(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-22
(45)【発行日】2024-01-05
(54)【発明の名称】浴槽洗浄装置
(51)【国際特許分類】
A47K 3/00 20060101AFI20231225BHJP
【FI】
A47K3/00 Q
(21)【出願番号】P 2019203222
(22)【出願日】2019-11-08
【審査請求日】2022-09-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000010087
【氏名又は名称】TOTO株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100159846
【氏名又は名称】藤木 尚
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 啓太
(72)【発明者】
【氏名】大江 俊春
(72)【発明者】
【氏名】原島 立成
(72)【発明者】
【氏名】中島 平裕
(72)【発明者】
【氏名】関 大輝
【審査官】七字 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-118671(JP,A)
【文献】特開2013-257082(JP,A)
【文献】特開2008-154611(JP,A)
【文献】特開2004-261314(JP,A)
【文献】特開平9-60083(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47K 3/00-4/00
F24H 15/196
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴槽を洗剤水で洗浄する浴槽洗浄装置であって、
洗剤を貯留する洗剤タンクと、
給水源から供給される水
と上記洗剤タンクから供給される洗剤を混合し洗剤水を生成して貯留する
洗剤混合タンクと、
上記洗剤水を上記浴槽内に向けて噴射する噴射口を備えたノズルと、
上記
洗剤混合タンクと上記ノズルとの間の流路に設けられ、
駆動中に熱を発生するポンプと、
上記
洗剤混合タンク及び少なくとも上記ポンプを共通の内部空間内に収納し
上記ポンプから発生される熱により上記洗剤混合タンクが温められるケーシングと、を備えていることを特徴とする浴槽洗浄装置。
【請求項2】
上記ポンプは、上記ポンプの少なくとも一部が上記
洗剤混合タンクの満水水位以下の位置となるように配置されている、請求項1に記載の浴槽洗浄装置。
【請求項3】
上記ポンプは、上面視において上記ポンプの少なくとも一部が上記
洗剤混合タンクと重なるように配置されている、請求項2に記載の浴槽洗浄装置。
【請求項4】
さらに、上記ポンプへの上方からの被水を防止する被水防止手段を備える、請求項1乃至3の何れか1項に記載の浴槽洗浄装置。
【請求項5】
さらに、上記ケーシングの下部に設けられると共に上記ケーシング内の下部に液体が溜まった状態を検知する検知センサを備える、請求項1乃至4の何れか1項に記載の浴槽洗浄装置。
【請求項6】
さらに、上記ケーシングの下部に、上記ケーシング内の液体を外部に排出するための排出弁を備える、請求項1乃至5の何れか1項に記載の浴槽洗浄装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴槽洗浄装置に係り、特に、浴槽を洗剤水で洗浄する浴槽洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、特許文献1に示すように、洗剤を水で希釈した洗浄液を噴霧ノズルから噴射することにより、浴槽を自動で洗浄する自動浴槽洗浄装置が知られている。この自動浴槽洗浄装置は、洗剤と水とが供給され、洗剤を水で希釈して洗浄液を生成する洗浄液タンクを備え、洗浄液はこの洗浄液タンクから加圧ポンプにより噴霧ノズルに供給されるようになっている。
【0003】
また、従来から、特許文献2に示すように、洗剤と湯水とが混合された洗浄水を洗浄ノズルから噴射することにより、浴槽の洗浄を行う浴槽洗浄装置が知られている。この浴槽洗浄装置は、給湯器から供給された湯水を一旦貯留する湯水タンクを備え、この湯水タンクから供給される湯水が洗剤混合部を通過する際に、負圧により洗剤と湯水とが混合されて洗浄水が生成され、洗浄ノズルに供給されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平4-269935号公報
【文献】特開2019-58224号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に示すような浴槽洗浄装置において、洗浄力を向上させるために希釈する水を湯水とすることが検討されている。
しかしながら、特許文献1に示すような浴槽洗浄装置においては、洗浄液タンクに生成した洗浄液を一旦貯留することになる。従って、希釈する水を湯水とした場合に、洗浄液タンクにおいて洗浄液の温度が低下し、湯水を使用して洗浄液を生成したとしても、洗浄力を十分に向上させることができないという問題があった。
【0006】
また、特許文献2に示すような浴槽洗浄装置においても、湯水タンクに湯水を一旦貯留することになる。従って、湯水タンクにおいて湯水の温度が低下し、湯水を使用したとしても、洗浄力を十分に向上させることができないという問題があった。
【0007】
このような洗浄液タンクや湯水タンクが省略されれば洗浄水の温度低下の問題が解消される可能性もある。
しかしながら、一方で、浴槽洗浄装置において、水道の流路をそのままノズルまで延ばし水道圧を利用する水道直圧の構造を回避すると共に、上流側の流路と下流側の流路の縁切りを行うため、洗浄液タンクや湯水タンクが要請される場合がある。
【0008】
そこで、本発明は、上述した従来技術の問題を解決するものであり、貯水タンク内の温度低下を抑制でき、ノズルから噴射される洗剤水の温度低下を抑制して、浴槽の洗浄力を向上できる浴槽洗浄装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した目的を達成するために、本発明の一実施形態は、浴槽を洗剤水で洗浄する浴槽洗浄装置であって、洗剤を貯留する洗剤タンクと、給水源から供給される水を貯留する貯水タンクと、上記洗剤タンクから供給される洗剤と給水源から供給される水とを混合した洗剤水を上記浴槽内に向けて噴射する噴射口を備えたノズルと、上記貯水タンクと上記ノズルとの間の流路に設けられるポンプと、上記貯水タンク及び少なくとも上記ポンプを共通の内部空間内に収納するケーシングと、を備えていることを特徴としている。
このように構成された本発明の一実施形態においては、貯水タンク及び少なくともポンプがケーシングの共通の内部空間内に収納されるので、ポンプから発生される熱によりケーシングの共通の内部空間が温められ、貯水タンクが温められる。よって、貯水タンク内の温度低下を抑制でき、ノズルから噴射される洗剤水の温度低下を抑制して、浴槽の洗浄力を向上できる。
【0010】
本発明において、好ましくは、上記ポンプは、上記ポンプの少なくとも一部が上記貯水タンクの満水水位以下の位置となるように配置されている。
このように構成された本発明の一実施形態においては、ポンプが発生する熱により温められた空気が上昇する際に、貯水タンクを温めることができる。よって、ポンプが貯水タンクの満水水位の高さよりも高い位置に配置される場合と比べて、貯水タンク内の水に熱をより伝えやすくでき、貯水タンク内の水の温度低下をより抑制することができる。当業者は、ポンプが被水してしまうことを防ぐため、通常、ポンプを、液体を貯水する貯水タンクよりも上方に配置すると考えられる。しかしながら、貯水タンクの温度低下をより抑制するため、本発明の発明者は、敢えてポンプの少なくとも一部が貯水タンクの満水水位以下の位置となるようにポンプを配置したものである。
【0011】
本発明において、好ましくは、上記ポンプは、上面視において上記ポンプの少なくとも一部が上記貯水タンクと重なるように配置されている。
このように構成された本発明の一実施形態においては、ポンプは、ポンプの少なくとも一部が貯水タンクの満水水位以下の位置となるように配置されると共に、ポンプは、上面視においてポンプの少なくとも一部が貯水タンクと重なるように配置されている。これにより、ポンプが発生する熱により温められた空気が上昇する際に、貯水タンクに沿って上昇できる。そのため、共通の内部空間全体が暖まることを待つことなく、貯水タンクに熱を伝えることができるため、貯水タンクに比較的早く熱を伝えることができる。また、当業者は、ポンプが被水してしまうことを防ぐため、通常、ポンプを液体のタンクよりも上方に配置し、上面視において液体のタンクをポンプと重ならないように配置すると考えられる。しかしながら、貯水タンクの温度低下をより抑制するため、本発明の発明者は、敢えて上面視においてポンプの少なくとも一部が貯水タンクと重なるようにポンプを配置したものである。
【0012】
本発明において、好ましくは、さらに、上記ポンプへの上方からの被水を防止する被水防止手段を備える。
このように構成された本発明の一実施形態においては、仮に貯水タンク内の液体がケーシング内に漏れた、又は、貯水タンクの表面に結露が発生した場合であっても、その液体が上方からポンプにかかることを防止できる。よって、ポンプが被水することによる故障を抑制しつつ貯水タンク内の水の温度低下を抑制できる。
【0013】
本発明において、好ましくは、さらに、上記ケーシングの下部に設けられると共に上記ケーシング内の下部に液体が溜まった状態を検知する検知センサを備える。
このように構成された本発明の一実施形態においては、仮に例えば給水電磁弁からの水の漏洩状態、貯水タンクからの水の漏洩状態、又は、貯水タンクの表面に比較的多くの結露が発生する状態等により、ケーシング内の下部に液体が溜まった状態となる場合に、検知センサが液体が溜まった状態を検知できる。よって、ポンプが液体に浸かる故障を防ぐことができる。
【0014】
本発明において、好ましくは、さらに、上記ケーシングの下部に、上記ケーシング内の液体を外部に排出するための排出弁を備える。
このように構成された本発明の一実施形態においては、仮に例えば給水電磁弁からの水の漏洩状態、貯水タンクからの洗剤水の漏洩状態、又は、貯水タンクの表面に比較的多くの結露が発生する状態等により、ケーシング内の下部に液体が溜まった状態となる場合に、排出弁によりケーシング内の液体を外部に排出できる。よって、ポンプが液体に浸かる故障を防ぐことができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の浴槽洗浄装置によれば、貯水タンク内の温度低下を抑制でき、ノズルから噴射される洗剤水の温度低下を抑制して、浴槽の洗浄力を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の第1実施形態による浴槽洗浄装置及びこの浴槽洗浄装置が適用される浴槽を示す全体構成図である。
【
図2】本実施形態による浴槽洗浄装置のノズルユニットが浴槽の底面に取り付けられた状態を示す上方から見た平面図である。
【
図3】
図2のIII-III線に沿って見た浴槽洗浄装置のノズルユニットの断面図である。
【
図4】本発明の第1実施形態による浴槽洗浄装置のシスターン及び周辺機器を概略的に示す概略構成図である。
【
図5】本発明の第1実施形態による浴槽洗浄装置のケーシングの内部構造を側方から見た状態で示す構成図である。
【
図6】本発明の第1実施形態による浴槽洗浄装置のケーシングの内部構造を上面から見た状態で示す構成図である。
【
図7】本発明の第2実施形態による浴槽洗浄装置及びこの浴槽洗浄装置が適用される浴槽を示す全体構成図である。
【
図8】本発明の第2実施形態による浴槽洗浄装置のケーシングの内部構造を側方から見た状態で示す構成図である。
【
図9】本発明の第2実施形態による浴槽洗浄装置のケーシングの内部構造を上面から見た状態で示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図面を参照して、本発明の第1実施形態による浴槽洗浄装置を説明する。最初に、
図1により、本発明の実施形態による浴槽洗浄装置及びこの浴槽洗浄装置が適用される浴槽について説明する。
図1は本発明の第1実施形態による浴槽洗浄装置及びこの浴槽洗浄装置が適用される浴槽を示す全体構成図である。
図2は本実施形態による浴槽洗浄装置のノズルユニットが浴槽の底面に取り付けられた状態を示す上方から見た平面図である。
【0018】
図1に示すように、符号1は、浴槽を示し、この浴槽1は、底面2と内側壁面4を備え、これらの底面2と内側壁面4が後述するように洗剤水により洗浄がなされ、さらに、水によりすすぎがなされるようになっている。また、浴槽1の内側壁面4には、給水口6が設けられ、浴槽1内に水(例えば湯、以下同様)が給水されるようになっている。浴槽1の底面2には、排水口8が設けられ、水が外部に排水されるようになっている。
なお、上述のように、本願において使用する用語「水」は、湯を含む意味で使用され、例えば、給湯器(図示せず)等において温度調節された湯、湯と水が混合された湯水、わずかに温められた温水、常温の水、冷水等も含む意味で使用されている。
【0019】
図1及び
図2に示すように、浴槽1に後述する洗剤水を供給して浴槽1を自動的に洗浄する浴槽洗浄装置10について説明する。浴槽洗浄装置10は、洗剤水を噴射するためのノズルユニット12を備え、このノズルユニット12は、浴槽1の底面2に取り付けられている。このノズルユニット12は、詳細は後述するが、ノズル本体14、このノズル本体14を支持するための本体ケーシング16、及び、ノズル本体14を回転させるための電気モータ(ステッピングモータ等)18を備えている。
【0020】
図1に示すように、浴槽洗浄装置10は、ノズルユニット12に洗剤水を供給するための3つ流路を備えている。先ず、第1の流路20は、給湯器(図示せず)等の給水源から水(湯)を供給するための流路であり、この第1の流路20には、上流からフィルター付きの止水栓22、定流量弁24、開閉動作により給水量を制御する給水電磁弁26、温度センサ28、及び、縁切りタンクであり洗剤と水を混合し洗剤水を生成して貯留するシスターン30が設けられている。給水電磁弁26は、電動の装置であり、駆動時及び駆動後に熱を発する比較的熱発生量の小さい発熱源として機能する。
【0021】
第2の流路32は、液状の洗剤を供給するための流路であり、この第2の流路32には、上流から洗剤タンク34、洗剤の供給を制御する洗剤電磁弁36、オリフィス38、及び、洗剤の供給量を制御するためのポンプである洗剤ポンプ40が設けられ、上述したシスターン30に洗剤が供給されるようになっている。
洗剤タンク34は洗剤を貯留するように構成される。洗剤タンク34は、使用者が洗剤を補給できるようにするため、後述するシスターン30のケーシング66とは別の位置に配置され、浴室側に開口するように配置される。洗剤電磁弁36は、電動の装置であり、駆動時及び駆動後に熱を発する発熱源として機能する。洗剤ポンプ40は、電動の装置であり、駆動時及び駆動後に熱を発する比較的熱発生量の大きい発熱源として機能する。
【0022】
次に、
図4により、洗剤混合タンクであるシスターン30の構造について説明する。
図4は本発明の第1実施形態による浴槽洗浄装置のシスターン及び周辺機器を概略的に示す概略構成図である。
図4においては、構成を分かりやすく示すため、
図1における定流量弁24等の構成部品が省略されている。
シスターン30は、洗剤水を生成する洗剤混合タンクである。シスターン30は、給水源から供給される水を貯留する貯水タンクでもある。本実施形態のシスターン30は洗剤水の一部としての水を貯留している貯水タンクである。シスターン30は、給水源から供給される水を貯留し、この水は洗剤水を生成するための水又はすすぎ用の水となっている。シスターン30は、洗剤水タンク79と、洗剤水タンク79内の液体(例えば、上述した洗剤水、給水源から供給される水、又は洗剤タンクから供給される洗剤)の水位を検出するためのフロートスイッチ31を備えている。洗剤水タンク79内の液体の水位は、所定の下方位置から所定の上方位置まで変化するようになっている。フロートスイッチ31は、洗剤水タンク79内の液体の水位に合わせて上下動でき、所定の上方位置(
図4において点線で示す)において、洗剤水タンク79内の液体の満水水位W0を検知できる。満水水位W0は、後述するオーバーフロー管86に流入するオーバーフロー水位よりは下方に設定されている。シスターン30には、後述するようにシスターン30の温度低下が抑制されるため、外周において保温層が設けられておらず、保温層を省略することによりシスターン30を比較的安価、簡易、且つコンパクトなサイズに形成することができる。保温層は、断熱材、例えば発泡スチロールにより形成される。なお、シスターン30には、その側面等の一部に保温層が設けられてもよい。この場合には、シスターン30の下側から洗浄ポンプ44等の熱を受け入れてシスターン30内の洗剤水の温度の低下を抑制しつつも、シスターン30の側面からシスターン30内の熱が外側に逃げることを抑制できる。
【0023】
また、洗剤水タンク79のフロートスイッチ31よりもさらに上方の位置には、オーバーフロー管86が取り付けられている。オーバーフロー管86は、シスターン30内からケーシング66を貫通してケーシング66の外側まで延びている。オーバーフロー管86とシスターン30の壁面との接続部分、及びオーバーフロー管86とケーシング66の壁面との接続部分は、水密にシールされている。このオーバーフロー管86により、洗剤水タンク79内の液体が上述した満水水位W0を超えた場合には、その液体をケーシング66の外部に排出することができるようになっている。
【0024】
さらに、上述したように、第1の流路20に設けられた給水電磁弁26の開閉動作により、洗剤水タンク79に供給される水の量が制御できるようになっている。また、第2の流路32に設けられた洗剤ポンプ40の吐出流量を制御することにより、洗剤水タンク79に供給される洗剤の量が制御できるようになっている。さらに、第3の流路42に設けられた洗浄ポンプ44により、洗剤水タンク79内の洗剤水のノズル本体14へ供給される量が制御できるようになっている。
【0025】
シスターン30において、上述したフロートスイッチ31からの信号により、給水電磁弁26、洗剤電磁弁36、洗剤ポンプ40等が制御され所望の供給量、所望の濃度の洗剤水が生成されるようになっている。さらに、詳細は後述するように、制御部48により、洗剤ポンプ40の吐出流量や駆動時間、及び、給水電磁弁26の開弁時間等を制御することにより、洗剤水タンク79内の洗剤水の濃度を変化させ、所望の濃度の洗剤水を得ることができるようになっている。なお、本実施形態においては、洗剤水の生成について、水位センサであるフロートスイッチ31からの信号により、給水電磁弁26、洗剤電磁弁36、洗剤ポンプ40等を制御し、所望の生成量の洗剤水及び所望の濃度の洗剤水を生成しているが、これに限らない。例えば、給水電磁弁26の開弁時間、洗剤電磁弁36の開弁時間、洗剤ポンプ40の吐出量を制御することにより、所望の生成量の洗剤水及び所望の濃度の洗剤水を生成してもよい。また、水位センサについては、フロートスイッチ以外のセンサを用いてもよい。
【0026】
図1に示すように、第3の流路42は、シスターン30に貯留された洗剤水を上述したノズルユニット12に供給(給水)するための流路である。この第3の流路42には、上流から洗浄ポンプ44及び逆止弁46が設けられている。よって、洗浄ポンプ44は、シスターン30とノズルユニット12との間の第3の流路42に設けられる。洗浄ポンプ44は、流体をノズルユニット12に向けて送出するようになっているポンプであり、シスターン30において生成された洗剤水をノズルユニット12に供給する。この洗浄ポンプ44により、ノズルユニット12に供給される洗剤水の流量、即ち、後述するノズル本体14から噴射される洗剤水の流量が制御(調整)できるようになっている。なお、洗浄ポンプ44の代りに、「ポンプと電磁弁との組合せ」により、洗剤水の流量を制御するようにしてもよい。洗浄ポンプ44は、例えばダイヤフラムポンプであるが、液体を送出できる機能を有する他のポンプであってもよい。洗浄ポンプ44は、電動の装置であり、駆動時及び駆動後に熱を発する比較的熱発生量の大きい発熱源として機能する。
【0027】
また、浴槽洗浄装置10は、制御部48を備えている。制御部48は、例えば、電気モータ18、給水電磁弁26、温度センサ28、フロートスイッチ31、洗剤電磁弁36、洗剤ポンプ40、洗浄ポンプ44、漏水検知電極72等と電気的に接続されている。制御部48は、また、配線を連通管68を介して浴室外の浴槽洗浄装置10の操作部や各種機器に接続する。制御部48が給水電磁弁26の開閉動作を制御し、第1の流路20に設けられた給水電磁弁26の開閉動作により、洗剤水タンク79に供給される水の量が制御できるようになっている。また、制御部48が第2の流路32に設けられた洗剤ポンプ40の吐出流量を制御することにより、洗剤水タンク79に供給される洗剤の量が制御できるようになっている。さらに、制御部48が第3の流路42に設けられた洗浄ポンプ44を制御することにより、洗剤水タンク79内の洗剤水のノズル本体14へ供給される量が制御できるようになっている。制御部48は、基板48aを備えており、この基板48aが通電時及び通電後に熱を発する。基板48aは、洗浄ポンプ44に比べると比較的熱発生量の小さい発熱源として機能する。
なお、上述した例では、第1の流路20に、給湯器から湯を供給しているが、給湯器を使用せず、水(冷水)を供給するようにしてもよい。
【0028】
次に、
図3により、本実施形態の浴槽洗浄装置10のノズルユニット12の構造について説明する。
図3は
図2のIII-III線に沿って見た浴槽洗浄装置のノズルユニットの断面図である。
【0029】
図2及び
図3に示すように、ノズルユニット12は、ノズルであるノズル本体14と、このノズル本体14を回転可能に収納する本体ケーシング16と、取付ユニット17と、ノズル本体14を回転させるための電気モータ18、浴槽1内で上部を覆うカバー64とを備えている。
本体ケーシング16は、外筒を形成する第1フランジ部材50と嵌合するような筒状に形成された中間筒52と、この中間筒52の内側に取り付けられた内筒54を備えている。
取付ユニット17は、筒状の第1フランジ部材50と、パッキン56と、第1フランジ部材50の外周面とねじ係合する固定ナット58とを備えている。
第1フランジ部材50は、中間筒52の外側の外筒部分50bと、外筒部分50bの上部からつば状に延びるフランジ部50aとを備えている。この第1フランジ部材50は、パッキン56を介して浴槽1の底面2に取り付けられ固定ナット58により底面2に固定されている。
【0030】
電気モータ18は、中間筒52の下方部分に取り付けられている。この電気モータ18には出力軸18aが取り付けられ、この出力軸18aの先端(上端)には、ノズル本体14が取り付けられている。ノズル本体14は、洗剤タンク34から供給される洗剤と給水源から供給される水とを混合した洗剤水を浴槽1内に向けて噴射する噴射口62を備えている。また、内筒54の下方部分には、ノズル本体14を支持するための筒状の支持部材60が取り付けられている。
【0031】
さらに、中間筒52の下側部分には、流路部材61が取り付けられており、液体(洗剤水や水)が流れる流路61aを形成している。また、支持部材60と中間筒52との間に流路60aが形成され、さらに、ノズル本体14の内部にも流路14aが形成されている。
【0032】
上述した第3の流路42からノズルユニット12に供給された液体(洗剤水や水)は、流路部材61の流路61a、支持部材60と中間筒52との間の流路60a、ノズル本体14の内部の流路14aを通って、ノズル本体14の上部に形成された噴射口62に到達するようになっている。
【0033】
カバー64は、ノズル本体14、本体ケーシング16及び取付ユニット17の上方を覆うように配置されている。なお、ノズルユニット12は、好ましくはカバー64を備えているが、カバーは備えなくてもよい。
なお、本実施形態においては、ノズルユニット12は浴槽1の底面2に設けられているが、例えば、ノズルユニット12は浴槽1の内側壁面に設けられてもよい。また、ノズルユニット12は、複数設けられてもよい。さらに、ノズルユニット12の噴射口62が複数設けられてもよい。ノズルユニット12のノズル本体14は、回転可能に設けられていなくともよい。ノズル本体14は、回転可能に設けられていない場合、例えば、噴射口62から全周にわたって液体が噴射されるように、噴射口62を複数設けてもよく、また、ノズルユニット12を複数設けてもよい。
【0034】
次に、
図5及び
図6により、シスターン30を収納するケーシングの構造について説明する。
図5は本発明の第1実施形態による浴槽洗浄装置のケーシングの内部構造を側方から見た状態で示す構成図であり、
図6は本発明の第1実施形態による浴槽洗浄装置のケーシングの内部構造を上面から見た状態で示す構成図である。
【0035】
ケーシング66は、シスターン30及び少なくとも洗浄ポンプ44を共通の内部空間66a内に収納する。ケーシング66は、浴槽1の側壁の裏面側において浴室の壁面Wと浴槽1との間の非常に限られたスペースに配置される。ケーシング66は、直方体形状に形成されている。ケーシング66は、内部空間66aを浴室内空間Aに対して隔離するようにほぼ水密に形成されている。ケーシング66は、内部空間66aを浴室内空間Aに対してほぼ隔離するように形成されていれば浴室内空間Aと連通する部分を有していてもよい。一方、ケーシング66は、内部空間66aと浴室外の外気空間Bとを連通するような連通管68(
図1参照)を備えている。
【0036】
より具体的には、ケーシング66は、止水栓22、定流量弁24、給水電磁弁26、温度センサ28、シスターン30、洗剤電磁弁36、オリフィス38、洗剤ポンプ40、洗浄ポンプ44、逆止弁46及び制御部48を共通の内部空間66a内に収納する。
【0037】
洗浄ポンプ44は、洗浄ポンプ44の少なくとも一部がシスターン30の満水水位W0以下の位置となるように配置されている。また、洗剤ポンプ40は、洗剤ポンプ40の少なくとも一部がシスターン30の満水水位W0以下の位置となるように配置されている。また、洗浄ポンプ44は、上面視において洗浄ポンプ44の少なくとも一部がシスターン30と重なるように配置されている。また、洗剤ポンプ40は、上面視において洗剤ポンプ40の少なくとも一部がシスターン30と重なるように配置されている。洗浄ポンプ44は、自吸式のポンプである。なお、洗浄ポンプ44は、シスターン30内の液体を送出できるように配置された非自吸式のポンプであってもよい。
【0038】
浴槽洗浄装置10は、さらに、洗浄ポンプ44への上方からの被水を防止する被水防止手段70と、ケーシング66の下部に設けられると共にケーシング66内の下部に液体が溜まった状態を検知する検知センサである漏水検知電極72と、ケーシング66の下部に配置され、ケーシング66内の液体を外部に排出するための排出弁74とを備える。
【0039】
被水防止手段70は、ケーシング66の一方側の側壁66bから他方側の側壁66cに向けられ且つ側壁66cの手前まで延びている。平板状の被水防止手段70の先端70aと側壁66cとの間には隙間Gが形成されている。被水防止手段70は、先端70aに向けて下降する平板状の傾斜面を形成している。よって、被水防止手段70上に滴下又は流下した水は、被水防止手段70の傾斜に沿って流下し、先端70aから先端70a近傍の側壁66cに沿うように流下し、洗浄ポンプ44の側方側を通って下方に流下する。被水防止手段70は、上方から流下する水を一旦傾斜面で受けて先端70a側から流下させるので、落下する水の飛散も抑制できる。また、本実施形態では、被水防止手段70は、洗浄ポンプ44の一部が被水防止手段70に覆われないような大きさに形成されている。、これに関し、シスターン30の表面に結露水が生じたとしても、シスターン30の外形形状に傾斜面を形成することにより、その結露水が被水防止手段が設けられた位置に誘導される。そのため、被水防止手段70を設けながらも、被水防止手段70の大きさを比較的小さくでき、被水防止手段70が洗浄ポンプ44からの熱の伝達の妨げになることを抑制できる。被水防止手段70は、洗浄ポンプ44の真上の位置に限られず、洗浄ポンプ44及び/又は洗剤ポンプ40への上方からの被水を防止するような他の位置に形成されてもよい。被水防止手段70は、好ましくは伝熱性の高い部材で形成され、これにより洗浄ポンプ44への被水を防止すると共に、この被水防止手段70が洗浄ポンプ44からの熱の伝達を妨げることをより防止できる。
【0040】
漏水検知電極72は、液体が漏水検知電極72の高さまで溜まった状態を通電状態により電気的に検知することができる。漏水検知電極72は、制御部48と電気的に接続され、液体を検知した情報を制御部48に伝達する。漏水検知電極72は、ケーシング66の内部に配置されている。漏水検知電極72は、ケーシング66の下端よりも上方且つ他の電気部品例えば洗浄ポンプ44よりも下方に設けられる。漏水検知電極72は、ケーシング66内に液体が若干溜まるような状態、例えば給水電磁弁26からの水の漏洩状態、シスターン30からの洗剤水の漏洩状態、比較的多くの結露がケーシング66内に生じケーシング66内に水がたまるような状態等を検知できる。このように、漏水検知電極72は、仮に液体がケーシング66内に溜まり始めたとしても、水位が洗浄ポンプ44等の電気部品に到達する前に液体を検知できる。漏水検知電極72が、液体を検知することにより、制御部48はケーシング66内に液体が溜まっていることを認識できる。よって、制御部48がケーシング66内に液体が溜まっていることを使用者に報知する又は運転を停止する等の制御を行うことができる。なお、変形例として、制御部48がケーシング66内に液体が溜まっていることを認識した場合、後述する排出弁74を操作してケーシング66内の液体を外部に排出させるように制御されてもよい。
【0041】
排出弁74は、通常は弁体がケーシング66の開口部分を閉止する閉状態であり、液体がケーシング66内の一定水位まで溜まるとき水頭圧により弁体が自動的に開状態とされるように形成される。なお、排出弁74は、制御部48の指令を受けて電気的に開閉を制御される弁体によって構成されてもよい。排出弁74は、開状態となることによりケーシング66内の液体を外部に排出することができ、ケーシング66内に水が溜まってしまうような場合でも洗浄ポンプ44等の電気部品が浸水することを防ぐことができる、
【0042】
次に、
図1により、本発明の実施形態による浴槽洗浄装置による浴槽の洗浄工程を説明する。
洗浄モードをスタートすると、洗剤電磁弁36を開とし且つ洗剤ポンプ40をONとする。これにより、シスターン30への洗剤の供給が開始される。シスターン内の水位が一定位置に達すると、洗剤電磁弁36を閉とし且つ洗剤ポンプ40をOFFとする。これにより、シスターン内に10%の濃度の洗剤水を生成するために必要な洗剤量が供給される。
【0043】
次に、給水電磁弁26を開とし、シスターン30への水の供給が開始される。次に、フロートスイッチ31により、シスターン30内の水位が満水水位W0に達したか否かを判定する。シスターン30内の水位が満水水位W0に達すると、給水電磁弁26が閉とされる。これにより、シスターン内に10%の濃度の洗剤水250mlが生成される。
【0044】
次に、洗浄ポンプ44をONし、ノズル本体14の時計回りの回転を開始し、10%の濃度の洗剤水を噴射する。洗浄ポンプ44が駆動されるので、洗浄ポンプ44から熱が発生される。洗浄ポンプ44からから発生される熱によりケーシング66の共通の内部空間66aが温められる。よって、熱せられた内部空間の空気が上昇し又は上昇する過程でシスターン30が温められる。よって、シスターン30への水が供給された時点から時間が経過した場合であっても、シスターン30内の洗剤水の温度の低下を抑制することができる。よって、同じ量の洗剤水によって洗浄する場合であっても、ケーシング66内の共通の内部空間に洗浄ポンプ44及びシスターン30が収納されていない場合と比較して、比較的温度が高い洗剤水を使用して浴槽を洗浄することができ、洗剤水の洗浄能力を向上させることができる。
【0045】
ノズル本体14は、回転しながら、洗剤水を噴射する。その後、制御部48は、洗浄ポンプ44をOFFし、ノズル本体14の回転を停止する。その後、制御部48は、所定時間待機する。
【0046】
次に、給水電磁弁26を開とする。これにより、シスターン30への水の供給が開始される。次に、シスターン内の水位が満水水位W0に達したか否かを判定する。満水水位に達した場合には、制御部48は、給水電磁弁26を閉とする。このとき、シスターン30内の洗剤水は、前回の残りの洗剤水に水を供給するため、前回生成した洗剤水の濃度からやや薄められた濃度を有している。例えば、シスターン30内には、5.7%の濃度の洗剤水250mlが生成されている。洗剤水の生成中にもシスターン30内の水の温度が徐々に低下する。
このようにシスターン30内に洗剤水が生成された後、実際に噴射されるまでに、本実施形態の構成によれば、洗浄ポンプ44等から発生される熱によりシスターン30が温められる。よって、洗剤水の温度の低下が抑制される。
ノズル本体14は、回転しながら、洗剤水を噴射する。所定時間噴射後、制御部48は、洗浄ポンプ44をOFFし、ノズル本体14の回転を停止する。その後、制御部48は、所定時間待機する。
【0047】
次に、給水電磁弁26を開とする。これにより、シスターン30への水の供給が開始される。次に、シスターン内の水位が満水水位W0に達したか否かを判定する。満水水位に達した場合には、制御部48は、給水電磁弁26を閉とする。このとき、シスターン30内の洗剤水は、前回の残りの洗剤水に水を供給するため、前回生成した洗剤水の濃度からやや薄められた濃度を有している。例えば、シスターン30内には、3%の濃度の洗剤水250mlが生成されている。洗剤水の生成中から水の温度は徐々に低下している。このようにシスターン30内に洗剤水が生成された後、実際に噴射されるまでに、本実施形態の構成によれば、洗浄ポンプ44から発生される熱によりシスターン30の洗剤水が温められる。よって、洗剤水の温度の低下が抑制される。
その後、ノズル本体14は、回転しながら、洗剤水を噴射する。所定時間噴射後、制御部48は、洗浄ポンプ44をOFFし、ノズル本体14の回転を停止する。その後、制御部48は、所定時間待機する。
【0048】
以上説明したように、本実施形態においては、先ず、最も濃度の高い10%の洗剤水を生成し、次に、洗剤を供給せず、水のみを供給して、5.7%の濃度の洗剤水を生成し、さらに、洗剤を供給せず、水のみを供給して、3%の濃度の洗剤水を生成するようにしている。変形例として、異なる濃度の洗剤水を生成するにあたり、再び洗剤タンクから洗剤を供給するようにしてもよい。また、さらなる変形例として、洗剤水について濃度を変更せずに生成してもよい。また、さらなる変形例として、洗剤水の生成が1度しかなされなくてもよい。洗剤水の生成が1度しかなされない場合であっても、生成した洗剤水が噴射されている間の(噴射が終了するまでの)洗剤水の温度の低下が抑制できる。
【0049】
また、本実施形態においては、シスターン30及び少なくとも洗浄ポンプ44がケーシング66の共通の内部空間66a内に収納されるので、洗浄ポンプ44から発生される熱によりケーシング66の共通の内部空間66aが温められ、シスターン30が温められる。よって、シスターン30内の温度低下を抑制でき、ノズル本体14から噴射される洗剤水の温度低下を抑制して、浴槽1の洗浄力を向上できる。
【0050】
さらに、本実施形態においては、洗浄ポンプ44が発生する熱により温められた空気が上昇する際に、シスターン30を温めることができる。よって、洗浄ポンプ44がシスターン30の満水水位W0の高さよりも高い位置に配置される場合と比べて、シスターン30内の水に熱をより伝えやすくでき、シスターン30内の水の温度低下をより抑制することができる。
当業者は、洗浄ポンプ44が被水してしまうことを防ぐため、通常、洗浄ポンプ44を液体を貯水するシスターン30よりも上方に配置すると考えられる。しかしながら、シスターン30の温度低下をより抑制するため、本発明者は、敢えて洗浄ポンプ44の少なくとも一部がシスターン30の満水水位W0以下の位置となるように洗浄ポンプ44を配置したものである。
【0051】
さらに、本実施形態においては、洗浄ポンプ44は、洗浄ポンプ44の少なくとも一部がシスターン30の満水水位W0以下の位置となるように配置されると共に、洗浄ポンプ44は、上面視において洗浄ポンプ44の少なくとも一部がシスターン30と重なるように配置されている。これにより、洗浄ポンプ44が発生する熱により温められた空気が上昇する際に、シスターン30に沿って上昇できる。そのため、共通の内部空間全体が暖まることを待つことなく、シスターン30に熱を伝えることができるため、シスターン30に比較的早く熱を伝えることができる。また、シスターン30に熱をさらに伝えやすくでき、シスターン30内の水の温度低下をさらに抑制することができる。さらに、当業者は、洗浄ポンプ44が被水してしまうことを防ぐため、通常、洗浄ポンプ44を液体のタンクよりも上方に配置し、上面視において液体のタンクを洗浄ポンプ44と重ならないように配置すると考えられる。しかしながら、シスターン30の温度低下をより抑制するため、本発明者は、敢えて上面視において洗浄ポンプ44の少なくとも一部がシスターン30と重なるように洗浄ポンプ44を配置したものである。
【0052】
さらに、本実施形態においては、仮に例えばシスターン30内の液体がケーシング66内に漏れた、又は、シスターン30の表面に結露が発生した場合であっても、その液体が上方から洗浄ポンプ44にかかることを防止できる。よって、洗浄ポンプ44が被水することによる故障を抑制しつつシスターン30内の水の温度低下を抑制できる。
【0053】
さらに、本実施形態においては、仮に例えば給水電磁弁26からの水の漏洩状態、シスターン30からの水の漏洩状態、又は、シスターン30の表面に比較的多くの結露が発生する状態等により、ケーシング66内の下部に液体が溜まった状態となる場合に、検知センサが液体が溜まった状態を検知できる。よって、洗浄ポンプ44が液体に浸かる故障を防ぐことができる。
【0054】
さらに、本実施形態においては、仮に例えば給水電磁弁26からの水の漏洩状態、シスターン30からの洗剤水の漏洩状態、又は、シスターン30の表面に比較的多くの結露が発生する状態等により、ケーシング66内の下部に液体が溜まった状態となる場合に、排出弁によりケーシング66内の液体を外部に排出できる。よって、洗浄ポンプ44が液体に浸かる故障を防ぐことができる。
【0055】
次に、
図7乃至
図9により、本発明の第2実施形態による浴槽洗浄装置を説明する。
第2実施形態による浴槽洗浄装置110は、給湯器等から供給される水(湯を含む、以下同じ)を一旦貯水タンクに貯留し、貯水タンクの下流側に設けられた洗剤混合部において、洗剤と水とが混合される点で、第1実施形態のものと構造が異なるので、以下、その異なる構造について主に説明する。第2実施形態に関し、上述した第1実施形態と同一部分には同一符号を付し説明は省略する。
【0056】
図7は本発明の第2実施形態による浴槽洗浄装置及びこの浴槽洗浄装置が適用される浴槽を示す全体構成図であり、
図8は本発明の第2実施形態による浴槽洗浄装置のケーシングの内部構造を側方から見た状態で示す構成図であり、
図9は本発明の第2実施形態による浴槽洗浄装置のケーシングの内部構造を上面から見た状態で示す構成図である。
図9においては、図を見やすくするため洗剤混合部133が図示を省略されている。
【0057】
次に、浴槽1に後述する洗剤水を供給して浴槽1を自動的に洗浄する浴槽洗浄装置110について説明する。浴槽洗浄装置10は、ノズルユニット12を備えている。
【0058】
浴槽洗浄装置110の第1の流路20には、縁切りタンクであり、給湯器等の給水源から供給される水を貯留する貯水タンク130が設けられている。貯水タンク130には、給湯器等から供給される水(湯)が貯留される。貯水タンク130には、防露層や保温層が設けられておらず、貯水タンク130を比較的安価、簡易、且つ比較的コンパクトなサイズに形成することができる。
【0059】
第2実施形態の第2の流路132においては、第1実施形態の洗剤ポンプ40が省略されている。第2の流路132は、洗剤タンク34から洗剤混合部133に洗剤が供給されるように構成されている。制御部148が洗剤電磁弁36を制御することにより、洗剤電磁弁36から洗剤混合部133に所望の供給量の洗剤が供給される。
【0060】
次に、
図8及び
図9により、貯水タンク130の構造について説明する。
貯水タンク130は、洗剤と水を混合して洗剤水を生成する機能を有しておらず、水を貯留する機能を有している。貯水タンク130は、水の水位を検出するためのフロートスイッチ131を備えている。フロートスイッチ131は、洗浄水の水位に合わせて上下動でき、所定の上方位置(
図8において点線で示す)において、洗剤水の満水水位W0を検知することができる。貯水タンク130には、外周において防露層や保温層が設けられておらず、貯水タンク130を比較的安価、簡易、且つ比較的コンパクトなサイズに形成することができる。
【0061】
また、貯水タンク130のフロートスイッチ131よりもさらに上方の位置には、オーバーフロー管186が取り付けられている。このオーバーフロー管186により、貯水タンク130内の水が満水水位W0を超えた場合には、水をケーシング166の外部に排出することができるようになっている。
【0062】
さらに、第1の流路20に設けられた給水電磁弁26の開閉動作により、貯水タンク130に供給される水の量が制御できるようになっている。また、制御部148が洗剤電磁弁36を開閉制御することにより、第2の流路132において洗剤電磁弁36から洗剤混合部133に供給される洗剤の量が制御できる。
【0063】
第3の流路142は、貯水タンク130に貯留された水を上述したノズルユニット12に供給(給水)するための流路である。この第3の流路142には、上流から洗浄ポンプ44、逆止弁46及び洗剤混合部133が設けられている。洗浄ポンプ44は、流体をノズルユニット12に向けて送出するようになっているポンプであり、貯水タンク130において貯留された水を洗剤混合部133を介してノズルユニット12に供給する。このように、洗浄ポンプ44から供給される水の流量及び洗剤電磁弁36から供給される洗剤の流量により、洗剤混合部133及びノズルユニット12に供給される洗剤水の流量、即ち、後述するノズル本体14から噴射される洗剤水の流量及び洗剤水の濃度が制御(調整)できるようになっている。
【0064】
洗剤混合部133は、洗剤タンク34から供給される洗剤と貯水タンク130から供給される水(給水源から供給される水)とを混合して洗剤水を生成する。洗剤混合部133は、ベンチュリー式の洗剤混合部を構成している。洗剤混合部133は、第3の流路142を形成する配管に第2の流路132が接続されて形成されている。洗剤混合部133は、洗浄ポンプ44により貯水タンク内の水が洗剤混合部133を通過する際に生じる負圧によって、第2の流路132側の洗剤を洗剤混合部側側に引き込み、洗剤と水とを混合して洗剤水を生成するものである。なお、洗剤混合部133は、洗剤タンク34から供給される洗剤と貯水タンク130から供給される水とを混合して洗剤水を生成し、この洗剤水を貯留するタンクとして構成されてもよい。
【0065】
また、浴槽洗浄装置110は、制御部148を備えている。制御部148は、例えば、電気モータ18、給水電磁弁26、温度センサ28、フロートスイッチ131、洗剤電磁弁36、洗浄ポンプ44、漏水検知電極72等と電気的に接続されている。制御部148が給水電磁弁26の開閉動作を制御し、第1の流路20に設けられた給水電磁弁26の開閉動作により、貯水タンク130に供給される水の量が制御できるようになっている。また、制御部148が第3の流路142に設けられた洗浄ポンプ44を制御することにより、貯水タンク130内からノズル本体14へ供給される洗剤水の量が制御できる。制御部148は、基板148aを備えており、この基板148aが通電時及び通電後に熱を発する比較的熱発生量の小さい発熱源として機能する。
【0066】
次に、
図8及び
図9により、貯水タンク130を収納するケーシング166の構造について説明する。
第2実施形態のケーシング166は、貯水タンク130及び洗剤混合部133を内部に収納している点を除いては、第1実施形態のケーシング66とほぼ同様の構造を有している。従って、第2実施形態のケーシング166と、第1実施形態のケーシング66とで異なる部分を主に説明し、同様の部分については説明を省略する。
ケーシング166は、貯水タンク130及び少なくとも洗浄ポンプ44を共通の内部空間166a内に収納する。
【0067】
ケーシング166は、止水栓22、定流量弁24、給水電磁弁26、温度センサ28、貯水タンク130、洗剤電磁弁36、オリフィス38、洗浄ポンプ44、逆止弁46、洗剤混合部133及び制御部148を共通の内部空間166a内に収納する。
【0068】
洗浄ポンプ44は、洗浄ポンプ44の少なくとも一部が貯水タンク130の満水水位W0以下の位置となるように配置されている。また、洗浄ポンプ44は、上面視において洗浄ポンプ44の少なくとも一部が貯水タンク130と重なるように配置されている。
【0069】
被水防止手段70は、ケーシング166の一方側の側壁166bから他方側の側壁166cに向けられ且つ側壁166cの手前まで延びている。平板状の被水防止手段70の先端70aと側壁166cとの間には隙間Gが形成されている。よって、被水防止手段70上に滴下又は流下した水は、被水防止手段70の傾斜に沿って流下し、先端70aから先端70a近傍の側壁166cに沿うように流下し、洗浄ポンプ44の側方側を通って下方に流下する。
【0070】
また、本実施形態においても、貯水タンク130及び少なくとも洗浄ポンプ44がケーシング66の共通の内部空間166a内に収納されるので、洗浄ポンプ44から発生される熱によりケーシング66の共通の内部空間166aが温められ、貯水タンク130が温められる。よって、貯水タンク130内の温度低下を抑制でき、ノズルから噴射される洗剤水の温度低下を抑制して、浴槽1の洗浄力を向上できる。
【0071】
さらに、本実施形態においては、洗浄ポンプ44が発生する熱により温められた空気が上昇する際に、貯水タンク130を温めることができる。よって、洗浄ポンプ44が貯水タンク130の満水水位W0の高さよりも高い位置に配置される場合と比べて、貯水タンク130内の水に熱をより伝えやすくでき、貯水タンク130内の水の温度低下をより抑制することができる。
当業者は、洗浄ポンプ44が被水してしまうことを防ぐため、通常、洗浄ポンプ44を液体を貯水する貯水タンク130よりも上方に配置すると考えられる。しかしながら、貯水タンク130の温度低下をより抑制するため、本発明者は、敢えて洗浄ポンプ44の少なくとも一部が貯水タンク130の満水水位W0以下の位置となるように洗浄ポンプ44を配置したものである。
【0072】
さらに、本実施形態においては、洗浄ポンプ44は、洗浄ポンプ44の少なくとも一部が貯水タンク130の満水水位W0以下の位置となるように配置されると共に、洗浄ポンプ44は、上面視において洗浄ポンプ44の少なくとも一部が貯水タンク130と重なるように配置されている。これにより、洗浄ポンプ44が発生する熱により温められた空気が上昇する際に、貯水タンク130に沿って上昇できる。そのため、共通の内部空間全体が暖まることを待つことなく、貯水タンク130に熱を伝えることができるため、貯水タンク130に比較的早く熱を伝えることができる。また、貯水タンク130に熱をさらに伝えやすくでき、貯水タンク130内の水の温度低下をさらに抑制することができる。さらに、当業者は、洗浄ポンプ44が被水してしまうことを防ぐため、通常、洗浄ポンプ44を液体のタンクよりも上方に配置し、上面視において液体のタンクを洗浄ポンプ44と重ならないように配置すると考えられる。しかしながら、貯水タンク130の温度低下をより抑制するため、本発明者は、敢えて上面視において洗浄ポンプ44の少なくとも一部が貯水タンク130と重なるように洗浄ポンプ44を配置したものである。
【0073】
さらに、本実施形態においては、仮に例えば貯水タンク130内の液体がケーシング166内に漏れた、又は、貯水タンク130の表面に結露が発生した場合であっても、その液体が上方から洗浄ポンプ44にかかることを防止できる。よって、洗浄ポンプ44が被水することによる故障を抑制しつつ貯水タンク130内の水の温度低下を抑制できる。
【0074】
さらに、本実施形態においては、仮に例えば給水電磁弁26からの水の漏洩状態、貯水タンク130からの水の漏洩状態、又は、貯水タンク130の表面に比較的多くの結露が発生する状態等により、ケーシング166内の下部に液体が溜まった状態となる場合に、検知センサが液体が溜まった状態を検知できる。よって、洗浄ポンプ44が液体に浸かる故障を防ぐことができる。
【0075】
さらに、本実施形態においては、仮に例えば給水電磁弁26からの水の漏洩状態、貯水タンク130からの洗剤水の漏洩状態、又は、貯水タンク130の表面に比較的多くの結露が発生する状態等により、ケーシング166内の下部に液体が溜まった状態となる場合に、排出弁によりケーシング166内の液体を外部に排出できる。よって、洗浄ポンプ44が液体に浸かる故障を防ぐことができる。
【符号の説明】
【0076】
1 浴槽
10 浴槽洗浄装置
14a 流路
34 洗剤タンク
60a 流路
61a 流路
62 噴射口
66 ケーシング
66a 内部空間
70 被水防止手段
74 排出弁
110 浴槽洗浄装置
130 貯水タンク
166 ケーシング
166a 内部空間
W0 満水水位