(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-22
(45)【発行日】2024-01-05
(54)【発明の名称】スクイズ注出容器
(51)【国際特許分類】
B65D 47/06 20060101AFI20231225BHJP
【FI】
B65D47/06 400
(21)【出願番号】P 2020113442
(22)【出願日】2020-06-30
【審査請求日】2023-01-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100154003
【氏名又は名称】片岡 憲一郎
(72)【発明者】
【氏名】早川 茂
【審査官】佐藤 正宗
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-204141(JP,A)
【文献】特開平08-324615(JP,A)
【文献】実開平06-012354(JP,U)
【文献】特開2015-006917(JP,A)
【文献】特開2018-104073(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0081090(US,A1)
【文献】特開2014-166877(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 47/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スクイズ操作によって弾性変形可能な胴部と、前記胴部の上端に連なる筒状の口部と、を備え、液状の内容物を収容する容器本体と、
注出口を備え、前記口部に取り付けられる注出栓と、
前記注出栓の内面に取り付けられる中栓と、を有し、
前記中栓が、第1径方向流路を前記注出栓の内面との間に形成する第1環状上面と、前記第1環状上面の内周縁から上方に延び、第1軸方向流路を前記注出栓の内面との間に形成するための第1軸方向溝を備える第1外周面と、前記第1外周面の上端縁から径方向内側に延び、第2径方向流路を前記注出栓の内面との間に形成する第2環状上面と、前記第2環状上面の内周縁から上方に延び、第2軸方向流路を前記注出栓の内面との間に形成するための第2軸方向溝を備える第2外周面と、を有することを特徴とするスクイズ注出容器。
【請求項2】
前記第2軸方向溝は前記第1軸方向溝よりも溝幅が小さい、請求項1に記載のスクイズ注出容器。
【請求項3】
前記第1軸方向溝及び前記第2軸方向溝がそれぞれ軸方向に沿って延びる、請求項1又は2に記載のスクイズ注出容器。
【請求項4】
前記第1軸方向溝及び前記第2軸方向溝がそれぞれ螺旋状に延びる、請求項1又は2に記載のスクイズ注出容器。
【請求項5】
前記注出栓に着脱可能なキャップと、
前記注出口を封止する封止部を備え、前記キャップに取り付けられる移行栓本体と、
前記移行栓本体に破断予定部を介して連なり、前記注出栓に取り付けられる封緘筒と、を有し、
前記注出栓が、前記口部に弾性変形によって上方から乗り越え係止される係止部と、前記口部への前記係止部の係止を解くために破断させられる周方向弱化部と、を備える装着筒を有する、請求項1~4の何れか1項に記載のスクイズ注出容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スクイズ注出容器に関する。
【背景技術】
【0002】
醤油などの食品などの液状の内容物を容器本体の胴部をスクイズ(押圧)操作することで注出可能なスクイズ注出容器が知られている。例えば、特許文献1には、容器本体と、注出口を備え、容器本体の口部に取り付けられる注出栓と、注出栓の内面に取り付けられるスリット弁と、を有するスクイズ注出容器が記載されている。このようにスリット弁を設けることにより、内容物の流量を制限することができ、それにより、内容物を注出するために傾倒姿勢にした時の液垂れや、スクイズ操作時の内容物の過度の飛び出しを抑制することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記のような従来のスクイズ注出容器は、スリット弁が通常、シリコン樹脂製であるため、容器本体がポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂製である場合に、スリット弁を分別せずにPET樹脂のリサイクル廃棄物として廃棄してしまった場合に、リサイクル工程内でPET樹脂と同等の比重を有するシリコン樹脂がPET樹脂から分離されず、リサイクル材に混入してしまうという問題点があった。
【0005】
本発明は、このような問題点を解決することを課題とするものであり、その目的は、内容物を注出するために傾倒姿勢にした時の液垂れと、スクイズ操作時の内容物の過度の飛び出しを抑制することができ、良好なリサイクル性を有するスクイズ注出容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のスクイズ注出容器は、スクイズ操作によって弾性変形可能な胴部と、前記胴部の上端に連なる筒状の口部と、を備え、液状の内容物を収容する容器本体と、注出口を備え、前記口部に取り付けられる注出栓と、前記注出栓の内面に取り付けられる中栓と、を有し、前記中栓が、第1径方向流路を前記注出栓の内面との間に形成する第1環状上面と、前記第1環状上面の内周縁から上方に延び、第1軸方向流路を前記注出栓の内面との間に形成するための第1軸方向溝を備える第1外周面と、前記第1外周面の上端縁から径方向内側に延び、第2径方向流路を前記注出栓の内面との間に形成する第2環状上面と、前記第2環状上面の内周縁から上方に延び、第2軸方向流路を前記注出栓の内面との間に形成するための第2軸方向溝を備える第2外周面と、を有することを特徴とする。
【0007】
本発明のスクイズ注出容器は、上記構成において、前記第2軸方向溝は前記第1軸方向溝よりも溝幅が小さいのが好ましい。
【0008】
本発明のスクイズ注出容器は、上記構成において、前記第1軸方向溝及び前記第2軸方向溝がそれぞれ軸方向に沿って延びるのが好ましい。
【0009】
本発明のスクイズ注出容器は、上記構成において、前記第1軸方向溝及び前記第2軸方向溝がそれぞれ螺旋状に延びるのが好ましい。
【0010】
本発明のスクイズ注出容器は、上記構成において、前記注出栓に着脱可能なキャップと、前記注出口を封止する封止部を備え、前記キャップに取り付けられる移行栓本体と、前記移行栓本体に破断予定部を介して連なり、前記注出栓に取り付けられる封緘筒と、を有し、前記注出栓が、前記口部に弾性変形によって上方から乗り越え係止される係止部と、前記口部への前記係止部の係止を解くために破断させられる周方向弱化部と、を備える装着筒を有するのが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、内容物を注出するために傾倒姿勢にした時の液垂れと、スクイズ操作時の内容物の過度の飛び出しを抑制することができ、良好なリサイクル性を有するスクイズ注出容器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の第1実施形態であるスクイズ注出容器を示す一部断面側面図である。
【
図4】
図1に示す中栓を90°異なる位置から視た側面図である。
【
図5】本発明の第2実施形態であるスクイズ注出容器を示す一部断面側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態であるスクイズ注出容器1を例示説明する。
【0014】
なお、本明細書において、上下方向とは口部2aの中心軸線Oに沿う方向を意味し、上方とは胴部から口部2aに向かう方向を意味し、下方とはその反対方向を意味し、軸方向とは中心軸線Oに沿う方向、つまり上下方向を意味し、径方向とは中心軸線Oに垂直な直線に沿う方向を意味し、周方向とは中心軸線Oを周回する方向を意味している。
【0015】
図1に示す本発明の第1実施形態であるスクイズ注出容器1は、容器本体2、注出栓3、中栓4、移行栓5及びキャップ6を有している。移行栓5は、移行栓本体7と封緘筒8とで構成されている。
【0016】
容器本体2は、ブロー成形によって形成されるPET樹脂製ボトルで構成されている。注出栓3、中栓4、移行栓5及びキャップ6は、それぞれ、ポリプロピレン樹脂製又はポリエチレン樹脂製の射出成形による一体成形物である。なお、容器本体2は、PET樹脂製に限らず、例えば、ポリプロピレン(PP)樹脂製又はポリエチレン(PE)樹脂製であってもよい。
【0017】
容器本体2は、スクイズ操作によって弾性変形可能な図示しない有底筒状の胴部と、胴部の上端に連なり中心軸線Oを中心とする円筒状をなす口部2aと、を有しており、液状の内容物を収容する収容空間を内部に形成している。
【0018】
内容物は、液状であれば特に限定されないが、例えば、醤油やつゆなどの食品である。また、本実施形態のスクイズ注出容器1は、粘性が低い内容物を用いる場合に特に適している。
【0019】
注出栓3は、口部に取り付けられる装着筒3aと、装着筒3aの内周縁から上方に延び、中心軸線Oと同軸状に配置される円筒状の下部周壁3bと、下部周壁3bの上端から径方向内側に延びる円環状の下部環状壁3cと、下部環状壁3cの内周縁から上方に延び、中心軸線Oと同軸状に配置される円筒状の上部周壁3dと、上部周壁3dの上端から径方向内側に延びる円環状の上部環状壁3eと、上部環状壁3eの内周縁から上方に延び、中心軸線Oと同軸状に配置される上部が縮径した筒状の注出筒3fと、を有している。
【0020】
装着筒3aは、口部2aの外周面に接する外筒3gと、口部2aの内周面に接する内筒3hと、口部2aの上端面に接する天壁3iと、を有している。また、装着筒3aは、口部2aにアンダーカット形状部を介して弾性変形によって上方から乗り越え係止される係止部3jと、口部2aへの係止部3jの係止を解くために破断させられる周方向弱化部3kと、を有している。係止部3j及び周方向弱化部3kは、外筒3gに設けられている。装着筒3aは、係止部3jによって口部2aに取り付けられている。
【0021】
下部周壁3bの内周面には、下部環状壁3cの下面からそれぞれ垂下するとともに周方向に並ぶ複数の縦リブ3lが設けられている。下部周壁3bの外周面には、雄ねじ部3mが設けられている。
【0022】
注出筒3fの上端には、内容物を注出する注出口3nが形成されている。
【0023】
移行栓本体7は、注出口3nに上方から挿入されて注出口3nを封止する凸状の封止部7aと、封止部7aの上端に連なる頂壁7bと、頂壁7bの外周縁から垂下し、中心軸線Oと同軸状に配置される円筒状の周壁7cと、を有している。
【0024】
封緘筒8は、中心軸線Oと同軸状に配置される円筒状をなしており、封緘筒8の上端が、移行栓本体7の周壁7cの下端における外周縁に破断予定部9を介して連なっている。また、封緘筒8は、注出栓3の上部周壁3dの外周面に、弾性変形によって上方から乗り越え係止されることで取り付けられている。
【0025】
キャップ6は、移行栓本体7の頂壁7bを覆う頂部壁6aと、頂部壁6aから垂下し、移行栓本体7の周壁7cの外周面に、アンダーカット形状部を介して弾性変形によって上方から乗り越え係止される係止筒6bと、頂部壁6aから垂下し、内周面に雌ねじ部6cを備える螺筒6dと、頂部壁6aの外周縁から垂下し、螺筒6dを覆う外周筒6eと、を有している。移行栓本体7の周壁7cは、係止筒6bによってキャップ6に取り付けられている。
【0026】
図1~
図4に示すように、中栓4は、第1環状上面4aと、第1環状上面4aの内周縁から上方に延びる第1外周面4bと、第1外周面4bの上端縁から径方向内側に延びる第2環状上面4cと、第2環状上面4cの内周縁から上方に延びる第2外周面4dと、を有している。第1環状上面4a、第1外周面4b、第2環状上面4c及び第2外周面4dは、それぞれ、中心軸線Oと同軸状に配置されている。
【0027】
また、中栓4は、中心軸線Oと同軸状に配置される有頂筒状の中栓基部4eと、中栓基部4eの上下方向中間部から径方向外側に延びる円環状の上部フランジ4fと、上部フランジ4fの外周縁から垂下し、中心軸線Oと同軸状に配置される円筒状の外周壁4gと、外周壁4gの下端から径方向外側に延びる円環状の下部フランジ4hと、を有している。
【0028】
中栓4は、下部フランジ4hの外周面が、複数の縦リブ3lの内周面にアンダーカット形状部を介して弾性変形によって下方から乗り越え係止されるとともに、下部フランジ4hの上面が下部環状壁3cの下面に当接することにより、注出栓3に取り付けられている。
【0029】
下部フランジ4hの上面によって第1環状上面4aが構成され、外周壁4gの外周面によって第1外周面4bが構成され、上部フランジ4fの上面によって第2環状上面4cが構成され、中栓基部4eの外周面における上部フランジ4fよりも上方の部分によって第2外周面4dが構成されている。
【0030】
中栓4は、内容物を流す流路を注出栓3の内面との間に形成する2つの流路形成溝10を有している。各々の流路形成溝10は、第1環状上面4aに形成された第1径方向溝10aと、第1外周面4bに形成された第1軸方向溝10bと、第2環状上面4cに形成された第2径方向溝10cと、第2外周面4dに形成された第2軸方向溝10dと、で構成されている。第1径方向溝10aは、注出栓3の内面との間に第1径方向流路11aを形成し、第1軸方向溝10bは、注出栓3の内面との間に第1軸方向流路11bを形成し、第2径方向溝10cは、注出栓3の内面との間に第2径方向流路11cを形成し、第2軸方向溝10dは、注出栓3の内面との間に第2軸方向流路11dを形成している。
【0031】
なお、流路形成溝10の数は内容物の粘度等に応じて適宜増減可能であるが、2~4つ程度とするのが好ましい。複数の流路形成溝10は、本実施形態のように、例えば周方向に等間隔に並べて設けることができる。
【0032】
第2軸方向溝10dの溝幅W2は、第1軸方向溝10bの溝幅W1よりも小さく設定されている。また、第1径方向溝10aは第1軸方向溝10bと同等の溝幅に設定され、第2径方向溝10cは第2軸方向溝10dと同等の溝幅に設定されている。内容物の粘度により、第1軸方向溝10bの溝幅W1は例えば1~2mmの範囲、第2軸方向溝10dの溝幅W2は例えば0.5~0.8mmの範囲で適宜設定可能である。第1径方向溝10a、第1軸方向溝10b、第2径方向溝10c及び第2軸方向溝10dの深さDは、例えば0.5mmに設定可能である。
【0033】
第1径方向溝10aは径方向に沿って延び、第1軸方向溝10bは軸方向に沿って延び、第2径方向溝10cは径方向に沿って延び、第2軸方向溝10dは軸方向に沿って延びている。
【0034】
スクイズ注出容器1の使用を開始するためには、まず、キャップ6を螺脱方向に捩じり、移行栓5の破断予定部9を破断させる。その際生じる音及び振動により、使用者はスクイズ注出容器1が不正開封されていないことを認知することができる。更にキャップ6を捩じって注出栓3から取り外すことで、注出口3nから封止部7aが抜けて注出口3nが開放される。
【0035】
この状態から容器本体2を傾倒させ、胴部をスクイズ操作することで胴部を弾性変形させ、それにより、収容空間内の内容物を注出口3nから注出することができる。その際、注出栓3の内側の流路が中栓4によって絞られているため、容器本体2を傾倒させただけで注出口3nから内容物が飛び出てしまう液だれの発生を抑制し、スクイズ操作時に注出口3nから内容物が過度の勢いで飛び出てしまうことを抑制することができる。
【0036】
また、注出栓3の内面と中栓4との間に形成される流路を形成する第1軸方向溝10b及び第2軸方向溝10dは、第2軸方向溝10dの溝幅W2が第1軸方向溝10bの溝幅W1よりも小さくなるように設けられているので、スクイズ操作に応じて速やかに、適度な勢いで内容物を注出することができる。
【0037】
スクイズ注出容器1を廃棄する際には、注出栓3の装着筒3aの周方向弱化部3kを破断させることで口部2aに対する係止部3jの係止を外し、注出栓3を中栓4ごと容器本体2から取り外すことができる。したがって、容器本体2を分別された状態でリサイクル廃棄物として廃棄することができる。なお、図示は省略するが、装着筒3aは周方向弱化部3kに連続する縦弱化部も有しており、これにより、分別廃棄する際に、縦弱化部を破断することで周方向弱化部3kを容易に破断させることができる。
【0038】
また、スクイズ注出容器1を廃棄する際に、使用者の不注意などにより、注出栓3を取り外さない非分別状態で容器本体2をリサイクル廃棄物として廃棄してしまった場合でも、中栓4及び注出栓3は、容器本体2を形成するPET樹脂材料よりも比重が小さいPP樹脂又はPE樹脂材料で形成されているので、リサイクル工程内で比重の違いを利用して容易に分離することができる。したがって、PET樹脂のリサイクル材にPP樹脂又はPE樹脂が混入してしまうことを抑制することができる。
【0039】
本実施形態のスクイズ注出容器1は、中栓4が第1径方向溝10a、第1軸方向溝10b、第2径方向溝10c及び第2軸方向溝10dを備える構成を有しているので、内容物を注出するために傾倒姿勢にした時の液垂れと、スクイズ操作時の内容物の過度の飛び出しを抑制することができ、良好なリサイクル性を実現することができる。つまり、本実施形態の中栓4は、前記特許文献1に記載されたスリット弁と同等の流量制限機能を有し、しかも良好なリサイクル性を実現することができる。
【0040】
また、本実施形態では、第2軸方向溝10dの溝幅W2が第1軸方向溝10bの溝幅W1よりも小さいので、スクイズ操作時に、その操作に応じて速やかに、適度な勢いで内容物を注出することができる。
【0041】
また、本実施形態では、第1軸方向溝10b及び第2軸方向溝10dがそれぞれ軸方向に沿って延びているので、中栓4を簡単に形成することができる。
【0042】
また、本実施形態では、移行栓5が設けられ、注出栓3の装着筒3aが係止部3jを有しているので、不正開封防止機能を実現することができる。また、装着筒3aが更に周方向弱化部3kを有しているので、良好なリサイクル性も確保することができる。
【0043】
前記の第1実施形態では第1軸方向溝10b及び第2軸方向溝10dがそれぞれ軸方向に沿って延びているが、
図5~
図7に示す第2実施形態のように、第1軸方向溝10b及び第2軸方向溝10dがそれぞれ螺旋状に延びる構成としてもよい。なお、
図5~
図7において、第1実施形態の要素に対応する要素に同一の符号を付している。
【0044】
図5~
図7に示すように、第2実施形態では、第1外周面4bが、中心軸線Oと同軸状に配置される第1ピッチP1の第1雄ねじ12aを有し、第2外周面4dが、中心軸線Oと同軸状に配置される第1ピッチP1よりも小さい第2ピッチP2の第2雄ねじ12bを有している。第1雄ねじ12aと第2雄ねじ12bはねじ回り方向が同じである。なお、ねじ回り方向は右ねじに設定されているが、左ねじに設定してもよい。また、第1雄ねじ12aと第2雄ねじ12bはいずれも、ねじ山が螺旋方向に連続する連続ねじとして構成されている。
【0045】
第1雄ねじ12aのねじ溝により、螺旋状に延びる第1軸方向溝10bが構成され、第2雄ねじ12bのねじ溝により、螺旋状に延びる第2軸方向溝10dが構成されている。第2ピッチP2が第1ピッチP1よりも小さいので、第2軸方向溝10dの溝幅W2は第1軸方向溝10bの溝幅W1よりも小さくなっている。
【0046】
第1雄ねじ12a及び第2雄ねじ12bは、ねじ山が中心軸線Oを含む縦断面において三角形状をなしている。なお、ねじ山の形状は三角形状に限らず、台形状など、適宜設定可能である。
【0047】
第1径方向溝10aは周方向に等間隔に並べて2つ設けられている。また、各々の第1径方向溝10aは径方向に沿って延びている。なお、第1径方向溝10aの数、大きさ、形状及び配置は、内容物の粘度等に応じて適宜設定可能である。
【0048】
本実施形態では第2環状上面4cは、第2径方向溝10cを有さずに、注出栓3の内面との間に第2径方向流路11cを形成している。
【0049】
したがって、第1径方向溝10aは、注出栓3の内面との間に第1径方向流路11aを形成し、第1軸方向溝10bは、注出栓3の内面との間に第1軸方向流路11bを形成し、第2環状上面4cは、注出栓3の内面との間に第2径方向流路11cを形成し、第2軸方向溝10dは、注出栓3の内面との間に第2軸方向流路11dを形成している。
【0050】
その他の構成は第1実施形態の場合と同様となっている。
【0051】
本実施形態のスクイズ注出容器1は、第1実施形態の場合と同様に使用及びリサイクルすることができる。
【0052】
第2実施形態のスクイズ注出容器1は、中栓4が第1径方向溝10a、第1軸方向溝10b、第2径方向溝10c及び第2軸方向溝10dを備える構成を有しているので、内容物を注出するために傾倒姿勢にした時の液垂れと、スクイズ操作時の内容物の過度の飛び出しを抑制することができ、良好なリサイクル性を実現することができる。
【0053】
また、本実施形態では、第2軸方向溝10dの溝幅W2が第1軸方向溝10bの溝幅W1よりも小さいので、スクイズ操作時に、その操作に応じて速やかに、適度な勢いで内容物を注出することができる。
【0054】
また、本実施形態では、第1軸方向溝10b及び第2軸方向溝10dがそれぞれ螺旋状に延びているので、注出栓3の内面と中栓4との間の流路を長く設定しやすいため、内容物の粘度が低い場合に特に有効である。
【0055】
また、本実施形態では、移行栓5が設けられ、注出栓3の装着筒3aが係止部3jを有しているので、不正開封防止機能を実現することができる。また、装着筒3aが更に周方向弱化部3kを有しているので、良好なリサイクル性も確保することができる。
【0056】
なお、本実施形態では第1雄ねじ12aと第2雄ねじ12bはいずれも連続ねじとして構成されているが、これに限らず、第1雄ねじ12aと第2雄ねじ12bの両方又は片方のみを、ねじ山が螺旋方向に間欠的に設けられた間欠ねじとして構成してもよい。
【0057】
本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【0058】
したがって、前記の実施形態のスクイズ注出容器1は、例えば以下に述べるような種々の変更が可能である。
【0059】
スクイズ注出容器1は、スクイズ操作によって弾性変形可能な胴部と、胴部の上端に連なる筒状の口部2aと、を備え、液状の内容物を収容する容器本体2と、注出口3nを備え、口部2aに取り付けられる注出栓3と、注出栓3の内面に取り付けられる中栓4と、を有し、中栓4が、第1径方向流路11aを注出栓3の内面との間に形成する第1環状上面4aと、第1環状上面4aの内周縁から上方に延び、第1軸方向流路11bを注出栓3の内面との間に形成するための第1軸方向溝10bを備える第1外周面4bと、第1外周面4bの上端縁から径方向内側に延び、第2径方向流路11cを注出栓3の内面との間に形成する第2環状上面4cと、第2環状上面4cの内周縁から上方に延び、第2軸方向流路11dを注出栓3の内面との間に形成するための第2軸方向溝10dを備える第2外周面4dと、を有する限り、種々変更可能である。
【0060】
しかし、スクイズ注出容器1は、第2軸方向溝10dは第1軸方向溝10bよりも溝幅が小さいのが好ましい。
【0061】
また、スクイズ注出容器1は、第1軸方向溝10b及び第2軸方向溝10dがそれぞれ軸方向に沿って延びるのが好ましい。
【0062】
また、スクイズ注出容器1は、第1軸方向溝10b及び第2軸方向溝10dがそれぞれ螺旋状に延びるのが好ましい。
【0063】
また、スクイズ注出容器1は、注出栓3に着脱可能なキャップ6と、注出口3nを封止する封止部7aを備え、キャップ6に取り付けられる移行栓本体7と、移行栓本体7に破断予定部9を介して連なり、注出栓3に取り付けられる封緘筒8と、を有し、注出栓3が、口部2aに弾性変形によって上方から乗り越え係止される係止部3jと、口部2aへの係止部3jの係止を解くために破断させられる周方向弱化部3kと、を備える装着筒3aを有するのが好ましい。
【符号の説明】
【0064】
1 スクイズ注出容器
2 容器本体
2a 口部
3 注出栓
3a 装着筒
3b 下部周壁
3c 下部環状壁
3d 上部周壁
3e 上部環状壁
3f 注出筒
3g 外筒
3h 内筒
3i 天壁
3j 係止部
3k 周方向弱化部
3l 縦リブ
3m 雄ねじ部
3n 注出口
4 中栓
4a 第1環状上面
4b 第1外周面
4c 第2環状上面
4d 第2外周面
4e 中栓基部
4f 上部フランジ
4g 外周壁
4h 下部フランジ
5 移行栓
6 キャップ
6a 頂部壁
6b 係止筒
6c 雌ねじ部
6d 螺筒
6e 外周筒
7 移行栓本体
7a 封止部
7b 頂壁
7c 周壁
8 封緘筒
9 破断予定部
10 流路形成溝
10a 第1径方向溝
10b 第1軸方向溝
10c 第2径方向溝
10d 第2軸方向溝
11a 第1径方向流路
11b 第1軸方向流路
11c 第2径方向流路
11d 第2軸方向流路
12a 第1雄ねじ
12b 第2雄ねじ
O 中心軸線
P1 第1ピッチ
P2 第2ピッチ
W1 第1軸方向溝の溝幅
W2 第2軸方向溝の溝幅