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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-22
(45)【発行日】2024-01-05
(54)【発明の名称】情報処理システムおよびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/26 20240101AFI20231225BHJP
【FI】
G06Q50/26
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2019033714
(22)【出願日】2019-02-27
(65)【公開番号】P2020140300
(43)【公開日】2020-09-03
【審査請求日】2022-02-14
(73)【特許権者】
【識別番号】521500030
【氏名又は名称】母子モ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】竹俣 惟人
(72)【発明者】
【氏名】那須 理紗
(72)【発明者】
【氏名】内山 春香
【審査官】松田 岳士
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-018261(JP,A)
【文献】特開2018-200515(JP,A)
【文献】特開2014-211852(JP,A)
【文献】特開2004-234256(JP,A)
【文献】特開2016-143384(JP,A)
【文献】特開2004-341796(JP,A)
【文献】特開2002-259728(JP,A)
【文献】特開平11-328288(JP,A)
【文献】特開2005-284844(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
保育所の利用を希望する利用希望者から、利用を希望する希望保育所の登録または更新を、希望保育所情報として受け付ける希望保育所登録更新部と、
前記希望保育所情報を用いて、前記保育所の利用に関する利用情報を生成する利用情報生成部と、
前記利用情報を、前記利用希望者及び前記保育所の利用を調整する利用調整者に送信する送信部と、
前記利用希望者の属性情報を記録する利用希望者データベースをさらに有し、
前記利用情報生成部が、前記属性情報または前記希望保育所情報の何れか一方または両方に基づき、単一または複数の前記保育所における利用希望者数を推定する利用希望者数推定部を有し、
前記送信部が、前記利用調整者に前記利用情報を送信する場合に、前記利用調整者が管轄する管轄保育所における前記利用希望者数を前記利用情報に含んで送信する、
情報処理システム。
【請求項2】
前記希望保育所が複数である場合、前記希望保育所登録更新部は、前記複数の希望保育所の登録または更新を、希望順位とともに受け付ける
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記希望保育所登録更新部が、前記希望保育所の登録または更新を、前記利用希望者における前記保育所の利用申請前に受け付ける
請求項1または請求項2に記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記利用情報生成部が、前記希望保育所情報を用いて、単一または複数の前記保育所における希望状況を算出する希望状況算出部、を有し、
前記送信部が、前記利用希望者および前記利用調整者に前記利用情報を送信する場合に、前記希望状況を前記利用情報に含んで送信する
請求項1から請求項3の何れか一項に記載の情報処理システム。
【請求項5】
前記保育所の利用調整において参照する調整情報を記録する調整情報様式データベースと、
前記利用希望者の属性情報を記録する利用希望者データベースと、をさらに有し、
前記利用情報生成部が、前記調整情報および前記属性情報を用いて、前記利用希望者が前記希望保育所を利用する場合の優先度を示す点数または評価レベルを算定する優先度算定部、を有し、
前記送信部が、前記利用希望者に前記利用情報を送信する場合に、前記利用希望者の前記希望保育所における前記点数または前記評価レベルを前記利用情報に含んで送信する
請求項1から請求項4の何れか一項に記載の情報処理システム。
【請求項6】
前記調整情報が、前記利用調整における指標およびその基準を含み、
前記優先度算定部が、前記利用希望者に適した前記指標を特定し、特定した前記指標に前記利用希望者の属性を適用して前記点数または前記評価レベルを算定する
請求項5に記載の情報処理システム。
【請求項7】
前記優先度算定部が、前記利用希望者の所在地から入所可能と推定できる範囲に位置する入所可能保育所について、前記点数または前記評価レベルを算定し、
前記送信部が、前記入所可能保育所における前記点数または前記評価レベルを、前記利用希望者に送信する
請求項5または請求項6に記載の情報処理システム。
【請求項8】
前記希望保育所における前記点数または前記評価レベルより、前記入所可能保育所における前記点数または前記評価レベルの方が高い場合、前記送信部は、前記入所可能保育所を推奨保育所として前記利用希望者に送信する
請求項7に記載の情報処理システム。
【請求項9】
前記保育所の利用調整において参照する調整情報を記録する調整情報様式データベースと、
前記利用希望者の属性情報を記録する利用希望者データベースと、をさらに有し、
前記利用情報生成部が、
前記希望保育所情報を用いて、単一または複数の前記保育所における希望状況を算出する希望状況算出部と、
前記希望状況、前記調整情報および前記属性情報を用いて、前記利用希望者の前記希望保育所における利用可能性を算定する利用可能性算定部と、
をさらに有し、
前記送信部が、前記利用希望者に前記利用情報を送信する場合に、前記利用可能性を前記利用情報に含んで送信する
請求項1から請求項8の何れか一項に記載の情報処理システム。
【請求項10】
前記利用情報生成部が、前記調整情報および前記属性情報を用いて、前記利用希望者が前記希望保育所を利用する場合の優先度を示す点数または評価レベルを算定する優先度算定部をさらに有し、
前記利用可能性算定部が、単一または複数の前記保育所における前記希望状況、および、当該保育所を希望する全利用希望者または一部利用希望者における当該保育所を利用する場合の前記点数または前記評価レベル、を用いて、前記利用希望者の前記希望保育所における前記利用可能性を算定する
請求項9に記載の情報処理システム。
【請求項11】
前記利用可能性算定部が、前記利用希望者の所在地から入所可能と推定できる範囲に位置する入所可能保育所について、前記利用可能性を算定し、
前記送信部が、前記入所可能保育所における前記利用可能性を、前記利用希望者に送信する
請求項9または請求項10に記載の情報処理システム。
【請求項12】
前記希望保育所における前記利用可能性より、前記入所可能保育所における前記利用可能性の方が高い場合、前記送信部は、前記入所可能保育所を推奨保育所として前記利用希望者に送信する
請求項11に記載の情報処理システム。
【請求項13】
前記利用情報が、前記利用調整者において前記利用調整が実施される前の暫定的な情報である
請求項5から請求項12の何れか一項に記載の情報処理システム。
【請求項14】
前記希望保育所の情報、前記保育所の利用調整において参照する調整情報、または、前記利用希望者の属性情報の少なくとも一つが更新されたとき、前記利用情報生成部が、前記利用情報を再生成し、前記送信部が、再生成された前記利用情報を、前記利用希望者及び前記利用調整者に送信する
請求項1から請求項13の何れか一項に記載の情報処理システム。
【請求項15】
前記利用希望者の属性情報を記録する利用希望者データベースと、
前記保育所の利用申請に係る申請書様式を記録する調整情報様式データベースと、をさらに有し、
前記利用情報生成部が、前記利用希望者に適した前記申請書様式を特定し、特定した前記申請書様式の各項目に前記属性情報に含まれる前記利用希望者の属性を充当することで、前記利用申請に係る申請書の全部または一部を生成する申請書生成部、を有し、
前記申請書生成部が、前記利用調整者において前記利用調整が実施される前の暫定的な申請書として暫定申請書を生成し、
前記送信部が、前記利用希望者に前記利用情報を送信する場合に、前記暫定申請書を前記利用情報に含んで送信する
請求項5から請求項14の何れか一項に記載の情報処理システム。
【請求項16】
前記申請書様式の各項目に充当すべき前記属性が前記利用希望者データベースに記録されていない場合、前記利用希望者に前記属性を問い合わせる属性問合せ部、をさらに有する
請求項15に記載の情報処理システム。
【請求項17】
前記調整情報様式データベースには、前記利用申請に必要な疎明資料の情報をさらに含み、
前記申請書生成部が、前記暫定申請書とともに前記疎明資料のリストを生成し、
前記送信部が、前記暫定申請書とともに前記リストを前記利用希望者に送信する
請求項15または請求項16に記載の情報処理システム。
【請求項18】
前記利用希望者からの申請書生成要求に応答して、前記申請書生成部が、前記利用調整者における前記利用調整に供する申請書を生成し、
前記申請書の印刷イメージを前記利用希望者に送信する
請求項15から請求項17の何れか一項に記載の情報処理システム。
【請求項19】
前記利用希望者数推定部は、任意の前記利用調整者について、所定年度における前記管轄保育所ごとの利用希望者数を推定し、
前記送信部は、推定した前記管轄保育所ごとの各年度における利用希望者数を、前記管轄保育所を管轄する前記利用調整者に送信する
請求項1から請求項18の何れか一項に記載の情報処理システム。
【請求項20】
保育所の利用を希望する利用希望者から、利用を希望する希望保育所の登録または更新を、希望保育所情報として受け付ける希望保育所登録更新機能、
前記希望保育所情報を用いて、前記保育所の利用に関する利用情報を生成する利用情報生成機能、および、
前記利用情報を、前記利用希望者及び前記保育所の利用を調整する利用調整者に送信する送信機能、
をコンピュータに実現させるためのプログラムであって、
前記利用情報生成機能が、利用希望者データベースに記録された前記利用希望者の属性情報または前記希望保育所情報の何れか一方または両方に基づき、単一または複数の前記保育所における利用希望者数を推定する利用希望者数推定機能を有し、
前記送信機能が、前記利用調整者に前記利用情報を送信する場合に、前記利用調整者が管轄する管轄保育所における前記利用希望者数を前記利用情報に含んで送信する、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理システムおよびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、認可保育所の利用に際し、保育所の利用を希望する利用希望者の数が、受け入れ可能数を上回る場合、保育所の運営主体である市区町村等の自治体は、入所選考を行い、受け入れ可能数に収まるよう利用者間の調整を図っている。当該利用調整において、利用調整者である自治体は、労働、求職、出産、病気、看護・介護、災害、職業訓練等、利用希望者の選考指標を定め、当該指標毎に、申請書や疎明書類によって状況を把握し、点数化し、あるいは評価レベルを算出し、合計点数または評価レベルの高い利用希望者から順に利用を許可しているのが実情である。
【0003】
たとえば、特許文献1は、「所定の選考基準によって入所できるか否か審査される認可施設について入所確度に関する有益な情報を利用者に提供し、施設ごとに入所できるか否か審査される無認可施設について利用者と無認可施設との交渉を支援する」ことを目的とする「施設入所支援装置」の発明を開示する。当該発明は、「認可保育施設については、入所を希望する利用者の個人情報を基に所定の選考基準に従って、入所の可能性を示す入所確度情報を求めて利用者端末に表示させる。無認可保育施設については、保育園または幼稚園から読み出された施設情報に含まれる接続情報に基づいて、利用者端末を無認可保育施設の有する保育施設装置に接続する」ことで前記目的を達成しようとする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2011-018261号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の発明によれば、「認可保育施設については、入所を希望する利用者の個人情報を基に所定の選考基準に従って、入所の可能性を示す入所確度情報を求めて利用者端末に表示させる」ことができる。
【0006】
しかし、認可保育所の利用可否決定に大きく影響する合計点数等の基礎となる選考指標は、多岐に渡り複雑である。また、当該点数化等の基準は、利用調整者である自治体毎に異なり、しかも、定期または不定期に変更されるため、利用が許可されるのか否か、利用希望者には非常に分かり辛い。さらに、特許文献1に記載の発明は、利用申請の時点での入所確度情報を求めるものであり、利用申請前の暫定的な利用可能性を知ることはできない。
【0007】
一方、利用希望者が多い自治体にとっては、可能な限り多くの利用希望者に利用許可を与えるべく、長期的な政策立案の基礎となるデータの入手および活用が望まれる。
【0008】
本発明の目的は、認可保育所の利用調整において、利用希望者の合計点数または評価レベルが、利用申請前において、何点であるのか、あるいはどの程度の利用可能性があるのかを容易に把握することができるシステムを提供することにある。本発明の目的は、希望保育所、選考の指標あるいはその基準が変更された場合、速やかに点数等を更新し、利用希望者に報知するシステムを提供することにある。本発明の目的は、入所を希望する認可保育所より許可可能性が高い周辺の認可保育所がある場合、当該周辺の保育所を利用希望者にリコメンドするシステムを提供することにある。本発明の目的は、所定の自治体において、入所希望者の地理的、時間的な分布等を把握し、数年先の待機児童の把握等、認可行政の政策立案に資するデータを出力するシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の第1の態様においては、保育所の利用を希望する利用希望者から、利用を希望する希望保育所の登録または更新を、希望保育所情報として受け付ける希望保育所登録更新部と、前記希望保育所情報を用いて、前記保育所の利用に関する利用情報を生成する利用情報生成部と、前記利用情報を、前記利用希望者または前記保育所の利用を調整する利用調整者に送信する送信部と、を有する情報処理システムを提供する。前記希望保育所が複数である場合、前記希望保育所登録更新部は、前記複数の希望保育所の登録または更新を、希望順位とともに受け付けることができる。前記希望保育所登録更新部が、前記希望保育所の登録または更新を、前記利用希望者における前記保育所の利用申請前に受け付けるものとすることができる。
【0010】
前記利用情報生成部が、前記希望保育所情報を用いて、単一または複数の前記保育所における希望状況を算出する希望状況算出部、を有し、前記送信部が、前記利用希望者および前記利用調整者に前記利用情報を送信する場合に、前記希望状況を前記利用情報に含んで送信するものであっても良い。
【0011】
前記保育所の利用調整において参照する調整情報を記録する調整情報様式データベースと、前記利用希望者の属性情報を記録する利用希望者データベースと、をさらに有し、前記利用情報生成部が、前記調整情報および前記属性情報を用いて、前記利用希望者が前記希望保育所を利用する場合の優先度を示す点数または評価レベルを算定する優先度算定部、を有し、前記送信部が、前記利用希望者に前記利用情報を送信する場合に、前記利用希望者の前記希望保育所における前記点数または前記評価レベルを前記利用情報に含んで送信するものであっても良い。この場合、前記調整情報が、前記利用調整における指標およびその基準を含み、前記優先度算定部が、前記利用希望者に適した前記指標を特定し、特定した前記指標に前記利用希望者の属性を適用して前記点数または前記評価レベルを算定するものであっても良い。前記優先度算定部が、前記利用希望者の所在地から入所可能と推定できる範囲に位置する入所可能保育所について、前記点数または前記評価レベルを算定し、前記送信部が、前記入所可能保育所における前記点数または前記評価レベルを、前記利用希望者に送信するものであっても良い。前記希望保育所における前記点数または前記評価レベルより、前記入所可能保育所における前記点数または前記評価レベルの方が高い場合、前記送信部は、前記入所可能保育所を推奨保育所として前記利用希望者に送信するものであっても良い。
【0012】
前記保育所の利用調整において参照する調整情報を記録する調整情報様式データベースと、前記利用希望者の属性情報を記録する利用希望者データベースと、をさらに有し、前記利用情報生成部が、前記希望保育所情報を用いて、単一または複数の前記保育所における希望状況を算出する希望状況算出部と、前記希望状況、前記調整情報および前記属性情報を用いて、前記利用希望者の前記希望保育所における利用可能性を算定する利用可能性算定部と、をさらに有し、前記送信部が、前記利用希望者に前記利用情報を送信する場合に、前記利用可能性を前記利用情報に含んで送信するものであっても良い。この場合、前記利用情報生成部が、前記調整情報および前記属性情報を用いて、前記利用希望者が前記希望保育所を利用する場合の優先度を示す点数または評価レベルを算定する優先度算定部をさらに有し、前記利用可能性算定部が、単一または複数の前記保育所における前記希望状況、および、当該保育所を希望する全利用希望者または一部利用希望者における当該保育所を利用する場合の前記点数または前記評価レベル、を用いて、前記利用希望者の前記希望保育所における前記利用可能性を算定するものであっても良い。前記利用可能性算定部が、前記利用希望者の所在地から入所可能と推定できる範囲に位置する入所可能保育所について、前記利用可能性を算定し、前記送信部が、前記入所可能保育所における前記利用可能性を、前記利用希望者に送信するものであっても良い。前記希望保育所における前記利用可能性より、前記入所可能保育所における前記利用可能性の方が高い場合、前記送信部は、前記入所可能保育所を推奨保育所として前記利用希望者に送信するものであっても良い。
【0013】
前記利用情報が、前記利用調整者において前記利用調整が実施される前の暫定的な情報であっても良い。また、前記希望保育所の情報、前記保育所の利用調整において参照する調整情報、または、前記利用希望者の属性情報の少なくとも一つが更新されたとき、前記利用情報生成部が、前記利用情報を再生成し、前記送信部が、再生成された前記利用情報を、前記利用希望者または前記利用調整者に送信するものであっても良い。
【0014】
前記利用希望者の属性情報を記録する利用希望者データベースと、前記保育所の利用申請に係る申請書様式を記録する調整情報様式データベースと、をさらに有し、前記利用情報生成部が、前記利用希望者に適した前記申請書様式を特定し、特定した前記申請書様式の各項目に前記属性情報に含まれる前記利用希望者の属性を充当することで、前記利用申請に係る申請書の全部または一部を生成する申請書生成部、を有し、前記申請書生成部が、前記利用調整者において前記利用調整が実施される前の暫定的な申請書として暫定申請書を生成し、前記送信部が、前記利用希望者に前記利用情報を送信する場合に、前記暫定申請書を前記利用情報に含んで送信するものであっても良い。この場合、前記申請書様式の各項目に充当すべき前記属性が前記利用希望者データベースに記録されていない場合、前記利用希望者に前記属性を問い合わせる属性問合せ部、をさらに有するものであっても良い。前記調整情報様式データベースには、前記利用申請に必要な疎明資料の情報をさらに含み、申請書生成部が、前記暫定申請書とともに前記疎明資料のリストを生成し、前記送信部が、前記暫定申請書とともに前記リストを前記利用希望者に送信するものであっても良い。前記利用希望者からの申請書生成要求に応答して、前記申請書生成部が、前記利用調整者における前記利用調整に供する申請書を生成し、前記申請書の印刷イメージを前記利用希望者に送信するものであっても良い。
【0015】
前記利用希望者の属性情報を記録する利用希望者データベースをさらに有し、前記利用情報生成部が、前記属性情報または前記希望保育所情報の何れか一方または両方に基づき、単一または複数の前記保育所における利用希望者数を推定する利用希望者数推定部を有し、前記送信部が、前記利用調整者に前記利用情報を送信する場合に、前記利用調整者が管轄する管轄保育所における前記利用希望者数を前記利用情報に含んで送信するものであっても良い。この場合、前記利用希望者数推定部は、任意の前記利用調整者について、所定年度における前記管轄保育所ごとの利用希望者数を推定し、前記送信部は、推定した前記管轄保育所ごとの各年度における利用希望者数を、前記管轄保育所を管轄する前記利用調整者に送信するものであっても良い。
【0016】
本発明の第2の態様においては、保育所の利用を希望する利用希望者から、利用を希望する希望保育所の登録または更新を、希望保育所情報として受け付ける希望保育所登録更新機能、前記希望保育所情報を用いて、前記保育所の利用に関する利用情報を生成する利用情報生成機能、および、前記利用情報を、前記利用希望者または前記保育所の利用を調整する利用調整者に送信する送信機能、をコンピュータに実現させるためのプログラムを提供する。
【0017】
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】情報処理システム100を含むシステム全体の概要を示す概念図である。
図2】情報処理システム100、利用調整者システム200および利用希望者端末300の概要を示すブロック図である。
図3】利用希望者データベース102の概要を示す概念図である。
図4】調整情報様式データベース104の概要を示す概念図である。
図5】希望状況データベース106の概要を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0020】
図1は、情報処理システム100を含むシステム全体の概要を示す概念図である。本実施の形態のシステムは、利用希望者および利用調整者の利便性を高める。利用希望者は、保育所の利用を希望する者であり、利用調整者は、利用希望者からの利用申請を受け付け、複数の利用希望者間の保育所の利用についての調整を行う者である。利用調整者として、たとえば区市町村等の地方自治体が例示できる。
【0021】
本実施の形態のシステムは、情報処理システム100、利用調整者システム200、利用希望者端末300およびネットワーク400を有する。情報処理システム100、利用調整者システム200および利用希望者端末300は、ネットワーク400を介して相互接続され、データ通信に基づく情報のやりとりが可能である。ネットワーク400としてインターネットが例示できるが、これに限られず、たとえば物理的な専用線やVPN(Virtual Private Network)で構築されたプライベートなネットワークであっても良い。
【0022】
図2は、情報処理システム100、利用調整者システム200および利用希望者端末300の概要を示すブロック図である。情報処理システム100は、利用希望者データベース102、調整情報様式データベース104、希望状況データベース106、情報読出記録部108、希望保育所登録更新部110、受信部112、送信部114、制御部116、情報収集部118、属性問合せ部120および利用情報生成部122を有し、利用情報生成部122は、希望状況算出部124、優先度算定部126、利用可能性算定部128、利用希望者数推定部130および申請書生成部132を有する。利用調整者システム200は、申請情報入力部202、HTTPサーバ204および表示部206を有する。利用希望者端末300は、属性入力部302、表示部304および印刷部306を有する。
【0023】
図3は、利用希望者データベース102の概要を示す概念図である。利用希望者データベース102は、利用希望者の情報(利用希望者情報102a)を記録する。利用希望者情報102aには、利用希望者の属性102bおよび希望保育所情報102cを含む。属性102bとして、たとえば利用希望者の氏名、住所、職業等の利用希望者自身に関する事項、保育所に入所させる子の名前、生年月日等の子に関する事項、配偶者、同居親族等の家族構成に関する事項、就業状態、妊娠・出産の有無、介護の有無等の保育所入所調整において考慮される可能性のある事項等を挙げることができる。希望保育所情報102cとして、たとえば利用希望者が希望する希望保育所の名称を希望順位とともに記録してもよい。
【0024】
図4は、調整情報様式データベース104の概要を示す概念図である。調整情報様式データベース104は、利用調整者の情報(利用調整者情報104a)を記録する。利用調整者情報104aには、指標104bとその基準104c、申請書様式104dおよび疎明資料情報104eを含む。指標104bおよびその基準104cは、保育所入所の際に調整が行われる場合、当該調整において参照される事項である。申請書様式104dは、保育所の利用を申請する際に用いる申請書の様式である。疎明資料情報104eは、申請書を提出する際に必要に応じて添付する疎明資料の情報である。
【0025】
指標104bおよびその基準104cは、たとえば、利用希望者の就業状態、妊娠・出産の有無、看護・介護の有無、職業訓練等、利用調整者が保育所利用の調整の際に考慮する事項とその水準であり、利用調整者ごとに定めることから一般に利用調整者ごとに異なる。申請書様式104dは、利用調整者ごとに定める利用申請書の様式であり、利用調整者ごとに異なる。疎明資料情報104eは、利用申請書に記載した事項が事実であることを疎明する資料の情報である。利用調整者ごとに要求される疎明事項と疎明の程度が異なることから、疎明資料情報104eも一般に利用調整者ごとに異なる。
【0026】
図5は、希望状況データベース106の概要を示す概念図である。希望状況データベース106は、保育所の情報(保育所情報106a)を記録する。保育所情報106aには、当該保育所の希望状況106bを含む。希望状況106bとして、たとえば年度ごとの希望者数、当該保育所を希望する利用希望者のID、点数、希望年度等を記録することができる。
【0027】
情報読出記録部108は、利用希望者データベース102、調整情報様式データベース104および希望状況データベース106から情報を読出し、また、書き込む機能を有する。希望保育所登録更新部110は、保育所の利用を希望する利用希望者から、利用を希望する希望保育所の登録または更新を、希望保育所情報として受け付ける。希望保育所が複数である場合、希望保育所登録更新部110は、複数の希望保育所の登録または更新を、希望順位とともに受け付けてもよい。なお、希望保育所登録更新部110は、利用希望者が保育所の利用申請を行う前の段階において、希望保育所の登録または更新を受け付けるものとすることができる。
【0028】
受信部112は、利用調整者システム200および利用希望者端末120からの情報(データ)を受信し、送信部114は、利用調整者システム200および利用希望者端末120に情報(データ)を送信する。すなわち、受信部112は、保育所の利用を希望する利用希望者から、利用を希望する希望保育所の情報を受信し、送信部114は、希望保育所の情報を用いて生成された保育所の利用に関する利用情報を利用希望者または保育所の利用を調整する利用調整者に送信する。制御部116は、情報処理システム100の全体を制御する。
【0029】
送信部114は、利用希望者が保育所の利用申請を行う前の段階では、利用調整者に、利用情報を送らないものとすることができる。すなわち、利用情報は、保育所の利用申請前の段階においては、暫定的な情報であって確定的な情報ではないことから、利用調整における適切な判断の基礎とすることが期待できす、利用調整者への個人情報の無用な送信に繋がる可能性も考えられることから、これを制限する主旨である。ただし、利用情報のうち、後に説明する希望状況についてはこの限りではない。希望状況は、各保育所における利用希望者の数等を集計したものであるから、直接的な個人情報ではなく、暫定的な情報であっても利用調整者における計画立案等に有効に活用できると思われるので、利用申請前の段階であっても利用調整者に送信してもよい。
【0030】
情報収集部118は、利用調整者情報104aを収集する。収集した利用調整者情報104aは、情報読出記録部108を介して調整情報様式データベース104に記録する。利用調整者情報104aの収集の方法は、たとえば、利用調整者情報104aが利用調整者システム200のHTTPサーバにウェブページとして公開されている場合、当該ウェブページをスクレイピングして収集することができる。
【0031】
属性問合せ部120は、指標104bに適用すべき属性102bが利用希望者データベース102に記録されていない場合、利用希望者に属性102bを問い合わせる。また、属性問合せ部120は、申請書様式104dの各項目に充当すべき属性102bが利用希望者データベース102に記録されていない場合、利用希望者に属性102bを問い合わせる。これにより、点数の算出精度を高め、あるいは利用申請書の完成度を高めることができる。
【0032】
利用情報生成部122は、希望保育所情報を用いて、保育所の利用に関する利用情報を生成する。希望状況算出部124は、希望保育所情報を用いて、単一または複数の保育所における希望状況を算出する。希望状況は、たとえば当該保育所の定員数に対する希望者数の割合で表すことができる。算出された希望状況は、送信部114が送信する利用情報に含めて、当該保育所を希望する利用希望者または当該保育所を管轄する利用調整者に送信することができる。
【0033】
優先度算定部126は、調整情報様式データベース104に記録されている調整情報、および利用希望者データベース102に記録されている属性情報を用いて、利用希望者が希望保育所を利用する場合の優先度を示す点数または評価レベルを算定する。算出された点数または評価レベルは、送信部114を介して利用希望者に送信される。点数の算出方法は、たとえば、利用調整者における指標104bおよび基準104cを参照して、利用希望者の属性が当該指標104bおよび基準104cに合致するかを判断し、合致する場合には当該基準に配点されている点数を積算することにより行える。すなわち、優先度算定部126は、利用希望者に適した指標104bを特定し、特定した指標104bに利用希望者の属性102bを適用して点数を算出する。なお、点数はランクA,B等の評価レベルであっても良い。
【0034】
指標104bおよびその基準104cは、利用調整者ごとに異なっており、多種多様である。利用調整者によっては、この指標104bおよび基準104cを詳細に決めており、利用希望者にとっては複雑な指標および基準を読み解いたうえで利用申請書を作成しなければならず、利用希望者にとっては大きな負担になっていた。本実施の形態の情報処理システム100では、優先度算定部126が、利用調整者ごとの指標および基準に応じて、利用希望者の点数または評価レベルを計算するので、利用希望者は面倒な作業を経ることなく、自己の点数または評価レベルを容易に知ることができる。結果、利用希望者の利便性を高めることができる。
【0035】
優先度算定部126は、利用希望者の所在地から入所可能と推定できる範囲に位置する入所可能保育所について、点数または評価レベルを算定してもよく、この場合、送信部114は、入所可能保育所における点数または評価レベルを、利用希望者に送信する。また、希望保育所における点数または評価レベルより、入所可能保育所における点数または評価レベルの方が高い場合、送信部114は、入所可能保育所を推奨保育所として利用希望者に送信することができる。これにより、利用希望者はより入所可能性が高い保育所への入所を検討することができ、利用希望者の利便性を高めることができる。
【0036】
利用可能性算定部128は、希望状況データベース106に記録されている希望状況、調整情報様式データベース104に記録されている調整情報および利用希望者データベース102に記録されている属性情報を用いて、利用希望者の希望保育所における利用可能性を算定する。利用可能性の算定は、たとえば単一または複数の保育所における希望状況、および、当該保育所を希望する全利用希望者または一部利用希望者における当該保育所を利用する場合の点数または評価レベルを用いて、利用希望者の希望保育所における利用可能性を算定する。算定された利用可能性は、送信部114を介して利用希望者に送信される。
【0037】
利用可能性算定部128は、利用希望者の所在地から入所可能と推定できる範囲に位置する入所可能保育所について、利用可能性を算定してもよく、この場合、送信部114は、入所可能保育所における利用可能性を、利用希望者に送信する。また、希望保育所における利用可能性より、入所可能保育所における利用可能性の方が高い場合、送信部114は、入所可能保育所を推奨保育所として利用希望者に送信することができる。これにより、利用希望者はより入所可能性が高い保育所への入所を検討することができ、利用希望者の利便性を高めることができる。
【0038】
なお、上記した利用情報は、利用調整者において利用調整が実施される前の暫定的な情報であってもよい。
【0039】
希望保育所の情報、保育所の利用調整において参照する調整情報、または、利用希望者の属性情報の少なくとも一つが更新されたとき、利用情報生成部122は、上記した利用情報を再生成し、送信部114は、再生成された利用情報を、利用希望者または利用調整者に送信することができる。これにより、利用希望者または利用調整者は、最新の希望状況、優先度(点数または評価レベル)、利用可能性を入手することができる。なお、再計算のタイミングは、1か月等所定期間の経過ごとであっても良い。
【0040】
利用希望者数推定部130は、属性情報または希望保育所情報の何れか一方または両方に基づき、単一または複数の保育所における利用希望者数を推定する。推定した利用希望者数は、送信部114を介して利用調整者に送信できる。また、利用希望者数推定部130は、任意の利用調整者について、所定年度における管轄保育所ごとの利用希望者数を推定し、送信部114は、推定した管轄保育所ごとの各年度における利用希望者数を、管轄保育所を管轄する利用調整者に送信することができる。これにより、利用調整者は、数年後の利用希望者数を事前に見積もることができ、待機児童対策等を進める際の基礎的データに利用することができる。
【0041】
申請書生成部132は、利用希望者に適した申請書様式104dを特定し、特定した申請書様式104dの各項目に利用希望者の属性102bを充当することで利用申請に係る申請書の全部または一部を生成する。申請書生成部132は、利用調整者において利用調整が実施される前の暫定的な申請書として暫定申請書を生成し、送信部114は、生成した暫定申請書を利用希望者に送信する。申請書様式の各項目に充当すべき属性が利用希望者データベースに記録されていない場合、属性問合せ部120を介し、利用希望者に属性を問い合わせることができる。また、申請書生成部132は、申請書とともに疎明資料のリストを生成してもよく、生成された暫定申請書および疎明資料リストは送信部114を介して、利用希望者に送信される。
【0042】
なお、利用希望者からの申請書生成要求に応答して、申請書生成部132は、利用調整者における利用調整に供する申請書を生成し、送信部114を介して、申請書の印刷イメージを利用希望者に送信する。印刷イメージは、紙媒体にプリントアウトして、申請用紙として利用調整者に提出することができる。
【0043】
利用調整者システム200は、利用調整者が有するシステムであり、申請情報入力部202、HTTPサーバ204、表示部206を有する。申請情報入力部202は、調整の際に用いられる指標や水準等の調整情報、申請書様式や疎明資料等の申請情報を利用調整者システムに入力する際に利用される。HTTPサーバ204は、入力された申請情報をウェブページとして公開するウェブサーバである。表示部206は、たとえば情報処理システム100から送信された利用希望者数を表示する。
【0044】
利用希望者端末300は、利用希望者が使用する端末であり、たとえばスマートフォン等が例示できる。属性入力部302は、利用希望者の属性を入力し、情報処理システム100に送信する。表示部304は、たとえば情報処理システム100から送信された点数等を表示する。印刷部306は、たとえば情報処理システム100から送信された申請書の印刷イメージを印刷する。
【0045】
以上説明した情報処理システム100によれが、利用希望者は、利用申請前の自己の点数または評価レベルあるいは利用可能性を容易に知ることができる。また、点数等の基礎となる指標や基準が変更されてもシステムが自動的にアップデートして点数等を更新するので、常に最新の点数等を知ることができる。さらに、利用申請する際の申請書作成に必要な作業をシステムが実行するので、利用希望者は楽に利用申請書を作成することができる。この結果、利用希望者の利便性を大きく向上することができる。
【0046】
また、上記した情報処理システム100によれば、数年後の利用希望者数を推定できるので、利用調整者である自治体等は、待機児童対策等が立てやすくなり、利用調整者にとっても利便性が高い。
【0047】
以下、本実施の形態のシステムの利用態様の一例を時系列に示す。
(1)2018年12月
妊娠5か月のAさんが利用希望者端末300を操作して本システムの利用登録を行う。たとえば、Aさんは、所有するスマートフォン(利用希望者端末300)にアプリをインストールし、当該アプリの属性入力部302を介して以下のような属性を本システム(情報処理システム100)に送信する。
・AさんとAさんの夫であるBさんの氏名および生年月日
・保育所の利用申請予定日(2019年10月)におけるAさんおよびBさんの就労状況(Bさんが通常勤務、Aさんが育児休暇中であること)
・出産予定日(2019年4月)
・住所(東京都Z区…)
・保育所の利用開始希望日(2020年4月1日)
・希望保育所(第1希望として○○保育園を、第2希望として△△保育所の2カ所)
上記属性は、受信部112を介して希望保育所登録更新部110で受け付けられ、利用希望者データベース102に記録される。また、優先度算出部126によって、現段階での暫定的な希望保育所における点数が計算され、利用可能性算定部128によって、現段階における利用可能性が算定される。ここで、希望保育所として2カ所の保育所が登録されているので、各希望保育所について点数および利用可能性が算定される。算定された点数および利用可能性は送信部114を介してAさんのスマートフォン(利用希望者端末300)に送信され、Aさんは表示部304に表示された、現時点での暫定的な点数および利用可能性を確認する。なお、Aさんに送信される現時点での暫定的な点数および利用可能性は、「利用情報」の一例である。
【0048】
なお、上記利用登録の時点では、以下の属性は暫定的に記載している。上記した点数および利用可能性の算定において、未登録の属性が含まれている場合は算定を行わず、全ての属性が登録されることで算定が行われる。なお、未登録の属性について考慮せず、点数および利用可能性の算定を行うようにしてもよい。また、子供の氏名や生年月日は変更できないようにしてもよい。
・子供の氏名、生年月日(出産予定日を記載)
【0049】
Aさんによる希望保育所の登録は、希望状況データベース106にも登録され、各希望保育所(第1希望である○○保育園および第2希望である△△保育所)の希望状況が希望状況算出部124によって更新される。更新された希望状況は、○○保育園と△△保育所を管轄するZ区(利用調整者)のシステム(利用調整者システム200)に送信される。Z区は、管轄する保育所の希望状況をリアルタイムに把握することができる。なお、希望状況は、年度ごとの利用希望者数、0歳児、1歳児などのクラスごとの利用希望者数、地域ごとの利用希望者数として把握することも可能である。また、Z区(利用調整者)への希望状況の送信タイミングは、月初め等予め決まったタイミングとする、Z区からの送信要求に応じる等、任意に設定することが可能である。Z区(利用調整者)に送信される希望状況は「利用情報」の一例である。
【0050】
(2)2019年6月
Aさんの住むZ区にて利用調整の指数の見直しが行われ、2019年6月にZ区のホームページに掲載される。新たな利用調整は、調整情報収集部118により自動収集され、調整情報様式データベース104に記録される。当該調整情報は2020年4月入園分から適用されることから、Aさんの点数および利用可能性が再計算され、この時点での暫定的な点数および利用可能性としてAさんに送信される。なお、調整情報の収集はシステムにより自動収集される場合の他、Z区からの通知(入力)を契機として行われても良い。また、調整情報が更新された場合、本システムからAさんに通知し、Aさんの更新要求を契機として点数および利用可能性の再計算を実行してもよい。ここでAさんに送信される再計算された現時点での暫定的な点数および利用可能性も「利用情報」の一例である。以下再計算されるごとにAさんに送信される情報についても同様である。
【0051】
(3)2019年8月
Aさんが以下の属性を更新する。
・子供の氏名(出生届に記載した氏名)
・子供の生年月日(出生届に記載した生年月日)
・希望する保育所を追加・更新(第1希望○○保育園、第2希望××愛育園、第3希望△△保育所)
利用登録時の場合と同様、Aさんの属性の登録更新事項は利用希望者データベース102に記録される。また、Aさんの点数および利用可能性は再計算され、現時点における暫定的な点数および利用可能性としてAさんに送信される。また、Aさんの希望保育所の登録更新は、更新された希望保育所について希望状況データベース106が更新され、当該希望保育所の希望状況が再計算される。なお、Aさんの点数および利用可能性の再計算およびその結果のAさんへの送信のタイミングは、Aさんからの属性情報の更新を受け取ったタイミングの他、月初め等予め決めたタイミングにするなど、任意である。
【0052】
(4)2019年10月
Z区の2020年4月の利用申請が開始される。なお、利用申請の開始は、システムによってAさんに通知されてもよい。利用申請の開始を受けて、Aさんは、以下のような属性情報の追加更新を行い、利用申請の準備を開始する。
・祖父母の氏名
・祖父母の住所(Aさんと同住所、すなわち同居)
・祖父母の生年月日(Aさんの両親は65歳未満)
・祖父母の就労状況(Aさんの両親とも就労中)
【0053】
利用登録時および属性追加更新の場合と同様、Aさんの属性の登録更新事項は利用希望者データベース102に記録され、Aさんの点数および利用可能性は再計算される。上記の場合、Aさんは、65歳未満の祖父母と同居していることから暫定的な点数が減点される。Aさんは、上記のような属性情報の新たな登録および更新により点数が下がり、利用可能性が低下することを、利用申請前に認識し、たとえば希望保育所の変更を検討することができる。また、Aさんは、Z区の調整情報を確認し、点数を高めるよう属性情報をより詳細に記載したりすることができる。あるいはAさんは、65歳未満の両親と同居しているものの、両親が就労中であることを説明し、そのような事情が考慮される可能性があるかないかを利用調整者に問い合わせることができる。なお、利用登録時、属性追加更新時、または属性更新時の際に、就労中である旨の情報(就労状況(就労中・無職)や職業)や死亡等で不存在ある旨の情報等を記載させるようにしてもよい。
【0054】
Aさんが利用申請を行う場合、申請書生成部132が利用申請書の印刷イメージを生成し、Aさんの端末に送信する。この場合、システムは調整情報様式データベース104に記録されたZ区の申請書様式を参照することでZ区指定の申請書に入力された状態での印刷イメージを生成することができ、Aさんは送信されたZ区指定の申請書の印刷イメージを印刷部306で印刷し、申請用紙とすることができる。また、システムは、Aさんが利用申請した際の入力状況に応じて疎明資料リストも表示する。Aさんは、疎明資料リストに表示された疎明資料を用意するとともに印刷された申請用紙への記入を完了し、利用調整者に申請書および疎明資料を提出する。なお、65歳未満の同居両親が就労中である事情が考慮される場合には、申請書にその旨を記載し、両親の就労証明書を疎明資料に含めて申請することができる。その他、利用申請者が任意に提出できる証明書類等がある場合には、これを疎明資料含めて申請することができる。なお、Aさんに送信される利用申請書の印刷イメージや疎明資料リストの情報は、「利用情報」の一例である。
【0055】
利用申請書の生成においては、登録済の属性内容を引用することが可能であり、また、未記入の属性項目は、属性問合せ部120を介してAさんに問い合わせてもよい。勿論、Aさんが直接入力または更新することも可能である。なお、利用申請の開始後は、暫定的な利用可能性や点数は不確定な情報になる可能性があるため、これら暫定的な点数や利用可能性の算出を禁止することとしてもよい。これにより利用希望者の無用な混乱を避けることができる。
【0056】
Aさんは、利用申請書に疎明資料を添えてZ区に保育所の利用を申請する。疎明資料は申請後に提出できる場合もあり、この場合は、システムから疎明資料の提出を適切なタイミングで行えるよう報知してもよい。
【0057】
申請書を受けつけたZ区は、Aさんの正式な点数を算出し、Aさんに通知する。なお、Z区が対応する場合は、システムからZ区に電子的に申請書を送付するようにしても良い。申請後の利用調整の結果がAさんに届くことになるが、希望保育所の利用が叶わなかった場合、Aさんは本システムの利用を継続して、再度利用申請を行うことができる。この場合、登録内容を引き継ぎ、Aさんの属性入力等の負担を軽減することができる。なお、Aさんの正式な点数はZ区が算出し、Aさんに直接通知するものであるから、当該点数は「利用情報」には含まれない。ただし、Z区が算出した正式な点数を本システム(情報処理システム100)がZ区のシステム(利用調整者システム200)から取得し、本システムを介してAさんに通知することも可能である。この場合、Aさんの正式な点数は「利用情報」の一例であり、本システムは、Aさんが本システムを継続利用する際の履歴情報として管理することができる。
【0058】
以上、実施の形態を通じて本発明を説明したが、上記した実施の形態に限定されるわけではない。たとえば、保育所の利用希望者は、利用申請前の人に限らず、既に利用申請した人、内定、保留、既に利用している人等のであっても良い。
また、希望保育所について空き状況を通知するようにしてもよい。利用申請の結果、保留通知が来た人についても空き状況が通知されても良い。利用可能性の算出においては、過去数年の利用申請状況と保育所に内定した人の点数等を加味して、利用可能性の算出や推奨保育所の推定を行ってもよい。
【0059】
上記した例では、情報処理システムとして実施の形態を説明したが、コンピュータプログラムとして把握することも可能である。すなわち、保育所の利用を希望する利用希望者から、利用を希望する希望保育所の登録または更新を、希望保育所情報として受け付ける希望保育所登録更新機能、希望保育所情報を用いて、保育所の利用に関する利用情報を生成する利用情報生成機能、および、利用情報を、利用希望者または保育所の利用を調整する利用調整者に送信する送信機能、をコンピュータに実現させるためのプログラム、として把握することも可能である。
【0060】
上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラムおよび方法における動作、手順、ステップおよび段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書および図面中の動作フローに関して便宜上「まず」、「次に」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【符号の説明】
【0061】
100…情報処理システム、102…利用希望者データベース、102a…利用希望者情報、102b…属性、102c…希望保育所情報、104…利用調整者データベース、104a…利用調整者情報、104b…指標、104c…基準、104e…疎明資料情報、106…希望状況データベース、106a…保育所情報、106b…希望状況、108…情報読出記録部、110…希望保育所登録更新部、112…受信部、114…送信部、116…制御部、118…情報収集部、120…属性問合せ部、122…利用情報生成部、124…希望状況算出部、126…優先度算定部、128…利用可能性算定部、130…利用希望者数推定部、132…申請書生成部、200…利用調整者システム、202…申請情報入力部、204…HTTPサーバ、206…表示部、300…利用希望者端末、302…属性入力部、304…表示部、306…印刷部、400…ネットワーク。
図1
図2
図3
図4
図5