特許 7407944 喫煙製品またはＨＮＢ製品で使用するためのマウスピース用のフィルター材料および／またはフィラー材料、そのようなフィルター材料および／またはフィラー材料を含むマウスピースおよびシガレットフィルター、ならびにそのようなフィルター材料および／またはフィラー材料を製造するための方法

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】特許公報(B2)

(11)【特許番号】

(24)【登録日】2023-12-21

(45)【発行日】2024-01-04

(54)【発明の名称】喫煙製品またはＨＮＢ製品で使用するためのマウスピース用のフィルター材料および／またはフィラー材料、そのようなフィルター材料および／またはフィラー材料を含むマウスピースおよびシガレットフィルター、ならびにそのようなフィルター材料および／またはフィラー材料を製造するための方法

(51)【国際特許分類】

   A24D 3/02 20060101AFI20231222BHJP

   D01F 2/28 20060101ALI20231222BHJP

   A24D 3/17 20200101ALI20231222BHJP

【ＦＩ】

A24D3/02

D01F2/28 A

D01F2/28 Z

A24D3/17

【請求項の数】 18

(21)【出願番号】P 2022538457

(86)(22)【出願日】2020-11-18

(65)【公表番号】

(43)【公表日】2023-03-20

(86)【国際出願番号】 EP2020082495

(87)【国際公開番号】W WO2021121839

(87)【国際公開日】2021-06-24

【審査請求日】2022-06-20

(31)【優先権主張番号】102019135114.6

(32)【優先日】2019-12-19

(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE

(73)【特許権者】

【識別番号】522247437

【氏名又は名称】セルディア インターナショナル ゲーエムベーハー

(74)【代理人】

【識別番号】110001519

【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所

(72)【発明者】

【氏名】マン、ディーター

(72)【発明者】

【氏名】モーザー、マルティン

(72)【発明者】

【氏名】シャフナー、ウーヴェ

(72)【発明者】

【氏名】シュッツ、エッカルト

【審査官】河内 誠

(56)【参考文献】

【文献】特開平７－１７０９６２（ＪＰ，Ａ）

【文献】特開昭５１－３３３５８（ＪＰ，Ａ）

【文献】国際公開第２０１５／１３６５７３（ＷＯ，Ａ１）

【文献】特開昭６３－２６４１２３（ＪＰ，Ａ）

【文献】特開昭６１－２８２４１５（ＪＰ，Ａ）

(58)【調査した分野】(Int.Cl.，ＤＢ名)

Ａ２４Ｄ １／００～３／１８

Ａ２４Ｆ ４０／００～４７／００

Ｄ０１Ｆ ２／２８

(57)【特許請求の範囲】

【請求項1】

アセチル値が少なくとも５３％であるセルロースアセテートのアセトン溶液が、複数の開口部を有する紡糸口金を通して押し出され、続いてセルロースアセテートフィラメントが、セルロースアセテートステープルファイバーに切断され、そのようにして得られた多数のセルロースアセテートフィラメントおよび／またはセルロースアセテートステープルファイバーが、集められて、捲縮したフィルタートウが形成され、
セルロースアセテートの溶液が押し出される前記紡糸口金が、中空セルロースアセテートフィラメントが紡糸されるように設計されている、
喫煙製品またはＨＮＢ製品で使用するためのマウスピース用のセルロースアセテートフィラメントおよび／またはセルロースアセテートステープルファイバーからなるフィルター材料および／またはフィラー材料を製造するための方法であって、
前記フィルター材料および／またはフィラー材料の繊維に直交する断面に対して、前記フィルター材料および／またはフィラー材料の中空部分が、２５％～９０％、好ましくは５０％～８０％に及び、
前記セルロースアセテートフィラメントのフィラメント直径が、６０～１００μｍの範囲内である、
方法。

【請求項2】

前記セルロースアセテートフィラメントの捲縮指数が、１０％～６０％、特に２０％～５０％である、請求項１に記載の方法。

【請求項3】

前記セルロースアセテートフィラメントが、均一に分布した可塑剤を含む、および／または、
水溶性接着剤が、前記セルロースアセテートフィラメントの表面に存在する、
請求項１または２に記載の方法。

【請求項4】

前記セルロースアセテートフィラメントおよび／またはセルロースアセテートステープルファイバーが可塑剤を含む、請求項１～３のいずれか一項に記載の方法。

【請求項5】

前記セルロースアセテートフィラメントおよび／またはセルロースアセテートステープルファイバーが可塑剤を含み、前記可塑剤がトリアセチン、トリエチレングリコールジアセテートおよび／またはクエン酸ジエチルエステルである、請求項１～４のいずれか一項に記載の方法。

【請求項6】

前記セルロースアセテートフィラメントが、５～３０デニール、好ましくは１０～２５デニール、より好ましくは１５～２０デニールの繊度を有する、請求項１～５のいずれか一項に記載の方法。

【請求項7】

前記フィルター材料および／またはフィラー材料の総タイターが、４，０００～４０，０００デニール、好ましくは６，０００～３０，０００デニールである、請求項１～６のいずれか一項に記載の方法。

【請求項8】

前記フィルター材料および／またはフィラー材料における中空セルロースアセテートフィラメントの質量分率が、２０～１００％、好ましくは５０～１００％、より好ましくは７０～１００％である、請求項１～７のいずれか一項に記載の方法。

【請求項9】

中空セルロースアセテートフィラメントが、不規則な配置で互いに離れており、セルロースアセテートフィラメントが、架橋されており、接続したセルロースアセテートフィラメントが、互いに絡み合っているおよび／または縺れ合っている、請求項１～８のいずれか一項に記載の方法。

【請求項10】

結合剤、特に有機または無機結合剤が、前記セルロースアセテートフィラメントを結合するために更に提供されている、請求項１～９のいずれか一項に記載の方法。

【請求項11】

少なくとも一部が中空および／または管状セルロースアセテートフィラメントとして形成されているセルロースアセテートフィラメントに基づいたフィルター材料および／またはフィラー材料を含む、喫煙製品またはＨＮＢ製品で使用するためのマウスピースであって、
前記フィルター材料および／またはフィラー材料の繊維に直交する断面に対して、前記フィルター材料および／またはフィラー材料の中空部分が、２５％～９０％、好ましくは５０％～８０％に及び、
前記セルロースアセテートフィラメントのフィラメント直径が、６０～１００μｍの範囲内である、
マウスピース。

【請求項12】

前記フィルター材料および／またはフィラー材料の繊維密度が、１０～７０ｋｇ／ｍ^３、好ましくは２０～７０ｋｇ／ｍ^３、より好ましくは４０～６０ｋｇ／ｍ^３である、および／または、
前記マウスピースが、シガレットフィルターまたはシガレットフィルター要素を含み、前記シガレットフィルターまたはシガレットフィルター要素が、少なくとも８８％、好ましくは８８％～９５％、より好ましくは９０％～９３％のフィルトロナ硬度を有する、および／または、
前記マウスピースが、シガレットフィルターまたはシガレットフィルター要素を含み、前記シガレットフィルターまたはシガレットフィルター要素が、フィルター長さ１ｍｍあたり少なくとも０．１ｄａＰａ、好ましくは０．２ｄａＰａ～１．０ｄａＰａ、より好ましくは０．３ｄａＰａ～０．７ｄａＰａの吸引抵抗を有する、
請求項１１に記載のマウスピース。

【請求項13】

カプセル状またはカプセル様のフレーバー放出要素が、前記フィルター材料および／またはフィラー材料に更に組み込まれている、請求項１１または１２に記載のマウスピース。

【請求項14】

前記フィルター材料および／またはフィラー材料が、中空セルロースアセテートフィラメントに加えて、中実セルロースアセテートフィラメントを更に含む、請求項１１～１３のいずれか一項に記載のマウスピース。

【請求項15】

少なくとも一部が中空および／または管状セルロースアセテートフィラメントとして形成されているセルロースアセテートフィラメントに基づいたフィルター材料および／またはフィラー材料を含む、シガレットフィルターまたはシガレットフィルター要素であって、
前記フィルター材料および／またはフィラー材料の繊維に直交する断面に対して、前記フィルター材料および／またはフィラー材料の中空部分が、２５％～９０％、好ましくは５０％～８０％に及び、
前記セルロースアセテートフィラメントのフィラメント直径が、６０～１００μｍの範囲内である、
シガレットフィルターまたはシガレットフィルター要素。

【請求項16】

前記フィルター材料および／またはフィラー材料の繊維密度が、１０～７０ｋｇ／ｍ^３、好ましくは２０～７０ｋｇ／ｍ^３、より好ましくは４０～６０ｋｇ／ｍ^３である、および／または、
前記シガレットフィルターまたはシガレットフィルター要素が、少なくとも８８％、好ましくは８８％～９５％、より好ましくは９０％～９３％のフィルトロナ硬度を有する、および／または、
前記シガレットフィルターまたはシガレットフィルター要素が、フィルター長さ１ｍｍあたり少なくとも０．１ｄａＰａ、好ましくは０．２ｄａＰａ～１．０ｄａＰａ、より好ましくは０．３ｄａＰａ～０．７ｄａＰａの吸引抵抗を有する、
請求項１５に記載のシガレットフィルターまたはシガレットフィルター要素。

【請求項17】

カプセル状またはカプセル様のフレーバー放出要素が、前記フィルター材料および／またはフィラー材料に更に組み込まれている、請求項１５または１６に記載のシガレットフィルターまたはシガレットフィルター要素。

【請求項18】

前記シガレットフィルターまたはシガレットフィルター要素が、それぞれ、中空セルロースアセテートフィラメントに加えて、中実セルロースアセテートフィラメントを更に含む、請求項１５～１７のいずれか一項に記載のシガレットフィルターまたはシガレットフィルター要素。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本発明は、喫煙製品またはＨＮＢ製品で使用するためのマウスピース用のフィルター材料および／またはフィラー材料、ならびに喫煙製品用マウスピースまたはＨＮＢ製品用シガレットフィルターまたはマウスピースでのそのようなフィルター材料および／またはフィラー材料の使用に関する。さらなる態様によれば、本発明は、そのようなフィルター材料および／またはフィラー材料を製造するための方法に関する。

【0002】

本発明の意味における喫煙製品は、従来のタバコ製品、特にシガレットに関連するが、パイプおよびマリファナ製品、ならびにいわゆる加熱式タバコ（ＨＮＢ）製品、蒸気吸引製品、およびいわゆるハイブリッド製品にも関連する。

【背景技術】

【0003】

喫煙製品用マウスピースは、用途によって機能が異なる。第一に、マウスピースは、例えば、煙からのタバコ煙の流れに付随する粒子状物質とともにタールのような凝縮物質などの有害な要素を引き付けるためのフィルターデバイスとして機能することができる。このフィルタリング機能は、特に従来のタバコ用途で使われている。これにより、対応するマウスピースは、シガレットまたはシガリロの一体部品として形成され得、従って、シガレットまたはシガリロに「先端」を形成することができる。

【0004】

交換可能なデバイスは、例えば、使用後に取り外すことができる交換可能なフィルター要素である別のタイプのマウスピースである。そのようなマウスピースは、適切なホルダー、例えば、シガレットホルダーまたはパイプマウスピースに収容される。

【0005】

シガレットの一体部品として形成されたマウスピースの１つは、シガレットフィルターである。シガレットフィルターは、シガレット煙中の凝縮物やガスなどの有害物質の割合を抑えることを目的としている。フィルターはまた、喫煙者の大部分にとって煙を幾分よりマイルドにするか又はより口当たりの良いものにする。従来のフィルターシガレットでは、フィルターは、フィルターラップ紙に包まれ、いわゆるチップペーパーでタバコロールに接続されており、それにより、大部分の工業的に製造されたシガレットにはフィルターが設けられている。自分で巻く人は、それらをタバコ店で購入することができる。

【0006】

特に、喫煙者の呼吸器系に到達する前にタバコ煙に含まれる物質のレベルを下げるために、すでに多くの種類のフィルター材料が使用されている。しかし、大量の有害な要素を除去することに加えて、満足のいくフィルターは、フィルターを通る空気または煙の通過を望ましくなく妨げず、従ってフィルターに過度の抗力を必要とせずに効果的である必要もある。しかしながら、タバコ煙フィルターに使用する場合に、フィルター材料は、独自のフレーバーを添加することによってタバコ煙の味を変えてはならない。

【0007】

満足のいくタバコ煙フィルターの製造における更に重要な要素は、フィルターが使用される喫煙製品の最終価格を過度に高騰させないように、その製造が複雑すぎないことである。

【発明の概要】

【0008】

しかしながら、本発明は、上記の従来のタバコ用途のためのフィルター材料ではなく、特に、単なるフィルタリング機能以外の他の機能を有する、喫煙製品に使用されるマウスピース用のフィルター材料および／またはフィラー材料に関する。

【0009】

他の用途では、マウスピースのフィルタリング機能が実際の主な焦点ではない。このことは、例えば、近年ますます人気が高まっている加熱式タバコ製品（「ＨＮＢ製品」）に当てはまる。これらのデバイスでは、加工済みタバコ部分は使用中に熱源によって加熱されるが、燃焼はされない。フレーバー剤、ニコチン、グリセリン、水などの揮発性タバコ成分は、それによって気化し、ユーザーがＨＮＢ製品を介して吸引する空気に付随する。放出された物質が冷えると、エアロゾルが形成され、それをユーザーが吸入する。

【0010】

市販のＨＮＢ製品は、加熱要素を供給する電源と、加工済みタバコ部分からなる別個の消耗品と、管状セルロースアセテートセグメントなどの支持要素と、多数の軸方向チャネルと口側フィルターとを備えたシリンダー状に束ねられた捲縮ポリラクチドフィルムの形態等で流れ方向下流に配置されたいわゆる冷却要素と、からなるデバイスを通常含む。消耗品は、ＨＮＢ製品の使用中に発熱要素がタバコ部分を加熱するように、使用前にデバイスに挿入される。

【0011】

例えば、ＩＱＯＳ／ＨＥＥＴＳと呼ばれるＰｈｉｌｉｐ Ｍｏｒｒｉｓの製品では、タバコ部分はデバイス内の加熱ブレードによって貫通されている。ＩＱＯＳ／ＨＥＥＴＳ製品とは、Ｐｈｉｌｉｐ Ｍｏｒｒｉｓによって販売されている消耗品のＨＥＥＴＳ製品が付随したＩＱＯＳデバイスを指す。消耗品のＨＥＥＴＳ製品は、タバコが燃焼されずに単に加熱される加熱式タバコ製品である。

【0012】

ＢＡＴ社の競合製品（「Ｇｌｏ」）では、タバコは外部から加熱され、いわゆる冷却要素はチューブによって置き換えられている。これらのデバイスでも、加工済みタバコ部分は、使用中に熱源によって加熱されるが、燃焼はされない。フレーバー剤、ニコチン、グリセリン、水などの揮発性タバコ成分は、それによって気化し、ユーザーがＨＮＢ製品を介して吸引する空気に付随される。放出された物質が冷えると、エアロゾルが形成され、それをユーザーが吸入する。

【0013】

この用途の既知の消耗品には、口側フィルターが発熱要素に近接していることにより、そして、ＨＮＢ製品の使用中に発生する高温蒸気により、口側フィルターが非常に熱くなり得るという欠点がある。

【0014】

いわゆるハイブリッド製品では、エアロゾル発生器が最初に気化され（プロピレングリコール、グリセリン）、冷却によりエアロゾルが発生する。このエアロゾルは、加工済みタバコ部分を通過し、消費者によって吸入される。そのような用途においても、マウスピースは、ユーザー側の端部をユーザーにとって不快なほど熱くならないようにするという特定の機能を有する。

【0015】

タバコを燃焼させる従来のタバコ製品とは対照的に、ＨＮＢ製品の消耗品の場合、冷却要素や口側フィルターなどの、加熱されたタバコ部分の流れ方向下流に配置された要素は、タールなどの凝縮成分に関して、これらの煙成分は実質的に少量で発生し得るので、低いフィルタリング効果しか有していないことが、望まれ得る。

【0016】

従って、喫煙製品用マウスピースを形成するために必要な材料は、煙の物理的特性（温度、流動プロファイルなど）および化学組成に適合する、特に適合可能である、必要がある。従来のシガレットフィルターと特にＨＮＢ製品の両方には、マウスピースの材料の適切な選択と構成によって調整またはそれぞれ満たす必要のある多くの目標パラメーターがある。このことは、特に、以下で簡単に説明する次の目標パラメーターに関連している。
・吸引抵抗
・濾過性能
・フィルターロッド硬度／フィルトロナ硬度
・外観
・製造費用対効果
・煙温度

【0017】

フィルターロッド硬度は、シガレットフィルターの重要な目標基準である。これは通常、いわゆるフィルトロナ硬度として示される。フィルトロナ硬度は、３００ｇの荷重で、水平に配置されたフィルターロッドに、直径１２ｍｍのシリンダー形ロッドの平らな前端を垂直に押し付けることによって、決定される。最初の接触で前もって決定された初期直径に対する圧縮直径の比率が、フィルトロナ硬度パーセンテージをもたらす。

【0018】

強調すべきことは、フィルトロナ硬度はフィルターに対してのみ測定され、その下にある（未加工の）フィルター材料に対しては測定されないことである。

【0019】

フィルトロナ硬度の下限は、約８８％であり、市場の要件に合わせて調整される。それにより、シガレットフィルターのフィルトロナ硬度は、好ましくは、約８８％～９５％、特に約９０％～９３％に設定することができる。

【0020】

従来のシガレットフィルターでは、フィルトロナ硬度は基本的に、所定のフィルター直径に対する単位体積あたりの繊維重量によって決まる。特にフィラメントタイターは、フィルトロナ硬度にわずかな影響しか与えない。

【0021】

場合によっては、より強力なフィルターラップ紙またはより強力なチップペーパーも、より高いフィルトロナ硬度を達成する。チップペーパーは、複数のフィルター要素が一緒に接続されているか、フィルター要素がタバコロッドに接続されている紙である。ただし、より強力なフィルターラップ紙またはより強力なチップペーパーを使用してフィルトロナ硬度を上げると、このアプローチではコストが高くなることが予想され得るため、経済的に不利になる。

【0022】

フィルトロナ硬度に関連するのは、喫煙中にフィルター硬度が低下するいわゆる「ホットコラプス」である。従来のシガレットでは、これは、特に、最後の吸入の１回で湿気の存在下でフィルターが加熱された場合に発生し得る。この望ましくない結果は、ＨＮＢ製品でも発生し得る。

【0023】

喫煙製品の使用における可能な限り一定で高いフィルトロナ硬度に加えて、マウスピースの材料は、事前定義されたまたは定義可能な濾過性能も示すべきである。凝縮物（液滴、粒子）（凝縮物またはタールとも呼ばれる）に関する濾過性能は、凝縮物が不健康的な複数の物質を含むため、従来のタバコ製品およびＨＮＢ製品に関して関心が持たれる。

【0024】

従来の製品では、（タバコのブレンド、換気などの他の影響要因とともに）濾過性能は、シガレットの「配送」（主流煙内の煙成分のレベル）を調整するように選択される。多くの市場では、法規制により「配送」の上限が定められている。法的な上限より下で、「配送」を消費者の好みに合わせることができる。

【0025】

ＨＮＢ製品では、エアロゾルは、従来製品の場合よりも、健康に悪影響を与える凝縮物質をはるかに少なく含んでいる。しかし、フレーバー物質やニコチンなどのより望ましい物質が同様に凝縮物中に存在するため、ここでの目的は、ゼロまで低下させることなく、可能な限り低い濾過性能を選択することである。

【0026】

「吸引抵抗」の目標パラメーターに関して注意すべきことは、消費者がタバコ製品を使用するときに特定範囲の吸引抵抗を好むことである。従来のシガレットでは、フィルターは、（「配送」を調整することに加えて）シガレットの吸引抵抗を調整する働きをする。

【0027】

しかし、ＨＮＢ製品では、ＨＢＮデバイスの他のコンポーネント、特にタバコの加熱部分とデバイスが、すでに吸引抵抗への高い寄与を提供しているため、口側フィルター（マウスピース）によってもたらされる吸引抵抗は可能な限り低い傾向があるべきである。フィルター（マウスピース）の吸引抵抗が低いと、ＨＢＮデバイスの他のコンポーネントに関連する自由度が得られる。これは望ましいことである。

【0028】

しかし、吸引抵抗と濾過性能は密接に関連している。両方とも複数の方法で減らすことができるが、そのことが他のパラメーターに悪影響を与えることがよくある。

【0029】

例えば、フィルター長さを短くすることにより、吸引抵抗と濾過性能を低下させることができる。しかし、フィルター長さがフィルター直径よりも小さくなると、処理性が問題になる。フィルターを短くすると、冷却セクションも短くなり、熱バランスに問題が生じる。

【0030】

代わりにまたはそれに加えて、体積含有量および／または総デニールあたりのフィルター材料中の繊維重量を減らすことによって、吸引抵抗および濾過性能を低下させることができる。ただし、これには、フィルトロナ硬度が低下して最小硬度が達成できなくなる可能性があるという欠点がある。

【0031】

代わりにまたはそれに加えて、フィラメントタイターを増加させることにより、吸引抵抗および濾過性能を低下させることができる。一定のフィルター直径および所定の単位体積あたりの繊維重量では、濾過性能と吸引抵抗は、フィラメントタイターの増加とともに低下する。このことは、従来の製品と比較してＨＮＢ製品の場合に望ましいことである。上記のように、フィルトロナ硬度はフィラメントのタイターにわずかに依存するだけなので、硬度も悪影響を受けない。

【0032】

「外観」の目標パラメーターに関して注目すべきことは、消費者が、口側に平らで白い断面領域を有するマウスピースを好むことである。ただし、口側がチューブ状の製品もある。

【0033】

煙温度に関して注意すべきことは、今日の従来製品では煙温度は問題を引き起こさないということである。しかし、市販のＨＮＢ製品では、煙温度が著しく高く、一部の消費者にとっては不快なほど高い温度である。更に、市販のＨＮＢ製品は、ガス状成分のエアロゾルが最初に形成されるように気化成分を冷却するための冷却を必要とする。

【0034】

市販のＨＮＢ製品では、発熱要素からＨＮＢ製品の口側端部までの距離は、恐らく、エアロゾルを冷却するための最も重要なパラメーターである。従って、例えば、タバコ部分および支持要素の下流にいわゆる冷却要素を配置することが知られている。冷却要素は、捲縮したポリラクチドフィルムの形態またはボール紙管の形態であり得、それにより、特にタバコ部分および支持要素の下流に配置されたこの要素は、冷却に加えて、機械的安定性を提供するスペーサーの機能も担う。

【0035】

最後に、マウスピースの材料は、費用対効果の目標パラメーターを満たす必要がある。特に、可能な限り低い材料使用量および可能な限り低い処理コストで製造できる適切なマウスピースの材料が必要である。

【0036】

通常はセルロースアセテートフィラメントで構成されている従来のシガレットフィルターは、煙中の成分の最適な濾過を保証するが、これらのフィルター材料は、他の用途、特にＨＮＢ製品またはｅ－シガレットの場合に、限られた範囲でしか使用できないことがよくある。それは、これらの用途では、フィルター材料またはそれぞれのマウスピース材料が他の機能を担う必要があるからである。

【0037】

ＨＮＢ製品および従来の喫煙製品には、一般に、ユーザーが吸入エアロゾルを高温で吸引するという欠点がある。これは、ユーザーにとって不快な場合がある。従って、特にＨＮＢ製品の場合、マウスピースの材料は、エアロゾルを可能な限り低い濾過性能で冷却する役割を持つ。

【0038】

また、従来のシガレット、特にいわゆるスリムまたは超スリムシガレット（すなわち、例えば５．０ｍｍ～６．５ｍｍの小径のシガレット）の場合、フィルター材料／マウスピース材料は、キングサイズのシガレットのフィルター材料と比較して、濾過性能の低下、冷却の向上、および触覚特性の改善（堅いが硬すぎないグリップ）を提供する必要がある。当然、キングサイズのシガレットよりも、燃焼中の煙／風味が少ない。風味を更に低下させないように、低い濾過性能が求められる。その目的のためにフィルター材料の量を減らすだけでは、フィルターの硬度が結局不十分になる。

【0039】

同じ繊維密度で、スリムまたは超スリムシガレット用のフィルターは、キングサイズのフィルターよりも著しく高い吸引抵抗を持つが、これは一般的には望ましくない。

【0040】

ＨＮＢ製品と超スリムシガレットの両方について、タールなどの凝縮性成分および十分なフィルター硬度の観点で望ましい濾過性能の低下を達成するために、総タイターを維持しながらフィラメントタイターを増加させることが提案されている。しかし、このアプローチには、高フィラメントタイターのそのような繊維材料が従来の紡績機において経済的に不利であるという不利な点がある。従来のフィルタートウの製造では、約３０％のセルロース－２，５－アセテートのアセトン溶液が紡糸口金を通して押し出され、紡糸チャンバー内で加熱空気を吹き付けることによってアセトンが蒸発され、次に多数のフィラメント（１，０００～３５，０００）が集められてストリップが形成され、スタッファーボックスにおいて捲縮される。より高いフィラメントタイターの場合、フィラメントあたりより多くの量の溶媒を蒸発させる必要があり、この場合、フィラメントの表面積に対する断面積の比が大きいため、より多くの時間を要し、より遅い紡糸速度をもたらす。

【0041】

この問題に基づいて、本発明は、広範囲の喫煙製品用途に適した材料を特定するという課題に基づいている。

【0042】

特に、本発明は、低い吸引抵抗および低い濾過性能を有するフィルター材料を特定するという課題に基づいており、フィルター材料は、喫煙製品に使用されるときに可能な限り一定である十分に高いフィルトロナ硬度を達成することができ、それにもかかわらず、フィルター材料は、特に経済的に製造され得る。

【0043】

更に、フィルター材料は、口側に均一で白く平らな前端を有するフィルターを製造するのに適している。

【0044】

この文脈において更に望ましいのは、フィルター材料がフェノールに対して選択的な濾過効果を示すことである。

【0045】

フィルター材料は、ユーザーが喫煙製品から取り込むガス、エアロゾル、または蒸気の温度を下げることができるように、加熱された粒子含有ガスを確実に冷却するのに特に適している。

【0046】

更に、この材料は、特にスリムまたは超スリムシガレットのフィルター材料として使用する場合に、調整可能な吸引抵抗を、および特にキングサイズのフィルターと比較して低減されたものを、実現できるように、適切である。

【0047】

これらおよび他の課題は、独立請求項１の主題によって解決される。

【0048】

従って、本発明は、特に、少なくとも一部が中空セルロースアセテートフィラメントとして形成されたセルロースアセテートフィラメントに基づいたフィラー材料を含む、喫煙製品用マウスピースを形成するための材料に関する。一部が中空セルロースアセテートフィラメントとして形成されたフィラー材料は、シガレットフィルターにおいて一般的に使用されている中空設計ではない従来のセルロースアセテートフィラメントよりも密度が低く、充填値が高い。そのようなフィラー材料を提供することにより、マウスピースおよびさまざまな用途で達成できる性能を大幅に向上させることができる。

【発明を実施するための形態】

【0049】

本明細書で使用される「中空繊維」という用語は、特に、断面に１つまたは複数の連続した中空空間を有する好ましくはシリンダー形の繊維として理解されるべきである。中空繊維は、好ましくは、少なくとも部分的に捲縮している。しかしながら、本発明は、捲縮した中空繊維に限定されず、代わりに、捲縮していない繊維またはそれらの使用の各々にも関係する。

【0050】

本発明の実施形態の変形例によれば、中空繊維は、少なくとも部分的にマルチルーメン中空繊維として実現される。シングルルーメン中空繊維と比較して、マルチルーメン中空繊維は、非常に耐キンク性が高く、材料の圧縮を増やすことなく、特に高いフィルトロナ硬度を達成できる。

【0051】

本明細書で使用される「フィルトロナ硬度」という用語は、フィルトロナ原理に従って決定されるフィルター硬度として理解されるべきである。この原理は、３００ｇの荷重で、水平に配置されたフィルターロッドに、直径１２ｍｍのシリンダー形ロッドの平らな前端を垂直に押し付けることによってフィルター硬度を決定することに関連している。最初の接触で前もって決定された初期直径に対する圧縮直径の比率が、フィルトロナ硬度パーセンテージをもたらす。

【0052】

本発明の好ましい実施形態によれば、中空形態のセルロースアセテートフィラメントは、少なくとも部分的に三葉、すなわち、３本の腕を持つ星型の断面形状を示す。このような断面形状は、セルロースアセテートフィラメントが可能な限り最大の比表面積を有し、例えば、原材料の経済的な使用と同時に高い濾過能力を可能にする場合に適している。あるいは、円形断面の非常に細いフィラメントの束を用いて、所望の大きな比表面積を得ることが可能である。しかしながら、例えば四角断面形状などの、中空セルロースアセテートフィラメントの他の断面形状も考えられる。

【0053】

本発明のフィルター材料および／またはフィラー材料は、製造するのに経済的であり、単独で、または従来の非中空セルロースアセテートフィラメントと一緒に加工して、適切な吸引抵抗および最適な濾過特性を有するフィルターロッドにすることができる。

【0054】

本発明によるフィルター材料および／またはフィラー材料は、少なくとも部分的に中空セルロースアセテートフィラメントの形態であるセルロースアセテートフィラメントに基づくフィラー材料を含むので、低い吸引抵抗および低い濾過性能が実現され得る。なぜなら、少なくとも部分的に中空のセルロースアセテートフィラメントの形態のフィルター材料および／またはフィラー材料のフィラメントが、総繊維体積に対して小さい外表面積を有するからである。好ましくは、少なくとも部分的に中空のセルロースアセテートフィラメントの形態のフィルター材料および／またはフィラー材料のフィラメントは、可能な限り丸い断面を示す。

【0055】

これに関連して、少なくとも部分的に中空であるセルロースアセテートフィラメントの形態であるフィラメントによってフィルター材料および／またはフィラー材料で特に高いフィルトロナ硬度が実現できることが見出されたことは、驚くべきことである。実際、中空セルロースアセテートフィラメント（中空繊維）から少なくとも一部が形成されているフィルターは、単位体積あたりの繊維重量が少ない場合に、所望の最小フィルトロナ硬度を達成することが見出された。

【0056】

セルロースアセテートフィラメントに基づくため、本発明のフィルター材料および／またはフィラー材料は、均一で白色で平坦な口側の前端を有するフィルターを製造するのに適しており、選択的フェノール濾過効果も更に実現することができる。

【0057】

喫煙と健康に関する対話の観点から、セルロースアセテートフィラメントに基づくフィルター材料および／またはフィラー材料を使用すると、最初に、特定の保持現象に対して明らかに優れた特性を有する、特にシガレット用のフィルターロッドの製造が可能になる。従って、セルロースアセテートから作られたフィルターは、凝縮物やニコチンよりもはるかに効率的に、有害なニトロソアミンやフェノールを濾過する。更に、喫煙者は、「アメリカンブレンド」、「ジャーマンブレンド」、「バージニア」などの今日の通常のタバコブレンドの味を、セルロースアセテート製のフィルターロッドと組み合わせた場合に、最も快いと評価している。過小評価されてはならないセルロースアセテートフィルターロッドの別の利点は、フィルターの切断面の光学的均一性に見出すことができる。

【0058】

本発明のフィルター材料および／またはフィラー材料が、フィラー材料として機能する中空セルロースアセテートフィラメントから少なくとも部分的に形成されることにより、本発明の材料から作製されたフィルターロッドにおいて、広範囲の様々な吸引抵抗および濾過性能が実現され得る。

【0059】

特に、中空セルロースアセテートフィラメントから少なくとも部分的になるフィルター材料は、改善された熱冷却効果を示すことが示されている。フィラー材料として中空セルロースアセテートフィラメントを使用しても、依然として、除去される浮遊物質とガスに対して、非常に低い濾過効果、つまり、保持効果を達成できることが確認された。この効果は、表面または洗浄されるガスもしくは空気の流れが、ガス／空気中に潜在的に浮遊する物質をわずかに保持するように、中空セルロースアセテートフィラメントによって変更されることによって、達成されると推定される。別の理由は、中空セルロースアセテートフィラメントの使用が、異なる特に有利なフィルター材料の表面構造を達成することができるということである可能性がある。

【0060】

本発明のフィルター材料および／またはフィラー材料は更に、喫煙製品またはＨＮＢ製品のユーザーによって取り込まれるガス、エアロゾルまたは蒸気の温度が目標とするように低減され得るように、加熱された粒子含有ガス（特にエアロゾル）の特に調整可能な冷却を可能にする、という利点を有する。従って、フィルター材料および／またはフィラー材料中の中空セルロースアセテートフィラメントの比率を変えることにより、所望の冷却効果を用途に特に適合させることができる。

【0061】

本発明のフィルター材料および／またはフィラー材料において、流れは本質的に中空セルロースアセテートフィラメント（＝中空繊維）の周囲であり、中空セルロースアセテートフィラメント（＝中空繊維）を通る流れが少ないことに、留意することが更に重要である。幾何学的な考察から、繊維間の距離は、中空繊維の内腔（中空部分）よりもかなり大きいことが、明らかである。その場合、エアロゾル（実質的には空気）の粘性から、抵抗が最小の経路をたどることになる（つまり、個々のフィラメントを通らずにフィラメント間を流れる）。

【0062】

換言すれば、フィルター材料および／またはフィラー材料中の中空セルロースアセテートフィラメントを通る流れがないので、機能する濾過表面は、本発明のフィルター材料および／またはフィラー材料において決して最大化されない。

【0063】

特に、中空セルロースアセテートフィラメントは、従って、設定された目標パラメーターに関して本発明のフィルター材料および／またはフィラー材料の性能に影響を与えることなく、中空セルロースアセテートフィラメントの内腔を閉鎖するキンクを有することができる。

【0064】

この文脈で特に注目すべきことは、中空繊維として設計された中空セルロースアセテートフィラメントは、連続的に中空である必要はなく、むしろキンクによって部分的に閉鎖され得ることである。また、理想的な円形状から逸脱していてもよい。

【0065】

本発明の実施形態は、一方では支持材料として、他方では冷却材料として機能する、フィルター材料および／またはフィラー材料の中空セルロースアセテートフィラメントを提供する。同時に支持材料として機能する中空セルロースアセテートフィラメントによって、特にコンパクトなマウスピースを実現することができ、その場合、喫煙製品の寸法を大きくする必要がない。

【0066】

例えば、フィルター材料および／またはフィラー材料が、マウスピースの長手方向において、中空セルロースアセテートフィラメントおよび非中空セルロースアセテートフィラメントの隣接領域を示すことが考えられる。中空および非中空セルロースアセテートフィラメントの混合物も考えられる。あるいは、またはそれに加えて、中空および非中空セルロースアセテートフィラメントを層状に配置し、次に捲縮することができる。そうすることで、冷却材料として機能する中空セルロースアセテートフィラメントの可能な最大面積が可能になり、それによって、粒子含有ガスのより良い冷却が可能になる。

【0067】

フィルター材料および／またはフィラー材料は、特に中空セルロースアセテートフィラメントが、粒子含有ガスまたはエアロゾルの流れの方向に対して本質的に長手方向に配置されるように、喫煙製品に導入することができる。そうすることにより、ユーザーがマウスピースを吸引するときの圧力の低下を減少させるが、ユーザーが吸引動作を困難または不快であると感じないような、フィルター材料および／またはフィラー材料を達成することができる。粒子含有ガスまたはエアロゾルの流れの方向に対して中空セルロースアセテートフィラメントの配列を変えることにより、フィルター材料および／またはフィラー材料の吸引抵抗を広範囲にわたって変えることができ、それぞれの用途に適合させることができる。

【0068】

フィルター材料および／またはフィラー材料における中空および非中空セルロースアセテートフィラメントの比率を変化させることにより、および／または、フィルター材料および／またはフィラー材料における粒子含有ガスまたはエアロゾルの流れの方向に対して中空および非中空セルロースアセテートフィラメントの配列を変化させることにより、冷却および濾過性能を調整することだけでなく、フィルター材料および／またはフィラー材料の吸引抵抗を調整することも可能になる。

【0069】

あるいは、フィルター材料および／またはフィラー材料が中空セルロースアセテートフィラメントのみからなるように提供される。その場合、フィルター材料および／またはフィラー材料に、濾過性能を低下させた状態で最適な冷却効率が与えられる。

【0070】

本発明のフィルター材料および／またはフィラー材料のさらなる実施形態は、粒子含有ガスまたはエアロゾルの流れの方向においてマウスピースの前に別個のセグメントとして配置されるフィルター材料および／またはフィラー材料を提供する。別個のセグメントは、さまざまな形状にすることができる。シリンダー形が好ましい例として挙げられるが、本発明はそれに限定されない。従来の喫煙製品は通常、実質的にシリンダー形のデザインである。別個のセグメントは、粒子含有ガスの流れの方向において、任意の可能なフィルターの前に更に配置することができる。冷却デバイスとして機能し、別個のセグメントとして形成されたフィルター材料および／またはフィラー材料は、例えば、完全に中空セルロースアセテートフィラメントからなることができる。

【0071】

冷却材料として機能する中空セルロースアセテートフィラメントがカプセル化され得るように、別個のセグメントが、例えば紙またはある種のハウジングで作られたラッピングを含むことも考えられる。ラッピングまたはハウジングには、それぞれ、粒子含有ガス／エアロゾル用の入口開口部と出口開口部があり、ユーザーのマウスピースによる吸引による流れがそこを通過する。冷却材料として機能する中空セルロースアセテートフィラメントは、任意選択で、例えばカプセル化された形態で、喫煙製品の中または表面に付加され得る。このように、ユーザーは、ユーザーが必要と判断した場合における、粒子含有ガスの冷却のみのオプションを有する。

【0072】

すでに述べたように、特に本発明のフィルター材料から形成されたフィルターロッドの吸引抵抗は、フィルター材料中の中空セルロースアセテートフィラメントの比率を変えることによって、はるかに広い範囲にわたって変えることができる。

【0073】

要約すると、このように、少なくとも部分的に中空セルロースアセテートフィラメントからなるフィルター材料を使用することにより、吸引抵抗および濾過性能をそれぞれ広い範囲の要件に適合させることができ、従来のセルロースアセテートフィラメントベースのフィルター材料の場合よりもそれを柔軟に明確に行うことができる、と言うことができる。更に、冷却効果は可変的に調整することができる。

【0074】

特に、本発明は、マウスピースまたはフィルターがそれぞれ、本質的に長手方向のエンドレスフィラメントのストランドの形態で通常存在するセルロースアセテートから形成されることを可能にし、エンドレスフィラメントは、好ましくは、個々のフィラメントの短いセクションが、ストランドの主に長手方向と比較して、非平行、収束および発散方向に不規則に配置されるように、捲縮している。

【0075】

本発明によるフィルター材料の１つの可能な実施形態では、フィルター材料の表面構造は、特に捲縮したセルロースアセテートフィラメントを使用することによって、変えることができる。セルロースアセテートフィラメントの捲縮指数は、好ましくは１０％～６０％、特に２０％～５０％である。

【0076】

捲縮指数Ｉｘは、捲縮強度の尺度である。フィルタートウの捲縮指数は、引張試験（力／ひずみの関係）によって決定される。これは、試験荷重下の延伸長さＬ_２から予荷重下の初期長さＬ_１を引いたものと予荷重下の初期長さＬ_１との比として定義される。

【0077】

【数1】

【0078】

試験荷重は２５Ｎ、予荷重は２．５Ｎである。クランプ長さは２５０ｍｍである。捲縮指数は、ハンブルクにあるＢｏｒｇｗａｌｄｔＧｍｂＨ社のＧ０２デバイスでの３００ｍｍ／分の一定ひずみ速度での引張試験で決定される。測定ごとに１０個の個別の測定値が記録される。試験は、相対湿度６０％、２０℃の標準気候で実行される。

【0079】

本発明のフィルター材料は、好ましくは、エンドレスセルロースアセテートフィラメント、特に、スタッファーボックスにおいて捲縮されたセルロース－２，５－アセテートフィラメントからなるフィルタートウの形態である。フィルタートウを製造するために、約３０％のセルロース－２，５－アセテートのアセトン溶液が特定の紡糸口金を通して押し出され、紡糸チャンバー内で加熱空気を吹き付けることによってアセトンが蒸発され、次に多数のフィラメント（１，０００～３５，０００）が集められてストリップが形成され、スタッファーボックスにおいて捲縮される。次に、製品は乾燥され、保管容器に充填され、最終的に３００～６００ｋｇのベールへとプレスされる。

【0080】

紡糸溶液を紡糸するために使用されるのは、中空セルロースアセテートフィラメントおよび／またはセルロースアセテートステープルファイバーを紡糸するように設計された紡糸口金である。

【0081】

フィルタートウベールがフィルターまたはシガレットの製造業者に輸送された後、フィルタートウはベールから取り出され、例えばＵＳ５，４６０，５９０Ａに記載されているようにフィルターロッドマシン上でフィルターロッドへと加工される。この場合、フィルタートウは、フィラメントを結合するのに役立つ添加剤を備えた延伸デバイスで延伸され、次いで、三次元ロービングの形成後、入口ファンネルからフォーマット装置に供給され、そこでは、交差軸方向に圧縮され、紙に包まれ、フィルターロッドの最終長さに切断される。

【0082】

フィラメントを結合するために適用される添加剤は、例えば、グリセリントリアセテート（トリアセチン）などのセルロースアセテートの高沸点溶媒であり得、これは、適用後にフィラメントの表面を一時的に可溶化する。２つのフィラメントが接触する場合に、その後しばらくして、過剰な添加剤が繊維表面に移動するときに、恒久的な結合点が発生する。これにより、以前は液滴だった溶液が固化する。前述の硬化剤の移動により、機械的に強力な三次元架橋フィルターロッドが１時間未満の貯蔵期間後に得られる。前記フィルターロッドは「空間フィルター」とも呼ばれ、通常２０ｍｇ／ｍｌ～９０ｍｇ／ｍｌ、好ましくは３０ｍｇ／ｍｌ～７０ｍｇ／ｍｌ、より好ましくは４０ｍｇ／ｍｌ～６０ｍｇ／ｍｌの低い充填密度を有する。それらの硬度のために、これらのフィルターロッドは、現代のシガレットマシンにおいて高速で問題なく処理することができる。

【0083】

試験では、フィルター材料に中空セルロースアセテートフィラメントを使用すると、長さ、直径、吸引抵抗、フィラメントタイターなどの仕様を維持しながら、空間フィルターの濾過性能を低下させ、冷却効率を高めることができることが、示された。

【0084】

このようにフィルター材料中の中空繊維（中空型セルロースアセテートフィラメント）の割合を増やすことにより、冷却効率の向上や濾過性能の低下にもかかわらず、フィラメントタイターを上げることなく、吸引抵抗を必要な低範囲に保つことができる。

【0085】

従って、本発明のフィルター材料の実現によれば、フィルター材料中の中空形状（中空）セルロースアセテートフィラメントのパーセンテージが、２０～１００％、好ましくは４０～１００％、より好ましくは、用途に応じて、７０～１００％に特に規定される。

【0086】

特に、フィルター材料における中空部分は、好ましくは２５～９０％、好ましくは５０～８０％である。この中空部分は、一方では濾過性能に、他方では吸引抵抗の低減に、決定的な貢献をする。これは、フィルター材料中の中空繊維の適切な比率によってのみ可能であり、閉じたフィラメントでは実現できない。この場合、中空部分は、繊維の「総」断面積に対するフィルター材料の「中空」面積の比率に相当する。

【0087】

この文脈で注目すべきことは、本発明のフィルター材料はまた、特に、セルロースアセテートフィラメントのフィラメント直径が、１０～３０μｍの範囲のフィラメント直径を有する他の（合成）中空繊維のフィラメント直径よりも著しく大きいことによって、特徴付けられることである。それとは対照的に、中空セルロースアセテートフィラメントのフィラメント直径は、３０～１５０μｍ（外径）、好ましくは５０～１２０μｍ（外径）、より好ましくは６０～１００μｍ（外径）の範囲である。このようにして中空部分を増加させることができ、従って本発明のフィルター材料および／またはフィラー材料の比濾過性能は著しく低下しており、同時に本発明のフィルター材料および／またはフィラー材料の冷却効率は増加している。

【0088】

本発明は更に、前述のタイプのフィルター材料から作製されたシガレットフィルターに関する。

【0089】

非限定的な実施形態によれば、熱可塑性セルロースエステル繊維材料か、または、非熱可塑性セルロースエステルの場合に、水溶性接着剤か、を使用して、本発明によるフィルターを製造することができる。熱可塑性セルロースエステル繊維材料の最初のケースでは、２つのケースを区別することができる。第１のケースでは、繊維材料は、例えば、セルロースアセテートブチレートなどの天然の熱可塑性セルロースエステルから製造される。ここでは、フィルタートウを本発明のフィルターへと加工するためのさらなる手段は必要ない。例えば、セルロース－２，５－アセテートなどの非熱可塑性ベースポリマーでは、適切な可塑剤を添加してポリマーを熱可塑化する必要がある。

【0090】

本発明のフィルターを製造するために、フィルタートウをベールから引き出し、空気圧で広げ、空間フィルターについて慣習的な方法に従って延伸する。

【0091】

本発明の教示の文脈内で、アセテートの重量は、フィルター長さ１ｍｍあたり最大５ｍｇ、少なくとも約２ｍｇであり得、特に約３～４ｍｇである。フィルター長さ１ｍｍあたり５ｍｇの最大値を超えると、そのような製品は十分に経済的ではない。好ましくは、フィルター長さ１ｍｍあたり約２ｍｇの最小値が維持される。従来技術によれば、この値を下回ると、所望の最小８８％のシガレットフィルター硬度をもはや維持することができなくなる。

【0092】

本発明の教示の文脈内で、吸引抵抗は、フィルター長さ１ｍｍあたり最大２ｍｍｄａＰａ、少なくとも約０．１ｄａＰａであり得、特に、０．２ｄａＰａ～１ｄａＰａである。フィルター長さ１ｍｍあたり０．３ｄａＰａ～０．７ｄａＰａの吸引抵抗が特に好ましい。フィルター長さ１ｍｍあたり０．３ｄａＰａの最小値を維持することが好ましい。従来技術によれば、この値を下回ると、所望の最小８８％のシガレットフィルター硬度をもはや維持することができなくなる。

【0093】

本発明の本質的ないくつかの態様を以下に要約する。

【0094】

第１の態様によれば、本発明は、喫煙製品またはＨＮＢ製品で使用するためのマウスピース用のフィルター材料および／またはフィラー材料に関する。ここで、フィルター材料および／またはフィラー材料は、中空および／または管状のセルロースアセテートフィラメントとして少なくとも部分的に形成されたセルロースアセテートベースのフィラメントである。

【0095】

フィルター材料および／またはフィラー材料の一実施形態の変形例によれば、セルロースアセテートフィラメントは、中空であり特に捲縮したエンドレスセルロースアセテートフィラメントおよび／または中空であり特に捲縮した切断されたエンドレスセルロースアセテートフィラメントを含む。

【0096】

フィルター材料および／またはフィラー材料の一実施形態の変形例によれば、セルロースアセテートフィラメントの捲縮指数は、１０％～６０％、特に２０％～５０％である。

【0097】

フィルター材料および／またはフィラー材料の一実施形態の変形例によれば、セルロースアセテートフィラメントは、熱可塑性セルロース材料から形成されており、セルロースアセテートフィラメントが、可塑剤を含む場合に、均一に分散した可塑剤を含む、および／または、水溶性接着剤が、セルロースアセテートフィラメントの表面に存在する。

【0098】

フィルター材料および／またはフィラー材料の一実施形態の変形例によれば、可塑剤が使用される場合、可塑剤含有量は１％～４０％である。

【0099】

フィルター材料および／またはフィラー材料の一実施形態の変形例によれば、可塑剤が使用される場合、可塑剤はトリアセチン、トリエチレングリコールジアセテートおよび／またはクエン酸ジエチルエステルである。

【0100】

フィルター材料および／またはフィラー材料の一実施形態の変形例によれば、セルロースアセテートフィラメントは、５～３０デニール、好ましくは１０～２５デニール、より好ましくは１５～２０デニールの繊度を有する。

【0101】

フィルター材料および／またはフィラー材料の一実施形態の変形例によれば、フィルター材料および／またはフィラー材料の総タイターは、４，０００～４０，０００デニール、好ましくは６，０００～３０，０００デニールである。

【0102】

フィルター材料および／またはフィラー材料の一実施形態の変形例によれば、フィルター材料および／またはフィラー材料の中空部分は、フィルター材料および／またはフィラー材料の繊維に直交する断面に対して、２５％～９０％、好ましくは５０％～８０％に及ぶ。

【0103】

フィルター材料および／またはフィラー材料の一実施形態の変形例によれば、セルロースアセテートフィラメントのフィラメント直径は、３０～１５０μｍ（外径）、好ましくは５０～１２０μｍ（外径）、より好ましくは６０～１００μｍ（外径）の範囲内である。

【0104】

フィルター材料および／またはフィラー材料の一実施形態の変形例によれば、中空セルロースアセテートフィラメントの質量分率は、２０～１００％、好ましくは５０～１００％、より好ましくは７０～１００％である。

【0105】

フィルター材料および／またはフィラー材料の一実施形態の変形例によれば、中空セルロースアセテートフィラメントは、不規則な配置で互いに離れており、セルロースアセテートフィラメントが、架橋されており、接続したセルロースアセテートフィラメントが、互いに絡み合っているおよび／または縺れ合っている。

【0106】

フィルター材料および／またはフィラー材料の一実施形態の変形例によれば、結合剤、特に有機または無機結合剤が、セルロースアセテートフィラメントを結合するために更に提供されている。

【0107】

さらなる態様によれば、本発明は、喫煙製品またはＨＮＢ製品で使用するためのマウスピースに関する。ここで、マウスピースは、前述の本発明のタイプのフィルター材料および／またはフィラー材料を含む。

【0108】

さらなる態様によれば、本発明は、前述の本発明のタイプのフィルター材料および／またはフィラー材料を有するシガレットフィルターまたはシガレットフィルター要素に関する。

【0109】

シガレットフィルターまたはシガレットフィルター要素のそれぞれの実施形態の変形例によれば、以下の特徴のうちの少なくとも１つの特徴が実現される。
・フィルター材料および／またはフィラー材料の繊維密度は、１０～７０ｋｇ／ｍ^３、好ましくは２０～７０ｋｇ／ｍ^３、より好ましくは４０～６０ｋｇ／ｍ^３である。
・シガレットフィルターまたはシガレットフィルター要素は、少なくとも８８％、好ましくは８８％～９５％、より好ましくは９０％～９３％のフィルトロナ硬度を有する。
・シガレットフィルターまたはシガレットフィルター要素は、フィルター長さ１ｍｍあたり少なくとも０．１ｄａＰａ、好ましくは０．２ｄａＰａ～１．０ｄａＰａ、より好ましくは０．３ｄａＰａ～０．７ｄａＰａの吸引抵抗を有する。
・フィルター材料および／またはフィラー材料は可塑剤を含み、可塑剤含有量は１％～４０％である。

【0110】

シガレットフィルター／シガレットフィルター要素の実施形態の変形例によれば、特にカプセル状またはカプセル様のフレーバー放出要素が、フィルター材料および／またはフィラー材料に更に組み込まれている。

【0111】

シガレットフィルター／シガレットフィルター要素の実施形態の変形例によれば、中空セルロースアセテートフィラメントに加えて、シガレットフィルターまたはシガレットフィルター要素はそれぞれ、中実セルロースアセテートフィラメントを更に含む。

【0112】

さらなる態様によれば、本発明は、喫煙製品またはＨＮＢ製品における本発明のフィルター材料および／またはフィラー材料の使用に関する。

【0113】

さらなる態様によれば、本発明は、喫煙製品またはＨＮＢ製品で使用するためのマウスピース用のフィルター材料および／またはフィラー材料を製造するための方法に関する。ここで、フィルター材料および／またはフィラー材料が、好ましくは、セルロースアセテートフィラメントおよび／またはセルロースアセテートステープルファイバーからなり、アセチル値が少なくとも５３％であるセルロースアセテートのアセトン溶液が、複数の開口部を有する紡糸口金を通して押し出され、続いてセルロースアセテートフィラメントが、必要に応じてセルロースアセテートステープルファイバーに切断され、そのようにして得られた多数のセルロースアセテートフィラメントおよび／またはセルロースアセテートステープルファイバーが、必要に応じて集められて、潜在的に捲縮したフィルタートウが形成され、
セルロースアセテートの溶液が押し出される紡糸口金は、中空セルロースアセテートフィラメントが紡糸されるように設計されている。
本開示は、以下の実施形態を含む。
＜１＞ 少なくとも一部が中空および／または管状セルロースアセテートフィラメントとして形成されているセルロースアセテートフィラメントに基づいた、喫煙製品またはＨＮＢ製品で使用するためのマウスピース用のフィルター材料および／またはフィラー材料。
＜２＞ 前記セルロースアセテートフィラメントが、中空であり特に捲縮したエンドレスセルロースアセテートフィラメントおよび／または中空であり特に捲縮した切断されたエンドレスセルロースアセテートフィラメントを含む、前記＜１＞に記載のフィルター材料および／またはフィラー材料。
＜３＞ 前記セルロースアセテートフィラメントの捲縮指数が、１０％～６０％、特に２０％～５０％である、前記＜１＞または＜２＞に記載のフィルター材料および／またはフィラー材料。
＜４＞ 前記セルロースアセテートフィラメントが、熱可塑性セルロース材料から形成されており、前記セルロースアセテートフィラメントが、可塑剤を含む場合に、均一に分布した可塑剤を含む、および／または、
水溶性接着剤が、前記セルロースアセテートフィラメントの表面に存在する、
前記＜１＞～＜３＞のいずれか一項に記載のフィルター材料および／またはフィラー材料。
＜５＞ 可塑剤が使用される場合、可塑剤含有量が１％～４０％である、前記＜１＞～＜４＞のいずれか一項に記載のフィルター材料および／またはフィラー材料。
＜６＞ 可塑剤が使用される場合、可塑剤がトリアセチン、トリエチレングリコールジアセテートおよび／またはクエン酸ジエチルエステルである、前記＜１＞～＜５＞のいずれか一項に記載のフィルター材料および／またはフィラー材料。
＜７＞ 前記セルロースアセテートフィラメントが、５～３０デニール、好ましくは１０～２５デニール、より好ましくは１５～２０デニールの繊度を有する、前記＜１＞～＜６＞のいずれか一項に記載のフィルター材料および／またはフィラー材料。
＜８＞ 前記フィルター材料および／またはフィラー材料の総タイターが、４，０００～４０，０００デニール、好ましくは６，０００～３０，０００デニールである、前記＜１＞～＜７＞のいずれか一項に記載のフィルター材料および／またはフィラー材料。
＜９＞ 前記フィルター材料および／またはフィラー材料の繊維に直交する断面に対して、前記フィルター材料および／またはフィラー材料の中空部分が、２５％～９０％、好ましくは５０％～８０％に及ぶ、前記＜１＞～＜８＞のいずれか一項に記載のフィルター材料および／またはフィラー材料。
＜１０＞ 前記セルロースアセテートフィラメントのフィラメント直径が、３０～１５０μｍ（外径）、好ましくは５０～１２０μｍ（外径）、より好ましくは６０～１００μｍ（外径）の範囲内である、前記＜１＞～＜９＞のいずれか一項に記載のフィルター材料および／またはフィラー材料。
＜１１＞ 中空セルロースアセテートフィラメントの質量分率が、２０～１００％、好ましくは５０～１００％、より好ましくは７０～１００％である、前記＜１＞～＜１０＞のいずれか一項に記載のフィルター材料および／またはフィラー材料。
＜１２＞ 中空セルロースアセテートフィラメントが、不規則な配置で互いに離れており、セルロ
ースアセテートフィラメントが、架橋されており、接続したセルロースアセテートフィラメントが、互いに絡み合っているおよび／または縺れ合っている、前記＜１＞～＜１１＞のいずれか一項に記載のフィルター材料および／またはフィラー材料。
＜１３＞ 結合剤、特に有機または無機結合剤が、前記セルロースアセテートフィラメントを結合するために更に提供されている、前記＜１＞～＜１２＞のいずれか一項に記載のフィルター材料および／またはフィラー材料。
＜１４＞ 前記＜１＞～＜１３＞のいずれか一項に記載のフィルター材料および／またはフィラー材料を含む、喫煙製品またはＨＮＢ製品で使用するためのマウスピース。
＜１５＞ 前記フィルター材料および／またはフィラー材料の繊維密度が、１０～７０ｋｇ／ｍ ^３ 、好ましくは２０～７０ｋｇ／ｍ ^３ 、より好ましくは４０～６０ｋｇ／ｍ ^３ である、および／または、
シガレットフィルターまたはシガレットフィルター要素が、少なくとも８８％、好ましくは８８％～９５％、より好ましくは９０％～９３％のフィルトロナ硬度を有する、および／または、
シガレットフィルターまたはシガレットフィルター要素が、フィルター長さ１ｍｍあたり少なくとも０．１ｄａＰａ、好ましくは０．２ｄａＰａ～１．０ｄａＰａ、より好ましくは０．３ｄａＰａ～０．７ｄａＰａの吸引抵抗を有する、および／または、
前記フィルター材料および／またはフィラー材料が可塑剤を含み、可塑剤含有量が１％～４０％である、
前記＜１４＞に記載のマウスピース。
＜１６＞ 特にカプセル状またはカプセル様のフレーバー放出要素が、前記フィルター材料および／またはフィラー材料に更に組み込まれている、前記＜１４＞または＜１５＞に記載のマウスピース。
＜１７＞ 前記フィルター材料および／またはフィラー材料が、中空セルロースアセテートフィラメントに加えて、中実セルロースアセテートフィラメントを更に含む、前記＜１４＞～＜１６＞のいずれか一項に記載のマウスピース。
＜１８＞ 前記＜１＞～＜１３＞のいずれか一項に記載のフィルター材料および／またはフィラー材料を含む、シガレットフィルターまたはシガレットフィルター要素。
＜１９＞ 前記フィルター材料および／またはフィラー材料の繊維密度が、１０～７０ｋｇ／ｍ ^３ 、好ましくは２０～７０ｋｇ／ｍ ^３ 、より好ましくは４０～６０ｋｇ／ｍ ^３ である、および／または、
前記シガレットフィルターまたはシガレットフィルター要素が、少なくとも８８％、好ましくは８８％～９５％、より好ましくは９０％～９３％のフィルトロナ硬度を有する、および／または、
前記シガレットフィルターまたはシガレットフィルター要素が、フィルター長さ１ｍｍあたり少なくとも０．１ｄａＰａ、好ましくは０．２ｄａＰａ～１．０ｄａＰａ、より好ましくは０．３ｄａＰａ～０．７ｄａＰａの吸引抵抗を有する、および／または、
前記フィルター材料および／またはフィラー材料が可塑剤を含み、可塑剤含有量が１％～４０％である、
前記＜１８＞に記載のシガレットフィルターまたはシガレットフィルター要素。
＜２０＞ 特にカプセル状またはカプセル様のフレーバー放出要素が、前記フィルター材料および／またはフィラー材料に更に組み込まれている、前記＜１８＞または＜１９＞に記載のシガレッ
トフィルターまたはシガレットフィルター要素。
＜２１＞ 前記シガレットフィルターまたはシガレットフィルター要素が、それぞれ、中空セルロースアセテートフィラメントに加えて、中実セルロースアセテートフィラメントを更に含む、前記＜１８＞～＜２０＞のいずれか一項に記載のシガレットフィルターまたはシガレットフィルター要素。
＜２２＞ 喫煙製品またはＨＮＢ製品における、前記＜１＞～＜１３＞のいずれか一項に記載のフィルター材料および／またはフィラー材料の使用。
＜２３＞ アセチル値が少なくとも５３％であるセルロースアセテートのアセトン溶液が、複数の開口部を有する紡糸口金を通して押し出され、続いてセルロースアセテートフィラメントが、必要に応じてセルロースアセテートステープルファイバーに切断され、そのようにして得られた多数のセルロースアセテートフィラメントおよび／またはセルロースアセテートステープルファイバーが、必要に応じて集められて、潜在的に捲縮したフィルタートウが形成され、
セルロースアセテートの溶液が押し出される前記紡糸口金が、中空セルロースアセテートフィラメントが紡糸されるように設計されている、
喫煙製品またはＨＮＢ製品で使用するためのマウスピース用のフィルター材料および／またはフィラー材料、特に、セルロースアセテートフィラメントおよび／またはセルロースアセテートステープルファイバーからなる前記＜１＞～＜１３＞のいずれか一項に記載のフィルター材料および／またはフィラー材料を製造するための方法。