯蔵システムの周波数変調出力電力を計算するステップと、前記平滑化出力電力と前記周波数変調出力電力とを融合してエネルギー貯蔵総出力電力を得るステップと、前記エネルギー貯蔵総出力電力を前記ハイブリッドエネルギー貯蔵システムの異なるエネルギー貯蔵ユニットの特性に従って分解し、分解後の出力電力を対応するエネルギー貯蔵ユニットに割り当てることによって、異なるエネルギー貯蔵素子は割り当てられた出力電力に従って現在時点において出力を行うステップと、を含む。
【0005】
選択可能に、前記風力・太陽光出力電力に基づいて風力・太陽光出力電力変動を平滑化するためのハイブリッドエネルギー貯蔵システムの平滑化出力電力を計算する前記ステップは、前記風力・太陽光出力電力をローパスフィルタリングして系統連系点の実際のニーズを表す系統連系電力を得るステップと、前記系統連系電力を最適化するステップと、前記風力・太陽光出力電力と最適化後の系統連系電力との差を計算し、得た差を前記平滑化出力電力とするステップと、を含む。
【0006】
選択可能に、前記系統連系電力を最適化する前記ステップは、現在時点における系統連系電力変動範囲に基づいて目的関数を作成するステップと、前記目的関数に基づいて前記系統連系電力を最適化するステップと、を含む。
【0007】
選択可能に、現在時点における系統連系電力変動範囲に基づいて目的関数を作成する前記ステップは、それぞれ現在時点における系統連系電力変動範囲、ハイブリッドエネルギー貯蔵システムの出力サイズ、電力システムに応答したハイブリッドエネルギー貯蔵システムの周波数オフセット量、電力システムに応答したハイブリッドエネルギー貯蔵システムの周波数変化率及び次の時点における風力・太陽光出力電力変動範囲に対してサブ目的関数を作成するステップと、各サブ目的関数を前記目的関数に組み合わせるステップと、を含む。
【0008】
選択可能に、前記目的関数に基づいて前記系統連系電力を最適化する前記ステップは、前記系統連系電力に基づいて複数の候補系統連系電力を初期化するステップと、前記目的関数を食虫植物アルゴリズムの適応度関数として前記複数の候補系統連系電力に対して食虫植物アルゴリズムによる最適化を行い、前記複数の候補系統連系電力から最適系統連系電力を見つけるステップと、を含む。
【0009】
選択可能に、前記ハイブリッドエネルギー貯蔵システムのエネルギー貯蔵ユニットはリチウムイオン電池及びスーパーキャパシタを含む。
【0010】
選択可能に、前記エネルギー貯蔵総出力電力を前記ハイブリッドエネルギー貯蔵システムの異なるエネルギー貯蔵ユニットの特性に従って分解し、分解後の出力電力を対応するエネルギー貯蔵ユニットに割り当てる前記ステップは、前記エネルギー貯蔵総出力電力を低周波成分及び高周波成分に分解するステップと、前記低周波成分を前記リチウムイオン電池に割り当て、前記高周波成分を前記スーパーキャパシタに割り当てるステップと、を含む。
【0011】
第2態様によれば、本発明の実施例は、ハイブリッドエネルギー貯蔵システムの制御装置を提供し、前記装置は、現在時点における風力・太陽光出力電力を取得し、前記風力・太陽光出力電力に基づいて風力・太陽光出力電力変動を平滑化するためのハイブリッドエネルギー貯蔵システムの平滑化出力電力を計算するための平滑化出力モジュールと、現在時点におけるグリッド周波数変化量を取得し、前記グリッド周波数変化量に基づいてハイブリッドエネルギー貯蔵システムの周波数変調出力電力を計算するための一次周波数変調出力モジュールと、前記平滑化出力電力と前記周波数変調出力電力とを融合してエネルギー貯蔵総出力電力を得るためのエネルギー貯蔵システム総出力モジュールと、前記エネルギー貯蔵総出力電力を前記ハイブリッドエネルギー貯蔵システムの異なるエネルギー貯蔵ユニットの特性に従って分解し、分解後の出力電力を対応するエネルギー貯蔵ユニットに割り当てることによって、異なるエネルギー貯蔵素子は割り当てられた出力電力に従って現在時点において出力を行うための出力割り当てモジュールと、を備える。
【0012】
第3態様によれば、本発明の実施例は電子機器を提供し、メモリ及びプロセッサを備え、前記メモリと前記プロセッサは互いに通信可能に接続され、前記メモリにはコンピュータ命令が記憶されており、前記プロセッサは前記コンピュータ命令を実行することによって、第1態様、又は第1態様のいずれかの選択可能な実施形態に記載の方法を実行する。
【0013】
第4態様によれば、本発明の実施例はコンピュータ可読記憶媒体を提供し、前記コンピュータ可読記憶媒体には前記コンピュータに第1態様、又は第1態様のいずれかの選択可能な実施形態に記載の方法を実行させるためのコンピュータ命令が記憶されている。
【発明の効果】
【0014】
本願に係る技術案は以下の利点を有する。
【0015】
本願に係る技術案は、まず、現在時点における風力発電と太陽光発電の総風力・太陽光出力電力を取得し、次に、風力・太陽光出力電力に基づいて風力・太陽光出力電力変動を平滑化するためのハイブリッドエネルギー貯蔵システムの平滑化出力電力を算出し、その後、現在時点におけるグリッド周波数変化量に基づいてハイブリッドエネルギー貯蔵システムの周波数変調出力電力を算出する。上記ハイブリッドエネルギー貯蔵システムの2つの出力を得た後、風力・太陽光出力の平滑化と一次周波数変調の問題を同時に解決するために、本発明の実施例は、平滑化出力電力と周波数変調出力電力とを融合してエネルギー貯蔵システムのエネルギー貯蔵総出力電力を得る。さらにハイブリッドエネルギー貯蔵システムの異なるエネルギー貯蔵ユニット(例えば、蓄電池及びスーパーキャパシタ)の特性に従ってエネルギー貯蔵総出力電力を複数の部分に分解し、最後に分解後の複数の出力電力を対応するエネルギー貯蔵ユニットに割り当てることによって、異なるエネルギー貯蔵素子は割り当てられた出力電力に従って現在時点において出力を行い、それによって風力・太陽光出力電力の平滑化と一次周波数変調を両立させる目的を達成する。
【0016】
また、平滑化出力電力を計算する際に中間項「系統連系電力」が言及されており、本発明の実施例はさらに系統連系電力変動範囲、ハイブリッドエネルギー貯蔵システムの出力サイズ、電力システムに応答したハイブリッドエネルギー貯蔵システムの周波数オフセット量、電力システムに応答したハイブリッドエネルギー貯蔵システムの周波数変化率及び次の時点における風力・太陽光出力電力変動範囲で作成された目的関数によって系統連系電力を最適化し、それによって平滑化出力電力の正確率を向上させ、さらにハイブリッドエネルギー貯蔵システムが各エネルギー貯蔵ユニットに割り当てられた出力電力を制御する正確率をさらに向上させる。
【0017】
図面を参照することによって本発明の特徴及び利点をより明確に理解でき、図面は例示的なものであり、本発明を限定しないと理解すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の一実施形態におけるハイブリッドエネルギー貯蔵システムの制御方法のステップの模式図である。
図2】本発明の一実施形態におけるハイブリッドエネルギー貯蔵システムの制御方法の模式的フローチャートである。
図3】本発明の一実施形態における系統連系電力の最適化の模式的フローチャートである。
図4】本発明の一実施形態におけるハイブリッドエネルギー貯蔵システムの制御装置の構造模式図である。
図5】本発明の一実施形態における電子機器の構造模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の実施形態の目的、技術案及び利点をより明確にするために、以下、本発明の実施形態の図面を参照しながら本発明の実施形態の技術案を明確かつ完全に説明し、明らかなように、説明される実施形態は本発明の一部の実施形態であり、すべての実施形態ではない。本発明の実施形態に基づいて当業者が創造的な労働をせずに得るほかの実施形態は、すべて本発明の保護範囲に属する。
【0020】
図1及び図2に示すように、一実施形態では、ハイブリッドエネルギー貯蔵システムの制御方法は、具体的には、以下のステップS101~S104を含む。
【0021】
ステップS101:現在時点における風力・太陽光出力電力を取得し、風力・太陽光出力電力に基づいて風力・太陽光出力電力変動を平滑化するためのハイブリッドエネルギー貯蔵システムの平滑化出力電力を計算する。
【0022】
ステップS102:現在時点におけるグリッド周波数変化量を取得し、グリッド周波数変化量に基づいてハイブリッドエネルギー貯蔵システムの周波数変調出力電力を計算する。
【0023】
ステップS103:平滑化出力電力と周波数変調出力電力とを融合してエネルギー貯蔵総出力電力を得る。
【0024】
ステップS104:エネルギー貯蔵総出力電力をハイブリッドエネルギー貯蔵システムの異なるエネルギー貯蔵ユニットの特性に従って分解し、分解後の出力電力を対応するエネルギー貯蔵ユニットに割り当てることによって、異なるエネルギー貯蔵素子は割り当てられた出力電力に従って現在時点において出力を行う。
【0025】
具体的には、本実施例では、まず、風力発電と太陽光発電が合計で実際に出力する風力・太陽光出力電力である風力発電と太陽光発電との出力電力の和を取得し、式は以下の通りである。
【0026】
ΔP(t)=P(t)-P(t-1)
(t)=P(t)+P(t)
【0027】
式中、ΔP(t)は風力・太陽光出力電力変化量であり、風力・太陽光出力電力P(t)は風力発電出力電力P(t)と太陽光発電出力電力P(t)とからなり、P(t)とP(t-1)はそれぞれ時点tと時点t-1における風力・太陽光出力電力である。
【0028】
グリッドの実際に必要な電力(系統連系電力)が風力・太陽光出力電力が完全に等しくないため、風力・太陽光出力電力の変動を平滑化することでハイブリッドエネルギー貯蔵システムによって足りない電力を補充したり余分な電力を吸収したりし、即ち、風力・太陽光出力電力に基づいてハイブリッドエネルギー貯蔵システムの平滑化出力電力PHS1(t)を算出する。その後、さらにグリッドの周波数変化量に基づいて、グリッド周波数を安定させるためのエネルギー貯蔵システムの周波数変調出力電力を算出し、計算式は以下の通りである。
【0029】
【0030】
式中、PHS2(t)は風力・太陽光システムにおける一次周波数変調機能を担う必要がある周波数変調出力電力であり、Rは差動係数であり、Δfは現在時点と前の時点における周波数変化量であり、
は現在時点における周波数の時間tに関する導関数である。
【0031】
本実施例では、ハイブリッドエネルギー貯蔵システムが風力・太陽光出力の平滑化と一次周波数変調の問題を同時に解決することを実現するために、まず、上記平滑化出力電力と周波数変調出力電力とを合計エネルギー貯蔵総出力電力に融合し、次にハイブリッドエネルギー貯蔵システムの素子の特性に従ってエネルギー貯蔵総出力電力を複数の部分に分解し、ハイブリッドエネルギー貯蔵システムの各エネルギー貯蔵ユニットに割り当て、それによってハイブリッドエネルギー貯蔵システムに対する制御を実現する。ハイブリッドエネルギー貯蔵システムには様々な形態があり、一般的なハイブリッドエネルギー貯蔵システムにはリチウム電池、フローレドックス電池、フライホイールエネルギー貯蔵、スーパーキャパシタ等の素子の複数種の組合せがあり、異なるタイプにはそれぞれの特性があり、そのコスト及び解決できる問題も異なる。
【0032】
本発明の実施例では、ハイブリッドエネルギー貯蔵システムはリチウムイオン電池とスーパーキャパシタとの組合せを選択し、リチウム電池の利点はエネルギー密度が高く、サイクル特性に優れ、充電時間が短いことであるが、リチウム電池の高性能は安全性を犠牲にするものであり、性能が高いほど、化学的安定性が低く、安全性が低い。スーパーキャパシタは概念的には電池/電池のハイブリッドエネルギー貯蔵システムと類似し、高速応答の電力バーストを提供し、放電強度が低く、持続時間が長い電池を補充することに使用でき、スーパーキャパシタはより長い動作寿命があり、且つより短い充電時間がある。これに基づいて、本実施例はローパスフィルタリング法によってエネルギー貯蔵総出力電力を高周波成分及び低周波成分に分解し、その後、低周波成分をリチウムイオン電池に割り当て、高周波成分をスーパーキャパシタに割り当てる。それによって、平滑化出力電力と周波数変調処理電力の総合的かつ合理的な割り当てを実現し、ハイブリッドエネルギー貯蔵システムを制御して風力・太陽光出力電力の平滑化と一次周波数変調の問題を総合的に解決する。具体的な割り当ての式は以下の通りである。
【0033】
【0034】
式中、エネルギー貯蔵総出力電力PHS(t)=PHS1(t)+PHS2(t)である。低周波成分はリチウムイオン電池の出力目標値P(t)、高周波成分はスーパーキャパシタの出力目標値PSC(t)、τはフィルタリング時間定数である。
【0035】
具体的には、一実施例では、上記ステップS101は具体的には、以下のステップ1~3を含む。
【0036】
ステップ1:風力・太陽光出力電力をローパスフィルタリングして系統連系点の実際のニーズを表す系統連系電力を得る。
【0037】
ステップ2:系統連系電力を最適化する。
【0038】
ステップ3:風力・太陽光出力電力と最適化後の系統連系電力との差を計算し、得た差を平滑化出力電力とする。
【0039】
具体的には、従来技術では、通常、ハイブリッドエネルギー貯蔵システムの平滑化出力電力を計算する際にもローパスフィルタリング法を使用し、風力・太陽光出力電力を低周波成分及び高周波成分に分解し、低周波成分はグリッドの実際のニーズとしての系統連系電力であり、高周波成分は平滑化出力電力とする。ローパスフィルタリングアルゴリズムのフィルタリング関数は以下の式の通りであり、式中、PHS1(n)は今回の平滑化出力電力のサンプリング出力値であり、PHS1(n-1)は前回の平滑化出力電力のサンプリング出力値であり、P(n)は風力・太陽光出力電力の今回のサンプリング値であり、aはフィルタリング係数である。
【0040】
【0041】
しかし、ローパスフィルタリングアルゴリズムのみを使用して算出された系統連系電力は実用化時の正確性が向上する余裕がまだあり、従って、本実施例はさらに目的関数を作成することによって系統連系電力を最適化し、それによって系統連系電力によって平滑化出力電力を計算する場合、平滑化出力電力の正確性をさらに向上させることができる。
【0042】
本発明の実施例では、目的関数を作成するステップは具体的には以下の通りである。
【0043】
1.それぞれ現在時点における系統連系電力変動範囲、ハイブリッドエネルギー貯蔵システムの出力サイズ、電力システムに応答したハイブリッドエネルギー貯蔵システムの周波数オフセット量、電力システムに応答したハイブリッドエネルギー貯蔵システムの周波数変化率及び次の時点における風力・太陽光出力電力変動範囲に対してサブ目的関数を作成する。
【0044】
2.各サブ目的関数を目的関数に組み合わせる。
【0045】
具体的には、上記5つの表現式(サブ目的関数)によって目的関数を総合的に作成し、それによって系統連系電力の変動ができるだけ小さく、ハイブリッドエネルギー貯蔵システムの出力もできるだけ小さく、電力システムに応答したハイブリッドエネルギー貯蔵システムの周波数オフセット量、電力システムに応答したハイブリッドエネルギー貯蔵システムの周波数変化率及び次の時点における風力・太陽光出力電力変動範囲がいずれもできるだけ小さいことを確保し、上記各サブ目的関数が特定の安定状態に達すると、最適な系統連系電力を算出できる。作成された目的関数の表現式は以下の通りである。
【0046】
系統連系電力変動が許容範囲内にあることを目的とする目的関数Iを確立する。
【0047】
=k[P(t)-P(t-1)]
【0048】
ハイブリッドエネルギー貯蔵出力の最小化を目的とする目的関数Iを確立する。
【0049】
=k[P(t)-P(t)]
【0050】
電力システムに応答したハイブリッドエネルギー貯蔵システムの周波数オフセット量を目的とする目的関数Iを確立する。
【0051】
【0052】
電力システムに応答したハイブリッドエネルギー貯蔵システムの周波数変化率を目的とする目的関数Iを確立する。
【0053】
【0054】
次の時点における風力・太陽光出力電力変動範囲の目的関数Iを確立する。
【0055】
=k[P(t+1)-P(t)]+k[P(t+1)-P(t+1)]
【0056】
目的関数Iは上記サブ目的関数の和である。
【0057】
I=I+I+I+I+I+I
【0058】
式中、k、k、k、kはそれぞれ各変数の計算パラメータであり、P(t+i)は予測される風力・太陽光出力電力であり、P(t)は現在の系統連系電力であり、P(t+1)は予測される系統連系電力であり、Rは差動係数である。
【0059】
その後、上記目的関数に基づいて勾配降下法、最小二乗法等の最適化アルゴリズムを使用して系統連系電力を最適化し、最適な系統連系電力を算出することができる。
【0060】
具体的には、図3に示すように、一実施例では、目的関数によって系統連系電力を最適化するステップは具体的には以下の通りである。
【0061】
ステップ4:系統連系電力に基づいて複数の候補系統連系電力を初期化する。
【0062】
ステップ5:目的関数を食虫植物アルゴリズムの適応度関数として複数の候補系統連系電力に対して食虫植物アルゴリズムによる最適化を行い、複数の候補系統連系電力から最適な系統連系電力を見つける。
【0063】
具体的には、本実施例では、2020年に新たに提案された食虫植物アルゴリズムを使用して上記目的関数Iと組み合わせて最適な系統連系電力を求め、該方法は従来の勾配降下法等の最適化アルゴリズムよりも評価回数が少なく、グローバル最適化能力を向上させ、従来のアルゴリズムでは局所的最適が生じやすく、収束速度が遅く、検索精度が低いという問題を解決し、それによって系統連系電力の正確性をさらに向上させる。そのステップは具体的には以下の通りである。
【0064】
1.グループ内反復回数groupiter、最大反復回数max_iter、誘引率attraction_rate、成長率growth_rate、繁殖率reproduction_rate、食虫植物数nC Plant及び獲物数n Preyを定義する。
【0065】
2.ローパスフィルタリングに基づいて系統連系電力を算出し、ランダムに生成された個体数がn、次元がdの個体群を初期化する。各個体(ランダムに初期化された系統連系電力)の位置は以下の行列で表される。
【0066】
【0067】
式中、nは食虫植物数nC Plantと獲物数n Preyとの合計であり、dは次元であり、即ち、各個体における変数の数であり、各個体は以下の式を使用してランダム初期化を行う(本実施例では、初期化されたすべての個体から繰り返し反復して最適な個体、即ち最適な系統連系電力を見つける)。
【0068】
individuali,j=Lb+(Ub-Lb)×rand
【0069】
式中、LbとUbはそれぞれ検索ドメインの下限と上限であり、即ち、独立変数の最小値と最大値であり、i∈[1,2,…,n]、j∈[1,2,…,d]であり、randは[1,0]にある乱数である。
【0070】
3.上記目的関数Iを用いて各個体の適応度値を計算して評価する。i番目の個体に対して、各行(即ち、すべての次元)を適応度関数の入力とすることによって適応度値を評価し、算出した適応度値は下記行列に格納される。
【0071】
【0072】
4.食虫植物と獲物を分類する
【0073】
個体群中の各個体を適応度値の昇順でソートし、最適個体g*を第1位の食虫植物として見つけ、上位nC Plant個の個体を食虫植物として分類し、残りのn Prey個の個体を獲物として分類する。ソート後の行列はSortedFitとSortedPopに示される。
【0074】
【0075】
【0076】
5.食虫植物と獲物に対してグループ分けを行う。グループ分け過程では、適応度値が最も高い獲物を第1位の食虫植物に割り当て、以下同様に、第2位と第3位の獲物はそれぞれ第2位と第3位の食虫植物に属する(ただし、食虫植物の数は獲物の数よりも小さい)。第nC Plant位の獲物を第n Prey位の食虫植物に割り当てるまで該過程を繰り返し、このとき、余分な獲物がまだあり、その後、第nC Plant+1位の獲物を第1位の食虫植物に割り当て、第nC Plant+2位の獲物を第2位の食虫植物に割り当て、すべての獲物の割り当てが完了するまで繰り返す。最終的には、各グループには1個の食虫植物のみがあり、獲物数は2個以上である。
【0077】
6.食虫食物と獲物の成長過程を模擬する。CPi,yは第i位の食虫植物であり、各グループから1個の獲物Preyv,jをランダムに選択し、randi,yはランダムに生成された0~1の数値である。グループ内の反復回数に達するまで、それぞれ各グループに対応する誘引率(誘引率は所定値であり、通常、0.8に設定される)と乱数とを比較する。誘引率が乱数randi,yよりも大きいと、式(1)に従って新たな食虫植物を形成し、誘引率が乱数randi,yよりも小さいと、式(2)に従って新たな獲物を形成し、Preyu,jはi番目の個体群からランダムに選択されたもう1個の獲物である。
【0078】
NewCPi,j=growth×CPi,j+(1-growth)×Preyv,j (1)
【0079】
growth=growth_rate×randi,y
【0080】
NewPreyi,j=growth×Preyu,j+(1-growth)×Preyv,j,u|≠v (2)
【0081】
【0082】
式中、growth_rateは所定値であり、f()は目的関数Iである。
【0083】
7.最適食虫植物の繁殖過程を模擬する。第1位の食虫植物、即ち個体群中の最適解だけは繁殖可能である。繁殖過程では、各次元jに対して1個の食虫植物vをランダムに選択し、最適食虫植物を用いた繁殖モデルは式(3)であり、各個体群に対して最適食虫植物に基づいて新たな食虫植物を生成し、CPi,jは最適解であり、CPv,jはランダムに選択された食虫植物である。
【0084】
NewCPi,j=CPi,j+Reproduction_rate×randi,j×matei,j (3)
【0085】
【0086】
8.新たに生成された各食虫植物と獲物に対して目的関数Iを使用して適応度評価を行う。
【0087】
9.新たに生成された食虫植物及び獲物を初期個体群と合併して、次元が[n+nC Plant×(group_iter+nC Plant)]×dの新たな個体群を得て、即ち、新たな個体群には、n個の元の個体、(nC Plant×group_iter)個の新たに生産された個体及び(nC Plant)個の新たな繁殖個体がある。
【0088】
10.新たな個体群中の各個体を適応度値の昇順でソートし、上位n個の個体を選択して次世代に入らせ、即ち、上位n個の個体を新たな候補解として選択し、それによって個体群のサイズが変化しないことを確保する。
【0089】
11.ステップ4に戻り、最大反復回数max_iterに達するまで反復計算を行う。最大反復回数に達した後、現在の最適解g*を出力し、即ち、時点tにおける最適な系統連系電力を出力し、風力・太陽光出力電力と組み合わせてハイブリッドエネルギー貯蔵の最適な運転スキームを得る。
【0090】
上記ステップによって、本願に係る技術案は、まず、現在時点における風力発電と太陽光発電の総風力・太陽光出力電力を取得し、次に、風力・太陽光出力電力に基づいて風力・太陽光出力電力変動を平滑化するためのハイブリッドエネルギー貯蔵システムの平滑化出力電力を算出し、その後、現在時点におけるグリッド周波数変化量に基づいてハイブリッドエネルギー貯蔵システムの周波数変調出力電力を算出する。上記ハイブリッドエネルギー貯蔵システムの2つの出力を得た後、風力・太陽光出力の平滑化と一次周波数変調の問題を同時に解決するために、本発明の実施例は、平滑化出力電力と周波数変調出力電力とを融合してエネルギー貯蔵システムのエネルギー貯蔵総出力電力を得る。さらにハイブリッドエネルギー貯蔵システムの異なるエネルギー貯蔵ユニット(例えば、蓄電池及びスーパーキャパシタ)の特性に従ってエネルギー貯蔵総出力電力を複数の部分に分解し、最後に分解後の複数の出力電力を対応するエネルギー貯蔵ユニットに割り当てることによって、異なるエネルギー貯蔵素子は割り当てられた出力電力に従って現在時点において出力を行い、それによって風力・太陽光出力電力の平滑化と一次周波数変調を両立させる。本願に係る技術案は、ハイブリッドエネルギー貯蔵設備に基づいて、風力・太陽光電力変動の平滑化と補助システム周波数変調とを協調的に制御することで、電力システムに対する風力・太陽光電力変動の影響を軽減させるだけでなく、ある程度一次周波数変調能力を有し、電力システムの安定を維持し、電力システムの電力需給バランスを確保することに新しいアイディアを提供する。
【0091】
また、平滑化出力電力を計算する際に中間項「系統連系電力」が言及されており、本発明の実施例はさらに系統連系電力変動範囲、ハイブリッドエネルギー貯蔵システムの出力サイズ、電力システムに応答したハイブリッドエネルギー貯蔵システムの周波数オフセット量、電力システムに応答したハイブリッドエネルギー貯蔵システムの周波数変化率及び次の時点における風力・太陽光出力電力変動範囲で作成された目的関数によって系統連系電力を最適化し、それによって平滑化出力電力の正確率を向上させ、さらにハイブリッドエネルギー貯蔵システムが各エネルギー貯蔵ユニットに割り当てられた出力電力を制御する正確率をさらに向上させる。
【0092】
図4に示すように、本実施例はハイブリッドエネルギー貯蔵システムの制御装置をさらに提供し、該装置は、平滑化出力モジュール101、一次周波数変調出力モジュール102、エネルギー貯蔵システム総出力モジュール103、及び出力割り当てモジュール104を備える。
【0093】
平滑化出力モジュール101は、現在時点における風力・太陽光出力電力を取得し、風力・太陽光出力電力に基づいて風力・太陽光出力電力変動を平滑化するためのハイブリッドエネルギー貯蔵システムの平滑化出力電力を計算するために用いられる。詳細は上記方法実施例のステップS101の関連説明を参照すればよく、ここでは重複説明を省略する。
【0094】
一次周波数変調出力モジュール102は、現在時点におけるグリッド周波数変化量を取得し、グリッド周波数変化量に基づいてハイブリッドエネルギー貯蔵システムの周波数変調出力電力を計算するために用いられる。詳細は上記方法実施例のステップS102の関連説明を参照すればよく、ここでは重複説明を省略する。
【0095】
エネルギー貯蔵システム総出力モジュール103は、平滑化出力電力と周波数変調出力電力とを融合してエネルギー貯蔵総出力電力を得るために用いられる。詳細は上記方法実施例のステップS103の関連説明を参照すればよく、ここでは重複説明を省略する。
【0096】
出力割り当てモジュール104は、エネルギー貯蔵総出力電力をハイブリッドエネルギー貯蔵システムの異なるエネルギー貯蔵ユニットの特性に従って分解し、分解後の出力電力を対応するエネルギー貯蔵ユニットに割り当てることによって、異なるエネルギー貯蔵素子は割り当てられた出力電力に従って現在時点において出力を行うために用いられる。詳細は上記方法実施例のステップS104の関連説明を参照すればよく、ここでは重複説明を省略する。
【0097】
本発明の実施例に係るハイブリッドエネルギー貯蔵システムの制御装置は、上記実施例に係るハイブリッドエネルギー貯蔵システムの制御方法を実行するために用いられ、その実現形態及び原理が同じであり、詳細は上記方法実施例の関連説明を参照すればよく、重複説明を省略する。
【0098】
上記各構成要素の協働によって、本願に係る技術案は、まず、現在時点における風力発電と太陽光発電の総風力・太陽光出力電力を取得し、次に、風力・太陽光出力電力に基づいて風力・太陽光出力電力変動を平滑化するためのハイブリッドエネルギー貯蔵システムの平滑化出力電力を算出し、その後、現在時点におけるグリッド周波数変化量に基づいてハイブリッドエネルギー貯蔵システムの周波数変調出力電力を算出する。上記ハイブリッドエネルギー貯蔵システムの2つの出力を得た後、風力・太陽光出力の平滑化と一次周波数変調の問題を同時に解決するために、本発明の実施例は、平滑化出力電力と周波数変調出力電力とを融合してエネルギー貯蔵システムのエネルギー貯蔵総出力電力を得る。さらにハイブリッドエネルギー貯蔵システムの異なるエネルギー貯蔵ユニット(例えば、蓄電池及びスーパーキャパシタ)の特性に従ってエネルギー貯蔵総出力電力を複数の部分に分解し、最後に分解後の複数の出力電力を対応するエネルギー貯蔵ユニットに割り当てることによって、異なるエネルギー貯蔵素子は割り当てられた出力電力に従って現在時点において出力を行い、それによって風力・太陽光出力電力の平滑化と一次周波数変調を両立させる目的を達成する。
【0099】
また、平滑化出力電力を計算する際に中間項「系統連系電力」が言及されており、本発明の実施例はさらに系統連系電力変動範囲、ハイブリッドエネルギー貯蔵システムの出力サイズ、電力システムに応答したハイブリッドエネルギー貯蔵システムの周波数オフセット量、電力システムに応答したハイブリッドエネルギー貯蔵システムの周波数変化率及び次の時点における風力・太陽光出力電力変動範囲で作成された目的関数によって系統連系電力を最適化し、それによって平滑化出力電力の正確率を向上させ、さらにハイブリッドエネルギー貯蔵システムが各エネルギー貯蔵ユニットに割り当てられた出力電力を制御する正確率をさらに向上させる。
【0100】
図5は本発明の実施例における電子機器を示し、該機器はプロセッサ901及びメモリ902を備え、バス又はほかの形態によって接続されてもよく、図5では、バスによる接続を例とする。
【0101】
プロセッサ901は中央処理装置(Central Processing Unit、CPU)であり得る。プロセッサ901はさらにほかの汎用プロセッサ、デジタル信号プロセッサ(Digital Signal Processor、DSP)、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit、ASIC)、フィールドプログラマブルドアアレイ(Field-Programmable Gate Array、FPGA)又はほかのプログラマブルロジックデバイス、ディスクリートゲート又はトランジスタロジックデバイス、ディスクリートハードウェアユニット等のチップ、又は上記様々なチップの組合せもあり得る。
【0102】
メモリ902は非一時的コンピュータ可読記憶媒体として、非一時的ソフトウェアプログラム、非一時的コンピュータ実行可能プログラム及びモジュール、例えば上記方法実施例の方法に対応するプログラム命令/モジュールを記憶するために用いられ得る。プロセッサ901はメモリ902に記憶されている非一時的ソフトウェアプログラム、命令及びモジュールを実行することによって、プロセッサの様々な機能応用及びデータ処理を実行し、即ち上記方法実施例における方法を実現する。
【0103】
メモリ902はプログラム記憶領域及びデータ記憶領域を含んでもよく、プログラム記憶領域はオペレーティングシステム、少なくとも1つの機能に必要なアプリケーションプログラムを記憶でき、データ記憶領域はプロセッサ901により作成されたデータ等を記憶できる。また、メモリ902は高速ランダムアクセスメモリを含んでもよく、例えば、少なくとも1つのディスク記憶デバイス、フラッシュデバイス、又はほかの非一時的ソリッドステートメモリデバイスのような非一時的メモリをさらに含んでもよい。いくつかの実施例では、メモリ902は選択可能にプロセッサ901に対して遠隔に設置されるメモリを含み、これらの遠隔メモリはネットワークを介してプロセッサ901に接続され得る。上記ネットワークの例はインターネット、企業イントラネット、ローカルエリアネットワーク、モバイル通信ネットワーク及びそれらの組合せを含むが、それらに限定されない。
【0104】
1つ又は複数のモジュールはメモリ902に記憶され、プロセッサ901により実行されると、上記方法実施例における方法を実行する。
【0105】
上記電子機器の詳細は対応して上記方法実施例の対応する関連説明及び効果を参照して理解すればよく、ここでは詳細説明を省略する。
【0106】
当業者が理解できるように、上記実施例方法のすべて又は一部のプロセスを実現することは、コンピュータプログラムによって関連ハードウェアに命令を出すことによって行われてもよく、実現されるプログラムはコンピュータ読み取り可能記憶媒体に記憶されてもよく、該プログラムは実行されると、上記各方法の実施例のプロセスを含んでもよい。記憶媒体は磁気ディスク、光ディスク、読み出し専用メモリ(Read-Only Memory、ROM)、ランダムアクセスメモリ(Random Access Memory、RAM)、フラッシュメモリ(Flash Memory)、ハードディスクドライブ(Hard Disk Drive、略称:HDD)又はソリッドステートドライブ(Solid-State Drive、SSD)等であってもよく、記憶媒体は上記種類のメモリの組合せを含んでもよい。
【0107】
図面を参照しながら本発明の実施例を説明したが、当業者は本発明の趣旨及び範囲を逸脱せずに様々な変更や変形を行うことができ、このような変更や変形はいずれも添付の特許請求の範囲に定められる範囲に属する。

【要約】      (修正有)
【課題】本発明はハイブリッドエネルギー貯蔵システムの制御方法、装置及び電子機器を開示し、風力・太陽光出力電力の平滑化とグリッドの一次周波数変調を総合的に行う機能を実現するハイブリッドエネルギー貯蔵システムの制御方法、装置及び電子機器を提供する。
【解決手段】方法は、現在時点における風力・太陽光出力電力を取得し、風力・太陽光出力電力に基づいて風力・太陽光出力電力変動を平滑化するための平滑化出力電力を計算し、現在時点におけるグリッド周波数変化量を取得し、グリッド周波数変化量に基づいて周波数変調出力電力を計算し、平滑化出力電力と周波数変調出力電力とを融合してエネルギー貯蔵総出力電力を得て、エネルギー貯蔵総出力電力を分解し、分解後の出力電力を対応するエネルギー貯蔵ユニットに割り当てることによって、異なるエネルギー貯蔵素子に割り当てられた出力電力に従って現在時点において出力を行う。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5