(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-21
(45)【発行日】2024-01-04
(54)【発明の名称】ポイントセンサを用いた分散型光ファイバセンシング
(51)【国際特許分類】
G01D 5/353 20060101AFI20231222BHJP
【FI】
G01D5/353 B
(21)【出願番号】P 2022541940
(86)(22)【出願日】2021-01-13
(86)【国際出願番号】 US2021013184
(87)【国際公開番号】W WO2021146242
(87)【国際公開日】2021-07-22
【審査請求日】2022-07-07
(32)【優先日】2020-01-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-01-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】504080663
【氏名又は名称】エヌイーシー ラボラトリーズ アメリカ インク
【氏名又は名称原語表記】NEC Laboratories America, Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100123788
【氏名又は名称】宮崎 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100127454
【氏名又は名称】緒方 雅昭
(72)【発明者】
【氏名】ホ、 ジュンチャン
(72)【発明者】
【氏名】ワン、 ティン
【審査官】吉田 久
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-2572(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0005036(US,A1)
【文献】特開2002-288775(JP,A)
【文献】特表2018-511781(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0017687(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01D 5/26-5/38
G01B 11/16
G01K 11/32-11/324
G02B 6/00
G01M 11/00-11/02
G01J 9/00-9/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
分散型光ファイバセンシング(DOFS)システムであって、
ある長さの光ファイバケーブルと、
前記光ファイバケーブルと光通信するDOFSインタロゲータシステムと、
前記ある長さの光ファイバケーブルと機械的に通信する1つ以上のポイントセンサシステムと、
を
有し、
前記1つ以上のポイントセンサシステムは、センサ、音響変調器、および音響振動発生器を含み、
前記音響変調器は、前記センサによって感知された環境状態を表すデジタルデータを音響変調信号に変換し、
前記音響振動発生器は、前記音響変調信号を前記光ファイバケーブルに供給される機械的振動に変換し、
前記音響変調信号が周波数変調信号であり、
前記周波数変調信号は、フレーム内にカプセル化された情報を含み、各フレームはプリアンブルを有し、前記プリアンブルは、一定の周波数で符号化される、DOFSシステム。
【請求項2】
前記センサは、温度センサ、振動センサ、および歪みセンサからなる群から選択された1つである、請求項
1に記載のDOFSシステム。
【請求項3】
前記周波数変調信号は、2進の「0」および「1」をそれぞれ表すために使用される2つの周波数
【数1】
および
【数2】
(波形
【数3】
および
【数4】
)を含む、請求項
1に記載のDOFSシステム。
【請求項4】
周波数
【数5】
および
【数6】
は、前記
DOFSインタロゲータ
システムの光パルス繰返し率の1/2未満であるナイキスト帯域幅内で選択される、請求項
3に記載のDOFSシステム。
【請求項5】
【数7】
および
【数8】
は、互いの高調波周波数から十分離間しており、電界干渉を回避するように選択される、請求項
4に記載のDOFSシステム。
【請求項6】
各周波数ビットは、一定時間Tbにわたって続き、前記音響変調器は、nビットのシンボルを表すために、
【数9】
周波数
【数10】
を使用する、請求項
4に記載のDOFSシステム。
【請求項7】
各周波数ビットが窓掛けされる、請求項
6に記載のDOFSシステム。
【請求項8】
前記プリアンブルは、機械的振動を表さない静粛期間を示すデータを含む、請求項
1に記載のDOFSシステム。
【請求項9】
前記フレームは固定長である、請求項
8に記載のDOFSシステム。
【請求項10】
前記フレームは、重複情報を含む、1つのフレームから別のフレームへの可変長である、請求項
8に記載のDOFSシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は一般に、分散型光ファイバセンシング(DOFS)システム、方法、および構造に関する。より具体的には、本開示はDOFSによるポイントセンサの使用について述べる。
【背景技術】
【0002】
分散型光ファイバセンシングシステムは、従来の技術に対するその固有の利点のために、多数のユニークなセンシング用途において大きな有用性を示した。分散型光ファイバセンシングシステムは、通常はアクセスできない領域に統合することができ、過酷な環境で機能することができる。分散型光ファイバセンシングシステムは、無線周波数干渉および電磁干渉に影響されず、光ファイバケーブルの全長に沿って連続的でリアルタイムの測定を提供することができる。
【0003】
同様に、ポイントセンサ、すなわち、特定の測定を実行するセンサは、様々なセンシング用途においても大きな有用性を示している。ポイントセンサは、その有用性にもかかわらず、特に専用通信ネットワークと結合された場合、DOFSシステムでは使用されていない。
【発明の概要】
【0004】
当技術分野における進歩は、ポイントセンサを有利に使用する分散型光ファイバセンシングシステム、方法、および構造を対象とする本開示の態様に従ってなされる。
【0005】
従来技術とは全く対照的に、本開示によるシステム、方法、および構造は、別個のネットワークまたは通信設備を使用することなく、取り付けられた分散型光ファイバセンサを介して感覚データ/情報を送信するポイントセンサを利用する。
【0006】
特に有利なことに、DOFSシステムの構成要素であるインタロゲータは、受信されたDOFS光インタロゲーション信号からポイントセンサデータ/情報を受け取り、その後復号する。さらに有利なことに、システム、方法、および構造は、特に、特定の分散型センシングシステムに何倍もの影響を及ぼすレイリー後方散乱信号の直接検出のために、強い電力ゆらぎに関連する問題を排除する。
【0007】
本開示の一態様から見ると、本開示の態様によるシステム、方法および構造は、有利にはセンシングファイバの長さに沿った任意の位置で発生する振動を検出する、分散型振動センサ(DVS)インタロゲータまたは分散型音響センサ(DAS)インタロゲータを使用する。
【0008】
センシングファイバの長さに沿って配置されたポイントセンサから生成された感覚データは、ポイントセンサと振動モータまたはスピーカなどの振動デバイスとによって生成された振動に符号化される。この振動装置は、光ファイバに取り付けられ、光ファイバ内に機械的振動を発生させる。後方散乱光信号、すなわち、レイリー後方散乱信号は、生成された振動を示すデータを伝達する。インタロゲータは、直接検出またはコヒーレント検出のいずれかを使用して後方散乱光を受信し、振動を復号して元のメッセージを回復する。
本開示のより完全な理解は、添付の図面を参照することによって実現され得る。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】例示的な従来技術のインタロゲータおよび分散型光ファイバセンシングシステム(DOFS)を示す概略図である。
【0010】
【
図2】本開示の態様による例示的なポイントセンサ強化DOFSシステムを示す概略図である。
【0011】
【
図3】本開示の態様による分散型センシングシステムにおける周波数ビットを示す波形プロットを示す。
【0012】
【
図4】本開示の態様による分散型センシングシステムにおける一例の2ビット/シンボルについての周波数シンボルを示す波形プロットを示す。
【0013】
【
図5】本開示の態様による周波数シンボル/ビットへの窓関数の適用を示す波形プロットを示す。
【0014】
【
図6】本開示の態様による一例のフレームフォーマットを示す波形プロットを示す。
【0015】
【
図7】本開示の態様による情報ビットB1001001101100010のための一例のフレームフォーマットを示す波形プロットを示す。
【0016】
【
図8】本開示の態様によるマイクロコントローラユニット(MCU)動作タイミングを示す概略ブロック図である。
【0017】
【
図9】本開示の態様による一定の送信間隔を有する例示的なフレキシブルフレーム長を示す。
【0018】
例示的な実施形態は、図面および詳細な説明によってより完全に説明される。しかしながら、本開示による実施形態は、様々な形態で具現化されてもよく、図面および詳細な説明に記載された特定のまたは例示的な実施形態に限定されない。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下は、本開示の原理を単に例示するものである。したがって、当業者は、本明細書では明示的に説明または図示されていないが、本開示の原理を具体化し、その精神および範囲内に含まれる様々な構成を考案することができることが理解されよう。
【0020】
さらに、本明細書に列挙されたすべての実施例および条件付き言語は、読者が本開示の原理および本技術を促進するために本発明者によって寄与された概念を理解するのを助けるための教育目的のためだけのものであることが意図され、そのような具体的に列挙された実施例および条件に限定されないものとして解釈されるべきである。
【0021】
さらに、本開示の原理、態様、および実施形態、ならびにその特定の例を列挙する本明細書のすべてのステートメントは、その構造的および機能的同等物の両方を包含することが意図される。さらに、そのような均等物は現在知られている均等物と、将来開発される均等物、すなわち、構造にかかわらず、同じ機能を実行する開発された任意の要素との両方を含むことが意図される。
【0022】
したがって、たとえば、本明細書の任意のブロック図が、本開示の原理を実施する例示的な回路の概念図を表すことが、当業者には理解されよう。
【0023】
本明細書で特に明記しない限り、図面を構成する図は、一定の縮尺で描かれていない。
【0024】
いくつかの追加的背景として、本発明者らは、まず、分散型光ファイバセンシング(DOFS)が、順にインタロゲータに接続される光ファイバケーブルに沿った任意の場所の環境状態(温度、振動、伸張レベルなど)を検出するための重要で広く使用されている技術であることに気付くことから始める。周知のように、現代のインタロゲータは、ファイバへの入力信号を生成し、反射/散乱され、その後受信された信号を検出/分析するシステムである。信号を分析し、ファイバの長さに沿って遭遇する環境状態を示す出力を生成する。こうして受信される信号は、ラマン後方散乱、レイリー後方散乱、およびブリリオン後方散乱のようなファイバ内の反射から生じることがある。また、複数のモードの速度差を利用した順方向の信号にすることもできる。一般性を損なうことなく、以下の説明では、同様のアプローチを転送された信号にも適用することができるが、反射された信号を仮定する。
【0025】
理解されるように、現代のDOFSシステムは、光パルス(または任意の符号化信号)を周期的に生成し、それらを光ファイバに導入するインタロゲータを含む。導入された光パルス信号は、光ファイバに沿って搬送される。
【0026】
ファイバの長さに沿った位置で、信号の極一部が反射され、インタロゲータに戻される。反射された信号は、例えば機械的振動を示す電力レベル変化のような、インタロゲータが検出するために使用する情報を搬送する。
【0027】
反射された信号は、電気領域に変換され、インタロゲータ内部で処理される。パルス導入時間と時間信号が検出されることとに基づいて、インタロゲータは、信号がファイバに沿ってどの位置から来るかを決定し、したがって、ファイバに沿った各位置の活動を感知することができる。
【0028】
以下に示すように、本開示の態様によるシステム、方法、および構造は、DVS(分散型振動センサ)インタロゲータまたはDAS(分散型音響センサ)インタロゲータを使用して、パルス繰返し率の等価サンプリング周波数でセンシングファイバに沿った任意の場所で発生する振動を回復する。例えば、20kHzの繰返し率のパルスを使用するDVSまたはDASの場合、関心点の振動は、20kHzの周波数でサンプリングされる。この周波数は、当業者に理解され認識されるように、ナイキストの法則にしたがって10kHzまでの周波数をカバーすることができる。
【0029】
以下に示すように、本開示によれば、ポイントセンサ/送信装置から送信されるデータ/情報は、振動モータまたはスピーカなどの光ファイバに取り付けられた振動デバイスの作用を通じてポイントセンサによって生成される機械的振動に符号化される。後方散乱光信号、特にレイリー後方散乱信号は、ポイントセンサ/振動装置によって生成された振動を伝達する。
【0030】
インタロゲータは、直接検出またはコヒーレント検出のいずれかを使用して、有利に後方散乱光を受信し、その後、振動を復号して元の振動「メッセージ」を回復する。
【0031】
当業者であれば、ポイントセンサ/振動装置/送信装置が、メッセージを送信するために周波数変調方法論を使用し、これがレイリーフェージングの厳しい電力変動環境において役立つことを理解するであろう。送信される感覚データ/情報は、各々が1つの周波数(「周波数周期」と呼ばれる)を使用する複数の固定タイムスロットを含むフレームにカプセル化される。
【0032】
例示的な実施形態では、フレームは、インタロゲータが1つまたは複数の専用周波数を使用して開始点を決定することができるように、1つまたは複数の周波数周期を含む。このような期間は、機能的にプリアンブルに類似しており、データ/情報のための1つまたは複数の周波数期間は、ビットから周波数へのマッピングを介している。
【0033】
単に例示的な実施例として、バイナリコードに2つの周波数を使用して、「0」を周波数Aにマッピングし、「1」を周波数Bにマッピングすることができる。マルチレベルコード(すなわち、「シンボル」)に4つの周波数を使用する別の例示的な実施例では、「00」を周波数Aにマッピングし、「01」を周波数Bにマッピングし、「10」を周波数Cにマッピングし、「11」を周波数Dにマッピングすることができる。
【0034】
動作的に、かつ本開示の例示的な態様に従って、ポイントセンサ/送信装置は、一定の間隔でメッセージを送信する。メッセージを送信していない、または他の動作を実行していない(例えば、データを収集している)任意の期間の間、電力を節約するためにスリープモードにすることができる。
【0035】
ポイントセンサが準備完了する(データを収集し、定期的にインタロゲータに送り返す)と、インタロゲータロジックは、初期同期中にプリアンブルの受信入力をスキャンする。動作上、これは、特定の位置からおよび/または特定の位置に関連するプリアンブルを連続的に探索することによって達成され得る。そのようなプリアンブルが識別され、開始時間が計算されると、インタロゲータは、任意の符号化され/伝達されたデータ/情報を復号する。その後の動作では、インタロゲータは、ポイントセンサに関連する送信装置と同じ時間間隔を使用して次のフレームを探す。
【0036】
有利には、緊急情報のために、ポイントセンサは、より強い振動を使用して、いつでも送信することができ、そのため、インタロゲータは、規則的な振動検出方法を使用してそれを識別し、次いで、本開示による復号方法を使用してフォローアップしてメッセージを回復する。
【0037】
図1は、例示的な従来技術のインタロゲータおよび分散型光ファイバセンシングシステム(DOFS)を示す概略図である。この図から分かるように、当該システムは、インタロゲータとその取り付けられたセンシングファイバとを含むDVSまたはDASを備えることができる。前述したように、インタロゲータは、光パルスをファイバに周期的に供給/導入する。供給されたパルスの極一部は、当該パルスがファイバの長さ方向に横断する間に、ファイバに沿った各位置で反射される。反射信号は、情報(例えば、ファイバへの振動)をインタロゲータに伝達する。インタロゲータは、後方散乱信号を連続的にサンプリングし、前処理(フィルタリング、正規化など)を実行し、最終的に位置ごとの処理を実行する。位置iに対して、このような位置は、時刻t
i+n
*Tのシグナルと関連する。ここで、t
iは、インタロゲータが位置iの反射を受信する時刻であり、Tはパルス繰返し周期長であり、n=0,1,2,...である。有利には、周期的パルスは、システム感度および分解能を増加させるためにコードシーケンスを含むことができる。
【0038】
図2は、本開示の態様による、例示的な、ポイントセンサ強化DOFSシステムを示す概略図である。この図を参照すると、1つまたは複数のポイントセンサがファイバに取り付けられ、機械的振動を介して光ファイバに伝えられるように、それぞれの感知されたデータ/情報をインタロゲータに送ることが観察され得る。先に述べたように、ポイントセンサは、一般に、温度センシング用のサーミスタ、感知された特性を表すデジタルデータを音響変調信号に変換する音響変調器、および音響変調信号を機械的振動に変換する音響振動発生器のような特定の特性を感知するための構造/回路/機構を含む。ファイバに取り付けられた振動発生器は、変調された信号を後方散乱光に与え、後方散乱光はインタロゲータによって検出され、復号されて、そこから任意の情報を回復する。
【0039】
例示的な実施形態では、音響変調器は、周波数変調を使用する。単純な2進法の場合では、それぞれ周波数ビットと呼ばれる2進の「0」と「1」を表すために使用される2つの周波数
【数1】
と
【数2】
(波形
【数3】
と
【数4】
)がある。周波数
【数5】
と
【数6】
は、インタロゲータの光パルス繰返し率の1/2未満のナイキスト帯域幅内で選択される。干渉を避けるために、
【数7】
と
【数8】
はお互いの高調波周波数から十分に離れている。フィールド干渉を避けるために、周波数を選択することもできる。
【0040】
このような例示的な方式では、各周波数ビットは、
図3に示すように、一定期間T
bにわたって持続する。一実施形態では、音響変調器は、f
nビットのシンボルを表すため、
【数9】
周波数
【数10】
を使用する。各周波数は、周波数シンボルと呼ばれる。
【0041】
例えば、2ビットシンボルの場合、
図4に示すように、
【数11】
周波数:
【数12】
によって表される’b00(すなわち、2進値00)、
【数13】
によって表される’b01、
【数14】
によって表される’b10、および
【数15】
によって表される’b11を使用することができる。2進法の場合と同様に、1つの周波数シンボルが一定期間T
s持続する。
【0042】
例示的な一実施形態では、窓関数が、インタロゲータにおけるより良好なタイミングエラー耐性のために、余弦波からゼロプラス特定ゼロ周期(zero plus certain zero periods)への滑らかな遷移のために、周波数ビット/シンボルに適用される。これは、
図5に例示的に示されている。
【0043】
インタロゲータに送信される情報は、固定フォーマットのフレームにカプセル化される。例示的な一実施形態では、フレームは、プリアンブルと、それに続く情報フィールドとを含む。プリアンブルは、単一の周波数、または複数の周波数の組合せを使用して、1つまたは複数のビット/シンボル期間を含むことができる。プリアンブルは、情報フィールドと同じ周波数を使用してもよいし、異なる周波数を使用してもよい。
【0044】
例示的な一実施形態では、プリアンブルは、
図6に示されるように、情報フィールドの前に、静粛期間が続く単一の周波数を使用する(プリアンブル、静粛期間、および情報フィールドを有するフレーム図示)。静粛期間は、プリアンブルの中心を識別するのに役立つが、情報フィールドからの干渉を避ける一方、特にプリアンブル周波数が情報フィールドでも使用される場合に役立つ。
【0045】
例示的な実施では、フレームは、600Hz、700Hz、800Hz、及び900Hzの周波数を使用して、2kHzのパルス繰返し率をサポートする。各周波数間隔は、2ビットシンボルの場合であり、例えば、‘b00に対して600Hz、‘b01に対して700Hz、‘b10に対して800Hz、‘b11に対して900Hzである。プリアンブルは、600Hz(またはより良好な応答を有する他の周波数のいずれか)を使用する。1つの周波数周期が50msであると仮定し、次に情報‘b1001001101100010について、フレームを
図7に示す。
【0046】
有利には、本開示の態様による音響変調器は、MCU(マイクロコントローラユニット)にDAC(デジタル-アナログ変換器)を加えたものであってもよく、MCUはシンボルを離散窓付き波形にマッピングし、DACに出力し、次いで、高周波高調波を除去するためのローパスフィルタを備える。MCUおよびDACは、単一のチップ、または、I2S(Inter-IC Sound)インターフェースを介して接続された異なるチップ(すなわち、MCUおよび専用オーディオチップ)に統合することができる。また、音響変調器は、MCUの内蔵PWM(パルス幅変調)モジュールを使用して、PWMサイクル長を変更することによって所望の周波数を生成することもできる。
【0047】
当業者には容易に明らかであるように、本開示の態様によるDVSまたはDASは、ファイバに沿った任意の位置から誘発された振動を検出する能力を示す。この特徴を利用することにより、ポイントセンサはいつでも情報を送出することができる。
【0048】
動作上、DVSまたはDASインタロゲータは、ファイバに沿った関心のある位置について振動検出動作を定期的に実行する。ポイントセンサが取り付けられた場所から検出された振動があり、有効な信号(例えば、ある閾値を超える)であると考えられると、インタロゲータ内の復調器は、その位置からの受信信号を処理し、復調を実行する。理解されるように、このような動作は、振動を検出することができるように、インタロゲータで受信される信号に対して一定の信号対雑音比(SNR)を必要とし、これは、振動発生器からの一定の電力レベルを必要とする。
【0049】
当業者であれば、周波数変調は、SNRが低い場合であっても、受信装置が依然としてFFT(高速フーリエ変換)を介してピークスペクトルを得ることができるという利点を有することを理解するのであろう。これは、規則的な手法を用いてインタロゲータによって振動が検出されない場合であっても、信号が適切に復調され得ることを意味する。インタロゲータの処理負荷を低減するために、ポイントセンサは、一定の間隔で情報を送信することができ、その結果、インタロゲータは、同期が達成されると、その間隔中に受信された信号を処理する必要があるだけである。
【0050】
1つの例示的な動作実施形態では、MCUが通常モードにあり、情報を処理または送信しない間、MCUはスリープモードに置かれてもよい。起動時には、第1のタイマをセットし、次いで、データ収集などの定期的な処理を行う。第1のタイマが満了すると、MCUは、第2のタイマを設定し、音響変調器を介して情報を送出する。その情報が送信された後、MCUは、1サイクルの処理を終了し、再びスリープモードに戻ることができる。第2のタイマの満了は、別の処理ラウンドのためにMCUを起動する。第1および第2のタイマの合計は、情報送信間隔であり、おおよそ一定の値である。第2のタイマ期間は、MCUがデータ収集および他の必要な動作を行うのに十分な長さである一方、送信された情報に最新のステータスを反映させるのに可能な限り短い。この手順を
図8に示す。
【0051】
上記の2つの例示的なアプローチは、同じポイントセンサで使用することができる。通常の動作では、ポイントセンサは、低振動レベルで一定の間隔で情報を送信する。警報メッセージのような、より緊急の情報が即座に送信されるために、ポイントセンサは、インタロゲータをトリガするためにより高い振動レベルを使用する。
【0052】
グローバル同期を必要とする用途の場合、ポイントセンサは、割り当てられたタイムスロットにおいてのみ情報を送信するために、GPSなどのグローバルタイミングデバイスを有することができる。これにより、インタロゲータは、これらの間隔でのみ動作/復調することができる。
【0053】
レイリーフェージングに対する耐性を高めるために、より高い配信信頼度を必要とする情報については、MCUは、通常のフレームに続く重複フレームを送信することができる。動作上、インタロゲータ/受信機は、受信すべき重複フレームがあるかどうかを決定するために、有効なスペクトルピークが第1のフレームに続いて見つかったかどうかをチェックする。同様の手法は、フレームが常に一定間隔から始まり、追加の有効スペクトルピークがより長いフレームが受信されることを意味するという点で、可変情報長に対して使用することができる。これを
図9に示す。なお、フレーム配信の正確性は、パリティ検査を使用すること、および/または誤り訂正符号を使用することによっても改善することができる。
【0054】
これまで、いくつかの特定の例を使用して本開示を提示したが、当業者は本教示がそのように限定されないことを認識するのであろう。したがって、この開示は、本明細書に添付される特許請求の範囲によってのみ限定されるべきである。