(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-21
(45)【発行日】2024-01-04
(54)【発明の名称】生体認証機能を備えた金属製カード
(51)【国際特許分類】
G06K 19/073 20060101AFI20231222BHJP
G06K 19/077 20060101ALI20231222BHJP
G06Q 20/34 20120101ALI20231222BHJP
B42D 25/20 20140101ALI20231222BHJP
【FI】
G06K19/073 054
G06K19/077 144
G06Q20/34
B42D25/20
(21)【出願番号】P 2022523900
(86)(22)【出願日】2020-10-22
(86)【国際出願番号】 US2020056814
(87)【国際公開番号】W WO2021081175
(87)【国際公開日】2021-04-29
【審査請求日】2022-07-06
(32)【優先日】2019-10-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516351810
【氏名又は名称】コンポセキュア,リミティド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【氏名又は名称】森本 有一
(74)【代理人】
【識別番号】100126848
【氏名又は名称】本田 昭雄
(72)【発明者】
【氏名】アダム ロウ
【審査官】後藤 彰
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2019/0073578(US,A1)
【文献】特開2016-115098(JP,A)
【文献】特表2017-525601(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0145972(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0188916(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06K 19/073
G06K 19/077
G06Q 20/34
B42D 25/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの金属層と、
生体認証センサと、
カードリーダとインターフェースを取るように構成された1つ又は複数の支払いインターフェース部品と、
金融取引の処理に従って前記カードリーダと情報を交換するように構成された保護要素と、
前記生体認証センサに接続され、前記生体認証センサによって検出された情報を保存された情報と比較し、前記検出された情報と前記保存された情報との一致が検出された場合にのみ前記金融取引の処理を可能にするように構成された少なくとも1つの論理部品と、
を備え
、
前記少なくとも1つの金属層及び/又は更なる層の一部が前記生体認証センサを覆う、金属製取引カード。
【請求項2】
1つ又は複数の前記生体認証センサ、前記1つ又は複数の支払いインターフェース部品、前記保護要素、
及び前記少なくとも1つの論理部品が、インレイ層上に配置されている、請求項1に記載の金属製取引カード。
【請求項3】
前記インレイ層の第1の面と前記金属層との間に配置された少なくとも1つの非金属層をさらに備える、請求項2に記載の金属製取引カード。
【請求項4】
前記インレイ層の第2の面上に組み立てられた少なくとも1つの他の層をさらに含む、請求項2又は3に記載の金属製取引カード。
【請求項5】
前記1つ又は複数の支払いインターフェース部品は、カードリーダとインターフェースを取るように構成され、前記カードの面からアクセス可能である一組の物理的接点を備える、請求項1に記載の金属製取引カード。
【請求項6】
前記1つ又は複数の支払いインターフェース部品は、カードリーダとの非接触通信用に構成された1つ又は複数のアンテナを備える、請求項1に記載の金属製取引カード。
【請求項7】
前記1つ又は複数のアンテナは、短距離無線相互接続によってカードリーダとの非接触通信を行うように構成されている、請求項
6に記載の金属製取引カード。
【請求項8】
前記1つ又は複数の支払いインターフェース部品は、カードリーダとインターフェースを取るように構成され、前記カードの面からアクセス可能である一組の物理的接点を含むデュアルインターフェースチップと、カードリーダとの非接触通信を行うように構成された1つ又は複数のアンテナと、単一の統合支払いモジュール内に前記保護要素とを備える、請求項1に記載の金属製取引カード。
【請求項9】
前記少なくとも1つの論理部品は、前記一組の物理的接点に接続された保護要素をさらに備える、請求項5に記載の金属製取引カード。
【請求項10】
前記少なくとも1つの論理部品は、前記保護要素と、前記生体認証センサによって検出された情報を保存された情報と比較するように構成されたマイクロプロセッサと、前記保存された情報を保存するためのコンピュータメモリと、単一の統合された保護処理モジュール内のカードリーダとの非接触通信を行うために構成された1つ又は複数のアンテナを備える、請求項9に記載の金属製取引カード。
【請求項11】
前記金属層に少なくとも1つの開口部をさらに備える、請求項1~10のいずれか一項に記載の金属製取引カード。
【請求項12】
カードリーダとインターフェースを取るように構成された1つ又は複数の支払いインターフェース部品が、前記少なくとも1つの開口部を通してアクセス可能な接点を備える、請求項11に記載の金属製取引カード。
【請求項13】
前記生体認証センサは、前記少なくとも1つの開口部を通してアクセス可能である、請求項11又は12に記載の金属製取引カード。
【請求項14】
前記生体認証センサが指紋センサである、請求項1~13のいずれか一項に記載の金属製取引カード。
【請求項15】
前記生体認証センサは、撮像デバイスを備える、請求項1~14のいずれか一項に記載の金属製取引カード。
【請求項16】
前記生体認証センサは、生体認証ユーザ情報に対応する反射放射の変化を検出するように構成される、請求項1に記載の金属製取引カード。
【請求項17】
前記生体認証センサは、超音波指紋センサである、請求項16に記載の金属製取引カード。
【請求項18】
前記生体認証センサが前記カードの外面から肉眼で見えない、請求項16又は17に記載の金属製取引カード。
【請求項19】
前記カードの周囲に対する前記センサの横方向の位置を示すために、前記カードの外面上に前記生体認証センサと位置合わせされた目に見えるしるしをさらに備える、請求項18に記載の金属製取引カード。
【請求項20】
取引カードの製作方法であって、
(a)少なくとも1つの金属層を設ける工程と、
(b)生体認証センサ
を備えたインレイ層と、カードリーダとインターフェースを取るように構成された1つ又は複数の支払いインターフェース部品と、金融取引の処理に従って前記カードリーダと情報を交換するように構成された保護要素と、前記生体認証センサに接続され、前記生体認証センサによって検出された情報を保存された情報と比較し、前記検出された情報と前記保存された情報との一致が検出された場合にのみ前記金融取引の処理を可能にするように構成された少なくとも1つの論理部品と、を設ける工程
であって、前記生体認証センサが、前記少なくとも1つの金属層及び/又は更なる層の一部に覆われる、工程と、
(c)前記生体認証センサを備えた前記カードと、前記インレイ層と通信して前記金属層の表面上又は前記金属層よりも上の位置から発生する取引情報及び生体認証情報を取得するように構成された前記1つ又は複数の支払いインターフェース部品とを組立てる工程と、
を備える取引カードの製作方法。
【請求項21】
(d)少なくとも1つの非金属層を設ける工程と、
(e)少なくとも1つの他の層を設ける工程と、
(f)前記インレイ層の第1の面と前記少なくとも1つの金属層との間に前記少なくとも1つの非金属層を配置し、前記インレイ層の第2の面上に前記少なくとも1つの他の層を配置する工程と、
をさらに備える、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記金属層に1つ又は複数の開口部を形成する工程をさらに備える、請求項20又は21に記載の方法。
【請求項23】
前記1つ又は複数の支払いインターフェース部品は、カードリーダとインターフェースを取り、且つ完成したカードの面からアクセス可能であるように構成される一組の物理的接点を備え、前記一組の物理的接点と整列するように前記金属層に
前記少なくとも1つの開口部を形成する工程を備える、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記少なくとも1つの金属層の下面と接する少なくとも1つの非導電性接着層を備え、前記非導電性接着
層が、前記金属層の開口部と、完成したカード内の前記一組の物理的接点は前記1つ又は複数の支払いインターフェース部品との間の周辺ギャップを充填し、前記非導電性接着層は、前記1つ又は複数の支払いインターフェース部品を電気的、磁気的、若しくは電気的かつ磁気的に前記金属層から遮蔽可能に動作する、
請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記生体認証センサと位置合わせされた
前記少なくとも1つの開口部を前記金属層に形成する工程を備える、請求項22に記載の方法。
【請求項26】
前記少なくとも1つの金属層の下面と接する少なくとも1つの非導電性接着層を備え、前記非導電性接着
層が、前記金属層の開口部と、完成したカード内の前記生体認証センサとの間の周辺ギャップを充填し、前記非導電性接着
層は、前記生体認証センサを電気的、磁気的、若しくは電気的かつ磁気的に前記金属層から遮蔽可能である、
請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記生体認証センサと位置合わせされた
前記少なくとも1つの開口部を前記金属層に形成する工程を備える、請求項23に記載の方法。
【請求項28】
前記少なくとも1つの金属層の下面と接する少なくとも1つの非導電性接着層を備え、前記非導電性接着
層が、前記金属層の第1の開口部と前記一組の物理的接点を含む第1の周辺ギャップを充填し、前記金属層の第2の開口部と完成したカード内の前記生体認証センサとの間の第2の周辺ギャップを充填して、前記非導電性接着
層は、前記少なくとも1つ又は複数の支払いインターフェース部品と前記生体認証センサを電気的、磁気的、若しくは電気的かつ磁気的に前記金属層から遮蔽可能である、
請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記取引カードの組み立て工程が、ホットラミネーション工程を備える、請求項20~28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記取引カードの組み立て工程がコールドラミネーション工程を備える、請求項20~29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
取引カードの製作方法であって、
(a)少なくとも1つの金属層を準備する工程と、
(b)前記金属層に複数の開口部を形成し、前記金属層にそれぞれの開口部を接続する複数の溝を形成する工程と、
(c)複数の電子部品のそれぞれを、前記複数の開口部のそれぞれの開口部に挿入する工程であって、前記複数の電子部品は、
前記金属層の表面上又は前記金属層よりも上の位置から発生する生体認証情報を取得するように構成された生体認証センサと、
カードリーダとインターフェースを取るように構成され、前記金属層の表面上又は前記金属層よりも上の位置から発生する取引情報を取得するように構成された1つ又は複数の支払いインターフェース部品と、
金融取引の処理に従って前記カードリーダと情報を交換するように構成された保護要素と、
前記生体認証センサと通信し、前記生体認証センサによって検出された情報を保存された情報と比較し、検出された情報と保存された情報との間での一致が検出された時にのみ金融取引の処理を可能にするように構成された少なくとも1つの論理部品と、
を備える、前記挿入する工程
であって、前記生体認証センサが、前記少なくとも1つの金属層及び/又は更なる層の一部に覆われる、工程と、
(d)前記電子部品の予め決められた入力と出力の間に、前記複数の溝内に設けられた金属トレースを備える電気的接続を形成する工程と、
を備える取引カードの製作方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
この出願は、2019年10月25日に出願された「生体認証機能を備えた金属製カード」と題する米国仮出願第62/925926号明細書の優先権を主張し、あらゆる目的のためにその全体の内容を参照により本明細書に援用される。
【背景技術】
【0002】
指紋検出デバイスなどの生体認証センサは、携帯電話や取引カードなどの支払いデバイスに関連するものを含め、セキュリティの分野で広く普及しつつある。例えば、生体認証センサを備えた標準的なプラスチック製のクレジットカードは、特許文献1及び特許文献2を含むがこれらに限定されない多くの特許出願で文書化されており、これらは両方ともその全体の内容を参照により本明細書に援用される。消費者は、金属、セラミック、又はそれらの組み合わせで作られたプレミアム取引カードを使用することにますます関心を持っているが、これらには生体認証機能を提供するための更なる考慮が必要となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】米国特許出願公開第2009/0145972明細書
【文献】米国特許出願公開第2018/0357457号明細書
【文献】米国特許第9290366号明細書
【文献】国際公開第2018/022755号パンフレット
【文献】米国特許出願公開第2019/0073578号明細書
【文献】米国特許第10406734号明細書
【文献】米国特許出願公開第2015/0339564号明細書
【文献】米国特許出願公開第2017/0316300号明細書
【文献】米国特許出願公開第2018/0207903号明細書
【文献】国際出願PCT/US2019/050592号明細書
【文献】米国特許出願公開第2019/0236434号明細書
【文献】米国特許出願公開第2019/0197384号明細書
【非特許文献】
【0004】
【文献】Alexander KoppelhuberとOliver Bimberら「発光集光器と光学ソレルコリメータを使用した薄膜カメラ」Opt. Express25、18526-18536(2017)
【文献】Steiner,G.「表面プラズモン共鳴イメージング」、Analytical及びBioanalytical Chemistry、(2004)379:328
【発明の概要】
【0005】
本発明の一態様は、金属製取引カードを備えるものである。前記金属製取引カードは、少なくとも1つの金属層と、生体認証センサ及び、カードリーダとインターフェースを取るように構成される1つ又は複数の支払いインターフェース部品を備えるインレイ(inlay)層と、金融取引の処理に従って前記カードリーダと情報を交換するように構成された保護要素と、前記生体認証センサに接続される少なくとも1つの論理部品と、を備える。前記論理部品は、前記生体認証センサによって検出された情報を保存された情報と比較し、前記検出された情報と前記保存された情報との一致が検出された場合にのみ前記金融取引の処理を可能にするように構成される。前記カードはさらに、前記インレイ層の第1の面と前記金属層との間に配置される前記少なくとも1つの非金属層、及び/又は前記インレイ層の第2の面上に組み立てられた少なくとも1つの他の層を備える。前記1つ又は複数の支払いインターフェース部品は、カードリーダとインターフェースを取り、カードの面からアクセス可能であるように構成される一組の物理的接点を備えるものであってもよい。前記1つ又は複数の支払いインターフェース部品は、ブルートゥース(登録商標)又はNFC技術を使用するなどによる短距離無線相互接続などを介して、カードリーダとの非接触通信用に構成された1つ又は複数のアンテナを備えるものであってもよい。
【0006】
前記1つ又は複数の支払いインターフェース部品は、カードリーダとインターフェースを取るように構成され、前記カードの面からアクセス可能である一組の物理的接点を含むデュアルインターフェースチップと、カードリーダとの非接触通信を行うように構成された1つ又は複数のアンテナと、単一の統合支払いモジュール内の保護要素とを備えるものであってもよい。前記論理部品は、前記一組の物理的接点に接続された保護要素をさらに備えるものであってもよい。前記論理部品は、前記保護要素と、前記生体認証センサによって検出された情報を保存された情報と比較するように構成されたマイクロプロセッサと、前記保存された情報を保存するためのコンピュータメモリと、単一の統合された保護処理モジュール内のカードリーダとの非接触通信を行うために構成された1つ又は複数のアンテナを備えるものであってもよい。
【0007】
前記取引カードは、前記金属層に少なくとも1つの開口部をさらに備えるものであってもよく、この場合、カードリーダとインターフェースを取るように構成された前記1つ又は複数の支払いインターフェース部品は、前記開口部を介してアクセス可能とする接点を備えるものであってもよく、及び/又は前記生体認証センサは、前記開口部を介してアクセス可能であってもよい。
【0008】
前記生体認証センサは、指紋センサ、撮像デバイス、及び/又は超音波指紋センサなどの生体認証ユーザ情報に対応する反射放射の変化を検出するように構成されるものであってもよい。いくつかの実施形態では、前記生体認証センサが前記カードの外面から肉眼で見えないものであってもよく、この場合、前記カードの外面上に目に見えるしるしが、前記カードの周囲に対する前記センサの横方向の位置を示すために、前記生体認証センサと位置合わせされていてもよい。
【0009】
本発明の別の態様は、本明細書に記載の取引カードを製作する方法であり、この方法は、金属層を設ける工程と、インレイ層を設ける工程と、前記生体認証センサと、前記インレイと通信して前記金属層の表面上又は前記金属層よりも上の位置から発生する取引情報及び生体認証情報を取得するように構成された前記1つ又は複数の支払いインターフェース部品とを備える前記カードを組立てる工程とを備える。本発明の方法は、少なくとも1つの非金属層と、少なくとも1つの他の層を設ける工程と、前記非金属層を前記インレイ層の第1の面と前記金属層との間に配置する工程と、前記他の層を前記インレイ層の第2の面上に配置する工程を備えるものであってもよい。前記カードを組立てる工程は、ホットラミネーション工程若しくはコールドラミネーション工程を備えていてもよい。
【0010】
本発明の方法は、前記金属層に1つ又は複数の開口部を形成する工程をさらに備えるものであってもよい。前記1つ又は複数の支払いインターフェース部品が、カードリーダとインターフェースを取り、完成したカードの面からアクセス可能であるように構成される一組の物理的接点を備える実施形態において、前記金属層の少なくとも1つの開口部は、前記一組の物理的接点と整列するものであってもよい。そのような実施形態では、少なくとも1つの非導電性接着層が前記金属層の下面と接していてもよく、前記非導電性接着剤が、前記金属層の開口部と、完成したカード内の前記一組の物理的接点を含む前記少なくとも1つの支払いインターフェース部品との間の周辺ギャップを充填するものであってもよい。そして、前記非導電性接着層は、前記少なくとも1つの支払いインターフェース部品を電気的、磁気的、若しくは電気的かつ磁気的に前記金属層から隔離するように使用可能である。
【0011】
他の実施形態では、前記金属層の前記開口部は、前記生体認証センサと位置合わせされている。そのような実施形態では、非導電性接着層は、前記金属層の下面と接するものであってもよく、前記金属層の前記開口部と完成したカードの生体認証センサとの間の周辺ギャップを埋めるものであってもよく、非導電性接着剤は、前記生体認証センサを前記金属層から電気的、磁気的、若しくは電気的かつ磁気的に前記金属層から隔離するように使用可能である。
【0012】
前記生体認証センサ及び1つ又は複数の支払いインターフェース部品の両方についての、前記金属層の開口部を有する実施形態では、非導電性接着剤は、前記金属層の第1の開口部と1つ又は複数の支払いインターフェース部品の間の第1の周辺ギャップと、前記金属層の第2の開口部と、完成したカード内の前記生体認証センサとの間の第2の周辺ギャップを充填するものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、生体認証カードで使用するためのインレイを含む好ましいプリント回路基板(PCB)の一部を、完成したカードの前面に面したPCBの前面から見た図である。
【
図2A】
図2Aは、生体認証カードで使用するための好ましいインレイを、完成したカードの裏側に面することになる裏側から見た図である。
【
図2B】
図2Bは、
図2Aの好ましいインレイを、インレイを覆う第1の追加層と共に示した図である。
【
図3】
図3は、カードの前面から見える生体認証センサ窓を有する完成したカードを示した図である。
【
図4】
図4は、カードの上面層の下に配置された生体認証センサを有する完成したカードを、センサの位置を示すグラフィックインジケータと共に示した図である。
【
図5】
図5は、好ましいカード組立て状態を示した断面図である。
【
図6】
図6は、金属製カード本体のくぼみに埋め込まれたインレイを有する、別の好ましいカード組立て状態を示した断面図である。
【
図7】
図7は、別の好ましいカード組立て状態を示した断面図であり、好ましいプロセスによって作製されたカード内の支払いチップ部品と生体認証センサを取り囲む非導電性の充填を示している。
【
図8】
図8は、別の好ましいカード組立て状態を示した断面図であり、別の好ましいプロセスによって作製されたカード内の支払いチップ部品と生体認証センサを取り囲む非導電性の充填を示す。
【
図9】
図9は、別の好ましいカード組立て状態を示した断面図であり、金属製カード本体のくぼみに埋め込まれた1つのインレイが、全面寸法を有する別のインレイと接続している。
【
図10】
図10は、別の好ましいカード組立て状態を示した断面図であり、インレイを設けず、電子部品が金属本体の開口部に直接埋め込まれ、金属層の絶縁された溝に挿入された導電性トレースを介して互いに接続されている。
【
図11A】
図11Aは、好ましい組立てプロセスの様々な工程における別の好ましいカード組立て状態を示す断面図である。
【
図11B】
図11Bは、好ましい組立てプロセスの様々な工程における別の好ましいカード組立て状態を示す断面図である。
【
図11C】
図11Cは、好ましい組立てプロセスの様々な工程における別の好ましいカード組立て状態を示す断面図である。
【
図11D】
図11Dは、好ましい組立てプロセスの様々な工程における別の好ましいカード組立て状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1及び
図2Aに示されるように、取引カードで使用するための好ましい生体認証回路10は、生体認証センサ10、論理回路20、及び支払いインターフェース部品30を備える。論理回路は、基板40上に埋め込まれ、この基板は、アンテナ50と、様々な構成要素を接続する複数のトレース(trace)60をさらに含むものであってもよい。生体認証センサ10は、例えば、人間のユーザの任意の指の指紋を検出するように構成された指紋センサを備えるものであってもよい。好ましい指紋生体認証センサ及び関連技術は、温度、光学画像、静電容量、電気抵抗、圧力差、音響法、及び超音波センサに基づいて指紋の隆起及び谷を検出するためのセンサを含むがこれらに限定されない、当技術分野で周知のものである。生体認証センサは指紋センサに限定されず、カードのユーザに固有の生物学的なサインを検出するために知られている任意のタイプのセンサを使用するものであってもよい。非限定的な例として、生体認証システムは、ユーザの網膜又は顔の情報を取り込むためのカメラ又は他の撮像デバイスを含むものであってもよい。例えば、厚さが1mm未満の薄膜カメラは、非特許文献1に述べられており、その完全な開示は参照により本明細書に援用される。
【0015】
支払いインターフェース部品30は、カードリーダとの物理的相互作用のために構成された一組の接点、カードリーダとの誘導結合のためのチップ、物理的結合及び誘導結合の両方のために構成されたデュアルインターフェースチップ、又はこれら全て又は幾つかの組み合わせを含むものであってもよい。本明細書で使用される「カードリーダ」という用語は、カードから情報を読み取ることができる任意のデバイスを指し、これには、従来のPOS端末、モバイルデバイス、又は取引カードと接続する、モバイルデバイスへのインターフェース接続用に構成されたデバイスなどの、当技術分野で知られている任意のハードウェアが含まれていてもよい。非接触通信は、ブルートゥース(登録商標)技術を介するなどの短距離無線相互接続を含むがこれらに限定されない、当技術分野で知られている任意の無線通信技術によるものであってもよい。生体認証センサ及び支払いインターフェースチップは、生体認証センサによって感知された情報がカードの許可されたユーザに関連する対応情報と一致するかどうかを検出するように構成された論理回路20に接続され、そのような一致が検出された場合にのみ、カードリーダによる取引が行われる。回路に電力供給される電力は、カードリーダから、又はモジュール接点を介して、接触による取引中に誘導的に得るものであってもよい。カード内のバッテリ(図示せず)も、回路の電力要件のために設けられてもよく、さらに、カード内の能動アンテナを駆動するために使用されてもよい。アンテナ50は、カードリーダからの信号を増幅するための増幅アンテナであってもよい。
【0016】
一つの好ましい実施形態では、支払いインターフェース部品30は、カードリーダの対応する接点との物理的相互作用のために構成された「空白の」面板であってもよく、論理回路20は、(クレジットカードの処理に従って情報の交換を促すための)保護要素と、上述した照合回路を備えたマイクロコントローラユニットとの組み合わせであってもよい。前述の好ましい実施形態では、論理回路は、例えば、NXPセミコンダクターズ社(オランダ)から入手可能なSPM60チップなどの保護処理モジュールを含むものであってもよい。別の実施形態では、支払いインターフェース部品30は、安全な支払いモジュールとして機能するために必要な全ての回路構成及び接点、及び/又は結合するハードウェアを含むものであってもよく、論理回路20は、安全な支払いモジュールの操作を許可するための前提条件である「一致」を生体認証センサが検出しているかどうかを決定するための照合回路を備えたマイクロコントローラユニットのみを備えるものであってもよい。
【0017】
図5に示されるように、金属製カードは、例えば、外側層500及び580の一方又は両方などの、少なくとも1つの金属層を備えてもよい。場合によっては、金属層を覆うために、透明層などの追加の保護層が設けられてもよい。
図1及び
図2Aに示されるインレイは、中間層540として金属製カードに組み込まれるものであって、1つ又は複数の非金属層520、560がインレイ540と金属層500、580との間に配置されているものであってもよい。そのような非金属層は、インレイ内の部品を金属から電気的及び/又は磁気的に絶縁するために設けられるものであってもよい。例えば、金属製DIカードでは、層520はフェライト層であってもよく、アンテナ50は増幅アンテナであってもよく、ここでフェライトはアンテナを金属層から遮蔽して非接触取引を可能にする。別の実施形態では、層500は金属層であってもよく、層540はフェライト層であってもよく、層580はインレイであってもよく、層520及び560は接着層であってもよい。署名パネル及び磁気ストライプを含む層などの追加の層(図示せず)を層580の下に配置してもよい。チップと金属層の間、及び/又は生体認証センサと金属層の間など、フェライトに1つ又は複数の穴が開けられていてもよく、また金属層は、参照により本明細書に援用される特許文献3に示され、記載されているようなチップを絶縁及び支持するために、その中に1つ又は複数の非金属性の栓を有するものであってもよい。
【0018】
図6に示されるものなど、さらに他の実施形態では、
図1及び
図2Aに示されるようなインレイの要素は、カードの横方向寸法よりも小さい横方向寸法を有するインレイ640の中に集約してもよく、金属層600は、インレイを収容するように構成された開口部660を有するものであってもよい。インレイ640は、非導電性材料620によって開口部に封止されるものであってもよい。署名パネル(図示せず)及び/又は磁気ストライプ690を含む層680などの1つ又は複数の追加の層をカードの裏面に設けてもよい。金属製カード本体内に構成要素を包摂するための好ましい方法は、例えば、特許文献4、特許文献5及び特許文献6に記載されており、それらの内容を参照により本明細書に援用される。さらに別の実施形態では、
図9に示されるように、様々な要素は、カード寸法と同一の広がりを有する第1のインレイ960、及び金属層900のポケットに挿入され、包摂材920によって囲まれる第2のインレイ940など、複数のインレイに分散されるものであってもよい。
【0019】
金属層は、本明細書で前述した幾つかの例のように最外層であってもよく、又は他の実施形態では、金属層は内側の層であってもよい。例えば、
図5に示される構造において、層540は金属層であってもよく、層500及び580は、層520及び560の接着層を伴った非金属層であってもよい。追加の層が設けられたものであってもよい。インレイは、層500、580に含まれるものであってもよく、若しくは外側層500、580の1つと中間層との間に位置する層に含まれるものであってもよい。一例では、層520又は560は、
図5には示されていない接着層を伴った機能層であってもよい(ただし、隣接する機能層の各組の間に存在する)。
図6に示される構成などの他の実施形態では、金属層600は、中間層であって、層680及び金属層600の上にある他の層(図示せず)がカードの外面上に非金属層を備えていてもよい。
【0020】
本明細書で言及されるインレイの構造は、当該技術分野で知られている任意の方法によるものであってよい。幾つかの実施形態では、支払いインターフェース部品30、論理回路20及び/又は生体認証センサ10のうちの1つ又は複数は、カードの組み立て/ラミネーションの前にインレイにあらかじめ結合されるものであってもよい。他の実施形態では、複数の層の1つとしてインレイが埋め込まれた半製品カードは、外面からインレイの接点まで削られてなるものであってもよく、それによって、部品30、回路20、及び/又はセンサ10をインレイ内の適切な場所に埋め込むことを可能にする開口部をオーバーレイ層に作成してもよい。埋め込まれた部品は、ACFテープ、フレックスバンプ、はんだ付け及び同種の導電工程を通じて、インレイ内の対応する取り付け構造部に導電的に取り付けられてもよい。したがって、完成したカードを作成する方法は、ホットラミネーション工程又はコールドラミネーション工程を含むものであってもよい。好ましいコールドラミネーション工程では、支払いインターフェース部品30、論理回路20、及び/又は生体認証センサ10の全てを備えた完全なインレイが、カードの他の層に接着結合されて、完成カード又は半完成カードを形成する。そのような「コールド」ラミネーション工程は、室温で実施されるものであってよく、圧力の印加及び/又は層の組み立ての前に剥離層の除去が必要な接着剤の使用を含むものであってもよい。好ましいホットラミネーション工程では、支払いインターフェース部品30、論理回路20、及び/又は生体認証センサ10の全てを含まないインレイが、当該技術分野でよく知られているように、カードの少なくとも1つの層を溶かすために充分に高められた温度(例えば、典型的には150℃~200℃)において、カードの他の層に積層され、また、圧力の印加をさらに含むものであってもよい。
【0021】
カードは、木材、セラミック、皮革又は同種の、金属以外の外側層を有するものであってもよく、又は、陽極酸化アルミニウムなどの1つ又は複数の金属の層を備えるものであってもよく、特許文献7に記載されており、その内容が参照により本明細書に援用される、エッチング及び/又は充填されたパターンを伴っても伴わなくてもよい。さらに他の構造では、カード本体は、特許文献8に記載されており、その内容を参照により本明細書に援用されるように、単一のセラミック、又は金属上にセラミックコーティングを備えるものであってもよい。金属層は、特許文献9に記載されており、その内容を参照により本明細書に援用されるように、緑青化されていてもよい。金属層は、特許文献10に記載されており、その内容を参照により本明細書に援用されるように、金属がドープされたエポキシ層であってもよい。
【0022】
概して特許文献11の「D1容量性埋め込み金属製カード」に記載されており、その内容を参照により本明細書に援用されるように、カードの態様は、渦電流を最小限に抑え、及び/又は金属層の少なくとも1つをアンテナとして機能し得るようにすることによって支払いチップをカードリーダに結びつけることを許容する、不連続性を備えた1つ又は複数の金属層を設けるなどにより、カードの機能性を最大限にするための他の構造部を用いて構築されるものであってもよい。金属層の少なくとも一部がアンテナとして機能する他の構造は、概して特許文献12の「チップカード本体、チップカード及びチップカード本体の製造方法」に記載されており、その内容を参照により本明細書に援用される。そのようなカード構造は、アンテナ500に加えて、又はアンテナ500の代わりに提供されるものであってもよく、又はアンテナ500は、金属層自体の任意のアンテナ機能と結合するか、若しくは協調する、アンテナ構造の一部であってもよい。
【0023】
図5に関して説明されたものよりも少ない層又は多い層が設けられるものであってもよい。金属層の下側又は垂直壁と接触する非導電性接着層など、本明細書に記載及び図示されている層の間に1つ又は複数の接着層が介在するものであってもよい。一実施形態では、
図7に示されるように、金属層700の開口部12、32は、層720からの非導電性接着剤が、金属層内のそれぞれの開口部と支払い部品及び生体認証センサとの間の周辺ギャップを充填することを可能にするものであってもよく、それによって支払い部品及びセンサを、非導電性接着剤14、34を用いて金属開口部の縁部から絶縁する。
図3はまた、接着剤14、34のそれぞれの周辺ポケットを(誇張された形状で)示す。同様に、ブラインドポケット22は、MCU20を受け入れるために金属層700の下側に形成して、絶縁材料22が、短絡を防止するために、MCU上の金属部品(はんだビーズなど)と金属層の間のポケットを満たしていてもよい。UV硬化部品などの標準的な絶縁部品を使用することができる。金属層のポケットと開口部は、非導電性材料により被覆されてもよい。支払い部品30がDI機能を含む安全な支払いモジュールを備える実施形態では、モジュール全体に磁気遮蔽を施すために非導電性接着剤を用いてもよい。
【0024】
図7は、部品10及び30がインレイ740(層760は、1つ又は複数のバッキング層780をカードに接着するための追加の接着層を含むものであってもよい)に結合される、好ましいコールドラミネーション製造プロセスに対応する好ましい断面構造を示す。
図8は、少なくとも金属層800、接着層820、及びインレイ840が最初に別のものに組み立てられ、次に、センサ810及び支払いモジュール830とのそれぞれの接続を行うため、開口部832、812が、金属層800及び接着層820を貫通して削って形成され、インレイ840上の接点816、834に到達する、好ましいホットラミネーション製造プロセスに対応する好ましい構造を示す。非導電性の栓814、834は、遮蔽のために、そのように作成された開口部に配置されるものであってもよく、次いで、対応するセンサ810及び支払いモジュール830、又はセンサ810及び支払いモジュール830のそれぞれを収容するために、小さな開口部を伴いながら再び削られる栓は、削られた開口部内に挿入するためにそれらを取り囲む非導電性の栓を備えてもよい。したがって、結果として得られるカードは、接着層820の組成とは異なる組成を有する(又は組成が同じ又は類似していてもよい)センサ810及び支払いモジュール830のそれぞれを取り囲む非導電性周辺領域を含むものであってもよい。層860は、1つ又は複数のバッキング層880をカードに接着するための追加の接着層を備えるものであってもよい。少数の層又は多数の層を有する最終的なカードの実施形態は、本明細書で論じられるいずれの実施形態に提供されてもよい。追加の層は、例えば、本明細書に記載されるように、前述の特許文献3により詳細に記載され、その内容を参照により本明細書に援用される通り、周辺の絶縁体の栓34、14、834、812を隠すために、最上層の上側にマスキング層を含むものであってもよい。
【0025】
図10は、支払いモジュール1010、MCU1020、及び生体認証センサ1030を含む様々な電子部品が金属層1000内に直接挿入されている実施形態の断面構造を示している。例えば、非導電性材料1014、1024、1034で満たされた開口部は、それぞれ、ハウジング部品1010、1020、1030のために作成されるものであり、非導電性材料は、それぞれの部品を所定の位置に保持する接着剤を含んでもよい。1つ又は複数のチャネル又は溝1024を、支払いモジュール1010とMCU1020との間、及びMCUと生体認証センサ1030との間に形成してもよく、その中に電気トレース1022を形成して、各部品の関連部分を互いに接続してもよい。電気的接続は、導電性インクで印刷するなど、当該技術分野で知られている任意の手段によって作成されるものであってもよく、作成後に追加の非導電性充填物でさらに覆うものであってもよい。他の実施形態では、非金属、非導電性(例えば、プラスチック)層を金属層の下に形成して、カードの裏側を覆い、開放された溝を非導電性の充填物で満してもよい。当該技術分野でよく知られた、1つ又は複数の追加の機能的又は審美的な層が設けられていてもよい。
【0026】
カードを作成するための別の好ましいプロセスが、
図11A~
図11Dに示されている。このプロセスは、まず、無線周波数(RF)シールド層(例えば、フェライト)1100を接着剤1104で金属層1102に取り付けて(例えば、ホットラミネート又はコールドラミネートによって)、
図11Aに示すように、アセンブリ1108を作成する工程を有する。次に、
図11Bに示されるように、開口部1110、1112は、電子部品を受け入れるためにアセンブリ内で切削により形成される。次に、
図11Cに示されるように、インレイ1124は、接着層1122と整列される。接着層1122は、電子部品1130、1132(例えば、それぞれが支払いモジュール及び生体認証センサ)を受け入れるために、開口部1110、1112及びインレイ1124内の対応する接点1128、1129と整列する穴1126、1127を有していてもよい。インレイに対面する接着層上の第1の剥離層(図示せず)は、第2の接着層が除去される前に、接着剤及びインレイに取り付けられた接着剤から除去されるものであってもよい。電子部品は、第2の接着層の除去の前又は後に接点に取り付けられるものであってもよい。他の実施形態では、接着層は、電子部品に関連するしきい値温度未満の融点を有する溶融流動性層であってもよい。そして、
図11Dに示されるように、インレイ1124はアセンブリ1108に取り付けられ、層1122からの接着剤は、電子部品1130、1132とそれらに対応する開口部1110、1112の壁との間の隙間を埋める。電子部品1130、1132のみが示されているが、インレイ内の対応する接点にこの方法で取り付けられる部品の数は、より少ない場合やより多い場合があってもよい。フェライト層及び接着層は、インレイ1124内のMCUのための充分な絶縁として機能するものであってもよく、又はフェライト層を金属層に積層する前又は後に、ブラインドポケットを金属層に(
図7に示される構成などで)切削加工するものであってもよい。金属層に形成されたブラインドポケットの場合、ブラインドポケットはまた、最終積層工程中に層1122からの接着剤で満たされるものであってもよい。追加の層は、
図11Dに示される外面のいずれかに追加されるものであっても、若しくは図示されたいずれの層の間に介在させるものであってもよい。
【0027】
図2Bは、
図2Aに示されるインレイの前面上に配置された好ましい層200を示すものであり、層200には、センサ10、チップ20及び30のための開口部が設けられる。論理チップ20は、開口部を通して視認できるように示されているが、他の構造では、チップ20は隠れていてもよい。特に、チップ20は、
図3及び
図4の完成したカードに示されているように、カードの最上層に対して隠れていることが好ましい。
【0028】
図1、
図2A、
図2B、及び
図3に示された、電圧マップセンサー又は他のタイプのセンサの性質を持つ指紋センサが、カードの面(上面でも下面でもよい)から視認できるものである一方で、他の実施形態では、センサ10はカードの外側層から視認できないものであってもよい。例えば、
図4に示されるように、センサ400は、それが最上層から肉眼で見えないことを示すために破線で示され、代わりにグラフィックアイコン410が表示されて、識別のために指を置く場所をユーザに知らせる。センサ400は、例えば、超音波指紋検出器であってもよい。
図3及び
図4に示されるように、カードの上面は、カード番号、カード所有者名、有効期限、銀行又はその他のカード発行者名(例えば、シティ)、及びカードのブランド名(例えば、 Visa、Mastercard、American Expressなど)といった複数の他のしるしが設けられていてもよい。磁気ストライプ、印刷されたコード(QRやバーコードなど)、ホログラフィック要素やこれらと同等の追加のしるしがカードの前面又は背面に提供されるものであってもよい。
【0029】
金属層がカードの上面である実施形態では、金属層の中に、接点30及び/又は生体認証センサ10などのための、1つ又は複数の開口部を有するものであってもよい。しかし、非接触のみのカードでは、金属面上には、支払いチップ用の開口部を有しなくてもよい。ユーザ情報を示す反射放射線の検出に基づくセンサなど、金属を介して検出できる生体認証検出器を備えたカード(例えば、ユーザの指からの超音波の反射に基づく指紋検出器、又はカードの金属面の下から反射された光の特性の変化に基づく表面プラズモン共鳴(SPR)検出器)においては、上部の金属面には生体認証センサ用の開口部がない場合があってもよい。概して、センサ技術としてのSPRの使用は、非特許文献2に記載されており、その内容を参照により本明細書に援用される。
【0030】
図2B及び
図3に示される生体認証センサは、ベゼル13及びアクティブな生体認証(例えば、指紋)の走査領域15を含む。いくつかの実施形態では、インレイの一部(例えば、
図7の符号740)は、ベゼルなしで生体認証センサの使用をサポートできる導電性接着剤の接点又は領域を介するなどにより、金属製カード本体に接地されるものであってもよい。
【0031】
本発明は、特定の実施形態を参照して本明細書に例示及び説明されているが、本発明は、示されている詳細な記載に限定されることを意図するものではない。むしろ、本発明から逸脱することなく、特許請求の範囲の同等物の範囲及び範囲内で詳細に様々な修正を行うことができる。
【0032】
特に、特定の層を含む特定の構成で示されているが、示された実施形態のいずれも、任意の構成材料の追加の審美的又は機能的な層、及び電子部品、磁気ストライプを含む追加の機能的又は審美的な構成要素を含むものであってもよいことを理解されたい。バーコード、QRコード(登録商標)、又は他の種類の二次元コード、個人情報、カード番号、印刷された特徴、及びそれらの同等物は、当該技術分野でよく知られているように、限定されることはなく、任意の組み合わせが可能である。
なお、本発明の実施態様として、以下に示すものがある。
[態様1]
少なくとも1つの金属層と、
生体認証センサと、
カードリーダとインターフェースを取るように構成された1つ又は複数の支払いインターフェース部品と、
金融取引の処理に従って前記カードリーダと情報を交換するように構成された保護要素と、
前記生体認証センサに接続され、前記生体認証センサによって検出された情報を保存された情報と比較し、前記検出された情報と前記保存された情報との一致が検出された場合にのみ前記金融取引の処理を可能にするように構成された少なくとも1つの論理部品と、
を備えた金属製取引カード。
[態様2]
1つ又は複数の前記生体認証センサ、前記1つ又は複数の支払いインターフェース部品と、前記保護要素と、前記少なくとも1つの論理部品がインレイ層上に配置されている、態様1に記載の金属製取引カード。
[態様3]
前記インレイ層の第1の面と前記金属層との間に配置された少なくとも1つの非金属層をさらに備える、態様2に記載の金属製取引カード。
[態様4]
前記インレイ層の第2の面上に組み立てられた少なくとも1つの他の層をさらに含む、態様2又は3に記載の金属製取引カード。
[態様5]
前記1つ又は複数の支払いインターフェース部品は、カードリーダとインターフェースを取るように構成され、前記カードの面からアクセス可能である一組の物理的接点を備える、態様1に記載の金属製取引カード。
[態様6]
前記1つ又は複数の支払いインターフェース部品は、カードリーダとの非接触通信用に構成された1つ又は複数のアンテナを備える、態様1に記載の金属製取引カード。
[態様7]
前記1つ又は複数のアンテナは、短距離無線相互接続によってカードリーダとの非接触通信を行うように構成されている、態様1に記載の金属製取引カード。
[態様8]
前記1つ又は複数の支払いインターフェース部品は、カードリーダとインターフェースを取るように構成され、前記カードの面からアクセス可能である一組の物理的接点を含むデュアルインターフェースチップと、カードリーダとの非接触通信を行うように構成された1つ又は複数のアンテナと、単一の統合支払いモジュール内に前記保護要素とを備える、態様1に記載の金属製取引カード。
[態様9]
前記少なくとも1つの論理部品は、前記一組の物理的接点に接続された保護要素をさらに備える、態様5に記載の金属製取引カード。
[態様10]
前記少なくとも1つの論理部品は、前記保護要素と、前記生体認証センサによって検出された情報を保存された情報と比較するように構成されたマイクロプロセッサと、前記保存された情報を保存するためのコンピュータメモリと、単一の統合された保護処理モジュール内のカードリーダとの非接触通信を行うために構成された1つ又は複数のアンテナを備える、態様9に記載の金属製取引カード。
[態様11]
前記金属層に少なくとも1つの開口部をさらに備える、態様1~10のいずれかの態様に記載の金属製取引カード。
[態様12]
カードリーダとインターフェースを取るように構成された1つ又は複数の支払いインターフェース部品が、前記少なくとも1つの開口部を通してアクセス可能な接点を備える、態様11に記載の金属製取引カード。
[態様13]
前記生体認証センサは、前記少なくとも1つの開口部を通してアクセス可能である、態様11又は12に記載の金属製取引カード。
[態様14]
前記生体認証センサが指紋センサである、態様1~13のいずれかの態様に記載の金属製取引カード。
[態様15]
前記生体認証センサは、撮像デバイスを備える、態様1~14のいずれかの態様に記載の金属製取引カード。
[態様16]
前記生体認証センサは、生体認証ユーザ情報に対応する反射放射の変化を検出するように構成される、態様1に記載の金属製取引カード。
[態様17]
前記生体認証センサは、超音波指紋センサである、態様16に記載の金属製取引カード。
[態様18]
前記生体認証センサが前記カードの外面から肉眼で見えない、態様16又は17に記載の金属製取引カード。
[態様19]
前記カードの周囲に対する前記センサの横方向の位置を示すために、前記カードの外面上に前記生体認証センサと位置合わせされた目に見えるしるしをさらに備える、態様18に記載の金属製取引カード。
[態様20]
取引カードの製作方法であって、
(a)少なくとも1つの金属層を設ける工程と、
(b)生体認証センサ、及びカードリーダとインターフェースを取るように構成された1つ又は複数の支払いインターフェース部品とを備えたインレイ層と、金融取引の処理に従って前記カードリーダと情報を交換するように構成された保護要素と、前記生体認証センサに接続され、前記生体認証センサによって検出された情報を保存された情報と比較し、前記検出された情報と前記保存された情報との一致が検出された場合にのみ前記金融取引の処理を可能にするように構成された少なくとも1つの論理部品、を設ける工程と、
(c)前記生体認証センサを備えた前記カードと、前記インレイ層と通信して前記金属層の表面上又は前記金属層よりも上の位置から発生する取引情報及び生体認証情報を取得するように構成された前記1つ又は複数の支払いインターフェース部品とを組立てる工程と、
を備える取引カードの製作方法。
[態様21]
(d)少なくとも1つの非金属層を設ける工程と、
(e)少なくとも1つの他の層を設ける工程と、
(f)前記インレイ層の第1の面と前記少なくとも1つの金属層との間に前記少なくとも1つの非金属層を配置し、前記インレイ層の第2の面上に前記少なくとも1つの他の層を配置する工程と、
をさらに備える、態様20に記載の方法。
[態様22]
前記金属層に1つ又は複数の開口部を形成する工程をさらに備える、態様20又は21に記載の方法。
[態様23]
前記1つ又は複数の支払いインターフェース部品は、カードリーダとインターフェースを取り、且つ完成したカードの面からアクセス可能であるように構成される一組の物理的接点を備え、前記一組の物理的接点と整列するように前記金属層に少なくとも1つの開口部を形成する工程を備える、態様22に記載の方法。
[態様24]
前記少なくとも1つの金属層の下面と接する少なくとも1つの非導電性接着層を備え、前記非導電性接着剤が、前記金属層の開口部と、完成したカード内の前記一組の物理的接点は前記1つ又は複数の支払いインターフェース部品との間の周辺ギャップを充填し、前記非導電性接着層は、前記1つ又は複数の支払いインターフェース部品を電気的、磁気的、若しくは電気的かつ磁気的に前記金属層から遮蔽可能に動作する、
態様23に記載の方法。
[態様25]
前記生体認証センサと位置合わせされた少なくとも1つの開口部を前記金属層に形成する工程を備える、態様22に記載の方法。
[態様26]
前記少なくとも1つの金属層の下面と接する少なくとも1つの非導電性接着層を備え、前記非導電性接着剤が、前記金属層の開口部と、完成したカード内の前記生体認証センサとの間の周辺ギャップを充填し、前記非導電性接着剤は、前記生体認証センサを電気的、磁気的、若しくは電気的かつ磁気的に前記金属層から遮蔽可能である、
態様25に記載の方法。
[態様27]
前記生体認証センサと位置合わせされた少なくとも1つの開口部を前記金属層に形成する工程を備える、態様23に記載の方法。
[態様28]
前記少なくとも1つの金属層の下面と接する少なくとも1つの非導電性接着層を備え、前記非導電性接着剤が、前記金属層の第1の開口部と前記一組の物理的接点を含む第1の周辺ギャップを充填し、前記金属層の第2の開口部と完成したカード内の前記生体認証センサとの間の第2の周辺ギャップを充填して、前記非導電性接着剤は、前記少なくとも1つ又は複数の支払いインターフェース部品と前記生体認証センサを電気的、磁気的、若しくは電気的かつ磁気的に前記金属層から遮蔽可能である、
態様27に記載の方法。
[態様29]
前記取引カードの組み立て工程が、ホットラミネーション工程を備える、態様20~28のいずれかの態様に記載の方法。
[態様29]
前記取引カードの組み立て工程がコールドラミネーション工程を備える、態様20~29のいずれかの態様に記載の方法。
[態様30]
取引カードの製作方法であって、
(a)少なくとも1つの金属層を準備する工程と、
(b)前記金属層に複数の開口部を形成し、前記金属層にそれぞれの開口部を接続する複数の溝を形成する工程と、
(c)複数の電子部品のそれぞれを、前記複数の開口部のそれぞれの開口部に挿入する工程であって、前記複数の電子部品は、
前記金属層の表面上又は前記金属層よりも上の位置から発生する生体認証情報を取得するように構成された生体認証センサと、
カードリーダとインターフェースを取るように構成され、前記金属層の表面上又は前記金属層よりも上の位置から発生する取引情報を取得するように構成された1つ又は複数の支払いインターフェース部品と、
金融取引の処理に従って前記カードリーダと情報を交換するように構成された保護要素と、
前記生体認証センサと通信し、前記生体認証センサによって検出された情報を保存された情報と比較し、検出された情報と保存された情報との間での一致が検出された時にのみ金融取引の処理を可能にするように構成された少なくとも1つの論理部品と、
を備える、前記挿入する工程と、
(d)前記電子部品の予め決められた入力と出力の間に、前記複数の溝内に設けられた金属トレースを備える電気的接続を形成する工程と、
を備える取引カードの製作方法。