(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-22
(45)【発行日】2024-01-05
(54)【発明の名称】抗微生物性コンタクトレンズ
(51)【国際特許分類】
G02C 7/04 20060101AFI20231225BHJP
C08F 220/34 20060101ALI20231225BHJP
C08F 212/14 20060101ALI20231225BHJP
C08F 220/60 20060101ALI20231225BHJP
C08F 220/56 20060101ALI20231225BHJP
C08F 226/02 20060101ALI20231225BHJP
C08F 220/10 20060101ALI20231225BHJP
【FI】
G02C7/04
C08F220/34
C08F212/14
C08F220/60
C08F220/56
C08F226/02
C08F220/10
(21)【出願番号】P 2020541728
(86)(22)【出願日】2019-02-14
(86)【国際出願番号】 US2019017992
(87)【国際公開番号】W WO2019194903
(87)【国際公開日】2019-10-10
【審査請求日】2022-01-28
(73)【特許権者】
【識別番号】519077322
【氏名又は名称】ケラメッド インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100141173
【氏名又は名称】西村 啓一
(72)【発明者】
【氏名】シューイー イーチェー
【審査官】東松 修太郎
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/048982(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/232025(WO,A1)
【文献】特開平06-337378(JP,A)
【文献】特開平06-256424(JP,A)
【文献】特表2019-528872(JP,A)
【文献】特表2020-523146(JP,A)
【文献】米国特許第04218554(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0064643(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第109689054(CN,A)
【文献】欧州特許出願公開第00604369(EP,A1)
【文献】中国特許出願公開第104193890(CN,A)
【文献】特開平06-009725(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02C 7/04
C08F 220/34
C08F 212/04
C08F 220/60
C08F 220/56
C08F 226/02
C08F 220/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
抗微生物性ポリマを含む、コンタクトレンズであって、
前記抗微生物性ポリマは、
少なくとも1種の抗微生物性モノマと、
少なくとも1種の他のモノマと、
を含み、
少なくとも1種の前記抗微生物性モノマは、
1-[12-(メタクリロイルオキシ)ドデシル]ピリジニウムブロミド(MDPB)、メタクリルオキシルエチルセチルジメチルアンモニウムクロリド(DMAE-CB)、2-メタクリルオキシエチルドデシルメチルアンモニウムブロミド(MAE-DB)、2-メタクリルオキシエチルヘキサデシルメチルアンモニウムブロミド(MAE-HB)、
若しくは、ビス(2-メタクリルオキシエチル)ジメチルアンモニウムブロミド(IDMA-1)から選択され
る第4級アンモニウム塩系モノマ、
または、
ジメチルアミノプロピルメタクリレート(DMAPM)、ジメチルアミノヘキシルメタクリレート(DMAHM)、ジメチルアミノヘプチルメタクリレート(DMAHPM)、ジメチルアミノオクチルメタクリレート(DMAOM)、ジメチルアミノノニルメタクリレート(DMANM)、ジメチルアミノデシルメタクリレート(DMADM)、ジメチルアミノウンデシルメタクリレート(DMAUDM)、ジメチルアミノドデシルメタクリレート(DMADDM)、ジメチルアミノトリデシルメタクリレート(DMATDM)、ジメチルアミノテトラデシルメタクリレート(DMATTDM)、ジメチルアミノペンタデシルメタクリレート(DMAPDM)、ジメチルアミノヘキサデシルメタクリレート(DMAHDM)、ジメチルアミノヘプタデシルメタクリレート(DMAHPDM)、ジメチルアミノオクタデシルメタクリレート(DMAODM)、ジメチルアミノノナデシルメタクリレート(DMANDM)、ジメチルアミノイコシルメタクリレート(DMAIOM)、ジメチルアミノヘンイコシルメタクリレート(DMAHOM)、
若しくは、ジメチルアミノドコシルメタクリレート(DMADOM)から選択される
モノマ、
であり、
少なくとも1種の前記他のモノマは、
アクリルモノマ、疎水性アクリルモノマ、親水性アクリルモノマ、ビニルモノマ、
若しくは、コラーゲンモノマから選択され
る、
ことを特徴とするコンタクトレンズ。
【請求項2】
少なくとも1種の
前記抗微生物性モノマは、抗微生物性ペプチドと共有結合する、
請求項1記載のコンタクトレンズ。
【請求項3】
前記抗微生物性ペプチドは、
2つから4つのジスルフィド架橋により安定化されるβ-シートペプチド
、
αヘリックスペプチド
、
グリシン、プロリン、トリプトファン、アルギニン、
若しくはヒスチジンに富む拡張された構造
、
または
1つ
若しくは複数のジスルフィド架橋を有するループペプチド
、
から選択される、
請求項2記載のコンタクトレンズ。
【請求項4】
前記アクリルモノマは、グリセロールモノメタクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、N-(2-ヒドロキシプロピル)メタクリルアミド、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ポリ(エチレングリコール)、モノメチルエーテルモノメタクリレート、N-ビニル-2-ピロリドン、イソブチルメタクリレート、メチルメタクリレート、N-オクチルメタクリレート、アリルフェニルエーテル、ベンズヒドリルメタクリレート、ベンジルアクリレート、N-ベンジルメタクリルアミド、ベンジルメタクリレート、2-(9H-カルバゾール-9-イル)エチルメタクリレート、4-クロロフェニルアクリレート、1H,1H,7H-ドデカフルオロヘプチルメタクリレート、1H,1H,2H,2H-ヘプタデカフルオロデシルアクリレート、1H,1H,2H,2H-ヘプタデカフルオロデシルメタクリレート、1H,1H-ヘプタフルオロブチルアクリレート、1H,1H,3H-ヘキサフルオロブチルアクリレート、1H,1H,3H-ヘキサフルオロブチルメタクリレート、ヘキサフルオロイソプロピルメタクリレート、1H,1H,5H-オクタフルオロペンチルアクリレート、1H,1H,5H-オクタフルオロペンチルメタクリレート、ペンタブロモフェニルアクリレート、ペンタブロモフェニルメタクリレート、ペンタフルオロフェニルアクリレート、ペンタフルオロフェニルメタクリレート、1H,1H,3H-テトラフルオロプロピルメタクリレート、2,4,6-トリブロモフェニルアクリレート、2,2,2-トリフルオロエチルアクリレート、2,2,2-トリフルオロエチルメタクリレート、N-(3-アミノプロピル)メタクリルアミドモノヒドロクロリド、2-(N,N-ジメチルアミノ)モノエチルメタクリレート、メタクリル酸、2-アミノエチルメタクリレートヒドロクロリド、4-(2-アクリルオキシエトキシ)2-ヒドロキシベンゾフェノン、フェニルアクリレート、4-メタクリルオキシ-2-ヒドロキシベンゾフェノン、2-(2’-メタクリルオキシ-5’-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-シンナモイルオキシエチルアクリレート、シンナミルメタクリレート、グリシジルシンナメート、2-ナフチルメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、および/または1,4-フェニレンジアクリレート、およびポリ(エチレングリコール)ジアクリレートから選択される、
請求項1記載のコンタクトレンズ。
【請求項5】
前記アクリルモノマは、メチルアクリレートとメチルメタクリレートとから選択される、
請求項1記載のコンタクトレンズ。
【請求項6】
前記疎水性アクリルモノマは、
ブタンジオールジアクリレートで架橋され、フェニルエチルアクリレートとフェニルエチルメタクリレートとのコポリマを形成する、フェニルエチルアクリレートとフェニルエチルメタクリレートとブタンジオールジアクリレートとのモノマ、
エチレングリコールジメタクリレートで架橋され、エチルアクリレートとエチルメタクリレートと2,2,2-トリフルオロエチルメタクリレートとのコポリマを形成する、エチレングリコールジメタクリレートで架橋される、エチルアクリレートとエチルメタクリレートと2,2,2-トリフルオロエチルメタクリレートとのモノマ、
フェニルエチルメタクリレートとn-ブチルアクリレートとフルオロアルキルメタクリレートとが架橋されたコポリマを形成する、フェニルエチルメタクリレートとn-ブチルアクリレートとフルオロアルキルメタクリレートとのモノマ、
ブタンジオールジアクリレートで架橋され、フェニルエチルアクリレートとフェニルエチルメタクリレートとのコポリマを形成する、フェニルエチルアクリレートとフェニルエチルメタクリレートとブタンジオールジアクリレートとのモノマ、
2-フェニルエチルアクリレートと2-フェニルエチルメタクリレートとのコポリマを形成する、2-フェニルエチルアクリレートと2-フェニルエチルメタクリレートとのモノマ、および/または
2-フェニルエチルアクリレートと2-フェニルエチルメタクリレートとのコポリマを形成する、2-フェニルエチルアクリレートと2-フェニルエチルメタクリレートとのモノマ、
から選択される、
請求項1記載のコンタクトレンズ。
【請求項7】
前記親水性アクリルモノマは、
ヒドロキシエチルメタクリレートとメチルメタクリレートとのコポリマを形成する、ヒドロキシエチルメタクリレートとメチルメタクリレートとのモノマ、
ヒドロキシエチルメタクリレートとメチルメタクリレートとのコポリマを形成する、ヒドロキシエチルメタクリレートとメチルメタクリレートとのモノマ、
ヒドロキシエチルメタクリレートとメチルメタクリレートとのコポリマを形成する、ヒドロキシエチルメタクリレートとメチルメタクリレートとのモノマ、
2-ヒドロキシエチルメタクリレートと2-エトキシエチルメタクリレートとのコポリマを形成する、2-ヒドロキシエチルメタクリレートと2-エトキシエチルメタクリレートとのモノマ、および/または
2-ヒドロキシエチルメタクリレートとメチルメタクリレートとのコポリマを形成する、2-ヒドロキシエチルメタクリレートとメチルメタクリレートとのモノマ、
から選択される、
請求項1記載のコンタクトレンズ。
【請求項8】
前記ビニルモノマは、ビニルカーボネート、ビニルカルバメート、N-ビニル-2-ピロリドン、および/またはN-ビニルカルバゾールのモノマから選択される、
請求項1記載のコンタクトレンズ。
【請求項9】
前記コラーゲンモノマは、天然由来のI-XXVIII型コラーゲンモノマ、遺伝子組換えコラーゲンモノマおよびその断片、および/または合成コラーゲンモノマおよびその断片、のモノマから選択される、
請求項1記載のコンタクトレンズ。
【請求項10】
前記抗微生物性ポリマは、透明である、
請求項1記載のコンタクトレンズ。
【請求項11】
抗微生物性ポリマを含む、コンタクトレンズの調製方法であって、
前記抗微生物性ポリマは、
少なくとも1種の抗微生物性モノマと、
少なくとも1種の他のモノマと、
を含み、
前記抗微生物性ポリマを提供するために、少なくとも1種の前記抗微生物性モノマを、アクリルモノマ、疎水性アクリルモノマ、親水性アクリルモノマ、ビニルモノマ
、若しくは、コラーゲンモノマから選択される少なくとも1種の前記他のモノマと反応させる工程と
、
少なくとも1種の
前記抗微生物性モノマは
、
1-[12-(メタクリロイルオキシ)ドデシル]ピリジニウムブロミド(MDPB)、メタクリルオキシルエチルセチルジメチルアンモニウムクロリド(DMAE-CB)、2-メタクリルオキシエチルドデシルメチルアンモニウムブロミド(MAE-DB)、2-メタクリルオキシエチルヘキサデシルメチルアンモニウムブロミド(MAE-HB)、
若しくは、ビス(2-メタクリルオキシエチル)ジメチルアンモニウムブロミド(IDMA-1)から選択され
る第4級アンモニウム塩系モノマ、
または、
ジメチルアミノプロピルメタクリレート(DMAPM)、ジメチルアミノヘキシルメタクリレート(DMAHM)、ジメチルアミノヘプチルメタクリレート(DMAHPM)、ジメチルアミノオクチルメタクリレート(DMAOM)、ジメチルアミノノニルメタクリレート(DMANM)、ジメチルアミノデシルメタクリレート(DMADM)、ジメチルアミノウンデシルメタクリレート(DMAUDM)、ジメチルアミノドデシルメタクリレート(DMADDM)、ジメチルアミノトリデシルメタクリレート(DMATDM)、ジメチルアミノテトラデシルメタクリレート(DMATTDM)、ジメチルアミノペンタデシルメタクリレート(DMAPDM)、ジメチルアミノヘキサデシルメタクリレート(DMAHDM)、ジメチルアミノヘプタデシルメタクリレート(DMAHPDM)、ジメチルアミノオクタデシルメタクリレート(DMAODM)、ジメチルアミノノナデシルメタクリレート(DMANDM)、ジメチルアミノイコシルメタクリレート(DMAIOM)、ジメチルアミノヘンイコシルメタクリレート(DMAHOM)、
若しくは、ジメチルアミノドコシルメタクリレート(DMADOM)から選択され
るモノマ、
であり、
前記抗微生物性ポリマをコンタクトレンズに使用する工程と、
を含む、
ことを特徴とするコンタクトレンズの調製方法。
【請求項12】
少なくとも1種の
前記抗微生物性モノマは、抗微生物性ペプチドと共有結合する、
請求項11記載のコンタクトレンズの調製方法。
【請求項13】
前記抗微生物性ペプチドは、
2つから4つのジスルフィド架橋により安定化されるβ-シートペプチド
、
αヘリックスペプチド
、
グリシン、プロリン、トリプトファン、アルギニン、
若しくはヒスチジンに富む拡張された構造
、
または
1つ
若しくは複数のジスルフィド架橋を有するループペプチド
、
から選択される、
請求項12記載のコンタクトレンズの調製方法。
【請求項14】
前記アクリルモノマは、グリセロールモノメタクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、N-(2-ヒドロキシプロピル)メタクリルアミド、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ポリ(エチレングリコール)、モノメチルエーテルモノメタクリレート、N-ビニル-2-ピロリドン、イソブチルメタクリレート、メチルメタクリレート、N-オクチルメタクリレート、アリルフェニルエーテル、ベンズヒドリルメタクリレート、ベンジルアクリレート、N-ベンジルメタクリルアミド、ベンジルメタクリレート、2-(9H-カルバゾール-9-イル)エチルメタクリレート、4-クロロフェニルアクリレート、1H,1H,7H-ドデカフルオロヘプチルメタクリレート、1H,1H,2H,2H-ヘプタデカフルオロデシルアクリレート、1H,1H,2H,2H-ヘプタデカフルオロデシルメタクリレート、1H,1H-ヘプタフルオロブチルアクリレート、1H,1H,3H-ヘキサフルオロブチルアクリレート、1H,1H,3H-ヘキサフルオロブチルメタクリレート、ヘキサフルオロイソプロピルメタクリレート、1H,1H,5H-オクタフルオロペンチルアクリレート、1H,1H,5H-オクタフルオロペンチルメタクリレート、ペンタブロモフェニルアクリレート、ペンタブロモフェニルメタクリレート、ペンタフルオロフェニルアクリレート、ペンタフルオロフェニルメタクリレート、1H,1H,3H-テトラフルオロプロピルメタクリレート、2,4,6-トリブロモフェニルアクリレート、2,2,2-トリフルオロエチルアクリレート、2,2,2-トリフルオロエチルメタクリレート、N-(3-アミノプロピル)メタクリルアミドモノヒドロクロリド、2-(N,N-ジメチルアミノ)モノエチルメタクリレート、メタクリル酸、2-アミノエチルメタクリレートヒドロクロリド、4-(2-アクリルオキシエトキシ)2-ヒドロキシベンゾフェノン、フェニルアクリレート、4-メタクリルオキシ-2-ヒドロキシベンゾフェノン、2-(2’-メタクリルオキシ-5’-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-シンナモイルオキシエチルアクリレート、シンナミルメタクリレート、グリシジルシンナメート、2-ナフチルメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、および/または1,4-フェニレンジアクリレート、およびポリ(エチレングリコール)ジアクリレートから選択される、
請求項11記載のコンタクトレンズの調製方法。
【請求項15】
前記アクリルモノマは、メチルアクリレートとメチルメタクリレートとから選択される、
請求項11記載のコンタクトレンズの調製方法。
【請求項16】
前記疎水性アクリルモノマは、
ブタンジオールジアクリレートで架橋され、フェニルエチルアクリレートとフェニルエチルメタクリレートとのコポリマを形成する、フェニルエチルアクリレートとフェニルエチルメタクリレートとブタンジオールジアクリレートとのモノマ、
エチレングリコールジメタクリレートで架橋され、エチルアクリレートとエチルメタクリレートと2,2,2-トリフルオロエチルメタクリレートとのコポリマを形成する、エチレングリコールジメタクリレートで架橋される、エチルアクリレートとエチルメタクリレートと2,2,2-トリフルオロエチルメタクリレートとのモノマ、
フェニルエチルメタクリレートとn-ブチルアクリレートとフルオロアルキルメタクリレートとが架橋されたコポリマを形成する、フェニルエチルメタクリレートとn-ブチルアクリレートとフルオロアルキルメタクリレートとのモノマ、
ブタンジオールジアクリレートで架橋され、フェニルエチルアクリレートとフェニルエチルメタクリレートとのコポリマを形成する、フェニルエチルアクリレートとフェニルエチルメタクリレートとブタンジオールジアクリレートとのモノマ、
2-フェニルエチルアクリレートと2-フェニルエチルメタクリレートとのコポリマを形成する、2-フェニルエチルアクリレートと2-フェニルエチルメタクリレートとのモノマ、および/または
2-フェニルエチルアクリレートと2-フェニルエチルメタクリレートとのコポリマを形成する、2-フェニルエチルアクリレートと2-フェニルエチルメタクリレートとのモノマ、
から選択される、
請求項11記載のコンタクトレンズの調製方法。
【請求項17】
前記親水性アクリルモノマは、
ヒドロキシエチルメタクリレートとメチルメタクリレートとのコポリマを形成する、ヒドロキシエチルメタクリレートとメチルメタクリレートとのモノマ、
ヒドロキシエチルメタクリレートとメチルメタクリレートとのコポリマを形成する、ヒドロキシエチルメタクリレートとメチルメタクリレートとのモノマ、
ヒドロキシエチルメタクリレートとメチルメタクリレートとのコポリマを形成する、ヒドロキシエチルメタクリレートとメチルメタクリレートとのモノマ、
2-ヒドロキシエチルメタクリレートと2-エトキシエチルメタクリレートとのコポリマを形成する、2-ヒドロキシエチルメタクリレートと2-エトキシエチルメタクリレートとのモノマ、および/または
2-ヒドロキシエチルメタクリレートとメチルメタクリレートとのコポリマを形成する、2-ヒドロキシエチルメタクリレートとメチルメタクリレートとのモノマ、
から選択される、
請求項11記載のコンタクトレンズの調製方法。
【請求項18】
前記ビニルモノマは、ビニルカーボネート、ビニルカルバメート、N-ビニル-2-ピロリドン、および/またはN-ビニルカルバゾールのモノマから選択される、
請求項11記載のコンタクトレンズの調製方法。
【請求項19】
前記コラーゲンモノマは、天然由来のI-XXVIII型コラーゲンモノマ、遺伝子組換えコラーゲンモノマおよびその断片、および/または合成コラーゲンモノマおよびその断片、のモノマから選択される、
請求項11記載のコンタクトレンズの調製方法。
【請求項20】
前記抗微生物性ポリマは、透明である、
請求項11記載のコンタクトレンズの調製方法。
【請求項21】
前記抗微生物性ポリマは、少なくとも20個の原子を含有する、
請求項1乃至10のいずれかに記載のコンタクトレンズ。
【請求項22】
前記抗微生物性ポリマは、少なくとも40個の原子を含有する、
請求項1乃至10のいずれかに記載のコンタクトレンズ。
【請求項23】
前記抗微生物性ポリマは、少なくとも20個の原子を含有する、
請求項11乃至20のいずれかに記載のコンタクトレンズの調製方法。
【請求項24】
前記抗微生物性ポリマは、少なくとも40個の原子を含有する、
請求項11乃至20のいずれかに記載のコンタクトレンズの調製方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、コンタクトレンズと、コンタクトレンズの調製方法および使用方法と、に関し、より詳細には、少なくとも1種の抗微生物性モノマを少なくとも1種の他のモノマと共重合させることにより得られるコンタクトレンズ用の抗微生物性ポリマに関する。
【背景技術】
【0002】
コンタクトレンズは、人間の涙膜上に浮かぶレンズである。これらは、インプラントのように身体に物理的に埋め込まれていない。コンタクトレンズの目的は、光を屈折させ、網膜上の光線の適切な焦点を可能にすること、および/または眼の美容上の外観における変化を提供することである。
【0003】
感染症は、コンタクトレンズの重篤な合併症である。細菌は、コンタクトレンズに付着し、眼表面で感染する可能性がある。コンタクトレンズの使用に起因する角膜の非制御の感染症は、結果として、視力喪失、さらには、目の喪失さえ生じさせ得る。
【0004】
感染症のリスクを減らすために使用される最も一般的な方策は、抗微生物特性を有するコンタクトレンズ保存溶液の使用である。これは有効であり得るが、正しいコンタクトレンズ溶液を使用するかは患者に依存する。コスト上の理由から、患者は、しばしば、抗微生物特性を有さない生理食塩水中にコンタクトレンズを保存する。そのため、継続的に感染のリスクがある。
【0005】
過去に提案された別の方策は、コンタクトレンズのポリマに抗菌性金属イオンを注入することである。特に、金属銀と金属銅とは、コンタクトレンズを含む医療機器用のポリマに注入される薬剤として提案されている。ポリマ中の抗菌剤としての遊離金属イオンの使用は、市販のプラスチック製品と、カテーテルなどの短期的使い捨て医療機器と、において広く使用されているが、金属イオンは、眼に対して危険であることが知られている。銀症(argyrosis)は、眼の銀毒性に対する医学用語である。銀症は、結果として、結膜と虹彩とのスレートグレイ変色を生じさせることが報告されている。また、銀症は結果として白内障(cataract)と網膜の黄斑症(retinal maculopathy)とを生じさせることも分かっており、これらは両方とも、視力を脅かす疾患である。眼における銅毒性は結果として、角膜の周りに、カイザー・フライシャー輪と呼ばれる特徴的な緑色の輪を生じさせる。さらに、複数の研究が銅毒性が眼内炎(ぶどう膜炎)、出血、硝子体液化、低眼圧(hypotony)、虹彩虚血(iris ischemia)、網膜損傷などの眼の合併症を引き起こし得ることを実証している。さらに、遊離金属イオンもまた、経時的にポリマから浸出し得て、したがって、ポリマは経時的にその抗微生物特性を失い得る。
【0006】
Dziaboらは、抗微生物性コンタクトレンズの製造における第4級アンモニウム含有オルガノシランの使用について記載している。しかし、オルガノシランは、コンタクトレンズの製造に関して多くの困難をもたらす。第4級アンモニウム含有オルガノシランは、シリコーンベースのコンタクトレンズの製造に使用され得る。しかしながら、シリコーンベースのコンタクトレンズの製造は非常に高価な装置を必要とし、しばしば非常に低い温度で行われる必要がある。装置の費用と特別な製造環境とにより、最大規模の企業のみがシリコーンベースのコンタクトレンズの製造が可能である。世界中のコンタクトレンズのより小規模な製造業者のほとんどにおいて、コンタクトレンズに使用されるポリマは、主としてメタクリレートベースである。他のあまり一般的に使用されていないコンタクトレンズ材料としては、ビニルとコラーゲンとが挙げられる。ほとんどのオルガノシラン化合物は、メチルメタクリレート、ビニル、またはコラーゲンの存在下では透明な材料に重合せず、したがって、メチルメタクリレート、ビニル、および/またはコラーゲンをベースとする抗微生物性コンタクトレンズの作製には使用することができない。そのため、メチルメタクリレート、ビニルおよび/またはコラーゲンベースのコンタクトレンズが抗微生物特性を有することを可能にする発明が必要とされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前述の理由から、当該技術分野において、コンタクトレンズに関連する微生物感染のリスクを減少させる改良された組成物と方法とが依然として必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、少なくとも1種の抗微生物性モノマと、アクリルモノマ、疎水性アクリルモノマ、親水性アクリルモノマ、ビニルモノマ、および/またはコラーゲンモノマから選択される少なくとも1種のモノマと、を共重合させることにより得られる、抗微生物性ポリマを有する、コンタクトレンズを提供する。本発明はまた、抗微生物性ポリマを提供するために、少なくとも1種の抗微生物性モノマを、アクリルモノマ、疎水性アクリルモノマ、親水性アクリルモノマ、ビニルモノマ、および/またはコラーゲンモノマから選択される少なくとも1種の他のモノマと反応させ、コンタクトレンズにおいて抗微生物性ポリマを使用することによる、コンタクトレンズの調製方法を提供する。
【0009】
本発明のコポリマは、抗微生物性で、生体適合性で、可逆的に変形可能であり、透明、半透明、または不透明でもある。好ましい態様において、これらのコポリマの抗微生物性モノマは、コンタクトレンズの製造完了後に浸出できない。そのため、自由に浮遊する抗微生物性モノマによる眼への毒性はない。これらの特性は、コンタクトレンズの最適な機能にとって望ましい。さらに、コポリマの表面だけでなく、コポリマ全体が抗微生物特性を有するため、これらのタイプのコポリマから作製されたコンタクトレンズは、インプラントの表面が経時的に浸食されたとしても、それらの抗微生物特性を失わない。このことは、瞬きがポリマ材料の浸食を引き起こすような、眼の表面に曝されるコンタクトレンズにとって特に重要である。本開示のポリマの表面が浸食された場合、表面下の抗微生物性ポリマは依然として微生物を殺し、それにより患者の感染リスクを減少させる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、抗微生物性で、透明な、生体適合性の、可逆的に変形可能なポリマの重合の実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下の説明は、当業者が本明細書において説明される実施形態を作製および使用することを可能にするために提示される。単なる例として、特定のデバイスと、技術と、用途との説明が提供される。本明細書において説明される実施例に対する様々な改変は、当業者には容易に明らかであり、本明細書において定義される一般原理は、本開示の趣旨および範囲から逸脱することなく、他の実施例と用途とに適用されるであろう。本明細書において使用される「例示的」という用語は、「例として記載される」ことを意味するものである。本明細書において「例示的」として説明される任意の態様または設計は、必ずしも、他の態様または設計よりも好ましいまたは有利であるとして解釈されるものではない。したがって、本開示は、本明細書において説明され示される実施例に限定されることを意図されたものではないが、特許請求の範囲と一致した範囲に合致するものである。
【0012】
本明細書において使用される場合、任意の生物学的薬物に対する言及は、生物学的製剤の任意の断片、修飾、または変異体、例えば、任意のペグ化形態、グリコシル化形態、脂質化形態、環化形態、または共役形態の生物学的製剤またはそのような断片、修飾、または変異体、あるいはそれらのいずれかのプロドラッグなど、を包含する。本明細書において使用される場合、任意の小分子薬物に対する言及は、その任意の塩、酸、塩基、水和物、溶媒和物、エステル、異性体、または多形体、あるいはそれらのいずれかの代謝物またはプロドラッグを包含する。本明細書において使用される略語は、化学分野および生物学分野におけるそれらの従来の意味を有する。
【0013】
本明細書において開示されるプロセスにおける工程の特定の順序または階層構造が、例示的アプローチの例であることは理解されるべきである。設計の優先性に基づいて、プロセスにおける工程の特定の順序または階層構造は、本開示の範囲内に留まりつつ、再編されてもよいことが理解されよう。添付の任意の方法クレームは、サンプル順序において様々な工程の要素を提示するが、提示される特定の順序または階層構造に限定されることは意図されない。
【0014】
したがって、本開示は、少なくとも1種の抗微生物性モノマをアクリルモノマ、ビニルモノマ、および/またはコラーゲンモノマから選択される少なくとも1種の他のモノマと共重合させることにより得られる、コンタクトレンズ用の抗微生物性ポリマを提供する。結果として得られる抗微生物性ポリマは、抗微生物性で、生体適合性であり、透明、半透明、または不透明でもある。さらに、これらの特性は、コンタクトレンズの最適な機能にとって望ましい。コポリマの表面だけでなく、コポリマ全体が抗微生物特性を有する。
【0015】
抗微生物性ポリマの重要な特徴は、抗微生物性モノマの浸出不能性と、製造完了後のポリマ内へのそれらの固定化とである。抗微生物性モノマは、遊離状態において、生物に暴露された場合に毒性となることが分かっている。小さな抗微生物分子は、自由に拡散する可能性がより高く、重合後にポリマに永久的に固定されないことがある。そのため、好ましい態様において、本発明の抗微生物性モノマは、各分子中に最低20個の原子、好ましくは40個以上の原子を含有すべきである。
【0016】
1つの好ましい態様において、本発明の抗微生物性ポリマは、微生物の細胞を破裂させることにより、接触において微生物を殺す。例えば、本発明の抗微生物性ポリマは、概して、正電荷を有し、細菌の細胞壁の負に帯電した表面上に、容易に吸着され得る。一旦吸着されると、抗微生物性ポリマ鎖は、次いで、結合した細胞壁を通過して拡散し、細胞膜を崩壊させる。細胞膜の崩壊と、それに続く細胞質成分の漏出とは、細菌分解として知られるプロセスにおいて細菌の死を引き起こす。
【0017】
ほとんどの細菌の細胞壁は負に帯電するため、したがって、ほとんどの抗微生物性ポリマは吸着プロセスを容易にするために正に帯電する。しかしながら、正に帯電した細菌細胞を殺すために好適な負に帯電した抗微生物性ポリマを生成することも可能である。
【0018】
図1は、抗微生物性で、透明な、生体適合性の、可逆的に変形可能なポリマの重合の実施形態を示す。この図において、抗微生物性ポリマは、少なくとも1種の抗微生物性モノマを、アクリルモノマ、ビニルモノマ、および/またはコラーゲンモノマから選択される少なくとも1種のモノマと共重合させることにより得られる。重合後、結果として得られるポリマ網目構造は、ポリマ網目構造の全体に亘って、間隔を置いて配置された固定された抗微生物性ポリマを含む。
【0019】
一実施形態において、抗菌性モノマは、ケイ素を含まない第4級アンモニウム塩系モノマから選択される。第4級アンモニウム塩系モノマの非限定的な例は、1-[12-(メタクリロイルオキシ)ドデシル]ピリジニウムブロミド(MDPB):
CH2=C(CH3)C(O)O(CH2)12N+(C5H5)Br-
MDPB
である。
【0020】
MDPBは、歯科用接着剤および歯科用樹脂と共重合する場合、虫歯のリスクを減らすための抗微生物性モノマとして使用されている。
【0021】
他の実施形態において、少なくとも1種の抗微生物性モノマは、第4級アンモニウム塩系モノマ、例えば、メタクリルオキシルエチルセチルジメチルアンモニウムクロリド(DMAE-CB)である。
CH2=C(CH3)C(O)O(CH2)2N+(CH3)2(CH2)15CH3Cl-
DMAE-CB
【0022】
ポリマ材料に組み入れられ得る抗菌性モノマの量を増加することも可能であり、次いで、2つの重合可能なメタクリル部分を有するように第4級アンモニウム塩系モノマを修飾(modifying)することにより、抗菌活性を高めることも可能である。
【0023】
したがって、他の実施形態において、少なくとも1種の抗微生物性モノマは、第4級アンモニウム塩系モノマ、例えば、2-メタクリルオキシエチルドデシルメチルアンモニウムブロミド(MAE-DB):
CH2=C(CH3)C(O)O(CH2)2N+(CH3)(CH2)2O(O)CC(CH3)=CH2(CH2)12CH3Br-
MAE-DB
である。
【0024】
他の実施態様において、少なくとも1種の抗微生物性モノマは、第4級アンモニウム塩系モノマ、例えば、2-メタクリルオキシエチルヘキサデシルメチルアンモニウムブロミド(MAE-HB):
CH2=C(CH3)C(O)O(CH2)2N+(CH3)(CH2)2O(O)CC(CH3)=CH2(CH2)16CH3Br-
MAE-HB
である。
【0025】
他の実施形態において、少なくとも1種の抗微生物性モノマは、第4級アンモニウム塩系モノマ、例えば、ビス(2-メタクリルオキシエチル)ジメチルアンモニウムブロミド(IDMA-1):
CH2=C(CH3)C(O)O(CH2)2N+(CH3)2(CH2)2O(O)CC(CH3)=CH2Br-
IDMA-1
である。
【0026】
他の実施形態において、少なくとも1種の抗微生物性モノマは、アルキル鎖長に基づいて異なってもよい。これらの例としては、次に限定されるわけではないが、ジメチルアミノプロピルメタクリレート(DMAPM)、ジメチルアミノヘキシルメタクリレート(DMAHM)、ジメチルアミノヘプチルメタクリレート(DMAHPM)、ジメチルアミノオクチルメタクリレート(DMAOM)、ジメチルアミノノニルメタクリレート(DMANM)、ジメチルアミノデシルメタクリレート(DMADM)、ジメチルアミノウンデシルメタクリレート(DMAUDM)、ジメチルアミノドデシルメタクリレート(DMADDM)、ジメチルアミノトリデシルメタクリレート(DMATDM)、ジメチルアミノテトラデシルメタクリレート(DMATTDM)、ジメチルアミノペンタデシルメタクリレート(DMAPDM)、ジメチルアミノヘキサデシルメタクリレート(DMAHDM)、ジメチルアミノヘプタデシルメタクリレート(DMAHPDM)、ジメチルアミノオクタデシルメタクリレート(DMAODM)、ジメチルアミノノナデシルメタクリレート(DMANDM)、ジメチルアミノイコシルメタクリレート(DMAIOM)、ジメチルアミノヘンイコシルメタクリレート(DMAHOM)、ジメチルアミノドコシルメタクリレート(DMADOM)、および/またはそれらの組み合わせが挙げられる。
【0027】
他の実施形態において、抗微生物性モノマは、第1級アミノ基、第2級アミノ基、または第3級アミノ基を有してもよい。これらのタイプの抗菌性モノマの例としては、次に限定されるわけではないが、オルト-ジメチルアミノメチルスチレン、メタ-ジメチルアミノメチルスチレン、および/またはパラ-ジメチルアミノメチルスチレン、N-[2-(ジメチルアミノ)エチル]アクリルアミド、N-(2-アミノエチル)アクリルアミド、n-ブチルアクリルアミド、およびジアリルジメチルアンモニウム塩が挙げられる。
【0028】
さらなる別の実施形態において、細胞増殖抑制性モノマは、細胞増殖抑制性ペプチドと共有結合する。細胞増殖抑制性ペプチドの例として、2つから4つのジスルフィド架橋により安定化されたβシートペプチド(例えば、ヒトα-ディフェンシンおよびヒトβ-ディフェンシン、プレクタシン、またはプロテグリン)、α-ヘリックスペプチド(例えば、LL-37、セクロピン、またはマガイニン)、グリシン、プロリン、トリプトファン、アルギニン、またはヒスチジンに富む拡張された構造(例えば、インドリシジン)、ならびに1つまたは複数のジスルフィド架橋を有するループペプチド(例えば、バクテリオシン)が挙げられる。
【0029】
一実施形態において、少なくとも1種の他のモノマは、アクリルモノマ、ビニルモノマ、および/またはコラーゲンモノマから選択される。これらのモノマは、コンタクトレンズ用の抗微生物性ポリマを提供するために、前述の少なくとも1種の抗微生物性モノマとの重合を受けることができる。
【0030】
他の実施形態において、コンタクトレンズを作製するために使用される好適なアクリルモノマは、以下のモノマ:グリセロールモノメタクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、N-(2-ヒドロキシプロピル)メタクリルアミド、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ポリ(エチレングリコール)、モノメチルエーテルモノメタクリレート、N-ビニル-2-ピロリドン、イソブチルメタクリレート、メチルメタクリレート、N-オクチルメタクリレート、アリルフェニルエーテル、ベンズヒドリルメタクリレート、ベンジルアクリレート、N-ベンジルメタクリルアミド、ベンジルメタクリレート、2-(9H-カルバゾール-9-イル)エチルメタクリレート、4-クロロフェニルアクリレート、1H,1H,7H-ドデカフルオロヘプチルメタクリレート、1H,1H,2H,2H-ヘプタデカフルオロデシルアクリレート、1H,1H,2H,2H-ヘプタデカフルオロデシルメタクリレート、1H,1H-ヘプタフルオロブチルアクリレート、1H,1H,3H-ヘキサフルオロブチルアクリレート、1H,1H,3H-ヘキサフルオロブチルメタクリレート、ヘキサフルオロイソプロピルメタクリレート、1H,1H,5H-オクタフルオロペンチルアクリレート、1H,1H,5H-オクタフルオロペンチルメタクリレート、ペンタブロモフェニルアクリレート、ペンタブロモフェニルメタクリレート、ペンタフルオロフェニルアクリレート、ペンタフルオロフェニルメタクリレート、1H,1H,3H-テトラフルオロプロピルメタクリレート、2,4,6-トリブロモフェニルアクリレート、2,2,2-トリフルオロエチルアクリレート、2,2,2-トリフルオロエチルメタクリレート、N-(3-アミノプロピル)メタクリルアミドモノヒドロクロリド、2-(N,N-ジメチルアミノ)モノエチルメタクリレート、メタクリル酸、2-アミノエチルメタクリレートヒドロクロリド、4-(2-アクリルオキシエトキシ)2-ヒドロキシベンゾフェノン、フェニルアクリレート、4-メタクリルオキシ-2-ヒドロキシベンゾフェノン、2-(2’-メタクリルオキシ-5’-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-シンナモイルオキシエチルアクリレート、シンナミルメタクリレート、グリシジルシンナメート、2-ナフチルメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,4-フェニレンジアクリレート、およびポリ(エチレングリコール)ジアクリレートのうちの少なくとも1種を含む。
【0031】
一実施形態において、少なくとも1種の他のモノマは、疎水性アクリルモノマから選択される。疎水性アクリルモノマの例としては、次に限定されるわけではないが、以下が挙げられる。
【0032】
ブタンジオールジアクリレートで架橋され、フェニルエチルアクリレートとフェニルエチルメタクリレートとのコポリマ(AcrySof(登録商標) IQ)を形成する、フェニルエチルアクリレートとフェニルエチルメタクリレートとブタンジオールジアクリレートとのモノマ、Alcon、A Novartis Division、6201 South Freeway、Fort Worth、TX 76134-2001から入手可能。
【0033】
エチレングリコールジメタクリレートで架橋され、エチルアクリレートとエチルメタクリレートと2,2,2-トリフルオロエチルメタクリレートとのコポリマ(Tecnis(登録商標) AMO))を形成する、エチレングリコールジメタクリレートで架橋される、エチルアクリレートとエチルメタクリレートと2,2,2-トリフルオロエチルメタクリレートとのモノマ、Johnson & Johnson Vision Surgical、1700 E St Andrew Pl、Santa Ana、CA 92705から入手可能。
【0034】
フェニルエチルメタクリレートとn-ブチルアクリレートとフルオロアルキルメタクリレートとが架橋されたコポリマ(AF-1(登録商標) (HOYA))を形成する、フェニルエチルメタクリレートとn-ブチルアクリレートとフルオロアルキルメタクリレートとのモノマ、Hoya Corporation、7-5、Naka-Ochiai 2-chome、Shinjuku-ku Tokyo、Japanから入手可能。
【0035】
ブタンジオールジアクリレートで架橋され、フェニルエチルアクリレートとフェニルエチルメタクリレートとのコポリマ(HI56)を形成する、フェニルエチルアクリレートとフェニルエチルメタクリレートとブタンジオールジアクリレートとのモノマ、Contamac(登録商標)Ltd.、Carlton House、Shire Hill、Saffron Walden、Essex CB11 3AUから入手可能。
【0036】
2-フェニルエチルアクリレートと2-フェニルエチルメタクリレートとのコポリマ(BENZ HF-1.2)を形成する、2-フェニルエチルアクリレートと2-フェニルエチルメタクリレートとのモノマ、Benz Research & Development Corporation、6447 Parkland Drive、Sarasota、FL 34243から入手可能。
【0037】
2-フェニルエチルアクリレートと2-フェニルエチルメタクリレートとのコポリマ(Benz HF-2)を形成する、2-フェニルエチルアクリレートと2-フェニルエチルメタクリレートとのモノマ、Benz Research & Development Corporation、6447 Parkland Drive、Sarasota、FL 34243から入手可能。
【0038】
一実施形態において、少なくとも1種の他のモノマは、親水性アクリルモノマから選択される。親水性アクリルモノマの例としては、次に限定されるわけではないが、以下が挙げられる。
【0039】
ヒドロキシエチルメタクリレートとメチルメタクリレートとのコポリマ(CI26)を形成する、ヒドロキシエチルメタクリレートとメチルメタクリレートとのモノマ、Contamac(登録商標)Ltd.、Carlton House、Shire Hill、Saffron Walden、Essex CB11 3AUから入手可能。
【0040】
ヒドロキシエチルメタクリレートとメチルメタクリレートとのコポリマ(MICS22)を形成する、ヒドロキシエチルメタクリレートとメチルメタクリレートとのモノマ、Contamac(登録商標)Ltd.、Carlton House、Shire Hill、Saffron Walden、Essex CB11 3AUから入手可能。
【0041】
ヒドロキシエチルメタクリレートとメチルメタクリレートとのコポリマ(CI18)を形成する、ヒドロキシエチルメタクリレートとメチルメタクリレートとのモノマ、 Contamac(登録商標)Ltd.、Carlton House、Shire Hill、Saffron Walden、Essex CB11 3AUから入手可能。
【0042】
2-ヒドロキシエチルメタクリレートと2-エトキシエチルメタクリレートとのコポリマ(Benz IOL 125)を形成する、2-ヒドロキシエチルメタクリレートと2-エトキシエチルメタクリレートとのモノマ、Benz Research & Development Corporation、6447 Parkland Drive、Sarasota、FL 34243から入手可能。
【0043】
2-ヒドロキシエチルメタクリレートとメチルメタクリレートとのコポリマ(BenzFlex 26)を形成する、2-ヒドロキシエチルメタクリレートとメチルメタクリレートとのモノマ、Benz Research & Development Corporation、6447 Parkland Drive、Sarasota、FL 34243から入手可能。
【0044】
他の実施形態において、コンタクトレンズを作製するために使用されるビニルモノマは、N-ビニル-2-ピロリドンおよび/またはN-ビニルカルバゾールモノマ、のモノマのうちの少なくとも1種を含む。ビニルモノマの非限定的な例としては、次に限定されないが、ビニルエステル(アクリレート)と、ビニルカーボネート(ROC(O)OCH=CH2)、ビニルカルバメート(R’R’’NC(O)OCH=CH2)と、が挙げられる。ビニルモノマは、コンタクトレンズ用の抗微生物性ポリマを提供するために、前述の少なくとも1種の抗微生物性モノマとの重合を受けることができる。
【0045】
他の実施形態において、透明、不透明、または半透明で生体適合性のコンタクトレンズを作製するために使用されるコラーゲンモノマは、天然由来のI-XXVIII型コラーゲンモノマ、遺伝子組換えコラーゲンモノマおよびその断片、ならびに/あるいは合成コラーゲンモノマおよびその断片、のモノマのうちの少なくとも1種を含む。
【0046】
一実施形態において、少なくとも1種の他のモノマは、コラーゲンモノマである。単一のコラーゲン分子であるトロポコラーゲンは、繊維などのより大きなコラーゲン凝集物を構成するために使用される。繊維は、3つのポリペプチド鎖で構成され、各ポリペプチド鎖は、左巻らせんの立体構造を有する。これら3つの左巻らせんは、一緒に撚り合わされて、水素結合により安定化した協力的な4次構造の、右巻の3重らせんまたは微小繊維を形成する。各微小繊維は、次いで、隣接する微小繊維と互いにかみ合わされる。さらに、コラーゲンモノマは、様々なリンカーを用いて、1つまたは複数のアクリレートモノマまたはビニルモノマと結合してもよい。コラーゲンモノマも、コンタクトレンズ用の抗微生物性ポリマを提供するために、前述の少なくとも1種の抗微生物性モノマとの重合を受けることができる。実施形態において、コンタクトレンズは、コラーゲンとN-イソプロピルアクリルアミド、コラーゲンと1-エチル-3,3’(ジメチル-アミノプロピル)-カルボジイミド、ならびにコラーゲンとN-ヒドロキシスクシンイミド(EDC/NHS)を含んでもよい。
【0047】
本発明の特徴を特に示し、その好ましい実施形態を参照しながら説明したが、本開示の趣旨および範囲から逸脱することなく、それらに前述の変更および他の変更が為されてもよいことは、当業者により理解されるであろう。同様に、様々な図は、本開示に含まれ得る特徴および機能性の理解に役立つ、本開示の実例の構造または他の構成を表し得る。本開示は、図に示された実例の構造または構成に制限されないが、様々な代替の構造および構成を使用することにより実践され得る。さらに、本開示は、様々な例示的実施形態および実践形態に関連して、上記において説明されるが、1つまたは複数の個々の実施形態において説明される様々な特徴および機能性は、それらが説明される特定の実施形態にそれらの適用が制限されないことは理解されるべきである。その代わりに、それら様々な特徴および機能性は、そのような実施形態が説明されるか否かに関係なく、また、そのような特徴が、説明された実施形態の一部として提示されるか否かに関係なく、単独またはいくつかの組み合わせにおいて、本開示の他の実施形態の1つまたは複数に適用されることができる。すなわち、本開示の広さおよび範囲は、上記において説明される例示的実施形態のいずれにも制限されるべきではない。
【0048】
前述の説明において、本開示は、その具体的な例示的実施形態を参照しながら説明される。しかしながら、特許請求の範囲において詳細に説明されるように、本開示の広範な趣旨および範囲から逸脱することなく、様々な変更や変化が為されてもよいことは明らかであろう。したがって、本明細書と図面とは、限定的としてではなく、例示的なものとして見なされるべきである。本開示は、様々な他の組合せと実施形態とを使用することができ、ならびに本明細書内で説明されるような本発明の概念の範囲内においていかなる変化や変更も行うことができることが理解されよう。