IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ クゥアルコム・インコーポレイテッドの特許一覧

特許7408022容量結合書き込み動作を用いたコンピュートインメモリビットセル
<>
  • 特許-容量結合書き込み動作を用いたコンピュートインメモリビットセル 図1A
  • 特許-容量結合書き込み動作を用いたコンピュートインメモリビットセル 図1B
  • 特許-容量結合書き込み動作を用いたコンピュートインメモリビットセル 図2
  • 特許-容量結合書き込み動作を用いたコンピュートインメモリビットセル 図3
  • 特許-容量結合書き込み動作を用いたコンピュートインメモリビットセル 図4
  • 特許-容量結合書き込み動作を用いたコンピュートインメモリビットセル 図5
  • 特許-容量結合書き込み動作を用いたコンピュートインメモリビットセル 図6
  • 特許-容量結合書き込み動作を用いたコンピュートインメモリビットセル 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-21
(45)【発行日】2024-01-04
(54)【発明の名称】容量結合書き込み動作を用いたコンピュートインメモリビットセル
(51)【国際特許分類】
   G06G 7/16 20060101AFI20231222BHJP
【FI】
G06G7/16 510
【請求項の数】 29
(21)【出願番号】P 2023541959
(86)(22)【出願日】2022-01-05
(86)【国際出願番号】 US2022011345
(87)【国際公開番号】W WO2022159272
(87)【国際公開日】2022-07-28
【審査請求日】2023-07-11
(31)【優先権主張番号】17/152,564
(32)【優先日】2021-01-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】595020643
【氏名又は名称】クゥアルコム・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】QUALCOMM INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】ミルハジ、サイード・アラシュ
(72)【発明者】
【氏名】チェン、シャオナン
(72)【発明者】
【氏名】スリバスタバ、アンキット
(72)【発明者】
【氏名】ワファ、サミール
(72)【発明者】
【氏名】ワン、ジョンゾー
【審査官】佐賀野 秀一
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2021/005230(US,A1)
【文献】特開2005-191454(JP,A)
【文献】特表2015-534675(JP,A)
【文献】特開2018-129046(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06G 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビットセルであって、
書き込みドライバと、
ビットノードおよびコンプリメントビットノードを有する交差結合インバータのペアと、
出力ノードと、
読み出しビット線と、
前記読み出しビット線と前記出力ノードとの間に結合されたキャパシタと、
前記ビットノードと前記出力ノードとの間に結合された第1のスイッチと、前記第1のスイッチは、前記書き込みドライバに応答して、オンおよびオフに切り替わるように構成されており、
前記コンプリメントビットノードと前記出力ノードとの間に結合された第2のスイッチと、前記第2のスイッチは、前記書き込みドライバに応答して、オンおよびオフに切り替わるように構成されており、ここにおいて、前記第1のスイッチおよび前記第2のスイッチは、前記出力ノードに結合された唯一のスイッチである、
を備えるビットセル。
【請求項2】
前記第1のスイッチは、第1のトランスミッションゲートを備え、前記第2のスイッチは、第2のトランスミッションゲートを備える、請求項1に記載のビットセル。
【請求項3】
前記第1のスイッチは、第1のスイッチトランジスタを備え、前記第2のスイッチは、第2のスイッチトランジスタを備える、請求項1に記載のビットセル。
【請求項4】
前記書き込みドライバは、前記第1のスイッチおよび前記第2のスイッチを相補的なスイッチング状態に切り替えるように構成され、請求項1に記載のビットセル。
【請求項5】
前記書き込みドライバは、前記書き込み動作中に前記出力ノードの電圧を低減するために、前記書き込み動作中に前記読み出しビット線の電圧をディスチャージするようにさらに構成される、請求項4に記載のビットセル。
【請求項6】
前記書き込みドライバは、前記書き込み動作中に前記交差結合インバータのための電源電圧をディスチャージするようにさらに構成される、請求項5に記載のビットセル。
【請求項7】
前記書き込みドライバは、前記書き込み動作中に前記出力ノードの電圧を増大させるために、前記読み出しビット線の電圧を、接地から電源電圧までチャージするようにさらに構成される、請求項4に記載のビットセル。
【請求項8】
前記書き込みドライバは、前記書き込み動作中に前記交差結合インバータのための電源電圧をディスチャージするようにさらに構成される、請求項7に記載のビットセル。
【請求項9】
前記ビットセルは、積和演算MAC回路を形成するために、追加のビットセルの列に含まれる、請求項1に記載のビットセル。
【請求項10】
前記MAC回路は、追加のMAC回路のアレイと共に含まれる、請求項9に記載のビットセル。
【請求項11】
前記ビットセルは、セルラ電話内に統合される、請求項1に記載のビットセル。
【請求項12】
前記ビットセルは、半導体ダイ上で4本のポリシリコン線のピッチ内に統合される、請求項1に記載のビットセル。
【請求項13】
ビットセルへの書き込み動作のための方法であって、
ビットノードおよびコンプリメントビットノードを駆動する交差結合インバータのペアのための電源電圧をデフォルト値から低減することと、
前記電源電圧が前記デフォルト値から低減されている間、前記ビットノードと出力ノードとの間に結合された第1のスイッチを閉じ、前記コンプリメントビットノードと前記出力ノードとの間に結合された第2のスイッチを閉じることと、
前記第1のスイッチおよび前記第2のスイッチを相補的なスイッチング状態に置くために、前記書き込み動作のためのビットのバイナリ値に応答して、前記第1のスイッチまたは前記第2のスイッチのいずれかを選択的に開くことと、
前記出力ノードに容量結合された読み出しビット線の電圧を調整することと、
前記書き込み動作を完了するために、前記電源電圧を前記デフォルト値に復元することと、
を備える方法。
【請求項14】
前記電源電圧を前記低減することは、前記電源電圧を接地にディスチャージすることを備える、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記読み出しビット線の前記電圧を前記調整することは、前記相補的なスイッチング状態の間に、前記読み出しビット線の前記電圧を、接地から電源電圧レベルまでチャージすることを備える、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記電源電圧を前記低減することは、前記電源電圧を、前記デフォルト値からトランジスタ閾値電圧に略等しくなるまでディスチャージすることを備える、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記読み出しビット線の前記電圧を前記調整することは、前記相補的なスイッチング状態に先立って、前記読み出しビット線の前記電圧を接地にディスチャージすることを備える、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記第1のスイッチまたは前記第2のスイッチのいずれかを前記選択的に開くことは、前記バイナリ値がバイナリ1値であることに応答して、前記第1のスイッチを開くことを備える、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記第1のスイッチまたは前記第2のスイッチのいずれかを前記選択的に開くことは、前記バイナリ値がバイナリ0値であることに応答して、前記第2のスイッチを開くことを備える、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
ビットセルへの書き込み動作のための方法であって、
ビットノードおよびコンプリメントビットノードを駆動する交差結合インバータのペアのための電源電圧をデフォルト値から接地にディスチャージすることと、
前記電源電圧が低減されている間、前記ビットノードと出力ノードとの間に結合された第1のスイッチを閉じ、前記コンプリメントビットノードと前記出力ノードとの間に結合された第2のスイッチを閉じることと、
前記第1のスイッチおよび前記第2のスイッチを相補的なスイッチング状態に置くために、前記ビットセルに書き込まれるべきビットのバイナリ値に応答して、前記第1のスイッチまたは前記第2のスイッチのいずれかを選択的に開くことと、
前記相補的なスイッチング状態の間に、前記書き込み動作を完了するために、前記電源電圧を前記デフォルト値に復元することと、
を備える方法。
【請求項21】
前記第1のスイッチまたは前記第2のスイッチを選択的に開くことは、前記ビットの前記バイナリ値がバイナリ1値であることに応答して、前記第1のスイッチを開くことを備える、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記第1のスイッチまたは前記第2のスイッチを選択的に開くことは、前記ビットの前記バイナリ値がバイナリ0値であることに応答して、前記第2のスイッチを開くことを備える、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
前記書き込み動作中に、前記出力ノードに容量結合された読み出しビット線の電圧をデフォルト値に維持することをさらに備える、請求項20に記載の方法。
【請求項24】
前記第1のスイッチまたは前記第2のスイッチを選択的に開くことは、第1のトランスミッションゲートまたは第2のトランスミッションゲートのいずれかを選択的に開くことを備える、請求項20に記載の方法。
【請求項25】
メモリであって、
ビットノードおよびコンプリメントビットノードを有する交差結合インバータのペアと、
出力ノードと、
読み出しビット線と、
前記読み出しビット線と前記出力ノードとの間に結合されたキャパシタと、
前記ビットノードと前記出力ノードとの間に結合された第1のスイッチと、
前記コンプリメントビットノードと前記出力ノードとの間に結合された第2のスイッチと、
前記交差結合インバータに書き込まれるべきバイナリ値に応答して、前記読み出しビット線からの電圧を、前記ビットノードおよび前記コンプリメントビットノードから選択されたノードに容量結合するために、前記読み出しビット線の電圧を調整するように構成された書き込みドライバと、
を備えるメモリ。
【請求項26】
前記第1のスイッチは、第1のトランスミッションゲートを備え、前記第2のスイッチは、第2のトランスミッションゲートを備える、請求項25に記載のメモリ。
【請求項27】
前記第1のスイッチは、第1のスイッチトランジスタを備え、前記第2のスイッチは、第2のスイッチトランジスタを備える、請求項25に記載のメモリ。
【請求項28】
前記書き込みドライバは、前記書き込み動作中に前記交差結合インバータのための電源電圧を接地にディスチャージするようにさらに構成される、請求項25に記載のメモリ。
【請求項29】
前記書き込みドライバは、前記書き込み動作中に前記交差結合インバータのための電源電圧を接地に部分的にディスチャージするようにさらに構成される、請求項25に記載のメモリ。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
[0001] 本願は、2021年1月19日に出願された米国特許出願第17/152,564号の優先権および利益を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
[0002] 本願は、コンピュートインメモリ(compute-in-memories)に関し、より詳細には、容量結合書き込み動作(capacitively-coupled write operation)を用いたコンピュートインメモリビットセル(compute-in-memory bitcell)に関する。
【背景技術】
【0003】
[0003] データのコンピュータ処理は、典型的に、算術論理演算ユニットにおいて処理されるべきデータがメモリから取り出されるフォンノイマン(Von Neumann)アーキテクチャを使用する。機械学習などの計算集約的なアプリケーションでは、メモリからのおよびメモリへのデータフローは、処理速度に対するボトルネックになる。このデータ移動のボトルネックに対処するために、データ処理ハードウェアがビットセル(bitcell)にわたって分散されるコンピュートインメモリアーキテクチャが開発されてきた。
【0004】
[0004] 特に有利なコンピュートインメモリビットセルが、フィルタ重みビットノード上にフィルタ重みビット(filter weight bit)を記憶し、コンプリメントフィルタ重みビットノード(complement filter weight bit node)上にコンプリメントフィルタ重みビットを記憶するための交差結合インバータ(cross-coupled inverter)のペア(pair)を含む。フィルタ重みビットノードは、第1のスイッチ(first switch)を通じて出力ノード(output node)に結合する。同様に、コンプリメントフィルタ重みビットノードは、第2のスイッチ(second switch)を通じて出力ノードに結合する。入力ベクトルビット(input vector bit)が、評価フェーズ中に相補的なやり方で、2つのスイッチを制御する。出力ノードは、キャパシタ(capacitor)を通じて読み出しビット線(read bit line)に結合する。キャパシタ上に結果として生じる電荷は、記憶されたフィルタ重みビットと入力ベクトルビットとのバイナリ乗算を表す。その利点にもかかわらず、このようなコンピュートインメモリビットセルのアーキテクチャは、コンピュートインメモリビットセルへのフィルタ重みビットの書き込み動作(write operation)をイネーブルにすることに関する問題を抱えている。例えば、出力ノードと接地(ground)との間に結合するリセットトランジスタを含むことが従来から行われており、これにより、バイナリ0が、フィルタ重みビットをビットセルに書き込むために、接地からリセットトランジスタおよび2つのスイッチのうちの閉じられた1つを通って渡され得る。リセットトランジスタは、密度を低下させる。
【発明の概要】
【0005】
[0005] コンピュートインメモリビットセルが提供され、このコンピュートインメモリビットセルは、ビットノード(bit node)およびコンプリメントビットノード(complement bit node)を有する交差結合インバータのペアと、出力ノードと、読み出しビット線と、読み出しビット線と出力ノードとの間に結合されたキャパシタと、ビットノードと出力ノードとの間に結合された第1のスイッチと、コンプリメントビット出力ノードと出力ノードとの間に結合された第2のスイッチと、第1のスイッチおよび第2のスイッチは、出力ノードに結合された唯一のスイッチである、を含む。
【0006】
[0006] 加えて、ビットセルへの書き込み動作のための方法が提供され、この方法は、ビットノード(bit node)およびコンプリメントビットノードを駆動する交差結合インバータのペアのための電源電圧(power supply voltage)をデフォルト値(default value)から低減(reduce)することと、電源電圧がデフォルト値から低減されている間、ビットノードと出力ノードとの間に結合された第1のスイッチを閉じ、コンプリメントビットノードと出力ノードとの間に結合された第2のスイッチを閉じることと、第1のスイッチおよび第2のスイッチを相補的なスイッチング状態(complementary switching state)に置くために、ビットセルに書き込まれるべきビットのバイナリ値(binary value)に応答して、第1のスイッチまたは第2のスイッチのいずれかを選択的に開くことと、書き込み動作を完了するために、電源電圧をデフォルト値に復元する(restore)ことと、を含む。
【0007】
[0007] さらに、ビットセルへの書き込み動作のための方法が提供され、この方法は、ビットノードおよびコンプリメントビットノードを駆動する交差結合インバータのペアのための電源電圧をデフォルト値から接地にディスチャージ(discharge)することと、電源電圧がディスチャージされている間、ビットノードと出力ノードとの間に結合された第1のスイッチを閉じ、コンプリメントビットノードと出力ノードとの間に結合された第2のスイッチを閉じることと、第1のスイッチおよび第2のスイッチを相補的なスイッチング状態に置くために、ビットセルに書き込まれるべきビットのバイナリ値に応答して、第1のスイッチまたは第2のスイッチのいずれかを選択的に開くことと、相補的なスイッチング状態の間に、書き込み動作を完了するために、電源電圧をデフォルト値に復元することと、を含む。
【0008】
[0008] 最後に、メモリが提供され、このメモリは、ビットノードおよびコンプリメントビットノードを有する交差結合インバータのペアと、出力ノードと、読み出しビット線と、読み出しビット線と出力ノードとの間に結合されたキャパシタと、ビットノードと出力ノードとの間に結合された第1のスイッチと、コンプリメントビット出力ノードと出力ノードとの間に結合された第2のスイッチと、交差結合インバータに書き込まれるべきバイナリ値に応答して、読み出しビット線からの電圧(voltage)を、ビットノードおよびコンプリメントビットノードから選択されたノードに容量結合するために、書き込み動作中に、相補的なスイッチング状態へと第1のスイッチおよび第2のスイッチを駆動するように構成された書き込みドライバ(write driver)と、を含む。
【0009】
[0009] これらおよび他の有利な特徴は、以下の詳細な説明を通してより良く理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1A】[0010] 図1Aは、本開示の一態様による、トランスミッションゲートのペアを含むコンピュートインメモリビットセルの回路図である。
図1B】[0011] 図1Bは、図1Aのコンピュートインメモリビットセルにおいて交差結合インバータを形成()するトランジスタを例示する。
図2】[0012] 図2は、図1Aのコンピュートインメモリビットセルにおけるトランジスタのための半導体レイアウトを例示する。
図3】[0013] 図3は、本開示の一態様による、スイッチのペアと、対応する書き込みドライバと、を含むコンピュートインメモリビットセルの回路図である。
図4】[0014] 図4は、本開示の一態様による、積和演算(MAC:multiply-and-accumulate)回路(circuit)を形成するように編成されたコンピュートインメモリビットセルの列(column)を例示する。
図5】[0015] 図5は、本開示の一態様による、複数のMAC回路のアレイ(array)を形成するように編成されたコンピュートインメモリビットセルのアレイを例示する。
図6】[0016] 図6は、本開示の一態様による、コンピュートインメモリビットセルに書き込む例となる容量結合方法のためのフローチャートである。
図7】[0017] 図7は、本開示の一態様による、コンピュートインメモリビットセルのアレイをそれぞれ組み込んでいる、いくつかの例となる電子システムを例示する。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[0018] 本開示の実施形態およびそれらの利点は、以下に続く詳細な説明を参照することによって最良に理解される。同様の参照番号は、図のうちの1つまたは複数に例示される同様の要素を識別するために使用されることを理解されたい。
【0012】
[0019] 深層学習および他の機械学習アプリケーションでは、畳み込み層は基礎となる構成ブロック(fundamental building block)である。畳み込み層は、フィルタ重みを前の層からの(または分析されている画像などの入力データからの)入力ベクトルと乗算(multiply)するためのノードの集合を含む。ノードは、ニューロンとも呼ばれ得る。処理速度を上げるために、ノードは、コンピュートインメモリビットセルを使用して実装される。本明細書で開示されるコンピュートインメモリビットセルは、フィルタ重みを記憶するだけでなく、記憶されたバイナリフィルタ重みと対応する入力ビットとの乗算を行うための論理ゲート(logic gate)も含む。例となるコンピュートインメモリ(CiM:compute-in-memory)ビットセル100が、図1Aに示されている。論理ゲートは、第1のトランスミッションゲート(first transmission gate)T1などの第1のスイッチと、トランスミッションゲートT2などの第2のスイッチとを使用して形成され得る。評価モードまたはフェーズ中、第1および第2のスイッチは、入力ビットによって制御される。交差結合インバータ120および125のペアが、フィルタ重みビットノードwt上にフィルタ重みビットを記憶する。同様に、交差結合インバータのペアは、コンプリメントフィルタ重みビットノードwtb上にコンプリメントフィルタ重みビット(フィルタ重みビットのコンプリメント)を記憶する。第1のスイッチは、フィルタ重みビットノードwtと出力ノード105との間に結合する。同様に、第2のスイッチは、コンプリメントフィルタ重みビットノードwtbと出力ノード105との間に結合する。キャパシタが、出力ノード105と読み出しビット線(RBL:read bit line)との間に結合する。
【0013】
[0020] 第1および第2のスイッチは、それぞれトランスミッションゲート(transmission gate)T1およびT2によって形成されるが、代替の実装形態では、スイッチトランジスタ(switch transistor)などの他のタイプのスイッチが、トランスミッションゲートT1およびT2に取って代わり得ることが理解されよう。インバータ120および125は、図1Bにより詳細に示されている。インバータ120は、PMOSトランジスタP1およびNMOSトランジスタN1によって形成される。トランジスタP1のソースは、電源電圧VDDのための電源ノードに接続し、一方、トランジスタP1のドレインは、トランジスタN1のドレインに接続し、これは、順に、そのソースを接地に接続される。トランジスタP1およびN1のドレインは、フィルタ重みビットノードwtを形成する。インバータ125は、PMOSトランジスタP2およびNMOSトランジスタN2によって形成されるので、インバータ125も類似している。トランジスタP2のソースは、電源ノードに接続し、一方、トランジスタP2のドレインは、トランジスタN2のドレインに接続し、これは、順に、そのソースを接地に接続される。トランジスタP2およびN2のドレインは、コンプリメントフィルタ重みビットノードwtbを形成する。インバータ120および125の交差結合を完成するために、フィルタ重みビットノードwtは、トランジスタP2およびN2のゲートに接続され、一方、コンプリメントフィルタ重みビットノードwtbは、トランジスタP1およびN1のゲートに接続される。
【0014】
[0021] 再び図1Aを参照すると、トランスミッションゲートT1は、PMOSトランジスタP3およびNMOSトランジスタN3の並列組合せによって形成される。トランジスタP3およびN3のソースは、フィルタ重みビットノードwtに接続し、一方、それらのドレインは、出力ノード105に接続する。同様に、トランスミッションゲートT2は、PMOSトランジスタP4およびNMOSトランジスタN4の並列組合せによって形成される。トランジスタP4およびN4のソースは、コンプリメントフィルタ重みビットノードwtbに接続し、一方、それらのドレインは、出力ノード105に接続する。
【0015】
[0022] 出力ノード105に接続している唯一のスイッチは、トランスミッションゲートT1およびT2によって形成されるような第1および第2のスイッチである。出力ノード105と接地との間に接続する、いかなるリセットスイッチトランジスタまたは読み出しワード線も存在しない。このリセットスイッチトランジスタが存在しないことは、CiMビットセル100の密度に関して非常に有利である。従来のスタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)ビットセルは、6つのトランジスタ(6T)を使用して形成されることに留意されたい。このような従来の6Tビットセルは、4本のポリシリコン線を使用して半導体基板上に形成され得る。読み出しワード線スイッチトランジスタを排除することによって、ビットセル100もまた、4本のポリシリコン(ポリ)線を使用して実装され得る。したがって、ビットセル100は、4本のポリシリコン線のピッチ(four polysilicon line pitch)内に収まる。次に、ビットセル100の例となるレイアウトについてより詳細に説明する。トランジスタP1、N1、P2、N2、P3、N3、P4、およびN4は、ビットセル部分200を形成するために、図2に示されるように4ポリピッチ(4-poly pitch)内で半導体基板上にレイアウトされ得る。これらのトランジスタのポリ線は、1から4まで番号付けされている。PMOSトランジスタは、PMOS拡散領域上に形成され、一方、NMOSトランジスタは、NMOS拡散領域上に形成される。ポリ線とNMOSまたはPMOS拡散領域との交差部(intersection)は、それぞれ対応するNMOSまたはPMOSトランジスタのためのゲートを形成する。再び図1Bを参照すると、インバータ120におけるトランジスタP1のためのゲートは、ポリゲート領域LP1に対応するものとして指定され得る。同様に、インバータ120におけるトランジスタN1のためのゲートは、ポリゲート領域LN1に対応するものとして指定されている。これと同じ名称が、図2でも使用されている。したがって、ビットセル100におけるトランジスタP1のためのゲートが、ポリ線1におけるポリゲート領域LP1によって形成される。ポリゲート領域LP1に隣接するPMOS拡散領域におけるVDDノードは、トランジスタP1のためのソースを形成し、一方、ポリゲート領域LP1に隣接するPMOS拡散領域におけるフィルタ重みビットノードwtは、ドレインを形成する。ビットセル100において、フィルタ重みビットノードwtは、インバータ120のための出力ノードである。インバータ120のためのトランジスタN1は、そのゲートがポリ線1におけるポリゲート領域LN1によって形成される点で類似している。図示されていないポリカット(poly cut)が、ポリ線1におけるポリゲート領域LP1およびLN1を分離することに留意されたい。同様のポリカットが、同様に残りのポリ線も分離する。トランジスタN1のソースは、ポリ線1に隣接するNMOS拡散領域におけるVSS(接地)ノードによって形成される。同様に、トランジスタN1のドレインは、ポリ線1の他方の側のNMOS拡散領域におけるフィルタ重みビットノードwtによって形成される。
【0016】
[0023] 再び図1Bを参照すると、インバータ125におけるトランジスタP2のためのゲートは、ポリゲート領域LP2に対応するものとしてラベル付けされ得る。同様に、インバータ125におけるトランジスタN2のゲートは、ポリゲート領域LN2に対応するものとしてラベル付けされている。これと同じ名称が、先と同様に図2でも使用されている。したがって、トランジスタP2のためのゲートが、ビットセル100のためのポリ線4におけるポリゲート領域LP2によって形成される。このポリゲート領域LP2に隣接するPMOS拡散領域におけるVDDノードが、このトランジスタP2のためのソースを形成し、一方、ポリゲート領域LP2に隣接するPMOS拡散領域におけるコンプリメントフィルタ重みビットノード(wtb)が、ドレインを形成する。インバータ125のためのトランジスタN2は、そのゲートがポリ線4におけるポリゲート領域LN2によって形成される点で類似している。トランジスタN2のソースが、ポリ線4の一方の側のNMOS拡散領域におけるVSS(接地)ノードによって形成され、一方、トランジスタN2のためのドレインが、ポリ線4の他方の側のNMOS拡散領域におけるコンプリメントフィルタ重み出力ノード(wtb)によって形成される。
【0017】
[0024] 再び図1Aを参照すると、トランスミッションゲートT1におけるトランジスタP3のためのゲートノードが、TP1として示され得る。同様に、トランスミッションゲートT1におけるトランジスタN3のためのゲートノードが、TN1として示され得る。したがって、図3のビットセル100のためのポリ線2は、トランジスタP3のための対応するポリゲート領域TP1を形成し、トランジスタN3のための対応するポリゲート領域TN1を形成する。図1Aに見られるように、トランスミッションゲートT2におけるトランジスタP4のためのゲートノードが、TP2として示され得、一方、トランスミッションゲートT2における各トランジスタN4のためのゲートノードが、TN2として示され得る。したがって、図2のビットセル100のためのポリ線3は、トランジスタP4のための対応するポリゲート領域TP2を形成し、トランジスタN4のための対応するポリゲート領域TN2を形成する。
【0018】
[0025] CiMビットセル100は、少なくとも3つのフェーズまたはモードで動作する。まず、コントローラまたは書き込みドライバが、書き込み動作中に、フィルタ重みビットをCiMビットセル100に書き込む。書き込み動作後、キャパシタは、リセットフェーズとしても示され得るプリチャージフェーズにおいてプリチャージされる。キャパシタがプリチャージされた状態で(with)、評価フェーズが行われ得、ここで、入力ビットが第1および第2のスイッチを制御する。フィルタ重みビットおよび入力ビットの状態に応じて、次いで、第1および第2のスイッチは、キャパシタとの組み合わせで、評価フェーズ中に論理ゲートとして機能して、入力ビットとフィルタ重みビットの有効バイナリ乗算(effective binary multiplication)に応答して、読み出しビット線の電圧を調整(adjust)する。以下の説明は、書き込み動作の実装形態に向けられる。
【0019】
[0026] 従来の6-T SRAMビットセルにおいて書き込み動作を行うためには、アクセストランジスタのペアがオンに切り替えられて、その交差結合インバータをビット線のペアに結合する。2つのアクセストランジスタに加えて、交差結合インバータからの4つのトランジスタは、従来のSRAMビットセルを完成する6つのトランジスタである。交差結合インバータには2本のポリ線が必要であり、アクセストランジスタのペアにはさらに2本のポリ線が必要であり、これにより、従来のSRAMビットセルもまた、4ポリピッチ内に収まる。しかし、CiMビットセル100においてアクセストランジスタの等価物は存在しない(関連するビット線のペアの等価物も存在しない)。アクセストランジスタを使用する代わりに、出力ノードと接地との間に結合されたリセットトランジスタを閉じることを通じて出力ノードを接地することが知られてきた。次いで、出力ノード上のこの論理0は、第1のスイッチまたは第2のスイッチのうちの対応する1つを閉じることを通じて、ビットセルに書き込まれ得る。しかし、CiMビットセル100には、このようなリセットスイッチトランジスタがない。いかなるアクセストランジスタ(およびそれらのビット線)も必要とせず、リセットスイッチトランジスタも必要としない書き込み動作が本明細書で開示される。これは、密度(半導体ダイ領域空間(semiconductor die area space))の所与の領域内のビットセルの数)を増大させる際に非常に有利である。書き込み動作には、2つの主な実装形態がある。以下の説明は、最初に容量結合書き込み動作に向けられ、次に非容量結合書き込み動作について説明する。
【0020】
[容量結合書き込み動作]
【0021】
[0027] 容量結合書き込み動作が、第1および第2のスイッチが一般的な形態で示されているCiMビットセルを参照して説明される。これらのスイッチは、CiMビットセル100について説明したようにトランスミッションゲートT1およびT2を使用して、または個々のスイッチトランジスタ(PMOSまたはNMOSのいずれか)を通じて実装され得る。一般的なCiMビットセル300および対応する書き込みドライバ(またはコントローラ)305が、図3に示されている。容量結合書き込み動作は、いくつかの異なる方法で行われ得る。第1の技法では、書き込みドライバ305は、第1のスイッチおよび第2のスイッチが両方とも開いている間に、電源電圧VDDを、例えば、それぞれインバータ120および125におけるトランジスタN1およびN2のための略閾値電圧Vthまで低下させる。この電源電圧の低下に先立って、フィルタ重みビットノードwtは、ビットセルの前に記憶された(previously-stored)バイナリ値に応じて、電源電圧VDDにチャージされるか、または接地にディスチャージされるかのいずれかである。コンプリメントフィルタ重みビットノードwtbは、相補的な電圧を有し、これにより、それは、ディスチャージされる(フィルタ重みビットノードwtはチャージされる)か、または電源電圧VDDにチャージされる(フィルタ重みビットノードwtはディスチャージされる)かのいずれかである以下の説明では、電源電圧VDDにチャージされたノードをハイノード(high node)と呼び、一方、接地にディスチャージされたノードをローノード(low node)と呼ぶ。電源電圧VDDの低下は、ハイノードを略閾値電圧までディスチャージさせる。このとき、ローノードは、ディスチャージされたままである。
【0022】
[0028] 電力スイッチ電圧VDDのこの低下は、インバータ120および125のみに適用されることに留意されたい。例えば、書き込みドライバ305への電源電圧(図示せず)は、この低下の影響を受けない。電源電圧VDDの降下に先立って、読み出しビット線RBLは、読み出しビット線RBLと対応する電圧供給ノードとの間に結合するPMOSトランジスタP5をオンに切り替えることによって、電源電圧に(またはコモンモード電圧に)チャージされた。例えば、コントローラ305は、読み出しビット線をチャージ(charge)するために、アクティブローのプリチャージ信号(プリチャージ_n)をディスチャージし得る。
【0023】
[0029] 電源電圧VDDが低下した後、次いで、書き込みドライバ305は、第1のスイッチと第2のスイッチとの両方を閉じる。したがって、フィルタ重みビットノードwtおよびコンプリメントフィルタ重みビットノード(ならびに出力ノード105)の両方が、前に記憶されたバイナリ値がバイナリ1であったかバイナリ0であったかにかかわらず、閾値電圧Vthの略2分の1にチャージされることになる。第1および第2のスイッチが閉じられた状態で、次いで、書き込みドライバ305は、トランジスタP5をオフに切り替え、接地と読み出しビット線RBLとの間に結合するNMOSトランジスタN5をオンに切り替えることなどによって、読み出しビット線RBLをディスチャージし得る。例えば、書き込みドライバ305は、読み出しビット線RBLをディスチャージするためにトランジスタN5のゲートを駆動するアクティブハイディスチャージ信号をアサート(assert)するとともに、トランジスタP5をオフに切り替えるためのプリチャージ_n信号もチャージし得る。読み出しビット線のこのディスチャージは、キャパシタを介して容量結合して、出力ノード105、フィルタ重みビットノードwt、およびコンプリメントフィルタ重みビットノードwtbを略0ボルトにディスチャージする。
【0024】
[0030] 出力ノード105がディスチャージされた状態で、次いで、この「バイナリ0」は、第1および第2のスイッチについての対応する相補的なスイッチング状態によって、フィルタ重みビットについての所望のバイナリ値をCiMビットセル300に書き込むために、適切なフィルタ重みビットノードに書き込まれ得る。例えば、書き込みドライバ305がバイナリハイ値をCiMビットセル300に書き込むと仮定する。その場合、書き込みドライバ305は、電源電圧VDDがそのデフォルト値に復元される間、第2のスイッチを閉じたままにし、第1のスイッチを開くことによって、バイナリ0を相補的なフィルタ重みビットノードwtbに印加する。したがって、ビットセル100において、書き込みドライバは、電源電圧VDDが同じバイナリ値を書き込むために復元される間、第2のトランスミッションゲート(second transmission gate)を閉じ、第1のトランスミッションゲートを開くことになる。逆に、書き込みドライバ305が、電源電圧VDDがそのデフォルト値に復元される間、代わりに第2のスイッチを開き、第1のスイッチを閉じたままにする場合、フィルタ重みビットについてのバイナリ1値(binary one value)が、CiMビットセル300に書き込まれている。フィルタ書き込みビットがビットセル300に書き込まれている状態で、次いで、ドライバ305は、読み出しビット線を、電源電圧(またはコモンモード電圧)にチャージされているそのデフォルト状態に戻すように復元し得る。
【0025】
[0031] 代替の容量結合書き込み動作では、書き込みドライバ305は、代わりに、電源電圧VDDを部分的にディスチャージするだけでなく、電源電圧VDDを完全にディスチャージし、読み出しビット線RBLをディスチャージし、第1のスイッチおよび第2のスイッチを閉じ得る。したがって、出力ノード105の電圧は、前述したように略Vth/2までディスチャージされる。書き込まれるべきバイナリ値に応じて、次いで、書き込みドライバ305は、第1および第2のスイッチを相補的なスイッチング状態に構成し、読み出しビット線RBLを電源電圧VDDに戻すように復元する。読み出しビット線電圧のこの昇圧は、キャパシタを介して容量結合して、出力ノード105の電圧を、例えば、電源電圧VDDの略4分の1に昇圧する。出力ノード105の電圧のこの正の昇圧は、対応するフィルタ重みビットノードの電圧を昇圧させるために、スイッチのうちの閉じられた1つを介して結合する。例えば、相補的なスイッチング状態において、第1のスイッチが閉じられ、第2のスイッチが開かれる場合、フィルタ重みビットノードwtは、電源電圧VDDの略4分の1に充電されることになる。フィルタ重みビットノードwtの電圧のこの昇圧は、インバータ125におけるトランジスタN2をわずかにオンにして、コンプリメントフィルタ重みビットノードwtbの電圧をディスチャージさせる。次いで、書き込みドライバ305は、インバータ120および125への電源電圧VDDを復元して、CiMビットセル300へのバイナリ1値の書き込みを完了し得る。代わりに、第2のスイッチが閉じられ、第1のスイッチが開かれた場合、バイナリ0値(binary zero value)がCiMビットセル300に書き込まれることになる。フィルタ重みビットがCiMビットセル300に書き込まれた状態で、次いで、書き込みドライバ305は、読み出しビット線電圧をそのデフォルト値に戻すように復元し得る。
【0026】
[0032] 前述の容量結合書き込み動作は、読み出しビット線RBLのディスチャージをそれぞれ伴っている。読み出しビット線RBLは、複数のCiMビットセル(例えば、ビットセルの列)にわたって延在するので、読み出しビット線RBLのキャパシタンスは、読み出しビット線電圧のディスチャージおよびその復元がかなりの量の電力を消費するように、大きい場合がある。この電力消費を回避するために、読み出しビット線RBL電圧がそのデフォルト値に維持されるように、読み出しビット線RBLからの容量結合を使用しない「アンカー」書き込み動作が代わりに行われ得る。次に、アンカー書き込み動作についてより詳細に説明する。
【0027】
[アンカー書き込み動作]
【0028】
[0033] アンカー書き込み動作では、書き込みドライバ305は、読み出しビット線電圧をそのデフォルト値に維持し、第1および第2のスイッチが閉じている間に電源電圧VDDを接地にディスチャージすることによって開始する。したがって、出力ノード105の電圧は、閾値電圧Vthの略2分の1まで降下することになる。次いで、書き込みドライバ305は、フィルタ重みビットのバイナリ値に応じて、スイッチを相補的なスイッチング状態に構成する。バイナリ値がバイナリ1である場合、第1のスイッチが閉じられ、一方、第2のスイッチは開かれる。その場合、出力ノード105上の残留電荷は、コンプリメントフィルタ重みビットノードwtbを接地するために、インバータ125におけるトランジスタN2を弱くオンにさせる(weakly turn on)。次いで、書き込みドライバ305は、バイナリ1値の書き込みを完了するために、フィルタ重みビットノードwtが電源電圧VDDにチャージされるように、電源電圧VDDを復元する。逆に、バイナリ値がバイナリ0である場合、電源電圧VDDの復元に先立って、第2のスイッチが閉じられ、一方、第1のスイッチは開かれる。アンカー書き込み動作は、読み出しビット線上の電荷を保存するが、書き込みマージンは、容量結合書き込み動作に対して生じるほどロバストではない場合がある。次に、本明細書に開示されるCiMビットセルのいくつかの例となる編成またはアレイについて説明する。
【0029】
[いくつかの例となるCiMビットセルアレイ]
【0030】
[0034] 本明細書で開示されるCiMビットセルは、積和演算(MAC)回路を形成するように編成され得る。次に、図4に示す例となるMAC回路400について説明する。MAC回路400は、CiMビットセル100または300について説明したように配列された複数のCiMビットセルを含む。一般に、MAC回路400に含まれるビットセルの数は、フィルタサイズに依存することになる。例示の明確さのために、MAC回路400は、0番目のフィルタ重みビットW0を記憶する0番目のビットセルから6番目のフィルタ重みビットW6を記憶する6番目のビットセルまでの範囲にわたるちょうど7つのCiMビットセルを含むように示されている。各ビットセルは、書き込みドライバ(図示せず)によって制御されるように、書き込み動作中に、ビットセル100または300に関して説明したように動作する。
【0031】
[0035] 複数のMAC回路が、図5に示されるようなメモリアレイ500を形成するように配列され得る。ビットセル100または300の各列は、対応するMAC回路を形成する。例えば、フィルタサイズは、アレイ500において128であり、これにより、アレイ500における各列は、128個のビットセル100または300を有する。したがって、入力ベクトル520は、1番目のアクティベーションビットdin1から128番目のアクティベーションビットdin128までの範囲にわたる128個の入力ビット(これらは、アクティベーションビットとしても示され得る)を有することになる。フィルタ重みビットをメモリアレイ500に書き込むための書き込み動作後、入力ベクトル520は順次変化し、これにより、各MAC回路は、CiMビットセルにおけるキャパシタがプリチャージされるリセットフェーズと、それに続く、アクティベーションビットが対応するフィルタ重みビットによって乗算される計算フェーズと、を行う。計算フェーズは、入力ベクトル520の各サンプルに対する累積フェーズによって後続され得る。din1などの各入力サンプルは、マルチビット入力サンプルであり得ることに留意されたい。例えば、din1は、3ビット幅のサンプルdin1であり得る。各CiMビットセルがバイナリ乗算を行うので、マルチビット入力サンプルにおける様々なビットは、アレイ500における各MAC回路によって順次処理される。したがって、各MAC回路についての順次積分器505は、マルチビット入力サンプルの重みに従って、累積結果を重み付けするように機能する。例えば、入力ベクトル520の各サンプルが、最下位ビット(LSB)サンプルから最上位ビット(MSB)サンプルまでの範囲にわたる3ビット幅のサンプルであると仮定する。したがって、各順次積分器505は、それらのビット重みに従って累積結果を合計する。加えて、フィルタ重み自体が、マルチビットフィルタ重みであり得る。各差動ビットセル(each differential bitcell)がバイナリフィルタ重みを記憶するので、1つのMAC回路が、1つのフィルタ重みビット(例えば、LSB重み)のために使用され得、隣接するMAC回路が、次の最上位フィルタ重みビットのために使用され得、以下同様である。このような実施形態では、3つの隣接するMAC回路が、3ビット幅のフィルタ重みの実施形態のために使用されることになる。マルチビット重み合計回路(multi-bit weight summation circuit)510が、(マルチビット入力サンプルの場合に必要に応じて対応する順次積分器505を通して処理されるような)対応するMAC累積値を累積し、フィルタ重みビットのバイナリ重みに従ってMAC累積値を合計する。最後に、アナログデジタル変換器(ADC)515は、最終累積結果をデジタル化する。しかしながら、このデジタル化は、ニューロンバイアスを本質的にキャンセルする各MAC回路についての差動読み出しビット線電圧により、大幅に簡略化される。
【0032】
[0036] 次に、図6のフローチャートを参照して、CiMビットセルへの例となる容量結合書き込み方法について説明する。方法は、ビットノードおよびコンプリメントビットノードを駆動する交差結合インバータのペアのための電源電圧をデフォルト値から低減する動作600を含む。閾値電圧(threshold voltage)または接地のいずれかへの電源電圧の低減は、動作600の一例である。方法はまた、電源電圧が低減されている間に行われる動作605を含み、ビットノードと出力ノードとの間に結合された第1のスイッチを閉じ、コンプリメントビットノードと出力ノードとの間に結合された第2のスイッチを閉じることを含む。ビットセル100における両方のトランスミッションゲートまたはビットセル300におけるこれらスイッチの両方を閉じることは、動作605の一例である。方法は、第1のスイッチおよび第2のスイッチを相補的なスイッチング状態に置くために、ビットセルに書き込まれるべきビットのバイナリ値に応答して、第1のスイッチまたは第2のスイッチのいずれかを選択的に開く動作610をさらに含む。容量結合書き込み動作中にいずれかのスイッチを選択的に開くことは、動作610の一例である。加えて、方法は、出力ノードに容量結合された読み出しビット線の電圧を調整する動作615を含む。読み出しビット線電圧の接地へのディスチャージ(または読み出しビット線電圧の電源電圧レベルへのチャージ)は、動作615の一例である。最後に、方法は、前述したように、書き込み動作を完了するために、電源電圧をデフォルト値に復元する動作620を含む。
【0033】
[0037] 本明細書で開示されるようなコンピュートインメモリビットセルは、有利には、任意の好適なモバイルデバイスまたは電子システムに組み込まれ得る。例えば、図7に示すように、セルラ電話(cellular telephone)700、ラップトップコンピュータ705、およびタブレットPC710はすべて、本開示による機械学習アプリケーションなどのためのコンピュートインメモリビットセルを有するコンピュートインメモリを含み得る。音楽プレーヤ、ビデオプレーヤ、通信デバイス、およびパーソナルコンピュータなどの他の例示的な電子システムもまた、本開示に従って構築されたコンピュートインメモリを用いて構成され得る。
【0034】
[0038]多くの修正、置換および変形が、本開示の範囲から逸脱することなく、本開示のデバイスの材料、装置、構成および使用方法において、ならびにそれらに対して、行われ得ることが理解されよう。この点を踏まえると、本開示の範囲は、本明細書に例示および説明された特定の実施形態のものに限定されるべきではなく、これは、それらが単にそれのいくつかの例にすぎないためであり、むしろ、以下に添付された特許請求の範囲およびそれらの機能的な同等物の範囲に完全に相応すべきである。
以下に本願の出願当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[C1] ビットセルであって、
ビットノードおよびコンプリメントビットノードを有する交差結合インバータのペアと、
出力ノードと、
読み出しビット線と、
前記読み出しビット線と前記出力ノードとの間に結合されたキャパシタと、
前記ビットノードと前記出力ノードとの間に結合された第1のスイッチと、
前記コンプリメントビットノードと前記出力ノードとの間に結合された第2のスイッチと、前記第1のスイッチおよび前記第2のスイッチは、前記出力ノードに結合された唯一のスイッチである、
を備えるビットセル。
[C2] 前記第1のスイッチは、第1のトランスミッションゲートを備え、前記第2のスイッチは、第2のトランスミッションゲートを備える、C1に記載のビットセル。
[C3] 前記第1のスイッチは、第1のスイッチトランジスタを備え、前記第2のスイッチは、第2のスイッチトランジスタを備える、C1に記載のビットセル。
[C4] 前記第1のスイッチおよび前記第2のスイッチを相補的なスイッチング状態に切り替えるように構成された書き込みドライバをさらに備える、C1に記載のビットセル。
[C5] 前記書き込みドライバは、前記書き込み動作中に前記出力ノードの電圧を低減するために、前記書き込み動作中に前記読み出しビット線の電圧をディスチャージするようにさらに構成される、C4に記載のビットセル。
[C6] 前記書き込みドライバは、前記書き込み動作中に前記交差結合インバータのための電源電圧をディスチャージするようにさらに構成される、C5に記載のビットセル。
[C7] 前記書き込みドライバは、前記書き込み動作中に前記出力ノードの電圧を増大させるために、前記読み出しビット線の電圧を、接地から電源電圧までチャージするようにさらに構成される、C4に記載のビットセル。
[C8] 前記書き込みドライバは、前記書き込み動作中に前記交差結合インバータのための電源電圧をディスチャージするようにさらに構成される、C7に記載のビットセル。
[C9] 前記ビットセルは、積和演算MAC回路を形成するために、追加のビットセルの列に含まれる、C1に記載のビットセル。
[C10] 前記MAC回路は、追加のMAC回路のアレイと共に含まれる、C9に記載のビットセル。
[C11] 前記ビットセルは、セルラ電話内に統合される、C1に記載のビットセル。
[C12] 前記ビットセルは、半導体ダイ上で4本のポリシリコン線のピッチ内に統合される、C1に記載のビットセル。
[C13] ビットセルへの書き込み動作のための方法であって、
ビットノードおよびコンプリメントビットノードを駆動する交差結合インバータのペアのための電源電圧をデフォルト値から低減することと、
前記電源電圧が前記デフォルト値から低減されている間、前記ビットノードと出力ノードとの間に結合された第1のスイッチを閉じ、前記コンプリメントビットノードと前記出力ノードとの間に結合された第2のスイッチを閉じることと、
前記第1のスイッチおよび前記第2のスイッチを相補的なスイッチング状態に置くために、前記書き込み動作のためのビットのバイナリ値に応答して、前記第1のスイッチまたは前記第2のスイッチのいずれかを選択的に開くことと、
前記出力ノードに容量結合された読み出しビット線の電圧を調整することと、
前記書き込み動作を完了するために、前記電源電圧を前記デフォルト値に復元することと、
を備える方法。
[C14] 前記電源電圧を前記低減することは、前記電源電圧を接地にディスチャージすることを備える、C13に記載の方法。
[C15] 前記読み出しビット線の前記電圧を調整することは、前記相補的なスイッチング状態の間に、前記読み出しビット線の前記電圧を、接地から電源電圧レベルまでチャージすることを備える、C15に記載の方法。
[C16] 前記電源電圧を前記低減することは、前記電源電圧を、前記デフォルト値からトランジスタ閾値電圧に略等しくなるまでディスチャージすることを備える、C13に記載の方法。
[C17] 前記読み出しビット線の前記電圧を前記調整することは、前記相補的なスイッチング状態に先立って、前記読み出しビット線の前記電圧を接地にディスチャージすることを備える、C16に記載の方法。
[C18] 前記第1のスイッチまたは前記第2のスイッチのいずれかを前記選択的に開くことは、前記バイナリ値がバイナリ1値であることに応答して、前記第1のスイッチを開くことを備える、C17に記載の方法。
[C19] 前記第1のスイッチまたは前記第2のスイッチのいずれかを前記選択的に開くことは、前記バイナリ値がバイナリ0値であることに応答して、前記第2のスイッチを開くことを備える、C17に記載の方法。
[C20] ビットセルへの書き込み動作のための方法であって、
ビットノードおよびコンプリメントビットノードを駆動する交差結合インバータのペアのための電源電圧をデフォルト値から接地にディスチャージすることと、
前記電源電圧が低減されている間、前記ビットノードと出力ノードとの間に結合された第1のスイッチを閉じ、前記コンプリメントビットノードと前記出力ノードとの間に結合された第2のスイッチを閉じることと、
前記第1のスイッチおよび前記第2のスイッチを相補的なスイッチング状態に置くために、前記ビットセルに書き込まれるべきビットのバイナリ値に応答して、前記第1のスイッチまたは前記第2のスイッチのいずれかを選択的に開くことと、
前記相補的なスイッチング状態の間に、前記書き込み動作を完了するために、前記電源電圧を前記デフォルト値に復元することと、
を備える方法。
[C21] 前記第1のスイッチまたは前記第2のスイッチを選択的に開くことは、前記ビットの前記バイナリ値がバイナリ1値であることに応答して、前記第1のスイッチを開くことを備える、C20に記載の方法。
[C22] 前記第1のスイッチまたは前記第2のスイッチを選択的に開くことは、前記ビットの前記バイナリ値がバイナリ0値であることに応答して、前記第2のスイッチを開くことを備える、C20に記載の方法。
[C23] 前記書き込み動作中に、前記出力ノードに容量結合された読み出しビット線の電圧をデフォルト値に維持することをさらに備える、C20に記載の方法。
[C24] 前記第1のスイッチまたは前記第2のスイッチを選択的に開くことは、第1のトランスミッションゲートまたは第2のトランスミッションゲートのいずれかを選択的に開くことを備える、C20に記載の方法。
[C25] メモリであって、
ビットノードおよびコンプリメントビットノードを有する交差結合インバータのペアと、
出力ノードと、
読み出しビット線と、
前記読み出しビット線と前記出力ノードとの間に結合されたキャパシタと、
前記ビットノードと前記出力ノードとの間に結合された第1のスイッチと、
前記コンプリメントビットノードと前記出力ノードとの間に結合された第2のスイッチと、
前記交差結合インバータに書き込まれるべきバイナリ値に応答して、前記読み出しビット線からの電圧を、前記ビットノードおよび前記コンプリメントビットノードから選択されたノードに容量結合するために、前記読み出しビット線の電圧を調整するように構成された書き込みドライバと、
を備えるメモリ。
[C26] 前記第1のスイッチは、第1のトランスミッションゲートを備え、前記第2のスイッチは、第2のトランスミッションゲートを備える、C25に記載のメモリ。
[C27] 前記第1のスイッチは、第1のスイッチトランジスタを備え、前記第2のスイッチは、第2のスイッチトランジスタを備える、C25に記載のメモリ。
[C28] 前記書き込みドライバは、前記書き込み動作中に前記交差結合インバータのための電源電圧を接地にディスチャージするようにさらに構成される、C25に記載のメモリ。
[C29] 前記書き込みドライバは、前記書き込み動作中に前記交差結合インバータのための電源電圧を接地に部分的にディスチャージするようにさらに構成される、C25に記載のメモリ。
【要約】
記憶されたビットを記憶するための交差結合インバータのペアを含むコンピュートインメモリビットセルが提供される。コンピュートインメモリビットセルは、記憶されたビットを入力ベクトルビットと乗算するための論理ゲートを含む。論理ゲートのための出力ノードが、キャパシタの第2のプレートに接続する。キャパシタの第1のプレートは、読み出しビット線に接続する。書き込みドライバは、交差結合インバータ、第1のスイッチ、および第2のスイッチへの電源電圧を制御して、記憶されたビットを交差結合インバータのペアに容量的に書き込む。
【選択図】図1A
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6
図7