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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-22
(45)【発行日】2024-01-05
(54)【発明の名称】連続鋳造設備のロール装置
(51)【国際特許分類】
   B22D 11/128 20060101AFI20231225BHJP
   B22D 11/06 20060101ALI20231225BHJP
【FI】
B22D11/128 340D
B22D11/06 370
B22D11/128 340K
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020183859
(22)【出願日】2020-11-02
(65)【公開番号】P2022073706
(43)【公開日】2022-05-17
【審査請求日】2022-11-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000001199
【氏名又は名称】株式会社神戸製鋼所
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】弁理士法人ATEN
(72)【発明者】
【氏名】山本 恵寛
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 博史
(72)【発明者】
【氏名】川口 浩志
【審査官】祢屋 健太郎
(56)【参考文献】
【文献】実開昭60-157049(JP,U)
【文献】特開2013-103254(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22D 11/128
B22D 11/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷却液が流通可能なロール冷却液通路が内部に形成されたロールと、
前記ロールの端部に配置され、前記ロールを回転自在に支持する支持部材と、
前記ロールの端部に配置され、前記ロールの軸方向に貫通した貫通孔が形成され、冷却液が流通可能な蓋部材冷却液通路が前記貫通孔に直交するように内部に形成された蓋部材と、
前記貫通孔に挿入され、前記ロール冷却液通路に連通するシールパイプと、
を備え、
前記シールパイプは、
筒体と、
前記筒体の端部に配置されたプレートと、
を有し、
前記筒体は、前記貫通孔に挿入され、前記蓋部材冷却液通路に連通する孔が側面に形成され、
前記プレートが前記筒体と一体的に前記蓋部材に着脱可能に締結されることを特徴とする連続鋳造設備のロール装置。
【請求項2】
前記孔は、前記筒体において前記貫通孔に挿入される部分に形成され、
前記筒体が前記貫通孔に挿入されたとき、前記孔が前記蓋部材冷却液通路に位置することを特徴とする請求項1に記載の連続鋳造設備のロール装置。
【請求項3】
前記蓋部材と前記シールパイプとの間に、前記筒体の軸方向について、前記蓋部材冷却液通路の両側に配置されたシール部材を備えていることを特徴とする請求項1または2に記載の連続鋳造設備のロール装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、連続鋳造設備に設けられるロール装置に関する。
【背景技術】
【0002】
連続鋳造設備には、鋳造された鋳片を案内する案内ロール装置等の各種ロール装置が設けられている。ロール装置は、ロールと、ロールを回転自在に支持する支持部材と、ロールの端部に配置される蓋部材とを備える。
【0003】
ロールの内部には、冷却液通路が形成されている。冷却液通路に冷却液を流通させることにより、ロールの温度が高くなり過ぎないようにしている。冷却液は、例えば、蓋部材の内部に形成された冷却液通路を通って、ロールの冷却液通路に流通する。
【0004】
特許文献1に記載されたロール装置は、蓋部材の冷却液通路とロールの冷却液通路とを連通させる円筒状の連結体を備えている。連結体の基端側(一端側)は、蓋部材のロールに対向する内面に固定されている。連結体の固定は、溶接等により行われている。連結体の先端側(他端側)は、ロールの冷却液通路に挿入されている。
【0005】
連結体の先端側(他端側)には、ロールと連結体との間に、シール部材が配置されている。シール部材により、ロールと連結体との間から冷却液が漏れることを抑制している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2009-113056号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述したロール装置において、ロールを回転させると、ロールと連結体との間に配置されたシール部材が摺動する。これにより、連結体のシール部材と接する部分が摩耗する。連結体の摩耗が進行した場合、連結体とシール部材との間から、冷却液が漏れるおそれがある。また、連結体の先端側(他端側)、特に、連結体においてロールの冷却液通路に挿入された部分は、内周面だけでなく外周面も冷却液に接するため、腐食しやすい。連結体の腐食が進行した場合、連結体とロールとの間、又は、連結体とシール部材との間から冷却液が漏れるおそれがある。
【0008】
そこで、連結体を一定の期間使用した場合、連結体を交換している。特許文献1のロール装置では、連結体が蓋部材の内面に固定されているため、連結体を交換するとき、連結体が固定された蓋部材も交換する。このとき連結体だけを交換することができれば、交換する部品の数を低減させることができる。
【0009】
本発明は、ロールの冷却液通路と連通する部材を交換するとき、従来のロール装置より交換する部品の数を低減することができるロール装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の連続鋳造設備のロール装置は、冷却液が流通可能なロール冷却液通路が内部に形成されたロールと、前記ロールの端部に配置され、前記ロールを回転自在に支持する支持部材と、前記ロールの端部に配置され、前記ロールの軸方向に貫通した貫通孔が形成され、冷却液が流通可能な蓋部材冷却液通路が前記貫通孔に直交するように内部に形成された蓋部材と、前記貫通孔に挿入され、前記ロール冷却液通路に連通するシールパイプと、を備える。前記シールパイプは、筒体と、前記筒体の端部に配置されたプレートと、を有する。前記筒体は、前記貫通孔に挿入され、前記蓋部材冷却液通路に連通する孔が側面に形成され、前記プレートが前記筒体と一体的に前記蓋部材に着脱可能に締結される。
上記構成において、前記孔は、前記筒体において前記貫通孔に挿入される部分に形成され、前記筒体が前記貫通孔に挿入されたとき、前記孔が前記蓋部材冷却液通路に位置していてもよい。
また、上記構成において、前記蓋部材と前記シールパイプとの間に、前記筒体の軸方向について、前記蓋部材冷却液通路の両側に配置されたシール部材を備えていてもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によると、ロールの冷却液通路と連通するシールパイプを交換するとき、従来の装置より交換する部品の数を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の第1実施形態に係る連続鋳造設備のロール装置の断面図である。
図2図1に示すロール装置からシールパイプを取りだした状態を示すロール装置の一部断面図である。
図3図1のIII-III線に沿ったロール装置の断面図である。
図4図2のIV-IV線に沿ったロール装置の断面図である。
図5図1に示すロール装置をVの方向から視たロール装置の側面図である
【発明を実施するための形態】
【0013】
〔第1実施形態〕
連続鋳造設備のロール装置1は、図1に示すように、ロール2と、支持部材3と、蓋部材4と、シールパイプ5とを備える。図1および図2には、ロール2の軸方向に沿ったロール装置1の断面図を示している。図1および図2では、ロール2の軸方向を前後方向とし、図中の右方向を前方向、図中の左方向を後方向と示している。図1には、シールパイプ5がロール2の内部に挿入され、且つ、シールパイプ5が蓋部材4に着脱可能に締結された状態を示している。図2には、シールパイプ5が、ロール2の内部に挿入されていない状態を示している。
【0014】
ロール2は、図1に示すように、ロール本体部11と、ロール軸端部12とを有する。ロール軸端部12は、ロール本体部11の端部からロール2の軸方向に延びている。ロール軸端部12の直径は、ロール本体部11の直径より小さい。ロール2の内部には、ロール冷却液通路2Aが形成されている。ロール冷却液通路2Aは、ロール本体部11およびロール軸端部12を、ロール2の軸方向に貫通している。
【0015】
ロール軸端部12の前端部には、図2に示すように、エンドプレート20が取り付けられている。エンドプレート20は、ロール軸端部12の前端面を覆うエンドプレート前端部21と、ロール軸端部12の外周側面を覆うエンドプレート側部22とを有する。エンドプレート前端部21には、エンドプレート連通孔20Aが形成されている。エンドプレート連通孔20Aは、ロール冷却液通路2Aに対向する位置に形成されている。エンドプレート連通孔20Aとロール冷却液通路2Aとは連通している。
【0016】
エンドプレート前端部21の後方に、第1シール部材101が配置されている。第1シール部材101は、リング状の部材である。第1シール部材101は、ロール軸端部12の内周面に周方向に沿って配置されている。エンドプレート連通孔20Aとロール冷却液通路2Aにシールパイプ5が挿入されたとき(図1参照)、第1シール部材101により、ロール軸端部12とシールパイプ5との間が封止される。第1シール部材101は、例えば弾性を有する部材である。
【0017】
支持部材3は、図1に示すように、支持体31と、軸受部32とを有する。支持体31は、ロール2をフレーム33に対して支持している。軸受部32は、ロール軸端部12を回転自在に支持している。支持体31には、支持体冷却液通路(支持部材冷却液通路)31Aが形成されている。
【0018】
蓋部材4は、図2に示すように、第1蓋体41と、第2蓋体42とを有する。第1蓋体41には、中央付近に、孔41Aが形成されている。孔41Aは、ロール2の軸方向に貫通している。孔41Aに、ロール軸端部12およびエンドプレート20が配置されている。エンドプレート20およびロール軸端部12の前方に、第2蓋体42が配置されている。
【0019】
第2蓋体42に、貫通孔42Aが形成されている。貫通孔42Aは、ロール2の軸方向に貫通している。貫通孔42Aと第1蓋体41の孔41Aが連通している。貫通孔42Aと孔41Aにより、蓋部材4にはロール2の軸方向に貫通した貫通孔が形成されている。
【0020】
第1蓋体41の孔41Aは、図2に示すように、第2蓋体42と軸端カバー43によって塞がれている。軸端カバー43は、第1蓋体41にボルトによって着脱可能に取り付けられている(図1参照)。第2蓋体42は、第1蓋体41と隣接する部分において、第1蓋体41に溶接等により固定されている(図3および図4参照)。
【0021】
図3に、図1のIII-III線に沿ったロール装置1の一部断面図を示している。図4に、図2のIV-IV線に沿った蓋部材4の周辺の断面図を示している。図3には、シールパイプ5がロール2の内部に挿入され、且つ、シールパイプ5が蓋部材4に着脱可能に締結された状態を示している。図4には、シールパイプ5が、ロール2の内部に挿入されていない状態を示している。
【0022】
図3および図4に示すように、第2蓋体42には、貫通孔42Aに連通した蓋部材冷却液通路42Bが形成されている(図4参照)。本実施形態では、蓋部材冷却液通路42Bが貫通孔42Aに直交する方向に延在している。蓋部材冷却液通路42Bは、支持体31に形成された支持体冷却液通路31Aに連通している。
【0023】
シールパイプ5は、図4に示すように、筒体51と、プレート52とを有する。プレート52は、筒体51の端部に配置されている。筒体51は、プレート52に固定されている。筒体51のプレート52への固定は、溶接等によって行われている。筒体51の側部に、第1孔(孔)51aおよび第2孔(孔)51bが形成されている。第1孔51aおよび第2孔51bは、筒体51の軸方向に直交する方向に形成された孔である。プレート52は、筒体51の外径より大きい。プレート52は、第2蓋体42の貫通孔42Aより大きい。シールパイプ5には、例えば金属材料が用いられる。金属材料として、例えばSUSが挙げられる。
【0024】
蓋部材4が支持体31に取り付けられた状態で、シールパイプ5の筒体51が、ロール冷却液通路2A、エンドプレート連通孔20A、第1蓋体41の孔41Aおよび第2蓋体42の貫通孔42Aに挿入される。筒体51は、第1孔51aおよび第2孔51bが、第2蓋体42の蓋部材冷却液通路42Bに連通するように配置される(図3参照)。第1孔51aは、第2孔51bより、支持体冷却液通路31Aに近い位置に配置される。
【0025】
シールパイプ5のプレート52は、第2蓋体42の前端面42xに対向して配置される。第2蓋体42の前端面42xとは、ロールの軸方向(図3中の前後方向)について、第2蓋体42のエンドプレート20と対向する内面42yとは反対側の面である。プレート52は、複数のボルト53により、第2蓋体42に着脱可能に締結される。
【0026】
複数のボルト53をプレート52および第2蓋体42から外すことにより、プレート52の第2蓋体42への締結が解除される。これにより、蓋部材4が支持体31に取り付けられた状態で、シールパイプ5をロール2および第2蓋体42から取り出すことができる(図2および図4参照)。
【0027】
本発明において、「AがBに着脱可能に締結される」とは、AがBに締結された状態から、AのBへの締結を解除することができることを意味する。言い換えると、「AがBに着脱可能に締結される」とは、AがBに締結された状態から、AがBに締結されていない状態にすることができることを意味する。AがBに締結された状態から、AのBへの締結を解除できないことは、「AがBに着脱可能に締結される」ことに含まれない。また、本発明において、「AがBに着脱可能に取り付けられている」とは、AがBに取り付けられた状態から、AをBから取り外すことができることを意味する。AがBに取り付けられた状態から、AをBから取り外すことができない場合は、「AがBに着脱可能に取り付けられている」ことに含まれない。
【0028】
図2に示すように、蓋部材4の第2蓋体42の内壁には、周方向に沿って凹み42p、42qが形成されている。凹み42pおよび凹み42qにそれぞれ第2シール部材(シール部材)111および第3シール部材(シール部材)112が配置されている。第2シール部材111と第3シール部材112は、リング状である。第2シール部材111と第3シール部材112は、貫通孔42Aの周方向に沿って配置されている。第2シール部材111と第3シール部材112は、蓋部材冷却液通路42Bの両側に配置されている(図4参照)。
【0029】
図3に示すように、筒体51が第2蓋体42の貫通孔42Aに挿入されたとき、第2シール部材111と第3シール部材112は、筒体51と第2蓋体42との間に配置される。第2シール部材111および第3シール部材112により、第1孔51aおよび第2孔51bの周辺で、第2蓋体42と筒体51とが封止される。
【0030】
図2に示すように、第1蓋体41の孔41Aの直径r1は、シールパイプ5の筒体51の外径R1より大きい。第2蓋体42の貫通孔42Aの直径r2は、シールパイプ5の筒体51の外径R1と同じ、又は、筒体51の外径R1より大きい。
【0031】
図2に示すように、シールパイプ5の筒体51がロール冷却液通路2Aに挿入されていないとき、リング状の第1シール部材101の内径s1は、シールパイプ5の筒体51の外径R1と同じ又は筒体51の外径R1より小さい。第1シール部材101の内径s1は、ロール軸端部12の内径より小さい。ロール軸端部12の内径は、筒体51の外径R1より大きい。
【0032】
シールパイプ5の筒体51が、ロール冷却液通路2A、第1蓋体41の孔41Aおよび第2蓋体42の貫通孔42Aに挿入されているとき、図1に示すように、ロール冷却液通路2Aと筒体51とが連通する。筒体51は、図3に示すように、筒体51の第1孔51aおよび第2孔51bを介して、蓋部材冷却液通路42Bと連通している。ロール冷却液通路2Aと蓋部材冷却液通路42Bとは、筒体51を介して連通している。蓋部材冷却液通路42Bは、支持体31に形成された支持体冷却液通路31Aに連通している。
上記により、ロール冷却液通路2Aと蓋部材冷却液通路42Bと支持体31の支持体冷却液通路31Aとが連通している。
【0033】
図5に、図1のロール装置をV方向から視た図を示している。図5には、冷却液の流れの一例を示している。例えば、冷却液は、支持体31に形成された支持体冷却液通路31Aを流れた後、第2蓋体42の蓋部材冷却液通路42Bに流れ、その後、筒体51(図3参照)に流れた後、ロール冷却液通路2Aへ流れる。
冷却液は、上記流れとは逆の方向に流れてもよい。
【0034】
上記では、図1に示すロール2の前端部周辺の構成について説明したが、ロール2の後端部周辺の構成も、ロール2の前端部周辺の構成と同様である。
【0035】
以上のように、本実施形態によると以下の効果を奏する。
図2および図4に示すように、シールパイプ5が、筒体51と、筒体51の端部に配置されたプレート52とを有する。
蓋部材4が支持体31に取り付けられた状態で、筒体51が、第2蓋体42の前端面42x側から、ロール冷却液通路2A、第1蓋体41の孔41Aおよび第2蓋体42の貫通孔42Aに挿入される。プレート52は、第2蓋体42の前端面42xに対向して配置される。プレート52は、複数のボルト53により、第2蓋体42に着脱可能に締結される(図1および図3参照)。
複数のボルト53をプレート52および第2蓋体42から外すことにより、蓋部材4が支持体31に取り付けられた状態で、シールパイプ5だけをロール2および第2蓋体42から取り出すことができる(図2および図4参照)。
【0036】
このように、蓋部材4が支持体31に取り付けられた状態で、シールパイプ5を蓋部材4に着脱可能に取り付けたり、シールパイプ5をロール2および蓋部材4から取り出したりすることができる。
従来のロール装置では、シールパイプが蓋部材の内面に固定されている。そのため、シールパイプを交換するとき、シールパイプとともに蓋部材も交換する。本実施形態のロール装置1では、シールパイプ5を交換するとき、シールパイプ5だけを交換することができる。これにより、本実施形態のロール装置1によると、従来の装置より交換する部品の数を低減することができる。
【0037】
また、図2に示すように、第2蓋体42の貫通孔42Aの直径r2は、シールパイプ5の筒体51の外径R1と同じ、又は、筒体51の外径R1より大きい。第2蓋体42の貫通孔42Aの直径r2が筒体51の外径R1より大きい場合、筒体51がロール冷却液通路2A、第1蓋体41の孔41Aおよび第2蓋体42の貫通孔42Aに挿入された状態において、第2蓋体42の内周面と筒体51との間に隙間が形成される。この場合、プレート52を第2蓋体42に締結する前に、筒体51を貫通孔42Aで径方向に動かすことができる。このとき、筒体51の中心と第1シール部材101との中心とが合うように、筒体51の位置を調整することができる。これにより、第1シール部材101と筒体51との間に隙間が存在しないようにすることができる(図1)。そのため、第1シール部材101と筒体51との間から、冷却液が漏れることを抑制することができる。
【0038】
また、図4に示すように、第2蓋体42に、蓋部材冷却液通路42Bが形成されている。蓋部材冷却液通路42Bは、シールパイプ5の筒体51が挿入される貫通孔42Aに連通している。筒体51が貫通孔42Aに挿入されたとき、図3に示すように、筒体51の第1孔51aおよび第2孔51bが、蓋部材冷却液通路42Bに連通するように配置される。これにより、筒体51を介して、ロール冷却液通路2Aと、蓋部材冷却液通路42Bとが連通する。蓋部材冷却液通路42Bは、支持体31に形成された支持体冷却液通路31Aに連通しているため、ロール冷却液通路2Aと、蓋部材冷却液通路42Bと、支持体冷却液通路31Aとが連通する。これらの連通した通路を冷却液が流れる。本実施形態では、蓋部材4の内部に形成された蓋部材冷却液通路42Bを利用して、支持体冷却液通路31Aからロール冷却液通路2Aへ、又は、ロール冷却液通路2Aから支持体冷却液通路31Aへ、冷却液を流すことができる。
【0039】
また、図2に示すように、第2蓋体42の内周面に、第2シール部材111と第3シール部材112が配置されている。第2シール部材111と第3シール部材112は、貫通孔42Aの周方向に沿って配置されている。第2シール部材111と第3シール部材112は、蓋部材冷却液通路42Bの両側に配置されている(図4参照)。筒体51が第2蓋体42の貫通孔42Aに挿入されたとき、図3に示すように、第2シール部材111および第3シール部材112により、第1孔51aおよび第2孔51bの周辺において、第2蓋体42と筒体51の間が封止される。これにより、冷却液が、蓋部材冷却液通路42Bから第1孔51a及び/又は第2孔51bを通って筒体51に流れるとき、或いは、冷却液が、筒体51から第1孔51a及び/又は第2孔51bを通って蓋部材冷却液通路42Bに流れるとき、第1孔51aおよび第2孔51bの周辺で、第2蓋体42と筒体51との間から冷却液が漏れることを抑制することができる。
【0040】
以上、本発明の実施形態について図面に基づいて説明したが、具体的な構成は、これらの実施形態に限定されるものでないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0041】
例えば、上記第1実施形態では、図4に示すように、シールパイプ5の筒体51の側部に、第1孔51aと第2孔51bの2つの孔が形成されている。しかし、シールパイプ5の筒体51の側部に形成される孔は、1つだけでもよい。例えば、シールパイプ5の筒体51の側部に、支持体冷却液通路31Aに近い第1孔51aだけが形成されていてもよい。
【0042】
また、上記第1実施形態では、図3に示すように、第2蓋体42とシールパイプ5の筒体51との間に、第2シール部材111と第3シール部材112が配置されている。しかし、第2蓋体42とシールパイプ5の筒体51との間に、第2シール部材111と第3シール部材112が配置されていなくてもよい。例えば、第2蓋体42に凹み42pと凹み42qが形成されておらず、且つ、第2蓋体42と筒体51との間に第2シール部材111と第3シール部材112が配置されていなくてもよい。
【0043】
また、上記第1実施形態では、図4に示すように、第2蓋体42において、貫通孔42Aと蓋部材冷却液通路42Bとが形成されている。蓋部材冷却液通路42Bは、貫通孔42Aに直交する方向に延びている。しかし、蓋部材冷却液通路42Bは貫通孔42Aに直交する方向に延びていなくてもよい。例えば、蓋部材冷却液通路42Bが、貫通孔42Aに交差する方向であり、且つ、貫通孔42Aに直交する方向以外の方向に延びていてもよい。
【0044】
また、上記第1実施形態では、蓋部材4の一例を示したが、蓋部材の構成及び形状等は、上記第1実施形態に示す構成に限定されない。例えば、上記第1実施形態では、蓋部材4が、第1蓋体41と第2蓋体42との2つの部材を有するが、蓋部材が1つの部材だけから構成されていてもよい。
【0045】
また、上記第1実施形態では、ロールの一端部の周辺の構成とロールの他端部の周辺の構成が同様である。しかし、ロールの一端部の周辺の構成とロールの他端部の周辺の構成は異なっていてもよい。
【符号の説明】
【0046】
ロール装置
ロール
ロール冷却液通路
支持部材
蓋部材
シールパイプ
ロール本体部
ロール軸端部
20 エンドプレート
20A エンドプレート連通孔
31 支持体
31 支持体冷却液通路(支持部材冷却液通路)
軸受部
41 第1蓋体
42 第2蓋体
42 前端面
42y 内面
42 貫通孔
42B 蓋部材冷却液通路
筒体
51a 第1孔(孔)
51b 第2孔(孔)
プレート
101 第1シール部材
111 第2シール部材(シール部材)
112 第3シール部材(シール部材)
図1
図2
図3
図4
図5