(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-22
(45)【発行日】2024-01-05
(54)【発明の名称】飲料容器
(51)【国際特許分類】
A47J 41/00 20060101AFI20231225BHJP
B65D 41/04 20060101ALI20231225BHJP
A47J 41/02 20060101ALI20231225BHJP
【FI】
A47J41/00 304C
B65D41/04 200
A47J41/02 104C
(21)【出願番号】P 2022139700
(22)【出願日】2022-09-02
【審査請求日】2022-09-02
(73)【特許権者】
【識別番号】515043956
【氏名又は名称】株式会社アトラス
(74)【代理人】
【識別番号】100167184
【氏名又は名称】井上 真一郎
(72)【発明者】
【氏名】伯耆 貴宏
【審査官】高橋 武大
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第05947343(US,A)
【文献】特開2015-000741(JP,A)
【文献】登録実用新案第3017838(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 41/00
B65D 41/04
A47J 41/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部を備え、飲料が貯留される容器本体と、
前記容器本体内の気体を逃がす流路を封止する封止体を有し、頂部に支点を備え、利用者が力点となる部位を把持して前記頂部側に押しつけることにより前記封止体を前記流路から離間させて前記流路を開放する圧抜き部を備える蓋部と、
を有
し、
前記蓋部は切り欠き部を有し、
前記圧抜き部は、前記封止体が取り付けられる棒状の第1のパーツと、前記第1のパーツの端部を軸として回動可能に設けられ、前記力点となる部位を備え、前記頂部側に押しつける方向と反対方向に回動して前記切り欠き部内に収容される第2のパーツとを有し、
前記第2のパーツが前記切り欠き部内に収容されたとき、前記蓋部の頂面と前記第2のパーツの長手方向の面が同一平面上にあることを特徴とする飲料容器。
【請求項2】
前記第1のパーツは、前記封止体を前記開口部の面に対して垂直方向に上昇させる請求項1に記載の飲料容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は飲料容器に関する。
【背景技術】
【0002】
内部に貯まったガスを抜く機構を備える飲料容器が知られている。例えば、飲料が貯留される貯留部と飲料が流出する開口部と開口部近傍に配置される被螺合部と容器内部の側壁に沿って配置される被係合部とを備える容器本体と、被係合部に係合する係合部と係合部に当接し変形可能な変形部と被螺合部に螺合する螺合部とを備え回動により螺合部が被螺合部に螺合して容器本体に取り付けられる蓋部とを有し、螺合部が被螺合部に留まるより前に係合部が被係合部に係合することにより変形部が変形を開始し、螺合部が被螺合部に留まったときには変形部の変形により貯留部と開口部との隙間を塞ぎ、蓋部は、螺合部が被螺合部に留まったときに貯留部に面する弁と、蓋部の外部に配置される操作部と、操作部の操作に応じて弁を開放する開放部とを有し、貯留部内の圧力の上昇に応じて変形部がさらに変形して係合部が被係合部から離間し、弁の開放に応じて変形部の変形が緩和し係合部が被係合部に当接する飲料容器が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
発明者は、内部に貯まったガスを抜く新たな機構を発明した。
1つの側面では、本発明は、容器内部のガスを容易に抜くことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、開示の飲料容器が提供される。この飲料容器は、開口部を備え、飲料が貯留される容器本体と、容器本体内の気体を逃がす流路を封止する封止体を有し、頂部に支点を備え、利用者が力点となる部位を把持して頂部側に押しつけることにより封止体を流路から離間させて流路を開放する圧抜き部を備える蓋部と、を有している。
【発明の効果】
【0006】
1態様では、容器内部のガスを容易に抜くことができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図5】実施の形態の圧抜き部の蓋本体部との着脱を説明する図である。
【
図6】実施の形態の圧抜き部の操作を説明する図である。
【
図7】実施の形態の圧抜き部の操作を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施の形態の飲料容器を、図面を参照して詳細に説明する。
【0009】
以下の図面等において示す各構成の位置、大きさ、形状、範囲などは、発明の理解を容易にするため、実際の位置、大きさ、形状、範囲などを表していない場合がある。このため、本発明は、必ずしも、図面等に開示された位置、大きさ、形状、範囲等に限定されない。
実施の形態において単数形で表される要素は、文面で明らかに示されている場合を除き、複数形を含むものとする。
<実施の形態>
図1は、実施の形態の飲料容器を示す斜視図である。
図2は、実施の形態の飲料容器の分解図である。
実施の形態の飲料容器10は、容器本体1と、上蓋2とを有している。
【0010】
容器本体1は、例えば真空二重壁構造であり、飲料が貯留される貯留部11と内部の飲料が流出する環状の開口部12を備えている。飲料としては、特に限定されないが、例えば炭酸飲料等が挙げられる。開口部12の内周部には、上蓋2と螺合する被螺合部13が設けられている。
上蓋2は、圧抜き部21と、蓋本体部22とを有している。
図3は、実施の形態の上蓋の分解図である。
図4は、実施の形態の飲料容器の断面図である。
【0011】
圧抜き部21は、レバー211と、シャフト212と、ロックリング213と、バネ214と、バネ土台215と、ガス抜きパッキン(封止体)216とを有している。
【0012】
レバー211は、第2のパーツの一例である。レバー211は、蓋本体部22内に収容されているとき(
図4における状態)は上蓋2の一部となる。利用者は、レバー211を取り出して操作することにより、貯留部11内のガスを抜くことができる。操作方法については、後述する。
レバー211は、シャフト212に取り付けられる。レバー211は、シャフト212の端部を軸として回動可能に設けられている。
レバー211は、後述する被係合部に係合する突起211aを有している。
【0013】
シャフト212は第1のパーツの一例である。シャフト212は、棒状をなしている。このシャフト212には、レバー211やバネ214、およびガス抜きパッキン216が取り付けられる。
【0014】
ロックリング213は、蓋本体部22に圧抜き部21を取り付けたり、圧抜き部21を蓋本体部22から取り外したりするときの蓋本体部22との係合部である。具体的には、ロックリング213は、側部に180度間隔に2つの突起(係合部)213aを有している。
【0015】
バネ214は、内部にシャフト212が挿入されてバネ土台215に取り付けられる。このバネ214は、一方の端部がバネ土台215に当接し、他方の端部がロックリング213に当接し、ロックリング213とバネ土台215を離間する方向に付勢する。
ガス抜きパッキン216は、シャフト212の下端部に取り付けられている。
蓋本体部22は、筐体221と、本体パッキン222と、中栓223と、リングパッキン224と、土台パッキン225と、ネジ隠し板226とを有している。
筐体221は、収容部221aと、切り欠き部221bと、溝部221cと、螺合部221dと、嵌合部221eと被係合部221fとを有している。
【0016】
収容部221aは、圧抜き部21のレバー211以外の部品(すなわち、シャフト212と、ロックリング213と、バネ214と、バネ土台215と、ガス抜きパッキン216)とを収容する。
【0017】
切り欠き部221bは、レバー211を収容する。なお、
図4に示すように、レバー211が切り欠き部221bに収容されたとき、蓋本体部22の頂面22aとレバー221の長手方向の面211bが同一平面上にある。これにより、上蓋2の見た目をスッキリと見せることができる。
溝部221cは、貯留部11内部から流出した液体を筐体221外部に流す役割を備える。
螺合部221dは、被螺合部13に螺合する。
嵌合部221eは、突起213aに嵌合する。
被係合部221fは、突起211aを固定する。
本体パッキン222は、中栓223に取り付けられる。本体パッキン222は、容器本体1の中から飲料が漏れ出ないようにシールする。
【0018】
中栓223は、本体パッキン222が取り付けられる。中栓223の中央部には、容器本体1に連通し、容器本体1内に貯まったガスを抜くための孔部223aが設けられている。また、中栓223には、ネジ穴が形成されている。図示しないネジをネジ穴に挿入し、ネジを筐体221の図示しない被螺合部に螺合することにより、中栓223が筐体221に取り付けられる。
リングパッキン224は、外部からの液体の侵入を防ぐ。
土台パッキン225は、内側とネジからの液体の浸入を防ぐ。
ネジ隠し板226は、ネジを隠す。
圧抜き部21は、蓋本体部22に対し着脱可能である。
図5は、実施の形態の圧抜き部の蓋本体部との着脱を説明する図である。
【0019】
図5(a)および
図5(b)に示すように、利用者は、圧抜き部21を把持して収容部221aに収容する。そして利用者は、
図5(c)に示すように、レバー211を把持して所定角度圧抜き部21を反時計回りに回転(例えば50°)させる。これにより、突起213aが嵌合部221eに挿入された後に、嵌合部に配置された段差を乗り越えて
図5(c)に示す位置に配置される。この位置では突起213aは3方向および乗り越えた段差により支持され、ロックリング213が固定される。
図5(c)の状態では、利用者が圧抜き部21を上方に持ち上げようとしても、突起213aが嵌合部221eに嵌まっているため抜けない。また、この状態で孔部223aはガス抜きパッキン216により覆われ孔部223aと外部をつなぐ流路が封止される。これにより貯留部11内が気密に保たれる。
【0020】
そして利用者は、
図5(d)に示すようにレバー211を回動させてレバー211を切り欠き部221bに収容する。利用者が、圧抜き部21を蓋本体部22から取り外す場合は、前述した動作の逆の動作を行う。
【0021】
ところで、貯留部11内に貯留される飲料が炭酸飲料の場合、貯留部11内に炭酸ガスが発生し、貯留部11内に充満し、上蓋2が上方に押圧される。また、貯留部11内に貯留される飲料が炭酸飲料でなくても、温度変化により貯留部11内の圧力が上昇し、上蓋2が上方に押圧される場合がある。この圧力により、被螺合部13と、螺合部221dとの摩擦が強くなり、上蓋2が開けにくくなる場合がある。
【0022】
このとき、利用者は、圧抜き部21を操作して貯留部11内のガスを抜くことにより、貯留部11内の圧力を低下させて上蓋2を容易に開けられるようにすることができる。
図6および
図7は、実施の形態の圧抜き部の操作を説明する図である。
【0023】
利用者は、
図6中時計回りにレバー211を回動させて切り欠き部221bから取り出す。そして、そのまま時計回りにレバー211を倒す。これによりレバー211が蓋本体部22の頂部22bに当接する。
【0024】
図7に示すように、利用者がバネ214の付勢に逆らってさらにレバー211を時計回りに倒すと、頂部22bが支点となりシャフト212、バネ土台215およびガス抜きパッキン216が上方に移動する。このときバネ214が収縮する。ガス抜きパッキン216が孔部223aより離脱することにより、ガス抜きパッキン216と孔部223aとの間に炭酸ガスが通過可能な隙間s(点線の円で囲んだ箇所)が形成される。ガスは、この隙間sを通過する。隙間sを通過した炭酸ガスは、例えば
図7の矢印aに示すように収容部221a内を通って外部に放出される。ガスとともに液体が流出した場合は、利用者は飲料容器10を傾けて流出した液体を溝部221cを通過させて筐体221外部に流すことができる。
利用者は、レバー211を倒す力を調整することにより、シャフト212の上方への移動量を調整することができる。
【0025】
利用者が、レバー211を倒す力を弱めると、バネ214が伸張し、シャフト212およびガス抜きパッキン216が下方に移動する。ガス抜きパッキン216が孔部223aに当接して隙間sが埋まり、貯留部11は気密に保たれる。
利用者は、ガスを抜き終わると、レバー211を反時計回りに回動させて切り欠き部211bに収容する。
【0026】
以上述べたように、実施の形態の飲料容器10は、開口部12を備え、飲料が貯留される容器本体1と、容器本体1内のガス(気体)を逃がす孔部223aを封止するガス抜きパッキン216を有し、頂部22bに支点を備え、利用者が力点となるレバー211を把持して頂部22b側に押しつけることによりガス抜きパッキン216を孔部223aから離間させて孔部223aを開放する圧抜き部21を備える上蓋2とを有する。従って、貯留部11内部のガスを容易に抜くことができる。
また、圧抜き部21は蓋本体部22から取り外せるようにしたので、圧抜き部21や収容部221aの洗浄も容易である。
また、レバー211を倒すことにより圧力を抜くようにしたので、倒す量に応じて抜くガスの量を調整することができる。
【0027】
なお、飲料容器10は、容器本体1内の圧力が高まったときに利用者がレバー211を操作しなくてもバネ214の付勢に逆らってガス抜きパッキン216が上昇し、容器本体1内のガスが抜けるようになっていてもよい。
【0028】
以上、本発明の飲料容器を、図示の実施の形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置換することができる。また、本発明に、他の任意の構成物や工程が付加されていてもよい。
また、本発明は、前述した各実施の形態のうちの、任意の2以上の構成(特徴)を組み合わせたものであってもよい。
【符号の説明】
【0029】
1 容器本体
11 貯留部
12 開口部
13 被螺合部
2 上蓋
21 圧抜き部
211 レバー
211a 突起
212 シャフト
213 ロックリング
213a 突起
214 バネ
215 バネ土台
216 ガス抜きパッキン
22 蓋本体部
22a 頂面
22b 頂部
221 筐体
221a 収容部
221b 切り欠き部
221c 溝部
221d 螺合部
221e 嵌合部
221f 被係合部
222 本体パッキン
223 中栓
223a 孔部
224 リングパッキン
225 土台パッキン
226 ネジ隠し板
【要約】
【課題】容器内部のガスを容易に抜くこと。
【解決手段】飲料容器10は、開口部12を備え、飲料が貯留される容器本体1と、容器本体1内のガス(気体)を逃がす孔部223aを封止するガス抜きパッキン216を有し、頂部22bに支点を備え、利用者が力点となるレバー211を把持して頂部22b側に押しつけることによりガス抜きパッキン216を孔部223aから離間させて孔部223aを開放する圧抜き部21を備える上蓋2とを有する。
【選択図】
図6