(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-21
(45)【発行日】2024-01-04
(54)【発明の名称】部品出庫システム
(51)【国際特許分類】
H05K 13/00 20060101AFI20231222BHJP
H05K 13/02 20060101ALN20231222BHJP
【FI】
H05K13/00 Z
H05K13/02 Z
(21)【出願番号】P 2022534615
(86)(22)【出願日】2020-07-10
(86)【国際出願番号】 JP2020027000
(87)【国際公開番号】W WO2022009412
(87)【国際公開日】2022-01-13
【審査請求日】2023-05-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】110000017
【氏名又は名称】弁理士法人アイテック国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】保坂 英希
【審査官】中田 誠二郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-19114(JP,A)
【文献】特開平9-2621(JP,A)
【文献】特開2012-36593(JP,A)
【文献】特開2018-70368(JP,A)
【文献】特開2019-91771(JP,A)
【文献】特表2001-505518(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/00-13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品保管庫に保管されている複数の部品の中から指定された部品を出庫する部品出庫システムであって、
部品毎に部品を識別する部品IDとセキュリティの有無とを含む部品情報を記憶する記憶装置と、
情報を入力する入力装置と、
出庫すべき部品の指定をユーザから受け付け、受け付けた指定部品にセキュリティがかかっているか否かを前記部品情報に基づいて判定し、前記指定部品にセキュリティがかかっていないと判定すると、前記指定部品を出庫し、前記指定部品にセキュリティがかかっていると判定すると、前記指定部品についての認証情報の入力をユーザに要求すると共に前記入力装置を介してユーザにより入力された認証情報に基づいて認証が成功した場合にのみ前記指定部品を出庫する制御装置と、
を備える部品出庫システム。
【請求項2】
請求項1に記載の部品出庫システムであって、
前記セキュリティがかかっている部品の部品情報には、ユーザを識別するユーザIDが含まれ、
前記制御装置は、前記ユーザIDの入力と共に出庫すべき部品の指定をユーザから受け付け、前記指定部品にセキュリティがかかっている場合に、ユーザにより入力された認証情報に基づいて認証の成否を判定し、前記認証が成功すると共にユーザから受け付けたユーザIDと前記指定部品の部品情報に含まれるユーザIDとが一致する場合にのみ前記指定部品を出庫する、
部品出庫システム。
【請求項3】
請求項1または2に記載の部品出庫システムであって、
前記部品保管庫に保管されている部品に関連する部品関連情報を表示する表示装置を備え、
前記部品情報には、前記部品が保管されている前記部品保管庫の保管場所が含まれ、
前記表示装置は、前記部品関連情報として、少なくともセキュリティがかかっている部品の保管場所の表示を規制する、
部品出庫システム。
【請求項4】
請求項1ないし3いずれか1項に記載の部品出庫システムであって、
装着されたフィーダから供給される部品を実装する実装機と通信可能に接続されると共に前記制御装置と通信可能に接続され、部品毎に部品を識別する部品IDと該部品のトレース情報とを含む部品情報が記憶された管理装置を備え、
前記管理装置は、前記実装機に前記フィーダが装着された場合に、装着された前記フィーダが搭載する部品の部品IDと前記実装機を識別する実装機IDとを前記実装機から取得し、取得した前記部品IDと前記実装機IDとに基づいて前記トレース情報を更新する、
部品出庫システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、部品出庫システムについて開示する。
【背景技術】
【0002】
従来、部品を収容可能な収容部と、開口した部品出入口と、収容部を外部と遮断可能に部品出入口を開閉する開閉体と、入出庫情報を設定する設定画面を表示する表示部と、を備える部品保管設備において、部品を収容部から出庫する場合に、作業者を認証する認証情報を入力するように指示するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
単一の収容部(部品保管庫)に収容された複数種の部品に通常部品(例えば、安価な部品)と特定部品(例えば、高価な部品)とが混在している場合において、全ての部品についてセキュリティがかけられると、スムーズな出庫が阻害されるおそれがある。
【0005】
本開示は、通常部品についてのスムーズな出庫を確保しつつ、特定部品が不正に持ち出されるのを防止することができる部品出庫システムを提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の部品出庫システムは、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
【0007】
本開示の部品出庫システムは、
部品保管庫に保管されている複数の部品の中から指定された部品を出庫する部品出庫システムであって、
部品毎に部品を識別する部品IDとセキュリティの有無とを含む部品情報を記憶する記憶装置と、
情報を入力する入力装置と、
出庫すべき部品の指定をユーザから受け付け、受け付けた指定部品にセキュリティがかかっているか否かを前記部品情報に基づいて判定し、前記指定部品にセキュリティがかかっていないと判定すると、前記指定部品を出庫し、前記指定部品にセキュリティがかかっていると判定すると、前記指定部品についての認証情報の入力をユーザに要求すると共に前記入力装置を介してユーザにより入力された認証情報に基づいて認証が成功した場合にのみ前記指定部品を出庫する制御装置と、
を備えることを要旨とする。
【0008】
この本開示の部品出庫システムは、部品毎に部品を識別する部品IDとセキュリティの有無とを含む部品情報を記憶する記憶装置と、制御装置と、を備える。制御装置は、出庫すべき部品の指定をユーザから受け付け、受け付けた指定部品にセキュリティがかかっているか否かを記憶装置に記憶された部品情報に基づいて判定する。制御装置は、指定部品にセキュリティがかかっていないと判定すると、指定部品を出庫する。一方、制御装置は、指定部品にセキュリティがかかっていると判定すると、指定部品についての認証情報の入力をユーザに要求し、ユーザにより入力された認証情報に基づいて認証が成功した場合にのみ指定部品を出庫する。これにより、単一の部品保管庫に通常部品と特定部品とが混在する場合において、特定部品についてのみセキュリティをかけることができる。この結果、通常部品についてのスムーズな出庫を確保しつつ、特定部品が不正に持ち出されるのを防止することができる部品出庫システムとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図4】リールトレース情報の一例を示す説明図である。
【
図5】出庫制御処理の一例を示すフローチャートである。
【
図9】リールトレース情報更新処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、本開示を実施するための形態について図面を参照しながら説明する。
【0011】
図1は、生産システムの概略構成図である。図示するように、生産システム10は、複数の部品実装機20とリールローダ35と複数のリール保管庫40と認証サーバ50と管理サーバ60とを備える。これらは、ネットワーク11を介して互いに通信可能に接続されている。
【0012】
各部品実装機20は、フィーダ30により供給された部品をピックアップ(吸着)して基板Sに実装するものである。部品実装機20は、フィーダが着脱可能なフィーダ台21と、基板Sの搬入と払い出しとを行なう基板搬送装置22と、部品を吸着可能なノズルを有するヘッド23と、ヘッド23を移動させるヘッド移動装置24と、を備える。さらに、部品実装機20は、実装機全体を制御する実装制御部25と、処理プログラムや各種データを記憶する記憶部26と、ネットワーク11を介して管理サーバ60と通信するための通信部27と、を備える。
【0013】
フィーダ30は、テープフィーダであり、部品を収容したテープが巻回されたリール31を備える。また、フィーダ30は、その他に、図示しないが、テープをリール31から引き出して部品供給位置まで送るためのテープ送り機構や、テープ送り機構を制御するフィーダ制御部、フィーダ30が装着された部品実装機20との通信を行なう通信部等を備える。リール31に巻回されたテープには、その長手方向に沿って所定間隔置きにキャビティが形成されている。各キャビティには、部品が収容されている。これらの部品は、テープの表面を覆うフィルムによって保護されている。テープに収容された部品は、部品供給位置の手前でフィルムが剥がされることで、部品供給位置にて露出した状態となり、ヘッド23のノズルにより吸着される。
【0014】
リールローダ35は、フィーダ30へのリール31のセットを自動で行なうものである。リールローダ35は、図示しないが、リール31に貼着されたバーコード等を読み取って当該リール31に関する情報(例えば、リールを識別するIDや部品種、部品残数など)を取得する読み取り部や、読み取った情報をネットワーク11を介して管理サーバ60に送信する通信部等を備える。
【0015】
複数のリール保管庫40は、多数のリール31を保管するものである。リール保管庫40は、入出庫口41と、リール31を収容可能なスロットを複数ずつ有する複数のカセット(図示せず)と、リール31を把持するチャックを有するグリッパテーブル(図示せず)と、グリッパテーブルを移動させるテーブル移動装置(図示せず)と、を備える。入出庫口41には、入出庫口41を開閉する図示しないシャッターが設置されている。テーブル移動装置は、クリッパテーブルを移動させることで、入出庫口41からグリッパテーブルに置かれたリール31をカセットの空きスロットに収容(入庫)したり、収容済みのスロットからリール31を取り出して入出庫口41に払い出(出庫)したりする。リール保管庫40には、上下に積み上げられた複数のカセットを複数列備えている。また、リール保管庫40には、複数のカセットとして、径や高さ(テープ幅)が異なる複数種のリール31を保管できるように、サイズの異なる複数種のカセットを備えている。
【0016】
また、リール保管庫40は、この他に、タッチパネル式のディスプレイとして構成される操作パネル42や認証コードを読み取るためのリーダ43(バーコードリーダ)と、入出庫の制御を行なう入出庫制御部45、各種情報を記憶する記憶部48、ネットワーク11を介した通信を行なう通信部47等を備える。記憶部48には、ユーザ(作業者)に関するユーザ情報(例えばユーザIDやパスワード)やリール31の保管に関するリール保管情報46aが含まれる。
図2は、記憶部に記憶されるリール保管情報の一例を示す説明図である。リール保管情報46aには、リール31を識別するリールIDと、リール31に収容されている部品の残数と、リール31の保管場所(リール31がどのリール保管庫40のどの列のどのカセット(スロット)に保管されているかの情報)と、が含まれる。
【0017】
認証サーバ50は、認証判定部51と、各種情報を記憶する記憶部52と、ネットワーク11を介した通信を行なう通信部53と、を備える。記憶部52には、リール31の認証に関するリール認証情報52aが含まれる。
図3は、記憶部に記憶されるリール認証情報の一例を示す説明図である。リール認証情報52aには、リールIDと、リール31にセキュリティがかかっているか否かのセキュリティの有無と、リール31にセキュリティがかかっている場合のセキュリティコードと、リール31の出庫が許可された被許可者のユーザIDと、が含まれる。認証判定部51は、リール保管庫40の入出庫制御部45から認証の要求があった場合に、リール認証情報52aに含まれる情報に基づいて適正な出庫者であるか否かの認証を行なう。
【0018】
管理サーバ60は、システム全体を管理するものであり、管理制御部61と、各種情報を記憶する記憶部62と、ネットワーク11を介した通信を行なう通信部63と、を備える。記憶部62には、リール31のリールトレース情報62aが含まれる。
図4は、記憶部に記憶されるリールトレース情報の一例を示す説明図である。リールトレース情報62aには、出庫済みのリール31を管理するための情報が含まれる。具体的には、リールトレース情報62aには、リールIDと、セキュリティの有無と、出庫者(ユーザID)、リールトレース情報が含まれる。管理制御部61は、部品を実装した実装済み基板を生産するための生産ジョブを作成し、作成した生産ジョブを各部品実装機20に送信すると共に部品実装機20から実装状況に関する情報を受信することで生産を管理すると共に、リール31のトレース情報を管理する。
【0019】
次に、こうして構成された生産システム10において段取り替えや部品切れ等により部品実装機20にフィーダ30(リール31)を補給する必要が生じた場合に、作業者がリール保管庫40から必要なリール31を出庫するための処理について説明する。
図5は、リール保管庫40の入出庫制御部45により実行される出庫制御処理の一例を示すフローチャートである。
【0020】
出庫制御処理が実行されると、入出庫制御部45は、まず、操作パネル42を介してユーザによるログイン要求操作がなされたか否かを判定する(ステップS100)。入出庫制御部45は、ログイン要求操作がなされていないと判定すると、ステップS100に戻る。一方、入出庫制御部45は、ログイン要求操作がなされたと判定すると、ユーザ(作業者)に対してユーザ情報(ユーザIDとパスワード)の入力を要求するユーザ情報入力画面を操作パネル42に表示し、これらの入力が完了するのを待つ(ステップS110)、そして、入出庫制御部45は、入力されたユーザ情報が適正なものであるか否かを判定する(ステップS120)。この判定は、本実施形態では、記憶部46に記憶されたユーザIDおよびパスワードのうちステップS110で入力されたユーザIDおよびパスワードと一致するものがあるか否かを判定することにより行なわれる。入出庫制御部45は、入力されたユーザ情報が適正でないと判定すると、ステップS110に戻る。この場合、入出庫制御部45は、操作パネル42にエラー表示を行なってもよい。
【0021】
一方、入出庫制御部45は、ユーザが適正であると判定すると、メニュー画面を表示する(ステップS130)。
図7は、メニュー画面の一例を示す説明図である。図示するように、メニュー画面100は、出庫すべきリール31(パーツ)を指定するリール指定画面を呼び出すためのパーツボタン101と、保管されているリール31の詳細情報を確認等するサービス画面を呼び出すためのサービスボタン102と、ログアウトするためのログアウトボタン103と、を有する。
【0022】
入出庫制御部45は、メニュー画面を表示すると、パーツボタン101が操作されたか否かを判定する(ステップS140)。入出庫制御部45は、パーツボタン101が操作されたと判定すると、リール指定画面を操作パネル42に表示する(ステップS150)。
図8は、リール指定画面の一例を示す説明図である。図示するように、リール指定画面110は、リール保管庫40に保管されているリール31に関する情報を所定数まで一覧表示する一覧表示部111と、出庫すべきリール31を指定するための指定ボタン112(上下ボタン)と、一つ前のメニュー画面に戻るための戻るボタン113と、指定したリール31の出庫を要求するチェックアウトボタン114と、を有する。一覧表示部111に表示される情報には、リール31の名称(リール名)と、リール31に収容された部品の残数と、リール31が複数のリール保管庫40のうちいずれの保管庫に保管されているかの情報(タワーNo.)と、が含まれる。そして、入出庫制御部45は、リール31が指定された後、チェックアウトボタン114が操作されたか否か、すなわちリール31の出庫が要求されたか否かを判定する(ステップS160)。入出庫制御部45は、リール31の出庫が要求されていないと判定すると、ステップS230に進む。一方、入出庫制御部45は、リール31の出庫が要求されたと判定すると、指定されたリール31(指定リール)にセキュリティがかかっているか否かを判定する(ステップS170)。この処理は、入出庫制御部45が認証サーバ50に対して指定リールに係るリールIDを送信してセキュリティの有無の判定を要求し、その判定結果を認証サーバ50から受信することにより行なわれる。認証サーバ50は、受信したリールIDとリールIDが一致するリール認証情報52aのセキュリティの有無を調べることにより指定リールにセキュリティがかかっているか否かを判定する。入出庫制御部45は、指定リールにセキュリティがかかっていないと判定すると、入出庫口41のシャッターを開放すると共に指定リールを入出庫口41に出庫する(ステップS220)。
【0023】
ステップS170において、入出庫制御部45は、指定リールにセキュリティがかかっていると判定すると、セキュリティコードの入力をユーザに要求するセキュリティコード要求画面を操作パネル42に表示し(ステップS180)、セキュリティコードが入力されるのを待つ(ステップS190)。セキュリティコードの入力は、本実施形態では、出庫が許可された被許可者(ユーザ)に対して予め配布されたセキュリティコード(例えばバーコード)を当該被許可者がリーダ43で読み取ることにより行われる。入出庫制御部45は、セキュリティコードが入力されたと判定すると、入力したセキュリティコードに基づくコード認証が成功か否か(ステップS200)、ステップS100~S120のログインの際に入力したユーザ情報(ユーザID)に基づくユーザ認証が成功か否か(ステップS210)、をそれぞれ判定する。コード認証は、入出庫制御部45が認証サーバ50に対して指定リールに係るリールIDとセキュリティコードとを送信してコード認証を要求し、その認証結果を認証サーバ50から受信することにより行なわれる。認証サーバ50は、入出庫制御部45から受信したリールIDとリールIDが一致するリール認証情報52aのセキュリティコードを読み出し、読み出したセキュリティコードと入出庫制御部45から受信したセキュリティコードとが一致するか否かによりコード認証の成否を判定する。また、ユーザ認証は、入出庫制御部45が認証サーバ50に対して指定リールに係るリールIDとユーザIDとを送信してユーザ認証を要求し、その認証結果を認証サーバ50から受信することにより行なわれる。認証サーバ50は、入出庫制御部45から受信したリールIDとリールIDが一致するリール認証情報52aのユーザIDを読み出し、読み出したユーザIDと入出庫制御部45から受信したユーザIDとが一致するか否かによりユーザ認証の成否を判定する。なお、コード認証とユーザ認証とは一緒に行なわれてもよいし別個に行なわれてもよい。入出庫制御部45は、コード認証とユーザ認証とがいずれも成功したと判定すると(ステップS200,S210がいずれも「YES」)、入出庫口41のシャッターを開放すると共に指定リールを入出庫口41に出庫する(ステップS220)。本実施形態では、入出庫制御部45はリール31を出庫した場合、そのリールID等のリール情報を管理サーバ60へ送信する。一方、入出庫制御部45は、コード認証とユーザ認証とのいずれかが失敗したと判定すると(ステップS200,S210がいずれかが「NO」)、指定リールを出庫することなく、ステップS180に戻る。この場合、入出庫制御部45は、操作パネル42にエラー表示を行なってもよい。
【0024】
本実施形態では、1つのリール保管庫40に安価なリール(通常リール)と高価なリール(特定リール)とが混在する場合において、特定リールについてのみセキュリティをかけることができる。これにより、通常リールについてのスムーズな出庫を確保しつつ、特定リールが不正に持ち出されるのを防止することができる。
【0025】
入出庫制御部45は、指定リールを出庫すると、ログアウト要求操作がなされたか否か(ログアウトボタン103が操作されたか否か)を判定する(ステップS230)。入出庫制御部45は、ログアウト要求操作がなされていないと判定すると、ステップS130のメニュー画面に戻り、ログアウト要求操作がなされたと判定すると、これで出庫制御処理を終了する。
【0026】
入出庫制御部45は、ステップ140において、パーツボタン101が操作されていないと判定すると、サービスボタン102が操作されたか否かを判定する(ステップS240)。入出庫制御部45は、サービスボタン102が操作されていないと判定すると、ステップS230に進む。一方、入出庫制御部45は、サービスボタン102が操作されたと判定すると、ステップS100~S120でログインしたユーザが管理者であるか否かを判定する(ステップS250)。この処理は、ログインの際に入力したユーザIDが管理者として予め定められて記憶部46に記憶された管理者IDと一致するか否かを判定することにより行なわれる。入出庫制御部45は、ユーザが管理者でないと判定すると、ステップS230に進み、ユーザが管理者であると判定すると、サービス画面を操作パネル42に表示する(ステップS260)。
図8は、サービス画面の一例を示す説明図である。図示するように、サービス画面120は、リール保管庫40に保管されているリール31に関する詳細情報を所定数まで一覧表示する一覧表示部121と、指定ボタン122(上下ボタン)と、戻るボタン123と、チェックアウトボタン124と、を有する。一覧表示部121に表示される詳細情報には、リール名と部品残数の他、リール31が複数のリール保管庫40のうちいずれの保管庫に保管されているかの情報(タワーNo.)と、リール31がリール保管庫40のいずれの列に保管されているかの情報(列No.)、リール31がいずれのカセットに保管されているかの情報(カセットNo.)と、が含まれる。入出庫制御部45は、チェックアウトボタン124が操作されたか否か、すなわちリール31の出庫が要求されたか否かを判定する(ステップS270)。入出庫制御部45は、リール31の出庫が要求されていないと判定すると、ステップS230に進む。一方、入出庫制御部45は、リール31の出庫が要求されたと判定すると、ステップS170に進む。
【0027】
このように、本実施形態では、リール31の保管場所の詳細を表示するサービス画面120は、管理者のみ閲覧が許可されるようになっている。したがって、例えばリール保管庫40の別の取り出し口からリール31を直接取り出すことができる場合において、管理者でない者がサービス画面120を閲覧し、サービス画面120から高価なリール(特定リール)の保管場所を調べて特定リールを不正に持ち出すことを効果的に防止することができる。
【0028】
次に、管理サーバ60により行なわれるリールトレース情報の管理について説明する。
図9は、リールトレース情報更新処理の一例を示すフローチャートである。リールトレース情報更新処理では、管理制御部61は、管理サーバ60の管理制御部61は、リール情報を受信したか否かを判定する(ステップS300)。本実施形態では、部品実装機20(実装制御部25)は、フィーダ30がフィーダ台21に装着された場合にフィーダ30と通信して当該フィーダ30からリール情報(リールID等)を受信し、受信したリール情報を部品実装機20を識別する実装機IDと共に管理サーバ60へ送信する。また、リールローダ35は、リール31をフィーダ30にセットした場合、そのリール31のリール情報をリールローダ35を識別するローダIDと共に管理サーバ60へ送信する。さらに、上述したように、リール保管庫40(入出庫制御部45)は、リール31を出庫した場合、そのリール31のリール情報のリール情報をリール保管庫40を識別する保管庫IDと共に管理サーバ60へ送信する。したがって、ステップS300の判定は、部品実装機20、リールローダ35およびリール保管庫40のいずれかからリール情報を受信したか否かを判定するものとなる。管理制御部61は、リール情報を受信していないと判定すると、これでリールトレース情報更新処理を終了する。一方、管理制御部61は、リール情報を受信していると判定すると、リール情報の送信元(ID)を判定し(ステップS310)、判定した送信元に基づいてリールトレース情報62a(トレース情報)を更新して(ステップS320)、リールトレース情報更新処理を終了する。これにより、出庫されたリール31が今どこにあるのかを容易に把握することができ、不正な持ち出し等を発見することが可能となる。
【0029】
ここで、実施形態の主要な要素と請求の範囲に記載した本開示の主要な要素との対応関係について説明する。即ち、実施形態のリール保管庫40が本開示の部品保管庫に相当し、リール保管庫40と認証サーバ50とを含むシステムが部品保管システムに相当し、記憶部46,52が記憶装置に相当し、操作パネル42とリーダ43とが入力装置に相当し、入出庫制御部45が制御装置に相当する。
【0030】
なお、本開示は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本開示の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
【0031】
例えば、上述した実施形態では、セキュリティがかかっているリール31の出庫が許可された被許可者を認証する手段として、セキュリティコードによるコード認証を採用するものとした。しかし、顔認証や指紋認証など他の如何なる認証手段を採用するものとしてもよい。
【0032】
上述した実施形態では、入出庫制御部45は、指定リールにセキュリティがかかっている場合に、コード認証およびユーザ認証のいずれもが成功した場合にのみ指定リールを出庫するものとした。しかし、入出庫制御部45は、ユーザ認証を省略し、コード認証が成功した場合に指定リールを出庫してもよい。
【0033】
上述した実施形態では、入出庫制御部45は、管理者のみがリール31の保管場所の詳細を閲覧できるようにサービス画面120の呼び出しを規制するものとした。しかし、入出庫制御部45は、リール保管庫40に保管されているリール31のうちセキュリティがかかっていないリール31については全ユーザが保管場所を閲覧できるようにし、セキュリティがかかっているリール31については管理者のみが保管場所を閲覧できるようにしてもよい。
【0034】
上述した実施形態では、部品出庫システムは、認証判定部51と、リールID毎にセキュリティの有無とセキュリティコードとを含むリール認証情報52aを記憶する記憶部52と、有し、リール保管庫40(入出庫制御部45)からの要求によりセキュリティの有無の判定やセキュリティがかかっているリールを出庫する場合の認証処理を行なう認証サーバ50を備えるものとした。しかし、認証サーバ50は、記憶部52にリール認証情報52aを記憶するが、セキュリティの有無の判定や認証処理は行なわないものとしてもよい。この場合、リール保管庫40(入出庫制御部45)が、指定リールに係るセキュリティの有無やセキュリティコードを認証サーバ50(記憶部52)から取得してセキュリティの有無の判定や認証処理を行なうものとすればよい。また、リール保管庫40がセキュリティの有無の判定や認証処理を行なう場合、リール保管庫40の記憶部46に、リール認証情報を記憶してもよい。この場合、認証サーバ50を省略することができる。なお、ユーザ認証についても同様に、認証サーバ50が行なうものに限られず、リール保管庫40が行なうものとしてもよい。
【0035】
以上説明したように、本開示の部品出庫システムは、部品保管庫に保管されている複数の部品の中から指定された部品を出庫する部品出庫システムであって、部品毎に部品を識別する部品IDとセキュリティの有無とを含む部品情報を記憶する記憶装置と、情報を入力する入力装置と、出庫すべき部品の指定をユーザから受け付け、受け付けた指定部品にセキュリティがかかっているか否かを前記部品情報に基づいて判定し、前記指定部品にセキュリティがかかっていないと判定すると、前記指定部品を出庫し、前記指定部品にセキュリティがかかっていると判定すると、前記指定部品についての認証情報の入力をユーザに要求すると共に前記入力装置を介してユーザにより入力された認証情報に基づいて認証が成功した場合にのみ前記指定部品を出庫する制御装置と、を備えることを要旨とする。
【0036】
この本開示の部品出庫システムは、部品毎に部品を識別する部品IDとセキュリティの有無とを含む部品情報を記憶する記憶装置と、制御装置と、を備える。制御装置は、出庫すべき部品の指定をユーザから受け付け、受け付けた指定部品にセキュリティがかかっているか否かを記憶装置に記憶された部品情報に基づいて判定する。制御装置は、指定部品にセキュリティがかかっていないと判定すると、指定部品を出庫する。一方、制御装置は、指定部品にセキュリティがかかっていると判定すると、指定部品についての認証情報の入力をユーザに要求し、ユーザにより入力された認証情報に基づいて認証が成功した場合にのみ指定部品を出庫する。これにより、単一の部品保管庫に通常部品と特定部品とが混在する場合において、特定部品についてのみセキュリティをかけることができる。この結果、通常部品についてのスムーズな出庫を確保しつつ、特定部品が不正に持ち出されるのを防止することができる部品出庫システムとすることができる。
【0037】
こうした本開示の部品出庫システムにおいて、前記セキュリティがかかっている部品の部品情報には、ユーザを識別するユーザIDが含まれ、前記制御装置は、前記ユーザIDの入力と共に出庫すべき部品の指定をユーザから受け付け、前記指定部品にセキュリティがかかっている場合に、ユーザにより入力された認証情報に基づいて認証の成否を判定し、前記認証が成功すると共にユーザから受け付けたユーザIDと前記指定部品の部品情報に含まれるユーザIDとが一致する場合にのみ前記指定部品を出庫するものとしてもよい。こうすれば、特定部品についてセキュリティを容易に強化することができる。
【0038】
また、本開示の部品出庫システムにおいて、前記部品保管庫に保管されている部品に関連する部品関連情報を表示する表示装置を備え、前記部品情報には、前記部品が保管されている前記部品保管庫の保管場所が含まれ、前記表示装置は、前記部品関連情報として、少なくともセキュリティがかかっている部品の保管場所の表示を規制するものとしてもよい。こうすれば、許可されていない者が部品の保管場所を閲覧し、部品を不正に持ち出すことを防止することができる。
【0039】
さらに、本開示の部品出庫システムにおいて、装着されたフィーダから供給される部品を実装する実装機と通信可能に接続されると共に前記制御装置と通信可能に接続され、部品毎に部品を識別する部品IDと該部品のトレース情報とを含む部品情報が記憶された管理装置を備え、前記管理装置は、前記実装機に前記フィーダが装着された場合に、装着された前記フィーダが搭載する部品の部品IDと前記実装機を識別する実装機IDとを前記実装機から取得し、取得した前記部品IDと前記実装機IDとに基づいて前記トレース情報を更新するものとしてもよい。こうすれば、出庫された部品が今どこにあるのかを容易に把握することができ、不正な持ち出し等を発見することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本開示は、部品出庫システムの製造産業などに利用可能である。
【符号の説明】
【0041】
10 生産システム、11 ネットワーク、20 部品実装機、21 フィーダ台、22 基板搬送装置、23 ヘッド、24 ヘッド移動装置、25 実装制御部、26 記憶部、27 通信部、30 フィーダ、31 リール、35 リールローダ、40 リール保管庫、41 入出庫口、42 操作パネル、43 リーダ、45 入出庫制御部、46 記憶部、46a リール保管情報、47 通信部、48 記憶部、50 認証サーバ、51 認証判定部、52 記憶部、52a リール認証情報、53 通信部、60 管理サーバ、61 管理制御部、62 記憶部、62a リールトレース情報、63 通信部、
100 メニュー画面、101 パーツボタン、102 サービスボタン、103 ログアウトボタン、110 リール指定画面、111 一覧表示部、112 指定ボタン、113 戻るボタン、114 チェックアウトボタン、120 サービス画面、121 一覧表示部、122 指定ボタン、123 戻るボタン、124 チェックアウトボタン、S 基板。