(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-21
(45)【発行日】2024-01-04
(54)【発明の名称】少なくとも1つの発光源を有するノズル装置
(51)【国際特許分類】
A47L 9/30 20060101AFI20231222BHJP
【FI】
A47L9/30
(21)【出願番号】P 2023504033
(86)(22)【出願日】2021-06-18
(86)【国際出願番号】 EP2021066702
(87)【国際公開番号】W WO2022017698
(87)【国際公開日】2022-01-27
【審査請求日】2023-02-03
(32)【優先日】2020-07-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(32)【優先日】2021-02-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】523393508
【氏名又は名称】ヴェルスニ ホールディング ビー ヴィ
(74)【代理人】
【識別番号】110001690
【氏名又は名称】弁理士法人M&Sパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】クライネ‐ドゥプケ バスティアン コルネリス
(72)【発明者】
【氏名】ステーマン ヨンネ
【審査官】沖田 孝裕
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-234633(JP,A)
【文献】特開2017-144099(JP,A)
【文献】特表2016-511041(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47L 9/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
清掃動作の間において清掃されるべき表面に対面し、該表面上を移動されるノズル装置であって、
当該ノズル装置の側部に配置され、当該ノズル装置の該側部から光を放出する少なくとも1つの発光源と、制御装置とを有する、ノズル装置において、
前記制御装置は、前記少なくとも1つの発光源の少なくとも1つのパラメータを、清掃動作の実際の状況に関連して、機能値と該機能値とは異なる少なくとも1つのデフォルト値との間で変化させると共に、前記側部が前記清掃されるべき表面上の障害物の近くにある場合に
前記少なくとも1つのパラメータを前記パラメータの前記機能値
に変化させることを特徴とする、ノズル装置。
【請求項2】
前記少なくとも1つの発光源の前記少なくとも1つのパラメータは前記少なくとも1つの発光源への電力供給を含み、該電力供給の前記少なくとも1つのデフォルト値が該電力供給の前記機能値よりも低い、請求項1に記載のノズル装置。
【請求項3】
前記電力供給のデフォルト値が、ゼロであり、これにより前記少なくとも1つの発光源の不活性状態に関連付けられる、請求項2に記載のノズル装置。
【請求項4】
前記少なくとも1つの発光源を可変範囲で覆うカバー装置を有し、前記少なくとも1つの発光源の前記少なくとも1つのパラメータは、前記少なくとも1つの発光源が前記カバー装置により覆われる程度を含む、請求項1から3の何れか一項に記載のノズル装置。
【請求項5】
前記カバー装置が、不透明材料から形成された可動構成のカバーエレメント、及び有色透明又は半透明材料から形成された可動構成のカバーエレメントのうちの一方を有する、請求項
4に記載のノズル装置。
【請求項6】
前記制御装置が、当該ノズル装置の外側でアクセス可能な少なくとも1つの作動部を備え、該作動部が前記清掃されるべき表面上の障害物により接触された場合に前記パラメータの前記機能値を設定する、請求項1から5の何れか一項に記載のノズル装置。
【請求項7】
前記制御装置は、前記清掃されるべき表面上の障害物が前記側部における当該ノズル装置上の基準位置に対して基準距離以下である実際の距離にあるか否かを評価する、請求項1から5の何れか一項に記載のノズル装置。
【請求項8】
前記制御装置が、前記実際の距離を距離検出により決定する少なくとも1つの近接センサを含む、請求項7に記載のノズル装置。
【請求項9】
前記少なくとも1つの発光源が、当該ノズル装置の清掃動作の間において側部位置となる側及び当該ノズル装置の清掃動作の間において前部位置となる側のうちの少なくとも1つに配置される、請求項1から8の何れか一項に記載のノズル装置。
【請求項10】
当該ノズル装置の清掃動作の間において側部位置となる側に配置された側部発光源、当該ノズル装置の清掃動作の間において反対の側部位置となる側に配置された側部発光源、及び当該ノズル装置の清掃動作の間において前部位置となる側に配置された前部発光源を有し、前記制御装置が、前記発光源の少なくとも各々の少なくとも1つのパラメータを清掃動作の実際の状況に関連させて前記発光源の他のものとは独立に変化させる、請求項1から9の何れか一項に記載のノズル装置。
【請求項11】
当該ノズル装置が、該ノズル装置の清掃動作の間において側部位置となる側の各々に、
当該ノズル装置の外部から内部へのアクセスを提供して、該ノズル装置が前記清掃されるべき表面上の該ノズル装置の前記側の近傍に存在し得る塵埃を受け入れることを可能にする少なくとも1つの開口を有する、請求項1から10の何れか一項に記載のノズル装置。
【請求項12】
電気エネルギーを供給する電池を備え、前記少なくとも1つの発光源が該電池により給電される、請求項1から11の何れか一項に記載のノズル装置。
【請求項13】
当該ノズル装置が前記清掃されるべき表面に真空清掃作用を受けることを可能にさせる真空装置を備える、請求項1から12の何れか一項に記載のノズル装置。
【請求項14】
前記少なくとも1つの発光源は少なくとも1つのLED又は導光器の少なくとも1つの光出力部を備え、前記導光器が光供給源から光を受ける光入力部を更に含む、請求項1から13の何れか一項に記載のノズル装置。
【請求項15】
請求項1から14の何れか一項に記載のノズル装置を備える、コードレス掃除機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、清掃されるべき表面に対面すると共に、清掃作業の間において該表面上で移動されるように構成されたノズル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
キャニスタ型真空掃除機及びスティック型真空掃除機等の種々のタイプの真空掃除機用の現在のノズル装置には、しばしば、前照灯(フロントライト)、すなわち、当該ノズル装置における清掃作業中に前側位置となる側に照明(ライト)が装備されている。このようなライトは、1以上のLEDを含むと共に、清掃作業中に当該ノズル装置の前側の掃除されるべき表面の領域を照明することができ、該ノズル装置を含む真空掃除機のユーザが、当該表面領域上の塵埃を容易に認識できると共に該表面領域がきれいであるか否かを容易に評価できるようにする。通常、清掃されるべき表面は床である。当該ノズル装置の各側部における表面領域に塵埃が存在するか否かを評価することは、一層困難である。これらの表面部分は、しばしば、当該ノズル装置の陰内にあり、特に、該ノズル装置が壁と概ね平行に該壁に近い経路に沿って移動される場合、壁と該ノズル装置の該壁に面する側部との間の狭い表面部分は殆ど見えない。このことは、当該ノズル装置が上述したフロントライトを備える場合になおさらそうである。相対的に暗い表面領域上の塵埃を、明るい光に慣れている目により見つけることは更に一層困難であるからである。
【0003】
塵埃は壁/柱脚及び障害物の近くに蓄積する傾向があることは既知の事実である。塵埃は、これらの領域では実質的に掻き乱されないからである。このような観点から、真空掃除機が側部位置において清掃を効果的に実行することが可能になるようなノズル装置を有することが望ましい。この点において、ノズル装置に対して横方向への照明を提供し、ユーザが、ノズル装置の側部における表面領域にどれだけ多くの塵埃が存在するか、該塵埃が吸い込まれたか、及び当該ノズル装置が通過した後、該表面領域がきれいであるかを見ることができるようにすることが有利である。
【0004】
特開平10-234633公報は、暗い空間を掃除する際に塵埃等を容易に認識する目的で、本体の側面部分を照明できるように設計された床ノズルに関するものである。特に、該床ノズルは、本体の両側部に配置されたランプと、該ランプをオンオフするための開閉スイッチとを備え、該開閉スイッチは本体から延びる接続チューブ本体に連結された延長チューブの回転運動に関連して作動される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、ノズル装置の側部に配置され、該ノズル装置の当該側部から光を放出するように構成された少なくとも1つの発光源を備えるノズル装置を提供することであり、該ノズル装置は、少なくとも1つの発光源の精巧で多用途的な使用を可能にし、種々のタイプの掃除機器での使用に適している。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記を考慮して、本発明は、清掃動作(作業)の間において清掃されるべき表面に対面すると共に該表面上を移動されるように構成されたノズル装置を提供し、該ノズル装置は:
- 当該ノズル装置の側部に配置され、当該ノズル装置の対応する側部から光を放出するように構成された少なくとも1つの発光源と;
- 前記少なくとも1つの発光源の少なくとも1つのパラメータを、清掃動作の実際の状況に関連して、機能(動作)値と該機能値とは異なる少なくとも1つのデフォルト値との間で変化させると共に、前記側部が清掃されるべき表面上の障害物の近くにある場合に前記パラメータの機能値を設定する制御装置と;
を有する。
【0007】
上記から、本発明によれば、ノズル装置は、該ノズル装置の側部に配置され、該ノズル装置の対応する側部から光を発するように構成された少なくとも1つの発光源を備えることが分かる。特に、上記少なくとも1つの発光源は、清掃されるべき表面に向けて光を発するように構成される。少なくとも1つの発光源が配置される当該ノズル装置の側部は、特に、清掃動作中に前部位置となるように構成された側、又は清掃動作中に側部位置となるように構成された側であり得る。前述したように、清掃されるべき表面は、通常、床である。更に、当該ノズル装置は、少なくとも1つの発光源の少なくとも1つのパラメータを、機能(動作)値と少なくとも1つのデフォルト値との間で変化させるための制御装置を備える。該制御装置の機能を変化させるパラメータは清掃動作の実際の状況に関連付けられ、少なくとも1つの発光源が配置されている側が、清掃されるべき表面上の障害物の近くにある場合に上記パラメータの機能値を設定することが意図される。このようにして、少なくとも1つの発光源からの有効光出力の性質を変化させることができ、特に、少なくとも1つの発光源が配置される側が障害物の近くにある場合に適合させることができる。
【0008】
本明細書で使用される用語「清掃されるべき表面上の障害物」は、表面から突出するあらゆる物、表面のあらゆる周囲の境界、及び表面上に配置されたあらゆる物をカバーすると理解されるべきである。障害物の具体例は、壁/台座(柱脚)、家具又は支持脚等の家具の一部を含む。
【0009】
例えば、前記少なくとも1つの発光源の少なくとも1つのパラメータは該少なくとも1つの発光源への電力供給を含み、該電力供給の少なくとも1つのデフォルト値は該電力供給の機能値よりも低い。このような場合において、電力供給のデフォルト値は、ゼロとされ、これにより少なくとも1つの発光源の非活性(非動作)状態に関連付けられる。その結果、特に、当該ノズル装置を清掃作業で使用する間において、少なくとも1つの発光源は、単に常に動作されるのではなく、該少なくとも1つの発光源が配置されたノズル装置の側部が床上の障害物の近くにある状況においてのみ動作される。このようにして、当該ノズル装置はコードレス真空掃除機に適用するのに特に適したものとなる。例えば、台座(柱脚)の清掃は、清掃作業の時間の約5%しかかからず、したがって、ノズル装置の1以上の発光源は常に活性(動作)状態に保たれる必要はなく、ノズル装置の側部の床領域は、該床領域が一方の側で当該ノズル装置により、他方の側で障害物により区切られた狭い領域である場合においてのみ照明すれば十分であり得るということが本発明の洞察である。
【0010】
1以上の発光源をデフォルトとして非動作状態に維持すると共に、該1以上の発光源を、動作させることが有用である場合にのみ動作させることにより、電力が節約され、このことは電力が電池から取られる場合に特に有益である。代わりに、1以上の発光源は清掃動作の間において連続的に動作状態に維持され、その場合において、該1以上の発光源は、デフォルトとして低い電力レベルで動作される一方、そのようにすることが有用である場合にのみ、すなわち少なくとも1つの発光源が配置されているノズル装置の側部が障害物に近い場合にのみ、高い電力レベルで動作される。この場合においても電力が節約される。
【0011】
追加的に又は代替的に、当該ノズル装置は、少なくとも1つの発光源を可変範囲で覆うように構成されたカバー装置を有し、該少なくとも1つの発光源の少なくとも1つのパラメータは、該少なくとも1つの発光源が上記カバー装置により覆われる程度を含む。このようなケースにおいて、少なくとも1つの発光源からの有効光出力の性質は、該少なくとも1つの発光源への電力供給により制御されるのではなく(制御されるのみならず)、該少なくとも1つの発光源を覆う程度により(覆う程度によっても)制御される。上記カバー装置が、不透明な材料から形成された可動構成のカバーエレメント及び有色の透明な又は半透明な材料から形成された可動構成のカバーエレメントのうちの一方を有するのが実用的である。第1のケースでは、少なくとも1つの発光源の位置においてノズル装置から放出される光の量を変えることができる一方、第2のケースでは、少なくとも1つの発光源の位置においてノズル装置から放出される光の色及び恐らくは量も変えることができる。いずれにせよ、少なくとも1つの発光源がカバー配置により覆われる程度の機能値は、そのデフォルト値よりも低く、恐らくはゼロであり、少なくとも1つの発光源が配置されている側部が清掃されるべき表面上の障害物の近くにある場合に該少なくとも1つの発光源が自由に露出されるようにすることが実用的である。
【0012】
本発明によりカバーされる1つのオプションによれば、前記制御装置は、当該ノズル装置の外側でアクセス可能な少なくとも1つの作動部を備え、該作動部が清掃されるべき表面上の障害物により接触された場合に前記パラメータの機能値を設定するように構成される。例えば、制御装置の該少なくとも1つの作動部は、上述されたオプションとしての可動構成のカバーエレメントにより構成でき、その場合において、該カバーエレメントは、障害物と接触するように移動され及び接触しなくなるように移動される場合に適切な位置に自動的に移動されるように構成される。
【0013】
本発明によりカバーされる他のオプションによれば、少なくとも1つの発光源の少なくとも1つのパラメータの機能値を設定するための前記制御装置の受動的作動に関わると分類され得る前段落で説明したオプションとは異なり、少なくとも1つの発光源の少なくとも1つのパラメータの機能値を設定するための前記制御装置の能動的作動を設けることもできる。この構成は、前記制御装置が、清掃されるべき表面上の障害物が当該側部におけるノズル装置上の基準位置に対して基準距離以下である実際の距離にあるか否かを評価するように構成されることにより実現できる。この点に関しては、前記制御装置が上記実際の距離を距離検出により決定するように構成された少なくとも1つの近接センサを含むことが実用的である。ノズル装置の側部に少なくとも1つの近接センサを有することは、当該側部が障害物に近接している状況の自動的認識を可能にする。当該制御装置の近接センサの数は任意の適切な値を有することができ、これら近接センサは任意の適切なタイプのものとすることができる。
【0014】
少なくとも1つの近接センサが出力切換回路を含むタイプのものであり、少なくとも1つの発光源の少なくとも1つのパラメータの機能値が設定されるか否かが、該少なくとも1つの近接センサの出力切換回路の状態に依存するようにすることが有利である。特に、少なくとも1つの近接センサが、デフォルトとして出力切換回路を開状態にする一方、該少なくとも1つの近接センサにより決定された実際の距離が前記基準距離以下である場合にのみ出力切換回路を閉状態にするように構成されるとそうである。この構成によれば、少なくとも1つの発光源の少なくとも1つのパラメータの機能値を設定するために必要な電力供給を遮断するデフォルト状況を有し、障害物が近距離で検出された場合にのみそのような電力供給を可能にすることができる。
【0015】
前記基準距離は任意の適切な値を有することができ、50mmが実際的な例であることに留意されたい。一般的に、該基準距離は0~150mm又は0~200mmの範囲であり得る。
【0016】
本発明によるノズル装置の実際的な実施形態において、少なくとも1つの発光源は、当該ノズル装置の清掃動作の間において側部位置となる側及び当該ノズル装置の清掃動作の間において前部位置となる側のうちの少なくとも1つに配置される。例えば、ノズル装置は、当該ノズル装置の清掃動作の間において側部位置となる側に配置された側部発光源、当該ノズル装置の清掃動作の間において反対の側部位置となる側に配置された側部発光源、及び当該ノズル装置の清掃動作の間において前部位置となる側に配置された前部発光源を有し、前記制御装置は、これら発光源の少なくとも各々の少なくとも1つのパラメータを、清掃動作の実際の状況に関連させて、これら発光源の他のものとは独立に変化させるように構成される。
【0017】
明確にするために、本明細書におけるノズル装置の前部又は側部への言及は、清掃されるべき表面に沿った該表面を清掃するための使用の間における該ノズル装置の意図する(前方への)移動の方向に関連されるものとして理解されるべきであることに留意されたい。ノズル装置は底のレベルにおいて概ね長方形の周囲を有するのが実用的であるが、このことは、他の形状の周囲も同様に可能であるという事実を変えるものではない。ノズル装置が、該ノズル装置の両側部に配置された側部発光源を備えている場合、清掃されるべき表面における該ノズル装置のこれら側部にある領域を照明することが可能である。追加的に又は代替的に、ノズル装置が前部発光源を備えている場合、清掃されるべき表面における該ノズル装置の前部にある領域を照明することが可能である。本発明は、上記前部発光源の少なくとも1つのパラメータを清掃動作の実際の状況に関連させて変更するオプションをカバーするが、このことは、清掃動作全体を通して予め定められた性質の前部発光源からの有効光出力を単純に実現することが実際的であり得るという事実を変更するものではない。
【0018】
ノズル装置の前記制御装置が、側部発光源の各々への電力供給を変化させるように構成され、発光源が当該ノズル装置における該発光源が配置されている側部が障害物の近くにある場合にのみ活性状態にされる状況においては、床の清掃作業中において、両側部発光源がほとんど非活性状態になることが予想される。ノズル装置が壁/柱脚等の障害物に沿って移動される場合にのみ、これら側部発光源の一方が動作状態にされ、これら側部発光源の他方は、該ノズル装置における側部発光源の該他方が位置する側部もたまたま障害物の近くにある場合(このことは、例えば、ノズル装置が壁/柱脚と、該壁/柱脚の近くに配置された家具との間で移動された場合に発生し得る)を除いて、非動作状態に維持される。
【0019】
特に、本発明がノズル装置からの側部照明を含む場合、ノズル装置が実際に該ノズル装置の側部における床領域から塵埃を取り込むことができる場合に実用的となる。一般的に、ノズル装置が、該ノズル装置の清掃動作の間において側部位置となる側の各々に、該ノズル装置の外部から内部へのアクセスを提供して、該ノズル装置が清掃されるべき表面上の該ノズル装置の上記側の近傍に存在し得る塵埃を受け入れることを可能にする少なくとも1つの開口を有することが実用的である。
【0020】
前記少なくとも1つの発光源が少なくとも1つのLEDを含むと有利であり得る。4個のLEDを有する前部発光源が通常にノズル装置の設計に含まれ、各々が1個のLEDを有する2つの側部発光源が該設計に追加される例においては、これら側部発光源が清掃動作中において如何なる制限もなしに常時動作されるとしたら、前部発光源のみが連続して動作される状況と比較して、これは照明に使用される電力消費の連続的な50%の増加を伴う。側部発光源への電力供給がデフォルトとしてのゼロと、側部発光源が配置されている側が障害物の近傍にある場合の機能値との間で変化される場合、これら側部発光源の結果的にカスタマイズされた使用は、清掃作業中の限られた期間の照明に使用される電力消費の25%の増加しか伴わず、極端な場合でも、清掃作業中の1以上の限られた期間の照明に使用される電力消費の恐らく50%の増加しか伴わない。これ以外には、消費電力の増加は全くない。
【0021】
本発明は、前記少なくとも1つの発光源の如何なる可能性のある実施形態もカバーする。このように、少なくとも1つの発光源が少なくとも1つのLEDを有する前述した実施形態以外に、種々の他の実施形態が本発明のコンテキストにおいて可能である。例えば、少なくとも1つの発光源は、導光器(ライトガイド)の少なくとも1つの光出力部を備え、該導光器は光供給源から光を受けるように構成された光入力部を更に含む。
【0022】
当該ノズル装置が電気エネルギーを供給する電池を有することもあり得、その場合、前記少なくとも1つの発光源は該電池により給電される。当該ノズル装置が、コードレス掃除機器の本体内に配置された電池に電気的に接続されるように構成さることもあり得る。本発明は、電池駆動型掃除機器の分野で実際に有用であり、このことは、電池によるエネルギー供給が本発明の必須な態様ではないという事実を変えるものではない。このように、当該ノズル装置は、コードレス掃除機器の一部として使用することができるが、これは必須ではない。電池が使用される場合、該電池が充電式のものであることが実用的である。本発明によりカバーされる他の実用的なオプションは:
- ノズル装置が該ノズル装置を清掃されるべき表面が真空清掃作用を受けることを可能にするように構成された真空装置を備えるような、ノズル装置の設計を有するオプション;及び
- 少なくとも1つの発光源がノズル装置のハウジング内に組み込まれるような、ノズル装置の設計を有するオプション;
を含む。
【0023】
本発明の上記及び他の態様は、前部及び側部発光源を備えたノズル装置の実際的な実施形態の以下の詳細な説明から明らかとなり、斯かる実施形態を参照して解説されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】
図1は、本発明の第1の実施形態によるノズル装置の斜視図を概略的に示し、該ノズル装置は前部発光源及び2つの側部発光源を備える。
【
図2】
図2は、ノズル装置の動作中に側部発光源からの有効光出力が制御される方法の態様を示す。
【
図3】
図3は、本発明の第2の実施形態によるノズル装置の斜視図を概略的に示すもので、該ノズル装置は前部発光源、2つの側部発光源及び側部発光源のカバー装置を備え、該カバー装置のカバーエレメントは或る位置で示されている。
【
図4】
図4は、本発明の第2の実施形態によるノズル装置の斜視図を概略的に示すもので、該ノズル装置は前部発光源、2つの側部発光源及び側部発光源のカバー装置を備え、該カバー装置のカバーエレメントは他の位置で示されている。
【
図5】
図5は、本発明の第3の実施形態によるノズル装置の態様を概略的に示している。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明を、図面を参照して詳細に説明するが、これら図面において同等又は類似の部分は同一の参照符号により示されている。
【0026】
図1及び
図2は、本発明の第1の実施形態によるノズル装置1に関するものである。図示されたノズル装置1は、真空掃除機、すなわち清掃されるべき表面100から塵埃を吸引するための部分的真空を生成する吸引力を発生する掃除機器の一部として使用するのに適している。真空掃除作業の間において、ノズル装置1は清掃されるべき表面100上を移動され、表面100の様々な領域が、表面100全体がカバーされるまで真空掃除作用を受けるようにする。清掃されるべき表面100の一例は床である。塵埃の例は、ほこり、粒子、繊維、髪の毛、汚れた液体等を含む。ノズル装置1はノズル出口11を有し、該ノズル出口は真空掃除機の塵埃収集位置にチューブ、ホース等を介して接続可能である。ノズル装置1が真空掃除機に取り外し可能に配置されることが実用的であるが、これは本発明の枠組みにおいて必須ではない。
【0027】
ユーザが、真空掃除作業の間にノズル装置1が移動される床領域、すなわちノズル装置1の前部の床領域をはっきり見ることができるように、ノズル装置1には該ノズル装置1の前部に位置する前部発光源20が装備される。図示された例において、前部発光源20は4個ものLED21を有し、これらLED21はノズル装置1のハウジング12に組み込まれる。前部発光源20を真空掃除作業全体を通して光を発するように駆動することにより、ユーザは、ノズル装置1の前側の位置の領域において床100が清掃を要する程度を継続的にチェックすることが可能にされるようになる。
【0028】
更に、ノズル装置1には2つの側部発光源30が装備され、
図2に見られるように、これら2つの側部発光源30のうちの一方30aはノズル装置1の一方の側部に位置し、該2つの側部光源30のうちの他方30bはノズル装置1の他方の側部に位置する。側部発光源30は、ノズル装置1に対して側部(横)方向に光を放出するように構成される。図示された例において、側部発光源30の各々は、単一のLED31を含む。ノズル装置1は制御装置32を有し、該制御装置は、側部発光源30の各々を、ノズル装置1における当該側部発光源30が配置されている側が壁/柱脚等の床100上の障害物101に近接している場合にのみ動作(活性化)され、それ以外の時間では非活性状態に保たれるように制御する。実際的なオプションによれば、制御装置32はノズル装置1の側部の各々において該ノズル装置1に配置された近接センサ33を備え、これら近接センサ33の各々は、正に当該近接センサ33の位置であり得るノズル装置1上の基準位置と、当該側部の近傍に存在し得る(図示の実施形態の場合におけるように)障害物101との間の実際の距離dを検出するように構成される。各側部発光源30は、実際の距離dが基準距離以下である期間においてのみ活性化される。したがって、実際の距離dが基準距離以下でない限り、当該側部発光源30は活性化状態にはされない。このようにして、照明に使用される電力が節約され、このことは、電力が電池により供給される場合に特に有益である。この点に関し、ノズル装置1は前部発光源20及び側部発光源30の両方に給電するための電池を有し得ることに留意されたい。
【0029】
図2には、近接センサ33の検出範囲が三角形ゾーンとして概略的に示されている。該検出範囲は、例えば円錐形であり得る。近接センサ33と側部発光源30との間の電気的接続が、湾曲した線の組として概略的に示されている。近接センサ33が基準距離以下である距離dで障害物101を検出した場合にのみ、側部発光源30は活性化させられる。それ以外の場合、側部発光源30は非活性状態に維持される。
【0030】
ノズル装置1は、該ノズル装置1の前部において床100から塵埃を吸引するように設計される。また、ノズル装置1は、該ノズル装置の両側部の各々に少なくとも1つの開口13を、特に当該ノズル装置1がこれら側部において床100から塵埃を吸引することを可能にするための開口13を備える。ノズル装置1を含む真空掃除機が床100から塵埃を除去するために使用される場合、塵埃はノズル装置1の外部から内部へ移動され、当該真空掃除機内の塵埃収集位置に移送される。塵埃は、ノズル装置1の前部において及び側部において収集される。前部発光源20はノズル装置1に対して前方に光を放出するように連続的に動作され、ユーザが床100上の塵埃の存在を連続して検査できるようにする。側部発光源30はほとんど非動作状態に保たれ、側部発光源30が位置する側部が障害物101に接近する状況においてのみ、該側部発光源30はノズル装置1に対して横方向に光を放出するように動作される。このように、ユーザには、ノズル装置1の前部からは光が連続的に放出され、ノズル装置1の側部からの光の放出は、当該側部が障害物101の範囲内に入ると開始し、該側部が障害物101から特定の距離に沿って再び離されるやいなや再び終了されることが分かる。ノズル装置1の側部から放出される光は、ユーザが、ノズル装置1の側部と障害物101との間に存在する床100の領域であって、さもなければ暗かったであろう領域が十分な程度にきれいであるか否かを評価するのに役立つ。
【0031】
図3及び
図4は、本発明の第2の実施形態によるノズル装置2に関するものであり、該ノズル装置は本発明の第1の実施形態によるノズル装置1とかなり類似している。とりわけ、第2の実施形態によるノズル装置2も、ノズル出口11、ハウジング12、前部発光源20、側部発光源30、及び該ノズル装置2の側部の各々に配置された近接センサ33を含む制御装置32を備える。2つのノズル装置1、2の違いは、これらノズル装置1、2の動作の間において側部発光源30からの有効光出力が制御される方法にある。先に説明されたように、本発明の第1の実施形態によるノズル装置1において、側部発光源30からの有効光出力の制御は、側部発光源30の各々を、当該側部発光源30が配置されているノズル装置1の側部が床100上の障害物101に近接している場合にのみ該側部発光源30が動作され、それ以外の時間では非動作状態に維持されるように制御することにより、実行される。本発明の第2の実施形態によるノズル装置2は、側部発光源30からの有効光出力の変化も可能となるように設計されるが、このことは、以下の説明から明らかになるように、側部発光源30が覆われる程度を変化させることにより実行される。
【0032】
本発明の第2の実施形態によるノズル装置2は、可変範囲で発光源30を覆うように構成された覆い(カバー)装置34を備える。該カバー装置34は、ノズル装置2の各側部に、移動可能に構成されたカバー(覆い)エレメント35を備える。図示の例において、カバーエレメント35は、不透明材料から形成され、対応する側部発光源30を完全に露出させる第1の位置と、対応する側部発光源30を完全に覆う第2の位置との間で移動可能であり、該第2の位置がデフォルト位置である。このように、側部発光源30からの有効光出力は、カバーエレメント35が第1の位置にある場合は当該側部発光源30から光が自由に照明する一方、カバーエレメント35が第2の位置にある場合は当該側部発光源30により放出される光はノズル装置2の周囲に到達することを阻止されるという事実に基づいて制御され得る。
【0033】
カバー装置34は、任意の適切な設計のものとすることができる。図示の例において、カバー配置34に含まれる2つのカバーエレメント35は、概ね条片のような形状である。カバーエレメント35は、任意の適切なやり方でノズル装置2上に配置できる。図示の例において、カバーエレメント35は水平方向にスライド可能であるが、このことは、本発明により他の可能性も含まれるという事実を変えるものではない。更に、カバーエレメント35は必ずしも不透明な材料で形成される必要はない。代替オプションによれば、カバーエレメント35は、着色された透明又は半透明の材料から形成され得る。このような場合において、有効光出力は、低減され恐らくは着色されたデフォルト値と、より高い値との間で変化され得る。
【0034】
図示されたノズル装置2において、カバーエレメント35の位置は近接センサ33を含む制御装置32により設定される。本発明の第1の実施形態によるノズル装置1に関して前述したように、近接センサ33の各々は、ノズル装置2上の基準位置と、対応する側部の近傍に存在し得る障害物101との間の実際の距離を検出するように構成される。各カバーエレメント35は、該実際の距離が基準距離以下である期間内においてのみ、対応する側部発光源30を完全に露出させる位置に配置される。したがって、実際の距離が基準距離以下でない限り、カバーエレメント35は側部発光源30を完全に覆うデフォルト位置に保持される。
【0035】
本発明の第1の実施形態によるノズル装置1に関して既に示唆したように、前部発光源20はノズル装置2に対して前方に光を放出するように連続的に動作され、ユーザが床100上の塵埃の存在を継続的に検査できるようにすることもできる。側部発光源30により放出される光は、殆どの場合、カバーエレメント35により遮断され、側部発光源30は、当該側部発光源が位置する側部が障害物101に近接している状況においてのみ完全に露出される。このように、ユーザは、光はノズル装置2の前部から連続して放出され、光は、当該側部が障害物101の範囲内に入るとノズル装置2の該側部から照明し始める一方、該側部が障害物101から特定の距離に沿って遠ざかるように移動されるやいなや再び隠されることが分かる。
【0036】
本発明の第1の実施形態によるノズル装置1及び本発明の第2の実施形態によるノズル装置2の有効光出力制御方法を組み合わせることも可能であることに注意すべきである。このような場合において、側部発光源30の各々は、デフォルトとして低い電力レベルで動作されるか又は完全にオフされると共にカバーエレメント35により完全に覆われる一方、当該側部発光源30が配置されている側部が床100上の障害物101の近くにある場合にのみ高い電力レベルで動作されると共に完全に露出される。該有効光出力制御方法は前部発光源20にも適用することができ、組合せの可能性に関する前述した説明も、この点に関して適用可能である。
【0037】
発光源20、30は、必ずしもLED等の発光装置を含む必要はない。本発明の第3の実施形態によるノズル装置3の態様が示されている
図5を参照すると、導光技術に依存する代替手段等の代替手段も可能である。一般的に、導光器を使用する利点は、構造の堅牢性及び設計の柔軟性にある。
【0038】
図5はノズル装置3の上面図を図式的に示すもので、該ノズル装置において2つの側部発光源30a、30bの各々は導光器36の光出力結合部36aを有し、該導光器は光供給源37から光を受けるように構成された光入力結合部36bを更に含んでいる。図示の例において、導光器36に光を供給するように構成された光供給源37はプリント回路基板アセンブリ15上に配置され、該プリント回路基板アセンブリは、更に、前部発光源20を支持及び給電する。光供給源37は、例えばLED等の光発生装置を備えることができ、又は他の適切な方法で実現することができる。明瞭化のために、ノズル装置3の発光源20、30により放出される光は、
図5では対応する円錐形の領域として示されていることに留意されたい。更に、制御装置32は
図5の概略図から省略されていることにも留意されたい。一般的に、ノズル装置3における発光源20、30の有効光出力の制御は、前述したように発光源20、30への電力供給を制御することにより、発光源20、30のカバー程度を制御することにより、又はこれらの組み合わせ含む任意の適切な方法で行うことができる。
【0039】
当業者には、本発明の範囲は前述した例に限定されるものではなく、添付請求項に定義された本発明の範囲から逸脱することなく、幾つかの変更及び修正が可能であることは明らかであろう。本発明は、請求項の範囲又はその均等物の範囲内に入る限りにおいて、このような全ての変更及び修正を含むと解釈されるべきである。本発明を図面及び記載において詳細に図示及び説明したが、このような図示及び説明は、解説的又は例示的に過ぎず、限定するものではないと見なされるべきである。本発明は開示された実施形態に限定されるものではない。図面は概略的であり、本発明を理解するために必要でない詳細は省略されている場合があり、必ずしも縮尺どおりではない。
【0040】
開示された実施形態に対する変形は、当業者によれば、図面、説明及び添付請求項の精査から、請求項に記載の発明を実施する際に理解され、実行され得るものである。請求項において、「有する(含む)」なる文言は他のステップ又は要素を除外するものではなく、単数形は複数を除外するものではない。請求項におけるいかなる参照符号も、本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
【0041】
特定の実施形態に関して説明される要素及び態様は、そうでないと明示的に示されない限り、他の実施形態の要素及び態様と適切に組み合わせることができる。したがって、特定の手段が相互に異なる従属請求項に記載されているという単なる事実は、これらの手段の組み合わせが有利に使用できないことを示すものではない。
【0042】
本明細書で使用される「有する」及び「含む」という用語は、当業者によれば、「からなる」という用語を包含するものとして理解されるであろう。したがって、「有する」又は「含む」という用語は、一実施形態に関しては「からなる」を意味し得るが、他の実施形態では、「少なくとも定義された要素及びオプションとして1以上の他の要素を含む/有する/備える」を意味し得る。
【0043】
本発明の注目すべき態様を以下に要約する。ノズル装置1、2、3は、真空掃除機等の掃除用機器での使用を意図するものであり、清掃されるべき表面100上を移動するように構成される。ノズル装置1、2、3は、該ノズル装置1、2、3の側部に配置されると共に該ノズル装置1、2、3の各側部から光を放出するように構成された少なくとも1つの発光源20、30、及び制御装置32を有し、該制御装置は、上記少なくとも1つの発光源20、30の少なくとも1つのパラメータを、清掃作業の実際の状況に関連させて、機能値と該機能値とは異なる少なくとも1つのデフォルト値との間で変化させ、対応する側部が清掃させるべき表面100上の障害物101の近くにある場合に上記パラメータの機能値を設定するように構成される。
【0044】
第1の実際的な例によれば、少なくとも1つの発光源20、30の前記少なくとも1つのパラメータは、少なくとも1つの発光源20、30への電力供給を含む。このような場合において、少なくとも1つの発光源20、30への電力供給は、通常、相対的に低いデフォルト値であり、対応する側部が清掃されるべき表面100上の障害物101の近くにある場合に高い機能値にされ、この状況において、有効光出力がデフォルトとしての有効光出力が全くない状態から増加されるようにする。第2の実際的な例によれば、少なくとも1つの発光源20、30の少なくとも1つのパラメータは、該少なくとも1つの発光源20、30が覆われる程度を含む。このような場合において、少なくとも1つの発光源20、30は、通常は完全に覆われ、対応する側部が清掃されるべき表面100上の障害物101の近くにある場合には少なくとも部分的に露出され、その結果、有効光出力が、該状況において、不透明なカバーエレメント35が使用される場合のデフォルトとしての有効光出力が全くない状態から増加されるようにする。