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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-22
(45)【発行日】2024-01-05
(54)【発明の名称】処理システム及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G01C 21/20 20060101AFI20231225BHJP
   G01C 21/34 20060101ALI20231225BHJP
   G08G 5/04 20060101ALI20231225BHJP
   B64C 39/02 20060101ALI20231225BHJP
   G09B 29/10 20060101ALI20231225BHJP
【FI】
G01C21/20
G01C21/34
G08G5/04 A
B64C39/02
G09B29/10 A
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019132205
(22)【出願日】2019-07-17
(65)【公開番号】P2021018080
(43)【公開日】2021-02-15
【審査請求日】2022-05-31
(73)【特許権者】
【識別番号】597151563
【氏名又は名称】株式会社ゼンリン
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100181618
【弁理士】
【氏名又は名称】宮脇 良平
(74)【代理人】
【識別番号】100162259
【弁理士】
【氏名又は名称】末富 孝典
(74)【代理人】
【識別番号】100146916
【弁理士】
【氏名又は名称】廣石 雅紀
(74)【代理人】
【識別番号】100147924
【弁理士】
【氏名又は名称】美恵 英樹
(72)【発明者】
【氏名】益田 勝也
(72)【発明者】
【氏名】粟井 康全
(72)【発明者】
【氏名】池田 浩平
【審査官】▲高▼木 真顕
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-011971(JP,A)
【文献】特開2019-113808(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0011934(US,A1)
【文献】特開2013-205300(JP,A)
【文献】特開2018-018302(JP,A)
【文献】特開2018-165930(JP,A)
【文献】特開2018-146946(JP,A)
【文献】特開2005-274994(JP,A)
【文献】特表2020-518824(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 21/00 - 21/36
G09B 29/00 - 29/14
G08G 1/00 - 99/00
G05D 1/00 - 1/12
B64B 1/00 - 1/70
B64C 1/00 - 99/00
B64D 1/00 - 47/08
B64F 1/00 - 5/60
B64G 1/00 - 99/00
B64U 10/00 - 80/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水域と交差する構造物の位置を示す位置情報を含む構造物情報に基づいて、飛行体の位置を特定する位置特定部を備え、
前記位置情報には、前記水域に対する前記構造物の交差開始地点に関する交差開始地点情報及び前記水域に対する前記構造物の交差終了地点に関する交差終了地点情報が含まれており、前記位置特定部は、前記飛行体の下方を撮影した撮影画像に含まれる前記構造物のエッジと、前記撮影画像の中心点と、前記飛行体が検出した前記飛行体の推定飛行高度を示す推定高度情報と、前記交差開始地点情報と、前記交差終了地点情報と、に基づいて前記飛行体の水平位置を特定する、処理システム。
【請求項2】
前記位置特定部が行う前記飛行体の位置を特定する処理には、飛行体が前記構造物の上空を飛行していることを特定することが含まれる、請求項1に記載の処理システム。
【請求項3】
前記構造物情報に基づいて前記構造物を認識し、前記飛行体が前記構造物の上を越えて該構造物を回避する飛行経路を設定する経路設定部をさらに備える、請求項1に記載の処理システム。
【請求項4】
前記経路設定部は、前記構造物情報に対応する前記構造物の形状をあらわす形状情報に基づいて、前記飛行経路を設定する、請求項3に記載の処理システム。
【請求項5】
前記位置特定部は、前記交差開始地点情報及び前記交差終了地点情報に基づいて算出される前記構造物の幅と、前記撮影画像上の前記構造物の幅と、を比較することで前記飛行体の飛行高度を特定する、請求項1に記載の処理システム。
【請求項6】
構造物情報を制御部に取得させる機能を実現するプログラムであって、
前記構造物情報は、水域と交差する構造物の位置を示す位置情報を含み、
記制御部は、前記構造物情報に基づき、飛行体の位置を特定する機能を含み、
前記位置情報には、前記水域に対する前記構造物の交差開始地点に関する交差開始地点情報及び前記水域に対する前記構造物の交差終了地点に関する交差終了地点情報が含まれており、
前記制御部は、前記飛行体の下方を撮影した撮影画像に含まれる前記構造物のエッジと、前記撮影画像の中心点と、前記飛行体が検出した前記飛行体の推定飛行高度を示す推定高度情報と、前記交差開始地点情報と、前記交差終了地点情報と、に基づいて前記飛行体の水平位置を特定する機能を含む、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飛行体制御システム及び位置特定用データのためのデータ構造等に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ドローンなどの飛行体の移動を支援する目的で、飛行体の安全な飛行ルートを設定する技術が提供されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-21004号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、飛行体を適切に誘導制御することを可能とする処理システム及びプログラムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一実施態様として、水域と交差する構造物の位置を示す位置情報を含む構造物情報に基づいて、飛行体の位置を特定する位置特定部を備え、前記位置情報には、前記水域に対する前記構造物の交差開始地点に関する交差開始地点情報及び前記水域に対する前記構造物の交差終了地点に関する交差終了地点情報が含まれており、前記位置特定部は、前記飛行体の下方を撮影した撮影画像に含まれる前記構造物のエッジと、前記撮影画像の中心点と、前記飛行体が検出した前記飛行体の推定飛行高度を示す推定高度情報と、前記交差開始地点情報と、前記交差終了地点情報と、に基づいて前記飛行体の水平位置を特定する、処理システムを提供する。
【0006】
また、他の態様として、前記位置特定部が行う前記飛行体の位置を特定する処理には、飛行体が前記構造物の上空を飛行していることを特定することが含まれる、処理システムを提供する。
【0007】
また、他の態様として、前記構造物情報に基づいて前記構造物を認識し、前記飛行体が前記構造物の上を越えて該構造物を回避する飛行経路を設定する経路設定部をさらに備える、処理システムを提供する。
【0008】
また、他の態様として、前記経路設定部は、前記構造物情報に対応する前記構造物の形状をあらわす形状情報に基づいて、前記飛行経路を設定する、処理システムを提供する。
【0009】
また、他の態様として、前記位置特定部は、前記交差開始地点情報及び前記交差終了地点情報に基づいて算出される前記構造物の幅と、前記撮影画像上の前記構造物の幅と、を比較することで前記飛行体の飛行高度を特定する、処理システムを提供する。
【0010】
また、他の態様として、構造物情報を制御部に取得させる機能を実現するプログラムであって、前記構造物情報は、水域と交差する構造物の位置を示す位置情報を含み、前記制御部は、前記構造物情報に基づき、飛行体の位置を特定する機能を含み、前記位置情報には、前記水域に対する前記構造物の交差開始地点に関する交差開始地点情報及び前記水域に対する前記構造物の交差終了地点に関する交差終了地点情報が含まれており、前記制御部は、前記飛行体の下方を撮影した撮影画像に含まれる前記構造物のエッジと、前記撮影画像の中心点と、前記飛行体が検出した前記飛行体の推定飛行高度を示す推定高度情報と、前記交差開始地点情報と、前記交差終了地点情報と、に基づいて前記飛行体の水平位置を特定する機能を含む、プログラムを提供する。
【0011】
なお、上述した特徴は、本発明の特徴のすべてを列挙したものではなく、これらを要部とする構成(または方法)もまた発明となり得る。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施例1に対応する飛行体制御システムの構成図。
図2】実施例1に対応する地図データの概念の説明図。
図3】地物情報131に対応する地図データの説明図。
図4】地物情報131に対応する地図データの説明図。
図5】実施例1に対応する地図データの説明図。
図6】実施例1に対応する地図データの説明図。
図7】実施例1に対応する飛行体制御システムの構成図。
図8】実施例1に対応するフローチャート。
図9】実施例1に対応するフローチャート。
図10】実施例1におけるドローンの取得画像に関する説明図。
図11】実施例2に対応するフローチャート。
図12】実施例2における構造物回避経路出力処理に関する説明図。
図13】実施例3に対応するフローチャート。
図14】実施例4に対応するナビゲーションシステムの構成図。
図15】実施例4に対応するナビゲーションシステムの構成図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を具体化した実施例について説明する。
【0014】
<実施例1>
図1に、本実施例における飛行体制御システム1の構成を示した。飛行体制御システム1は、サーバ10と飛行体(ドローン)20とがネットワークNを介して接続されている。
【0015】
ネットワークNは、無線ネットワークにより構成される。ネットワークNの一例としては、携帯電話網や、PHS(Personal Handy-phone System)網、無線LAN(Local Area Network)、3G(3rd Generation)、LTE(Long Term Evolution)、4G(4th Generation )、WiMax(登録商標)、赤外線通信、Bluetooth(登録商標)、IEEE1394等に準拠したネットワーク等が挙げられる。
【0016】
図1に基づいて、サーバ10の構成を説明する。サーバ10は、サーバ制御部100と、サーバ通信部110と、記憶部130とを備える。
【0017】
サーバ制御部100は、経路探索部101、サーバ通信制御部104を含み、図示していないプロセッサであるCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、及びRAM(Random Access Memory)を備える。サーバ制御部100のCPUは、ROMに格納された各種プログラムを読み出して、RAMに展開して実行することで、各種プログラムに関する機能を実現する。経路探索部101、サーバ通信制御部104は、プログラムによって実現される機能である。
【0018】
経路探索部101は、記憶部130の経路探索用地図情報132を用いて経路探索処理を実行し、ドローン20に送信する経路情報を生成する。経路情報には、出発地と、目的地と、出発地から目的地までの経路の情報とが含まれている。
【0019】
サーバ通信制御部104は、ドローン20と所定のタイミングで通信を行うようにサーバ通信部110を制御する。
【0020】
サーバ通信部110は、ドローン20との間で、所定の規格に準拠して無線通信を行う。サーバ通信部110は、ドローン20の検出部201において検出されたドローン20の飛行状態や、外部の環境に関する情報を受信する。また、サーバ通信部110は、外部サーバ等において検出された天候や気温、交通状況等の外部状況に関する情報を取得する。また、サーバ通信部110は、サーバ10において生成された経路情報や、地物情報131などをドローン20に送信する。
【0021】
記憶部130には、経路探索処理、ドローン20の位置特定処理及び飛行体の誘導制御等に用いられる地物情報131、経路探索用地図情報132が記憶されている。
【0022】
地物情報131は、地上に存在する建物、橋、道路などの構造物や、駐車場や河川敷等の所定の領域に関する情報である。図2乃至図4に基づいて、本実施例における地物情報131について説明する。図2の橋BL100に対応する地物情報BLD100の詳細を図3に示した。橋BL100に対応する地物情報BLD100は、識別情報、種別情報、形状情報を含む。識別情報は、各地物を特定する情報であって、各地物に固有の情報である。種別情報は、地物の種別を示す情報である。種別には、橋や道路、駐車場、建物などがある。形状情報は、地物の形状を示す情報であって、複数の座標点から構成される。例えば、地物情報BLD100に含まれる形状情報には、橋の位置に対応する緯度経度及び橋の高さを示す座標点が8つ含まれる。具体的には、橋BL100を囲む領域を仮想的に設定した場合に、その領域の頂点となる8点の緯度、経度及び高さを示す座標点が形状情報に含まれている。例えば、(x1,y1,z1)の座標は、緯度x1、経度y1、高さz1の位置を示す。
【0023】
図2の空き地VL110に対応する地物情報VLD110の詳細を図4に示した。空き地VL110に対応する地物情報VLD100に含まれる形状情報には、空き地の位置に対応する緯度経度を示す座標点が4つ含まれる。具体的には、空き地VL110の領域の四隅の座標点が形状情報に含まれている。橋BL100の場合と同様に、(x1,y1)の座標は、緯度x1、経度y1の位置を示す。
【0024】
経路探索用地図情報132には、道路ネットワークデータ133(以下、「道路NWデータ133」ともいう)及び河川ネットワークデータ134(以下、「河川NWデータ134」ともいう)が含まれる。本実施例では、道路ネットワークデータ133及び河川ネットワークデータ134を用いて、経路探索部101がドローン20の飛行経路を設定する。道路ネットワークデータ133は、複数の地点情報及び複数の道路区間情報により道路の繋がりを表す情報である。道路ネットワークデータ133には、道路の交差点や分岐地点を含む複数の地点を示す道路ノード情報及び道路の所定区間に関する情報を含む複数の道路リンクデータが含まれている。道路リンクデータには、経路探索処理に用いられる、道路の通行しにくさを示すコスト情報が含まれている。
【0025】
河川ネットワークデータ134について図5及び図6に基づいて説明する。河川ネットワークデータ134は、河川リンクデータ及び河川ノードデータにより、河川の流域の繋がりを表す情報である。なお、本実施例では、地上に存在する水域のうち、河川に関するネットワークデータについて説明するが、河川以外にも、湖や海、運河など水域に関しても河川ネットワーク134に類似したデータを作成し、本実施例における処理を行うことが可能である。
【0026】
河川ノードは、河川の本流と支流とが交わる部分や、河口部において設定される。図2に含まれる河川ノードRN10に対応する河川ノードデータRND10及び河川ノードRN20に対応する河川ノードデータRND20を図5に示した。河川ノードデータには、河川ノードを特定する識別情報、河川ノードの位置情報、分合流種別属性情報及び水系種別属性情報が含まれる。河川ノードの位置情報は、河川ノードの位置を示す情報であり、緯度及び経度を示す座標情報が含まれる。分合流種別属性は、河川リンクの分合流の状況に応じて「合流」、「分岐」、「その他」のいずれかが設定される。河川ノードRN10は本流R10と支流R20とが合流する地点であるため、河川ノードデータRND10の分合流種別属性情報には「合流」が設定される。また、水系種別属性情報は、異なる水系種別と接することを示す属性情報であり、「河口部」、「湖池沼」、「その他」のいずれかが設定される。例えば、河川ノードRN20は、本流R10及び海域が接する場所であるため、河川ノードデータRND20の水系種別属性情報には「河口部」が設定される。
【0027】
河川リンクデータには、河川リンクを特定する識別情報、河川リンクの位置及び形状を示す形状情報、リンクの始点のノードを特定する始点ノード識別情報、リンクの終点のノードを特定する終点ノード識別情報、河川ノードを介して河川リンクに接続する退出側の河川リンクを特定する退出側リンク識別情報、経路探索に用いられるコスト情報、水系区分属性情報、流路形状属性情報、河川名称情報、河川距離情報、河川幅員情報、河川敷幅員情報、河川標高情報、河川曲率情報、交差構造物位置情報、及び交差構造物名称情報が含まれる。
【0028】
図2の河川リンクRL11に対応する河川リンクデータRLD11を図6に示した。河川リンクデータRLD11には、識別情報としてRL11が設定されている。形状情報は、河川リンクの形状を示す複数の座標情報から構成されるデータである。座標情報は、緯度経度を示す情報である。始点ノード情報は、河川リンクRL11の始点のノードを識別する情報であり、終点ノード情報は、河川リンクRL11の終点のノードを識別する情報である。なお、本実施例では、河川の上流側を始点とし、河川の下流側を終点としているが、河川の下流側を始点とし、河川の上流側を終点としてもよい。退出側リンク識別情報は、リンクに接続する他のリンクを特定する情報であり、例えば、河川リンクRL10に対応するリンクデータRLD10の退出側リンク識別情報には、河川リンクRL11を特定する識別情報であるRL11及び河川リンクRL20を特定する識別情報であるRL20が設定される。河川リンクRL11には退出側のリンクが存在しないため、河川リンクデータRLD11の退出側リンク識別情報には、退出側リンクが存在しないことを示すデータ「0」が格納される。このようなデータ構造になっていることで、サーバ制御部100が、河川リンクデータRLD10を読み出すと、退出側リンク識別情報に基づいて、退出側の河川リンクRL11及び河川リンクRL20を特定することが可能である。
【0029】
コスト情報は、ドローン20の飛行のしにくさを示す情報であり、値が大きいほど、ドローン20が飛行しにくい場所であることを示す。飛行のしにくさは、川幅が狭い場所や、障害物が多い場所、河川に船などが多くて危険な場所など、周辺の環境に応じて設定することができる。また、サーバ通信部110を介して外部のサーバから取得した、気象情報などの外部の情報に応じて、情報制御部100がリアルタイムにコスト情報の値を変更してもよい。
【0030】
水系区分属性情報は、水系の区分に関する情報であり、「一級河川」、「二級河川」、「その他河川」のいずれかの属性が設定される。流路形状属性情報は、河川の流路形状に応じた区分に関する情報であり、「本流」「支流」「その他」のいずれかの属性が設定される。河川名称情報は、河川の名称に関する情報である。河川距離情報は、河川リンクの長さに関する情報である。河川幅員情報は、河川の幅に関する情報である。河川敷幅員情報は、河川と河川敷とを含めた幅に関する情報である。河川標高情報は、河川の標高に関する情報である。河川曲率情報は、河川の曲率に関する情報である。
【0031】
交差構造物位置情報は、橋や高架橋など河川の上にかかる交差構造物と河川との交差する位置に関する情報である。例えば、図2の橋BL100は、地点P10及びP20において河川リンクRL11と交差している。そこで、河川リンクRL11に対応する河川リンクデータRLD11の交差構造物位置情報として、この交差地点P10の座標情報(xs1,ys1)及び交差地点P20の座標情報(xe1,ye1)が含まれる。交差構造物名称情報は、河川と交差する構造物の名称に関する情報である。
【0032】
ドローン20の構成について、図7に基づいて説明する。ドローン20は、検出部201と、飛行制御部202と、飛行体通信部203と、情報制御部230とを備える。
【0033】
検出部201は、所定の検出範囲からドローン20の飛行状態や外部の環境に関する情報を取得する。本実例では、検出部201は、飛行状態検出機器と、外部環境検出機器とから構成される。飛行状態検出機器は、例えば測距センサや加速度センサ、ジャイロセンサ、サーモセンサ等の各種センサや、高度計、速度計、GPS(Global Positioning System)等の各種計測機器等のドローン20の飛行状態に関する情報を検出する検出機器である。他方で、外部環境検出機器は、カメラ、赤外線カメラ、レンジセンサ、測距センサ、Lidar等のドローン20の外部環境に関する情報を検出する検出機器である。
【0034】
飛行制御部202は、位置特定部232が特定した現在位置と検出部201が取得した情報とサーバ10から受信した経路情報とに基づいて、ドローン20が定められた飛行経路に沿って飛行するようにドローン20の飛行状態を制御する。なお、図2では特に示していないが、実際には、ドローン20は、放射状に配置された複数のロータ(回転翼)と、それらの回転翼を回転させるモータ等、一般的に自律飛行を行うドローンが備えるべき機能を備えており、飛行制御部202は、例えば、各回転翼の回転数を制御することにより、ドローン20の移動や姿勢を調節する等、これらの各部の動作を制御することにより、飛行を制御する。
【0035】
飛行体通信部203は、サーバ10との間で、所定の規格に準拠して無線通信を行う。飛行体通信部203は、検出部201において検出された、ドローン20の飛行状態や外部の環境に関する情報をサーバ10に送信する。また、飛行体通信部203は、サーバ10において生成された経路情報などを受信する。
【0036】
情報制御部230は、飛行体通信制御部231、位置特定部232、誘導部233を含み、図示していないプロセッサであるCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、及びRAM(Random Access Memory)を備える。情報制御部230のCPUは、ROMに格納された各種プログラムを読み出して、RAMに展開して実行することで、各種プログラムに関する機能を実現する。飛行体通信制御部231、位置特定部232、誘導部233は、プログラムによって実現される機能である。
【0037】
飛行体通信制御部231は、サーバ10と所定のタイミングで通信を行うように飛行体通信部203を制御する。
【0038】
位置特定部232は、サーバ10から受信した河川リンクデータに含まれる交差構造物位置情報を用いて、ドローン20の現在位置の特定を行う。位置特定部232は、受信した交差構造物位置情報と、検出部201のセンサやカメラが取得した情報とに基づいてドローン20の現在位置の特定を行う。位置特定処理の詳細については、後述する。
【0039】
誘導部233は、ドローン20が、サーバ10から受信した経路情報にしたがって飛行するようにドローン20を制御するための誘導情報を生成し、飛行体制御部202に出力する。
【0040】
図8及び図9は、実施例1における飛行制御処理の手順を示すフローチャートである。このフローチャートに基づいて、飛行体制御システム1を用いて飛行体制御処理を実行する方法について説明する。まず、サーバ10のサーバ通信部110が、ユーザからの経路探索指示に関する情報を受付ける。この経路探索指示に関する情報には、出発地及び目的地が含まれている。また、この他にも、経路探索指示に関する情報には経由地点や優先すべき条件や到着時間など、複数の情報が含まれていてよい。そして、サーバ10の経路探索部101が、出発地に近い河川ノード及び目的地に近い河川ノードを抽出する。具体的には、経路探索部101が河川ネットワークデータ134を読み出し、出発地又は目的地に指定された地点の緯度経度情報と河川ノードの座標情報とを比較し、緯度経度情報が示す位置に最も近い位置を示す座標情報を含む河川ノードを特定することにより行われる(ステップS20)。
【0041】
次に、サーバ10の経路探索部101が経路探索処理を実行する(ステップS21)。経路探索部101は、河川リンクデータに含まれるコスト情報に基づいて、出発地及び目的地設定処理(ステップS20)において設定された出発地の河川ノード及び目的地の河川ノードまでの経路のコストが最小になる経路を探索する。また、経路探索部101は、ユーザに指定された出発地から出発地の河川ノードまでの経路及びユーザに設定された目的地から目的地の河川ノードまでの経路を接続して、ユーザが設定した出発地から目的地までの経路を生成してもよい。この場合、ユーザが設定した出発地から出発地の河川ノードまでの経路、及び目的地の河川ノードからユーザが設定した目的地までの経路は、経路探索部101が道路ネットワークデータ133を用いて経路探索処理を実行することで生成してもよい。また、経路探索部101は、ユーザが設定した出発地から出発地の河川ノードまでを直線でつないだ経路や、目的地の河川ノードからユーザが設定した目的地までを直線でつないだ経路であってもよい。
【0042】
そして、サーバ通信制御部104がサーバ通信部110を制御することで、経路探索処理(ステップS21)において作成された経路に含まれる河川リンクデータ及び河川ノードデータをドローン20に送信する(ステップS22)。この送信処理において送信される河川リンクデータには、河川をまたぐ橋や高架橋などの構造物との交差位置に関する交差構造物位置情報が含まれる。
【0043】
ドローン20の飛行体通信制御部231が、飛行体通信部203を制御することで、サーバ10から経路情報を受信する(ステップS10)。そして、位置特定部232は、ドローン20の位置を特定する位置特定処理(ステップS11)を実行する。
【0044】
位置特定処理(ステップS11)の詳細について図9のフローチャートに基づいて説明する。位置特定処理(ステップS11)が開始されると、位置特定部232は、検出部201を制御してドローン20の推定位置を取得する(ステップS30)。具体的には、位置特定部232は、検出部201に含まれるGPSを用いて、ドローン20が存在する緯度及び経度を検出する。また、位置特定部232は、検出部201に含まれる高度計などを用いて、ドローン20が存在する高度を検出する。なお、ここで検出される推定位置は、検出部201に含まれる計測機器に由来する誤差を含むものである。
【0045】
そして、誘導部233は、推定位置取得処理(ステップS30)において取得された推定位置に基づいて、ドローン20が飛行する誘導経路を飛行制御部202に出力する(ステップS31)。この誘導経路は、サーバ10から受信した経路情報に加え、飛行する高さの情報を含んだ経路である。例えば、図2において、出発地の河川ノードRN30から、河川リンクRL20及び河川リンクRL11を経由して目的地のノードRN20に到達する経路が設定されているとする。この場合、誘導部233は、経路情報を構成する河川リンクデータに含まれる複数の形状情報を読み出し、形状情報があらわす座標点をつなぐ線に沿ってドローン20が飛行するような誘導経路を設定する。誘導部233は、この誘導経路に、ドローン20が飛行する高度に関する情報を付加して、飛行制御部202に誘導経路情報を出力する。なお、ドローン20が飛行する高度に関しては、任意の高さを設定可能である。例えば、航空法で定められるドローン20が飛行可能な高度の範囲でユーザが任意の高さを設定してもよいし、予め飛行体制御システム1において一律の高さが設定されていてもよい。本実施例においては、上述の河川ノードRN30から河川ノードRN20までの経路に対応する誘導経路の高度は、橋BL100の上をドローン20が越えることが可能な高度に設定されているものとする。
【0046】
誘導経路が設定されたら、飛行制御部202は、設定された誘導経路に沿って飛行するようにドローン20を制御する。そして、ドローン20が飛行を続ける中、ドローン20の情報制御部230は、橋や高架橋などの交差構造物が近づいたかを判定する(ステップS32)。この判定は、ドローン20の経路上における推定位置と、経路上の交差構造物の位置とを情報制御部230が比較することにより行われる。例えば、ドローン20が図2河川ノードRN10から河川ノードRN20に向かって河川リンクRL11に沿って飛行しているとする。この場合、情報制御部230は、推定位置情報に基づいてドローン20の推定位置が河川リンクRL11付近にあると判断する。そして、情報制御部230は、ドローン20の付近に地点P10及び地点P20があること、すなわち、交差構造物が有るか否かを河川リンクデータRL11の交差構造物位置情報に基づいて判定する。近づいたか否かの判定は、交差構造物位置情報の示す位置から所定距離(例えば、100m)以内にドローン20の推定位置が有るか否かに応じて行われる。ドローン20が交差構造物に近づいていない場合(ステップS32:NO)、フローは推定位置取得処理(ステップS30)に戻る。
【0047】
ドローン20が交差構造物に近づいたと判定されたら(ステップS32:YES)、位置特定部232は、検出部201において撮影された撮像画像に基づいて撮像画像に含まれる交差構造物を抽出する(ステップS33)。交差構造物の抽出処理は、検出部201において撮影された撮像画像に含まれる特徴点を位置特定部232が抽出することにより行われる。特徴点には、交差構造物の端を示すエッジなど形状に関する特徴を示す点や、河川や交差構造物の色など色彩に関する特徴を示す点などが含まれる。
【0048】
そして、位置特定部232は、画像から抽出された交差構造物の位置と、河川リンクデータに含まれる交差構造物位置情報が示す位置とに基づいて、実際のドローン20の水平方向の位置を特定する(ステップS34)。
【0049】
図10に基づいて、位置特定部232による水平位置特定処理(ステップS34)の詳細について説明する。なお、図10(A)(B)は、ドローン20と橋BL100との現実の位置関係を示している。ドローン20は図2における河川リンクRL11の上流側(河川ノードRN10)から下流側(河川ノードRN20)に向かって飛行しているとし、破線で示す領域Aが検出部201の検出可能範囲とする。図10(C)(D)は、ドローン20の検出部201が撮影する撮像画像である。ただし、図10(C)(D)に含まれる地点P10及び地点P20の印等は、説明のために付加した記号であり、実際の撮像画像には含まれていないものである。図10(C)は、ドローン20が図10(A)の位置にあるときに、検出部201が撮影する撮像画像である。図10(D)は、ドローンが図10(B)の位置にあるときに、検出部201が撮影する撮像画像である。
【0050】
ドローン20と橋BL100が図10(A)に示す位置関係にある場合、検出部201は、図10(C)に示す画像を取得することができる。このとき、位置特定部232は、経路情報に含まれる河川リンクデータRLD11を読み出し、河川リンクデータRLD11の交差構造物位置情報に含まれる座標情報と、画像に含まれる橋BL100のエッジED10の位置の情報とを用いて、ドローン20の現在位置を特定する。この処理について具体的に説明する。まず、位置特定部232は、画像におけるエッジED10の位置を特定する。そして、位置特定部232は、画像の中心点CP10からエッジED10までの画像上の距離(D10)を算出する。本実施例においては、ドローン20が真下の位置を撮影しているとする。その場合、画像の中心点CP10に対応する現実の位置は、ドローン20の水平方向における現在位置と一致する。
【0051】
位置特定部232は、画像の中心点CP10、つまり、ドローン20の現在位置の座標を、エッジED10に対応する座標情報及び画像の中心点CP10からエッジED10までの現実の距離から算出する。この処理について具体的に説明する。まず、位置特定部232は、画像におけるエッジED10の位置を、地点P10に対応する交差構造物位置情報の座標情報に基づいて特定する。そして、位置特定部232は、画像上における画像の中心点CP10からエッジED10までの距離D10に対応する現実の距離を算出する。D10に対応する現実の距離の算出は、ドローン20の推定高さ情報と画像上のD10の距離情報とに基づいて行われる。そして、位置特定部232は、交差構造物位置情報から得られたエッジED10の座標情報と、D10に対応する現実の距離から画像の中心点(CP10)の座標、つまり、ドローン20の現在位置を特定する。例えば、図10(C)において、画像の中心点CP10の位置座標は、エッジED10から距離D10の分、図面上方向に移動した座標である。また、画像の中心点より図面上側にエッジが存在する場合、中心点とエッジ間の距離(上述の例ではD10)の分、エッジから図面下方向に移動した座標が画像の中心点の座標である。
【0052】
位置特定部232は、上述の処理により特定したドローン20の現在位置と、ドローン20の推定位置とが一致するかを判定する。判定の結果、上述の処理により特定したドローン20の現在位置と、ドローン20の推定位置とが一致していれば、位置特定部232は、ドローン20の推定位置を現在位置として特定する(ステップS35)。
【0053】
判定の結果、上述の処理により特定したドローン20の現在位置と、ドローン20の推定位置とが一致していない場合、位置特定部232は、上述の処理により特定されたドローン20の現在位置をドローン20の現在位置として特定する(ステップS35)。例えば、図10(C)のCP10の位置が現在位置として特定されており、かつ、CP10以外の場所が推定位置とされている場合について説明する。この場合、位置特定部232は、CP10の位置をドローン20の現在位置として特定する。また、このとき、位置特定部232が、推定位置と特定された現在位置とのずれの距離や方向を特定し、次回の推定位置特定処理(ステップS30)の後に、特定されたずれの距離や方向を用いて推定位置を補正する処理を行ってもよい。
【0054】
そして、位置特定部232は、交差構造物1つに対して2点ある交差構造物位置のうち、2点全てについて水平位置特定処理及び推定位置補正処理が終了したかを判定する(ステップS36)。2点全てについて処理が終了していない場合(ステップS36:NO)、フローは交差構造物抽出処理(ステップS33)に戻る。2点すべてについて処理が終了していれば(ステップS36:YES)、フローは交差構造物位置情報と抽出された交差構造物の情報とに基づく高さ特定処理(ステップS37)にすすむ。
【0055】
例えば、地点P10についてのみ水平位置特定処理(ステップS35)が終了しているとする(ステップS36:NO)。ドローン20が経路に沿って飛行を続けると、ドローン20と橋BL100が図10(B)に示す位置関係となり、検出部201は、図10(D)に示す画像を撮影し、橋BL100を抽出する(ステップS33)。このとき、位置特定部232は、経路情報に含まれる河川リンクデータRLD11を読み出し、河川リンクデータRLD11の交差構造物位置情報に含まれる座標情報が示す位置(地点P20)と、画像に含まれる橋BL100のエッジED20の位置とを比較する。なお、地点P10に対応するエッジED10に関しては、既に水平位置特定処理を終えているため、今回の水平位置特定処理の対象とはしない。水平位置特定処理の詳細については、エッジED10における水平位置特定処理と同様であるので、説明を省略する。
【0056】
そして、交差構造物位置2点すべてについて水平位置特定処理が終了した場合(ステップS36:YES)、位置特定部232は、交差構造物位置情報から求められる橋BL100の幅の情報を用いて、ドローン20の飛行高度の補正を目的とした高さ特定処理を行う(ステップS37)。橋BL100の幅は、交差構造物位置情報に含まれる交差開始地点及び交差終了地点の情報に基づいて位置特定部232が算出する。位置特定部232は、交差構造物位置2点が含まれる橋BL100の画像(図10(D))における、橋BL100の画像上の幅を算出する。そして、位置特定部232は、ドローン20がどの高度を飛ぶときに、画像上の橋BL100の幅が検出されるのかを、交差構造物位置情報に基づいて算出された橋BL100の実際の幅に基づいて計算することで、ドローン20の飛行高度を特定する(ステップS38)。そして、位置特定部232は位置特定処理(ステップS11)を終了する。
【0057】
図8のフローチャートに戻り、説明を続ける。位置特定処理(ステップS11)を終えると、情報制御部230は、ドローン20が目的地に到達したか否かを判定する(ステップS12)。ドローン20が目的地に到達したか否かは、ドローン20の位置情報及び目的地の位置情報を情報制御部230が比較することにより判定される。判定の結果、ドローン20が目的地に到達していれば飛行体制御処理を終了し(ステップS12:YES)、ドローン20が目的地に到達していなければ(ステップS12:NO)、フローは、位置特定処理(ステップS11)に戻る。
【0058】
以上説明した実施例1によれば、ドローン20は、地上に比べて障害物が少なく、安全な場所である河川の上空を飛行することができる。さらに、ドローン20の位置特定部232は、河川における構造物である橋や高架橋の位置を示す交差構造物位置情報に基づいてドローン20の推定位置を補正することができる。このようにドローン20の推定位置の補正処理を行うことで、サーバ10において設定された飛行経路から大きく外れることなく、ドローン20の飛行制御を実行することができる。したがって、本実施例によれば、より安全にドローン20を飛行させることが可能である。また、サーバ10が交差構造物位置情報を経路情報とともにドローン20に送信することで、ドローン20が交差構造物を検出するたびにサーバ10へ構造物に関する情報の取得要求を送信する必要がない。よって、ドローン20とサーバ10との頻繁な通信を行う必要が無いため、サーバ10及びドローン20の通信制御処理の負荷を低減することができる。
【0059】
<実施例2>
本実施例では、ドローン20が橋や高架橋などの交差構造物を回避して飛行する方法について説明する。本実施例における構成は、実施例1の飛行体制御システム1と同様であるので、同じ構成要素については実施例1と同様の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0060】
図11は、本実施例における飛行体制御処理の手順を示すフローチャートである。本実施例と実施例1において同様の手順については、同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。本実施例のフローは、サーバ10からドローン20へ地物情報131を含む経路情報を送信する(ステップS51)点と、ドローン20がその経路情報を受信する(ステップS41)点と、誘導部233による構造物回避経路出力処理(ステップS42)が有る点で実施例1のフローとは異なる。また、本実施例における河川リンクデータと地物情報131とは、それぞれの識別番号を介して関連付けられており、この関連付けは、河川リンクデータに地物情報131を特定する識別情報が含まれることにより行われる。また、地物情報131に河川リンクデータを特定する識別情報が含まれていてもよい。また、河川リンクデータ及び地物情報131とは異なるデータとして、河川リンクデータを特定する識別情報と地物情報131を特定する識別情報を含む、関連付けのためのデータが記憶部130に記憶されていてもよい。
【0061】
本実施例における、サーバ10からドローン20への経路情報送信処理(ステップS51)について説明する。サーバ通信制御部104は、サーバ通信部110を制御することで、経路探索処理(ステップS21)において作成された経路に含まれる河川リンクデータ及び河川ノードデータに加え、河川リンクデータに関連づく地物情報131を送信する。例えば、図2の河川ノードRN30から河川リンクRL20、河川ノードRN10、河川リンクRL11を通り、河川ノードRN20に到達する経路に関する経路情報をサーバ10からドローン20に送信する場合を考える。この場合、サーバ通信制御部104は、河川リンクRL11に対応する河川リンクデータRLD11に含まれる交差構造物を特定する識別情報BL100に基づいて、河川リンクデータRLD11に関連づく橋BL100に対応する地物情報BLD100を記憶部130の地物情報131から抽出する。そして、サーバ通信部110は、生成された経路に含まれる河川リンクデータ及び河川ノードデータとともに、地物情報BLD100をドローン20に送信する(ステップS51)。
【0062】
ドローン20が地物情報131を含む経路情報を受信すると(ステップS41)、位置特定部232は、位置特定処理(ステップS11)を実行する。
【0063】
位置特定処理(ステップS11)が終わると、ドローン20の誘導部233は、経路情報に含まれる地物情報131に対応する地物を回避する誘導経路を設定し、飛行制御部202に出力する(ステップS42)。例えば、ドローン20が図2の河川リンクRL11に沿って、河川ノードRN10から河川ノードRN20に向かって飛行する場合を考える。この場合、誘導部233は、ドローン20が橋BL100の上を越えて飛行するための誘導経路を作成する。具体的には、誘導部233は、サーバ10から受信した経路情報に含まれる河川リンクデータRLD11に関連づく地物情報BLD100を読み出す。そして、誘導部233は、図3に示した地物情報BLD100に含まれる形状情報に基づいて、橋BL100の存在する領域を認識する。そして、誘導部233は、河川リンクデータRLD11に含まれる形状情報と、地物情報BLD100の形状情報とに基づいて、橋BL100の上をドローン20が越えて飛行する誘導経路を作成し、飛行制御部202に出力する。このとき設定される誘導経路の例を図12に示した。誘導部233により設定される誘導経路は、河川リンクデータRLD11の形状情報としての座標点をつないだ線を任意の高さに上げた誘導経路であって、橋BL100の手前において上昇し、橋BL100を越えた先の地点において下降する誘導経路(図12(A)の誘導経路GL10)である。また、誘導経路は、河川リンクデータRLD11の座標点を繋いだ線を、橋BL100が越えられる高さまで上げた誘導経路(図12(B)の誘導経路GL20)であってもよい。
【0064】
実施例2の飛行体制御システム1は、地物情報131に基づいて、橋や高架橋などの交差構造物をドローン20が回避する誘導経路を出力している。このことにより、ドローン20は、河川の上空を飛行する際に障害となる橋や高架橋などの交差構造物の位置を把握し、回避する経路を設定することができるため、交差構造物に衝突することなく、安全に飛行することが可能である。
【0065】
<実施例3>
本実施例では、道路ネットワークと河川ネットワークとが交わる地点である交通結節点において、ドローン20自体を他移動体に搭載するために着陸させる方法、及び交通結節点において、交通結節点に関連づいた地物まで飛行させる方法について説明する。本実施例における構成は、記憶部130に交通結節点情報が含まれる点で実施例1とは異なる。その他の構成要素については、実施例1の飛行体制御システム1と同様であるので、同じ構成要素については実施例1と同様の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0066】
図13は、本実施例における飛行制御処理の手順を示すフローチャートである。本実施例と実施例1において同様の手順については、同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。本実施例のフローは、交通結節点を含む経路探索処理(ステップS70)、サーバ10からドローン20に交通結節点情報を含む経路情報を送信する処理(ステップS71)、ドローン20がサーバ10から交通結節点情報を含む経路情報を受信する処理(ステップS60)、交通結節点への到達判断処理(ステップS61)、河川上飛行終了判断処理(ステップS62)、飛行終了地点判断処理(ステップS63)、着陸制御情報出力処理(ステップS64)、交通結節点関連地点への経路誘導処理(ステップS65)が実施例1のフローとは異なる。
【0067】
交通結節点について説明する。交通結節点とは、道路ネットワークと河川ネットワークとが交差する地点である。例えば、図2における道路リンクWL20及び河川リンクRL11が交差する地点TN10が交通結節点である。また、交通結節点は、交差構造物位置情報が示す河川リンクと交差構造物との交差開始地点及び交差終了地点とを結ぶ線と道路リンクとが交差する地点とも定義できる。本実施例において、交通結節点に関する交通結節点情報はサーバ10の記憶部130に記憶されている。また、交通結節点情報が記憶部130に記憶されていない場合には、サーバ制御部100が道路リンク及び河川リンクとの交点を算出することで、交通結節点の位置を特定する処理を実行してもよい。また、交差構造物位置情報が示す2地点を結ぶ線と道路ネットワークとの交点をサーバ100が算出することで、交通結節点の位置を特定してもよい。
【0068】
交通結節点情報には、交通結節点を特定する識別情報と、交通結節点の位置を示す座標情報と、交差する道路リンクデータを特定する識別情報及び交差する河川リンクデータを特定する識別情報と、交通結節点と関連付けられた地物を特定する関連地物識別情報、属性情報、及びコスト情報が含まれる。交通結節点と関連付けられた地物とは、交通結節点からドローン20が飛行する目的となる地物である。例えば、図2の交通結節点TN10においては、空き地VL110や河川敷RB120などが関連付けられた地物である。この場合、交通結節点TN10に対応する交通結節点情報TND10の関連地物識別情報として「VL110」「RB120」の2つのデータが記憶される。
【0069】
属性情報について説明する。本実施例において、交通結節点情報は、河川ノード及び道路ノードとは異なる新たなノードに関する情報として、経路探索用地図情報132に含まれて記憶されている。属性情報は、交通結節点が河川ノードとも道路ノードとも異なるノードであることを示す情報である。また、コスト情報は、交通結節点の通過のしにくさをあらわす情報であり、道路ネットワークや河川ネットワークにおけるコスト情報と同様の情報である。交通結節点をノードとして利用することで、交通結節点情報、河川ネットワークデータ134及び道路ネットワークデータ133を利用して河川ネットワーク及び道路ネットワークを交通結節点において接続した経路を生成することが可能である。
【0070】
図13に示すフローチャートにしたがって、飛行体制御処理の手順を説明する。出発地・目的地設定処理(ステップS20)を終えると、経路探索部101は、道路ネットワークデータ133、河川ネットワークデータ134、及び交通結節点情報を利用して、出発地から目的地までの経路を探索する(ステップS70)。経路探索部101は、交通結節点を道路ノード及び河川ノードと同様のノードとして経路探索を行う。つまり、本実施例における経路探索処理(ステップS70)により生成された経路情報には、道路リンクデータ及び道路ノードデータ並びに河川リンクデータ及び河川ノードデータに加え、交通結節点情報が含まれる。
【0071】
サーバ通信制御部104は、サーバ通信部110を制御して、交通結節点情報を含む経路情報をドローン20に送信する(ステップS71)。このとき、交通結節点に関連付けられた地物があり、かつ、交通結節点に関連付けられた地物が経路に含まれる場合、サーバ通信部110は、交通結節点に関連付けられた地物に対応する地物情報131もドローン20に送信する。交通結節点に関連付けられた地物が経路に含まれる場合とは、例えば、出発地又は目的地が地物のある場所に設定されている場合である。ドローン20の飛行体通信制御部231は、飛行体通信部203を制御して、経路情報及び地物情報131を受信する(ステップS60)。
【0072】
位置特定処理(ステップS11)を終了すると、情報制御部230は、ドローン20が交通結節点に到達したか否かを判定する(ステップS61)。交通結節点に到達したか否かの判定は、情報制御部230が、交通結節点情報に含まれる座標情報が示す位置から一定範囲にドローン20の現在位置が存在するかを判定することにより行われる。情報制御部230は、交通結節点情報の座標情報が示す位置(点)から一定範囲を判定対象の範囲として設定する。そして、情報制御部230は、ドローン20の現在位置が交通結節点情報の座標情報が示す位置(点)から一定範囲内にあると判定したら、ドローン20は交通結節点に到達したと判断する(ステップS61:YES)。ドローン20が交通結節点に到達していないと情報制御部230が判定したら(ステップS61:NO)、フローは位置取得処理(ステップS11)に戻る。交差構造物が近づいており(ステップS32:YES)、かつ、ドローン20が交通結節点に到達していない場合(ステップS61:NO)とは、例えば、交差構造物が鉄道橋であり、道路ネットワークが存在しないため、交通結節点が存在しない場合がある。
【0073】
ドローン20が交通結節点に到達したと判断されたら(ステップS61:YES)、情報制御部230は、交通結節点において河川の上空におけるドローン20の飛行を終了するかを判定する(ステップS62)。交通結節点において河川の上空におけるドローン20の飛行を終了しないと判定した場合(ステップS62:NO)、フローは位置特定処理(ステップS11)に戻る。交通結節点においてドローン20の河川の上空における飛行を終了する場合とは、交通結節点が目的地である場合、交通結節点において他の移動体にドローン20が搭載される場合、交通結節点から目的地までドローン20が道路上を飛行する場合のいずれかである。
【0074】
交通結節点が目的地である場合について説明する。この場合、経路情報における目的地のノードが交通結節点である。そこで、情報制御部230は、交通結節点において河川の上空におけるドローン20の飛行を終了すると判定する(ステップS62:YES)。
【0075】
交通結節点において他の移動体にドローン20が搭載される場合について説明する。他の移動体にドローン20が搭載される場合とは、例えば、ドローン20をトラックなどの車両で回収する場合である。この場合、経路探索部101が、陸地のいずれかの場所を目的地として経路探索処理を実行しており、交通結節点をドローン20が移動体に搭載される場所として設定している。そこで、情報制御部230は、交通結節点において河川の上空におけるドローン20の飛行を終了すると判定する(ステップS62:YES)。なお、交通結節点においてドローン20を移動体に搭載するか否かは、出発地・目的地設定処理(ステップS20)において、経路探索条件として利用者が設定することができる。また、他の移動体は車両でなくてもよく、自転車やバイク、又は人であってもよい。例えば、交通結節点において、ドローン20が人の手により回収される場合、他の移動体は人である。
【0076】
交通結節点から目的地までドローン20が道路上を飛行する場合について説明する。この場合、経路探索処理(ステップS70)において、経路探索部101が、陸地のいずれかの場所を目的地として経路探索処理を実行している。つまり、交通結節点から目的地まで道路ネットワークデータ133に沿った経路でドローン20は飛行する。この場合も、情報制御部230は、交通結節点において河川の上空におけるドローン20の飛行を終了すると判定する(ステップS62:YES)。
【0077】
交通結節点において河川の上空におけるドローン20の飛行を終了すると判定された場合(ステップS62:YES)、情報制御部230は、交通結節点が飛行終了地点であるかを判定する(ステップS63)。上述の交通結節点が目的地である場合及び交通結節点において他の移動体にドローン20が搭載される場合、情報制御部230は、交通結節点が飛行終了地点であると判定する(ステップS63:YES)。
【0078】
交通結節点が飛行終了地点であると判定された場合(ステップS63:YES)、情報制御部230は、着陸のための制御情報を飛行制御部202に出力する(ステップS64)。そして、ドローン20は、交通結節点において、地面又は車両の荷台などへの着陸を行う。交通結節点が目的地である場合のドローン20の着陸場所としては、交通結節点情報に含まれる座標情報が示す位置(点)でなくてもよく、例えば、交通結節点情報が関連付けられた道路リンクデータに対応する道路リンクのいずれかの場所や、道路リンクが対応する道路に隣接する歩道などの場所であってもよい。また、移動体の荷台などに着陸する場合は、車両の位置を飛行体通信部203が通信により取得することにより特定してもよい。また、車両の荷台に着陸場所を示すマークを予め描画しておき、ドローン20の検出部201が、そのマークを検出して、マークの位置に着陸するようにしてもよい。
【0079】
交通結節点から目的地までドローン20が道路上を飛行する場合、情報制御部230は、交通結節点が飛行終了地点ではないと判定する(ステップS63:NO)。この場合、ドローン20は、交通結節点に関連付けられた任意の地物の場所まで飛行し、任意の地物の場所に着陸する(ステップS65)。例えば、図2に示す河川リンクRL11から交通結節点TN10を通り、空き地VL110に着陸する経路が設定されているとする。この場合の経路探索処理について説明する。交通結節点TN10の情報を示す交通結節点情報TND10には、交通結節点の位置を示す座標情報と、交差する道路リンクWL20及び河川リンクRL11を特定する識別情報に加え、着陸場所の地物を特定する識別情報VL110が含まれる。経路探索部101は、交通結節点情報TND10を読み出すと、交通結節点情報TND10に含まれる着陸場所の地物を特定する識別情報VL110に基づいて、空き地VL110を特定する。そして、経路探索部101は、空き地VL110に対応する地物情報VLD110を読み出す。そして、図4に示した地物情報VLD110に含まれる形状情報に基づいて、着陸場所の位置を特定する。このとき、着陸場所の位置としては、図4に示す形状情報から算出される空き地VL110の領域のうち、任意の場所が設定される。そして、経路探索部101は、交通結節点TN10から空き地VL110に含まれる着陸場所までの経路を設定し、経路探索処理を終える。交通結節点TN10から着陸場所までの経路は、道路ネットワークデータ133に基づいて作成された経路、つまり、交通結節点TN10から道路ノードWN10及び道路リンクWL21を通り、道路リンクWL21の途中の点から空き地VL110の着陸場所に向かって飛行する経路が設定される。なお、交通結節点TN10から着陸場所までの経路は、交通結節点TN10から空き地VL110に含まれる着陸場所までを直線で結んだ経路であってもよい。また、交通結節点においてドローン20の飛行モードを切り替えるようにしてもよい。例えば、河川上ではドローン20が落下した場合の危険性が比較的低いため、ドローン20を高速で飛行させ、道路上ではドローン20が落下した場合の危険性が比較的高いため、ドローン20を低速で飛行させる方法が考えられる。
【0080】
着陸のための制御情報出力処理(ステップS64)又は交通結節点と関連づく地物までの経路誘導処理(ステップS65)が終了すると、情報制御部230は、ドローン20が目的地に到達したか否かを判定する(ステップS12)。判定の結果、ドローン20の位置が目的地の位置の付近に存在すれば、情報制御部230は、ドローン20が目的地に到達していると判定する(ステップS12:YES)。そして、飛行体制御システム1は、飛行体制御処理を終了する。判定の結果、ドローン20の位置が目的地の位置の付近に存在していなければ、情報制御部230は、ドローン20が目的地に到達していないと判定する(ステップS12:NO)。そして、フローは、位置特定処理(ステップS11)に戻る。
【0081】
以上説明した実施例3によれば、ドローン20は、交通結節点において地面や他移動体への着陸を行うことができる。交通結節点において、ドローン20が他移動体へ着陸する際には、予めドローン20と他移動体とが待ち合わせる場所として交通結節点が設定されていることで、ドローン20の他移動体への着陸をスムーズに行うことができる。また、実施例3によれば、経路設定部101が、交通結節点から交通結節点に関連付けられた任意の着陸場所までドローン20を誘導するための経路を設定することができる。このことにより、道路上や移動体上に着陸することが困難な場合であっても、安全な場所に着陸できるようにドローン20を誘導することができる。また、交通結節点は、河川ネットワークと道路ネットワークとが交わる場所に機械的に設定されているため、任意の箇所に同様の機能をもつ地点を手作業で設定する場合に比べ、データ作成を容易に行うことができる。
【0082】
<実施例4>
本実施例では、河川ネットワークデータ134と河川周辺の道路ネットワークデータ133とを関連付けておき、移動体の経路誘導を行う例について説明する。具体的には、景色が良い経路である河川沿いを優先する経路を提供する例と、大雨などの際に危険な場所である河川沿いを回避する経路を提供する例について説明する。
【0083】
本実施例におけるナビゲーションシステム2の構成を図14及び図15に示した。ナビゲーションシステム2は、サーバ10と車両30とがネットワークNを介して接続されている。本実施例のサーバ10は、記憶部130に経路誘導用地図情報135が含まれる点で、実施例1とは異なる。経路誘導用地図情報135は、交差点の拡大図や右左折等の案内音声データを含む。これらの情報は、車両30の経路案内処理を実行する際に利用される。また、本実施例の河川ネットワークデータ134は、河川周辺の道路ネットワークデータ133と関連付けて記憶されている点で実施例1とは異なる。なお、サーバ10に関しては、実施例1と同様の構成については、同様の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0084】
図14に基づいて車両30の構成について説明する。車両30は、位置取得部301、入力部302、車両通信部303、案内情報出力部304、車両情報制御部330を備える。
【0085】
位置取得部22は、GPS(Global Positioning System)を構成する人工衛星から受信した電波や、車両30に備えられたジャイロからの信号に基づいて、緯度及び経度を含む車両30の位置に関する位置情報を取得する。入力部302は、利用者から経路設定や車両誘導のための指示入力を受付ける。
【0086】
車両通信部303は、サーバ10との間で、所定の規格に準拠して無線通信を行う。車両通信部203は、検出部301において検出された、車両30の走行状態や外部の環境に関する情報をサーバ10に送信する。また、車両通信部303は、サーバ10において生成された経路情報などを受信する。
【0087】
案内情報出力部304は、経路案内の目的で画像の表示や音声の出力を実行する。画像の表示装置としては、車載のディスプレイであってもよいし、スマートフォンやタブレット端末などの携帯端末のディスプレイであってもよい。音声の出力は、スマートフォンやタブレット端末などの携帯端末や、カーオーディオに備えられたスピーカーなどにより行われる。
【0088】
車両情報制御部330は、車両通信制御部331、位置特定部332、図示していないCPU、ROM、及びRAMを備える。車両情報制御部330のCPUは、ROMに格納された各種プログラムを読み出して、RAMに展開して実行することで、各種プログラムに関する機能を実現する。なお、車両通信制御部331、位置特定部332のいずれも、プログラムによって実現される機能である。
【0089】
車両通信制御部331は、サーバ10と所定のタイミングで通信を行うように車両通信部303を制御する。
【0090】
位置特定部332は、位置取得部301により取得された位置情報から車両30の位置が道路上のいずれの位置であるかを特定する。
【0091】
本実施例における河川沿いの道路ネットワークデータ133は、河川ネットワークデータ134と関連付けて記憶されている。関連付けは、河川ネットワークデータ134に関連づく道路ネットワークデータ133の識別情報を、河川ネットワークデータ134に含んで記憶することにより行われる。例えば、図2の河川リンクRL11に対応する河川リンクデータRLD11には、道路リンクWL10を特定する識別情報WL10が含まれる。また、道路ネットワークデータ133に関連する河川ネットワークデータ134を特定する識別情報が含まれていてもよい。
【0092】
車両30に河川沿いの道路を優先する経路を提供する例について説明する。まず、車両30の位置取得部301が、車両30の現在位置を取得する。そして、位置特定部332は、位置取得部301が取得した位置を車両30の現在位置として特定する。車両30の入力部302は、利用者からの出発地及び目的地の設定を受付ける。このとき、利用者から出発地を車両30の現在位置にすると設定された場合には、車両情報制御部330は、位置取得部301により取得された現在位置を出発地として設定する。本実施例では、出発地及び目的地の設定処理の際、経路探索条件として、付近を走行したい河川名を利用者が設定することができる。本実施例においては、付近を走行したい河川名(例えば、図2の本流R10に対応する○○川)を利用者が経路探索条件として設定したとする。経路探索条件を含む出発地及び目的地の設定処理が終わると、車両通信制御部331は、車両通信部303を制御して、車両30の現在位置情報、出発地情報、目的地情報、及び経路探索条件情報をサーバ10に送信する。
【0093】
サーバ10では、サーバ通信制御部104がサーバ通信部110を制御し、車両30から、車両30の現在位置情報、出発地情報、目的地情報、及び経路探索条件情報を受信する。そして、経路探索部101は、経路探索用地図情報132に基づいて出発地及び目的地までの経路探索条件に適合する経路を探索する経路探索処理を実行する。この経路探索処理の際、経路探索部101は、付近を走行したい河川名の経路探索条件が設定されていれば、その河川沿いの道路を優先的に走行する経路を設定するようにする。具体的には、経路探索部101は、指定された河川名が含まれる河川ネットワークデータ134と関連付けられた道路ネットワークデータ133に対応する道路を優先して走行する経路を探索するようにする。例えば、河川名が含まれる河川ネットワークデータ134と関連付けられた道路ネットワークデータ133に対応する道路リンクデータの経路探索コストを下げるようにして経路探索を行う方法が考えられる。図2の本流R10に対応する「○○川」沿いの経路を探索する場合、経路探索部101は、河川リンクデータの河川名称情報に「○○川」を含む河川リンクを抽出する。そして、経路探索部101は、抽出された河川リンクRL10及びRL11に関連付けられた道路リンクを特定する。この場合、経路探索部101は河川リンクRL11に関連付けられた道路リンクである道路リンクWL10を特定する。そして、経路探索部101は、特定された道路リンクWL10の経路探索コストを下げて経路探索を行う。このときの経路探索コストの下げ方としては、道路リンクWL10の元の経路探索コストに1以下の係数を掛け合わせる方法などが考えられる。
【0094】
経路探索処理の結果、河川名が含まれる河川ネットワークデータ134と関連付けられた道路ネットワークデータ133が優先的に選ばれた経路情報が生成される。つまり、利用者が設定した河川沿いの道路を優先的に走行する経路が生成される。サーバ通信制御部104は、サーバ通信部110を制御して、経路探索処理において生成された経路情報及び経路情報に対応する経路誘導用地図情報135を車両30に送信する。
【0095】
車両通信制御部331は、車両通信部303を制御して、サーバ10から経路情報及び経路誘導用地図情報135を受信する。そして、案内情報出力部304は、経路情報及び経路誘導用地図情報135を出力し、利用者に経路誘導のための情報を音声や画面表示で提供する。
【0096】
車両30が、河川の氾濫などで浸水のおそれがある道路を回避した経路を走行する例について説明する。この場合にも、経路探索部101は、道路ネットワークデータ133と河川ネットワークデータ134とが関連付けられたデータを用いて経路探索処理を実行する。上述の景色が良い道路を優先的に走行する経路を生成する方法と同様の処理については、詳細な説明を省略する。
【0097】
まず、氾濫のおそれがある河川を回避する経路探索条件の設定を行う。具体的には、利用者が経路探索条件を設定する際に、氾濫のおそれがある河川名を設定する。または、サーバ10とは異なる、図示しないサーバから、氾濫のおそれがある河川に関する情報を車両30が受信し、その河川名を自動的に設定するようにしてもよい。
【0098】
経路探索部101は、経路探索処理を実行する際、道路ネットワークデータ133のうち、経路探索条件に設定された河川名の河川ネットワークデータ134が関連付けられている道路ネットワークデータ133の経路探索コストを上げて、河川ネットワークデータ134が関連付けられている道路ネットワークデータ133が経路として抽出されにくいようにする。氾濫のおそれがある河川沿いの道路は浸水のおそれがあるため、河川沿いの道路を回避する経路探索を行う目的である。図2の本流R10に対応する「○○川」沿いの道路を回避する経路を探索する場合、経路探索部101は、上述の景色が良い道路を優先的に走行する経路を生成する方法と同様の方法で、道路リンクWL10を特定する。そして、経路探索部101は、道路リンクWL10の経路探索コストを上げて経路探索を行う。このときの経路探索コストの上げ方としては、道路リンクWL10の元の経路探索コストに1より大きい係数を掛け合わせる方法などが考えられる。また、道路リンクWL10を経路に含まないようにするために、経路探索コストを無限大と設定する方法も考えられる。このようにして、経路探索部101は、河川沿いの道路を回避する経路情報を生成し、車両30に誘導情報とともに送信する。
【0099】
経路探索部101は、さらに、河川リンクデータに含まれる標高情報と、道路リンクデータに含まれる標高情報とを比較し、閾値よりも標高差が小さい道路リンクについて、浸水のおそれがある道路に対応する道路リンクであると判断してもよい。この場合、河川名に基づいて河川ネットワークデータ134を抽出する場合に比べ、より氾濫の危険度を正確に評価して河川ネットワークデータ134を抽出することができる。
【0100】
また、外部のサーバから取得した降水量の情報などから、大雨の地域を特定し、その地域を流れる河川を特定し、河川ネットワークデータ134に基づいて、支流を含めた氾濫の危険がある河川を特定するほうにしてもよい。この場合、大雨の地域より上流側の河川の領域については、抽出対象外とすることも考えられる。また、氾濫の危険がある河川の下流側の領域についても、影響が小さそうであれば抽出対象外としてもよい。氾濫の危険がある河川の領域は、例えば、大雨の地域から10km圏内など適宜設定することが可能である。また、このような氾濫の危険がある河川の情報を利用して上述の氾濫危険地点を回避する経路探索を行ってもよいし、氾濫危険箇所を他の場所とは識別可能にディスプレイ等に表示するようにしてもよい。また、本実施例においては、車両の経路案内を行う例について説明したが、歩行者や自転車、二輪車、公共交通機関など車両以外の移動体に対して経路案内を行うようにしてもよい。この場合、河川ネットワークデータ134と、歩行者の移動経路を示す歩行者ネットワークデータや、公共交通機関の移動経路を示すネットワークデータが関連付けられる。そして、上記の車両の経路案内を行う例と同様の処理を行うことにより、所定の河川沿いの道路であるか否かに応じて、歩行者や自転車、二輪車、公共交通機関など車両以外の移動体に対して河川沿いの景色の良い道路や路線を優先的に案内したり、浸水のおそれがある道路や路線を回避する案内をしたりすることができる。
【0101】
以上説明した実施例4によれば、経路探索部101は、所定の河川名が含まれる河川ネットワークデータ134が関連付けられた道路ネットワーク133か否かに基づいて、河川沿いの道路であるか否かを判断し、河川沿いの道路を優先したり回避したりする経路を探索している。このことにより、車両30の利用者は、設定した河川沿いの景色の良い道路を優先的に走行したり、浸水のおそれがある道路を回避して走行したりすることができる。このことにより、利用者が快適な経路を案内することができたり、利用者が危険にさらされる経路を回避したりすることが可能である。また、予め道路ネットワーク133に河川ネットワーク134が関連付けられていることで、関連付けられていない場合に比べ、特定の河川沿いの道路を経路探索部101が容易に抽出できる。
【0102】
<実施例5>
本実施例では、河川ネットワークデータ134に基づいて津波の浸水域を予測する例について説明する。なお、実施例1と同様の構成については、同様の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0103】
津波の浸水域の予測には、河川ノードデータに含まれる水系種別属性情報並びに河川リンクデータに含まれる河川距離情報、河川幅員情報、及び河川敷幅員情報が用いられる。まず、サーバ10は、津波の規模をサーバ10とは異なる外部のサーバなどから取得し、津波の規模に応じて河川に浸入する流量を算出する。そして、水系種別属性情報が「河口」になっており、かつ、津波発生源に河口が向いている河川を抽出する。さらに、抽出条件として、津波発生源から一定範囲の河口であることを設定してもよい。この一定範囲は、地震の大きさを示すマグニチュードや、津波の到達予測における津波の高さなどにより決定してもよい。津波発生源に河口が向いている河川の抽出は、河川ノードデータに含まれる位置情報と津波発生源の位置情報とに基づいて行う。河川ノードの位置と津波発生源の位置との間に隔てる陸地などがない場合、津波発生源に河口が向いている河川であると判断する。そして、河川距離情報、河川幅員情報、及び河川敷幅員情報に基づいて、その河川の河口から上流側に向かってどの範囲まで津波が到達する可能性があるかを計算する。津波の到達点は、河川敷まで津波による水で満たされたとする場合に、河口から上流側のどの範囲まで津波による水で満たされるかにより計算する。なお、この計算法は一例であり、例えば、河川敷から道路まで50%の高さまで津波による水で満たされたとして上流のどこまで津波の水が到達するかを考えてもよいし、もともとの河川の流量も考慮して計算してもよい。また、津波の勢いを計算の要素に加えてもよい。そして、河口から津波が到達する可能性がある河川の範囲の周辺の地図情報をサーバ10から読み出し、地図情報に含まれる標高情報等を用いて津波による浸水域を特定する。このようにして特定した浸水域を地図に重ねて、図示しないモニタ等の表示部に表示したり、印刷して出力したりする。
【0104】
以上説明した実施例5によれば、津波が遡上する可能性のある河川を容易に抽出することができ、また、河口部から上流に向けて浸水する可能性がある範囲を算出することができる。このことにより、津波に対して危険な場所を抽出することができるため、迅速な避難のための情報提供を行うことができる。
【0105】
<変形例1>
位置特定処理(ステップS11)において、交差構造物位置情報に加え、特徴点を用いてもよい。特徴点とは、交差構造物付近の現在位置特定に利用できる特徴となる点である。例えば、交差構造物に存在する特徴点としては、橋に存在する銅像や装飾、橋の欄干のアーチの頂点や欄干のペイントの特徴的なカラーリングが施された点などがある。また、河川と陸地の境界が明確である場合には、その境界線を特徴点とすることもできる。また、橋などの構造物と橋の先に接続する道路との境界が明確である場合には、その境界線を特徴点とすることもできる。
【0106】
交差構造物に存在する特徴点に関する情報は、地物情報131として予め記憶されている。例えば、橋の欄干に銅像のような特徴的なポイントがあるとする。この橋の地物情報131には、実施例1における地物情報131に含まれる情報に加え、特徴点情報として「特徴物:丸い銅像」「特徴位置情報:(x1,y1)、(x2,y2)」という情報が含まれる。そして、位置特定部232は、交差構造物位置情報に加え、特徴点情報も用いて位置特定処理(ステップS11)を実行する。この場合、ドローン20の検出部201において検出された画像から、位置特定部232は、橋の開始地点及び終了地点のみならず、橋の特徴的な点についても抽出して位置特定処理(ステップS11)を行う。
【0107】
また、河川と陸地の境界線や、橋などの構造物と橋の先に接続する道路との境界線を特徴点とする場合、ドローン20の検出部201が、これらの境界線を撮影できるようにドローン20の飛行高度や飛行経路を調整してもよい。例えば、ドローン20の飛行高度を高くしたり、飛行経路を河川リンク沿いよりも境界線よりにしたりすることなどが考えられる。このように、構造物の特徴点や、河川と陸地との境界線、構造物と道路との境界線などを利用して位置特定部232が位置特定処理(ステップS11)を実行することで、位置特定部232が特定する点が増えるため、ドローン20の位置特定の精度が向上する。
【0108】
<変形例2>
河川リンクデータに含まれる河川幅員情報、河川敷幅員情報、河川標高情報、河川曲率情報については、河川リンクを分割した所定の単位で、河川リンクデータと関連付けられる属性データとして管理を行ってもよい。図2の河川リンクデータRLD11の河川幅員情報を例としてこのような属性データの管理方法について説明する。属性データとして、河川幅員情報を10mおきに1つのデータとして管理し、河川リンクデータRLD11と複数の属性データ(河川幅員情報)が関連づくようにする。つまり、河川リンクRL11の長さは河川距離情報より、1200mであるため、河川リンクデータRLD11に対しては、120個の属性データ(河川幅員情報)が関連づくことになる。河川リンクデータと属性データとの関連付けは、河川リンクデータに、属性データを特定する識別情報を含ませて記憶することにより行われる。また、関連付けは、河川リンクデータと属性データとを関連付ける関連情報を記憶部130に記憶することにより行われてもよい。この場合、関連情報には、河川リンクデータを特定する識別情報と属性データを特定する識別情報とが含まれる。河川敷幅員情報、河川標高情報、河川曲率情報についても河川幅員情報と同様のデータ構造で記憶部130に記憶されるようにしてもよい。
【0109】
また、河川リンクデータの河川標高情報及び河川曲率情報については、河川リンクデータに含まれる形状情報の座標点毎の単位で、河川リンクデータと関連付けられる属性データとして管理を行ってもよい。この場合も、上述の10m単位で河川幅員情報を管理する例と同様に、1つの河川リンクデータに対して複数の河川標高情報などが関連付けて記憶される。
【0110】
このように、河川リンクデータに含まれる情報について、河川リンクデータとは異なる長さの単位で管理を行うことにより、河川リンクデータの区切りよりも細かい単位でより現実に即したデータの管理を行うことができる。例えば、河川リンクの1区間において、川幅が大きく変わる場所がある場合など、本変形例の方法であれば、現実に即した川幅を反映した河川幅員情報を提供することができる。
【0111】
<変形例3>
ドローン20が飛行すべき高さに関する情報は、河川ネットワークデータ134に含まれて記憶されていてもよい。例えば、河川リンクデータにドローン20が飛行すべき高さの情報である飛行高度情報が含まれるとする。この場合、サーバ10は、経路探索結果として、飛行高度情報を含む経路情報をドローン20に送信する。そして、ドローン20は、経路情報に含まれる飛行高度情報に基づいた誘導経路に沿って飛行する。飛行高度情報に含まれる飛行高度は、実施例1と同様に任意の高さが設定可能である。また、河川リンクデータごとに設定される飛行高度が異なっていてもよいし、経路情報に含まれる全ての河川リンクデータにおいて設定される飛行高度が同じであってもよい。また、河川リンクデータを分割した所定の単位ごとに飛行高度が設定されていてもよい。また、ドローン20の飛行の妨げになる交差構造物などを考慮して飛行高度が設定されていてもよい。この場合、例えば、河川リンクデータのうち、交差構造物が存在する区間において飛行高度を高く設定しておくことが考えられる。また、経路探索処理(ステップS21)の際、ドローン20が上昇したり下降したりする動作が必要になる地点、つまり、経路における高低差の程度に応じて、経路探索コストを調整することも考えられる。例えば、ドローン20が高く上昇しなければならない場所においては、経路探索コストを大きく設定する。
【0112】
本変形例では、サーバ10により生成された経路情報にドローン20の飛行高度情報が含まれるため、ドローン20の誘導部233の誘導経路を生成する際に、飛行高度を設定する処理を行わずにすむ。よって、ドローン20の処理負荷を軽減することができる。
【0113】
<変形例4>
実施例2における経路情報送信処理(ステップS51)の際、サーバ10は、地物情報131を含まない経路情報をドローン20に送信してもよい。この場合、ドローン20は、交差構造物回避のための地物情報131の取得処理を、位置特定処理(ステップS11)と構造物回避経路出力処理(ステップS42)との間に行う。具体的には、位置特定処理(ステップS11)を終えると、飛行体通信制御部231は飛行体通信部203を制御して、位置特定処理(ステップS11)により特定されたドローン20の現在位置の情報と地物情報131の取得要求情報をサーバ10に送信する。地物情報131の取得要求情報には、回避したい交差構造物を特定する識別情報が含まれる。この識別情報は、実施例2における、河川リンクデータに含まれる交差構造物を特定する識別情報である。サーバ10は、ドローン20より現在位置の情報及び地物情報131の取得要求情報を取得すると、取得要求情報に含まれる地物の識別情報に基づいて、地物情報131から取得要求に合致する地物情報131を抽出する。そして、サーバ10はドローン20に取得要求と合致する地物情報131を送信する。ドローン20は、受信した地物情報131を利用して、構造物回避経路出力処理(ステップS42)以降の処理を実行する。
【0114】
また、実施例3においても、サーバ10は、経路情報として地物情報131を含まない経路情報をドローン20に送信してもよい。この場合、ドローン20は、地物情報131の取得処理を、位置特定処理(ステップS11)と交通結節点への到達判断処理(ステップS61)の間に行う。取得方法は上述の例と同様である。
【0115】
<変形例5>
交通結節点において、ドローン20から他ドローンや他移動体への荷物の積み替えを行ってもよい。ドローン20が荷物を運搬する目的で飛行する場合、ドローン20の性能、大きさの問題、または電池消費量の問題などにより荷物を届ける目的地までに他のドローンに荷物を積み替える場合もある。例えば、河川上を飛行するドローンは荷物を多く搭載できる大型のドローンを利用し、道路上を飛行するドローンは小型で小回りが利き、落下の場合の危険性が比較的低いドローンを利用することが考えられる。また、ドローン同士の荷物の積み替えと同様の問題に加え、ドローンの飛行区域制限により荷物を他移動体、例えばトラックなどに積み替える必要がある場合がある。このような場合には、例えば、荷物の届け先が空港などの飛行制限区域内である場合がある。
【0116】
本変形例の場合、ドローン20は、図13のフローチャートにおける、出発地・目的地設定処理(ステップS20)から着陸のための制御情報出力処理(ステップS64)までを実行する。ドローン20から他ドローンへの荷物の積み替えを行う場合、ドローン20は、予め設定された積み替え場所に荷物を置いてから着陸する。そして、ドローン20とは異なるドローンであって、ドローン20の着陸場所において待機していたドローンが、ドローン20が置いた荷物を持って離陸し、荷物の届け先まで飛行する。
【0117】
また、ドローン20から他移動体に荷物の積み替えを行う場合、ドローン20が荷物を置いて着陸をする処理は上述の場合と同様である。そして、ドローン20が置いた荷物を他移動体(トラックなど)の運転手が積み込み、荷物の届け先まで配送する。または、ドローン20が他移動体の荷台まで飛行して荷物を置いておくことも考えられる。また、実施例3における空き地VL110のように、交通結節点に関連付けられた地点において、ドローン20から他ドローンや他移動体への荷物の積み替えを行ってもよい。この場合の交通結節点から空き地VL110までの誘導方法については、実施例3の交通結節点と関連づく地物まで経路誘導を行う処理(ステップS65)が採用できる。
【0118】
本変形例によれば、交通結節点においてドローン20の荷物を他ドローンや他移動体に積み替えることが可能である。このことにより、大型ドローンと小型ドローンを組み合わせて飛行させることで荷物の配送を効率化することができる。また、ドローン20から他移動体に荷物を積み替えることで、ドローン20を利用できる範囲についてはドローン20を利用することで配送スピードを向上し、かつ、人件費などのコストを削減できる。さらに、ドローン20による配送が行えない場所(飛行制限区域など)についても、他移動体を利用することで配送を行うことができる。また、道路上をドローン20が飛行すると落下時の事故の危険があるため、道路上はトラックで配送するようにすれば、ドローン20を利用した配送をより安全に実現することができる。
【0119】
<変形例6>
河川ネットワークデータ134又は交通結節点と、関連する地点とを関連付けたデータを利用して、ドローン20の燃料切れなどの緊急時の着陸場所(以下、緊急避難場所ともいう)をドローン20に指示するようにしてもよい。図2に基づいて、本変形例について説明する。図2における緊急避難場所は、河川敷RB120である。緊急避難場所は、河川敷や空き地など、ドローン20が落下又は着陸しても大きな危険がない場所に設定される。そして、予め、河川リンクデータや河川ノードデータに緊急避難場所を示す地物を特定する識別情報を含んで記憶しておく。例えば、河川リンクRL11に対応する河川リンクデータRLD11には、緊急避難場所の情報として「緊急避難場所:RB120」が含まれている。
【0120】
ドローン20が河川リンクRL11に沿って飛行している際に、緊急事態が起こったとする。すると、ドローン20は、河川リンクデータRLD11に含まれる緊急避難場所である河川敷RB120の位置や形状を示す地物情報131をサーバ10から取得し、河川敷RB120の地物情報131に対応する地点に向かって飛行し、着陸を試みる。
【0121】
また、交通結節点と緊急避難場所とを関連付けたデータを予め記憶しておき、緊急時には、交通結節点に関連付けられた緊急避難場所までドローン20が飛行して着陸を試みることも考えられる。この場合、緊急避難場所を特定する識別情報は、交通結節点情報に含まれている。例えば、図2の交通結節点TN10の交通結節点情報TND10には、河川リンクデータRLD11を特定する識別情報及び緊急避難場所としての河川敷RB120を特定する識別情報が含まれている。
【0122】
ドローン20が河川リンクRL11に沿って飛行している際に緊急事態が起こったとする。すると、ドローン20は、河川リンクデータRLD11と関連付けられた交通結節点情報TND10に含まれる緊急避難場所を特定する識別情報から河川敷RB120を特定する。そして、ドローン20は、河川敷RB120の地物情報131をサーバ10から取得し、河川敷RB120の地物情報131に対応する地点に向かって飛行し、着陸を試みる。
【0123】
緊急時には、ドローン20が長い距離を飛行することが難しいと想定されるため、1つの河川リンクや交通結節点に対して複数の緊急避難場所が関連付けられており、複数の緊急避難場所からドローン20の現在位置に最も近い緊急避難場所に着陸するように試みてもよい。また、道路リンクデータに緊急避難場所に関する情報を関連付けておいてもよい。この場合、ドローン20は、道路上を飛行する際に緊急事態が起こったら、道路リンクに関連付けられた緊急避難場所まで飛行し、着陸を試みる。
【0124】
また、ドローン20がサーバ10から取得した緊急避難場所の地物情報131に含まれる位置情報が示す位置まで到達することが不可能であると、情報制御部230が判断したとする。この場合には、情報制御部230は、ドローン20の現在位置が交差構造物の上になく、河川の上にあることを交差構造物位置情報と現在位置情報との比較により確認し、ドローン20を河川上に落下させる処理を行うことも考えられる。緊急避難場所に到達するまでに陸地上でドローン20が落下すると、落下地点に人がいる危険があるが、河川上に落下する場合には、比較的、その危険性が低いためである。
【0125】
本変形例によれば、ドローン20が緊急事態に陥った場合に、河川ネットワークデータ134又は交通結節点と、緊急避難場所とを関連付けたデータに基づいて緊急避難場所を特定し、安全に着陸できる緊急避難場所に着陸させることが可能である。このことにより、ドローン20が落下することによる車や人との接触事故を防止することができ、より安全にドローン20を飛行させることが可能である。
【0126】
<変形例7>
位置特定部232は、交差構造物位置情報に代えて、交通結節点情報に基づいて位置特定処理(ステップS11)を実行してもよい。つまり、位置特定処理(ステップS11)は、上記で説明した交差構造物位置情報を利用した処理に限らず、交通結節点情報等の水域と交差する構造物の位置を示す位置情報を含む構造物情報を利用した処理であれば良い。この処理について、図10に基づいて説明する。ドローン20が、図10(A)の位置にあり、図10(C)の画像が検出部201により撮影されたとする。情報制御部230は、図10(C)の画像に含まれる交通結節点の位置を推定する。具体的には、位置特定部232は、橋BL100の河川との境界線を検出し、その境界線同士を結ぶ線を等分する点を交通結節点の位置として推定する。図10(C)では、例えば、道路中央線を示す破線CL10上のいずれかの点を交通結節点の位置として推定する。位置特定部232は、画像の中心点CP10から破線CL10までの画像上の距離を算出する。実施例1と同様の方法により、画像の中心点CP10から破線CL10までの現実の距離を算出する。そして、位置特定部232は、交通結節点情報に含まれる座標情報と、画像の中心点CP10から破線CL10までの現実の距離とから、画像の中心点CP10に対応する座標を算出する。算出方法は、実施例1の方法と同様であるので説明を省略する。 位置特定部232は、上述の処理により特定したドローン20の現在位置と、ドローン20の推定位置とが一致するかを判定する。判定の結果、上述の処理により特定したドローン20の現在位置と、ドローン20の推定位置とが一致していれば、位置特定部232は、ドローン20の推定位置を現在位置として特定する。 判定の結果、上述の処理により特定したドローン20の現在位置と、ドローン20の推定位置とが一致していない場合、位置特定部232は、上述の処理により特定されたドローン20の現在位置をドローン20の現在位置として特定する。以降の処理は、実施例1と同様である。
【0127】
<変形例8>
実施例3の交通結節点に代えて、交差構造物位置情報を用いて、交差構造物位置情報が示す位置において、ドローン20を着陸させるようにしてもよい。つまり、ドローン20を着陸させる処理は、上記で説明した交通結節点情報を利用した処理に限らず、交差構造物位置情報等の水域と交差する構造物の位置を示す位置情報を含む構造物情報を利用した処理であれば良い。この場合も、ドローン20の着陸場所としては、交差構造物位置情報に含まれる座標情報が示す位置(点)でなくてもよく、例えば、交差構造物位置情報が関連付けられた河川リンクデータに対応する河川リンクと交差する道路リンクのいずれかの場所や、その道路リンクが対応する道路に隣接する歩道などの場所であってもよい。
【0128】
<変形例9>
実施例3の交通結節点に代えて、交差構造物位置情報と地物情報131とが関連付けられて記憶されていてもよい。交差構造物位置情報に関連付けられた地物情報131に対応する地物までの経路を飛行する場合、ドローン20は、河川リンク沿いに飛行した後、交差構造物位置情報が示す位置において河川上の飛行を終了し、交差構造物位置情報が示す位置に最も近い道路リンクから地物までの道路リンク上の経路を飛行する。
【0129】
<変形例10>
飛行体制御システム1は、サーバ10の機能をドローン20に組み込むよう構成してもよい。また、記憶部130に記憶される地物情報131及び経路探索用地図情報132が図示しないドローン20の記憶部に記憶されるようにしてもよい。このとき、ドローン20の記憶部には、地物情報131及び経路探索用地図情報132に含まれる全てのデータが記憶されていてもよいし、地物情報131及び経路探索用地図情報132に含まれる一部のデータが記憶されていてもよい。また、サーバ10の記憶部130とドローン20の記憶部とで、同様のデータを重複して記憶する構成としてもよいし、それぞれ重複しないようにデータを記憶する構成としてもよい。
【0130】
<変形例11>
移動体はドローン20のように自律移動を行うものに限定されず、人によって操作されるものでもよい。この場合、飛行体制御システム1は、人の操作を支援することができる。また、移動体は空中を移動するものに限定されず、地上や水中、宇宙、地中等を移動するものでもよい。
【0131】
<変形例12>
地物情報131の種別情報が「橋」である場合には、地物情報131として、橋形状種別情報を記憶していてもよい。橋形状種別情報は、橋の形状を示す情報であり、アーチ型の橋であれば、「橋形状種別情報:アーチ」、図6に示す橋BL100のような柵がある橋であれば、「橋形状種別情報:柵」が設定される。橋形状種別情報は、例えば、画像からの交差構造物抽出処理(ステップS33)における橋の抽出処理に用いることができる。位置特定部232が橋形状種別情報に基づいて、予め橋の形状を特定しておくことで、画像からの橋の抽出を行いやすくなる。
【0132】
以上の実施形態の全部又は一部に記載された態様は、移動体の位置を適切に特定することを可能とするための装置、移動体を適切に誘導制御することを可能とするための装置及びそれに利用可能なデータのデータ構造の提供、処理速度の向上、処理精度の向上、使い勝手の向上、データを利用した機能の向上又は適切な機能の提供その他の機能向上又は適切な機能の提供、データ及び/又はプログラムの容量の削減、装置及び/又はシステムの小型化等の適切なデータ、プログラム、記録媒体、装置及び/又はシステムの提供、並びにデータ、プログラム、装置又はシステムの制作・製造コストの削減、制作・製造の容易化、制作・製造時間の短縮等のデータ、プログラム、記録媒体、装置及び/又はシステムの制作・製造の適切化のいずれか一つの課題を解決する。
【符号の説明】
【0133】
1…飛行体制御システム、
2…ナビゲーションシステム、
10…サーバ、
20…ドローン、
30…車両、
100…サーバ制御部、
101…経路探索部、
104…サーバ通信制御部、
110…サーバ通信部、
130…記憶部、
131…地物情報、
132…経路探索用地図情報、
133…道路ネットワークデータ、
134…河川ネットワークデータ、
135…経路誘導用地図情報、
201…検出部、
202…飛行制御部、
203…飛行体通信部、
230…情報制御部、
231…飛行体通信制御部、
232…位置特定部、
233…誘導部、
301…位置取得部、
302…入力部、
303…車両通信部、
304…案内情報出力部、
330…車両情報制御部、
331…車両通信制御部、
332…位置特定部、
R10…河川の本流、
R20…河川の支流、
RL10~RL20…河川リンク、
RN10~RN30…河川ノード、
W10、WL20…道路、
WL10~WL21…道路リンク、
WN10…道路ノード、
P10、P20…河川ネットワークと交差構造物との交差地点、
TN10…交通結節点、
BL100…橋(交差構造物)、
VL110…空き地、
RB120…河川敷、
BLD100…橋BL100の地物情報、
VLD100…空き地VL100の地物情報、
RND10、RND20…河川ノードデータ、
RLD11…河川リンクデータ、
A…ドローンの検出範囲、
CP10…画像の中心点、
CL10…道路中央線、
ED10、ED20…エッジ、
GL10、GL20…誘導経路、
N…ネットワーク。

図1
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