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特許7408145ヒートシンク及び該ヒートシンクの製造方法並びに該ヒートシンクを用いた電子部品パッケージ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-22
(45)【発行日】2024-01-05
(54)【発明の名称】ヒートシンク及び該ヒートシンクの製造方法並びに該ヒートシンクを用いた電子部品パッケージ
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/36 20060101AFI20231225BHJP
   H05K 7/20 20060101ALI20231225BHJP
   B21D 39/03 20060101ALI20231225BHJP
【FI】
H01L23/36 Z
H05K7/20 B
B21D39/03 A
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020067515
(22)【出願日】2020-04-03
(65)【公開番号】P2021163940
(43)【公開日】2021-10-11
【審査請求日】2023-02-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000123608
【氏名又は名称】かがつう株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000626
【氏名又は名称】弁理士法人英知国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】松浦 宗佑
(72)【発明者】
【氏名】田中 優治
(72)【発明者】
【氏名】中村 洋輔
【審査官】河合 俊英
(56)【参考文献】
【文献】実開昭59-55283(JP,U)
【文献】特開2017-92202(JP,A)
【文献】特開平8-111480(JP,A)
【文献】特開2000-236184(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/36
H05K 7/20
B21D 39/03
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方の面を電子部品に接触させるための電子部品接触面にするとともに他方の面に筒状突部を突設した板状のベース部材と、前記筒状突部に挿入された内側部材と、前記筒状突部に環状に嵌り合う止着孔を有する外側部材とを備え、
前記筒状突部の内側面が前記内側部材の外側面に圧接され、
前記筒状突部の突端側が前記外側部材に圧接され、
前記内側部材と前記外側部材のうちの少なくとも一方が、放熱フィンを構成していることを特徴とするヒートシンク。
【請求項2】
前記筒状突部内が、前記ベース部材を貫通する貫通孔状に形成され、
前記電子部品接触面と前記内側部材の端面とが、略面一であることを特徴とする請求項1記載のヒートシンク。
【請求項3】
前記外側部材は、前記他方の面に接するとともに前記筒状突部の突出量よりも厚みの小さい板状の底片部を有し、この底片部に前記止着孔を形成しており、
前記筒状突部は、前記止着孔に貫通状に挿通されて、その突端側が変形して前記底片部の外面に圧接されていることを特徴とする請求項1又は2記載のヒートシンク。
【請求項4】
前記外側部材は、前記底片部から前記筒状突部の突出方向へ突出する突片部を具備して前記放熱フィンを構成していることを特徴とする請求項3記載のヒートシンク。
【請求項5】
前記外側部材は、前記底片部から前記筒状突部の突出方向へ突出した支柱部と、前記支柱部の突端側で前記突出方向に対する交差方向へ延設された板状部とを具備して、前記放熱フィンを構成していることを特徴とする請求項3記載のヒートシンク。
【請求項6】
前記内側部材の外側面に凹部が設けられ、この凹部に前記筒状突部の内側面が嵌り合っていることを特徴とする請求項1~5何れか1項記載のヒートシンク。
【請求項7】
前記筒状突部内に前記内側部材を挿入する内側挿入工程と、前記筒状突部を前記止着孔に挿通するようにして前記外側部材を前記ベース部材に装着する外側装着工程と、これらの工程の後に、前記筒状突部をその突出方向側から押圧して径方向の内側へ塑性変形させて前記内側部材に圧接するとともに、同筒状突部の突端側を径方向外側へ塑性変形させて前記外側部材に圧接するカシメ工程とを含むことを特徴とする請求項1~6何れか1項記載のヒートシンクの製造方法。
【請求項8】
前記カシメ工程の前に、前記ベース部材に貫通させた前記内側部材の端部と前記電子部品接触面とを、平坦面状の台に当接する工程を含むことを特徴とする請求項7記載のヒートシンクの製造方法。
【請求項9】
前記電子部品接触面に接触するように、電子部品を具備したことを特徴とする請求項1~6何れか1項記載のヒートシンクを用いた電子部品パッケージ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品等の熱を放熱するようにしたヒートシンク及び該ヒートシンクの製造方法並びに該ヒートシンクを用いた電子部品パッケージに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の発明には、例えば特許文献1に示すように、基板部に放熱フィンとして機能する多数の凸部を設けたヒートシンクがある。
このようなヒートシンクでは、前記凸部を大きくしたり、前記凸部の形状を複雑にしたりして、その表面積を拡大することにより、放熱性能を向上することが求められる。
そこで、前記凸部を前記基板部とは独立した別体の部品として、比較的大きな形状や複雑な形状等に加工した後、この凸部を前記基板部に接続することが提案される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許6109274号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記したように別体の凸部を基板部に接続するようにした場合、その接続箇所の強度や、生産性等が問題になる場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記課題の少なくとも一部を解決するために、以下の構成を具備するものである。
一方の面を電子部品に接触させるための電子部品接触面にするとともに他方の面に筒状突部を突設した板状のベース部材と、前記筒状突部に挿入された内側部材と、前記筒状突部に環状に嵌り合う止着孔を有する外側部材とを備え、前記筒状突部の内側面が前記内側部材の外側面に圧接され、前記筒状突部の突端側が前記外側部材に圧接され、前記内側部材と前記外側部材のうちの少なくとも一方が、放熱フィンを構成していることを特徴とするヒートシンク。
【発明の効果】
【0006】
本発明は、以上説明したように構成されているので、放熱フィンの接続箇所の強度を十分に確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明に係るヒートシンク一例を示す斜視図である。
図2】同ヒートシンクを側方から視た図であり、(a)は組立前、(b)は組立後を示す。
図3】同ヒートシンクの製造方法を(a)~(d)に順次に示す要部切断端面図である。
図4】同ヒートシンクの製造方法を(e)~(g)に順次に示す要部切断端面図である。
図5】本発明に係るヒートシンク他例を示す斜視図である。
図6】同ヒートシンクを側方から視た半断面図であり、(a)は組立前、(b)は組立後を示す。
図7】内側部材の一例を(a)と(b)にそれぞれ示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本実施の形態では、以下の特徴を開示している。
第1の特徴は、一方の面を電子部品に接触させるための電子部品接触面にするとともに他方の面に筒状突部を突設した板状のベース部材と、前記筒状突部に挿入された内側部材と、前記筒状突部に環状に嵌り合う止着孔を有する外側部材とを備え、前記筒状突部の内側面が前記内側部材の外側面に圧接され、前記筒状突部の突端側が前記外側部材に圧接され、前記内側部材と前記外側部材のうちの少なくとも一方が、放熱フィンを構成している(図1図6参照)。
【0009】
第2の特徴として、前記筒状突部内が、前記ベース部材を貫通する貫通孔状に形成され、前記電子部品接触面と前記内側部材の端面とが、略面一である(図3参照)。
【0010】
第3の特徴として、前記外側部材は、前記他方の面に接するとともに前記筒状突部の突出量よりも厚みの小さい板状の底片部を有し、この底片部に前記止着孔を形成しており、前記筒状突部は、前記止着孔に貫通状に挿通されて、その突端側が変形して前記底片部の外面に圧接されている(図1図6参照)。
【0011】
第4の特徴として、前記外側部材は、前記底片部から前記筒状突部の突出方向へ突出する突片部を具備して前記放熱フィンを構成していることを特徴とする請求項3記載のヒートシンク(図1及び図2参照)。
【0012】
第5の特徴として、前記外側部材は、前記底片部から前記筒状突部の突出方向へ突出した支柱部と、前記支柱部の突端側で前記突出方向に対する交差方向へ延設された板状部とを具備して、前記放熱フィンを構成していることを特徴とする請求項3記載のヒートシンク(図5及び図6参照)。
【0013】
第6の特徴として、前記内側部材の外側面に凹部が設けられ、この凹部に前記筒状突部の内側面が嵌り合っている(図7(b)参照)。
【0014】
第7の特徴は、上記ヒートシンクの製造方法であって、前記筒状突部内に前記内側部材を挿入する内側挿入工程と、前記筒状突部を前記止着孔に挿通するようにして前記外側部材を前記ベース部材に装着する外側装着工程と、これらの工程の後に、前記筒状突部をその突出方向側から押圧して径方向の内側へ塑性変形させて前記内側部材に圧接するとともに、同筒状突部の突端側を径方向外側へ塑性変形させて前記外側部材に圧接するカシメ工程とを含む(図3参照)。
【0015】
第8の特徴は、前記カシメ工程の前に、前記ベース部材に貫通させた前記内側部材の端部と前記電子部品接触面とを、平坦面状の台に当接する工程を含む(図3参照)。
【0016】
第9の特徴は、上記ヒートシンクを用いた電子部品パッケージであって、前記電子部品接触面に接触するように、電子部品を具備した。
【0017】
なお、後述する実施態様では、以下の構成要件のみを必須とした発明も開示している。
すなわち、この発明の一つは、ヒートシンクであって、一方の面を電子部品に接触させるための電子部品接触面にするとともに他方の面に筒状突部を突設した板状のベース部材と、前記筒状突部に挿入された内側部材とを備え、前記筒状突部の内側面が前記内側部材の外側面に圧接され、前記内側部材が、前記筒状突部よりも突出して放熱フィンを構成している。
この発明によれば、内側部材と筒状突部とを互いに圧接して、これら二つの部材の接続強度を向上することができる。
さらに他の発明は、上記ヒートシンクの製造方法であって、前記筒状突部内に前記内側部材を挿入する内側挿入工程と、この工程の後に、前記筒状突部をその突出方向側から押圧して径方向の内側へ塑性変形させて前記内側部材に圧接するカシメ工程とを含む。
【0018】
<第一の実施態様>
次に、上記特徴を有する具体的な実施態様について、図面に基づいて詳細に説明する。
【0019】
図1図2に示すヒートシンク1は、筒状突部13を有する板状のベース部材10と、筒状突部13に挿入された内側部材20と、筒状突部13に環状に嵌り合う止着孔31aを有する外側部材30とを備え、外側部材30を放熱フィンとして構成している。
【0020】
ベース部材10は、塑性変形性の良好な金属材料から矩形平板状に形成され、その厚み方向の一方側(図示の下側)の面を、平坦状に形成して電子部品Xに接触させるための電子部品接触面11とし、逆側の面を外側部材30を装着するための外側部材装着面12としている。
【0021】
電子部品接触面11は、凹凸のない平坦状の面である。
外側部材装着面12は、平坦状の面に、外側部材30側へ突出する複数の筒状突部13を有する。
【0022】
筒状突部13は、外側部材装着面12が連続する方向に所定の間隔を置いて複数設けられる。
より詳細に説明すれば、この筒状突部13は、外側部材30の各々に対応するようにして、外側部材30毎に複数(図示例によれば二つ)設けられる。
【0023】
各筒状突部13は、その中心軸を、ベース部材10面に直交させて外側部材30側へ突出した円筒状に形成される。
この筒状突部13の内部は、ベース部材10を厚さ方向へ貫通する貫通孔状に形成される。
【0024】
各筒状突部13は、外側部材30の止着孔31aに貫通状に挿通される。
そして、各筒状突部13の内側面(内周面)は、内側部材20の外側面(外周面)に圧接され、各筒状突部13の突端側は、止着孔31aの外部側で、径方向外側へカシメられ変形して底片部31の上面に圧接される(図4(f)参照)。この筒状突部13の加工方法については、後に詳述する。
【0025】
内側部材20は、図7(a)に示すように、外観視円柱状の中実部材であり、金属材料から形成される。
この内側部材20は、一端側(図示例によれば上端側)を筒状突部13外へ露出した状態で、他端側を筒状突部13に内在している。そして、内側部材20の前記他端側の端部は、ベース部材10の電子部品接触面11と、略面一にある。この構成によれば、凹凸のない電子部品接触面11を電子部品Xに接触させて、電子部品Xの熱を当該ヒートシンク1に効率良く伝達することができる。
【0026】
外側部材30は、止着孔31aを有する底片部31と、底片部31から筒状突部13の突出方向へ突出する複数(図示例によれば二枚)の突片部32とを具備して放熱フィンを構成している。
【0027】
底片部31は、ベース部材10の外側部材装着面12に接触するように、平板状に形成される。図示例の底片部31は、ベース部材10の電子部品接触面11に沿う平面視長方形状に形成される。
この底片部31には、ベース部材10の一辺に沿って直線上に並ぶ複数の筒状突部13に対応するように、複数の貫通状の止着孔31a(図2参照)が設けられる。各止着孔31aには、筒状突部13が貫通状に挿通されている。
【0028】
また、突片部32は、底片部31の長手方向に直交する方向の両端部からそれぞれ突出するようにして、二枚設けられる。これら二枚の突片部32は、一定の間隔を置いて略平行している。
各突片部32は、矩形平板状に形成され、底片部31に対し略直交している。
【0029】
上記構成のベース部材10、内側部材20及び外側部材30の原材料は、単一の金属元素からなる純金属や、複数の金属元素あるいは金属元素と非金属元素から成る合金等とすることが可能である。前記金属元素の具体例としては、アルミニウム、銅、ステンレス、ニッケル又はマグネシウム等が挙げられる。
また、ベース部材10、内側部材20及び外側部材30の各々は、単一材料から形成してもよいし、二つ以上の異なる材料を一体的に組み合わせた複合材料から形成してもよい。
【0030】
次に、上記構成のヒートシンク1の製造方法について詳細に説明する。
この製造方法では、平板状原材に筒状突部13を加工してベース部材10とする工程(図3(a)(b)参照)と、筒状突部13の内側に内側部材20を挿入して、ベース部材10に貫通させた内側部材20の端部と電子部品接触面11とを平坦面状の台Tに当接する内側挿入工程(図3(c)参照)と、筒状突部13を止着孔31aに挿通するようにして外側部材30をベース部材10に装着する外側装着工程(図3(d)参照)と、これらの工程の後に、筒状突部13をその突出方向側から押圧して径方向の内側へ塑性変形させて内側部材20に圧接するとともに、同筒状突部13の突端側を径方向外側へ塑性変形させて外側部材30に圧接するカシメ工程(図4(e)(f))とを含む。
【0031】
詳細に説明すれば、先ず、図3(a)に示す工程では、ベース部材10を構成するための平板状原材に対し、下方側から金型を突き当てるようにして、上方へ突出するとともに内部が凹状の凸部を形成する。
そして、図3(b)に示すように、前記凸部の突端壁をプレス加工等により打ち抜くことで、筒状突部13を形成する。これらの加工工程の少なくとも一部には、例えば特許文献1に記載される加工方法を適用することが可能である。
【0032】
次の内側挿入工程及び外側装着工程では、図3(c)(d)に示すように、ベース部材10の電子部品接触面11を、台Tの上面に接触させて位置決めし、筒状突部13内に内側部材20を挿入し、さらに筒状突部13の外周部に、外側部材30における底片部31の止着孔31aを嵌め合わせる。
台Tは、例えば、金属材料等の硬質材料から直方体状に形成される。この台Tの上面は、平坦状であり、ベース部材10の電子部品接触面11に接触する。
【0033】
なお、内側部材20と外側部材30を嵌め合わせる順序は、逆にすることが可能である。すなわち、図示とは逆に、外側部材30を先に嵌め合わせてから、内側部材20を嵌め合わせるようにしてもよい。
【0034】
次に、カシメ工程では、図4(e)(f)に示すように、筒状(図示例によれば円筒状)の治具Jの下端を筒状突部13の上端に押し当て、筒状突部13を塑性変形させる。
この際、筒状突部13は、止着孔31a内にて圧縮変形して、その内周面を、内側部材20の外周面に圧接する。
さらに、この筒状突部13は、その突端側であって止着孔31aよりも外側の部分を、径方向の外側へ塑性変形して、止着孔31aの周囲側にて外側部材30の底片部31の外面に圧接する。
【0035】
そして、上記構成のヒートシンク1は、電子部品接触面11を電子部品Xに接触させて電子部品パッケージAを構成する(図1参照)。電子部品Xは、例えば、CPUや、トランジスタ、サイリスタ、その他の半導体や電子部品等である。
【0036】
次に、図4(g)に示すように、治具Jと台Tが、それぞれ上方と下方へ引き離され、ヒートシンク1が完成する。
【0037】
よって、上記構成のヒートシンク1及び該ヒートシンク1の製造方法によれば、内側部材20と筒状突部13が互いに圧接され、筒状突部13と外側部材30も互いに圧接されるため、これらの接続箇所の強度を十分に確保することができる。
しかも、前記二か所の圧接を略同時に行うようにしているため、生産性が良好である。
【0038】
また、電子部品パッケージAによれば、表面積の比較的大きい形状の放熱フィン(外側部材30)がベース部材10に一体化されているため、電子部品Xによる発熱を、効果的に放熱することができる。
【0039】
<第二の実施態様>
次に、本発明に係るヒートシンクにおける他の実施態様について説明する。
以下に示す実施態様は、上記ヒートシンク1の一部を変更したものであるため、主のその変更部分について詳述し、同様の部分にはヒートシンク1と同一の符号を付け、重複する詳細説明を省略する。
【0040】
図5及び図6に示すヒートシンク2は、上記ヒートシンク1に対し、ベース部材10をベース部材10’に置換し、外側部材30を、外側部材40に置換したものである。
【0041】
ベース部材10’は、上記ベース部材10と同様に、電子部品接触面11、外側部材装着面12及び筒状突部13等を一体に備え、筒状突部13の数及び配置が上記ベース部材10とは異なる。
このベース部材10’の筒状突部13は、外側部材40の止着孔41aに対応するように、その数及び配置が設定される。
【0042】
外側部材40は、止着孔41aを有する底片部41と、底片部41から筒状突部13の突出方向へ突出した支柱部42と、支柱部42の突端側で前記突出方向に対する直交方向へ延設された板状部43とを具備して、放熱フィンを構成している。
【0043】
図示例によれば、底片部41及び支柱部42は、外側部材装着面12の延設方向に所定の間隔を置いて複数設けられる。
【0044】
各底片部41は、ベース部材10’の外側部材装着面12に接触するように、長尺平板状に形成され、図示例によれば平面視長孔形状を呈する。この底片部41には、複数(図示例によれば三つ)の筒状突部13にそれぞれ対応するように、複数の貫通状の止着孔41a(図6参照)が設けられる。
各止着孔41aには、筒状突部13が貫通状に挿通される。
【0045】
また、各支柱部42は、底片部41の周縁側から、反ベース部材側(図示の上方)へ略筒状に突出している。この支柱部42の突端側には、板状部43が一体的に設けられる。支柱部42内の空間は、底片部41側が止着孔41aを介して外部に連通し、電子部品接触面11側も貫通孔状に外部に連通している。
【0046】
板状部43は、ベース部材10’との間に所定の間隔を置いて、ベース部材10’に対し略平行に設けられる。
【0047】
上記構成の底片部41、支柱部42及び板状部43は、例えば、金属製の平板状原材に、特許文献1に示す加工方法を適用することで、容易に加工することができる。
【0048】
ヒートシンク2の製造手順は、ベース部材10’の筒状突部13に内側部材20を挿入し、同筒状突部13に、底片部41の止着孔41aを環状に装着し、これらベース部材10’、内側部材20、外側部材40をカシメ加工により一体化する。これらの工程は、ヒートシンク1の製造工程(図3及び図4参照)と略同様である。
【0049】
よって、図5及び図6に示すヒートシンク2及び該ヒートシンク2の製造方法によれば、内側部材20と筒状突部13が互いに圧接され、筒状突部13と外側部材40も互いに圧接されるため、これらの接続箇所の強度を十分に確保することができる。
【0050】
そして、上記構成のヒートシンク2は、電子部品接触面11を電子部品Xに接触させて電子部品パッケージBを構成する(図1参照)。
この電子部品パッケージBによれば、表面積の比較的大きい形状の放熱フィン(外側部材40)がベース部材10’に一体化されているため、電子部品Xによる発熱を、効果的に放熱することができる。
【0051】
<内側部材の他例>
上記構成において、内側部材20は、図7(b)に示す内側部材20’に置換することが可能である。
内側部材20’は、上記内側部材20に対し、その外周面に凹部21’を設けたものである。
凹部21’は、筒状突部13内に位置するように、ベース部材10の厚み方向(図示の上下方向)の寸法が設定されている。
この凹部21’は、図示例によれば、内側部材20’の全周にわたる環状の溝状に形成される。
【0052】
よって、上記構成のヒートシンク1,2において、内側部材20を内側部材20’に置換すれば、上記カシメ工程にて、塑性変形した筒状突部13の内面が、凹部21’に入り込んで嵌り合うため、ベース部材10に対する内側部材20’の接続強度をより増大することができる。
【0053】
<他の変形例>
上記実施の形態によれば、特に好ましい態様として、筒状突部13内の孔を貫通孔状に形成したが、他例としては、筒状突部13内の孔を、電子部品接触面11側を底部とした有底孔状に形成することも可能である。
【0054】
また、図7(b)に示す内側部材20’では、凹部21’を単数としたが、他例としては、凹部21’を、ベース部材10の厚み方向(図示例によれば上下方向)に間隔を置いて複数設けた態様とすることも可能である。
【0055】
また、図7(b)に示す内側部材20’では、凹部21’を環状の溝としたが、他例としては、この凹部21’を、周方向において部分的な単数又は複数の凹部に置換することも可能である。
【0056】
また、上記実施の態様では、外側部材30(又は40)を放熱フィンとして構成したが、他例としては、内側部材20(又は20’)を、筒状突部13の突出方向側へ延設して、放熱フィンとして構成することも可能である。
さらに他例としては、外側部材30(又は40)と内側部材20(又は20’)との双方を、放熱フィンとして構成することも可能である。
【0057】
また、上記実施の態様では、筒状突部13を円筒状に形成するとともに内側部材20(又は20’)を略円柱状に形成したが、他例としては、筒状突部を、円筒以外の形状の筒状(例えば角筒状や楕円筒状等)に形成し、この筒状突部の内側面に嵌り合うように、前記内側部材を形成することも可能である。
【0058】
また。本発明は上述した実施態様に限定されず、本発明の要旨を変更しない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0059】
1,2:ヒートシンク
10:ベース部材
11:電子部品接触面
12:外側部材装着面
13:筒状突部
20,20’:内側部材
30:外側部材(放熱フィン)
31:底片部
31a:止着孔
32:突片部
40:外側部材(放熱フィン)
41:底片部
41a:止着孔
42:支柱部
43:板状部
J:治具
T:台
X:電子部品

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7