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特許7408211バイオ医薬製品のための監視システムおよび方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-22
(45)【発行日】2024-01-05
(54)【発明の名称】バイオ医薬製品のための監視システムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   G05B 19/418 20060101AFI20231225BHJP
   A61K 45/00 20060101ALN20231225BHJP
   A61K 38/16 20060101ALN20231225BHJP
   A61K 39/395 20060101ALN20231225BHJP
   A61K 39/00 20060101ALN20231225BHJP
【FI】
G05B19/418 Z
A61K45/00
A61K38/16
A61K39/395 A
A61K39/00 G
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2021510081
(86)(22)【出願日】2019-09-30
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-13
(86)【国際出願番号】 EP2019076485
(87)【国際公開番号】W WO2020039104
(87)【国際公開日】2020-02-27
【審査請求日】2022-08-30
(31)【優先権主張番号】201841031732
(32)【優先日】2018-08-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IN
(73)【特許権者】
【識別番号】597064713
【氏名又は名称】サイティバ・スウェーデン・アクチボラグ
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100154922
【弁理士】
【氏名又は名称】崔 允辰
(74)【代理人】
【識別番号】100207158
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 研二
(72)【発明者】
【氏名】クラウス・ゲバウェル
(72)【発明者】
【氏名】ハニシュ・ラカニ
(72)【発明者】
【氏名】スワプニル・プラニク
(72)【発明者】
【氏名】ニッシュ・ガーグ
(72)【発明者】
【氏名】ヘマラータ・ジェイ
【審査官】石田 宏之
(56)【参考文献】
【文献】特許第6679313(JP,B2)
【文献】特許第7107638(JP,B2)
【文献】米国特許出願公開第2013/0049976(US,A1)
【文献】特開平07-146897(JP,A)
【文献】特開2010-211623(JP,A)
【文献】特表2017-504864(JP,A)
【文献】特開2018-025932(JP,A)
【文献】特許第6989744(JP,B2)
【文献】特許第5944283(JP,B2)
【文献】国際公開第2021/001897(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 19/418
A61K 45/00
A61K 38/16
A61K 39/395
A61K 39/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
選択されたバイオ医薬製品の製造を監視するためのシステム(100)であって、前記システムが、
少なくとも1つのシングルユースの消耗品を使用して、バイオ医薬品を含む複数のバイオ医薬製品を製造する能力を有する製造システム(110)と、
前記製造システムを含むシーンをキャプチャするように構成された少なくとも1つの画像キャプチャデバイス(130)と、
前記少なくとも1つの画像キャプチャデバイスに接続され、前記シーン内のオペレータの相互作用および/またはオペレータの相互作用の結果を追跡するために、前記少なくとも1つの画像キャプチャデバイスによってキャプチャされた画像を処理するように構成された処理要素(150)と
を備え、
前記処理要素(150)が、
前記選択されたバイオ医薬製品に関連する事前定義されたワークフロープロセススキームを、前記製造システムでの前記追跡されたオペレータの相互作用の少なくとも一部、および/または前記製造システムでの前記追跡されたオペレータの相互作用の前記結果の少なくとも一部と比較し、
前記比較に基づいて、前記ワークフロープロセススキームによって設定された少なくとも1つの事前設定された基準が満たされているかどうかを判定する
ようにさらに構成され
所定のワークフロープロセススキームが、前記製造システム(110)の複数の第1のコネクタ要素(111)と、前記製造システム(110)に接続可能なシングルユースの消耗品を含む少なくとも1つの外部デバイス(120)の少なくとも1つの第2のコネクタ要素(121)との間の複数の所定の相互接続を定義し、前記処理要素(150)が、前記画像を処理することによって前記画像内の前記第1および第2のコネクタ要素(111、121)間の相互接続を識別し、各々の識別された相互接続を前記所定のワークフロープロセススキームによって定義された前記所定の相互接続と比較し、前記少なくとも1つのシングルユースの消耗品が確実に前記製造システム(110)内に正しくセットアップされるように、前記比較に基づいて、どのオペレータの相互作用の結果が前記少なくとも1つの事前設定された基準を満たしているかどうかを判定するように構成され、
前記処理要素(150)は、誤った相互接続を確立する偏差を回避するようにオペレータを誘導するように構成される、
システム。
【請求項2】
前記処理要素が、前記ワークフロープロセススキームによって設定された前記少なくとも1つの事前設定された基準を満たすと判定されたオペレータの相互作用についておよび/またはオペレータ相互作用の前記結果についてプロセスが検証されたことの指標を提供するように構成される、
請求項1に記載の監視システム。
【請求項3】
前記コネクタ要素(111、121)は、無菌コネクタの形態で提供される、
請求項1または2に記載の監視システム。
【請求項4】
所定のワークフロープロセススキームが、前記選択されたバイオ医薬製品の前記製造のための前記製造システム(110)に接続された外部デバイスの特性を含み、前記処理要素(150)が、
- 少なくとも1つの接続された外部デバイスに関連する情報を取得し、
- 前記取得された情報を、前記所定のワークフロープロセススキームから取得された前記接続された外部デバイスの特性と比較し、
- 前記製造システムに接続された前記外部デバイスの前記特性に関連する前記所定のワークフロープロセススキームによって設定された前記事前設定された基準が満たされているかどうかを判定する
ように構成される、
請求項1に記載の監視システム。
【請求項5】
前記処理要素(150)が、前記画像内の前記接続された外部デバイス(120)のうちの少なくとも1つを検出し、前記画像内の前記検出に基づいて、前記接続された外部デバイスのうちの前記少なくとも1つに関連する前記情報を取得するように構成され、前記情報が、前記接続された外部デバイス上のバーコードおよび/もしくはプレーンテキスト、ならびに/または前記接続された外部デバイス自体の検出された特性から取得され得る、
請求項4に記載の監視システム。
【請求項6】
前記処理要素(150)が、識別データを受信することによって、前記少なくとも1つの接続された外部デバイス(120)に関連する情報を取得するように構成され、前記識別データが、前記外部デバイス(120)に関連付けられたRFIDタグから通信され得る、
請求項4に記載の監視システム。
【請求項7】
前記処理要素(150)が、ユーザインターフェース(160)によるオペレータ入力によって、前記少なくとも1つの外部デバイス(120)に関連する情報を取得するように構成される、
請求項4に記載の監視システム。
【請求項8】
前記少なくとも1つの外部デバイス(120)が、消耗品および/もしくはセンサ要素、ならびに/または電子デバイスおよび/もしくは電源を備える、
請求項1に記載の監視システム。
【請求項9】
前記処理要素(150)が、少なくとも1つの外部デバイスとのオペレータの相互作用を追跡し、前記少なくとも1つの外部デバイスとの前記追跡されたオペレータの相互作用を、前記少なくとも1つの外部デバイスとの前記オペレータの相互作用に関連する前記事前定義されたワークフロープロセススキームと比較し、前記比較に基づいて、前記事前定義されたワークフロープロセススキームによって設定された少なくとも1つの事前設定された基準が満たされているかどうかを判定するように構成される、
請求項8に記載の監視システム。
【請求項10】
前記処理要素(150)が、それぞれの接続要素をその対応する外部デバイスに接続したとき、および/またはそれぞれの外部デバイスを設置したとき、前記オペレータを追跡するように構成され、前記選択されたバイオ医薬製品に関連する所定のスキームとの前記比較が、前記画像に基づいて決定されたような手順を、前記選択されたバイオ医薬製品に関連する所定のワークフロープロセススキームによって示されたような手順と比較することを含む、
請求項9に記載の監視システム。
【請求項11】
前記選択されたバイオ医薬製品の製造のためにセットアップするための指示を表示するように構成された少なくとも1つのディスプレイ要素(162)をさらに備え、
前記処理要素(150)が、次のステップもしくは現在のステップに関連する指示をディスプレイにフィードするように、および/または前記画像内の前記オペレータの前記追跡に基づいて前のステップの実行に関連するフィードバック情報を前記オペレータにフィードするように構成される、
請求項1に記載の監視システム。
【請求項12】
前記少なくとも1つのディスプレイ要素(162)が、例えば、前記オペレータによって着用される眼鏡内に形成されるか、または光ガイドシステムによって形成された拡張現実ディスプレイを含む、
請求項11に記載の監視システム。
【請求項13】
前記少なくとも1つの画像キャプチャデバイスによってキャプチャされた前記シーンが、前記製造システムを含むバイオ医薬品製造施設を少なくとも部分的に含み、前記少なくとも1つの画像キャプチャデバイスが、実質的に前記シーン全体の画像をキャプチャするように構成される、
請求項1に記載の監視システム。
【請求項14】
前記処理要素(150)が、以下の、
・前記選択されたバイオ医薬製品の製造のためのセットアップが開始される前に、前記バイオ医薬品製造施設が製造のためのセットアップを開始する準備ができている状態にあると判断すること、
・前記施設内に存在する外部デバイスが、製造のためのセットアップ中または製造中に移動または交換されたかどうか、
・製造のためのセットアップ中または製造中の前記施設内のオペレータの動き
のうちの少なくとも1つを判定するために、前記少なくとも1つの画像キャプチャデバイスによってキャプチャされた前記画像を処理するように構成される、
請求項13に記載の監視システム。
【請求項15】
前記少なくとも1つの画像キャプチャデバイス(120)が、視野内の画像を記録するように構成されたカメラ、サーマルカメラ、および/または3次元カメラを含み、少なくとも1つのカメラがビデオカメラであり得る、
請求項1に記載の監視システム。
【請求項16】
それぞれのバイオ医薬製品に関連するワークフロープロセススキームであって、各製品に関連する所定のワークフローが、以下の、
どのステップが製造のためのセットアップのために行われるべきか、および/またはどの外部デバイスが前記製造システムに接続されるべきかを特定するデータと、
製造のためのセットアップのための前記ステップを実行するための順序および/またはタイミングを特定するデータであり、それらのステップについて、これが関連する、データと、
各ステップを実行するための手順を特定するデータと、
前記製造システムと外部デバイスとの間の相互接続の構成を特定するデータと
のうちの少なくとも1つを含む、ワークフロープロセススキームと、
どの追跡されたオペレータ相互作用が前記ワークフロープロセススキームによって設定された前記事前設定された少なくとも1つの基準を満たすかを示すデータ、および/またはどのプロセスが検証されたかを示す検証データと、
どの追跡されたオペレータ相互作用が前記ワークフロープロセススキームによって設定された前記事前設定された少なくとも1つの基準を満たすかを示すデータが少なくとも部分的に基づく、および/または前記検証データが少なくとも部分的に基づく前記少なくとも1つの画像キャプチャによってキャプチャされた画像および/または注釈付き画像と
のうちの少なくとも1つを記憶するように構成されたメモリ(170)をさらに備える、
請求項1に記載の監視システム。
【請求項17】
前記製造システムにおいて、好ましくは、少なくとも1つのカラムで動作するように構成され、事前定義されたプロセスを使用して目的生成物を含むサンプルを精製するように構成された液体クロマトグラフィシステムを備える、
請求項1に記載の監視システム。
【請求項18】
前記製造システムが、以下の、
流体移送デバイスと、
流体または緩衝液調整デバイスと、
バイオリアクタを使用する細胞培養デバイスと、
細胞収穫または清澄化デバイスと、
クロマトグラフィまたは膜吸着デバイスと、
濾過または緩衝液交換デバイスバイオリアクタと
のうちの少なくとも1つを備える、
請求項1に記載の監視システム。
【請求項19】
選択されたバイオ医薬製品の製造のためのセットアップを監視するおよび/または製造のためにセットアップするおよび/または製造後に分解するための方法(10)であって、前記方法が、
製造システムを含むシーンの画像をキャプチャするステップ(S1)であって、前記製造システムが、少なくとも1つのシングルユースの消耗品を使用して、バイオ医薬品を含む複数のバイオ医薬製品を製造する能力を有し、外部デバイスに接続するための複数の第1のコネクタ要素を有する、ステップと、
前記シーン内のオペレータの相互作用および/またはオペレータの相互作用の結果を追跡するために前記キャプチャされた画像を処理するステップ(S3)と、
前記製造システムでの追跡されたオペレータの相互作用の少なくとも一部および/または前記追跡されたオペレータの相互作用の前記結果の少なくとも一部を、前記選択されたバイオ医薬製品に関連する事前定義されたワークフロープロセススキームと比較するステップ(S5)と、
前記比較に基づいて、前記ワークフロープロセススキームによって設定された少なくとも1つの事前設定された基準が満たされているかどうかを判定するステップ(S6)と
誤った相互接続を確立する偏差を回避するようにオペレータを誘導するステップと
を含み、
所定のワークフロープロセススキームが、前記製造システム(110)の複数の第1のコネクタ要素(111)と、前記製造システム(110)に接続可能なシングルユースの消耗品を含む少なくとも1つの外部デバイス(120)の少なくとも1つの第2のコネクタ要素(121)との間の複数の所定の相互接続を定義し、
前記ステップ(S3)が、前記画像を処理することによって前記画像内の前記第1および第2のコネクタ要素(111、121)間の相互接続を識別することを含み、
前記ステップ(S5)が、各々の識別された相互接続を前記所定のワークフロープロセススキームによって定義された前記所定の相互接続と比較することを含み、
前記ステップ(S6)が、前記少なくとも1つのシングルユースの消耗品が確実に前記製造システム(110)内に正しくセットアップされるように、前記比較に基づいて、どのオペレータの相互作用の結果が前記少なくとも1つの事前設定された基準を満たしているかどうかを判定することを含む、
方法。
【請求項20】
記憶されたデータが、製造プロセスが少なくとも半自律的なモデルベースの学習に基づいて改善される後続のステップ(S9)において使用され、それによって、最終的なバイオ医薬製品の生産が、洗練され得、前記最終的なバイオ医薬製品における潜在的な逸脱が、前記バイオ医薬製品が製造されるたびに低減され得る、
請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、選択されたバイオ医薬製品の製造を監視するためのシステムに関する。
【0002】
本開示は、複数のバイオ医薬製品の中から選択されたものの製造のためのセットアップを監視するおよび/または製造のためにセットアップするための方法にさらに関する。
【背景技術】
【0003】
過去10年間で、革新的なバイオ医薬品産業によって製造および販売される製品の性質に大きい変化が見られた。今日の世界的なバイオ医薬品ポートフォリオは、大分子医薬品のより広い普及と、個別化された製品または対象とされる製品の数における拡大と、多くの希少疾患のための治療の増加とを反映している。これらの開発傾向は、バイオ医薬製品に、極めて限定された生産ランと、高度に特殊な製造要件と、遺伝子型固有の製品とを提供する。製品構成における継続的な変化は、生産バイオ医薬品製造の効率性および有効性の継続的な改善の必要性を提供する。
【0004】
例えば、治療用タンパク質、モノクローナル抗体、ワクチンなどの生物学的医薬品(生物製剤とも呼ばれる)は、生細胞によって、または生細胞から作られた複雑な分子である。それらは、しばしば、注入または注射による非経口投与を必要とし、それによって、安全性と有効性とを保証するために、高度に専門化された製造と、特殊な保管および取扱いと、厳しく管理された高品質の製造および流通ネットワークとを必要とする。希少医薬品、すなわち、200,000人未満の患者数の疾患を対象とした医薬品についても進展が見られ、過去10年間で安定した増加がある。さらに、製造業者は、効果的な治療法がほとんどまたはまったくない、より複雑な疾患にますます焦点を合わせている。これらの疾患のための新しい治療法は、少量の製品によって特徴付けられる。
【0005】
バイオ医薬品における別の重要な傾向は、個別化医療、すなわち、特定の患者の集団を対象とする製品の出現である。時間の経過とともに、患者レベルの個別化医療が導入されるにつれて、製造および製品供給の複雑さが増加する可能性がある。
【0006】
バイオ医薬製品は、例えば、治療的または診断的使用を意図されている場合がある。適切な製品品質ならびによく管理された審査可能な生産条件を保証するために、典型的には、cGMP(現在の適正製造基準(current Good Manufacturing Practice))およびQMS(品質管理システム(Quality Management Systems))が必要とされ、適用される。GMP処理環境が、例えば、FDA(食品医薬品局(Food and Drug Administration))などの、医薬製品の製造および販売の認可および許認可を管理する機関によって推奨されるガイドラインに準拠するように設計される。
【0007】
これらの医薬品ポートフォリオの傾向は、商業的に製造および販売される製品の数および複雑さの増加に寄与している。加えて、上記の傾向、および生物学的療法の市場の急速な成長も、特に臨床試験材料の生産のために、製品が市場に到達する前の医薬品開発中に少量生産バッチの数が劇的に増加することを意味する。医薬品生産プロセスは、一般に、「開発ファネル」として特徴付けられるので、成功して最終的に承認された医薬品の数よりもはるかに多くの医薬品候補が臨床試験を通過している。臨床試験中ならびに通常の製造中の原薬製造は、製造システムによって提供される高い安全性およびスループットを必要とする。しかしながら、臨床試験用の原薬製造は、一般に、厳格なcGMPおよびQMSの要件にまだ準拠しながら、異なる要件および製造プロトコルに適応するために、製造方法およびシステムにおいてさらにより高い柔軟性を必要とする。すべてのバイオ医薬製品がコスト圧力にさらされていることを背景に、臨床製造および医薬品開発中のコスト削減は、承認された医薬品の通常生産と同様に重要である。したがって、高いスループットを提供するコスト効果が高く安全な生産システムは、頻繁なプロセス変更、プロセスおよび機器の再構成、ならびに他の変更に対応する必要がある。加えて、新薬のうちのいくつかは、より複雑な製造プロセスおよびより高度な機器に対する必要性を高めている。連続的で接続されたプロセスレジームは、従来のバッチ製造方法への追加または代替となってきており、全体的な製品および/もしくはプロセス品質、効率性、ならびにスループットまたはコストの点で利点を有する場合がある。
【0008】
全体として、これらの医薬品ポートフォリオの傾向は、コストの削減に役立つことができる動作効率を生み出しながら、妥協のない品質で柔軟性を生み出す改善された製造の必要性があることを示す。生産コストを削減し、生産スループットおよび品質を向上させ、ならびに安全性の懸念を軽減するための最新の技術開発の1つは、処理するためのシングルユース技術(SUT(use of single-use technology))の使用である。シングルユース技術の機器では、例えば、流体貯蔵容器、チューブ、分離機器などの、処理中にプロセス流体および製剤と接触する接液部が、特定のプロセスのみのために設置されて使用され、その後廃棄されるべき消耗品として提供される。SUTの消耗品は、典型的には、クリーンルーム環境内で製造、構成、およびパッケージングされ、バイオ製造プロセスにおいて使用する前に(例えば、ガンマ線照射によって)事前に滅菌される。ステンレス鋼管ならびにステンレス鋼反応器および容器の従来の固定施設を使用するのとは対照的に、SUT機器および消耗品は、プロセスにわたって単に(可動)機器を再配置し、異なる消耗品を設置および交換することによって、異なるプロセスシナリオおよび構成に適応する際に高い柔軟性を提供する。例えば、タンクビンは、流体およびその処理のための清潔で収容された囲いを提供するために、清潔なおよび/または無菌のSUT流体バッグを取り付けられ得る。シングルユース技術(SUT)流体取扱い機器を使用する利点は、主に、SUT機器が単一の製剤のみに使用される場合、製造バッチとキャンペーンとの間の相互汚染が排除されることである。SUT機器は、使用後に廃棄され、これは、単一のラン、バッチ、または複数のランとバッチとを含むキャンペーンの後であり得る。事前に滅菌またはバイオバーデン制御されたSUT機器を提供する場合、初期の洗浄および衛生化(例えば、流路を水酸化ナトリウム水溶液と接触させることによる)または滅菌が回避され得る。単一のランまたはバッチのみにSUTを使用する場合、使用後の洗浄も省略され得る。これらの特徴により、SUT機器は、改善された効率、安全性、および利便性を提供する。今日、SUT機器は、すべてのタイプの機器および/または単位操作の大部分、その中でも、細胞培養または発酵用のバイオリアクタ、液体貯蔵用のバッファバッグ、液体移送および充填操作用のチューブおよびポンプ、フィルタ、クロマトグラフィカラム、ならびに分離用の関連システムに利用可能である。しかしながら、シングルユース技術への適応は、固定されたステンレス鋼設備を用いる従来の製造と比較して、製造プロセスおよび設備における材料、すなわちSUT消耗品のより高いスループットおよびフローも意味する。さらに、前記材料のフローを処理するため、ならびに処理の前および後にシングルユースの消耗品を設置および除去するため、ならびに材料、材料のフロー、および処理におけるそれらの使用を文書化するために、かなりの数の追加の動作ステップおよびオペレータの相互作用(作業)が必要とされる。SUT消耗品と関連付けられる頻繁な変更は、製造プロセスにおける各医薬品のラン、バッチ、またはキャンペーンに対して処理ラインの新しい(新鮮な)設置が使用され、文書化されるべきであることを意味する。バイオ医薬品産業は、上記の理由のためにSUTを急速に採用しているが、この適応は、以下の課題、すなわち、
・必要な完全な流路の頻繁な設置
・オペレータによって取り扱われ、計画、物流、および文書化において管理されるべき多数の資料
・材料(すなわち、消耗品および商品)が、シングルユース消耗品の調達のばらつきおよび/または標準化の欠如により、プロセスにわたって変化することがある
・多くの手動相互作用ステップ
のうちの少なくともいくつかによっても特徴付けられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本開示の一目的は、当該技術分野における上記の特定された欠陥のうちの1つまたは複数を緩和、軽減、または排除し、改善されたバイオ医薬品製造を提供しようとする解決策を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的は、選択されたバイオ医薬製品の製造を監視するための監視システムによって取得される。この監視システムは、それらの特定の動作条件、機器/単位操作設定、または処理レジーム、例えば、バッチ、または連続的で接続された処理、において異なる場合がある、複数のバイオ医薬製品を製造するか、または複数の事前定義されたプロトコルもしくは製造シナリオにおいてバイオ医薬品のクラスを製造する能力を有する製造システムを備える。単位操作は、反応器、濾過ステップ、クロマトグラフィ操作などの、定義された処理ステップである。この監視システムは、製造システムを含むシーンをキャプチャするように構成された少なくとも1つの画像キャプチャデバイスと、前記少なくとも1つの画像キャプチャデバイスに接続され、シーン内のオペレータの相互作用および/またはオペレータの相互作用の結果を追跡するために前記少なくとも1つの画像キャプチャデバイスによってキャプチャされた画像を処理するように構成された処理要素とを備える。処理要素は、選択されたバイオ医薬製品に関連する事前定義されたワークフロープロセススキームを、製造システムとの追跡されたオペレータの相互作用の少なくとも一部、および/または製造システムとの追跡されたオペレータの相互作用の結果の少なくとも一部と比較するようにさらに構成される。処理要素は、比較に基づいて、ワークフロープロセススキームによって設定された少なくとも1つの事前設定された基準が満たされたかどうかを判定するようにさらに構成される。
【0011】
特定の選択されたバイオ医薬製品に関連付けられた事前定義されたワークフロープロセススキームの使用、ならびに製造システムとの追跡されたユーザオペレータの相互作用の少なくとも一部、および/または製造システムとの追跡されたオペレータの相互作用の結果の少なくとも一部との比較は、コストの削減に役立つことができる動作効率を生み出しながら、妥協のない品質で柔軟性を生み出す改善された製造を可能にする。品質は、本明細書では、設置前の検証、すなわち、設置セットアップ、設置セットアップの設置、設置手順、設置セットアップおよび設置手順の承認/検証、処理自体、ならびに設置セットアップの分解を達成するために必要とされる材料を含む、いわゆる部品表、BOM(Bill Of Material)の検証などの、プロセスの複数またはすべての部分に適用される。
【0012】
上記のすべての部分は、上記の事前定義されたワークフロープロセススキーム内に含まれる場合がある。検証および文書化が取得され得る。したがって、事前定義されたワークフロープロセススキームは、少なくとも従来のバッチプロトコルのデータを含むが、上記から明らかなように、他のプロセス、すなわち、拡張バッチプロトコルをさらに含み得る。所定のワークフロープロセススキームは、バッチ記録のデータ、したがって、バッチプロトコル/拡張バッチプロトコルの承認および検証に関するデータも含み得る。
【0013】
したがって、「バッチ記録(Batch record)」(BR、eBR- 電子バッチ記録)ならびにバッチプロトコルという用語は、「事前定義されたワークフロープロセススキーム」と同等である。プロトコルは、命令であり、記録は、実行されたプロセスの文書化および結果として完成したプロトコルである。
【0014】
本明細書で開示されるようなこの監視システムは、電子プロトコルおよび記録をサポート(および改良)し、それによって、処理要素が通信できないことを許容し、その柔軟性、敏捷性、適応性、および学習能力において効果的であることを可能にする。
【0015】
所定のスキームによって示されるような設置セットアップからの逸脱が検出され得る。設置セットアップは、設置前の検証(いわゆる部品表の検証)および/または設置セットアップの設置および/または設置セットアップの分解を含み得る。最終的なバイオ医薬製品に悪影響を与える設置セットアップからの逸脱は、製造システムが正しくセットアップされていないという判断につながり得る。
【0016】
さらに、所定のスキームによって示されるような設置手順からの逸脱が検出され得る。最終的なバイオ医薬製品に悪影響を与える設置手順からの逸脱は、製造システムが正しくセットアップされていないという判断につながり得る。
【0017】
さらに、最終的なバイオ医薬製品に悪影響を与えることが知られている設置セットアップおよび/または設置手順からの逸脱、ならびに他の逸脱が、次いで記録され得る。そのように製造された最終的なバイオ医薬製品の特性が、記録された逸脱に関連して記録され得る。異なる手順の逸脱の影響の詳細な分析が、次いで取得され得、これは、次に、所定のスキームの設置手順をさらに改善するために使用され得る。したがって、そのように製造された最終的なバイオ医薬製品における逸脱は、時間とともに減少する場合さえある。
【0018】
この監視システムおよび電子作業指示書を用いたその作業方法は、組み立てられた最終システムと同じ機能をもたらす異なる外部デバイス(消耗品など)を使用する際に、一定の柔軟性を提供することも可能にする。この監視システムは、電子バッチプロトコルに従ってこれを介してオペレータを誘導することを可能にする。これにより、柔軟性は、材料調達の変動性に取り組んでおり、システムは、自己学習型であり得、新しい構成の変更時および繰り返し使用時の電子検証における指示および自律性を改善することができる。本発明のさらなる実施形態は、従属請求項において定義される。
【0019】
本開示の目的は、選択されたバイオ医薬製品の製造のためのセットアップを監視するおよび/または製造のためにセットアップするおよび/または製造後に分解するための方法によっても取得される。この方法は、製造システムを含むシーンの画像をキャプチャするステップであって、製造システムが、複数のバイオ医薬製品を製造する能力を有し、外部デバイスに接続するための複数の第1のコネクタ要素を有する、ステップと、シーン内のオペレータの相互作用および/またはオペレータの相互作用の結果を追跡するために前記キャプチャされた画像を処理するステップと、製造システムとの追跡されたオペレータの相互作用の少なくとも一部および/または追跡されたオペレータの相互作用の結果の少なくとも一部を、選択されたバイオ医薬製品に関連する事前定義されたワークフロープロセススキームと比較するステップと、比較に基づいて、ワークフロープロセススキームによって設定された少なくとも1つの事前設定された基準が満たされているかどうかを判定するステップとを含む。
【0020】
この方法によれば、記憶されたデータは、製造プロセスが少なくとも半自律的なモデルベースの学習に基づいて改善される後続のステップにおいて使用され得、それによって、最終的なバイオ医薬製品の生産は、洗練され得、最終的なバイオ医薬製品における潜在的な逸脱は、バイオ医薬製品が製造されるたびに低減され得る。
【0021】
本開示の目的は、コンピュータ実行可能プログラムコード命令が記憶された少なくとも1つの非一時的なコンピュータ可読記憶媒体を備えるコンピュータプログラム製品によっても取得される。コンピュータ可読プログラムコード命令は、実行されると、上記で定義したようなこの方法を実行するように構成されたプログラムコード命令を含む。
【0022】
もちろん、この方法およびコンピュータプログラム製品の実施形態にも適用可能な上記の利点に加えて、本開示は、改善されたプロセスの堅牢性、およびバイオ医薬製品の商業生産への加速されたスケールアップの可能性の利点を提供する。さらなる利点は、向上された柔軟性と、短縮された生産リードタイムとを含む。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】監視システムの一例を示すブロック図である。
図2図1の監視システムに適したユーザインターフェースの一例を示すブロック図である。
図3】選択されたバイオ医薬製品に関する生産記録の一例を概略的に示す図である。
図4】製造施設のシーンの一例を概略的に示す図である。
図5】施設内の外部デバイスおよび他の機器の認識のためのタイムラインの一例を概略的に示す図である。
図6】複数のバイオ医薬製品の中から選択されたものの製造のためのセットアップを監視するおよび/または製造のためにセットアップするための方法の一例を示すフローチャートである。
図7】ISA95規格に準拠した製造サポートを提供する様々なレベルを示す概略図である。
図8】高レベルのワークフロー動作およびアクティビティならびにそれらに関連付けられた指示にわたるタイムラインの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1は、選択された医薬製品の製造を監視するためのシステム100を開示する。
【0025】
バイオ医薬製品の製造に関して、プロセスは、製造システムのタイプ、構成、および設置の観点から処理セットアップと、動作パラメータの観点から詳細な処理レジームとの両方に関して、最終的なバイオ医薬製品にとって重要である。したがって、間違ったまたは不完全な設置は、液漏れ、機能不全、または処理ステップおよびそれらの成果の変更を引き起こす可能性があるので、製造のためにセットアップするための設置手順は、最終的なバイオ医薬製品に影響を与える可能性がある。FDA(食品医薬品局)による承認などの、バイオ医薬品の製造に関する規制および/または法的要件は、例えば、オペレータの相互作用および自動化されたプロセス制御に関して、機器のセットアップ、設置、および使用の厳格な制御および文書化を必要とする。バッチプロトコルなどの動作手順、およびバッチ記録などの記録は、規制機関からの承認および監視を含む、バイオ医薬品の開発および製造における基本的な概念である。本明細書で定義するようなシステムは、製造のための設置のセットアップ、ならびに製造のための設置をセットアップするための手順を監視する際にとりわけ有用である。
【0026】
監視システムは、様々なバイオ医薬製品の製造に適する。監視システムは、頻繁な切替えを必要とし、機器の再構成および更新を必要とする場合がある少量のランを取り扱うのに適している。
【0027】
さらに、上記のように、システムは、複雑さが増したおよび/またはより高度な機器が使用され得る製造プロセスを使用する製造を取り扱うのに適する。
【0028】
システムは、コストの削減に役立つことができる動作効率を生み出しながら、妥協のない品質で柔軟性を生み出す改善された製造を可能にする。
【0029】
監視システム100は、製造システム110を備える、製造システムは、複数のバイオ医薬製品の中から選択されたものの製造に適合されている。特徴的には、製造システムは、製造されるべきバイオ医薬製品に基づいて選択される。特徴的には、製造システムの同じまたは類似の構成は、いくつかのバイオ医薬製品の製造のために使用され得る。
【0030】
製造システム110は、好ましくは少なくとも1つのカラムで動作するように構成され、事前定義されたプロセスを使用して目的生成物を含むサンプルを精製するように構成された液体クロマトグラフィシステムを備え得る。製造システムは、1つまたは複数の製造デバイスを備え得る。各製造デバイスは、製造されるべき医薬製品に適合され得る。各製造デバイスは、前記製造デバイスの成果を収容する設備および構成を備え得る。典型的な製造デバイスの例は、流体移送、流体充填、流体または緩衝液調整のためのデバイス、バイオリアクタなどの細胞培養または発酵のためのデバイス、細胞収穫または清澄化のためのデバイス、クロマトグラフィまたは膜吸着のためのデバイス、濾過または緩衝液交換デバイスなどである。製造デバイスは、複数の処理ステップを実行する統合システムが実現されるように組み合わせられ得る。
【0031】
代わりに、製造システムは、単位操作の成果を収容するための設備および構成とともに、1つまたは複数の前記単位操作を含むものとして定義され得る。典型的な単位操作の例は、流体移送、流体または緩衝液の調整動作、バイオリアクタを使用する細胞培養動作、細胞収穫または清澄化動作、クロマトグラフィまたは膜吸着動作、濾過または緩衝液交換動作などである。製造システムは、複数の処理ステップを実行する統合システムが実現されるように組み合わされた単位操作を含み得、製造システムの手順、命令、文書化、およびオペレータガイダンスは、これに適合され得る。さらに、製造システムおよびその部品は、バッチ処理、および/または連続的で接続された処理レジームに適合され得る。したがって、異なる製造デバイスは、異なるタイプの単位操作を実行するように構成される。
【0032】
監視システムは、これに適合され得る製造システムの手順、命令、文書化、およびオペレータガイダンスを有する。さらに、監視システムおよびその部品は、バッチ処理、および/または連続的で接続された処理レジームに適合され得る。
【0033】
監視システム100は、ユーザインターフェース160をさらに備え得る。この場合、バイオ医薬製品は、ユーザインターフェースによって選択され得る。
【0034】
監視システムは、製造システムを含むシーンをキャプチャするように構成された少なくとも1つの画像キャプチャデバイス130をさらに備える。少なくとも1つの画像キャプチャデバイスは、実質的にシーン全体の画像をキャプチャするように構成され得る。
【0035】
少なくとも1つの画像キャプチャデバイス130は、視野内の画像を記録するように構成されたカメラ、サーマルカメラ、および/または3次元カメラを備え得る。カメラは、画像の時系列を生成するように構成され得る。カメラのうちの少なくとも1つは、ビデオカメラであり得る。画像の少なくとも一部は、タイムスタンプされ得る。
【0036】
例えば、距離または座標として、追加の位置情報を取得するために、追加のセンサ要素が設けられ得る。センサ要素は、レーダおよび/またはレーザレーダおよび/またはGPS受信機などを備え得る。追加のセンサ要素は、画像キャプチャデバイスにおいて配置され得、または画像キャプチャデバイスに対する既知の関係において配置され得る。追加のセンサ要素は、画像キャプチャデバイスによってキャプチャされた画像に冗長性および/または追加の空間分解能を提供するように配置され得る。
【0037】
監視システム100は、前記少なくとも1つの画像キャプチャデバイスに接続された処理要素150をさらに備える。処理要素150は、シーン内のオペレータの相互作用および/またはオペレータの相互作用の結果を追跡するために、前記少なくとも1つの画像キャプチャデバイスによってキャプチャされた画像を処理するように構成される。
【0038】
処理要素150は、さらにメモリ170に接続される。メモリは、複数のワークフロープロセススキームを含む。各スキームは、特定のバイオ医薬製品または製品バッチに関連している。特定のバイオ医薬製品または製品バッチに関連する所定のワークフロープロセススキームは、1つまたは複数の構成要素を備え得る。特定の選択されたバイオ医薬製品に関連付けられた所定のワークフロープロセススキームは、設置セットアップの設置、設置手順、処理自体、および設置セットアップの分解などの、製造システムの異なる部分との追跡されたユーザオペレータの相互作用の少なくとも一部、および/または製造システムの異なる部分との追跡されたオペレータの相互作用の結果の少なくとも一部に関連する構成要素を備え得る。所定のワークフロープロセススキームはまた、設置前の検証(いわゆる部品表の検証)などの、必ずしも製造システム自体に接続されなくてもよいプロセスを含み得る。
【0039】
したがって、事前定義されたワークフロープロセススキームは、典型的には従来のバッチプロトコル内に含まれるプロセスおよびデータを含み得るが、他のプロセスおよびデータ、すなわち、上記から明らかなように拡張バッチプロトコルをさらに含み得る。
【0040】
所定のワークフロープロセススキームはまた、設置セットアップおよび設置手順の承認/検証を含み得る。したがって、所定のワークフロープロセススキームはまた、バッチ記録のデータ、したがって、バッチプロトコル/拡張バッチプロトコルの承認および検証に関連するデータを含み得る。
【0041】
ワークフロープロセススキームおよび/またはその構成要素は、メモリ内に永続的に記憶され得るか、または特定のバイオ医薬製品の製造のためにチェックインされ得る。
【0042】
処理要素150は、選択されたバイオ医薬製品に関連する事前定義されたワークフロープロセススキームを、製造システムとの追跡されたオペレータの相互作用の少なくとも一部および/または製造システムとの追跡されたオペレータの相互作用の結果の少なくとも一部と比較するようにさらに構成される。
【0043】
処理要素150は、比較に基づいて、ワークフロープロセススキームによって設定された少なくとも1つの事前設定された基準が満たされているかどうかを判定するようにさらに構成される。
【0044】
それによって、所定のスキームによって示されるような設置セットアップからの逸脱が検出され得る。最終的なバイオ医薬製品に悪影響を与える設置セットアップからの逸脱は、製造システムが正しくセットアップされていないという判断につながり得る。
【0045】
さらに、所定のスキームによって示されるような設置手順からの逸脱が検出され得る。最終的なバイオ医薬製品に悪影響を与える設置手順からの逸脱は、製造システムが正しくセットアップされていないという判断につながり得る。
【0046】
さらに、最終的なバイオ医薬製品に悪影響を与えることが知られている設置セットアップおよび/または設置手順からの逸脱、ならびに他の逸脱が、次いで記録され得る。そのように製造された最終的なバイオ医薬製品の特性が、記録された逸脱に関連して記録され得る。異なる手順の逸脱の影響の詳細な分析が、次いで取得され得、これは、次に、所定のスキームの設置手順をさらに改善するために使用され得る。したがって、そのように製造された最終的なバイオ医薬製品における逸脱は、時間とともに減少する場合さえある。分析は、例えば、機械学習を使用して行われ得る。これについて、以下でより詳細に説明する。
【0047】
所定のワークフロープロセススキームは、異なる実施形態において、製造システム110の複数の第1のコネクタ要素111と、製造システム110に接続可能な少なくとも1つの外部デバイス120の少なくとも1つの第2のコネクタ要素121との間の、複数の所定の相互接続を定義する。処理要素150は、次いで、画像、および/または追加のセンサ要素によってもしくはオペレータ入力によって取得された情報を処理し、前記画像内の第1および第2のコネクタ要素111、121間の相互接続を識別し、各々の識別された相互接続を所定のワークフロープロセススキームによって定義された所定の相互接続と比較し、前記比較に基づいて、どのオペレータの相互作用の結果が少なくとも1つの事前設定された基準を満たしているかどうかを判定するように構成される。したがって、これらの実施形態によれば、次いで、製造システムがそれぞれの外部デバイスに接続されているかどうかが判定される。したがって、これらの実施形態によれば、次いで、製造システムがそれぞれの外部デバイスに接続されているかどうかが判定される。さらに、製造システムが複数の製造デバイスを備える場合、同じことが、製造システムの異なる製造デバイス間の相互接続に適用され得る。
【0048】
処理要素150は、例えば、誤った相互接続を確立する偏差を回避する際にオペレータを誘導する能力を有する。シングルユースの消耗品、および例えば、シングルユースの無菌コネクタを用いて作業する場合、誤って確立された相互接続は、アセンブリの無菌のまたは殺菌状態における違反なしに元に戻せない場合があり、それによって、セットアップおよび生産プロセスにおける品質を損なう。したがって、アセンブリ内の欠陥のある相互接続の修正は、より大きいサブアセンブリ、または最悪の場合、流体ライン全体の再配置および再設置を必要とする場合がある。
【0049】
処理要素150は、処理要素によって決定および提示された事前に決定された解決策およびアクションに従って中程度の偏差を修正および解決する際にオペレータを誘導する能力をさらに有し、処理要素150は、積極的にそうし得る。これは、監視システムの助けを借りて対処および修正された小さい偏差が、所定のプロトコルと矛盾しない承認および検証された結果をもたらすことができるので、製造における全体的な効率を向上させる。監督者による個別のフォローアップ、および/または正式な調査は、監視システムによって提供されるアクション、修正、および文書化の助けを借りて、回避され得るか、または少なくとも容易にされ得る。
【0050】
監視システムは、所定のスキームに準拠した設置手順をさらに改善するため、および/または将来の逸脱を防止するために、逸脱の原因、影響、および解決策を分析し得る。また、所定のスキームの改善または代替案を分析および提案し得る。この点で、インテリジェントシステムまたは学習システムが使用され得る。これについては、後により詳細に論じる。
【0051】
したがって、そのように製造された最終的なバイオ医薬製品における偏差は、時間とともに減少する場合さえある。
【0052】
少なくとも1つの外部デバイス120は、消耗品および/もしくはセンサ要素、ならびに/または電子デバイスおよび/もしくは電源を備え得る。
【0053】
消耗品は、例えば、接液ライン、バッグ、コネクタ、およびセンサを備える流路であり得る。消耗品は、様々なバイオ医薬製品、製品バッチ、および/または生産キャンペーンのために設置および交換され得るシングルユースの流路であり得る。外部デバイスはまた、シングルユースの消耗品であり得る消耗品で構成された再利用可能なハードウェアを備え得る。
【0054】
したがって、選択されたバイオ医薬製品に関連する事前定義されたワークフロープロセススキームと、製造システムとの追跡されたオペレータの相互作用の少なくとも一部および/または追跡されたオペレータの相互作用の結果の少なくとも一部との比較は、例えば、消耗品のためのホースの接続ならびに電気ケーブルの接続に関して行われ得る。さらに、比較は、製造されたバイオ医薬製品および/または製造デバイス自体に関連する特性を感知するために、製造デバイス内に延在する設置されたセンサについても、または代わりに行われ得る。
【0055】
それによって、製造システムに消耗品が供給されている、および/もしくは製造システムが電気デバイスに接続されている、および/もしくは電源に接続されていると判断され得、ならびに/またはセンサが所定のワークフロープロセススキームに従って設置されていると判断され得る。
【0056】
所定のワークフロープロセススキームは、選択されたバイオ医薬製品の製造のために製造システム110に接続された外部デバイス120の特性をさらに含み得る。処理要素150は、次いで、少なくとも1つの接続された外部デバイスに関連する情報を取得し、取得した情報を、所定のワークフロープロセススキームから取得した接続された外部デバイスの特性と比較し、製造システムに接続された外部デバイスの特性に関連する所定のワークフロープロセススキームによって設定された事前設定された基準が満たされているかどうかを判定するように構成され得る。
【0057】
それによって、製造システムに正しい消耗品が供給されている、ならびに/または製造システムが正しい電気デバイスに接続されている、および/もしくは正しい電源に接続されている、ならびに/または正しいセンサが設置されていると判断され得る。さらに、消耗品などの、製造システムの外部デバイスが正しい順序および構成で接続されていると判断され得る。これは、決定が、正しい製品が期待される特性を有するシステムによって送達されることを意味するという点で、安全性を向上させる。監視システムが正しい構成と動作手順の準拠とを判断し、動作手順に準拠してオペレータの相互作用および行動も判断することによって、製造システムがその後、流体および対象となる医薬品を処理することができるように、オペレータによるミス、セットアップにおけるエラー、または他の偏差が検出および修正され、そもそも省略され得、これは、製造システムを適格とする前に、正しい生産セットアップの検証にとって大いに価値がある。上記は、例えば、処理自体および/またはシステムの分解にも関連する。
【0058】
本開示の異なる実施形態では、処理要素150は、画像内の接続された外部デバイス120のうちの少なくとも1つを検出し、画像内の検出に基づいて、接続された外部デバイスのうちの少なくとも1つに関連する情報を取得するように構成される。情報は、接続された外部デバイス上のバーコード、QRコード、および/もしくはプレーンテキスト、ならびに/または形状および/もしくは輪郭および/もしくは色および/もしくは外観(半透明、不透明、反射性など)などの、接続された外部デバイス自体の検出された特性から取得され得る。
【0059】
したがって、キャプチャされた画像は、外部デバイスを検出するために使用され得る。したがって、新しい外部デバイスがシーンに入るとすぐに、これは、画像の処理によって検出され得る。
【0060】
さらに、接続された外部デバイスの特性に関連するキャプチャされた画像内の任意の情報は、それぞれの外部デバイスに関連する情報を取得するためにシステムによって使用され得る。
【0061】
処理要素150は、ワイヤレスまたは有線接続を介して外部デバイスデータを受信することによって、少なくとも1つの接続された外部デバイス120に関連する情報を取得するように構成され得る。図示の例では、製造システムは、ワイヤレスで通信されたデータを受信するように構成された受信機140を備える。しかしながら、そのような受信機は、施設内の他の場所に配置され得る。オペレータは、そのような機能を有する電子ユーザデバイスを担持する場合さえある。受信機140によって受信された外部デバイスデータは、処理要素150に送信される。少なくとも1つの接続された外部デバイスに関連する外部デバイスデータは、識別データを含み得る。識別データは、例えば、外部デバイス120に関連付けられたRFIDタグ122から通信され得る。
【0062】
したがって、それぞれの外部デバイスは、個々の外部デバイスを識別する識別データなどの外部デバイスデータの受信によって検出され得る。したがって、新しい外部デバイスがシーンに入るとすぐに、これは、識別データなどの外部デバイスデータの受信によって検出され得る。
【0063】
さらに、それぞれの接続された外部デバイスに関連する受信された外部デバイスデータは、それぞれの外部デバイスに関連する情報を取得するために監視システムによって使用され得る。
【0064】
さらに、製造システムに正しい消耗品が供給されている、および/もしくは製造システムが正しい電子デバイスに接続されている、および/もしくは正しい電源に接続されている、ならびに/または正しいセンサが設置されているという判断は、シーン内のオペレータの追跡に基づいて、代わりにまたはそれに加えて行われ得る。したがって、正しい外部デバイスが接続されていると判断する複数の方法は、判断において冗長性を提供し得る。それによって、信頼性は、判断の根拠となる複数のソースを使用して改善され得る。
【0065】
処理要素150は、ユーザインターフェース160によるオペレータ入力によって、少なくとも1つの外部デバイス120に関連する情報を取得するようにも、または代わりに構成され得る。
【0066】
処理要素150は、少なくとも少なくとも1つの外部デバイスとのオペレータの相互作用も追跡し、少なくとも1つの外部デバイスとの追跡されたオペレータの相互作用を、少なくとも1つの外部デバイスとのオペレータの相互作用に関連する事前設定されたワークフロープロセススキームと比較し、前記比較に基づいて、事前定義されたワークフロープロセススキームによって設定された少なくとも1つの事前設定された基準が満たされているかどうかを判定するように構成され得る。
【0067】
したがって、製造システムおよび/またはその結果とのオペレータの相互作用が追跡されるだけでなく、外部デバイスとのオペレータの相互作用および/またはその結果も追跡される。
【0068】
処理要素150は、それぞれの相互接続要素をその対応する外部デバイスに接続したとき、および/またはそれぞれの外部デバイスを設置したときに、オペレータを追跡するように構成され得る。したがって、処理要素は、製造システムに接続された外部デバイスホース、またはケーブルなどに接続したときに、オペレータを追跡するように構成され得る。処理要素は、それぞれの外部デバイスを設置するための他の手順を追跡するようにさらに構成され得る。
【0069】
選択されたバイオ医薬製品に関連する所定のスキームとの比較は、次いで、画像に基づいて決定されたような手順を、選択されたバイオ医薬製品に関連する所定のワークフロープロセススキームによって示されたような手順と比較することを含み得る。
【0070】
少なくとも1つの画像キャプチャデバイスによってキャプチャされたシーンは、少なくとも部分的に、製造システムを備えるバイオ医薬品製造施設を含み得る。処理要素150は、次いで、以下のうちの少なくとも1つを判断するために、前記少なくとも1つの画像キャプチャデバイスによってキャプチャされた画像を処理するように構成され得る。
・選択されたバイオ医薬製品の製造のためのセットアップが開始される前に、バイオ医薬品製造施設が、製造のためのセットアップを開始するための準備ができている状態にあると判断する。したがって、事前定義されたワークフロープロセススキームは、満たされたときに、施設が製造のためのセットアップを開始するための準備ができていることを定義する基準のセットを含み得る。プロセスが専用の生産エリアまたは部屋で実行されるGMP(適正製造プロセス(Good Manufacturing Process))処理環境では、製造システムをセットアップするための準備ができていることを判断する重要な側面は、バッチプロトコルによって構成された部品表(BOM)を検証することである。部品表は、典型的には、製造システムを構成するために必要とされる(シングルユース)消耗品、緩衝液、容器を含む。部品表は、サンプリングデバイス、エチケットなどの、プロセスを実行するために必要とされるハードウェアおよび他の構成要素も備え得る。
【0071】
監視システムおよびその処理要素150は、識別情報、貯蔵寿命の有効性などを検証することによって、正しいBOMがシーンに転送されていると判断し得る。バッチプロトコルに対してBOMの任意の変動が検出された場合、監視システムは、代替の構成要素、例えば、コネクタまたは流体バッグのバリエーションが、所定のバッチプロトコルまたは所定のバッチプロトコルのバリエーションと互換性があるかどうかを判定し得る。シーンは、部屋、施設、またはエリアなどの完全な動作エリアとして定義され得る。しかしながら、特定の動作またはイベントについて、監視システムおよびその処理要素150は、例えば、特定の動作ステップ、特定の機器、および/またはBOMによって構成される特定の部品におけるオペレータの相互作用を誘導および監視するときに、前記シーンのより小さいエリアに焦点を合わせ得る。例えば、クロマトグラフィシステムの入口接続部への特定のチューブの接続は、チューブとシステム入口との間の前記接続を確立するために特に関連するBOMおよび動作の機器、部品、およびアイテムのみを感知すること、監視すること、および文書化することに焦点を合わせ得る。
【0072】
監視システムはまた、バッチプロトコルを更新もしくは監視し、承認を達成する際の支援およびガイダンスを提供し得るか、または修正されたバッチプロトコルもしくはバッチプロトコルの新しい改訂のオペレータもしくはQAが開始する効率的な承認にガイダンスを提供し得る。システムは、前記改訂のためのリスク分析を実施するか、または支援を提供し得る。
・施設内に存在する外部デバイスが製造/処理のためのセットアップ中または製造/処理中に移動または交換されたかどうか。外部デバイスが、事前定義されたワークフロープロセススキームに沿っていない方法で、および/または製造されたバイオ医薬製品の品質を損なう可能性がある方法で、製造のためのセットアップ中または製造中に移動または交換されたことが検出された場合、事前設定された基準のうちの少なくとも1つが満たされないと判断され得る。
・製造のためのセットアップ中または製造中の施設内でのオペレータの動き。製造のためのセットアップ中または製造中のオペレータが、事前定義されたワークフロープロセスに沿っていない方法もしくはインスタンスにおいて、および/または製造されたバイオ医薬製品の品質を損なう可能性がある方法で、施設内を点々としているか、または製造システムと相互作用していることが検出された場合、事前設定された基準のうちの少なくとも1つが満たされないと判断され得る。例えば、製造のためのセットアップ中または製造中に、許可されていない人が施設内にいたことが検出され得る。
【0073】
処理要素150は、ワークフロープロセススキームによって設定された少なくとも1つの事前設定された基準を満たしていると判断されたそれらのオペレータの相互作用についておよび/またはそれらのオペレータの相互作用の結果についてプロセスが検証されたことの指標を提供するようにさらに構成され得る。
【0074】
したがって、処理要素150は、この例によれば、プロセスがワークフロープロセススキームによって設定された事前設定された基準を満たすことを最初に判断し、次いで、プロセスがワークフロープロセススキームによって設定された事前設定された基準を満たすという判定を検証する検証を行うように構成される。
【0075】
この手順は、特徴的に冗長性を必要とする。したがって、例えば、判定が第1のソースを使用して行われる場合、検証は、他のソースを使用して行われる。事前設定された基準のうちのいくつかが検証され得るが、他の事前設定された基準については、冗長性が不足しており、したがって、検証を行うことができない場合がある。慣例的な従来のシステムでは、第1のオペレータが、動作ステップ、例えば、2つの流体ラインの接続を完了し、バッチ記録における署名を用いてこのアクションを確認する場合がある。重要なまたは重大なアクションについて、第2のオペレータが、動作ステップの正確さおよび完了を検証し、ならびに、バッチ記録内の第2の署名の検査および提供を通して、第1のオペレータによって提供された文書について検証している。本明細書で提案される監視システムでは、システムが、マシンビジョンおよびマシン検査技術を含み得るその画像分析および感知機能によりステップの正確さ、完了、および文書化において十分な情報を得ることができる場合、第1のオペレータ署名と第2のオペレータ署名との両方が省略され得る。2人のオペレータのうちの一方または両方が任意の識別、文書化、または検証アクションから全体的または部分的に解放された任意の中間状態は、製造システムをセットアップまたは動作させる際に、精度、速度、および品質における改善を提供することになる。
【0076】
この検証手順を使用する際に、自動/コンピュータ支援検証が提供される。これは、期待される特性を有するシステムによって正しい製品が送達されることを検証が意味するという点で、安全性を向上させる。
【0077】
図2において、図1に関連して論じたような監視システムに適したユーザインターフェース260の一例が示されている。
【0078】
ユーザインターフェース260は、ユーザ入力要素261を備える。ユーザ入力要素261は、例えば、キーボード、またはタッチスクリーンなどを備え得る。ユーザ入力要素261は、製造のためのバイオ医薬製品を選択するためのオペレータ入力を受信するように構成され得る。ユーザ入力要素261は、図1に関連して論じたように、少なくとも1つの外部デバイスに関連するオペレータ入力を受信するように構成され得る。ユーザ入力要素261は、製造のためのセットアップおよび/または製造セットアップ自体に関する他の情報に関連するオペレータ入力を受信するように構成され得、この情報は、選択されたバイオ医薬製品に関連する事前定義されたワークフロープロセススキームとの比較において使用され得る。
【0079】
ユーザインターフェース260は、図示の例では、少なくとも1つのディスプレイ要素162をさらに備える。少なくとも1つのディスプレイ要素は、選択されたバイオ医薬製品の製造のためのセットアップに関する指示、構成要素もしくはシステムの動作および/もしくは状態のステータス、ならびに/またはシステムもしくはその構成要素の将来の状況に関するプロジェクション、予測もしくは指標を表示するように構成される。図1に関連して論じたような処理要素150は、次いで、少なくとも1つの画像キャプチャデバイスによってキャプチャされた画像内のオペレータの追跡に基づいて、次のまたは現在のステップに関連する指示をディスプレイにフィードするように、および/または先行するステップの実行に関連するフィードバック情報をオペレータにフィードするように構成され得る。
【0080】
少なくとも1つのディスプレイ要素162は、例えば、オペレータによって着用される眼鏡内に形成された拡張現実ディスプレイを備え得る。代わりに、またはこれに加えて、ライトガイドシステムおよび/またはプロジェクション、触覚フィードバック、オーディオなどの他の技術が使用され得る。
【0081】
別の例では、少なくとも1つのディスプレイ要素162は、電子インク(e-ink)ディスプレイを備え得る。電子インクディスプレイ上に表示される情報は、ユーザ相互作用ステップ、プロセスステータスなどに応じて変更され得、情報を変更するイベント間で、読取り可能なディスプレイにさらなるエネルギーがほとんどまたはまったく提供される必要がないという利点を有する。他の例では、ディスプレイ要素、および/またはセンサも、エネルギーハーベスティングデバイスに電力を供給され得る。ワイヤレスで接続されたデバイスにおけるバッテリの必要性を排除するために、例えば、電磁放射の回収または室内光を収集するソーラパネルなどのエネルギーハーベスティング技術が利用され得る。
【0082】
図3は、例えば、図1および図2に関連して論じたように、複数のバイオ医薬製品の製造のための監視システムのメモリ370内に記憶された内容を概略的に示す。メモリ370は、それぞれのバイオ医薬製品に関連付けられた永続的または一時的なワークフロープロセススキームを記憶する。各製品に関連付けられた所定のワークフロープロセススキームは、以下のうちの少なくとも1つを含み得る。
・製造のためのセットアップのためにどのステップが実行されるべきかを特定するデータ
・製造のためのセットアップのためのステップを実行するための順序および/またはタイミングを特定するデータであり、それらのステップについて、これが関連する
・各ステップを実行するための手順を特定するデータおよび
・どの外部デバイスが製造システムに接続されるべきかを特定するデータ、製造システムと外部デバイスとの間の相互接続の構成を特定するデータ
・製造のためのセットアップを開始する準備ができている状態の製造施設の特性を特定するデータ
・施設内に存在する許可された外部デバイス、および/または施設内のデバイスの許可された移動、および/または施設内のデバイスの許可された交換を特定するデータ
・施設内の許可されたもしくは必要とされるオペレータの数、および/または施設内の許可された認可されたオペレータの識別情報、および/またはオペレータが施設内にいることを許可されるタイミング、および/または施設内のオペレータに対して許可されたエリアであり、許可されたエリアは、個々のオペレータの認可レベルに関連付けられ得る、など、施設内で許可されたオペレータの移動を特定するデータ。
【0083】
図3の例では、バイオ医薬製品に関連する生産記録371が示されており、図3は、流体ラインをクロマトグラフィシステム内の流路の入口に接続する特定のステップについて、そのような記録の抜粋を示している。生産記録371は、前記所定のワークフロープロセススキームに関連する記録されたデータを含む。生産記録371は、選択されたバイオ医薬製品に関連する所定のワークフロープロセススキーム372内に含まれ得る。
【0084】
図示の例では、所定のワークフロープロセススキームは、複数のアクティビティステップx.1、x.2、x.3を定義する。図示されたアクティビティステップは、クロマトグラフィシステムの入口への緩衝液容器および対応する流体ラインの接続を例示している。
【0085】
第1のステップx.1は、所定の部品番号を有する所定の溶液が取得されるべきであることを定義する。生産記録371は、図示の例では、第1のステップの実行またはその結果を示す支持画像またはビデオフィルムの記憶のためのエリア373を含む。支持画像またはビデオフィルムは、注釈が付けられている場合と付けられていない場合がある。
【0086】
生産記録371は、ステップが実行されたことの署名を記録するためのエリア374をさらに含む。署名は、ステップを実行したオペレータまたは別の人によって提供され得る。署名は、代わりに、キャプチャされた画像と所定のワークフロープロセススキームとの間の比較に基づいて、オプションで、追加のセンサ要素から取得された他の情報と組み合わせて、コンピュータによって生成され得る。
【0087】
生産記録371は、第1のステップが正常に実行されたことの検証を記録するためのエリア375をさらに含む。検証は、ステップが実行されたことの署名を提供した人である別の人に提供され得る。検証は、代わりに、キャプチャされた画像と所定のワークフロープロセススキームとの間の比較に基づいて、オプションで、追加のセンサ要素から取得された他の情報と組み合わせて、コンピュータによって生成され得る。
【0088】
同じことが、後続のステップにも当てはまる。
・注釈付きのまたは注釈なしの、支持画像/ビデオ、および/または追加のセンサ要素からの情報が、エリア373内に記憶され得る
・ステップが実行されたことを示す署名のために、電子的または手動の署名がエリア374内に提供され得る
・ステップが正常に実行されたことの検証のために、手動のまたは電子的検証がエリア375内に提供される。
【0089】
さらに、生産記録371は、所定のワークフロープロセススキームに従った接続および外部デバイスならびにそれらの特性の記録を含む。図示の例では、記録は、
・入口番号- システム
・溶液部品番号- 緩衝液
・溶液ロット番号- 緩衝液
・溶液有効期限- 緩衝液
・溶液ID、流体ライン、およびコネクタ
・コネクタタイプ
を含む。
【0090】
さらに、各記録について、上記で説明したように、署名および検証が存在し得る。さらに、各記録について、上記で説明したように、注釈付きまたは注釈なしの、支持画像/ビデオおよび/または追加のセンサ要素から取得された他の情報が存在し得る。
【0091】
したがって、図示の生産記録371は、どの追跡されたオペレータの相互作用および/もしくはその結果がワークフロープロセススキームによって設定された事前設定された少なくとも1つの基準を満たしているかを示すデータ、ならびに/またはどのプロセスが検証されたかを示す検証データを含む。
【0092】
上記で説明したように、図示の生産記録は、どの追跡されたオペレータ相互作用またはその結果がワークフロープロセススキームによって設定された事前設定された少なくとも1つの基準を満たすかを示すデータが少なくとも部分的に基づく、および/または検証データが少なくとも部分的に基づく、注釈付きまたは注釈なしの、画像/ビデオおよび/または追加のセンサ要素から取得された他の情報も含む。
【0093】
提案された監視システムは、ワークフロープロセススキームによって設定された少なくとも1つの事前設定された基準が満たされているかどうかを判定する際に、および、場合によっては検証のために使用され得るデータを取得する。取得されたデータは、記憶され得る。
【0094】
行われた検証、および記憶されたデータの量は、特徴的に、少なくとも、製造業者、当局、および/またはFDAなどの規制機関によって定義された最小レベルの要件である。
【0095】
取得されたデータは、トラブルシューティングにおける使用のため、データおよびワークフローの分析のため、ならびに例えば、製造セットアップおよびBOMを含む製造プロセスの全体または一部にわたって機械的または統計的なモデリングおよびデータ分析を適用することなどによる、因果関係における洞察およびモデルを改善するためにさらに記憶され得る。
【0096】
提案された監視システムは、選択されたバイオ医薬製品のための製造システムのセットアップのコンピュータ支援または自動検証を可能にする。
【0097】
コンピュータ支援/自動検証は、新しいバイオ医薬製品の製造のための製造システムをセットアップするときの休止時間を最小限にすることにつながる。
【0098】
図4は、オペレータが選択されたバイオ医薬製品の製造のためにセットアップしているシーン400を開示している。バイオ医薬製品の製造およびその後の製造のためのセットアップは、例えば、図1図2、および図3のいずれかにおいて開示されているように、監視システムによってサポートされ得る。
【0099】
バイオ医薬製品の製造は、特徴的には、現在の適正製造基準、cGMPの下で行われる。製造は、特徴的には、上流生産(すなわち、バイオリアクタ)および/または下流生産精製のための1つまたは複数の単位操作を含む。製造は、特徴的には、製造プロセスにわたって可能な限りシングルユース技術に依存する。これは、使い捨ての消耗品、ホースなどが使用されることを意味する。それによって、バイオ医薬製品の製造のために使用された施設および機器は、新しいバイオ医薬製品の製造のためのセットアップを開始する前に、例えば、完了したプロセス中に製品と接触していた使用済みの消耗品の廃棄および交換によって、容易に洗浄され得る。
【0100】
カメラの形態の画像キャプチャデバイス430が、シーン400をキャプチャするように配置されている。シーン400は、バイオ医薬製品の製造のための製造施設をカバーし得る。製造施設は、そのような部屋の中の隔離された空間であり得る。画像キャプチャデバイスは、シーンへの入口をキャプチャするように配置され得る。典型的には、シーンへの入口は、入ってくる材料、例えば、BOMに従った材料のための移送および/または検査エリア447であり得る。
【0101】
BOM検証は、クリーンな生産および処理ゾーンに隣接する移送および/または検査エリア447において実行され得る。BOM検証は、BOMの入ってくる材料が検証される机、ベンチ、または棚上で実行され得る。画像キャプチャデバイスおよび/または他のセンサ要素は、設置の前に「材料をチェックイン」するために検証のために使用され得る。
【0102】
少なくとも1つの製造デバイス410を備える製造システムが、シーン400内に配置されている。
【0103】
複数の外部デバイス420が、シーン内に配置されている。外部デバイス420は、クロマトグラフィシステムおよび/またはバイオリアクタなどの製造デバイスに取り付けられたフローキット446と消耗品とを備える外部デバイスを含み得る。外部デバイスは、製造システムに接続可能な緩衝液ビンおよび/または容器を備え得る。
【0104】
図示の例では、フローキット446は、クロマトグラフィシステム、例えば、AKTAレディシステム(GE Healthcare)の形態における製造デバイス410の前面に取り付けられている。フローキット446は、第1の接続要素111を有する。図示の例では、第1の接続要素111は、流体入口と、流体出口と、クロマトグラフィカラム、例えば、Ready To Processカラム(GE Healthcare)の形態における外部デバイス420への接続部111とを備える。接続要素111は、無菌コネクタ、例えば、ReadyMateコネクタ(GE Healthcare)の形態において提供され得る。
【0105】
製造デバイス410の第1のコネクタ要素111のうちの少なくともいくつか、および少なくとも1つの外部デバイス420の少なくとも1つの第2のコネクタ要素121は、互いに接続可能である。コネクタ要素111、121は、ホース、またはケーブルなどの相互接続部/相互接続要素によって互いに直接接続されるように意図され得る。図示の例では、カラムの形態における外部デバイス420の第2のコネクタ要素121は、製造デバイス410の対応する第1のコネクタ要素111に接続されるように意図される。
【0106】
コネクタ要素111は、消耗品などの外部デバイス420への接続に適合され得る。コネクタ要素111は、電気通信に適合され得、例えば、電気接点を形成し得る。
【0107】
図示の例では、製造デバイス410は、外部デバイス、製造デバイス410、リーダ、およびシーン内の他の機器のうちの少なくとも1つに関連するワイヤレスで通信されるデータを受信するように構成された受信機440を備える。しかしながら、そのような受信機440は、代わりに、またはそれに加えて、施設内の他の場所に配置され得、監視システムにデータを提供し得る。図示の例では、オペレータが、そのような受信機440を有する電子ユーザデバイス441を携帯している。ワイヤレスで通信されるデータは、例えば、外部デバイスならびに/または製造デバイス410ならびに/またはコネクタ、流体ライン、流体バッグ、フローキット、カラム、フィルタなどのシーン内の他の機器および/もしくは材料と関連付けられたRFIDタグ422または他の送信機要素445から通信され得る。RFIDタグまたは他の送信機要素は、短距離通信のために配置され得る。一例では、通信は、特徴的には、送信機および受信機が同じ部屋の中にあるときに取得される。通信は、Bluetooth、WiFi、RFID、NFCなどによって取得され得る。
【0108】
例えば、外部デバイスは、メモリを備え得るか、または以下のデータのうちの少なくともいくつかを含むメモリにアクセスし得る。
・部品番号
・ロット番号
・有効期限
・ID
・外部デバイスの特性(タイプ(単位操作、消耗品、プローブなど)、外部デバイスの構成/機能に関するさらなる詳細、サイズなど)
・コネクタタイプ
・接続の状態/ステータス(パックされ、包装を解かれ、接続のために準備された「接続準備完了」、接続する前の不完全なまたは正しい状態、確立された接続における不完全なまたは正しい状態)
・外部デバイスを接続するための適切な相互接続要素(クランプタイプなど)
・外部デバイスに関連付けられたセンサタイプ
・外部デバイスがさらされている温度などの環境データ。
【0109】
上記のデータの少なくとも一部は、要求に応じて、および/または通信が確立されたとき、および/またはセンサ信号が外部デバイスに関連付けられた任意のセンサによって取得されたときに、受信機440に通信され得る。受信機440は、従来の有線センサおよび有線送信データを補完するものを形成するワイヤレス受信機またはセンサであり得る。
【0110】
例えば、製造デバイスは、以下のデータを含むメモリを備えるか、またはメモリにアクセスし得る。
・部品番号
・ロット番号
・コネクタタイプ
・ID
・製造デバイスの特性(タイプ(クロマトグラフ、バイオリアクタ)、製造デバイスの構成/機能に関するさらなる詳細、サイズなど)。
【0111】
上記のデータの少なくとも一部は、要求に応じて、および/または通信が確立されたときに、受信機440に通信され得る。
【0112】
他の機器は、外部デバイスへの製造デバイスの接続のための相互接続要素を備え得る。相互接続要素は、ホース、ケーブル、またはクランプなどを含み得る。他の機器は、以下のデータを含むメモリを備え得るか、またはメモリにアクセスし得る。
・ID
・機器の特性(機器のタイプ(電気ケーブル、ホースクランプなど)、機器の構成/機能に関するさらなる詳細、サイズなど)
・機器に関連付けられたセンサタイプ。
【0113】
上記のデータの少なくとも一部は、要求に応じて、および/または通信が確立されたとき、および/またはセンサ信号がデバイスの上の機器に関連付けられた任意のセンサによって取得されたときに、受信機440に通信され得る。
【0114】
したがって、それぞれの外部デバイスおよび/または他の機器は、個々の外部デバイスを識別する識別データなどの外部デバイスデータの受信によって検出され得る。したがって、新しい外部デバイスおよび/または他の外部デバイスがシーンに入るとすぐに、これは、識別データなどの外部デバイス/他の機器データの受信によって検出され得る。
【0115】
さらに、それぞれの外部デバイスおよび/または他の機器のセンサによって感知されたステータス変化は、前記センサステータスデータを含む外部デバイス/他の機器データの受信によって検出され得る。したがって、外部デバイスおよび/または他の機器のセンサのステータス変化が感知されるとすぐに、これは外部デバイス/他の機器データの受信によって検出され得る。
【0116】
さらに、それぞれの接続された外部デバイスに関連する受信された外部デバイスデータ/他の機器データは、それぞれの外部デバイス/他の機器に関連する情報を取得するための監視システムによって使用され得る。
【0117】
さらに、外部デバイスおよび/もしくは製造デバイス410ならびに/またはシーン内の他の機器および/もしくは材料と関連付けられたRFIDタグ422などのラベルまたはタグ、ならびに前記ラベルまたはタグによって含まれる情報はまた、前記構成要素のステータス、状態、または使用における変化を反映するように変更および更新され得る。タグの内容を更新するために、タグに情報が書き込まれ得る。
【0118】
図の図示の例では、オペレータ444のうちの1人は、例えば、チューブクランプ(チューブは図示せず)などのクランプの形態における他の機器442を保持している。他の機器は、メモリ(図示せず)に関連付けられたセンサ443および送信機要素445に関連付けられている。
【0119】
さらに、シーン内の作業者も、カメラによって追跡され得る。それによって、製造デバイスに接続された、またはオペレータが相互作用しない外部デバイスおよび/または他の外部機器が登録され得る。
【0120】
したがって、施設に入り、シーン内で行動するオペレータは、追跡され、施設のデバイス/他の機器とのオペレータの相互作用が追跡され得る。
【0121】
検出されたイベントが起こったことを検証するために、情報の冗長性が使用され得る。例えば、センサがステータス変化を検出した場合、画像キャプチャデバイスからの画像は、センサのステータス変化のタイミングおよび/または位置において、センサが関連付けられた機器/外部デバイスにおけるアクティビティをオペレータが実行したことを検証するために、そのタイミングにおける画像内のオペレータの位置が使用され得ることを検証するために使用され得る。さらに、画像は、正しい方法で、ならびに/または順序および/もしくはタイミングに関する所定の要件に従って、オペレータが機器/外部デバイスを接続したことを確認するために、オペレータの操作を詳細に追跡するために処理され得る。それに加えて、または代わりに、機器/外部デバイスに関連する受信された情報は、正しい機器/外部デバイスが接続アクティビティに関与したことを確認するために使用され得る。それに加えて、または代わりに、正しい機器/外部デバイスが接続アクティビティに関与したことを確認するために、画像処理が使用され得る。マシンビジョンおよびマシン検査の方法を含む画像処理が、様々な詳細レベルおよび洗練レベルにおいて適用され得、これは、例えば、バッチ記録内のこの情報を読み、処理し、および/または文書化することからオペレータを解放するために、ラベル上の書かれたテキストおよび情報、バーコードおよびOCRコード情報などの認識を含み得る。
【0122】
別の例では、画像処理が、新しい外部デバイスおよび/または他の機器が施設に入ったことを検出した場合、受信機440によって受信されたデータは、これを確認するために使用され得る。さらに、画像は、オペレータが受信機440を介した画像の受信のタイミングにおいて他の機器/外部デバイスを施設に持ってきたことを保証するために、オペレータの操作を詳細に追跡するために処理され得る。さらに、またはそれに加えて、画像処理は、他の機器/外部デバイスの特性が受信機440によって受信されたデータによって決定されるような他の機器/外部デバイスの特性と一致することを確認するために使用され得る。
【0123】
図5は、消耗品と再利用可能なハードウェアとを含む外部デバイス、ならびにシーン内のオペレータおよび他の機器の認識のためのタイムラインを示す概略図を開示している。認識のためのタイムラインは、機器/外部デバイス、ならびにオペレータ、機器/外部デバイスとのオペレータの相互作用、およびこの相互作用の結果を検出し、検査し、監視し、検証し、文書化することを可能にする。
【0124】
この例示的な例の外部デバイスは、製造デバイスのための消耗品を含む。他の機器は、例示的な例ではクランプを含み、これは、ここでは、バルブおよび流体ラインの開閉を表すクランプステータスのワイヤレス検出を特徴とし、流体ラインは、オペレータがクランプを閉じて、クランプが流体ラインを挟む場合である。
【0125】
図示の例では、20Lバッグ1の消耗品が、タイムラインに沿ったタイミングにおいて認識される。認識のタイミングは、記録され得る。図示の例では、認識された20Lバッグ1の位置が記録される。図示の例では、位置は、20Lバッグ1の記録された角度位置を含む。角度位置は、所定の基準方向に関連して与えられ得る。位置は、図示の例では、さらに距離を含む。距離は、所定の基準点に関連して与えられ得る。角度位置および距離は、画像キャプチャデバイスによってキャプチャされた画像に基づいて決定され得る。
【0126】
画像キャプチャデバイス(カメラ)からの角度位置および距離は、デカルト2次元座標および3次元座標に変換され、それらによって表され得、シーンは、仮想現実表示と拡張現実表示とを含む複合現実において再構成され、表示され得る。
【0127】
さらに、20Lバッグオブジェクトの特徴は、識別されたオブジェクトが20Lバッグ1であると決定するために、キャプチャされた画像の処理によって識別され得る。
【0128】
さらに、図示の例では、オペレータ9が、タイムラインに沿ったタイミングで認識される。認識のタイミングは、記録され得る。図示の例では、認識されたオペレータの位置が記録される。図示の例では、位置は、オペレータ9の記録された角度位置を含む。角度位置は、所定の基準方向に関連して与えられ得る。位置は、図示の例では、さらに距離を含む。距離は、所定の基準点に関連して与えられ得る。角度位置および距離は、画像キャプチャデバイスによってキャプチャさた画像に基づいて決定され得る。
【0129】
さらに図示の例では、100Lバッグ2が、タイムラインに沿った次のタイミングで認識される。認識のタイミングは、記録され得る。図示の例では、認識された100Lバッグ2の位置は、記録される。図示の例では、上記で論じたように、位置は、オブジェクトの角度位置として記録される。位置は、図示の例では、さらに距離を含む。角度位置および距離は、画像キャプチャデバイスによってキャプチャされた画像に基づいて決定され得る。
【0130】
図5に示すデータの表現以外に、空間および時間における解像度で、シーン内のオペレータ、外部デバイス、他の機器、および他のオブジェクトの位置、ステータス、およびアクションを含むパラメータにおいて取得された任意の情報は、もちろん、提示され、評価され、様々な異なるフォーマットおよびグラフィカル表現において文書化され得る。
【0131】
さらに、100Lバッグ2オブジェクトの特性は、識別されたオブジェクトが100Lバッグであると決定するために、キャプチャされた画像の処理によって識別され得る。
【0132】
さらに、100Lバッグ2を認識するタイミングにおいて、RFIDリーダが、100Lバッグに関連付けられたRFIDタグを読み取る。それによって、冗長性、および/または100Lバッグの識別情報などの他の情報が取得され得る。
【0133】
RFIDタグの読取りは、オペレータの相互作用、例えば、リーダの起動と関連付けられ得、読取りは、時間および空間における追跡されたオペレータおよび/またはリーダの位置と関連付けられ得る。
【0134】
さらに、さらに別のタイミングにおいて、チューブx3が認識される。認識のタイミングは、記録され得る。図示の例では、認識されたチューブx3の位置が記録される。図示の例では、上記で論じたように、位置は、カメラによってキャプチャされた画像を使用して、角度位置および距離として記録され得る。さらに、チューブx3を認識するタイミングにおいて、RFIDリーダが、チューブx3に関連付けられたRFIDタグを読み取る。それによって、冗長性、および/またはチューブx3の識別情報などの他の情報が取得され得る。さらに、チューブx3を認識するタイミングにおいて、接続センサが、チューブx3が接続されたことを感知する。接続センサは、確立された接続に関与する1つまたは2つのコネクタに取り付けられたセンサ構成要素であり得、有線またはワイヤレスのセンサフィードバックを提供する。しかしながら、接続センサは、他の感知手段、例えば、コネクタのうちの少なくとも1つの識別情報を認識し、接続プロセスの正常な導通および完了を認識し得る画像分析およびマシンビジョン機能によって提供され得る。したがって、製造システムのセットアップに関連する、冗長性を提供し得る追加の情報が取得される。
【0135】
さらに別のタイミングにおいて、バッグB4が認識される。認識のタイミングは、記録され得る。図示の例では、認識されたバッグB4の位置が記録される。図示の例では、上記で論じたように、位置は、カメラによってキャプチャされた画像を使用して、角度位置および距離として記録され得る。さらに、バッグB4を認識するタイミングにおいて、バーコードリーダがバーコードを読み取る。バーコードリーダは、例えば、オペレータによって携帯され得る。代替的には、バーコードは、キャプチャされた画像から識別可能である。バーコードは、チューブ自体、またはそのパッケージにおいて存在し得る。
【0136】
その後、次のタイミングにおいて、チューブy5が認識される。認識のタイミングは、記録され得る。図示の例では、認識されたバッグy5の位置が記録される。図示の例では、上記で論じたように、位置は、カメラによってキャプチャされた画像を使用して、角度位置および距離として記録され得る。さらに、チューブy5を認識するタイミングにおいて、接続センサが、チューブy5が接続されたことを感知する。したがって、製造システムのセットアップに関連する、冗長性を提供し得る追加の情報が取得される。
【0137】
さらに、クランプセンサのステータス変化が、チューブy5において検出される。クランプセンサは、チューブクランプ、特徴的には手動ピンチバルブが開位置にあるか、閉位置にあるかを検出する。オペレータの位置に関連する情報は、クランプセンサのステータス変化が検出されたときに、オペレータがチューブクランプの位置にいたというさらなる情報を提供するために使用され得る。
【0138】
その後、さらに別のタイミングにおいて、カラムXY6が認識される。認識のタイミングは、記録され得る。図示の例では、カラムXY6の位置が記録される。図示の例では、上記で論じたように、位置は、カメラによってキャプチャされた画像を使用して、角度位置および距離として登録され得る。さらに、カラムXY6を認識するタイミングにおいて、バーコードリーダが、カラムXY6に関連付けられたバーコードを読み取る。代替的には、バーコードは、キャプチャされた画像から識別可能である。バーコードは、カラムXY6自体において存在し得る。
【0139】
次のタイミングにおいて、クランプ7が認識される。認識のタイミングは、記録され得る。図示の例では、認識されたクランプ7の位置が記録される。図示の例では、上記で論じたように、位置は、カメラによってキャプチャされた画像を使用して、角度位置および距離として記録され得る。
【0140】
実際には、クランプ7は、クランプ7に関連付けられたクランプセンサからのクランプアクティブ化信号のアクティブ化のタイミングにおいて認識され得る。クランプセンサアクティブ化信号は、クランプが接続されていることの検出に応じて送信され得る。オペレータの追跡は、次いで、クランプ7の位置を決定する際に使用するために、画像内のクランプ7を識別するために使用され得る。オペレータは、特徴的には、クランプセンサアクティブ化信号のタイミングにおいて、クランプ7の位置にいる。したがって、クランプセンサ信号のアクティブ化のタイミングにおいてキャプチャされた画像は、特徴的には、オペレータによって操作されるクランプ7の位置を決定するために使用される。
【0141】
代替的には、またはそれに加えて、クランプ7は、画像キャプチャデバイスによって取得され、処理要素によって評価された情報によって、開状態または閉状態において認識され得る。
【0142】
さらに、クランプ7を認識するタイミングにおいて、RFIDリーダが、クランプ7に関連付けられたRFIDタグを読み取る。それによって、冗長性、および/またはクランプ7の識別情報などの他の情報が取得され得る。
【0143】
次のタイミングにおいて、チューブ接続部8が認識される。認識のタイミングは、記録され得る。図示の例では、認識されたチューブ接続部8の位置が記録される。図示の例では、上記で論じたように、位置は、カメラによってキャプチャされた画像を使用して、角度位置および距離として記録され得る。
【0144】
実際には、チューブ接続部8は、チューブ接続部8に関連付けられたクランプセンサからのクランプアクティブ化信号のアクティブ化のタイミングにおいて認識され得る。クランプセンサアクティブ化信号は、クランプが接続されていることの検出に応じて送信され得る。オペレータの追跡は、次いで、チューブ接続部8の位置を決定する際に使用するために、画像内のチューブ接続部8を識別するために使用され得る。オペレータは、特徴的には、クランプセンサアクティブ化信号のタイミングにおいて、チューブ接続部8の位置にいる。したがって、クランプセンサ信号のアクティブ化のタイミングにおいてキャプチャされた画像は、特徴的には、オペレータによって操作されるチューブ接続部8の位置を決定するために使用される。
【0145】
さらに、または代わりに、チューブ接続部8は、チューブ接続部8のセンサからのチューブ接続信号のアクティブ化のタイミングにおいて認識され得る。チューブ接続センサ信号は、接続の検出に応じて送信され得る。オペレータの追跡は、次いで、チューブ接続部8の位置を決定する際に使用するために、画像内のチューブ接続部8を識別するために使用され得る。オペレータは、特徴的には、チューブ接続センサ信号のタイミングにおいて、チューブ接続部8の位置にいる。したがって、チューブ接続センサ信号の検出のタイミングにおいてキャプチャされた画像は、特徴的には、オペレータによって操作されるチューブ接続部8の位置を決定するために使用される。
【0146】
監視システムは、製造空間およびシーン400内のオブジェクトおよび構成要素の最適な物理的位置および向きに関して、追跡し、制御し、ユーザにアドバイスし得る。例えば、監視システムは、構成要素の配置のためのフロアプランを提案し、提案されたフロアプランに従って前記構成要素を配置するようにユーザに指示し得る。フロアプランは、クリーンルーム内の空間の最適な利用のため、および/または製造プロセスの最適な実行のために、プロセス全体を通して変更され得る。監視システムは、フロアプランが、例えば、以前のバッチからのプロセスパフォーマンス、ユーザ相互作用、および空間利用を分析することによってさらに最適化されるように、機械学習および最適化構成要素をさらに備え得る。
【0147】
監視システムは、ロボット工学のワークフローへの統合をさらに可能にし得、製造システム、プロセス、施設、および/またはワークフロー全体内のロボット工学とユーザとの相互作用を最適化し得る。例えば、自動運転の材料移動機は、手動のユーザ相互作用と協調して制御され得、すべてのリソースの統合および調整は、分析に基づく機械学習およびAIによって最適化および改善され得る。
【0148】
チューブおよびバッグは、特徴的には、シングルユースの使い捨て製品である。図5に示すようなスキームまたは同様のスキームは、例えば、入口側に緩衝液バッグを有し、出口側に別の緩衝液バッグを有するクロマトグラフィシステムのセットアップにおいて適用可能であり得る。
【0149】
図5に関連して上記で論じたような、シーン内の外部デバイスおよび他の機器の認識のためのタイムラインを示すスキームは、本開示によるワークフロープロセススキームによって設定された少なくとも1つの事前設定された基準が満たされているかどうかを判定するために使用され得る。図5に関連して上記で論じたような、シーン内の外部デバイスおよび他の機器の認識のためのタイムラインを示すスキームは、本開示による検証のためにも使用され得る。図5に関連して上記で論じたような、シーン内の外部デバイスおよび他の機器の認識のためのタイムラインを示すスキームは、本開示による検証のためにも使用され得る。図5に関連して上記で論じたような、シーン内の外部デバイスおよび他の機器の認識のためのタイムラインを示すスキームは、本開示による製造プロセスの改善のためにも使用され得る。プロセスの改善および/または最適化は、例えば、分析のタイプに応じて異なり得る1つまたは複数の目的に従って、イベントを圧縮、凝縮、またはフィルタリングする「ライムラプス」機能を通じて提供され得る。例えば、1つのタイムラプス機能は、特定の構成要素とのユーザの相互作用の表示、レビュー、および/または分析のみに焦点を合わせることができる。これらの特定の相互作用は、次いで、プロセスの効率、安全性、または堅牢性を改善するために精査され得る。
【0150】
図6において、製造のためのセットアップを監視するため、ならびに/または製造のためにセットアップするためおよび/もしくは選択されたバイオ医薬製品の製造後に分解した後にセットアップするための方法10が示されている。
【0151】
方法は、製造システムを含むシーンの画像をキャプチャするステップS1を含む。製造システムは、複数のバイオ医薬製品を製造する能力を有する。製造システムは、外部デバイスへの接続のための複数の第1のコネクタ要素を有し得る。
【0152】
方法は、シーン内のオペレータの相互作用および/またはオペレータの相互作用の結果を追跡するために前記キャプチャされた画像を処理するステップS3をさらに含む。方法は、製造デバイスとの追跡されたオペレータの相互作用の少なくとも一部および/または追跡されたオペレータの相互作用の結果の少なくとも一部を、選択されたバイオ医薬製品に関連する事前定義されたワークフロープロセススキームと比較するステップS5をさらに含む。方法は、比較に基づいて、ワークフロープロセススキームによって設定された少なくとも1つの事前設定された基準が満たされているかどうかを判定するステップS6をさらに含む。
【0153】
方法は、少なくとも1つの接続されたもしくは接続可能なデバイスまたは他の機器に関連する情報を取得するステップS2も含み得る。取得された情報の少なくとも一部は、次いで、所定のワークフロープロセススキームから取得された接続された外部デバイスの特性との比較S5と、製造デバイスに接続された外部デバイスの特性に関連する所定のワークフロープロセススキームによって設定された事前設定された基準が満たされているかどうかの判定S5とにおいて使用され得る。
【0154】
方法は、製造のためのセットアップのための視覚的、触覚的、および/または聴覚的支援を提供するステップS4をさらに含み得る。視覚的支援は、例えば、画面上に表示され得るか、または例えば、オペレータによって着用される眼鏡内に形成された拡張現実提示として提示され得る。提供される視覚的/口頭の支援は、オペレータがどのアクティビティに関与しているかを識別するために、オペレータの追跡と、場合によっては事前定義されたワークフロープロセススキームとに基づき得る。視覚的/口頭の支援は、次いで、識別されたアクティビティに基づいて提供される。サポート用のデータは、例えば、所定のワークフロープロセススキームの各アクティビティに関連して記憶される。
【0155】
実行されたアクティビティに関連して、オペレータへのフィードバックが提供され得る。オペレータは、次いで、アクティビティをやり直すか、または少なくとも次回のために学習する機会を有し得る。オペレータのガイダンスおよびフィードバックのレベルは、次いで、オペレータの能力レベルと、経験と、ガイダンスにおける特定のレベルおよび詳細に対する要求とに応じて、状況に応じて調整され得る。
【0156】
したがって、上記から理解されるように、事前設定された基準が満たされているかどうかの判定は、オペレータが選択されたバイオ医薬製品の製造のためのセットアップに取り組むときに継続的に行われ得る。代替的には、判定は、製造のためのセットアップが完了した時点で行われる。
【0157】
要約すると、複数のバイオ医薬製品の中から選択されたものの製造のためのセットアップを監視するため、および/またはセットアップするための方法は、ワークフロープロセススキームによって設定された事前設定された基準のうちのどれが満たされ、どれが満たされないか、または少なくともそれらが満たされていると判定することはできないことを判定する。満たされていない、または少なくともそれらが満たされているかどうかを判定することはできないそれらの潜在的な事前設定された基準について、システムによってレポートが提供され得る。それらの基準は、手動でチェックされ得る。
【0158】
それぞれの事前設定された基準が満たされているかどうかに関して処理要素150によって提供される判定における精度の尺度と、したがって信頼性の尺度とを含めることが有利であり得る。判定における精度および信頼性に基づいて、システムは、この決定における精度および信頼性が高い場合、事前設定された基準が満たされていると自律的に決定し得る。その他の場合、情報が自律的な決定を可能にするのに十分ではなく、信頼性が十分でないと判断された場合、追加のオペレータ入力が要求され得る。場合によっては、システム150は、精度が後続のプロセスにわたって改善されることにより、システムによってより自律的な決定が行われ、および/またはより少ない追加のユーザ入力が必要とされるようになるように、反復的な実行から、または例えば、メモリ内の画像データを改善する追加のデータおよび知識ベースから学習し得る。例えば、所定のワークフロープロセススキームが、特定のバルブが開いているべきであることを示す場合、信頼性の尺度は、例えば、バルブが開いていること、バルブが閉じられていること、またはバルブのステータスが未定義であることのいずれかを示すことができる。したがって、信頼性の尺度は、正しい(CORRECT)、誤り(FAULT)、または未定義(UNDEFINED)を示す可能性がある。代替的には、信頼性の尺度は、パーセンテージを含むことができる。信頼性の尺度は、利用可能なデータの品質、事前設定された基準が満たされているかどうかの判定のために使用されるソースの数および/またはタイプなどに基づき得る。
【0159】
さらに、事前設定された基準が満たされていると判断された場合、検証指標が提供され得るS7。検証指標は、好ましくは、事前設定された基準が満たされていることの判定のために使用された情報以外の情報を使用して取得される。次いで、検証に関連するデータが記憶され得るS7。検証は、特徴的には、製造のためのセットアップが完了した時点で行われる。
【0160】
それぞれの事前設定された基準が満たされているかどうかの判定に関連して上記で論じたのと同じまたは同様の方法で、信頼性の尺度を検証に追加することが有利である場合がある。
【0161】
検証に関連するデータが記憶され得るS8。したがって、検証が行われる情報は、記憶され得る。
【0162】
ワークフロープロセススキームによって設定された事前設定された基準が満たされているかどうかの判定に関連するデータが記憶され得る。
【0163】
製造のセットアップ中に取得された他のデータも記憶され得る。
【0164】
また、例えば、生産中にシーン内で行われた任意の修正も記憶され得る。修正は、外部デバイスおよび/または他の機器が移動または侵害されたことを含み得る。これは、例えば、潜在的なその後のトラブルシューティングにおいて役立つ場合がある。
【0165】
設置が検証および承認された後、生物学的製品の処理が行われ、これは、通常、なんらかの種類の流体処理(バイオリアクタ、クロマトグラフィ、濾過)である。ここでは、流体のサンプリング、チューブクランプの作動などの、多くのオペレータ相互作用が必要とされる。
【0166】
処理後の製造システムの分解も、オペレータが監視システムによって提供され得るプロトコルに従わなければならないステップである。このステップでも、相互作用および結果が監視、検証、および文書化される。
【0167】
記憶されたデータは、製造プロセスが改善される後続のステップS9において使用され得る。それによって、最終的なバイオ医薬製品の生産は、洗練され得、最終的なバイオ医薬製品における潜在的な逸脱は、バイオ医薬製品が製造されるたびに低減され得る。
【0168】
詳細には、視覚的/聴覚的支援は、製造のためのセットアップに関する以前のオペレータのアクティビティおよびそれによって製造された最終的なバイオ医薬製品の特性の(統計的)分析に基づいて改善され得る。
【0169】
システムによって行われる意思決定は、この改善ステップにおいて、所定の事前設定された基準が満たされているかどうかの判定におよび/または検証に至る、未定義の結果をオペレータによく調査させ、システムによって未定義として示された場合に、事前設定された基準が満たされたかどうか、および検証が行われ得るかどうかを示させることによっても改善され得る。
【0170】
この改善ステップS9において、機械学習が使用され得る。学習は、ステップS2、S3、およびS6などのプロセスにおける1つまたは複数のステップを改良するために使用され得る。
【0171】
方法は、コンピュータ実行可能プログラムコード命令が記憶された少なくとも1つの非一時的コンピュータ可読記憶媒体を備えるコンピュータプログラム製品において実装され得、コンピュータ可読プログラムコード命令は、実行されると方法を実行するように構成されたプログラムコード命令を含む。
【0172】
学習およびシステムインテリジェンスは、バッチプロトコルの一部を記録および文書化することによって、例えば、「技術的ラン(technical run)」中に、バッチプロトコルを改良、更新、および改善するために使用され得る。さらに、取得された情報(すなわち、複合現実出力およびバッチプロトコル)は、オペレータの訓練目的、トラブルシューティング、データ分析などのために使用され得る。
【0173】
図7は、ISA95規格に準拠した製造サポートを提供する様々なレベルを示すスキームを示す。レベル0は、物理的な生産プロセスを示す。レベル1において、物理的な生産プロセスの、センサ、ポンプなどの構成要素が定義される。物理的プロセスは、センサによって感知され、生産プロセスは、操作され得る。レベル2は、自動化システムに関連する。レベル2は、工場または単位操作レベルとして定義され得る。レベル2において、プロセスの監視および監督制御ならびに自動制御が取得される。レベル1および2を実装することによって、製造制御が達成される。製造制御は、基本制御と、監督制御と、プロセス感知と、プロセス操作とを含む。
【0174】
レベル3は、製造実行システム(Manufacturing Execution System)、MESレベルである。図示の例では、レベル3において、所望の最終製品を生産するために、バッチ記録が制御される。バッチ記録は、ワークフローおよび/またはレシピ制御を目的とする。バッチ記録は、維持され得、および/または生産プロセスは、最適化され得る。本明細書で開示するような所定のワークフロープロセススキームの使用は、主にこのレベルにおける製造サポート、すなわち、バッチ記録の制御、実行、および文書化を可能にする。本明細書で説明するような監視システムを最大限に活用するために、バッチ記録は、好ましくは、電子的に管理され、ワークフローの指示、ならびにセンサなどによる電子バッチ記録(eBR)への入力およびフィードバックは、電子的に転送される。このレベル3は、製造オペレーションの管理のレベルを意味し得る。このレベルは、生産作業手配(dispatching production)、および/または詳細な生産スケジューリング、および/または信頼性の保証をカバーする。
【0175】
しかしながら、ワークフローの少なくとも一部は、レベル2において定義され得る。これについて、図8に関連してさらに論じる。
【0176】
レベル4は、企業資源計画(Enterprise Resource Planning)、ERPレベルである。レベル4は、事業計画および物流のためのレベルである。このレベルは、工場生産スケジューリングと事業管理とを含む。
【0177】
図8は、所定のバイオ医薬製品の製造のためのスキームの一例を示す。
【0178】
スキームは、図示の例では、所定のバイオ医薬製品の製造のための高レベルワークフロー80を含む。図示の例では、高レベルワークフロー80は、材料移送および/またはBOM検査81で開始する。その後、製造システムの設置のための設置ステップ82が実行される。その後、設置が検証される83。その後、場合によっては手動の相互作用を伴う自動処理84が実行される。その後、手動のアクティビティをサンプリングするためのサンプリングステップ85が実行される。その後、製造の現場が清掃される86。このステップでは、シングルユースの製品が廃棄される。ステップは、この高レベルワークフロー80に追加および/またはそこから削除され得る。
【0179】
さらに、スキームは、所定のバイオ医薬製品の製造のための指示90、100を含み得る。指示は、例えば、標準動作手順(Standard Operation Procedure)、SOP、および/または電子バッチ記録、eBRを含む。指示は、図7に関連して論じたように、ISA95規格(ISA、国際計測制御学会(International Society of Automation)による)に沿った製造支援を提供する様々なレベルにおいて、レベル2またはレベル3またはそれらの組合せのいずれかに属し得る。
【0180】
図示の例では、レベル3の指示90は、ラインクリアランスに関する指示91を含む。この指示は、特徴的に、材料移送および/またはBOM検査81の初期化に先行するか、またはそれらとみなされ得る。
【0181】
図示の例では、レベル3の指示は、消耗品、および/または機器、および/または流体、および/またはエチケットの移送のためのさらなる指示92を含む。この指示は、特徴的に、材料移送、および/またはBOM検査81、および/または設置82に属する。
【0182】
図示の例では、レベル3の指示は、バッグ設置および/またはバッグ充填のためのさらなる指示93を含む。この指示は、特徴的に、設置82および/または検証83に属する。
【0183】
図示の例では、レベル3の指示は、流体処理の前の最終的な設置のためのさらなる指示94を含む。この指示は、特徴的に、検証83および/または自動処理84に属する。
【0184】
図示の例では、レベル3の指示は、流体サンプルの収集のためのさらなる指示95を含む。この指示は、特徴的に、自動処理84および/または手動アクティビティのサンプリング85に属する。
【0185】
図示の例では、レベル3の指示は、製品の取扱いのためのさらなる指示96を含む。この指示は、特徴的に、手動アクティビティのサンプリング85に属する。
【0186】
図示の例では、レベル3の指示は、消耗品の廃棄のためのさらなる指示97を含む。消耗品は、SUTタイプ(シングルユース技術)のものであり得る。この指示は、特徴的に、清掃86に属する。
【0187】
さらに、図示の例では、レベル2の指示100は、流路設置、例えば、クロマトグラフィシステムのための指示101を含む。この指示は、特徴的に、材料移送および/もしくはBOM検査81ならびに/または設置82に属し、例えば、クロマトグラフィシステムおよびその制御システムまたは異なるワークフロー管理システムによって定義され、実行され、文書化され、維持される標準動作手順(SOP)として、レベル3のeBRによって要求され得るかまたは参照され得る。
【0188】
さらに、図示の例では、レベル2の指示100は、クロマトグラフィシステムへのバッグの接続のための指示102を含む。この指示は、特徴的に、設置82および/または検証83に属する。再び、この指示、その実行、および文書化は、標準動作手順(SOP)としてレベル3のeBRによって要求され得るかまたは参照され得る。
【0189】
さらに、図示の例では、レベル2の指示100は、プロセス自動化および/またはデータ記録の実行のための指示103を含む。この指示は、特徴的に、自動処理84に属する。
【0190】
さらに、図示の例では、レベル2の指示100は、文書化および/またはデータ管理のための指示104を含む。この指示は、手動アクティビティのサンプリング85および/または清掃アクティビティ86を含むか、またはその一部であり得る。
【0191】
所定のバイオ医薬製品の製造のためのこのスキームは、上記から明らかなように、単なる一例である。高レベルワークフロー80および/または指示90、100は、追加または削除され得る。指示は、さらに、レベル2またはレベル3のどちらか適切な方に属するように選択され得る。レベル2のアクティビティは、別個の電子ワークフローシステムによって管理され得るSOP(標準動作手順)とみなされ得る。このレベル2ワークフロー管理システムは、オペレータへの指示、ガイド、および修正、結果の文書化、インテリジェントな感知の提供、学習、およびワークフロー改善機能の前述の機能を提供し得る。レベル2ワークフロー管理システムは、クロマトグラフィシステムおよびその制御ソフトウェアなどの機器もしくはシステムによって、または独立したスタンドアロンシステムおよびソフトウェアによって提供され得る。
【符号の説明】
【0192】
1 20Lバッグ
2 100Lバッグ
3 チューブx
4 バッグB
5 チューブy
6 カラムXY
7 クランプ
8 チューブ接続部
9 オペレータ
80 高レベルワークフロー
81 BOM検査
82 設置ステップ、設置
83 検証
84 自動処理
85 サンプリングステップ、サンプリング
86 清掃、清掃アクティビティ
90 指示
91 指示
92 指示
93 指示
94 指示
95 指示
96 指示
97 指示
100 システム、監視システム、指示
101 指示
102 指示
103 指示
104 指示
110 製造システム
111 コネクタ要素、接続要素、接続部
120 外部デバイス
121 コネクタ要素
122 RFIDタグ
130 画像キャプチャデバイス
140 受信機
150 処理要素
160 ユーザインターフェース
170 メモリ
260 ユーザインターフェース
261 ユーザ入力要素
370 メモリ
371 生産記録
372 ワークフロープロセススキーム
373 エリア
374 エリア
375 エリア
400 シーン
410 製造デバイス
420 外部デバイス
422 RFIDタグ
430 画像キャプチャデバイス
440 受信機
441 電子ユーザデバイス
442 機器
443 センサ
444 オペレータ
445 送信機要素
446 フローキット
447 検査エリア
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8