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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-22
(45)【発行日】2024-01-05
(54)【発明の名称】ニアアイ表示装置における反射抑制
(51)【国際特許分類】
   G02B 27/02 20060101AFI20231225BHJP
   G02B 5/30 20060101ALI20231225BHJP
   H04N 5/64 20060101ALI20231225BHJP
【FI】
G02B27/02 Z
G02B5/30
H04N5/64 511A
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019564124
(86)(22)【出願日】2019-08-26
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-12-16
(86)【国際出願番号】 IB2019057149
(87)【国際公開番号】W WO2020044198
(87)【国際公開日】2020-03-05
【審査請求日】2022-08-25
(31)【優先権主張番号】62/722,903
(32)【優先日】2018-08-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/843,610
(32)【優先日】2019-05-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518010049
【氏名又は名称】ルムス エルティーディー.
【氏名又は名称原語表記】Lumus Ltd.
【住所又は居所原語表記】8 Pinchas Sapir Street, 7403631 Ness Ziona, Israel
(74)【代理人】
【識別番号】110003797
【氏名又は名称】弁理士法人清原国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ダンジガー,ヨチャイ
(72)【発明者】
【氏名】ローネン,イーサン
(72)【発明者】
【氏名】ジェルベール,ジョナサン
(72)【発明者】
【氏名】アイゼンフェルト,ツィオン
(72)【発明者】
【氏名】シャピーラ,アミール
【審査官】井亀 諭
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-169887(JP,A)
【文献】特開2014-170094(JP,A)
【文献】特開2012-063633(JP,A)
【文献】特開平08-021974(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0139210(US,A1)
【文献】特表2019-535028(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 27/01-27/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
観察者の目に画像を投影するためのニアアイ表示装置であって、
前記ニアアイ表示装置は、
(a)面状かつ互いに平行かつエッジを有する第1及び第2の主外表面を有するLOE(導光光学要素)と、
(b)観察者の目との対向関係で前記第2の主外表面によって観察者の頭に対する前記LOEを支持するために構成された支持構成と、
(c)画像に対応する照明を投影するための画像プロジェクターであって、前記画像プロジェクターは前記LOE内に照明を導入するように前記LOEに光学的に結合され、その結果、前記第1及び第2の主外表面において内部反射によって前記LOEは内部で伝播する画像プロジェクターと、
(d)観察者の目に向かって前記LOEの外方に照明を結合するために展開された外方結合構成と、
(e)前記LOEの前記エッジの1つの大部分に沿って伸び、前記第2の主外表面の平面から突出することにより、臨界角度からの入射光線が前記第2の主外表面の少なくとも一部に到達しないように、前記第2の主外表面から突出する光阻止バッフルであって、前記第2の主外表面と鋭角を形成してなり観察者の眼球の中心に向かう方向に突出する、光阻止バッフルと、
を含んでなるニアアイ表示装置。
【請求項2】
前記外方結合構成は、複数の互いに平行で、部分反射面であって、前記第1の主外表面に対して斜角で前記LOEの内部で展開された部分反射面を含む、請求項1に記載のニアアイ表示装置。
【請求項3】
前記臨界角度からの入射光線が前記第1及び第2の主外表面に侵入し、前記部分反射面の1つから単一の反射を受けた後、観察者の目に到達しないように光線路を除外するよう前記光阻止バッフルおよび前記部分反射面が展開された、請求項に記載のニアアイ表示装置。
【請求項4】
前記部分反射面は、前記第2の主外表面の延長方向に平行な延長方向を有し,
前記光阻止バッフルは、前記部分反射面の延長方向に実質的に平行なエッジの1つの大部分に沿って延長する、請求項に記載のニアアイ表示装置。
【請求項5】
前記光阻止バッフルは前記LOEへの取り付けによって機械的に支持される、請求項1に記載のニアアイ表示装置。
【請求項6】
前記光阻止バッフルは、前記支持構成への取り付けによって機械的に支持される、請求項1記載のニアアイ表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はニアアイ(near eye)表示装置に関するものであり、さらに詳しくは、明るい物体のゴースト画像を抑えるために様々な特徴を備えたニアアイ表示装置に関する。
【0002】
多くのニアアイ表示システム装置は、透明な導光光学要素(LOE)あるいはユーザーの目の前に置かれた「導光路」を含んでいる。かかるニアアイ表示装置は、内部反射によってLOEの内の画像を伝え、次に、ユーザーの目への適切な出力結合機構によって画像を結合する。出力結合機構は埋め込まれた部分的な反射体あるいは「切子面」に基づきうるか、あるいは回折のパターンを使用し得る。下記の記載は主として切子面に基づいた外方結合構成に言及するが、本発明の様々な特徴が回折の構成に適用可能であることは認識されるべきである。回折の構成に適用される場合、本明細書に言及された切子面の伸展の方向は、回折格子の要素の方向に言及するために得ることができる。
【0003】
導光路と切子面は少なくとも、部分的に透明である。その結果、ユーザーに現実世界の直接の視界を与えて、環境(風景)からの光がそれを通り抜けることができる。風景光線のうちのいくつかは切子面によって反射され、様々な角度で目に達して、それによって、現実世界の望まれない「ゴースト」画像(反射)を生成する。
【発明の概要】
【0004】
本発明はニアアイ表示装置である。
【0005】
本発明の実施形態の教示によれば、観察者の目に画像を投影するためのニアアイ表示装置が提供され、当該ニアアイ表示装置は、(a)第1及び第2の主外表面を有するLOE(導光光学エレメント)であって、当該第1及び第2の外表面は、面状であり、互いに平行であり、かつエッジを有し、(b)観察者の目と対向する関係で前記第2の主外表面によって観察者の頭に対して前記LOEを支持するために構成された支持構造、(c)画像に対応する照明を投影するための画像プロジェクターであって、前記LOEに照明を導入するように前記LOEに光学的に結合され、その結果、照明が第1及び第2の主外表面で内部反射によってLOEの内部で広がる、画像プロジェクター、(d)観察者の目に向かって前記LOEの外方に照明を結合するために展開した外方結合構成、及び(e)前記LOEのエッジのうちの一つの主要部に沿って伸び、かつ前記第2の主外表面の平面から突出する光阻止バッフルであって、それによって、視射角の範囲から入射する放射が前記第2の主外表面の少なくとも一部に到達するのを阻止し、前記第2の主外表面によって鋭角を形成して観察者の目に向かう方向に投影する光阻止バッフル、を含んでなるニアアイ表示装置。
【0006】
本発明の実施形態の更なる特徴によれば、前記光阻止バッフルは観察者の眼球の中心に向かう方向に突出する。
【0007】
本発明の実施形態の更なる特徴によれば、外方結合構成は、前記第1の主外表面に対して斜角でLOEの内部に展開した複数の互に平行な、部分反射面を含む。
【0008】
本発明の実施形態の更なる特徴によれば、前記バッフルと、前記部分反射面の展開は、前記第1及び第2の主外表面のうちの1つに入り、部分反射面のうちの1つから一度反射した後に、光路が観察者の目に到達することを排除する。
【0009】
本発明の実施形態の更なる特徴によれば、部分反射面は前記第2の主外表面に平行な延長方向を有し、前記バッフルは、部分反射面の延長方向に本質的に平行なエッジのうちの1つの主要部に沿って伸びる。
【0010】
本発明の実施形態の更なる特徴によれば、光阻止バッフルは、LOEへの取り付けによって機械的に支持される。
【0011】
本発明の実施形態の更なる特徴によれば、光阻止バッフルは、支持構造への取り付けによって機械的に支持される。
【0012】
本発明の一実施形態の教示にしたがって観察者の目に画像を投影するためのニアアイ表示装置が提供され、当該ニアアイ表示装置は、(a)第1及び第2の主外表面を有するLOE(導光光学エレメント)であって、面状であり、かつ互いに平行なLOE、(b)観察者の目と対向する関係で前記第2の主外表面によって観察者の頭に対して前記LOEを支持するために構成された支持構造、(c)画像に対応する照明を投影するための画像プロジェクターであって、前記LOEに照明を導入するように前記LOEに光学的に結合され、その結果、照明が第1及び第2の主外表面で内部反射によってLOEの内部で広がる、画像プロジェクター、及び(d)観察者の目に向かってLOEの外方に照明と結合するための外方結合構成であって、前記第1の主外表面は、40度未満の入射角で可視光が入射する抗反射特性を提供するように、かつ70度を超える入射角で可視光の少なくとも第1偏光が入射する高い反射率を提供するように、構成された多層コーティングで被覆されてなる外方結合構成、を含んでなるニアアイ表示装置。
【0013】
本発明の実施形態の更なる特徴によれば、第2の主外表面は、40度未満の入射角で可視光が入射する抗反射特性を提供するように、かつ70度と85度の間の入射角での第1偏光入射に対して直角の第2偏光のために低反射率を提供するように、構成された多層コーティングで被覆される。
【0014】
本発明の一実施形態の教示にしたがって観察者の目に画像を投影するためのニアアイ表示装置が提供され、当該ニアアイ表示装置は、(a)第1及び第2の主外表面を有するLOE(導光光学エレメント)であって、面状であり、かつ互いに平行なLOE、(b)観察者の目と対向する関係で前記第2の主外表面によって観察者の頭に対して前記LOEを支持するために構成された支持構造、(c)画像に対応する照明を投影するための画像プロジェクターであって、前記LOEに照明を導入するように前記LOEに光学的に結合され、その結果、照明が第1及び第2の主外表面で内部反射によってLOEの内部で広がる、画像プロジェクター、(d)観察者の目に向かって前記LOEの外方に照明を結合するために展開した外方結合構成、及び(e)前記LOEの第1の主外表面に関連付けられたマイクロルーバー層であって、前記LOEに入る少なくとも一つの方向からの70度を超える入射角で入射光を阻止する、マイクロルーバー層、を含む。
【0015】
本発明の実施形態の更なる特徴によれば、マイクロルーバー層は、延長する方向を有するマイクロルーバーの1次元配列を含んでおり、マイクロルーバー層は本質的に水平の延長する方向で展開する。
【0016】
本発明の実施形態のさらなる特徴によれば、マイクロルーバー層は、本質的に垂直な延長する方向を有するマイクロルーバーの2つの配列を含んでいる。
【0017】
本発明の一実施形態の教示にしたがって観察者の目に画像を投影するためのニアアイ表示装置が提供され、当該ニアアイ表示装置は、(a)第1及び第2の主外表面を有するLOE(導光光学エレメント)であって、面状であり、かつ互いに平行なLOE、
(b)観察者の目と対向する関係で前記第2の主外表面によって観察者の頭に対して前記LOEを支持するために構成された支持構造、(c)画像に対応する照明を投影するための画像プロジェクターであって、前記LOEに照明を導入するように前記LOEに光学的に結合され、その結果、照明が第1及び第2の主外表面で内部反射によってLOEの内部で広がる、画像プロジェクター、(d)観察者の目に向かってLOEの外方に照明と結合するための外方結合構成であって、60度を超える入射角で第1及び第2の主外表面のうちの1つに入射し、観察者の目に向かってLOEを出る少なくとも1つの高入射角の偏光依存性の光路を定義し、偏光依存性の光路は、偏光によって支持された配向を有してなる外方結合構成、及び(e)偏光フィルタであって、支持された配向をもつ偏光依存の光路に沿って進む外界光が、観察者の目に達するのを防ぐために展開されてなる偏光フィルタ、を含んでいる。
【0018】
本発明の実施形態の更なる特徴によれば、偏光フィルタは第1の主外表面に入る光をフィルタリングするために展開する。
【0019】
本発明の実施形態の更なる特徴によれば、偏光フィルタは観察者の目に向かう第2の主外表面を出る光をフィルタリングするために展開する。
【0020】
本発明の実施形態の更なる特徴によれば、観察者の目に向かうLOE外の照明は、画像偏光で本質的に偏光され、偏光フィルタは画像偏光に垂直な偏光を有する光を阻止するために展開する。
【0021】
本発明の実施形態の更なる特徴によれば、第1の主外表面に入る光をフィルタリングするために展開した第2の偏光フィルタがさらに提供され、同じ偏光を伝達するように、第1の偏光フィルタおよび第2の偏光フィルタは一列に並んでいる。
【0022】
本発明の実施形態の更なる特徴によれば、観察者とLOEの間の光路に沿う少なくとも一つの方向からの光をフィルタリングするための横偏光シェード要素がさらに提供され、横偏光シェード要素の偏光軸は、偏光フィルタの偏光軸と交差する角度を有する。
【0023】
本発明の実施形態の更なる特徴によれば、観察者とLOEの間の光路に沿う少なくとも一つの方向からの光をフィルタリングするための横偏光シェード要素がさらに提供される。
【0024】
本発明の実施形態の更なる特徴によれば、外方結合構成は、前記第1の主外表面に対して斜角でLOEの内部に展開した複数の互に平行な、部分反射面を含む。
【図面の簡単な説明】
【0025】
添付図面を参照しつつ本発明を説明したが、あくまでも一例にすぎない。
図1A図1Aは、本発明の教示に従って構築され、動作し、抑えられるべき反射を生じさせ得る種々の周囲の光源を例証するニアアイ表示装置を使用する観察者の概略側面図である。
図1B図1Bは、本発明の教示に従って構築され、動作し、種々の周囲の抑えられるべき反射を生じさせ得る光源を例証するニアアイ表示装置を使用する観察者の概略平面図である。
図2A図2Aは、図1Aのニアアイ表示装置の拡大概略側面図であり、画像照明用と、周囲の光源からの典型的な「ゴースト」光路用との光線経路を例証している。
図2B図2Bは、画像光路用の光線経路と、図2Aのゴースト光路の種々の部品間の角度の関係を例証する角度のある図である。
図2C図2Cは、画像光路用の光線経路と図2Aのゴースト光路の様々な部品間の角度の関係を例証する角度のある図である。
図3A図3Aは、図1Aのニアアイ表示装置からの導光光学要素の拡大概略側面図であり、導光光学要素の背部側の周囲光源からの典型的な「ゴースト」光路の代替的なセットを例証している。
図3B図3Bは、図3Aのゴースト光路のための光線路の種々の部品間の角度関係を例証する角度の図である。
図3C図3Cは、図1Aのニアアイ表示装置からの導光光学要素の変形例の拡大概略側面図である。
図4図4は、図1Aのニアアイ表示装置を通じて観察者の動眼視野の範囲を例証する概略平面図である。
図5図5は、図1Aのニアアイ表示装置を通じて観察者の動眼視野の範囲を例証する概略平面図である。
図6図6は、角度の範囲を例証する図4に類似した図であり、その入射角度で導光光学要素の後部からの周囲光線は、導光光学要素の内部切子面で単一の反射の後で観察者の目に到達することができる。
図7図7は、変形例を例証する図6に類似した図であり、内部切子面を含む領域は、観察者の目に到達しないように特定のゴースト光路を抑制するために制限されている。
図8A図8Aは、本発明の実施形態の更なる態様による妨害バッフルの使用を例証する図7に類似した図であり、典型的な光線路と共に示された、観察者の目に到達しないようにゴ特定のースト光路を阻止する。
図8B図8Bは、本発明の実施形態の更なる態様による妨害バッフルの使用を例証する図7に類似した図であり、典型的な光線路なしに示された、観察者の目に到達しないようにゴースト光路をブロックする。
図8C図8Cは、2つの面一でない導光光学要素を使用する本発明の態様による双眼鏡式のニアアイ表示装置の変形例を例証する図8Aに類似した図であり、当該導光光学要素は、10-30度の間の角度で展開し、当該導光光学要素間で顔の曲率に、よりよく一致し、バッフルの幾何学的形状に対応する傾きの影響を例証している。
図9A図9Aは、本発明の実施形態に従う典型的な部分反射面(切子面)のコーティングに対する入射角に対応する反射率を例証するグラフである。
図9B図9Bは、非変更式のフレネル反射に対する反射率の対応するグラフである。
図10A図10Aは、外部偏光フィルタを使用する変形例を例証する図1Aに類似した概略側面図である。
図10B図10Bは、内部偏光フィルタを使用する変形例を例証する図10Aに類似した図である。
図10C図10Cは、横偏光フィルタのない横偏光フィルタを備えた変形例の平面図である。
図10D図10Dは、横偏光フィルタを備えた図10Bに類似した変形例の平面図である。
図10E図10Eは、内部偏光フィルタおよび外部偏光フィルタの両方を使用する変形例を例証する図10Aに類似した図である。
図11図11は、観察者によって直接見られたシーンの動眼視野と比較した、周囲光源からの光線の典型的な入射角を例証する本発明の変形例の概略平面図である。
図12図12は、本発明の実施形態の態様による導光光学要素の表面に対する入射角の対応する好適な抗反射コーティングの反射率特性を例証するグラフである。
図13図13は、本発明の実施形態の更なる態様によるニアアイ表示装置の実施形態で使用されるマイクロルーバーフィルムの概略図である。
図14A図14Aは、異なる配向での部分反射面の2つの別個のセットを含む導光光学要素を使用しているニアアイ表示装置の種々の実施形態での切子面位置に対する目の位置の概略図である。
図14B図14Bは、異なる配向での部分反射面の2つの別個のセットを含む導光光学要素を使用しているニアアイ表示装置の種々の実施形態での切子面位置に対する目の位置の概略図である。
図14C図14Cは、異なる配向での部分反射面の2つの別個のセットを含む導光光学要素を使用しているニアアイ表示装置の種々の実施形態での切子面位置に対する目の位置の概略図である。
図15A図15Aは、導光光学要素を使用して、ニアアイ表示装置のさらなる実施例の概略図であり、当該導光光学要素は異なる配向で部分反射面の2つの別個のセットを含み、切子面の両方のセットに対する主反射偏向ベクトルは同様に一列に並ぶ。
図15B図15Bは、図15Aの導光光学要素による使用に適した偏光フィルタの配向の概略図である。
図16A図16Aは、図14Aの導光光学要素に基づいたニアアイ表示装置の部分概略図である。
図16B図16Bは、非一様偏光フィルタを備えた双眼鏡式の表示装置として実施された図16Aのニアアイ表示装置の概略平面図である。
図16C図16Cは、図16Aおよび16Bの実施形態での導光光学要素の部分反射面に対する入射角の対応する反射率を例証するグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明はニアアイ表示装置である。
【0027】
本発明によるニアアイ表示装置の原理および動作は、図面および添付の明細書を参照して一層よく理解され得る。
【0028】
「ゴースト画像」の導入および分類
本発明の種々の態様を完全に理解するために、種々の方向を識別することは重要であり、種々の方向の入射光から導光光学要素(LOE)に達する入射光は「ゴースト」を生成し得、潜在的に観察者の目を悩ませる。
【0029】
導入として、図1Aは、ニアアイ表示装置を通して見る観察者を概略的に示す。一般的な用語では、ニアアイ表示装置は第1及び第2の主外表面11Aおよび11Bを持っている、導光光学要素(LOE)あるいは「導光路」10を含んでいて、それは、面状或いは互いに平行で、典型的には光学的に活性でないエッジを持っている。画像プロジェクター2は、画像に対応するLOE照明に導入するようにLOE 10に光学的に結合され、その結果、主外表面11Aおよび11Bにおける内部反射によって、照明が前記LOEの内部で伝播する。LOE 10への画像プロジェクター2の光結合は傾斜した角度の入力表面を備えたカップリング・プリズムを介して、あるいは反射結合構成、LOEの側端面および/または主外表面のうちの1つを介して、達成され得る。
【0030】
適切な画像プロジェクター(あるいは「POD」)の例は、例えば、イルミネーション光源、空間光変調器、例えば、典型的には1つ以上のPBSの立方体あるいは他のプリズム構成の表面上にすべて配置されたLCOSチップおよび平行光学系などは、当該技術において周知である。同様に、内部結合式反射器の使用、あるいは適切に角をつけられた結合プリズムによってLOEに画像を結合するのに適した内部結合式構成は、当該技術において周知である。画像プロジェクターとLOEの間の結合は直接であり得、あるいは隙間の寸法の拡大のための追加の隙間拡大構成を介し得、当該隙間を横切って、画像はLOEの面に導入される。表示を簡単にするために、プロジェクターも内部結合構成も本明細書において更に議論されないだろう。また、それらの組み合わせは本明細書で単に概略的に表わされる。
【0031】
ニアアイ表示装置は、観察者が見るために観察者の目に向かってLOEからの照明を結合するために展開された外方結合構成を含んでいる。外方結合構成は、主外表面11Aおよび11Bに対する斜角でLOE 10の内部で展開した、複数の相互に平行な部分反射面(あるいは「切子面」)12Aとしてここに例証される。さらに下に議論されるように、切子面は、ある特定の角度で高透過率を提供し、他の角度で部分反射を提供する典型的には角度依存コーティングを持っている。そのような切子面を含むLOEの様々な実装は、ルムス・エルティー(イスラエル)から市場で入手可能である。本明細書の記載は主として切子面に基づいた外方結合構成に言及するが、本発明の種々の態様が、回折光学要素に基づいた、外方結合構成などの代替的な外方結合構成にも適用可能であることは当業者であれば認識するであろう。
【0032】
本発明のニアアイ表示装置は典型的には頭部装着型表示装置で、観察者の目との対向関係で第2の主外表面11Bを持った観察者の頭に対してLOE 10を支持するために構成された支持構成を含んでいることが好ましい。支持構成は、観察者の耳に関連のある表示装置の支持のために側部15を含む眼鏡フレーム構造体として図1Bの中で概略的に示される。これは、さらにヘッドバンドをマウントされた構造、およびヘルメットに関連した表示装置を含む多くのオプションのうちの1つにすぎない。支持構造の詳細は、本発明にはそれ自体臨界的でなく、本明細書に詳細に記述されないだろう。
【0033】
図1Aで概略的に例証されるように、プロジェクター2は導光路に所望の画像(黒矢印)に対応する光を注入し、この光は観察者の目に向かって導光路の外方で結合される。風景の対象物4からの光は、観察者まで特定の強度はいくぶん劣るものの導光路を通過する(二点鎖線)。外来の外部光の種々の潜在的な入射方向は、方向を示す2つの文字記号と参照符号6の二つの文字コードで標識付けされる:上方、下方または側方(それぞれU、DまたはS)および正面、あるいは背面(それぞれFあるいはB)。側方向は図1Bの平面図でより明白に例証される。
【0034】
図2Aは拡大概略図であり、プロジェクター2、導光路10および導光路の正面及び背面を形成する主平行外面に対して角度13を有する選択された内面を示している。本明細書で例証された典型的な構成では、プロジェクターは頂部に存在する(図1Aのように)。切子面はこの場合典型的には水平に伸びる部分反射器であり、部分反射器は必ずしも水平ではないが、導光路からの光を外方結合し、観察者の目に向かう。この実施例において、画像の1本の光ビームだけが表現の明瞭さのために示されるが、実際には、画像の角度のある広がり典型的には無限に照準されて、導光路に沿って投影され、目に向かって外方に結合される。反射の経路の例証を促進するために、同一でないものとして、切子面の間隔が示される。しかし典型的には一様でない。
【0035】
画像のガイドされた光は、導光路の外面から反射する光線14Aおよび16Aによってここで表わされる。光線16Aが切子面のうちの1つにあたり、その一部が観察者に向かう光線18Aとして反射する。図2Bは角度間隔で対応する光線の方向を示し、12Bは切子面12Aの平面の角度に対応し、二重の矢は、この平面のベクトルを表している(回折要素が外方結合を行なうとき、適用可能な平面に垂直である)。ベクトル14B、16Bおよび18Bは、それぞれ光線14A、16Aおよび18Aの方向を表わす。図2Bおよび2Cの破線の角は、導光路10の外表面のTIR角度を表わす、すなわち、18Bなどの光線であり、光線は例証された角度範囲内に含まれ、導光路から逃げる一方で、その範囲外の光線の方向は内部で反射されるであろう。
【0036】
導光路および出力結合機構の如何なるアーキテクチャも風景からの反射の固有的に望まれない種々の機構を有している。光線20はソース6UFから始まる。(ユーザーの正面、および導光路を介して観察された現実世界の正常な視界上のソースであり、典型的には日光或いは頭上光のシナリオである)そして、光線22Aとして導光路内で屈折する。この光線は、ベクトル22Bとして図2cの角度間隔で示される。ほとんどのこの光線は導光路を通り抜けて、光線20Aとして導光路の外で屈折するだろう、この光線は、正常な視界の外に存在するが、観察者の邪魔をしない。しかしながら、光線22Aの一部は光線24A(ベクトル24B)として切子面12A(平面12B)のうちの1つから反射し得る。この光線は光線26A(ベクトル26B)としてLOEの外表面によって反射され、光線28A(ベクトル28B)として切子面12Aのうちの1つによってもう一度反射される。ベクトル28Bはほぼベクトル14Bと同じである。したがって、光線は観察者の目に向かって14A(14B)と同じ方法で広がり続けるだろう。これは、光線30A(16Aと等価)および32A(18Aと等価)として示される。
【0037】
気がかりなゴースト照明を生成する他の可能な機構は、LOEの背面11Bからの光線22Aの部分反射および、それによって出力光線23Aを生成することに続く、切子面12Aからその光線の部分反射することである。
【0038】
図3Aは、導光路への画像の側部注入の場合における、実際のスペースでソース102からの「単一の反射」の光学経路について記述する、切子面の延長方向は略垂直である。このソースは、図1Bのソース6SBに似ている。図3Bは、角度間隔で同じプロセスについて記述している。ソースからの光は光線106A(ベクトル106B)として導光路に屈折し、光線112A(ベクトル112B)として切子面104A(平面104B)によって導光路へ反射され、屈折する。このプロセスは、多数の切子面反射を含んでいる他のタイプの反射経路とは対照的に、切子面によるたった1つの反射を含んでいる。従って、この単一の同じ側部反射は幾つかの場合において特に明るい反射であり得る。光線110Aおよび112Aと光線106Aおよび108Aとを比較することにより例証されるように、風景ソースがすれすれの入射から更なる角度で照射すると、反射角はより大きくなる。
【0039】
導光路の幾何学的特徴と、目に対するその位置が、目に達する反射の角度分布を決定する。図4および5は、観察者の頭の平面図を示す。導光路とユーザーの目の相対的な位置決めは、眼鏡フレーム支持構造物あるいは他の幾つかの頭部取り付け式の支持構造物のような支持構造体によって決定されるが、表現の単純性のためにここで省略している。この実施例において、導光路10は実線の矢および切子面角度から明白なものとして、側部から導入されて照射される画像で構成される。この実施例における切子面は「垂直の切子面」と呼ばれる。
【0040】
ひとみは特定の位置および配向の範囲内で移動することができるが、中央の領域からの中心光線は、図4および5に示されるような観察の全方向において窩に向かう眼球101の中心と交差する。観察者に関心がある角度の特定の範囲は角度100と呼ばれる。等価な角は垂直に存在する。清澄性については、角100を拡大させることに対する他の考慮は、IPD或いはアイボックス(eye-box)許容差などの記載に含んでいない。
【0041】
背面側ゴーストの幾何学的な阻止
図8A-8Cで例証された本発明の実施形態の第1の態様によれば、ニアアイ表示装置には、LOEのエッジのうちの1つの大部分に沿って伸びて、第2の主外表面から突出する、光阻止バッフル(130L、130R)が設けられる。それによって、視射角の範囲からの入射する放射が前記第2の主外表面の少なくとも一部に到達するのを阻止し、バッフルは第2の主外表面によって鋭角を形成する観察者の目に向かう方向に突出し、最も好ましくは、観察者の眼球の中心へ向かう方向に突出する。これは、観察者に無制限の視界の印象を残して、観察者の周辺の視界にバッフルが最小の影響を及ぼすことを保証する。
【0042】
バッフルは、好ましくは主表面と平行な部分反射面の延伸方向と実質的に平行なLOEのエッジに沿って伸びる。幾何学的な定義によれば、主表面と平行な切子面の延長方向は、部分反射面の一つが位置する平面と第1の主外表面の平面間の交差する線として定義され得る。本明細書において使用される「実質的に平行な」とは、平行あるいは互いに約20度以内である方向を言う。
【0043】
第一のオプションによれば、光阻止バッフル130L、130Rは、LOE 10への結合によって機械的に支持される。代替的に光阻止バッフルは、支持構成(当該図で示されない)への結合に機械的に支持される。
【0044】
バッフルを実施するための好ましい幾何学条件は以下のとおりである。上で説明したとおり、図3A-3Cは光線の角度依存性を示しており、光線は、導光路(3A、3B)の背面側での照明の入射角或いは正面側からの単一の反射の入射角度に応じた単一の反射を受けた。図6は、観察者の頭上で展開したニアアイ表示装置の平面図におけるこの角度依存性の意味を例証する。導光路10は導光路の点121Rから眼球101の中心に向かう風景光線、すなわち点123Rからの光線122と点125Rからのすれすれの光線124を反射する。
【0045】
本発明の特定の実施形態によれば、最後の切子面(すなわち、画像プロジェクターから最も遠い)が位置づけられ、風景(124RまたはL)からのすれすれの入射光線に起因する臨界角度光線からの反射が、もはや図7の125によって示された目の中心101に達することができない。右(あるいは左)目の導光路の切子面は、光線124R(L)が目の中心101上で反射する点で終了する。図6から、そこで光を反射する切子面がないので、他の如何なる光線も101上で反射することができないことは明白である。
【0046】
上記のアプローチがいくつかのシナリオの背面側の周囲照明からの単一の反射のブライトゴースト(bright ghost)を回避するのに有効であり得る一方で、「最後の切子面」の位置に対する幾何学的な制限は、いくつかの適用に十分な角度のある視界を提供しないかもしれない。本発明の更なる態様によれば、図6において例証された幾何学的関係を用いて、要求される角度のある視界の広がりを識別した後(例えば、図6で例証される位置123Rまで延長して)、角度の制限された範囲を識別することができる(例えば、光線122の角度を介して光線124から)。当該角度の制限された範囲は、アウトプット切子面を要求する部位から観察者の中心視に達しないように単一の反射ゴーストを回避する必要がある。
【0047】
これらの原理にしたがって実施される光を遮るバッフル130Lおよび130R、は、典型的には比較的小さく、全辺を遮る構成と比べて、観察者の周辺視野の大幅に低減された妨げにより光学的構成の周囲から略後方に伸びる。特定の特に好ましい実施例において、バッフルは目に略向かう光学的構成の周辺から伸びるように実施され、幾つかの場合において、プロジェクターおよび/またはフレーム側の幾つかの特徴と提携し、その結果観察者の周辺視野に僅かに影響があるか或いは影響がない。
【0048】
図8Aでは、遮光バッフルの一例が示される。本明細書ではバッフル130Rおよび130Lは水平な面として示され、導光路のエッジに位置づけられ、一点鎖線で示されるように101に向かって配向される。あらかじめ定められた仮想FOVのために、切子面を備えた導光路10の長さが定義される123R(L)。後方反射の光路が定義され、バッフル130R(L)長さが、図8Bに示されるように最後の切子面によって反射された光線のこの光路を閉鎖するように設定される。傾けられた導光路はさらに図8Cに示されるように、この散乱ブロッキングを使用することができる。ユーザーの「顔の曲線」に審美的に一致することに加えて、そのような傾けられた導光路は、導光路の背面を横切るより長い「シャドー」にバッフルの所定長さを振り当てることにより、バッフルの寸法上の要求をさらに緩和する。
【0049】
したがって最も好ましくは、バッフル130L、130Rおよび部分反射面の展開は、第一及び第二の主外表面のうちの1つに侵入し、部分反射面のうちの1つから単一の反射を受けた後に、観察者の目に達しないようにする。
【0050】
高い入射角光線の排除
本発明の実施形態の更なる態様は、単独及び本明細書に記載された他の態様と組み合わせた両方で有用であるが、高い入射角度でのLOE 10の第1の(外側の)主外表面11Aに接近する入射光線の処理のためのアプローチに関係がある。
【0051】
図2Aを再び参照して、本明細書で光線20として概略的に例証されるように、高い角度での入射光線によって現実世界の光源の問題となる反射の多くが始まることは注目される。LOEへの侵入にそのような光線を除外することができれば、これは観察者の目に向かう面倒な反射を生成する入射放射を明白に回避するだろう。
【0052】
導光路10の外部切子面の適切なコーティングは図11および12に示されるような風景反射をこのように減ずることができる。角度100は、観察者が導光路10を通して周囲を見る角度範囲を表わす。
【0053】
抗反射コーティングを有する導光路の第1の(外側の)角度のある表面の反射率の好ましい実施例が図12に示される。角度範囲166は角度100を表わす。この範囲では、導光路の透過率は最大であろう。範囲100の外側にある風景からの光線は正面168又は背面120から始まる(切子面反射率、切子面あるいは観察者の顔を遮ることで制限される)。これらの光線の角度範囲は図10Bで170として示される。本発明の一態様によれば、導光路の抗反射コーティングは、170での高い反射率と166での高い透過率を有するように修正される。(高い角度での高い反射率は、垂直の光入射のために設計されたARコーティングの周知技術である。)これは、高角度で導光路に侵入し、目の上の内部切子面によって反射する導光路10に侵入する風景照明を大幅に前後に縮小する。
【0054】
したがって、本発明の実施形態のこの態様の1つの実施例によれば、第1の(外側の)主外表面11Aは多層コーティングで被覆され、40度未満の入射角の可視光線の抗反射特性を提供するように、そして70度を超える入射角での可視光線の少なくとも第1の偏光用の高い反射率を提供するように、構成される。LOEを通して観察者の関心の直接見られた視野に対する特定の要件と、問題ある周囲の照明が入射しがちな方向に依存して、50度までの角度に対する抗反射特性及び/又は約60度を超える角度に対する高い反射率を提供することが好適であり得る。しかしこれらの制限に近づけば近づくほど、実施するのに非現実的になるか、或いは実施するためには法外に複雑になる程までコーティング要件の要求は多くなる。この文脈では、「抗反射特性」とは、5%未満の反射率を言うのが好ましく。最も好ましくは3%未満を言う。この文脈中の「高い反射率」とは、反射率は70%を超え、好適には80%を超え、より好適には少なくとも90%であり、幾つかの特定の好ましい場合において少なくとも95%である。
【0055】
外部照明が入射し得る角度範囲を考慮するとき、全FOV、および全可視スペクトルに対して高い入射角(小さいすれすれの角度)の所望の排除を達成するのは難しいかもしれない。したがって、本発明の特に好ましい実施例では、この反射率の増強は高角度入射の照明のS偏光だけのために最適化される。下記に述べるように、代替的な解決策は、外部ソースからのP偏光照明からのゴーストの可視度を縮小するために提供される。
【0056】
特に図2Aの屈折光線22Aを参照して上記アプローチによれば、残余の光は、入射光線20からの導光路の正面の主表面で屈折するか、そこを透過し、外表面のコーティングにより実質的にp偏光化されるだろう。ゴースト反射光路のいくつかは、ゴースト光線23Aを生成するように、基板の第2の(後部)主外表面11Bで光線22Aのその後の反射を含んでいる。しかしながら、主表面の法線から離れた界面での屈折により、後部の主要な表面11Bを透過するこの光の任意の部分は、急勾配の下方への経路20A上を継続し、当該経路は、LOEの正面の主表面に侵入する周囲光20の伝達の方向と実質的に平行で、またニアアイ表示装置の着用者の目を妨害しないだろう。したがって、高い入射角光線の透過を増加させるために抗反射コーティングでLOEの背面を覆うことが提案されている。すべての角でP偏光用の有効な抗反射コーティングを達成することはもっと実現可能である。その結果、本発明のこの第2の態様は、背面11BでP偏光ゴースト照明の大部分が透過され得る一方で、正面11Aで外部反射によってS偏光をもつ入射外部ゴースト照明の大部分が除外され得る点で第1の態様を補足する。結果は、図2に例証される経路に続く全面的なゴースト照明が、既存のLOEと比較して、大幅に縮小されるということである。
【0057】
したがって、本発明のこの態様によれば、第2の主外表面11Bは、多層コーティングで有利に覆われる。当該多層コーティングは40度未満の入射角で可視光線の入射の抗反射特性を提供し、かつ70度と少なくとも約85度(できれば90度近く)の間の入射角で入射する第1の偏光入射に対して垂直な可視光線の第2の偏光に対して低反射率を提供するように構成される。
【0058】
ゴースト32Aを生成する代替の光路に関して、図2を再び参照すると、ゴーストは、LOEに入り込み、ついで表示装置信号が広がる角度(及び偏光配向)の範囲とは典型的に異なる、角度の比較的制限された範囲で導光路の部分反射切子面から(例えば光線22Aから光線24Aまで、あるいは光線26Aから光線28Aまで)反射する残余の周囲光によって形成され得る。したがって、角度のそれらの特別の範囲の1つ或いは両方の範囲内で反射率を縮小するために部分反射表面コーティングの設計を修正することが提案されている。具体的には、高角度光線のための反射を抑える切子面コーティングは、導波モードに侵入する光の量を最小化する傾向があるだろう(即ち、光線22Aから24Aまでの反射)、したがってゴースト32Aの強度を抑える。
【0059】
マイクロルーバーフィルムの変形例
本発明の前記態様の代替、あるいは追加の実施態様として、高角度入射光の拒絶はLOEの外表面の正面に展開され、高い角度から入射光を阻止するように構成されたルーバーフィルムを使用して達成することができ、所望の視野の範囲を超えた外部シーンからの光の高い透過率を提供する。マイクロルーバーフィルムは知られており、コンピューター・表示装置の可視度を所望の視角範囲に制限するための「プライバシー・フィルム」として一般に使用される。そのようなフィルムの例は、Advanced Light Control Film (ALCF)の記載の下でスリーエム・カンパニーから市場で入手可能である。
【0060】
そのようなフィルムの構造は、図13に概略的に例証され、フィルムの内層が透明基板302に支持された不透明な(あるいは、高度に減じられた)マイクロルーバー300のアレイを含み、透明基板は、入射光がフィルムを通り抜けることができる角度の幾何学的な限界を定義する。市場で入手できるプライバシー・フィルムは、典型的にはマイクロルーバーの1次元アレイを含んでおり、即ち、ルーバーはすべて同じ方向に伸びる。この場合、フィルムは好ましくはLOEに対して展開し、その結果、ルーバーが水平に伸び、それによって上から来る高角度外部光源を阻止する。代替的に、2次元アレイのマイクロルーバー構造が使用され得、すべての側からの高角度外部光源の排除を提供するために2つの垂直な方向に伸びるマイクロルーバー(典型的にはフィルム構造の2つの別々の層で互いに重ねられている)を持っている。
【0061】
主表面から内部反射のためのLOEの光学的性質に影響を与えないようにするために、LOE表面に光量制御フィルムを直接適用しないようにすることは典型的に望ましい。随意に、適切な構造がLOEに隣接しているための空隙が維持されることを保証するために提供されるかもしれない。また、光量制御フィルムは、LOEからわずかに間隔を置かれた別々の光学要素(レンズなど)上で支持される。代替的に、LOEの光学的性質を保持するために、十分に低い実効屈折率を持っているバッファーあるいは「アイソレーション」層か設けられ得る。そのような層のふさわしい材料の例は市場で入手可能な、エアロゲル、および同様の目的に使用される様々な他の材料を含む。さらなる代替の実施例によれば、典型的には多層誘電体コーティングを使用して実施される角度選択的な反射コーティングが提供され得、小さな角度で高い透過率を可能にする一方でLOEの内部に広がる画像のために角度の適切な範囲のためのTIRをシミュレートする。このオプションは、さらにLOEの光学的性質を損なわずに、LOEのコート面へのマイクロルーバーフィルムの直接の光学的付属物を可能にする。挿入語句的に、その光学的性質に影響を与えずに、LOEに対してマイクロルーバーフィルムを支持することに適用する前述のオプションはすべて、等しく適用可能である。LOEの1つの表面或いは両方の表面に関連付けられた偏光フィルタが本明細書に言及される。
【0062】
特に好ましい実施例において、マイクロルーバー層300は、LOE 10の第1の主外表面11Aに関連付けられ、入射光から少なくとも一方向から70度を超える入射角で入射する光が少なくともLOEに侵入することを阻止する。マイクロルーバーの1次元アレイを有するマイクロルーバー層300が使用される場合、マイクロルーバー層は好適には略水平の延長な方向で展開する。代替的に、略垂直の延長方向を有するマイクロルーバーの2つのアレイがあるマイクロルーバー層は使用されてもよい。
【0063】
偏光フィルタリング
切子面上のコーティングの設計は反射フィルタに重要な影響を及ぼす。図9Aは、切子面12Aおよび40Aの上で使用される典型的なコーティングの角度のある反射率を示す。ほとんどの場合、さらに基礎的なフレネル反射特性(図9B)に固有のように、反射率は示されるように偏光に依存する(あるいは「偏光に敏感である」)。
【0064】
矢印150は、反射26A(B)から28A(B)に対応する角度を示す。このコーティングに対しては、この入射角で、P-偏光はS偏光以上に反射する。矢印154は、低い反射率を有し、偏光選択性のない22A(B)から24A(B)の角度のある反射を示す。特定のLOEの切子面のために使用された代替の実施例では、155と152は、明白に優勢なS偏光を有する反射角を表わす。本発明の実施例の態様によれば、切子面の傾斜角および/またはコーティングの輪郭の特別の選択は、ここに記述されるように現実世界の反射を抑える偏光依存特性を利用するために使用することができる。
【0065】
(6UFまたは6DFなどの)反射は優性な偏光(例えば上述されるような適切な抗反射コーティングによるか、あるいは切子面自体の特性による)をあらかじめ定めたように制御することができるので、ゴースト反射減衰は、偏光フィルタあるいは図10Aで示されるような導光路の正面の「偏光子」160Uの使用により有利に達成される。任意の適切なタイプの偏光子が使用され得る、最も好ましくは、構造的(あるいは「デカルト」)偏光子、典型的には、吸収性偏光子が使用される。この偏光子は、風景4からの非偏光光を50%まで低減するであろう(それらは多くの場合、とにかく必要かもしれないか望ましいかもしれない)。しかし、偏光化された上部正面の反射6UFあるいは低部正面の反射6DFをより多く減ずるだろう。偏光子の配向は好ましくは切子面反射の配向に対して設定されるべきである。(S又はP阻止に依存して切子面に垂直或いは水平)。
【0066】
いくつかの場合に、LOEおよび外方結合構成が、60度を超える入射角で第1及び第2の主外表面の1つに入射し、観察者の目に向かってLOEを出る、少なくとも1つの高入射角偏光依存の光路を定義し、偏光依存の光路は、偏光の恩恵を受ける配向を有している。その後、偏光フィルタは偏光の恩恵を受ける配向を備えた偏光依存性の光路に沿って進む外部光が、観察者の目に達するのを防ぐために有利に展開する。図10Aの上記の例では、偏光フィルタ160Uは第1の(外側の)主外表面11Aに侵入する光をフィルタリングするために外部に展開する。
【0067】
本発明の実施例の1つの実施例は切子面コーティングを有する導光路であり、切子面コーティングは偏光を有する現実世界のゴースト画像の反射を生成するように設計され、それは外方結合された投影画像の偏光に垂直である。この場合、偏光子は図10Bおよび10Cで160Iによって示されるような観察者に対向する内側に置くことができ、偏光フィルタは観察者の目に向かう第2の主外表面を出る光をフィルタリングするために展開する。この構成は、目に投影する反射を阻むことができ、これはまた導光路(例えば6SB)の後部から始まり、図10Cから明白なように偏光子を2度通り抜ける。しかしながら、プロジェクター2によって投影された虚像がこの偏光子による、最小の希薄化あるいは歪曲で目を照射する場合のみ、この配置が使用されるべきである。言いかえれば、観察者の目に向かってLOEから外方結合された画像照射が実質的に画像偏光で偏光され、偏光フィルタ160Iは画像偏光に対して垂直な偏光を有する光を阻止するように展開される。
【0068】
偏光子が使用される各々の場合に、偏光子の配向が切子面構造によって規定され(例えば、少なくとも20度だけ、あるいは少なくとも30度だけ、および特定の場合に60度乃至120度だけ)、切子面によって潜在的に反映される現実世界のゴースト照明の偏光化が減じられるように配向され、光路を通過するゴーストによるその特定の入射角で切子面のセットの少なくとも1つによって著しく反射されない。光路を通過することを可能にされた。これは、多くの場合、P偏光を透過し、水平面からのS偏光を拒絶する正常な偏光サングラス展開から角をなしてオフセットしている偏光配向に帰着する。
【0069】
図10Dは、システム側への側偏光子160Sの実装を示す。偏光子が作用するこの方法は、導光路(6SB)から側反射する偏光を阻止する偏光子160Uとほとんど同じである。好ましくは、側偏光子は正面の偏光子160Uあるいは160Iで実施される。したがって、背景の強度可視度は正面あるいは周辺(側方)からと同じである。
【0070】
160Iが160S(図10Dで示されたとおり)と共に使用される場合、160Sの配向は好ましくは160Iに垂直である。(即ち、1つの垂直軸と1つの水平軸のような、交差した偏光軸)、周辺の可視度を維持する間にすべての側反射の完全な阻止に帰着する。
【0071】
いくつかの導光路と切子面のアーキテクチャでは、仮想的な導入された画像は、線形偏光で目に影響を与える。そのような場合、偏光子は、ゴースト反射のうちのいくつかがフィルタリングされるという結果をもって、(10Bで示さるように)目に接近して使用することができる。しかしながら、これに加えて、背景反射のうちのいくつかは、さらに導光路の偏光回転の後と同じ偏光で反射する。この偏光回転が直接の背景光線4に起こらないので、230と同じ配向を有する第2の偏光子232(図10E)を導入することは、直接光線4に付加的作用を持たないが、反射6UFおよび6DFに追加の減衰を導入するだろう。
【0072】
2セットの切子面を備えたLOEのための変形例
本発明によるLOEの特定の実施例は、LOE内において二次元で光学的アパーチャ拡張(optical aperture expansion)を達成するために,部分反射面の2つの異なる非平行のセットを使用する。現実世界の照明(ゴースト)の望まれない反射を除去するか減ずる(総体として「抑える」)ための上記特徴の多くは、2D拡張LOEに等しく適用可能である。これらの適用のいくつかにおいて、様々な追加的考慮が、図14A-16Cに関して以下に扱われる。
【0073】
図14Aで、切子面64Aは目にガイドされた画像を反射するために目の正面に位置づけられる。切子面68Aは、導光路内の1つのガイドされた画像方向から異なるガイドされた画像方向に反射による光学的アパーチャ拡張に使用され、目に結合されない。これは、関連する視野からこれらの切子面を遠ざけて位置決めすることができ実現可能し、それらの直接の反射の可視性を除去する。図14Aは切子面68Aが目の中心より低く位置づけられる構成を示す。さらなるオーバーラップ減少(overlap reduction)は、図14Bおよび14Cに示されるようなオーバーラップしないアーキテクチャを介して可能であり、目は1つのタイプの切子面のみの部分を通してみる。
【0074】
図15Aは、切子面の2つのオーバーラップするセットを示す。図10A-10Eで示された偏光アーキテクチャは、両方の切子面のセットで同時に適用することができる。偏光子効率は、200Aと202Aによって図15Aで示されるように一方がP偏光化され他方がS偏光されるように設定することにより、平行に接近するようにした両方の偏光からの反射を操作することにより改善される。図15Bは、偏光配向(200B及び202B)のオーバーレイと、組み合わされた偏光を阻止するために好ましい分極配向を示す。
【0075】
代替的に、偏光子は主要な反射を生成する切子面に垂直に(あるいは平行)設定され得る。
【0076】
図16Aは2つのセットの切子面がある導光路を示しており、切子面220の傾斜したセットが、導入される画像の垂直アパーチャ拡張に使用され、切子面222の垂直のセットが水平拡張に使用される。切子面220は、導光路の外部切子面に対して傾けることができる。この場合、図6に記載されているように、単一の切子面反射は典型的には背後から存在するであろう。しかしながら、切子面220が導光路の外面に垂直である(あるいは垂直方向に接近している)場合、図16Bの矢印によって例証されるように、単一の反射が導光路の正面方向から生じるかもしれない。
【0077】
図16Cは、典型的な切子面コーティングの反射率を示しており(反射率は、ほぼあるいは正確に垂直の切子面を持っているので、3Cによって記載された通りである)、当該コーティングは典型的な反射角224および前面の単一の反射(図16B)の角度226を持っている。背部の反射は垂直に近い角度224にある傾向があろうことは明白である、誘電体コーティングが偏光間の低いディファレンシエーション(differentiation)を有し、これに対し正面の反射角226はが高いディファレンシエーション(differentiation)を有するであろう。したがって、本発明の態様によれば、偏光子228はそうでなければ重要な単一の正面反射を生じさせることになる導光路の正面に置かれ、偏光化をフィルタリングする。
【0078】
いくつかのコーティングは、さらにワイヤー・グリッドあるいは複屈折の誘電体(スリーエム社による)のような垂直の角で固有の偏光選択性を持っている。この場合、側部偏光子(図10Dの160S)は有効な反射減衰を達成するために有利に使用することができる。
【0079】
偏光子228は、220の正面で、および222の正面で異なる配向を有するように設計され得る。なぜなら切子面の異なる配向が異なる偏光を有する反射を生成するからである。随意に、2つの所望の偏光配向の間で徐々に移行する非線形の偏光子はくっきりした境界を回避するために使用され得る。
【0080】
反射は1セット以上の切子面による繰返し反射から始まることができる。例えば、図12Aにおいて反射は、切子面68Aによる反射の後にある程度の線形偏光を有することができ、切子面64Aによる反射の後に任意の偏光に変更することができる。この場合、反射の特定の偏光は計算されるべきである、また非線形の偏光は導光路と共に使用される。これは、線形の偏光子を備えた波長板または他の複屈折材料を含んでいるかもしれない。
【0081】
目につきあたる反射の光学的性質は導光路を横切って変わる場合がある。したがって、上述の方法論は、観察者の視界を横切って反射抑制をすべて達成するために導光路を横切って非一様に使用することができる。これは次のものを含んでいるかもしれない(制限されな)。
*可変偏光子
*可変波長板
*平行な切子面及び平行でない切子面の可変コーティング
*透過率と偏光を変えるための導光路の外面の可変コーティング
【0082】
すべての上記の記載において、トップダウンの構成は側部構成と等価であり、垂直の切子面は水平の切子面と等価である。言いかえれば、構成は一般に交換可能である;90度ずつシステムを回転させることは可能である。これはバッフル、コーティングおよび偏光を含んでいる。
【0083】
上述の記載が単に一例として提供することが意図され、他の多くの実施形態が、添付の特許請求の範囲で定義されるような本発明の範囲内で可能であることは認識されるだろう。
図1A
図1B
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図3C
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図8C
図9A
図9B
図10A
図10B
図10C
図10D
図10E
図11
図12
図13
図14A
図14B
図14C
図15A
図15B
図16A
図16B
図16C