(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-22
(45)【発行日】2024-01-05
(54)【発明の名称】力及び電磁感知を使用して虚血性脳卒中を治療するための血塊を検出及び除去するためのデバイス及び方法
(51)【国際特許分類】
A61B 17/22 20060101AFI20231225BHJP
【FI】
A61B17/22
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019105110
(22)【出願日】2019-06-05
【審査請求日】2022-05-27
(32)【優先日】2018-06-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】513069064
【氏名又は名称】デピュイ・シンセス・プロダクツ・インコーポレイテッド
【住所又は居所原語表記】325 Paramount Drive, Raynham MA 02767-0350 United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】ジェットミア・パルシ
(72)【発明者】
【氏名】ファテメ・ホーマ・アクバリアン
【審査官】和田 将彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-090114(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/22
A61M 25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内側ルーメンを有するカテーテルの遠位端に配設され、中央ルーメンを有する力感知素子であって、
信号を放出し、かつ前記
力感知素子の近位端に
位置している、電磁送受信機と、
前記信号を受信し、前記
力感知素子の
遠位端に
位置し、前記
力感知素子
の長手方向に沿って
移動可能であり、かつ位置信号を生成する、電磁センサと、
前記送受信機と前記
電磁センサとの間に配設され、前記
電磁センサの近位移動に対する抵抗を提供する、バネと、を備え、
前記
電磁センサが第1の位置にあるとき、前記
電磁センサによって受信された前記信号は、第1の周波数及び第1の電力を含み、
前記
電磁センサが第2の位置にあるとき、前記
電磁センサによって受信された前記信号は、第2の周波数及び第2の電力を含み、
前記位置信号が、前記第1の周波数
および前記第2の周波数
に基づいて生成されるか、
又は、前記第1の電力
および前記第2の
電力に基づいて生成される、力感知素子。
【請求項2】
前記電磁センサが、高速解剖学的マッピング(FAM)センサを更に含む、請求項1に記載の力感知素子。
【請求項3】
前記電磁センサが前記第1の位置にある際の前記送受信機と前記電磁センサとの間の距離は、前記電磁センサが前記第2の位置にある際の前記送受信機と前記電磁センサとの間の距離よりも大きい、請求項1に記載の力感知素子。
【請求項4】
前記バネが、前記
電磁センサを移動させるのに必要な力の量を制御するバネ定数を更に含む、請求項1に記載の力感知素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、力感知及び高速解剖学的マッピングセンサパッケージ並びに新規な塊捕捉デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
虚血性脳卒中は、2種類の脳卒中のうち最も一般的である(約75%)。他の種類の脳卒中は出血性脳卒中であり、これは、動脈瘤の治療を扱う。虚血性脳卒中は、脳に血液を供給する血管が血管内腔内のプラーク蓄積によって閉塞したときに生じる。これにより、脳への血液供給の中断がもたらされ、血塊に起因して虚血性脳卒中が生じる。
【0003】
現在のデバイスは、ガイドワイヤの補助を介して、血塊領域に前進される。ガイドワイヤは、感触的フィードバックによって塊領域内に配置される。外科医が血塊領域内にあると考えると、外科医はカテーテル及び塊回収デバイスを前進させる。塊がガイドワイヤ導入のポイントから遠く離れて位置するため、力フィードバックは常に正確であるとはいえない。加えて、ガイドワイヤの前進は、誤った通路内で前進される可能性があり、外科医は、ガイドワイヤから抵抗が感じられるまで、再び異なる通路を再試行しなければならない。
【0004】
更に、現在の撮像技術は、ガイドワイヤ/カテーテルの移動を追跡するためにX線透視放射線を使用する。X線透視法は、撮像され、ビデオモニタへ送信される身体部分に連続X線ビームを通過させることを含み、身体部分及びガイドワイヤ/カテーテルの動きを詳細に見ることができる。蛍光透視法の使用は、曝露直後に生じる皮膚及び下層組織に対する放射線により誘発される損傷(「火傷」)、並びに放射線に誘発される癌を含む放射線に関連する危険性に関連付けられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、高精度で塊領域に到達し、放射線の有害な使用を回避することができるデバイスが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の例は、中央ルーメンを有する力感知素子を含むことができる。この例は、内側ルーメン、遠位端、及び遠位端に配設された感知素子を含むカテーテルを有することができる。電磁送受信機は、信号を放出又は受信することができ、感知素子の近位端に固定される。電磁センサは、信号を受信することができ、感知素子の遠位端に配設される。センサは、感知素子に沿って摺動可能であり、位置信号を生成することができる。バネは、送受信機とセンサとの間に配設されて、センサの近位移動に対する抵抗を提供することができる。センサが第1の位置にあるとき、センサによって受信される信号は、第1の周波数及び第1の電力を有することができ、センサが第2の位置にあるとき、センサによって受信される信号は、第2の周波数及び第2の電力を有することができる。また、位置信号は、第1の周波数、第2の周波数、第1の電力、及び第2の電力のうちの少なくとも1つに基づいて生成される。力感知素子はまた、高速解剖学的マッピングセンサを有することができる。
【0007】
上記の力感知素子はまた、感知素子上の完全な遠位位置である第1の位置と、送受信機の近くの近位位置である第2の位置と、を有することができる。バネ定数は、センサを移動させるために必要とされる力の量を制御することができる。
【0008】
中央ルーメンを有する電磁感知素子は、近位端と遠位端と内側ルーメンとを有する中空管を含んでもよく、コイルは、管の周囲に巻かれ、内側ルーメンの外側に配設され、マッピング信号を提供することができる。ワイヤは、コイルに接続され、マッピング信号をプロセッサに送信することができ、中央ルーメンは、神経血管デバイスを通過させるように構成された内径を有する。管は、概して電磁感知素子の長さである中空剛性フェライト管であり得、ワイヤはツイストペアであり得る。
【0009】
血管内の閉塞物を除去するためのデバイスの一実施例は、送達管と、送達管内に配設された前進位置及び捕捉位置を有する捕捉アンカーとを含み得る。捕捉アンカーが前進位置にあるとき、捕捉アンカーは、送達管の中心軸と概して平行であり、捕捉位置では、複数のアンカーのそれぞれの遠位端は外向きに拡張し、近位方向に湾曲する。実施例において。閉塞物は、複数のアンカーのそれぞれの湾曲内に捕捉される。更に、捕捉アンカーは、周囲方向に拡張することができる。
【0010】
血塊を検出及び回収する方法は、患者の血管を通して塊感知素子を有するカテーテルを前進させる工程を含むことができる。カテーテルは、塊感知素子の遠位端に配設された電磁センサを使用して、患者の血管をマッピングすることができる。力センサは、塊感知素子が患者の血管内の塊と接触したことを示す位置信号を生成することができる。一旦位置付けがされると、血塊回収デバイスは、カテーテル及び塊感知素子内のルーメンを通して展開されて、患者の血管から血塊を除去することができる。
【0011】
展開する工程は、前進位置にある複数の捕捉アンカーを使用して塊を貫通する工程と、複数の捕捉アンカーを捕捉位置に拡張する工程と、血塊の一部と共に血塊回収デバイスをカテーテル内に引き戻す工程と、を更に含み得る。引き戻しは、カテーテルを通じて吸引することを更に含むことができる。
【0012】
生成する工程は、塊感知素子の近位端に電磁送受信機を配設する工程と、送受信機から第1の距離で、塊感知素子の遠位端に電磁センサを配設する工程と、を含み得る。バネは、送受信機とセンサとの間に配設されて、このバネは、センサの近位移動に対する抵抗を提供することができる。信号は、送受信機から放出され、センサにおいて受信され得る。センサの近位移動は、信号の周波数の変化及び信号の電力の変化のうちの少なくとも1つに基づいて、決定され得る。位置信号は、センサの近位移動に基づいて生成され得る。
【0013】
受信する工程は、センサが第1の距離にあるときに第1の周波数及び第1の電力を含む信号をセンサにおいて受信することと、センサが第1の距離よりも短い第2の距離にあるときに第2の周波数及び第2の電力を含む信号をセンサにおいて受信することと、を含むことができる。第1の周波数から第2の周波数への変化は、第1の距離から第2の距離への変化に基づくことができ、第1の電力から第2の電力への変化は、第1の距離から第2の距離への変化に基づく。
【0014】
マッピングする工程は、近位端、遠位端、及び内側ルーメンを含む中空管を配設することができる。コイルは、管の周囲に巻かれ、内側ルーメンの外側に配設され、マッピング信号を提供することができる。ワイヤは、コイルに接続され、マッピング信号をプロセッサに送信することができ、内側ルーメンは、神経血管デバイスを通過させるように構成された内径を有する。中空管は、概して電磁感知素子の長さである中空剛性フェライト管を有することができ、ワイヤはツイストペアであり得る。
【図面の簡単な説明】
【0015】
本発明の上述の態様及び更なる態様は、添付図面と共に以下の説明を参照することによって更に詳しく説明され、添付図面において、種々の図の同様の数字は同様の構造要素及び特徴を示す。図面は、必ずしも縮尺どおりではなく、代わりに、本発明の原理を例示することに主眼が置かれている。図は、限定としてではなく単なる例示として、本発明のデバイスの1つ又は2つ以上の実現例を描写している。
【
図1】カテーテル及びアドバンサ上に配設された感知素子の前面斜視図である。
【
図2A】非収縮位置にある力感知素子の側面図である。
【
図2B】典型的には閉塞物と接触している、収縮位置にある力感知素子の側面図である。
【
図3A】休止位置にある、信号を伴う送受信機及びセンサの図である。
【
図3B】接触位置にある、信号を伴う送受信機及びセンサの図である。
【
図5】肺の高速解剖学的マッピング(Fast Anatomical Mapping、FAM)分枝によって作成された3D画像の一例である。
【
図6】前進位置にある、本発明の閉塞物捕捉デバイスの前面斜視図である。
【
図7】捕捉位置にある、本発明の閉塞物捕捉デバイスの前面斜視図である。
【
図8A】閉塞物に遭遇する脈管構造内の閉塞物の感知及び捕捉デバイスを示す。
【
図10】本発明の方法の一例の別のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1、
図2A、及び
図2Bは、中央ルーメン16を有する、力検出を使用する閉塞物感知素子100を示す。
図1は、近位端12と、遠位端14と、内側ルーメン16とを有するカテーテル10を示す。近位端12には、カテーテル10を操縦するためのハンドル、本発明を支持する特定の電子機器、及び閉塞物捕捉デバイス300のためのアドバンサがあり得る。カテーテル10の遠位端14には、力感知素子100が配設され得る。
【0017】
力感知素子100は、近位端102と、遠位端104と、それらの間の間隙106とを含むことができる。電磁送受信機108は、力感知素子100の近位端102に固定することができる。電磁センサ110は、力感知素子100の遠位端104に配設され、間隙106によって送受信機108から分離することができる。電磁センサ110はまた、力感知素子100に沿って摺動可能である。バネ112は、送受信機108とセンサ110との間に配設されて、センサ110の近位移動に対する抵抗を提供する。
【0018】
閉塞物感知素子100は、カテーテル10の先端が脈管構造V内の閉塞物Cと接触するかどうかを判定する力感知素子として機能する(
図3A及び
図3Bを参照)。閉塞物Cは、典型的には血塊であるが、センサは、以前に展開されたステント又は他の天然若しくは埋め込まれた特徴を含む任意の閉塞物への影響を感知するために使用することができる。閉塞物Cとの接触を判定するために、送受信機108は信号114を送信することができ、その信号はセンサ110によって受信される。センサ110は、カテーテル10に沿って変位可能であり、バネ112は遠位方向に向けられた力を印加する。センサ110が閉塞物Cに接触すると、それは近位方向に押され、センサ110と送受信機108との間の間隙106を閉じていく。別の言い方をすれば、非接触状態では、間隙106は、静止間隙長GLを有し、その後、接触すると、間隙106は収縮し、センサ110と送受信機108との間の距離は、ここで接触間隙長GL1となる。接触間隙長GL1は、静止間隙長GLよりも常に小さい(すなわち、GL>GL1)。この距離の変化は、受信信号の性質を変化させ、位置信号をもたらす。
【0019】
センサ110は、送受信機108から受信されている信号が周波数F1又は周波数F2又は周波数Fnの周波数を有するかどうかを検出することができる。送受信機108はその後、一実施例では、固定された初期周波数及び/又は波長で、送受信機108が信号を放出するため、送受信機108に対するセンサ110の相対的な位置を知ることができる。センサ110は、信号を受信/送信することができるコイルであり得る。一実施例では、センサ110は、受信した信号に基づいて充電及び放電する受動コイルであり得る。
【0020】
送受信機108からの放出信号は、バネ112の圧縮を検出するための周波数を有することができる。バネ圧縮は、血塊Cの変動に基づいて十分な距離変化を有することができるように、バネ定数(k)で調整することができる。血塊Cがバネ112に当たると、バネは圧縮し、カテーテル10が血塊に当たっていないときよりも小さい距離をもたらす。この圧縮により、送受信機108からセンサ110への信号がより速く移動し、信号がより高い強度を有することができる。したがって、センサ110は、カテーテル10の遠位端14が閉塞物Cに遭遇したかどうかを検出することができる。
図3A及び
図3Bを参照。
【0021】
あるいは、センサ110が第1の位置にある、すなわち接触していないとき、センサ110によって受信される信号114は、
図3Aに示すように、第1の周波数F1と、波長λ1と、第1の電力P1とを含む。送受信機108及びセンサ110は、完全な間隙長GLを有する静止位置にある。センサ110が閉塞物Cに接触すると、センサは第2の位置(閉塞物接触)に移動し、センサ110によって受信された信号114は、ここで、
図3Bに示されるように、第2の波長λ2に起因する第2の周波数F2と、第2の電力P2とを有する。
【0022】
当業者であれば、周波数及び波長は、光の速度(c)に関連すること、F=c/λを認識する。移動中にセンサ110によって識別される周波数/波長の知覚される変化は、ドップラー効果の産物であり得る。放出周波数F1及び第2の周波数F2を知ることにより、センサ110が移動した距離を計算することができる。加えて、バネ112のバネ定数(k)を知ることにより、センサ110を検出された距離に移動させるのに必要とされた力がどれ程であるかを計算することが可能となる。次いで、必要とされた力を使用して、閉塞物Cの一般的な性質を決定することができる。送信及び受信された信号電力P1、P2の差を較正して、センサ110が移動した距離を決定することもできる。センサ110が送受信機108のより近くに移動すると、電力が増加する。したがって、位置信号は、第1の周波数F1、第2の周波数F2、第1の電力P1、及び/又は第2の電力P2に基づいて生成され得る。力感知素子100はまた、以下に記載されるように、高速解剖学的マッピング(FAM)センサを含むことができる。
【0023】
図4及び
図5は、中央ルーメン206を有する高速解剖学的マッピング(FAM)センサ又は電磁感知素子200の更なる例を示す。電磁感知素子200は、近位端202と、遠位端204と、それらを通るルーメン206とを有する。内側ルーメン206は、神経血管デバイスを通過させるように構成された内径IDを有する。電磁感知素子200は、近位端202及び遠位端204から広がる中空管208を有することができ、内側ルーメン206を共有する。コイル210は、管208の周りに巻かれ、内側ルーメン206の外側に配設されることができ、マッピング信号を提供することができる。ワイヤ212は、コイル210に接続され、マッピング信号をプロセッサ214に送信することができる。典型的なFAMセンサは、神経血管デバイスを通過させるための内側ルーメン206を有さない。この場合、マッピングが最初に行われなければならず、その後に神経血管デバイスを導入することができるため、外科的プロセスに余分な工程を追加される。本発明では、マッピングを実行しながら、神経血管デバイスを導入することができる。したがって、塊回収デバイスは、電磁感知素子200の位置の精度を妥協することなく導入及び使用することができる。
【0024】
電磁感知素子200の一例は、以下のように構築されたコイル様インダクタであり得る。非常に薄い層の中空剛性フェライト管208は、電磁感知素子200のおよその長さLであり得、内径IDは、カテーテルシース(図示せず)の内径と同じであり得る。ワイヤ(コイル)210は、薄層フェライト管208上に巻くことができる。センサワイヤ212、一実施例では、細いツイストペアワイヤは、接合物を介して、センサコイルから処理ユニット214へマッピング信号を搬送するセンサとして機能する巻き取られたコイル210上へ取り付けることができる。電磁感知素子200の開放内径ID/ルーメン206は、神経血管器具が通過することを可能にする。
【0025】
電磁感知素子200をデバイスの遠位端204に配設することにより、外科医は、閉塞物/血塊Cの位置を特定しようとするときに、カテーテルの血管内での場所を正確に知ることができる。これは、カテーテル10が前進する際に3D画像をプロットすることによって行われる。
図5は、血管分枝と非常に類似している肺気道分枝のプロットを示す。利点の1つは、3D画像が構築されるある方向にカテーテルを前進させ、そこで血塊が見つからない場合、外科医は同じ通路を再び追求する必要がないことである。
【0026】
図6及び
図7は、患者の血管V内の塊/閉塞物Cを除去するためのデバイス300の一例を示す。デバイス300は、上記の素子100、200のうちの少なくとも1つを使用して閉塞物Cが位置付けられるとカテーテル10を通過するようにサイズ決めされた送達管302を含む。複数の捕捉アンカー304は、送達管302内に配設される。捕捉アンカー304は、形状記憶材料で作製することができ、それらは、前進位置及び捕捉位置を有することを可能にする。前進位置では、捕捉アンカー304は概して真っ直ぐであり、送達管302の中心軸306と概して平行である。この位置は
図6に示されており、デバイス300がカテーテル10を通って処置位置まで容易に移動することを可能にする。捕捉アンカー304の概して真っ直ぐな性質はまた、血塊を貫通するのを補助する(
図8Bを参照)。
【0027】
捕捉アンカー304が捕捉位置にあるとき、複数のアンカー304のそれぞれの遠位端308が外向きに拡張し、湾曲310は近位側である。別の言い方をすれば、捕捉アンカー304は、中心軸306から離れるように拡張するときに、「開花し」、アンカー304の先端は、送達管302に向かって後方に湾曲する。あるいは、複数の捕捉アンカー304は、周囲方向に拡張することができる。したがって、アンカー304の最も遠位の部分は曲線310であり、アンカー304の先端部308は近位方向に向いている。捕捉アンカー304が湾曲するにつれて、捕捉アンカー304は、それらが展開される血管の直径の大きさくらいまで拡張する。このようにして、アンカーは、塊Cの大部分に食い込み、血管から塊を除去することができる。送達管302がカテーテル10内に引き戻されるとき、閉塞物Cは、アンカー304によって捕捉され、かつ複数のアンカー304のそれぞれの湾曲310内に捕捉される。あるいは、閉塞物Cは、カテーテル10の中まで変位される必要はないが、カテーテル10及び送達管302の両方を近位側に変位させることによって除去される。吸引は、カテーテル10を通じて行うことができ、このとき、血塊は移動して、解放されて通過している血流から、塊の任意の漂遊片を減少させるか又は排除する。一実施形態では、アンカー304は、スプリングテンパー型ステンレス鋼などの弾性材料、又はより好ましくは、ニチノールなどの超弾性材料により、作製することができる。
【0028】
図8A~
図8Cは、塊C除去の一例を示す。カテーテル10は、複数の血管を通って前進され、一方、電磁感知素子200を使用して3D画像が作成される(高速解剖学的マッピング)。カテーテル10は、力センサ100によってカテーテル10の先端で抵抗が感知されるまで前進される。これは、典型的には、塊Cが位置付けられたことを示す。
図8Aを参照。次に、血塊回収デバイス300は、塊が完全に破壊されるまで、直線前進位置にあるニチノールアンカー304を用いて展開される。
図8Bを参照。アンカー304は、それらの捕捉位置へと更に前進させられ、結果として、複数のニチノールの予備形成された形状が、血管Vの壁に向かって周囲方向に拡張する。最後に、塊Cをカテーテルルーメン16内に引き込むことができ、システム全体を除去することができる。
【0029】
図9及び
図10は、患者の血管Vを通って塊感知素子100、200を有するカテーテル10を前進させる工程(工程400)を有する、血塊を検出及び回収する方法を示す。塊感知素子の遠位端に配設された電磁センサ200を使用して、患者の血管Vは、FAMを使用してリアルタイムでマッピングすることができる(工程402)。カテーテル10の先端が塊に接触すると、力センサ100は、塊感知素子100、200が患者の血管V内の塊Cと接触したことを示す位置信号を生成する(工程404)。血塊回収デバイス300は、カテーテル10及びルーメン16、206を通して展開されて、患者の血管Vから塊Cを除去することができる(工程406)。
【0030】
展開する工程(工程406)はまた、前進位置にある複数の捕捉アンカー304を使用して塊Cを貫通することを含み得る(工程408)。複数の捕捉アンカー304は、捕捉位置に拡張されることができ(工程410)、血塊回収デバイス300は、血塊Cの少なくとも一部と共にカテーテル10内に引き戻される(工程412)。引き戻し工程(412)はまた、カテーテル10を通じて吸引することも含み得る(工程414)。
【0031】
生成する工程(工程404)は、電磁送受信機108を塊感知素子100、200の近位端102に配設する工程(工程416)と、電磁センサ110を送受信機108からの第1距離GLに配設する工程(工程418)と、を有し得る。バネ112は、送受信機108とセンサ110との間に配設されて、バネ112は、センサ110の近位移動に対する抵抗を提供することができる(工程420)。送受信機108は、センサ110において受信することができる(工程424)信号を放出することができる(工程422)。一実施例において、プロセッサは、信号の周波数の変化及び信号の電力の変化のうちの少なくとも1つに基づいて、センサ110の近位移動を決定することができる(工程426)。これは、センサ100の近位移動に基づいて位置信号を生成することができる(工程428)。放出された信号は、一実施例では、固定波長/周波数であり得る。
【0032】
受信する工程(工程424)は、センサ110が第1の距離GLにあるときに、第1の周波数及び第1の電力を含む信号をセンサ110において受信すること(工程430)と、次いで、センサ110が第1の距離GLよりも短い第2の距離GL1にあるときに、第2の周波数及び第2の電力を含む信号をセンサ110において受信すること(工程432)と、を含むことができる。第1の周波数から第2の周波数への変化は、第1の距離GLから第2の距離GL1への変化に基づくことができる。更に、第1の電力から第2の電力への変化は、第1の距離から第2の距離への変化に基づくこともできる。
【0033】
マッピングする工程(工程402)は、近位端及び遠位端202、204と、内側ルーメン206とを有する中空管208を配設することを含み得る(工程434)。次いで、管208の周囲にコイル210を巻き付け、内側ルーメン206の外側に配設することにより、マッピング信号を提供し(工程436)、ワイヤ212をコイル210に接続して、マッピング信号をプロセッサ214に送信する(工程438)。内側ルーメン206は、塞栓コイル、フローダイバータ、及びステントなどの神経血管デバイスを通過させるように構成された内径IDを有することができる。
【0034】
上述したように、中空管208は、概して電磁感知素子200の長さである中空剛性フェライト管を有することができ、ワイヤ212はツイストペアであり得る。
【0035】
上記の実施例は、放射線不透過性であり、蛍光透視下で可視である1つ又は2つ以上の素子を企図することに留意されたい。素子は、カテーテル10を患者内で前進させるとき及び患者外へと後退させるときに、マーカーとして使用することができる。
【0036】
最良の形態及び/又は他の実施例と見なされるものについて上記に記載してきたが、各種変更が可能であり、本明細書に開示する主題が様々な形態及び実施例で実践されてもよく、本教示は多数の用途に適用されてもよく、その一部のみが本明細書に記載されていることを理解されたい。以下の「特許請求の範囲」によって、本教示の真の範囲内にある、ありとあらゆる応用、修正、及び変形について請求するものとする。
【0037】
〔実施の態様〕
(1) 中央ルーメンを有する力感知素子であって、
内側ルーメン、遠位端、及び前記遠位端に配設された前記感知素子を含むカテーテルと、
信号を放出又は受信することのうちの少なくとも1つを行い、かつ前記感知素子の近位端に固定されている、電磁送受信機と、
前記信号を受信し、前記感知素子の前記遠位端に配設され、前記感知素子に沿って摺動可能であり、かつ位置信号を生成する、電磁センサと、
前記送受信機と前記センサとの間に配設され、前記センサの近位移動に対する抵抗を提供する、バネと、を備え、
前記センサが第1の位置にあるとき、前記センサによって受信された前記信号は、第1の周波数及び第1の電力を含み、
前記センサが第2の位置にあるとき、前記センサによって受信された前記信号は、第2の周波数及び第2の電力を含み、
前記位置信号が、前記第1の周波数、前記第2の周波数、前記第1の電力、及び前記第2の電力のうちの少なくとも1つに基づいて生成される、力感知素子。
(2) 前記電磁センサが、高速解剖学的マッピング(FAM)センサを更に含む、実施態様1に記載の力感知素子。
(3) 前記第1の位置が、前記感知素子上の完全な遠位位置であり、
前記第2の位置が、前記送受信機の近くの近位位置である、実施態様1に記載の力感知素子。
(4) 前記バネが、前記センサを移動させるのに必要な力の量を制御するバネ定数を更に含む、実施態様1に記載の力感知素子。
(5) 中央ルーメンを有する電磁感知素子であって、
近位端、遠位端、及び内側ルーメンを含む中空管と、
前記管の周囲に巻かれ、前記内側ルーメンの外側に配設され、かつマッピング信号を提供するコイルと、
前記コイルに接続され、かつ前記マッピング信号をプロセッサに送信するワイヤと、を備え、
前記中央ルーメンが、神経血管デバイスを通過させるように構成された内径を有する、電磁感知素子。
【0038】
(6) 前記管が、概して前記電磁感知素子の長さである中空剛性フェライト管を含み、
前記ワイヤが、ツイストペアである、実施態様5に記載の電磁感知素子。
(7) 血管内の閉塞物を除去するためのデバイスであって、
送達管と、
前進位置及び捕捉位置を含む、前記送達管内に配設された複数の捕捉アンカーと、を備え、
前記複数の捕捉アンカーが前記前進位置にあるとき、それらは前記送達管の中心軸と概して平行であり、
前記複数の捕捉アンカーが前記捕捉位置にあるとき、前記複数のアンカーのそれぞれの遠位端は外向きに拡張し、近位側に湾曲する、デバイス。
(8) 前記閉塞物が、前記複数のアンカーのそれぞれの前記湾曲内に捕捉される、実施態様7に記載のデバイス。
(9) 前記複数の捕捉アンカーが周囲方向に拡張する、実施態様7に記載のデバイス。
(10) 血塊を検出及び回収する方法であって、
患者の血管を通して塊感知素子を有するカテーテルを前進させる工程と、
前記塊感知素子の遠位端に配設された電磁センサを使用して、前記患者の血管をマッピングする工程と、
前記塊感知素子が前記患者の血管内の前記塊と接触したことを示す位置信号を力センサから生成する工程と、
前記カテーテル及び前記塊感知素子内のルーメンを通して血塊回収デバイスを展開させて、前記患者の血管から前記塊を除去する工程と、を含む、方法。
【0039】
(11) 前記展開する工程が、
前進位置にある複数の捕捉アンカーを使用して、前記塊を貫通する工程と、
前記複数の捕捉アンカーを捕捉位置に拡張する工程と、
前記血塊の一部と共に前記血塊回収デバイスを前記カテーテル内に引き戻す工程と、を更に含む、実施態様10に記載の方法。
(12) 前記引き戻す工程が、前記カテーテルを通して吸引する工程を更に含む、実施態様11に記載の方法。
(13) 前記生成する工程が、
前記塊感知素子の近位端に電磁送受信機を配設する工程と、
前記送受信機から第1の距離で、前記塊感知素子の前記遠位端に電磁センサを配設する工程と、
前記送受信機と前記センサとの間にバネを配設する工程であって、前記バネが、前記センサの近位移動に対する抵抗を提供する、工程と、
前記送受信機から信号を放出する工程と、
前記センサにおいて前記信号を受信する工程と、
前記信号の周波数の変化及び前記信号の電力の変化のうちの少なくとも1つに基づいて、前記センサの前記近位移動を決定する工程と、
前記センサの前記近位移動に基づいて前記位置信号を生成する工程と、を含む、実施態様10に記載の方法。
(14) 前記受信する工程が、
前記センサが前記第1の距離にあるときに、第1の周波数及び第1の電力を含む前記信号を前記センサにおいて受信する工程と、
前記センサが前記第1の距離よりも短い第2の距離にあるときに、第2の周波数及び第2の電力を含む前記信号を前記センサにおいて受信する工程と、を含み、
前記第1の周波数から前記第2の周波数への前記変化が、前記第1の距離から前記第2の距離への前記変化に基づいており、
前記第1の電力から前記第2の電力への前記変化が、前記第1の距離から前記第2の距離への前記変化に基づいている、実施態様13に記載の方法。
(15) 前記マッピングする工程が、
近位端、及び遠位端、及び内側ルーメンを含む中空管を配設する工程と、
前記内側ルーメンの外側に配設され、マッピング信号を提供するコイルを前記管の周囲に巻き付ける工程と、
ワイヤを前記コイルに接続し、前記マッピング信号をプロセッサに送信する工程と、を含み、
前記内側ルーメンが、神経血管デバイスを通過させるように構成された内径を有する、実施態様10に記載の方法。
【0040】
(16) 前記中空管が、概して前記電磁感知素子の長さである中空剛性フェライト管を含み、
前記ワイヤが、ツイストペアである、実施態様15に記載の方法。