(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-22
(45)【発行日】2024-01-05
(54)【発明の名称】発光ダイオードユニット及び発光ダイオード照明装置
(51)【国際特許分類】
H05B 45/54 20200101AFI20231225BHJP
F21V 19/00 20060101ALI20231225BHJP
F21S 2/00 20160101ALI20231225BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20231225BHJP
【FI】
H05B45/54
F21V19/00 150
F21S2/00 230
F21Y115:10
(21)【出願番号】P 2019182674
(22)【出願日】2019-10-03
【審査請求日】2022-09-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000103633
【氏名又は名称】オーデリック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001612
【氏名又は名称】弁理士法人きさらぎ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山田 隆彦
(72)【発明者】
【氏名】小田 伸二
(72)【発明者】
【氏名】倉田 雄次
【審査官】野木 新治
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-243479(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 45/00
F21V 19/00
F21S 2/00
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の発光ダイオードを直列接続した発光ダイオード回路が、導電性の筐体に備えられている発光ダイオードユニットであって、
前記発光ダイオード回路は、高電圧側に配置された前記発光ダイオードを含む高電圧側の発光ダイオード群と、低電圧側に配置された前記発光ダイオードを含む低電圧側の発光ダイオード群と、前記高電圧側及び前記低電圧側の発光ダイオード群の間に配置された前記発光ダイオードを含む中央側の発光ダイオード群とを有し、
前記各発光ダイオード群は、それぞれ前記発光ダイオードに対して並列接続されるバイパスコンデンサを備え、
前記中央側の発光ダイオード群において、前記バイパスコンデンサにより前記発光ダイオード1つ当たりに割り当てられる静電容量は、
前記低電圧側の発光ダイオード群において、前記バイパスコンデンサにより前記発光ダイオード1つ当たりに割り当てられる静電容量よりも小さい
ことを特徴とする発光ダイオードユニット。
【請求項2】
前記低電圧側の発光ダイオード群から前記中央側の発光ダイオード群に向かうにしたがい、各発光ダイオード群において前記バイパスコンデンサにより前記発光ダイオード1つ当たりに割り当てられる静電容量が次第に減少している
ことを特徴とする請求項1に記載の発光ダイオードユニット。
【請求項3】
前記中央側の発光ダイオード群において、直列接続した前記発光ダイオードに対して並列接続される前記バイパスコンデンサの静電容量は、
前記低電圧側の発光ダイオード群において、直列接続した前記発光ダイオードに対して並列接続される前記バイパスコンデンサの静電容量よりも小さい
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の発光ダイオードユニット。
【請求項4】
前記中央側の発光ダイオード群において、前記バイパスコンデンサに並列接続される前記発光ダイオードの直列接続数は、
前記低電圧側の発光ダイオード群において、前記バイパスコンデンサに並列接続される前記発光ダイオードの直列接続数よりも多い
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の発光ダイオードユニット。
【請求項5】
各発光ダイオード群において、前記発光ダイオードに対して並列接続される前記バイパスコンデンサの数は1つ又は複数個である
ことを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の発光ダイオードユニット。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載の発光ダイオードユニットと、
前記発光ダイオードユニットの前記発光ダイオード回路に直流電圧を出力する発光ダイオード点灯回路と
を有することを特徴とする発光ダイオード照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光ダイオードユニット及び発光ダイオード照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)は、寿命が長く、消費電力が少ないという利点を有している。このため近年では、照明装置の光源としてLEDが採用されており、住宅用LED照明装置や工場用LED照明装置が多く見られるようになってきている。これら発光ダイオード照明装置(LED照明装置)は、発光ダイオードユニット(LEDユニット)と発光ダイオード点灯回路(LED点灯回路)を備えている。
【0003】
LEDユニットは、複数のLEDと導電性(例えば、金属製)の筐体を有している。複数のLEDは、プリント基板に実装されており、各LEDが電気的に直列接続されて発光ダイオード回路(LED回路)を構成している。複数のLEDが実装されたプリント基板は筐体の内壁等に取り付けられている。この場合、LED回路と筐体との間には、プリント基板の浮遊容量が存在する。なお、導電性(金属製)の筐体は、感電防止などのため、設置時には接地(アース)される。
【0004】
LED点灯回路では、電源スイッチを介して商用電源から供給された交流電圧を全波整流し、更に、この全波整流電圧を昇圧した後に、スイッチング素子のスイッチング動作により降圧して、LED回路に出力するのに最適な直流電圧を生成する。この生成した直流電圧をLEDユニットのLED回路に出力して、各LEDに直流電流を流す。これにより、各LEDが発光する。
【0005】
ところで、外部のノイズ源(例えば、接地されている各種の機器)から発生した、例えば、9kHz程度のノイズがLED照明装置のLED点灯回路やLEDユニットに侵入してくることがある。より詳細には、ノイズ電流が、ノイズ源→LEDユニットの筐体→LED回路と筐体との間の浮遊容量→LED点灯回路→商用電源、という経路に沿い流れることがある。また、上記の経路とは逆順の経路に沿い、ノイズ電流が流れることもある。
【0006】
このように、ノイズが、LED照明装置のLEDユニットに侵入してくると、次の(a)、(b)に示すような問題が生じる。
【0007】
(a) 電源スイッチとして片切スイッチを採用した場合には、この片切スイッチを開(オフ)しても、LEDユニットのLED回路に配置されたLEDが微発光することがある。この微発光は、LEDユニットに侵入してきたノイズ(コモンモードノイズ)が、プリント基板の浮遊容量や、LEDユニットの筐体を介して、漏れ電流として大地(接地)に流れる際に、LED回路に配置されたLEDにも流れてLEDが発光することが原因である。
【0008】
より詳細に説明すると、LED照明装置に給電する商用電源が200V(単相3線式の200V)である場合には、片切スイッチをオフにしても、LED回路に配置されたLEDが微発光する。このとき、LED回路の高電圧側に近いLEDや低電圧側に近いLEDほど、微発光の光度が高くなる。なお、LED回路のLEDのうち、高電圧側及び低電圧側に配置されたLEDが微発光しやすい理由については後述する。
【0009】
なお、調光調色(発光色の異なる2つの系統のLED回路を備えており、それぞれのLED回路の明るさを調整できる)タイプのLEDユニット等では、LED回路の高電圧側または低電圧側にMOS(Metal-Oxide-Semiconductor)のスイッチを追加することがある。このようにMOSのスイッチを追加したLEDユニットでは、スイッチを追加した側で、浮遊容量を介した漏れ電流が流れにくくなる結果、高電圧側または低電圧側のうちMOSのスイッチを追加していない側が微点灯しやすくなる。つまり、LED回路の一端側において微発光が発生しやすくなる。
【0010】
更に、LED照明装置に給電する商用電源が100V(単相2線式の100V)である場合には、商用電源からLED照明装置に電気を供給する電源ライン(電圧線と中性線)のうち、中性線側の電源ラインに片切スイッチを設けた場合には、この片切スイッチをオフにしても、LED回路の高電圧側及び低電圧側において、微発光が発生しやすい。
【0011】
(b) LEDユニットの点灯時に、可聴周波数帯の耳障りな音が、常時発生する。この耳障りな音は、侵入してきたノイズが、プリント基板の浮遊容量を通って漏れ電流として流れる際に、上記プリント基板が共振することにより生ずる。
【0012】
上述した、(a)の問題、即ち、片切スイッチをオフにしてもLEDが微発光することを防止するため、LED回路のLEDに、バイパスコンデンサを接続する技術がある(例えば、特許文献1、2参照)。
【0013】
特許文献1の技術では、LED回路を構成する直列接続された複数のLEDの個々に、バイパスコンデンサを並列接続している。このため、片切スイッチをオフにした際に、侵入してきたノイズ電流が、直列接続された複数のLED側ではなく複数のバイパスコンデンサ側に流れる結果、微発光の発生を防止することができる。
【0014】
特許文献2の技術では、直列接続された複数のLEDのうち、高電圧側の複数のLEDにのみバイパスコンデンサを並列接続し、他のLEDにはバイパスコンデンサを接続しないようにしている。特許文献2によれば、片切スイッチをオフにしても高電圧側での微発光を防止できるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【文献】特開2010-80844号公報
【文献】特許第5799242号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
しかし、特許文献1の技術では、LEDの数と同数の多数のバイパスコンデンサを配置している。このため、ノイズ電流がLEDを通らずにバイパスコンデンサを通るので、LED回路と筐体との間に分散して存在する浮遊容量(プリント基板の浮遊容量)を通るノイズ電流が増加する。この結果、プリント基板の共振が増大し、LEDユニットの点灯時に発生する可聴周波数帯の耳障りな音が増大してしまう。
【0017】
特許文献2の技術では、片切スイッチをオフにした際に、外部からノイズが侵入してくると、高電圧側のLEDはバイパスコンデンサにより交流的にショートされているので微点灯しないが、バイパスされたノイズ電流が、バイパスコンデンサを配置していない低電圧側のLEDに流れ、その結果、低電圧側のLEDで微点灯が発生してしまう。
【0018】
本発明は、上述した従来技術に鑑み、外部からのノイズによるLEDユニットの微点灯を防止できると共に、LEDユニットを点灯したときの可聴周波数帯域の耳障りな音の増大を防止することができる、発光ダイオードユニット及び発光ダイオード照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明の実施形態に係る発光ダイオードユニットは、複数の発光ダイオードを直列接続した発光ダイオード回路が、導電性の筐体に備えられている発光ダイオードユニットであって、前記発光ダイオード回路は、高電圧側に配置された前記発光ダイオードを含む高電圧側の発光ダイオード群と、低電圧側に配置された前記発光ダイオードを含む低電圧側の発光ダイオード群と、前記高電圧側及び前記低電圧側の発光ダイオード群の間に配置された前記発光ダイオードを含む中央側の発光ダイオード群とを有し、前記各発光ダイオード群は、それぞれ前記発光ダイオードに対して並列接続されるバイパスコンデンサを備え、前記中央側の発光ダイオード群において、前記バイパスコンデンサにより前記発光ダイオード1つ当たりに割り当てられる静電容量は、前記高電圧側の発光ダイオード群及び前記低電圧側の発光ダイオード群の少なくとも一方の発光ダイオード群において、前記バイパスコンデンサにより前記発光ダイオード1つ当たりに割り当てられる静電容量よりも小さい。
【0020】
本発明の実施形態に係る発光ダイオードユニットにおいて、前記高電圧側の発光ダイオード群及び前記低電圧側の発光ダイオード群の少なくとも一方の発光ダイオード群から前記中央側の発光ダイオード群に向かうにしたがい、各発光ダイオード群において前記バイパスコンデンサにより前記発光ダイオード1つ当たりに割り当てられる静電容量が次第に減少していても良い。
【0021】
本発明の実施形態に係る発光ダイオードユニットは、前記中央側の発光ダイオード群において、直列接続した前記発光ダイオードに対して並列接続される前記バイパスコンデンサの静電容量は、前記高電圧側の発光ダイオード群及び前記低電圧側の発光ダイオード群の少なくとも一方の発光ダイオード群において、直列接続した前記発光ダイオードに対して並列接続される前記バイパスコンデンサの静電容量よりも小さくてもよい。
【0022】
本発明の実施形態に係る発光ダイオードユニットは、前記中央側の発光ダイオード群において、前記バイパスコンデンサに並列接続される前記発光ダイオードの直列接続数は、前記高電圧側の発光ダイオード群及び前記低電圧側の発光ダイオード群の少なくとも一方の発光ダイオード群において、前記バイパスコンデンサに並列接続される前記発光ダイオードの直列接続数よりも多くてもよい。
【0023】
本発明の実施形態に係る発光ダイオードユニットは、各発光ダイオード群において、前記発光ダイオードに対して並列接続される前記バイパスコンデンサの数は1つ又は複数個であってもよい。
【0024】
本発明の実施形態に係る発光ダイオード照明装置は、上述したいずれかの発光ダイオードユニットと、前記発光ダイオードユニットの前記発光ダイオード回路に直流電圧を出力する発光ダイオード点灯回路とを有する。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、ノイズが発光ダイオードユニットに侵入してきた場合であっても、電源スイッチである片切スイッチを開(オフ)にしたときにLEDユニットが微点灯することを防止できると共に、LEDユニットを点灯したときの可聴周波数帯域の耳障りな音の増大を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係る、発光ダイオードユニット及び発光ダイオード照明装置の回路構成を示す回路図である。
【
図2】本発明の第2の実施形態に係る、発光ダイオードユニット及び発光ダイオード照明装置の回路構成を示す回路図である。
【
図3】比較例に係る、発光ダイオードユニット及び発光ダイオード照明装置の回路構成を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、添付の図面を参照して、この発明の実施形態に係る発光ダイオードユニット及び発光ダイオード照明装置を詳細に説明する。
【0028】
[第1の実施形態]
図1を参照して、本発明の第1の実施形態に係る、発光ダイオードユニット、及び、この発光ダイオードユニットと発光ダイオード点灯回路を有する発光ダイオード照明装置について説明する。
【0029】
[発光ダイオード照明装置の説明]
本実施形態に係る発光ダイオード照明装置(LED照明装置)10は、発光ダイオード点灯回路(LED点灯回路)100と発光ダイオードユニット(LEDユニット)200を有している。LED点灯回路100の入力端子101a,101bには、電源ラインLi1,Li2を介して商用電源50が接続されている。電源ラインLi2には、片切スイッチSWが介装されている。このLED点灯回路100は、商用電源50から供給された交流電圧を整流すると共に、整流した全波整流電圧の電圧値を調整して、LEDユニット200に出力するものである。LEDユニット200は、LED点灯回路100から直流電圧が入力されることにより点灯して照明をするものである。
【0030】
[LED点灯回路の説明]
LED点灯回路100は、整流回路110と、力率改善回路(PFC(Power Factor Correction)回路)120と、発光ダイオードドライバ回路(LEDドライバ回路)130を有している。
【0031】
整流回路110は、4つのダイオードD1,D2,D3,D4を用いたブリッジ整流回路である。この整流回路110は、入力端子101a,101b及び電源ラインLi1,Li2を介して商用電源50に接続されている。片切スイッチSWが閉(オン)されて、商用電源50から交流電圧(例えば、100Vまたは200V、50Hzまたは60Hz)が、整流回路110に入力されると、整流回路110は全波整流をし、この整流した電圧がPFC回路120に入力される。
【0032】
PFC回路120は、力率制御回路(PFC制御IC)121と、1次リアクトルL1及び2次リアクトルL2を有する昇圧用コイル122と、電源回路123と、抵抗R1,R2,R3,R4,R5と、ダイオードD5と、コンデンサC1を備えている。
【0033】
整流回路110からPFC回路120に整流した直流電圧が入力されると、電源回路123は、PFC制御IC121に駆動電圧を供給する。これによりPFC制御IC121が駆動される。PFC制御IC121は、昇圧用コイル122の1次リアクトルL1に流れる電流を適切に調整する制御を行うことにより、入力電流を正弦波にして力率を改善する。1次リアクトルL1、ダイオードD5及びコンデンサC1は、昇圧用コイル122により昇圧された電圧を平滑化することによって高電圧(例えば、400V)の平滑化電圧を生成し、この平滑化電圧をコンデンサC1にチャージする。このコンデンサC1にチャージされた電圧が、PFC回路120の出力電圧となり、この電圧がLEDドライバ回路130に供給される。
【0034】
PFC制御IC121は、整流回路110から入力される整流電圧を抵抗R1,R2で分圧した電圧値と、コンデンサC1にチャージされた電圧を抵抗R3,R4で分圧した電圧値とを比較する。このようにして得た比較値に基づき、PFC制御IC121は、力率改善制御を適切に行うと共に、コンデンサC1にチャージされる電圧の電圧値を所定値(例えば、400V)に維持する制御を行う。このように、PFC回路120は、昇圧コンバータとしても機能している。
【0035】
LEDドライバ回路130は、ドライバ制御回路(ドライバ制御IC)131と、コンバータ回路132と、起動回路133と、ダイオードD6,D7と、コンデンサC2を備えている。
【0036】
ドライバ制御IC131は、レギュレータを内蔵した内部電源回路131aの他、コンバータ回路132を制御する各種の機能回路(図示省略)を有している。内部電源回路131aは、その高電位側が外部電源入力端子Vinに接続されており、その低電位側が正電源電圧端子Vccに接続されている。正電源電圧端子Vccは、コンデンサC2を介してグラウンド端子Gに接続されている。グラウンド端子Gは、コンバータ回路132の抵抗R6とリアクトルL3の接続ノードに接続され、起動後に電位がゼロと400Vの間を繰り返すフローティンググラウンドになっている。
【0037】
コンバータ回路132は、スイッチング素子Q1と、抵抗R6,R7と、リアクトルL3と、転流ダイオードD8と、コンデンサC3を備えている。スイッチング素子Q1は、ハイサイド配置、即ち、負荷であるLEDユニット200の発光ダイオード回路210(後述)よりも高電圧側に配置されている。このスイッチング素子Q1は、ドライバ制御IC131によりオンオフ動作が制御される。
【0038】
スイッチング素子Q1がオンのときには、PFC回路120から供給された直流電圧によりリアクトルL3に電流が流れて、リアクトルL3に電磁エネルギーが蓄積される。スイッチング素子Q1がオフのときには、リアクトルL3に蓄積された電磁エネルギーが放出される。このとき、ドライバ制御IC131は、電流検出用の抵抗R6に発生した電圧を基にリアクトルL3に流れる電流値を検出して、スイッチング素子Q1のオンオフ動作(PWM制御:Pulse Width Modulation)を適切に行う。これにより、定電流制御を行う。
【0039】
このような電磁エネルギーの蓄積・放出によりコンデンサC3が充電され、その両端には、LEDユニット200に出力するのに適切な電圧値(例えば、126V)に降圧された直流電圧が発生する。コンデンサC3に発生した直流電圧が、LEDドライバ回路130の出力電圧となり、この直流電圧が、出力端子102a,102b及び電源ラインLi3,Li4を介して、LEDユニット200に入力される。このように、LEDドライバ回路130は、降圧コンバータとしても機能している。
【0040】
本実施形態においては、LED点灯回路100は、昇圧コンバータとして機能するPFC回路120と、降圧コンバータとして機能するLEDドライバ回路130を備えた、2コンバータ方式と呼ばれる2段階構成になっている。このため、商用電源50の電圧値が変動しても、LEDユニット200による照明がちらつかない。これは、2つのコンバータが独立して制御されており、互いに干渉することがないので、広い入力電圧範囲及び負荷条件でも、高い精度で出力電圧(LEDドライバ回路130から出力される電圧)の調整ができるからである。
【0041】
起動回路133は、抵抗R8を有している。この起動回路133には、PFC回路120から高電圧(例えば、400V)の直流電圧が供給される。このように供給された直流電圧は起動電圧として、抵抗R8、ダイオードD6を介して、内部電源回路131aに入力される。また、PFC回路120の電源回路123からの駆動電圧(例えば、20V)も、ダイオードD7を介して、内部電源回路131aに入力される。
【0042】
電源スイッチである片切スイッチSWが開(オフ)のときには、フローティンググラウンド(グラウンド端子G)の電位はゼロである。電源スイッチである片切スイッチSWが閉(オン)になると、起動回路133の起動電圧による電流は、ダイオードD6を介して内部電源回路131aに流れ込むと共に、PFC回路120の電源回路123の駆動電圧による電流も、ダイオードD7を介して内部電源回路131aに流れ込み、コンデンサC2が充電されてドライバ制御IC131が起動し、スイッチング素子Q1をオンする。これに伴い、フローティンググラウンドの電位が上昇する。電源回路123の駆動電圧による電流は、フローティンググラウンドの電位が上昇してくると減少し、フローティンググラウンドの電位が例えば20Vになると、この電流はゼロになる。起動回路133の起動電圧による電流も、フローティンググラウンドの電位が上昇してくると減少し、フローティンググラウンドの電位が400Vに近づくと、この電流はゼロになる。これにより、起動回路133はオフになるが、ドライバ制御IC131は、コンデンサC2に充電された電位で動作してスイッチング素子Q1をオンオフし、それに伴ってフローティンググラウンド電位もゼロと400Vとの間を繰り返す定常状態になる。
【0043】
[LEDユニットの説明]
LEDユニット200は、複数の発光ダイオード(LED)201を有している。これらLED201は、電気的に直列接続されて、発光ダイオード回路(LED回路)210を構成している。LED回路210は、図示しないプリント基板に実装されている。LED回路210が実装されたプリント基板は、導電性(例えば、金属製)の筐体220内に備えられている。具体的には、LED回路210が実装されたプリント基板は筐体220の内壁等に取り付けられている。このため、LED回路210(各LED201)と筐体220の間には、プリント基板の浮遊容量Csが存在する。なお、筐体220は、感電防止などのために、接地(アース)されている。
【0044】
本実施形態では、LED回路210を構成する直列接続された複数のLED201は、3以上の区間に分割され、各区間で発光ダイオード群GP1,GP2・・・GC1,GC2・・・GN1,GN2を構成している。各発光ダイオード群GP1,GP2・・・GC1,GC2・・・GN1,GN2は、本実施形態では、直列接続した3つのLED201を有している。また、各発光ダイオード群GP1,GP2・・・GC1,GC2・・・GN1,GN2には、直列接続された3つのLED201に対して並列接続されるバイパスコンデンサCP1,CP2・・・CC1,CC2・・・CN1,CN2が備えられている。バイパスコンデンサCP1,CP2・・・CC1,CC2・・・CN1,CN2は、各発光ダイオード群GP1,GP2・・・GC1,GC2・・・GN1,GN2のLED201に対して並列接続されることにより、バイパスコンデンサCP1,CP2・・・CC1,CC2・・・CN1,CN2同士は、直列接続される。
【0045】
このとき、中央側の各発光ダイオード群GC1,GC2に備えたバイパスコンデンサCC1,CC2の静電容量は、高電圧側の各発光ダイオード群GP1,GP2に備えたバイパスコンデンサCP1,CP2の静電容量、及び、低電圧側の各発光ダイオード群GN1,GN2に備えたバイパスコンデンサCN1,CN2の静電容量よりも小さくなっている。なお、本実施形態では、高電圧側に備えたバイパスコンデンサCP1,CP2の静電容量と、低電圧側に備えたバイパスコンデンサCN1,CN2の静電容量を等しくしている。
【0046】
このような構成になっているため、中央側の各発光ダイオード群GC1,GC2においてバイパスコンデンサCC1,CC2により1つのLED201に割り当てられる静電容量は、高電圧側の各発光ダイオード群GP1,GP2においてバイパスコンデンサCP1,CP2により1つのLED201に割り当てられる静電容量、及び、低電圧側の各発光ダイオード群GN1,GN2においてバイパスコンデンサCN1,CN2により1つのLED201に割り当てられる静電容量よりも小さくなっている。
【0047】
[第1の実施形態と比較例との違いの説明]
ここで、
図1に示す第1の実施形態の特徴点を、
図3に示す比較例と対比することにより説明する。
図3に示す比較例のLED照明装置10Aは、LED点灯回路100とLEDユニット200Aを有している。比較例のLED点灯回路100は、第1の実施形態のLED点灯回路100と同じ構成である。第1の実施形態のLEDユニット200はバイパスコンデンサCP1,CP2・・・CC1,CC2・・・CN1,CN2を有しているが、比較例のLEDユニット200Aは、このようなバイパスコンデンサを有していない。比較例のLEDユニット200Aの他の部分の構成は、第1の実施形態のLEDユニット200と同じ構成になっている。
【0048】
図3に示す比較例において、片切スイッチSWを開(オフ)にしたときに、外部のノイズ源NSから、例えば、9kHzのノイズが、LED照明装置10AのLED点灯回路100やLEDユニット200Aに侵入してきたときの状態を説明する。なお、商用電源50は、単相3線式の200Vであるとする。
【0049】
片切スイッチSWを開(オフ)にしても電源ラインLi1を介して発光ダイオード照明装置10A(LED点灯回路100)の入力端子101aには、交流電圧が印加され続ける。入力端子101aの電位が正電位になったタイミングでは、入力端子101aの電位が接地電位よりも高いので、
図3において経路Ro1に沿い、ノイズ電流が流れる。このとき、LED回路210の高電圧側において、ノイズ電流が、プリント基板の浮遊容量Csや、筐体220を介して、大地(接地)側に流れる。このようにして流れるノイズ電流は、LED回路210の高電圧側に配置されたLED201にも流れるため、高電圧側のLED201が微発光しやすい。
【0050】
一方、入力端子101aの電位が負電位になったタイミングでは、入力端子101aの電位が接地電位よりも低いので、
図3において経路Ro2に沿い、ノイズ電流が流れる。このとき、LED回路210の低電圧側において、ノイズ電流が、筐体220や、プリント基板の浮遊容量Csを介して、大地(接地)からLED回路210側に流入してくる。このようにして流れるノイズ電流は、LED回路210の低電圧側に配置されたLED201にも流れるため、低電圧側のLED201が微発光しやすい。
【0051】
入力端子101aの電位は、例えば50Hzまたは60Hzの周期で、高電位と負電位に交互に入れ替わるので、LED回路210の高電圧側と低電圧側に配置されたLED201において微発光が継続する。なお、片切スイッチSWを電源ラインLi1側に介装した場合にも、上述した経路Ro1,Ro2にノイズ電流が流れて、LED回路210の高電圧側と低電圧側に配置されたLED201において微発光が継続する。
【0052】
なお、LED回路210の高電圧側及び低電圧側から中央側に向かうにしたがい、各LED201の順方向電圧VFが重なってきて、電圧降下分が増加してくる。このため、LED回路210の中央側に向かうにしたがい、ノイズ電流の値は大幅に小さくなるため、LED回路210の中央側では微発光の程度は小さくなる。
【0053】
[第1の実施形態の動作の説明]
第1の実施形態では、
図1に示すように、直列接続された複数のLED201(LED回路210)に対して、バイパスコンデンサCP1,CP2・・・CC1,CC2・・・CN1,CN2を並列接続している。このため、ノイズ源NSから発生した、例えば、9kHzのノイズがLEDユニット200に侵入してきても、ノイズ電流は、低インピーダンスとなっているバイパスコンデンサCP1,CP2・・・CC1,CC2・・・CN1,CN2を流れ、LED回路210に流れることはない。このため、LED回路210の両端側(高電圧側及び低電圧側)に配置されたLED201が微発光することはない。なお、本実施形態において想定しているノイズの周波数は、9kHzに限らず、例えば、5kHz~20kHzである。
【0054】
第1の実施形態では、前述したように、中央側の発光ダイオード群GC1,GC2においてバイパスコンデンサCC1,CC2により1つのLED201に割り当てられる静電容量が、高電圧側の発光ダイオード群GP1,GP2、及び、低電圧側の発光ダイオード群GN1,GN2おいてバイパスコンデンサCP1,CP2,CN1,CN2により1つのLED201に割り当てられる静電容量よりも小さくなっている。逆に言えば、高電圧側及び低電圧側の発光ダイオード群GC1,GC2,GN1,GN2において1つのLED201に割り当てられる静電容量が、中央側の発光ダイオード群GC1,GC2において1つのLED201に割り当てられる静電容量よりも大きくなっている。
【0055】
前述したように、微発光はLED回路210の高電圧側と低電圧側に配置されたLED201において発生しやすいので、高電圧側及び低電圧側の発光ダイオード群GP1,GP2,GN1,GN2において1つのLED201に割り当てられる静電容量を、中央側の発光ダイオード群GC1,GC2において1つのLED201に割り当てられる静電容量よりも大きくすることにより、微発光の発生を効果的に防止することができる。
【0056】
また、第1の実施形態では、各発光ダイオード群GP1,GP2・・・GC1,GC2・・・GN1,GN2に、1つのバイパスコンデンサCP1,CP2・・・CC1,CC2・・・CN1,CN2を備える構成としているため、複数のLED201の個々にバイパスコンデンサを並列接続する場合に比べて、バイパスコンデンサの配置数を削減することができる。しかも、中央側に配置したパイパスコンデンサCC1,CC2の静電容量は小さくなっている。
【0057】
このように、配置するバイパスコンデンサの数を削減するとともに、中央側でのバイパスコンデンサの静電容量を小さくしているので、片切スイッチSWを閉(オン)にしてLEDユニット200を点灯した場合であっても、発生する可聴周波数帯域の耳障りな音の増大を防止することができる。
【0058】
結局、本実施形態では、微発光の発生を防止することができる必要最低限のパイパスコンデンサCP1,CP2・・・CC1,CC2・・・CN1,CN2を備えることにより、微発光の発生を防止しつつ、可聴周波数帯域の耳障りな音の増大を防止しているのである。
【0059】
なお、第1の実施形態において、各発光ダイオード群において、LED201の直列接続数は、3個に限るものではなく、任意の複数個にすることができる。
【0060】
[第1の実施形態の変形例]
第1の実施形態において、LEDユニット200の第1の変形例としては、次のような構成を採用することができる。即ち、高電圧側の各発光ダイオード群GP1,GP2から中央側の発光ダイオード群GC1,GC2に向かうにしたがい、各発光ダイオード群に備えるバイパスコンデンサの静電容量を次第に減少させ、並びに、低電圧側の発光ダイオード群GN1,GN2から中央側の発光ダイオード群GC1,GC2に向かうにしたがい、各発光ダイオード群に備えるバイパスコンデンサの静電容量を次第に減少させる構成とする。つまり、高電圧側及び低電圧側から中央側に向かうにしたがい、各発光ダイオード群に備えるバイパスコンデンサの静電容量を次第に減少させる構成とする。逆にいえば、中央側から高電圧側及び低電圧側に向かうにしたがい、各発光ダイオード群に備えるバイパスコンデンサの静電容量を次第に増大させる構成とする。
【0061】
バイパスコンデンサCP1,CP2・・・CC1,CC2・・・CN1,CN2を備えていない場合には、LED回路210の高電圧側に近いLED201や低電圧側に近いLED201ほど、微発光の光度が高くなる。第1の変形例では、中央側から高電圧側及び低電圧側に向かうにしたがい、各発光ダイオード群に備えるバイパスコンデンサの静電容量を次第に増大させる構成としているため、LED回路210の両端での微発光の発生を効果的に防止することができる。
【0062】
また、第1の変形例では、高電圧側及び低電圧側から中央側に向かうにしたがい、各発光ダイオード群に備えるバイパスコンデンサの静電容量を次第に減少させる構成としているため、配置するバイパスコンデンサ全体の静電容量を低減することができる。このため、可聴周波数帯域の耳障りな音の増大を効果的に防止することができる。
【0063】
第1の実施形態において、LEDユニット200の第2の変形例としては、下記の(1)または(2)のいずれか一方の構成を有しているものとすることができる。
(1) 中央側の各発光ダイオード群GC1,GC2に備えたバイパスコンデンサCC1,CC2の静電容量は、高電圧側の各発光ダイオード群GP1,GP2に備えたバイパスコンデンサCP1,CP2の静電容量よりも小さくなっている。逆にいえば、高電圧側に配置したバイパスコンデンサCP1,CP2の静電容量を大きくしている。
(2) 中央側の各発光ダイオード群GC1,GC2に備えたバイパスコンデンサCC1,CC2の静電容量は、低電圧側の各発光ダイオード群GN1,GN2に備えたバイパスコンデンサCN1,CN2の静電容量よりも小さくなっている。逆にいえば、低電圧側に配置したバイパスコンデンサCN1,CN2の静電容量を大きくしている。
【0064】
MOSのスイッチをLED回路210の低電圧側に備えたLEDユニット200では、高電圧側で微発光が発生しやすいので、高電圧側に配置したバイパスコンデンサCP1,CP2の静電容量を大きくした上記(1)の構成を採用することにより、高電圧側での微発光の発生を効果的に防止することができる。
【0065】
MOSのスイッチをLED回路210の高電圧側に備えたLEDユニット200では、低電圧側で微発光が発生しやすいので、低電圧側に配置したバイパスコンデンサCN1,CN2の静電容量を大きくした上記(2)の構成を採用することにより、低電圧側での微発光の発生を効果的に防止することができる。
【0066】
第1の実施形態において、LEDユニット200の第3の変形例としては、各発光ダイオード群に備えるバイパスコンデンサの数を、1に限らず複数にした構成を採用することもできる。この場合、各発光ダイオード群においてLED201の直列接続数を等しくする一方で、中央側の発光ダイオード群に備えたバイパスコンデンサの合成静電容量を、高電圧側及び低電圧側の発光ダイオード群に備えたバイパスコンデンサの合成静電容量よりも小さくする。
【0067】
[第2の実施形態]
図2を参照して、本発明の第2の実施形態に係る、発光ダイオードユニット、及び、この発光ダイオードユニットと発光ダイオード点灯回路を有する発光ダイオード照明装置について説明する。
【0068】
[発光ダイオード照明装置の説明]
本実施形態に係る発光ダイオード照明装置(LED照明装置)10-2は、発光ダイオード点灯回路(LED点灯回路)100と発光ダイオードユニット(LEDユニット)200-2を有している。LED点灯回路100の入力端子101a,101bには、電源ラインLi1,Li2を介して商用電源50が接続されている。電源ラインLi2には、片切スイッチSWが介装されている。このLED点灯回路100は、商用電源50から供給された交流電圧を整流すると共に、整流した全波整流電圧の電圧値を調整して、LEDユニット200-2に出力するものである。このLED点灯回路100の構成は、
図1に示す実施例1におけるLED点灯回路100と同様な構成になっている。LEDユニット200-2は、LED点灯回路100から直流電圧が入力されることにより点灯して照明をするものである。
【0069】
[LEDユニットの説明]
LEDユニット200-2は、複数の発光ダイオード(LED)201を有している。これらLED201は、電気的に直列接続されて、発光ダイオード回路(LED回路)210を構成している。LED回路210は、図示しないプリント基板に実装されている。LED回路210が実装されたプリント基板は、導電性(例えば、金属製)の筐体220内に備えられている。具体的には、LED回路210が実装されたプリント基板は筐体220の内壁等に取り付けられている。このため、LED回路210(各LED201)と筐体220の間には、プリント基板の浮遊容量Csが存在する。なお、筐体220は、感電防止などのために、接地(アース)されている。
【0070】
本実施形態では、LED回路210を構成する直列接続された複数のLED201は、3以上の区間に分割され、各区間で発光ダイオード群gP1,gP2・・・gC1,gC2・・・gN1,gN2を構成している。各発光ダイオード群gP1,gP2・・・gC1,gC2・・・gN1,gN2は、直列接続した複数のLED201を有している。また、各発光ダイオード群gP1,gP2・・・gC1,gC2・・・gN1,gN2には、直列接続された複数のLED201に対して並列接続されるバイパスコンデンサCP21,CP22・・・CC21,CC22・・・CN21,CN22が備えられている。これらバイパスコンデンサCP21,CP22・・・CC21,CC22・・・CN21,CN22の静電容量は同一である。バイパスコンデンサCP21,CP22・・・CC21,CC22・・・CN21,CN22は、各発光ダイオード群gP1,gP2・・・gC1,gC2・・・gN1,gN2のLED201に対して並列接続されることにより、バイパスコンデンサCP21,CP22・・・CC21,CC22・・・CN21,CN22同士は、直列接続される。
【0071】
本実施形態では、直列接続された複数のLED201(LED回路210)に対して、バイパスコンデンサCP21,CP22・・・CC21,CC22・・・CN21,CN22を並列接続している。このため、ノイズ源NSから発生した、例えば、9kHzのノイズがLEDユニット200-2に侵入してきても、ノイズ電流は、低インピーダンスとなっているバイパスコンデンサCP21,CP22・・・CC21,CC22・・・CN21,CN22を流れ、LED回路210に流れることはない。このため、LED回路210の両端側(高電圧側及び低電圧側)に配置されたLED201が微発光することはない。
【0072】
第2の実施形態では、中央側の各発光ダイオード群gC1,gC2は、直列接続した4つのLED201を有している。高電圧側の各発光ダイオード群gP1,gP2及び低電圧側の各発光ダイオード群gN1,gN2は、直列接続した3つのLED201を有している。つまり、中央側の各発光ダイオード群gC1,gC2では、直列接続された4つのLED201に対して1つのバイパスコンデンサが並列接続され、高電圧側の各発光ダイオード群gP1,gP2及び低電圧側の各発光ダイオード群gN1,gN2では、直列接続された3つのLED201に対して1つのバイパスコンデンサが並列接続されている。
【0073】
このような構成になっているため、中央側の各発光ダイオード群gC1,gC2においてバイパスコンデンサCC21,CC22により1つのLED201に割り当てられる静電容量は、高電圧側の各発光ダイオード群gP1,gP2においてバイパスコンデンサCP21,CP22により1つのLED201に割り当てられる静電容量、及び、低電圧側の発光ダイオード群gN1,gN2においてバイパスコンデンサCN21,CN22により1つのLED201に割り当てられる静電容量よりも小さくなっている。逆に言えば、高電圧側及び低電圧側の発光ダイオード群gC1,gC2,gN1,gN2において1つのLED201に割り当てられる静電容量が、中央側の発光ダイオード群gC1,gC2において1つのLED201に割り当てられる静電容量よりも大きくなっている。
【0074】
前述したように、微発光はLED回路210の高電圧側と低電圧側に配置されたLED201において発生しやすいので、高電圧側及び低電圧側の発光ダイオード群gP1,gP2,gN1,gN2において1つのLED201に割り当てられる静電容量を、中央側の発光ダイオード群gC1,gC2において1つのLED201に割り当てられる静電容量よりも大きくすることにより、微発光の発生を効果的に防止することができる。
【0075】
また、第2の実施形態では、各発光ダイオード群gP1,gP2・・・gC1,gC2・・・gN1,gN2に、1つのバイパスコンデンサCP21,CP22・・・CC21,CC22・・・CN21,CN22を備える構成としているため、複数のLED201の個々にバイパスコンデンサを並列接続する場合に比べて、バイパスコンデンサの配置数を削減することができる。
【0076】
このように、配置するバイパスコンデンサの数を削減しているので、片切スイッチSWを閉(オン)にしてLEDユニット200を点灯した場合であっても、発生する可聴周波数帯域の耳障りな音の増大を防止することができる。
【0077】
結局、本実施形態では、微発光の発生を防止することができる必要最低限のパイパスコンデンサCP21,CP22・・・CC21,CC22・・・CN21,CN22を備えることにより、微発光の発生を防止しつつ、可聴周波数帯域の耳障りな音の増大を防止しているのである。
【0078】
なお、第2の実施形態において、各発光ダイオード群において、LED201の直列接続数は、3個または4個に限るものではなく、任意の複数個にすることができる。
【0079】
[第2の実施形態の変形例]
第2の実施形態において、LEDユニット200-2の第1の変形例としては、次のような構成を採用することができる。即ち、高電圧側の各発光ダイオード群gP1,gP2から中央側の発光ダイオード群gC1,gC2に向かうにしたがい、各発光ダイオード群に備える直列接続されたLED201の数を次第に増大させ、並びに、低電圧側の発光ダイオード群gN1,gN2から中央側の発光ダイオード群gC1,gC2に向かうにしたがい、各発光ダイオード群に備える直列接続されたLED201の数を次第に増大させる構成とする。つまり、高電圧側及び低電圧側から中央側に向かうにしたがい、各発光ダイオード群に備える直列接続されたLED201の数を次第に増大させる構成とする。逆にいえば、中央側から高電圧側及び低電圧側に向かうにしたがい、各発光ダイオード群に備える直列接続されたLED201の数を次第に減少させる構成とする。
【0080】
バイパスコンデンサCP21,CP22・・・CC21,CC22・・・CN21,CN22を備えていない場合には、LED回路210の高電圧側に近いLED201や低電圧側に近いLED201ほど、微発光の光度が高くなる。第1の変形例では、中央側から高電圧側及び低電圧側に向かうにしたがい、各発光ダイオード群に備える直列接続されたLED201の数を次第に減少させる構成としているため、LED回路210の両端での微発光の発生を効果的に防止することができる。
【0081】
また、第1の変形例では、高電圧側及び低電圧側から中央側に向かうにしたがい、各発光ダイオード群に備える直列接続されたLED201の数を次第に増大させる構成としているため配置するバイパスコンデンサの数を低減することができる。このため、可聴周波数帯域の耳障りな音の増大を効果的に防止することができる。
【0082】
第2の実施形態において、LEDユニット200-2の第2の変形例としては、下記の(3)または(4)のいずれか一方の構成を有しているものとすることができる。
(3) 中央側の発光ダイオード群GC1,GC2に備えた直列接続されたLED201の数は、高電圧側の発光ダイオード群gP1,gP2に備えた直列接続されたLED201の数よりも多くなっている。逆にいえば、高電圧側に備えた直列接続されたLED201の数を少なくしている。
(4) 中央側の発光ダイオード群gC1,gC2に備えた直列接続されたLED201の数は、低電圧側の発光ダイオード群gN1,gN2に備えた直列接続されたLED201の数よりも多くなっている。逆にいえば、低電圧側に備えた直列接続されたLED201の数を少なくしている。
【0083】
MOSのスイッチをLED回路210の低電圧側に備えたLEDユニット200では、高電圧側で微発光が発生しやすいので、高電圧側に配置したバイパスコンデンサCP21,CP22に対して並列接続されるLED201の数を少なくした上記(3)の構成を採用することにより、高電圧側での微発光の発生を効果的に防止することができる。
【0084】
MOSのスイッチをLED回路210の高電圧側に備えたLEDユニット200では、低電圧側で微発光が発生しやすいので、低電圧側に配置したバイパスコンデンサCN21,CN22に対して並列接続されるLED201の数を少なくした上記の(4)の構成を採用することにより、低電圧側での微発光の発生を効果的に防止することができる。
【0085】
第2の実施形態において、LEDユニット200-2の第3の変形例としては、各発光ダイオード群に備えるバイパスコンデンサの数を、1に限らず複数にする構成を採用することもできる。この場合、各発光ダイオード群に備えたバイパスコンデンサの合成静電容量を等しくする一方で、中央側の発光ダイオード群に備えたLED201の直列接続数を、高電圧側及び低電圧側の発光ダイオード群に備えたLED201の直列接続数よりも多くする。
【符号の説明】
【0086】
10,10-2…発光ダイオード照明装置(LED照明装置)、50…商用電源、100…発光ダイオード点灯回路(LED点灯回路)、110…整流回路、120…力率改善回路(PFC回路)、130…発光ダイオードドライバ回路(LEDドライバ回路)、131…ドライバ制御回路(ドライバ制御IC)、132…コンバータ回路、133…起動回路、Q1…スイッチング素子、200,200-2…発光ダイオードユニット(LEDユニット)、201…発光ダイオード(LED)、210…発光ダイオード回路(LED回路)、220…筐体、CP1,CP2,CC1,CC2,CN1,CN2,CP21,CP22,CC21,CC22,CN21,CN22…バイパスコンデンサ、GP1,GP2,GC1,GC2,GN1,GN2,gP1,gP2,gC1,gC2,gN1,gN2…発光ダイオード群、SW…片切スイッチ、NS…ノイズ源。