(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-21
(45)【発行日】2024-01-04
(54)【発明の名称】拡大された光分配を行う重合格子を備えた画像光ガイド
(51)【国際特許分類】
G02B 27/02 20060101AFI20231222BHJP
G02B 5/18 20060101ALI20231222BHJP
G02B 5/32 20060101ALI20231222BHJP
【FI】
G02B27/02 Z
G02B5/18
G02B5/32
(21)【出願番号】P 2023004507
(22)【出願日】2023-01-16
(62)【分割の表示】P 2019568106の分割
【原出願日】2018-06-12
【審査請求日】2023-01-16
(32)【優先日】2017-06-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2017-07-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516201548
【氏名又は名称】ビュージックス コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】Vuzix Corporation
(74)【代理人】
【識別番号】110003340
【氏名又は名称】弁理士法人湧泉特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シュルツ, ロバート, ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】トラバース,ポール, ジェイ.
【審査官】井亀 諭
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0102543(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0245730(US,A1)
【文献】国際公開第2010/032029(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 27/01-27/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バーチャル像を伝送するための画像光ガイドであって、
その長手に沿って画像担持光ビームを伝播するように構成された導波路と、
前記導波路に沿って形成され、
前記画像担持光ビームの少なくとも一部を前記導波路内に回折するように動作可能であり、これにより、前記画像担持光ビームの少なくとも一部を前記導波路に沿って、角度的にエンコードされた形態で伝播させるインカップリング回折光学素子と、
前記導波路の長手に沿って前記インカップリング回折光学素子から離れて配置され、前記導波路からの前記画像担持光ビーム
の少なくとも一部を、角度的にデコードされた形態でアイボックスに向けて回折するように動作可能であるアウトカップリング回折光学素子と、
を備え、
前記アウトカップリング回折光学素子は、複数の回折パターンを規定する複数の回折フィーチャを有し、2つ以上の回折パターン
は、前記画像担持光ビームの
各々の部分を二次元において相対的に変位させるように動作可能であり、
前記回折フィーチャのそれぞれは、
平面での長さと幅と、長さ対幅のアスペクト比を含み、
前記回折フィーチャの少なくともいくつかは1から逸脱したアスペクト比を有し、このアスペクト比は、前記回折パターン間の回折効率を変更するように動作可能であり、
前記回折フィーチャの前記アスペクト比が
、前記複数の回折パターンの1つの格子ベクトルと直交する方向に沿って変化する、画像光ガイド。
【請求項2】
前記画像担持光ビームが
前記複数の回折パターンの1つの格子ベクトルと平行な名目の伝播方向に沿って前記アウトカップリング回折光学素子に接近し、前記回折フィーチャの長手が前記名目の伝播方向に沿って延び、前記回折フィーチャの幅が前記名目の伝播方向と直交する方向に広がり、
1から逸脱したアスペクト比を有する前記回折フィーチャの長さがその幅を超えており、これにより、前記画像担持光ビームの一部を前記名目の伝播方向から離れる方向に再方向付けする回折の効率を高める、請求項1に記載の画像光ガイド。
【請求項3】
前記画像担持光ビームが名目の伝播方向に沿ってアウトカップリング回折光学素子に近づき、
前記アスペクト比が変化する方向が前記名目の伝播方向
と実質的に平行である、請求項1に記載の画像光ガイド。
【請求項4】
前記画像担持光ビームは、名目の伝播方向に沿って前記アウトカップリング回折光学素子に接近し、前記回折フィーチャが前記名目の伝播方向に沿って連続的に延びる、請求項1に記載の画像光ガイド。
【請求項5】
前記画像担持光ビームは、
前記アスペクト比が変化する方向と平行な名目の伝播方向に沿って前記アウトカップリング回折光学素子に接近し、前記回折フィーチャの前記アスペクト比が
前記画像担持光ビームの名目の伝播方向に沿って1:1に近づく、請求項1に記載の画像光ガイド。
【請求項6】
前記回折パターンの1つ以上が第1格子ベクトルを有し、前記回折パターンの1つ以上が、前記第1格子ベクトルに対して傾斜した第2格子ベクトルを有する、請求項1に記載
の画像光ガイド。
【請求項7】
前記第1、第2格子ベクトルが一定である、請求項6に記載の画像光ガイド。
【請求項8】
前記回折パターンの1つ以上が、前記第1、第2格子ベクトルの両方に対して傾斜した第3格子ベクトルを有する、請求項6に記載の画像光ガイド。
【請求項9】
前記第2、第3格子ベクトルが、前記第1格子ベクトルに対してほぼ同量傾斜している、請求項8に記載の画像光ガイド。
【請求項10】
前記第2格子ベクトルと前記第3格子ベクトルは、互いに等しい第2ピッチと第3ピッチによって部分的に規定される、請求項8に記載の画像光ガイド。
【請求項11】
前記第1、第2、第3格子ベクトルが一定である、請求項8に記載の画像光ガイド。
【請求項12】
前記第1、第2、第3格子ベクトル
の大きさが等しい、請求項11に記載の画像光ガイド。
【請求項13】
前記回折パターンの1つ以上が第4格子ベクトルを有し、前記第1、第2、第3、第4格子ベクトル
の大きさが等しい、請求項8に記載の画像光ガイド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子ディスプレイに関し、特に、回折光学素子を有する画像光ガイドを用いて、観察者に画像担持光を伝送するディスプレイに関する。
【背景技術】
【0002】
ヘッドマウントディスプレイ(HMD)は、軍事、商業、工業、消防、および娯楽分野への適用を含め、様々な用途に向けて開発されている。これら適用の多くにおいて、HMDユーザーの視野にある現実世界の像に視覚的に重ね合わせ可能なバーチャル像を形成することは、価値がある。光学的な画像光ガイドは、狭い空間内で画像担持光を観察者に伝送し、バーチャル像を観察者の瞳に向け、上記重ね合わせ機能を可能にする。
【0003】
このような従来の画像光ガイドでは、イメージソースからの、コリメートされ、相対的に角度的にエンコードされた光ビームは、インカップリング回折光学素子のようなインプットカップリングによって結合され、平面導波路に入れられる。このインプットカップリングは、平面導波路の表面に設置または形成することができ、また導波路内に埋め込むこともできる。このような回折光学素子は、回折格子、ホログラフィック光学素子、その他の公知の方法で形成することができる。例えば、回折格子は、表面レリーフによって形成することができる。回折された光は、導波路に沿って伝搬した後、同様のアウトプット格子によって、導波路外へ向けることができる。このアウトプット格子は、バーチャル像の1次元に沿って瞳拡大を提供するように構成することができる。加えて、導波路沿いのイ
ンプット格子とアウトプット格子との間に回転格子を配置することにより、バーチャル像の直交する次元に瞳拡大を提供することができる。導波路から出力された画像担持光は、観察者のために拡大されたアイボックスを提供する。
【0004】
通常の画像光ガイド構成は、ニアアイディスプレイ光学系のかさ、重量、およびコストを大きく減じたが、さらなる改良が求められている。ある例では、アイボックスの寸法が制限され、それによりHMDの設計において、動きの許容範囲及びデバイスの配置の許容範囲が制限される。光は視野において不均衡に分配されることがしばしば起こり得る。その結果、視野の中心では光のレベルが高く、周辺部では光のレベルが低くなる等のホットスポットが生じかねない。導波路内でのビーム管理機能(ビーム拡大機能及び光分配機能を含む)は、導波路の寸法、製造コスト及び複雑さを増大させかねない。
【発明の概要】
【0005】
実施形態は、様々な機能(瞳拡大、光分配、及びビームマネージメントを含む)を実行するための画像光ガイドを、コンパクトに設計することを特徴とする。例えば、別のステージで画像担持ビームの2つの直交する次元を拡大する場合、直交して拡大するために光ガイドの異なる領域を必要とする。実施形態においては、その代わりに、アウトカップリング回折光学素子に能力(拡大された画像担持ビームをアイボックス内の重なり合う位置に出射しながら、画像担持ビームの両方の次元を拡大する能力)を付加する。画像担持光ビーム内及び画像担持光ビーム間における光分配に影響を及ぼすために、付加的な設計パラメータが開発されている。アウトカップリング回折光学素子に付加された機能は、よりコンパクトな設計を可能にし、拡大されたアイボックス内で適切に補正されたバーチャル像を呈示するために、画像担持ビーム間の所望の角度関係を維持することができる。
【0006】
1以上の実施形態による画像光ガイドは、前側表面と後側表面を有する透明基板を有し、画像担持光ビームをその長手に沿って伝播させる導波路を含む。前記導波路に沿って形成されたインカップリング回折光学素子は、イメージソースからの前記画像担持光ビームを前記導波路内に回折し、これにより、前記画像担持光ビームを前記導波路の長手に沿って、角度的にエンコードされた形態で伝播させる。
前記導波路の長手に沿って前記インカップリング回折光学素子から離れて配置されたアウトカップリング回折光学素子は、前記導波路からの前記画像担持光ビームを、角度的にデコードされた状態でアイボックスに向けて回折し、これにより、前記イメージソースからの画像を見られるようにする。
【0007】
前記アウトカップリング回折光学素子は、前記導波路の長手に沿って重なり合う(オーバーラップする)異なる向きの複数の格子パターンを含む。この重なり合いは、導波路の同一平面内で起きてよく、又は、概ね平行な異なる平面内で起きてもよい。1以上の格子パターンが一次配向(primary orientation)で配置され、各画像担持光ビームの第1部分
を連続的に回折する。すなわち、アイボックスに向けて角度的にデコードされた形で、及び、導波路に沿った当初の名目方向(original nominal direction)にさらに伝搬するためにエンコードされた形で、回折する。インカップリング回折光学素子の非ゼロ次回折(nonzero order of diffraction)に合致する非ゼロ次回折が、通常、連続的な第1部分を、角度的にデコードされた形で導波路から外に回折する役を担う。ゼロ次回折は、通常、重なり合う格子パターンとの連続的遭遇を支援するために、その他の第1部分を当初の名目方向にさらに伝搬する役を担う。1以上のその他の格子パターンは1以上の非一次の配向(non-primary orientation)で配置され、各画像担持光ビームの第2部分を、導波路に沿った当初の名目伝搬方向から外れるように回折し、さらに各画像担持光ビームの第2部分を、当初の名目の伝搬方向と直交する方向に相対的にオフセットされた位置で、導波路に沿った当初の名目伝搬方向に戻すように回折する。第2部分の非ゼロ次回折とゼロ次回折の組合せにより、この第2部分を、当初の名目伝搬方向と直交する方向に連続的に変位させる。
【0008】
各画像担持光ビームの第1部分は、好ましくは導波路に沿った当初の名目伝搬方向に相対的に変位し、これにより、アイボックス内における画像担持光ビーム中の重合領域の第1次元を拡大する。各画像担持光ビームの第2部分は、好ましくは、導波路に沿った当初の名目伝搬方向と直交する方向に相対的に変位し、これにより、アイボックス内における画像担持光ビーム中の重合領域の第2次元を拡大する。こうして拡大されたアイボックスは拡大瞳を提供し、その中で意図されたバーチャル像を見ることができる。
【0009】
一次配向で配置された1以上の格子パターンは、第1格子ベクトルを有する第1格子パ
ターンを含み、1以上の非一次配向で配置された1以上の他の格子パターンは、第2格子
ベクトルを有する第2格子パターンを含むことができる。第2格子ベクトル(ここでは方向の無い線分と見なす)は、好ましくは、第1格子ベクトル(ここでは方向の無い線分とみなす)に対して、少なくとも30°の角度で傾斜しているが、45°又は60°の相対的配向では更なる利点を提供することができる。1以上の非一次配向に配置された1以上
の他の格子パターンは、第3格子ベクトルを有する第3格子パターンを含んでいてもよい。第2格子ベクトルと第3格子ベクトルは、第1ベクトルに対して、異なる方向にほぼ同じ角度だけ傾斜していてもよい。第2格子ベクトルと第3格子ベクトルは、それぞれ第1ピッチ及び第3ピッチを規定し、これらのピッチは互いに等しくてもよい。第1格子ベクトルは第1ピッチを規定し、この第1ピッチは、第2ピッチおよび第3ピッチと同じであっても、異なっていてもよい。
【0010】
アウトカップリング回折光学素子は、平面内に複数のユニットセルを含む回折格子として形成することができ、平面内に異なる配向の複数の回折パターンを定義する。相対的配向及びピッチを含む回折パターン間の規則的関係を提供するために、ユニットセルは、長方形や六角形のような多角形とすることができる。回折パターンは画像担持ビームの各々を2つの次元に拡大し、アイボックス内の重合領域を増大させる。好ましくは、回折格子は、複数の回折フィーチャを備えている。これら回折フィーチャは、パターンをなして配置され、平面内における屈折率の違いによって区別される。平面は水平及び垂直の次元を含み、回折フィーチャは、画像担持ビームの各々内における光の分布を調整するために、等しくない水平及び垂直の寸法を有していてもよい。回折フィーチャの部分はオーバーラップしてもよく、あるいは、回折フィーチャは周囲のフィーチャから離間していてもよい。回折フィーチャはまた、長方形や六角形のような多角形であってもよく、あるいは、円形、楕円形、その他の長円形のような丸みを有する形状であってもよい。
【0011】
例えば、回折格子の複数の回折パターンは、各画像担持光ビームの部分を少なくとも3つの異なる方向に回折するために配置することができる。第1回折パターンは、画像担持光ビームの第1部分を、導波路からアイボックスに向けて角度的にデコードされた形で回折し、かつ、この第1部分を当初の名目伝搬方向に沿って当初のエンコードされた形で回折する。画像担持光ビームの第1部分の当初の名目伝搬方向への相対変位は、アイボックス内における画像担持光ビームの重合領域の第1次元の拡大に寄与する。第2回折パターン及び第3回折パターンは、画像担持光ビームの第2部分を、導波路に沿った当初の名目伝搬方向とは異なる方向に回折する。例えば、第2部分は、当初の名目伝搬方向から45°近く、又は60°近くに再方向付けすることができる。第2回折パターンと第3回折パターンの少なくとも一方が、第2部分を、横方向にオフセットされた位置で導波路に沿って当初の名目伝搬方向に戻すように回折する。各画像担持光ビームの第2部分の横方向の相対変位は、アイボックス内における画像担持光ビーム中の重合領域の第2次元の拡大に寄与する。好ましくは、画像担持ビームをさらに角度的にエンコードする第2部分の回折(すなわち、画像担持ビーム間の角度配向の分布の変更)は、この第2部分の更なる回折(当該さらなるエンコーディングをデコードする回折)と合致(適合)しており、これにより、画像担持ビーム間の角度配向の当初のエンコードされた分布を復元する。
【0012】
複数の格子パターンを備えたアウトカップリング回折光学素子は、様々な形態を取ることができる。例えば、アウトカップリング回折光学素子は、複数のサブエレメントを有する体積ホログラム光学素子(HOE)として形成することができる。このような体積HOEは、複数のホログラムのサブエレメントが記録された体積記録媒体から作ることができる。これらサブエレメントは、媒体の体積内で重なり合う。体積HOEの各サブエレメントは、他のサブエレメントとは異なる方向の格子ベクトルを有する回折格子として機能することができる。あるいは、複数の別個のホログラムを積み重ね、各ホログラムが異なる回折格子ベクトルを記録し、必要に応じて異なる格子周期を記録することができる。
【0013】
同様に、複数の回折格子を積み重ね、各層が互いに対して異なる格子ベクトル配向を有するようにすることができる。必要に応じて、積み重ねられた回折格子の1つは、積み重ねられた他の回折格子の周期とは異なる格子周期を持つことができる。
【0014】
1以上の他の実施形態において、バーチャル像を搬送するための画像光ガイドは、長手に沿って画像担持光ビームを伝搬するための導波路を含む。この導波路は、前側表面と後側表面とを備えた透明な基板を有している。導波路に沿って形成されたインカップリング回折光学素子は、イメージソースからの画像担持光ビームを平面導波路内へ回折し、この画像担持光ビームを、角度的にエンコードされた形で、導波路の長手に沿って伝搬させる。アウトカップリング回折光学素子は、導波路の長手方向に沿ってインカップリング回折光学素子から離間して配置され、導波路からの画像担持光ビームを角度的にデコードされた形でアイボックスに向けて回折し、これにより、イメージソースからの画像を見ることができる。アウトカップリング回折光学素子は、複数の格子フィーチャを平面内に有する回折格子として形成される。これら複数の格子フィーチャは、平面内で配向の異なる複数の回折パターンを定義する。各格子フィーチャは長さ及び幅を平面内に含む。これら長さ及び幅は、長さ対幅のアスペクト比を定義する。格子フィーチャの少なくとも一部は、回折パターン間の回折効率を変えるために、「1」(unity)から逸脱したアスペクト比を有する。
【0015】
画像担持ビームは、名目の伝搬方向に沿って、アウトカップリング回折光学素子に近づく。格子フィーチャの長さは名目伝搬方向に沿って延び、格子フィーチャの幅は、伝搬方向と垂直に広がる。1以上の実施形態において、「1」から逸脱したアスペクト比を有する格子フィーチャは、画像担持ビーム部分を名目伝搬方向から離れる方向に再方向づける回折の効率を高めるために、幅を超える長さを有していてもよい。「1」から逸脱したアスペクト比を有する格子フィーチャのアスペクト比は、名目伝搬方向に沿って変化してもよい。加えて、「1」から逸脱したアスペクト比を有する格子フィーチャは、名目伝搬方向に沿って連続的に延びる格子フィーチャを含んでいてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0016】
本発明の主題を特許請求の範囲で特に指摘し明確に主張しているが、本発明は、添付の図面と以下の説明からより良く理解できるであろう。
【0017】
【
図1】画像光ガイドの簡略化した断面図であり、アイボックスの1つの次元を拡大するための、伝搬方向に沿う画像担持ビームの拡大を示している。
【0018】
【
図2】回転格子を有する画像光ガイドの斜視図であり、アイボックスの第2の次元を拡大するための、伝搬方向に垂直な画像担持ビームの拡大を示している。
【0019】
【
図3】画像光ガイドの平面図であり、同一表面上に形成されたインカップリング回折光学素子とアウトカップリング回折光学素子とを有する導波路を示している。
【0020】
【
図4】アウトカップリング回折光学素子の拡大部分を示す平面図である。このアウトカップリング回折光学素子は、異なる格子ベクトルが交互に配置されたパターンを有している。
【0021】
【
図5A】
図4のアウトカップリング回折光学素子の個々の格子パターン内での光の挙動を示す図である。
【
図5B】
図4のアウトカップリング回折光学素子の個々の格子パターン内での光の挙動を示す図である。
【
図5C】
図4のアウトカップリング回折光学素子の個々の格子パターン内での光の挙動を示す図である。
【
図5D】
図4のアウトカップリング回折光学素子の個々の格子パターン内での光の挙動を示す図である。
【
図5E】
図4のアウトカップリング回折光学素子の個々の格子パターン内での光の挙動を示す図である。
【0022】
【
図6】
図4のアウトカップリング回折光学素子での光の扱いをまとめた表である。
【0023】
【
図7A】本開示の実施形態による回折アレイを形成するために組み合わされる、回折要素の部分集合の幾何学的配置を示す図である。
【
図7B】回折素子の部分集合の異なる幾何学的配置を示す図である。
【
図7C】回折素子の部分集合のさらに異なる幾何学的配置を示す図である。
【0024】
【
図8A】別の実施形態による、インカップリング回折光学素子とアウトカップリング回折光学素子とを有する導波路を備えた画像光ガイドの平面図であり、アウトカップリング回折光学素子の一部を拡大して示す。
【0025】
【
図8B】
図8Aの導波路の回折要素の回折ベクトルを示す概略図である。
【0026】
【
図8C】
図8Aのアウトカップリング回折光学素子での光の扱いをまとめた表である。
【0027】
【
図9A】本開示の実施形態による、導波路に沿った分配格子の配置を有する画像光ガイドの平面図である。
【0028】
【
図9B】
図9Aにおける分配格子の格子ベクトルとアウトカップリング回折光学素子の拡大部分内の格子ベクトルを示す平面図である。
【0029】
【0030】
【
図11】本開示の実施形態による、画像光ガイド内での光の処理と分配のフロー図である。
【0031】
【
図12】本開示の画像光ガイドを用いた、拡張現実を見るためのディスプレイシステムを示す斜視図である。
【0032】
【
図13C】上記2つの回折格子を重なり合う形で示す。
【0033】
【
図14】本開示の実施形態による複合回折格子の概略平面図である。
【0034】
【
図15】互いに異なる配向を有する3つの格子パターンの概略図である。
【0035】
【
図16】
図15の3つの格子パターンが重ね合わされて複合格子パターンを形成する概略図である。
【0036】
【
図17】
図16の複合格子パターンから選択された重ね合わせ部分の概略図である。
【0037】
【
図18】格子フィーチャの配置を有する別の複合格子パターンの概略図であり、複合格子パターンがユニットセルによってさらに規定されている。
【0038】
【
図19】ユニットセルの複製によって規定される、さらに別の複合格子パターンの概略図である。
【0039】
【
図20D】様々に形成されたユニットセルのアッセンブリに関連した、様々な回折次数を示す図である。
【0040】
【
図21A】導波路に沿ったインカップリング回折光学素子からアウトカップリング回折光学素子への画像担持ビームの連続的TIR遭遇を概略的に示し、画像担持ビームを2つの次元に拡大するための、一連の回折次数による回折の効果を示す。
【
図21B】導波路に沿ったインカップリング回折光学素子からアウトカップリング回折光学素子への画像担持ビームの連続的TIR遭遇を概略的に示し、画像担持ビームを2つの次元に拡大するための、一連の回折次数による回折の効果を示す。
【
図21C】導波路に沿ったインカップリング回折光学素子からアウトカップリング回折光学素子への画像担持ビームの連続的TIR遭遇を概略的に示し、画像担持ビームを2つの次元に拡大するための、一連の回折次数による回折の効果を示す。
【
図21D】導波路に沿ったインカップリング回折光学素子からアウトカップリング回折光学素子への画像担持ビームの連続的TIR遭遇を概略的に示し、画像担持ビームを2つの次元に拡大するための、一連の回折次数による回折の効果を示す。
【0041】
【0042】
【
図23】格子フィーチャの長方形の構成に関連した格子ベクトル及び回折次数を示す。
【0043】
【
図24A】回折次数の配列をサポートするユニットセルを示す。
【
図24B】
図24Aのユニットセルを二次元格子に組み込んだアッセンブリであり、表示の複合格子パターン全体にわたる様々な回折次数の伝搬を示す。これにより、画像担持ビームは二次元に拡大されるとともに、デコードされた形で導波路から回折される。
【0044】
【
図25】複合格子パターンの概略図であり、この複合格子パターンでは、格子フィーチャが1から逸脱したアスペクト比を有する。
【0045】
【
図26】複合格子パターンの概略図であり、この複合格子パターンでは、格子フィーチャのアスペクト比が、格子の1つの次元に沿って漸進的に変化する。
【0046】
【
図27A】製造された複合格子パターンの一例を示すSEM画像である。
【
図27B】製造された複合格子パターンの一例を示すSEM画像である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
本明細書は特に、本発明に係る装置の一部を構成する要素、または本発明に係る装置と直接的に協働する要素に向けられている。具体的に記載されていない要素については、当業者に周知の様々な形態を採用できることを理解されたい。
【0048】
本明細書で使用される場合、「第1」、「第2」等の用語は必ずしも順序、順次または優先関係を示すものではなく、特に明記しない限り、単に1つの要素または要素の集合を
他と明確に区別するために用いられる。
【0049】
本開示の文脈において、「見る人」、「操作者」、「観察者」、および「利用者」という用語は均等とみなされ、HMD視覚装置を装着し、この装置を用いて画像を見る人を指す。
【0050】
本明細書で使用される場合、用語「励起可能(energizable)」は、電力を受け取った
とき、およびオプションで許可信号を受け取った時に指示された機能を実行する装置または構成要素の集合に関する。
【0051】
ここで使われる「集合(set)」という用語は非空集合を指し、要素又は部材の集まり
いう概念として初等数学で広く理解されている。「部分集合(subset)」という用語は、特に明記されない限り、非空の真部分集合、すなわち、1以上の要素を持つ、より大きな集合を指す。部分集合が全体集合Sを構成してもよい。しかし、集合Sの「真部分集合(proper subset)」は、集合Sに完全に含まれ、しかも集合Sの少なくとも1つの要素を含まないものを指す。
【0052】
本明細書で使用される場合、用語「斜め」は、90度の整数倍ではない角度を意味する。例えば、2つの線、線形構造、または平面は、平行から少なくとも約5°以上離れた角度、又は垂直から少なくとも約5°以上離れた角度で、互いに発散または集束するとき、互いに対して斜めであると見なされる。
【0053】
光学の分野における「結合(coupled)」及び「カプラ(結合器;coupler)」という用
語は、光を、結合を促進する中間構造を介して、1つの光学的媒体又は装置から別の光学的媒体又は装置へと移動させるような結合を意味する。
【0054】
光学システムは、実像投射の代わりに、バーチャル像を表示することができる。実像を結ぶ方法とは対照的に、バーチャル像がディスプレイ面に結ばれることはない。つまり、ディスプレイ面がバーチャル像を知覚する位置にあるとしたら、ディスプレイ面に像は結ばれない。拡張現実表示において、バーチャル像表示には固有の利点が数多くある。例えば、バーチャル像の見かけの大きさはディスプレイ面の寸法や位置によって制限されない。実像を投影するシステムに比べて、ある程度離れたところにあるように見えるバーチャル像を結ぶことによって、よりリアルな視覚体験を提供することができる。また、バーチャル像を提供すれば、実像投影の場合には必要となるスクリーンアーチファクトを補正する必要が無くなる。
【0055】
図1は、単眼型の画像光ガイド10の一つの従来構造を簡略化して示す概略断面図である。この画像光ガイド10は、平坦かつ平行な表面を有する平面導波路22と、平面導波路22の透明な基板Sに配置されたインカップリング回折光学素子(入力側結合回折光学素子;インカップリング回折光学要素;in-coupling diffractive optic)IDOおよび
アウトプットカップリング素子ODO(出力側結合回折光学素子;アウトカップリング回折光学要素;out-coupling diffractive optic)と、を備えている。この例では、インカップリング回折光学素子IDOは、平面導波路22の内側表面14に配置される反射型回折格子として示されている。画像担持光WIは、内側表面14の反対側にある外側表面12を通って平面導波路22に近づいていく。しかしながら、インカップリング回折光学素子IDOは、透過型回折格子、体積ホログラムまたは他のホログラフィック回折素子、または入光する画像担持光WIを回折する他のタイプの光学要素であってもよい。インカップリング回折光学素子IDOは平面導波路22の外側表面12に配置されても、内側表面14に配置されてもよく、画像担持光WIが平面導波路22に近づいていく方向とのコンビネーションで、透過型であっても、反射型であってもよい。
【0056】
バーチャルディスプレイシステムの一部として使用される場合、インカップリング回折光学素子IDOは、実像、バーチャル像、またはハイブリッドのイメージソース(図示せず)からの画像担持光WIを結合して、平面導波路22の基板Sに入り込ませる。実像又はイメージディメンションは最初に、重なり合う角度的に関連付けられたビームのアレイに変換される(例えば焦点に向かって収束される)。このビームのアレイは、インカップリング回折光学素子IDOに呈示するバーチャル像内の異なる位置をエンコードするものである。画像担持光WIは(概ね一次回折(first direction order)により)回折され
、それによって、インカップリング回折光学素子IDOにより画像担持光WGとして平面導波路22内に再方向付けられ、全内部反射(Total Internal Reflection:TIR)により平面導波路22に沿ってさらに伝搬される。画像担持光WGはTIRに定められた境界に合わせて、概ね角度的に関連付けられたビームのより凝縮された範囲で回折されるが、画像担持光WGはエンコードされた形態で画像情報を保持する。アウトカップリング回折光学素子ODOはエンコードされた画像担持光WGを受け取り、画像担持光WGを画像担持光WOとして、平面導波路22の外へ、観察者の目の意図された位置に向かって(これも概ね一次回折により)回折する。一般的に、アウトカップリング回折光学素子ODOはインカップリング回折光学素子IDOに対して対称に設計され、出力された画像担持光WOの角度的に関連付けられたビームにおいて、画像担持光WIの元々の角度的関係を復元する。しかし、バーチャル像を見ることができる、いわゆるアイボックスEにおいて、角度的に関連付けられたビームの重なり合いの1つの次元を増大するために、アウトカップリング回折光学素子ODOは、画像担持光WGと多数回遭遇し、各遭遇において画像担持光WGの一部のみを回折するように構成されている。アウトカップリング回折光学素子ODOの長さ方向に沿う多数回の遭遇は、画像担持光WOの角度的に関連付けられた各ビームを1つの次元で拡大する効果を有し、それにより、ビームが重なり合うアイボックスEの1次元を拡大する。拡大されたアイボックスEは、バーチャル像を見るための観察者の目の位置に対する感受性を低下させる。
【0057】
アウトカップリング回折光学素子ODOは、平面導波路22の内側表面14に配置された透過型の回折格子として示されている。しかし、インカップリング回折光学素子IDOと同様に、アウトカップリング回折光学素子ODOは平面導波路22の外側表面12に配置されても、内側表面14に配置されてもよく、画像担持光WGが平面導波路22を出ることを意図された方向とのコンビネーションで、透過型であっても、反射型であってもよい。
【0058】
図2の斜視図は、2次元、すなわち、意図された画像のx軸及びy軸に沿ってアイボックス74を拡大するように構成された画像光ガイド20を示している。ビーム拡大の第2次元を達成するために、インカップリング回折光学素子IDOは、画像担持光WGを格子ベクトル(grating vector)k0で中間回転格子TGに向けて回折するように方向づけられている。この中間回転格子TGの格子ベクトルk1は、画像担持光WGを反射モードでアウトカップリング回折光学素子ODOに向けて回折するように方向づけられている。中間回転格子TGとの多数の遭遇のうちの各遭遇において、画像担持光WGの一部のみが回折され、それにより、アウトカップリング回折光学素子ODOに近づく画像担持光WGの角度的に関連付けられた各ビームを横方向に拡大する。中間回転格子TGは、画像担持光WGを、アウトカップリング回折光学素子ODOの格子ベクトルk2と少なくとも概ねアライメント(整列)する方向へと再方向付けする。画像担持光WGの角度的に関連付けられたビームを、画像担持光WOとして平面導波路22から出る前に、第2次元で縦方向に拡大するためである。描かれた格子ベクトルk0、k1、k2等の格子ベクトルは、回折光学素子の回折フィーチャ(例えば、溝、線、又は罫線)に垂直な方向に延び、回折光学素子IDO、TG、及びODOの周期又はピッチd(すなわち、溝間の中心距離)に反比例する大きさを有する。
【0059】
図2の画像光ガイド20において、インカップリング回折光学素子IDOは入力する画像担持光WIを受け取る。この画像担持光W1は、イメージソース16によって生成された画像におけるピクセルまたは等価な位置に対応する、角度的に関連付けられたビームの集合を含んでいる。バーチャル像を作成するために角度的にエンコードされたビームの全範囲が生成されている。この生成は、実際のディスプレイと集束光学素子によって、又はビームの角度をより直接的に設定するためのビームスキャナーによって、又は1次元の実際のディスプレイとスキャナー組合せることによって、実現できる。画像光ガイド20は、配向の異なる中間回転格子TG及びアウトカップリング回折光学素子ODOと画像担持光WGとの多数の遭遇を提供することによって、画像の2次元で拡大された角度的に関連付けられたビームの集合を出力する。平面導波路22の最初の配向(original orientation)において、中間格子TGはy軸方向のビーム拡大を提供し、アウトカップリング回折光学素子ODOはx軸方向の同様のビーム拡大を提供する。2つの回折光学素子IDO、ODO及び中間格子TGの反射率特性およびそれぞれの周期dと、それぞれの格子ベクトルの配向により、画像担持光WIにおける角度的に関連付けられたビーム間の意図された関係を保持しながら、画像光ガイド20から画像担持光WOとして出力し、2次元でビームを拡大する。
【0060】
すなわち、画像担持光WIの画像光ガイド20への入力は、インカップリング回折光学素子IDOによって角度的に関連付けられたビームの異なる集合にエンコードされるが、画像を再構築するために必要な情報は、インカップリング回折光学素子IDOの組織的な効果によって保持される。回転格子TGはインカップリング回折光学素子IDOとアウトカップリング回折光学素子ODOの間の中間位置に位置し、通常、画像担持光WGのエンコーディングに大きな変化を引き起こさないように配置される。アウトカップリング回折光学素子ODOは、通常インカップリング回折光学素子IDOに対して対称に配置され、例えば同じ周期を共有する回折フィーチャを含む。同様に、回転格子TGの周期も、通常、インカップリング回折光学素子IDO及びアウトカップリング回折光学素子ODOの共通の周期に一致する。回転格子の格子ベクトルk1は、他の格子ベクトルに対して45°を向くように図示されている(全て方向づけられていない線分として)。この配向は可能ではあるが、回転格子TGの格子ベクトルk1はインカップリング回折光学素子IDO及びアウトカップリング回折光学素子ODOの格子ベクトルk0、k2に対して60°に、画像担持光WGが120°回転するように配向されるのが好ましい。中間回転格子の格子ベクトルk1をインカップリング回折光学素子IDO及びアウトカップリング回折光学素子ODOの格子ベクトルk0、k2に対して60°に配向することによって、インカップリング回折光学素子IDO及びアウトカップリング回折光学素子ODOの格子ベクトルk0、k2もまた、互いに対して60°をなして配向される(ここでも、方向づけられていない線分と見なされる)。格子ベクトルの大きさは、回転格子TG、インカップリング回折光学素子IDO、アウトカップリング回折光学素子ODOの共通のピッチに基づくため、3つの格子ベクトルk0、k1、k2は方向づけられた線分として、正三角形を形成し、大きさの合計はゼロとなる。これにより、色分散を含む望ましくない収差を引き起こしかねない非対称の効果が避けられる。
【0061】
平面導波路22内に回折された画像担持光WIは、インカップリング光学素子が格子、ホログラム、プリズム、ミラー、その他の何らかの機構を用いるかに関わらず、インカップリング光学素子によって有効にエンコードされる。入力時に生じる光の反射、屈折、及び/又は回折は、観察者に提示されるバーチャル像を再形成するために、アウトプットによって、デコードをされる必要がある。好ましくは、インカップリング回折光学素子IDOとアウトカップリング回折光学素子ODOの間の中間位置に位置する回転格子TGは、通常、エンコードされた光にいかなる変更も引き起こさないように設計され、配向される。アウトカップリング回折光学素子ODOは、画像担持光WGを元の又は所望の形の、角度的に関連付けられたビームにデコードする。このビームはアイボックス74を満たすように拡大されている。広い意味では、回転格子TGとインカップリング回折光学素子IDOとアウトカップリング回折光学素子ODOとの間で対称性が維持されると否とに拘わらず、また、画像担持光WIの角度的に関連付けられたビームのエンコーディングに、平面導波路22沿いに何らかの変化が起こると否とに拘わらず、回転格子TGとインカップリング回折光学素子IDOとアウトカップリング回折光学素子ODOは、平面導波路22からアウトプットされた画像担持光WOが、画像担持光WIの元の形、又は意図されたバーチャル像を生成するための望ましい形を保持するように、関連付けられている。
【0062】
文字「R」は、アイボックス74内に目がある観察者に見えるバーチャル像の向きを表わしている。図示のとおり、表わされるバーチャル像の中の文字「R」の向きは、画像担持光WIにエンコードされた文字「R」の向きと一致している。入射する画像担持光WIのx-y平面におけるz軸周りの回転又は角度的配向の変化は、アウトカップリング回折光学素子(ODO)から出射する光の回転又は角度的配向に、対応する対称の変化を引き起こす。画像の配向という面においては、回転格子TGは単にある種の光学リレーとして作用し、画像担持光WGの角度的にエンコードされたビームを、画像の1つの軸に沿って(例えば、y軸に沿って)拡大する。アウトカップリング回折光学素子ODOは、画像担持光WIによってエンコードされたバーチャル像の元の配向を維持しながら、画像担持光WGの角度的にエンコードされたビームを、画像の別の軸に沿って(例えば、x軸に沿って)拡大する。回転格子TGは、通常傾斜又は正方形の回折格子であり、或いはブレーズド回折格子であってもよく、平面導波路22の前面又は後面に配置される。
【0063】
図1及び
図2に示される画像光ガイド10、20は、画像コンテンツを観察者に見せるための多くの既存のヘッドマウント型装置(HMD)の設計で用いられるタイプのものである。このタイプの画像光ガイドは、特に、透明な平面導波路22を通して見える現実世界の視野にバーチャル像コンテンツを重ね合わせることのできる、拡張現実のアプリケーションに適している。
【0064】
図1及び
図2に示される通常の画像光ガイド10、20は、画像コンテンツを観察者に見せるための多くの既存のヘッドマウント型装置(HMD)の設計で用いられている。このタイプの光ガイドは、特に、透明な画像光ガイドを通して見える現実世界のビューに画像コンテンツを重ね合わせることのできる、拡張現実のアプリケーションに適している。
【0065】
本開示の実施形態は、回折アレイを用いることにより、光路における別個の回転格子TGの必要性を排除できる、改善された導波路性能を提供する。この回折アレイは、x軸およびy軸方向の両方で画像担持光ビームのそれぞれを拡大し、拡大された画像担持ビームをアイボックスに向かって出力する。
【0066】
図3には、画像光ガイドとしての導波路150が示されている。この導波路150は、インカップリング回折光学素子IDOとアウトカップリング回折光学素子ODOを有している。これら光学素子IDO,ODOは、両方とも同じ表面に形成することができる。あるいは、これら光学素子IDO,ODOを導波路150の異なる表面に形成することもできる。インカップリング回折光学素子IDOは、図に示すように、x軸方向に延びる格子ベ
クトルkを有している。アウトカップリング回折光学素子ODOは、次に示すように、格
子ベクトルkと平行ではない複数の格子ベクトルを有している。
【0067】
図4には、回折アレイ100としてのアウトカップリング回折光学素子ODOの配置が示されている。アレイ100は、構成要素としての回折光学要素または光学素子102を多数有する。アレイ100の行において、一続きの回折光学要素102は、交互に格子ベクトルk2、k3を有する。拡大
図Eにおいてアレイ100の一部が示されており、ここに交互の格子ベクトルの配置が概略的に示されている。格子ベクトルk2は、入力格子ベクトルkおよびx軸から+60°オフセットされている(換言すれば、y軸から-30°オフセットされている)。格子ベクトルk3は、入力格子ベクトルkおよびx軸から-60°オフセットされている。
【0068】
図4においておよび後続の実施形態において、アウトカップリング回折光学素子として光路で使用される回折アレイ100は、単一の表面上に形成された回折要素または光学素子の互いに重ならない部分集合(subsets)、交わらない(非交和;union of disjoint)集合として、構造的に形成されていると考えることができる。集合論の観点から考えると、この部分集合の結合は「パーティション」を形成する。パーティションの各部分集合には独自の格子ベクトルがあり、部分集合は格子ベクトルの方向により互いに区別される。つまり、各部分集合のすべての回折要素は、共通の格子ベクトルを有している。回折要素102の空間的配置では、少なくとも2つの部分集合の要素が交互に配置されており、これにより、格子ベクトルk2を有する部分集合の各要素は、格子ベクトルk3を有する他の部分集合の1つまたは複数の要素と隣接している。隣接する要素の3つ以上の部分集合を
用いて、回折アレイ100のパーティションを構成することもできる。各部分集合の格子ベクトルは、他の部分集合の格子ベクトルとは異なる方向に延びている。
【0069】
図5A~
図5Eは、交互の格子ベクトルを用いた構成が、バーチャル像を形成するために、各回折要素102でどのように光を分配し出力するかを示す。
図5Aは、IDOからの入射光が、図の左に向かって進行し、格子ベクトルk2を有する回折要素102の一部で相互作用する様子を示している。入射光の一部は光学要素102で回折され、これによりIDOからの光の最初の経路から120°偏向される。この光の何割かは、回折格子に沿ったいくつかの点のそれぞれで、アレイ100の他の部分に回折され、方向を変えられる。この光の別の部分は回折されないが、代わりに回折光学要素102を通って次の光学要素102へと進む。
【0070】
図5Bは、
図5Aについて説明した経路と同様であるが逆方向の経路を示している。IDOからの入射光は、格子ベクトルk3を有する回折素子102へと伝播し、示された角度経路のいずれかを取ることができる。入射光の一部は、光学素子102で回折され、IDOからの光の元の経路から-120°偏向される。この光の何割かは、回折格子に沿ったいくつかの点のそれぞれで、アレイ100の他の部分で回折され、方向を変えられる。この光の別の部分は回折されないが、代わりに回折要素102を通って次の要素102へと進む。
【0071】
図5Cは、回折素子102の格子と実質的に直交する角度で光が入射したときに起こることを示している。この角度では、光が回折要素102から出て、光の一部が回折構造との相互作用で外に向けられる。
【0072】
図5Dは、アレイ100から光を出力させる相互作用の1つのタイプを示している。格子ベクトルk2を有する要素102から回折された光の一部は、格子ベクトルk3を有する別の光学素子102に入射する。
図5に示す条件が満たされ、入射光は格子ベクトルに平行になる。それからこの光が出力される(つまり、
図5Dの紙面から出力される)。
【0073】
図5Eは、アレイ100内の光路に沿って起こり得る異なる相互作用を示している。 こ
こでは、格子ベクトルk2を有する光学素子102から回折された光の一部が、格子ベクトルk2を有する別の素子102に入射する。結果として生じる出力光は、示された配置で入力光と平行をなして外に向けられる。
【0074】
図6は、回折アレイ100の各回折要素102に対する主要な光の応答をまとめた表1を示している。
図5A~
図6に関連した記述から、回折アレイ100内の入射光に対して多数の潜在的な経路が提供され、光がx軸方向とy軸方向の両方に沿って広がり、拡大された出力が得られる。しかしながら、特定の角度で入射する光のすべてが、
図6に示されるように方向を変えられるわけではない。格子との最初の接触で方向を変えられない光は、格子を通って進み、格子に沿った任意の数の追加点で方向を変えることができる。
図6
は、観察者の画像を形成する光の主な経路を示している。
【0075】
必要な性能や製造可能性などの要因に応じて、回折要素102には多くの形状配置がある。
図7Aの実施形態は、チェッカーボード構成の拡大部分を示す。ここでは、アレイ100の各行および各列に沿って交互する格子ベクトルk2、k3で配列された矩形要素102を用いている。
図7Bは、六角形を用いた配置の拡大部分を示す。
図7Cは、三角形を用いた配置の拡大部分を示す。これらの配置のそれぞれにおいて、回折素子102は、第1部分集合か第2部分集合に属する。第1部分集合の回折要素は、IDOの格子ベクトルから約+60°オフセットされた(すなわち、+60°±3°以内の角度でオフセットされた)格子ベクトルを有する。第2部分集合の回折要素は、IDOの格子ベクトルから約-60°オフセットされている(つまり、-60°±3°以内の角度でオフセットされている)。 第1部分集合(+60°)の各回折要素は、第2部分集合(-60°)の少なくとも1つの回折要素に隣接している。第1部分集合の回折要素と第2部分集合の回折要素は相互に重複していない。
【0076】
回折格子の深さやその他のフィーチャなどの設計パラメータは、例えば、アウトカップリング回折光学素子の特異な部分に向かって高い割合の光を選択的に出力するように、格子にわたって変化させることができる。
【0077】
形状の修正に加えて、
図4の基本モデルに対する他の変更を行なうこともできる。この変更には、回折アレイ100内で、±60°以外の角度の格子ベクトルを有する部分集合の格子要素をいくつか追加することを含む。本発明の一実施形態によれば、ある程度のランダム化を提供してもよい。このランダム化には、0°または他の適切な角度の格子を、アレイ100に沿って延びる光路に、選択的に散在させることを含む。
【0078】
図8Aと、
図8Bの拡大図は、本開示の他の実施形態を示す。この実施形態において、画像光ガイド170は、導波路基板の同じ側にインカップリング回折光学素子とアウトカップリング回折光学素子を有する。この構成では、アウトカップリング回折光学素子ODOは、3つの回折要素のグループにより形成される。
図8Bに示すように、これら3つのグループの回折要素は互いに隣接し、3つの対応する格子ベクトルk、k2、k3を有している。
図8Cの表は、画像光ガイド170内において異なる角度で伝播する光に対する光処理作用を示す。格子ベクトルkは、格子ベクトルk2およびk3から約60°(60°±3°以内)をなす。
【0079】
有利なことに、
図4および8Aに示す実施形態では、回旋格子を必要とせずにビームを拡大する導波路を提供する。しかし、
図9A,
図9B、
図10の実施形態で示すように、追加の分配格子(distribution grating)を使用して、光の分配を改善することができる。
【0080】
図9Aの平面図は、画像光ガイド160を提供する導波路を示す。ここでは、回折光学素子の配列を用いて導波路からの拡大された出力ビームを形成する。インカップリング光学素子IDOからの光は、図示のy次元に関して拡大するために第1および第2の分配格
子70に向けられる。それによって得られた光は、対をなす分配格子72によって、アウトカップリング回折光学素子ODOへと再方向付けされる。アウトカップリング回折光学ODOは、前述のように回折アレイ100を用いる。
図9Bは、画像光ガイド160の異なる回折構成要素の代表的な格子ベクトルを示している。
【0081】
図10は、
図8、
図9の光ガイド160によって画定された、インカップリング回折光学素子IDOに向けられた画像担持光のための光分配経路の概略図を示す。インカップリング回折光学素子IDOからの光は、y軸方向に沿って拡大し、一方または両方の分配格子70を通過する。次いで、各分配格子70からの光は、第2の対の分配格子72に送られる。分配格子72は、光を内部に向け直すが、これを行ってビームを広げ、光を出力光路の方向に再方向付けし、アウトカップリング回折格子ODOに向ける。次いで、アウトカップリング回折格子ODOは、光を画像光ガイド160から直角に方向付けし、観察者のアイボックスを形成する。このように、画像担持光の経路は、少なくとも2つの分配格子を通るように方向付けすることができる。分配格子は互いに離間しており、画像光ガイド内で画像担持光を拡大する。
【0082】
格子70から後続の分配格子72まで光路に沿って進む通過光は、偶数回回折された光である。y軸についての光の拡大は、奇数回{1、3、5など...}の回折の結果である。
【0083】
図11に示すフローチャートは、
図8~
図10に示す格子の配置を用いて、画像光ガイド150が光をどのように扱うかを記述している。入力ステップ400で、光がインカップリング回折光学素子IDOに入力される。ステップ410で、光は分配格子70に進む。ステップ420で、格子70からの回折光は回転ステップ424に進み、そこで光は+60°または-60°のいずれかに回転される。-60°に回転された光は、回折格子72の回折ステップ430に進む。ステップ450で非回折光が循環される。回折光は回転ステップ470に進み、+60°または-60°に方向を変えられる。同様に、+60°に回転された光は、回折格子72の回折ステップ440に進む。ステップ460で非回折光が循環される。回折光は回転ステップ480に進み、+60°または-60°に方向を変えられる。光は、出力ステップ490で、アウトカップリング回折光学素子ODOから出力される。
図11は、主要な光路を同定し、画像光ガイド内の多くの光の処理動作と近似している。例えば、全ての光がさまざまな界面で回折を受けるわけではない。
【0084】
図12の斜視図は、本開示の画像光ガイドを一対使用した3次元(3D)拡張現実表示のためのディスプレイシステム60を示す。ディスプレイシステム60は、左眼用の画像光ガイド1401を有する左眼光学システム54lと、右眼用の画像光ガイド140rを有する右眼光学システム54rと、を備えたHMDとして示されている。ピコプロジェクタまたは同様のデバイスなどのイメージソース52が提供され、各眼に個別の画像を生成するように稼働される。これら画像は、直立した画像ディスプレイにとって必要な画像の向きでバーチャル像として形成される。生成される画像は、3D表示用の立体画像の対にすることができる。光学システムによって形成されるバーチャル像は、観察者が見る現実世界の視野に重なるように見ることができる。拡張現実視覚化技術の当業者によく知られている追加の構成要素も提供できる。シーンコンテンツまたは観察者の視線追跡を見るためにHMDのフレームに取り付けられた1つまたは複数のカメラなどである。片眼に画像を
提供するためのディスプレイ装置を含む、代替の配置が可能である。
【0085】
図13Aは、格子ベクトルklと格子周期dlを有する回折格子500の概略図である。これら格子ベクトルklと格子周期dlは第1の格子パターンを規定する。一実施形態では、格子ベクトルk1は、x軸方向に対して45°の角度をなす。別の構成では、格子ベクトルk1は、x軸方向に対して約60°の角度をなす。さらに別の構成では、格子ベクトルk1は、x軸方向に対して約30°の角度をなす。
【0086】
図13Bは、格子ベクトルk2と周期d2を有する回折格子510の概略図である。これら格子ベクトルk2と周期d2は第2の格子パターンを規定する。一構成では、格子ベクトルk2は、x軸方向に対して-45°の角度をなす。別の構成では、格子ベクトルk2は、x軸方向に対して約-60°の角度をなす。さらに別の構成では、格子ベクトルk2は、x軸方向に対して約-30°の角度をなす。
【0087】
図13Cは、回折格子500と回折格子510を重ねることにより構成される重合回折格子(overlapping diffraction grating)520の概略図である。一構成では、格子ベク
トルk1とk2との間の角度は45°である。別の構成では、格子ベクトルk1とk2の間の角度は約60°である。さらに別の構成では、格子ベクトルk1とk2の間の角度は約30°である。さらに別の構成では、格子ベクトルk1と格子ベクトルk2との間の角度は0°と180°の間である。
【0088】
一構成では、第1の回折格子の周期d1は、第2の回折格子の周期d2と同じである。
別の構成では、第1の回折格子の周期d1は、第2の回折格子の周期d2とは異なる。一構成(図示せず)では、回折パターンの少なくとも1つは、格子ベクトルの方向に変化するチャープ周期を有する。
【0089】
円錐回折法則は、任意の入射角を包含する。この入射角は、格子に垂直で格子ベクトルを含む平面からの方位角成分を有する入射角、を含んでいる。方向コサイン空間に関する数式化されたこれらの法則の数学的記述は、James E. HarveyとCynthia L. vernoldによる
「方向コサイン空間における回折格子動作の説明」という題名の論文(Applied Optics,Vol. 37,Iss 34, pp.8158-8160(1998))において提供されている。この論文は参照によ
り本明細書に組み込まれる。
【0090】
円錐回折を定義するために、右手座標系は、格子の平面と入力光線ベクトルの交点を中心にすることができ、これにより、格子の法線ベクトルがz軸に沿い、x軸がxy平面に投影された入力光線のベクトルに沿うようになる。xy平面に投影されたm
th次の回折光線のx座標とy座標は、次の方程式で与えられる。
【数1】
【数2】
ここで、m = 0、±1、±2は回折次数を示し、λ=λ
0/n
mは屈折率n
mの材料を通過する光
線の波長で、λ
0は真空中の光線の波長である。dは格子のピッチであり、κ(ギリシャ文字のカッパ)は正のx軸方向に対する格子ベクトルkの角度であり、θ
inはz軸(回折格子の法線)に対して入射光線がなすインボリュート角(polar angle)であり、φ
inはxy平面においてx軸に対して入射光線がなす方位角である。入射光線がxz平面にあり、光線が-x軸から+x軸方向に向かっている場合、方位角はφ
in= 0°になる。
【0091】
下記条件は、(エバネッセント光線とは対照的に)回折光線が実であることを保証する。
【数3】
【0092】
xy平面におけるm
th次の回折光線のx軸に対する方位角は、次式によって決定され
る。
【数4】
【0093】
このようにして、回折光線の回転(方向転換)を決定することができる。m
th次の回折光線のz軸に対するインボリュート角は、次式により決定される。
【数5】
【0094】
これらの方程式を用い、複数の交差する格子ベクトルを個別の非交差の格子とみなすことにより、線形交差格子(linear crossed grating)の一次設計を決定することができる。交差格子の設計時に他の二次格子ベクトルが発生する可能性があるため、交差格子の特別な用途が検討される場合には、実験の一部に基づき、および/または完成した交差格子の
より厳密なフーリエ解析に基づき、設計の追加調整が望まれることがある。
【0095】
図14は、3つの重なり合う格子で構成される複合回折格子600の概略図である。 複
合格子として、3つの格子が同じ平面で重なり合っている。個別の回折格子は、3つの異なる格子パターンを定義する3つの格子ベクトルk1、k2、k3によって区別される。
3つの格子のそれぞれの周期dは同じ値である。他の配置では、3つの格子の周期はすべ
て同じではない。さらに、3つの格子周期の少なくとも1つがチャープ周期を有していて
もよい。図示のように、3つの格子ベクトルkl、k2、k2はすべて、60°の角度をなしている(方向の無い線分として見た場合)。格子ベクトルの大きさが共通のピッチに基づく場合、3つの格子ベクトルkl、k2、k3(方向を有する線分として)は、正三角
形を形成し、大きさがゼロになる。他の配置では、格子ベクトルは異なる角度によって相対的に方向付けることができる。例えば、画像担持ビームが格子ベクトルklとアライメントした名目の(公称の)伝播方向(nominal direction of propagation)で複合回折格子に近づく構成では、格子ベクトルk2およびk3は、格子ベクトルklに対して45°の角度によって方向付けることができる。
【0096】
図15は、3つの回折格子パターン610、612、614の概略図であり、それぞれ
図14の格子パターンと同様に、互いに異なる角度に向けられている。バイナリ配列において、暗いバー620は材料の除去を表し、暗いバー620の間の白いスペース622は、複合回折格子を形成することができる元の材料を表す。
【0097】
図16は、互いに重なり合った
図15の3つの回折格子パターン610、612、614を示す概略図である。この重合パターン(overlapping pattern)から、領域650が複
合回折格子の最終的な回折パターンとして選択される。説明のために、格子の周期は大幅に拡大され、周期の数は大幅に削減されている。
【0098】
図17は、領域650の拡大概略図であり、材料が除去される領域652と、元の基板材料が残る領域654とを示している。材料が残る領域654は、格子フィーチャと呼ぶことができる。この格子パターンの構成に関して、格子フィーチャは六角形の形状を有する。残された材料に対する除去された材料の他の分布では、格子フィーチャは他の形状をとることができる。
【0099】
図18は、3つの重なり合う回折パターンで形成された複合格子パターン660の概略図を示す。暗い領域664は、格子660を形成するために元の材料が除去された領域を表す。残りの領域は、六角形の格子フィーチャ654を含む。ここで、格子パターンは、格子フィーチャ自体の配置によって形成される。格子フィーチャの配置は、2次元格子(two-dimensional lattice)をなすユニットセルの複製(replication)に基づく。例えば、描かれたパターンは、長方形のユニットセル666または六角形のユニットセル668の複製によって形成することができる。ユニットセル666または668は、2次元格子の頂点を共有しながらそれぞれのユニットセルを隣接ユニットセルに連ねて複製することにより、複合格子パターン660全体を定義することができる。格子ベクトルk1、k2、k3は、
図17の複合格子パターン650のように、60°により互いに対して相対的に配向されているが、複合格子パターン660のユニットセルの定義は、同じ格子パターン内で格子フィーチャ662をさらに形成し配向するための追加の自由度を提供する。例えば、格子フィーチャ662が正方形、長方形、円または楕円として形成されたとしても、格子ベクトルk1、k2、k3の同じ相対配向および周期は、変わらずに維持される。加えて、格子フィーチャ662は、機械加工操作後に残る材料、または機械加工操作によって除去される材料のいずれかによっても定義することができる。より広くは、格子フィーチャは、屈折率の違いなど、周囲から回折格子フィーチャを区別する光学特性によっても定義できる。
【0100】
図19は別の複合格子パターン700を示す。この複合格子パターン700は、長方形のユニットセル702に基づいて、ほぼ直交する格子ベクトルk1、k2によって画定される2つの重なり合う格子パターンを含む。図示の構成では、格子ベクトルk1はx座標軸にほぼ平行に延び、格子ベクトルk2はy座標軸にほぼ平行に延びている。格子フィーチャ704は、各長方形ユニットセル内に規定される。
【0101】
複合格子パターン700は、二次元格子(two-dimensional lattice)として定義するこ
とができるが、格子フィーチャ704は、x座標軸に沿ってユニットセル702の一次元に広がり、これにより、長方形のユニットセル702内の格子フィーチャ704が、 x
座標軸に沿って結合される隣のユニットセル702の格子フィーチャ704と連続するようになっている。このようにして、k1ベクトル方向における複合格子パターンの周期性は、y座標軸方向における格子フィーチャ704の規則的な変化によって生成される。kl格子ベクトルの周期性を定義する規則的な変化は、鋸歯状パターンである。k2ベクトル方向の複合格子パターンの周期性は、連続する格子フィーチャのy座標軸方向における
行間の規則的または平均的な間隔によって生成される。
【0102】
特に、k2格子ベクトルに関連したy座標方向の周期的変動によって定義される格子パターンは、kl格子ベクトルに関連したx座標方向の周期的変動によって定義される格子パターンよりもはっきりしている。格子線として考察すると、k1格子ベクトルに関連付けられた個々の格子線は、y座標軸に沿って不連続であり、k2格子ベクトルに関連付けられた個々の格子線は、x座標軸に沿ってより連続的に延びる。この構造的不均衡は、kl格子ベクトルに関連付けられた回折よりもk2ベクトルに関連付けられた回折に有利であり、y座標軸に沿った画像担持ビームの広がり(すなわち、拡大)を強化する。
【0103】
図20A、20B、20Cは、x座標軸に沿って連続して延びる異なる形状の格子フィーチャ712、716、720を備えた3つの代替の長方形ユニットセル710、714、および718を示す。長方形ユニットセル714の格子フィーチャ716は、
図19の長方形のユニットセル702の格子フィーチャ704と似ているが、長方形ユニットセル710の格子フィーチャ712は矩形波のユニットにより近く、長方形ユニットセル718の格子フィーチャ720は正弦波により近い。
【0104】
しかしながら、
図20Dに図式的に示されるように、3つの長方形ユニットセル710、714、718は、全て直交格子ベクトルk1、k2を有する複合格子パターンを規定する。矢印722は、ユニットのベクトルk1、k2を定義する長方形ユニットセル724に近づく画像担持ビーム中の名目上の伝播方向を表し、様々な角度での光の回折をもたらす。矢印726に沿ってゼロ次で回折された光は、TIRにより導波路に沿って伝播し続け、伝播方向に沿って複合格子パターン内の他の同じまたは類似のユニットセルのパターン構造に到達するまで、変化しない。導波路のx-y平面では、矢印726で表されるゼロ次で回折された画像担持ビームの部分は、当初の(元の;original)伝搬方向を維持する。
【0105】
複合回折格子パターンに基づいて、様々な一次回折が可能である。例えば、画像担持ビームの一部は、従来のアウトカップリング回折光学素子のように、主としてk1ベクトルによって定義される格子パターンとの遭遇に基づいて、円728によって示されるように導波路外へ回折される。好ましくは、格子ベクトルk1は、インカップリング回折光学素子の格子ベクトルと一致し、これにより、導波路から射出された画像担持ビームが元の角度的に関連された形態でデコードされるようになっている。しかしながら、複合格子パターンは、ユニットセル724の対角線に沿い矢印730および732で示される他の一次回折も生成する。この一次回折は、名目の伝搬方向から像担持ビームの部分を広げる。そのように回折された部分は導波路内に残るが、互いに対して異なる形態で(すなわち、インカップリング回折光学素子により課せられた角度的にエンコードされた形態とは異なる形態で)角度的にエンコードされ得る。ただし、元の角度エンコーディングは、複合格子パターンにおける他の同じまたは類似のユニットセル構造とのその後の遭遇によって復元することができる。
【0106】
六角形のグリッドパターンとは異なり、これらの回折格子のyベクトルは、xベクトルから独立している。回折次数により、名目の光線進行方向に平行ではないベクトルに沿って導波路内に向け直された画像担持ビーム部分は、新しい角度の集合にエンコードされ得る。ただし、同等のピッチのパターン(xおよびy次元における)との2番目の相互作用は、出力結合された(outcoupled)ビーム部分を効果的にエンコード解除するか、このビーム部分を以前のエンコードに戻し、導波路内で当初の(original)方向に沿って伝播する。
【0107】
図21A~
図21Dは、
図20のユニットセルに基づいた格子構造によって規定されるアウトカップリング回折光学素子750との、一連の遭遇パターンを示す。重なり合う格子パターンを有するアウトカップリング回折光学素子750は、2つの主要な機能を実行する。導波路から画像担持ビームを出射することに加えて、アウトカップリング回折光学系750は、画像担持ビームを2次元に拡大して、アイボックス内の共通の重なり合う領域を増大させる。画像担持ビームは、アウトカップリング回折光学素子での連続回折によって拡大される。各遭遇は、異なる回折次数を通して画像担持ビームを回折する。
【0108】
図21Aは、TIRにより、インカップリング回折光学素子740からアウトカップリング回折光学素子750へと導波路に沿って伝搬する画像担持ビームの一連の遭遇を示している。
図21Aでは、アウトカップリング回折光学素子からのゼロ次回折のみが示されている。TIR反射に相当するこのような各遭遇は、中央に十字がある円で表示されている。伝播のさらなる過程で、ゼロ次回折光は導波路の反対側の側面で反射され、引き続いて当初の伝播方向に沿って変位した位置で、アウトカップリング回折光学素子と遭遇する。このように、ゼロ次回折は、導波路のx-y平面に投影された当初の伝搬方向に沿って、画像担持ビームをさらに伝搬する。
【0109】
図21Bは、
図20Dの円716によって示される一次回折の効果を示す。デコードされた光は、遭遇の度に導波路からアイボックスに向かって回折される。出射された光は、「X」を重ねた暗い円で示す。このように、画像担持ビームは、相対的に変位する一連のビームレットとして名目の伝播方向に拡大される。これらビームレットのそれぞれは、元の画像担持ビームの1つの中の光の一部を構成する。このような回折に関与するkl格子ベクトルパターンは、好ましくはインカップリング回折光学素子の格子ベクトルの向きおよび大きさと一致しており、これにより、インカップリング回折光学素子によって画像担持ビームに課せられた角度関係を、画像担持ビームが最初にインカップリング回折光学素子で回折された方向と逆にするのと同等の方法で、デコードする。
【0110】
図21Cは、
図20Dの矢印718、720によって示される一次回折の追加を示す。追加の一次回折718、720は、導波路のxy平面上に投影される名目の伝搬方向に対して傾斜した異なる方向に画像担持ビームの部分を回折する。追加の一次回折を受ける各遭遇は、画像担持ビーム部分を導波路にわたって横方向に広げる。ゼロ次回折は、連続する遭遇を通して追加の一次回折718、720の瞬間的な方向を維持することにより、連続する遭遇の広がりに貢献する。
【0111】
追加の回折次数の1つを介しての各初期回折は、画像担持ビーム部分を名目の伝播方向か
ら外れるように方向付けする。そうすることで、画像担持ビームの影響を受けた部分が、異なる角度に関連した形でさらにエンコードされ得る。ただし、同じ回折次数による後続の回折(本質的に逆に作用する)により、元の角度エンコーディングと、画像担持ビームの回折部分の中の当初の伝播方向と、を両方とも復元できる。ビーム部分のエンコーディングと方向の両方が復元されるが、ビーム部分は名目の伝搬方向と垂直な方向にオフセットされ、画像担持ビームを第2次元で拡大する効果を有する。
【0112】
図21Dは、第2次元に沿う拡張された遭遇範囲内における、
図20Dの円716で示される一次回折の効果を示す。方向とエンコーディングが復元されたビーム部分の遭遇には、導波路からアイボックスにデコードされた光を射出する一次回折716を含み、2次元に拡大されたアイボックスの共通領域内で、画像担持ビームが重なる。
【0113】
図22A、
図22Bは、インカップリング回折光学素子762およびアウトカップリング回折光学素子764の格子パターンが概略的に描かれた異なる導波路760を示す。インカップリング回折光学素子762の格子ベクトルk0は、アウトカップリング回折光学素子764の格子ベクトルの1つとアライメントされており、インカップリング回折光学素
子762の周期d0は、アウトカップリング回折光学素子764の周期dlと一致する。したがって、インカップリング回折光学素子762によって回折された画像担持ビームのエンコーディングは、アウトカップリング回折光学素子764によってデコードされるので、インカップリング光学素子762に提示された画像担持ビーム(例えば766)間の角度関係は、アウトカップリング回折光学素子764から出射される画像担持ビーム(例えば、768)の間で復元される。しかしながら、アウトカップリング回折光学素子764の重合格子パターンは、射出ビーム(例えば、768)間の重なり領域を2次元にわたって拡大することを可能にする。
【0114】
図23は、複合格子パターン780のレイアウトを示しており、正方形格子フィーチャ782は、直交格子ベクトルk1およびk2を有する長方形グリッドに配置されている。様々な次数の回折が、光を、名目の伝播方向に沿って、および名目方向と直交する成分を含む互いに逆の方向に沿って分配する様が描かれている。
【0115】
図24Aは、ユニットセル800の回折次数を示しており、このユニットセルは
図24Bのアレイに組み込まれ、複合格子パターン810を規定する。この複合格子パターンは、アウトカップリング回折光学素子として用いることができる。このアウトカップリング光学素子は、デコードされた画像担持ビームを、画像担持ビーム間の重なり領域を2次元に拡大した形態で、導波路から射出する。共通のユニットセル800に基づくアレイとして、導波路内に残る様々な回折次数は、隣接するユニットセル800の相補的な回折次数とアライメント(整列)した方向に伝播する。したがって、連続する遭遇のそれぞれで、画像担持ビームの残りの部分は、同じ集合または部分集合の方向で回折される。名目の伝搬方向から外れて回折により付与されたいかなるエンコーディングも、同等の回折によって除去することができる。当該同等の回折は、望ましいエンコーディングとさらなる名目の伝搬方向の両方を復活させ、回折次数の1つが導波路から出射してアイボックスを満たすことができる。同様に、導波路からアイボックスに光を導く回折パターンは、好ましくはインカップリング回折光学素子の回折パターンと同等であり、これにより、導波路への回折時に画像担持ビームに課せられたエンコーディングが、導波路外への同ビームの回折によりデコードされる。
【0116】
図25は、2次元格子の形態の複合格子パターン820を示しており、4つの格子パターンが、格子ベクトルk1、k2、k3、k4によって識別されている。インカップリング回折光学素子から矢印822で表される名目の方向に伝播する画像担持ビームの集合が様々に回折される。図示のように、格子フィーチャ824のそれぞれは、長さ1対幅wのアスペクト比が、1(unity)より大きい。入力ビームの名目方向822に沿い楕円形または長方形などにして、格子フィーチャ824のアスペクト比を大きくすると、出力結合される回折次数(out-coupled diffraction orders)へのエネルギーが減少する一方で、回転される回折次数へのエネルギーが増大し、これにより、y座標軸に沿う入力ビームの拡大を優遇する。入力ビームが名目の伝播方向822に沿って複合格子820に遭遇すると、アウトカップリング回折次数を通るエネルギーが過剰になり、アイボックス内に不均一な照明が生成される。格子フィーチャ824の長さlに対して格子フィーチャ824の幅wを相対的に減少させることは、アイボックスをより均一な照明で満たすことに寄与する。
【0117】
図26は、2次元格子の形態の別の複合格子830を示す。この複合格子は、
図25の複合格子パターン820の格子ベクトルk1、k2、k3、k4と同様に配向された格子ベクトルによって規定されている。入力ビームは、同様の名目の伝播方向832で複合格子830に提示される。しかしながら、格子フィーチャ834のアスペクト比は、名目の伝播方向832に沿って徐々に変化する。図示のように、格子フィーチャ834の幅wは同じままである。しかしながら、格子フィーチャ834の長さは、始めは格子フィーチャ834の幅よりもかなり長く、名目の伝播方向832に沿って次第に短くなる。格子フィーチャ834のこのような漸進的に変化するアスペクト比は、アイボックス全体で出力結合ビーム(out-coupled beam)の輝度レベルをさらにバランスさせるために用いることができる。画像担持ビームがy座標軸に沿って導波路の出力開口領域に広がると、よりバラン
スの取れた(1:1に近い)アスペクト比を用いて、画像担持ビームの残りの部分を出力開口内で効率的に出力結合(out-couple)することができる。
【0118】
このように、xおよびy座標軸の両方に沿ってアウトカップリング回折光学素子から出力される画像担持ビームを拡大して、アイボックス内の重合領域を増大させるという目的に加えて、格子フィーチャのアスペクト比を変えることにより、拡張された出力ビームで光をより均等に分配し、アイボックス全体でよりバランスのとれた照明を提供することができる。格子フィーチャの長さ1と幅wの両方を変えることにより、アイボックス内の光の
望ましい分布をコントロールすることもできる。xおよびy座標方向のアスペクト比の変化に加えて、格子フィーチャのアスペクト比は、他の方向、特に格子ベクトルに垂直な方向で変化させることもできる。過剰な光が出力結合される複合格子の領域では、局所格子フィーチャのアスペクト比は、導波路内で過小の光が出力結合される複合格子の他の領域へ分配される傾向がある回析次数を優遇するように、構成することができる。さらに、光の出力結合が過小となるような領域において、出力結合を促進させることもできる。
【0119】
格子ベクトルと付随する回折次数(これらはユニットセルの配置によってサポートされる)によってユニットセルを定義することに加えて、ユニットセル内の格子フィーチャの形状、相対屈折率、格子フィーチャの高さまたは深さは、各ユニットセルの回折次数間の光の分配に影響を与えるように制御できる。
【0120】
デコードされた光は、通常、名目の伝搬方向に沿った格子ベクトルを持つ格子パターンに遭遇することにより、導波路から出射されるが、3つの格子パターンは、角度エンコードを維持しながら、実質的に等しいピッチで互いに60°をなして配向されることにより、導波路から光を放出するより多くの機会を提供しながら、角度的なエンコーディングを保つことができる。例えば
図16~
図18参照。第1格子パターンを名目の伝播方向に直交して配向し、第2および第3の格子パターンはそれぞれ名目の伝播方向に対してプラス60°およびマイナス60°に配向することができる。第2格子パターンに遭遇した画像担持ビーム部分は、第3格子パターンに実質的に垂直な経路上で一次で回折することができる。この方向の上記ビーム部分は、同様の一次で第3格子パターンでの回折により、導波路から出射される。同様に、第3格子パターンに遭遇した画像担持ビーム部分は、第2格子パターンに実質的に垂直な経路上で一次回折される。この方向のビーム部分は、同様の一次で第2格子パターンでの回折により、導波路から出射される。
【0121】
第1格子パターンとの遭遇の仲介を経て後続の第2格子パターンに遭遇すると、後続の第2格子パターンとの遭遇により、デコードされた光が導波路からアイボックスに向けて出射される。第1回折格子との遭遇の仲介なしの第2回折格子との連続した遭遇、または第1回折次数による第2回折格子との連続した遭遇は、名目の伝播方向に沿って回折されたビーム部分を復元できる。第2、第1、第3の回折パターンでの連続した一次による遭遇は、そのように回折された部分を、名目の伝播方向とは反対の方向に再方向付けするこことができる。xy平面でのその瞬間での方向を保持する3つの格子パターンからのゼロ次回折を組み合わせると、3つの格子パターンとの様々な遭遇と再遭遇は、画像担持ビームの元のエンコードを保持しながら、アウトカップリング光学素子全体にわたって画像担持ビームのそれぞれの光部分を循環させ、3つの回折パターンのそれぞれとの様々な遭遇により、導波路から出射する。
画像光ガイドにおける回折格子パターンの製作
【0122】
複合格子パターンは、体積ホログラム光学素子(HOE)として形成できる。 当業者に
周知のように、体積HOEは、記録材料の厚さが記録に使用される光波長よりもはるかに大きいホログラムである。あるいは、重なり合う格子パターンは、2次元(2D)フォトニック結晶として実現できる。あるいは、複合格子パターンは、3次元(3D)フォトニ
ック結晶として形成することができる。当業者に知られているように、2Dフォトニック結晶は、フォトリソグラフィーにより、または適切な基板に穴を開けることにより製造することができる。当業者に知られているように、3Dフォトニック結晶の製造方法は、複数の2D層を互いの上に積み重ねる方法、直接レーザーで書き込み方法、またはマトリックス内の球の自己組織化を誘発し、その球を溶解する方法を含む。
【0123】
インカップリング回折光学素子IDOおよびアウトカップリング回折光学素子ODOは、回折格子または体積ホログラムとして形成されるか、またはホログラフィックポリマー分散液晶から形成され得るが、これらに限定されない。画像光ガイドの導波路基板Sは、通常、インカップリング回折光学素子、分配格子、回折光学素子の間のTIR伝送をサポートするのに十分な屈折率を持つガラスまたは他の光学材料である。
【0124】
インカップリング回折光学素子IDOとアウトカップリング回折光学素子ODOは、それぞれの機能に適した異なる配向と格子周期を持つことができる。ガラス基板ブランクを適切に表面処理した後、例えばナノインプリンティング法を用いて、画像光ガイドの片面または両面に回折構成要素を形成することができる。インカップリング光学素子とアウトカップリング光学素子の少なくとも一方は、表面レリーフ回折格子とすることができる。
【0125】
当業者に知られているように、基板材料を除去する1つの方法は、電子ビーム加工によるものである。電子ビーム加工は、高速電子を細いビームに集中させてワークピースに向け、熱を発生させて材料を蒸発させる方法である。
【0126】
図27A,
図27Bは、電子ビームで製造された格子パターンの処理されたSEM画像を示す。
図27Aは、
図18の格子パターン660を製造により実現した複合格子パターン850を示す。
図27Bは、
図19の格子パターンを製造により実現した複合格子パターン860を示す。両方の場合、および当業者に知られているように、製造された結果は、格子パターンの理想的形態に近似する。具体的には、
図18に示す格子フィーチャ662は、
図27Aに示ように丸みを帯びたコーナー部を有する格子フィーチャ852として製造されている。同様に、
図19に示す格子フィーチャ704の鋭角のコーナー部は、
図27Bに示すように丸みを帯びたコーナー部を有する格子フィーチャ862として製造されている。製造プロセスが異なると、格子パターンの微細な特徴の近似度が異なる。
【0127】
本発明は、現在の好ましい実施形態を特に参照して詳細に説明されているが、本発明の精神および範囲内で変形および修正が可能であることが理解されるであろう。したがって、ここに開示された実施形態は、すべての点で例示的であり、限定的ではないとみなされる。