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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-22
(45)【発行日】2024-01-05
(54)【発明の名称】角ハンガ
(51)【国際特許分類】
   D06F 57/00 20060101AFI20231225BHJP
【FI】
D06F57/00 350
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019214423
(22)【出願日】2019-11-27
(65)【公開番号】P2021083672
(43)【公開日】2021-06-03
【審査請求日】2022-09-07
(73)【特許権者】
【識別番号】591109212
【氏名又は名称】東和産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100157808
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 耕平
(72)【発明者】
【氏名】河内 義晴
(72)【発明者】
【氏名】音綿 久功
(72)【発明者】
【氏名】吉田 昌弘
【審査官】村山 睦
(56)【参考文献】
【文献】実開平05-085394(JP,U)
【文献】特開2005-270581(JP,A)
【文献】特開平10-235085(JP,A)
【文献】特開2004-248996(JP,A)
【文献】特開2001-170394(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F 57/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
方形の展開状態から水平方向に折畳可能に構成された角ハンガであって、
前記方形の対辺をなすように配置された一対の連結アーム部と、
前記方形の他の対辺をなすように配置された一対の屈曲アーム部と、
前記角ハンガが折畳状態にあるときに前記方形の角隅部を形成している連結アーム部及び屈曲アーム部が水平面内において上下に重なることなく平行に並んだ状態となり得るように前記連結アーム部及び前記屈曲アーム部を水平面内において回動可能に連結している角ヒンジと、
前記一対の連結アーム部と前記一対の屈曲アーム部とに吊下られた複数のピンチと、を備え、
各屈曲アーム部は、前記方形の辺に沿って延設された複数のアーム片と、前記角ハンガが前記折畳状態にあるときに隣り合うアーム片が前記水平面内で上下に重なることなく平行に並んだ状態となり得るように前記隣り合うアーム片を連結するように構成された少なくとも1つの中間ヒンジと、を含んでいる
角ハンガ。
【請求項2】
前記中間ヒンジは、前記水平面内において互いに離間した位置において一対の垂直回動軸を形成するように構成された外殻体と、前記一対の垂直回動軸周りに回動可能に前記外殻体にそれぞれ連結された一対の接続体と、を含み、
前記隣り合うアーム片の一端部は、前記一対の接続体にそれぞれ連結されている
請求項1に記載の角ハンガ。
【請求項3】
前記中間ヒンジは、前記屈曲アーム部が前記方形の内方のみに屈曲することを許容するように構成されている
請求項1又は2に記載の角ハンガ。
【請求項4】
前記角ハンガを吊り下げ可能に直線状に延設された吊下支持体に係合可能にそれぞれ構成された一対のハンガ支持体を更に備え、
前記一対のハンガ支持体は、前記一対の連結アーム部に設けられているとともに前記角ハンガの展開方向において直線上に並ぶように配置されている
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の角ハンガ。
【請求項5】
前記角ハンガは、前記一対の連結アーム部の間において前記一対の連結アーム部の延設方向に延設された少なくとも1つの補助連結アーム部を更に備え、
各屈曲アーム部は、前記少なくとも1つの中間ヒンジとして、前記補助連結アーム部が接続されていない第1中間ヒンジと、前記補助連結アーム部に連結された第2中間ヒンジとを含み、
前記第1中間ヒンジ及び前記第2中間ヒンジは、前記屈曲アーム部上で交互に配置されている
請求項4に記載の角ハンガ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、角ハンガに関する。
【背景技術】
【0002】
折り畳み可能に構成された様々な角ハンガが開発されている(特許文献1を参照)。特許文献1の角ハンガは、水平方向及び鉛直方向に折り畳み可能な枠体と、枠体に取り付けられた複数のピンチを備えている。
【0003】
枠体は、矩形領域を形成するように構成されている。詳細には、枠体は、矩形領域の短辺をなす位置に配置された一対の水平屈曲アーム部と、矩形領域の長辺をなす位置に配置された一対の鉛直屈曲アーム部とを含んでいる。各鉛直屈曲アーム部には、上述のピンチが取り付けられているけれども、水平屈曲アーム部には、上述のピンチは取り付けられていない。
【0004】
各水平屈曲アーム部は、枠体が矩形領域を包含する水平面上での枠体の折り畳まれることを可能にするために、枢支ピンで連結された一対のアーム片を有している。各アーム片は、端部において鉛直屈曲アーム部に枢支ピンで連結されている。すなわち、アーム片の両端部は、他方のアーム片と連結アーム部とに枢支ピンによって連結されている。
【0005】
各アーム片が両端部の枢支ピンを軸に回動する結果、枠体は水平面上で折り畳まれる。枠体は、アーム片及び鉛直屈曲アーム部が鉛直方向に重なる程度まで折り畳み可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開平8-168592号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
アーム片及び鉛直屈曲アーム部が鉛直方向に重なる程度まで、枠体は折り畳み可能であるので、折畳状態にある角ハンガは、枠体の短辺方向に小さな大きさを有することができる。その一方で、アーム片及び鉛直屈曲アーム部の両方にピンチを取り付けることはできない。仮に、ピンチがこれらのアーム部材の両方に取り付けられていれば、これらのアーム部材がピンチを挟み、ピンチの破損を招くからである。したがって、上述の角ハンガは、少数のピンチしか有していないという課題を有している。
【0008】
本発明は、多数の洗濯物を同時に干すこと可能にする角ハンガを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一局面に係る角ハンガは、方形の展開状態から水平方向に折畳可能に構成されている。角ハンガは、前記方形の対辺をなすように配置された一対の連結アーム部と、前記方形の他の対辺をなすように配置された一対の屈曲アーム部と、前記角ハンガが折畳状態にあるときに前記方形の角隅部を形成している連結アーム部及び屈曲アーム部が水平面内において上下に重なることなく平行に並んだ状態となり得るように前記連結アーム部及び前記屈曲アーム部を水平面内において回動可能に連結している角ヒンジと、前記一対の連結アーム部と前記一対の屈曲アーム部とに吊下られた複数のピンチとを備えている。各屈曲アーム部は、前記方形の辺に沿って延設された複数のアーム片と、前記角ハンガが前記折畳状態にあるときに隣り合うアーム片が前記水平面内で上下に重なることなく平行に並んだ状態となり得るように前記隣り合うアーム片を連結するように構成された少なくとも1つの中間ヒンジとを含んでいる。
【0010】
上記の構成によれば、角ハンガが折畳状態にあるとき、中間ヒンジによって連結されたアーム片が並列状態になるだけでなく、角ヒンジによって連結された屈曲アーム部及び連結アーム部も並列状態になる。したがって、屈曲アーム部のアーム片が上下方向に重なったり、屈曲アーム部及び連結アーム部が上下方向に重なったりすることはない。したがって、複数のピンチが、一対の連結アーム部及び一対の屈曲アーム部それぞれに取り付けられていても、これらのアーム部がピンチを挟むことはなく、ピンチの破損が防止される。角ハンガは、ピンチの破損を防止する構造を有しているので、ピンチを一対の連結アーム部及び一対の屈曲アーム部それぞれに取り付けることが許容される。したがって、水平方向に曲がる屈曲アームにピンチが取り付けられていない従来の角ハンガと比べて、より多くの洗濯物を干すことを可能にする。
【0011】
上記の構成に関して、前記中間ヒンジは、前記水平面内において互いに離間した位置において一対の垂直回動軸を形成するように構成された外殻体と、前記一対の垂直回動軸周りに回動可能に前記外殻体にそれぞれ連結された一対の接続体とを含んでいてもよい。前記隣り合うアーム片の一端部は、前記一対の接続体にそれぞれ連結されていてもよい。
【0012】
上記の構成によれば、並列状態になったときにおいて隣り合うアーム片間の距離は、一対の垂直回動軸間の距離に略等しくなる。一対の接続体間の干渉が生じない範囲で、一対の垂直回動軸間の距離を小さな値に設定すれば、折畳状態になったときに角ハンガの大きさを小さくすることができる。
【0013】
上記の構成に関して、前記中間ヒンジは、前記屈曲アーム部が前記方形の内方のみに屈曲することを許容するように構成されていてもよい。
【0014】
上記の構成によれば、中間ヒンジは、屈曲アーム部が方形の内方のみに屈曲することを許容するように構成されているので、角ハンガが使用時にとることができる形状はある程度定まる。すなわち、展開方向に対して直角の方向における角ハンガの大きさを大きくする屈曲アーム部の外向きの屈曲は、角ハンガを収容するスペースを小さくする上では望ましくないけれども、角ハンガはこのような形状をとることはない。使用者自身が、屈曲アーム部の外向きの屈曲を防止するような取り扱いは不要になるので、角ハンガは、使用者にとって利便性の高いものとなる。
【0015】
上記の構成に関して、角ハンガは、前記角ハンガを吊り下げ可能に直線状に延設された吊下支持体に係合可能にそれぞれ構成された一対のハンガ支持体を更に備えていてもよい。前記一対のハンガ支持体は、前記一対の連結アーム部に設けられているとともに前記角ハンガの展開方向において直線上に並ぶように配置されていてもよい。
【0016】
上記の構成によれば、一対のハンガ支持体が、角ハンガの展開方向において直線上に整列しているので、吊下支持体の延設方向に角ハンガの展開方向が略合致するように角ハンガを吊るすことができる。これらの方向が略一致しているので、角ハンガを吊下支持体に吊り下げた状態で折り畳んだり展開したりすることができる。
【0017】
上記の構成に関して、前記角ハンガは、前記一対の連結アーム部の間において前記一対の連結アーム部の延設方向に延設された少なくとも1つの補助連結アーム部を更に備えていてもよい。各屈曲アーム部は、前記少なくとも1つの中間ヒンジとして、前記補助連結アーム部が接続されていない第1中間ヒンジと、前記補助連結アーム部に連結された第2中間ヒンジとを含んでいてもよい。前記第1中間ヒンジ及び前記第2中間ヒンジは、前記屈曲アーム部上で交互に配置されていてもよい。
【0018】
上記の構成によれば、一対の屈曲アーム部が方形の対辺をなすように配置されているので、これらのアーム片が長すぎる場合には、角ハンガが折り畳まれるときに、これらの屈曲アーム部が干渉することがある。この干渉を避け且つ屈曲アーム部がある程度の長さを有することができるように、第1中間ヒンジ及び第2中間ヒンジは、屈曲アーム部上で交互に配置されている。この交互配置によって、屈曲アーム部は、連結アーム部と補助連結アーム部との間で屈曲することができる。角ハンガが複数の補助連結アーム部を有している場合には、屈曲アーム部は、隣り合う補助連結アーム部間でも屈曲することができる。屈曲アーム部上には、複数の屈曲点が形成されるので、短いアーム片を用いても屈曲アーム部は、ある程度の長さを有することができる。
【発明の効果】
【0019】
上述の角ハンガは、多数の洗濯物を干すことを可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】角ハンガの概略的な平面図である。
図2】角ハンガの概略的な平面図である。
図3】角ハンガの概略的な正面図である。
図4】角ハンガの第1中間ヒンジの外殻体の概略的な斜視図である。
図5】第1中間ヒンジの接続体の概略的な斜視図である。
図6】第1中間ヒンジの接続体の概略的な斜視図である。
図7】角ハンガの第2中間ヒンジの外殻体及び連結筒の概略的な斜視図である。
図8】角ハンガの角ヒンジの外殻体及び連結筒の概略的な斜視図である。
図9】角ハンガのハンガ支持体の概略図である。
図10】不完全に展開された角ハンガの概略図である。
図11】角ハンガの概略的な平面図である。
図12】角ハンガの概略的な斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1及び図2は、角ハンガ100の概略的な平面図である。図3は、角ハンガ100の概略的な正面図である。図1乃至図3を参照して、角ハンガ100が説明される。
【0022】
角ハンガ100は、略長方形状の枠体110と、枠体110上に設けられた3つのハンガ支持体210と、枠体110から吊り下げられた多数のピンチ220とを備えている。ハンガ支持体210は、角ハンガ100を吊り下げ可能に直線上に延設された吊下支持体(たとえば、物干し竿や洗濯紐)に枠体110を連結するために用いられる部材である。ピンチ220は、洗濯物を保持する部材である。
【0023】
角ハンガ100の使用時において、枠体110は、略水平な姿勢で保持される。図1に示されている枠体110は、平面視において略長方形状の外形を有している。枠体110は、図1に示される状態から水平方向に(詳細には、長方形状の長手方向に)折畳可能に構成されている。すなわち、枠体110の形状は、図1に示されている状態と図2に示されている状態との間で変化可能である。図1に示されている状態は、以下の説明において「展開状態」と称される。図2に示されている状態は、以下の説明において「折畳状態」と称される。図3に示されている角ハンガ100は、展開状態にある。展開状態の角ハンガ100を表す図1及び図3を参照して、枠体110が以下に説明される。
【0024】
枠体110は、枠体110の短手方向に延設された2つの連結アーム部121,123及び補助連結アーム部122と、枠体110の長手方向に延設された2つの屈曲アーム部131,132とを含んでいる。連結アーム部121,123及び補助連結アーム部122は、屈曲不能である一方で、屈曲アーム部131,132は、枠体110を長手方向において折畳可能な構造とするために屈曲可能に構成されている。
【0025】
連結アーム部121,123は、長方形状の長手方向において間隔を空けて配置されている。言い換えると、連結アーム部121,123は、長方形状の短辺をなす位置に配置されている。補助連結アーム部122は、連結アーム部121,123の間において連結アーム部121,123と略平行に配置されている。補助連結アーム部122は、枠体110の長方形領域を2つの分割方形領域(略正方形状の領域)に二等分するように配置されている。連結アーム部121及び補助連結アーム部122は、枠体110の展開方向において隣り合い、分割方形領域の一対の対辺をなす位置に配置されている。補助連結アーム部122及び連結アーム部123は、枠体110の展開方向において隣り合い、隣の分割方形領域の一対の対辺をなす位置に配置されている。連結アーム部121,123及び補助連結アーム部122は、まっすぐに延設された丸パイプから構成されていてもよい。
【0026】
屈曲アーム部131,132それぞれは、枠体110が展開状態にあるときに、連結アーム部121,123の端部間で連結アーム部121,123の延設方向に対して略直角の方向に延設されている。屈曲アーム部132は、枠体110の長手方向に延びる中心軸について屈曲アーム部131と線対称になるように配置されている。すなわち、屈曲アーム部131,132は、枠体110の長方形領域の対辺をなす位置に配置されている。屈曲アーム部132は、屈曲アーム部131と構造的に同一である。屈曲アーム部131に関する以下の説明は、線対称性を考慮して、屈曲アーム部132に援用可能である。
【0027】
屈曲アーム部131は、屈曲アーム部131の屈曲点を形成する部分として、複数の中間ヒンジ(すなわち、2つの第1中間ヒンジ140及び第2中間ヒンジ170)を含んでいる。これらの中間ヒンジを接続する部材として、屈曲アーム部131は、棒状のアーム片135,136を有している。
【0028】
2つの第1中間ヒンジ140及び第2中間ヒンジ170の配置に関して、これらの第1中間ヒンジ140は、枠体110の長手方向において間隔を空けて配置されている。第2中間ヒンジ170は、これらの第1中間ヒンジ140の間に配置されている。アーム片136は、枠体110が展開状態にあるときに第1中間ヒンジ140から第2中間ヒンジ170に向けて延びる部材である。アーム片135は、枠体110が展開状態にあるときにアーム片136とは反対方向に(すなわち、連結アーム部121又は123に向けて)延びる部材である。アーム片135,136は、連結アーム部121,123及び補助連結アーム部122の長さの半分未満の長さの丸パイプから構成されてもよい。
【0029】
第1中間ヒンジ140の構造に関して、第1中間ヒンジ140は、外殻体141と、外殻体141に接続可能に構成された一対の接続体142,143とを含んでいる。これらの接続体142,143は、アーム片135,136の端部に連結可能に構成されている。外殻体141の概略的な斜視図が図4に示されている。接続体142又は143の概略的な斜視図が、図5及び図6に示されている。図1図3乃至図6を参照して、第1中間ヒンジ140が説明される。
【0030】
外殻体141は、一対の支持部144,145、立設部146及び仕切板147を含んでいる。支持部144,145は、略水平な姿勢で上下に離間した位置に配置された薄板状の部材である。立設部146は、枠体110の内周縁に沿う位置において支持部144,145間で立設された薄板状の部材である。仕切板147は、立設部146に対して直角の姿勢で支持部144,145間において立設された薄板状の部材である。仕切板147によって分けられた2つの空間に接続体142,143の基端部が配置される。
【0031】
支持部144,145は、枠体110の展開方向に長く、これらの長手方向における端部は、半円形状に湾曲している。支持部144,145それぞれの両端部には、円形貫通孔148が穿設されている。支持部144,145の円形貫通孔148は、鉛直方向に並んでいる。円形貫通孔148の中心軸は、アーム片135又は136の垂直回動軸になる。これらの垂直回動軸は、展開状態の枠体110の屈曲アーム部131の中心線上で整列している。
【0032】
立設部146には、鉛直方向に延びる両側縁から側方に凹設された凹部152が形成されている。凹部152を形成している縁部は、以下の説明において「切欠縁154」と称される。
【0033】
接続体142,143それぞれは、回動連結片161と、回動連結片161の基端において一体的に形成された回動中心部162、規制部163及び凸部164とを含んでいる。回動連結片161は、接続体142又は143をアーム片135又は136の端部と接続するために設けられている。回動中心部162は、接続体142又は143を外殻体141に回動可能に接続するために設けられている。規制部163は、接続体142又は143の回動範囲を制限するために設けられている。凸部164は、接続体142又は143と外殻体141との間の連結を強固にするために設けられている。
【0034】
回動連結片161は、略鉛直方向の軸を有する略円柱状の基端部と、略水平方向の軸を有する略円筒状の先端部とを含んでいる。回動連結片161の基端部は、開口していないのに対して、回動連結片161の先端部は、略水平方向に開口している。回動連結片161の先端部の開口を通じて、アーム片135又は136の一端部が回動連結片161内に挿入可能である。接続体142,143の回動連結片161は、枠体110が展開状態にあるときに、これらの回動連結片161の基端部が枠体110の展開方向において互いに離間した位置で対向するように配置されている。
【0035】
規制部163は、回動連結片161の基端部に一体的に形成されている。規制部163は、回動連結片161の基端部の円柱形状に対して半径方向に突出している2つの突出部によって構成されている。これらの突出部のうち一方が、回動連結片161の回動範囲を制限するために用いられる。詳細には、規制部163の突出形状は、枠体110が展開状態にあるときに、これらの突出部のうち一方が、外殻体141の立設部146の側縁に当接するように定められている。
【0036】
凸部164は、規制部163から回動連結片161の基端側に突出した一対の突出部分である。凸部164の形状及び大きさは、立設部146の凹部152と相補的である。屈曲アーム部131,132が展開状態にあるとき、凸部164は、凹部152にスナップフィット式にはまり込む。すなわち、凸部164の外周面は、切欠縁154に強く接触する。
【0037】
回動中心部162は、回動連結片161の基端部の近くにおいて上下にそれぞれ突出した一対の円形ボスによって構成されている。これらの円形ボスは、支持部144,145それぞれの両端部に形成された円形貫通孔148にはめ込まれる。この結果、接続体142,143は、外殻体141に連結される。円形ボスは、円形貫通孔148内で回転する。すなわち、回動中心部162は、支持部144,145の円形貫通孔148とともに外殻体141に対する接続体142,143の垂直回動軸を形成している。回動連結片161の長手方向における回動中心部162の形成位置及び支持部144,145の円形貫通孔148の形成位置は、枠体110が展開状態にあるときに、隣り合う回動連結片161の基端部が互いに離間しているように設定されている。
【0038】
第2中間ヒンジ170は、外殻体141、一対の接続体142と、連結筒171とを含んでいる。第2中間ヒンジ170の外殻体141及び連結筒171の概略的な斜視図が図7に示されている。
【0039】
第2中間ヒンジ170の外殻体141の支持部144,145は、角ハンガ100の展開方向において、第1中間ヒンジ140の支持部144,145よりも長い。第2中間ヒンジ170の支持部144,145それぞれの両端部に形成された円形貫通孔148の間隔は、第1中間ヒンジ140の支持部144,145それぞれの両端部に形成された円形貫通孔148の間隔よりも大きな値に設定されている。第2中間ヒンジ170の外殻体141の立設部146は、枠体110の外周縁を形成する位置に配置されている。第2中間ヒンジ170の外殻体141は、第1中間ヒンジ140の仕切板147に相当する部位を有しておらず、仕切板147に対応する位置には連結筒171が配置されている。これらの点を除いて、第2中間ヒンジ170の外殻体141は、第1中間ヒンジ140の外殻体141と同様の構造を有している。
【0040】
第2中間ヒンジ170の一対の接続体142それぞれは、支持部144,145の円形貫通孔148に回動中心部162をはめ込むことによって外殻体141に連結されている。支持部144,145の円形貫通孔148の間隔は、上述の如く比較的大きいので、第2中間ヒンジ170の一対の接続体142の基端部の間隔は、第1中間ヒンジ140の接続体142,143の基端部の間隔よりも大きくなっている。第2中間ヒンジ170の接続体142は、第1中間ヒンジ140の接続体142と構造的に同一であり、接続体142の先端面に形成された開口には、一端部が第1中間ヒンジ140の接続体142に挿入されたアーム片136の他端部が挿入されている。
【0041】
連結筒171は、第2中間ヒンジ170の一対の接続体142の基端部間の比較的広い空隙に配置されたブロック状の基端部と、枠体110の短手方向において第2中間ヒンジ170の外殻体141から突出した円筒状の先端部とを含んでいる。詳細には、連結筒171の先端部は、第2中間ヒンジ170の外殻体141から枠体110の内方に突出し、枠体110が展開状態にあるときに第2中間ヒンジ170は略T字形状をなす。連結筒171の先端面には開口が形成され、この開口に補助連結アーム部122の端部が挿入されている。
【0042】
連結筒171の基端部は、第2中間ヒンジ170の支持部144,145の間に配置されている。連結筒171の基端部は、第2中間ヒンジ170の支持部144,145及び立設部146に固定されている。すなわち、連結筒171は、接続体142とは異なり、外殻体141に対して回動不能である。
【0043】
連結筒171の基端部及び連結筒171の隣で回動可能に保持された接続体142の基端部の間での干渉が生じないように、支持部144,145の円形貫通孔148の間隔が定められている。したがって、枠体110が展開状態にあるとき、連結筒171の基端部と接続体142の基端部との間には空隙が形成されている。
【0044】
枠体110は、屈曲アーム部131,132のアーム片135を両端の連結アーム部121,123に連結するために4つの角ヒンジ180を更に備えている。これらの角ヒンジ180は、枠体110の4つの角隅部を形成している。
【0045】
これらの角ヒンジ180それぞれは、接続体143、連結筒171及び外殻体181を含んでいる。角ヒンジ180の連結筒171及び外殻体181が図8に示されている。
【0046】
連結筒171は、外殻体181に対して相対変位不能に固定されている一方で、接続体143は、外殻体181に対して回動可能に取り付けられている。詳細には、外殻体181は、上側の支持部182と、下側の支持部183と、立設部184とを含んでいる。連結筒171は、支持部182,183の間で外殻体181に固定されている。立設部184は、枠体110の長手方向における外周縁を形成する位置に配置されている。立設部184には、接続体143の凸部164とかみ合う凹部152が形成されている。支持部182,183は、連結筒171が接続された部分から第1中間ヒンジ140に向けて突出している。この突出部分には、接続体143の回動中心部162がはめ込まれる円形貫通孔148が形成されている。円形貫通孔148の形成位置は、角ハンガ100が展開状態にあるとき、接続体143の基端部と連結筒171の外周面との間に空隙が形成されるように設定されている。
【0047】
ハンガ支持体210の概略図が、図9に示されている。ハンガ支持体210は、連結アーム部121,123及び補助連結アーム部122それぞれに取り付けられている。ハンガ支持体210は、枠体110の短手方向における中間位置に配置されている。3つのハンガ支持体210は、間隔を空けて枠体110の長手方向(すなわち、角ハンガ100の展開方向)において直線上に整列している。
【0048】
これらのハンガ支持体210は、略「?」字状のフック部材によって構成されている。詳細には、ハンガ支持体210は、連結アーム部121,123及び補助連結アーム部122それぞれから上方に突出した基端部211と、基端部211の上端から略「C」字状に湾曲した湾曲アーム212とを含んでいる。湾曲アーム212は、上述の吊下支持体に引っ掛けられる部分である。吊下支持体は、湾曲アーム212によって囲まれた空間内に挿通される。この結果、枠体110は、吊下支持体から下方に所定距離だけ離間した位置(すなわち、所定の高さ位置)で保持される。
【0049】
ピンチ220は、紐付きの洗濯ばさみを用いて構成されていてもよい。洗濯ばさみの紐を用いて、これらのピンチ220は、枠体110に取付可能である。
【0050】
ピンチ220は、屈曲アーム部131,132、連結アーム部121,123及び補助連結アーム部122にそれぞれ取り付けられている。屈曲アーム部131,132用の複数のピンチ220の取付位置は、第1中間ヒンジ140、第2中間ヒンジ170及び角ヒンジ180を避けて設定されている。すなわち、これらのピンチ220は、アーム片135,136に固定されている。
【0051】
屈曲アーム部131に対する複数のピンチ220の取付位置は、屈曲アーム部132に対する複数のピンチ220の取付位置に対して枠体110の短手方向において対向する位置に設定されている。連結アーム部121,123及び補助連結アーム部122に対する複数のピンチ220の取付位置は、枠体110の長手方向に整列するように設定されている。
【0052】
図1に示されている角ハンガ100は、図2に示されている折畳状態に変形可能である。角ハンガ100が折畳状態にあるとき、屈曲アーム部131,132のアーム片135,136は、連結アーム部121,123及び補助連結アーム部122に略平行な姿勢になっている。すなわち、アーム片135,136、連結アーム部121,123及び補助連結アーム部122は、展開状態にある枠体110の短手方向に延設する姿勢になっている。角ハンガ100が折畳状態にあるとき、連結アーム部121,123及び補助連結アーム部122の延設方向に対して直角の方向における長さは短くなる。したがって、角ハンガ100の不使用時においては、角ハンガ100は、広い収容スペースをとらないように折畳状態にされることが好ましい。
【0053】
角ハンガ100が折畳状態にされても、ピンチ220が取り付けられた連結アーム部121,123、補助連結アーム部122及びアーム片135,136は短い間隔を空けて角ハンガ100の展開方向に並んでいる。この位置関係は、角ハンガ100の以下の特徴によって得られている。
【0054】
(1)展開状態にある枠体110の長手方向において、第1中間ヒンジ140及び第2中間ヒンジ170の回動中心部162が互いに離間した位置に配置されていること。
【0055】
(2)角ヒンジ180の回動中心部162が連結筒171に対して角ハンガ100の展開方向においてずれた位置に配置されていること。
【0056】
角ハンガ100が折畳状態にあるときのアーム片135,136間の間隔は、第1中間ヒンジ140の円形貫通孔148にはめ込まれた回動中心部162間の距離に略一致している。連結アーム部121,123、補助連結アーム部122及びアーム片135,136との間の距離は、展開方向における連結筒171と円形貫通孔148との間の距離に略一致している。
【0057】
角ハンガ100が使用されるとき、折畳状態から展開状態に変形される。このとき、使用者は、連結アーム部121,123を持ち、これらを左右に移動させてもよい。この間、回動中心部162は、第1中間ヒンジ140、第2中間ヒンジ170及び角ヒンジ180の外殻体141,181に形成された上述の円形貫通孔148内で回転する。この結果、アーム片135,136の両端が連結された接続体143,142は、回動中心部162周りに回転する。この間、アーム片135,136は、分割方形領域を包含する水平面内で回動する。
【0058】
角ハンガ100が展開状態にあるとき、接続体142の基端部とこの接続体142に隣り合うように配置された接続体143又は連結筒171との間に空隙が形成されている。角ハンガ100が展開状態にあるとき、接続体142の基端部は、接続体143又は連結筒171に最も接近している。角ハンガ100が展開状態から折畳状態に変形されると、接続体142の基端部は、接続体143又は連結筒171から離れるように回動する。したがって、角ハンガ100の変形の間、接続体142が接続体143又は連結筒171に干渉することはない。
【0059】
接続体143,142の変位方向には、第1中間ヒンジ140、第2中間ヒンジ170及び角ヒンジ180の立設部146,184は存在していない。すなわち、第1中間ヒンジ140の立設部146は、枠体110の内周縁に沿う位置にある一方で、第2中間ヒンジ170及び角ヒンジ180の立設部146,184は、枠体110の外周縁に沿う位置にある。第1中間ヒンジ140の接続体142,143は、外殻体141に対して外側に突出する向きに変位するけれども、第1中間ヒンジ140の立設部146は、枠体110の内周縁に沿う位置にあるので、これらの接続体142,143は立設部146に接触しない。第2中間ヒンジ170及び角ヒンジ180の接続体142,143は、第1中間ヒンジ140の接続体142,143とは逆向きに変位する。すなわち、第2中間ヒンジ170及び角ヒンジ180の接続体142,143は、外殻体141,181に対して内側に突出する向きに変位する。一方、第2中間ヒンジ170及び角ヒンジ180の立設部146,184は、枠体110の外周縁に沿う位置にあるので、第2中間ヒンジ170及び角ヒンジ180の接続体142,143は、立設部146,184に接触しない。
【0060】
アーム片135,136の両端部の回動が許容されるので、連結アーム部121,123とアーム片135との間の挟角は、連結アーム部121,123の間隔が大きくなるにつれて大きくなる。同様に、補助連結アーム部122とアーム片136との間の挟角及びアーム片135,136間の挟角も大きくなる。この結果、角ハンガ100は、図1に示されている展開状態になる。
【0061】
角ハンガ100が展開状態になると(すなわち、アーム片135,136が一線上に並んだ状態になると)、規制部163は、立設部146の側縁に当接し、接続体142,143の更なる回動が制限される。加えて、凸部164は、スナップフィット式に凹部152にはまり込むので、凸部164及び切欠縁154の接触は、使用者の触覚により認識され得る。すなわち、使用者は、凸部164がスナップフィット式に凹部152にはまり込んだことを触覚で知覚することにより、角ハンガ100が展開状態になったことを知ることができる。この結果、使用者が展開状態にある角ハンガ100を展開方向に更に引き延ばすような無理な力を加えることが防止される。
【0062】
補助連結アーム部122が連結された連結筒171は、外殻体141,181に対して回動不能であるので、角ハンガ100が折畳状態から展開状態に変形している間、連結アーム部121,123及び補助連結アーム部122の角度は不変である。一方、連結アーム部121,123は、補助連結アーム部122から距離を広げるように平行移動する。したがって、連結アーム部121,123及び補助連結アーム部122に取り付けられた3つのハンガ支持体210は、角ハンガ100が折畳状態にあっても展開状態にあっても整列している状態を保っている。言い換えると、角ハンガ100の展開方向に対して直角の方向におけるこれらのハンガ支持体210の位置は、角ハンガ100の変形の間において不変である。連結アーム部121,123が補助連結アーム部122から離間する方向に移動すると、連結アーム部121,123の中間位置に取り付けられたハンガ支持体210は、角ハンガ100の展開方向において直線的に変位する。したがって、使用者は、図2に示されている折畳状態の角ハンガ100を吊下支持体に引っ掛けた後に、連結アーム部121,123を左右に移動させてもよい。この場合、これらの連結アーム部121,123に取り付けられたハンガ支持体210は、直線上に延びる吊下支持体に沿って移動することができる。
【0063】
屈曲アーム部131に対するピンチ220の取付位置は、屈曲アーム部132に対するピンチ220の取付位置に対向する位置に設定されている。対向する位置にあるピンチ220を用いて洗濯物を吊り下げると、洗濯物は、角ハンガ100の長手方向に整然と並ぶ。
【0064】
屈曲アーム部131上のピンチ220と屈曲アーム部132上のピンチ220とを用いて洗濯物を吊り下げるには洗濯物が大きすぎる場合には、連結アーム部121,123及び補助連結アーム部122のピンチ220を用いて洗濯物を吊り下げてもよい。連結アーム部121,123及び補助連結アーム部122のピンチ220は、角ハンガ100の長手方向に整列しているので大きな洗濯物を吊り下げるのに好適に利用可能である。これらのピンチ220を用いて洗濯物が吊り下げられる場合、洗濯物を角ハンガ100の短手方向に整然と並べることも可能である。
【0065】
上述の如く、角ハンガ100は、屈曲アーム部131,132、連結アーム部121,123及び補助連結アーム部122に取り付けられたピンチ220を用いて洗濯物を吊り下げることを許容する。ピンチ220が、屈曲アーム部131,132、連結アーム部121,123及び補助連結アーム部122に取り付けられていたとしても、角ハンガ100が図2に示されている折畳状態にされたときにピンチ220がこれらに挟まれることはない。詳細には、上述の如く、屈曲アーム部131,132、連結アーム部121,123及び補助連結アーム部122は、角ハンガ100が折畳状態にされても、間隔を空けて展開方向に並び、鉛直方向に重なっていない(すなわち、並列状態)。この位置関係の下では、屈曲アーム部131,132、連結アーム部121,123及び補助連結アーム部122(以下、アーム部材と称される)のうち1つに取り付けられたピンチ220は、隣のアーム部材に対して角ハンガ100の展開方向にずれた位置にある。したがって、ピンチ220がこれらに挟まれることに起因する角ハンガ100の破損が防止される。
【0066】
角ハンガ100は、不完全に展開された状態(すなわち、図1に示されている展開状態と図2に示されている折畳状態との間の状態)であっても、洗濯物が吊り下げられることを許容する。図10には、不完全に展開された状態の角ハンガ100が模式的に示されている。
【0067】
角ハンガ100が不完全に展開された状態にあるとき、屈曲アーム部131,132は、第1中間ヒンジ140及び第2中間ヒンジ170において屈曲し、これらのアーム片135,136は、角ハンガ100の展開方向に対して鋭角の角度で傾斜した姿勢をとる。したがって、屈曲アーム部131,132間の距離は、角ハンガ100の展開方向における位置によって変わる。詳細には、第1中間ヒンジ140の近くの位置では、屈曲アーム部131は、屈曲アーム部132の近くに位置しているのに対して、第1中間ヒンジ140から離れた位置では、屈曲アーム部131は、屈曲アーム部132から離れている。したがって、使用者は、比較的小さな洗濯物を第1中間ヒンジ140の近くで干せばよいし、比較的大きな洗濯物を第1中間ヒンジ140から離れた位置で干せばよい。
【0068】
角ハンガ100は、展開状態にあるときにおいて展開方向に長いけれども、複数のハンガ支持体210を有しているので、枠体110の下方への撓み変形が抑制される。ハンガ支持体210が取り付けられた連結アーム部121,123及び補助連結アーム部122からハンガ支持体210が引っ掛けられた吊下支持体までの距離は、ハンガ支持体210によって定められる。すなわち、ハンガ支持体210の構造によって定められる距離以上に、ハンガ支持体210と吊下支持体との間の距離は広がらない。
【0069】
第1中間ヒンジ140が配設された位置は、吊下支持体に連結される連結アーム部121,123及び補助連結アーム部122から離れているので、比較的大きな撓みが生じやすく、第1中間ヒンジ140は、枠体110の中で頑健な構造を有する必要がある。第1中間ヒンジ140は、枠体110が展開状態にあるとき接続体142,143は、回動中心部162だけでなく凸部164においても外殻体141に連結される。凸部164は凹部152に対して枠体110の展開方向にかみ合うので、展開方向に対して直角の垂直方向に対して、第1中間ヒンジ140は頑健な構造を有している。
【0070】
第1中間ヒンジ140及び第2中間ヒンジ170の一対の垂直回動軸は、展開状態の枠体110の屈曲アーム部131の中心線上で整列しているので、第1中間ヒンジ140及び第2中間ヒンジ170は、枠体110の外方又は内方に不必要に突出しない。したがって、角ハンガ100は、連結アーム部121,123の延設方向において不必要に大きくならない。
【0071】
上述の実施形態に関して、枠体110は、補助連結アーム部122を有している。代替的に、枠体110は、補助連結アーム部122を有さなくてもよい。
【0072】
枠体110は、図11に示されるように、複数の補助連結アーム部122を有していてもよい。図11に示される枠体110の屈曲アーム部131,132は、2つの補助連結アーム部122と連結可能に構成されている。詳細には、屈曲アーム部131,132それぞれは、3つの第1中間ヒンジ140、2つの第2中間ヒンジ170とこれらに連結されたアーム片135,136を有している。第1中間ヒンジ140及び第2中間ヒンジ170は、展開状態の枠体110の長手方向において交互に配置されている。この配置において、2つの第1中間ヒンジ140は、角ヒンジ180と第2中間ヒンジ170との間に配置されている。残りの第1中間ヒンジ140は、2つの第2中間ヒンジ170の間に配置されている。これらの第2中間ヒンジ170に2つの補助連結アーム部122が連結されている。これらの補助連結アーム部122それぞれには、ハンガ支持体210が設けられている。
【0073】
図11に示される枠体110は、図1の枠体110よりも多くの屈曲点を有している。アーム片135,136を連結アーム部121,123及び補助連結アーム部122の長さ未満の長さにすることにより、枠体110が折り畳まれたときの対向位置にある第1中間ヒンジ140の干渉が防止されている。アーム片135,136を長くすることなく屈曲点を屈曲アーム部131,132上に多く設けることにより、枠体110の折畳時における第1中間ヒンジ140の干渉を防ぎつつ、枠体110を展開方向に長くすることができる。このような設計変更において、アーム片135,136、第1中間ヒンジ140、第2中間ヒンジ170及び角ヒンジ180以外の異種の部品は必要とされない。したがって、角ハンガ100は、少数種の部品を用いて大きさ及び構造を変更することを許容する。
【0074】
ハンガ支持体210は、追加的な補助連結アーム部122にも設けられているので、枠体110が展開方向において長くなっても、角ハンガ100は、大きな撓みを生ずることなく吊下支持体から吊り下げ可能である。
【0075】
上述の実施形態に関して、アーム片135,136の端部が接続体142,143に挿入されることにより、アーム片135,136は、第1中間ヒンジ140に連結されている。代替的に、接続体142,143を介することなく、アーム片135,136は、第1中間ヒンジ140に取り付けられていてもよい。たとえば、アーム片135,136の外周面に回動中心部162に相当する2つのボスが形成され、これらのボスが、支持部144,145の円形貫通孔148にはめ込まれていてもよい。この場合において、ボス及び円形貫通孔148の形成位置は、角ハンガ100が展開状態にあるときにアーム片135,136の端部間に空隙が形成されるように設定される。この状態では、アーム片135の端部は、アーム片136の端部の回動範囲から離間した領域内で回動するので、アーム片135,136の端部間の干渉は生じない。
【0076】
上述の実施形態に関して、アーム片135,136の他方の端部は、接続体142,143を介して、第2中間ヒンジ170又は角ヒンジ180に連結されている。これらの第2中間ヒンジ170及び角ヒンジ180に対するアーム片135,136の連結も、アーム片135,136の外周面に設けられたボスを用いて行われてもよい。この場合において、ボス及び円形貫通孔148の形成位置は、角ハンガ100が展開状態にあるときにアーム片135又は136の端部と連結筒171の外周面との間に空隙が形成されるように設定される。この状態では、アーム片135又は136の端部の回動範囲から外れた位置で連結筒171が固定されているので、アーム片135,136は、連結筒171と干渉することなく回動することができる。
【0077】
上述の実施形態に関して、第1中間ヒンジ140は、角ハンガ100の展開方向に互いに離間した2つの垂直回動軸を形成し、アーム片135,136の端部間の干渉を防止している。しかしながら、第1中間ヒンジ140は、図12に示されるように、アーム片135,136が共通の垂直回動軸周りに回動するように構成されていてもよい。この場合において、アーム片135,136の間の干渉を防ぐために、垂直回動軸は、展開状態の角ハンガ100によって形成される長方形領域の長辺から外れた位置(枠体110の外側又は内側)に形成される。
【0078】
上述の実施形態に関して、屈曲アーム部131,132、連結アーム部121及び補助連結アーム部122によって形成された分割方形領域は、略正方形状である。代替的に、分割方形領域は、長方形状であってもよい。屈曲アーム部131,132が展開状態において連結アーム部121及び補助連結アーム部122よりも短ければ、屈曲アーム部131,132は、長方形領域の短手方向に延びる一対の対辺をなす位置に配置される。このとき、連結アーム部121及び補助連結アーム部122は、長方形領域の長手方向に延びる一対の対辺をなす位置に配置される。
【0079】
上述の実施形態に関して、角ハンガ100が展開状態になったときに、回動連結片161に一体的に形成された規制部163が立設部146に当接することにより、回動連結片161の回動が規制されている。代替的に、回動連結片161の回動範囲は、他の構造によって制限されていてもよい。たとえば、回動中心部162を構成するボス及びボスがはめ込まれる貫通孔が、回動連結片161の回動範囲を制限するように非円形に形成されてもよい。
【0080】
上述の実施形態に関して、第1中間ヒンジ140は、回動連結片161の回動範囲の制限及び第1中間ヒンジ140の剛性の向上のために立設部146を有している。代替的に、第1中間ヒンジ140は、立設部146を有さなくてもよい。この場合、回動連結片161の回動範囲は、制限されず、屈曲アーム部131,132は、外方に屈曲し得る。このような構造の下では、屈曲アーム部131,132を外方に屈曲することにより、大きな洗濯物を角ハンガ100に吊るすことが可能になる。
【0081】
上述の実施形態に関して、凸部164が接続体142,143に設けられている一方で凹部152が立設部146,184に設けられている。逆に、凸部164が立設部146,184に設けられる一方で凸部164とスナップフィット式にかみ合う凹部152が接続体142,143に形成されていてもよい。
【0082】
上述の実施形態に関して、ハンガ支持体210として、「?」字状のフック部材が用いられている。代替的に、ハンガ支持体210は、大型の洗濯ばさみの形状を有する部材から形成されていてもよいし、物干し竿や洗濯紐といった連結支持体に連結可能な他の部材から形成されていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0083】
上述の実施形態の原理は、洗濯物の吊下に好適に利用される。
【符号の説明】
【0084】
100・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・角ハンガ
121,123・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・連結アーム部
122・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・補助連結アーム部
131,132・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・屈曲アーム部
135,136・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・アーム片
140・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・第1中間ヒンジ
170・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・第2中間ヒンジ
180・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・角ヒンジ
210・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ハンガ支持体
220・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ピンチ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12