(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-22
(45)【発行日】2024-01-05
(54)【発明の名称】ヒンジ式人工膝関節プロテーゼのための整形外科用プロテーゼシステム
(51)【国際特許分類】
A61F 2/38 20060101AFI20231225BHJP
【FI】
A61F2/38
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019085243
(22)【出願日】2019-04-26
【審査請求日】2022-04-25
(32)【優先日】2018-05-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516312682
【氏名又は名称】デピュイ・アイルランド・アンリミテッド・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】DEPUY IRELAND UNLIMITED COMPANY
【住所又は居所原語表記】Loughbeg Industrial Estate, Ringaskiddy, County Cork, Ireland
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】ネイサン・シー・リーダー
(72)【発明者】
【氏名】タイラー・エス・ハサウェイ
【審査官】寺澤 忠司
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-082720(JP,A)
【文献】特開平09-313511(JP,A)
【文献】特表平03-502291(JP,A)
【文献】特開平08-224263(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
整形外科用プロテーゼであって、前記整形外科用プロテーゼは、
患者の大腿骨の外科的に準備された遠位端部に連結するよう構成されている大腿骨コンポーネントであって、前記大腿骨コンポーネントは、顆間ノッチを画定する離間配置された一対の顆を含み、
前記一対の顆はそれぞれ凸状湾曲顆表面を含む、大腿骨コンポーネントと、
患者の脛骨の外科的に準備された近位端部に連結するよう構成されているトレイ、及び前記トレイに枢動可能に連結されているプラットフォームを含む脛骨コンポーネントであって、前記プラットフォームが、前記大腿骨コンポーネントの前記凸状湾曲顆表面に対応する一対の凹状湾曲表面、及び前記凹状湾曲表面の間に位置付けられている近位開口部を含む、脛骨コンポーネントと、
前記大腿骨コンポーネント
に連結するよう構成されているモジュラーインサートであって、前記モジュラーインサートが、前記大腿骨コンポーネントの前記顆間ノッチに位置付けられるサイズにされているブラケット、前記脛骨コンポーネントの前記プラットフォームに画定されている前記
近位開口部に収容されるサイズにされている細長形ステム、前記細長形ステムを前記ブラケットに枢動可能に連結するヒンジピン、及び前記大腿骨コンポーネントを前記モジュラーインサートの前記ブラケットに固定するよう構成されている締結具を含む、モジュラーインサートとを備え、
前記プラットフォームが、下-上方向に延在する第1の軸の周りを枢動するよう構成されており、前記細長形ステムは、前記ブラケット及び前記大腿骨コンポーネントに対して第2の軸の周りに枢動するよう構成されており、前記第2の軸が、前記第1の軸に直交する内側-外側方向に延在して
おり、
前記モジュラーインサートの前記ブラケットから延在しており、かつ前記大腿骨コンポーネントの表面と係合するよう構成されているフランジを更に備え、
前記フランジが、前記ブラケットの後方端部から延在している、整形外科用プロテーゼ。
【請求項2】
整形外科用プロテーゼであって、前記整形外科用プロテーゼは、
患者の大腿骨の外科的に準備された遠位端部に連結するよう構成されている大腿骨コンポーネントであって、前記大腿骨コンポーネントは、顆間ノッチを画定する離間配置された一対の顆を含み、
前記一対の顆はそれぞれ凸状湾曲顆表面を含む、大腿骨コンポーネントと、
患者の脛骨の外科的に準備された近位端部に連結するよう構成されているトレイ、及び前記トレイに枢動可能に連結されているプラットフォームを含む脛骨コンポーネントであって、前記プラットフォームが、前記大腿骨コンポーネントの前記凸状湾曲顆表面に対応する一対の凹状湾曲表面、及び前記凹状湾曲表面の間に位置付けられている近位開口部を含む、脛骨コンポーネントと、
前記大腿骨コンポーネント
に連結するよう構成されているモジュラーインサートであって、前記モジュラーインサートが、前記大腿骨コンポーネントの前記顆間ノッチに位置付けられるサイズにされているブラケット、前記脛骨コンポーネントの前記プラットフォームに画定されている前記
近位開口部に収容されるサイズにされている細長形ステム、前記細長形ステムを前記ブラケットに枢動可能に連結するヒンジピン、及び前記大腿骨コンポーネントを前記モジュラーインサートの前記ブラケットに固定するよう構成されている締結具を含む、モジュラーインサートとを備え、
前記プラットフォームが、下-上方向に延在する第1の軸の周りを枢動するよう構成されており、前記細長形ステムは、前記ブラケット及び前記大腿骨コンポーネントに対して第2の軸の周りに枢動するよう構成されており、前記第2の軸が、前記第1の軸に直交する内側-外側方向に延在して
おり、
前記モジュラーインサートの前記ブラケットから延在しており、かつ前記大腿骨コンポーネントの表面と係合するよう構成されているフランジを更に備え、
前記大腿骨コンポーネントが、前記顆間ノッチに位置付けられている後方カムを含み、前記後方カムが、前記モジュラーインサートの前記細長形ステムの後面と係合するよう構成されている前面を含み、
前記フランジが、前記大腿骨コンポーネントの前記後方カムの前記前面に形成された溝中に収容されている、整形外科用プロテーゼ。
【請求項3】
整形外科用プロテーゼであって、前記整形外科用プロテーゼは、
患者の大腿骨の外科的に準備された遠位端部に連結するよう構成されている大腿骨コンポーネントであって、前記大腿骨コンポーネントは、顆間ノッチを画定する離間配置された一対の顆を含み、
前記一対の顆はそれぞれ凸状湾曲顆表面を含む、大腿骨コンポーネントと、
患者の脛骨の外科的に準備された近位端部に連結するよう構成されているトレイ、及び前記トレイに枢動可能に連結されているプラットフォームを含む脛骨コンポーネントであって、前記プラットフォームが、前記大腿骨コンポーネントの前記凸状湾曲顆表面に対応する一対の凹状湾曲表面、及び前記凹状湾曲表面の間に位置付けられている近位開口部を含む、脛骨コンポーネントと、
前記大腿骨コンポーネント
に連結するよう構成されているモジュラーインサートであって、前記モジュラーインサートが、前記大腿骨コンポーネントの前記顆間ノッチに位置付けられるサイズにされているブラケット、前記脛骨コンポーネントの前記プラットフォームに画定されている前記
近位開口部に収容されるサイズにされている細長形ステム、前記細長形ステムを前記ブラケットに枢動可能に連結するヒンジピン、及び前記大腿骨コンポーネントを前記モジュラーインサートの前記ブラケットに固定するよう構成されている締結具を含む、モジュラーインサートとを備え、
前記プラットフォームが、下-上方向に延在する第1の軸の周りを枢動するよう構成されており、前記細長形ステムは、前記ブラケット及び前記大腿骨コンポーネントに対して第2の軸の周りに枢動するよう構成されており、前記第2の軸が、前記第1の軸に直交する内側-外側方向に延在して
おり、
前記モジュラーインサートの前記ブラケットから延在しており、かつ前記大腿骨コンポーネントの表面と係合するよう構成されているフランジを更に備え、
前記フランジが、第1のフランジであり、前記ブラケットが、前記ブラケットの近位表面から前記第1のフランジまで上方向に延在している第2のフランジを含み、前記第1のフランジは、前記近位表面から斜めに設けられており、こうして、チャネルが、前記第1のフランジと、前記第2のフランジと、前記近位表面との間に画定されており、前記チャネルが、前記大腿骨コンポーネントの一部を収容するサイズにされている、整形外科用プロテーゼ。
【請求項4】
前記締結具が前記ヒンジピンに対して横向きに延在する、請求項1
~3の何れか1項に記載の整形外科用プロテーゼ。
【請求項5】
前記モジュラーインサートの前記ブラケットが、前記細長形ステムから斜めに設置された孔を含み、
前記締結具が、前記モジュラーインサートを前記大腿骨コンポーネントに連結させるように前記孔を通って延在するよう構成されている、請求項1
~3の何れか1項に記載の整形外科用プロテーゼ。
【請求項6】
前記大腿骨コンポーネントが、前記一対の顆に対向して位置付けられているポストと、及び前記ポスト内へ延在する通路とを含み、
前記締結具が、前記通路内へ延在するよう構成されている、請求項
5に記載の整形外科用プロテーゼ。
【請求項7】
前記ブラケットが、下面及び上面を含み、前記孔が、前記下面の開口部から前記上面の開口部まで延在している、請求項
5に記載の整形外科用プロテーゼ。
【請求項8】
前記ヒンジピンが、前記一対の顆の間の前記大腿骨コンポーネントの前記顆間ノッチに位置付けられるサイズにされている、請求項1
~3の何れか1項に記載の整形外科用プロテーゼ。
【請求項9】
整形外科用プロテーゼアセンブリであって、前記整形外科用プロテーゼアセンブリは、
患者の大腿骨の外科的に準備された遠位端部に連結するよう構成されている大腿骨コンポーネントであって、前記大腿骨コンポーネントは、顆間ノッチを画定する離間配置された一対の顆を含み、
前記一対の顆はそれぞれ、凸状湾曲顆表面を含み、前記大腿骨コンポーネントは、底部面、及び前記底部面から延在している一対の平面内部側壁を更に含み、前記底部面及び前記
一対の平面内部側壁が、前記顆間ノッチを一部画定する、大腿骨コンポーネントと、
患者の脛骨の外科的に準備された近位端部に連結するよう構成されているトレイ、及び前記トレイに枢動可能に連結されているプラットフォームを含む脛骨コンポーネントであって、前記プラットフォームが、前記大腿骨コンポーネントの前記凸状湾曲顆表面に対応する一対の凹状湾曲表面、及び前記凹状湾曲表面の間に位置付けられている近位開口部を含む、脛骨コンポーネントと、
前記大腿骨コンポーネント
に連結されるよう構成されているモジュラーインサートであって、前記モジュラーインサートが、前記大腿骨コンポーネントの前記顆間ノッチに位置付けられるサイズにされているブラケット、前記脛骨コンポーネントの前記プラットフォームに画定されている前記
近位開口部に収容されるサイズにされている細長形ステム、前記細長形ステムを前記ブラケットに枢動可能に連結しているヒンジピンを含み、前記ヒンジピンが、前記大腿骨コンポーネントの前記
一対の平面内部側壁の間の距離よりも短い長さを有しており、前記モジュラーインサートが、前記大腿骨コンポーネントを前記モジュラーインサートの前記ブラケットに固定するよう構成されている締結具を更に含む、モジュラーインサートとを備え、
前記プラットフォームが、下-上方向に延在する第1の軸の周りを枢動するよう構成されており、前記細長形ステムが、前記ブラケット及び前記大腿骨コンポーネントに対して第2の軸の周りに枢動するよう構成されており、前記第2の軸が、前記第1の軸に直交する内側-外側方向に延在して
おり、
前記モジュラーインサートの前記ブラケットから延在しており、かつ前記大腿骨コンポーネントの表面と係合するよう構成されている、フランジを更に備え、
前記フランジが、前記ブラケットの後方端部から延在している、整形外科用プロテーゼアセンブリ。
【請求項10】
整形外科用プロテーゼアセンブリであって、前記整形外科用プロテーゼアセンブリは、
患者の大腿骨の外科的に準備された遠位端部に連結するよう構成されている大腿骨コンポーネントであって、前記大腿骨コンポーネントは、顆間ノッチを画定する離間配置された一対の顆を含み、
前記一対の顆はそれぞれ、凸状湾曲顆表面を含み、前記大腿骨コンポーネントは、底部面、及び前記底部面から延在している一対の平面内部側壁を更に含み、前記底部面及び前記
一対の平面内部側壁が、前記顆間ノッチを一部画定する、大腿骨コンポーネントと、
患者の脛骨の外科的に準備された近位端部に連結するよう構成されているトレイ、及び前記トレイに枢動可能に連結されているプラットフォームを含む脛骨コンポーネントであって、前記プラットフォームが、前記大腿骨コンポーネントの前記凸状湾曲顆表面に対応する一対の凹状湾曲表面、及び前記凹状湾曲表面の間に位置付けられている近位開口部を含む、脛骨コンポーネントと、
前記大腿骨コンポーネント
に連結されるよう構成されているモジュラーインサートであって、前記モジュラーインサートが、前記大腿骨コンポーネントの前記顆間ノッチに位置付けられるサイズにされているブラケット、前記脛骨コンポーネントの前記プラットフォームに画定されている前記
近位開口部に収容されるサイズにされている細長形ステム、前記細長形ステムを前記ブラケットに枢動可能に連結しているヒンジピンを含み、前記ヒンジピンが、前記大腿骨コンポーネントの前記
一対の平面内部側壁の間の距離よりも短い長さを有しており、前記モジュラーインサートが、前記大腿骨コンポーネントを前記モジュラーインサートの前記ブラケットに固定するよう構成されている締結具を更に含む、モジュラーインサートとを備え、
前記プラットフォームが、下-上方向に延在する第1の軸の周りを枢動するよう構成されており、前記細長形ステムが、前記ブラケット及び前記大腿骨コンポーネントに対して第2の軸の周りに枢動するよう構成されており、前記第2の軸が、前記第1の軸に直交する内側-外側方向に延在して
おり、
前記モジュラーインサートの前記ブラケットから延在しており、かつ前記大腿骨コンポーネントの表面と係合するよう構成されている、フランジを更に備え、
前記フランジが、前記大腿骨コンポーネントの後方カムの前面に形成された溝中に収容されている、整形外科用プロテーゼアセンブリ。
【請求項11】
前記ヒンジピンが、前記大腿骨コンポーネントの前記
一対の平面内部側壁の間に位置付けられるサイズにされている、請求項
9または10に記載の
整形外科用プロテーゼアセンブリ。
【請求項12】
前記ブラケットが、前記大腿骨コンポーネントの前記
一対の平面内部側壁間の距離よりも短い距離、離間されている一対の外部側壁を含む、請求項
9または10に記載の
整形外科用プロテーゼアセンブリ。
【請求項13】
前記大腿骨コンポーネントの前記
一対の平面内部側壁が、内側壁及び外側壁を含み、
前記ブラケットの前記外部側壁が、内側壁及び外側壁を含む、請求項
12に記載の
整形外科用プロテーゼアセンブリ。
【請求項14】
前記締結具が前記ヒンジピンに対して横向きに延在する、請求項
9または10に記載の
整形外科用プロテーゼアセンブリ。
【請求項15】
前記締結具が、前記細長形ステムの下方/上方軸に対して角度が設けられた軸に沿って延在している、請求項
14に記載の
整形外科用プロテーゼアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概ね、プロテーゼコンポーネント及び整形外科用関節置換手技中にプロテーゼコンポーネントを組み立てる方法を含む、整形外科用プロテーゼシステム、並びにより詳細には、整形外科用プロテーゼコンポーネント及び膝関節置換手技中にプロテーゼコンポーネントを組み立てる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自然のヒトの膝関節の運動(例えば、屈曲及び伸張)は、大腿骨及び脛骨の運動を含む。具体的には、屈曲及び伸張の間、大腿骨の遠位端部と脛骨の近位端部とが一連の複雑な運動を通じて互いに対して関節接合する。損傷(例えば、外傷)又は疾患により、膝関節の骨、関節軟骨及び靱帯が悪化し、最終的に、膝関節が自然に機能する能力に影響を及ぼすおそれがある。このため、人工膝関節が開発されており、これは外科的に準備されたれた大腿骨及び脛骨の端部に埋め込まれる。
【0003】
全膝関節置換用の一般的な人工膝関節は、例えば、患者の脛骨と連結される脛骨コンポーネント又は脛骨トレイ、患者の大腿骨と連結される大腿骨コンポーネント、及び脛骨トレイと大腿骨コンポーネントとの間に位置付けられており、かつ大腿骨コンポーネントの顆を収容する表面を含む脛骨インサートコンポーネントを含む。しかし、拘束式人工膝関節は、患者の側副靱帯が損傷を受けた場合、又は他には適切な支持及び安定性を膝関節に提供できない場合に使用される場合がある。1つのそのような拘束式人工膝関節は、ヒンジ式人工膝関節であり、これは、通常、人工膝関節のコンポーネントを一緒に拘束して機械的に連結するために、大腿骨コンポーネントをベアリングコンポーネント及び脛骨コンポーネントのうちの一方又は両方と連結させるためのヒンジ機構を含む。既存のヒンジ型人工膝関節設計は、専用のヒンジ型人工膝関節大腿骨コンポーネントを必要とするか、又はヒンジ軸への適切な露出がない場合には困難となり得るが、大腿骨に挿入されることになるヒンジ軸のいずれかを必要とする。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
開示される実施形態の態様によれば、整形外科プロテーゼアセンブリは、患者の大腿骨の外科的に準備された遠位端部に連結するよう構成されている大腿骨コンポーネントを含む。大腿骨コンポーネントは、顆間ノッチを画定する離間配置された一対の顆を含む。顆はそれぞれ、凸状湾曲顆表面を含む。脛骨コンポーネントは、患者の脛骨の外科的に準備された近位端部に連結するよう構成されているトレイ、及びトレイに枢動可能に連結されているプラットフォームを含む。プラットフォームは、大腿骨コンポーネントの凸状湾曲顆表面に対応する一対の凹状湾曲表面、及び凹状湾曲表面の間に位置付けられている近位開口部を含む。モジュラーインサートは、大腿骨コンポーネントに選択的に連結されるよう構成されている。モジュラーインサートは、大腿骨コンポーネントの顆間ノッチに位置付けられるサイズにされているブラケットを含む。細長形ステムは、脛骨コンポーネントのプラットフォーム内に画定された開口部に収容されるサイズにされている。ヒンジピンは、細長形ステムをブラケットに枢動可能に連結している。締結具は、大腿骨コンポーネントをモジュラーインサートのブラケットに固定するよう構成されている。プラットフォームは、下-上方向に延在する第1の軸の周りを枢動するよう構成されており、細長形ステムは、ブラケット及び大腿骨コンポーネントに対して第2の軸の周りに枢動するよう構成されている。第2の軸は、第1の軸に直交する内側-外側方向に延在している。
【0005】
一部の実施形態では、締結具は、ヒンジピンに対して横向きに延在することができる。締結具は、細長形ステムの下方/上方軸に対して角度が設けられた軸に沿って延在することができる。締結具は、モジュラーインサートのブラケットを通って形成されている孔を通って延在するよう構成され得る。締結具は、大腿骨コンポーネントのポスト(post)を通って延在するよう構成され得る。ブラケットは、下面及び上面を含んでもよい。ブラケットを通って形成された孔は、下面の開口部から上面の開口部まで延在してもよい。
【0006】
一部の実施形態では、ヒンジピンは、大腿骨コンポーネントの顆間ノッチに位置付けられるサイズにされ得る。
【0007】
一部の実施形態では、フランジは、モジュラーインサートのブラケットから延在してもよく、大腿骨コンポーネントの表面と係合するよう構成されていてもよい。フランジは、ブラケットの後方端部から延在していてもよい。フランジは、大腿骨コンポーネントの後方カムの前面に形成された溝中に収容されていてもよい。
【0008】
開示される実施形態の別の態様によれば、整形外科プロテーゼアセンブリは、患者の大腿骨の外科的に準備された遠位端部に連結するよう構成されている大腿骨コンポーネントを含む。大腿骨コンポーネントは、顆間ノッチを画定するよう離間配置された一対の顆を含む。顆はそれぞれ、凸状湾曲顆表面を含む。大腿骨コンポーネントはまた、底部面、及びこの底部面から延在している一対の平面内部側壁を含む。底部面及び内部側壁は、顆間ノッチを一部、画定する。脛骨コンポーネントは、患者の脛骨の外科的に準備された近位端部に連結するよう構成されているトレイ、及びトレイに枢動可能に連結されているプラットフォームを含む。プラットフォームは、大腿骨コンポーネントの凸状湾曲顆表面に対応する一対の凹状湾曲表面、及び凹状湾曲表面の間に位置付けられている近位開口部を含む。モジュラーインサートは、大腿骨コンポーネントに選択的に連結されるよう構成されている。モジュラーインサートは、大腿骨コンポーネントの顆間ノッチに位置付けられるサイズにされているブラケットを含む。細長形ステムは、脛骨コンポーネントのプラットフォームに画定されている開口部内に収容されるサイズにされている。ヒンジピンは、細長形ステムをブラケットに枢動可能に連結している。ヒンジピンは、大腿骨コンポーネントの内部側壁の間の距離よりも短い長さを有する。モジュラーインサートはまた、大腿骨コンポーネントをヒンジインサートのブラケットに固定するよう構成されている締結具を含む。プラットフォームは、下-上方向に延在する第1の軸の周りを枢動するよう構成されており、細長形ステムは、ブラケット及び大腿骨コンポーネントに対して第2の軸の周りに枢動するよう構成されている。第2の軸は、第1の軸に直交する内側-外側方向に延在する。
【0009】
一部の実施形態では、ヒンジピンは、大腿骨コンポーネントの内部側壁の間に位置付けられるサイズにされ得る。ブラケットは、大腿骨コンポーネントの内部側壁間の距離よりも短い距離、離間されている一対の外部側壁を含むことができる。大腿骨コンポーネントの内部側壁は、内側壁及び外側壁を含んでもよい。ブラケットの外部側壁は、内側壁及び外側壁を含んでもよい。
【0010】
一部の実施形態では、締結具は、ヒンジピンに対して横向きに延在することができる。締結具は、細長形ステムの下方/上方軸に対して角度が設けられた軸に沿って延在することができる。
【0011】
一部の実施形態では、フランジは、モジュラーインサートのブラケットから延在してもよく、かつ大腿骨コンポーネントの表面と係合するよう構成されていてもよい。フランジは、ブラケットの後方端部から延在していてもよい。フランジは、大腿骨コンポーネントの後方カムの前面に形成された溝中に収容されていてもよい。
【0012】
開示される実施形態の更に別の態様によれば、整形外科用大腿骨コンポーネントは、顆間ノッチを画定するよう離間配置された一対の顆を含む。顆はそれぞれ、凸状湾曲顆表面を含む。底部面及び一対の平面内部側壁は、この底部面から延在している。底部面及び内部側壁は、顆間ノッチを一部画定する空洞を画定する。後方カムは、顆間ノッチ内に位置付けられている。溝は、後方カムの前面に形成されている。空洞は、モジュラーインサートのブラケットを収容するサイズにされている。溝は、モジュラーインサートのフランジを収容するよう構成されている。
【0013】
一部の実施形態では、ポストが設けられており、アパーチャが、このポストを通って延在していてもよい。アパーチャは、大腿骨コンポーネントをモジュラーインサートに固定するための締結具を収容するサイズにされ得る。開口部は、後方カムの前面に形成されていてもよい。溝は、開口部から延在していてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0014】
詳細説明は、特に、以下の図面を参照する。
【
図1】整形外科用人工膝関節システムの分解斜視図である。
【
図2】
図1の整形外科用人工膝関節システムの脛骨コンポーネントの背面斜視図である。
【
図3】
図1の整形外科用人工膝関節システムの大腿骨コンポーネントの遠位平面図である。
【
図4】
図3中の線分4-4に沿って切り取った、大腿骨コンポーネントの断面側部立面図である。
【
図5】
図1の整形外科用人工膝関節システムのモジュラーインサートの分解斜視図である。
【
図6】
図5のモジュラーインサートのブラケットの斜視図である。
【
図7】
図5~6のモジュラーインサート、及び
図1の整形外科用人工膝関節システムの締結具の側面斜視図である。
【
図8】
図1の整形外科用人工膝関節システムのプラグを例示した、
図7と類似の図である。
【
図11】
図1のシステムの組み立て済み整形外科用人工膝関節の背面斜視図である。
【
図12】
図11中の線分12-12に沿って切り取った、組み立て済み整形外科用人工膝関節の断面側部立面図である。
【
図13】屈曲時の組み立て済み整形外科用人工膝関節を示す、
図12と類似の図である。
【
図14】整形外科用人工膝関節システムの別の実施形態の分解斜視図である。
【
図15】
図14の整形外科用人工膝関節システムのブラケットの斜視図である。
【
図16】
図14中の線分16-16に沿って切り取った、整形外科用人工膝関節システムの大腿骨コンポーネントの断面側部立面図である。
【
図17】
図14の整形外科用人工膝関節システムの一部の断面側部立面図である。
【
図18】整形外科用人工膝関節システムの別の実施形態の立体分解図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本開示の概念は、さまざまな修正及び代替的形態の影響を受ける可能性があるが、その特定の例示的な実施形態を一例として図面に示し、本明細書において詳細に説明する。しかし、本開示の概念を開示される特定の形態に限定することを何ら意図するものではなく、その逆に、本発明は、添付の「特許請求の範囲」によって定義される発明の趣旨及び範囲の範囲内に包含されるすべての修正物、均等物、並びに代替物を網羅することを意図するものであることを理解されたい。
【0016】
解剖学的基準を表す、前方、後方、内側、外側、上方、下方などの用語は、本明細書を通じて、本明細書において記載されている整形外科用インプラント及び整形外科用手術器具に関して、並びに患者の生体解剖学的構造に関して使用されてもよい。このような用語は、解剖学の研究及び整形外科学の分野のいずれにおいても十分に理解された意味を有する。記述されている説明及び特許請求の範囲におけるこのような解剖学的参照用語の使用は、特に明記しないかぎり、それらの十分に理解された意味と一貫性を有することが意図される。
【0017】
これより
図1を参照すると、整形外科用人工膝関節システム10が示されている。整形外科用人工膝関節システム10は、患者の大腿骨の遠位端部に連結されるよう構成されている大腿骨コンポーネント12、患者の大腿骨の近位端部に連結されるよう構成されている脛骨トレイ16、及び脛骨トレイ16と個別に組み立てるよう構成されている一対の脛骨インサート18、20を含む。以下に一層詳細に記載されているとおり、大腿骨コンポーネント12、脛骨トレイ16及び脛骨インサート18は、組み立てられて、1つのタイプの整形外科用人工膝関節、具体的には、回転式プラットフォーム整形外科用人工膝関節を形成することができる。大腿骨コンポーネント12、脛骨トレイ16、脛骨インサート20及びモジュラーインサート22は、組み立てられて、別のタイプの整形外科用人工膝関節、具体的には、以下に記載されているヒンジ式整形外科用人工膝関節を形成することができる。
【0018】
例示的実施形態では、大腿骨コンポーネント12は、患者の大腿骨の遠位端部に埋め込むよう構成されているポスト24を含む。ポスト24は、一対の離間した外側顆及び内側顆28を有する本体26に取り付けられている。顆28は、それぞれの外側顆表面及び内側顆表面30、32を含み、これらは、凸状に湾曲している。顆間ノッチ34は、外側顆と内側顆28との間に画定されており、モジュラーインサート22を収容するサイズにされている。
【0019】
大腿骨コンポーネント12及び脛骨トレイ16はそれぞれ、例えばコバルトクロムなどのインプラントグレードの金属材料から形成されている。
図1に示されているとおり、脛骨トレイ16は、底部36、及び底部36の遠位表面40から下方向に延在しているアンカー38を含む。底部36は、患者の脛骨の外科的に準備された近位表面の形状に適合するサイズかつ形状にされており、アンカー38は、患者の脛骨の外科的に準備された髄管に埋め込むサイズかつ形状にされている。
【0020】
底部36は、遠位表面40に対向して位置付けられている、実質的に平面の近位表面42を含む。湾曲外部壁44は、表面40、42から延在し、患者の脛骨の外科的に準備された近位表面の外側縁部と適合するサイズかつ形状にされている。開口部46は、近位表面42において画定されており、トレイ16は、開口部46から内側方向に延在しているアパーチャ48を含む。アパーチャ48は、底部36を通り、アンカー38内に延在している。
【0021】
脛骨トレイ16は、
図1に示されている脛骨インサート18、20の一方により組み立てられて、脛骨コンポーネントを形成することができる。インサート18、20はそれぞれ、例えば、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)などのインプラントグレードのプラスチック材料から形成される。脛骨インサート20は、脛骨トレイ16の近位表面42上に位置付けられるサイズにされているプラットフォーム52、及び長手軸58に沿ってプラットフォーム52の遠位表面56から下方向に延在している細長形ステム54を含む。脛骨トレイ16の近位表面42と同様に、プラットフォームの遠位表面56は、実質的に平面である。プラットフォーム52はまた、大腿骨コンポーネント12の外側顆表面及び内側顆表面30、32に対応する一対の近位凹状湾曲面60、62を含む。プラットフォームはまた、表面56、60、62の間に延在する湾曲外部壁64も含む。
【0022】
図1に示されているとおり、開口部66は、プラットフォーム52の近位表面60、62に画定されている。脛骨インサート18はまた、開口部66からプラットフォーム52を通り、細長形ステム54内へと内側方向に延在しているアパーチャ68を含む。次に、アパーチャ68は、ステム54の長手軸58に沿って、閉端部(図示せず)まで延在している。
【0023】
脛骨トレイ16に連結されるとき、脛骨インサート20の遠位表面56は、
図2に示されているとおり、脛骨トレイの近位表面42と係合する。脛骨インサート20の細長形ステム54は、脛骨インサートが脛骨トレイに連結されるとき、脛骨トレイ16のアパーチャ48内に収容されるサイズにされている。例示的実施形態では、ステム54は、
図2における矢印70により表示されているとおり、脛骨トレイのアパーチャ48に位置付けられるとき、脛骨インサート20が長手軸58の周りを回転することができるサイズかつ形状にされている。
【0024】
上記のとおり、脛骨トレイ16及び脛骨インサート20は、大腿骨コンポーネント12及びモジュラーインサート22と組み合わされて、ヒンジ式整形外科用人工膝関節を形成することができる。これより
図3を参照すると、大腿骨コンポーネント12は、内側顆と外側顆28との間に画定されている顆間ノッチ34を含む。顆28はそれぞれ、それぞれの顆表面30、32から底部壁82まで遠位に延在する側壁80を含む。顆間ノッチ34は、側壁80間に画定されている幅84を有しており、この幅は、以下に一層詳細に記載されている、モジュラーインサート22の近位端部を収容するサイズにされている。
【0025】
例示的実施形態では、大腿骨コンポーネント12はまた、顆間ノッチ34の後方端部92において、側壁80の間に延在している後方カム90も含む。
図3~4に示されているとおり、後方カム90は、湾曲前面94を有する。開口部96は、底部壁82に隣接する前面94内に画定されている。いくつかの壁98が、開口部96から内側方向に延在して、前面94中に溝100を画定する。以下に一層詳細に記載されているとおり、溝100は、モジュラーインサート22を大腿骨コンポーネント12に連結するためのモジュラーインサート22の保持用フランジ102を収容するサイズにされている。
【0026】
図4に示されているとおり、大腿骨コンポーネント12は、顆間ノッチ34の前方端部106において、側壁80の間に延在している前側フランジ104も含む。開口部110は、前側フランジ104に隣接する底部壁82内に画定されている。内部壁112は、開口部110からポスト24を通り、このポストの近位端部に画定されている開口部114まで近位に延在している。内部壁112及び開口部110、114は、ポスト24を通って延在する通路116を画定する。内部壁112は、ねじ山付き近位区域120に接続されている、実質的に滑らかな遠位区域118を含む。
【0027】
これより
図5~6を参照すると、モジュラーインサート22は、大腿骨コンポーネント12の顆間ノッチ34に位置付けられるサイズにされているブラケット132に枢動可能に連結されている細長形ステム130を含む。細長形ステム130は、脛骨インサート20のアパーチャ68に位置付けられるサイズにされている遠位端部134から、ブラケット132に連結するよう構成されている近位端部136まで延在している。細長形ステム130は、ステムがアパーチャ68に位置付けられるとき、脛骨インサート20の長手軸58と一致するよう位置付けられている長手軸140を有する。
【0028】
例示的実施形態では、細長形ステム130は、近位端部136から遠位に延在するスパイン142を有しており、かつ遠位端部134から近位に延在する胴部144に接続されている。胴部144は、円筒形の遠位区域146及び切子面のある近位区域148を有する。近位区域148は、大腿骨コンポーネント12の湾曲前面94を収容するサイズかつ形状にされているノッチ152を画定する凹状湾曲後面150を含む。
【0029】
細長形ステム130のスパイン142は、内側開口部(図示せず)、内側開口部に対向して位置付けられている外側開口部156、及び開口部156、158の間に延在している内部壁160を有する。内部壁160は、以下に一層詳細に記載されているとおり、ヒンジピン164を収容するサイズにされているスパイン142を通って延在する円筒形通路162を画定する。
【0030】
モジュラーインサート22はまた、スパイン142の通路162のいずれか一方の端部に位置付けられるサイズかつ形状にされている、一対のブッシング166、168を含む。ブッシング166、168はそれぞれ、スパイン142の側面と係合するよう構成されている内部フランジ170、及びフランジ170から外側方向に延在しているスリーブ172を含む。通路174は、各ブッシング166、168を通って延在し、これらのブッシングは、ヒンジピン164の端部を収容するサイズにされている。通路162、174、及びヒンジピン164は、回転軸176を画定するよう協働し、モジュラーインサート22と共に組み立てられると、上記の回転軸の周りに、大腿骨コンポーネント12が関節接合する。
【0031】
上記のとおり、モジュラーインサート22は、大腿骨コンポーネント12の顆間ノッチ34に位置付けられるサイズにされているブラケット132を含む。
図6に示されているとおり、ブラケット132は、底部プレート180、及び底部プレート180から下方向に延在している一対のアーム182、184を含む。アーム182、184は、離間配置されており、こうして、細長形ステム130のスパイン142を収容するサイズにされているチャネル186は、これらのアーム間に画定されている。アーム182、184はそれぞれ、チャネル186へと開口している孔188も有する。孔188は、ブッシング166、168のスリーブ172を収容するように整列されて、かつサイズにされている。
【0032】
上記のとおり、モジュラーインサート22は、フランジ102を含み、このフランジは、底部プレート180から後方に延在しており、かつ大腿骨コンポーネント12の溝100に収容されるサイズにされている。モジュラーインサート22はまた、底部プレート180の前方端部を通り、下-上方向に延在する孔190も含む。
図7~8に関して一層詳細に記載されているとおり、孔190は、フランジ102と共に、モジュラーインサート22を大腿骨コンポーネント12に連結するよう構成されている締結具192を収容するサイズにされている。
【0033】
上記のとおり、ブラケット132は、大腿骨コンポーネント12の顆間ノッチ34に位置付けられるサイズにされている。例示的実施形態では、ブラケット132は、底部プレート180の側壁の間に画定されている内側-外側幅194を有する。内側-外側幅194は、ブラケット132が顆間ノッチ34に挿入されるのを可能にするよう、ノッチの幅84以下となっている。例示的実施形態では、ヒンジピン164は、ノッチ34にやはり挿入され得るように、内側-外側幅194に等しい長さで延在する。
【0034】
例示的実施形態では、細長形ステム130、ブラケット132及びヒンジピン164は、例えばコバルトクロムなどのインプラントグレードの金属材料から形成されている。ブッシング166、168は、例えば、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)などのインプラントグレードのプラスチック材料から形成されている。他の実施形態では、例えば、ステム130又はブラケット132の部分は、インプラントグレードのプラスチック材料から形成され得ることを理解すべきである。
【0035】
図7~8に示されているとおり、締結具192は、ヘッド部200、及びヘッド部200から離れるように延在している細長形シャフト202を含む。ブラケット132はまた、例えばコバルトクロムなどのインプラントグレードの金属材料から形成されている。シャフト202は、例として円筒形であり、実質的に滑らかな外部表面204を含む。シャフト202は、ブラケット132に画定されている孔190から外側方向に延在し、大腿骨コンポーネント12の滑らかな遠位壁区域118と係合するようなサイズにされている。例示的実施形態では、締結具192により、壁区域118とシャフト202との間のプレス嵌めにより、ブラケット132(したがって、モジュラーインサート22)が大腿骨コンポーネント12に連結される。他の実施形態では、区域118及びシャフト202は、コンポーネント12をインサート22に連結するための対応する溝を含むことができることを理解すべきである。
【0036】
モジュラーインサート22はまた、締結具192のヘッド部200に連結されるよう構成されているプラグ210も含む。例えば、ゴムなどのエラストマー材料から形成されているプラグ210が例である。プラグ210は、主本体212、及び主本体212から外側方向に延在する一対のアーム214を含む。
図9に示されているとおり、各アーム214は、締結具192のヘッド部200と係合するような形状にされている湾曲内部表面216を含む。内部表面216は、主本体212の上面218と協働し、締結具192のヘッド部200を収容して保持するサイズにされているスロット220を形成する。
【0037】
図10に示されているとおり、主本体212は、くさび形をしており、上面218から下先端部224まで延在している前面222を含む。前面222に対して斜角で延在する後面226は、上面から218下先端部224まで延在している。以下に一層詳細に記載されているとおり、後面226は、大腿骨コンポーネント12が伸張状態にあるとき、モジュラーインサート22のスパイン142の前面と係合するような形状にされている。
【0038】
図1に戻ると、大腿骨コンポーネント12及び脛骨トレイ16はまた、脛骨インサート18と組み合わされて、上記の別の整形外科用プロテーゼを形成することができる。脛骨インサート18は、脛骨トレイ16の近位表面42上に位置付けられるサイズにされているプラットフォーム252、及び長手軸258に沿ってプラットフォーム252の遠位表面256から下方向に延在している細長形ステム254を含む。プラットフォーム252の遠位表面256は、実質的に平面である。プラットフォーム252はまた、大腿骨コンポーネント12の外側顆表面及び内側顆表面30、32に対応する一対の近位凹状湾曲面260、262を含む。プラットフォーム252はまた、表面260、262、256の間に延在する湾曲外部壁264も含む。
【0039】
脛骨インサート18はまた、一対の近位凹状湾曲面間のプラットフォーム252から上方向に延在しているスパイン266も含む。スパイン266は、凸状湾曲前面268及び凹状湾曲後面270を含む。凹状湾曲後面270は、大腿骨コンポーネント12の後方カム90の凸状湾曲前面94と係合するような形状にされている。
【0040】
脛骨トレイ16に連結されるとき、脛骨インサート18の遠位表面256は、脛骨トレイの近位表面42と係合する。脛骨インサート18の細長形ステム254は、脛骨インサート18が脛骨トレイ16に連結されているとき、脛骨トレイ16のアパーチャ48内に収容されるサイズにされている。例示的実施形態では、ステムは、脛骨トレイ16のアパーチャ48に位置付けられるとき、脛骨インサート18が長手軸258の周りを回転することができるサイズかつ形状にされている。
【0041】
使用時には、患者は、例えば、大腿骨コンポーネント12、脛骨トレイ16及び脛骨インサート20を備えた回転式プラットフォーム整形外科用プロテーゼが最初に埋め込まれ得る。損傷、骨量減少又は患者の可動性の悪化のために、外科医は、既存の整形外科用プロテーゼを、ヒンジ式整形外科用プロテーゼに置き換える必要があり得ると判定することができる。置き換えのため、外科医は、患者の膝関節を囲む領域の軟部組織を開口してもよい。次に、外科医は、既存の整形外科用プロテーゼの構成要素の一部又はすべてを取り除き、新しい大腿骨コンポーネント12、脛骨トレイ16、脛骨インサート20及びモジュラーインサート22を収容するよう患者の骨を外科的に準備し、患者の関節にそれらの構成要素を埋め込むことができる。
【0042】
一部の手術では、外科医は、脛骨インサート18を取り除いて、患者の関節に埋め込まれている既存の大腿骨コンポーネント12及び脛骨トレイ16の一方又は両方を残すことを選択してもよい。外科医は、適切なサイズのモジュラーインサート22及び脛骨インサート20を選択するため、試験整復を行うことがあり得る。脛骨インサート20を脛骨トレイ16に取り付けるため、外科医は、脛骨トレイ16のアパーチャ48にインサート20の細長形ステム54を整列させて、アパーチャ48内にステム54の遠位先端部を進入させて、プラットフォーム52をトレイ16の底部36に係合させることができる。モジュラーインサート22を脛骨インサート20に連結するため、外科医は、脛骨インサート20のアパーチャ68にモジュラーインサート22の胴部144を整列させて、アパーチャ68内に胴部144の遠位先端部を進入させて、脛骨インサート20上にモジュラーインサート22を据え付けることができる。
【0043】
モジュラーインサート22を大腿骨コンポーネント12に連結するため、外科医は、
図12に示されるように、モジュラーインサート22のブラケット132の保持用フランジ102を、大腿骨コンポーネント12の後方カム90に画定されている溝100内に進入させてもよい。外科医はまた、大腿骨コンポーネント12の通路116に孔190を整列させて、締結具192の細長形シャフト202を、孔190に通して通路116内に進入させてもよい。締結具192のヘッド部200がブラケット132と係合するとき、ブラケット132(したがって、モジュラーインサート22)は、通路116及びシャフト202を画定する壁区域118の間をプレス嵌めすることにより、大腿骨コンポーネント12に連結されている。外科医は、プラグ210を締結具192のヘッド部200に取り付けて、
図12に示されているヒンジ式整形外科用プロテーゼを形成することができる。
【0044】
整形外科用プロテーゼが、
図12に示されるように伸張状態にあるとき、プラグ210は、モジュラーインサート22のスパイン142の前面と係合しており、大腿骨の顆28は、脛骨インサート20の近位表面60、62と係合している。膝関節が、伸張状態から屈曲状態まで動いたとき、大腿骨コンポーネント12は、ヒンジピン164を通って延在する軸176の周りで枢動される。大腿骨顆の表面形状によって、大腿骨コンポーネント12が枢動するにつれて、脛骨インサート20を脛骨トレイ16と係合したままで、モジュラーインサート22が、
図12中の矢印280によって示されている上方向に進入する。完全な屈曲時には、後方カム90は、モジュラーインサート22の後面150と係合した前面94を含むモジュラーインサート22に画定されているノッチ152に位置付けられ、それにより更なる屈曲が防止される。大腿骨コンポーネント12、脛骨インサート20及びモジュラーインサート22は、軸58の周りを枢動するよう構成されており、この軸は、整形外科用プロテーゼの通常の移動及び使用中は、ヒンジピン軸176に直交して延在していることを理解すべきである。
【0045】
これより
図14~17を参照すると、ヒンジ式整形外科用プロテーゼの別の実施形態(本明細書のこれ以降、プロテーゼ310)が示されている。整形外科用人工膝関節310は、患者の大腿骨の遠位端部に連結されるよう構成されている大腿骨コンポーネント312、患者の大腿骨の近位端部に連結するよう構成されている脛骨トレイ16、及び脛骨トレイ16と組み立てるよう構成されている脛骨インサート20を含む。プロテーゼ310の脛骨インサート及び脛骨トレイは、
図1~13に関する上記の脛骨インサート及び脛骨トレイと同一であること、及び同じ参照番号は、それらの構成要素の特徴を特定するために使用されることを理解すべきである。更に、プロテーゼ310の他の構成要素の特徴の一部は、
図1~13に関する上記の特徴と同一であるか、又は類似していること、及び同じ参照番号は、それらの特徴を特定するために使用される。
図14に示されるように、プロテーゼ310はまた、脛骨インサート20を大腿骨コンポーネント312に連結するよう構成されているモジュラーインサート322も含む。
【0046】
大腿骨コンポーネント12と同様に、大腿骨コンポーネント312は、例えばコバルトクロムなどのインプラントグレードの金属材料から形成されている。
図16に示されているとおり、大腿骨コンポーネント312は、患者の大腿骨の遠位端に埋め込むよう構成されているポスト324を含む。ポスト24は、一対の離間した外側顆及び内側顆328を有する本体326に取り付けられている。顆328は、それぞれの外側顆表面及び内側顆表面330、332を含み、これらは、凸状に湾曲している。顆間ノッチ334は、外側顆と内側顆28との間に画定されており、モジュラーインサート322を収容するサイズにされている。
【0047】
顆328はそれぞれ、それぞれの顆表面330、332から底部壁382まで遠位に延在している側壁380を含む。顆間ノッチ334は、側壁380間に確定されている幅を有しており、この幅は、以下に一層詳細に記載されているとおり、モジュラーインサート322の近位端部を収容するサイズにされている。底部壁382は、やはり以下に一層詳細に記載されているとおり、モジュラーインサート322に画定されている保持用溝400に収容されるサイズにされている後方縁部384を含む。
【0048】
開口部110は、底部壁382に画定されており、内部壁112は、開口部110からポスト324を通り、このポストの近位端部に画定されている開口部114まで近位に延在している。内部壁112及び開口部110、114は、ポスト24を通って延在する通路116を画定する。内部壁112は、ねじ山付き近位区域120に接続されている、実質的に滑らかな遠位区域118を含む。
【0049】
図14に戻ると、モジュラーインサート322は、大腿骨コンポーネント312の顆間ノッチ334に位置付けられるサイズにされているブラケット432に枢動可能に連結されている細長形ステム430を含む。細長形ステム430は、脛骨インサート20のアパーチャ68に位置付けられるサイズにされている遠位端部434から、ブラケット432に連結するよう構成されている近位端部436まで延在している。細長形ステム430は、このステムがアパーチャ68に位置付けられると、脛骨インサート20の長手軸58と一致するよう位置付けられている長手軸440を有する。
【0050】
例示的実施形態では、細長形ステム430は、近位端部436から遠位に延在するスパイン142を有しており、かつ遠位端部434から近位に延在する胴部444に接続されている。
図14に示されるように、胴部444は、円筒形本体を有する。細長形ステム130のスパイン142は、ヒンジピン164を収容するサイズにされている円筒形通路162(
図17を参照されたい)を有する。モジュラーインサート322はまた、スパイン142の通路162のいずれか一方の端部に位置付けられるサイズかつ形状にされている、一対のブッシング166、168を含む。通路174は、各ブッシング166、168を通って延在し、これらのブッシングは、ヒンジピン164の端部を収容するサイズにされている。通路162、174、及びヒンジピン164は、回転軸176を画定するよう協働し、モジュラーインサート322と共に組み立てられると、上記の回転軸の周りに、大腿骨コンポーネント312が関節接合する。
【0051】
上記のとおり、モジュラーインサート322は、大腿骨コンポーネント312の顆間ノッチ334に位置付けられるサイズにされているブラケット432を含む。
図15に示されているとおり、ブラケット432は、底部プレート480、及び底部プレート480から下方向に延在している一対のアーム182、184を含む。アーム182、184は、離間配置されており、こうして、細長形ステム430のスパイン142を収容するサイズにされているチャネル186は、これらのアーム間に画定される。アーム182、184はそれぞれ、チャネル186へと開口する孔188も有する。孔188は、ブッシング166、168のスリーブ172を収容するように整列されて、サイズにされている。
【0052】
上記のとおり、モジュラーインサート322は、保持用溝400を含み、この溝は、底部プレート480の後方端部と、底部プレート480から外側方向に延在している保持用フランジ482との間に画定されている。
図15に示されるように、フランジ482は、底部プレート480から上方に延在するアーム484、及びアーム484の端部から前方向に延在する別のアーム486を含む。アーム486は、底部プレート480から離間配置されており、こうして、溝400は、アーム484、486と底部プレート480との間に画定されている。
【0053】
モジュラーインサート322はまた、底部プレート180の前方端部を通り、下-上方向に延在する孔190を含む。
図1~13に関して上記のとおり、孔190は、フランジ102と共に、モジュラーインサート322を大腿骨コンポーネント312に連結するよう構成されている締結具192(
図14を参照されたい)を収容するサイズにされている。
【0054】
上記のとおり、ブラケット432は、大腿骨コンポーネント312の顆間ノッチ334に位置付けられるサイズにされている。例示的実施形態では、ブラケット432は、底部プレート480の側壁の間に画定されている内側-外側幅194を有する。内側-外側幅194は、ブラケット432が顆間ノッチ334に挿入されるのを可能にするよう、ノッチの幅以下になっている。例示的実施形態では、ヒンジピン164は、内側-外側幅194に等しい長さ、延在し、その結果、ヒンジピンはノッチ334にやはり挿入され得る。
【0055】
ここで
図17に戻ると、外科医は、大腿骨コンポーネント312の保持用縁部384をブラケット432の溝400に進入させて、モジュラーインサート322を大腿骨コンポーネント312に連結させることができる。外科医はまた、大腿骨コンポーネント312の通路116に孔190を整列させて、締結具192の細長形シャフト202を、孔190に通して通路116内に進入させてもよい。締結具192のヘッド部200がブラケット132と係合すると、ブラケット132(したがって、モジュラーインサート322)は、通路116及びシャフト202を画定する壁区域118の間のプレス嵌めにより、大腿骨コンポーネント312に連結される。外科医は、プラグ210を締結具192のヘッド部200に取り付けて、
図17に示されているヒンジ式整形外科用プロテーゼを形成することができる。整形外科用プロテーゼが、
図17に示されている伸張状態にあるとき、プラグ210は、モジュラーインサート22のスパイン142の前面と係合しており、大腿骨の顆28は、脛骨インサート20の近位表面60、62と係合している(
図17に図示せず)。
【0056】
ここで
図18に戻ると、整形外科用人工膝関節510の別の実施形態は、整形外科用人工膝関節システム10と同様の構成要素をいくつか含んでおり、この構成要素は、同じ参照番号により参照されている。プロテーゼ510は、脛骨インサート20を大腿骨コンポーネント554に連結するよう構成されているモジュラーインサート552を含む。一部の実施形態では、大腿骨コンポーネント554は、大腿骨コンポーネント12と同じであってもよい。他の実施形態では、大腿骨コンポーネント554は、後方カム556の前面に形成されている溝を含まない。
【0057】
モジュラーインサート552は、ブラケット562に連結されている細長形ステム560を含む。細長形ステム560は、脛骨インサート20のプラットフォーム52のアパーチャ68に挿入するよう構成されており、下-上方向に延在している。ブラケット562は、細長形ステム260のスパイン564に、ヒンジにより取り付けられている。ブラケット562は、内側-外側方向に延在している孔(図示せず)を含み、ヒンジピン164を収容するよう構成されている。ヒンジピン570は、細長形ステム560のスパイン564中の開口部(図示せず)を通り延在している。例示的実施形態では、一対のブッシング572は、孔566に置かれており、その結果、ヒンジピン570は、ブッシング572において開口部574を通って延在している。ブラケット562は、細長形ステム560に対してヒンジピン570の周りを枢動する。
【0058】
ブラケット562は、ブラケット562の後方端部582から延在するフランジ580を含む。フランジ580は、ブラケット562の後方端部582から延在する後方アーム584を含む。アーム586は、後方アーム584から下方向に延在する。アーム584、586は、ノッチ590を形成する。フランジ580は、大腿骨コンポーネント554の後方カム556に連結するよう構成されて、ブラケット562を大腿骨コンポーネント554に少なくとも一部、固定する。
【0059】
孔600は、ブラケット562の前方端部602を通り延在する。孔600は、大腿骨コンポーネント554のポスト24における通路116内に延在されている締結具610を収容するよう構成されている。締結具610は、ヒンジピン164に対して横向きに延在する。一部の実施形態では、締結具610は、ポスト24を通って延在する孔600内にねじ山が付けられたねじである。一部の実施形態では、締結具610は、ブラケット662中にしっかり固定されたねじであり、回転することができ、その結果、固定軸は、ポスト24を通り抜けて延在する通路116内へと通され得る。一部の実施形態では、上記のプラグは、締結具610の端部612の上に位置付けられてもよい。プラグが設けられて、プロテーゼ510の伸張を制限することができる。
【0060】
本開示の例示的な実施形態は、人工膝関節及び膝関節コンポーネント、並びに膝関節を埋め込んで再建する方法を包含するよう、以下に説明されて例示されている。以下で議論されている好ましい実施形態が、本質的に例示的なものであり、本発明の範囲及び趣旨から逸脱することなく再構成され得ることは、当業者にはやはり明白であろう。しかし、明確さ及び正確さのために、以下で議論されている例示的な実施形態は、本発明の範囲に含まれるために必要ではないものとして当業者が認識するはずである、任意選択的な工程、方法及び特徴を含むことができる。
【0061】
〔実施の態様〕
(1) 整形外科用プロテーゼであって、前記整形外科用プロテーゼは、
患者の大腿骨の外科的に準備された遠位端部に連結するよう構成されている大腿骨コンポーネントであって、前記大腿骨コンポーネントは、顆間ノッチを画定する離間配置された一対の顆を含み、顆はそれぞれ凸状湾曲顆表面を含む、大腿骨コンポーネントと、
患者の脛骨の外科的に準備された近位端部に連結するよう構成されているトレイ、及び前記トレイに枢動可能に連結されているプラットフォームを含む脛骨コンポーネントであって、前記プラットフォームが、前記大腿骨コンポーネントの前記凸状湾曲顆表面に対応する一対の凹状湾曲表面、及び前記凹状湾曲表面の間に位置付けられている近位開口部を含む、脛骨コンポーネントと、
前記大腿骨コンポーネントに選択的に連結するよう構成されているモジュラーインサートであって、前記モジュラーインサートが、前記大腿骨コンポーネントの前記顆間ノッチに位置付けられるサイズにされているブラケット、前記脛骨コンポーネントの前記プラットフォームに画定されている前記開口部に収容されるサイズにされている細長形ステム、前記細長形ステムを前記ブラケットに枢動可能に連結するヒンジピン、及び前記大腿骨コンポーネントを前記モジュラーインサートの前記ブラケットに固定するよう構成されている締結具を含む、モジュラーインサートとを備え、
前記プラットフォームが、下-上方向に延在する第1の軸の周りを枢動するよう構成されており、前記細長形ステムは、前記ブラケット及び前記大腿骨コンポーネントに対して第2の軸の周りに枢動するよう構成されており、前記第2の軸が、前記第1の軸に直交する内側-外側方向に延在している、整形外科用プロテーゼ。
(2) 前記締結具が前記ヒンジピンに対して横向きに延在する、実施態様1に記載の整形外科用プロテーゼ。
(3) 前記モジュラーインサートの前記ブラケットが、前記細長形ステムから斜めに設置された孔を含み、
前記締結具が、前記モジュラーインサートを前記大腿骨コンポーネントに連結させるように前記孔を通って延在するよう構成されている、実施態様1に記載の整形外科用プロテーゼ。
(4) 前記大腿骨コンポーネントが、前記一対の顆に対向して位置付けられているポストと、及び前記ポスト内へ延在する通路とを含み、
前記締結具が、前記通路内へ延在するよう構成されている、実施態様3に記載の整形外科用プロテーゼ。
(5) 前記ブラケットが、下面及び上面を含み、前記孔が、前記下面の開口部から前記上面の開口部まで延在している、実施態様3に記載の整形外科用プロテーゼ。
【0062】
(6) 前記ヒンジピンが、前記一対の顆の間の前記大腿骨コンポーネントの前記顆間ノッチに位置付けられるサイズにされている、実施態様1に記載の整形外科用プロテーゼ。
(7) 前記モジュラーインサートの前記ブラケットから延在しており、かつ前記大腿骨コンポーネントの表面と係合するよう構成されているフランジを更に備える、実施態様1に記載の整形外科用プロテーゼ。
(8) 前記フランジが、前記ブラケットの後方端部から延在している、実施態様7に記載の整形外科用プロテーゼ。
(9) 前記大腿骨コンポーネントが、前記顆間ノッチに位置付けられている後方カムを含み、前記後方カムが、前記モジュラーインサートの前記細長形ステムの後面と係合するよう構成されている前面を含み、
前記フランジが、前記大腿骨コンポーネントの前記後方カムの前記前面に形成された溝中に収容されている、実施態様7に記載の整形外科用プロテーゼ。
(10) 前記フランジが、第1のフランジであり、前記ブラケットが、前記ブラケットの近位表面から前記第1のフランジまで上方向に延在している第2のフランジを含み、前記第1のフランジは、前記近位表面から斜めに設けられており、こうして、チャネルが、前記第1のフランジと、前記第2のフランジと、前記近位表面との間に画定されており、前記チャネルが、前記大腿骨コンポーネントの一部を収容するサイズにされている、実施態様7に記載の整形外科用プロテーゼ。
【0063】
(11) 整形外科用プロテーゼアセンブリであって、前記整形外科用プロテーゼアセンブリは、
患者の大腿骨の外科的に準備された遠位端部に連結するよう構成されている大腿骨コンポーネントであって、前記大腿骨コンポーネントは、顆間ノッチを画定する離間配置された一対の顆を含み、顆はそれぞれ、凸状湾曲顆表面を含み、前記大腿骨コンポーネントは、底部面、及び前記底部面から延在している一対の平面内部側壁を更に含み、前記底部面及び前記内部側壁が、前記顆間ノッチを一部画定する、大腿骨コンポーネントと、
患者の脛骨の外科的に準備された近位端部に連結するよう構成されているトレイ、及び前記トレイに枢動可能に連結されているプラットフォームを含む脛骨コンポーネントであって、前記プラットフォームが、前記大腿骨コンポーネントの前記凸状湾曲顆表面に対応する一対の凹状湾曲表面、及び前記凹状湾曲表面の間に位置付けられている近位開口部を含む、脛骨コンポーネントと、
前記大腿骨コンポーネントに選択的に連結されるよう構成されているモジュラーインサートであって、前記モジュラーインサートが、前記大腿骨コンポーネントの前記顆間ノッチに位置付けられるサイズにされているブラケット、前記脛骨コンポーネントの前記プラットフォームに画定されている前記開口部に収容されるサイズにされている細長形ステム、前記細長形ステムを前記ブラケットに枢動可能に連結しているヒンジピンを含み、前記ヒンジピンが、前記大腿骨コンポーネントの前記内部側壁の間の距離よりも短い長さを有しており、前記モジュラーインサートが、前記大腿骨コンポーネントを前記モジュラーインサートの前記ブラケットに固定するよう構成されている締結具を更に含む、モジュラーインサートとを備え、
前記プラットフォームが、下-上方向に延在する第1の軸の周りを枢動するよう構成されており、前記細長形ステムが、前記ブラケット及び前記大腿骨コンポーネントに対して第2の軸の周りに枢動するよう構成されており、前記第2の軸が、前記第1の軸に直交する内側-外側方向に延在している、整形外科用プロテーゼアセンブリ。
(12) 前記ヒンジピンが、前記大腿骨コンポーネントの前記内部側壁の間に位置付けられるサイズにされている、実施態様11に記載のアセンブリ。
(13) 前記ブラケットが、前記大腿骨コンポーネントの前記内部側壁間の距離よりも短い距離、離間されている一対の外部側壁を含む、実施態様11に記載のアセンブリ。
(14) 前記大腿骨コンポーネントの前記内部側壁が、内側壁及び外側壁を含み、
前記ブラケットの前記外部側壁が、内側壁及び外側壁を含む、実施態様13に記載のアセンブリ。
(15) 前記締結具が前記ヒンジピンに対して横向きに延在する、実施態様11に記載のアセンブリ。
【0064】
(16) 前記締結具が、前記細長形ステムの下方/上方軸に対して角度が設けられた軸に沿って延在している、実施態様15に記載のアセンブリ。
(17) 前記モジュラーインサートの前記ブラケットから延在しており、かつ前記大腿骨コンポーネントの表面と係合するよう構成されている、フランジを更に備える、実施態様11に記載のアセンブリ。
(18) 前記フランジが、前記ブラケットの後方端部から延在している、実施態様17に記載のアセンブリ。
(19) 前記フランジが、前記大腿骨コンポーネントの後方カムの前面に形成された溝中に収容されている、実施態様17に記載のアセンブリ。
(20) 整形外科用大腿骨コンポーネントであって、前記整形外科用大腿骨コンポーネントが、
顆間ノッチを画定する離間配置された一対の顆であって、顆がそれぞれ、凸状湾曲顆表面を含む、一対の顆と、
前記顆間ノッチを一部画定する空洞を画定する、底部面、及び前記底部面から延在している一対の平面内部側壁と、
前記顆間ノッチに位置付けられている後方カム、及び前記後方カムの前面に形成されている溝とを備え、
前記空洞が、モジュラーインサートのブラケットを収容するサイズにされており、前記溝が、前記モジュラーインサートのフランジを収容するよう構成されている、整形外科用大腿骨コンポーネント。