(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-22
(45)【発行日】2024-01-05
(54)【発明の名称】グリル付コンロ
(51)【国際特許分類】
F24C 15/16 20060101AFI20231225BHJP
F24C 3/00 20060101ALI20231225BHJP
A47J 37/06 20060101ALI20231225BHJP
【FI】
F24C15/16 B
F24C3/00 L
A47J37/06 361
(21)【出願番号】P 2019127803
(22)【出願日】2019-07-09
【審査請求日】2022-06-17
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000112015
【氏名又は名称】株式会社パロマ
(74)【代理人】
【識別番号】100078721
【氏名又は名称】石田 喜樹
(74)【代理人】
【識別番号】100121142
【氏名又は名称】上田 恭一
(72)【発明者】
【氏名】小澤 耕平
【審査官】高橋 武大
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-030868(JP,A)
【文献】特開2009-066086(JP,A)
【文献】特開2019-050947(JP,A)
【文献】特開2015-198781(JP,A)
【文献】特開2016-179186(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24C 3/00-3/14
9/00-15/36
A47J 37/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
グリル庫へ
前方から出し入れ可能に収納される支持枠上に、焼き網と、調理容器を支持する載置台とが選択的にセット可能なグリル付コンロであって、
前記載置台は、前記調理容器の前後両端をそれぞれ受ける前支持部と後支持部とを備えていると共に、前記前支持部と前記後支持部との間に、前記前支持部及び前記後支持部よりも低くなり、且つ前記調理容器より前後寸法が短い第2の調理容器よりも前後に長く形成される落ち込み部を備えている一方、
前記支持枠に支持される前記調理容器の底面の高さが前記焼き網の上面の高さよりも低くなり、前記焼き網の上面から前記グリル庫の入口の上縁部までの上下方向の寸法をH1、前記調理容器の底面位置から前記上縁部までの上下方向の寸法をH2とした場合に、H1<H2の関係となっており、
前記調理容器は、上面を開口した容器本体と、前記容器本体上に載置されて前記開口を閉塞する蓋体とを備えると共に、前記蓋体には上方に突出する持ち運び用のつまみが設けられて、
前記容器本体と前記蓋体との上下方向の寸法をh1、前記蓋体の上面から突出する前記つまみの上下方向の寸法をh2とした場合に、
H1<h1+h2、H2≧h1+h2、h1<H1、h2>H1-h1
が成立していることを特徴とするグリル付コンロ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グリルを備えたテーブルコンロやビルトインコンロ等のグリル付コンロに関する。
【背景技術】
【0002】
グリル付コンロにおいてグリルを使用する際、特許文献1に開示されるように、被調理物を収容する蓋付きの調理容器をグリル庫内に収納してグリルバーナで加熱調理を行う場合がある。この調理容器を用いれば、密閉状態で加熱調理できるため、魚等の被調理物から生じる油や水分がグリル庫内へ付着するのを防止することができる。この調理容器を使用する際は、グリル庫に出し入れされる支持枠から焼き網を取り外して専用の載置台を支持枠上にセットし、その載置台に調理容器を載置することでグリル庫内に収納される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記従来のグリル付コンロにおいては、ユーザが専用の載置台を用いずに焼き網上にそのまま調理容器を載置して使用してしまうおそれがある。この場合、調理容器は焼き網上で固定されないため、支持枠と共に調理容器を出し入れする際に調理容器が焼き網上を滑りやすく、グリル庫内の偏った位置で調理容器が加熱されて焼き上がりにムラが生じたりしてしまう。
【0005】
そこで、本発明は、焼き網上に調理容器を載置する誤使用を確実に防止することができるグリル付コンロを提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、グリル庫へ前方から出し入れ可能に収納される支持枠上に、焼き網と、調理容器を支持する載置台とが選択的にセット可能なグリル付コンロであって、
載置台は、調理容器の前後両端をそれぞれ受ける前支持部と後支持部とを備えていると共に、前支持部と後支持部との間に、前支持部及び後支持部よりも低くなり、且つ調理容器より前後寸法が短い第2の調理容器よりも前後に長く形成される落ち込み部を備えている一方、
支持枠に支持される調理容器の底面の高さが焼き網の上面の高さよりも低くなり、焼き網の上面からグリル庫の入口の上縁部までの上下方向の寸法をH1、調理容器の底面位置から上縁部までの上下方向の寸法をH2とした場合に、H1<H2の関係となっており、
調理容器は、上面を開口した容器本体と、容器本体上に載置されて開口を閉塞する蓋体とを備えると共に、蓋体には上方に突出する持ち運び用のつまみが設けられて、
容器本体と蓋体との上下方向の寸法をh1、蓋体の上面から突出するつまみの上下方向の寸法をh2とした場合に、H1<h1+h2、H2≧h1+h2、h1<H1、h2>H1-h1が成立していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、載置台を用いて調理容器を支持枠にセットした状態では、調理容器はグリル庫の入口に干渉することなくグリル庫内に収納できる。一方、載置台を用いずに焼き網上に調理容器をセットした状態では、調理容器を収納しようとすると、つまみが上縁部に干渉して収納できない。よって、ユーザは誤使用を容易に認識でき、焼き網を載置台と取り替えて調理容器をセットすることになるため、焼き網上に調理容器を載置する誤使用を確実に防止することができる。
また、蓋体を持ち運ぶためのつまみを誤使用防止の干渉体に利用した合理的な構成となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図4】支持枠、載置台、調理容器の分解斜視図である。
【
図5】支持枠に載置台を用いて調理容器を載置した状態を示す側面図である。
【
図6】大サイズの調理容器を載せた支持枠をグリル庫内に収容する状態を示す説明図で、(A)は焼き網を用いた場合、(B)は載置台を用いた場合をそれぞれ示す。
【
図7】小サイズの調理容器を載せた支持枠をグリル庫内に収容する状態を示す説明図で、(A)は焼き網を用いた場合、(B)は載置台を用いた場合をそれぞれ示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、グリル付コンロの一例であるグリル付のテーブルコンロ1の正面図、
図2は
図1のA-A線断面図、
図3はB-B線部分断面図である。
このテーブルコンロ1は、天板3を有する器体2の上部に一対のコンロ部4,4を備え、コンロ部4,4の間で器体2内の中央にグリル5を備えている。器体2の正面には、各コンロ部4及びグリル5に対応した点消火ボタン6,6・・、火力調整レバー7,7・・、調理メニュー等を選択操作するための操作表示部8が設けられている。
【0010】
グリル5は、器体2内で区画形成されて前方を開口させた前側のグリル庫10と、グリル庫10の後部に連結される排気ダクト11とからなる。グリル庫10の上側内面には、燃焼面を下向きにした上バーナ12と、点火電極13及び熱電対14とが設けられている。グリル庫10の左右の内面には、前後方向へ延びてグリル庫10の中央側へ炎孔を向けた下バーナ15,15と、図示しない点火電極及び熱電対とがそれぞれ設けられている。
排気ダクト11は、グリル庫10の後端に連設されて上向きに延びる横長の四角筒状で、排気ダクト11の上端は、天板3に形成される排気口16と接続されている。
また、グリル庫10の底部には、前方から出し入れ可能に収納される支持枠20が設けられている。この支持枠20上に、焼き網台21と汁受け皿22とがそれぞれ設けられて、支持枠20の出し入れに伴ってグリル庫10から同時に出し入れ可能となっている。
【0011】
まず、支持枠20は、
図4に示すように、平面視矩形状に折り曲げ形成される金属製の枠体23と、その枠体23内で長手方向の前後両端に固着される前板24及び後板25とからなり、前板24には、グリル扉26が装着される。この支持枠20は、グリル庫10内部底面に設けられたレール状の支持枠受け27,27(
図1)によって前後方向へスライド可能にガイドされている。
焼き網台21は、金属製の棒材を連続状に折り曲げ形成してなる枠状で、長手方向の前後両端が支持枠20の前板24及び後板25にそれぞれ載置され、長手方向の前後両端には、中央が突出する凸字状の受け部28,28がそれぞれ上向きに折曲形成されている。
汁受け皿22は、長手方向の寸法が焼き網台21の受け部28,28の間隔よりも小さい平面視矩形状で、焼き網台21内に嵌合して支持される。
【0012】
そして、焼き網台21には、金属製の棒材によって平面視矩形状に形成される焼き網40(
図6(A))が、長手方向の前後両端を受け部28,28の左右の肩部にそれぞれ係止させることで載置可能となっているが、ここでは焼き網40に代えて、後述する調理容器50をグリル庫10内で支持するための載置台30が設けられている。
載置台30は、金属製の棒材を平面視矩形状に形成してなり、長手方向の前後両端を上向きに折曲して起立部32,32を形成した下面支持枠31と、その下面支持枠31の起立部32,32にそれぞれ連結される板状の係止板33,33と、係止板33,33の上面にそれぞれ連結され、金属製の棒材からなる周面支持枠34,34とを有している。
【0013】
下面支持枠31は、左右方向の寸法が、調理容器50の幅寸法よりも小さい間隔で形成されて、調理容器50が載置可能となっている。但し、下面支持枠31における前後方向の中央部には、1段低くなる左右一対の落ち込み部35,35が形成されて、落ち込み部35,35の前後両端が、
図5に示すように調理容器50の前後の底面をそれぞれ支持する前支持部36,36及び後支持部37,37となっている。また、各落ち込み部35と前支持部36及び後支持部37との間は、それぞれ前後方向の中央側へ行くに従って下降する下り傾斜部38,38となっている。この落ち込み部35、前支持部36、後支持部37、下り傾斜部38はそれぞれ棒材の屈曲によって形成される。
さらに、係止板33,33には、一対の突部39,39がそれぞれ形成されて、突部39,39を焼き網台21の受け部28の両肩部に係止させることで、焼き網40と同様に前後の受け部28,28の間に架け渡す格好で下面支持枠31を載置できる。
周面支持枠34,34は、左右両端が調理容器50の前後の端部形状に合致する円弧状に形成されている。
【0014】
そして、調理容器50は、上面を開口させた箱状の容器本体51と、その容器本体51の開口を閉塞する蓋体52とからなる。容器本体51は、四隅をR形状として底面を波形形状とした平面視矩形状で、左右の両辺には、本体側耳部53,53が突設されている。各本体側耳部53には前後に長い透孔54がそれぞれ形成されている。
蓋体52は、容器本体51と平面視が同形状で下面が開口し、外周に、容器本体51の開口に合致するフランジ部55を周設した浅箱状となっている。容器本体51と蓋体52とは何れも鉄製である。
また、フランジ部55における左右の両辺には、本体側耳部53,53の上側に位置する蓋側耳部56,56が突設されている。各蓋側耳部56にも前後に長い透孔57がそれぞれ形成されている。この両耳部53,56及び透孔54,57に図示しないハンドルを係止させることで、調理容器50に直接手を触れることなく持ち運び可能となる。
【0015】
また、蓋体52におけるフランジ部55の内側領域は、全周に亘り、外周側へ行くに従って下降する傾斜面となっている。後部の傾斜面において、左右方向の中央部には、閉塞部58が形成され、その左右には、それぞれ複数の蒸気逃がし孔59,59・・が形成されている。
さらに、蓋体52の中央には、下方に向けて浅く凹む凹部60が、前後方向に延びる平面視矩形状に形成されて、その凹部60の中央に、蓋側耳部56を含む蓋体52の上面よりも上方に突出するつまみ61が設けられている。
【0016】
以上の如く構成されたテーブルコンロ1においては、グリル庫10から引き出した支持枠20上に、まず焼き網台21を載置した後、その上方に汁受け皿22を、受け部28,28の間で焼き網台21に嵌合するように載置する。
次に、載置台30を、係止板33,33の突部39,39をそれぞれ受け部28,28の肩部に係止させれば、
図5に示すように載置台30が受け部28,28によって前後方向へ水平に支持される。
そして、載置台30の下面支持枠31上で周面支持枠34,34の間に、被調理物を収容した調理容器50を嵌合させれば、
図5に実線で示すように、調理容器50の前後の底面が下面支持枠31の前支持部36及び後支持部37の上面にそれぞれ当接する。よって、調理容器50は、載置台30及び焼き網台21を介して支持枠20の上方で水平に支持される。
【0017】
この調理容器50は前後寸法が長い大サイズで、載置台30もこれに合わせた大サイズ用となっている。よって、この載置台30のまま前後寸法が短い小サイズの調理容器50Aを上方から下面支持枠31に載せようとすると、
図5に二点鎖線で示すように、例えば後側の底面が後支持部37の上面に当接しても、前側の底面は前支持部36の上面に届かず、落ち込み部35まで下方へ落ち込んで傾いた状態となる。前後逆の場合も同様である。よって、ユーザは調理容器50Aがサイズ違いであることを容易に把握でき、載置台30を小サイズ用の第2の載置台に取り替えるか、或いは調理容器50Aを大サイズの調理容器50に取り替えるかすることで対応できる。なお、小サイズ用の第2の載置台(
図7に示す載置台30A)は、係止板33,33が前後に長くなって周面支持枠34,34の前後方向の間隔が載置台30よりも短くなり、落ち込み部及び下り傾斜部が設けられていない点を除いて載置台30と同じ構造となっている。
【0018】
一方、載置台30を用いず、焼き網台21上に焼き網40を載せた場合、
図6(A)に示すように、焼き網40の上面からグリル庫10の入口17の上縁部18までの上下方向の寸法H1は、二点鎖線で示す下面支持枠31の前支持部36及び後支持部37の上面から上縁部18までの上下方向の寸法H2よりも小さくなっている(H1<H2)。
また、調理容器50において、つまみ61を除く容器本体51と蓋体52(蓋側耳部56を含む)とを含む上下方向の寸法をh1、蓋体52の上面(蓋側耳部56の上面)から突出するつまみ61の上下方向の寸法をh2とすると、
H1<h1+h2、H2≧h1+h2
の関係が成立する。すなわち、つまみ61を含む調理容器50全体の上下方向の寸法は、焼き網40の上面から上縁部18までの上下方向の寸法より大きく、且つ前支持部36及び後支持部37の上面から上縁部18までの上下方向の寸法以下となっている。これは小サイズの調理容器50Aにおいても同様である。
【0019】
よって、焼き網40上に調理容器50を載せた場合、そのままグリル扉26を押し込んで支持枠20をグリル庫10内に収納しようとしても、
図6(A)に示すように、調理容器50のつまみ61がグリル庫10の上縁部18に当接し、収納できないことになる。よって、ユーザは誤使用であることを容易に把握でき、焼き網40を取り除いて載置台30を支持枠20上に載置してから調理容器50をセットすることになる。すると、
図6(B)に示すように、調理容器50のつまみ61がグリル庫10の上縁部18に干渉しないため、支持枠20をグリル庫10内に収納できる。
こうして調理容器50をセットした支持枠20をグリル庫10内に収納すれば、
図2に示すように、調理容器50は上下バーナ12,15の間に位置する高さで支持されることになる。
【0020】
一方、焼き網40上に小サイズの調理容器50Aを載せた場合も、
図7(A)に示すように、調理容器50Aのつまみ61がグリル庫10の上縁部18に当接し、収納できないことになる。よって、焼き網40を取り除いて載置台30Aを支持枠20上に載置してから調理容器50Aをセットすると、
図7(B)に示すように、調理容器50Aのつまみ61がグリル庫10の上縁部18に干渉しないため、支持枠20をグリル庫10内に収納できる。
【0021】
ここで、器体2の正面に設けたグリル5用の点消火ボタン6を押し操作すると、上下バーナ12,15へのガス流路が開放されて燃料ガスが供給されると共に、図示しないコントローラが点火電極13を作動させて上下バーナ12,15を燃焼させる。よって、調理容器50は、上下バーナ12,15の炎により上下から加熱され、内部に収容した魚等の被調理物が加熱調理される。調理容器50を加熱した燃焼排気は、グリル庫10の後部へ移動して排気ダクト11を通って排気口16から排出される。
【0022】
このとき、調理容器50の内部では、左右方向の中央部が前後方向の全長に亘って閉塞され、後部において閉塞部58の左右に蒸気逃がし孔59,59が開口しているので、閉塞部58を含む左右方向の中央部に熱気がこもりやすい状態となり、その両側は逆に蒸気逃がし孔59を介して熱気が排出されやすい状態となる。よって、左右の下バーナ15,15からの熱量が直接伝わりにくい中央部付近に十分な熱量を与えることができ、左右及び中央部において均等な加熱を行うことが可能となって焼き上がりが均一化される。特に中央部では、蓋体52に設けた凹部60によって、中央側の被調理物と蓋体52との距離が左右両側よりも近くなるため、中央側の被調理物(例えば容器本体51内に魚を左右に3尾並べたような場合の真ん中の魚)に対して多くの輻射熱を与えることができ、焼き上がりの均一化に効果的となる。この構成及び効果は、小サイズの調理容器50Aにおいても同様である。
【0023】
(載置台の落ち込み部に係る発明の効果)
上記形態のテーブルコンロ1によれば、載置台30(第1の載置台)は、調理容器50(第1の調理容器)の前後両端をそれぞれ受ける前支持部36と後支持部37とを備えていると共に、前支持部36と後支持部37との間に、両支持部36,37よりも低くなる落ち込み部35を備えていることで、前後サイズが小さい調理容器50A(第2の調理容器)を載置台30に載置しようとすると、調理容器50Aの前後何れか一方側が落ち込み部35に落ち込んで傾斜した状態となる。よって、載置台30にサイズ違いの調理容器50Aが載置されていることをユーザへ確実に認識させて誤使用を防止することができる。
【0024】
特にここでは、落ち込み部35は、調理容器50Aの前後方向の寸法よりも前後に長く形成され、落ち込み部35の前後両端には、前支持部36と後支持部37とからそれぞれ前後方向の中央側へ行くに連れて下降する下り傾斜部38,38がそれぞれ形成されているので、落ち込み部35に合わせて前後サイズの小さい調理容器50Aが載置されると、下り傾斜部38,38によって調理容器50Aの前後何れか一方側が落ち込み部35の底に落ち込んで傾斜することになる。よって、前後方向の中央に調理容器50Aが載置されても結局傾斜した状態となり、誤使用をより確実に防止可能となる。
また、載置台30は、調理容器50の左右方向の幅よりも小さい間隔で前後方向に延びる一対の棒体で形成され、各棒体に前支持部36及び後支持部37と落ち込み部35とがそれぞれ屈曲形成されているので、載置台30を低コストで簡単に形成可能となる。
【0025】
なお、落ち込み部に係る発明において、下り傾斜部の角度は上記形態に限らず、適宜変更可能で、直線状でなく湾曲状に下り傾斜させてもよい。但し、下り傾斜部は必須ではなく、前後何れか一方又は両方を省略して前後支持部と直角に繋がる形状としても差し支えない。
また、上記形態では載置台の下面支持枠を棒体で形成し、落ち込み部も棒体の屈曲により形成しているが、下面支持枠を板状体で形成し、前後支持部や落ち込み部を面形状とすることもできる。
【0026】
(調理容器の閉塞部及び蒸気逃がし孔に係る発明の効果)
上記形態のテーブルコンロ1によれば、蓋体52におけるグリル庫10内への収納状態で後側となる部分には、左右方向の中央部に設けられる閉塞部58と、閉塞部58の左右両側にそれぞれ開口する蒸気逃がし孔59,59とが形成されているので、下バーナ15(グリルバーナ)から遠くなる調理容器50(50A)の左右方向の中央部にも十分な熱量を与えることができる。よって、調理容器50(50A)内の中央側の被調理物と左右両側の被調理物とを均一に加熱調理することができる。
特にここでは、蓋体52の左右方向の中央部には、下側へ凹む凹部60が形成されているので、中央部側の被調理物に多くの輻射熱を与えることができ、焼き目の均一化に効果的となる。
【0027】
なお、調理容器の閉塞部及び蒸気逃がし孔に係る発明において、閉塞部及び蒸気逃がし孔は上記形態に限らず、閉塞部の幅を広くしたり蒸気逃がし孔の数を増減したり等、適宜変更可能である。
また、蓋体の凹部も左右幅や前後長さ、深さは変更可能で、凹部を省略することも可能である。
【0028】
(グリル庫の上縁部と調理容器とに係る発明の効果)
上記形態のテーブルコンロ1及び調理容器50(50A)によれば、支持枠20に支持される調理容器50(50A)の底面の高さが焼き網40の上面の高さよりも低くなり、焼き網40の上面からグリル庫10の入口17の上縁部18までの上下方向の寸法をH1、調理容器50(50A)の底面位置から上縁部18までの上下方向の寸法をH2とした場合に、H1<H2の関係となっており、調理容器50(50A)は、上面を開口した容器本体51と、容器本体51上に載置されて開口を閉塞する蓋体52とを備えると共に、蓋体52には上方に突出するつまみ61(干渉体)が設けられて、容器本体51と蓋体52との上下方向の寸法をh1、蓋体52の上面(蓋側耳部56の上面)から突出するつまみ61の上下方向の寸法をh2とした場合に、H1<h1+h2、H2≧h1+h2が成立している。
【0029】
よって、載置台30(30A)を用いて調理容器50(50A)を支持枠20にセットした状態では、調理容器50(50A)はグリル庫10の入口17の上縁部18に干渉することなくグリル庫10内に収納できる。一方、載置台30(30A)を用いずに焼き網40上に調理容器50(50A)をセットした状態では、調理容器50(50A)を収納しようとすると、つまみ61が上縁部18に干渉して収納できない。よって、ユーザは誤使用を容易に認識でき、焼き網40を載置台30(30A)と取り替えて調理容器50(50A)をセットすることになるため、焼き網40上に調理容器50(50A)を載置する誤使用を確実に防止することができる。
特にここでは、干渉体を持ち運び用のつまみ61としているので、蓋体52を持ち運ぶためのつまみ61を誤使用防止の干渉体に利用した合理的な構成となる。
【0030】
なお、干渉体としてはつまみに限らず、蓋体から上向きに突出させた板状や棒状の突起としてもよい。この場合、干渉体を複数設けても差し支えない。
【0031】
その他、各発明に共通して、載置台を支持する構造も、上記形態の支持枠と焼き網台とに限るものではなく、支持枠に焼き網の受け部が直接設けられたものや、支持枠と一体となった受け皿に焼き網台が載置されるもの等、焼き網と載置台とを選択的に支持可能な受け部を備えたものであれば載置台の支持構造は適宜設計変更できる。
載置台自体の構造も、焼き網台のように金属製の棒材のみによって形成したり、周面支持枠をなくして前後一体の係止板に調理容器が嵌合する透孔を形成したりすることもできる。
調理容器も、平面視矩形状に限らず、平面視が長円状や円形状等、載置台を介してグリル庫内で支持可能であれば他の形状であっても差し支えない。
その他、上記形態ではグリル付のテーブルコンロについて説明しているが、グリル付のビルトインコンロであっても各発明は適用可能である。
【符号の説明】
【0032】
1・・テーブルコンロ、2・・器体、4・・コンロ部、5・・グリル、10・・グリル庫、11・・排気ダクト、12・・上バーナ、15・・下バーナ、17・・入口、18・・上縁部、20・・支持枠、21・・焼き網台、22・・汁受け皿、23・・枠体、26・・グリル扉、28・・受け部、30,30A・・載置台、31・・下面支持枠、34・・周面支持枠、35・・落ち込み部、36・・前支持部、37・・後支持部、38・・下り傾斜部、40・・焼き網、50,50A・・調理容器、51・・容器本体、52・・蓋体、58・・閉塞部、59・・蒸気逃がし孔、60・・凹部、61・・つまみ。