(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-21
(45)【発行日】2024-01-04
(54)【発明の名称】安定した泡を生成するための発泡性組成物及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
C11D 1/10 20060101AFI20231222BHJP
D04H 3/16 20060101ALI20231222BHJP
C11D 17/06 20060101ALI20231222BHJP
C11D 3/50 20060101ALI20231222BHJP
C11D 17/04 20060101ALI20231222BHJP
C11D 3/04 20060101ALI20231222BHJP
C11D 3/20 20060101ALI20231222BHJP
【FI】
C11D1/10
D04H3/16
C11D17/06
C11D3/50
C11D17/04
C11D3/04
C11D3/20
(21)【出願番号】P 2022506773
(86)(22)【出願日】2020-07-30
(86)【国際出願番号】 US2020070332
(87)【国際公開番号】W WO2021026556
(87)【国際公開日】2021-02-11
【審査請求日】2022-02-02
(32)【優先日】2019-08-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】590005058
【氏名又は名称】ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー
【氏名又は名称原語表記】THE PROCTER & GAMBLE COMPANY
【住所又は居所原語表記】One Procter & Gamble Plaza, Cincinnati, OH 45202,United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ユーセフ ジョルジュ アウアド
(72)【発明者】
【氏名】ミン マオ
【審査官】黒川 美陶
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/140676(WO,A1)
【文献】特開2002-003899(JP,A)
【文献】国際公開第2018/140454(WO,A1)
【文献】特開2017-178884(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C11D
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発泡性組成物であって、
a.1つ以上の気泡安定化剤
であって、界面活性剤を含み、前記界面活性剤がグルタミン酸塩界面活性剤を含む、気泡安定化剤と、
b.発泡系と、
を含み、
発泡試験方法に従って測定されるところの安定した泡を生成
し、前記安定した泡が、発泡試験方法に従って測定されるところの少なくとも4cmの高さを示し、かつ前記少なくとも4cmの高さが、発泡試験方法に従って測定されるところの少なくとも5分間維持される泡である、発泡性組成物。
【請求項2】
前記グルタミン酸塩界面活性剤が、ココイルグルタミン酸ナトリウム、ココイルグルタミン酸二ナトリウム、ココイルグルタミン酸カリウム、ココイルグルタミン酸二カリウム、ココイルグルタミン酸アンモニウム、ココイルグルタミン酸二アンモニウム、ラウロイルグルタミン酸ナトリウム、ラウロイルグルタミン酸二ナトリウム、ラウロイルグルタミン酸カリウム、ラウロイルグルタミン酸二カリウム、カプリロイルグルタミン酸ナトリウム、カプリロイルグルタミン酸二ナトリウム、カプリロイルグルタミン酸カリウム、カプリロイルグルタミン酸二カリウム、ウンデシレノイルグルタミン酸ナトリウム、ウンデシレノイルグルタミン酸二ナトリウム、ウンデシレノイルグルタミン酸カリウム、ウンデシレノイルグルタミン酸二カリウム、水素化タロウオイル(tallowoyl)グルタミン酸二ナトリウム、ステアロイルグルタミン酸ナトリウム、ステアロイルグルタミン酸二ナトリウム、ステアロイルグルタミン酸カリウム、ステアロイルグルタミン酸二カリウム、ミリストイルグルタミン酸ナトリウム、ミリストイルグルタミン酸二ナトリウム、ミリストイルグルタミン酸カリウム、ミリストイルグルタミン酸二カリウム、ココイル/水素化タロウオイルグルタミン酸ナトリウム、ココイル/パルモイル/サンフラワーオイル(sunfloweroyl)グルタミン酸ナトリウム、水素化タロウオイルグルタミン酸ナトリウム、オリボイルグルタミン酸ナトリウム、オリボイルグルタミン酸二ナトリウム、パルモイルグルタミン酸ナトリウム、パルモイルグルタミン酸二ナトリウム、TEA-ココイルグルタミン酸塩、TEA-水素化タロウオイルグルタミン酸塩、TEA-ラウロイルグルタミン酸塩、及びこれらの混合物からなる群から選択され、更により好ましくは、前記グルタミン酸塩界面活性剤が、ココイルグルタミン酸二ナトリウム(DSCG)を含む、請求項1に記載の発泡性組成物。
【請求項3】
前記発泡系が1つ以上の発泡性酸を含み、好ましくは前記発泡性酸の少なくとも1つが発泡性酸粒子を含み、より好ましくは前記発泡性酸粒子が気泡安定化剤被覆発泡性酸粒子を含む、請求項1又は2に記載の発泡性組成物。
【請求項4】
前記発泡系が1つ以上の発泡性塩を含み、好ましくは前記発泡性塩の少なくとも1つが発泡性塩粒子を含み、より好ましくは前記発泡性塩粒子が気泡安定化剤被覆発泡性塩粒子を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の発泡性組成物。
【請求項5】
前記発泡系が、
a.約10%から約60%の1つ以上の発泡性酸と、
b.約10%から約60%の1つ以上の発泡性塩と、
を含み、
前記1つ以上の発泡性酸と前記1つ以上の発泡性塩とが組み合わさって、前記発泡系の最大100重量%を構成する、請求項1~4のいずれか一項に記載の発泡性組成物。
【請求項6】
前記発泡性組成物が、粉末、凝集体、及びそれらの混合物からなる群から選択される粒子の形態である、請求項1~5のいずれか一項に記載の発泡性組成物。
【請求項7】
前記発泡性組成物が香料を更に含み、好ましくは前記香料が担体粒子中に存在し、より好ましくは前記担体粒子がシリカを含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の発泡性組成物。
【請求項8】
前記発泡系が、前記気泡安定化剤によって互いに結合された発泡性酸粒子及び発泡性塩粒子を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の発泡性組成物。
【請求項9】
前記発泡系が、前記気泡安定化剤によって互いに結合された気泡安定化剤被覆発泡性酸粒子及び気泡安定化剤被覆発泡性塩粒子を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の発泡性組成物。
【請求項10】
発泡性組成物を製造するための方法であって、
a.発泡系を用意するステップ、及び、
b.請求項1~9のいずれか一項に記載の発泡性組成物が形成されるように、1つ以上の気泡安定化剤を前記発泡系に添加するステップ、
を含む、方法。
【請求項11】
請求項1~9のいずれか一項に記載の発泡性組成物を含む繊維構造を備える発泡性繊維構造製品。
【請求項12】
請求項1~9のいずれか一項に記載の発泡性組成物を含むパウチ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、安定した泡を生成する新規な発泡性組成物に関し、より詳細には、発泡性組成物であって、1つ以上の気泡安定化剤、例えば、1つ以上の硫酸塩部分フリーの及び/又はスルホン酸塩部分フリーの界面活性剤などの1つ以上の界面活性剤と、ガス生成系、例えば、発泡系などのCO2生成系、例えば、1つ以上の発泡性酸粒子及び1つ以上の発泡性塩粒子を含む発泡系などの1つ以上の発泡性酸及び1つ以上の発泡性塩を含む発泡系と、を含む発泡性組成物、このような発泡性組成物を含む発泡性繊維構造及び/又は発泡性パウチなどの発泡性製品、並びに、このような発泡性組成物及び/又は発泡性製品を製造するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発泡性組成物は、様々な洗浄製品、例えば便器洗浄製品、シャワー洗浄製品、硬質表面洗浄製品、及び他の表面洗浄製品において製造業者によって使用されている。発泡性組成物は、洗浄製品の使用中に泡を生じさせるために使用されてきた。しかしながら、これらの既知の発泡性組成物及び/又は既知の発泡性繊維構造及び/又は発泡パウチ、例えば、既知の発泡性組成物を含む便器洗浄製品などの洗浄製品によって生成された泡の、発泡試験方法に従って測定される泡の高さ及び/又は泡寿命などの特性は、消費者の期待及びニーズを満たすことができなかった。
【0003】
消費者は、発泡性組成物及び/又は発泡性組成物を含む製品によるより良い経験を望んでいることが分かっている。
【0004】
既知の発泡性組成物及び洗浄製品などの製品、例えば、そのような既知の発泡性組成物を含む便器洗浄製品、に関する1つの問題は、本明細書に記載の発泡試験方法によって測定される十分な高さ及び/又は寿命を示す泡又は安定した泡を生成することができないことである。これは、活性剤、例えば、香料を含む既知の発泡性組成物と、既知の発泡系、例えば、平均粒径が比較的大きく例えば500μmを超える純発泡性酸粒子及び純発泡性塩粒子並びに/又は発泡性酸粒子及び/若しくは発泡性塩粒子の凝集体を含む発泡系を含む既知の発泡性組成物とに特に当てはまる。
【0005】
発泡性組成物中の活性剤、例えば、香料の存在は、例えば、泡の生成並びに/又は泡の高さ及び/若しくは泡の安定性を抑制することによって、発泡性組成物によって生成される泡の発泡特性にしばしば悪影響を及ぼす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、発泡性組成物、発泡性組成物に使用するための発泡系、並びに/又は、安定した泡を生成する、例えば、十分な高さ及び/若しくは寿命を有する泡を生成する発泡性組成物を含む製品が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、新規な発泡性組成物、そのような発泡性組成物を含む製品、及びそのような発泡性組成物を製造するための方法を提供することによって上記の必要性を満たす。
【0008】
先に特定した問題の解決策は、本明細書に記載の発泡試験方法に準拠した安定した泡を生成する、発泡性組成物、発泡系、及び/又は発泡性組成物を含む製品を提供することであり、例えば、発泡性組成物は、発泡性組成物が本明細書に記載の発泡試験方法に従って測定されるところの安定した泡を生成するように1つ以上の気泡安定化剤、例えば、1つ以上の界面活性剤(特に、1つ以上のアルキル硫酸塩フリー、スルホン酸塩フリーの界面活性剤などの1つ以上の界面活性剤、例えば、ココイルグルタミン酸二ナトリウム(「DSCG」)などのグルタミン酸塩界面活性剤)と、発泡系、例えば、1つ以上の発泡性酸(例えば、1つ以上の発泡性酸粒子)及び1つ以上の発泡性塩(例えば、1つ以上の発泡性塩粒子)を含む発泡系とを含み、発泡性粒子の少なくとも1つ、例えば、発泡性塩粒子は、気泡安定化剤で被覆され、かつ/又は、発泡性粒子(酸及び塩)の少なくとも一方及び/又は両方が、500μm未満及び/又は400μm未満及び/又は300μm未満及び/又は40μm超及び/又は50μm超及び/又は75μm超の平均粒径を示す場合、その結果として、泡の安定性が、既知の発泡性組成物及び/又は既知の発泡性組成物を含む製品から生成される泡よりも優れている。既知の発泡性組成物、特に活性剤、例えば香料を含む発泡性組成物が直面する問題に対する別の解決策は、活性剤、例えば香料を、送達系、例えば、発泡性組成物によって生成される泡への香料の供給力及び/又は放出を緩和及び/又は制御する担体、例えばシリカと関連付けることである。
【0009】
予想外にも、(デフォルトでは、発泡性粒子の表面積をより大きくする)平均粒径が小さい発泡性粒子、特に発泡性塩粒子は、平均粒径が大きい発泡性粒子、特に平均粒径が大きい発泡性塩粒子よりも急速に溶解し、それによりCO2をより迅速に生成することが見出された。更に、予想外にも、発泡性粒子、特に発泡系の発泡性塩粒子を、界面活性剤、例えば気泡安定化剤で、また任意選択的でポリマー及びキレート剤でコーティングすることによって、特に発泡性塩粒子がコーティングされていない発泡性塩粒子と比較してより小さい平均粒径(500μm未満及び/又は400μm未満及び/又は300μm未満)を示す場合、特に発泡性塩粒子がより大きい平均粒径(500μm超及び/又は600μm超及び/又は700μm超)を示す場合に、泡特性、例えば泡の高さ及び安定性が改善されることが見出された。
【0010】
上記の解決策に加えて、予想外にも、発泡性組成物に発泡増強剤、例えばシリカなどの無機粒子を添加することによって、そのような発泡増強剤を含有しない発泡性組成物と比較して、発泡特性(泡の高さ及び/又は泡の安定性)が改善されることが見出された。
【0011】
本発明の一例では、発泡性組成物であって、当該発泡性組成物が本明細書に記載の発泡試験方法に従って測定されるところの安定した泡を生成するように、1つ以上の気泡安定化剤、例えば1つ以上の界面活性剤(例えば、アニオン性界面活性剤及び/又は両性界面活性剤、特に、1つ以上のアルキル硫酸塩フリー、スルホン酸塩フリーのグルタミン酸塩界面活性剤などの界面活性剤、例えば、DSCG)などの1つ以上の気泡安定化剤、並びに、発泡系、例えば、1つ以上の発泡性酸、例えば1つ以上の発泡性酸粒子、及び1つ以上の発泡性塩、例えば1つ以上の発泡性塩粒子を含む発泡系を含む発泡性組成物が提供される。
【0012】
本発明の別の例では、本明細書に記載の発泡試験方法に従って測定されるところの安定した泡を生成する発泡性組成物が提供される。
【0013】
本発明の別の例では、固体形態、例えば、粉末及び/又は凝集体の形態である本発明による発泡性組成物が提供される。
【0014】
本発明の更に別の例では、発泡性組成物であって、1つ以上の気泡安定化剤、例えば、当該発泡性組成物が本明細書に記載の発泡試験方法に従って測定されるところの安定した泡を生成するような1つ以上の気泡安定化剤、例えば1つ以上の界面活性剤(特に1つ以上のアルキル硫酸塩フリー、スルホン酸塩フリーのグルタミン酸塩界面活性剤などの界面活性剤、例えばDSCGなど、並びに、1つ以上の発泡性酸、例えば1つ以上の発泡性酸粒子、及び1つ以上の発泡性塩、例えば1つ以上の発泡性塩粒子を含む発泡系を含み、発泡性組成物が、粉末、例えば1つ以上の気泡安定化剤被覆発泡性酸粒子及び/又は気泡安定化剤被覆発泡性塩粒子の形態であり、1つの例では、気泡安定化剤被覆発泡性塩粒子及び/若しくは噴霧乾燥粉末、並びに/又は凝集体、例えば、気泡安定化剤が1つ以上の発泡性酸、例えば発泡性酸粒子、及び/又は発泡性塩、例えば発泡性塩粒子を互いに結合することによって形成された凝集体の形態である、発泡性組成物が提供される。
【0015】
本発明の更に別の例では、本発明による発泡性組成物を含む発泡性製品(発泡性物品)、例えば、発泡性繊維構造、並びに/又は、発泡性パウチ(1つ以上のフィルムを含むフィルムパウチ、並びに/又は、ヒドロキシルポリマーを含む1つ以上の繊維構造、例えば本発明によるヒドロキシルポリマーを含むポリビニルアルコールフィルム要素及び/若しくは繊維要素、を含む繊維壁材料パウチ)が提供される。一例では、パウチは、発泡性組成物が収容される内部容積を画定する多層繊維構造の形態の2つ以上の繊維構造を含む。別の例では、パウチの繊維構造の少なくとも1つは、複数の繊維要素を含み、繊維要素の少なくとも1つは、ポリビニルアルコールなどのフィラメント形成材料を含む。
【0016】
本発明の更に別の例では、発泡性製品、例えば、発泡性繊維構造及び/又は発泡性パウチ(1つ以上のフィルムを含むフィルムパウチ、及び/又はヒドロキシルポリマーを含む1つ以上の繊維構造を含む繊維壁材料パウチ、例えば、ポリビニルアルコールフィルム、及び/又は本発明によるヒドロキシルポリマーを含む繊維要素)、例えば、便器用洗剤であって、使用中に便器内で(従来製品のように便器の底に沈むのではなく)、浮く、少なくとも部分的に水の中で例えば水の上に浮く便器用洗剤が提供され、本発泡性製品は、任意選択で、本発明による発泡性組成物を含む。一例では、パウチは、発泡性組成物が収容される内部容積を画定する多層繊維構造の形態の2つ以上の繊維構造を含む。別の例では、パウチの繊維構造の少なくとも1つは、複数の繊維要素を含み、繊維要素の少なくとも1つは、ポリビニルアルコールなどのフィラメント形成材料を含む。
【0017】
本発明の別の例では、1つ以上の発泡性酸粒子及び1つ以上の発泡性塩粒子を含む発泡系であって、発泡性酸粒子及び発泡性塩粒子の少なくとも1つ、例えば発泡性塩粒子の少なくとも1つが、界面活性剤、例えば気泡安定化剤のコーティングを有し、任意選択で、1つ以上のコーティングされた発泡性塩粒子が、界面活性剤、例えば気泡安定化剤を介して1つ以上の発泡性酸粒子に結合して凝集粒子を形成する、発泡系が提供される。一例では、発泡系は、1つ以上の発泡性酸粒子及び1つ以上の発泡性塩粒子を含み、発泡性酸粒子及び発泡性塩粒子の少なくとも1つは、界面活性剤のコーティングを有し、例えば、発泡性塩粒子の少なくとも1つは、気泡安定化剤などの界面活性剤でコーティングされている。別の例では、発泡性酸粒子の少なくとも1つと発泡性塩粒子の少なくとも1つとが、例えば気泡安定化剤などの界面活性剤を介して互いに結合して、凝集粒子を形成する。
【0018】
本発明の更に別の例では、発泡系と、活性剤送達系、例えばシリカなどの担体材料とを含む発泡性組成物であって、活性剤、例えば香料を含み、このような活性剤送達系を含まない発泡性組成物と比較して、発泡性組成物によって生成された泡の泡特性(泡の高さ及び/又は泡の安定性)を改善し得るかつ/又は改善する、発泡性組成物が提供される。
【0019】
本発明の更に別の例では、発泡系と、発泡増強剤、例えばシリカとを含む発泡性組成物であって、このような発泡増強剤を含まない発泡性組成物と比較して、発泡性組成物によって生成された泡の泡特性(泡の高さ及び/又は泡の安定性)を改善し得るかつ/又は改善する、発泡性組成物が提供される。
【0020】
本発明の更に別の例では、本発明による発泡性組成物を製造するための方法であって、
a.発泡系を用意するステップ、及び、
b.本発明による発泡性組成物が形成されるように、1つ以上の気泡安定化剤を発泡系に添加するステップを含む方法が提供される。
【0021】
本発明の更に別の例では、本発明による発泡性組成物を製造するための方法であって、
a.1つ以上の発泡性酸粒子を用意するステップと、
b.1つ以上の発泡性酸粒子の少なくとも1つを1つ以上の気泡安定化剤でコーティングして、1つ以上の気泡安定化剤被覆発泡性酸粒子を形成するステップと、
c.1つ以上の発泡性塩粒子を1つ以上の気泡安定化剤被覆発泡性酸粒子に添加して、本発明による発泡性組成物を形成するステップとを含む方法が提供される。
【0022】
本発明のまた更に別の例では、本発明による発泡性組成物を製造するための方法であって、
a.1つ以上の発泡性塩粒子を用意するステップと、
b.1つ以上の発泡性塩粒子の少なくとも1つを1つ以上の気泡安定化剤でコーティングして、1つ以上の気泡安定化剤被覆発泡性塩粒子を形成するステップと、
c.1つ以上の発泡性酸粒子を1つ以上の気泡安定化剤被覆発泡性酸粒子に添加して、本発明による発泡性組成物を形成するステップとを含む方法が提供される。
【0023】
本発明のまた更に別の例では、本発明による発泡性組成物が形成されるように、1つ以上の発泡性酸粒子を1つ以上の発泡性塩粒子と混合するステップを含み、発泡性酸粒子及び発泡性塩粒子の少なくとも1つが、気泡安定化剤被覆発泡性酸粒子及び/又は気泡安定化剤被覆発泡性塩粒子である、本発明による発泡性組成物の製造方法が提供される。
【0024】
本発明の別の例では、発泡系を製造するための方法であって、1つ以上、例えば複数の発泡性酸粒子を、1つ以上、例えば複数の発泡性塩粒子と組み合わせ、例えば、粉末として一緒に混合し、及び/又は、例えば、気泡安定化剤などの界面活性剤を介して、凝集体として互いに結合させるステップを含み、少なくとも1つ、例えば複数の発泡性塩粒子が、界面活性剤、例えば気泡安定化剤でコーティングされている、方法が提供される。
【0025】
本発明の別の例では、発泡系を製造するための方法であって、
a.1つ以上の発泡性塩粒子を、界面活性剤、例えば気泡安定化剤でコーティングして1つ以上のコーティングされた発泡性塩粒子を生成するステップと、
b.1つ以上のコーティングされた発泡性塩粒子を1つ以上の発泡性酸粒子と組み合わせて(例えば、混合して)発泡系を生成するステップと、
c.任意選択で、ステップbからの発泡系を、結合剤、例えば気泡安定化剤などの界面活性剤と接触させて、発泡系の凝集粒子を生成するステップとを含む方法が提供される。
【0026】
本発明の別の例では、発泡性組成物を製造するための方法であって、発泡系を、活性剤送達系、例えば香料送達系、例えば1つ以上の活性剤(例えば香料)を含むシリカなどの担体材料と混合して発泡性組成物を製造するステップを含む方法が提供される。
【0027】
本発明の更に別の例では、発泡性組成物を製造するための方法であって、発泡系を、発泡増強剤、例えばシリカなどの無機粒子と混合して発泡性組成物を製造するステップを含む方法が提供される。
【0028】
したがって、本発明は、安定した泡を生成するための新規な発泡性組成物、及びそのような発泡性組成物を製造するための方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】本発明による、繊維構造の一実施例の断面図の走査型電子顕微鏡写真である。
【
図2】本発明による、繊維構造の別の実施例の断面図の概略図である。
【
図3】本発明による、繊維構造の別の実施例の断面図の概略図である。
【
図4】本発明による、繊維構造の別の実施例の断面図の走査型電子顕微鏡写真である。
【
図5】本発明の繊維要素を製造するためのプロセスの一例の概略図である。
【
図6】
図5のプロセスにおいて使用される、拡大図を含む、ダイの一例の概略図である。
【
図7】本発明による、繊維構造を製造するためのプロセスの一例の概略図である。
【
図8】本発明による、繊維構造を製造するためのプロセスの別の例の概略図である。
【
図9】本発明による、繊維構造を製造するためのプロセスの別の例の概略図である。
【
図10A】本発明による発泡性繊維構造製品の例の概略図である。
【
図11】本発明による、溶解性の測定において使用される、機器の構成のある実施例の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
定義
本明細書で使用される「安定した泡」は、少なくとも4cm及び/若しくは少なくとも4.5cm及び/若しくは少なくとも5cm及び/若しくは少なくとも5.5cm及び/若しくは少なくとも6cmの高さを示し、並びに/又は、その泡は、少なくともその初期形態若しくは更により大きな形態、例えば、発泡試験方法に従って測定されるところのより大きな泡の高さ若しくは体積を、本明細書に記載の発泡試験方法に従って測定されるところの少なくとも5分間及び/若しくは少なくとも7分間及び/若しくは少なくとも10分間及び/若しくは少なくとも12分間及び/若しくは少なくとも15分間及び/若しくは少なくとも17分間及び/若しくは少なくとも20分間及び/若しくは少なくとも25分間及び/若しくは少なくとも30分間維持し、並びに/又は、安定した泡を生成する発泡性組成物が香料を更に含む場合、少なくとも3cm及び/若しくは少なくとも3.5cm及び/若しくは少なくとも4cm及び/若しくは少なくとも5cmの高さを示し、並びに/又は、その泡が、少なくとも初期の形態若しくは更により大きな形態、例えば、発泡試験方法に従って測定されるところのより大きな泡の高さ若しくは体積を、本明細書に記載の発泡試験方法に従って測定されるところの少なくとも5分間及び/若しくは少なくとも7分間及び/若しくは少なくとも10分間及び/若しくは少なくとも12分間及び/若しくは少なくとも15分間及び/若しくは少なくとも17分間及び/若しくは少なくとも20分間及び/若しくは少なくとも25分間及び/若しくは少なくとも30分間維持する。
【0031】
本明細書で使用される「気泡安定化剤」は、発泡系、例えばCO2生成系によって生成されるガスなどのガスの存在下で安定した泡を生成する界面活性剤などの材料を意味する。
【0032】
適切な気泡安定化剤の非限定的な例としては、界面活性剤、例えば、アルキル硫酸塩フリーの界面活性剤などの硫酸塩フリーの界面活性剤、及び/又はスルホン酸塩フリーの界面活性剤、及び/又はアルキルエーテル硫酸塩フリーの界面活性剤が挙げられるが、これらに限定されない。
【0033】
一例では、気泡安定化剤は、グルタミン酸塩界面活性剤、アミンオキシド界面活性剤、及びそれらの混合物からなる群から選択される。一例では、気泡安定化剤は、以下の式(I)を有するグルタミン酸塩界面活性剤を含み、
【0034】
【化1】
式中、R
1は、5から20個の炭素原子及び/又は7から17個の炭素原子及び/又は9から13個の炭素原子を有する飽和又は不飽和の直鎖又は分枝鎖のアルキル鎖又はアルケニル鎖であり、Mは、H、アンモニウム、トリエチルアンモニウム(TEA)、ナトリウム又はカリウム及びこれらの混合物である、及びそれらの混合物である。
【0035】
一例では、グルタミン酸塩界面活性剤を含む気泡安定化剤は、ココイルグルタミン酸ナトリウム、ココイルグルタミン酸二ナトリウム、ココイルグルタミン酸カリウム、ココイルグルタミン酸二カリウム、ココイルグルタミン酸アンモニウム、ココイルグルタミン酸二アンモニウム、ラウロイルグルタミン酸ナトリウム、ラウロイルグルタミン酸二ナトリウム、ラウロイルグルタミン酸カリウム、ラウロイルグルタミン酸二カリウム、カプリロイルグルタミン酸ナトリウム、カプリロイルグルタミン酸二ナトリウム、カプリロイルグルタミン酸カリウム、カプリロイルグルタミン酸二カリウム、ウンデシレノイルグルタミン酸ナトリウム、ウンデシレノイルグルタミン酸二ナトリウム、ウンデシレノイルグルタミン酸カリウム、ウンデシレノイルグルタミン酸二カリウム、水素化タロウオイル(tallowoyl)グルタミン酸二ナトリウム、ステアロイルグルタミン酸ナトリウム、ステアロイルグルタミン酸二ナトリウム、ステアロイルグルタミン酸カリウム、ステアロイルグルタミン酸二カリウム、ミリストイルグルタミン酸ナトリウム、ミリストイルグルタミン酸二ナトリウム、ミリストイルグルタミン酸カリウム、ミリストイルグルタミン酸二カリウム、ココイル/水素化タロウオイルグルタミン酸ナトリウム、ココイル/パルモイル/サンフラワーオイル(sunfloweroyl)グルタミン酸ナトリウム、水素化タロウオイルグルタミン酸ナトリウム、オリボイル(olivoyl)グルタミン酸ナトリウム、オリボイルグルタミン酸二ナトリウム、パルモイルグルタミン酸ナトリウム、パルモイルグルタミン酸二ナトリウム、TEA-ココイルグルタミン酸塩、TEA-水素化タロウオイルグルタミン酸塩、TEA-ラウロイルグルタミン酸塩、及びこれらの混合物からなる群から選択される。
【0036】
別の例では、気泡安定化剤はアミンオキシドを含む。
【0037】
本明細書で使用される「発泡性酸」又は「発泡性酸粒子」は、発泡性塩又は発泡性塩粒子と組み合わせたときに発泡、例えばCO2などのガスを生成する酸及び/又は酸粒子を意味する。本発明の発泡性組成物に使用するのに適した発泡性酸及び/又は発泡性酸粒子の非限定的な例としては、酒石酸、クエン酸、フマル酸、アジピン酸、リンゴ酸、シュウ酸、スルファミン酸、及びそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。一例では、発泡性酸及び/又は発泡性酸粒子は、クエン酸、又はクエン酸と酒石酸との混合物を含む。発泡性酸及び/又は発泡性酸粒子は無水物であってもよい。
【0038】
本明細書で使用される「発泡性塩」又は「発泡性塩粒子」は、発泡性酸及び/又は発泡性酸粒子と組み合わせたときに発泡、例えばCO2などのガスを生成する塩及び/又は塩粒子を意味する。好適な発泡性塩及び/又は発泡性塩粒子の非限定的な例としては、アルカリ金属塩及び/又は炭酸塩及び/又は重炭酸塩、例えば炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸アンモニウム、炭酸カリウム、重炭酸ナトリウム、重炭酸カルシウム、及びそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。発泡性塩及び/又は発泡性塩粒子は、無水物であってもよい。
【0039】
本明細書で使用される「発泡系」は、1つ以上の発泡性酸及び/又は発泡性酸粒子と、1つ以上の発泡性塩及び/又は発泡性塩粒子との混合物を意味する。一例では、特定の発泡性酸、例えば発泡性酸粒子、及び/又は発泡性塩、例えば発泡性塩粒子、並びにそれらの割合の選択は、少なくとも部分的に、ガスの量、例えばCO2放出の要件に依存する。一例では、発泡性酸、例えばクエン酸などの発泡性酸粒子は、発泡系の重量基準で約10重量%から約60重量%の量で添加されてもよく、発泡性塩、例えばアルカリ金属塩、例えば重炭酸ナトリウムなどの発泡性塩粒子はまた、発泡性成分の重量基準で約10重量%から60重量%の量で添加されてもよい。
【0040】
本明細書で使用される「粒子」、例えば「発泡性酸粒子」及び/又は「発泡性塩粒子」及び/又は「凝集体」は、粉末、顆粒、及び/又は凝集体を意味する。粒子の形状は、球状、棒状、皿状、管状、四角形、矩形、円盤状、星状、繊維状であり得、規則的な又は不規則なランダム形状を有し得る。本発明の粒子、少なくとも44μmの少なくともそれらの粒子は、本明細書に記載の粒径分布試験法によって測定することができる。44μm未満の粒子については、異なる試験方法、例えば、光散乱法を使用して、44μm未満の粒径、例えば、典型的には約15μm~約44μm及び/又は約25μmのサイズの範囲の香料マイクロカプセルを決定することができる。
【0041】
一態様では、粒子は、再循環繊維構造材料を含んでもよく、具体的には、当該繊維材料は、繊維を微粉化固体に粉砕し、当該微粉化固体を凝集体、顆粒、又は他の粒子形態に再び組み込むことによって再循環される。別の態様では、粒子は、再循環繊維構造材料を含んでもよく、具体的には、当該繊維性材料は、流体ペースト、懸濁液、又は溶液に組み込まれ、次いで、加工されて、凝集体、顆粒、又は他の粒子形態を形成する。別の態様では、再生繊維材料を含む当該流体ペースト、懸濁液、又は溶液は、新たな繊維物品を作製するプロセスにおいて繊維層に直接適用されてもよい。
【0042】
一例では、発泡性酸粒子及び/又は発泡性塩粒子、例えば気泡安定化剤被覆発泡性塩粒子は、本明細書に記載の粒径分布試験方法に従って測定されるところの500μm未満及び/又は450μm未満及び/又は400μm未満及び/又は350μm未満から約100μm及び/又は約150μm及び/又は約200μmのD50を示し、これにより、本明細書に記載の粒径分布試験方法に従って測定されるところの1000μmを超えるD50を示すような粒子と比較して、安定した泡をより良好にもたらす。
【0043】
一例では、別個の粒子であり得、気泡安定化剤被覆発泡性酸粒子若しくは気泡安定化剤被覆発泡性塩粒子であり得る粒子、及び/又は凝集体(例えば気泡安定化剤によって互いに結合された別個の粒子)は、本明細書に記載の粒度分布試験方法に従って測定されるところの約100μmから約5000μm及び/又は約100μmから約2000μm及び/又は約250μmから約1200μm及び/又は約250μmから約850μmのD50粒径を示し得る。
【0044】
一例では、別個の粒子であり得、気泡安定化剤被覆発泡性酸若しくは塩粒子であり得る粒子、及び/又は凝集体(例えば気泡安定化剤によって互いに結合された別個の粒子)は、本明細書に記載の粒度分布試験方法に従って測定されるところの250μmのD10を示し得る。
【0045】
別の例では、別個の粒子であり得、気泡安定化剤被覆発泡性酸若しくは塩粒子であり得る粒子、及び/又は凝集体(例えば気泡安定化剤によって互いに結合された別個の粒子)は、本明細書に記載の粒度分布試験方法に従って測定されるところの1200μm及び/又は850μmのD90を示し得る。
【0046】
一例では、別個の粒子であり得、気泡安定化剤被覆発泡性酸若しくは塩粒子であり得る粒子、及び/又は凝集体(例えば気泡安定化剤によって互いに結合された別個の粒子)は、本明細書に記載の粒度分布試験方法に従って測定されるところの44μm超及び/又は90μm超及び/又は150μm超及び/又は212μm超及び/又は300μm超のD10を示し得る。
【0047】
一例では、別個の粒子であり得、気泡安定化剤被覆発泡性酸若しくは塩粒子であり得る粒子、及び/又は凝集体(例えば気泡安定化剤によって互いに結合された別個の粒子)は、本明細書に記載の粒度分布試験方法に従って測定されるところの1400μm未満及び/又は1180μm未満及び/又は850μm未満及び/又は600μm未満及び/又は425μm未満のD90を示し得る。
【0048】
一例では、別個の粒子であり得、気泡安定化剤被覆発泡性酸粒子若しくは気泡安定化剤被覆発泡性塩粒子であり得る粒子、及び/又は凝集体(例えば気泡安定化剤によって互いに結合された別個の粒子)は、D50(存在する場合)がD10(存在する場合)より大きく、D90(存在する場合)がD10及びD50(存在する場合)より大きい限りにおいて、先に示したD10、D50及び/又はD90の任意の組み合わせを示し得る。
【0049】
一例では、別個の粒子であり得、気泡安定化剤被覆発泡性酸粒子若しくは気泡安定化剤被覆発泡性塩粒子であり得る粒子、及び/又は凝集体(例えば気泡安定化剤によって互いに結合された別個の粒子)は、D90がD10より大きい限りにおいて、先に示したD10及びD90の任意の組み合わせを示し得る。
【0050】
一例では、別個の粒子であり得、気泡安定化剤被覆発泡性酸若しくは塩粒子であり得る粒子、及び/又は凝集体(例えば気泡安定化剤によって互いに結合された別個の粒子)は、本明細書に記載の粒度分布試験方法に従って測定されるところの212μm超のD10及び1180μm未満のD90を示し得る。
【0051】
一例では、別個の粒子であり得、気泡安定化剤被覆発泡性酸若しくは塩粒子であり得る粒子、及び/又は凝集体(例えば気泡安定化剤によって互いに結合された別個の粒子)は、本明細書に記載の粒度分布試験方法に従って測定されるところの90μm超のD10及び425μm未満のD90を示し得る。
【0052】
「発泡性繊維構造」は、本明細書で使用するとき、1つ以上の繊維要素と、1つ以上の粒子とを含む構造体を意味する。一例では、本発明による発泡性繊維構造は、機能を実行することが可能な、繊維要素と、一体型構造体などの構造体を共に形成する粒子の結合体を意味する。
【0053】
本発明の発泡性繊維構造は、均質であってもよく、又は層状であってもよい。層状である場合、発泡性繊維構造は、少なくとも2つ、及び/又は少なくとも3つ、及び/又は少なくとも4つ、及び/又は少なくとも5つ、例えば、1つ以上の繊維要素層、1つ以上の粒子層、及び/又は1つ以上の繊維要素/粒子混合層を含み得る。
【0054】
一例では、発泡性繊維構造は、本明細書に記載される坪量試験法に従って測定するとき、5000g/m2未満の坪量を呈する多層発泡性繊維構造である。
【0055】
一例では、本発明の発泡性繊維構造は、「一体型発泡性繊維構造」である。
【0056】
本明細書で使用するとき、「一体型発泡性繊維構造」は、1つ以上の粒子と、互いに絡み合って又は別の方法で互いに結合して発泡性繊維構造を形成する、2つ以上及び/又は3つ以上の複数の繊維要素と、を含む配置である。本発明の一体型発泡性繊維構造は、多層発泡性繊維構造内の1つ以上の層であり得る。一例では、本発明の一体型発泡性繊維構造は、3つ以上の異なる繊維要素を含み得る。別の例では、本発明の一体型発泡性繊維構造は、2つの異なる繊維要素、例えば共形成された発泡性繊維構造を含んでもよく、上部に異なる繊維要素が堆積されて、3つ以上の異なる繊維要素を含む発泡性繊維構造を形成する。
【0057】
本明細書で使用するとき、「繊維要素」は、その平均直径を大きく上回る長さを有し、すなわち、長さ対平均直径の比率が少なくとも約10である、細長い粒子を意味する。繊維状要素は、フィラメント又は繊維であり得る。一例では、繊維要素は、複数の繊維要素を含む糸ではなく、単一の繊維要素である。
【0058】
本発明の繊維要素は、好適な紡糸プロセス(例えばメルトブロー、スパンボンディング、エレクトロスピニング及び/又は回転紡績など)によって、繊維要素形成組成物とも称されるフィラメント形成組成物から紡糸されてもよい。
【0059】
本発明の繊維要素は、1成分型及び/又は多成分型であってもよい。例えば、繊維要素は、2成分繊維及び/又はフィラメントを含んでもよい。2成分繊維及び/又はフィラメントは、サイドバイサイド(side-by-side)型、芯鞘型、海島型などの任意の形態であり得る。
【0060】
本明細書で使用するとき、「フィラメント」は、5.08cm(2インチ)以上、及び/又は7.62cm(3インチ)以上、及び/又は10.16cm(4インチ)以上、及び/又は15.24cm(6インチ)以上の長さを呈する上記のような細長い粒子を意味する。
【0061】
フィラメントは、典型的には、本質的に連続的であるか又は実質的に連続的であるとみなされる。フィラメントは、繊維よりも相対的に長い。フィラメントの非限定的な例としては、メルトブローンフィラメント及び/又はスパンボンドフィラメントが挙げられる。フィラメントに紡糸することができるポリマーの非限定的な例としては、例えば、デンプン、デンプン誘導体、セルロース(例えば、レーヨン及び/又はリヨセル)、セルロース誘導体、ヘミセルロース、及びヘミセルロース誘導体などの天然ポリマー、並びに熱可塑性ポリマーフィラメント、例えば、ポリエステル、ナイロン、ポリオレフィン(例えば、ポリプロピレンフィラメント、及びポリエチレンフィラメント)、並びに生分解性熱可塑性繊維、例えば、ポリ乳酸フィラメント、ポリヒドロキシアルカノエートフィラメント、ポリエステルアミドフィラメント、及びポリカプロラクトンフィラメントが挙げられるが、これらに限定されない合成ポリマーが挙げられる。
【0062】
本明細書で使用するとき、「繊維」は、5.08cm(2インチ)未満、及び/又は3.81cm(1.5インチ)未満、及び/又は2.54cm(1インチ)未満の長さを呈する上記のような細長い粒子を意味する。
【0063】
典型的には、繊維は、本質的に不連続とみなされる。繊維の非限定的な例としては、本発明のフィラメント又はフィラメントトウを紡糸し、その後フィラメント又はフィラメントトウを5.08cm(2インチ)未満の断片に切断することにより製造された短繊維が挙げられる。
【0064】
一例では、フィラメントがより短い長さ(5.08cm未満の長さなど)に切断された場合などに、本発明のフィラメントから1つ以上の繊維を形成することができる。したがって、一例では、本発明はまた、1つ以上のフィラメント形成材料及び1つ以上の添加剤(活性剤など)を含む繊維などの、本発明のフィラメントから製造される繊維も含む。したがって、本明細書における本発明のフィラメントへの言及は、特に指定しない限り、このようなフィラメントから作製された繊維も含む。繊維は、典型的には、本質的に連続的であるとみなされるフィラメントに対して、本質的に不連続であるとみなされる。
【0065】
本明細書で使用するとき、「フィラメント形成組成物」及び/又は「繊維状要素形成組成物」は、メルトブローイング及び/又はスパンボンディングなど、本発明の繊維状要素を製造するために好適な組成物を意味する。フィラメント形成組成物は、1つ以上のフィラメント形成材料であって、材料を繊維状要素へと紡糸するために好適なものにする特性を呈する材料を含む。一実施例では、フィラメント形成材料は、ポリマーを含む。1つ以上のフィラメント形成材料に加えて、フィラメント形成組成物は、1つ以上の添加剤、例えば1つ以上の活性剤を含んでもよい。更に、フィラメント形成組成物は、1種以上の極性溶媒(水など)を含み得、この極性溶媒中に、1つ以上の、例えば全てのフィラメント形成材料及び/又は1つ以上の、例えば全ての活性剤が、繊維状要素(フィラメント形成組成物に由来するフィラメントなど)を紡糸する前に、溶解及び/又は分散される。
【0066】
一例では、本発明のフィラメント形成組成物から製造される本発明のフィラメントは、1種以上の添加剤、例えば1種以上の活性剤が、繊維要素及び/又は粒子中の活性剤と同じであってもよく、又は異なっていてもよい1種以上の活性剤を含むコーティング用組成物などの、フィラメント上ではなくフィラメント中に存在してもよい。フィラメント形成材料の総濃度、及びフィラメント形成組成物中に存在する活性剤の総濃度は、本発明の繊維要素がそれらから製造され得る限り、任意の好適な量であってもよい。
【0067】
一実施例では、1つ以上の活性剤などの添加剤は、繊維要素中に存在してもよく、1つ以上の活性剤などの追加の添加剤は、繊維要素の表面上に存在してもよい。別の実施例では、本発明の繊維要素は、元々作製時には繊維要素中に存在するが、繊維要素の意図される使用条件に曝される前及び/又は曝されたときに、繊維要素の表面にブルームを形成する、活性剤などの1つ以上の添加剤を含んでもよい。
【0068】
本明細書で使用するとき、「フィラメント形成材料」は、繊維要素を作製するのに好適な特性を示すポリマー、又はこのようなポリマーを製造することができるモノマーなどの材料を意味する。一例では、フィラメント形成材料は、アニオン性、カチオン性、双性イオン性及び/又は非イオン性のポリマーなどの、1つ以上の置換ポリマーを含む。他の例では、ポリマーは、例えばポリビニルアルコール(「PVOH」)などのヒドロキシルポリマー、部分加水分解したポリ酢酸ビニル、及び/又は多糖(例えばデンプン)、及び/又はデンプン誘導体(例えばエトキシル化デンプン)、及び/又は酸希釈デンプン、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースを含んでもよい。別の例では、ポリマーは、ポリエチレン及び/又はテレフタレートを含み得る。更に別の例では、フィラメント形成材料は、極性溶媒可溶性材料である。
【0069】
本明細書で使用するとき、「混合」及び/又は「混合する」は、粒子が繊維要素、例えば、フィラメントと混合される状態又は形態を意味する。フィラメント及び粒子の混合物は、複合構造体の全体にわたって、又は複合構造体の平面若しくは領域内にあり得る。一実施例では、混合フィラメント及び粒子は、複合構造体の少なくとも表面を形成し得る。一実施例では、粒子は、複合構造体並びに/又は複合構造体の平面及び/若しくは領域の全体にわたって均一に分散されてもよい。一実施例では、粒子は、複合構造体全体にわたって均一に分布されてもよく、これにより、複合構造体内の他の領域への、複合構造体内の粒子のサグ及び/又は自由移動及び/又は移動を回避及び/又は防止し、したがって、複合構造体内の粒子のより高い濃度のゾーン、及び粒子のより低い濃度のゾーン又はゼロ濃度のゾーンをもたらす。一実施例では、複合構造体のμCT断面は、粒子が複合構造体の全体にわたって均一に分布しているかどうかを示すことができる。
【0070】
本明細書で使用するとき、「添加剤」は、本発明の繊維要素内に存在し、フィラメント形成材料ではない任意の材料を意味する。一例では、添加剤は、活性剤を含む。別の例では、添加剤は、加工助剤を含む。更に別の例では、添加剤は、充填剤を含む。一例では、添加剤は、繊維要素中に存在する任意の材料であって、その材料が繊維要素に存在しなくとも、繊維要素の繊維要素構造は損なわれない(言い換えれば、その材料が存在しなくとも、繊維要素の固体形態は損なわれない)材料を含む。別の例では、添加剤、例えば、活性剤は、非ポリマー材料を含む。
【0071】
他の例では、添加剤は繊維要素のための可塑剤を含んでもよい。本発明のための好適な可塑剤の非限定的な例としては、ポリオール、コポリオール、ポリカルボン酸、ポリエステル、及びジメチコンコポリオールが挙げられる。有用なポリオールの例としては、グリセリン、ジグリセリン、プロピレングリコール、エチレングリコール、ブチレングリコール、ペンチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、ヘキサンジオール、2,2,4-トリメチルペンタン-1,3-ジオール、ポリエチレングリコール(200~600)、ペンタエリスリトール、糖アルコール、例えばソルビトール、マニトール、ラクチトール、並びに他の一価及び多価低分子量アルコール(例えば、C2~C8アルコール);単糖、二糖、及びオリゴ糖、例えば、フルクトース、グルコース、スクロース、マルトース、ラクトース、高フルクトースコーンシロップ固体、及びデキストリン、並びにアスコルビン酸が挙げられるが、これらに限定されない。
【0072】
一例では、可塑剤としては、グリセリン、及び/又はプロピレングリコール、及び/又はプロポキシル化グリセロールなどのグリセロール誘導体が挙げられる。更に別の実施例では、可塑剤は、グリセリン、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、グリシドール、尿素、ソルビトール、キシリトール、マルチトール、糖類、エチレンビスホルムアミド、アミノ酸、及びこれらの混合物からなる群から選択される。
【0073】
他の例では、添加剤は、剪断力変性剤及び/又は伸長変性剤などのレオロジー変性剤を含み得る。レオロジー変性剤の非限定的な例としては、本発明の繊維要素中で使用され得るポリアクリルアミド、ポリウレタン、及びポリアクリレートが挙げられるが、これらに限定されない。レオロジー変性剤の非限定的な例は、Dow Chemical Company(Midland,MI)から市販されている。
【0074】
更に他の例において、添加剤には、繊維要素を目的とされる使用条件に曝した際に、及び/又は活性剤が繊維要素から放出された際に、及び/又は繊維要素の形態が変化した際に、視覚的な信号を提供するために、本発明の繊維要素内に組み込まれる1つ以上の色及び/又は染料が含まれていてもよい。
【0075】
更に他の例では、添加剤には1つ以上の剥離剤及び/又は潤滑剤が含まれていてもよい。好適な離型剤及び/又は潤滑剤の非限定的な例としては、脂肪酸、脂肪酸塩、脂肪族アルコール、脂肪族エステル、スルホン化脂肪酸エステル、脂肪族アミンアセテート、脂肪アミド、シリコーン、アミノシリコーン、フルオロポリマー、及びこれらの混合物が挙げられる。一例では、剥離剤及び/又は潤滑剤は繊維要素に適用してもよく、換言すれば、繊維要素形成後に、適用してもよい。一例では、1種以上の剥離剤/潤滑剤は、回収装置で繊維要素を回収して発泡性繊維構造を形成する前に、繊維要素に適用されてよい。別の例では、1種以上の剥離剤/潤滑剤は、発泡性繊維構造の積層体など1つ以上の発泡性繊維構造を接触させる前に、本発明の繊維要素から形成された発泡性繊維構造に適用してよい。更に別の例では、繊維要素及び/若しくは発泡性繊維構造の剥離を促進するために、並びに/又は本発明の繊維要素及び/若しくは発泡性繊維構造の層が互いにくっつくのを、更には意図せずにくっつくのを避けるために、繊維要素及び/又は発泡性繊維構造が表面(例えば、加工システムにおいて使用される装置の表面)と接触する前に、本開示の繊維要素及び/又は繊維要素を含む発泡性繊維構造に、1種以上の剥離剤/潤滑剤を適用してよい。一例では、離型剤/潤滑剤は、微粒子を含む。
【0076】
更に他の例では、添加剤は1つ以上のブロッキング防止剤及び/又は粘着性除去剤を含み得る。好適なブロッキング防止剤及び/又は粘着性除去剤の非限定的な例としては、デンプン、デンプン誘導体、架橋ポリビニルピロリドン、架橋セルロース、微結晶セルロース、シリカ、金属酸化物、炭酸カルシウム、タルク、雲母、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0077】
一例では、予想外にも、本発明の発泡性繊維構造中にシリカを含めると、シリカを含まない場合よりも高い泡の高さを有する安定した泡が得られることが見出された。
【0078】
本明細書で使用するとき、「意図される使用条件」は、本発明の繊維要素、及び/又は粒子、及び/又は発泡性繊維構造をその設計用途の1つ以上のために使用するときに曝される温度条件、物理的条件、化学的条件、及び/又は機械的条件を意味する。例えば、繊維要素、及び/又は粒子、及び/又は繊維要素を含む発泡性繊維構造が、洗濯物ケアの目的で洗濯機において使用されるように設計されている場合、意図される使用条件は、洗濯洗浄操作中の、任意の洗浄水を含む、洗濯機内に存在する温度条件、化学的条件、物理的条件、及び/又は機械的条件を含む。別の例では、繊維要素、及び/又は粒子、及び/又は繊維要素を含む発泡性繊維構造が、ヘアケア目的のためにシャンプーとしてヒトによって使用されるように設計されている場合、目的とする使用条件は、ヒトの毛髪のシャンプー中に存在する温度条件、化学的条件、物理的条件、及び/又は機械的条件を含む。同様に、繊維要素、及び/又は粒子、及び/又は繊維要素を含む発泡性繊維構造が、手又は食器洗浄機による食器洗浄操作において使用されるように設計されている場合、意図される使用条件は、食器洗浄操作中の食器洗浄水及び/又は食器洗浄機中に存在する、温度条件、化学的条件、物理的条件、及び/又は機械的条件を含む。
【0079】
本明細書で使用するとき、「活性剤」は、繊維要素、及び/又は粒子、及び/又は本発明の繊維要素を含む発泡性繊維構造の外部の環境において、例えば、繊維要素、及び/又は粒子、及び/又は発泡性繊維構造が、繊維要素、及び/又は粒子、及び/又は繊維要素を含む発泡性繊維構造の意図される使用条件に曝される場合に、意図した効果を生じさせる添加剤を意味する。一例では、活性剤は、表面、例えば、硬質表面(すなわち、キッチンのカウンター、バスタブ、トイレ、便器、シンク、床、壁、歯、車、窓、鏡、皿)及び/又は軟質表面(すなわち、布地、毛髪、皮膚、カーペット、作物、植物)を処理する添加剤を含む。別の実施例では、活性剤は、化学反応(すなわち、起泡、発泡、着色、加温、冷却、泡立ち、消毒及び/又は浄化及び/又は塩素消毒(水の浄化、及び/又は水の消毒、及び/又は水の塩素消毒など))を生じさせる添加剤を含む。更に別の例では、活性剤は、環境を処理する(すなわち、空気を脱臭する、浄化する、芳香を付する)添加剤を含む。一例では、活性剤は、活性剤を含有する繊維要素及び/又は粒子の形成中などで、その場で形成され、例えば繊維要素及び/又は粒子は、水溶性ポリマー(例えばデンプン)及び界面活性剤(例えばアニオン性界面活性剤)を含んでもよい。水溶性ポリマー及び界面活性剤は、布地の表面を処理するのに使用される活性剤として機能する高分子錯体、又はコアセルベートを作り出すことができる。
【0080】
「処理する」は、表面の処理に関して本明細書で使用するとき、活性剤が、表面又は環境に利益をもたらすことを意味する。処理としては、表面又は環境の外観、清浄度、におい、純度、及び/又は感触の調節及び/又は速やかな改善が挙げられる。一実施例では、ケラチン性組織(例えば、皮膚及び/又は毛髪)表面の処理に関する処理とは、ケラチン性組織の美容上の外観及び/又は感触の調節及び/又は速やかな改善を意味する。例えば、「皮膚、毛髪、又は爪(ケラチン性組織)の条件の調節」としては、皮膚、毛髪、又は爪の萎縮を低減するための、皮膚、毛髪、又は爪の肥厚化(例えば、皮膚の表皮及び/又は真皮及び/又は皮下(例えば、皮下脂肪又は筋肉)層の構築、並びに適用可能である場合、爪及び毛幹の角質層の構築)、真皮-表皮の境界(乳頭間隆起としても既知)の回旋の増加、弾性線維症、たるみ、皮膚又は毛髪の変形からの回復の喪失などの、皮膚又は毛髪の弾性の喪失(機能的皮膚エラスチンの喪失、損傷、及び/又は不活性化)の防止、目の下のくま、染み(例えば、酒さなどによる不均一な赤味)(以下、「赤斑」と称される)、血色の悪さ(青白い色)、毛細血管拡張症又はクモ状血管によって引き起こされる変色、及び白髪などの、皮膚、毛髪、又は爪の色のメラニン性変化又は非メラニン性変化の防止が挙げられる。
【0081】
別の実施例では、処理は、布地物品(例えば、衣類、タオル、リネン)及び/又は硬質表面(例えば、カウンター及び/又は深鍋及び平鍋などの食器)から染み及び/又はにおいを除去することを意味する。
【0082】
本明細書で使用するとき、「布地ケア活性剤」は、布地に適用したときに、その布地に利益及び/又は改善をもたらす活性剤を意味する。布地に対する利益及び/又は改善の非限定的な例としては、洗浄(例えば、界面活性剤によって)、染み除去、染み低減、しわ除去、色回復、静電気制御、しわ耐性、パーマネントプレス、磨耗減少、磨耗耐性、毛玉取り、毛玉耐性、汚れ除去、汚れ耐性(汚れ放出を含む)、形状保持、縮み低減、柔軟性、芳香、抗菌、抗ウイルス、防臭、及びにおい除去が挙げられる。
【0083】
本明細書で使用するとき、「食器洗浄用活性剤」は、食器、ガラス製品、深鍋、平鍋、台所用具、及び/又はクッキングシートに適用したときに、食器、ガラス製品、プラスチック物品、深鍋、平鍋、及び/又はクッキングシートに、利益及び/又は改善をもたらす活性剤を意味する。食卓用食器、ガラス製品、プラスチック物品、深鍋、平鍋、台所用具、及び/又はクッキングシートへの利益及び/又は改善の非限定的な例としては、食物及び/又は汚れ除去、洗浄(例えば界面活性剤による)染み除去、染み低減、油脂除去、水染み除去及び/又は水染み防止、ガラス及び金属ケア、衛生化、輝き、並びに研磨が挙げられる。
【0084】
本明細書で使用するとき、「硬質表面用活性剤」は、床、カウンター、シンク、窓、鏡、シャワー、風呂、及び/又はトイレに適用したときに、床、カウンター、シンク、窓、鏡、シャワー、風呂、及び/又はトイレに利益及び/又は改善をもたらす活性剤を意味する。床、カウンター、シンク、窓、鏡、シャワー、風呂、及び/又はトイレに対する利益及び/又は改善の非限定的な例としては、食品及び/又は汚れ除去、洗浄(例えば、界面活性剤による)、染み除去、染み低減、油脂除去、水染み除去及び/又は水染み防止、石鹸かすの除去、消毒、光沢、研磨、及びフレッシュニングが挙げられる。
【0085】
本明細書で使用するとき、「重量比」は、乾燥基準での2つの材料間の比率を意味する。例えば、繊維要素中のフィラメント形成材料対活性剤の重量比とは、繊維要素中の乾燥重量基準のフィラメント形成材料の重量(g又は%)対繊維要素中の乾燥重量基準の添加剤(例えば活性剤)の重量(g又は%(フィラメント形成材料の重量と同じ単位))の比率である。別の例では、発泡性繊維構造中の粒子対繊維要素の重量比とは、発泡性繊維構造中の乾燥重量基準の粒子の重量(g又は%)対発泡性繊維構造中の乾燥重量基準の繊維要素の重量(g又は%(粒子の重量と同じ単位))の比率である。
【0086】
本明細書で使用するとき、「水溶性材料」は、水に混和性である材料を意味する。言い換えれば、周囲条件で、水と、安定した(均質な液を形成した後、5分超にわたって分離しない)均質な溶液を形成することが可能な材料である。
【0087】
「周囲条件」は、本明細書で使用するとき、23℃±1.0℃及び相対湿度50%±2%を意味する。
【0088】
本明細書で使用するとき、「重量平均分子量」は、Colloids and Surfaces A.Physico Chemical&Engineering Aspects,Vol.162,2000,p.107-121に見出されるプロトコルに従って、ゲル浸透クロマトグラフィを用いて決定される重量平均分子量を意味する。
【0089】
繊維要素に関して本明細書で使用するとき、「長さ」は、一方の末端から他方の末端までの繊維要素の最長軸に沿った長さを意味する。繊維要素が内部にねじれ、丸まり、又は曲がりを有する場合、長さは一方の末端から他方の末端までの繊維要素の全経路に沿った長さである。
【0090】
繊維要素に関して本明細書で使用するとき、「直径」は、本明細書に記載の直径試験法に従って測定される。一例では、本発明の繊維要素は、100μm未満、及び/又は75μm未満、及び/又は50μm未満、及び/又は25μm未満、及び/又は20μm未満、及び/又は15μm未満、及び/又は10μm未満、及び/又は6μm未満、及び/又は1μm超、及び/又は3μm超の直径を示す。
【0091】
本明細書で使用するとき、「誘発条件」は、一例において、刺激として機能し、本発明の繊維要素、及び/又は粒子、及び/又は発泡性繊維構造において変化(例えば、繊維要素の、及び/若しくは発泡性繊維構造の物理的構造の喪失若しくは変化、並びに/又は活性剤などの添加剤の放出)を開始させる又は引き起こす作用又は事象としてのあらゆるものを意味する。別の例では、誘発条件は、本発明の繊維要素、及び/又は粒子、及び/又は発泡性繊維構造を水に添加したときに、環境(例えば水など)中に存在していてもよい。言い換えれば、本発明の繊維要素及び/又は発泡性繊維構造が水に添加されたという事実を除いて、水中で変化は生じない。
【0092】
繊維要素の、及び/又は粒子の形態変化に関して本明細書で使用するとき、「形態変化」とは、繊維要素が、その物理的構造の変化を経験することを意味する。本発明の繊維要素及び/又は粒子の形態変化の非限定的な例としては、溶解、融解、膨張、収縮、粉砕、破裂、延長、短縮、及びこれらの組み合わせが挙げられる。本発明の繊維要素及び/又は粒子は、意図される使用条件に曝される場合に、その繊維要素及び/又は粒子の物理的構造を完全に、又は実質的に失ってもよく、又はその形態が変化してもよく、又はその繊維要素又は粒子の物理的構造を保持するか、又は実質的に保持してよい。
【0093】
「乾燥繊維要素基準での重量」、及び/又は「乾燥粒子基準での重量」、及び/又は「乾燥発泡性繊維構造基準での重量」は、繊維要素、及び/又は粒子、及び/又は発泡性繊維構造がそれぞれ温度23℃±1.0℃及び相対湿度50%±10%に調整された室内で2時間調整された直後にそれぞれ測定された繊維要素、及び/又は粒子、及び/又は発泡性繊維構造の重量を意味する。一例では、乾燥繊維要素基準、及び/又は乾燥粒子基準、及び/又は乾燥発泡性繊維構造での重量は、本明細書に記載の含水率試験法により測定されるとき、繊維要素、及び/又は粒子、及び/又は発泡性繊維構造が、繊維要素、及び/又は粒子、及び/又は発泡性繊維構造の乾燥重量に基づいて、20重量%未満、及び/又は15重量%未満、及び/又は10重量%未満、及び/又は7重量%未満、及び/又は5重量%未満、及び/又は3重量%未満、及び/又は0重量%、及び/又は0重量%超の水分(水(例えば、遊離水)など)を含むことを意味する。
【0094】
本明細書で使用するとき、例えば、繊維要素、及び/又は粒子、及び/又は発泡性繊維構造中に存在する1つ以上の活性剤の総濃度に関して本明細書で使用するとき、「総濃度」は、被験材料(例えば、活性剤)の全ての重量又は重量%の合計を意味する。換言すれば、繊維要素及び/又は粒子及び/又は発泡性繊維構造は、繊維要素及び/又は粒子及び/又は発泡性繊維構造中に存在する活性剤の総濃度が、乾燥繊維要素基準及び/又は乾燥粒子基準及び/又は乾燥発泡性繊維構造基準で50重量%超、すなわち、55重量%となるように、乾燥繊維要素基準及び/又は乾燥粒子基準及び/又は乾燥発泡性繊維構造基準で25重量%のアニオン性界面活性剤と、乾燥繊維要素基準及び/又は乾燥粒子基準及び/又は乾燥発泡性繊維構造基準で15重量%の非イオン性界面活性剤と、乾燥繊維要素基準及び/又は乾燥粒子基準及び/又は乾燥発泡性繊維構造基準で10重量%のキレートと、乾燥繊維要素基準及び/又は乾燥粒子基準及び/又は乾燥発泡性繊維構造基準で5重量%の香料と、を含み得る。
【0095】
本明細書で使用するとき、「発泡性繊維構造製品」は、複数の繊維要素と複数の粒子とを含む、固体形態、例えば、時にシート、本発明の場合は本発明の1つ以上の発泡性繊維構造と称する矩形の固体を意味する。発泡性繊維構造製品は、発泡性繊維構造及び/又は発泡性繊維構造製品の繊維要素及び/又は粒子中に存在する、1つ以上の活性剤、例えば発泡剤、布地ケア活性剤、食器洗浄活性剤、硬質表面活性剤、及びこれらの混合物を含む。一例では、本発明の発泡性繊維構造製品は、1種以上の界面活性剤、1種以上の酵素(小粒酵素の形態など)、1種以上の香料、及び/又は1種以上の抑泡剤を含む。別の例では、本発明の発泡性繊維構造製品は、ビルダー及び/又はキレート剤を含む。別の例では、本発明の発泡性繊維構造製品は、漂白剤(カプセル化された漂白剤など)を含む。一例では、発泡性繊維構造製品は、便器洗浄製品、例えば、使用中に便器の水の上に少なくとも部分的に浮く便器洗浄製品である。
【0096】
本明細書で使用するとき、「異なる形態」又は「異なる」は、材料(繊維要素全体、及び/又は繊維要素内のフィラメント形成材料、及び/又は繊維要素内の活性剤など)に関して、1つの材料(繊維要素、及び/又はフィラメント形成材料、及び/又は活性剤など)が、化学的、物理的、及び/又は構造的に他の材料(繊維要素、及び/又はフィラメント形成材料、及び/又は活性剤など)と異なることを意味する。例えば、フィラメント形態のフィラメント形成材料は、繊維形態の同じフィラメント形成材料とは異なる。同様に、デンプンポリマーは、セルロースポリマーとは異なる。しかし、分子量の異なるデンプンなど、異なる分子量の同じ物質は、本発明の目的において、互いに異なる物質ではない。
【0097】
本明細書で使用されるとき、「ポリマーのランダム混合体」は、2つ以上の異なるフィラメント形成材料がランダムに結合して、繊維要素を形成していることを意味する。その結果、シースコア型の2成分の繊維要素など、規則正しく結合して繊維要素を形成する2つ以上の異なるフィラメント形成材料は、本発明の目的において、異なるフィラメント形成材料のランダム混合物ではない。
【0098】
繊維要素及び/又は粒子に関して本明細書で使用するとき、「結合する(Associate)」、「結合される(Associated)」、「結合体(Association)」、及び/又は「結合している(Associating)」は、発泡性繊維構造が形成されるように、繊維要素及び/又は粒子を直接接触又は間接接触によって組み合わせることを意味する。一例では、結合される繊維要素及び/又は粒子は、例えば、接着剤及び/又は熱接着によって互いに接着され得る。別の例では、繊維要素及び/又は粒子は、ベルト及び/又はパターン付ベルトを作製する同一の発泡性繊維構造上に付着させることによって互いに結合され得る。
【0099】
本明細書で使用するとき、「開口」は、周囲の発泡性繊維構造とは異なる発泡性繊維構造中の開口部又は空隙又は窪みを意味する。一例では、開口は、発泡性繊維構造を局所的に破壊した任意の特徴部を含んでもよい。一例では、開口は、発泡性繊維構造の坪量、厚さ、又はキャリパーの局所的な窪み又は局所的な破壊を含んでもよい。別の例では、開口は、発泡性繊維構造中の開口部であってもよく、このとき開口部は、発泡性繊維構造の概ね平面の両方を通って、発泡性繊維構造の概ね平面の一方を通って、又は更には発泡性繊維構造のいずれの平面も通らずに、実質的に又は完全に貫通している。別の例では、開口は、発泡性繊維構造中の開口部であってもよく、このとき、完全開口部、部分的開口部が存在し、又は更には明らかな開口部が存在しない。更に別の例では、開口は、発泡性繊維構造中のエンボス加工の特徴部を含んでもよい。更に別の例では、開口は、発泡性繊維構造及び/又は多層発泡性繊維構造の内部特徴部であり、例えば、開口特徴部は、多層発泡性繊維構造の内部層上に存在し得る。更に別の例では、開口は、発泡性繊維構造中に開口部又は空隙又は窪みを含み、このとき開口部又は空隙又は窪みは、回収装置上の繊維要素の集合及び絡み合いに起因する、発泡性繊維構造の繊維要素間に存在するランダムな孔ではなく、非ランダムな、及び/又は設計された、及び/又は作製された開口部、空隙、又は窪みである。
【0100】
本明細書で使用するとき、「機械方向」又は「MD」は、発泡性繊維構造製造装置及び/又は発泡性繊維構造製品製造機を通って発泡性繊維構造が流れる方向と平行な方向を意味する。
【0101】
本明細書で使用するとき、「機械横断方向」又は「CD」は、発泡性繊維構造及び/又は発泡性繊維構造を含む発泡性繊維構造製品の同一平面上で、機械方向と垂直である方向を意味する。
【0102】
本明細書で使用するとき、「層」又は「多層」は、他の層と実質的に連続の向かい合わせの関係に任意に配置され、多層発泡性繊維構造を形成する、個々の発泡性繊維構造を意味する。単一発泡性繊維構造は、例えばそれ自体の上に折り畳むことによって、2「層」又は多「層」を有効に形成できることも意図される。
【0103】
本明細書で使用するとき、本明細書で使用する場合の冠詞「a」及び「an」、例えば、「アニオン性界面活性剤(an anionic surfactant)」又は「繊維(a fiber)」は、請求又は記載される1種以上の材料を意味すると理解される。
【0104】
全ての百分率及び比率は、別途記載のない限り、重量基準で計算される。全ての百分率及び比率は、別途記載のない限り、全組成に基づいて計算される。
【0105】
特に記載のない限り、全ての成分又は組成物の濃度は、その成分又は組成物の活性濃度に関するものであり、市販の供給源中に存在し得る不純物、例えば、残留溶媒又は副生成物は除外される。
【0106】
発泡性組成物
本発明の発泡性組成物は、安定した泡を生成する。一例では、発泡性組成物は、1つ以上の気泡安定化剤、例えば1つ以上の界面活性剤、例えば1つ以上の硫酸塩部分フリーの及び/又はスルホン酸塩部分フリーの界面活性剤、並びに、ガス生成系、例えばCO2生成系、例えば発泡系、例えば1つ以上の発泡性酸及び1つ以上の発泡性塩を含む発泡系、例えば1つ以上の発泡性酸粒子及び1つ以上の発泡性塩粒子を含む発泡系を含む。
【0107】
一例では、本発明の、例えば粉末の形態の発泡性組成物は、1つ以上の発泡性酸、例えば1つ以上のクエン酸粒子などの1つ以上の発泡性酸粒子と、1つ以上の発泡性塩、例えば1つ以上の重炭酸ナトリウム粒子などの1つ以上の発泡性塩粒子とを含み、1つ以上の発泡性塩、例えば重炭酸ナトリウム粒子などの発泡性塩粒子の少なくとも1つは、少なくとも1つ以上の気泡安定化剤、1つ以上の界面活性剤としての、例えばグルタミン酸塩界面活性剤及び/又はアミンオキシド界面活性剤の少なくとも部分コーティングを有する。一例では、コーティングは、DSCGなどのグルタミン酸塩界面活性剤を含む。
【0108】
別の例では、本発明の、例えば凝集体の形態の発泡性組成物は、1つ以上の発泡性酸、例えば1つ以上のクエン酸粒子などの1つ以上の発泡性酸粒子と、1つ以上の発泡性塩、例えば1つ以上の重炭酸ナトリウム粒子などの1つ以上の発泡性塩粒子とを含み、1つ以上の発泡性酸、例えば1つ以上のクエン酸粒子などの1つ以上の発泡性酸粒子と、1つ以上の発泡性塩、例えば1つ以上の重炭酸ナトリウム粒子などの1つ以上の発泡性塩粒子とは、1つ以上の気泡安定化剤、1つ以上の界面活性剤としての、例えばグルタミン酸塩界面活性剤及び/又はアミンオキシド界面活性剤によって互いに結合されている。一例では、気泡安定化剤は、DSCGなどのグルタミン酸塩界面活性剤を含む。
【0109】
一例では、本発明の発泡性組成物は、アルキル硫酸塩界面活性剤を実質的に含まず、これは、発泡性組成物の重量基準で5%未満及び/又は3%未満及び/又は2%未満及び/又は1%未満及び/又は0.5%未満及び/又は0.25%未満及び/又は0%未満のアルキル硫酸塩界面活性剤を意味し、例えば、ラウリルヒドロキシスルタイン(LHS)を実質的に含まず、及び/又は直鎖アルキルベンゼンスルホネート(LAS)を実質的に含まず、及び/又はラウリル硫酸ナトリウム(SLS)を実質的に含まない。理論に束縛されることを望むものではないが、本発明による発泡性組成物(気泡安定化剤-DSCG及びアミンオキシド)及び従来技術の発泡性組成物(LAS、LHS、及びSLS)を示す表1によって証明されるように、LAS、LHS、及びSLSは、泡の中で分解し、及び/又は不安定になると考えられる。
【0110】
【0111】
一例では、本発明の発泡性組成物は、香料を更に含んでもよい。本発明の発泡性組成物に香料を含める前に、香料を、ポリマー、例えば、ミリスチン酸イソプロピル及び/又は高融点非イオン性界面活性剤などの増粘剤と混合して混合物を生成することができ、れにより、少なくとも香料をゲル化させ、及び/又は、水と接触する時点、例えば発泡性組成物が水と接触して泡を生成するときに、少なくとも一時的に固定化する。香料のゲル化及び/又は固定化は、少なくとも一時的に、香料の存在による泡の不安定化及び/又は分解を最小限に抑える。実際には、香料の放出は遅延され、泡の高さが増加及び/若しくはその初期の泡の高さを維持し、並びに/又は、香料が水と接触した直後に放出された場合よりも長い寿命を示すことを可能にする。
【0112】
1つ以上の香料及び/又は香料原材料、例えばアコード及び/又はノートを、本発明の発泡性組成物に組み込むことができる。香料は、アルデヒド香料成分、ケトン香料成分、及びこれらの混合物からなる群から選択される香料成分を含んでもよい。
【0113】
1つ以上の香料及び/又は香粧品成分が、本発明の発泡性組成物に含まれてもよい。香料及び/又は香料成分として有用な広範な天然及び合成化学成分としては、アルデヒド、ケトン、エステル、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。また、オレンジ油、レモン油、バラ抽出物、ラベンダー、ムスク、パチョリ、バルサムエキス、サンダルウッド油、パイン油、シーダーなどの成分の複雑な混合物を含んでもよい、様々な天然の抽出物及びエキスも挙げられる。最終的な香料は、そのような成分の非常に複雑な混合物を含むことができる。一例では、完成香料は、典型的には、発泡性組成物の重量基準で約0.01重量%から約2重量%を含む。
【0114】
前述のように、香料の存在は、本発明による発泡性組成物によって生成される泡の不安定性及び/又は分解を引き起こす可能性がある。以下の表2に示すように、予想外にも、発泡性組成物に含める前に、香料をPPO-PEOブロックコポリマーなどのポリマー、例えば、Sigma-Aldrich製のPluronicP123などのポリ(エチレングリコール)-ブロック-ポリ(プロピレングリコール)-ブロック-ポリ(エチレングリコール)と混合すると、香料の存在がもたらす泡の不安定性及び/又は分解が最小限に抑えられることが分かった。更に、シリカ粒子などの担体粒子、例えばEvonik製のZeodent 9175に、香料/ポリマー混合物を(例えば、香料又は香料混合物とシリカの重量比1:1で)担持させることにより、香料の存在がもたらす泡の不安定性及び/又は分解が更に最小限に抑えられる。理論に束縛されることを望むものではないが、香料とポリマーとの混合物、更にはその混合物の担体粒子への担持は、そのような香料を含む本発明による発泡性組成物から生成された泡中の香料の存在を遅らせると考えられる。
【0115】
【0116】
発泡性繊維構造
本発明の発泡性繊維構造は、複数の繊維要素、例えば複数のフィラメントと、1つ以上の粒子、例えば、水溶性の活性剤含有粒子などの1つ以上の活性剤含有粒子と、を含む。
【0117】
一例では、繊維要素及び/又は粒子は、発泡性繊維構造内に配置されて、異なる活性剤を含む2つ以上の領域を発泡性繊維構造に提供し得る。例えば、発泡性繊維構造のある領域は、漂白剤及び/又は界面活性剤を含んでもよく、発泡性繊維構造の別の領域は、柔軟剤を含んでもよい。
【0118】
図1に示されるように、本発明による発泡性繊維構造10の例は、複数の繊維要素14、この場合はフィラメントを含む第1の層12と、複数の繊維要素14、この場合はフィラメントを含む第2の層16と、第1の層12と第2の層16との間に配置された複数の粒子18と、を含む。同様の発泡性繊維構造は、複数の繊維要素を含む発泡性繊維構造の第1の層の表面上に複数の粒子を堆積させ、次いで、粒子が第1の層と第2の層との間に配置されるように、複数の繊維要素を含む発泡性繊維構造、例えば、本発明による発泡性繊維構造の第2の層を結合させることによって、形成することができる。
【0119】
図2に示されるように、本発明の発泡性繊維構造10の別の例は、複数の繊維要素14、この場合はフィラメントを含む第1の層12を含み、第1の層12は、非ランダムな繰り返しパターンであり得る1つ以上のポケット20(凹部とも呼ばれる)を含む。ポケット20のうちの1つ以上は、1つ以上の粒子18を含んでもよい。発泡性繊維構造10は、粒子18がポケット20に捕捉されるように、第1の層12と結合される第2の層16を更に含む。上記のように、同様の発泡性繊維構造は、複数の繊維要素を含む発泡性繊維構造の第1の層のポケット内に複数の粒子を堆積させ、次いで、粒子が第1の層のポケット内に補足されるように、複数の繊維要素を含む発泡性繊維構造、例えば、本発明による発泡性繊維構造の第2の層を結合させることによって、形成することができる。一例では、ポケットが発泡性繊維構造から分離されて、別個のポケットを生成してもよい。
【0120】
図3に示されるように、本発明の多層発泡性繊維構造22の例は、上記の
図2による発泡性繊維構造の第1の層24と、第1の層24に例えば縁部シームにより結合された、発泡性繊維構造、例えば本発明による発泡性繊維構造の第2の層26と、を含み、第2の層26は、複数の繊維要素14、この場合はフィラメントと、1つ若しくは両方の層にわたって、及び/又は多層発泡性繊維構造全体にわたってx軸、y軸、及びz軸に、この場合はランダムに分散された複数の粒子18と、を含む。換言すれば、粒子、例えば水溶性の活性剤含有粒子は、発泡性繊維構造層の一方又は両方の繊維要素と混合される。
【0121】
図4に示されるように、本発明の発泡性繊維構造10の例は、複数の繊維要素14、この場合はフィラメントと、発泡性繊維構造10にわたってx軸、y軸、及びz軸に、この場合はランダムに分散された複数の粒子18と、を含む。
【0122】
本発明の繊維要素及び/又は発泡性繊維構造は固体形態であるが、本発明の繊維要素を製造するために使用されるフィラメント形成組成物は液体形態であってよい。
【0123】
一例では、発泡性繊維構造は、組成の点から本発明による繊維要素及び/又は粒子と同一であるか又は実質的に同一である複数の繊維要素を含む。別の例では、発泡性繊維構造は、本発明による2つ以上の異なる繊維要素及び/又は粒子を含み得る。繊維要素及び/又は粒子の相違点の非限定的な例は、直径、長さ、質感、形状、剛性、弾性の違いなどの物理的な違い;架橋レベル、溶解度、融点、Tg、活性剤、フィラメント形成材料、色、活性剤の濃度、坪量、密度、フィラメント形成材料の濃度、繊維要素上の任意コーティングの存在、生分解性であるか否か、疎水性であるか否か、接触角などの化学的な違い;意図される使用条件に繊維要素及び/又は粒子が曝されたときに、繊維要素及び/又は粒子がその物理的構造を失うかどうかの違い;意図される使用条件に繊維要素及び/又は粒子が曝されたときに、繊維要素及び/又は粒子の形態が変化するかどうかの違い;並びに、意図される使用条件に繊維要素及び/又は粒子が曝されたときに、繊維要素及び/又は粒子がその活性剤のうちの1つ以上を放出する速度の違いであり得る。一例では、発泡性繊維構造内の2つ以上の繊維要素及び/又は粒子は、異なる活性剤を含んでもよい。これは、異なる活性剤、例えばアニオン性界面活性剤(例えば、シャンプー活性剤)及びカチオン性界面活性剤(例えば、ヘアコンディショナー活性剤)が互いに相溶性ではない場合に該当し得る。
【0124】
別の例では、発泡性繊維構造は、異なる領域、例えば、坪量、密度、及び/又は厚さの異なる領域を呈し得る。更に別の例では、起泡繊維構造は、その表面のうちの1つ以上にテクスチャを含み得る。発泡性繊維構造の表面は、非ランダムな反復パターン等のパターンを含んでもよい。既往繊維構造は、エンボスパターンでエンボス加工されてもよい。別の例では、発泡性繊維構造は、開口を含んでもよい。開口は、非ランダムな反復パターンで配置されてもよい。
【0125】
本発明の別の例では、発泡性繊維構造は、1つ以上の開口を含み、したがって、有孔発泡性繊維構造である。一例では、発泡性繊維構造は、複数の開口を含む。開口は、パターン、例えば、非ランダム反復パターンなどの反復パターン、及び/又は非反復パターンで配置されてもよい。
【0126】
本発明の有孔発泡性繊維構造内の開口は、実質的に任意の形状及びサイズであってもよい。一例では、有孔発泡性繊維構造内の開口は、離間した開口部の規則的なパターンの、一般的に円形又は楕円形である。一例では、発泡性繊維構造は、約0.2mm~約100mm、及び/又は約0.5mm~約10mmの距離で互いに離間される2つ以上の開口を含む。
【0127】
発泡性繊維構造、例えば可溶性の発泡性繊維構造の開口は、任意の種類の技術によって達成することができる。例えば、開口は、米国特許第3,949,127号及び同第5,873,868号に記載されているものなどの、結合及び延伸を伴う様々なプロセスによって達成することができる。一実施形態では、開口は、共に参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5,628,097号及び同第5,916,661号に記載されるように、複数の離間した溶融安定化領域を形成し、次いでウェブをリング圧延してウェブを延伸し、溶融安定化領域内に開口を形成することによって形成されてもよい。別の実施形態では、開口は、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第6,830,800号及び同第6,863,960号に記載されている方法によって、多層発泡性繊維構造の構成中に形成することができる。ウェブを開口させるための更に別のプロセスは、参照により本明細書に組み込まれる「Method And Apparatus For Making An Apertured Web」と題された米国特許第8,241,543号に記載されている。本発明の発泡性繊維構造に孔を開けるためのプロセスの非限定的な例としては、エンボス加工、ロッジング、回転ナイフによる穿孔、ピンニング、ダイカット、ダイパンチング、ニードルパンチング、ローレット加工、クラッシュ切断、シャー切断、空圧成形、液圧成形、レーザ切断、及びタフティングが挙げられる。一例では、本発明の発泡性繊維構造は、ピンニングによる開口を含む。別の例では、本発明の発泡性繊維構造は、ロッジングによる開口を含む。別の例では、本発明の発泡性繊維構造は、回転ナイフ穿孔による開口を含む。更に別の例では、本発明の発泡性繊維構造は、異なる種類の開口プロセスによって発泡性繊維構造に付与された開口を含んでもよい。
【0128】
一例では、形成中に繊維要素が回収デバイスに接触すると、発泡性繊維構造に孔を付与する例えば凹部及び/又は突出部などの特徴部を有する、パターン付きベルトなどの回収デバイス上で発泡性繊維構造を形成する間に、発泡性繊維構造に開口を付与することができる。
【0129】
一例では、発泡性繊維構造は、発泡性繊維構造の他の部分とは異なる、繊維要素の分離した領域を含み得る。
【0130】
本発明の発泡性繊維構造の用途の非限定的な例としては、洗濯乾燥機の基材、洗濯機の基材、浴用タオル、硬質表面洗浄及び/又は研磨基材、床洗浄及び/又は研磨基材、バッテリー内の要素として、乳児用ワイプ、成人用ワイプ、婦人衛生用ワイプ、トイレットペーパーワイプ、窓洗浄基材、油封じ込め及び/又は掃除用基材、防虫基材、スイミングプール用化学基材、食品、口臭清涼剤、防臭剤、ごみ処理バック、梱包フィルム及び/又はラップ、創傷包帯、医薬品送達、建物用断熱材、作物及び/又は植物用カバー及び/又は苗床、糊基材、スキンケア基材、ヘアケア基材、空気ケア剤、水処理基材及び/又はフィルタ、便器洗浄基材、キャンディ基材、ペットフード、家畜用敷料、歯のホワイトニング基材、カーペット洗浄基材、並びに本発明の活性剤の他の好適な用途が挙げられるが、これらに限定されない。
【0131】
本発明の発泡性繊維構造は、そのまま使用されてもよく、又は1つ以上の活性剤でコーティングされてもよい。
【0132】
一例では、物品、例えば、本発明の発泡性繊維構造は、本明細書に記載の溶解試験法に従って測定されるとき、360秒(s)未満、及び/又は200s未満、及び/又は100s未満、及び/又は60s未満、及び/又は30s未満、及び/又は10s未満、及び/又は5s未満、及び/又は2.0s未満、及び/又は1.5s未満、及び/又は約0s、及び/又は0s超の平均崩壊時間を示し得る。
【0133】
一例では、物品、例えば、本発明の発泡性繊維構造は、本明細書に記載の溶解試験法に従って測定されるとき、3600秒(s)未満、及び/又は3000s未満、及び/又は2400s未満、及び/又は1800s未満、及び/又は1200s未満、及び/又は600s未満、及び/又は400s未満、及び/又は300s未満、及び/又は200s未満、及び/又は175s未満、及び/又は100s未満、及び/又は50s未満、及び/又は1s超の平均溶解時間を示し得る。
【0134】
別の例では、物品、例えば、本発明の発泡性繊維構造は、本明細書に記載の溶解試験法に従って測定されるとき、24時間未満、及び/又は12時間未満、及び/又は6時間未満、及び/又は1時間(3600秒)未満、及び/又は30分未満、及び/又は25分未満、及び/又は20分未満、及び/又は15分未満、及び/又は10分未満、及び/又は5分未満、及び/又は1秒超、及び/又は5秒超、及び/又は10秒超、及び/又は30秒超、及び/又は1分超の平均溶解時間を示す。
【0135】
一例では、物品、例えば、本発明の発泡性繊維構造は、本明細書に記載の溶解試験法に従って測定されるとき、約1.0秒/gsm(s/gsm)以下、及び/又は約0.5s/gsm以下、及び/又は約0.2s/gsm以下、及び/又は約0.1s/gsm以下、及び/又は約0.05s/gsm以下、及び/又は約0.03s/gsm以下の試料1gsm当たりの平均崩壊時間を示し得る。
【0136】
一例では、物品、例えば、本発明の発泡性繊維構造は、本明細書に記載の溶解試験法に従って測定されるとき、約10秒/gsm(s/gsm)以下、及び/又は約5.0s/gsm以下、及び/又は約3.0s/gsm以下、及び/又は約2.0s/gsm以下、及び/又は約1.8s/gsm以下、及び/又は約1.5s/gsm以下の試料1gsm当たりの平均溶解時間を示し得る。
【0137】
一例では、本発明の発泡性繊維構造は、本明細書に記載の厚み試験法に従って測定されるとき、0.01mm超、及び/又は0.05mm超、及び/又は0.1mm超、及び/又は約100mmまで、及び/又は約50mmまで、及び/又は約20mmまで、及び/又は約10mmまで、及び/又は約5mmまで、及び/又は約2mmまで、及び/又は約0.5mmまで、及び/又は約0.3mmまでの厚みを示す。
【0138】
粒子
粒子は、水溶性又は非水溶性であってもよい。一例では、ある粒子群は水溶性であってもよく、別の粒子群は非水溶性であってもよい。別の例では、粒子は、1つ以上の活性剤を含み得る(換言すれば、粒子は活性剤含有粒子を含み得る)。更に別の例では、粒子は、1つ以上の活性剤から本質的になり、かつ/又は1つ以上の活性剤からなる(換言すれば、粒子は、乾燥粒子基準で100重量%、又は約100重量%の1つ以上の活性剤を含み得る)。更に別の例では、粒子は水溶性粒子を含んでもよい。更に別の実施例では、粒子は、水溶性の活性剤含有粒子を含んでもよい。
【0139】
一例では、粒子は、異なる材料、例えば1つ以上の発泡性塩粒子、例えば重炭酸ナトリウム、1つ以上の発泡性酸粒子、例えばクエン酸、ゼオライトなどの1つ以上のビルダー粒子などの異なるサブ粒子の凝集体を含み、粒子は、界面活性剤、例えばDSCGなどの硫酸塩フリーの界面活性剤、及び任意選択的に1つ以上のポリマー、例えばポリビニルピロリドンなどの気泡安定化剤でコーティングされてもよい。
【0140】
一例では、本発明の発泡性繊維構造及び/又は発泡性繊維構造製品は、複数の粒子と複数の繊維要素、例えばフィラメントとを、約3:1~約20:1、及び/又は約5:1~約15:1、及び/又は約5:1~約12:1、及び/又は約7:1~約12:1の粒子の繊維要素に対する重量比で含む。
【0141】
繊維状要素
繊維要素は、水溶性又は非水溶性であってよい。一例では、繊維要素は、1種以上のフィラメント形成材料を含む。別の例では、繊維要素は、1種以上の活性剤を含む。更に別の例では、繊維要素は、1種以上のフィラメント形成材料と、1種以上の活性剤と、を含む。別の例では、繊維要素は、水溶性繊維要素である。
【0142】
本発明の繊維要素(フィラメント及び/又は繊維)は、1種以上のフィラメント形成材料を含む。フィラメント形成材料に加えて、繊維要素は、繊維要素及び/又は繊維要素を含む発泡性繊維構造が目的とする使用条件に曝されたときなどに繊維要素から放出可能な1つ以上の活性剤を更に含んでよい。一例では、繊維要素中に存在する1つ以上のフィラメント形成材料の総濃度は、乾燥繊維要素基準及び/又は乾燥発泡性繊維構造基準で80重量%未満であり、繊維要素中に存在する1つ以上の活性剤の総濃度は、乾燥繊維要素基準及び/又は乾燥発泡性繊維構造基準で20重量%超である。
【0143】
一例では、本発明の繊維要素は、乾燥繊維要素基準及び/又は乾燥発泡性繊維構造基準で、約100重量%、及び/又は95重量%超、及び/又は90重量%超、及び/又は85重量%超、及び/又は75重量%超、及び/又は50重量%超の1つ以上のフィラメント形成材料を含む。例えば、フィラメント形成材料は、ポリビニルアルコール、デンプン、カルボキシメチルセルロース、及び他の好適なポリマー(特にヒドロキシルポリマー)を含み得る。
【0144】
別の例では、本発明の繊維要素は、1つ以上のフィラメント形成材料と、1つ以上の活性剤とを含み、繊維要素中に存在するフィラメント形成材料の総濃度は、乾燥繊維要素基準及び/又は乾燥発泡性繊維構造基準で約5重量%~80重量%未満であり、繊維要素中に存在する活性剤の総濃度は、乾燥繊維要素基準及び/又は乾燥発泡性繊維構造基準で20重量%超~約95重量%である。
【0145】
一例では、本発明の繊維要素は、乾燥繊維要素基準及び/又は乾燥発泡性繊維構造基準で少なくとも10重量%、及び/又は少なくとも15重量%、及び/又は少なくとも20重量%、及び/又は80重量%未満、及び/又は75重量%未満、及び/又は65重量%未満、及び/又は60重量%未満、及び/又は55重量%未満、及び/又は50重量%未満、及び/又は45重量%未満、及び/又は40重量%未満のフィラメント形成材料と、乾燥繊維要素基準及び/又は乾燥発泡性繊維構造基準で20重量%超、及び/又は少なくとも35重量%、及び/又は少なくとも40重量%、及び/又は少なくとも45重量%、及び/又は少なくとも50重量%、及び/又は少なくとも60重量%、及び/又は95重量%未満、及び/又は90重量%未満、及び/又は85重量%未満、及び/又は80重量%未満、及び/又は75重量%未満の活性剤とを含む。
【0146】
一例では、本発明の繊維要素は、乾燥繊維要素基準及び/又は乾燥発泡性繊維構造基準で少なくとも5重量%、及び/又は少なくとも10重量%、及び/又は少なくとも15重量%、及び/又は少なくとも20重量%、及び/又は50重量%未満、及び/又は45重量%未満、及び/又は40重量%未満、及び/又は35重量%未満、及び/又は30重量%未満、及び/又は25重量%未満のフィラメント形成材料と、乾燥繊維要素基準及び/又は乾燥発泡性繊維構造基準で50重量%超、及び/又は少なくとも55重量%、及び/又は少なくとも60重量%、及び/又は少なくとも65重量%、及び/又は少なくとも70重量%、及び/又は95重量%未満、及び/又は90重量%未満、及び/又は85重量%未満、及び/又は80重量%未満、及び/又は75重量%未満の活性剤とを含む。一例では、本発明の繊維要素は、乾燥繊維要素基準及び/又は乾燥発泡性繊維構造基準で80重量%超の活性剤を含む。
【0147】
別の例では、1つ以上のフィラメント形成材料及び活性剤は、活性剤に対するフィラメント形成材料の総レベルの重量比4.0以下及び/又は3.5以下及び/又は3.0以下及び/又は2.5以下及び/又は2.0以下及び/又は1.85以下及び/又は1.7未満及び/又は1.6未満及び/又は1.5未満及び/又は1.3未満及び/又は1.2未満及び/又は1未満及び/又は0.7未満及び/又は0.5未満及び/又は0.4未満及び/又は0.3未満及び/又は0.1超及び/又は0.15超及び/又は0.2超で繊維要素中に存在する。
【0148】
更に別の例では、本発明の繊維要素は、乾燥繊維要素基準及び/又は乾燥発泡性繊維構造基準で約10重量%から、及び/又は約15重量%から80重量%未満までのフィラメント形成材料(例えば、ポリビニルアルコールポリマー、デンプンポリマー、及び/又はカルボキシメチルセルロースポリマー)と、乾燥繊維要素基準及び/又は乾燥発泡性繊維構造基準で20重量%超から約90重量%まで、及び/又は約85重量%までの活性剤と、を含む。繊維要素は、可塑剤(例えば、グリセリン)及び/又はpH調整剤(例えば、クエン酸)を更に含んでよい。
【0149】
更に別の例では、本発明の繊維要素は、乾燥繊維要素基準及び/又は乾燥発泡性繊維構造基準で約10重量%から、及び/又は約15重量%から80重量%未満までのフィラメント形成材料(例えば、ポリビニルアルコールポリマー、デンプンポリマー、及び/又はカルボキシメチルセルロースポリマー)と、乾燥繊維要素基準及び/又は乾燥発泡性繊維構造基準で20重量%超から約90重量%まで、及び/又は約85重量%までの活性剤と、を含み、活性剤に対するフィラメント形成材料の重量比は、4.0以下である。繊維要素は、可塑剤(例えば、グリセリン)及び/又はpH調整剤(例えば、クエン酸)を更に含んでよい。
【0150】
本発明の更に別の例では、繊維要素は、1つ以上のフィラメント形成材料と、繊維要素及び/又は繊維要素を含む発泡性繊維構造が目的とする使用条件に曝されたときに放出可能である、及び/又は放出される酵素、漂白剤、ビルダー、キレート剤、知覚剤、分散剤、及びこれらの混合物からなる群から選択される1つ以上の活性剤と、を含む。一例では、繊維要素は、乾燥繊維要素基準及び/又は乾燥発泡性繊維構造基準で95重量%未満、及び/又は90重量%未満、及び/又は80重量%未満、及び/又は50重量%未満、及び/又は35重量%未満、及び/又は約5重量%まで、及び/又は約10重量%まで、及び/又は約20重量%までの総濃度のフィラメント形成材料と、乾燥繊維要素基準及び/又は乾燥発泡性繊維構造基準で5重量%超、及び/又は10重量%超、及び/又は20重量%超、及び/又は35重量%超、及び/又は50重量%超、及び/又は65重量%超、及び/又は約95重量%まで、及び/又は約90重量%まで、及び/又は約80重量%までの総濃度の、酵素、漂白剤、ビルダー、キレート剤、香料、抗菌剤(antimicrobial)、抗菌薬(antibacterial)、抗真菌剤、及びこれらの混合物からなる群から選択される活性剤と、を含む。一例では、活性剤は、1種又は複数の酵素を含む。別の例では、活性剤は、1種又は複数の漂白剤を含む。更に別の例では、活性剤は、1種又は複数のビルダーを含む。更に別の例では、活性剤は、1種又は複数のキレート剤を含む。更に別の例では、活性剤は、1種又は複数の香料を含む。更に別の例では、活性剤は、1種又は複数種の抗菌剤、抗菌薬、及び/又は抗真菌剤を含む。
【0151】
本発明の更に別の実施例では、本発明の繊維要素は、空中に飛散した場合に健康及び/又は安全上の懸念が生じ得る活性剤を含む場合がある。例えば、繊維要素は、繊維要素内の酵素が空中に飛散するのを妨げるのに使用され得る。
【0152】
一例では、本発明の繊維要素は、メルトブローン繊維要素であり得る。別の例では、本発明の繊維要素は、スパンボンド繊維要素であり得る。別の例では、繊維要素は、1種又は複数のその活性剤が放出される前及び/又は放出された後に中空の繊維要素であり得る。
【0153】
本発明の繊維要素は、親水性であっても疎水性であってもよい。繊維要素は、繊維要素固有の親水性又は疎水性特性を変化させるために、表面処理及び/又は内部処理されてもよい。
【0154】
一例では、繊維要素は、本明細書に記載の直径試験法に従って測定されるとき、100μm未満、及び/又は75μm未満、及び/又は50μm未満、及び/又は25μm未満、及び/又は10μm未満、及び/又は5μm未満、及び/又は1μm未満の直径を呈する。別の例では、本発明の繊維要素は、本明細書に記載の直径試験法に従って測定されるとき、1μm超の直径を呈する。本発明の繊維要素の直径は、繊維要素中に存在する1つ以上の活性剤の放出速度、並びに/又は繊維要素の物理的構造の損失及び/若しくは変化の速度を制御するために使用され得る。
【0155】
繊維要素は、2つ以上の異なる活性剤を含んでもよい。一例では、繊維要素は、2つ以上の異なる活性剤を含み、その2つ以上の異なる活性剤は、互いに相溶性である。別の例では、繊維要素は、2つ以上の異なる活性剤を含み、その2つ以上の異なる活性剤は、互いに非相溶性である。
【0156】
一例では、繊維要素は、繊維要素中の活性剤と、繊維要素上をコーティングする活性剤などの、繊維要素の外面上の活性剤と、を含み得る。繊維状要素の外面上の活性剤は、繊維状要素内に存在する活性剤と同じであってもよく、又はこれと異なっていてもよい。異なる場合、活性剤は互いに相溶性又は非相溶性であってもよい。
【0157】
一例では、1つ以上の活性剤は、繊維要素全体に均一に分布していてもよく、又は実質的に均一に分布していてもよい。別の例では、1つ以上の活性剤は、繊維要素内に分離した領域として分布していてもよい。更に別の例では、少なくとも1つの活性剤は、繊維要素全体に均一に又は実質的に均一に分布し、少なくとも1つの他の活性剤は、繊維要素内に1つ以上の分離した領域として分布する。更に別の例では、少なくとも1つの活性剤は、繊維要素内に1つ以上の分離した領域として分布し、少なくとも1つの他の活性剤は、繊維要素内に第1の分離した領域とは異なる1つ以上の分離した領域として分布する。
【0158】
フィラメント形成材料
フィラメント形成材料は、紡糸プロセスなどによってフィラメントを製造するのに好適な特性を呈するポリマー又はポリマーを製造することができるモノマーなど、任意の好適な材料である。
【0159】
一例では、フィラメント形成材料は、アルコール可溶性材料及び/又は水溶性材料などの、極性溶媒可溶性材料を含み得る。
【0160】
別の例では、フィラメント形成材料は、非極性溶媒可溶性材料を含んでよい。
【0161】
更に別の例では、フィラメント形成材料は、水溶性材料を含んでよく、非水溶性材料を含まなくてよい(乾燥繊維要素基準及び/又は乾燥発泡性繊維構造基準で5重量%未満、及び/又は3重量%未満、及び/又は1重量%未満及び/又は0重量%)。
【0162】
更に別の例では、フィラメント形成材料は、フィルム形成材料とすることができる。更に別の例では、フィラメント形成材料は、合成又は天然由来のものとすることができ、その材料は、化学的、酵素的、及び/又は物理的に修正することができる。
【0163】
本発明の更に別の例では、フィラメント形成材料は、エチレン性不飽和性カルボン酸モノマー及びエチレン性不飽和モノマーなどのアクリルモノマーから誘導されたポリマー、ポリビニルアルコール、ポリビニルホルムアミド、ポリビニルアミン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、アクリル酸及びメチルアクリルレートのコポリマー、ポリビニルピロリドン、ポリアルキレンオキシド、デンプン及びデンプン誘導体、プルラン、ゼラチン、セルロース誘導体(例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロースカルボキシメチルセルロース)からなる群から選択されるポリマーを含み得る。
【0164】
更に別の例では、フィラメント形成材料は、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコール誘導体、デンプン、デンプン誘導体、セルロース誘導体、ヘミセルロース、ヘミセルロース誘導体、タンパク質、アルギン酸ナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、キトサン、キトサン誘導体、ポリエチレングリコール、テトラメチレンエーテルグリコール、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、及びこれらの混合物からなる群から選択されるポリマーを含んでよい。
【0165】
別の例では、フィラメント形成材料は、プルラン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、キサンタンガム、トラガカントガム、グアーガム、アカシアガム、アラビアガム、ポリアクリル酸、メチルメタクリレートコポリマー、カルボキシビニルポリマー、デキストリン、ペクチン、キチン、レバン、エルシナン、コラーゲン、ゼラチン、ゼイン、グルテン、大豆タンパク質、カゼイン、ポリビニルアルコール、カルボキシル化ポリビニルアルコール、スルホン化ポリビニルアルコール、デンプン、デンプン誘導体、ヘミセルロース、ヘミセルロース誘導体、タンパク質、キトサン、キトサン誘導体、ポリエチレングリコール、テトラメチレンエーテルグリコール、ヒドロキシメチルセルロース、及びこれらの混合物からなる群から選択されるポリマーを含む。
【0166】
水溶性材料
水溶性材料の非限定的な例には、水溶性ポリマーが含まれる。水溶性ポリマーは合成物であっても又は天然由来であってもよく、かつ化学的に及び/又は物理的に修飾されてもよい。一例では、極性溶媒可溶性ポリマーは、少なくとも10,000g/モル、及び/又は少なくとも20,000g/モル、及び/又は少なくとも40,000g/モル、及び/又は少なくとも80,000g/モル、及び/又は少なくとも100,000g/モル、及び/又は少なくとも1,000,000g/モル、及び/又は少なくとも3,000,000g/モル、及び/又は少なくとも10,000,000g/モル、及び/又は少なくとも20,000,000g/モル、及び/又は約40,000,000g/モルまで、及び/又は約30,000,000g/モルまでの重量平均分子量を示す。
【0167】
水溶性ポリマーの非限定的な例としては、水溶性ヒドロキシルポリマー、水溶性熱可塑性ポリマー、水溶性生分解性ポリマー、水溶性非生分解性ポリマー、及びこれらの混合物が挙げられる。一例では、水溶性ポリマーは、ポリビニルアルコールを含む。別の例では、水溶性ポリマーは、デンプンを含む。更に別の例では、水溶性ポリマーは、ポリビニルアルコール及びデンプンを含む。更に別の例では、水溶性ポリマーはカルボキシメチルセルロースを含む。別の実施例では、ポリマーはカルボキシメチルセルロース及びポリビニルアルコールを含んでいる。
【0168】
a.水溶性ヒドロキシルポリマー-本発明による水溶性ヒドロキシルポリマーの非限定的な例としては、ポリオール、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコール誘導体、ポリビニルアルコールコポリマー、デンプン、デンプン誘導体、デンプンコポリマー、キトサン、キトサン誘導体、キトサンコポリマー、セルロース誘導体、例えば、セルロースエーテル及びエステル誘導体、セルロースコポリマー、ヘミセルロース、ヘミセルロース誘導体、ヘミセルロースコポリマー、ゴム、アラビナン、ガラクタン、タンパク質、カルボキシメチルセルロース及び他の様々な多糖、並びにこれらの混合物が挙げられる。
【0169】
一例では、本発明の水溶性ヒドロキシルポリマーは、多糖類を含む。
【0170】
本明細書で使用するとき、「多糖類」は、天然多糖類、及び多糖誘導体、及び/又は修飾多糖類を意味する。好適な水溶性多糖類としては、デンプン、デンプン誘導体、キトサン、キトサン誘導体、セルロース誘導体、ヘミセルロース、ヘミセルロース誘導体、ゴム、アラビナン、ガラクタン、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。水溶性多糖類は、約10,000g/モル~約40,000,000g/モル、及び/又は100,000g/モル超、及び/又は1,000,000g/モル超、及び/又は3,000,000g/モル超、及び/又は約3,000,000g/モル超~約40,000,000g/モルの重量平均分子量を示してよい。
【0171】
水溶性多糖類は、非セルロース、及び/又は非セルロース誘導体、及び/又は非セルロースコポリマー水溶性多糖類を含んでもよい。このような非セルロース水溶性多糖類は、デンプン、デンプン誘導体、キトサン、キトサン誘導体、ヘミセルロース、ヘミセルロース誘導体、ゴム、アラビナン、ガラクタン、及びこれらの混合物からなる群から選択してもよい。
【0172】
別の例では、本発明の水溶性ヒドロキシルポリマーは、非熱可塑性ポリマーを含む。
【0173】
水溶性ヒドロキシルポリマーは、約10,000g/モル~約40,000,000g/モル、及び/又は100,000g/モル超、及び/又は1,000,000g/モル超、及び/又は3,000,000g/モル超、及び/又は3,000,000g/モル超~約40,000,000g/モルの重量平均分子量を有してよい。より高い分子量及びより低い分子量の水溶性ヒドロキシルポリマーを、特定の所望の重量平均分子量を有するヒドロキシルポリマーと併用してもよい。
【0174】
例えば、天然デンプンなどの水溶性ヒドロキシルポリマーの周知の修飾としては、化学修飾及び/又は酵素修飾が挙げられる。例えば、天然デンプンは、酸希釈(acid-thinned)、ヒドロキシエチル化、ヒドロキシプロピル化、及び/又は酸化することができる。更に、水溶性ヒドロキシルポリマーは、デントコーンデンプンを含んでもよい。
【0175】
天然起源のデンプンは、一般に、Dグルコース単位の直鎖アミロースと分岐アミロペクチンポリマーとの混合物である。アミロースは、(1,4)-α-D結合によって結合されているD-グルコース単位の実質的に直鎖状のポリマーである。アミロペクチンは、分岐点において(1,4)-α-D結合及び(1,6)-α-D結合によって結合されているD-グルコース単位の高度に分岐したポリマーである。天然起源のデンプン、例えば、コーンスターチ(64~80%アミロペクチン)、ワキシートウモロコシ(waxy maize)(93~100%アミロペクチン)、コメ(83~84%アミロペクチン)、ジャガイモ(約78%アミロペクチン)、及びコムギ(73~83%アミロペクチン)は、典型的には、比較的高濃度のアミロペクチンを含有する。全てのデンプンが本明細書において潜在的に有用であるが、本発明は、最も一般的には、豊富に供給され、容易に補充可能であり、かつ安価であるという利点が得られる、農業資源に由来する高アミロペクチン天然デンプンを用いて実施される。
【0176】
本明細書で使用するとき、「デンプン」は、任意の天然起源の非修飾デンプン、修飾デンプン、合成デンプン及びそれらの混合物、並びにアミロース又はアミロペクチン画分の混合物を含み、デンプンは、物理的、化学的、若しくは生物学的プロセス、又はそれらの組み合わせによって修飾されてもよい。本発明についての非修飾又は修飾デンプンの選択は、所望の最終製品に依存し得る。本発明の一実施形態では、本発明において有用なデンプン又はデンプン混合物は、デンプン又はその混合物の約20重量%~約100重量%、より典型的には約40重量%~約90重量%、更により典型的には約60重量%~約85重量%のアミロペクチン含量を有する。
【0177】
好適な天然起源のデンプンとしては、トウモロコシデンプン、ジャガイモデンプン、サツマイモデンプン、コムギデンプン、サゴヤシデンプン、タピオカデンプン、コメデンプン、大豆タンパク質、アロールートデンプン、アミオカデンプン(amioca starch)、ワラビデンプン、ハスデンプン、ワキシートウモロコシデンプン、及び高アミローストウモロコシデンプンを挙げることができるが、これらに限定されない。天然起源のデンプン、特にトウモロコシデンプン及びコムギデンプンは、経済性及び入手可能性の点で好ましいデンプンポリマーである。
【0178】
本明細書におけるポリビニルアルコールは、その特性を改質するために他のモノマーによりグラフトすることができる。広範なモノマーをポリビニルアルコールにグラフトすることに成功している。このようなモノマーの非限定的な例としては、酢酸ビニル、スチレン、アクリルアミド、アクリル酸、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、アクリロニトリル、1,3-ブタジエン、メチルメタクリレート、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、ビニルスルホン酸ナトリウム、アリルスルホン酸ナトリウム、メチルアリルスルホン酸ナトリウム、フェニルアリルエーテルスルホン酸ナトリウム、フェニルメタリルエーテルスルホン酸ナトリウム、2-アクリルアミド-メチルプロパンスルホン酸(AMP)、塩化ビニリデン、塩化ビニル、ビニルアミン、及び様々なアクレートエステルが挙げられる。
【0179】
一例では、水溶性ヒドロキシルポリマーは、ポリビニルアルコール、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、及びこれらの混合物からなる群から選択される。好適なポリビニルアルコールの非限定的な例としては、Sekisui Specialty Chemicals America,LLC(Dallas,TX)から商標名CELVOL(登録商標)として市販されているものが挙げられる。好適なポリビニルアルコールの他の非限定例としては、Nippon Ghoseiより市販されているG Polymerが挙げられる。好適なヒドロキシプロピルメチルセルロースの非限定例にとしては、上記のポリビニルアルコールとの組み合わせを含む、Dow Chemical Company(Midland,MI)から商標METHOCEL(登録商標)で市販されているものが挙げられる。
【0180】
b.水溶性熱可塑性ポリマー-好適な水溶性熱可塑性ポリマーの非限定的な例としては、熱可塑性デンプン及び/又はデンプン誘導体、ポリ乳酸、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリカプロラクトン、ポリエステルアミド、及び特定のポリエステル、並びにこれらの混合物が挙げられる。
【0181】
本発明の水溶性熱可塑性ポリマーは、親水性であっても疎水性であってもよい。水溶性熱可塑性ポリマーは、熱可塑性ポリマー固有の親水性若しくは疎水性を変化させるために、表面処理及び/又は内部処理され得る。
【0182】
水溶性熱可塑性ポリマーは、生分解性ポリマーを含んでもよい。
【0183】
熱可塑性ポリマーのために任意の好適な重量平均分子量を使用してもよい。例えば、本発明による熱可塑性ポリマーの重量平均分子量は、約10,000g/モル超、及び/又は約40,000g/モル超、及び/又は約50,000g/モル超、及び/又は約500,000g/モル未満、及び/又は約400,000g/モル未満、及び/又は約200,000g/モル未満である。
【0184】
活性剤
活性剤は、繊維要素及び/又は粒子及び/又は発泡性繊維構造自体以外の何かに効果をもたらすように、例えば、繊維要素及び/又は粒子及び/又は発泡性繊維構造の外部の環境に効果をもたらすように設計及び意図される添加剤の部類である。活性剤は、繊維要素の意図した使用条件下で、意図した効果を生じさせる任意の好適な添加剤であってよい。例えば、活性剤は、以下からなる群から選択してよい:パーソナルクレンジング及び/又はコンディショニング剤、例えば、ヘアケア剤(例えば、シャンプー剤及び/又は染毛剤)、ヘアコンディショニング剤、スキンケア剤、日焼け止め剤、及びスキンコンディショニング剤;洗濯物ケア及び/又はコンディショニング剤、例えば、布地ケア剤、布地コンディショニング剤、布地柔軟剤、布地しわ防止剤、布地ケア静電気防止剤、布地ケア染み除去剤、汚れ放出剤、分散剤、発泡抑制剤、発泡促進剤、消泡剤、及び布地リフレッシング剤;液体及び/又は粉末食器洗浄剤(食器手洗い及び/又は自動食器洗浄機用)、硬質表面ケア剤及び/又はコンディショニング剤及び/又は研磨剤;他の洗浄及び/又はコンディショニング剤、例えば、抗微生物剤、抗菌剤、抗真菌剤、布地色相剤、香料、漂白剤(例えば、酸素漂白剤、過酸化水素、過炭酸塩漂白剤、過ホウ酸塩漂白剤、塩素漂白剤)、漂白活性化剤、キレート剤、ビルダー、ローション、増白剤、空気ケア剤、カーペットケア剤、移染防止剤、粘土汚れ除去剤、再付着防止剤、ポリマー汚れ放出剤、ポリマー分散剤、アルコキシ化ポリアミンポリマー、アルコキシ化ポリカルボキシレートポリマー、両親媒性グラフトコポリマー、溶解助剤、緩衝系、水軟化剤、水硬化剤、pH調整剤、酵素、凝集剤、発泡剤、防腐剤、化粧剤、メークアップ除去剤、起泡剤、付着助剤、コアセルベート形成剤、粘土、増粘剤、ラテックス、シリカ、乾燥剤、臭気制御剤、制汗剤、冷却剤、加温剤、吸収性ゲル剤、抗炎症剤、染料、顔料、酸及び塩基;液体処理活性剤;農業用活性剤;工業用活性剤;摂取可能な活性剤、例えば、医薬剤、口腔ケア剤、例えば歯のホワイトニング剤、歯ケア剤、洗口剤、及び歯周歯肉ケア剤、可食性剤、食用剤、ビタミン、ミネラル;水処理剤、例えば、水清澄剤及び/又は水消毒剤、並びにこれらの混合物。
【0185】
好適な化粧剤、スキンケア剤、スキンコンディショニング剤、ヘアケア剤、及びヘアコンディショニング剤の非限定的な例は、CTFA Cosmetic Ingredient Handbook,Second Edition,The Cosmetic,Toiletries,and Fragrance Association,Inc.1988,1992に記載されている。
【0186】
1つ以上の部類の化学物質が、上に列挙した1つ以上の活性剤に有用であり得る。例えば、界面活性剤は、任意の数の上記活性剤のために使用してよい。同様に、漂白剤は、布地ケア、硬質表面洗浄、食器洗浄、及び更には歯科用ホワイトニングのために使用してよい。したがって、当業者は、活性剤が、繊維要素及び/若しくは粒子並びに/又はこれらから作製される発泡性繊維構造の所望の目的とする用途に基づいて選択されることを理解するであろう。
【0187】
例えば、繊維要素及び/又は粒子及び/又はこれらから作製される発泡性繊維構造をヘアケア及び/又はコンディショニングに使用する場合、繊維要素及び/又は粒子、及び/又は繊維要素及び/又は粒子が組み込まれる発泡性繊維構造が意図される使用条件に曝される場合に、消費者に所望の利益をもたらすように、1つ以上の好適な界面活性剤、例えば、発泡性界面活性剤を選択することができる。
【0188】
一例では、繊維要素及び/又は粒子及び/又はこれらから作製される発泡性繊維構造が、洗濯操作において衣類の洗濯に使用するように設計又は意図されている場合、繊維要素及び/又は粒子、及び/又は繊維要素及び/又は粒子が組み込まれる発泡性繊維構造が意図される使用条件に曝される場合に、消費者に所望の利益をもたらすように、1つ以上の好適な界面活性剤、及び/又は酵素、及び/又はビルダー、及び/又は香料、及び/又は発泡抑制剤、及び/又は漂白剤を選択することができる。別の例では、繊維要素及び/又は粒子及び/又はこれらから作製される発泡性繊維構造が、洗濯操作における衣類の洗濯及び/又は食器洗浄操作における食器の洗浄に使用するように設計又は意図されている場合、繊維要素及び/又は粒子及び/又は発泡性繊維構造は、洗濯洗剤組成物若しくは食器洗浄洗剤組成物又はこのような組成物で使用される活性剤を含んでよい。
【0189】
一例では、活性剤は非香料系活性剤を含む。別の例では、活性剤は非界面活性剤を含む。更に別の例では、活性剤には、非摂取可能な活性剤を含み、つまり摂取可能な活性剤以外の活性剤を含む。
【0190】
界面活性剤
好適な界面活性剤の非限定的な例としては、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、双性界面活性剤、両性界面活性剤、及びこれらの混合物が挙げられる。共界面活性剤はまた、繊維要素及び/又は粒子に含まれていてもよい。洗濯用洗剤及び/又は食器洗浄用洗剤として使用するために設計された繊維要素及び/又は粒子に関して、界面活性剤の総濃度は、染み及び/又はにおい除去を含む洗浄を提供するのに十分でなければならず、一般的に約0.5%~約95%の範囲である。更に、洗濯用洗剤及び/又は食器洗浄用洗剤のための繊維要素及び/又は粒子で使用するために設計された2つ以上の界面活性剤を含む界面活性剤系は、全アニオン性界面活性剤系、アニオン性-非イオン性界面活性剤の混合物若しくは非イオン性-カチオン性界面活性剤の混合物を含む混合型界面活性剤系、又は低発泡性非イオン性界面活性剤を含んでいてよい。
【0191】
本明細書に記載の界面活性剤は、直鎖又は分岐鎖であってもよい。一例では、好適な直鎖界面活性剤としては、例えばココヤシ油、パーム核油、大豆油、又は他の植物系油などの農業化学油由来のものが挙げられる。
【0192】
a.アニオン性界面活性剤
好適なアニオン性界面活性剤の非限定的な例としては、アルキルサルフェート、アルキルエーテルサルフェート、分枝状アルキルサルフェート、分枝状アルキルアルコキシレート、分枝状アルコキシレートサルフェート、中鎖分枝状アルキルアリルスルホネート、硫酸化モノグリセリド、スルホン化オレフィン、アルキルアリルスルホネート、一級又は二級アルカンスルホネート、アルキルスルホスクシネート、アシルタウレート、アシルイセチオネート、アルキルグリセリルエーテルスルホン酸塩、スルホン化メチルエステル、スルホン化脂肪酸、アルキルホスフェート、アシルグルタメート、アシルサルコシネート、アルキルスルホアセテート、アシル化ペプチド、アルキルエーテルカルボキシレート、アシルラクチレート、アニオン性フルオロ界面活性剤、ラウロイルグルタミン酸ナトリウム、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0193】
本明細書において使用するのに好適なアルキルサルフェート及びアルキルエーテルサルフェートとしては、対応する式ROSO3M及びRO(C2H4O)xSO3M(式中、Rは約8~約24個の炭素原子のアルキル又はアルケニルであり、xは1~10であり、Mは水溶性カチオン、例えばアンモニウム、ナトリウム、カリウム、及びトリエタノールアミンである)を有する物質が挙げられる。他の好適なアニオン性界面活性剤は、McCutcheon’s Detergents and Emulsifiers,North American Edition(1986),Allured Publishing Corp.及びMcCutcheon’s,Functional Materials,North American Edition(1992),Allured Publishing Corp.に記載されている。
【0194】
一例では、本発明の繊維要素及び/又は粒子に有用なアニオン性界面活性剤としては、C9~C15アルキルベンゼンスルホネート(LAS)、C8~C20アルキルエーテルサルフェート、例えばアルキルポリ(エトキシ)サルフェート、C8~C20アルキルサルフェート、及びこれらの混合物が挙げられる。他のアニオン性界面活性剤としては、メチルエステルスルホネート(MES)、二級アルカンスルホネート、メチルエステルエトキレート(MEE)、スルホン化エストリド、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0195】
別の実施例では、アニオン性界面活性剤は、C11~C18アルキルベンゼンスルホネート(「LAS」)及び一級分枝鎖及びランダムC10~C20アルキルサルフェート(「AS」)、式CH3(CH2)x(CHOSO3
-M+)CH3及びCH3(CH2)y(CHOSO3
-M+)CH2CH3(式中、x及び(y+1)は、少なくとも約7、好ましくは少なくとも約9の整数であり、Mは水溶性カチオン、特に、硫酸オレイルなどの不飽和硫酸塩である)のC10~C18二級(2,3)アルキルサルフェート、C10~C18α-スルホン化脂肪酸エステル、C10~C18硫酸化アルキルポリグリコシド、C10~C18アルキルアルコキシサルフェート(「AExS」)(式中、xは1~30である)、並びにC10~C18アルキルアルコキシカルボキシレート、例えば、米国特許第6,020,303号及び同第6,060,443号に記載のとおりの1~5個のエトキシ単位を含む、中鎖分岐アルキルサルフェート;同第6,008,181号及び同第6,020,303号に記載のとおりの中鎖分岐アルキルアルコキシサルフェート;国際公開第99/05243号、同第99/05242号、及び同第99/05244号に記載のとおりの修飾アルキルベンゼンスルホネート(MLAS);メチルエステルスルホネート(MES)、並びにα-オレフィンスルホネート(AOS)からなる群から選択される。
【0196】
b.カチオン性界面活性剤
好適なカチオン性界面活性剤の非限定的な例としては、以下の式(I)を有するものが挙げられる:
【0197】
【化2】
式中、R
1、R
2、R
3、及びR
4はそれぞれ独立して、(a)1~26個の炭素原子の脂肪族基、又は(b)最高22個までの炭素原子を含有する芳香族、アルコキシ、ポリオキシアルキレン、アルキルカルボキシ、アルキルアミド、ヒドロキシアルキル、アリール若しくはアルキルアリール基から選択され、Xは塩生成アニオンであって、例えばハロゲンラジカル(例えば塩化物、臭化物)、アセテートラジカル、シトレートラジカル、ラクテートラジカル、グリコレートラジカル、ホスフェートラジカル、ニトレートラジカル、サルフェートラジカル、及びアルキルサルフェートラジカルから選択されるものである。一例では、アルキルサルフェートラジカルは、メトサルフェート及び/又はエトサルフェートである。
【0198】
一般式(I)の好適な四級アンモニウムカチオン性界面活性剤としては、セチルトリメチルアンモニウムクロリド、ベヘニルトリメチルアンモニウムクロリド(BTAC)、ステアリルトリメチルアンモニウムクロリド、セチルピリジニウムクロリド、オクタデシルトリメチルアンモニウムクロリド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロリド、オクチルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、デシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、ステアリルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、ジドデシルジメチルアンモニウムクロリド、ジデシルジメチルアンモニウムクロリド、ジオクタデシルジメチルアンモニウムクロリド、ジステアリルジメチルアンモニウムクロリド、タロートリメチルアンモニウムクロリド、ココトリメチルアンモニウムクロリド、2-エチルヘキシルステアリルジメチルアンモニウムクロリド、ジパルミトイルエチルジメチルアンモニウムクロリド、ジタローオイルエチルジメチルアンモニウムクロリド、ジステアロイルジメチルアンモニウムメトサルフェート、PEG-2オレイルアンモニウムクロリド、及びこれらの塩が挙げられてよく、ここで、クロリドはハロゲン(例えば臭素)、アセテート、シトレート、ラクテート、グリコレート、ホスフェートニトレート、サルフェート、又はアルキルサルフェートによって置換される。
【0199】
好適なカチオン性界面活性剤の非限定的な例は、Akzo Nobel Surfactants(Chicago,IL)から商標名ARQUAD(登録商標)で市販されている。
【0200】
一実施例では、好適なカチオン性界面活性剤には、例えば、最大で26個の炭素原子を有する四級アンモニウム界面活性剤が挙げられ:米国特許第6,136,769号に記載されているようなアルコキシレート四級アンモニウム(AQA)界面活性剤;同第6,004,922号に記載されているようなジメチルヒドロキシエチル四級アンモニウム;ジメチルヒドロキシエチルラウリルアンモニウムクロリド;国際公開第98/35002号、同第98/35003号、同第98/35004号、同第98/35005号、及び同第98/35006号で議論されるようなポリアミンカチオン性界面活性剤;米国特許第4,228,042号、同第4,239,660号、同第4,260,529号、及び同第6,022,844号に記載されているカチオン性エステル界面活性剤;並びに米国特許第6,221,825号及び国際公開第00/47708号に記載されているようなアミノ界面活性剤、例えば、アミドプロピルジメチルアミン(APA)が挙げられる。
【0201】
一例では、カチオン性エステル界面活性剤は、洗濯洗浄の条件下で加水分解性である。
【0202】
c.非イオン性界面活性剤
好適な非イオン性界面活性剤の非限定的な例としては、アルコキシル化アルコール(AE)及びアルキルフェノール、ポリヒドロキシ脂肪酸アミド(PFAA)、アルキルポリグリコシド(APG)、C10~C18グリセロールエーテルなどが挙げられる。
【0203】
一例では、本発明で有用な非イオン性洗浄界面活性剤の非限定的な例としては、C12~C18アルキルエトキシレート(NEODOL(登録商標)非イオン性界面活性剤類(Shell)など);C6~C12アルキルフェノールアルコキシレート(ここで、アルコキシレート単位はエチレンオキシ単位とプロピレンオキシ単位の混合物である);エチレンオキシド/プロピレンオキシドブロックアルキルフェノールエトキシレートとのC12~C18アルコール縮合物及びC6~C12縮合物(PLURONIC(登録商標)(BASF)など);米国特許第6,150,322号において議論されるようなC14~C22中鎖分枝状アルコール(BA);米国特許第6,153,577号、同第6,020,303号及び同第6,093,856号において議論されるようなC14~C22中鎖分枝状アルキルアルコキシラート類、BAEx(ここで、xは1~30である);1986年1月26日に発行された同第4,565,647号(Llenado)に記載のアルキル多糖類;特に、同第4,483,780号及び同第4,483,779号に記載のアルキルポリグリコシド;同第5,332,528号に記載のポリヒドロキシ洗剤酸アミド;並びに同第6,482,994号及び国際公開第01/42408号に記載のエーテル末端保護ポリ(オキシアルキル化)アルコール界面活性剤が挙げられる。
【0204】
本発明に好適な市販の非イオン性界面活性剤の例としては、Tergitol(登録商標)15-S-9(C11~C15直鎖アルコールと9モルのエチレンオキシドとの縮合生成物)及びTergitol(登録商標)24-L-6NMW(分子量分布の狭い6モルのエチレンオキシドとC12~C14一級アルコールの縮合生成物)(双方ともDow Chemical Companyより販売);Neodol(登録商標)45-9(C14~C15直鎖アルコールと9モルのエチレンオキシドとの縮合生成物)、Neodol(登録商標)23-3(C12~C13直鎖アルコール3モルのエチレンオキシドとの縮合生成物)、Neodol(登録商標)45-7(C14~C15直鎖アルコールと7モルのエチレンオキシドとの縮合生成物)、Neodol(登録商標)45-5(C14~C15直鎖アルコールと5モルのエチレンオキシドとの縮合生成物)(Shell Chemical Companyより販売);Kyro(登録商標)EOB(C13~C15アルコールと9モルのエチレンオキシドとの縮合生成物)(The Procter & Gamble Companyより販売);及びGenapol LA O3O又はO5O(C12~C14アルコールと3又は5モルのエチレンオキシドとの縮合生成物)(Clariantより販売)が挙げられる。非イオン性界面活性剤は約8~約17、及び/又は約8~約14の範囲のHLBを呈し得る。プロピレンオキシド及び/又はブチレンオキシドとの縮合物もまた使用されてもよい。
【0205】
アルキルフェノールのポリエチレン、ポリプロピレン、及びポリブチレンオキシド縮合物もまた、本発明において非イオン性界面活性剤としての使用に好適である。これらの化合物としては、アルキレンオキシドを含む直鎖構成又は分枝鎖構成のいずれかにある、約6~約14個の炭素原子を含有するアルキル基を有するアルキルフェノールの縮合生成物が挙げられる。このタイプの市販の非イオン性界面活性剤としては、Igepal(登録商標)CO-630(Solvay-Rhodiaから販売)、並びにTriton(登録商標)X-45、X-114、X-100及びX-102(全てDow Chemical Companyから販売)が挙げられる。
【0206】
自動食器洗浄用途では、低発泡性非イオン性界面活性剤が使用され得る。好適な低発泡性非イオン性界面活性剤は、米国特許第7,271,138号の第7段10行~第7段60行に開示されている。
【0207】
他の好適な非イオン性界面活性剤の例は、市販のPluronic(登録商標)界面活性剤(BASFにより販売)、市販のTetronic(登録商標)化合物(BASFにより販売)、及び市販のPlurafac(登録商標)界面活性剤(BASFにより販売)である。
【0208】
d.双極性イオン界面活性剤
双極性又は両性界面活性剤の非限定例としては、二級及び三級アミンの誘導体、複素環式二級及び三級アミンの誘導体、又は四級アンモニウム、四級ホスホニウム、若しくは三級スルホニウム化合物の誘導体が挙げられる。双性イオン性界面活性剤類の例に関しては、米国特許第3,929,678号の第19欄38行目~第22欄48行目を参照されたい。アルキルジメチルベタイン及びココジメチルアミドプロピルベタインを含むベタイン、C8~C18(例えば、C12~C18)アミンオキシド、並びにN-アルキル-N,N-ジメチルアミノ-1-プロパンスルホネートなどのスルホ及びヒドロキシベタインが挙げられる(ここで、アルキル基は、C8~C18、特定の実施形態ではC10~C14とすることができる)。
【0209】
e.両性界面活性剤
両性界面活性剤の非限定的な例としては、二級若しくは三級アミンの脂肪族誘導体、又は脂肪族ラジカルが直鎖若しくは分枝鎖であり得る、複素環式二級及び三球アミンの脂肪族誘導体、並びにこれらの混合物が挙げられる。その脂肪族置換基の1つは、少なくとも約8個の炭素原子、例えば約8~約18個の炭素原子を含んでよく、少なくとも1つは、アニオン性水可溶化基、例えばカルボキシ、スルホン酸塩、硫酸塩を含む。両性界面活性剤の好適な例については、米国特許第3,929,678号、第19段18~35行を参照のこと。
【0210】
香料
1つ以上の香料及び/又は香料原材料、例えばアコード及び/又はノートを、本発明の繊維要素及び/又は粒子のうちの1つ以上に組み込んでよい。香料は、アルデヒド香料成分、ケトン香料成分、及びこれらの混合物からなる群から選択される香料成分を含んでもよい。
【0211】
1種以上の香料及び/又は香料成分は、本発明の繊維要素及び/又は粒子に含まれてよい。香料及び/又は香料成分として有用な広範な天然及び合成化学成分としては、アルデヒド、ケトン、エステル、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。また、オレンジ油、レモン油、バラ抽出物、ラベンダー、ムスク、パチョリ、バルサムエキス、サンダルウッド油、パイン油、シーダーなどの成分の複雑な混合物を含んでもよい、様々な天然の抽出物及びエキスも挙げられる。最終的な香料は、そのような成分の非常に複雑な混合物を含むことができる。一例では、仕上げた香料は、典型的には、乾燥繊維要素基準及び/又は乾燥粒子基準及び/又は乾燥発泡性繊維構造基準で、約0.01重量%~約2重量%を構成する。
【0212】
抗菌剤、抗菌薬、及び抗真菌剤
ある実施形態では、ピリジンチオン粒子は、本発明で使用するのに好適な抗菌活性剤である。ある実施形態では、抗ふけ活性剤は、1-ヒドロキシ-2-ピリジンチオン塩であり、粒子形態である。ある実施形態では、ピリジンチオン粒子の濃度は、本発明の繊維構造の乾燥繊維要素、及び/又は乾燥粒子、及び/又は乾燥発泡性繊維構造の約0.01重量%~約5重量%、又は約0.1重量%~約3重量%、又は約0.1重量%~約2重量%の範囲である。一実施形態では、ピリジンチオン塩は、亜鉛、スズ、カドミウム、マグネシウム、アルミニウム及びジルコニウム等の重金属、一般的には亜鉛から形成されるもの、典型的には1-ヒドロキシ-2-ピリジンチオンの亜鉛塩(「亜鉛ピリジンチオン」又は「ZPT」として知られている)、通常、血小板粒子形態の1-ヒドロキシ-2-ピリジンチオン塩である。ある実施形態では、小板形粒子形態の1-ヒドロキシ-2-ピリジンチオン塩は、本明細書に記載の粒径分布試験法に従って測定されるとき、約20マイクロメートル以下、又は約5マイクロメートル以下、又は約2.5マイクロメートル以下の平均粒径を有する。他のカチオン(例えば、ナトリウム)から形成される塩もまた好適であり得る。ピリジンチオン活性物質は、例えば、米国特許第2,809,971号、同第3,236,733号、同第3,753,196号、同第3,761,418号、同第4,345,080号、同第4,323,683号、同第4,379,753号、及び同第4,470,982号に記載されている。
【0213】
別の実施形態では、抗菌剤は、トリクロサン、トリクロカルバン、クロロヘキシジン、メトロニトゾール、及びこれらの混合物から選択される。
【0214】
ある実施形態では、ピリチオンの多価金属塩から選択される抗菌活性物質に加えて、組成物は、1つ以上の抗真菌及び/又は抗菌活性物質を更に含んでよい。ある実施形態では、抗細菌活性物質は、コールタール、硫黄、アゾール、硫化セレン、硫黄粒子、角質溶解薬、炭、ウィットフィールド軟膏、カステラーニ塗剤、塩化アルミニウム、ゲンチアナバイオレット、オクトピロックス(ピロクトンオラミン)、シクロピロックスオラミン、ウンデシレン酸及びその金属塩、過マンガン酸カリウム、硫化セレン、チオ硫酸ナトリウム、プロピレングリコール、ビターオレンジ油、尿素調製物、グリセオフルビン、8-ヒドロキシキノリンシロキノール、チオベンダゾール、チオカルバメート、ハロプロジン、ポリエン、ヒドロキシピリドン、モルホリン、ベンジルアミン、アリルアミン(テルビナフィンなど)、ティーツリー油、クローブリーフ油、コリアンダー、パルマローザ、ベルベリン、タイムレッド、桂皮油、ケイ皮アルデヒド、シトロネル酸、ヒノキトール、イヒチオールペール、Sensiva SC-50、Elestab HP-100、アゼライン酸、リチカーゼ(lyticase)、ヨードプロピニルブチルカルバメート(IPBC)、オクチルイソチアザリノンなどのイソチアザリノン、及びアゾール、並びにこれらの混合物からなる群から選択される。
【0215】
漂白剤
本発明の繊維要素及び/又は粒子は、1つ以上の漂白剤を含んでもよい。好適な漂白剤の非限定的な例としては、ペルオキシ酸(例えば、フタルイミドペルオキシヘキサン酸(PAP))、過ホウ酸塩、過炭酸塩、塩素系漂白剤、酸素系漂白剤、次亜ハロゲン酸系漂白剤、漂白剤前駆体、漂白活性剤、漂白触媒、過酸化水素、漂白促進剤、光漂白剤、漂白性酵素、フリーラジカル開始剤、過酸素系漂白剤、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0216】
本発明の繊維要素及び/又は粒子に含まれ得る1つ以上の漂白剤は、乾燥繊維要素基準及び/又は乾燥粒子基準及び/又は乾燥発泡性繊維構造基準で約0.05重量%~約30重量%及び/又は約1重量%~約20重量%の濃度で含まれ得る。存在する場合、漂白活性剤は、乾燥繊維要素基準及び/又は乾燥粒子基準及び/又は乾燥発泡性繊維構造基準で約0.1重量%~約60重量%及び/又は約0.5重量%~約40重量%の濃度で本発明の繊維要素及び/又は粒子中に存在し得る。
【0217】
漂白剤の非限定的な例としては、酸素系漂白剤、過ホウ酸塩系漂白剤、過カルボン酸系漂白剤及びそれらの塩、過酸素系漂白剤、過硫酸塩系漂白剤、過炭酸塩系漂白剤、及びこれらの混合物が挙げられる。更に、漂白剤の非限定的な例は、米国特許第4,483,781号、米国特許出願第740,446号、欧州特許出願第0133354号、米国特許第4,412,934号、及び同第4,634,551号に開示されている。
【0218】
漂白活性剤の非限定的な例(例えばアシルラクタム活性剤)は、米国特許第4,915,854号、同第4,412,934号、同第4,634,551号、及び同第4,966,723号に開示されている。
【0219】
一例では、漂白剤は遷移金属漂白触媒を含んでもよく、これは封入されてもよい。遷移金属漂白触媒は、典型的には、例えばMn(II)、Mn(III)、Mn(IV)、Mn(V)、Fe(II)、Fe(III)、Fe(IV)、Co(I)、Co(II)、Co(III)、Ni(I)、Ni(II)、Ni(III)、Cu(I)、Cu(II)、Cu(III)、Cr(II)、Cr(III)、Cr(IV)、Cr(V)、Cr(VI)、V(III)、V(IV)、V(V)、Mo(IV)、Mo(V)、Mo(VI)、W(IV)、W(V)、W(VI)、Pd(II)、Ru(II)、Ru(III)、及びRu(IV)からなる群から選択される遷移金属からの遷移金属イオンを含む。一例では、遷移金属はMn(II)、Mn(III)、Mn(IV)、Fe(II)、Fe(III)、Cr(II)、Cr(III)、Cr(IV)、Cr(V)、及びCr(VI)からなる群から選択される。遷移金属漂白触媒は、典型的には配位子を含み、例えば架橋マクロ多環状配位子などのマクロ多環状配位子を含む。遷移金属イオンは配位子に配位され得る。更に、配位子は、少なくとも4つの供与原子を含んでもよく、そのうちの少なくとも2つは、橋頭供与原子である。好適な遷移金属漂白触媒の非限定的な例は、米国特許第5,580,485号、同第4,430,243号;同第4,728,455号;同第5,246,621号;同第5,244,594号;同第5,284,944号;同第5,194,416号;同第5,246,612号;同第5,256,779号;同第5,280,117号;同第5,274,147号;同第5,153,161号;同第5,227,084号;同第5,114,606号;同第5,114,611号、欧州特許第549,271(A1)号;欧州特許第544,490(A1)号;同第549,272(A1)号、及び同第544,440(A2)号に記載されている。一例では、好適な遷移金属漂白触媒は、例えば米国特許第5,576,282号に開示されているマンガン系触媒を含む。別の例では、好適なコバルト漂白触媒は、米国特許第5,597,936号及び同第5,595,967号に記載されている。このようなコバルト触媒は、例えば、米国特許第5,597,936号及び同第5,595,967号に教示されているとおり、公知の手順によって容易に作製される。更に別には、好適な遷移金属漂白触媒は、国際公開第05/042532(A1)号に記載のビスピドンなど配位子の遷移金属錯体を含む。
【0220】
漂白触媒の非限定的な例としては、規定された漂白触媒活性の、銅、鉄、チタニウム、ルテニウム、タングステン、モリブデン、又はマンガンカチオンなどの遷移金属カチオン、亜鉛又はアルミニウムカチオンなどの漂白触媒活性をわずかに有する、又は全く有さない補助的な金属カチオン、並びに触媒及び補助金属陽イオンに対して規定された安定度定数を有する金属イオン封鎖剤、特にエチレンジアミン四酢酸、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)及びそれらの水溶性塩を含む触媒系が挙げられる。かかる触媒は、米国特許第4,430,243号に記載されている。他の種の漂白触媒としては、米国特許第5,246,621号及び同第5,244,594号に開示されているマンガン系錯体が挙げられる。これらの触媒の好ましい例としては、Mn.sup.IV.sub.2(u-O).sub.3(1,4,7-トリメチル-1,4,7-トリアザシクロノナン).sub.2-(PF.sub.6).sub.2(「MnTACN」)、Mn.sup.III.sub.2(u-O).sub.1(u-OAc).sub.2(1,4,7-トリメチル-1,4,7-トリアザシクロノナン).sub.2-(ClO.sub.4).sub.2、Mn.sup.IV.sub.4(u-O).sub.6(1,4,7-トリアザシクロノナン).sub.4-(ClO.sub.4).sub.2、Mn.sup.III Mn.sup.IV.sub.4(u-O).sub.1(u-OAc).sub.2(1,4,7-トリメチル-1,4,7-トリアザシクロノナン).sub.2-(ClO.sub.4).sub.3、及びこれらの混合物が挙げられる。欧州特許出願公開第549,272号も参照されたい。本明細書での使用に好適な他の配位子としては、1,5,9-トリメチル-1,5,9-トリアザシクロドデカン、2-メチル-1,4,7-トリアザシクロノナン、2-メチル-1,4,7-トリアザシクロノナン、及びこれらの混合物が挙げられる。自動食器洗浄組成物及び濃縮粉末洗剤組成物で有用な漂白触媒は、本発明のために適宜選択され得る。好適な漂白触媒の例としては、米国特許第4,246,612号及び同第5,227,084号を参照されたい。Mn(1,4,7-トリメチル-1,4,7-トリアザシクロノナン)(OCH3).sub.3-(PF.sub.6)などの単核マンガン(IV)錯体を教示している米国特許第5,194,416号も参照されたい。米国特許第5,114,606号に開示されるような更に別の種の漂白触媒は、少なくとも3つの連続するC-OH基を有する非カルボキシレートポリヒドロキシ化合物である配位子を有するマンガン(II)、(III)、及び/又は(UV)の水溶性錯体である。好ましい配位子としては、ソルビトール、イジトール、ズルシトール、マンニトール、キシリトール、アラビトール、アドニトール、メト-エリスリトール、メト-イノシトール、ラクトース、及びこれらの混合物が挙げられる。米国特許第5,114,611号は、非-(マクロ)-環状配位子を有するMn、Co、Fe、又はCuなど遷移金属の錯体を含む漂白触媒を教示している。配位子の非限定的な例としては、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、イミダゾール、ピラゾール、及びトリアゾールの環が挙げられる。一例では、配位子は2,2’-ビスピリジルアミンである。一例では、漂白触媒としては、Co(2,2’-ビスピリジルアミン)Cl2、ジ(イソチオシアナト)ビスピリジルアミン-コバルト(II)、トリスピリジルアミン-コバルト(II)過塩素酸塩、Co(2,2-ビスピリジルアミン)2O2ClO4、ビス-(2,2’-ビスピリジルアミン)銅(II)過塩素酸塩、トリス(ジ-2-ピリジルアミン)鉄(II)過塩素酸塩、及びこれらの混合物などCo、Cu、Mn、Fe、-ビスピリジルメタン及びビスピリジルアミン錯体が挙げられる。漂白触媒の他の例としては、Mnグルコネート、Mn(CF3SO3)2、Co(NH3)5Cl、並びにN4Mn(III)(u-O)2Mn(IV)N4)+及び[Bipy2Mn(III)(u-O)2Mn(IV)bipy2]-(ClO4)3を含む、N四座及びN二座の配位子と錯体を形成した二核Mnが挙げられる。
【0221】
また、漂白触媒は、水溶性リガンドを水溶性マンガン塩と水性媒体中で合わせ、得られた混合物を蒸発により濃縮することによって調製することもできる。本明細書では、マンガンの任意の便利な水溶性塩を使用することができる。マンガン(II)、(III)、(IV)及び/又は(V)は、商業規模で容易に入手可能である。場合によっては、十分なマンガンが洗浄液中に存在してもよいが、一般に、触媒として有効な量で存在するようにするために、組成物中に洗剤組成物のMnカチオンが存在することが好ましい。したがって、MnSO.sub.4,Mn(ClO.sub.4).sub.2又はMnCl.sub.2からなる群から選択される、配位子のナトリウム塩及びメンバーは、約1:4~4:1の範囲の配位子:Mnのモル比で水中に溶解される。水は、最初に沸騰により脱酸素され、窒素で噴霧することによって冷却されてよい。得られた溶液を蒸発させ(所望であればN.sub.2下で)、得られた固体を更に精製することなく本明細書の漂白及び洗剤組成物に使用する。
【0222】
代替モードでは、MnSO.sub.4など水溶性マンガン源は、漂白剤/洗浄組成物に、又は配位子を含む水性漂白/洗浄浴に添加される。いくつかの種の錯体が明らかにその場で形成され、改善された漂白性能が確保される。かかるその場プロセスでは、マンガンよりも相当にモル過剰量の配位子を使用することが好都合であり、配位子:Mnは、典型的には3:1~15:1である。追加の配位子も、鉄及び銅のような不安定な金属イオンを掃去し、これによって漂白剤を分解から保護するのにも利用できる。1つの可能なかかる系は、欧州特許出願公開第549,271号に記載されている。
【0223】
本発明で有用な漂白触媒性マンガン錯体の構造は解明されていないが、それらは、配位子のカルボキシル原子及び窒素原子とマンガンカチオンとの相互作用から生じるキレート又は他の水和配位錯体を含むと推定され得る。同様に、触媒プロセス中のマンガンカチオンの酸化状態は確実には知られておらず、(+II)、(+III)、(+IV)又は(+V)原子価状態であってよい。マンガンカチオンに結合する配位子の可能な6個の点により、多核種及び/又は「ケージ」構造が水性漂白媒体中に存在し得ることが合理的に推測され得る。実際に存在する活性
【0224】
【数1】
配位子種の形態がいかなるものであっても、茶、ケッチアップ、コーヒー、ワイン、ジュースなど頑固な染みに対して改善された漂白性能を提供する。
【0225】
他の漂白触媒は、例えば、欧州特許出願公開第408,131号(コバルト錯体触媒)、同第384,503号及び同第306,089号(メタロポルフィリン触媒)、米国特許第4,728,455号(マンガン/多座配位子触媒)、同第4,711,748号及び欧州特許出願公開第224,952号(アルミノシリケート触媒にマンガンを吸収させた)、米国特許第4,601,845号(マンガン及び亜鉛又はマグネシウム塩を含むアルミノケイ酸塩担体)、同第4,626,373号(マンガン/配位子触媒)、同第4,119,557号(第二鉄錯体触媒)、独国特許明細書第2,054,019号(コバルトキレート触媒)、加国特許第866,191号(遷移金属含有塩)、米国特許第4,430,243号(マンガンカチオン及び非触媒金属カチオンを有するキレート剤)、並びに米国特許第4,728,455号(マンガングルコネート触媒)に記載されている。
【0226】
一実施例では、漂白触媒は、式[Co(NH.sub.3).sub.5 Cl]Y.sub.y、特に[Co(NH.sub.3).sub.5 Cl]CI.sub.2を有するコバルトペンタアミンクロリド塩を含む。本明細書で有用な他のコバルト漂白触媒は、例えば、M.L.Tobe,「Base Hydrolysis of Transition-Metal Complexes」,Adv.Inorg.Bioinorg.Mech.,(1983),2,1-94頁に記載されている。例えば、17頁の表1は、シュウ酸塩(k.sub.OH=
【0227】
【数2】
-10.sup.-4 M.sup.-1 s.sup.31 1
【0228】
【0229】
【数4】
-10.sup.-4 M.sup.-1 s.sup.-1
【0230】
【数5】
)、ギ酸塩(k.sub.OH=5.8.times.10.sup.-4 M.sup.-1 s.sup.-1
【0231】
【0232】
【数7】
-10.sup.-4 M.sup.-1 s.sup.-1
【0233】
【数8】
)と錯体を形成したコバルトペンタアミン触媒の塩基加水分解速度(k.sub.OHと示される)を示す。本明細書で有用な最も好ましいコバルト触媒は、式[Co(NH.sub.3).sub.5 OAc]T.sub.y(式中、OAcは酢酸部分を表す)を有するコバルトペンタアミン酢酸塩、特にコバルトペンタアミンアセテートクロリド、[Co(NH.sub.3).sub.5 OAc]Cl.sub.2、並びに[Co(NH.sub.3).sub.5 OAc](OAc).sub.2、[Co(NH.sub.3).sub.5 OAc](PF.sub.6).sub.2、[Co(NH.sub.3).sub.5 OAc](SO.sub.4)、[Co(NH.sub.3).sub.5 OAc](BF.sub.4).sub.2、及び[Co(NH.sub.3).sub.5 OAc](NO.sub.3).sub.2)である。
【0234】
これらの漂白触媒は、例えば、Tobe論文及びそこに引用されている米国特許第4,810,410号の参考文献である、Diakun et al,issued Mar.7,1989,J.Chem.Ed.(1989),66(12),1043-45;The Synthesis and Characterization of Inorganic Compounds,W.L.Jolly(Prentice-Hall;1970),pp.461-3;Inorg.Chem.,18,1497-1502(1979);Inorg.Chem.,21,2881-2885(1982);Inorg.Chem.,18,2023-2025(1979);Inorg.Synthesis,173-176(1960);及びJournal of Physical Chemistry 56,22-25(1952)に教示されている既知の手順によって容易に調製することができる。これらの漂白触媒はまた、製品の審美性のために所望される場合には色の影響を低減するために補助材料と共処理されてもよく、又は以下に例示されるような酵素含有粒子に含まれてもよく、又は組成物は、触媒「スペックル」を含有するように製造されてよい。
【0235】
酸素系漂白剤以外の漂白剤もまた当該技術分野において既知であり、本明細書において使用することができる(例えばスルホン化亜鉛及び/又はアルミニウムフタロシアニンのような光活性化漂白剤(参照により本明細書に組み込まれる米国特許第4,033,718号)、及び/又は予備形成有機過酸、例えばペルオキシカルボン酸若しくはその塩、及び/又はペルオキシスルホン酸若しくはその塩)。一例では、好適な有機過酸は、フタロイルイミドペルオキシカプロン酸又はその塩を含む。存在する場合には、光活性化による漂白開始剤(例えばスルホン化亜鉛フタロシアニン)は、乾燥繊維要素基準、及び/又は乾燥粒子基準、及び/又は乾燥発泡性繊維構造基準で、約0.025重量%~約1.25重量%の濃度で本発明の繊維要素、及び/又は粒子、及び/又は発泡性繊維構造に存在してよい。
【0236】
漂白活性剤の非限定例は、テトラアセチルエチレンジアミン(TAED)、ベンゾイルカプロラクタム(BzCL)、4-ニトロベンゾイルカプロラクタム、3-クロロベンゾイルカプロラクタム、ベンゾイルオキシベンゼンスルホネート(BOBS)、ノナノイルオキシベンゼンスルホネート(NOBS)、フェニルベンゾエート(PhBz)、デカノイルオキシベンゼンスルホネート(C.sub.10-OBS)、ベンゾイルバレロラクタム(BZVL)、オクタノイルオキシベンゼンスルホネート(C.sub.8-OBS)、過加水分解可能な(perhydrolyzable)エステル及びこれらの混合物からなる群から選択され、最も好ましくはベンゾイルカプロラクタム及びベンゾイルバレロラクタムである。約8~約9.5のpH範囲にある、特に好ましい漂白活性剤はOBS又はVL脱離基を有するものから選択される。四級置換漂白活性剤(四級置換漂白活性剤(QSBA)又は四級置換過酸(QSP))も含まれてもよい。
【0237】
有機過酸化物の非限定例、特にジアシルペルオキシドは、Kirk Othmer,Encyclopedia of Chemical Technology,Vol.17,John Wiley and Sons,1982の27~90頁、特に63~72頁に広範に説明されており、これらは全て参照により本明細書に組み込まれる。ジアシルペルオキシドを使用する場合、これはスポッティング/フィルミングへの悪影響を最小限に抑えるものであり得る。
【0238】
移染防止剤
本発明の繊維要素及び/又は粒子は、1つ以上の移染防止剤を含んでよい。好適なポリマー移染防止剤としては、ポリビニルピロリドンポリマー、ポリアミンN-オキシドポリマー、N-ビニルピロリドン及びN-ビニルイミダゾールのコポリマー、ポリビニルオキサゾリドン、並びにポリビニルイミダゾール、又はこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。移染防止剤は、乾燥繊維要素基準、及び/又は乾燥粒子基準、及び/又は乾燥発泡性繊維構造基準で、約0.0001%~約10%、約0.01%~約5%、又は更には約0.1%~約3重量%の濃度で、本発明の繊維要素、及び/又は粒子、及び/又は発泡性繊維構造製品に存在してもよい。
【0239】
光沢剤
本発明の繊維要素及び/又は粒子は、光沢剤、例えば蛍光光沢剤などの活性剤を含有し得る。かかる光沢剤は、洗浄される物品に薄い色を付けてもよい。
【0240】
繊維要素及び/又は粒子は、C.I.蛍光光沢剤260を、以下の構造を有するα-結晶質形態で、含み得る。
【0241】
【0242】
一態様において、光沢剤は、α-結晶質形態のC.I.蛍光光沢剤260など冷水可溶性光沢剤である。
【0243】
一態様では、光沢剤は、主にα-結晶質形態にあり、これは、典型的には少なくとも50重量%、少なくとも75重量%、少なくとも90重量%、少なくとも99重量%、又は更には実質的に全てのC.I.蛍光光沢剤260がα-結晶質形態にあることを意味する。
【0244】
光沢剤は、典型的には、粒径分布試験法に従って測定されるとき、3~30μm、3~20μm、又は3~10μmの重量平均一次粒径を有する、微粉化粒子形態であってよい。
【0245】
組成物は、β-結晶質形態をなすC.I.蛍光光沢剤260を含んでもよく、(i)α-結晶質形態のC.I.蛍光光沢剤260と、(ii)β-結晶質形態のC.I.蛍光光沢剤260との重量比は少なくとも0.1、又は少なくとも0.6となり得る。
【0246】
BE680847は、α-結晶質形態のC.I.蛍光光沢剤260の製造プロセスに関する。
【0247】
本発明において有用であり得る市販の蛍光光沢剤は、サブグループに分類でき、そのグループとしては、スチルベン、ピラゾリン、クマリン、カルボン酸、メチンシアニン、ジベンゾチオフェン-5,5-ジオキシド、アゾール、5員及び6員の複素環、及びその他の様々な作用剤の誘導体が挙げられるが、必ずしもこれらに限るわけではない。かかる光沢剤の例は、「The Production and Application of Fluorescent Brightening Agents」(M.Zahradnik、John Wiley & Sons発行、(New York)(1982))に開示されている。本組成物において有用である蛍光光沢剤の具体的な非限定例は、米国特許第4,790,856号及び同第3,646,015号に特定されているものである。
【0248】
更に好適な光沢剤は、以下の構造を有する。
【0249】
【0250】
好適な蛍光光沢剤濃度としては、約0.01、約0.05、約0.1又は更には約0.2重量%の下限から0.5又は更には0.75重量%の上限までが挙げられる。
【0251】
一態様では、光沢剤を粘土に装填して粒子を形成してもよい。
【0252】
色相剤
組成物は、色相剤を含んでもよい。好適な色相剤としては、染料、染料-粘土複合体、及び顔料が挙げられる。好適な染料としては、低分子染料及びポリマー染料が挙げられる。好適な低分子染料としては、ダイレクトブルー、ダイレクトレッド、ダイレクトバイオレット、アシッドブルー、アシッドレッド、アシッドバイオレット、ベーシックブルー、ベーシックバイオレット及びベーシックレッド、又はこれらの混合物のカラーインデックス(Colour Index、C.I.)分類に区分される染料からなる群から選択される低分子染料が挙げられる。
【0253】
別の態様では、好適な小分子染料には、カラーインデックス(Society of Dyers and Colourists(Bradford,UK))番号で、ダイレクトバイオレット9、ダイレクトバイオレット35、ダイレクトバイオレット48、ダイレクトバイオレット51、ダイレクトバイオレット66、ダイレクトバイオレット99、ダイレクトブルー1、ダイレクトブルー71、ダイレクトブルー80、ダイレクトブルー279、アシッドレッド17、アシッドレッド73、アシッドレッド88、アシッドレッド150、アシッドバイオレット15、アシッドバイオレット17、アシッドバイオレット24、アシッドバイオレット43、アシッドレッド52、アシッドバイオレット49、アシッドバイオレット50、アシッドブルー15、アシッドブルー17、アシッドブルー25、アシッドブルー29、アシッドブルー40、アシッドブルー45、アシッドブルー75、アシッドブルー80、アシッドブルー83、アシッドブルー90、及びアシッドブルー113、アシッドブラック1、ベーシックバイオレット1、ベーシックバイオレット3、ベーシックバイオレット4、ベーシックバイオレット10、ベーシックバイオレット35、ベーシックブルー3、ベーシックブルー16、ベーシックブルー22、ベーシックブルー47、ベーシックブルー66、ベーシックブルー75、ベーシックブルー159並びにこれらの混合物からなる群から選択される小分子染料が挙げられる。別の態様では、好適な低分子染料としては、カラーインデックス(Society of Dyers and Colourists(Bradford,UK))番号で、アシッドバイオレット17、アシッドバイオレット43、アシッドレッド52、アシッドレッド73、アシッドレッド88、アシッドレッド150、アシッドブルー25、アシッドブルー29、アシッドブルー45、アシッドブルー113、アシッドブラック1、ダイレクトブルー1、ダイレクトブルー71、ダイレクトバイオレット51、及びこれらの混合物からなる群から選択される低分子染料が挙げられる。別の態様では、好適な低分子染料には、カラーインデックス(Society of Dyers and Colourists(Bradford,UK))番号で、アシッドバイオレット17、ダイレクトブルー71、ダイレクトバイオレット51、ダイレクトブルー1、アシッドレッド88、アシッドレッド150、アシッドブルー29、アシッドブルー113、又はこれらの混合物からなる群から選択される低分子染料が挙げられる。
【0254】
好適な高分子染料には、共役色原体を含むポリマー(染料-ポリマー共役体)、ポリマーの骨格に共重合した色原体を有するポリマー、及びこれらの混合物からなる群から選択される高分子染料が挙げられる。
【0255】
別の態様では、好適な高分子染料としては、Liquitint(登録商標)(Milliken,Spartanburg,South Carolina,USA)の名称で販売されている表面直接着色剤(surface-substatntive colorants)、少なくとも1つの反応染料と、ヒドロキシル部分、一級アミン部分、二級アミン部分、チオール部分、及びこれらの混合物からなる群から選択される部分を含むポリマーからなる群から選択されるポリマーと、から形成される染料-ポリマー共役体からなる群から選択されるポリマー染料が挙げられる。更に別の態様では、好適な高分子染料としては、Liquitint(登録商標)(Milliken,Spartanburg(South Carolina,USA))バイオレットCT、リアクティブブルー、リアクティブバイオレット、又はリアクティブレッド染料で共役されているカルボキシメチルセルロース(CMC)、例えば、Megazyme(Wicklow,Ireland)から商品名AZO-CM-CELLULOSE、商品コードS-ACMCで販売されているC.I.リアクティブブルー19と共役しているCMC、アルコキシル化トリフェニール-メタン高分子着色料、アルコキシル化チオフェン高分子着色料、及びこれらの混合物からなる群から選択される高分子染料が挙げられる。
【0256】
好ましい色相染料として、国際公開第08/87497(A1)号に含まれる光沢剤が挙げられる。これらの光沢剤は以下の構造(I)によって特徴付けられてよい:
【0257】
【化5】
式中、R
1及びR
2は、独立して以下から選択されてよい。
a)[(CH
2CR’HO)
x(CH
2CR”HO)
yH]
[式中、R’は、H、CH
3、CH
2O(CH
2CH
2O)
zH、及びこれらの混合物からなる群から選択され、R’’は、H、CH
2O(CH
2CH
2O)
zH、及びこれらの混合物からなる群から選択され、x+y≦5であり、y≧1であり、z=0~5である]、
b)R
1=アルキル、アリール又はアリールアルキル、及びR
2=[(CH
2CR’HO)
x(CH
2CR”HO)
yH]
[式中、R’は、H、CH
3、CH
2O(CH
2CH
2O)
zH、及びこれらの混合物からなる群から選択され、R’’は、H、CH
2O(CH
2CH
2O)
zH、及びこれらの混合物からなる群から選択され、x+y≦10であり、y≧1であり、z=0~5である]、
c)R
1=[CH
2CH
2(OR
3)CH
2OR
4]及びR
2=[CH
2CH
2(OR
3)CH
2OR
4]
[式中、R
3は、H、(CH
2CH
2O)
zH、及びこれらの混合物からなる群から選択され、z=0~10であり、
R
4は、(C
1~C
16)アルキル基、アリール基、及びこれらの混合物からなる群から選択される]、
d)式中、R1及びR2は、スチレンオキシド、グリシジルメチルエーテル、イソブチルグリシジルエーテル、イソプロピルグリシジルエーテル、t-ブチルグリシジルエーテル、2-エチルヘキシルグリシジルエーテル及びグリシジルヘキサデシルエーテルの、アミノ付加生成物に1~10個のアルキレンオキシド単位を付加したものから独立して選択することができる。
【0258】
本発明の好ましい光沢剤は以下の構造(II)によって特徴付けられてよい:
【0259】
【化6】
[式中、R’は、H、CH
3、CH
2O(CH
2CH
2O)
zH、及びこれらの混合物からなる群から選択され、R’’は、H、CH
2O(CH
2CH
2O)
zH、及びこれらの混合物からなる群から選択され、x+y≦5であり、y≧1であり、z=0~5である]。
【0260】
本発明の更に好ましい光沢剤は、以下の構造(III)によって特徴付けられてよい:
【0261】
【0262】
この光沢剤は一般に「Violet DD」と呼ばれている。Violet DDは典型的に合計5個のEO基を有する混合物である。この構造は、上記の「パートa」に示される以下のペンダント基の構造Iにおける以下の選択によって達成される。
【0263】
【0264】
更なる光沢剤としては、米国特許出願公開第2008/34511(A1)号(Unilever)に記載されているものが挙げられる。好ましい薬剤は、「Violet 13」である。
【0265】
好適な染料-粘土結合体としては、少なくとも1つのカチオン性/塩基性染料及びスメクタイト粘土、並びにこれらの混合物を含む群から選択される染料-粘土結合体が挙げられる。別の態様では、好適な染料-粘土結合体としては、C.I.ベーシックイエロー1~108、C.I.ベーシックオレンジ1~69、C.I.ベーシックレッド1~118、C.I.ベーシックバイオレット1~51、C.I.ベーシックブルー1~164、C.I.ベーシックグリーン1~14、C.I.ベーシックブラウン1~23、CIベーシックブラック1~11からなる群から選択される1つのカチオン性/塩基性染料と、モンモリロナイト粘土、ヘクトライト粘土、サポナイト粘土及びこれらの混合物からなる群から選択される粘土とからなる群から選択される、染料-粘土結合体が挙げられる。更に別の態様では、好適な染料粘土複合体としては、モンモリロナイトベーシックブルーB7 C.I.42595複合体、モンモリロナイトベーシックブルーB9 C.I.52015複合体、モンモリロナイトベーシックバイオレットV3 C.I.42555複合体、モンモリロナイトベーシックグリーンG1 C.I.42040複合体、モンモリロナイトベーシックレッドR1 C.I.45160複合体、モンモリロナイトC.I.ベーシックブラック2複合体、ヘクトライトベーシックブルーB7 C.I.42595複合体、ヘクトライトベーシックブルーB9 C.I.52015複合体、ヘクトライトベーシックバイオレットV3 C.I.42555複合体、ヘクトライトベーシックグリーンG1 C.I.42040複合体、ヘクトライトベーシックレッドR1 C.I.45160複合体、ヘクトライトC.I.ベーシックブラック2複合体、サポナイトベーシックブルーB7 C.I.42595複合体、サポナイトベーシックブルーB9 C.I.52015複合体、サポナイトベーシックバイオレットV3 C.I.42555複合体、サポナイトベーシックグリーンG1 C.I.42040複合体、サポナイトベーシックレッドR1 C.I.45160複合体、サポナイトC.I.ベーシックブラック2複合体、及びこれらの混合物からなる群から選択される染料粘土複合体が挙げられる。
【0266】
好適な顔料としては、フラバントロン、インダントロン、1~4個の塩素原子を含有する塩素化インダントロン、ピラントロン、ジクロロピラントロン、モノブロモジクロロピラントロン、ジブロモジクロロピラントロン、テトラブロモピラントロン、ペリレン-3,4,9,10-テトラカルボン酸ジイミド(イミド基は、非置換であっても、C1~C3-アルキル若しくはフェニル若しくは複素環式ラジカルによって置換されていてもよく、これらのフェニル及び複素環式ラジカルは、水溶性を付与しない置換基を更に有してもよい)、アントラピリミジンカルボン酸アミド、ビオラントロン、イソビオラントロン、ジオキサジン顔料、1分子あたり最大2個の塩素原子を含有し得る銅フタロシアニン、1分子あたり最大14個の臭素原子を含有するポリクロロ-銅フタロシアニン又はポリブロモクロロ-銅フタロシアニン、並びにこれらの混合物からなる群から選択される顔料が挙げられる。
【0267】
別の態様では、好適な顔料としては、ウルトラマリンブルー(C.I.ピグメントブルー29)、ウルトラマリンバイオレット(C.I.ピグメントバイオレット15)、及びこれらの混合物からなる群から選択される顔料が挙げられる。
【0268】
前述の布地色相剤は、組み合わせて使用されてもよい(布地色相剤の任意の混合物が使用されてもよい)。適切な布地色相剤は、Aldrich,Milwaukee,Wisconsin,USA;CibaSpecialtyChemicals,Basel,Switzerland;BASF AG(Ludwigshafen,Germany)、DaygloColorCorporation、Mumbai、India;OrganicDyestuFosCorp.、EastProvidence、RhodeIsland、USA;Dystar,Frankfurt,Germany;Lanxess,Leverkusen,Germany;Megazyme、Wicklow、Ireland、Clariant,Muttenz,Switzerland;Avecia、Manchester、UKから購入することができ、かつ/又は本明細書に含まれる実施例に従って作製することができる。好適な色相剤は、米国特許第7,208,459(B2)号により詳細に記載されている。
【0269】
酵素
1つ以上の酵素が本発明の繊維要素及び/又は粒子中に存在していてよい。好適な酵素の非限定的な例としては、プロテアーゼ、アミラーゼ、リパーゼ、マンナナーゼ及びエンドグルカナーゼを含むカルボヒドラーゼ、ペクチナーゼ、ヘミセルラーゼ、ペルオキシダーゼ、キシラナーゼ、ホスホリパーゼ、エステラーゼ、クチナーゼ、ケラタナーゼ、レダクターゼ、オキシダーゼ、フェノールオキシダーゼ、リポキシゲナーゼ、リグニナーゼ、プルラナーゼ、タンナーゼ、ペントサナーゼ(penosanase)、マラナーゼ、グルカナーゼ、アラビノシダーゼ、ヒアルロニダーゼ、コンドロイチナーゼ、ラッカーゼ、及びそれらの混合物が挙げられる。
【0270】
酵素は、基材からタンパク質系、炭水化物系、若しくはトリグリセリド系の染みの除去、布地の洗濯の際に遊離する染料による移染の防止、及び布地の修復が挙げられるがこれらに限定されない種々多様な目的のために、本発明の繊維要素及び/又は粒子内に含有させることができる。一例では、本発明の繊維要素及び/又は粒子には、植物、動物、細菌、真菌、及び酵母などの任意の好適な資源由来のプロテアーゼ、アミラーゼ、リパーゼ、セルラーゼ、ペルオキシダーゼ、及びこれらの混合物が含まれ得る。使用される酵素の選択は、pH活性及び/又は安定性最適条件、熱安定性、及び繊維要素及び/又は粒子中に存在する活性剤のような他の添加剤(例えばビルダー)への安定性などの要因によって影響を受ける。一例では、酵素は細菌酵素(例えば、細菌アミラーゼ及び/又は細菌プロテアーゼ)、真菌酵素(例えば、真菌セルラーゼ)、及びこれらの混合物からなる群から選択される。
【0271】
本発明の繊維要素及び/又は粒子中に存在する場合、酵素は「洗浄に有効な量」を提供するのに十分な濃度で存在し得る。「洗浄に有効な量」という用語は、基材、例えば布地、食器類、床材、陶磁器、金属表面などに対して、洗浄、染み除去、汚れ除去、増白、脱臭、又は洗いたて感の改善効果を生じることが可能な量を指す。現在の市販製剤に関する実際の問題として、活性酵素の典型的な量は、本発明の繊維状要素及び/又は粒子1グラム当たり、重量で最高約5mgまで、更に典型的には、0.01mg~3mgである。特に指定した場合、本発明の繊維要素及び/又は粒子は、典型的には、乾燥繊維要素基準及び/又は乾燥粒子基準及び/又は乾燥発泡性繊維構造基準で約0.001重量%~約5重量%、及び/又は約0.01重量%~約3重量%、及び/又は約0.01重量%~約1重量%を構成する。
【0272】
繊維状要素及び/又は粒子が製造された後、1つ以上の酵素が繊維状要素及び/又は粒子に適用されてもよい。
【0273】
酵素物質の範囲及び本開示のフィラメント形成組成物(これは合成洗剤組成物でもあり得る)への酵素物質を組み込む手段は、国際公開第9307263(A)号、同第9307260(A)号、同第8908694(A)号、米国特許第3,553,139号、同第4,101,457号、及び同第4,507,219号に開示されている。
【0274】
酵素安定化系
酵素が本発明の繊維要素及び/又は粒子中に存在するとき、繊維要素及び/又は粒子中に酵素安定化系も含まれていてよい。酵素は、様々な技術によって安定化させることができる。酵素安定化技法の非限定的な例は、米国特許第3,600,319号及び同第3,519,570号、欧州特許第199,405号、同第200,586号、及び国際公開第9401532号に開示され、例示されている。
【0275】
一例では、酵素安定化系はカルシウムイオン及び/又はマグネシウムイオンを含んでよい。
【0276】
酵素安定化系は、乾燥繊維要素基準、及び/又は乾燥粒子基準、及び/又は乾燥発泡性繊維構造基準で約0.001重量%~約10重量%、及び/又は約0.005重量%~約8重量%、及び/又は約0.01重量%~約6重量%の濃度で本発明の繊維要素及び/又は粒子に含まれてよい。この酵素安定化系は、繊維要素及び/又は粒子に存在する酵素と適合性である任意の安定系であり得る。このような酵素安定化系は、他の配合活性物質により固有に提供されてよく、又は、例えば酵素の配合者若しくは製造者によって別個に添加されてよい。このような酵素安定系は、例えば、カルシウムイオン、マグネシウムイオン、ホウ酸、プロピレングリコール、短鎖カルボン酸、ボロン酸、及びこれらの混合物を含んでもよく、異なる安定化問題に対処するように設計される。
【0277】
熱形成剤
本発明の繊維要素及び/又は粒子は、熱形成剤を含有し得る。熱形成剤は、水及び/又は酸素(例えば、空気中の酸素など)の存在下で熱を発生させ、それによって、水及び/又は酸素の存在下で発泡性繊維構造の分解速度を加速させ、繊維要素中の1つ以上の活性物質の有効性を向上させるために配合される。あるいは、熱形成剤は、発泡性繊維構造からの1つ以上の活性物質の放出速度を加速するのにも使用され得る。熱形成剤は、酸素に曝されるとき(すなわち、空気中の酸素、水中の酸素など)、発熱反応が起きるように配合される。多くの異なる材料及び材料の組み合わせが、熱形成剤として使用され得る。発泡性繊維構造に使用され得る非限定的な熱形成剤としては、電解質塩(例えば、塩化アルミニウム、塩化カルシウム、硫酸カルシウム、塩化第二銅、塩化第一銅、硫酸鉄、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、塩化マンガン、硫酸マンガン、塩化カリウム、硫酸カリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム、炭酸ナトリウム、硫酸カリウムなど)、グリコール(例えば、プロピレングリコール、ジプロピレングリコールなど)、石灰(例えば、生石灰、消石灰など)、金属(例えば、クロム、銅、鉄、マグネシウム、マンガンなど)、金属酸化物(例えば、酸化アルミニウム、酸化鉄など)、ポリアルキレンアミン、ポリアルキレンイミン、ポリビニルアミン、ゼオライト、グリセリン、1,3,プロパンジオール、ポリソルベートエステル(例えば、Tweens20、60、85、80)、及び/又はポリグリセロールエステル(例えば、Stepan製のNoobe、Drewpol、及びDrewmulze)が挙げられる。熱形成剤は、1つ以上の材料から形成され得る。例えば、硫酸マグネシウムは、単独で熱形成剤を形成し得る。別の非限定的な例では、約2~25重量%の活性炭、約30~70重量%の鉄粉末及び約1~10重量%の金属塩の組み合わせで、熱形成剤を形成し得る。理解されるように、他の又は追加の材料を単独で又は他の材料と共に使用して、熱形成剤を形成することもできる。発泡性繊維構造に使用される熱形成剤を形成するのに使用され得る材料の非限定的な例は、米国特許第5,674,270号及び同第6,020,040号、並びに米国特許出願公開第2008/0132438号及び同第2011/0301070号に開示されている。
【0278】
分解促進剤
本発明の繊維要素及び/又は粒子は、水及び/又は酸素の存在下で発泡性繊維構造が分解する速度を加速させるために使用される分解促進剤を含有し得る。使用される場合、分解促進剤は、一般的に、水及び/又は酸素に曝露されたときにガスを放出するように設計され、当該ガスは、次に、発泡性繊維構造周辺の区域を撹拌して、発泡性繊維構造の担体フィルムの分解を加速させる。更に又はあるいは、分解促進剤は、使用される場合、発泡性繊維構造からの1つ以上の活性物質の放出速度を加速させるのに使用されてもよいが、ただし、これは必須ではない。使用される場合、分解促進剤は、又はあるいは、発泡性繊維構造中の1種以上の活性物質の効率を向上するのに使用され得るが、ただし、これは必須ではない。分解促進剤は、1つ以上の材料、例えば、限定するものでないが、アルカリ金属炭酸塩(例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなど)、アルカリ金属炭酸水素塩(例えば、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウムなど)、炭酸アンモニウムなどを含むことができる。水溶性ストリップは、任意選択で、発泡性繊維構造中の1つ以上の分解促進剤を活性化又はその活性化率を増加させるために使用される1つ以上の活性化剤を含むことができる。理解され得るように、1種以上の活性剤は、分解促進剤が発泡性繊維構造中に存在しない場合であっても、発泡性繊維構造中に含まれ得るが、ただし、これは必須ではない。例えば、活性剤は、酸性化合物又は塩基性化合物を含んでよく、かかる酸性化合物又は塩基性化合物は、促進剤を分解するか、又は発泡性繊維構造中に含まれない場合に、発泡性繊維構造中で1つ以上の活性剤に対する補助剤として使用され得る。使用されるとき、発泡性繊維構造に含まれ得る活性化剤の非限定的な例としては、有機酸(例えば、ヒドロキシ-カルボン酸[クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、乳酸、グルコン酸など]、飽和脂肪族カルボン酸[酢酸、コハク酸など]、不飽和脂肪族カルボン酸[例えば、フマル酸など]を挙げることができる。発泡性繊維構造に使用される分解促進剤及び活性剤を形成するのに使用され得る材料の非限定的な例は、米国特許出願公開第2011/0301070号に開示されている。
【0279】
活性剤の放出
繊維要素及び/又は粒子及び/又は発泡性繊維構造が誘発条件に曝露されたとき、繊維要素及び/又は粒子及び/又は発泡性繊維構造から1つ以上の活性剤が放出され得る。一例では、繊維要素及び/又は粒子及び/又は発泡性繊維構造、あるいはこれらの一部が、その同一性を失ったとき、言い換えれば、その物理的構造を失ったときに、繊維要素及び/又は粒子及び/又は発泡性繊維構造、あるいはこれらの一部から1つ以上の活性剤が放出され得る。例えば、フィラメント形成材料が溶解したとき、融解したとき、又はその構造が失われるような何らかの他の変形工程を経たときに、繊維要素、及び/又は粒子、及び/又は発泡性繊維構造は、その物理的構造を失う。一例では、繊維要素及び/又は粒子及び/又は発泡性繊維構造の形態が変化したとき、繊維要素及び/又は粒子及び/又は発泡性繊維構造から1つ以上の活性剤が放出される。
【0280】
別の例では、繊維要素及び/又は粒子及び/又は発泡性繊維構造、あるいはこれらの一部の同一性が変化したとき、言い換えれば、その物理的構造を失うのではなく、その物理的構造が変化したときに、繊維要素及び/又は粒子及び/又は発泡性繊維構造、あるいはこれらの一部から1つ以上の活性剤が放出され得る。例えば、繊維要素、及び/又は粒子、及び/又は発泡性繊維構造は、フィラメント形成材料が膨張したとき、収縮したとき、延びたとき、及び/又は短くなったときに、その物理的構造を変えるが、そのフィラメント形成特性は保持する。
【0281】
別の例では、その形態が変化することなく(その物理的構造を失うことも変化することもなく)、繊維要素及び/又は粒子及び/又は発泡性繊維構造から1つ以上の活性剤が放出され得る。
【0282】
一例では、例えば、上述のとおり繊維要素及び/又は粒子及び/又は発泡性繊維構造の同一性を失わせるか又は変化させることによって、繊維要素及び/又は粒子及び/又は発泡性繊維構造が活性剤を放出させる誘発条件に曝露された際に、繊維要素及び/又は粒子及び/又は発泡性繊維構造は、活性剤を放出し得る。誘発条件の非限定的な例としては、溶媒、極性溶媒(アルコール及び/若しくは水など)、及び/若しくは非極性溶媒に繊維要素及び/若しくは粒子及び/若しくは発泡性繊維構造を曝すこと(これは、フィラメント形成材料が、極性溶媒可溶性材料及び/若しくは非極性溶媒可溶性材料を含むかどうかに依存して、逐次行ってもよい);75°F超、及び/若しくは100°F超、及び/若しくは150°F超、及び/若しくは200°F超、及び/若しくは212°F超などの温度までの熱に、繊維要素及び/若しくは粒子及び/若しくは発泡性繊維構造を曝すこと;40°F未満、及び/若しくは32°F未満、及び/若しくは0°F未満の温度までの冷温に、繊維要素及び/若しくは粒子及び/若しくは発泡性繊維構造を曝すこと;繊維要素及び/若しくは粒子及び/若しくは発泡性繊維構造を力、例えば、繊維要素及び/若しくは粒子及び/若しくは発泡性繊維構造を用いる消費者によって印加される延伸力に曝露すること;並びに/又は、繊維要素及び/若しくは粒子及び/若しくは発泡性繊維構造を化学反応に曝露すること;繊維要素及び/若しくは粒子及び/若しくは発泡性繊維構造を、相変化を引き起こす条件に曝すこと;繊維要素及び/若しくは粒子及び/若しくは発泡性繊維構造を、pH変化及び/若しくは圧力変化及び/若しくは温度変化に曝すこと;繊維要素及び/若しくは粒子及び/若しくは発泡性繊維構造を、1つ以上の活性剤を放出する繊維要素及び/若しくは粒子及び/若しくは発泡性繊維構造が得られる1つ以上の化学物質に曝すこと;繊維要素及び/若しくは粒子及び/若しくは発泡性繊維構造を超音波に曝すこと;繊維要素及び/若しくは粒子及び/若しくは発泡性繊維構造を光及び/若しくは特定の波長に曝すこと;繊維要素及び/若しくは粒子及び/若しくは発泡性繊維構造を様々なイオン強度に曝すこと;並びに/又は、繊維要素及び/若しくは粒子及び/若しくは発泡性繊維構造を、別の繊維要素及び/若しくは粒子及び/若しくは発泡性繊維構造から放出される活性剤に曝すことが挙げられる。
【0283】
一例では、繊維要素及び/又は粒子を含む発泡性繊維構造製品が、以下からなる群から選択される誘発工程に曝されたときに、本発明の繊維要素及び/又は粒子から1つ以上の活性剤が放出され得る:発泡性繊維構造と共に布地物品上の染みを前処理すること;発泡性繊維構造製品を水と接触させることによって洗浄液を形成すること;乾燥機内で発泡性繊維構造製品を回転させること;乾燥機内で発泡性繊維構造製品を加熱すること;並びに、これらの組み合わせ。
【0284】
フィラメント形成組成物
本発明の繊維要素はフィラメント形成組成物から製造される。フィラメント形成組成物は極性溶媒系組成物である。一例では、フィラメント形成組成物は、1つ以上のフィラメント形成材料及び1つ以上の活性剤を含む水溶性組成物である。
【0285】
本発明のフィラメント形成組成物は、本明細書に記載の剪断粘度試験方法に従って測定されるとき、3,000秒-1の剪断速度及び処理温度(50℃から100℃)において、約1パスカル×秒~約25パスカル×秒、及び/又は約2パスカル×秒~約20パスカル×秒、及び/又は約3パスカル×秒~約10パスカル×秒の剪断粘度を有してもよい。
【0286】
フィラメント形成組成物は、フィラメント形成組成物から繊維要素を製造する際に、約50℃から約100℃、及び/又は約65℃から約95℃、及び/又は約70℃から約90℃の温度で処理してもよい。
【0287】
一例では、フィラメント形成組成物は、少なくとも20重量%、及び/又は少なくとも30重量%、及び/又は少なくとも40重量%、及び/又は少なくとも45重量%、及び/又は少なくとも50重量%~約90重量%まで、及び/又は約85重量%まで、及び/又は約80重量%まで、及び/又は約75重量%までの1つ以上のフィラメント形成材料、1つ以上の活性剤、及びこれらの混合物を含み得る。フィラメント形成組成物は、約10重量%~約80重量%の極性溶媒、例えば水を含んでもよい。
【0288】
一実施例では、フィラメント形成組成物の不揮発性成分が、フィラメント形成組成物の総重量基準の重量で、約20%から、及び/又は約30%から、及び/又は40%から、及び/又は45%から、及び/又は50%から約75%までの、及び/又は80%までの及び/又は85%までの、及び/又は90%までを構成してもよい。不揮発性成分は、主鎖ポリマー、活性剤、及びこれらの組み合わせなど、フィラメント形成組成物から構成されてもよい。フィラメント形成組成物の不揮発性成分が、残りのパーセンテージ、及びフィラメント形成組成物の総重量基準の重量で10%~80%の範囲を含んでいる可能性がある。
【0289】
繊維要素の紡糸プロセスでは、繊維要素は、紡糸用ダイを出るときに初期安定性を有する必要がある。毛管数は、この初期安定性基準を特徴付けるために使用される。ダイ条件において、毛管数は、少なくとも1、及び/又は少なくとも3、及び/又は少なくとも4、及び/又は少なくとも5であるべきである。
【0290】
一例では、フィラメント形成組成物は、フィラメント形成組成物が繊維要素に有効にポリマー加工され得るように、少なくとも1から約50まで、及び/又は少なくとも3から約50まで、及び/又は少なくとも5から約30までの毛管数を呈する。
【0291】
本明細書で使用するとき、「ポリマー加工」は、フィラメント形成組成物から、加工されたフィラメント形成材料を含む繊維要素が形成される、任意の紡糸操作及び/又は紡糸プロセスを意味する。紡糸操作及び/又はプロセスは、スパンボンド、メルトブローン、エレクトロスピニング、回転紡糸、連続フィラメント製造、及び/又はトウ繊維製造操作/プロセスを含んでよい。本明細書で使用されるとき、「処理されたフィラメント形成材料」は、溶融処理作業、及びその後のポリマー処理作業を受け、結果として繊維要素となった、任意のフィラメント形成材料を意味する。
【0292】
毛管数は、この液滴の破断の可能性を特徴付けるために使用される無次元数である。大きい毛管数は、ダイを出る際の流体安定性がより大きいことを示す。毛管数は以下のように定義される。
【0293】
【数9】
Vは、ダイ出口における流体速度であり(時間当たりの長さの単位)、
ηは、ダイの条件における流体粘度(長さ×時間当たりの質量の単位)であり、
σは、流体の表面張力(時間の二乗当たりの質量の単位)である。速度、粘度、及び表面張力が一連の一貫した単位で表されるとき、得られる毛管数は、それ自体の単位を有しないことになる。個別単位は打ち消すことになる。
【0294】
毛管数はダイの出口での状態に対して定義される。流体速度は、ダイの孔を通過する流体の平均速度である。平均速度は、以下のとおり定義される:
【0295】
【数10】
体積’=体積流量(時間当たりの長さの三乗の単位)であり、
面積=ダイ出口の断面積(長さの二乗の単位)である。
【0296】
ダイの孔が円形の穴である場合、流体速度は、以下のとおり定義することができる:
【0297】
【数11】
Rは、円形の穴の半径(長さの単位)である。
【0298】
流体粘度は、温度に依存し、剪断速度に依存し得る。ずり減粘流体の定義は、剪断速度に対する依存を含む。表面張力は、流体の構成及び流体の温度に依存する。
【0299】
一実施例では、フィラメント形成組成物は、1つ以上の剥離剤及び/又は潤滑剤を含み得る。好適な剥離剤及び/又は潤滑剤の非限定的な例としては、脂肪酸、脂肪酸塩、脂肪族アルコール、脂肪族エステル、スルホン化脂肪酸エステル、脂肪族アミンアセテート、及び脂肪酸アミド、シリコーン、アミノシリコーン、フルオロポリマー、並びにこれらの混合物が挙げられる。
【0300】
一例では、フィラメント形成組成物は、1つ以上のブロッキング防止剤及び/又は粘着性除去剤を含み得る。好適なブロッキング防止剤及び/又は粘着性除去剤の非限定例としては、デンプン、加工デンプン、架橋ポリビニルピロリドン、架橋セルロース、微結晶セルロース、シリカ、金属酸化物、炭酸カルシウム、タルク及び雲母が挙げられる。
【0301】
本発明の活性剤は、繊維要素形成前に及び/若しくは繊維要素形成中にフィラメント形成組成物に添加してもよく、並びに/又は繊維要素形成後に繊維要素に添加してもよい。例えば、本発明による繊維要素及び/又は発泡性繊維構造の後に、香料活性剤を繊維要素を含む繊維要素及び/又は発泡性繊維構造に適用してもよい。別の例では、本発明による繊維要素及び/又は発泡性繊維構造の後に、酵素活性剤を繊維要素を含む繊維要素及び/又は発泡性繊維構造に適用してもよい。更に別の例では、本発明による繊維要素及び/又は発泡性繊維構造の後に、(繊維要素を作製するための紡糸プロセスを通過するのに好適でなくともよい)1つ以上の粒子を繊維要素を含む繊維要素及び/又は発泡性繊維構造に適用してもよい。
【0302】
伸長助剤
一例では、繊維要素は、伸長助剤を含む。伸長助剤の非限定的な例としては、ポリマー、他の伸長助剤、及びこれらの組み合わせを挙げることができる。
【0303】
1つの例では、伸長助剤は、少なくとも約500,000Daの重量平均分子量を有する。別の例では、伸長助剤の重量平均分子量は、約500,000~約25,000,000、別の例では、約800,000~約22,000,000、更に別の例では、約1,000,000~約20,000,000、別の例では、約2,000,000~約15,000,000である。高分子量の伸長助剤は、伸長融解粘度を増加させ、かつ融解破壊を低減する能力のために、本発明のいくつかの例では好ましい。
【0304】
伸長助剤は、メルトブロープロセスにおいて使用する場合、紡糸プロセス中の繊維の融解破壊及び毛管破壊を明らかに低減するのに有効な量で本発明の組成物に添加され、比較的一貫した直径を有する実質的に連続的な繊維を融解紡糸することができるようにする。繊維要素及び/又は粒子を製造するのに使用されるプロセスにかかわらず、伸長助剤は、使用される場合、一例では、乾燥繊維要素基準及び/又は乾燥粒子基準及び/又は乾燥発泡性繊維構造基準で約0.001重量%~約10重量%、別の例では、乾燥繊維要素基準及び/又は乾燥粒子基準及び/又は乾燥発泡性繊維構造基準で約0.005重量%~約5重量%、更に別の例では、乾燥繊維要素基準及び/又は乾燥粒子基準及び/又は乾燥発泡性繊維構造基準で約0.01重量%~約1重量%、別の例では、乾燥繊維要素基準及び/又は乾燥粒子基準及び/又は乾燥発泡性繊維構造基準で約0.05重量%~約0.5重量%で存在し得る。
【0305】
伸長助剤として使用することができるポリマーの非限定的な例としては、アルギン酸塩、カラギーナン、ペクチン、キチン、グアーガム、キサンタンガム、アガー、アラビアガム、カラヤゴム、トラガカントガム、ローカストビーンガム、アルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、カルボキシアルキルセルロース、及びこれらの混合物を挙げることができる。
【0306】
他の伸長助剤の非限定的な例としては、修飾及び非修飾ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルピロリドン、ポリエチレン酢酸ビニル、ポリエチレンイミン、ポリアミド、ポリアルキレンオキシド(ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリエチレンプロピレンオキシドを含む)、及びこれらの混合物を挙げることができる。
【0307】
繊維要素を製造するための方法
本発明の繊維要素は、任意の好適なプロセスによって作製することができる。繊維要素を作製するための好適なプロセスの非限定的な例は以下に記載される。
【0308】
一例では、
図5及び
図6に示されるように、本発明による繊維要素14を製造するための方法28は、
a.1つ以上のフィラメント形成材料及び任意に1つ以上の活性剤を含むフィラメント形成組成物30を準備するステップと、
b.例えば、紡糸用ダイ32を介して、フィラメント形成組成物30を、1つ以上のフィラメント形成材料及び任意に1つ以上の活性剤を含む1つ以上の繊維要素14、例えば、フィラメントに紡糸するステップと、を含む。1つ以上の活性剤は、意図する使用条件に曝されたときに、繊維要素から放出可能であり得る。繊維要素14中に存在する1つ以上のフィラメント形成材料の総濃度は、活性剤がその中に存在する場合、乾燥繊維要素基準及び/又は乾燥発泡性繊維構造基準で、80重量%未満、及び/又は70重量%未満、及び/又は65重量%未満、及び/又は50重量%以下であってよく、1つ以上の活性剤の総濃度は、繊維要素中に存在する場合、乾燥繊維要素基準及び/又は乾燥発泡性繊維構造基準で、20重量%超、及び/又は35重量%超、及び/又は50重量%以上、65重量%以上、及び/又は80重量%以上であり得る。
【0309】
図6に示されるように、紡糸用ダイ32は、繊維要素形成穴34を出るときにその中を空気などの流体が通過して、フィラメント形成組成物30の繊維要素14中への細長化を容易にする同心の細長化流体用穴38に囲まれた融解毛管36を含む複数の繊維要素形成穴34を含んでもよい。
【0310】
一例では、フィラメント形成組成物30中に存在する任意の揮発性溶媒(水など)は、紡糸工程中に、繊維要素14が形成される際に、乾燥などによって除去される。一例では、フィラメント形成組成物の揮発性溶媒(例えば水)のうち、30重量%超、及び/又は40重量%超、及び/又は50重量%超は、紡糸工程中に、例えば製造する繊維要素を乾燥させることによって除去される。
【0311】
フィラメント形成組成物から製造される繊維要素が、繊維要素中に、乾燥繊維要素基準、及び/又は乾燥粒子基準、及び/又は乾燥発泡性繊維構造基準で、約5重量%~50重量%以下の総濃度のフィラメント形成材料と、繊維要素中に、乾燥繊維要素基準、及び/又は乾燥粒子基準、及び/又は乾燥発泡性繊維構造基準で、50重量%~約95重量%の総濃度の活性剤と、を含む限り、フィラメント形成組成物は、任意の好適な総濃度のフィラメント形成材料と、任意の好適な濃度の活性剤と、を含んでもよい。
【0312】
一例では、フィラメント形成組成物から製造される繊維要素は、繊維要素及び/又は粒子中に、乾燥繊維要素基準、及び/又は乾燥粒子基準、及び/又は乾燥発泡性繊維構造基準で、約5重量%~50重量%以下の総濃度のフィラメント形成組成物と、繊維要素及び/又は粒子中に、乾燥繊維要素基準、及び/又は乾燥粒子基準、及び/又は乾燥発泡性繊維構造基準で、50重量%~約95重量%の総濃度の活性剤と、を含む限り、フィラメント形成組成物は、任意の好適な総濃度のフィラメント形成材料と、任意の好適な濃度の活性剤と、を含んでもよく、活性剤の総濃度に対するフィラメント形成材料の重量比は1以下である。
【0313】
一例では、フィラメント形成組成物は、フィラメント形成組成物の約1重量%から、及び/又は約5重量%から、及び/又は約10重量%から、約50重量%まで、及び/又は約40重量%まで、及び/又は約30重量%まで、及び/又は約20重量%までのフィラメント形成材料と、フィラメント形成組成物の約1重量%から、及び/又は約5重量%から、及び/又は約10重量%から約50重量%まで、及び/又は約40重量%まで、及び/又は約30重量%まで、及び/又は約20重量%までの活性剤と、フィラメント形成組成物の約20重量%から、及び/又は約25重量%から、及び/又は約30重量%から、及び/又は約40重量%から、及び/又は約80重量%まで、及び/又は約70重量%まで、及び/又は約60重量%まで、及び/又は約50重量%までの揮発性溶媒(水など)と、を含む。フィラメント形成組成物は、少量の他の活性剤、例えばフィラメント形成組成物の10重量%未満、及び/又は5重量%未満、及び/又は3重量%未満、及び/又は1重量%未満の可塑剤、pH調整剤、及び他の活性剤を含んでもよい。
【0314】
フィラメント形成組成物は、任意の好適な紡糸プロセス(メルトブロー、スパンボンディング、エレクトロスピニング及び/又は回転紡績など)によって、1つ以上の繊維要素及び/又は粒子に紡糸される。一例では、フィラメント形成組成物はメルトブローによって複数の繊維要素及び/又は粒子に紡糸される。例えば、フィラメント形成組成物は、タンクからメルトブロー紡糸口金(spinnerette)にポンプ移送され得る。紡糸口金内のフィラメント形成穴のうちの1つ以上を出ると、フィラメント形成組成物は空気によって細径化され、1つ以上の繊維要素及び/又は粒子を形成する。次いで、繊維要素及び/又は粒子を乾燥させて、紡糸のために使用される任意の残留溶媒(例えば、水)を除去してもよい。
【0315】
本発明の繊維要素及び/又は粒子を、ベルト(例えばパターン付きベルト)上に収集して、繊維要素及び/又は粒子を含む発泡性繊維構造を形成してもよい。
【0316】
発泡性繊維構造を製造するための方法
本発明の一例では、
図7に示されるように、本発明の発泡性繊維構造層10は、
図5及び
図6に示されるように、紡糸ダイ32からフィラメント形成組成物30を紡糸することによって作製されて、フィラメントなど複数の繊維要素14を形成し、次いで、粒子源40、例えば、シフター又はエアレイド成形ヘッドによって供給される1つ以上の粒子18を結合させてもよい。粒子18は、繊維要素14内に分散されてもよい。粒子18と繊維要素14との混合物は、三次元テクスチャなどのテクスチャを発泡性繊維構造10の少なくとも1つの表面に付与する、パターン化された収集ベルトなど収集ベルト42上で収集されてもよい。
【0317】
図8は、
図2による発泡性繊維構造10を製造するための方法の別の例を示している。この方法は、ポケット20が第1の層12の表面に形成されるように、複数の繊維要素14の第1の層12を形成する工程を含む。1つ以上の粒子18は、粒子源40からポケット20内に堆積される。次いで、紡糸ダイ32から製造された複数の繊維要素14を含む第2の層16は、粒子18がポケット20に封入されるように、第1の層12の表面上に形成される。
【0318】
図9は、
図1による発泡性繊維構造10を製造するための方法の更に別の例を示している。この方法は、複数の繊維要素14の第1の層12を形成する工程を含む。1つ以上の粒子18は、粒子源40から第1の層12の表面に堆積される。紡糸ダイ32から製造された複数の繊維要素14を含む第2の層16は、続いて、粒子18が第1の層12と第2の層16との間に位置付けられるように、粒子18の上に形成される。
【0319】
発泡性繊維構造を製造するための非限定的な例
粒子の添加は、初期繊維の形成中、又はパターン付きベルト上への初期繊維の回収後に達成され得る。粒子の添加により、粒子が構造体中に捕捉される、3つの方法が開示される。
【0320】
図5及び
図6に示されるように、本発明の繊維要素14は、以下のように製造され得る。繊維要素14は、小規模装置によって形成され得、その概略図が
図5及び
図6に示される。バッチ作業に好適な加圧タンク44に、紡糸に好適なフィラメント形成組成物30を充填する。Parker Hannifin Corporation(Sanford,N.C.,USA)のZenith Pumps部門により製造され、1回転当たり5.0立方センチメートル(cc/rev)の容量を有するZenith(登録商標)PEP IIなどのポンプ46が、フィラメント形成組成物の紡糸用ダイ32への輸送を容易にするために、使用可能である。加圧タンク44から紡糸ダイ32へのフィラメント形成組成物30の流量は、ポンプ46の1分当たりの回転数(rpm)を調節することによって制御され得る。パイプ48は、加圧タンク44、ポンプ46、及び紡糸ダイ32を接続させるために使用されてもよい。
【0321】
図6に示される紡糸ダイ32は、約1.524ミリメートル(約0.060インチ)のピッチPで互いに離間された円形押し出しノズル(繊維要素形成穴34)のいくつかの列を有する。ノズルは、約0.305ミリメートル(約0.012インチ)の個々の内径、及び約0.813ミリメートル(約0.032インチ)の個々の外径を有する。各個々のノズルは、細径化空気を各個々の溶解した毛管36に供給するために、環状かつ末広のフレア状オリフィス(同心の細長化流体用穴38)によって囲まれている。ノズルを通して押し出されているフィラメント形成組成物30は、オリフィスを通して供給される概ね円筒形の湿った空気流により囲まれ細径化される。
【0322】
減衰空気は、供給源からの圧縮空気を電気抵抗ヒータ、例えば、Chromalox,Division of Emerson Electric(Pittsburgh,Pa.,USA)によって製造されたヒータによって加熱することによって提供され得る。電気的に加熱され、サーモスタットで制御された送出パイプ中の条件において、加熱された空気を飽和又はほとんど飽和させるために、適切な量の蒸気を添加した。凝縮水を、電気的に加熱されサーモスタット制御される分離器中で除去した。
【0323】
初期繊維要素は、乾燥空気流によって乾燥されるが、この乾燥空気流は、電気抵抗加熱器(図示せず)により約149℃。(約300°F)~約315℃。(約600°F)の温度を有し、乾燥ノズルを通して供給され、押し出される非熱可塑性初期繊維の概略的な向きに対して約90度の角度で放出される。乾燥した初期繊維要素は、収集装置(例えば、小孔のある可動ベルト又はパターン化された収集ベルトなど)上で収集される。形成域の真下に真空源を追加して、繊維の回収を補助するために使用してもよい。
【0324】
粒子18の流れを供給するのに好適な粒子源40、例えば、フィーダーは、
図7に示されるように、繊維要素14の乾燥領域の真上に配置され得る。この場合、Retsch(登録商標)(Haan,Germany)製の振動フィーダーが使用される。横断方向における粒子の一貫した分布を補助するために、粒子は、フィーダーの幅から開始して、紡糸ダイの面と同じ幅で終端したトレイに供給され、粒子が繊維要素の形成の全ての領域に送達されることを確実にした。トレイは、粒子供給の破壊を最小化するために、出口を除いて完全に囲い込まれる。
【0325】
初期繊維要素が形成されている間、フィーダーのスイッチが入れられ、粒子が繊維要素の流れに導入される。この場合、Genencor International(登録商標)(Leiden,The Netherlands)製のGreen Zero(Green Speckle Granules)を粒子として使用する。繊維要素と結合及び/又は混合される粒子は、回収ベルト上で一緒に回収される。
【0326】
前駆体発泡性繊維構造が形成されると、前駆体発泡性繊維構造に開口プロセス、すなわち、1つ以上の開口部を発泡性繊維構造に付与して、開口発泡性繊維構造を製造するプロセスを施してもよい。このような開口プロセスの非限定的な例としては、エンボス加工、ロッジング、回転ナイフによる穿孔、ピンニング、ダイカット、ダイパンチング、ニードルパンチング、ローレット加工、空圧成形、液圧成形、レーザ切断、及びタフティングが挙げられる。
【0327】
一例では、前駆体発泡性繊維構造は、米国特許出願公開第8,679,391号に全般的に記載されているような回転ナイフによる穿孔操作に供される。別の例では、前駆体発泡性繊維構造は、以下に記載されるようなピンニング操作に供される。一例では、前駆体発泡性繊維構造は、1つのローラのピンがニップ内の対向するローラ上のピン間の空間を通過するように、噛み合う構成で配置された2つの対向するピンローラの間に形成されるニップを通過する。典型的な構成は、同じピン設計及び配置を有する2つのローラを用いてもよい。しかしながら、対向するローラは異なるピン設計及び配置であってもよく、代わりにピンではなく他の発泡性繊維構造支持部材を有してもよく、又はピン付ローラのピンと柔軟な表面との間の干渉を可能にする柔軟な材料から構成される固体表面であってもよい。ピンの先端によって表現される仮想の円筒間の干渉の程度は、絡み合い深さとして記載される。発泡性繊維構造が対向するローラ間に形成されるニップを通過すると、各ピン付きローラのピンは発泡性繊維構造と噛み合い、ローラ間の絡み合いの深さ及び発泡性繊維構造の公称厚さによって大まかに決定される深さまで発泡性繊維構造を貫通する。
【0328】
発泡性繊維構造製品50、例えば、便器の水に入れて便器を洗浄するなど、消費者がその意図された目的のために使用する使用可能ユニットの例を
図10A及び
図10Bに示す。
図10A及び
図10Bに示すように、一例では、発泡性繊維構造製品50は、1つ以上の、この場合は2つの層の繊維構造10(第1の繊維構造層52及び第2の繊維構造層54)を含む多層繊維構造を含み、それら自体は発泡性繊維構造であってもなくてもよいが、多層繊維構造を形成するために互いに関連付けられた発泡性繊維構造製品50の構成要素である。
図10Bに示す一例では、繊維構造10は、繊維要素14内に存在する、ポリビニルアルコールなどのヒドロキシルポリマーと、任意選択で活性剤とを含む複数の繊維要素14を含む。複数の粒子18、例えば、凝集体などの水溶性活性剤含有粒子、例えば、気泡安定化剤、例えば界面活性剤、例えば硫酸塩フリーの界面活性剤、例えばDSCG、ビルダー、例えばゼオライト、発泡性塩粒子、例えば重炭酸ナトリウム、発泡性酸粒子、例えばクエン酸、及びポリマー、例えばポリビニルピロリドンを含む凝集体は、2つの繊維構造10の間に配置される(挟まれる)。繊維構造10の2つの層(第1及び第2の繊維構造層52、54は、)は、それらの縁部において縁部継目56によって結合されてもよく、それらは、多層繊維構造又は繊維構造10の層のうちの1つ以上の少なくとも部分的な溶解が使用中に生じるまで、それらの縁部に沿って繊維構造10の2つの層を一緒に圧縮して粒子18を含むパウチを形成することによって形成されてもよい。
【0329】
一例では、繊維構造は、独立して任意の好適な坪量、例えば、約100gsmから約5000gsm、及び/又は約250gsmから約3000gsm、及び/又は約500gsmから約2000gsmを示し得る。一例では、繊維構造内の繊維要素は、任意の適切な坪量、例えば、約10から約1000gsm及び/又は約10gsmから約500gsm及び/又は約20gsmから約400gsm及び/又は約100gsmから約300gsmで繊維構造内に独立して存在してもよい。一例では、粒子は、繊維構造内に存在する場合、任意の適切な坪量、例えば、約100gsmから約4000gsm及び/又は約250gsmから約3000gsm及び/又は約500gsmから約2000gsmで繊維構造内に独立して存在してもよい。
【0330】
一例では、他の活性剤を含む他の粒子を、発泡性繊維構造に及び/又は発泡性繊維構造の間に添加してもよい。例えば、発泡性繊維構造を共に結合する前に、2つの発泡性繊維構造の間に香料を配置することができる。一例では、本発明の発泡性繊維構造は、発泡抑制剤、並びに泡の生成を防止及び/又は抑制する類似の活性剤を含まないか、実質的に含まない(発泡性繊維構造による泡の生成に悪影響を及ぼさない)。
【0331】
非限定的な実施例:
実施例1-本発明の気泡安定化剤被覆発泡性塩粒子
重炭酸ナトリウム粒子(粉末)などの発泡性塩粒子10kgを、低剪断対流ミキサー、例えば、6リットルの作業体積及び約1.4m/秒の先端速度を有するForberg二重軸パドルミキサー又は同等の対流ミキサーに加える。対流ミキサーのパドルを1.4m/秒で回転させ、発泡性塩粒子を混合した状態で、凝集塊を実質的に又は完全に含まない気泡安定化剤被覆自由流動性発泡性塩粒子が得られるまで、気泡安定化剤溶液、例えばDSCG溶液(42%活性)480gを対流ミキサーにゆっくり加える。次いで、気泡安定化剤被覆発泡性塩粒子をオーブン中で乾燥させ、必要に応じて、本明細書に記載の粒度分布試験方法に従って測定されるところの所望の粒径になるようにふるい分けする。
【0332】
実施例2-本発明の発泡性組成物の凝集体
重炭酸ナトリウム粒子(粉末)などの非常に微細な発泡性塩粒子5kg及びクエン酸粒子などの5kgの発泡性酸粒子を、低剪断対流ミキサー、例えば、6リットルの作業体積及び約1.4m/秒の先端速度を有するForberg二重軸パドルミキサー又は同等の対流ミキサーに加える。対流ミキサーのパドルを1.4m/秒で回転させ、発泡性塩粒子及び発泡性酸粒子を混合した状態で、発泡性塩粒子及び発泡性酸粒子を含む自由流動性の気泡安定化剤結合凝集体が得られるまで、気泡安定化剤溶液、例えばDSCG溶液(42%活性)480gを対流ミキサーにゆっくり加える。次いで、気泡安定化剤結合凝集体をオーブン中で乾燥させ、必要に応じて、本明細書に記載の粒度分布試験方法に従って測定されるところの所望の粒径になるようにふるい分けする。
【0333】
実施例3-本発明の発泡性組成物の凝集体
重炭酸ナトリウム粒子(粉末)などの発泡性塩粒子5kg及びクエン酸粒子などの5kgの発泡性酸粒子を、低剪断対流ミキサー、例えば、6リットルの作業体積及び約1.4m/秒の先端速度を有するForberg二重軸パドルミキサー又は同等の対流ミキサーに加える。対流ミキサーのパドルを1.4m/秒で回転させ、発泡性塩粒子及び発泡性酸粒子を混合した状態で、発泡性塩粒子及び発泡性酸粒子を含む自由流動性の気泡安定化剤結合凝集体が得られるまで、気泡安定化剤溶液、例えばDSCG溶液(42%活性)480gを対流ミキサーにゆっくり加える。次いで、気泡安定化剤結合凝集体をオーブン中で乾燥させ、必要に応じて、本明細書に記載の粒度分布試験方法に従って測定されるところの所望の粒径になるようにふるい分けする。
【0334】
実施例4-本発明の香料を含む発泡性組成物
7gの香料、例えば本発明による香料、及び3gのポリマー、例えばSigma-Aldrich製の溶融Pluronic P123などのPPO-PEOブロックコポリマーをガラスバイアルに加え、約23℃で液体混合物が形成されるまで混合する。次いで、得られた液体を10gの担体粒子、例えばシリカ粒子(Evonik製のZeodent 9175)に加え、自由流動性粉末(香料/ポリマー混合物担持担体粒子)が形成されるまで穏やかに混合する。その後、香料/ポリマー混合物担持担体粒子を、実施例1に記載の対流ミキサーで、実施例1からの気泡安定化剤被覆発泡性塩粒子及び/又は実施例3からの気泡安定化剤結合凝集体と混合して、本発明による香料を含む発泡性組成物を形成する。
【0335】
実施例5-発泡性繊維構造
以下の表3に示す次の配合を有する本発明による発泡性繊維構造を、本発明に従って調製する。
【0336】
【0337】
フィラメント形成組成物を紡糸して繊維要素にすることによって表3の配合物からそれぞれ作製された2つの繊維構造を互いに結合させて、発泡性組成物を含む縁部継目を有する多層繊維構造を形成し、本発明による発泡性繊維構造製品を形成する。
【0338】
試験方法
特に指定がない限り、定義の節で記載されたものを含む本明細書に記載の全ての試験及び以下の試験法は、試験前最低2時間、約23℃±1.0℃の温度及び50%±2%の相対湿度に調整された部屋で調整されたサンプルに対して行われる。試験したサンプルは、「使用可能ユニット」である。本明細書で使用するとき、「使用可能ユニット」とは、意図される目的のために消費者によって使用される、例えば単位用量物品/製品を意味する。全ての試験は、同一環境条件下及びこのように調整した室内で実施する。しわ、破れ等の欠陥を有するサンプルは試験しない。本明細書に記載のとおりに調整されたサンプルは、試験目的に関し、乾燥サンプル(例えば「乾燥フィラメント」)であるとみなされる。全ての計器は、製造業者の仕様書に従って較正される。
【0339】
坪量試験法
坪量は、試験されるサンプルのg/m2の重量として定義される。これは、適切な天秤を使用して、調整されたサンプルの既知の面積を正確に秤量し、試験したサンプルの重量及び面積を記録し、適切な変換係数を適用し、最後にサンプルのg/m2の坪量を計算することによって決定される。
【0340】
坪量は、単一のウェブ、ウェブの積層体、又は他の適切な堆積された若しくは消費者販売可能ユニットからサンプルを切断し、±0.001gの分解能を有する上皿分析天秤を使用してサンプルを秤量することによって測定される。サンプルは、サンプルを切断する前に最低2時間、73°±2°F(23°±1℃)の温度及び50%(±2%)の相対湿度で平衡化しなければならない。秤量中、天秤は、ドラフトシールドを用いて、気流及び他の擾乱から保護される。1.625×1.625インチ(41.275×41.275mm)と測定された精密切断ダイを使用して、全てのサンプルを調製する。清潔で、穴、裂け目、しわ及び他の欠陥を含まない使用可能なサンプル領域を選択する。
【0341】
各サンプルについて、サンプルを切断するために上に記載のダイカッターを使用して、サンプルの質量を秤量し、質量結果を0.001g単位で記録する。
【0342】
以下のとおりに坪量をg/m2で計算する:
坪量=(サンプルの質量)/(サンプルの面積)。
又は具体的には、
坪量(g/m2)=(サンプルの質量(g))/(0.001704m2)。
【0343】
結果を、0.1g/m2単位で報告する。サンプル寸法は、上述のように同様の精密カッターを使用して変更又は変化することができる。サンプル寸法が減少した場合、いくつかのサンプルを測定するべきであり、平均値はその坪量として報告されるべきである。
【0344】
含水率試験法
繊維要素、及び/又は粒子、及び/又は発泡性繊維構造中に存在する含水(水分)率を、以下の含水率試験法を使用して測定する。事前に切断されたシートの形態である繊維要素、及び/又は粒子、及び/又は発泡性繊維構造、あるいはそれらの一部(「試料」)を、23℃±1.0℃の温度、及び50%±2%の相対湿度に調整された部屋に試験前の少なくとも24時間置く。各発泡性繊維構造サンプルは、少なくとも4平方インチの面積を有するが、天秤の計量皿上に適切に適合するのに十分小さい寸法である。上述の温度及び湿度の条件下で、少なくとも小数第4位まで測定できる天秤を用いて、サンプルの重量を、10分の間に前の(測定した)重量からの変化が0.5%未満になるまで、5分ごとに記録する。最終重量を、「平衡重量」として記録する。10分以内に、サンプルを、乾燥させるために、強制空気乾燥器中のホイル上に、70℃±2℃、相対湿度4%±2%で、24時間置く。24時間の乾燥後、サンプルを取り除き、15秒以内にその重量を測定する。この重量は、サンプルの「乾燥重量」と呼ばれる。
【0345】
サンプルの含水(水分)率を以下のように計算する。
【0346】
【0347】
3つの複製物についてのサンプル中の含水(水分)%を平均して、サンプル中の含水(水分)%として報告する。結果は、小数点第1位(0.1%)まで報告する。
【0348】
直径試験法
走査型電子顕微鏡(SEM)又は光学顕微鏡、及び画像解析ソフトウェアを使用して、離散繊維要素又は発泡性繊維構造内の繊維要素の直径を求める。繊維要素を測定のために適切に拡大するように、200~10,000倍の倍率を選択する。SEMを使用する場合には、電子ビーム中での繊維要素の帯電及び振動を避けるために、サンプルに金又はパラジウム化合物をスパッタリングする。SEM又は光学顕微鏡を用いて得られた画像(モニタースクリーン上)から繊維要素の直径を測定するにはマニュアルの手順を用いる。マウス及びカーソルツールを使用して、ランダムに選択された繊維要素の縁部を探し、その後、その幅(すなわち、その点における繊維要素の方向に対して垂直な)にわたって繊維要素の他方の縁部まで測定する。目盛り付きの較正された画像解析ツールにより、μm単位で実際の読取値を取得するための目盛りが提供される。発泡性繊維構造内の繊維要素については、SEM又は光学顕微鏡を使用して、発泡性繊維構造の試料全体からいくつかの繊維要素を無作為に選択する。発泡性繊維構造の少なくとも2つの部分を切り取り、この方法で試験する。統計解析のために、このような測定を全部で少なくとも100回実施し、次いで、全てのデータを記録する。記録したデータを用いて、繊維要素の直径の平均値(平均)、繊維要素の直径の標準偏差、及び繊維要素の直径の中央値を計算する。
【0349】
別の有用な統計は、特定の上限よりも小さい繊維要素集団の量の算出である。この統計値を決定するために、繊維要素の直径の結果のうち上限よりも小さいものの個数をカウントするようにソフトウェアをプログラムし、そのカウント(データの合計数で除し、100%を掛ける)を、上限よりも小さいパーセント(例えば直径が1マイクロメートル未満のパーセント又はサブミクロン%)として、パーセントで記録する。本発明者らは、個々の円形繊維要素に関し測定された直径(μm)をdiとして表す。
【0350】
繊維要素が非円形断面を有する場合、繊維要素の直径の測定値は、水力直径として求められ、水力直径と等しいものと設定される。水力直径とは繊維要素の断面積を4倍して、繊維要素の断面の周囲長さ(中空の繊維要素の場合は外周囲長さ)で除したものである。数-平均直径、あるいは平均直径は、以下のとおりに計算する:
【0351】
【0352】
重量平均分子量
材料(例えば、ポリマー)の重量平均分子量(molecular weight、Mw)は、混床式カラムを使用してゲル浸透クロマトグラフィ(Gel Permeation Chromatography、GPC)によって求められる。以下の構成要素:Millenium(登録商標)、Model 600Eポンプ、システムコントローラ及びコントローラソフトウェアバージョン3.2、Model 717 Plusオートサンプラ、並びにCHM-009246カラムヒータ(全てWaters Corporation(Milford,MA,USA)製)を有する高性能液体クロマトグラフ(HPLC)を使用する。カラムは、長さ600mm及び内径7.5mmのPLゲル20μm混合Aカラム(ゲル分子量:1,000g/モル~40,000,000g/モル)であり、ガードカラムは、長さ50mm、ID7.5mmのPLゲル20μmである。カラムの温度は55℃であり、注入量は200μLである。検出器は、Wyatt Technology(Santa Barbara,CA,USA)製のAstra(登録商標)ソフトウェア、バージョン4.73.04検出器ソフトウェア、K5セル及び690nmレーザを有するレーザ光散乱検出器を備える、DAWN(登録商標)Enhanced Optical System(EOS)である。奇数が振られた検出器のゲインを、101に設定する。偶数が振られた検出器のゲインを、20.9に設定する。Wyatt TechnologyのOptilab(登録商標)示差屈折率計を、50℃に設定する。ゲインを10に設定する。移動相は、0.1%w/vのLiBrを含むHPLC等級のジメチルスルホキシドであり、移動相の流量は、1mL/分、定組成である。実行時間は、30分間である。
【0353】
名目上移動相1mL当たり材料3mgで材料を移動相に溶解させることによって、サンプルを調製する。サンプルに蓋をし、次いで、磁気撹拌器を使用して約5分間撹拌する。次いで、サンプルを85℃の対流式オーブン内に60分間入れる。次いで、サンプルを室温まで放冷する。次いで、サンプルを、5mLのシリンジを介して、5μmのナイロン膜(タイプ:Spartan-25、Schleicher&Schuell(Keene,NH,USA)製)で濾過して5ミリリットル(mL)のオートサンプラバイアルに入れる。
【0354】
各一連の測定サンプル(材料の3つ以上のサンプル)について、ブランクサンプルの溶媒をカラムに注入する。次いで、上記サンプルに関する方法と同様にチェックサンプルを調製する。チェックサンプルは、47,300g/モルの重量平均分子量を有する2mg/mLのプルラン(Polymer Laboratories)を含む。各サンプルセットを分析する前に、チェックサンプルを分析する。ブランクサンプル、チェックサンプル、及び材料試験サンプルの試験を、デュープリケートで行う。最後の測定には、ブランクサンプルを用いる。光散乱検出器及び示差屈折計は、「Dawn EOS Light Scattering Instrument Hardware Manual」及び「Optilab(登録商標)DSP Interferometric Refractometer Hardware Manual」(両方ともWyatt Technology Corp.(Santa Barbara、CA、USA)によって製造され、両方とも参照により本明細書に組み込まれる)に従って用いられる。
【0355】
検出器のソフトウェアを使用して、サンプルの重量平均分子量を計算する。dn/dc(濃度による屈折率の微分変化)値0.066を使用する。レーザ光検出器及び屈折率検出器のベースラインを補正して、検出器の暗電流及び溶媒散乱の干渉を除去する。レーザ光検出器の信号が飽和した場合、又は過剰なノイズを呈する場合、その値を分子質量の計算には使用しない。分子量の特性決定のための領域は、レーザ光散乱及び屈折率用の90°の検出器の信号が、両方とも、それぞれのベースラインノイズレベルの3倍よりも大きくなるように選択する。典型的に、クロマトグラムの高分子量側は、屈折率信号によって制限され、低分子量側は、レーザ光信号によって制限される。
【0356】
重量平均分子量は、検出器のソフトウェアに定義されている「一次Zimmプロット」を使用して計算することができる。サンプルの重量平均分子量が1,000,000g/モルよりも大きい場合、一次及び二次Zimmプロットの両方を計算し、回帰当てはめの最もエラーの少ない結果を使用して分子質量を計算する。報告する重量平均分子量は、材料試験サンプルの2回の実行の平均である。
【0357】
溶解試験法
装置及び材料(
図11~
図13も参照):
600mLビーカー58
磁気撹拌器60(LablineモデルNo.1250又は等価物)
磁気撹拌子62(5cm)
温度計(1~100℃+/-1℃)
打抜型--寸法3.8cm×3.2cmのステンレス鋼打抜型
【0358】
タイマー(0~3,600秒又は1時間)、秒単位の精度。使用するタイマーは、サンプルが3,600秒を超える溶解時間を示す場合にも十分な合計時間測定範囲を有していなければならない。しかし、タイマーは、秒単位の精度を必要とする。
【0359】
Polaroid 35mmのスライド台64(Polaroid Corporationから市販、又は等価物)
35mmのスライド台ホルダー66(又は等価物)
以下の特性を有するCincinnati市水道水又は等価物:合計硬度=155mg/L(CaCO3として);カルシウム含量=33.2mg/L;マグネシウム含量=17.5mg/L;ホスフェート含量=0.0462。
【0360】
試験プロトコル
23℃±1.0℃及び50%RH±2%の一定の温度及び湿度環境で少なくとも2時間、試料を平衡化する。本明細書に定義される坪量試験法を用いて、測定を行う発泡性繊維構造試料の坪量を測定する。24×36mmの孔面積寸法を有する35mmのスライド台64内に収まるように、打抜型を使用して、発泡性繊維構造試料から3つの溶解試験の試験片を切り抜く(3.8cm×3.2cm)。各試料を別々の35mmスライドマウント64に固定する。磁気撹拌子62を600mLビーカー58に入れる。蛇口をひねって水道水(又は等価物)を出し、温度計で水温を測定し、必要に応じて、試験温度に維持するように温水又は冷水で調整する。試験温度は、15℃±1℃の水である。試験温度に到達したら、ビーカー58に15℃±1℃の水道水500mL±5mLを充填する。充填されたビーカー58を磁気撹拌器60上に置き、撹拌器62のスイッチを入れ、渦が発生し、かつ渦の底部がビーカー58の400mLの印に達するまで、撹拌速度を調整する。スライド台64の長端部70が水面と平行になるように、35mmスライド台64を35mmスライド台ホルダー66のワニクランプ68に固定する。ワニクランプ68は、スライド台64の長端部70の中央に位置付ける必要がある。ホルダー66の深さ調節器72は、深さ調節器72の底部とワニクランプ68の底部との距離が~11+/-0.125インチとなるように設定する必要がある。この設置により、サンプル表面が水の流れと垂直に配置される。1回の動作で、固定されたスライド及びクランプを水中に下ろし、タイマーを起動させる。サンプルがビーカーの中心になるようにサンプルを下ろす。不織布構造体が分断されると、崩壊が生じる。これを崩壊時間として記録する。目に見える不織布構造体が全てスライド台から離れたら、溶解していない不織布構造体の断片について溶液のモニタリングを続けながら、スライドを水から引き上げる。不織布構造体の断片が全てもはや水中に見えなくなったら、溶解が生じている。これを溶解時間として記録する。
【0361】
各サンプルの3つの複製物を試験し、平均崩壊時間及び平均溶解時間を記録する。平均崩壊時間及び平均溶解時間は、秒単位である。
【0362】
それぞれを、本明細書で定義する坪量法によって決定した試料坪量で除することによって、平均崩壊時間及び平均溶解時間を坪量で正規化する。坪量で正規化された崩壊時間及び溶解時間は、秒/サンプルのgsm(s/(g/m2))の単位である。
【0363】
厚み法
各切断されたサンプルがVIR Electronic Thickness Tester Model II(Thwing-Albert Instrument Company(Philadelphia,PA)から入手可能)のロードフット搭載面よりも大きなサイズになるように、発泡性繊維構造サンプルの5つのサンプルを切り取ることによって、発泡性繊維構造の厚みを測定する。典型的に、ロードフット搭載面は、約3.14平方インチの円形表面積を有する。試料を水平な平面とロードフット搭載面との間に固定する。ロードフット搭載面は、15.5g/cm2の拘束圧を試料に印加する。各試料の厚みは、平面とロードフット搭載面との間に生じるギャップである。厚みは、5つの試料の平均の厚みとして計算される。結果をミリメートル(mm)で報告する。
【0364】
剪断粘度試験方法
本発明のフィラメント形成組成物の剪断粘度は、毛管レオメーターである、Goettfert USA(Rock Hill SC,USA)で製造されたGoettfert Rheograph6000を使用して測定する。測定は、1.0mmの直径D及び30mmの長さL(すなわちL/D=30)を有する毛管ダイを使用して行う。ダイをレオメーターの20mmバレルの下端に取り付け、これを75℃のダイ試験温度で保持する。ダイ試験温度に予め熱しておいたフィラメント形成組成物の60gの試料を、レオメーターのバレル領域にロードする。サンプルから、閉じ込められた空気を全て取り除く。一連の選択された速度1,000~10,000秒-1で、サンプルをバレルから毛管ダイを通して押し出す。見かけの剪断粘度は、サンプルがバレルから毛管ダイを通って進むときにサンプルに生じる圧力低下及び毛管ダイを通るサンプルの流量から、レオメーターのソフトウェアを用いて計算することができる。log(見かけの剪断粘度)をlog(剪断速度)に対してプロットすることができ、このプロットを式η=Kγn-1(式中、Kは材料の粘度定数であり、nは材料の薄化指数であり、γは剪断速度である)に従って、指数法則でフィッティングすることができる。本明細書におけるフィラメント形成組成物の見かけの剪断粘度の報告値は、指数法則関係を用いて剪断速度3,000秒-1に対する補間から計算される。
【0365】
繊維要素組成物試験方法
繊維要素組成物測定用に繊維要素を調製するために、繊維要素の外面上に存在する任意の除去可能であるコーティング組成物及び/又は材料を除去することによって、繊維要素を調整する。それを実行する方法の例としては、繊維要素を変化させずに外部のコーティングを除去する好適な溶媒で、繊維要素を3回洗浄することである。その後、繊維要素の水分が10%未満となるまで、繊維要素を、温度23℃±1.0℃で、空気乾燥させる。調整した繊維要素の化学分析を次いで完了させ、フィラメント形成材料、及び繊維要素内に存在する活性剤に関して、繊維要素の組成の構成を決定する。
【0366】
繊維要素形成材料及び活性剤に関する組成の構成はまた、TOF-SIMS又はSEMを使用して、断面解析を完了することによって決定されてもよい。繊維要素の組成の構成を決定するための更に他の方法は、マーカーとして蛍光染料を使用するものである。更に、常として、繊維要素の製造者は自分達の繊維要素の組成を知っていなくてはならない。
【0367】
発泡性試験法
ZURNバキュームブレーカ(Z-6000-A-WS、ZURN Industries Inc.)が装備されたSelectronic Exposed Battery Flush Valve Systemを備えたAmerican Standard Afwall 1.28gpf配管トイレを用い、以下の特性を有するシンシナティ市の水又は同等物を使用して試験を行う。総硬度=CaCO3が155mg/L;カルシウム含量=33.2mg/L;マグネシウム含量=17.5mg/L;リン酸塩含有量=0.0462、及び便器内のpH約6~8。水の温度は23℃±1℃、相対湿度は50%±2%である。
【0368】
静止水面と便器のリムの下縁との間の距離は9cmである。ルーラは、便器のリムに垂直にテープで留められる。ルーラのゼロ点は便器内の静止水に触れるだけである。試験用の発泡性組成物(70g)は、静止水の乱れを最小限に抑えるように、静止水に静かに入れられる。最初の泡を見て取った時点で、直ちにストップウォッチを開始する。次いで、1分の時点で泡の高さを測定し、次いで、5分の時点、10分の時点、及び30分の時点で泡の高さを測定し、その泡の高さを記録する。更なる泡の高さの測定は、必要に応じて時間の関数として引き続き行うことができる。
【0369】
粒度分布試験方法
粒度分布試験は、粒子の特徴的なサイズを求めるために行われ、粒子は、別個の粒子であり得、粒子は、気泡安定化剤被覆発泡性酸粒子又は気泡安定化剤被覆発泡性塩粒子、及び/又は、凝集体(例えば気泡安定化剤によって互いに結合された別個の粒子)であり得る。これは、分析に使用される篩サイズ及び篩時間のための更なる規格と共に、1989年5月26日に承認されたASTM D 502-89「Standard Test Method for Particle Size of Soaps and Other Detergents」を使用して実施される。第7節「Procedure using machine-sieving method」に従って、本明細書で言及される粒径の範囲を網羅するために、米国標準(ASTM E 11)篩#4(4.75mm)、#6(3.35mm)、#8(2.36mm)、#12(1.7mm)、#16(1.18mm)、#20(850マイクロメートル)、#30(600マイクロメートル)、#40(425マイクロメートル)、#50(300マイクロメートル)、#70(212マイクロメートル)、#100(150マイクロメートル)、#170(90マイクロメートル)、#325(44マイクロメートル)及びパンを含む清潔な乾燥した篩の入れ子を必要とする。規定された機械篩い法が、上記の入れ子状の篩と共に使用される。好適な篩振盪機は、W.S.Tyler Company(Ohio、U.S.A.)から入手することができる。篩振盪試験サンプルは約100グラムであり、5分間振盪される。
【0370】
データは、対数横座標にプロットされた各篩のマイクロメートルサイズ開口部を有する片対数プロット上にプロットされ、より細かい累積質量パーセント(cumulative mass percent finer、CMPF)は、線形縦座標にプロットされる。上記データ表現の例は、ISO 9276-1:1998、「Representation of results of particle size analysis-Part 1:Graphical Representation」の
図A.4に記載されている。特徴的な粒径(Dx、x=10、50、90)は、この発明の目的において、累積質量パーセントがxパーセントと等しい点における横座標値として定義され、以下の式を使用してx値の直上(a)及び直下(b)のデータ点間の直線補間によって計算され、
Dx=10^[Log(Da)-(Log(Da)-Log(Db))×(Qa-x%)/(Qa-Qb)]
式中、Logは、10を底とする対数であり、Qa及びQbは、それぞれx百分位数の直上及び直下の測定データの累積質量百分位数の値であり、Da及びDbは、これらデータに対応するマイクロメートル篩サイズの値である。
【0371】
例のデータ及び計算:
【0372】
【0373】
D10(x=10)の場合、CMPFが10%の直上であるマイクロメートルスクリーンサイズ(Da)は300マイクロメートルであり、直下のスクリーンサイズ(Db)は212マイクロメートルである。10%の直上の累積質量(Qa)は15.2%であり、直下(Qb)は6.8%である。D10=10^[Log(300)-(Log(300)-Log(212))×(15.2%-10%)/(15.2%-6.8%)]=242マイクロメートル。
【0374】
D90(x=90)の場合、CMPFが90%の直上であるマイクロメートルスクリーンサイズ(Da)は1180マイクロメートルであり、直下のスクリーンサイズ(Db)は850マイクロメートルである。90%の直上の累積質量(Qa)は99.3%であり、直下(Qb)は89.0%である。D90=10^[Log(1180)-(Log(1180)-Log(850))×(99.3%-90%)/(99.3%-89.0%)]=878マイクロメートル。
【0375】
D50(x=50)の場合、CMPFが50%の直上であるマイクロメートルスクリーンサイズ(Da)は600マイクロメートルであり、直下のスクリーンサイズ(Db)は425マイクロメートルである。50%の直上の累積質量(Qa)は60.3%であり、直下(Qb)は32.4%である。D50=10^[Log(600)-(Log(600)-Log(425))×(60.3%-50%)/(60.3%-32.4%)]=528マイクロメートル。
【0376】
本明細書に開示される寸法及び値は、列挙された正確な数値に厳密に限定されるものとして理解されるべきではない。その代わりに、特に指示がない限り、そのような寸法は各々、列挙された値とその値を囲む機能的に同等な範囲との両方を意味することが意図される。例えば、「40mm」と開示された寸法は、「約40mm」を意味することが意図される。
【0377】
明瞭にする目的のために、総「重量%」値は、100重量%を超えない。
【0378】
あらゆる相互参照される文書又は関連特許若しくは出願を含めた、本明細書に引用される全ての文書は、明示的に除外されるか又は特に限定されない限り、参照することによりその全体が本明細書に組み込まれる。いかなる文献の引用も、本明細書中で開示又は特許請求される任意の発明に対する先行技術であるとはみなされず、あるいはそれを単独で又は他の任意の参考文献(単数又は複数)と組み合わせたときに、そのようないかなる発明も教示、示唆又は開示するとはみなされない。更に、本文書における用語の任意の意味又は定義が、参照により組み込まれた文書内の同じ用語の任意の意味又は定義と矛盾する場合、本文書においてその用語に与えられた意味又は定義が適用されるものとする。
【0379】
本発明の特定の実施例及び/又は実施形態について図示し説明したが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、他の様々な変更及び修正を実施できることが当業者には明白であろう。したがって、本発明の範囲内にある全てのそのような変更及び修正を添付の特許請求の範囲に網羅することが意図される。