(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-21
(45)【発行日】2024-01-04
(54)【発明の名称】真空コーティングデバイス
(51)【国際特許分類】
C23C 14/24 20060101AFI20231222BHJP
【FI】
C23C14/24 A
(21)【出願番号】P 2022519381
(86)(22)【出願日】2020-09-25
(86)【国際出願番号】 CN2020117883
(87)【国際公開番号】W WO2021057922
(87)【国際公開日】2021-04-01
【審査請求日】2022-05-19
(31)【優先権主張番号】201910931051.9
(32)【優先日】2019-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】514216801
【氏名又は名称】バオシャン アイアン アンド スティール カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100080791
【氏名又は名称】高島 一
(74)【代理人】
【識別番号】100136629
【氏名又は名称】鎌田 光宜
(74)【代理人】
【識別番号】100125070
【氏名又は名称】土井 京子
(74)【代理人】
【識別番号】100121212
【氏名又は名称】田村 弥栄子
(74)【代理人】
【識別番号】100174296
【氏名又は名称】當麻 博文
(74)【代理人】
【識別番号】100137729
【氏名又は名称】赤井 厚子
(74)【代理人】
【識別番号】100151301
【氏名又は名称】戸崎 富哉
(74)【代理人】
【識別番号】100170184
【氏名又は名称】北脇 大
(72)【発明者】
【氏名】レン、サンビン
(72)【発明者】
【氏名】ファン、ジュンフェイ
(72)【発明者】
【氏名】リ、シャンチン
(72)【発明者】
【氏名】シオン、フェイ
(72)【発明者】
【氏名】ワン、イル
【審査官】山本 一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-088591(JP,A)
【文献】国際公開第2019/132206(WO,A1)
【文献】特開2007-070679(JP,A)
【文献】特開2010-150662(JP,A)
【文献】特表2021-509146(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 14/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空コーティングデバイスであって、当該真空コーティングデバイスは:
るつぼを有し;
前記るつぼの外側に配置された誘導ヒーターを有し;
蒸気パイプラインを通して前記るつぼの頂部に接続された流れ分配ボックスを有し;
前記蒸気パイプラインが前記流れ分配ボックスと連通する方向に順番に配置された圧力調整バルブおよびダイバーターバルブを有し;
前記流れ分配ボックスに配置された水平圧力安定化プレートを有し;
前記流れ分配ボックスの頂部に接続された複数のサブノズルを有し;
前記ダイバーターバルブには複数の気流分配チャンバーが配置され;
半径方向における前記蒸気パイプラインの断面積(S
パイプライン)に対する半径方向における前記気流分配チャンバーの総断面積(S
分配)の比が、0.1より大きいか、または、0.1に等しく、すなわち:
S
分配/S
パイプライン≧0.1であ
り;
前記サブノズルが等間隔で平行に配置され、前記サブノズルがサブノズル出口を備え;かつ、前記サブノズル出口間の距離と鋼板の移動速度が以下の関係を満たし:
前記の鋼板の移動速度が30~60m/分であるとき、前記サブノズル出口の中心線距離が50~100mmであり;
前記の鋼板の移動速度が61~100m/分であるとき、前記サブノズル出口の中心線距離が100~150mmであり;
前記の鋼板の移動速度が101~150m/分であるとき、前記サブノズル出口の中心線距離が150~200mmであり;かつ、
前記の鋼板の移動速度が151~200m/分であるとき、前記サブノズル出口の中心線距離が200~300mmである、
前記真空コーティングデバイス。
【請求項2】
前記サブノズル出口が、スリットタイプまたは多孔タイプのものであるように設定され、かつ、前記蒸気パイプラインと前記るつぼの頂部との間の接合部の面積(S
入口)に対する前記サブノズル出口の面積の合計(S
出口)の比が0.05~5である、請求項1に記載の真空コーティングデバイス。
【請求項3】
前記のスリットタイプのサブノズル出口が、直線状であるように、または、湾曲するように設定される、請求項
2に記載の真空コーティングデバイス。
【請求項4】
前記の多孔タイプのサブノズル出口が、長方形、円形または台形であるように設定される、請求項
2に記載の真空コーティングデバイス。
【請求項5】
前記サブノズルが、グラファイト、セラミックまたは金属材料製である、請求項
2に記載の真空コーティングデバイス。
【請求項6】
前記圧力安定化プレートが多孔構造のものであり、かつ、孔が長方形、円形、三角形、台形またはスリット状である、請求項1に記載の真空コーティングデバイス。
【請求項7】
前記蒸気パイプラインと前記るつぼの頂部との間の接合部の面積(S
入口)に対する前記圧力安定化プレートにおける孔の総面積(S
総孔面積)の比が、0.1より大きいか、または、0.1に等しく、すなわち、
S
総孔面積/S
入口≧0.1である、
請求項1に記載の真空コーティングデバイス。
【請求項8】
前記圧力安定化プレートにおける前記孔が、方向に関して
蒸気の上昇方向に沿って直線状であるか、湾曲しているか、または、多層構造のものである、請求項
7に記載の真空コーティングデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は真空コーティングの技術分野に関し、かつ、いっそう具体的には真空コーティングデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
背景
物理蒸着(PVD)とは、真空条件下でコーティングされる金属を加熱して、基材上に気体状の様式で金属を堆積させてコーティングを形成する加工技術のことをいう。物理蒸着は、加熱方法によって電気加熱(抵抗または誘導)および電子ビームPVD(EBPVD)に分類され得る。表面修飾およびコーティング加工として、電子工学、ガラス、プラスチック、および、その他の産業において、真空コーティングが広く用いられてきた。真空コーティング技術の主たる利点としては、環境保護、良好なコーティング性能およびコーティング材料の多様性が挙げられる。連続帯鋼に真空コーティング技術を適用するための鍵としては、連続的であり、領域が広く、高速であり、かつ、大規模のコーティング製造のようないくつかの態様が挙げられる。1980年代以来、世界の主要な鉄鋼会社は、この技術について多くの研究を実行してきた。溶融亜鉛メッキおよび電気亜鉛メッキ技術の成熟とともに、この技術は、これまでにない注目を集めてきており、かつ、革新的な表面コーティング加工であると考えられている。
【0003】
真空コーティング加工において鍵となる問題は、どのようにノズルの配置構成を通して一貫した厚さを有する均一なコーティングを得るかである。現在、外国の公開された情報は主として、次の態様を含む。
【0004】
1)蒸発るつぼ、および、流れ分配ノズルの一体構造
出願BE1009321A6およびBE1009317A61は各々、
図1および
図2に示されているようなるつぼノズル構造を開示している。
図1の構造では、るつぼ1の上部に上蓋2が配置され、上蓋2と炉壁との間に、蒸発した金属の直接噴霧のためのノズル構造が形成されるようになっている。
図2の構造では、蒸発るつぼにフィルタープレート3が追加的に配置され、かつ、そのときには頂部におけるスリットノズルから金属蒸気が噴霧される。2つのデバイスのノズル設計工程では、一方はドラバルノズルを採用し、かつ、他方は先細ノズルを採用する。ノズルの配向に関しては、一方は横方向噴霧を採用し、かつ、他方は鉛直方向噴霧を採用する。
【0005】
出願JPS59177370AおよびUS4552092Aもまた、関連する蒸発るつぼおよびノズル構造を開示している。
図3は、溶融金属の自動補充を伴うるつぼノズル構造を示している。ノズル4がいっそう幅の広い出口を用い、かつ、るつぼの上部には、るつぼを加熱するためのヒーター5もまた配置される。
図4に示されているるつぼノズル構造では、該構造は一方の側でアーク6によって広げられ、横方向噴霧を実現し;かつ、るつぼ壁の外側には、壁面を加熱するための加熱チューブ7もまた配置される。
【0006】
2)蒸発るつぼ、および、流れ分配ノズルの分割構造
出願WO2018/020311A1は、分割るつぼノズル構造を開示している。
図5に示されているように、該デバイスでは、るつぼの底が溶融金属供給タンク8に接続され、かつ、供給タンク8の上部が、分割パイプライン9を通して前端にて管状分配器および蒸気ノズルへと金属蒸気を搬送し;かつ、その後、ノズルが高速で金属板に金属蒸気を噴霧する。
【0007】
出願CN103249860Aは、分割流れ分配器およびノズル構造を開示している。
図6に示されているように、鉛直方向パイプラインを通して上部水平パイプライン10の中へと蒸気が送達される。水平パイプライン10は、頂部に多孔ノズルを備え、金属板の表面上に金属蒸気を均一に噴霧する。
【0008】
出願CN101175866Aは、金属蒸気流れ分配器およびノズル形態を開示している。
図7に示されているようなノズルの断面形状については、流れ分配器パイプライン11の外側にワイヤーが巻かれてパイプラインを加熱し;かつ、ノズルは正方形シェルを有する。
図8に示されているように、別の材料製のリング状パイプラインが、正方形シェル12の内部に入れ子になり、かつ、金属蒸気を噴霧するために用いられる。ノズルによって用いられる蒸気出口は、多孔である。
【0009】
上記出願はすべて、ノズルの特定の形態に関する。しかしながら、これらのノズルがすべて、十分に均一なコーティングを達成し得るわけではない。例えば、
図6および
図7に示されているように、ノズルの小さい孔が離間した丸孔であるので、高圧ガスが小さい孔に沿って噴霧された後には、放射状の丸いスポットが形成される。鋼板の移動工程では、丸いスポットが互いに重複していなければ、長い帯状のコーティングを形成することは非常に容易である。他方、丸いスポットが互いに近過ぎると、丸いスポットの重複部分が容易にいっそう厚いコーティングを形成する一方で、非重複部分がいっそう薄いコーティングを形成し、このことは鋼板の平らでないコーティングをもたらす。
【0010】
さらに、これらの出願は、帯鋼への素早く、かつ、効率のよい真空コーティングのための方法を提供しない。現場の帯鋼製造ラインのマッチングの観点からは、高送達速度の場合、一度に真空コーティングの亜鉛メッキ流量の要求を満たすためには、搬送パイプの直径および蒸発器の容量を連続的に増大させる必要があり、かつ、ノズルの開度が同時に増大する必要がある。しかしながら、開度の増大は、長手方向部分への均一なコーティングの形成に寄与しないので、回避される必要がある。
【発明の概要】
【0011】
概要
先行技術における上記の欠点を解決するため、本発明は、高温の蒸気が低温の鋼板に接触するときに鋼板の表面上に均一なコーティングが形成され得;かつ、後に続くサブノズルによって形成された噴霧流が形成された堆積金属層を連続的に覆い、真空条件下で鋼帯の効率のよいコーティングを達成するように、均一な噴霧流を形成し得る真空コーティングデバイスを提供することを目的とする。
【0012】
前記の目的を達成するために、本発明は以下の技術的解決策を提供する。
【0013】
本明細書では真空コーティングデバイスが提供され、かつ、当該真空コーティングデバイスは、使用時には鋼板より下に配置され、かつ、るつぼを含み;るつぼの外側には誘導ヒーターが配置され;るつぼの頂部は、蒸気パイプラインを通して流れ分配ボックスに接続され;蒸気パイプラインには圧力調整バルブおよびダイバーターバルブが配置され;ダイバーターバルブは、圧力調整バルブより流れ分配ボックスに近く;流れ分配ボックスには水平圧力安定化プレートが配置され;かつ、流れ分配ボックスの頂部は複数のサブノズルに接続され;
ダイバーターバルブには複数の気流分配チャンバーが配置され;かつ、半径方向における蒸気パイプラインの総断面積(Sパイプライン)に対する半径方向における気流分配チャンバーの総断面積(S分配)の比が0.1であり、すなわち:
S分配/Sパイプライン≧0.1である。
【0014】
Sパイプラインに対するS分配の比が0.1より小さければ、蒸気の噴霧流量が小さ過ぎてコーティングの厚さの要求を満たし得ない。Sパイプラインに対するS分配の比が1より大きければ、サブノズル出口における流速が減少するであろうし、コーティングと鋼板との間の接着力の低下をもたらす。したがって、好ましくはS分配/Sパイプラインは0.1~1である。
【0015】
サブノズルは等間隔で平行に配置され、かつ、サブノズルはサブノズル出口を備える。サブノズル出口間の距離と鋼板の移動速度は、以下の関係を満たす:
鋼板の移動速度が30~60m/分であるとき、サブノズル出口の中心線距離が50~100mmであり;
鋼板の移動速度が61~100m/分であるとき、サブノズル出口の中心線距離が100~150mmであり;
鋼板の移動速度が101~150m/分であるとき、サブノズル出口の中心線距離が150~200mmであり;かつ、
鋼板の移動速度が151~200m/分であるとき、サブノズル出口の中心線距離が200~300mmである。
【0016】
鋼板の移動速度が低いときには、短い噴霧距離が用いられる。蒸気がノズル出口から吐出された後に形成される噴霧コーンは鋼板のいっそう短い長さを覆うが、噴霧の厚さは未だに対応要求を満たし得る。しかしながら、鋼板の移動速度が増大するときには、サブノズルと鋼板との間の距離を調整することによって同じコーティング厚さが達成されてもよい。距離が増大するにつれて、噴霧コーンによって覆われる鋼板の長さは増大する。したがって、鋼板が噴霧コーンに入る開始時点から鋼板が噴霧コーンを後にする終了時点までの期間が増大し、後に続くサブノズルによって形成される噴霧層が先行して形成されたコーティングを連続的に覆い、かつ、重畳的なコーティング厚さが要求を満たし得る。
【0017】
サブノズル出口はスリットタイプまたは多孔タイプのものであるように設定され、かつ、蒸気パイプラインとるつぼの頂部との間の接合部の面積(S入口)(るつぼおよび蒸気パイプラインの接合部の面積(S入口)としても記載され得る)に対するサブノズル出口の面積の合計(S出口)の比は、0.05~5である。該比が0.05より小さければ、蒸気の噴霧流量が小さ過ぎ、コーティング厚さ要求を満たし得ない。該比が大き過ぎれば(例えば、該比が5より大きければ)、ノズル出口における蒸気の速度が極度に低くなるであろうし、コーティング接着の低下をもたらす。
【0018】
スリットタイプのサブノズル出口は、直線状であるか、または、湾曲している。
【0019】
多孔タイプのサブノズル出口は、長方形、円形もしくは台形であるように設定されるか、または、任意の多角形もしくは円形であるように設定される。
【0020】
サブノズルは、上記のように構造的に加工され得る耐高温性および耐摩耗性の材料製である。例えば、サブノズルは、グラファイト、セラミックまたは不活性金属製であり得る。
【0021】
圧力安定化プレートにおける孔は、長方形、円形もしくは三角形であるか、または、該孔は、形状が任意の多角形もしくは円のものであってもよい。圧力安定化プレートの孔は、方向に関して蒸気の上昇方向に沿って直線状であるか、湾曲しているか、または、多層構造のものである。圧力安定化プレートは特定の厚さを有するので、孔の方向とは、蒸気が圧力安定化プレートの厚さ方向を通過する経路のことをいう。すなわち、蒸気が圧力安定化プレートを通過するときには、蒸気の分配は、圧力安定化プレートにおける孔の位置分布を通して変化するであろうし;かつ、蒸気の上昇経路もまた、孔の方向を通して変化するであろう。多層構造とは、孔の方向によって蒸気が段階的に上昇するようにガイドされる構造のことをいい、例えば多数の折り線のグループによって形成される気流ステップである。該構造は、気流に対する圧力安定化プレートの抵抗を増大させるであろうが、蒸気をいっそう均一に分配させ得る。
【0022】
本願の技術的解決策では、圧力安定化プレートは、多孔タイプの中圧安定化プレートであってもよい。このタイプの圧力安定化プレートは、ハニカム様の不規則な孔を通して空気をフィルタリングし、かつ、気流分布は、製造ニーズにしたがって異なる多孔度を用いることによって変化し得、そのことによって、気流を均一にするという目的を達成する。
【0023】
蒸気パイプラインとるつぼの頂部との間の接合部の面積(S入口)に対する圧力安定化プレートにおける孔の総面積(S総孔面積)の比は、0.1より大きいか、または、0.1に等しく、すなわち、S総孔面積/S入口≧0.1である。サブノズル出口の圧力および速度は、面積の比によって調整されてもよい。該比が0.1より小さいときには、サブノズル出口を通過する空気の速度が低過ぎ、そのことによってコーティングの接着力が低下する。該比が10より大きければ、エネルギー消散が起こり、サブノズル出口における気流の速度の有意な増大の不能をもたらす。
【0024】
本発明によって提供される真空コーティングデバイスによれば、金属蒸気は、誘導るつぼによる加熱により金属を溶融させ、かつ、蒸発させることによって得られる。蒸気は、パイプラインを通って流れ分配ボックスに入る。ダイバーターバルブおよび圧力安定化プレートは、流れ分配ボックスに配置される。金属蒸気の流れ方向はダイバーターバルブの通過後に変わり、かつ、金属蒸気は2~5条の蒸気流へと分割される。これらの蒸気流はその後、対応するサブノズルの中へと分配される。内側サブノズルに近い流れ分配ボックスの位置には、多孔構造を有する圧力安定化プレートが提供される。サブノズルは、等間隔で平行に配置される。圧力安定化プレートを通過する蒸気は、種々のレベルにてサブノズルによって外へと噴霧されて、均一な噴霧流を形成する。高温の蒸気噴霧流が低温の鋼板に接触するとき、鋼板の表面上に均一なコーティングが形成される。続いて、鋼板の移動方向において後ろに配置されたサブノズルから噴霧された噴霧流が、鋼板上に新たな金属層を形成する。新たな金属コーティング層は、前部に配置されたサブノズルによって噴霧された堆積金属層を連続的に覆い、そうして鋼帯が、先行技術では多数の堆積操作を必要とするコーティング厚さを、同一方向の一回の稼働を実行することによって実現することができ、このことは、先行技術における多数のコーティング操作に起因するコーティング界面間の接着不良の問題を回避させる。本開示のデバイスは、投資金が低く、操作が容易であり、かつ、将来的に真空コーティング技術とともに完全なセットで輸出されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】
図1は、出願BE1009321A6の概略図である。
【
図2】
図2は、出願BE1009317A61の概略図である。
【
図3】
図3は、出願JPS59177370Aの概略図である。
【
図4】
図4は、出願US4552092Aの概略図である。
【
図5】
図5は、出願WO2018/020311A1の概略図である。
【
図6】
図6は、出願CN103249860Aの概略図である。
【
図7】
図7は、出願CN101175866Aの概略図である。
【
図9】
図9は、本発明の真空コーティングデバイスの概略的な構造図である。
【
図10】
図10は、
図9の真空コーティングデバイスにおけるダイバーターバルブの内部の概略図であり、(a)は3段のダイバーターバルブであり、(b)は4段のダイバーターバルブであり、かつ、(c)は2段のダイバーターバルブである。
【
図11】
図11は、
図10のダイバーターバルブにおけるS
分配およびS
パイプラインの概略図である。
【
図12】
図12は、本発明の真空コーティングデバイスにおけるS
総孔面積、S
入口およびS
出口の位置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
詳細な説明
本発明の技術的解決策は、添付の図面および実施形態を参照して、以下でさらに説明される。
【0027】
図9~
図12を参照すると、本発明は、真空コーティングデバイスを提供する。当該真空コーティングデバイスは、使用時には鋼板100より下に配置される。当該真空コーティングデバイスは、るつぼ13を含む。るつぼ13は、溶融金属14を含有する。るつぼ13の外側には、誘導ヒーター15が配置される。るつぼ13の頂部は、蒸気パイプライン16を通して流れ分配ボックス17に接続される。蒸気パイプライン16が流れ分配ボックス17と連通する方向に、圧力調整バルブ18およびダイバーターバルブ19が順番に配置される。流れ分配ボックス17には、水平圧力安定化プレート20が配置される。流れ分配ボックス17の頂部は、複数のサブノズル21に接続される。
【0028】
好ましくは、ダイバーターバルブ19は、円、三角形、台形および長方形のような種々の形状であってもよい。ダイバーターバルブ19の主たる機能は、蒸気パイプライン16を通過する蒸気を、各サブノズルに対応する流れ分配ボックスへと均一に分配することである。ダイバーターバルブ19には、複数の気流分配チャンバー1901が配置される。半径方向における蒸気パイプライン16の断面積(Sパイプライン)に対する半径方向における気流分配チャンバー1901の総断面積(S分配)の比は、0.1より大きいか、または、0.1に等しく、すなわち:S分配/Sパイプライン≧0.1である。好ましくは、S分配/Sパイプラインは0.1~1である。
【0029】
好ましくは、2段のサブノズル21が用いられるとき、
図10(c)に示されているダイバーターバルブ19が採用され得;3段のサブノズル21が用いられるとき、
図10(a)に示されているダイバーターバルブ19が採用され得;かつ、4段のサブノズル21が用いられるとき、
図10(b)に示されているダイバーターバルブ19が採用され得る。本願では、n段のサブノズルとは、働いているノズルの数のことをいう。例えば、2段のサブノズルは働いている2つのサブノズルが存在することを意味し、3段のサブノズルは働いている3つのサブノズルが存在することを意味し、同様に続く。一方、nは分配チャンバー1901の数に等しい。概して、nは2~5の整数である。
【0030】
好ましくは、すべてのサブノズルは、鋼板の移動方向に沿って等間隔で直線状に配置され;サブノズルは、サブノズル出口を備え;かつ、サブノズル出口の中心線距離と鋼板100の移動速度との間の関係は、以下の通りである:
鋼板100の移動速度が30~60m/分であるとき、サブノズル出口の中心線距離が50~100mmであり;
鋼板100の移動速度が61~100m/分であるとき、サブノズル出口の中心線距離が100~150mmであり;
鋼板100の移動速度が101~150m/分であるとき、サブノズル出口の中心線距離が150~200mmであり;かつ、
鋼板100の移動速度が151~200m/分であるとき、サブノズル出口の中心線距離が200~300mmである。
【0031】
好ましくは、サブノズルは、働いている最中、500~500000Paの内圧を有する。
【0032】
好ましくは、サブノズル21は、グラファイト、セラミック、不活性金属、または、その他の機械加工可能な材料であってもよい。
【0033】
好ましくは、サブノズル出口はスリットタイプまたは多孔タイプのものであるように設定され、かつ、蒸気パイプライン16とるつぼ13の頂部との間の接合部の面積(S入口)に対するサブノズル出口の面積(S出口)の比は、0.05~5である。
【0034】
好ましくは、サブノズル出口はスリットタイプのサブノズル出口であり、かつ、スリットタイプのサブノズル出口は直線状であるか、または、湾曲するように設定される。
【0035】
好ましくは、圧力安定化プレート20は、任意の形状の多孔構造であるように設定される。圧力安定化プレート20における孔は、方向に関して直線状であるか、湾曲しているか、または、多層構造のものである。
【0036】
好ましくは、蒸気パイプライン16とるつぼ13の頂部との間の接合部の面積(S入口)に対する圧力安定化プレート20における孔の総面積(S総孔面積)の比は、0.1より大きいか、または、0.1に等しく、かつ、10より小さいか、または、10に等しく、すなわち、0.1≦S総孔面積/S入口≦10である。
【0037】
好ましくは、溶融金属14は、亜鉛、マグネシウム、アルミニウム、錫、ニッケル、銅、鉄、および、その他の金属を含有していてもよく、かつ、融点が低い(2000℃より低い)これらの元素の酸化物をさらに含有していてもよい。
【0038】
好ましくは、鋼板100は真空コーティング前にプラズマデバイスによってクリーニングされ、かつ、予熱温度は80~300℃に達する。
【0039】
本発明の真空コーティングデバイスの特定の作業工程は、以下の通りである。
1)るつぼ13において誘導ヒーター15によって金属ブロックが加熱され、かつ、溶融金属14へと溶かされ、かつ、溶融金属14は、いっそう高い程度の過熱および低圧にて蒸発して、次第に金属蒸気22を形成する。
【0040】
2)初めに、るつぼ13に接続された蒸気パイプライン16上の圧力調整バルブ18が閉じられ;溶融金属14が連続して蒸発するにつれて、るつぼ13の内部チャンバーの蒸気圧力が連続的に増大し;かつ、るつぼ13の内部チャンバーが特定の圧力(例えば、5000~500000Pa)に達したとき、圧力調整バルブ18が開かれて、可能な限り一定の圧力出力を保証する。
【0041】
3)一方、圧力調整バルブ18が開いたことに起因する減圧を補償するために、誘導ヒーター15の動力が増大し;かつ、るつぼ13の内部チャンバーの圧力を特定の範囲内に保つために、誘導ヒーター15の動力範囲が調整される。
【0042】
4)圧力調整バルブ18が開かれた後、金属蒸気22は蒸気パイプライン16に沿って流れ分配ボックス17に向かって流れ;ダイバーターバルブ19は、金属蒸気22を2~5条の蒸気流へと分割し;これらの条の気流はその後、対応する流れ分配ボックス17の中へと分配され;流れ分配ボックス17は、多孔構造を有する圧力安定化プレート20を内部に備え;かつ、サブノズル21は等間隔で平行に配置される。
【0043】
5)該条の蒸気流に対する圧力安定化プレート20の効果の下、分散した高速の流れの圧力が減少し、かつ、蒸気流は、圧力安定化プレート20における小さい孔に沿って均一に流出し、かつ、その後でサブノズル21の出口から均一に流出し;かつ、サブノズル21の出口は狭いので、金属蒸気22は、比較的高速にて出口から流出する。
【0044】
6)一方、移動する鋼板100が上に配置され;高温の金属蒸気22は、低温の鋼板100に接触したときに素早く固まって、金属コーティング23を形成する。いっそう厚いコーティングが一度に完成するように、すべてのサブノズルが鋼板の移動方向に沿って等間隔で配置される。
【実施例】
【0045】
鋼板100の表面は、蒸着を介して亜鉛メッキされた。鋼板100の幅は、1000mmであった。クリーニングされ、かつ、乾かされた後、鋼板100は、150℃まで加熱された。誘導ヒーター15は、鋼板を加熱して亜鉛を蒸発させ、かつ、動力を制御することによってるつぼ13における圧力が30000Paに達する前は、圧力調整バルブ18は閉じた状態であった。るつぼ13における気圧が30000Paに達した後、圧力調整バルブ18は開かれ、かつ、金属蒸気22は蒸気パイプライン16に入った。ダイバーターバルブ19は、円形2段の流れ分配を用い、S分配/Sパイプライン=0.4であった。圧力安定化プレート20は多孔構造のものであり、S総孔面積/S入口=4であった。サブノズル21の内部作動圧力は、10000Paであった。サブノズル21の材料は、グラファイトであった。サブノズル21の出口は直線状スリットの形状であり、S出口/S入口=1であった。
【0046】
当業者であれば、上記の実施形態は本発明を説明するために用いられただけであり、本発明を限定するために用いられたのではないことを理解すべきである。本発明の本質的精神範囲から逸脱することなく上記の実施形態に対してなされる変更および修正は、すべて本発明の請求の範囲内に属するべきである。