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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-22
(45)【発行日】2024-01-05
(54)【発明の名称】防災情報システム及び防災無線接続方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/26 20240101AFI20231225BHJP
【FI】
G06Q50/26
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019157345
(22)【出願日】2019-08-29
(65)【公開番号】P2021033968
(43)【公開日】2021-03-01
【審査請求日】2022-06-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高萩 和浩
(72)【発明者】
【氏名】下平 興二
(72)【発明者】
【氏名】東原 信行
【審査官】塩田 徳彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-085652(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0082312(US,A1)
【文献】特開2009-224953(JP,A)
【文献】特開2017-162388(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
異常発生情報を想定したタイムラインの防災行動を示す行動項目情報について、予め観測局の観測結果に基づいて生成される緊急情報に対応する音声情報を登録し、前記緊急情報の入力時に、予め登録された音声情報から対応する音声情報を取得し配信するタイムライン情報処理装置と、
防災のための音声データを無線端末に無線で送信する防災無線システムと、
前記タイムライン情報処理装置から配信される音声情報を前記防災無線システムに利用可能な音声データに変換して前記防災無線システムに出力する接続装置と
を具備する防災情報システム。
【請求項2】
前記タイムライン情報処理装置は、前記音声情報として、前記緊急情報に対応する音声メッセージの識別情報をトリガ情報コードとして登録し、前記緊急情報の入力時に登録されたトリガ情報コードから対応するトリガ情報コードを取得して配信するものとし、
前記接続装置は、前記タイムライン情報処理装置から配信されるトリガ情報コードを前記音声メッセージの音声データに変換して前記防災無線システムに出力する
請求項1記載の防災情報システム。
【請求項3】
前記タイムライン情報処理装置は、前記観測局の観測結果に基づいて生成される緊急情報の入力をトリガとして前記緊急情報に対応する音声メッセージの識別情報であるトリガ情報コードを出力するトリガ情報対応テーブルを備え、
前記接続装置は、前記タイムライン情報処理装置から配信されるトリガ情報コードに対応する前記音声メッセージの音声データを出力する配信音声対応テーブルを備える
請求項2記載の防災情報システム。
【請求項4】
前記タイムライン情報処理装置は、前記音声情報として、前記緊急情報に対応する音声メッセージの識別情報を音声コードとして登録し、前記緊急情報の入力時に登録された音声コードから対応する音声コードを取得して配信するものとし、
前記接続装置は、前記タイムライン情報処理装置から配信される音声コードを前記音声メッセージの音声データに変換して前記防災無線システムに出力する
請求項1記載の防災情報システム。
【請求項5】
前記防災無線システムは、移動系のシステムであって、
移動局の無線端末と、
前記接続装置から出力される音声データを無線周波数に変換して前記移動局の無線端末に無線で送信する防災無線装置と
を具備する請求項1記載の防災情報システム。
【請求項6】
前記防災無線システムは、同報系のシステムであって、
固定された野外拡声器による複数の無線端末と、
前記接続装置から出力される音声データを無線周波数に変換して前記野外拡声器による複数の無線端末に無線で送信する防災無線装置と
を具備する請求項1記載の防災情報システム。
【請求項7】
前記防災無線システムは、移動局の無線端末を備える移動系システムと、固定の野外拡声器による複数の無線端末を備える同報系システムとを備え、
前記接続装置は、前記移動系システムの移動局向けの音声データを出力する移動系接続装置と、前記同報系システムの野外拡声器向けの音声データを出力する同報系接続装置とを備える
請求項1記載の防災情報システム。
【請求項8】
タイムライン情報処理装置は、異常発生情報を想定したタイムラインの防災行動を示す行動項目について、予め観測局の観測結果に基づいて生成される緊急情報に対応する音声情報を登録し、
前記タイムライン情報処理装置は、前記緊急情報の入力時に、予め登録された音声情報から対応する音声情報を取得して接続装置に配信し
前記接続装置は、前記タイムライン情報処理装置から配信される音声情報を、防災のための音声データを無線端末に無線で送信する防災無線システムに利用可能な音声データに変換して前記防災無線システムに出力する
防災無線接続方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明の実施形態は、防災情報システム及び防災無線接続方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自治体等に導入された、総合的に防災情報を提供するシステムには、災害発生後の自治体職員の対応に注目したものが多い。しかしながら、災害発生後の対応は、情報が錯綜して十分な情報が得られない中での対応や判断を求められることが多くなり、想定外の災害に対して脆弱であると言われている。
【0003】
災害対応行動は、大きく定型業務と非定型業務に分けられ、その割合は8:2と言われている。ところが、実際の災害対応現場では、突発的に発生する非定型業務(住民からの問合せ電話の対応や、被災者救援等)に自治体職員が忙殺されているとの指摘もある。
【0004】
この様な中、国土交通省では、自治体に対して、事前にある程度の被害が予測可能な台風等の風水害を対象にしたタイムライン(事前防災行動計画)の整備を勧めている。このタイムラインによる防災情報システムでは、自治体の災害発生前における防災行動に着目して、定型業務(イベント等の中止判断、避難所の開設や設備の点検)に余裕をもって対応できるように、防災行動の実施主体や判断基準を共有しておく。これにより、防災行動の抜け・漏れを防止することができる。さらに、タイムラインの考え方が浸透すれば、地域住民の避難行動を促進する効果が期待されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2010-271857号公報
【文献】特開2017-138916号公報
【文献】特開2017-162388号公報
【非特許文献】
【0006】
【文献】総合防災情報システム(富士通)URL:http://www.fujitsu.com/jp/products/network/managed-services-network/command/disasterprevention/
【文献】危機管理情報マネジメント支援システム(NTTラーニングシステムズ)URL:http://www.ntt.co.jp/journal/1503/files/jn201503055.pdf
【文献】総合防災情報システム(富士通)URL:http://www.fujitsu.com/jp/products/network/managed-services-network/command/disasterprevention/
【文献】AAR(After Action Review)http://www.tokiorisk.co.jp/publication/report/trc-eye/pdf/pdf-trc-eye-060.pdf
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、自治体には、防災無線システムとして、観測局それぞれの観測結果から警戒値の超過等が生じた場合に、その行動項目に関する緊急情報を少なくとも特定の移動局(現場作業者)に無線で通知する移動系防災無線システムがある。
【0008】
さらに、自治体には、その他の防災無線システムとして、音声で防災情報や行政情報を住民に知らせる同報系防災行政無線システムが敷設されている。
【0009】
しかしながら、タイムライン防災情報システムと防災無線システムの移動系防災無線システムや同報系防災行政無線システムとは、それぞれ別々に整備されてきたため、互いに連携が取られていない。このため、タイムラインからの防災項目情報については、いったんその内容に沿ったテキストに変換し、そのテキストをオペレータが読み上げるといった煩雑な手順が必要となる。
【0010】
この発明の実施形態の課題は、タイムラインの防災項目情報と移動系関係者とを連携させることのできる防災情報システム及び防災無線接続方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
実施形態によれば、防災情報システムは、タイムライン情報処理装置と防災無線システムと接続装置とを備える。タイムライン情報処理装置は、異常発生情報を想定したタイムラインの防災行動を示す行動項目情報について、観測局の観測結果に基づいて生成される緊急情報に対応する音声情報を登録し、前記緊急情報の入力時に登録された音声情報から対応する音声情報を取得し配信する。防災無線システムは、防災のための音声データを無線端末に無線で送信する接続装置は、前記タイムライン情報処理装置から配信される音声情報を前記防災無線システムに利用可能な音声データに変換して前記防災無線システムに出力する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、実施形態に係る防災情報システムの概略構成を示すブロック図である。
図2図2は、図1に示す防災情報システムの第1の実施例の構成を示すブロック図である。
図3図3は、図2に示す情報処理・配信装置の処理の流れを示すフローチャートである。
図4図4は、本実施形態のタイムラインの行動項目の一つである水位観測の警戒レベルと音声合成内容との関係を示す図である。
図5図5は、図2に示すシステムで、警戒値超過情報が発生した場合の処理例を示す図である。
図6図6は、図2に示すシステムで、タイムラインのステージレベル変更情報が出された場合の処理例を示す図である。
図7図7は、図1に示す防災情報システムの第2の実施例の構成を示すブロック図である。
図8図8は、図7に示す情報処理・配信装置、移動系防災無線接続装置の行動項目表示手順を説明するためのフローチャートである。
図9図9は、図1に示す防災情報システムの第3の実施例の構成を示すブロック図である。
図10図10は、図9に示す情報処理・配信装置、移動系防災無線接続装置の処理の流れを示すフローチャートである。
図11図11は、図1に示す防災情報システムの第4の実施例として、同報系無線システムを適用した場合の構成を示すブロック図である。
図12図12は、図1に示す防災情報システムの第5の実施例として、移動系無線システム及び同報系無線システムの両方を適用した場合の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しながら、本実施形態について説明する。
図1は、実施形態に係る防災情報システムの概略構成を示すブロック図である。このシステムは、タイムライン情報を管理するタイムライン防災情報システム100を防災無線システム200に接続し、タイムライン防災情報システム100から配信要求される音声データを防災無線システム200に送信する。上記防災無線システム200は、自治体の庁舎に設置される行政用無線システムを利用可能である。
【0014】
(第1の実施例)
図2は、図1に示す防災情報システムの第1の実施例の構成を示すブロック図である。
【0015】
図2において、タイムライン防災情報システム100は、情報処理・配信装置110と、移動系無線接続装置120とを備える
報処理・配信装置110は、制御部111、データベース部(DB)112、音声化エンジン部113を備える。制御部111は、予め決められたタイムラインの行動項目について、観測局の観測結果から警戒値超過またはステージレベル変更の有無を判定し、その判定結果の事象をトリガとして、データベース部112に予め行動項目別に登録された音声メッセージのID(identification)(以下、音声ID)から事象に該当する音声IDを取得し、音声化エンジン部113で音声IDのコードを音声データに変換して移動系防災無線接続装置120に出力する。
【0016】
上記移動系防災無線接続装置120は、制御部121、無線接続設定部122を備え、制御部121により、情報処理・配信装置110からの音声データを無線接続設定部122に入力して無線接続の設定を行った後、移動系無線システム200に出力する。
【0017】
上記防災無線システム200は、本実施例では移動系防災無線装置210と、移動系の無線端末220とを備える
記移動系防災無線装置210は、移動系防災無線接続装置120からの音声データを受け取り、所定の送信周波数に変換して無線送信する。一方、上記無線端末220は、移動系防災無線装置210から送信される音声データを受信し、音声として出力する。
【0018】
図3は、タイムライン防災情報システム100において、観測局の観測結果から警戒値超過を検出した場合の情報処理・配信装置110の処理の流れを示すフローチャートである。
【0019】
まず、情報処理・配信装置110では図3に示すように、警戒値超過情報を入力すると、その入力情報が警戒値超過情報か否かを判断する(ステップS11)。
次に、警戒値超過情報であれば、警戒値超過情報の種別に対応したベース音声を全て取得し、合成音声用データとしてそれぞれ保持する(ステップS12)
に、警戒値超過情報に対応する地区IDを取得する(ステップS13)。
そして、地区IDに対応する音声データを取得する(ステップS14)。
そして、超過情報の合成音声用に地区IDに対応する音声データを合成する(ステップS15)。ステップS13~S15は警戒値超過情報数分繰り返し実行される
いて、それぞれの超過情報の合成音声用データを全て一つに合成する(ステップS16)。
そして、音声データとして移動系防災無線システム210に送信する(ステップS57)
た、ステップS11において、警戒値超過情報でないと判定された場合には、超過情報に対応する音声IDを取得する(ステップS18)。
そして、音声IDに対応する音声データを取得し(ステップS19)、ステップS17で音声データとして移動系防災無線システム210に送信する。
【0020】
上記処理手順によれば、コード生成、コード変換の処理が不要となるので、効率的に音声データを生成することができる。
【0021】
上記構成において、以下、事例を挙げてその処理動作を説明する。
【0022】
図4は上記タイムライン防災情報システム100において、タイムラインの行動項目の一つである水位観測の警戒レベルと音声合成内容との関係を示す図である
4に示すように、水位に関する警戒レベルは、氾濫危険水位、避難判断水位、氾濫注意水位、水防団待機水位に分類される。そして、音声合成時は上から順(警戒レベルが高いもの順)に合成する。例えば、「以下の観測局で氾濫危険水位を超過しました。○○観測局、○○観測局」、「以下の観測局で避難判断水位を超過しました。××観測局」、「以下の観測局で氾濫注意水位を超過しました。△△観測局、△△観測局」、「以下の観測局で水防団待機水位を超過しました。□□観測局」の音声データを生成する。
【0023】
図5は、警戒値超過が生じた場合に、地区に応じた音声データが配信される処理例を示す図である
ず、例えば河川の水位に関する項目について、A,B,C,…の拡地区の観測局(以下、A観測局、B観測局、C観測局、…)でそれぞれ警戒値を超過して水位に応じたトリガが発せられた場合を想定する。
【0024】
情報処理・配信装置110は、図5(a)に示すトリガ情報対応テーブルと、図5(b)に示す地区音声対応テーブルを備える。
【0025】
情報処理・配信装置110では、入力された観測情報をトリガ情報対応テーブルに登録する。すなわち、A観測局からトリガとして避難判断の水位を超過した情報が発生された場合には、地区ID=001、種別=避難判断水位とするIDを登録する。A観測局からトリガとして氾濫危険水位を超過した情報が発生された場合には、地区ID=001、種別=危険水位とするIDを登録する。B観測局からトリガとして避難判断の水位を超過した情報が発生された場合には、地区ID=002、種別=避難判断水位とするIDを登録する。
【0026】
続いて、情報処理・配信装置110では、地区音声対応テーブルを参照し、地区ID=001,002,003,…の場合は音声ファイル=A,B,C,…地区音声を選択する。
【0027】
次に図5(c)に示すように、情報処理・配信装置110では、種別が避難判断水位の超過の場合、音声1のベース音声として、「以下の観測局で避難判断水位を超えました。」を配信し、続けて地区ID=001のA地区音声を選択して出力する
また、図5(d)に示すように、種別が氾濫危険水位を超過した場合、音声2のベース音声として、「以下の観測局で氾濫危険水位を超過しました。」を配信し、続けて地区ID=001のA地区音声を選択して出力し、地区ID=002のB地区音声を選択して出力する。この例の場合は、図5(c)で選択された音声1と図5(d)で選択された音声2が合成されて出力される。
【0028】
図6は上記タイムライン防災情報システム100において、タイムラインのステージを示すレベル(以下、タイムラインレベル)に変更が生じた場合に、タイムラインレベルに応じた音声データが配信される処理例を示す図である
ず、例えば河川の水位に関する項目について、A,B,C,…の拡地区の観測局(以下、A観測局、B観測局、C観測局、…)でそれぞれ警戒値を超過して水位に応じたトリガが発せられ、タイムラインレベルが変更された場合を想定する。
【0029】
情報処理・配信装置110は、図6(a)に示すトリガ情報対応テーブルと、図6(b)に示す配信音声対応テーブルを備える。
【0030】
情報処理・配信装置110では、入力されたタイムラインレベル情報をトリガ情報対応テーブルに登録する。すなわち、トリガとしてタイムラインスタートの情報が入力された場合には、ID=101を登録し、タイムラインクローズの情報が入力された場合には、ID=102を登録し、以下同様に、タイムラインレベル3の情報が入力された場合には、ID=105を登録し、トリガとしてタイムラインレベル4の情報が入力された場合には、ID=106を登録する。
【0031】
続いて、情報処理・配信装置110では、配信音声対応テーブルを参照し、ID=101,102…の場合はそれぞれ音声ファイル=音声V(タイムラインがスタートしました),音声W(タイムラインがクローズしました),…を選択する。また、ID=105,106…の場合はそれぞれ音声ファイル=音声Y(タイムラインのレベルは3になりました),音声Z(タイムラインのレベルは4になりました),…を選択する。この例の場合、「タイムラインのレベルが1から2に上がりました。」の音声を配信するようにしてもよい。
【0032】
以上のように、上記構成による情報処理・配信装置110で生成される音声データは、事象に該当する音声IDを取得し、音声IDのコードを音声データに変換して、移動系防災無線接続装置120を通じて移動系防災無線システム200に送られるので、タイムラインの行動項目について、観測結果に基づく音声データを自動的に生成して無線で移動局の関係者に通知することができる。
【0033】
(第2の実施例)
第1の実施例では、情報処理・配信装置110がトリガ情報対応テーブル及び配信音声対応テーブルを備えて、トリガに対応する音声データを生成し、移動系防災無線接続装置120を通じて無線システムに渡す構成となっていた。
これに対して、第2の実施例では、情報処理・配信装置130がトリガ対応テーブルを備え、移動系防災無線接続装置140が配信音声対応テーブルを備え、それぞれの装置で機能を分担している。
図7は、図1に示す防災無線システムの第2の実施例の構成を示すブロック図である。
【0034】
図7において、タイムライン防災情報システム100は、情報処理・配信装置130と、移動系防災無線接続装置140とを備える
報処理・配信装置130は、制御部131、データベース部(DB)132を備える。制御部131は、予め決められたタイムラインの行動項目について、観測局の観測結果から警戒値超過またはステージレベル変更の有無を判定する。そして、その判定結果の事象をトリガとして、データベース部132に予め行動項目別に登録された音声IDから事象に該当する音声IDをコード情報として取得し、移動系防災無線接続装置140に出力する。
【0035】
上記移動系防災無線接続装置140は、制御部141、データベース部142、音声化エンジン部143及び無線接続設定部144を備える。上記移動系防災無線接続装置140は、制御部141により、情報処理・配信装置130から入力されたコード情報に対応する音声データをデータベース部142から抽出する。そして、無線接続設定部144で無線接続の設定を行った後、防災無線システム200に出力する。
【0036】
上記防災無線システム200は、第1の実施例と同様であり、移動系防災無線装置210と、無線端末220とを備え、移動系防災無線接続装置120からの音声データを受け取り、所定の送信周波数に変換して無線端末220に無線送信する。
【0037】
図8は、タイムライン防災情報システム100において、観測局の観測結果から警戒値超過を検出した場合の情報処理・配信装置130、移動系防災無線接続装置140の処理の流れを示すフローチャートである。
【0038】
まず図8(a)に示すように、情報処理・配信装置130は、警戒値超過情報を入力すると、その超過情報に対応する超過情報コードを取得する(ステップS21)。
そして、情報処理・配信装置130は、対応する超過情報コードを送信する(ステップS22)
また、図8(b)に示すように、移動系防災無線接続装置140は、超過情報コードを入力すると、そのコードが警戒値超過情報か否かを判断する(ステップS31)。
そして、移動系防災無線接続装置140は、警戒値超過情報であれば、超過情報コードの種別に対応したベース音声を全て取得し、合成音声用データとしてそれぞれ保持する(ステップS32)
次に、移動系防災無線接続装置140は、警戒値超過情報コードに対応する地区IDを取得する(ステップS33)。
そして、移動系防災無線接続装置140は、地区IDに対応する音声データを取得する(ステップS34)。
そして、移動系防災無線接続装置140は、超過情報の合成音声用に地区IDに対応する音声データを合成する(ステップS35)。ステップS33~S35は警戒値超過情報数分繰り返し実行される
いて、それぞれの超過情報の合成音声用データを全て一つに合成する(ステップS36)。
そして、音声データとして移動系防災無線装置210に送信する(ステップS37)
た、ステップS31において、警戒値超過情報でないと判定された場合には、超過情報コードに対応する音声データを取得し(ステップS38)、ステップS37で音声データとして移動系防災無線装置210に送信する。
【0039】
記構成による第2の実施例では、情報処理・配信装置130がトリガ情報対応テーブルを備え、移動系防災無線接続装置140が配信音声対応テーブルを備え、それぞれの装置で機能を役割分担している
なわち、情報処理・配信装置130では、警戒値超過、タイムラインレベル変更トリガを入力すると、トリガ情報対応テーブルからトリガ対応のIDを取得し、コード情報として移動系防災無線接続装置140に渡す。無線接続装置140では、情報処理・配信装置130からのトリガ対応コード情報を順次入力し、配信音声対応テーブルを参照してコード情報に対応するIDの音声ファイルを順次選択し出力する。
【0040】
この実施例の場合、警戒値超過情報の場合は、音声合成を実施してその後配信する構成であり、タイムラインレベル変更情報の場合は、対応する音声データを配信する構成である。例えば、警戒値超過情報の音声出力例としては、「以下の観測局で氾濫危険水位を超過しました。A観測局、B観測局」、「以下の観測局で避難判断水位を超過しました。A観測局」のように出力する。また、タイムラインレベル変更情報の音声出力例としては、「町タイムラインのレベルが1から2に上がりました。」のように出力する。
【0041】
このように、第2の実施例によれば、第1の実施例と同様に、トリガの事象に対応した音声データを自動的に選択して無線送信することができる。本実施例では、最終的な放送内容が、まとまった放送となる(各地区の放送内容が、一つにまとまっている)ことが特徴となる。
【0042】
(第3の実施例)
第2の実施例では、情報処理・配信装置130で事象に対応するトリガ情報のコードを取得して移動系防災無線接続装置140で音声データに変換するようにしていた。これに対し、第3の実施例では、情報処理・配信装置110で音声IDのコード情報を順次移動系防災無線接続装置140に出力し、接続装置140で順次音声データに変換して出力する実施例である。
9は、図1に示す防災無線システムの第3の実施例の構成を示すブロック図である。
【0043】
図9において、タイムライン防災情報システム100は、情報処理・配信装置130と、移動系防災無線接続装置140とを備える
報処理・配信装置130は、制御部131、データベース部(DB)132を備える。制御部131は、予め決められたタイムラインの行動項目について、観測局の観測結果から警戒値超過またはステージレベル変更の有無を判定し、その判定結果の事象をトリガとして、データベース部132に予め行動項目別に登録された音声IDから事象に該当する音声IDをコード情報として取得し、移動系防災無線接続装置140に出力する。
【0044】
上記無線接続装置140は、制御部141、データベース部142、音声化エンジン部143及び無線接続設定部144を備え、制御部141により、情報処理・配信装置130からのコード情報に対応する音声データをデータベース部142から順次抽出して、音声化エンジン部143で無線接続の設定を行った後、防災無線システム200に出力する。
【0045】
上記防災無線システム200は、第1の実施例と同様であり、移動系防災無線装置210と、無線端末220とを備え、移動系防災無線接続装置120からの音声データを受け取り、所定の送信周波数に変換して無線端末220に無線送信する。
【0046】
図10は、図9に示す情報処理・配信装置130及び移動系防災無線接続装置140の処理の流れを示すフローチャートである。
【0047】
まず図10(a)に示すように、情報処理・配信装置130では、超過情報を入力すると、その超過情報に対応する音声IDを取得する(ステップS41)。
そして、情報処理・配信装置130は、対応する音声IDのコードを送信する(ステップS42)
また、図10(b)に示すように、無線接続装置140では、音声IDのコードを入力すると、音声IDに対応する音声データを取得する(ステップS51)。
そして、無線接続装置140は、その音声データを出力する(ステップS52)。
【0048】
すなわち、第3の実施例では、情報処理・配信装置110で得られた音声IDのコード情報を順次移動系防災無線接続装置140に出力し、接続装置140で入力したコード情報を順次音声データに変換して出力する。
【0049】
上記処理手順によれば、コード情報から音声データを直接取得することができるので、効率的に音声データを生成することができる
えば、警戒値超過情報の音声出力例としては、「A観測局で氾濫危険水位を超過しました。」、「B観測局で避難判断水位を超過しました。」、「A観測局で氾濫危険水位を超過しました。」のように出力する。また、タイムラインレベル変更情報の音声出力例としては、「町タイムラインのレベルが1から2に上がりました。」のように出力する。
【0050】
すなわち、第2の実施例では最終的な放送内容が、まとまった放送となる(各地区の放送内容が一つにまとまっている)のに対して、第3の実施系では、各水位超過毎に音声が出力される点が特徴となる。
【0051】
(第4の実施例)
次に、第4の実施例として、移動系防災無線装置または無線端末に代わって、同報系防災無線システムを適用した場合について、説明する。
11は、第4の実施例の構成を示すブロック図である
なわち、本システムでは、図2図7図9のタイムライン防災情報システム100に同報系防災無線接続装置150(移動系120または140に相当)を用い、防災無線システム200において、移動系防災無線装置210及び無線端末220に代わって、同報系防災無線装置230及び屋外拡声器240による同報系防災無線システムを利用する構成である
の構成によれば、移動系に代わって、同報系の防災無線システムでもほぼそのまま流用することができる。
【0052】
(第5の実施例)
次に、第5の実施例として、移動系防災無線システムと同報系防災無線システムの両方を適用した場合を説明する。
図12は、第5の実施例の構成を示すブロック図である
なわち、本システムでは、図2図7図9のタイムライン防災情報システム100に移動系防災無線接続装置120または140と同報系防災無線接続装置150を用い、防災無線システム200において、移動系防災無線装置210及び無線端末220による移動系防災無線システムと同報系防災無線装置230及び屋外拡声器240による同報系防災無線システムを利用する構成である
の構成によれば、移動系、同報系の防災無線システムの双方に同時に音声データを出力することができる。
【0053】
なお、上記実施例では、1つの事象に対して1種類の音声データを生成するようにしているが、音声で全てを知らせるのではなく、メールを同報して、音声では要点のみで、詳細はメール参照を促す等、移動先ユーザが効率よく情報を把握できるようにすると効果的である。
【0054】
その他、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0055】
100…タイムライン防災情報システム、110…情報処理・配信装置、111…制御部、112…データベース部(DB)、113…音声化エンジン部、120…移動系防災無線接続装置、121…制御部、122…無線接続設定部、130…情報処理・配信装置、131…制御部、132…データベース部(DB)、140…移動系防災無線接続装置、141…制御部、142…データベース部(DB)、143…音声化エンジン部、144…無線接続設定部、150…同報系防災無線接続装置、200…防災無線システム、210…移動系防災無線装置、220…無線端末、230…同報系防災無線装置、220…屋外拡声器。
図1
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図12