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特許7408070ビフィドバクテリウム・ビフィダムを含む免疫力増強または改善用組成物
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  • 特許-ビフィドバクテリウム・ビフィダムを含む免疫力増強または改善用組成物 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-22
(45)【発行日】2024-01-05
(54)【発明の名称】ビフィドバクテリウム・ビフィダムを含む免疫力増強または改善用組成物
(51)【国際特許分類】
   A23L 33/135 20160101AFI20231225BHJP
   A61K 35/745 20150101ALI20231225BHJP
   A61P 37/02 20060101ALI20231225BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20231225BHJP
   C12N 1/20 20060101ALN20231225BHJP
【FI】
A23L33/135 ZNA
A61K35/745
A61P37/02
A61P43/00 105
C12N1/20 A
C12N1/20 E
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2022523259
(86)(22)【出願日】2020-10-16
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-19
(86)【国際出願番号】 KR2020014203
(87)【国際公開番号】W WO2021075928
(87)【国際公開日】2021-04-22
【審査請求日】2022-04-18
(31)【優先権主張番号】10-2019-0130275
(32)【優先日】2019-10-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
【微生物の受託番号】KCTC  KCTC13452BP
(73)【特許権者】
【識別番号】520077986
【氏名又は名称】ゲノム アンド カンパニー
(73)【特許権者】
【識別番号】599031102
【氏名又は名称】クァンジュ インスティテュート オブ サイエンスアンド テクノロジー
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】パク,ハンス
(72)【発明者】
【氏名】ソン,ジニョン
(72)【発明者】
【氏名】キム,ユル・ハ
【審査官】戸来 幸男
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-089388(JP,A)
【文献】特開平05-051321(JP,A)
【文献】国際公開第2006/087913(WO,A1)
【文献】J. Milk. Sci. Biotechnol.,2019年03月31日,vol.37, no.1,pp.40-48
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 33/135
A61K 35/745
A61P 37/02
C12N 1/20
FSTA/CAplus/AGRICOLA/BIOSIS/
MEDLINE/EMBASE(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
Google
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビフィドバクテリウム・ビフィダムMG731(アクセッション番号:KCTC13452BP)を含む、免疫力増強または改善用組成物。
【請求項2】
前記ビフィドバクテリウム・ビフィダムMG731は、菌株、菌株の培養物、菌株の破砕物または菌株の抽出物である、請求項1に記載の免疫力増強または改善用組成物。
【請求項3】
前記組成物は、IL-7、IL-15及びIFN-γのうち一つ以上の発現または活性を増加させるものである、請求項1に記載の免疫力増強または改善用組成物。
【請求項4】
前記組成物は、TGF-βの発現または活性を抑制するものである、請求項1に記載の免疫力増強または改善用組成物。
【請求項5】
前記組成物は、食品組成物である、請求項1に記載の免疫力増強または改善用組成物。
【請求項6】
前記組成物は、免疫疾患改善または予防のためのものである、請求項5に記載の免疫力増強または改善用組成物。
【請求項7】
前記組成物は、薬学組成物である、請求項1に記載の免疫力増強または改善用組成物。
【請求項8】
前記組成物は、免疫疾患治療または予防のためのものである、請求項7に記載の免疫力増強または改善用組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビフィドバクテリウム・ビフィダムを含む免疫力増強または改善用組成物に関する。前記本発明に係る組成物は、食品組成物または薬学組成物として提供され得る。
【背景技術】
【0002】
世界保健機構(WHO)と国際食糧農業機構(FAO)は、プロバイオティクス(Probiotics)を「生きている形態で適量を摂取したとき、宿主の体内健康に有益な作用をする微生物」と定義しており、韓国内の食品医薬品安全処は、プロバイオティクスを「健康に良い効果を与える、生きている菌」と定義している。このようなプロバイオティクスとして代表的に使用される乳酸菌には、例えば、ラクトバシラス、ビフィドバクテリウム等がある。
【0003】
前記ビフィドバクテリウムは、グラム陽性嫌気性バクテリアであって、ヒトを含む哺乳類の胃腸管、膣、口等に存在し、哺乳類の胃腸管微生物群集(microbiota)を構成する主要バクテリアのうち一つである。前記ビフィドバクテリウム属に含まれる種には、B.actinocoloniiforme、B.adolescentis、B.angulatum、B.animalis、B.aquikefiri、B.asteroides、B.biavatii、B.bifidum、B.bohemicum、B.bombi、B.boum、B.breve、B.callitrichos、B.catenulatum、B.choerinum、B.commune、B.coryneforme等、数十個が今まで確認された。また、それぞれの種毎に多様な亜種と菌株が多くの数で存在し、依然として新たな亜種と菌株が明らかになってきている。
【0004】
これらの乳酸菌は、種毎にその特性が非常に多様である。また、同じ種であるとしても、それぞれの亜種と菌株毎にその効果及びそのレベルが互いに異なるように現れる。
【0005】
例えば、韓国登録特許公報第10-1970148号には、耐酸性及び耐胆汁性に優れた新規なラクトバシラス菌株が開示されているが、明細書内において、ラクトバシラスに属する菌株間に腸付着能等のレベルが互いに異なるという点を実験により示している。また他の例として、韓国登録特許公報第10-1589465号には、成長促進のための新規なビフィドバクテリウム・ブレーベ菌株が開示されているが、明細書内において、ビフィドバクテリウム・ブレーベ種に属する菌株間に腸定着能のような特質のレベルが互いに異なるという点を実験により示している。
【0006】
また、最近、全世界的に免疫に対する関心が高まっており、特に、環境汚染、運動不足、食餌変化等によって免疫調節作用を示すことのできる物質に対して持続的に要求されており、乳酸菌もまたこのような物質中の一つとして多くの研究がなされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】韓国登録特許公報第10-1970148号
【文献】韓国登録特許公報第10-1589465号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明者らは、有意的な免疫力増強または改善効果を示すことのできる新規な物質に対して多様な研究を進行してきた。その結果、ビフィドバクテリウム・ビフィダムの中でも特にビフィドバクテリウム・ビフィダムMG731が顕著に優れた免疫増強効果を示すということを実験的に立証し、本発明を完成するに至った。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一様態は、ビフィドバクテリウム・ビフィダムを含む、免疫力増強または改善用組成物を提供する。
【0010】
好ましくは、前記ビフィドバクテリウム・ビフィダムは、ビフィドバクテリウム・ビフィダムMG731である。
【0011】
本明細書において、「ビフィドバクテリウム・ビフィダム」は、「Bifidobacterium bifidum」、「B.bifidum」、「B.ビフィダム」と相互交換的に使用され得る。
【0012】
本明細書において使用される用語「ビフィドバクテリウム・ビフィダム(Lactococcus lactis)MG731」は、ビフィドバクテリウム・ビフィダムMG731菌株を意味する。前記菌株は、菌株そのもの、菌株の培養物、菌株の破砕物、菌株の抽出物、菌株を破砕して得た細胞質分画物(cytoplasmic fraction)を含むものと解釈される。また、前記菌株は、生菌体または死菌体をいずれも含むものと解釈される。
【0013】
前記MG731は、メディオジェンが韓国生命工学研究院生物資源センターに2018年1月4日に受託番号KCTC13452BPで寄託したビフィドバクテリウム・ビフィダム菌株であり、その16S rRNA遺伝子の塩基配列は、配列番号1と表示される。
【0014】
本発明に係る組成物を免疫力増強または改善を必要とする個体に投与する場合、IL-7、IL-15及びINF-γのうち一つ以上の発現または活性を増加させ、TGF-βの発現または活性を減少させることができる。従って、本発明に係る組成物は、優れた免疫増強効果を示すことができるので、例えば、免疫疾患の予防、治療または改善を必要とする個体に使用することができる。
【0015】
本明細書において使用される用語「免疫疾患」は、免疫欠乏、免疫低下または免疫系損傷による疾患を意味し、例えば、感染性疾患、炎症性疾患等であってよいが、これに制限されるものではない。
【0016】
本明細書において使用される用語「個体」は、ヒトまたは任意の非ヒト動物を含む。前記非ヒト動物は、例えば、脊椎動物、例えば、霊長類、犬、牛、馬、豚、鶏、鴨、鵞鳥、齧歯類、例えば、マウス、ラット、モルモット等であってよい。用語「個体」は、本明細書において「対象体」及び「患者」と相互交換的に使用される。
【0017】
本明細書において用語「免疫力」は、「免疫機能」及び「免疫活性」と相互交換的に使用される。
【0018】
本発明のまた他の一様態によれば、本発明の組成物は、食品組成物であってよい。
【0019】
前記食品は、健康機能性食品であってよい。本明細書において使用される用語「健康機能性食品」とは、人体に有用な機能性を有する原料や成分を使用して錠剤、カプセル、粉末、顆粒、液状及び丸等の形態に製造及び加工した食品を意味する。ここで「機能性」とは、人体の構造及び機能に対して栄養素を調節するか生理学的作用等のような保健用途に有用な効果を得ることを意味する。
【0020】
本発明に係る食品組成物に含まれるビフィドバクテリウム・ビフィダムMG731の有効量は、使用目的(予防、改善または治療的処置)に応じて適するように決定され得る。例えば、ビフィドバクテリウム・ビフィダムMG731が、食品組成物中、0.001~20重量%、0.001~15重量%または0.001~10重量%の量で含まれ得る。健康飲料の場合、100mLを基準に0.01~2g、例えば、0.02~2gの量で含まれ得る。しかし、健康調節を目的に長期間摂取する場合は、前記範囲以下の量で摂取することが可能である。本発明の食品組成物を製造する過程で食品組成物に添加されるビフィドバクテリウム・ビフィダムMG731は、必要に応じてその含量を適宜加減できる。
【0021】
前記食品組成物は、丸剤、錠剤、顆粒、粉末、カプセル、液状、溶液等、いずれか一つの剤形であってよく、これに限定されるものではない。
【0022】
前記食品の種類は、特に制限されない。本発明に係る食品組成物が製品化または剤形化され得る例には、ヨーグルト、乳製品、肉類、ソーセージ、パン、チョコレート、キャンディ類、スナック類、菓子類、ピザ、麺類、ガム類、アイスクリーム類等の酪農製品、スープ、飲料水、茶、ドリンク剤、アルコール飲料、ビタミン複合剤等が含まれ得るが、これに限定されるものではなく、通常の意味での食品をいずれも含むことができる。
【0023】
本発明の食品組成物は、通常の食品のように種々の甘味剤または天然炭水化物等を追加成分として含有することができ、本発明に係る有効成分の効果を阻害するか相殺させない限り、その種類に制限はない。前記天然炭水化物は、例えば、ブドウ糖、果糖のようなモノサッカライド、マルトース、スクロースのようなジサッカライド、デキストリン、シクロデキストリンのようなポリサッカライド、キシリトール、ソルビトール、エリスリトール等の糖アルコールである。前記甘味剤は、例えば、タウマチン、ステビア抽出物等のような天然甘味剤、またはサッカリン、アスパルテーム等のような合成甘味剤等を使用することができる。
【0024】
本発明の食品組成物が飲料組成物である場合、有効成分としてビフィドバクテリウム・ビフィダムMG731を含有すること以外は液体成分に特別な制限点はなく、通常の飲料のように種々の香味剤または天然炭水化物等を追加成分として含有することができる。
【0025】
本発明の食品組成物が動物飼料組成物である場合、有効成分としてビフィドバクテリウム・ビフィダムMG731を含有すること以外に特別な制限点はない。前記動物飼料は、動物の免疫力を増強または改善させるか、または免疫欠乏、免疫低下または免疫系損傷による疾患の予防、治療または改善するために、動物の餌、間食または食餌補充剤の形態で提供され得る。本明細書において使用される用語「動物」は、任意の非ヒト動物を意味する。前記非ヒト動物は、例えば、脊椎動物、例えば、霊長類、犬、牛、馬、豚、鶏、鴨、鵞鳥、齧歯類、例えば、マウス、ラット、モルモット等であってよい。
【0026】
本発明のまた他の一様態によれば、本発明の組成物は、薬学組成物であってよい。
【0027】
本発明に係る薬学組成物において、各用語は、特に断らない限り、前記食品組成物において前述したものと同じ意味を有する。
【0028】
前記薬学組成物は、個体の免疫力を増強または改善させるか、または免疫欠乏、免疫低下または免疫系損傷による疾患または症状を予防、治療または改善するために、これを必要とする個体に有効量が投与され得る。
【0029】
本明細書において使用される用語「治療」は、本発明に係る組成物の投与により免疫力が増強または改善されるか、または免疫関連疾患が好転または完治する全ての行為を意味する。また、本明細書において使用される用語「予防」は、本発明に係る組成物の投与により免疫力が低下することを抑制または遅延させるか、免疫関連疾患が発生するか症状が進展することを抑制または遅延させる全ての行為を意味する。また、本明細書において使用される用語「改善」は、本発明に係る組成物の投与により免疫力が増強または改善されるか、免疫力が低下することを防ぎそのレベルが維持されるか、免疫関連疾患の症状が少なくとも減少または好転するか有益になる全ての行為を意味する。
【0030】
前記有効量は、「治療有効量」または「予防有効量」であってよい。本明細書において使用される用語「治療有効量」は、薬物または治療剤が単独でまたは他の治療剤と組み合わせられて使用される場合に、免疫関連疾患の重症度減少、免疫関連疾患症状のない期間の頻度及び持続期間の増加、または免疫関連疾患苦痛による損傷または障害の防止を現すことのできる任意の量を意味する。また、本明細書において使用される用語「予防有効量」は、免疫力低下、免疫関連疾患発生または再発によって苦痛を受ける危険を防止、抑制、遅延等ができる任意の量を意味する。前記有効量のレベルは、個体の重症度、年齢、性別、薬物の活性、薬物に対する敏感度、投与時間、投与経路及び排出比率、治療期間、同時使用される薬物を含む要素及びその他の医学分野によく知られた要素等によって専門医のような関連の技術の分野における通常の技術者により決定され得る。
【0031】
本明細書において使用される用語「投与」は、関連の技術の分野における通常の技術者に公知になった多様な方法及び伝達システムのうち任意のものを使用して組成物を個体に物理的に導入することを意味する。本発明の薬学組成物のための投与経路は、例えば、経口投与経路、または静脈内、筋肉内、皮下、腹腔内、脊髄または他の非経口投与経路、例えば、注射または注入による投与経路を含むが、これに限定されるものではない。
【0032】
本発明の組成物のための投与回数は、例えば、1回、複数回、および/または一以上の延長された期間にわたって遂行され得る。例えば、本発明の組成物を0.1~100mg/kgの量で1日1回~数回投与するか、または数日~数か月間隔で投与できる。また、投与頻度は、投与経路、疾病の重症度、性別、体重、年齢、投与量等によって増減し得る。
【0033】
本発明の薬学組成物は、薬学組成物の製造に通常使用する適切な担体、賦形剤及び希釈剤をさらに含むことができる。組成物に含有され得る担体、賦形剤及び希釈剤は、例えば、ラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、エリスリトール、マルチトール、デンプン、アカシアガム、アルジネート、ゼラチン、カルシウムホスフェート、カルシウムシリケート、セルロース、メチルセルロース、微晶質セルロース、ポリビニルピロリドン、水、メチルヒドロキシベンゾエート、プロピルヒドロキシベンゾエート、タルク、マグネシウムステアレート及び鉱物油であってよいが、これに限定されるものではない。
【0034】
本発明に係る組成物、即ち、食品組成物または薬学組成物は、他の物質または成分と併用して投与され得る。この場合、本発明の組成物と他の物質または成分は、順次、同時に、または個別的に投与され得る。前記他の物質または成分は、ビフィドバクテリウム・ビフィダムMG731の効能を阻害するか相殺させないものであれば制限なく含まれ得る。
【0035】
本発明に係るビフィドバクテリウム・ビフィダムMG731を含む組成物は、他の物質または成分と同時に、個別的にまたは順次に投与されるように剤形化され得る。例えば、ビフィドバクテリウム・ビフィダムMG731と免疫増強成分が一つの製剤で同時に投与されてもよく、または別個の製剤で同時にまたは順次に投与され得る。
【0036】
同時に、個別的にまたは順次に投与するために、本発明の組成物に含有されるビフィドバクテリウム・ビフィダムMG731と他の物質または成分は、それぞれ別途の容器に分離させて剤形化されるか、同じ容器で共に剤形化され得る。また、本発明の組成物に含有されるビフィドバクテリウム・ビフィダムMG731と他の物質または成分は、有効量、投与時間、投与間隔、投与経路等が互いに同一または異なり得る。
【0037】
本発明のまた他の一様態によれば、本発明は、免疫増強または改善を必要とする個体にビフィドバクテリウム・ビフィダムを投与するステップを含む、個体の免疫力増強または改善方法を提供する。
【0038】
本発明のまた他の一様態によれば、本発明は、個体にビフィドバクテリウム・ビフィダムを投与するステップを含む、個体の免疫欠乏、免疫低下または免疫系損傷による疾患の予防、治療または改善方法を提供する。前記個体は、例えば、免疫疾患を病んでいるか、免疫疾患の危険度が高い個体であってよい。
【0039】
前記本発明に係る方法において、各用語は、特に断らない限り、組成物と関連して前述したものと同じ意味を有する。
【0040】
好ましくは、前記ビフィドバクテリウム・ビフィダムは、ビフィドバクテリウム・ビフィダムMG731である。
【0041】
本発明に係る方法において、前記ビフィドバクテリウム・ビフィダムは、他の免疫療法または免疫増強剤と同時に、順次に、または個別的に個体に投与され得る。前記「同時」投与は、ビフィドバクテリウム・ビフィダムMG731及び他の物質を一つの製剤で一度に投与することを意味するか、またはビフィドバクテリウム・ビフィダムMG731及び他の物質を別途の製剤で一度に投与することを意味し、この場合、ビフィドバクテリウム・ビフィダムMG731の投与経路と他の物質の投与経路は、互いに異なり得る。前記「順次」投与は、ビフィドバクテリウム・ビフィダムMG731及び他の物質を比較的連続的に投与することを意味するものであり、投与間隔に消耗される時間としてできるだけ最小限の時間を許す。前記「個別的」投与は、一定時間の間隔を置いてビフィドバクテリウム・ビフィダムMG731及び他の物質を投与することを意味する。前記ビフィドバクテリウム・ビフィダムMG731及び他の物質の投与方法は、対象体の治療効能、副作用等を考慮して当業界の医師または専門家が適切に選択できる。
【発明の効果】
【0042】
本発明に係る組成物は、IL-7、IL-15及びINF-γのうち一つ以上の発現または活性を増加させることができ、TGF-βの発現または活性を減少させることができる。これによって、本発明に係る組成物は、有意的に優れた免疫増強効果を示すことができる。
【0043】
従って、本発明に係る組成物は、食品組成物または薬学組成物として提供され得、前記食品組成物は、プロバイオティクス製品、健康機能補助剤、動物飼料等、多様な形態で提供され得る。
【0044】
また、本発明に係る組成物は、免疫欠乏、免疫低下または免疫系損傷による免疫疾患を予防するか、治療するか、または改善するために使用され得る。
【図面の簡単な説明】
【0045】
図1】THP-1細胞に対するビフィドバクテリウム・ビフィダムMG731の処理または非処理群でIL-7、IL-15、IFN-γ及びTGF-βの相対的発現レベルをそれぞれ示したグラフである。
図2】Jurkat細胞に対するビフィドバクテリウム・ビフィダムMG731の処理または非処理群でIL-7、IL-15、IFN-γ及びTGF-βの相対的発現レベルをそれぞれ示したグラフである。
図3】ヒト単球(Human monocyte)細胞に対するビフィドバクテリウム・ビフィダムMG731の処理または非処理群でIL-7、IL-15、IFN-γ及びTGF-βの相対的発現レベルをそれぞれ示したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0046】
以下、本発明を実施例によってより詳細に説明する。しかし、これらの実施例は、本発明を例示的に説明するためのものであり、本発明の範囲がこれらの実施例により制限されるものではない。
【0047】
実施例1.ビフィドバクテリウムビフィダムの準備
MG731菌株(受託番号KCTC13452BP)をBLブロス(broth)で2回継代培養をした。その後、RPMI90% BL10%培地で24時間の間培養した。MG731菌株を収集し、O.D600で吸光度を測定した後、最終濃度1×10CFU/mlになるように菌株希釈液を準備した。
【0048】
実施例2.免疫調節効能評価
MG731は、37℃嫌気性条件下にBLブロスで培養した。試験に使用したヒトの血液は、EDTA(またはヘパリン)でコーティングされた10mLチューブに入れて1:1の比率でPBSと混合した。次いで、50mLチューブにFicoll-Paque PLUSを入れ、前記血液試料を添加した。遠心分離後、PBMC(末梢血単球細胞:peripheral blood mononuclear cell)を回収した。
【0049】
前記で回収したPBMCからヒト単球単離キット(human monocyte isolation kit)を使用してヒト単球(human monocyte)を単離した。ヒトT細胞であるJurkat細胞株は、10%FBS(ウシ胎児血清:fetal bovine serum)が含まれたRPMI1640培地を利用して75Tフラスコで37℃、5%COの条件で培養した。また、ヒト単球細胞であるTHP-1細胞株は、10%FBSと0.1%2-メルカプトエタノールが含まれたRPMI1640培地を利用して75Tフラスコで37℃、5%COの条件で培養した。
【0050】
THP-1細胞、Jurkat細胞、ヒト単球細胞をそれぞれカウンティングして、トランズウェル(transwell)のlower wellに1×10細胞/ウェル/0.8mLになるように分注し、抗生剤のない細胞培養液に希釈させて分注した。MG731は、同じ細胞培養液に希釈して1×10CFU/ウェル/0.2mLになるようにインサートウェル(insert well)に分注した。
【0051】
24時間の間培養した後、ビフィドバクテリウム・ビフィダムMG731菌株が含有されているインサートウェルは除去した。次いで、各ウェルにある細胞のRNAをトリゾールにより抽出した後、cDNAを合成した。
【0052】
その後、前記cDNAを利用してリアルタイム(real-time)PCRを通してIL-7、IL-15、IFN-γ及びTGF-βの発現レベルを測定した。
【0053】
ここで、IL-7及びIL-15は、初期免疫反応でT細胞の増殖と分化及び生存を誘導する役割因子として知られている。また、IFN-γは、細胞毒性(cytotoxic)T細胞が分泌する免疫因子であって免疫機能増強の代表的なサイトカインとして知られている。これに対して、TGF-βは、免疫抑制機能を有する因子のうち一つとして知られている。従って、IL-7、IL-15及びIFN-γの発現を増加させるか、および/または、TGF-βの発現を阻害するということは、免疫増強効果があるということを指す。
【0054】
リアルタイムPCRのためのプライマー配列は、下記表1のとおりである。
【0055】
【表1】
【0056】
THP-1細胞に対するビフィドバクテリウム・ビフィダムMG731の処理または非処理群でIL-7、IL-15、IFN-γ及びTGF-βの相対的発現レベルを示した図1から見られるように、対照群に比してIL-7、IL-15及びINF-γの発現レベルは、それぞれ1.44倍、1.68倍及び4.19倍さらに増加したのに対し、TGF-βの発現レベルは、0.88倍にさらに減少したことを確認することができる。
【0057】
また、Jurkat細胞に対するビフィドバクテリウム・ビフィダムMG731の処理または非処理群でIL-7、IL-15、IFN-γ及びTGF-βの相対的発現レベルをそれぞれ示した図2から見られるように、対照群に比してIL-15及びINF-γの発現レベルは、それぞれ9.61倍及び2.01倍さらに増加したのに対し、TGF-βの発現レベルは、0.7倍にさらに減少したことを確認することができる。
【0058】
また、ヒト単球細胞に対するビフィドバクテリウム・ビフィダムMG731の処理または非処理群でIL-7、IL-15、IFN-γ及びTGF-βの相対的発現レベルをそれぞれ示した図3から見られるように、対照群に比してIL-7の発現レベルは、7.55倍さらに増加したのに対し、TGF-βの発現レベルは、ほとんど現れないことを確認することができる。
【0059】
これは、ヒト免疫細胞に該当するTHP-1、Jurkat及びヒト単球細胞のいずれでもビフィドバクテリウム・ビフィダムMG731によりTHP-1細胞でIL-7及びIL-15の発現が増加することでT細胞の増殖及び分化が活性化されるだけではなく、IFN-γの発現が増加するのに対し、TGF-βの発現は減少することで免疫機能が増強または改善されることを意味する。
【0060】
図1
図2
図3
【配列表】
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