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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-21
(45)【発行日】2024-01-04
(54)【発明の名称】防災機器の設置補助システム
(51)【国際特許分類】
   G06T 7/00 20170101AFI20231222BHJP
   G06T 19/00 20110101ALI20231222BHJP
【FI】
G06T7/00 350B
G06T19/00 600
G06T7/00 600
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2022206105
(22)【出願日】2022-12-23
【審査請求日】2023-08-02
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000233826
【氏名又は名称】能美防災株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001461
【氏名又は名称】弁理士法人きさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】川添 智由
【審査官】伊知地 和之
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第110958332(CN,A)
【文献】特開2011-059810(JP,A)
【文献】特開2021-064356(JP,A)
【文献】特開2020-170280(JP,A)
【文献】国際公開第2022/071208(WO,A1)
【文献】特開2021-177312(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 7/00
G06T 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
防災機器が設置された場所の画像の入力を受け付ける画像入力部と、
前記画像から前記防災機器を抽出する抽出部と、
前記防災機器と当該防災機器の設置基準とを対応づけて記憶した第1データベースと、
抽出された前記防災機器が、前記第1データベースで対応づけられた前記設置基準を満たしているか否かを判定する判定部と、
前記判定部の判定結果に基づいて、抽出された前記防災機器の設置に関する問題及び改善のいずれか又は両方に関する情報である設置補助情報を表示する表示部と
前記防災機器とその設置に関する設置情報とを対応づけて記憶した第2データベースから、前記抽出部によって抽出された前記防災機器に関連する前記設置情報を検索する検索部とを備え、
前記表示部は、前記検索部の検索結果に基づいて、前記設置情報を表示する
防災機器の設置補助システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防災機器の設置補助システムに関する。
【背景技術】
【0002】
火災又は地震等の災害の報知、避難、又は初期対応など身を守るための防災機器又は設備として、消火栓又は消火器等の消火設備、自動火災報知設備又は住宅用火災警報器等の警報設備、若しくは避難はしご又は誘導灯等の避難設備等、様々なものがある。防災機器等が設置された後においても、その防災機器等が災害時に適切に使用されるように、防災機器等の設置状況の適切さ及び防災機器の状態等を定期的に点検することが望まれる。
【0003】
各種防災機器の中には、消防法で定期点検が義務づけられているものがあり、例えば消火設備は、年2回の定期点検が義務づけられている。例えば特許文献1には、インターネット上の機器と通信接続可能なスマートメーターを備え、定期点検等に伴う設備動作の状況から設備の劣化度合等の状態を判定して報知可能とする消火設備の管理システムが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2022-144879号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載された消火設備又は他の自動火災報知設備など、公共施設又は商業施設に設置される防災機器等は、専門の点検作業者によって定期的に点検される。専門の点検業者は、防災機器及びその設置に関する知識が豊富であるため、特許文献1に例示されているようなシステムの協力を得ながら、点検業者自身の知識に基づいて点検作業を行うことができる。
【0006】
ところが、公共施設又は商業施設の防災機器とは異なり、家庭内に設置される防災機器の維持管理は、専門の点検業者ではない一般のユーザにて行わねばならないケースも多い。一般のユーザは、必ずしも防災機器及びその設置に関する知識が豊富ではないため、防災機器の適切な設置が困難な場合がある。また、施工業者による設置時には適切な設置状態にあった防災機器も、防災機器以外の什器又は機器等の環境の変化により、設置状態が不適切ともなりうるが、ユーザが防災機器及びその設置に関する知識に乏しい場合には、その不適切さに気づくのが困難である。
【0007】
本発明は、上記のような課題を背景としてなされたものであり、防災機器及びその設置に関する知識に乏しいユーザによる防災機器の設置を支援することのできる防災機器の設置補助システムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る防災機器の設置補助システムは、防災機器が設置された場所の画像の入力を受け付ける画像入力部と、前記画像から前記防災機器を抽出する抽出部と、前記防災機器と当該防災機器の設置基準とを対応づけて記憶した第1データベースと、抽出された前記防災機器が、前記第1データベースで対応づけられた前記設置基準を満たしているか否かを判定する判定部と、前記判定部の判定結果に基づいて、抽出された前記防災機器の設置に関する問題及び改善のいずれか又は両方に関する情報である設置補助情報を表示する表示部と、前記防災機器とその設置に関する設置情報とを対応づけて記憶した第2データベースから、前記抽出部によって抽出された前記防災機器に関連する前記設置情報を検索する検索部とを備え、前記表示部は、前記検索部の検索結果に基づいて、前記設置情報を表示するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、防災機器が設置された場所の画像から抽出された防災機器が設置基準を満たしているか否かを判定し、判定結果に基づいて防災機器の設置に関する問題及び改善のいずれか又は両方を表示する。このため、防災機器及びその設置に関する知識に乏しいユーザにおいても、防災機器をより適切に設置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施の形態1に係る防災機器の設置補助システムの機能ブロック図である。
図2】実施の形態1に係る防災機器の設置補助システムのシステム構成例を示す図である。
図3】実施の形態1に係る防災機器の設置補助システムの動作例を示すフローチャートである。
図4】実施の形態1に係る防災機器の設置補助システムの表示例を説明する図である。
図5】実施の形態1に係る防災機器の設置補助システムによる設置補助情報の表示例を説明する図である。
図6】実施の形態1に係る防災機器の設置補助システムによる設置情報の表示例を説明する図である。
図7】実施の形態2に係る防災機器の設置補助システムによる設置補助情報の表示例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、本発明は、以下の実施の形態に示す構成のうち、組合せ可能な構成のあらゆる組合せを含むものである。また、図面に示す装置は、本発明の装置の一例を示すものであり、図面に示された装置によって本発明の装置が限定されるものではない。また、各図において、同一の符号を付したものは、同一の又はこれに相当するものであり、これは明細書の全文において共通している。
【0012】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る防災機器の設置補助システム10の機能ブロック図である。防災機器の設置補助システム10(以下、設置補助システム10と称する)は、防災機器が設置された場所の画像である対象画像20から防災機器を抽出し、抽出された防災機器の設置に関する問題及び改善のいずれか又は両方に関する情報を表示することで、設置状況および設置場所の適否を確認するシステムである。
【0013】
設置補助システム10は、画像入力部11と、抽出部12と、判定部13と、検索部14と、表示部15と、第1データベース16と、第2データベース17と、学習データ記憶部18とを備える。
【0014】
画像入力部11は、対象画像20の入力を受け付ける。ここで、対象画像20は、防災機器が設置された場所の画像である。画像入力部11は、現実空間を撮影して対象画像20を得るカメラ、他の装置から送信された対象画像20を受信する通信回路、又はストレージに保存された対象画像20を読み出す処理回路等によって実現される。画像入力部11は、入力された対象画像20を、抽出部12に送る。
【0015】
抽出部12は、対象画像20から防災機器を抽出する。本実施の形態の抽出部12は、機能部として、画像データ取得部121と、画像抽出部122とを備える。画像データ取得部121は、画像入力部11から送られた対象画像20を取得する。画像抽出部122は、画像データ取得部121が取得した対象画像20から、画像認識によって、防災機器及び対象画像20に含まれるその他の機器等の物体を抽出する。画像抽出部122は、対象画像20に含まれる各種物体の輪郭を識別する等の公知の抽出技術を用いることによって、防災機器等の物体を抽出する。
【0016】
さらに、画像抽出部122は、機械学習によって防災機器等の物体の抽出を行ってもよい。図1の例では、画像抽出部122は、学習データ記憶部18に記憶された学習用データを用いた画像認識モデルにより、防災機器の抽出を行う。画像抽出部122は、学習済みの画像認識モデルを有しており、抽出対象の防災機器が含まれる対象画像20が入力されると、画像認識モデルを用いて対象画像20に含まれる防災機器を認識する。また、画像抽出部122は、画像入力部11によって入力された対象画像20を学習用データとして学習データ記憶部18に記憶させて新たな教師データとし、画像認識モデルを更新する。
【0017】
判定部13は、抽出部12によって抽出された対象画像20中の防災機器が、設置基準を満たしているか否かを判定する。さらに本実施の形態の判定部13は、防災機器が設置基準を満たしていない場合に、設置基準を満たしていない理由、すなわち設置に関する問題と、その問題の改善方法を判定する。具体的に、判定部13は、対象画像20から抽出された防災機器が、設置基準を満たしているか否か、設置に関する問題及びその改善方法を、第1データベース16を照合することによって判定する。
【0018】
ここで、第1データベース16は、複数種類の防災機器と、各防災機器が満たすべき設置基準と、設置基準を満たさない場合の問題点と、問題点の改善方法とを対応づけて記憶している。設置基準は、例えば建築法又は消防法等で定められた基準であり、防災機器がその機能を発揮するために満たすべき、設置に関する基準である。問題点は、本実施の形態では、満たされていない設置基準である。改善方法は、満たされていない設置基準を満たすようにするための改善方法である。なお、本実施の形態では、第1データベース16が問題点とその改善方法の両方を記憶する例を説明するが、問題点と改善方法のいずれか一方のみが記憶されていてもよく、その場合、記憶されている情報が後述する表示部15によって表示される。
【0019】
検索部14は、抽出部12によって抽出された対象画像20中の防災機器の設置に関する情報を、第2データベース17から検索する。ここで、第2データベース17は、防災機器と、その設置に関する設置情報とを対応づけて記憶している。設置情報とは、防災機器を設置するにあたって参照される情報であり、例えば、建築法又は消防法等の関連法令、設置する際の注意点、設置手順、設置後の点検ポイント等の情報である。
【0020】
表示部15は、判定部13での判定結果に基づいて、抽出部12にて抽出された防災機器の設置に関する問題及び改善のいずれか又は両方に関する情報である設置補助情報を表示する。さらに本実施の形態の表示部15は、検索部14によって検索された防災機器の設置情報を併せて表示する。表示部15は、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、電子ペーパー等の表示装置を備える。
【0021】
表示部15は、画像入力部11によって入力された防災機器の画像に重ねて、設置補助情報を表示してもよい。また表示部15は、CCDイメージセンサ、又はCMOSイメージセンサ等の撮影装置によって撮影された現実空間の画像と設置補助情報を重ねて、拡張現実(AR:Augmented Reality)表示を行ってもよい。
【0022】
第1データベース16、第2データベース17及び学習データ記憶部18は、例えば、RAM、ROM、フラッシュメモリ、EPROM、EEPROM等の、不揮発性または揮発性の半導体メモリに記憶される。
【0023】
図2は、実施の形態1に係る防災機器の設置補助システム10のシステム構成例を示す図である。図2(A)は、端末40と、ネットワーク42を介して端末40と接続されたサーバ41とを有するサーバ-クライアントシステムによって、設置補助システム10を構成する例を示している。端末40は、例えばスマートフォン、タブレット端末、パーソナルコンピュータ、ヘッドマウントディスプレイ、ウェアラブル端末等であり、ディスプレイ等の表示装置を備えた装置である。サーバ41は、中央処理装置(CPU)、MPU(Micro Processing Unit)又はGPU(Graphics Processing Unit)等のプロセッサを備え、このプロセッサがストレージに記憶されたプログラムコードに従って動作することにより、各種機能を実現する。設置補助システム10には、複数台のサーバ41が設けられていてもよい。ネットワーク42は、有線通信又は無線通信により端末40とサーバ41とを通信接続する。図2(A)に示すように設置補助システム10がサーバ-クライアントシステムによって実現される場合、図1に示した各機能部は、端末40とサーバ41とによって分散して実行される。例えば、端末40にて画像入力部11及び表示部15が実現され、サーバ41にて抽出部12、判定部13、検索部14、第1データベース16、第2データベース17及び学習データ記憶部18が実現される。なお、ユーザが使用する端末40に表示部15が設けられていればよく、設置補助システム10の表示部15を除く機能部は、端末40によって実現されてもよいし、サーバ41によって実現されてもよい。
【0024】
図2(B)に示すように、設置補助システム10は、単独で動作するスタンドアロン型の端末40によって構成されてもよい。この場合、端末40によって、図1に示した各機能部が実現される。
【0025】
図3は、実施の形態1に係る防災機器の設置補助システム10の動作例を示すフローチャートである。画像入力部11によって対象画像20が入力されると(ステップS1)、認定部(図示なし)が、対象画像20に写される防災機器が何の機器であるかを画像処理し、その機器の輪郭等から、対象画像20に写される防災機器を判別する。そして抽出部12によって防災機器の抽出処理が行われる(ステップS2)。防災機器が抽出された場合には(ステップS3:YES)、ステップS4に進み、防災機器が抽出されなかった場合には(ステップS3:NO)、ステップS8に進む。
【0026】
対象画像20において防災機器が抽出されると(ステップS3:YES)、判定部13によって防災機器が設置基準を満たしているか否かを判定する設置判定処理が行われる(ステップS4)。防災機器が設置基準を満たしている場合には(ステップS5:YES)、処理を終了し、防災機器が設置基準を満たしていない場合には(ステップS5:NO)、ステップS6へ進む。
【0027】
ステップS6では、検索部14によって第2データベース17から防災機器の設置情報が検索される。続けて、ステップS7では、表示部15によって表示処理が行われる。具体的に、表示部15は、防災機器が設置基準を満たさない原因となっている問題と、その解決に関する情報のいずれか又は両方を表示する。また、ステップS7において表示部15は、ステップS6における検索処理で検索された設置情報を表示する。ステップS7における表示の後、処理を終了する。
【0028】
ステップS3において防災機器が抽出されなかった場合には(ステップS3:NO)、抽出部12によって、誤抽出があったか否かが判定される(ステップS8)。ここで、誤抽出とは、対象画像20に存在する防災機器が、防災機器として抽出されなかったことをいう。ステップS8では、表示部15は、例えば対象画像20に防災機器があるか否かを確認するメッセージを表示し、防災機器の有無と、防災機器がある場合にその位置の入力をユーザに促す。ユーザからの入力に基づいて、誤抽出があったと判定されると(ステップS8:YES)、画像抽出部122は、入力と対象画像20とを学習データ記憶部18に記憶させるとともに、画像認識モデルを更新する(ステップS9)。このようにすることで、画像抽出部122における画像からの防災機器の抽出精度を向上させることができる。誤抽出がなかったと判定された場合には(ステップS8:NO)、処理を終了する。
【0029】
また、防災機器が抽出されない例として、対象画像20の画角には防災機器が本来存在するものの、実際には防災機器が物陰に隠されている場合も、防災機器の抽出なし(ステップS3:NO)と判定される。このような場合、ステップS8における誤抽出があったか否かの判定として、ユーザに、防災機器が抽出されなかったことと、対象画像20に写した実際の設置場所との確認を促すようにしてもよい。ユーザが、対象画像20に防災機器が写っていなかったことを入力することで、画像認識に誤りはないと判定し(ステップS8:NO)、画像認識モデルの更新を行わないようにすることができる。
【0030】
ステップS3において防災機器が抽出された場合でも、その抽出内容が誤っている場合には、ステップS3の後にステップS9に進んでもよい。例えば、ステップS3において抽出部12によって防災機器として抽出された物が、実際には防災機器ではない場合には、対象画像20における防災機器の位置及び防災機器の名称のいずれか又は両方を端末40に入力するよう、ユーザに促す。そして、ユーザからの端末40への入力に基づいて、ステップS9の処理が行われる。このようにすることで、抽出部12における防災機器の抽出精度を向上させることができる。
【0031】
なお、図3では、ステップS4における防災機器の設置判定処理の後に、ステップS6における検索処理が行われる例を示したが、ステップS4とステップS6の実行順は逆であってもよいし、ステップS5とステップS6とが並行して実行されてもよい。また、図3では、ステップS5において防災機器が設置基準を満たしていると判定された場合には処理を終了する例を示したが、防災機器が設置基準を満たしている場合には、その旨を表示部15が表示してもよい。具体的には例えば、表示部15は、認識された防災機器が設置基準を満たしているということを、文字、図形又はこれらの組み合わせによって表示する。
【0032】
以下、端末40が撮影装置を備えたスマートフォンである場合を例に、防災機器の設置に関する判定結果に基づいて、設置補助情報等を端末40にてAR表示をする動作例を説明する。
【0033】
図4は、実施の形態1に係る防災機器の設置補助システム10の表示例を説明する図である。図4では、防災機器の一例である避難ハッチ31が設置された現実空間30を、端末40の撮影装置で撮影する様子が示されている。図4の例では、マンション等のベランダである現実空間30には、ベランダの天井に設置された避難ハッチ31と、物干竿32と、エアコンの室外機33とがある。これ以降では、防災機器が避難ハッチ31である例を説明するが、防災機器の他の例として、消火栓又は消火器等の消火設備、自動火災報知設備又は住宅用火災警報器等の警報設備、若しくは避難はしご、誘導灯、防火戸等の避難設備を含み、その種類によって本発明は限定されない。
【0034】
防災機器である避難ハッチ31が設置された場所を含む画像が、画像入力部11(図1参照)として機能する端末40の撮影装置によって撮影される。図4では、ディスプレイである表示部15には、撮影された対象画像20が表示されている。抽出部12(図1参照)によって対象画像20から防災機器である避難ハッチ31が抽出される。
【0035】
図4では、防災機器の抽出結果の表示例を併せて図示している。図4の例では、避難ハッチ31が認識されたことを示す対象認識表示21a、21bが、対象画像20に重ねて表示されている。対象認識表示21aは、防災機器として認識した避難ハッチ31を強調表示する枠である。対象認識表示21bは、認識した避難ハッチ31の名称を文字で表示している。なお、図4に示す対象認識表示21a、21bの具体的態様は一例であり、枠のみを表示してもよいし、文字のみを表示してもよい。また、枠に代えて矢印等の他の図形を表示してもよい。対象画像20から抽出された防災機器を表示部15に表示することで、端末40を利用するユーザは、防災機器が正しく認識されたことを把握することができる。
【0036】
図5は、実施の形態1に係る防災機器の設置補助システム10による設置補助情報の表示例を説明する図である。図5では、対象画像20から抽出された避難ハッチ31の設置に関する問題を問題情報22として示すとともに、その改善に関する情報を改善情報23として示している。
【0037】
対象画像20には、避難ハッチ31の下に、物干竿32及び室外機33が設置されていることが示されている。ここで、避難ハッチ31の設置基準として、避難ハッチ31の直下には物を置いてはいけないということが消防法にて定められている。抽出部12が避難ハッチ31と、その下にある物(物干竿32及び室外機33)を認識し、判定部13が第1データベース16を参照して避難ハッチ31が設置基準を満たしていないと判定すると、表示部15は、「避難ハッチの下には、物をおかないでください」のような文言で、問題情報22及び改善情報23を表示する。
【0038】
図5の例では、問題情報22は、避難ハッチ31の下にある物干竿32及び室外機33をそれぞれ一点鎖線の枠で囲って強調表示することによって、問題があることを示している。問題情報22の具体的態様は、図5の例に限定されず、他の図形、文字、又はこれらの組み合わせであってもよい。
【0039】
図5の例では、改善情報23は、避難ハッチ31の下に物がある、という問題点を改善するための方法を文字で表示することによって、改善に関する情報を表示している。改善情報23の具体的態様は、図5の例に限定されず、図形、文字、又はこれらの組み合わせであってもよい。
【0040】
図6は、実施の形態1に係る防災機器の設置補助システム10による設置情報の表示例を説明する図である。図6では、対象画像20から抽出された避難ハッチ31の設置に関する設置情報25として、避難ハッチ31の設置基準について定めた消防法の規定内容を表示している。検索部14において避難ハッチ31の設置情報が検索され、表示部15は、検索結果を設置情報25として表示する。通信可能な端末40を用いる場合、ユーザが設置情報25を選択することで、該当規定が記載されるインターネット上のウェブサイトのページへ遷移するようにしてもよい。
【0041】
実施の形態2.
本実施の形態では、実施の形態1とは異なる、表示部15における表示例を説明する。図7は、実施の形態2に係る防災機器の設置補助システム10による設置補助情報の表示例を説明する図である。実施の形態1では、対象画像20に重ねて問題情報22と改善情報23のいずれか又は両方である設置補助情報を表示する例を示した。
【0042】
図7の例では、画像入力部11を用いて防災機器を含む静止画像26を入力し、表示部15に表示するとともに、静止画像26とは別に設置補助情報としての改善情報23を表示している。改善情報23に代えて、あるいはこれに加えて、実施の形態1で説明した問題情報22及び/又は設置情報25を表示してもよい。本実施の形態のように、AR表示を行わず設置補助情報及び/又は設置情報25を静止画として表示することで、端末40の表示に係る処理を軽減できる。なお、表示部15は、静止画像26に設置補助情報及び/又は設置情報25を重ねた静止画を表示してもよい。
【0043】
以上のように実施の形態1及び2の防災機器の設置補助システム10は、防災機器が設置された場所の画像の入力を受け付ける画像入力部11と、画像から防災機器を抽出する抽出部12と、防災機器とその設置基準とを対応づけて記憶した第1データベース16とを備える。さらに設置補助システム10は、第1データベース16を参照して抽出部12で抽出された防災機器が設置基準を満たしているか否かを判定する判定部13と、判定部13の判定結果に基づいて、抽出された防災機器の設置補助情報を表示する表示部15とを備えた。
【0044】
このように、実施の形態1及び2の設置補助システム10では、表示部15によって、判定結果に基づいて防災機器の設置に関する問題及び改善のいずれか又は両方である設置補助情報が表示される。このため、防災機器及びその設置に関する知識に乏しいユーザに対しても、表示部15を参照させることで、防災機器をより適切な設置状態に維持することを促すことができる。
【0045】
さらに実施の形態1及び2の設置補助システム10は、画像入力部11によって入力された対象画像20に重ねて、設置補助情報を表示する。このため、ユーザに対し、より分かりやすく防災機器の設置に関する問題点及び改善方法のいずれか又は両方を伝えることができる。対象画像20は、現実空間のリアルタイム画像であってもよいし、予め撮影された静止画であってもよい。
【0046】
さらに実施の形態1及び2の設置補助システム10の画像入力部11は、防災機器を撮影する撮影装置を含み、表示部15は、撮影装置によって撮影された防災機器を含む現実空間の画像と、設置補助情報とを重ねて表示する。このように、表示部15によって現実空間の画像に設置補助情報を重ねたAR表示がなされることで、ユーザにより分かりやすく情報を伝えることができる。
【0047】
さらに実施の形態1及び2の設置補助システム10の抽出部12は、防災機器の画像から防災機器を抽出するための学習用データを用いた画像認識モデルを用いて、対象画像20から防災機器を抽出する画像抽出部122を備える。そして、画像入力部11から入力された画像が、学習データ記憶部18の学習用データに追加されることで、学習用データ及び画像認識モデルが更新される。このため、対象画像20の入力が繰り返されることにより、抽出部12における防災機器の抽出精度を向上させることができる。
【0048】
また本実施の形態1及び2の設置補助システム10は、防災機器とその設置に関する設置情報とを対応づけて記憶した第2データベース17から、抽出部12によって抽出された防災機器に関連する設置情報を検索する検索部14を備える。そして、表示部15は、検索部14の検索結果に基づいて、防災機器の設置情報を表示する。防災機器に関連する、例えば関連法令、設置する際の注意点、設置手順、設置後の点検ポイント等を設置情報として表示することで、防災機器のより良い設置状態の維持をユーザに促すことができる。
【0049】
なお、実施の形態1及び2では、機械学習を用いて対象画像20から防災機器を抽出する抽出部12、検索部14及び第2データベース17を備えた設置補助システム10を示した。これらを備えることにより、上述した技術効果を得ることができるが、これらを備えることは必須ではない。
【符号の説明】
【0050】
10 設置補助システム、11 画像入力部、12 抽出部、13 判定部、14 検索部、15 表示部、16 第1データベース、17 第2データベース、18 学習データ記憶部、20 対象画像、21a 対象認識表示、21b 対象認識表示、22 問題情報、23 改善情報、25 設置情報、26 静止画像、30 現実空間、31 避難ハッチ、32 物干竿、33 室外機、40 端末、41 サーバ、42 ネットワーク、121 画像データ取得部、122 画像抽出部。
【要約】
【課題】防災機器及びその設置に関する知識に乏しいユーザによる防災機器の設置を支援することのできる防災機器の設置補助システムを得る。
【解決手段】防災機器が設置された場所の画像の入力を受け付ける画像入力部と、画像から防災機器を抽出する抽出部と、防災機器と当該防災機器の設置基準とを対応づけて記憶した第1データベースと、抽出された防災機器が、第1データベースで対応づけられた設置基準を満たしているか否かを判定する判定部と、判定部の判定結果に基づいて、抽出された防災機器の設置に関する問題及び改善のいずれか又は両方に関する情報である設置補助情報を表示する表示部とを備えた。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7