(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-22
(45)【発行日】2024-01-05
(54)【発明の名称】データ処理装置
(51)【国際特許分類】
G06F 15/78 20060101AFI20231225BHJP
【FI】
G06F15/78 513
G06F15/78 515
(21)【出願番号】P 2019157347
(22)【出願日】2019-08-29
【審査請求日】2022-06-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000101732
【氏名又は名称】アルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099748
【氏名又は名称】佐藤 克志
(74)【代理人】
【識別番号】100103171
【氏名又は名称】雨貝 正彦
(74)【代理人】
【識別番号】100105784
【氏名又は名称】橘 和之
(74)【代理人】
【識別番号】100098497
【氏名又は名称】片寄 恭三
(72)【発明者】
【氏名】岡田 広樹
【審査官】坂東 博司
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-004815(JP,A)
【文献】特開平08-075877(JP,A)
【文献】特開2016-027507(JP,A)
【文献】特開2009-141526(JP,A)
【文献】特開2011-004107(JP,A)
【文献】特開平06-187143(JP,A)
【文献】再公表特許第2012/114827(JP,A1)
【文献】特開2013-187738(JP,A)
【文献】特開平05-227089(JP,A)
【文献】特開平05-028076(JP,A)
【文献】中島 信行 NOBUYUKI NAKASHIMA,パソコンで学ぶ割り込みプログラミング,インターフェース 第18巻 第9号 Interface,日本,CQ出版株式会社,1992年09月01日,第18巻 第9号,154-169,【ISSN】0387-9569
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 15/78
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
デバイスとマイコンを備えたデータ処理装置であって、
前記マイコンは、
インプットキャプチャ端子と、
インプットキャプチャ端子に入力する信号のパルスのエッジに同期して、マイコンが内蔵しているカウンタの計数値を取り込むと共に内部割込を発生するインプットキャプチャ機能と、
前記インプットキャプチャ機能が発生した前記内部割込によって起動される情報識別処理とを有し、
前記デバイスは、
信号出力端子と、
前記信号出力端子から、前記マイコンに通知する情報の内容をパルスの時間幅で表す信号を前記マイコンのインプットキャプチャ端子に出力する情報送信手段とを有し、
前記マイコンの情報識別処理は、前記インプットキャプチャ機能が取り込んだ計数値から前記インプットキャプチャ端子に入力した信号のパルスの時間幅を算定し、算定した時間幅から、前記情報の内容を識別し、
前記デバイスの情報送信手段は、当該デバイスに入力する所定の信号が表すタイミングと、前記信号出力端子から出力する信号のパルスの終了時点との間の時間的な関係が所定の関係となるように、前記パルスの時間幅に応じて前記信号のパルスを現出させるタイミングを制御することを特徴とするデータ処理装置。
【請求項2】
請求項1記載のデータ処理装置であって、
前記所定の信号は映像の垂直同期信号であり、
前記デバイスの情報送信手段は、前記垂直同期信号が表す前記映像の垂直ブランキング期間の開始時点よりも、前記信号出力端子から出力する信号のパルスの終了時点が所定時間前になるように、前記パルスの時間幅に応じて前記信号のパルスを現出させるタイミングを制御することを特徴とするデータ処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デバイスからマイコンに情報を通知する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
デバイスからマイコンに情報を通知する技術としては、デバイスからマイコンの外部割り込み入力端子に割込信号を出力し、割込信号を受信したマイコンにおいて、マイコンの通信用端子に接続した通信線を介してデバイスから情報を読み出す割込処理を実行する技術が知られている(たとえば、特許文献1)。
【0003】
また、汎用のマイコンには、入力するパルス信号のエッジ変化に同期して、マイコン内蔵のカウンタの計数値を取り込むと共に内部割込を発生するインプットキャプチャの機能が備えられていることが多い(たとえば、特許文献2、3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2009-141526号公報
【文献】特開2013-131019号公報
【文献】特開2007-257227号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した技術によれば、デバイスからマイコンに情報を通知するために、デバイスにマイコンに情報を通知するための通信用端子の他に、割込信号出力専用の端子を設けることが必要となる。
また、デバイスからマイコンに情報を通知するために、デバイスからマイコンの外部割り込み入力端子への割込信号の出力、マイコンにおける割込処理によるデバイスからの通信線を介した情報の読み出しとの2段階のシーケンスが必要となるため、マイコンにおいて、デバイス出発生した情報に対して行うべき処理をリアルタイムに行うことが困難となる場合があった。
【0006】
そこで、本発明は、デバイスに割込信号出力用の端子を設けることなく、デバイスからマイコンへの情報の通知を迅速に行うことを課題とする
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題達成のために、本発明は、デバイスとマイコンを備えたデータ処理装置において、前記マイコンに、インプットキャプチャ端子と、インプットキャプチャ端子に入力する信号のパルスのエッジに同期して、マイコンが内蔵しているカウンタの計数値を取り込むと共に内部割込を発生するインプットキャプチャ機能と、前記インプットキャプチャ機能が発生した前記内部割込によって起動される情報識別処理とを備え、前記デバイスに、信号出力端子と、前記信号出力端子から、前記マイコンに通知する情報の内容をパルスの時間幅で表す信号を前記マイコンのインプットキャプチャ端子に出力する情報送信手段を備えたものである。但し、前記マイコンの情報識別処理は、前記インプットキャプチャ機能が取り込んだ計数値から前記インプットキャプチャ端子に入力した信号のパルスの時間幅を算定し、算定した時間幅から、前記情報の内容を識別する。
【0008】
ここで、このようなデータ処理装置では、前記デバイスの情報送信手段において、当該デバイスに入力する所定の信号が表すタイミングと、前記信号出力端子から出力する信号のパルスの終了時点との間の時間的な関係が所定の関係となるように、前記パルスの時間幅に応じて前記信号のパルスを現出させるタイミングを制御するように構成してもよい。
【0009】
また、この場合には、前記所定の信号を映像の垂直同期信号とし、前記デバイスの情報送信手段において、前記垂直同期信号が表す前記映像の垂直ブランキング期間の開始時点よりも、前記信号出力端子から出力する信号のパルスの終了時点が所定時間前になるように、前記パルスの時間幅に応じて前記信号のパルスを現出させるタイミングを制御してもよい。
【0010】
以上のようなデータ処理装置によれば、デバイスに割込信号出力専用の端子を設けることなく、デバイスからマイコンへの情報の通知を行うことができる。また、デバイスからの1度のパルスの出力と当該パルスに対するマイコンの割込処理によって、デバイスからマイコンへの情報の通知が完了するので、当該情報の通知を迅速に行うことができる。また、デバイスにおいて、パルスの出力タイミングを制御することにより、所定の処理を所定の期間内にマイコンに行わせることができる。
【0011】
また、前記課題達成のために、本発明は、デバイスとマイコンを備えたデータ処理装置において、前記マイコンに、シリアル通信の受信端子と、シリアル通信で前記受信端子に入力する信号が表すデータを受信し、当該データの受信に応答して内部割込を発生する受信機能と、前記受信機能が発生した前記内部割込によって起動される情報識別処理を備え、前記デバイスに、シリアル通信の送信端子と、前記送信端子から、前記マイコンに通知する情報の内容をコード化したデータを表す信号を前記マイコンの受信端子にシリアル通信で送信する情報送信手段を備えたものである。但し、前記マイコンの情報識別処理は、前記受信機能が受信したデータから、前記情報の内容を識別する。また、前記デバイスの情報送信手段は、当該デバイスに入力する所定の信号が表すタイミングと、前記送信端子からの前記データを表す信号の送信終了時点との間の時間的な関係が所定の関係となるように、前記データを表す信号を送信するタイミングを制御するように構成してもよい。
【0012】
また、この場合には、前記所定の信号を映像の垂直同期信号とし、前記デバイスの情報送信手段において、前記垂直同期信号が表す前記映像の垂直ブランキング期間の開始時点よりも、前記送信端子からの前記データを表す信号の送信終了時点が所定時間前になるように、前記データを表す信号を送信するタイミングを制御してもよい。
【0013】
以上のようなデータ処理装置によれば、デバイスに割込信号出力専用の端子を設けることなく、デバイスからマイコンへの情報の通知を行うことができる。また、デバイスからの1度のデータのシリアル通信による送信と当該データの受信に対するマイコンの割込処理によって、デバイスからマイコンへの情報の通知が完了するので、当該情報の通知を迅速に行うことができる。また、デバイスにおいて、データのシリアル通信による送信タイミングを制御することにより、所定の処理を所定の期間内にマイコンに行わせることができる。
【発明の効果】
【0014】
以上のように、本発明によれば、デバイスに割込信号出力用の端子を設けることなく、デバイスからマイコンへの情報の通知を迅速に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の第1実施形態に係るデータ処理装置の構成を示すブロック図である。
【
図2】本発明の第1実施形態に係るデータ処理装置の動作例を示す図である。
【
図3】本発明の第2実施形態に係るデータ処理装置の構成と動作例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について説明する。
まず、第1の実施形態について説明する。
図1に、第1実施形態に係るデータ処理装置の構成を示す。
図示するように、データ処理装置は、マイコン1とデバイス2を備えている。
【0017】
マイコン1は、Input Capture端子を備え、マイコン1のInput Capture端子は、デバイス2のPWM出力端子に接続している。
マイコン1は、Input Capture端子の入力するパルス信号の立ち下がりと立ち上がりに同期して、マイコン内蔵のカウンタの計数値を取り込むと共に内部割込を発生するインプットキャプチャの機能を備えている。
【0018】
このような構成において、デバイス2は、
図1b1、b2に示すように、PWM出力端子からマイコン1に通知する情報の内容に対応する時間幅のパルスにコード化したPWM信号を出力する。ここで、情報の内容とパルスの時間幅との対応は予め定められている。
なお、
図1b1、b2に示した例では、PWM信号をL有意の信号としている。
【0019】
図1b1に示すように、デバイス2が、第1の情報内容を、第1の情報内容に予め対応づけられている時間幅3のパルスにコード化してPWM信号としてPWM出力端子から出力すると、マイコン1において、Input Capture端子に入力するPWM信号の立ち下がり時点のカウンタの計数値nと、PWM信号の立ち上がり時点のカウンタの計数値n+3がインプットキャプチャの機能により所定のレジスタに取り込まれる。また、PWM信号の立ち下がり時点と立ち上がり時点でマイコン1内部の割込である内部割込が発生し、この内部割込に予め対応づけられたマイコン1の処理が実行され、当該処理において、レジスタのカウンタの計数値nと計数値n+3より、PWM信号のパルスの時間幅3が算定され、時間幅3に対応する第1の情報内容がマイコン1において識別される。
【0020】
一方、
図1b2に示すように、デバイス2が、第2の情報内容を、第2の情報内容に予め対応づけられている時間幅5のパルスにコード化してPWM信号としてPWM出力端子から出力すると、マイコン1において、Input Capture端子に入力するPWM信号の立ち下がり時点のカウンタの計数値mと、PWM信号の立ち上がり時点のカウンタの計数値m+5がインプットキャプチャの機能により所定のレジスタに取り込まれる。また、PWM信号の立ち下がり時点と立ち上がり時点でマイコン1内部の割込である内部割込が発生し、この内部割込に予め対応づけられたマイコン1の処理が実行され、当該処理において、レジスタのカウンタの計数値mと計数値m+5より、PWM信号のパルスの時間幅5が算定され、時間幅5に対応する第1の情報内容がマイコン1において識別される。
【0021】
さて、本第1実施形態に係るデータ処理装置においては、デバイス2がマイコン1に所定の処理を所定の期間内に行わせることもできる。
すなわち、たとえば、データ処理装置が映像表示に関わる処理を行うものであり、
図2aに示すように、デバイス2に、映像の垂直ブランキング期間を表す垂直同期信号Vsyncが入力され、デバイス2において垂直同期信号Vsyncに同期した処理を行っている場合に、マイコン1に所定の処理を垂直ブランキング期間内に行わせたいときには、
図2bに示すように、デバイス2は、マイコン1に行わせる処理の種類を情報内容として、当該情報内容に対応する時間幅のパルスをPWM信号としてマイコン1に出力し、マイコン1においてPWM信号から識別した情報内容が表す種類の処理を実行する。
【0022】
また、PWM信号のパルスの出力終了時点からマイコン1においてPWM信号から識別した情報内容が表す種類の処理の実行が開始されるまでに要する時間をTとして、デバイス2において、垂直同期信号Vsyncに基づいて、PWM信号のパルスの出力終了時点(パルスの立ち上がり時点)が、垂直ブランキング期間の開始時よりも時間T前の時点となるように、PWM信号のパルスの出力を開始するタイミングを、パルスの時間幅に応じて制御する。
【0023】
なお、デバイス2は、上述した時間Tを任意に設定可能に構成することが好ましい。
以上、本発明の第1実施形態について説明した。
以上のように本第1実施形態によれば、デバイス2に割込信号出力専用の端子を設けることなく、デバイス2からマイコン1への情報の通知を行うことができる。また、デバイス2からの1度のPWM信号のパルスの出力と当該出力に対するマイコン1の割込処理によって、デバイス2からマイコン1への情報の通知が完了するので、当該情報の通知を迅速に行うことができる。また、デバイス2において、PWM信号のパルスの出力タイミングを制御することにより、所定の処理を所定の期間内にマイコン1に行わせることができる。
【0024】
以下、本発明の第2の実施形態について説明する。
図3に、第2実施形態に係るデータ処理装置の構成を示す。
図示するように、データ処理装置は、マイコン1とデバイス2を備えている。
マイコン1は、シリアル通信の受信端子であるUART_Rx端子を備え、マイコン1のUART_Rx端子は、デバイス2のシリアル通信の送信端子であるUART_Tx端子に接続している。
このような構成において、デバイス2は、
図1bに示すように、マイコン1に通知する情報の内容を8ビットのデータにコード化してUART_Tx端子からシリアル通信で送信する。
【0025】
図3bに示すように、8ビットのデータ(DB0-DB7)は、先頭にスタートビットSB、末尾にストップビットPBが付加されたデータフォーマットで送信され、マイコン1においてUART_Rx端子で受信した8ビットのデータ(DB0-DB7)は、マイコン1のUART受信機能によって、内部の受信レジスタに格納される。また、マイコン1のUART受信機能は、8ビットのデータ(DB0-DB7)を受信レジスタに格納したならば内部の割込を発生する。
【0026】
そして、この内部割込に予め対応づけられたマイコン1の処理が実行され、当該処理において、受信レジスタの8ビットのデータ(DB0-DB7)が読み出され、データ(DB0-DB7)にコード化された情報内容がマイコン1において識別される。
【0027】
さて、本第2実施形態に係るデータ処理装置においても、デバイス2が所定の処理を所定の期間内にマイコン1に行わせることができる。
すなわち、たとえば、データ処理装置が映像表示に関わる処理を行うものであり、
図3aに示すように、デバイス2に映像の垂直ブランキング期間を表す垂直同期信号Vsyncが入力され、デバイス2において垂直同期信号Vsyncに同期した処理を行っている場合に、所定の処理を映像の垂直ブランキング期間内にマイコン1に行わせたいときには、デバイス2は、マイコン1に行わせる処理の種類を情報内容として、当該情報内容を8ビットのデータ(DB0-DB7)としてコード化してUART_Tx端子からシリアル通信でマイコン1に送信し、マイコン1においてUART_Rxで受信した8ビットのデータ(DB0-DB7)から識別した情報内容が表す種類の処理を実行する。
【0028】
また、
図3cに示すように、デバイス2の8ビットのデータ(DB0-DB7)の送信終了時点(ストップビットPBの送信終了時点)からマイコン1において8ビットのデータ(DB0-DB7)から識別した情報内容が表す種類の処理の実行が開始されるまでに要する時間をTとし、デバイス2において、垂直同期信号Vsyncに基づいて、8ビットのデータ(DB0-DB7)の送信終了時点が、垂直ブランキング期間の開始時よりも、時間T前の時刻となるように、8ビットのデータ(DB0-DB7)の送信を行うタイミングを制御する。
【0029】
なお、デバイス2は、上述した時間Tを任意に設定可能に構成することが好ましい。
以上、本発明の第2の実施形態について説明した。
以上のように本第2実施形態によれば、デバイス2に割込信号出力専用の端子を設けることなく、デバイス2からマイコン1への情報の通知を行うことができる。また、デバイス2からの1度のデータのシリアル通信による送信と当該データの受信に対するマイコン1の割込処理によって、デバイス2からマイコン1への情報の通知が完了するので、当該情報の通知を迅速に行うことができる。また、デバイス2において、データのシリアル通信による送信タイミングを制御することにより、所定の処理を所定の期間内にマイコン1に行わせることができる。
【符号の説明】
【0030】
1…マイコン、2…デバイス。