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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-22
(45)【発行日】2024-01-05
(54)【発明の名称】合掌貼り包装袋
(51)【国際特許分類】
   B65D 33/00 20060101AFI20231225BHJP
   B65D 33/14 20060101ALI20231225BHJP
【FI】
B65D33/00 C
B65D33/14 Z
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019160590
(22)【出願日】2019-09-03
(65)【公開番号】P2021037997
(43)【公開日】2021-03-11
【審査請求日】2022-07-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000148162
【氏名又は名称】株式会社川島製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100089875
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 茂
(72)【発明者】
【氏名】高橋 哲太
【審査官】宮崎 基樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-036286(JP,A)
【文献】特開2019-059489(JP,A)
【文献】特開2017-214101(JP,A)
【文献】国際公開第2015/039945(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 33/00-33/38
B65D 67/00-79/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
縦接合部と、前記縦接合部の延在方向の両端に設けられた一対の横接合部とを備え、前記一対の横接合部の間に位置するフィルムの箇所により商品収容部が構成され、
前記横接合部の延在方向に沿った幅を有し、
前記縦接合部は前記商品収容部の外側に位置する合掌貼り包装袋であって、
前記商品収容部の前記幅方向の端部において、前記商品収容部を構成する前記フィルムの互いに対向する箇所が重ね合わされて接合された補助接合部と、
前記補助接合部に設けられた開封用ノッチと、
前記開封用ノッチを通り前記幅方向に延在する仮想線上に位置する前記縦接合部の箇所およびこの縦接合部の箇所に対向する前記商品収容部の箇所に貫通形成された係止孔と、
前記係止孔の周囲で前記商品収容部を構成する互いに対向する前記フィルムの箇所が重ね合わせて接合された係止孔用接合部とを備え、
前記係止孔は、前記縦接合部が前記商品収容部に接続する箇所を含んで構成され、
前記縦接合部および係止孔用接合部において前記係止孔の外側に設けられ前記係止孔に接続して前記係止孔の周囲から前記開封用ノッチから離れる方向で前記幅方向と交差する方向に直線状に延在する切れ目をさらに備える、
ことを特徴とする合掌貼り包装袋。
【請求項2】
前記縦接合部は前記商品収容部上で前記方向に倒されており、
前記補助接合部は、前記縦接合部が倒された方向と逆方向の前記商品収容部の端部に設けられている、
ことを特徴とする請求項1記載の合掌貼り包装袋。
【請求項3】
前記係止孔は、前記縦接合部および前記商品収容部から前記一対の横接合部のうちの一方の横接合部にわたって設けられている、
ことを特徴とする請求項1または2記載の合掌貼り包装袋。
【請求項4】
前記係止孔は、前記縦接合部と、前記横接合部から離れた前記商品収容部の箇所にわたって設けられている、
ことを特徴とする請求項1または2記載の合掌貼り包装袋。
【請求項5】
前記縦接合部に設けられた切れ目と前記係止孔用接合部に設けられた切れ目は、前記縦接合部を前記商品収容部に重ねた際に合致する箇所に設けられている、
ことを特徴とする請求項1または2記載の合掌貼り包装袋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は合掌貼り包装袋に関する。
【背景技術】
【0002】
合掌貼り包装袋は、縦接合部と、縦接合部の延在方向の両端に設けられた一対の横接合部とを備え、一対の横接合部の間に位置するフィルムの箇所により商品収容部が構成され、縦接合部は商品収容部の外側に位置している。
合掌貼り包装袋では、横接合部の延在方向である幅方向に商品収容部を切り裂こうとすると、縦接合部が商品収容部に接続する箇所ではフィルムが4枚となるため、縦接合部が商品収容部に接続する箇所で切り裂きにくくなる。
そこで、縦接合部を商品収容部に密着させ、縦接合部に複数の切込みを設けた合掌貼り包装袋(特許文献1)が提案されているが、この合掌貼り包装袋では縦接合部の箇所の構造が複雑化せざるをえない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2006-69645号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方、合掌貼り包装袋をフックなどに吊り下げた販売形態で店頭に陳列できるように、一対の横接合部のうちの一方の横接合部に係止孔が貫通形成された合掌貼り包装袋が提供されている。
本発明はこの係止孔に着目して案出されたものであり、本発明の目的は、縦接合部の構造を複雑化することなく商品収容部は幅方向に簡単に切り裂くことができ、しかも、フックなどに吊り下げた販売形態で店頭に陳列できる合掌貼り包装袋を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した目的を達成するため本発明は、縦接合部と、前記縦接合部の延在方向の両端に設けられた一対の横接合部とを備え、前記一対の横接合部の間に位置するフィルムの箇所により商品収容部が構成され、前記横接合部の延在方向に沿った幅を有し、前記縦接合部は前記商品収容部の外側に位置する合掌貼り包装袋であって、前記商品収容部の前記幅方向の端部において、前記商品収容部を構成する前記フィルムの互いに対向する箇所が重ね合わされて接合された補助接合部と、前記補助接合部に設けられた開封用ノッチと、前記開封ノッチを通り前記幅方向に延在する仮想線上に位置する前記縦接合部の箇所およびこの縦接合部の箇所に対向する前記商品収容部の箇所に貫通形成された係止孔と、前記係止用孔の周囲で前記商品収容部を構成する互いに対向する前記フィルムの箇所が重ね合わせて接合された係止孔用接合部とを備え、前記係止孔は、前記縦接合部が前記商品収容部に接続する箇所を含んで構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、係止孔にフックを挿通し、フックに吊り下げた販売形態で店頭に陳列でき、また、フックに吊り下げずに棚に並べた販売形態でも店頭に陳列でき、店の大きさや店内の商品のレイアウトに応じて販売形態を選択できる上で有利となる。
また、購入者が合掌貼り包装袋を開封する場合には、一方の横接合部をつかみ、開封用ノッチの下方の補助接合部の箇所を指で摘まんで、開封用ノッチから合掌貼り包装袋の幅方向に商品収容部を切り裂くと、この切り裂かれた箇所は、補助接合部側に位置する係止孔用接合部の箇所を通過して係止孔に至る。
そして、切り裂かれた箇所は、係止孔から縦接合部を通過して縦接合部を上下に分断し、また、補助接合部と反対側の係止孔用接合部の箇所を通過して補助接合部と反対側の商品収容部の端部に至り、商品収容部が開封される。
したがって、フックに吊り下げた販売形態で店頭に陳列でき、従来のように縦接合部の箇所の構造を複雑化することなく、簡単な構造により開封用ノッチから縦接合部を乗り越えて商品収容部を簡単に開封する上で有利となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】合掌貼り包装袋の背面図である。
図2】合掌貼り包装袋の正面図である。
図3】合掌貼り包装袋が開封された状態の背面図である。
図4図1のA―A線に相当する係止孔の拡大断面図である。
図5】別の係止孔の拡大断面図である。
図6】別実施例の合掌貼り包装袋の背面図である。
図7】別実施例の合掌貼り包装袋の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図1図4を参照して本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
実施の形態はピロー型の合掌貼り包装袋10であり、合掌貼り包装袋10はフィルム12で構成されている。
合掌貼り包装袋10は、縦接合部14、一対の横接合部16、商品収容部18、補助接合部20、開封用ノッチ22、係止孔24、係止孔用接合部26、切れ目28とを備え、縦接合部14は商品収容部18の外側に位置している。
フィルム12は、単体フィルムであってもよく、複合フィルムであってもよく、あるいは透明性を有するフィルムや有さないフィルムであってもよく、従来公知の様々な材料が使用可能である。
なお後述するように開封用ノッチ22から商品収容部18を引き裂いた際、この引き裂いた箇所が確実に係止孔24に到達する上で、一方向のみに沿って破断可能な一軸延伸フィルム、すなわち、破断について指向性を有するフィルム12を用いるとより好ましい。
合掌貼り包装袋10は、図2に示すように、商品名などが記載される正面10Aと、図1に示すように、製造場所などが記載される背面10Bとを有している。
合掌貼り包装袋10は、縦接合部14の延在方向に沿った長さLと、横接合部16の延在方向に沿った幅Wとを有している。
【0009】
縦接合部14はフィルム12の互いに直交する2方向のうちの一方の方向の両端が重ね合わされて接合された箇所であり、背面10Bに設けられている。
図1図4に示すように、縦接合部14が背面10Bに接続する箇所は、縦接合部14の基部1402となっている。
縦接合部14は、幅W方向における何れの箇所に位置していてもよいが、本実施の形態では背面10Bの幅W方向の中間部に位置し、より詳細には、縦接合部14の基部1402が合掌貼り包装袋10の幅W方向の中央に位置し、背面10B上で幅W方向に倒されている。
【0010】
一対の横接合部16は、縦接合部14により形成された筒状体の長さL方向の両端においてそれぞれフィルム12の互いに対向する箇所が重ね合わされて接合された箇所であり、一対の横接合部16は、縦接合部14の延在方向の両端に設けられている。
本実施の形態では、一対の横接合部16の一方が合掌貼り包装袋10の上端を構成する上側横接合部16Aとされ、他方が合掌貼り包装袋10の下端を構成する下側横接合部16Bとされている。
商品収容部18は、商品が収容される箇所であり、一対の横接合部16で挟まれたフィルム12の箇所により形成されている。
【0011】
補助接合部20は、縦接合部14が倒された方向と逆方向の合掌貼り包装袋10の幅W方向の端部で上側横接合部16A寄りに位置する商品収容部18を構成するフィルム12の互いに対向する箇所が重ね合わされ接合されることで構成されている。
合掌貼り包装袋10の長さL方向において、補助接合部20は上側横接合部16Aの幅W方向の端部から切り離されていてもよいが、本実施の形態では、補助接合部20は上側横接合部16Aの幅W方向の端部に接続され、図3に示すように、開封後の商品収容部18の収容容積を大きく確保できるように図られている。
開封用ノッチ22は、補助接合部20に設けられている。
開封用ノッチ22の形状は、例えば、I字状、V字状などの従来公知の様々な形状が採用可能である。
なお、本実施の形態では、開封用ノッチ22を上側横接合部16A寄りの縦接合部14の箇所に設けているが、例えば、図6図7に示すように、合掌貼り包装袋10の上端から開封用ノッチ22および後述する係止孔24までの寸法を大きくとり、開封用ノッチ22および係止孔24の上下に位置する正面10Aの箇所や背面10Bの箇所にそれぞれキャラクターなどを表示させ、商品の購買意欲を喚起させるようにするなど任意である。
【0012】
係止孔24は、図1に示すように、開封用ノッチ22を通り幅W方向に延在する仮想線L上に位置する縦接合部14の箇所および図2図4に示すように、この縦接合部14の箇所に対向する商品収容部18の箇所に貫通形成されている。
係止孔24は、フックが挿通されフックに合掌貼り包装袋10が吊り下げられた販売形態で店頭に陳列される構造であればよい。
すなわち、本実施の形態の係止孔24は、係止孔24の円形の外周に沿った切断線が外周の一部で途切れ、係止孔24の内側の円形の片体2402は切断線が途切れた箇所2404で係止孔24の外周縁に繋がっているが、例えば、係止孔24はその全周がくりぬかれたいわゆる完全な孔であってもよく、あるいは、仮想円周の周囲に間隔をおいた複数箇所から仮想円の中心に伸びる複数の切れ目で構成されていてもよく、従来公知の様々な形状が採用可能であり、要するに係止孔24はフックを挿通できる構造であればよい。
【0013】
係止孔24は、縦接合部14の基部1402を係止孔24の輪郭の内側に含んで形成されている。
なお、補助接合部20を、縦接合部14が倒された方向における合掌貼り包装袋10の幅W方向の端部に設けてもよいが、補助接合部20の開封用ノッチ22から合掌貼り包装袋10を円滑に開封する上で、補助接合部20は、縦接合部14が倒された方向と逆方向の合掌貼り包装袋10の幅W方向の端部に設けることが好ましい。
【0014】
図1図2図4に示すように、本実施の形態では、係止孔24は、縦接合部14と商品収容部18と上側横接合部16Aとにわたって設けられている。
係止孔24が、縦接合部14の基部1402をその内側に含んで形成されているのは、開封用ノッチ22から商品収容部18が切り裂かれた箇所が、図4に示すように、縦接合部14の基部1402を含んだ4枚のフィルム12箇所を簡単に通過できるようにするためである。すなわち、係止孔24が縦接合部14の輪郭の内側に形成されている場合には、開封用ノッチ22から商品収容部18が切り裂かれた箇所が、縦接合部14の基部1402を含んだ4枚のフィルム12箇所に至り、この4枚のフィルム12箇所を切り裂かれた箇所が通過できなくなるためである。
また、本実施の形態では、係止孔24はその中心を合掌貼り包装袋10の幅W方向の中央に合致させて設けられ、フックにより合掌貼り包装袋10がつり下げられたときに合掌貼り包装袋10が長さL方向を鉛直方向に向けた安定した状態で吊り下げられるように図られている。
【0015】
図1図2に示すように、係止孔用接合部26は、係止孔24の周囲で商品収容部18を構成する互いに対向するフィルム12の箇所が重ね合わせて接合され、言い換えると、係止孔24の周囲に位置する正面10Aの箇所と背面10Bの箇所とが重ね合わせて接合され、商品収容部18の密封性を確保している。
切れ目28は省略可能であるが、本実施の形態では、縦接合部14および係止孔用接合部26の少なくとも一方に、係止孔24の周囲から開封用ノッチ22から離れる方向で幅W方向と交差する方向に延在する切れ目28が設けられ、開封用ノッチ22からの合掌貼り包装袋10の切り裂きがより円滑になされるように図られている。
本実施の形態では、切れ目28を縦接合部14のみに設けられている。
なお、切れ目28を縦接合部14と係止孔用接合部26の双方に設けると、開封用ノッチ22からの合掌貼り包装袋10の切り裂きが円滑になされる上でより有利となる。
その場合、縦接合部14に設けられる切れ目28と係止孔用接合部26に設けられる切れ目28とを、縦接合部14を商品収容部18に重ねた際に合致する箇所に設けると、縦接合部14と商品収容部18での切り裂きの進行方向が同一となるため、切り裂きがより円滑になされる上で有利となる。
【0016】
切れ目28を係止孔用接合部26に設ける場合には、商品収容部18の密封性を確保する観点から、切れ目28の延長上にフィルム12の箇所が重ね合わせて接合された箇所を残すことが必要となる。
一方、切れ目28を縦接合部14に設ける場合には、切れ目28の延長上にフィルム12の箇所が重ね合わせて接合された箇所を残さなくでもよいが、残した方が合掌貼り包装袋10の取り扱いを簡単に行なう上で有利となる。
なお、切れ目28を合掌貼り包装袋10の幅W方向に延在させた場合、フックにより合掌貼り包装袋10をつり下げた状態で商品収容部18に収容された商品の重量が、切れ目28の延長上の縦接合部14の箇所あるいは係止孔用接合部の箇所に作用し、それら接合箇所が破断することが考えられる。
したがって、フックによる合掌貼り包装袋10をつり下げ時における、切れ目28の延長上の縦接合部14あるいは切れ目28の延長上の係止孔用接合部26の破断を阻止する観点から、切れ目28は、幅W方向と交差する方向に延在させることが好ましい。
【0017】
次に、合掌貼り包装袋10の使用方法について説明する。
合掌貼り包装袋10は、係止孔24にフックを挿通し、フックに吊り下げた販売形態で店頭に陳列でき、また、フックに吊り下げずに棚に並べた販売形態でも店頭に陳列でき、店の大きさや店内の商品のレイアウトに応じて販売形態を選択できる上で有利となる。
また、購入者が合掌貼り包装袋10を開封する場合には、図1に示すように、上側横接合部16Aをつかみ、開封用ノッチ22の下方の補助接合部20の箇所を指で摘まんで、開封用ノッチ22から合掌貼り包装袋10の幅W方向に商品収容部18を切り裂くと、この切り裂かれた箇所は仮想線Lに沿って進行し、補助接合部20側に位置する係止孔用接合部26の箇所を通過して係止孔24に至る。
【0018】
そして、切り裂かれた箇所は、係止孔24から切れ目28を介して縦接合部14を通過して縦接合部14を上下に分断する。
また、切り裂かれた箇所は、補助接合部20と反対側の係止孔用接合部26の箇所を通過した後、縦接合部14が倒された側の商品収容部18の箇所を通過し、図3に示すように、商品収容部18が上側接合部から切り離され、商品収容部18が開封される。
したがって、従来のように縦接合部14の箇所の構造を複雑化することなく、簡単な構造により開封用ノッチ22から縦接合部14を乗り越えて商品収容部18を簡単に開封する上で有利となる。
【符号の説明】
【0019】
10 合掌貼り包装袋
12 フィルム
14 縦接合部
16 横接合部
16A 上側横接合部
16B 下側横接合部
18 商品収容部
20 補助接合部
22 開封用ノッチ
24 係止孔
2402 片体
2404 片体が係止孔の外周縁に繋がっている箇所
26 係止孔用接合部
28 切れ目
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7