(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-21
(45)【発行日】2024-01-04
(54)【発明の名称】ゴルフボールの複数層において放射線不透過性フィラーを使用する方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
A63B 37/00 20060101AFI20231222BHJP
【FI】
A63B37/00 512
A63B37/00 412
A63B37/00 316
(21)【出願番号】P 2022544096
(86)(22)【出願日】2021-05-24
(86)【国際出願番号】 US2021033827
(87)【国際公開番号】W WO2021242665
(87)【国際公開日】2021-12-02
【審査請求日】2022-07-22
(32)【優先日】2020-05-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】300044551
【氏名又は名称】トップゴルフ キャラウェイ ブランズ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100187964
【氏名又は名称】新井 剛
(72)【発明者】
【氏名】メランソン,デイヴィッド エム.
【審査官】井上 香緒梨
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-248004(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0103164(US,A1)
【文献】特開平11-290480(JP,A)
【文献】特開2017-109005(JP,A)
【文献】国際公開第2020/009887(WO,A1)
【文献】特開2013-126547(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0082102(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B37/00-37/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴルフボールであって、
ポリブタジエンを含む中心コアと、
前記中心コア上に配された外側コアと、
前記外側コア上に配された内側マントル層と、
前記内側マントル層上に配された外側マントル層と、
前記外側マントル層上に配された被覆層とを備え、
前記中心コア及び前記被覆層の各々は0.05重量%~70重量%の第1の放射線不透過性フィラーを含み、前記中心コア及び前記被覆層は、同じ濃度の前記第1の放射線不透過性フィラーを有し、
前記外側コア、前記内側マントル層及び前記外側マントル層の各々が0.05重量%~70重量%の第2の放射線不透過性フィラーを含み、前記外側コア、前記内側マントル層及び前記外側マントル層の各々は、他のいずれの層の放射線不透過性フィラーの濃度とも、測定可能に異な
り、X線装置で測定可能である前記第2の放射線不透過性フィラーの濃度を有し、
前記外側コア、前記内側マントル層及び前記外側マントル層の各層の放射線不透過性フィラーの濃度について、前記各層がX線画像において相互に異なるコントラストを有する、ゴルフボール。
【請求項2】
前記放射線不透過性フィラーは、バリウム、ビスマス、タングステン、ヨウ素、又は還元鉄に基づく化合物である、請求項1に記載のゴルフボール。
【請求項3】
前記被覆層は、アイオノマー材料からなる、請求項1に記載のゴルフボール。
【請求項4】
前記内側マントル層は、0.03インチ~0.09インチの範囲の厚さを有し、アイオノマー材料からなり、34~55の範囲のプラークショアD硬度を有し、
前記外側マントル層は、0.025インチ~0.050インチの範囲の厚さを有し、
前記被覆層は0.025インチ~0.040インチの範囲の厚さを有する、請求項1に記載のゴルフボール。
【請求項5】
前記内側マントル層は、0.030インチ~0.090インチの範囲の厚さを有し、30~50の範囲のプラークショアD硬度を有し、
前記外側マントル層は、0.025インチ~0.070インチの範囲の厚さを有し、50~71の範囲のプラークショアD硬度を有し、
前記内側マントルは前記外側マントルよりも厚く、前記外側マントルは前記内側マントルよりも硬い、請求項1に記載のゴルフボール。
【請求項6】
前記内側マントル層は、0.070インチ~0.090インチの範囲の厚さを有し、アイオノマー材料からなり、36~44の範囲のプラークショアD硬度を有し、
前記外側マントル層は、0.025インチ~0.040インチの範囲の厚さを有し、アイオノマー材料からなり、65~71の範囲のプラークショアD硬度を有し、
前記被覆層は0.025インチ~0.040インチの範囲の厚さを有する、請求項1に記載のゴルフボール。
【請求項7】
前記内側マントル層は、0.030インチ~0.050インチの範囲の厚さを有し、30~40の範囲のプラークショアD硬度を有し、アイオノマー材料からなり、
前記ゴルフボールは、
前記内側マントル層上に配された第1の中心マントル層であって、0.030インチ~0.050インチの範囲の厚さを有し、40~55の範囲のプラークショアD硬度を有し、完全中和ポリマー材料からなる第1の中心マントル層と、
前記第1の中心マントル層上に配された第2の中心マントル層であって、0.030インチ~0.050インチの範囲の厚さを有し、45~55の範囲のプラークショアD硬度を有し、完全中和ポリマー材料からなる第2の中心マントル層と、
をさらに備え、
前記外側マントル層は、前記第2の中心マントル層上に配され、0.030インチ~0.050インチの範囲の厚さを有し、アイオノマー材料からなり、60~75の範囲のプラークショアD硬度を有し、
前記被覆層は0.025インチ~0.040インチの範囲の厚さを有し、
前記第1の中心マントル層、前記第2の中心マントル層及び前記外側マントル層の各々が0.05重量%~70重量%の前記第2の放射線不透過性フィラーを含み、前記内側マントル層、前記第1の中心マントル層、前記第2の中心マントル層及び前記外側マントル層の各々は、他のいずれの層の前記第2の放射線不透過性フィラーの濃度とも測定可能に異な
り、前記X線装置で測定可能である前記放射線不透過性フィラーの濃度を有
し、
前記内側マントル層、前記第1の中心マントル層、前記第2の中心マントル層及び前記外側マントル層の各層の放射線不透過性フィラーの濃度について、前記各層がX線画像において相互に異なるコントラストを有する、請求項1に記載のゴルフボール。
【請求項8】
前記内側マントル層は、0.030インチ~0.050インチの範囲の厚さを有し、30~40の範囲のプラークショアD硬度を有し、アイオノマー材料からなり、
前記ゴルフボールは、
前記内側マントル層上に配された第1の中心マントル層であって、0.030インチ~0.050インチの範囲の厚さを有し、40~55の範囲のプラークショアD硬度を有し、完全中和ポリマー材料からなる第1の中心マントル層と、
前記第1の中心マントル層上に配された第2の中心マントル層であって、0.030インチ~0.050インチの範囲の厚さを有し、45~55の範囲のプラークショアD硬度を有し、完全中和ポリマー材料からなる第2の中心マントル層と、
前記第2の中心マントル層上に配された外側マントル層であって、0.030インチ~0.050インチの範囲の厚さを有し、アイオノマーのブレンドからなり、60~75の範囲のプラークショアD硬度を有する外側マントル層と
をさらに備え、
前記被覆層は0.025インチ~0.040インチの範囲の厚さを有し、
前記第1の中心マントル層、前記第2の中心マントル層及び前記外側マントル層の各々が0.05重量%~70重量%の前記第2の放射線不透過性フィラーを含み、前記第1の中心マントル層、前記第2の中心マントル層及び前記外側マントル層の各々は、他のいずれの層の放射線不透過性フィラーの濃度とも測定可能に異な
り、前記X線装置で測定可能である前記第2の放射線不透過性フィラーの濃度を有する、請求項1に記載のゴルフボール。
【請求項9】
撮像装置を使用して完成品ゴルフボールのパラメータを特定する方法であって、
請求項1に記載のゴルフボールを撮像装置に設置するステップと、
前記ゴルフボールを撮像して前記ゴルフボールのパラメータを特定するステップと
を備える、方法。
【請求項10】
前記撮像装置はX線装置であり、X線処理が一定又は可変のX線パワー/強度において種々の前記層を識別する、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
ゴルフボールであって、
ポリブタジエンを含む中心コアと、
前記中心コア上に配された外側コアと、
前記外側コア上に配された内側マントル層と、
前記内側マントル層上に配された外側マントル層と、
前記外側マントル層上に配された被覆層と、
を備え、
前記中心コア及び前記被覆層は0.05重量%~70重量%の第1の放射線不透過性フィラーを含み、前記中心コア及び前記被覆層は、同じ濃度の第1の放射線不透過性フィラーを有し、
前記外側コア、前記内側マントル層及び前記外側マントル層の各々が0.05重量%~70重量%の第2の放射線不透過性フィラーを含み、前記外側コア、前記内側マントル層及び前記外側マントル層の各々は、X線画像において他のいずれの層の放射線不透過性フィラーとは異なるコントラストを有する、ゴルフボール。
【請求項12】
前記第1の放射線不透過性フィラー及び前記第2の放射線不透過性フィラーは、バリウム、ビスマス、タングステン、ヨウ素又は還元鉄に基づく化合物から選択される、請求項11に記載のゴルフボール。
【請求項13】
前記被覆層は、アイオノマー材料からなる、請求項11に記載のゴルフボール。
【請求項14】
前記内側マントル層は、0.03インチ~0.09インチの範囲の厚さを有し、アイオノマー材料からなり、34~55の範囲のプラークショアD硬度を有し、
前記外側マントル層は、0.025インチ~0.050インチの範囲の厚さを有し、
をさらに備え、
前記被覆層は0.025インチ~0.040インチの範囲の厚さを有する、請求項11に記載のゴルフボール。
【請求項15】
前記内側マントル層は、0.030インチ~0.090インチの範囲の厚さを有し、30~50の範囲のプラークショアD硬度を有し、
前記外側マントル層は、0.025インチ~0.070インチの範囲の厚さを有し、50~71の範囲のプラークショアD硬度を有し、
前記内側マントル層は前記外側マントル層よりも厚く、前記外側マントル層は前記内側マントル層よりも硬い、請求項11に記載のゴルフボール。
【請求項16】
前記内側マントル層は、0.070インチ~0.090インチの範囲の厚さを有し、アイオノマー材料からなり、36~44の範囲のプラークショアD硬度を有し、
前記外側マントル層は、0.025インチ~0.040インチの範囲の厚さを有し、アイオノマー材料からなり、65~71の範囲のプラークショアD硬度を有し、
前記被覆層は0.025インチ~0.040インチの範囲の厚さを有する、請求項11に記載のゴルフボール。
【請求項17】
前記内側マントル層は、0.030インチ~0.050インチの範囲の厚さを有し、30~40の範囲のプラークショアD硬度を有し、アイオノマー材料からなり、
前記ゴルフボールは、
前記内側マントル層上に配された第1の中心マントル層であって、0.030インチ~0.050インチの範囲の厚さを有し、40~55の範囲のプラークショアD硬度を有し、完全中和ポリマー材料からなる第1の中心マントル層と、
前記第1の中心マントル層上に配された第2の中心マントル層であって、0.030インチ~0.050インチの範囲の厚さを有し、45~55の範囲のプラークショアD硬度を有し、完全中和ポリマー材料からなる第2の中心マントル層と、を備え、
前記外側マントル層は、前記第2の中心マントル層上に配され、0.030インチ~0.050インチの範囲の厚さを有し、アイオノマー材料からなり、60~75の範囲のプラークショアD硬度を有し、
前記被覆層は0.025インチ~0.040インチの範囲の厚さを有する、請求項11に記載のゴルフボール。
【請求項18】
前記内側マントル層は、0.030インチ~0.050インチの範囲の厚さを有し、30~40の範囲のプラークショアD硬度を有し、アイオノマー材料からなり、
前記ゴルフボールは、
前記内側マントル層上に配された第1の中心マントル層であって、0.030インチ~0.050インチの範囲の厚さを有し、40~55の範囲のプラークショアD硬度を有し、完全中和ポリマー材料からなる第1の中心マントル層と、
前記第1の中心マントル層上に配された第2の中心マントル層であって、0.030インチ~0.050インチの範囲の厚さを有し、45~55の範囲のプラークショアD硬度を有し、完全中和ポリマー材料からなる第2の中心マントル層と、をさらに備え
前記外側マントル層は、0.030インチ~0.050インチの範囲の厚さを有し、アイオノマーのブレンドからなり、60~75の範囲のプラークショアD硬度を有し、
前記被覆層は0.025インチ~0.040インチの範囲の厚さを有し、
前記第1の中心マントル層、及び前記第2の中心マントル層の各々が0.05重量%~70重量%の異なる前記第2の放射線不透過性フィラーを含み、前記第2の放射線不透過性フィラーの各々はX線画像において相互に異なるコントラストを有する、請求項11に記載のゴルフボール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴルフボールのための放射線不透過性フィラーに関する。
【背景技術】
【0002】
これまでX線走査法がゴルフボールに用いられていた。
【0003】
米国特許第6390937号、Marshall他、発明の名称「Method For Verifying The Concentricity Of A Multiple-Layer Golf Ball」は、ゴルフボールの同心性を確保するためにX線画像装置を用いてゴルフボールの各箇所の厚さを特定することを開示する。
【0004】
従来技術は、任意数のX線解析技術を介してボールの複数の層を撮像することを開示していない。
【0005】
X線によるゴルフボールの層厚又は偏心度の特定は、従来技術に開示されている。これは、層に放射線不透過性フィラーをドーピングして他の層とのコントラストを与えることを伴う。しかし、従来技術は、単一の層をドーピングして測定を行うことにしか言及していない。またさらに、それは、非常に特異な充填物、材料及びX線処理に言及する。この技術は、任意数のX線解析技術を介してボールの複数の層を撮像可能とするものではない点で限定的である。
【発明の概要】
【0006】
本発明は、同じ又は異なる放射線不透過性フィラーを同じ又は異なる濃度で複数のゴルフボール層にドーピングして、X線処理における差分コントラストを与える。
【0007】
本発明の一態様は、ポリブタジエンを含む中心コアと、中心コア上に配された被覆層とを備えるゴルフボールである。中心コア及び被覆層の各々は0.05重量%~70重量%の放射線不透過性フィラーを含み、中心コアは被覆層における放射線不透過性フィラーの濃度とは測定可能に異なる放射線不透過性フィラーの濃度を有する。
【0008】
本発明のさらに他の態様は、ポリブタジエンを含む中心コアと、中心コア上に配された外側コアと、外側コア上に配された内側マントル層と、内側マントル層上に配された外側マントル層と、外側マントル層上に配された被覆層を備えるゴルフボールである。中心コア、外側コア、内側マントル層、外側マントル層及び被覆層の各々は、0.05重量%~70重量%の放射線不透過性フィラーを含む。中心コア、外側コア、内側マントル層、外側マントル層及び被覆層の各々は、他のいずれの層の放射線不透過性フィラーの濃度とも測定可能に異なる前記放射線不透過性フィラーの濃度を有する。内側マントル層は、0.03インチ~0.09インチの範囲の厚さを有する。内側マントル層は、アイオノマー材料からなる。内側マントル層は、34~55の範囲のプラークショアD硬度を有する。外側マントル層は、0.025インチ~0.050インチの範囲の厚さを有する。被覆層は、0.025インチ~0.040インチの範囲の厚さを有する。
【0009】
本発明のさらに他の態様は、中心コアと、外側コアと、外側コア上に配された被覆層である。中心コア、外側コア及び被覆層のうちの2つは0.05重量%~70重量%の放射線不透過性フィラーを含み、中心コア、外側コア及び被覆層のうちの上記2つは、他の層における放射線不透過性フィラーの濃度とは測定可能に異なる放射線不透過性フィラーの濃度を有する。
【0010】
本発明の他の態様は、撮像装置を使用して完成品ゴルフボールのパラメータを特定する方法である。方法は、ゴルフボールを撮像装置に設置するステップを含む。方法は、ゴルフボールを撮像してゴルフボールのパラメータを特定するステップも含む。ゴルフボールは、中心コア及びその中心コア上に配された被覆層を備える。中心コア及び被覆層の各々は0.05重量%~70重量%の放射線不透過性フィラーを含む。中心コアは被覆層における放射線不透過性フィラーの濃度とは測定可能に異なる放射線不透過性フィラーの濃度を有する。
【0011】
本発明のさらに他の態様は、ポリブタジエンを含む中心コアと、中心コア上に配された被覆層とを備えるゴルフボールである。中心コアは0.05重量%~70重量%の第1の放射線不透過性フィラーを含み、被覆層は第1の放射線不透過性フィラーとは異なる0.05重量%~70重量%の第2の放射線不透過性フィラーを含み、X線画像において第1の放射線不透過性フィラーとは異なるコントラストを有する。
【0012】
本発明のさらに他の態様は、中心コアと、外側コアと、外側コア上に配された被覆層である。中心コアは、0.05重量%~70重量%の第1の放射線不透過性フィラーを含む。外側コアは、0.05重量%~70重量%の第2の放射線不透過性フィラーを含み、被覆層は0.05重量%~70重量%の第3の放射線不透過性フィラーを含む。各放射線不透過性フィラーが異なり、各放射線不透過性フィラーはX線画像において相互に異なるコントラストを有する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1-2】
図1は、コア構成要素及び被覆層を有し、各層が放射線不透過性フィラーを含む、ゴルフボールの断面図である。
図2は、内側コア層、外側コア層、内側マントル層、外側マントル層及び被覆層を有し、これらの層の一部が放射線不透過性フィラーを含む、ゴルフボールの断面図である。
【
図3-4】
図3は、コア構成要素、内側マントル層、2次マントル層、中間マントル層、外側マントル層及び被覆層を有し、これらの層の一部が放射線不透過性フィラーを含む、ゴルフボールの断面図である。
図4は、内側コア層、外側コア層及び被覆層を有し、これらの層の一部が放射線不透過性フィラーを含む、ゴルフボールの断面図である。
【
図5】
図5は、内側コア層、外側コア層、内側マントル層、外側マントル層及び被覆層を有し、各層が放射線不透過性フィラーを含む、ゴルフボールの断面図である。
【
図6】
図6は、撮像装置を使用して完成品ゴルフボールのパラメータを特定する方法のフローチャート図である。
【
図7-8】
図7は、100キログラム荷重下での内側コア層の断面図である。
図8は、100キログラム荷重下でのコアの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は、ボールの複数の層における種々の充填材又はフィラータイプの使用を可能として、それらの層のX線解析を好ましくは単一の通過で可能とする。またさらに、既存の従来技術は、構造及び材料に特異なものとなり得る。本発明は、より広範に適用され得る。
【0015】
本発明の主な目的は、ゴルフボールの複数の層を異なる濃度又は異なるタイプの放射線不透過性材料で充填して、X線装置によって単一の通過で複数の層の層厚及び同心度/偏心度の測定を可能とするものである。これは、層間のコントラスト差を与える任意数のX線解析技術によって行われる。ボールにおける全ての層/構成要素の直径、厚さ及び偏心度を測定することができる。
【0016】
本発明は、種々の濃度又は種々のタイプの放射線不透過性フィラーによるゴルフボールの複数の層の充填を開示する。フィラーは、これに限定されないが、バリウム、ビスマス、タングステン、ヨウ素又は還元鉄に基づく化合物を含む。層は、好ましくは、0.05重量%~70重量%でフィラーを含む。理想的には、各層は、異なる濃度の同じ又は異なる放射線不透過性フィラーでドーピングされる。そして、X線処理は、一定又は可変のX線パワー/強度で種々の層を識別することができる。
【0017】
構成は、X線処理において差分コントラストを与える、同じ/異なる濃度の同じ/異なる放射線不透過性フィラーによる複数のゴルフボール層のドーピングを含む。
【0018】
ポリブタジエンからなる中心コア12及びこの中心コア12上に配された被覆16層を備えるゴルフボール10を
図1に示す。中心コア12及び被覆層16の各々は0.05重量%~70重量%の放射線不透過性フィラーを含み、中心コア12は、被覆16層における放射線不透過性フィラーの濃度とは測定可能に異なる放射線不透過性フィラーの濃度を有する。被覆層は、好ましくはアイオノマー材料からなる。
【0019】
好適な実施形態では、独立した層が0.05重量%~70重量%の放射線不透過性フィラーを含み、層の各々は、放射線不透過性フィラーを含む他の層における放射線不透過性フィラーの濃度とは測定可能に異なる放射線不透過性フィラーの濃度を有する。放射線不透過性フィラーは、好ましくは、バリウム、ビスマス、タングステン、ヨウ素又は還元鉄に基づく化合物である。
【0020】
図2は、中心コア12a上に配された外側コア12b、外側コア12b上に配された内側マントル14a層、内側マントル14a層上に配された外側マントル14b層、及び外側マントル14b層上に配された被覆16層をさらに備える5層ゴルフボール10を示す。
【0021】
内側マントル14aの層厚は、好ましくは0.03インチ~0.09インチの範囲であり、アイオノマー材料からなる。内側マントル14a層は、好ましくは34~55の範囲のプラークショアD硬度を有する。外側マントル14bの層厚は、好ましくは0.025インチ~0.050インチの範囲である。被覆16の層厚は、好ましくは0.025インチ~0.040インチの範囲である。
【0022】
外側コア12b、内側マントル14a層及び外側マントル14b層の各々は0.05重量%~70重量%の放射線不透過性フィラーを含み、各層は、他のいずれの層の放射線不透過性フィラーの濃度とも測定可能に異なる放射線不透過性フィラーの濃度を有する。
【0023】
代替の実施形態では、ゴルフボール10は、外側コア12b、中心コア12a、内側マントル14a層、外側マントル14b層及び被覆16層を備える。内側マントル14a層は、0.030インチ~0.090インチの範囲の厚さ及び30~50の範囲のプラークショアD硬度を有する。外側マントル14b層は、0.025インチ~0.070インチの範囲の厚さ及び50~71の範囲のプラークショアD硬度を有する。内側マントル14aは外側マントル14bよりも厚く、かつ外側マントル14bは内側マントル14aよりも硬い。
【0024】
この代替実施形態では、外側コア12b、内側マントル層14a及び外側マントル14b層の各々は0.05重量%~70重量%の放射線不透過性フィラーを含み、各層は、他のいずれの層の放射線不透過性フィラーの濃度とも測定可能に異なる放射線不透過性フィラーの濃度を有する。
【0025】
他の代替実施形態では、内側マントル14a層は、0.070インチ~0.090インチの範囲の厚さを有し、アイオノマー材料からなる。内側マントル14a層材料は、好ましくは36~44の範囲のプラークショアD硬度を有する。この実施形態では、外側マントル14b層は、0.025インチ~0.040インチの範囲の厚さを有し、アイオノマー材料からなる。外側マントル14b層材料は、好ましくは65~71の範囲のプラークショアD硬度を有する。また、この実施形態では、被覆16層は、0.025インチ~0.040インチの範囲の厚さを有する。
【0026】
図3は、ゴルフボール10の代替実施形態を示す。ゴルフボール10は、複数のマントル層からなる。内側マントル14aは中心コア12上に配され、第1の中心マントル14c層は内側マントル14a層上に配され、第2の中心マントル14d層は第1の中心マントル14c層上に配され、外側マントル14b層は第2の中心マントル14d層上に配され、被覆16層は外側マントル層14b上に配される。
【0027】
この実施形態では、内側マントル14aは、0.030インチ~0.050インチの範囲の厚さを有し、アイオノマー材料からなる。内側マントル層材料は、30~40の範囲のプラークショアD硬度を有する。第1の中心マントル14c層は、0.030インチ~0.050インチの範囲の厚さを有し、完全中和ポリマー材料からなる。第1の中心マントル14c層材料は、40~55の範囲のプラークショアD硬度を有する。第2の中心マントル14d層は、0.030インチ~0.050インチの範囲の厚さを有し、これも完全中和ポリマー材料からなる。第2の中心マントル14d層材料は、45~55の範囲のプラークショアD硬度を有する。外側マントル14b層は、0.030インチ~0.050インチの範囲の厚さを有し、アイオノマー材料からなる。外側マントル14b層材料は、60~75の範囲のプラークショアD硬度を有する。被覆16層は、0.025インチ~0.040インチの範囲の厚さを有する。
【0028】
また、この実施形態では、マントル層14a~14dの各々は0.05重量%~70重量%の放射線不透過性フィラーを含み、各層は、他のいずれの層の放射線不透過性フィラーの濃度とも測定可能に異なる放射線不透過性フィラーの濃度を有する。
【0029】
他の代替の実施形態では、
図4に示すように、ゴルフボール10は、中心コア12a、外側コア12b及び被覆16層を備える。好ましくは、中心コア12a、外側コア12b及び被覆16層のうちの2つが0.05重量%~70重量%の放射線不透過性フィラーを含み、中心コア12aは被覆16層の放射線不透過性フィラーの濃度とは測定可能に異なる放射線不透過性フィラーの濃度を有する。
【0030】
この実施形態では、放射線不透過性フィラーは、好ましくは、バリウム、ビスマス、タングステン、ヨウ素又は還元鉄に基づく化合物である。被覆16層は、好ましくはアイオノマー材料からなる。
【0031】
さらに他の実施形態では、ゴルフボールは、内側マントル層、外側マントル層及び被覆層を備える。内側マントル層は、0.03インチ~0.09インチの範囲の厚さを有し、アイオノマー材料からなり、34~55の範囲のプラークショアD硬度を有する。外側マントル層は、0.025インチ~0.050インチの範囲の厚さを有する。被覆層は、0.025インチ~0.040インチの範囲の厚さを有する。
【0032】
この実施形態では、中心コア、外側コア、内側マントル層、外側マントル層及び被覆層の少なくとも2つが0.05重量%~70重量%の放射線不透過性フィラーを含み、中心コア、外側コア、内側マントル層、外側マントル層及び被覆層の少なくとも2つが他のいずれの層の放射線不透過性フィラーの濃度とも測定可能に異なる放射線不透過性フィラーの濃度を有する。
【0033】
さらに他の実施形態では、ゴルフボールは、内側マントル層、外側マントル層及び被覆層を備える。内側マントル層は、30~50の範囲のプラークショアD硬度の0.030インチ~0.090インチの範囲の厚さを有する。外側マントル層は、50~71の範囲のプラークショアD硬度の0.025インチ~0.070インチの範囲の厚さを有する。この実施形態では、内側マントルは外側マントルよりも厚く、外側マントルは内側マントルよりも硬い。
【0034】
また、この実施形態では、中心コア、外側コア、内側マントル層、外側マントル層及び被覆層の少なくとも2つが0.05重量%~70重量%の放射線不透過性フィラーを含み、中心コア、外側コア、内側マントル層、外側マントル層及び被覆層の少なくとも2つが他のいずれの層の放射線不透過性フィラーの濃度とも測定可能に異なる放射線不透過性フィラーの濃度を有する。
【0035】
図5は、ゴルフボール10の代替実施形態を示す。ゴルフボール10は、複数の層からなる。外側コア12bは、内側コア12a上に配される。内側マントル14aは外側コア12b上に配され、外側マントル層14bは内側マントル層14a上に配される。被覆層16は、外側マントル層14b上に配される。層の各々は0.05重量%~70重量%の放射線不透過性フィラーを含み、放射線不透過性フィラーの濃度は各層において測定可能に異なる。
【0036】
一実施形態では、ゴルフボール10は、被覆層16、マントル層14及びコア12を有する3ピースゴルフボールである。被覆層16は、好ましくは熱可塑性ポリウレタン材料からなり、0.05重量%~70重量%の放射線不透過性フィラーを含む。好ましい実施形態では、マントル層14は、30~50重量パーセントの第1のアイオノマー、30~50重量パーセントの第2のアイオノマー、1~20重量パーセントの耐衝撃性改良剤、5~25重量パーセントのBaSO4、及び0.1~1.0重量パーセントのマスターバッチからなる。コア12は、好ましくは第1のポリブタジエン、第2のポリブタジエン、ジアクリル酸亜鉛、酸化亜鉛、ステアリン酸亜鉛、過酸化物、有機硫黄、及び0.05重量%~70重量%の放射線不透過性フィラーからなる。コア12は、好ましくは1.1~1.2の範囲の密度を有し、マントル14は0.9~1.0の範囲の密度を有し、被覆16は好ましくは1.0~1.25の範囲の密度を有する。ゴルフボール10は、好ましくは少なくとも0.75のCORを有する。
【0037】
他の実施形態では、ゴルフボール10は、コア12、内側マントル層14a、外側マントル層14b及び被覆層16を有する。コア12は、好ましくは第1のポリブタジエン、第2のポリブタジエン、ジアクリル酸亜鉛、酸化亜鉛、ステアリン酸亜鉛、過酸化物、有機硫黄、及び0.05重量%~70重量%の放射線不透過性フィラーからなる。内側マントル14aは、好ましくはアイオノマーブレンド及び0.5重量%~70重量%の放射線不透過性フィラーからなる。外側マントル14bは、好ましくはアイオノマーブレンド及び0.5重量%~70重量%の放射線不透過性フィラーからなる。被覆層16は、熱可塑性ポリウレタン材料及び0.5重量%~70重量%の放射線不透過性フィラーからなる。内側マントル層14aは好ましくは41~60の範囲のショアD硬度を有し、外側マントル層14bは好ましくは64~71の範囲のショアD硬度を有し、被覆層16は好ましくは30~40の範囲のショアD硬度を有する。コア12は好ましくは1.35~1.5インチの範囲の直径を有し、内側マントル層14aは好ましくは0.03~0.065インチの範囲の厚さを有し、外側マントル層14bは好ましくは0.03~0.070インチの範囲の厚さを有し、被覆層16は好ましくは0.025~0.040インチの範囲の厚さを有する。
【0038】
他の実施形態では、ゴルフボール10は、被覆層16、マントル層14及びコア12を有する3ピースゴルフボールである。被覆層16は、熱可塑性ポリウレタン材料、及びビスマス、タングステン、ヨウ素又は還元鉄に基づく化合物から選択される1.0重量%~20重量%の第1の放射線不透過性フィラーからなる。好適な実施形態では、マントル層14は、30~50重量パーセントの第1のアイオノマー、30~50重量パーセントの第2のアイオノマー、1~20重量パーセントの耐衝撃性改良剤、5~25重量パーセントの、好ましくはBaSO4である第2の放射線不透過性フィラー、及び0.1~1.0重量パーセントのマスターバッチからなる。コア12は、好ましくは第1のポリブタジエン、第2のポリブタジエン、ジアクリル酸亜鉛、酸化亜鉛、ステアリン酸亜鉛、過酸化物、有機硫黄、及びビスマス、タングステン、ヨウ素又は還元鉄に基づく化合物から選択されるが第1の放射線不透過性フィラーとは異なる1.0重量%~25重量%の第3の放射線不透過性フィラーからなる。コア12は、好ましくは1.1~1.2の範囲の密度を有し、マントル14は0.9~1.0の範囲の密度を有し、被覆16は好ましくは1.0~1.25の範囲の密度を有する。ゴルフボール10は、好ましくは少なくとも0.75のCORを有する。各放射線不透過性フィラーは、X線画像において異なるコントラストを有する。
【0039】
他の実施形態では、ゴルフボール10は、コア12、内側マントル層14a、外側マントル層14b及び被覆層16を有する。コア12は、好ましくは第1のポリブタジエン、第2のポリブタジエン、ジアクリル酸亜鉛、酸化亜鉛、ステアリン酸亜鉛、過酸化物、有機硫黄、及び1.0重量%~25重量%の第1の放射線不透過性フィラーを含む。内側マントル14aは、好ましくはアイオノマーブレンド及び1.0重量%~25重量%の第2の放射線不透過性フィラーからなる。外側マントル層14bは、アイオノマーブレンド及び1.0重量%~25重量%の第3の放射線不透過性フィラーからなる。被覆層16は、好ましくは熱可塑性ポリウレタン材料及び1.0重量%~25重量%の第4の放射線不透過性フィラーからなる。内側マントル層14aは好ましくは41~60の範囲のショアD硬度を有し、外側マントル層14bは好ましくは64~71の範囲のショアD硬度を有し、被覆層16は好ましくは30~40の範囲のショアD硬度を有する。コア12は好ましくは1.35~1.5インチの範囲の直径を有し、内側マントル層14aは好ましくは0.03~0.065インチの範囲の厚さを有し、外側マントル層14bは好ましくは0.03~0.070インチの範囲の厚さを有し、被覆層16は好ましくは0.025~0.040インチの範囲の厚さを有する。これらの放射線不透過性フィラーは、バリウム、ビスマス、タングステン、ヨウ素又は還元鉄に基づく化合物から選択される。各放射線不透過性フィラーは異なり、各放射線不透過性フィラーはX線画像において相互に異なるコントラストを有する。
【0040】
図6は、撮像装置を使用して完成品ゴルフボールのパラメータを特定する方法600のフローチャート図であり、ステップ601~602に従う。ゴルフボールが撮像装置に設置され、そのゴルフボールのパラメータを特定するためにゴルフボールが撮像される。ゴルフボールは、好ましくは中心コア及び被覆層を備え、各層は0.05重量%~70重量%の放射線不透過性フィラーを含み、各層は、他の層における放射線不透過性フィラーの濃度とは測定可能に異なる放射線不透過性フィラーの濃度を有する。
【0041】
撮像装置は、好ましくはX線装置であり、X線処理は一定又は可変のX線パワー/強度において種々の層を識別する。
【0042】
パラメータは、好ましくはゴルフボールの層のうちの一層又は全層の直径、厚さ又は偏心度である。
【0043】
この方法のゴルフボールは、代替実施形態では、外側コア、中心コア、内側マントル層、外側マントル層及び被覆層を備える。内側マントル層は、0.03インチ~0.09インチの範囲の厚さを有し、アイオノマー材料からなり、34~55の範囲のプラークショアD硬度を有する。外側マントル層は、0.025インチ~0.050インチの範囲の厚さを有する。被覆層は、0.025インチ~0.040インチの範囲の厚さを有する。外側コア、内側マントル層及び外側マントル層の各々は0.05重量%~70重量%の放射線不透過性フィラーを含み、外側コア、内側マントル層及び外側マントル層の各々は、他のいずれの層の放射線不透過性フィラーの濃度とも測定可能に異なる放射線不透過性フィラーの濃度を有する。
【0044】
この方法のゴルフボールは、さらに他の代替実施形態では、中心コア上にマントル層をさらに備え、マントル層は0.05重量%~70重量%の放射線不透過性フィラーを含む。
【0045】
好ましくは、内側コア12aは220ポンドの荷重下で少なくとも0.230インチの偏向を有し、コア12は200ポンドの荷重下で少なくとも0.080インチの偏向を有する。
図7及び8に示すように、質量体50が、内側コア12a及びコア12に掛けられる。
図7及び8に示すように、質量体は、100キログラム、約220ポンドである。100キログラムの荷重下で、内側コア12aは、好ましくは0.230インチ~0.300インチの偏向を有する。100キログラムの荷重下で、好ましくは、コア12は、0.08インチ~0.150インチの偏向を有する。あるいは、荷重は200ポンド(約90キログラム)であり、コア12の偏向は少なくとも0.080インチである。また、内側コアについての10キログラムの開始荷重及び130キログラムの終了荷重までの圧縮変形は、4ミリメートルから7ミリメートルの範囲であり、より好ましくは5ミリメートルから6.5ミリメートルである。二重コアの偏向の差分によって、より長い距離を与えるティーからの低いスピンオフ、及びアプローチショットにおける高いスピンが可能となる。
【0046】
図9は、画素に基づく厚さのグラフを生成する処理を示す。初期画像901が、生成される。その後、902において、中心からの被覆を介する複数の半径線による画像が生成される。903の画像において、各ラインについて、外側マントル(青いライン)及び被覆(緑のライン)のエッジを突き止めるためにエッジ検出技術が用いられる。この場合、移動平均が用いられた。既知のエッジを用いて、画素の被覆厚を生成するように外側エッジ(被覆)が内側エッジ(外側マントル)から引かれる。これが、簡単な較正とともにインチ又はmmに変換されてグラフ900を生成する。
【0047】
図10は、ゴルフボール50のX線画像である。X線ユニットによって撮影された画像を用いれば、オペレータは、混入物1001について層を調査することができる。混入物1001は、それが有意に異なる密度を有することを示す画素化された色の相違として現れる。これがゴムレシピにおいて発生する場合、それは通常は暗くなり、ポリマーマトリクス内で粉体が充分に分散されていないことを示す。混入物は、早期の耐久性不良をもたらし得る。混入物が見つかった場合、ソフトウェアがそれを基準のセットと比較し、それに従って欠陥サンプルを分類することができる。
【0048】
好ましくは、外側コアは、ポリブタジエン材料、五塩化亜鉛、有機過酸化物、ステアリン酸亜鉛、ジアクリル酸亜鉛及び酸化亜鉛からなる。
【0049】
好適な実施形態では、被覆は、好ましくは熱可塑性ポリウレタン材料からなり、好ましくは0.025インチ~0.04インチの範囲、より好ましくは0.03インチ~0.04インチの範囲の厚さを有する。被覆の材料は、好ましくは、30~60、より好ましくは40~50の範囲のショアDプラーク硬度を有する。被覆について測定されたショアD硬度は、好ましくは56のショアD未満である。好ましくは、被覆16は、96未満のショアA硬度を有する。あるいは、被覆16は、熱可塑性ポリウレタン/ポリウレア材料からなる。
【0050】
マントル構成要素は、好ましくは内側マントル層及び外側マントル層からなる。マントル構成要素は、好ましくは0.05インチ~0.15インチ、より好ましくは0.06インチ~0.08インチの範囲の厚さを有する。外側マントル層は、好ましくはアイオノマー材料のブレンドからなる。好適な一実施形態は、SURLYN9150材料、SURLYN8940材料、SURLYN AD1022材料及びマスターバッチを含む。SURLYN9150材料は、好ましくは被覆の20~45重量パーセント、より好ましくは30~40重量パーセントの範囲の量で存在する。SURLYN8945は、好ましくは被覆の15~35重量パーセント、より好ましくは20~30重量パーセントの範囲、最も好ましくは26重量パーセントの量で存在する。SURLYN9945は、好ましくは被覆の30~50重量パーセント、より好ましくは35~45重量パーセントの範囲、最も好ましくは41重量パーセントの量で存在する。SURLYN8940は、好ましくは被覆の5~15重量パーセント、より好ましくは7~12重量パーセントの範囲、最も好ましくは10重量パーセントの量で存在する。
【0051】
デュポン社製のSURLYN8320は、ナトリウムイオンによる酸基の部分中和による超低弾性率エチレン/メタクリル酸コポリマーである。これもデュポン社製のSURLYN8945は、ナトリウムイオンによる酸基の部分中和による高酸性エチレン/メタクリル酸コポリマーである。これもデュポン社製のSURLYN9945は、亜鉛イオンによる酸基の部分中和による高酸性エチレン/メタクリル酸コポリマーである。これもデュポン社製のSURLYN8940は、ナトリウムイオンによる酸基の部分中和によるエチレン/メタクリル酸コポリマーである。
【0052】
内側マントル層は、好ましくはアイオノマーのブレンドからなり、好ましくはターポリマーと、ナトリウム、亜鉛、マグネシウム又は他の金属イオンにより中和された少なくとも2つの高酸性(18重量パーセント超の)アイオノマーとを含む。内側マントル層のための材料は、好ましくは35~77、より好ましくは36~44の範囲、最も好ましくは約40のショアDプラーク硬度を有する。内側マントル層の厚さは、好ましくは0.025インチ~0.050インチの範囲であり、より好ましくは約0.037インチである。二重コア及び内側マントル層を含む挿入物の質量は、好ましくは32グラム~40グラム、より好ましくは34~38グラムの範囲であり、最も好ましくは約36グラムである。内側マントル層は、代替的に、デュポン社から入手可能なHPF材料からなる。
【0053】
外側マントル層は、好ましくはアイオノマーのブレンドからなり、ナトリウム、亜鉛又は他の金属イオンにより中和された少なくとも2つの高酸性(18重量パーセント超の)アイオノマーを好ましくは含む。アイオノマーのブレンドはまた、好ましくはマスターバッチを含む。外側マントル層の材料は、好ましくは55~75、より好ましくは65~71の範囲、最も好ましくは約67のショアDプラーク硬度を有する。外側マントル層の厚さは、好ましくは0.025インチ~0.040インチの範囲であり、より好ましくは約0.030インチである。コア、内側マントル層及び外側マントル層を含む挿入物全体の質量は、好ましくは38グラム~43グラム、より好ましくは39~41グラムの範囲であり、最も好ましくは約41グラムである。
【0054】
代替実施形態では、内側マントル層は、好ましくはアイオノマーのブレンドからなり、ナトリウム、亜鉛又は他の金属イオンにより中和された少なくとも2つの高酸性(18重量パーセント超の)アイオノマーを好ましくは含む。アイオノマーのブレンドはまた、好ましくはマスターバッチを含む。この実施形態では、内側マントル層の材料は、好ましくは55~75、より好ましくは65~71の範囲、最も好ましくは約67のショアDプラーク硬度を有する。内側マントル層の厚さは、好ましくは0.025インチ~0.040インチの範囲であり、より好ましくは約0.030インチである。この実施形態でも、外側マントル層14bは、好ましくはアイオノマーのブレンドからなり、ナトリウム、亜鉛、マグネシウム又は他の金属イオンにより中和された少なくとも2つの高酸性(18重量パーセント超の)アイオノマーを好ましくは含む。この実施形態では、外側マントル層14bの材料は、好ましくは35~77、より好ましくは36~44の範囲、最も好ましくは約40のショアDプラーク硬度を有する。外側マントル層の厚さは、好ましくは0.025インチ~0.100インチの範囲であり、より好ましくは0.070インチ~0.090インチの範囲である。
【0055】
他のゴルフボールでは、内側マントル層は外側マントル層よりも厚く、外側マントル層は内側マントル層よりも硬く、内側マントル層はアイオノマーのブレンドからなり、好ましくはナトリウム、亜鉛、マグネシウム又は他の金属イオンにより中和された少なくとも2つの高酸性(18重量パーセント超の)アイオノマーを含む。この実施形態では、内側マントル層のための材料は、好ましくは30~77、より好ましくは30~50の範囲、最も好ましくは約40のショアDプラーク硬度を有する。この実施形態では、外側マントル層のための材料は、好ましくは40~77、より好ましくは50~71の範囲、最も好ましくは約67のショアDプラーク硬度を有する。この実施形態では、内側マントル層の厚さは、好ましくは0.030インチ~0.090インチの範囲であり、外側マントル層の厚さは、好ましくは0.025インチ~0.070インチの範囲である。
【0056】
好ましくは、内側コアは、0.75インチ~1.20インチ、より好ましくは0.85インチ~1.05インチの範囲、最も好ましくは約0.95インチの直径を有する。好ましくは、内側コア12aは、20~50、より好ましくは25~40の範囲、最も好ましくは約35のショアD硬度を有する。好ましくは、内側コアは、ポリブタジエン、ジアクリル酸亜鉛、酸化亜鉛、ステアリン酸亜鉛、ペプタイザー及び過酸化物から構成される。好ましくは、内側コアは、5グラム~15グラム、7グラム~10グラムの範囲、最も好ましくは約8グラムの質量を有する。
【0057】
好ましくは、外側コアは、1.25インチ~1.55インチ、より好ましくは1.40インチ~1.5インチの範囲、最も好ましくは約1.5インチの直径を有する。好ましくは、外側コアは、40~65、より好ましくは50~60の範囲、最も好ましくは約56のショアD表面硬度を有する。好ましくは、外側コアは、ポリブタジエン、ジアクリル酸亜鉛、酸化亜鉛、ステアリン酸亜鉛、ペプタイザー及び過酸化物から構成される。好ましくは、組み合わされた内側コア及び外側コアは、25グラム~35グラム、30グラム~34グラムの範囲、最も好ましくは約32グラムの質量を有する。
【0058】
本発明のゴルフボールの種々の態様を特定の試験及び測定手順の観点で記載した。これらを以下に、より詳細に説明する。
【0059】
ここで使用されるように、ゴルフボールの層の「ショアD硬度」は、測定がプラークに対してではなくゴルフボールの構成要素の湾曲面に対して行われ得ることを除き、一般にASTM D-2240タイプDによって測定される。ボールに対して測定される場合、測定値は、測定がボールに対して行われたことを示すことになる。ゴルフボールの層の材料の硬度に言及する際に、測定は、ASTM D-2240によってプラークに対して行われることになる。またさらに、被覆のショアD硬度は、被覆がマントル及びコア上にある状態で測定される。硬度測定がゴルフボールに対して行われる場合、ショアD硬度は、好ましくは被覆のランド領域において測定される。
【0060】
ここで使用されるように、被覆の「ショアA硬度」は、測定がプラークに対してではなくゴルフボールの構成要素の湾曲面に対して行われ得ることを除き、一般にASTM D-2240タイプAによって測定される。ボールに対して測定される場合、測定値は、測定がボールに対して行われたことを示すことになる。ゴルフボールの層の材料の硬度に言及する際に、測定は、ASTM D-2240によってプラークに対して行われることになる。またさらに、被覆のショアA硬度は、被覆がマントル及びコア上にある状態で測定される。硬度測定がゴルフボールに対して行われる場合、ショアA硬度は、好ましくは被覆のランド領域において測定される。
【0061】
ゴルフボールの反発性又は反発係数(COR)は、衝突前の弾性球体の相対速度に対する直接衝突後の弾性球体の相対速度の比である定数「e」である。結果として、COR(「e」)は、0~1で変動し得るものであり、1は完全弾性衝突と等価であり、0は完全非弾性衝突と等価である。
【0062】
CORは、クラブヘッド速度、クラブヘッド質量、ボール重量、ボールサイズ及び密度、スピン速度、弾道角度及び表面構成並びに環境条件(例えば、温度、湿度、大気圧、風など)などの追加のファクタとともに、打球時にボールが移動する距離を概ね決定する。これによると、制御された環境条件下でゴルフボールが移動する距離は、クラブの速度及び質量、ボールのサイズ、密度及び反発性(COR)並びに他のファクタの関数となる。クラブの初速度、クラブの質量及びボールの出発角度は、基本的には打撃時にゴルファーによって与えられる。クラブヘッド速度、クラブヘッド質量、弾道角度及び環境条件はゴルフボール生産者によって制御可能な決定因子ではなく、ボールサイズ及び重量はU.S.G.A.によって設定されるので、それらはゴルフボール製造業者の間で留意すべきファクタではない。向上した距離に関して対象となるファクタ又は決定因子は、一般にボールのCOR及び表面構成である。
【0063】
反発係数は、入射速度に対する出射速度の比である。本出願の例では、ゴルフボールの反発係数を、ボールを略鉛直の硬い平坦な鋼板に対して水平に125±5フィート/秒(fps)の速度で125fpsに補正して推進させ、ボールの入射速度及び出射速度を電子的に測定することによって測定した。物体がそれらを通過する際にタイミングパルスを与える一対の弾道用スクリーンを用いて、速度を測定した。スクリーン同士は、36インチだけ離間され、反射壁から25.25インチ及び61.25インチにそれぞれ位置する。反射壁への途中においてスクリーン1からスクリーン2へのパルスを(36インチにわたるボールの平均速度として)計時することによってボール速度を測定し、そして、同じ距離にわたってスクリーン2からスクリーン1まで出射速度を計時した。反射壁を鉛直平面から2度傾斜させ、ボールを発射した筒のエッジをかわすためにボールが僅かに下方に反射するようにした。反射壁は、中実の鋼体である。
【0064】
上記のように、入射速度は125±5fpsであるが125fpsに補正されるべきである。CORと、前方すなわち入射速度との間の相関が検討され、ボールが正確に125.0fpsの入射速度を有したかのようにCORが報告されるように、補正が±5fpsの範囲にわたって行われた。
【0065】
偏向、圧縮、硬度などについての測定は、各層に対する測定を製造中に行うのとは逆に、好ましくは完成品ゴルフボールに対して行われる。
【0066】
好ましくは、内側コア、外側コア、内側マントル層、外側マントル層及び被覆を備える5層ゴルフボールでは、それらの層の硬度/圧縮は、最大の偏向(最低の硬度)の内側コア、内側コア未満の偏向の(内側コアと組み合わされた)外側コア、組み合わされた外側コア及び内側コアの硬度未満の硬度の内側マントル層、ゴルフボールの硬度層の外側マントル層、並びに外側マントル層の硬度未満の硬度の被覆を伴う。これらの測定は、好ましくは、その測定のために解体された完成品ゴルフボールに対して行われる。
【0067】
好ましくは、内側マントル層は、外側マントル層又は被覆層よりも厚い。二重コア及び二重マントルゴルフボールは、最適化された速度-初速度比(Vi/IV)を生み出し、スピン操作を可能とする。二重コアは、ショートゲームのショットのための高いスピン及びドライバーショットのための低いスピンをもたらすコア圧縮差を増加させる。USGA初速度試験の記載は、米国特許第6595872号、Yagley他、発明の名称「Golf Ball With High Coefficient Of Restitution」に開示され、これはその全体において参照によりここに取り込まれる。
【0068】
米国特許出願第17/178159号、Caterina他、2021年2月17日出願、発明の名称「Method And System Utilizing Imaging Analysis For Golf Balls」が、その全体において参照によりここに取り込まれる。