(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-22
(45)【発行日】2024-01-05
(54)【発明の名称】密集した障害物に基づく清掃制御方法
(51)【国際特許分類】
A47L 9/28 20060101AFI20231225BHJP
G05D 1/43 20240101ALI20231225BHJP
【FI】
A47L9/28 E
G05D1/02 H
(21)【出願番号】P 2022548226
(86)(22)【出願日】2021-06-03
(86)【国際出願番号】 CN2021098143
(87)【国際公開番号】W WO2022062470
(87)【国際公開日】2022-03-31
【審査請求日】2022-08-08
(31)【優先権主張番号】202011041176.3
(32)【優先日】2020-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】520347351
【氏名又は名称】珠海一微半導体股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】AMICRO SEMICONDUCTOR CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】Room 2706,3000 Huandao East Road,Hengqin New District,Zhuhai,Guangdong 519000(CN)
(74)【代理人】
【識別番号】100142365
【氏名又は名称】白井 宏紀
(72)【発明者】
【氏名】李 永勇
(72)【発明者】
【氏名】頼 欽偉
(72)【発明者】
【氏名】肖 剛軍
【審査官】高橋 祐介
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-095666(JP,A)
【文献】特開2000-353014(JP,A)
【文献】特開2017-189481(JP,A)
【文献】特表2018-500633(JP,A)
【文献】特表2014-501426(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0344013(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第110906934(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47L 9/28
G05D 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
密集した障害物に基づく清掃制御方法であって、
グリッド地図における予め設定された摺動矩形枠により画定された障害物のグリッド数の特徴に基づいて、密集した障害物点を標記し、そしてステップ2に入るステップ1と、
グリッド地図における標記済みの密集した障害物点に基づいて、終点位置が対応する密集した障害物点でありかつ他の障害物のグリッドを通っていないナビゲーション経路を計画し、そして、ステップ3に入るステップ2と、
掃除ロボットが前記ステップ2で計画したナビゲーション経路に従って各密集した障害物点に対応する実際位置へナビゲーションする過程において、前記掃除ロボットにより検出された障害物衝突状況に基づいて、現在衝突した障害物の周りを1周走行するように前記掃除ロボットを制御し、現在衝突した障害物に対応するグリッドの清掃状態を標記するステップ3であって、前記掃除ロボットは、現在衝突した障害物の周りを走行しながら、清掃作業を実行するステップ3とを含む、ことを特徴とする清掃制御方法。
【請求項2】
前記掃除ロボットが前記ステップ2で計画したナビゲーション経路に従ってすべての標記済みの密集した障害物点のナビゲーション及びトラバーサルを完了した後、未清掃領域へナビゲーションするように前記掃除ロボットを制御し、そして、前記ステップ1に戻って、新しい密集した障害物点を標記し、前記掃除ロボットが前記グリッド地図における対応する全ての領域のトラバーサルを完了するまで、上記ステップを繰り返すステップ4をさらに含む、ことを特徴とする請求項1に記載の清掃制御方法。
【請求項3】
前記ステップ3において、前記掃除ロボットが前記ステップ2で計画したナビゲーション経路に従って各密集した障害物点に対応する実際位置へナビゲーションする過程において、前記掃除ロボットにより検出された障害物衝突状況に基づいて、現在衝突した障害物の周りを1周走行して、現在衝突した障害物に対応するグリッドの清掃状態を標記するように前記掃除ロボットを制御する方法は、
前記掃除ロボットが前記ステップ2で計画したナビゲーション経路に従って清掃対象の密集した障害物点に対応する実際位置にナビゲーションするまでに、障害物に衝突したことを検出すると、現在衝突した障害物の周りを1周走行するように前記掃除ロボットを制御し、前記掃除ロボットが現在衝突した障害物の周りを1周走行した後、当該障害物を清掃済みの障害物状態として標記することと、
前記掃除ロボットが清掃対象の密集した障害物点に対応する実際位置にナビゲーションした場合、当該清掃対象の密集した障害物点での障害物に衝突したことを検出すると、当該清掃対象の密集した障害物点での障害物の周りを1周走行するように前記掃除ロボットを制御し、前記掃除ロボットが当該清掃対象の密集した障害物点での障害物の周りを1周走行した後、当該清掃対象の密集した障害物点を清掃済みの障害物状態として標記することであって、清掃対象の密集した障害物点は、予め設定された清掃用の密集した障害物点であることとを含む、ことを特徴とする請求項2に記載の清掃制御方法。
【請求項4】
前記ステップ3は、
前記掃除ロボットが清掃対象の密集した障害物点に対応する実際位置にナビゲーションした場合、前記掃除ロボットが清掃対象の密集した障害物点に対応する実際位置をそのまま通過したことを検出すると、当該清掃対象の密集した障害物点を清掃済みの空きスペース状態として標記することであって、清掃対象の密集した障害物点は、予め選択された清掃対象のターゲット障害物であることをさらに含む、ことを特徴とする請求項3に記載の清掃制御方法。
【請求項5】
前記ステップ1において標記済みのすべての密集した障害物点を前記清掃済みの障害物状態又は前記清掃済みの空きスペース状態として標記すると、前記ステップ4に入る、ことを特徴とする請求項4に記載の清掃制御方法。
【請求項6】
前記ステップ3は、
前記掃除ロボットが第1予め設定されたナビゲーション経路に従って前記清掃対象の密集した障害物点に対応する実際位置にナビゲーションするまでに、障害物に衝突したことを検出すると、当該障害物の周りを1周走行するように前記掃除ロボットを制御するととともに、前記掃除ロボットが前記清掃対象の密集した障害物点に対応する実際位置にナビゲーションしたか否かを検出し、そして、ステップ32に入るステップ31と、
前記掃除ロボットが同一の障害物の周りを1周走行した場合、前記掃除ロボットが前記清掃対象の密集した障害物点に対応する実際位置にナビゲーションしていないことを検出すると、ステップ33に入るステップ32と、
ステップ32の実行回数が3に達したか否かを判断し、達した場合、前記清掃対象の密集した障害物点を前記清掃済みの障害物状態として標記し、そうではない場合、ステップ34に入るステップ33と、
前記ステップ2で計画したすべてのナビゲーション経路から、終点グリッド位置が前記清掃対象の密集した障害物点であり、且つ第1予め設定されたナビゲーション経路とは異なる第2予め設定されたナビゲーション経路を検索し、そしてステップ35に入るステップ34と、
ステップ34において検索した第2予め設定されたナビゲーション経路に沿って移動するように前記掃除ロボットを制御し、前記掃除ロボットが前記清掃対象の密集した障害物点に対応する実際位置にナビゲーションしたことを検出するか又は前記ステップ32の実行回数が3に達したことを判断するまで、ステップ31~ステップ34を繰り返すステップ35とを含み、前記ステップ35から前記ステップ31に戻った後、前記ステップ31における第1予め設定されたナビゲーション経路は、ステップ34の第2予め設定されたナビゲーション経路に置換され、前記ステップ2で計画したナビゲーション経路は、第1予め設定されたナビゲーション経路と第2予め設定されたナビゲーション経路を含む、ことを特徴とする、請求項5に記載の清掃制御方法。
【請求項7】
前記掃除ロボットが前記清掃対象の密集した障害物点に対応する実際位置にナビゲーションしたか否かを検出する方法は、
前記掃除ロボットの現在位置と前記清掃対象の密集した障害物点に対応する実際位置との距離が前記掃除ロボットの本体の直径の4分の1未満である場合、前記掃除ロボットが前記清掃対象の密集した障害物点に対応する実際位置にナビゲーションしたと決定し、そうではない場合、前記掃除ロボットが前記清掃対象の密集した障害物点に対応する実際位置にナビゲーションしていないと決定する、ことを特徴とする請求項6に記載の清掃制御方法。
【請求項8】
前記掃除ロボットが現在衝突した障害物の周りを1周走行したかを判断する方法は、
障害物の周りを1周走行するように前記掃除ロボットを制御する前に、前記掃除ロボットの障害物との衝突位置を取得することと、
その後、衝突位置から障害物の周りを走行するように前記掃除ロボットを制御し、前記掃除ロボットの回転角度か360度以上であるか否かを判断するとともに、前記掃除ロボットの現在位置と前記衝突位置との距離が前記掃除ロボットの本体の直径の4分の1未満であるか否かを判断し
、両方の判断条件がいずれも成立する場合、前記掃除ロボットが現在衝突した障害物の周りを1周走行したと決定し、そうではない場合、前記掃除ロボットが現在衝突した障害物の周りを1周走行していないと決定することとを含む、ことを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載の清掃制御方法。
【請求項9】
前記掃除ロボットが現在衝突した障害物の周りを1周走行したかを判断する方法は、
障害物の周りを1周走行するように前記掃除ロボットを制御する前に、前記掃除ロボットの障害物との衝突位置を取得することと、
その後、衝突位置から障害物の周りを走行するように前記掃除ロボットを制御し、前記掃除ロボットの回転角度か400度以上であるか否かを判断し、以上である場合、前記掃除ロボットが現在衝突した障害物の周りを1周走行したと決定し、そうではない場合、前記掃除ロボットが現在衝突した障害物の周りを1周走行していないと決定することとを含む、ことを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載の清掃制御方法。
【請求項10】
前記ステップ1は、具体的には、
掃除すべき領域内において予め設定された弓字形計画経路に従って清掃するように掃除ロボットを制御するステップ11であって、掃除ロボットが清掃中に障害物を検出すると、リアルタイムで構築したグリッド地図に障害物のグリッドを標記するが、当該障害物を迂回しないように掃除ロボットを制御し、障害物のグリッドは、間隔をおいて分布する障害物のグリッドを含むステップ11と、
摺動矩形枠がグリッド地図を移動しながら画定した間隔をおいて分布する障害物のグリッドの数に基づいて、グリッド地図に密集した障害物の基準単位領域を設定し、そして密集した障害物の基準単位領域の中心を構築開始点とし、摺動矩形枠のサイズと同一である予め設定された数の位置決め矩形枠を設定し、構築開始点から、グリッド地図における構築開始点に対して中心対称な予め設定された数のトラバーサル方向に沿ってそれぞれ移動するようにこれらの位置決め矩形枠を制御するステップ12と、
各位置決め矩形枠が移動後に移動前に比べて画定した新領域の面積と対応する位置決め矩形枠が移動前に画定した領域の面積との比と、同一の位置決め矩形枠が移動前後に画定した間隔をおいて分布する障害物のグリッドの数の変化量との間の関係に基づいて、各位置決め矩形枠が対応するトラバーサル方向へ移動し続けるかを制御するとともに、各位置決め矩形枠により画定された間隔をおいて分布する障害物のグリッドを密集した障害物点として標記するステップ13であって、各位置決め矩形枠は、いずれも、1つの単位トラバーサル距離だけ対応するトラバーサル方向へ1回移動するように構成されているステップ13とを含む、ことを特徴とする請求項1に記載の清掃制御方法。
【請求項11】
前記ステップ1は、予め設定された数の位置決め矩形枠の全てが移動を停止した場合、標記済みのすべての密集した障害物点に対応するグリッドを組み合わせて密集した障害物領域として構築するステップ14をさらに含む、ことを特徴とする請求項10に記載の清掃制御方法。
【請求項12】
前記間隔をおいて分布する障害物のグリッドは、前記ステップ11において標記した障害物のグリッドのうち、連続的に分布するN個の障害物のグリッドを除く障害物のグリッドであり、
Nは、前記グリッド地図における予め設定されたグリッドのサイズ、及び、前記掃除すべき領域内における標記された障害物の実際のサイズに基づいて設定された連続的に分布するグリッドの数である、ことを特徴とする請求項11に記載の清掃制御方法。
【請求項13】
前記ステップ12において、グリッド地図に密集した障害物の基準単位領域を設定する方法は、
グリッド地図を移動するように前記摺動矩形枠を制御するとともに、前記摺動矩形枠がグリッド地図に画定した間隔をおいて分布する障害物のグリッドを未清掃状態として標記し、これらの画定した間隔をおいて分布する障害物のグリッドの数をリアルタイムで記録することと、
前記摺動矩形枠により画定された間隔をおいて分布する障害物のグリッドの数が第1密集閾値以上である場合、摺動矩形枠が現在画定した矩形領域を前記密集した障害物の基準単位領域として設定することであって、第1密集閾値は、グリッド地図における前記密集した障害物点の分布の密集度が、前記間隔をおいて分布する障害物間の隙間領域が前記掃除ロボットの清掃漏れ領域となるのに十分であることを意味することとを含む、ことを特徴とする請求項12に記載の清掃制御方法。
【請求項14】
前記ステップ13において、各位置決め矩形枠が移動後に移動前に比べて画定した新領域の面積と対応する位置決め矩形枠が移動前に画定した領域の面積との比と、同一の位置決め矩形枠が移動前後に画定した間隔をおいて分布する障害物のグリッドの数の大きさ変化量との間の関係に基づいて、各位置決め矩形枠が対応するトラバーサル方向へ移動し続けるかを制御する方法は、
そのうち1つの位置決め矩形枠が対応するトラバーサル方向へ前記単位トラバーサル距離だけ移動するたびに、移動後の当該位置決め矩形枠により画定された間隔をおいて分布する障害物のグリッドの数と、移動前の当該位置決め矩形枠により画定された間隔をおいて分布する障害物のグリッドの数との比が移動後の当該位置決め矩形枠における、移動前の当該位置決め矩形枠と重なっていない領域の面積の割合以上であるか否かを判断し、以上である場合、トラバーサル方向へ前記単位トラバーサル距離だけ移動し続けるように当該位置決め矩形枠を制御し、そうではない場合、移動を停止するように当該位置決め矩形枠を制御することを含み、移動後の当該位置決め矩形枠における、移動前の当該位置決め矩形枠と重なっていない領域の面積の割合は、当該位置決め矩形枠が移動後に移動前に比べて画定した新領域の面積と、同一の位置決め矩形枠が移動前に画定した領域の面積との比である、ことを特徴とする請求項13に記載の清掃制御方法。
【請求項15】
前記位置決め矩形枠は、正方形枠であり、前記予め設定された数は、8であり、
前記構築開始点に対して中心対称な前記トラバーサル方向は、
前記密集した障害物の基準単位領域に設定された正方形枠の横方向辺長の右向き方向と、前記密集した障害物の基準単位領域に設定された正方形枠の横方向辺長の左向き方向と、前記密集した障害物の基準単位領域に設定された正方形枠の縦方向辺長の上向き方向と、前記密集した障害物の基準単位領域に設定された正方形枠の縦方向辺長の下向き方向と、前記密集した障害物の基準単位領域に設定された正方形枠の対角線の左上方向と、前記密集した障害物の基準単位領域に設定された正方形枠の対角線の左下方向と、前記密集した障害物の基準単位領域に設定された正方形枠の対角線の右上方向と、前記密集した障害物の基準単位領域に設定された正方形枠の対角線の右下方向とを含む、ことを特徴とする請求項12~14のいずれか1項に記載の清掃制御方法。
【請求項16】
前記ステップ11において、掃除すべき領域内において予め設定された弓字形計画経路に従って清掃するように掃除ロボットを制御し、掃除ロボットが清掃中に障害物を検出すると、当該障害物を迂回しない方法は、
前記予め設定された弓字形計画経路に沿って走行するように前記掃除ロボットを制御し、前記掃除ロボットが前記予め設定された弓字形計画経路の予め設定された直線経路において障害物に衝突した場合、予め設定された角度だけ回転するように前記掃除ロボットの本体を制御することで、前記掃除ロボットが現在の前進方向を調整して、予め設定された直線経路セクションと予め設定された距離をおいた未清掃直線経路に移動することを含み、
当該未清掃直線経路は、前記予め設定された弓字形計画経路に属し、予め設定された直線経路の方向と平行し、予め設定された距離は、前記予め設定された弓字形計画経路の隣接する2つの平行する直線経路の間隔距離の予め設定された倍数であり、当該予め設定された倍数は、前記掃除ロボットが現在衝突した障害物のサイズに関連しており、前記掃除ロボットは、前記予め設定された直線経路から前記予め設定された距離をおいた未清掃直線経路に移動する全過程にわたって、清掃作業を実行する、ことを特徴とする請求項12に記載の清掃制御方法。
【請求項17】
前記予め設定された角度だけ回転するように前記掃除ロボットの本体を制御する過程において、前記掃除ロボットが障害物に衝突したことを検出すると、前記予め設定された直線経路と前記予め設定された距離をおいた未清掃直線経路に到達するまで、当該障害物のエッジに沿って走行するように前記掃除ロボットを制御し、弓字形計画清掃を維持するが、当該障害物を完全に迂回してはいない、ことを特徴とする請求項16に記載の清掃制御方法。
【請求項18】
1つの予め設定された開始点位置から前記予め設定された直線経路に移動するように前記掃除ロボットを制御する過程において、障害物に衝突したことを検出すると、前記予め設定された弓字形計画経路の他の未清掃直線経路を検索するように前記掃除ロボットを制御して、前記掃除ロボットが検索した未清掃経路に従って清掃を継続して、検索前に検出した障害物を回避し、当該予め設定された開始点位置は、前記予め設定された直線経路の外に位置する、ことを特徴とする請求項16に記載の清掃制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロボット清掃制御の技術分野に関し、具体的には密集した障害物に基づく清掃制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
掃除機ロボットは、一般的に清掃する環境を被覆清掃する必要があり、清掃被覆領域は、ホーム環境における一般的な隅、椅子脚の周囲、テーブル脚の周囲などを含む。ホーム環境において、椅子脚間及びテーブル脚間は、いずれも、比較的に狭い通行可能領域であり、椅子脚とテーブル脚を密集に分布する障害物と見なすことができ、椅子脚間の隙間、テーブル脚間の隙間、椅子脚の周囲領域、テーブルの周囲領域は、いずれも、掃除機ロボットが清掃を漏れやすい領域である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記課題を解決するために、本発明は、障害物に衝突して、障害物に沿って走行(周回走行)することにより、密集した障害物の周辺領域を周回してトラバーサルして清掃し、これにより、少ないリソース(ハードウェアとソフトウェアリソースを含む)のみで、椅子脚間及びテーブル脚間の狭い通行可能領域の周りを清掃するように掃除ロボットを制御することができ、密集した障害物間の隙間領域の清掃漏れ現象を回避する、密集した障害物に基づく清掃制御方法を開示する。具体的には技術案は、以下の通りである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
密集した障害物に基づく清掃制御方法であって、グリッド地図における予め設定された摺動矩形枠により画定された障害物のグリッド数の特徴に基づいて、密集した障害物点を標記し、そしてステップ2に入るステップ1と、グリッド地図における標記済みの密集した障害物点に基づいて、終点位置が対応する密集した障害物点でありかつ他の障害物のグリッドを通っていないナビゲーション経路を計画し、そして、ステップ3に入るステップ2と、前記掃除ロボットが前記ステップ2で計画したナビゲーション経路に従って各密集した障害物点に対応する実際位置へナビゲーションする過程において、前記掃除ロボットにより検出された障害物衝突状況に基づいて、現在衝突した障害物の周りを1周走行するように前記掃除ロボットを制御し、現在衝突した障害物に対応するグリッドの清掃状態を標記するステップ3であって、前記掃除ロボットは、現在衝突した障害物の周りを走行しながら、清掃作業を実行するステップ3とを含む。
【0005】
本技術案は、従来技術に比べて、障害物に衝突して、障害物に沿って走行することにより、密集した障害物の位置分布情報を取得し、レーザセンサが密集した障害物群の線分走査位置決めを行う必要がなくなり、これにより、少ない動作メモリーリソース(ハードウェアとソフトウェアリソースを含む)のみで、椅子脚間及びテーブル脚間の狭い通行可能領域を清掃するように掃除機ロボットを制御することができ、密集した障害物間の隙間領域の清掃漏れ現象を回避する。
【0006】
さらに、前記清掃制御方法は、前記掃除ロボットが前記ステップ2で計画したナビゲーション経路に従ってすべての標記済みの密集した障害物点のナビゲーション及びトラバーサルを完了した後、未清掃領域へナビゲーションするように前記掃除ロボットを制御し、そして、前記ステップ1に戻って、新しい密集した障害物点を標記し、前記掃除ロボットが前記グリッド地図における対応する全ての領域のトラバーサルを完了するまで、上記ステップを繰り返すステップ4をさらに含む。上記技術案と組合せると、前記掃除すべき領域内の空き領域、及び前記掃除すべき領域内における標記済みの密集した障害物点間の隙間領域の被覆清掃を完了する。
【0007】
さらに、前記ステップ3において、前記掃除ロボットが前記ステップ2で計画したナビゲーション経路に従って各密集した障害物点に対応する実際位置へナビゲーションする過程において、前記掃除ロボットにより検出された障害物衝突状況に基づいて、現在衝突した障害物の周りを1周走行して、現在衝突した障害物に対応するグリッドの清掃状態を標記するように前記掃除ロボットを制御する前記方法は、前記掃除ロボットが前記ステップ2で計画したナビゲーション経路に従って清掃対象の密集した障害物点に対応する実際位置にナビゲーションするまでに、障害物に衝突したことを検出すると、現在衝突した障害物の周りを1周走行するように前記掃除ロボットを制御し、前記掃除ロボットが現在衝突した障害物の周りを1周走行した後、この障害物を清掃済みの障害物状態として標記することと、前記掃除ロボットが清掃対象の密集した障害物点に対応する実際位置にナビゲーションした場合、この清掃対象の密集した障害物点での障害物に衝突したことを検出すると、この清掃対象の密集した障害物点での障害物の周りを1周走行するように前記掃除ロボットを制御し、前記掃除ロボットがこの清掃対象の密集した障害物点での障害物の周りを1周走行した後、この清掃対象の密集した障害物点を清掃済みの障害物状態として標記することであって、清掃対象の密集した障害物点は、予め設定された清掃用の密集した障害物点であることとを含む。
【0008】
この技術案は、従来技術に比べて、前記掃除ロボットが密集した障害物点に対応する実際位置に到達する前、及び密集した障害物点に対応する実際位置に到達している時の周回走行方式を計画することにより、地図ドリフト誤差による、掃除ロボットの実際のナビゲーションへの障害物の影響を克服し、掃除ロボットが地図における計画したナビゲーション経路に従って密集した障害物点に対応する実際位置へナビゲーションし、地図ドリフトにより、元々障害物のグリッドを通らなかったグリッドのナビゲーション経路が実際に障害物のナビゲーション経路を被覆することを減少させる。さらに、異なる密集した障害物点間の狭い隙間位置、及び現在到達した密集した障害物点の周囲の狭い領域の清掃を行うように掃除ロボットを制御し、密集した障害物の分布領域内における清掃漏れ現象を回避する。
【0009】
さらに、前記ステップ3は、前記掃除ロボットが清掃対象の密集した障害物点に対応する実際位置にナビゲーションした場合、前記掃除ロボットが清掃対象の密集した障害物点に対応する実際位置をそのまま通過したことを検出すると、この清掃対象の密集した障害物点を清掃済みの空きスペース状態として標記することであって、清掃対象の密集した障害物点は、予め選択された清掃対象のターゲット障害物であることをさらに含む。この技術案は、グリッド地図における、密集した障害物点として標記したが、対応する実際位置で障害物が検出されなかったグリッドを清掃済みの空きスペース状態として標記し、グリッド地図誤差の影響を克服する。
【0010】
さらに、前記ステップ1において標記済みのすべての密集した障害物点を前記清掃済みの障害物状態又は前記清掃済みの空きスペース状態として標記すると、前記ステップ4に入る。これにより、標記済みの密集した障害物の分布領域の被覆清掃を完了する。
【0011】
さらに、前記ステップ3は、前記掃除ロボットが第1予め設定されたナビゲーション経路に従って前記清掃対象の密集した障害物点に対応する実際位置にナビゲーションするまでに、障害物に衝突したことを検出すると、この障害物の周りを1周走行するように前記掃除ロボットを制御するととともに、前記掃除ロボットが前記清掃対象の密集した障害物点に対応する実際位置にナビゲーションしたか否かを検出し、そして、ステップ32に入るステップ31と、前記掃除ロボットが同一の障害物の周りを1周走行した場合、前記掃除ロボットが前記清掃対象の密集した障害物点に対応する実際位置にナビゲーションしていないことを検出すると、ステップ33に入るステップ32と、ステップ32の実行回数が3に達したか否かを判断し、達した場合、前記清掃対象の密集した障害物点を前記清掃済みの障害物状態として標記し、そうではない場合、ステップ34に入るステップ33と、前記ステップ2で計画したすべてのナビゲーション経路から、終点グリッド位置が前記清掃対象の密集した障害物点であり、且つ第1予め設定されたナビゲーション経路とは異なる第2予め設定されたナビゲーション経路を検索し、そしてステップ35に入るステップ34と、ステップ34において検索した第2予め設定されたナビゲーション経路に沿って移動するように前記掃除ロボットを制御し、前記掃除ロボットが前記清掃対象の密集した障害物点に対応する実際位置にナビゲーションしたことを検出するか又は前記ステップ32の実行回数が3に達したことを判断するまで、ステップ31~ステップ34を繰り返すステップ35とを含み、前記ステップ35から前記ステップ31に戻った後、前記ステップ31における第1予め設定されたナビゲーション経路は、ステップ34の第2予め設定されたナビゲーション経路に置換され、前記ステップ2で計画したナビゲーション経路は、第1予め設定されたナビゲーション経路と第2予め設定されたナビゲーション経路を含む。この技術案は、従来技術に比べて、グリッド地図における予め計画したナビゲーション経路と実際環境とに位置決め誤差があることを前提に考慮すると、予め計画したナビゲーション経路に沿って清掃対象の密集した障害物点を繰り返し検索し、多くとも3回の検索により、この清掃対象の密集した障害物点の周囲領域に対する清掃を完了し、この清掃対象の密集した障害物点が3回連続してナビゲーションしても到達できない場合、清掃済みの障害物状態として標記され、これにより、より多くの障害物分布シナリオのナビゲーション清掃に適用する。
【0012】
さらに、前記掃除ロボットが前記清掃対象の密集した障害物点に対応する実際位置にナビゲーションしたか否かを検出する前記方法は、前記掃除ロボットの現在位置と前記清掃対象の密集した障害物点に対応する実際位置との距離が前記掃除ロボットの本体の直径の4分の1未満である場合、前記掃除ロボットが前記清掃対象の密集した障害物点に対応する実際位置にナビゲーションしたと決定し、そうではない場合、前記掃除ロボットが前記清掃対象の密集した障害物点に対応する実際位置にナビゲーションしていないと決定する。前記掃除ロボットが前記清掃対象の密集した障害物点に対応する実際位置に移動したことは、前記掃除ロボットが前記清掃対象の密集した障害物点に対応する障害物の輪郭の周囲の予め設定されたターゲット位置に到達したことである。掃除ロボットのナビゲーション位置決めの精度を向上させる。
【0013】
さらに、前記掃除ロボットが現在衝突した障害物の周りを1周走行したかを判断する方法は、障害物の周りを1周走行するように前記掃除ロボットを制御する前に、前記掃除ロボットの障害物との衝突位置を取得することと、そして衝突位置から障害物の周りを走行するように前記掃除ロボットを制御し、前記掃除ロボットの回転角度か360度以上であるか否かを判断するとともに、前記掃除ロボットの現在位置と前記衝突位置との距離が前記掃除ロボットの本体の直径の4分の1未満であるか否かを判断し、上記両方の判断条件がいずれも成立する場合、前記掃除ロボットが現在衝突した障害物の周りを1周走行したと決定し、そうではない場合、前記掃除ロボットが現在衝突した障害物の周りを1周走行していないと決定することとを含む。この技術案は、従来技術に比べて、掃除ロボットの障害物との衝突点を障害物通過開始点とし、掃除ロボットの現在位置が障害物通過開始点に対して回転した角度、及び掃除ロボットの現在位置の、障害物通過開始点との直線距離に基づいて、前記掃除ロボットが障害物の周りを1周走行したか否かを判断し、地図ドリフトなどの誤差の影響を克服し、周回判断のロバスト性を向上させる。
【0014】
さらに、前記掃除ロボットが現在衝突した障害物の周りを1周走行したかを判断する方法は、障害物の周りを1周走行するように前記掃除ロボットを制御する前に、前記掃除ロボットの障害物との衝突位置を取得することと、そして、衝突位置から障害物の周りを走行するように前記掃除ロボットを制御し、前記掃除ロボットの回転角度か400度以上であるか否かを判断し、以上である場合、前記掃除ロボットが現在衝突した障害物の周りを1周走行したと決定し、そうではない場合、前記掃除ロボットが現在衝突した障害物の周りを1周走行していないと決定することとを含む。この技術的解決手段は、前記掃除ロボットが障害物の周りを1周走行したか否かを判断するのに、回転角度の40度の冗長量を提供し、判断精度を向上させる。
【0015】
さらに、前記ステップ1は、具体的には、掃除すべき領域内において予め設定された弓字形計画経路に従って清掃するように掃除ロボットを制御するステップ11であって、掃除ロボットが清掃中に障害物を検出すると、リアルタイムで構築したグリッド地図に障害物のグリッドを標記するが、この障害物を迂回しないように掃除ロボットを制御し、障害物のグリッドは、間隔をおいて分布する障害物のグリッドを含むステップ11と、摺動矩形枠がグリッド地図を移動しながら画定した間隔をおいて分布する障害物のグリッドの数に基づいて、グリッド地図に密集した障害物の基準単位領域を設定し、そして密集した障害物の基準単位領域の中心を構築開始点とし、摺動矩形枠のサイズと同一である予め設定された数の位置決め矩形枠を設定し、構築開始点から、グリッド地図における構築開始点に対して中心対称な予め設定された数のトラバーサル方向に沿ってそれぞれ移動するようにこれらの位置決め矩形枠を制御するステップ12と、各位置決め矩形枠が移動後に移動前に比べて画定した新領域の面積と対応する位置決め矩形枠が移動前に画定した領域の面積との比と、同一の位置決め矩形枠が移動前後に画定した間隔をおいて分布する障害物のグリッドの数の変化量との間の関係に基づいて、各位置決め矩形枠が対応するトラバーサル方向へ移動し続けるかを制御するとともに、各位置決め矩形枠により画定された間隔をおいて分布する障害物のグリッドを密集した障害物点として標記するステップ13であって、各位置決め矩形枠は、いずれも、1つの単位トラバーサル距離だけ対応するトラバーサル方向へ1回移動するように構成されているステップ13とを含む。
【0016】
本技術案は、従来技術に比べて、障害物位置情報が既知であり、実際に局所領域の清掃が完了した上で、グリッド地図に構築中心を開始点として特定のトラバーサル方向に従って移動するように矩形枠を制御し、矩形枠が移動前後に画定した障害物グリッドの数の変化量と、その新しい被覆領域の面積の間との対応関係(即ち、所定のグリッド領域の面積に、密集分布要求を満たす障害物のグリッドが該当数だけある)に基づいて、密集分布要求を満たす障害物のグリッド情報を取得し、後続的に、前記掃除すべき領域の椅子脚間及びテーブル脚間の狭い通行可能領域内での掃除ロボットの清掃漏れを回避する。他方では、本技術案は、グリッド地図情報の精度を確保した上で、摺動矩形枠がグリッド地図に占める動作メモリー空間を低減させ、より多くの位置決めとナビゲーションシナリオに適用する。
【0017】
さらに、前記ステップ1は、予め設定された数の位置決め矩形枠の全てが移動を停止した場合、標記済みのすべての密集した障害物点に対応するグリッドを組み合わせて密集した障害物領域として構築するステップをさらに含む。密集した障害物領域を構成できる、間隔をおいて分布する障害物のグリッド位置情報を取得することにより、掃除ロボットがグリッド地図において標記してなる密集した障害物領域を取得する。
【0018】
さらに、前記間隔をおいて分布する障害物のグリッドは、前記ステップ11において標記した障害物のグリッドのうち、連続的に分布するN個の障害物のグリッドを除く障害物のグリッドであり、Nは、前記グリッド地図における予め設定されたグリッドのサイズ、及び、前記掃除すべき領域内における標記された障害物の実際のサイズに基づいて設定された連続的に分布するグリッドの数である。本技術案は、壁体と密集した障害物領域とを区別し、前記掃除ロボットが壁体エッジに連続的に分布する障害物グリッドを密集した障害物として扱い、壁体領域を繰り返して清掃することを回避し、壁体領域に狭い通行可能領域がないため、掃除ロボットは、予め設定された弓字形計画経路に従って清掃する過程において壁体領域の清掃漏れが発生しにくい。
【0019】
さらに、前記ステップ12において、グリッド地図に密集した障害物の基準単位領域を設定する前記方法は、グリッド地図を移動するように前記摺動矩形枠を制御するとともに、前記摺動矩形枠がグリッド地図に画定した間隔をおいて分布する障害物のグリッドを未清掃状態として標記し、これらの画定した間隔をおいて分布する障害物のグリッドの数をリアルタイムで記録することと、前記摺動矩形枠により画定された間隔をおいて分布する障害物のグリッドの数が第1密集閾値以上である場合、摺動矩形枠が現在画定した矩形領域を前記密集した障害物の基準単位領域として設定することであって、第1密集閾値は、グリッド地図における前記密集した障害物点の分布の密集度が、前記間隔をおいて分布する障害物間の隙間領域が前記掃除ロボットの清掃漏れ領域となるのに十分であることを意味することとを含む。障害物のグリッドの間の隙間の狭さも反映する。
【0020】
さらに、前記ステップ13において、各位置決め矩形枠が移動後に移動前に比べて画定した新領域の面積と対応する位置決め矩形枠が移動前に画定した領域の面積との比と、同一の位置決め矩形枠が移動前後に画定した間隔をおいて分布する障害物のグリッドの数の大きさ変化量との間の関係に基づいて、各位置決め矩形枠が対応するトラバーサル方向へ移動し続けるかを制御する前記方法は、そのうち1つの位置決め矩形枠が対応するトラバーサル方向へ前記単位トラバーサル距離だけ移動するたびに、移動後のこの位置決め矩形枠により画定された間隔をおいて分布する障害物のグリッドの数と、移動前のこの位置決め矩形枠により画定された間隔をおいて分布する障害物のグリッドの数との比が移動後のこの位置決め矩形枠における、移動前のこの位置決め矩形枠と重なっていない領域の面積の割合以上であるか否かを判断し、以上である場合、トラバーサル方向へ前記単位トラバーサル距離だけ移動し続けるようにこの位置決め矩形枠を制御し、そうではない場合、移動を停止するようにこの位置決め矩形枠を制御することを含み、移動後のこの位置決め矩形枠における、移動前のこの位置決め矩形枠と重なっていない領域の面積の割合は、この位置決め矩形枠が移動後に移動前に比べて画定した新領域の面積と、同一の位置決め矩形枠が移動前に画定した領域の面積との比である。この技術案は、上記技術案において密集した障害物の基準単位領域を確立した上で、対応するトラバーサル方向に単位トラバーサル距離だけ移動するように各位置決め矩形枠を制御して、障害物のグリッドの分布の密集度を検出して、密集した障害物の基準単位領域により画定したグリッドの数をフィードバック情報とし、密集した障害物領域の適切な構築範囲を決定し、複雑な障害物の狭い環境での領域構築において、効率性、有効性、及び適応性を有する。
【0021】
さらに、前記位置決め矩形枠は、正方形枠であり、前記予め設定された数は、8であり、前記構築開始点に対して中心対称な前記トラバーサル方向は、前記密集した障害物の基準単位領域に設定された正方形枠の横方向辺長の右向き方向と、前記密集した障害物の基準単位領域に設定された正方形枠の横方向辺長の左向き方向と、前記密集した障害物の基準単位領域に設定された正方形枠の縦方向辺長の上向き方向と、前記密集した障害物の基準単位領域に設定された正方形枠の縦方向辺長の下向き方向と、前記密集した障害物の基準単位領域に設定された正方形枠の対角線の左上方向と、前記密集した障害物の基準単位領域に設定された正方形枠の対角線の左下方向と、前記密集した障害物の基準単位領域に設定された正方形枠の対角線の右上方向と、前記密集した障害物の基準単位領域に設定された正方形枠の対角線の右下方向とを含む。この技術案は、グリッド地図における前記位置決め矩形枠の移動経路、及び、リアルタイムで画定した間隔をおいて分布する障害物のグリッドの数の計算複雑度を減少させ、8つのトラバーサル方向での位置決め矩形枠の移動時間を縮み、アルゴリズム収束速度を加速する。
【0022】
さらに、前記ステップ11において、掃除すべき領域内において予め設定された弓字形計画経路に従って清掃するように掃除ロボットを制御し、掃除ロボットが清掃中に障害物を検出すると、この障害物を迂回しない前記方法は、前記予め設定された弓字形計画経路に沿って走行するように前記掃除ロボットを制御し、前記掃除ロボットが前記予め設定された弓字形計画経路の予め設定された直線経路において障害物に衝突した場合、予め設定された角度だけ回転するように前記掃除ロボットの本体を制御することで、前記掃除ロボットが現在の前進方向を調整して、予め設定された直線経路セクションと予め設定された距離をおいた未清掃直線経路に移動することを含み、この未清掃直線経路は、前記予め設定された弓字形計画経路に属し、予め設定された直線経路の方向と平行し、予め設定された距離は、前記予め設定された弓字形計画経路の隣接する2つの平行する直線経路の間隔距離の予め設定された倍数であり、この予め設定された倍数は、前記掃除ロボットが現在衝突した障害物のサイズに関連しており、前記掃除ロボットは、前記予め設定された直線経路から前記予め設定された距離をおいた未清掃直線経路に移動する全過程にわたって、清掃作業を実行する。この技術案において、ロボットは、予め設定された弓字形計画経路に従って清掃する過程において、周回走行を行うのではなく、直接弓字形清掃モードに従って予め設定された弓字形計画経路の隣接する直線経路に移動し、前記掃除すべき領域内の空き領域の清掃を実現し、密集した障害物を構築及び識別をせずに、障害物密集分布領域を清掃する際に、清掃漏れ現象が生じ、ロボットの清掃作業効率を低減させることを回避する。
【0023】
さらに、前記予め設定された角度だけ回転するように前記掃除ロボットの本体を制御する過程において、前記掃除ロボットが障害物に衝突したことを検出すると、前記予め設定された直線経路と前記予め設定された距離をおいた未清掃直線経路に到達するまで、この障害物のエッジに沿って走行するように前記掃除ロボットを制御し、弓字形計画清掃を維持するが、この障害物を完全に迂回してはいない。この技術案は、前記予め設定された弓字形計画経路に平行して間隔をおいて設定された直線経路がある特徴を用い、故障物回避動作を完了するとともに、正常な弓字形清掃を維持し、掃除ロボットの弓字形清掃作業の環境適応性を向上させ、掃除ロボットの作業効率を確保する。
【0024】
さらに、1つの予め設定された開始点位置から前記予め設定された直線経路に移動するように前記掃除ロボットを制御する過程において、障害物に衝突したことを検出すると、前記予め設定された弓字形計画経路の他の未清掃直線経路を検索するように前記掃除ロボットを制御して、前記掃除ロボットが検索した未清掃経路に従って清掃を継続して、検索前に検出した障害物を回避し、この予め設定された開始点位置は、前記予め設定された直線経路の外に位置する。この技術案は、掃除ロボットが弓字形清掃を実行する前に、有効的な予め設定された弓字形計画経路を検索することにより故障物回避動作を完了し、掃除ロボット清掃作業の環境適応性を向上させ、掃除ロボットの作業効率を確保する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明の一実施例に係わる密集した障害物に基づく清掃制御方法のフローチャートである。
【
図2】本発明の一実施例に係わる掃除すべき領域内における標記した障害物の分布図である。
【
図3】
図2に示す掃除すべき領域内において8個の矢印方向での位置決め矩形枠が移動して障害物のグリッドを画定する概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施例における技術案について、本発明の実施例における図面を参照しながら詳細に説明する。本出願において、用語の「上」、「下」、「内」、「中」、「外」、「前」、「後」などが示す方位又は位置関係は、図面に示す方位又は位置関係に基づくものである。これらの用語は、主に、本明細書及びその実施例をより良く説明するために用いられるものであり、指示された装置、素子または構成要素が特定の方位を有するか、または特定の方位で構成及び動作しなければならないものではない。
【0027】
また、上記の一部の用語は、方位または位置関係を示すのに用いることができるほか、他の意味を示すために用いることもできる。例えば、用語の「上」は、場合によっては何らかの依存関係または接続関係を示すために用いることもできる。当業者にとって、これらの用語の本出願における具体的な意味は、特定の状況に応じて理解され得る。
【0028】
本発明の実施例は、密集した障害物に基づく清掃制御方法を開示し、障害物に衝突して周回走行することにより、密集した障害物の周辺領域を周回してトラバーサルして清掃し、これにより、少ないリソース(ハードウェアとソフトウェアリソースを含む)のみで、椅子脚間及びテーブル脚間の狭い通行可能領域の周りを清掃するように掃除ロボットを制御することができ、密集した障害物間の隙間領域の清掃漏れ現象を回避し、
図1に示すように、具体的な清掃制御方法は、以下のステップを含む。
【0029】
ステップS1において、グリッド地図における予め設定された摺動矩形枠により画定された障害物のグリッド数の特徴に基づいて、密集した障害物点を標記し、そしてステップS2に入る。好ましくは、グリッド地図における障害物のグリッドは、掃除ロボットが掃除すべき領域の清掃を計画することにより予め標記したものであり、この掃除すべき領域内は、連続的に分布する障害物のグリッド、及び間隔をおいて分布する障害物のグリッドを含み、間隔をおいて分布する障害物のグリッドは、密集に分布する障害物のグリッドを含むが、密集に分布する障害物のグリッドの識別基準は、予め設定された摺動矩形枠が移動しながら画定した間隔をおいて分布する障害物のグリッドの数に基づいて確立されたものである。
【0030】
ステップS2において、グリッド地図における標記済みの密集した障害物点に基づいて、終点位置が対応する密集した障害物点でありかつ他の障害物のグリッドを通っていないナビゲーション経路を計画し、そしてステップS3に入る。このステップS2において、グリッド地図における標記済みの密集した障害物点に基づいて、前記掃除すべき領域内において、終点位置が対応する密集した障害物点でありかつ他の障害物のグリッドを通っていないナビゲーション経路を計画することができる。なお、正常に計画されたナビゲーション経路は、地図にずれがない場合、障害物のグリッドを通ることはなく、ナビゲーション経路の終点位置こそ、密集した障害物点である。
【0031】
ステップS3において、前記掃除ロボットが前記ステップS2で計画したナビゲーション経路に従って、清掃対象の密集した障害物点に対応する実際位置にナビゲーションするまでに、障害物に衝突したか否かを判断し、衝突した場合、現在衝突した障害物の周りを1周走行するように前記掃除ロボットを制御し、前記掃除ロボットが現在衝突した障害物の周りを1周走行した後、現在衝突した障害物の輪郭のエッジ領域の被覆清掃を実現し、この障害物を清掃済みの障害物状態として標記し、ステップS4に入り、そうではない場合、直接ステップS4に入る。なお、前記掃除ロボットは、現在衝突した障害物の周りを走行しながら、清掃作業を実行する。前記ステップS2で計画したナビゲーション経路は、地図にずれがない場合、ナビゲーション経路の終点位置が清掃対象の密集した障害物点であり、ナビゲーション経路は、他の障害物のグリッドを通ることはない。
【0032】
なお、衝突を検出するためのセンサは、赤外センサ、超音波センサ、又は物理的衝突装置を含むが、これらに限らない。前記清掃対象の密集した障害物点は、前記ステップS1において標記済みの密集した障害物点から、清掃対象のターゲット位置として選択されたものである。
【0033】
ステップS4において、前記掃除ロボットが清掃対象の密集した障害物点に対応する実際位置にナビゲーションすると、この清掃対象の密集した障害物点での障害物に衝突したか否かを判断し、衝突した場合、この清掃対象の密集した障害物点での障害物の周りを1周走行するように前記掃除ロボットを制御し、前記掃除ロボットがこの清掃対象の密集した障害物点での障害物の周りを1周走行した後、前記清掃対象の密集した障害物点に対応する実際位置の周囲領域の被覆清掃を実現し、この清掃対象の密集した障害物点を清掃済みの障害物状態として標記し、そしてステップS5に入り、そうではない場合、直接ステップS5に入る。なお、前記掃除ロボットは、この清掃対象の密集した障害物点での障害物の周りを走行しながら、清掃を実行する。
【0034】
上記のステップは、前記掃除ロボットが前記ステップ2で計画したナビゲーション経路に従って、各密集した障害物点に対応する実際位置へナビゲーションする過程において(ナビゲーションが密集した障害物点に対応する実際位置に移動する前、及び、密集した障害物点に対応する実際位置にちょうどナビゲーションし移動している時と見なす)、前記掃除ロボットにより検出された障害物衝突状況に基づいて、現在衝突した障害物の周りを1周走行するように前記掃除ロボットを制御し、現在衝突した障害物に対応するグリッドの清掃状態を標記する。本実施例は、従来技術に比べて、前記掃除ロボットが密集した障害物点に対応する実際位置に到達する前、及び密集した障害物点に対応する実際位置に到達している時の周回走行方式を計画することにより、地図ドリフト誤差による、掃除ロボットの実際のナビゲーションへの障害物の影響を克服し、掃除ロボットが地図における計画したナビゲーション経路に従って密集した障害物点に対応する実際位置へナビゲーションし、地図ドリフトにより、元々障害物のグリッドを通らなかったナビゲーション経路が実際に障害物のナビゲーション経路を被覆することを減少させる。なお、ステップS2において正常に計画されたナビゲーション経路は、地図にずれがない場合、障害物のグリッドを通ることなく、ナビゲーション経路の終点位置こそ、密集した障害物点である。さらに、異なる密集した障害物点間の狭い隙間位置、及び、現在到達した密集した障害物点の周囲の狭い領域の清掃を行うように掃除ロボットを制御し、密集した障害物の分布領域内における清掃漏れ現象を回避する。
【0035】
ステップS5において、前記掃除ロボットが清掃対象の密集した障害物点に対応する実際位置にナビゲーションした場合、前記掃除ロボットが清掃対象の密集した障害物点に対応する実際位置をそのまま通過したか否かを判断し、通過した場合、この清掃対象の密集した障害物点を清掃済みの空きスペース状態として標記し、即ち、前記掃除ロボットが前記ステップS2で計画したナビゲーション経路に沿って、前記清掃対象の密集した障害物点に対応する障害物の占める実際位置に到達しており、前記清掃対象の密集した障害物点に対応する実際位置に障害物がなく、地図に位置決め標記誤差が生じており、排除する必要があるが、前記掃除ロボットが前記清掃対象の密集した障害物点に対応する実際位置をトラバーサルして清掃したことを示す。従って、この好適例において、グリッド地図における、密集した障害物点として標記したが、実際位置に適合しないグリッドを清掃済みの空きスペース状態として標記し、掃除ロボットがこの位置を再び清掃してトラバーサルすることを防止し、グリッド地図の誤差による影響を克服し、そしてステップS6に入り、そうではない場合、直接ステップS6に入る。
【0036】
ステップS6において、前記ステップS1において標記済みのすべての密集した障害物点がいずれも前記清掃済みの障害物状態又は前記清掃済みの空きスペース状態として標記されたか否かを判断し、即ち、前記掃除ロボットが前記ステップS2で計画したナビゲーション経路に沿ってナビゲーションする過程において、すべての標記済みの密集した障害物点をいずれも1回トラバーサルし、それぞれ障害物に対応するグリッドの清掃状態を標記したか否かを判断し、標記した場合、ステップS7に入り、そうではない場合、前記ステップS1において標記済みのすべての密集した障害物点の清掃トラバーサル及び標記を完了するまで、ステップS3に戻って、ステップS3~ステップS5を繰り返し実行する。
【0037】
ステップS7において、前記掃除ロボットが前記グリッド地図における対応する全ての領域をトラバーサルするまで、未清掃領域へナビゲーションするように前記掃除ロボットを制御し、そして前記ステップS1に戻って、新しい密集した障害物点を標記し、上記ステップを繰り返す。具体的には、ステップS1~ステップS7を実行することにより、前記掃除ロボットが前記ステップS2で計画したナビゲーション経路に沿って、1つの掃除すべき領域内のすべての標記済みの密集した障害物点を1回トラバーサルした後、トラバーサルしていない領域に移動するように前記掃除ロボットを制御し、そして前記ステップS1に戻って新しい密集した障害物点を標記し、前記掃除ロボットが前記グリッド地図における対応する全ての領域をトラバーサルするまで、上記ステップを繰り返す。それにより、密集した障害物があるすべての分布領域の被覆清掃を完了する。
【0038】
従来技術に比べて、上記ステップS1~ステップS7において、障害物に衝突し、周回走行することにより、密集した障害物の位置分布情報を取得することにより、レーザセンサが密集した障害物群の線分走査位置決めを行う必要がなく、レーザセンサが直接走査して、地図に密集した障害物点を標記することに比べて、計算リソースを節約し、これにより、少ない動作メモリーリソース(ハードウェアとソフトウェアリソースを含む)のみで、椅子脚間及びテーブル脚間の狭い通行可能領域を清掃するように掃除機ロボットを制御することができ、密集した障害物間の隙間領域の清掃漏れ現象を回避する。
【0039】
一実施例として、第1予め設定されたナビゲーション経路に従って清掃対象の密集した障害物点に対応する実際位置へナビゲーション移動するように掃除ロボットを制御する過程は、前記掃除ロボットが第1予め設定されたナビゲーション経路に従って清掃対象の密集した障害物点に対応する実際位置に移動する前、及び、第1予め設定されたナビゲーション経路に従って清掃対象の密集した障害物点に対応する実際位置に移動している時を含み、前記掃除ロボットが前記清掃対象の密集した障害物点に対応する実際位置にナビゲーションしたか否かをリアルタイムで検出する必要がある。前記ステップ2において計画されたナビゲーション経路は、第1予め設定されたナビゲーション経路、及び第2予め設定されたナビゲーション経路を含む。
【0040】
前記ステップS3は、以下のステップをさらに含む。
【0041】
ステップ31において、前記掃除ロボットが第1予め設定されたナビゲーション経路に従って清掃対象の密集した障害物点に対応する実際位置に移動する前に、前記掃除ロボットが障害物(清掃対象の密集した障害物点での障害物ではない)に衝突したことを検出すると、現在衝突した障害物の周りを1周走行するように前記掃除ロボットを制御するととともに、前記掃除ロボットが前記清掃対象の密集した障害物点に対応する実際位置にナビゲーションしたか否かを検出し、そして、ステップ32に入る。なお、衝突を検出するためのセンサは、赤外センサ、超音波センサ、又は物理的衝突装置を含むが、これらに限らない。前記清掃対象の密集した障害物点は、前記ステップS1において標記済みの密集した障害物点から、清掃対象のターゲット位置として選択されたものである。
【0042】
好ましくは、前記ステップ31において、前記掃除ロボットが前記清掃対象の密集した障害物点に対応する実際位置にナビゲーションしたか否かを検出する前記方法は、以下のとおりである。前記掃除ロボットの現在位置と前記清掃対象の密集した障害物点に対応する実際位置との距離が前記掃除ロボットの本体の直径の4分の1未満である場合、前記掃除ロボットが前記清掃対象の密集した障害物点に対応する実際位置にナビゲーションした(移動した)と決定し、そうではない場合、前記掃除ロボットが前記清掃対象の密集した障害物点に対応する実際位置にナビゲーションしていない(移動していない)と決定し、これにより、地図ドリフトなどの誤差の影響を克服し、周回判断のロバスト性を向上させる。掃除ロボットのナビゲーション位置決めの精度を向上させる。清掃対象の密集した障害物点は、予め設定された掃除ロボットの清掃用の密集した障害物点である。
【0043】
ステップ32において、前記掃除ロボットが現在衝突した障害物の周りを1周走行した場合、前記掃除ロボットが前記清掃対象の密集した障害物点に対応する実際位置にナビゲーションしていないことを検出すると、ステップ33に入る。即ち、掃除ロボットが第1予め設定されたナビゲーション経路に従って清掃対象の密集した障害物点に対応する実際位置へナビゲーション移動する過程において、前記掃除ロボットが同一の障害物(即ち、ステップS3において検出した衝突した障害物)の周りを1周走行した場合、前記掃除ロボットか前記清掃対象の密集した障害物点に対応する実際位置に移動したか否かを検出し、前記掃除ロボットが前記清掃対象の密集した障害物点での障害物の輪郭の周囲領域に移動したか否かを検出することと考えられる。
【0044】
ステップ32において、前記掃除ロボットが現在衝突した障害物の周りを1周走行したかを判断するための判断方法は、2つの実施の形態を含む。具体的には、1つの実施の形態は、障害物の周りを1周走行するように前記掃除ロボットを制御する前に、前記掃除ロボットの障害物との衝突位置を取得することと、そして、衝突位置から障害物の周りを走行するように前記掃除ロボットを制御し、前記掃除ロボットの回転角度か360度以上であるか否かをリアルタイムで判断するとともに、前記掃除ロボットの現在位置と前記衝突位置との距離が前記掃除ロボットの本体の直径の4分の1未満であるか否かを判断し、前記の回転角度の判断条件及び前記距離の判断条件がいずれも成立する場合、前記掃除ロボットがこの障害物の周りを1周走行したと決定し、そうではない場合、前記掃除ロボットがこの障害物の周りを1周走行していないと決定することとを含む。たとえば、前記掃除ロボットは、椅子脚に移動して衝突した場合、椅子脚間の距離が前記掃除ロボットの本体の直径未満であるため、現在衝突した椅子の全周を走行することができない。この実施の形態は、従来技術に比べて、掃除ロボットの障害物との衝突点を障害物通過開始点とし、掃除ロボットの現在位置が障害物通過開始点に対して回転した角度、及び掃除ロボットの現在位置の、障害物通過開始点との直線距離に基づいて、前記掃除ロボットが障害物の周りを1周走行したか否かを判断し、地図ドリフトなどの誤差の影響を克服し、周回判断のロバスト性を向上させる。
【0045】
別の実施の形態は、障害物の周りを1周走行するように前記掃除ロボットを制御する前に、前記掃除ロボットの障害物との衝突位置を取得することと、そして、衝突位置から障害物の周りを走行するように前記掃除ロボットを制御し、前記掃除ロボットの回転角度か400度以上であるか否かをリアルタイムで判断し、以上である場合、前記掃除ロボットがこの障害物の周りを1周走行したと決定し、そうではない場合、前記掃除ロボットがこの障害物の周りを1周走行していないと決定することとを含む。この実施の形態において、前記掃除ロボットが障害物の周りを1周走行したか否かを判断するのに、回転角度の40度の冗長量を提供し、判断精度を向上させる。
【0046】
ステップ33において、ステップ32の実行回数が3に達したか否かを判断し、達した場合、前記清掃対象の密集した障害物点を前記清掃済みの障害物状態として標記し、そうではない場合、ステップ34に入る。具体的には、前記掃除ロボットは、連続して2回ナビゲーション経路を変更しても、同一の清掃対象の密集した障害物点に到達できなければ、この清掃対象の密集した障害物点に対応する実際位置(掃除作業領域内の物理的位置)の検索を放棄するが、掃除ロボットは、密集した障害物点に対応する実際の物理的位置のこの3回連続の検索過程において、この清掃対象の密集した障害物点に対応する実際位置の周囲領域の被覆清掃を完了することができる。たとえば、前記掃除ロボットは、椅子脚の周囲領域に移動した場合、他の障害物に衝突すると、椅子脚間の距離が前記掃除ロボットの本体の直径未満であるため、現在衝突した障害物の周りを1周走行する過程において、椅子脚間の隙間領域に移動するのではなく、椅子脚間の隙間領域を回避する。前記掃除ロボットが周回走行過程において通過する位置が椅子脚に比較的に近く、最終的に、前記掃除ロボットは、この3回連続のナビゲーションにおいて、椅子脚のこの密集した障害物点に対応する実際位置は検索されていないが、このナビゲーションの周回過程において、椅子脚間の隙間領域の被覆清掃を完了する。より多くの障害物分布シナリオのナビゲーション清掃に適用する。なお、本実施例において、前記清掃対象の密集した障害物点に対応する実際位置に移動したことは、前記清掃対象の密集した障害物点に対応する障害物の占める実際位置に到達したことではなく、前記清掃対象の密集した障害物点に対応する実際位置の周囲の予め設定されたターゲット位置に到達したことであり、掃除ロボットは、この清掃対象の密集した障害物点に対応する障害物の輪郭の周囲の領域を清掃してトラバーサルすることができる。
【0047】
ステップ34において、前記ステップS2で計画したすべてのナビゲーション経路から、終点グリッド位置が前記清掃対象の密集した障害物点であり、且つ第1予め設定されたナビゲーション経路とは異なる第2予め設定されたナビゲーション経路を検索し、そしてステップ35に入る。第1予め設定されたナビゲーション経路は、現在トラバーサル中のナビゲーション経路を示し、第2予め設定されたナビゲーション経路は、次にトラバーサルするナビゲーション経路を示し、トラバーサルしていないナビゲーション経路に属し、従って、全体経路の方向から見ると、前記第2予め設定されたナビゲーション経路は、前記第1予め設定されたナビゲーション経路とは異なる。
【0048】
ステップ35において、ステップ34において検索した第2予め設定されたナビゲーション経路に沿って移動するように前記掃除ロボットを制御し、ステップ31に戻って、前記ステップ31における第1予め設定されたナビゲーション経路をステップ34において検索した前記第2予め設定されたナビゲーション経路に置換し、そして、ステップ32の実行回数が0から3に増加するまで、ステップ31~ステップ34を繰り返すか、又は、前記掃除ロボットが前記清掃対象の密集した障害物点に対応する実際位置にナビゲーションしたか否かを検出する。
【0049】
本実施例は、従来技術に比べて、上記ステップ31~ステップ35において、グリッド地図における予め計画したナビゲーション経路と実際環境とに位置決め誤差があることを前提に考慮すると、予め計画したナビゲーション経路に沿って清掃対象の密集した障害物点を繰り返し検索し、多くとも3回の検索により、この清掃対象の密集した障害物点の周囲領域に対する清掃を完了し、この清掃対象の密集した障害物点が連続して3回到達できない場合、清掃済みの障害物状態として標記され、これにより、より多くの障害物分布シナリオのナビゲーション清掃に適用する。
【0050】
上記実施例に基づき、前記ステップS1は、具体的には以下のステップを含む。
【0051】
ステップ11において、掃除すべき領域内において予め設定された弓字形計画経路に従って清掃するように掃除ロボットを制御し、掃除ロボットが清掃中に障害物を検出すると、リアルタイムで構築したグリッド地図に障害物のグリッドを標記するが、この障害物を迂回しないように掃除ロボットを制御し、そしてステップ12に入る。
図2に示すように、掃除すべき領域内の障害物のグリッドは、間隔をおいて分布する障害物のグリッドを含む。
図2のブロックの左上方に間隔をおいて分布する障害物は、間隔が比較的に小さく、本発明出願の背景技術において言及される密集に分布する障害物である。
図2のブロックの右下方に間隔をおいて分布する障害物は、間隔が比較的に大きく、離散して分布する障害物である。
【0052】
本実施例において、前記間隔をおいて分布する障害物のグリッドは、前記ステップ11において標記した障害物のグリッドのうち、連続的に分布するN個の障害物のグリッドを除く障害物のグリッドである。本実施例では、連続的に分布するN個の障害物のグリッドをグリッド地図に清掃済みの空き状態として標記することで、連続的に分布するN個の障害物のグリッドをフィルタリングする。Nは、前記グリッド地図における予め設定されたグリッドのサイズ、及び、前記掃除すべき領域内における標記された障害物の実際のサイズに基づいて設定された連続的に分布するグリッドの数である。好ましくは、前記連続的に分布するN個の障害物のグリッドは、壁を示すものであり、これにより、壁など、エッジが長い障害物をフィルタリングすることができる。ここで、Nは、予め設定された壁体グリッドの数の閾値であり、壁の長さ情報を示すものであり、予め設定された壁体グリッドの数の閾値は、前記グリッド地図における予め設定されたグリッドのサイズ、及び、前記掃除すべき領域内における標記した障害物の実際のサイズに基づいて設定されたものであり、たとえば、連続的に分布する10個の故障点よりも大きい場合のみ、エッジが長く、体型が大きい障害物の輪郭として示す。本実施例は、従来技術に比べて、壁体と密集した障害物領域とを区別し、前記掃除ロボットが壁体領域を密集した障害物領域として扱い、壁体領域を繰り返して清掃することを回避し、壁体領域に狭い通行可能領域がないため、掃除ロボットは、予め設定された弓字形計画経路に従って清掃する過程において壁体領域の清掃漏れが発生しにくい。
【0053】
前記ステップ11において、掃除すべき領域内において予め設定された弓字形計画経路に従って清掃するように掃除ロボットを制御し、掃除ロボットが清掃中に障害物を検出すると、この障害物を迂回しない前記方法は、以下を含む。
【0054】
前記予め設定された弓字形計画経路に沿って走行するように前記掃除ロボットを制御し、前記掃除ロボットが前記予め設定された弓字形計画経路の予め設定された直線経路において障害物に衝突した場合、予め設定された角度だけ回転するように前記掃除ロボットの本体を制御し、そして、前記掃除ロボットが予め設定された直線経路に垂直な方向に予め設定された距離だけ移動するまで、回転後の前進方向に移動するように前記掃除ロボットを制御することで、前記掃除ロボットが現在の前進方向を調整して、予め設定された直線経路セクションと予め設定された距離をおいた未清掃直線経路に移動するため、この障害物の輪郭の周囲の領域を完全に清掃してはおらず、清掃漏れが生じてしまう。本実施例において、この未清掃直線経路は、前記予め設定された弓字形計画経路に属し、予め設定された直線経路の方向と平行する。予め設定された距離は、前記予め設定された弓字形計画経路の隣接する2つの平行する直線経路の間隔距離の予め設定された倍数であり、この予め設定された倍数は、前記掃除ロボットが現在衝突した障害物のサイズに関連する。なお、前記掃除ロボットは、前記予め設定された直線経路から、前記予め設定された距離をおいた未清掃直線経路に移動する全過程にわたって、清掃作業を実行することで、前記掃除すべき領域内の空き領域の清掃を実現し、この空き領域は、密集に分布する障害物がない。密集した障害物を構築及び識別をせずに、障害物密集分布領域を清掃する際に、清掃漏れ現象が生じ、ロボットの清掃作業効率を低減させることを回避する。
【0055】
好ましくは、前記予め設定された角度だけ回転するように前記掃除ロボットの本体を制御する過程において、前記掃除ロボットが障害物に衝突したことを検出すると、前記予め設定された直線経路と平行し、かつそれと前記予め設定された距離をおいた未清掃直線経路に到達するまで、この障害物のエッジに沿って走行して正常な弓字形清掃を維持するように前記掃除ロボットを制御するが、この障害物を完全には迂回しないため、この障害物の輪郭の周囲の領域を完全に清掃してはおらず、清掃漏れが生じてしまう。この未清掃直線経路は、前記予め設定された弓字形計画経路に属し、予め設定された直線経路の方向と平行する。
【0056】
そのため、前記掃除ロボットが前記予め設定された弓字形計画経路の予め設定された直線経路に沿って走行するたびに、障害物に衝突したことを検出すると、前記掃除ロボットのリアルタイムな位置姿勢を調整して現在の前進方向を変えることにより、前記掃除ロボットが1つの前記予め設定された距離だけ走行して、予め設定された直線経路方向と平行する未清掃直線経路に移動し、予め設定された距離は、前記予め設定された弓字形計画経路の隣接する2つの平行する直線経路の間隔距離の予め設定された倍数であり、この予め設定された倍数は、前記掃除ロボットが現在衝突した障害物のサイズに関連する。これにより、弓字形計画清掃を維持し、現在衝突した障害物を効果的に回避する。掃除ロボットの弓字形清掃作業の環境適応性を向上させ、掃除ロボットの作業効率を確保する。
【0057】
好ましくは、1つの予め設定された開始点位置から前記予め設定された直線経路に移動するように前記掃除ロボットを制御する過程に、即ち、予め設定された弓字形計画経路に従って清掃する前に、障害物に衝突したことを検出すると、前記予め設定された弓字形計画経路の他の未清掃の直線経路を検索するように前記掃除ロボットを制御することで、前記掃除ロボットが検索した未清掃経路に従って清掃を継続して、検索前に検出した障害物を回避し、新しい弓字形経路の開始点位置を選択して弓字形計画清掃を実行することを実現する。この予め設定された開始点位置は、前記予め設定された直線経路の外に位置する。本実施例において、掃除ロボットが弓字形清掃を実行する前に、有効的な予め設定された弓字形計画経路を検索することにより故障物回避動作を完了し、掃除ロボット清掃作業の環境適応性を向上させ、掃除ロボットの作業効率を確保する。
【0058】
ステップ12において、摺動矩形枠がグリッド地図を移動しながら画定した間隔をおいて分布する障害物のグリッドの数に基づいて、グリッド地図に密集した障害物の基準単位領域を設定し、そして、密集した障害物の基準単位領域の中心を構築開始点とし、摺動矩形枠のサイズと同一である予め設定された数の位置決め矩形枠を設定し、構築開始点から、グリッド地図における構築開始点に対して中心対称な予め設定された数のトラバーサル方向に沿ってそれぞれ移動するようにこれらの位置決め矩形枠を制御し、そしてステップ13に入る。前記摺動矩形枠は、リアルタイムで構築されたグリッド地図に設定されたものである。
【0059】
具体的には、前記ステップ12において、グリッド地図に密集した障害物の基準単位領域を設定する前記方法は、グリッド地図を移動するように前記摺動矩形枠を制御し、本実施例において、前記グリッド地図の左上隅から、左から右へ移動するように前記摺動矩形枠を制御するとともに、前記摺動矩形枠がグリッド地図に画定した間隔をおいて分布する障害物のグリッドを未清掃状態として標記し、前記摺動矩形枠がリアルタイムで画定した間隔をおいて分布する障害物のグリッドの数をリアルタイムで記録することと、前記摺動矩形枠により画定された間隔をおいて分布する障害物のグリッドの数が第1密集閾値以上の場合、
図2における矩形枠A11に示すように、摺動矩形枠が現在画定した矩形領域を前記密集した障害物の基準単位領域として設定することとを含む。第1密集閾値は、グリッド地図における前記密集した障害物点の分布の密集度が、前記間隔をおいて分布する障害物間の隙間領域が前記掃除ロボットの通常の弓字形計画清掃モードでの清掃漏れ領域又は地図に位置決め誤差の生じることを前提にする際の清掃漏れ領域となるのに十分であることを意味する。
【0060】
ステップ13において、各位置決め矩形枠が移動後に移動前に比べて画定した新領域の面積と対応する位置決め矩形枠が移動前に画定した領域の面積との比と、同一の位置決め矩形枠が移動前後に画定した間隔をおいて分布する障害物のグリッドの数の変化量との間の関係に基づいて、各位置決め矩形枠が対応するトラバーサル方向へ移動し続けるかを制御するとともに、各位置決め矩形枠により画定された間隔をおいて分布する障害物のグリッドを密集した障害物点として標記し、各位置決め矩形枠は、いずれも、1つの単位トラバーサル距離だけ対応するトラバーサル方向へ1回移動するように構成されている。
【0061】
具体的には、前記ステップ13において、各位置決め矩形枠が移動後に移動前に比べて画定した新領域の面積と対応する位置決め矩形枠が移動前に画定した領域の面積との比と、同一の位置決め矩形枠が移動前後に画定した間隔をおいて分布する障害物のグリッドの数の大きさ変化量との間の関係に基づいて、各位置決め矩形枠が対応するトラバーサル方向へ移動し続けるかを制御する前記方法は、そのうち1つの位置決め矩形枠が対応するトラバーサル方向へ前記単位トラバーサル距離だけ移動するたびに、移動後のこの位置決め矩形枠により画定された間隔をおいて分布する障害物のグリッドの数と、移動前のこの位置決め矩形枠により画定された間隔をおいて分布する障害物のグリッドの数との比が、移動後のこの位置決め矩形枠における、移動前のこの位置決め矩形枠と重なっていない領域の面積の割合以上であるか否かを判断し、以上である場合、トラバーサル方向へ前記単位トラバーサル距離だけ移動し続けるようにこの位置決め矩形枠を制御し、そうではない場合、移動を停止するようにこの位置決め矩形枠を制御することを含み、移動後のこの位置決め矩形枠における、移動前のこの位置決め矩形枠と重なっていない領域の面積の割合は、この位置決め矩形枠が移動後に移動前に比べて画定した新領域の面積と、同一の位置決め矩形枠が移動前に画定した領域の面積との比である。
【0062】
上記実施例は、密集した障害物の基準単位領域を確立した上で、対応するトラバーサル方向に単位トラバーサル距離だけ移動ように各位置決め矩形枠を制御して、障害物のグリッドの分布の密集度を検出して、固定された矩形枠により画定されたグリッドの数を単位面積の障害物の密集度をフィードバックする情報とすることにより、密集した障害物領域の適切な構築範囲を決定し、複雑な障害物の狭い環境での領域構築において、効率性、有効性、及び適応性をもたらす。
【0063】
従来技術に比べて、上記ステップ11~ステップ13において、障害物位置情報が既知であり、実際に局所領域の清掃が完了した上で、グリッド地図に構築中心を開始点として特定のトラバーサル方向に従って移動するように矩形枠を制御し、矩形枠が移動前後に画定した障害物グリッドの数の変化量と、その新しい被覆領域の面積との間の対応関係(即ち、単位グリッド領域の面積に、密集分布要求を満たす障害物のグリッドが該当数ある)に基づいて、密集分布要求を満たす障害物のグリッド情報を取得し、この後、前記掃除すべき領域の椅子脚間及びテーブル脚間の狭い通行可能領域内での掃除ロボットの清掃漏れを回避する。他方では、本実施例において、グリッド地図情報の精度を確保した上で、摺動矩形枠がグリッド地図に占める動作メモリー空間を低減させ、レーザセンサが直接走査して地図に密集した障害物点を標記することに比べて計算リソースを節約し、これにより、より多くのリアルタイム位置決めとナビゲーションシナリオに適用する。
【0064】
前記ステップ13を実行した後、予め設定された数の位置決め矩形枠の全てが移動を停止したと判断した場合、即ち、予め設定された数の位置決め矩形枠がいずれも1回移動した後に画定した間隔をおいて分布する障害物のグリッドの数と、1回移動前に画定した間隔をおいて分布する障害物のグリッドの数との比が、同一の位置決め矩形枠が1回移動した後に被覆した新領域の面積と、同一の位置決め矩形枠が1回移動する前に画定した領域の面積との比未満である場合、標記済みのすべての密集した障害物点に対応するグリッドを組み合わせて密集した障害物領域として構築するステップ14をさらに含む。このステップにおいて、密集した障害物領域を構成できる、間隔をおいて分布する障害物のグリッド位置情報を取得することにより、掃除ロボットがグリッド地図において標記してなる密集した障害物領域を取得することができる。
【0065】
一実施例として、
図3に示すように、前記位置決め矩形枠は、正方形枠として設定されてもよく、前記予め設定された数は、8であり、好ましくは、この正方形枠の辺長が、実際の掃除すべき領域では2mである。そのため、本実施例において、構築開始点に対して中心対称な前記トラバーサル方向は、以下を含む。
図3に示すように、前記密集した障害物の基準単位領域A11に設定された正方形枠の横方向辺長の右向き方向と、前記密集した障害物の基準単位領域A11に設定された正方形枠の横方向辺長の左向き方向と、前記密集した障害物の基準単位領域A11に設定された正方形枠の縦方向辺長の上向き方向と、前記密集した障害物の基準単位領域A11に設定された正方形枠の縦方向辺長の下向き方向と、前記密集した障害物の基準単位領域A11に設定された正方形枠の対角線の左上方向と、前記密集した障害物の基準単位領域A11に設定された正方形枠の対角線の左下方向と、前記密集した障害物の基準単位領域A11に設定された正方形枠の対角線の右上方向と、前記密集した障害物の基準単位領域A11に設定された正方形枠の対角線の右下方向とを含む。そして、前記密集した障害物の基準単位領域A11に設定された正方形枠の対角線交点を中心として設定し、前記構築開始点ともし、予め設定された数のトラバーサル方向は、構築開始点に対して中心対称であり、前記単位トラバーサル距離は、トラバーサル方向の変化につれて変化するように構成されており、前記ステップ13における面積、比の大きさの計算複雑度を簡略化させる。
【0066】
実際に使用される前記トラバーサル方向が正方形枠A11の横方向辺長の右向き方向、正方形枠A11の横方向辺長の左向き方向、正方形枠A11の縦方向辺長の上向き方向、正方形枠A11の縦方向辺長の下向き方向である場合、数値が正方形枠A11の辺長の半分である単位トラバーサル距離を選択し、正方形枠A11のサイズと同一である4つの位置決め矩形枠を設定し、正方形枠A11の横方向辺長の左向き方向、横方向辺長の右向き方向、縦方向辺長の上向き方向、縦方向辺長の下向き方向の4つのトラバーサル方向へそれぞれ正方形枠A11の辺長の半分の距離だけ移動するようにこの4つの位置決め矩形枠を制御し、この4つの位置決め矩形枠が正方形枠A11の辺長の半分の距離だけ移動した後、各々の位置決め矩形枠が新しく被覆する領域の面積は、正方形枠A11が被覆する領域の面積の半分を占める。このとき、位置決め矩形枠により画定された障害物のグリッドの数が正方形枠A11により画定された障害物のグリッドの数の半分以上である場合、対応するトラバーサル方向へ正方形枠A11の辺長の半分の距離だけ移動し続けるようにこの位置決め矩形枠を制御し、この位置決め矩形枠が現在画定した領域内の障害物のグリッドが前記密集した障害物点の分布特徴要求を満たすことを意味し、位置決め矩形枠により画定された障害物のグリッドの数が正方形枠A11により画定された障害物のグリッドの数の半分未満である場合、移動を停止するようにこの位置決め矩形枠を制御し、この位置決め矩形枠が現在画定した領域内の障害物のグリッドが少なく、分布が離散することを意味する。なお、本実施例において、グリッド数を判断するための障害物のグリッドは、単に前記間隔をおいて分布する障害物のグリッドある。
【0067】
実際に使用される前記トラバーサル方向が正方形枠A11の対角線の左上方向、正方形枠A11の対角線の左下方向、正方形枠A11の対角線の右上方向、正方形枠A11の対角線の右下方向である場合、数値が正方形枠A11の対角線の半分である単位トラバーサル距離を選択し、また正方形枠A11のサイズと同一である4つの位置決め矩形枠を設定し、正方形枠A11の対角線の左上方向、対角線の左下方向、対角線の右上方向、対角線の右下方向の4つのトラバーサル方向へそれぞれ正方形枠A11の対角線の半分の距離だけ移動するようにこの4つの位置決め矩形枠を制御し、この4つの位置決め矩形枠が移動した後、各々の位置決め矩形枠が新しく被覆する領域の面積は、正方形枠A11が被覆する領域の面積の4分の3を占める。この時、位置決め矩形枠により画定された障害物のグリッドの数が正方形枠A11により画定された障害物のグリッドの数の4分の3以上である場合、対応するトラバーサル方向へ正方形枠A11の対角線の半分の距離だけ移動し続けるようにこの位置決め矩形枠を制御する。位置決め矩形枠により画定された障害物のグリッドの数が正方形枠A11により画定された障害物のグリッドの数の4分の3未満である場合、移動を停止するようにこの位置決め矩形枠を制御する。なお、本実施例において、グリッド数を判断するための障害物のグリッドは、単に前記間隔をおいて分布する障害物のグリッドである。
【0068】
以上をまとめると、本実施例において、グリッド地図における前記位置決め矩形枠の移動経路、及びリアルタイムで画定した間隔をおいて分布する障害物のグリッドの数の計算複雑度を減少させ、8つのトラバーサル方向での位置決め矩形枠の移動時間を短縮させる。
【0069】
そして、全ての位置決め矩形枠がいずれも移動を停止させたと判断した場合、正方形枠A11の構築開始点を開始点として四周へ移動して画定した障害物のグリッドを前記密集した障害物点として標記し、これらの標記の密集した障害物点は1つの前記密集した障害物領域を構成する。
【0070】
最後に、上述の実施例は、本発明の技術案を説明するためのものにすぎず、限定するものではなく、好ましい実施形態を参照して本発明を詳細に説明したが、当業者であれば、本発明の技術案の精神から逸脱することなく、本発明の具体的な実施形態を修正したり、一部の技術的特徴を同等に置換したりすることができ、本発明が保護を要求する技術案の範囲に含まれるべきであることを理解できる。