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特許7408324診断支援装置、診断支援システム、診断支援方法およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-22
(45)【発行日】2024-01-05
(54)【発明の名称】診断支援装置、診断支援システム、診断支援方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G16H 50/20 20180101AFI20231225BHJP
   A61B 5/00 20060101ALI20231225BHJP
【FI】
G16H50/20
A61B5/00 G
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2019167109
(22)【出願日】2019-09-13
(65)【公開番号】P2021043857
(43)【公開日】2021-03-18
【審査請求日】2022-09-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松木 直紀
(72)【発明者】
【氏名】川岸 将実
【審査官】今井 悠太
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-074868(JP,A)
【文献】特許第3821225(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00-80/00
A61B 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
医用画像を取得する取得手段と、
医用画像を用いた機械学習により作成された分類モデルを用いて、前記取得された医用画像から所見情報を導出する所見導出手段と、
前記導出された所見情報における所見項目の確からしさを表す値のデータ形式を、第1のデータ形式と第2のデータ形式のいずれかのデータ形式に設定する設定手段と、
前記設定された所見情報に基づいて、前記取得された医用画像に対する推論を行う推論手段と、
を有することを特徴とする診断支援装置。
【請求項2】
前記所見導出手段は、前記取得された医用画像から複数の所見情報を導出し、
前記設定手段は、前記複数の所見情報ごとに、所見項目の確からしさを表す値のデータ形式を、前記第1のデータ形式または前記第2のデータ形式のいずれかのデータ形式に設定する、
ことを特徴とする請求項1に記載の診断支援装置。
【請求項3】
前記所見導出手段は、所見情報ごとに異なる分類モデルを用いて、前記取得された医用画像から前記複数の所見情報を導出する、請求項2に記載の診断支援装置。
【請求項4】
前記第1のデータ形式は、前記所見項目の確からしさを表す値をバイナリ値で表すデータ形式であり、前記第2のデータ形式は、前記所見項目の確からしさを表す値を尤度で表すデータ形式である、ことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の診断支援装置。
【請求項5】
前記所見導出手段は、前記所見情報における前記所見項目の確からしさを表す値のデータ形式に前記第2のデータ形式を用いて前記所見情報を導出し、
前記設定手段は、前記導出された所見情報における前記所見項目の確からしさを表す値のデータ形式を前記第1のデータ形式に設定するか、または、前記第2のデータ形式のままとする、
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の診断支援装置。
【請求項6】
前記設定手段は、前記所見導出手段を識別する情報と前記推論手段を識別する情報の少なくともいずれか一方に基づいて、前記所見情報における前記所見項目の確からしさを表す値のデータ形式を前記第1のデータ形式または前記第2のデータ形式に設定する、ことを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の診断支援装置。
【請求項7】
前記推論手段は、前記設定された所見情報に基づいて、前記取得された医用画像に含まれる部位に関する診断名を推論する、ことを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の診断支援装置。
【請求項8】
前記推論手段は、複数の診断名について診断名ごとに推論される確率を算出し、算出した確率に基づいて、前記取得された医用画像に含まれる部位に関する診断名を推論する、ことを特徴とする請求項7に記載の診断支援装置。
【請求項9】
所見情報の所見項目の確からしさを表す値が前記第1のデータ形式によって構成された第1の試験データと、前記所見情報の前記所見項目の確からしさを表す値が前記第2のデータ形式によって構成された第2の試験データと、を取得する試験データ取得手段をさらに有し、
前記設定手段は、前記推論手段が前記第1の試験データを用いて試験用の医用画像に対して推論を行った場合の推論結果と、前記推論手段が前記第2の試験データを用いて前記試験用の医用画像に対して推論を行った場合の推論結果との比較に基づいて、前記所見情報ごとに前記第1のデータ形式または前記第2のデータ形式を特定する、
ことを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載の診断支援装置。
【請求項10】
医用画像と診断名の正解ラベルとが対応付けられた正解データを取得する正解データ取得手段をさらに有し、
前記試験データ取得手段は、前記取得した正解データに基づいて、前記第1の試験データおよび前記第2の試験データを生成する、
ことを特徴とする請求項9に記載の診断支援装置。
【請求項11】
前記試験データ取得手段は、前記取得した正解データに含まれる所見項目の確からしさを表す値に誤りを発生させて、前記第1の試験データおよび前記第2の試験データを生成する、ことを特徴とする請求項10に記載の診断支援装置。
【請求項12】
医用画像を取得する取得手段と、
医用画像を用いた機械学習により作成された分類モデルを用いて、前記取得された医用画像から所見情報を導出する所見導出手段と、
前記導出された所見情報における所見項目の確からしさを表す値のデータ形式を、第1のデータ形式と第2のデータ形式のいずれかのデータ形式に設定する設定手段と、
前記設定された所見情報に基づいて、前記取得された医用画像に対する推論を行う推論手段と、
を有することを特徴とする診断支援システム。
【請求項13】
医用画像を取得するステップと、
医用画像を用いた機械学習により作成された分類モデルを用いて、前記取得された医用画像から所見情報を導出するステップと、
前記導出された所見情報における所見項目の確からしさを表す値のデータ形式を、第1のデータ形式と第2のデータ形式のいずれかのデータ形式に設定するステップと、
前記設定された所見情報に基づいて、前記取得された医用画像に対する推論を行うステ
ップと
を有することを特徴とするプロセッサにより実行される診断支援方法。
【請求項14】
コンピュータに請求項13に記載の診断支援方法を実行させる、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、診断支援装置、診断支援システム、診断支援方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
機械学習により構築される分類モデルは多様化しており、学習データとして入力されるデータも様々である。データの種類によって、学習データとして入力されるデータが取り得る値は連続値、離散値となることがある。そこで、特許文献1に示すように、学習データとして連続値と離散値の両方を含むデータを用いてモデルの学習を行う技術も提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第3821225号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
分類モデルを用いてデータを分類する手法の1つに、学習済みである複数の分類モデルを直列に組み合わせることで最終的な分類結果を得る手法がある。この手法では、前段のモデルから出力される変数ごとの尤度を、連続値としてそのまま後段のモデルに入力するか、ワンホット(one-hot)表現等に加工して離散値として後段のモデルに入力するかで、最終的な分類精度が変わる。
【0005】
特許文献1に提案される技術を用いることで、データの種類ごとに尤度をそのまま(尤度形式)あるいはワンホット表現等に加工して(バイナリ形式)後段の分類モデルに入力することができる。しかしながら、分類精度は、前段の分類モデルと後段の分類モデルの関係や学習データの種類、分類対象のデータ等の種々の条件によって複雑に変化する。よって、これらの条件が変われば分類精度が低下する可能性がある。この結果、上記の分類モデルを用いて医用画像に対する推論を行っても、医師等の診断に資する精度よい推論結果を得ることはできない可能性がある。
【0006】
本件開示の技術は、上記に鑑みて、推論精度を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本件開示の技術に係る診断支援装置は、
医用画像を取得する取得手段と、
医用画像を用いた機械学習により作成された分類モデルを用いて、前記取得された医用画像から所見情報を導出する所見導出手段と、
前記導出された所見情報における所見項目の確からしさを表す値のデータ形式を、第1のデータ形式と第2のデータ形式のいずれかのデータ形式に設定する設定手段と、
前記設定された所見情報に基づいて、前記取得された医用画像に対する推論を行う推論手段と、
を有することを特徴とする。
また、本件開示の技術に係る診断支援システムは、
医用画像を取得する取得手段と、
医用画像を用いた機械学習により作成された分類モデルを用いて、前記取得された医用画像から所見情報を導出する所見導出手段と、
前記導出された所見情報における所見項目の確からしさを表す値のデータ形式を、第1のデータ形式と第2のデータ形式のいずれかのデータ形式に設定する設定手段と、
前記設定された所見情報に基づいて、前記取得された医用画像に対する推論を行う推論手段と、
を有することを特徴とする。
また、本件開示の技術に係るプロセッサにより実行される診断支援方法は、
医用画像を取得するステップと、
医用画像を用いた機械学習により作成された分類モデルを用いて、前記取得された医用画像から所見情報を導出するステップと、
前記導出された所見情報における所見項目の確からしさを表す値のデータ形式を、第1のデータ形式と第2のデータ形式のいずれかのデータ形式に設定するステップと、
前記設定された所見情報に基づいて、前記取得された医用画像に対する推論を行うステップと
を有することを特徴とする。
また、本件開示の技術に係るプログラムは、
コンピュータに上記の診断支援方法を実行させる、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本件開示の技術により、推論精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1実施形態に係る診断支援装置の機能構成を例示する図
図2】第1実施形態に係る診断支援装置のハードウェア構成を例示する図
図3】第1実施形態に係る診断支援装置による処理のフローチャートを例示する図
図4】第1実施形態に係る診断支援装置が取得する情報を例示する図
図5】第1実施形態に係る診断支援装置によるデータ形式の設定を例示する図
図6】第1実施形態に係る診断支援装置が参照するテーブルを例示する図
図7】第1実施形態に係る診断支援装置が表示する画面を例示する図
図8】第2実施形態に係る診断支援装置の機能構成を例示する図
図9】第2実施形態に係る診断支援装置による処理のフローチャートを例示する図
図10】尤度形式のデータとバイナリ形式のデータを例示する図
図11】画像から診断内容を取得するまでの処理の流れを例示する図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、図面を参照しつつ、本件開示の技術の好適な実施の形態について説明する。ただし、以下に記載されている構成部品の寸法、材質、形状およびそれらの相対配置等は、発明が適用される装置の構成や各種条件により適宜変更されるべきものである。よって、この発明の範囲を以下の記載に限定する趣旨のものではない。特に図示あるいは記述をしない構成や工程には、当該技術分野の周知技術または公知技術を適用することが可能である。また、重複する説明は省略する場合がある。
【0011】
(第1実施形態)
第1実施形態に係る医用画像診断支援システムについて説明する。医療の分野では、X線CT(Computer Tomography)装置やMRI(Magnetic Resonance Imaging)装置等の撮影装置により得られた医用画像に基づいて診断を行う、画像診断が行われている。ここで、医師等が医用画像を観察して診断を導きだすことを読影という。例えば、主治医からの読影の依頼に応じて、画像診断を専門とする読影医が読影を行う。読影医は医用画像から得られる所見(以下、画像所見と称する。)や各種の測定値から総合的に判断して、医用画像に含まれる被検体である患者の病変や症状を特定する。また、読影医は、画像所見や測定値に基づく診断の経緯等を含む読
影レポートを作成する。このような読影を支援するために、コンピュータが医用情報を解析して得られた結果を提示するシステムが提案されている。
【0012】
第1実施形態に係る診断支援装置100は、読影の対象となる医用画像や、電子カルテ等に記載された情報等を取得し、コンピュータが診断の手掛かりとなる情報を提示することにより診断支援を行う。なお、以下の説明では、診断支援装置100は、医用画像と、当該医用画像に付帯する付帯情報と、患者を特定する患者情報、撮影日や撮影部位等の撮影情報、患者の臨床情報を取得するものとする。本実施形態では、医用画像は患者の肺の異常陰影の読影に用いられる医用画像である。付帯情報は、異常陰影の位置を示す座標情報や等の医用画像に対する補足情報である。患者情報は、患者の氏名、年齢、性別等の患者を識別する情報である。撮影情報は、医用画像の撮影日、撮影装置、撮影部位等の撮影に関する情報である。臨床情報は、患者の病歴や腫瘍マーカーの血液検査値等の情報である。
【0013】
そして、診断支援装置100が、取得した情報を基に推論に使用する入力情報を生成し、入力情報から診断の手掛かりとなる情報をユーザ(医師等)に理解可能な形式で生成する場合を例として説明する。なお、本実施形態に係る診断支援装置100による処理はこれに限定されるものではない。また、以下に説明する診断名や所見情報、臨床情報等は、いずれも診断支援装置100の処理の工程を説明するための一例に過ぎない。
【0014】
図1は、第1実施形態に係る診断支援システム1の機能構成の一例を示す図である。診断支援システム1は、診断支援装置100と症例情報端末200を有する。診断支援装置100は、症例情報端末200と通信可能に接続されている。診断支援装置100は、入力情報生成部101と、所見情報生成部102と、推論部103と、表示制御部104とを有する。また、症例情報端末200は、読影に用いられる症例に関する情報をサーバ(不図示)から取得する。症例に関する情報とは、例えば、医用画像、医用画像の撮影情報、電子カルテに記載された臨床情報や患者情報である。症例情報端末200は、例えばFDD、HDD、CDドライブ、DVDドライブ、MOドライブ、ZIPドライブ等の外部記憶装置(不図示)と接続し、外部記憶装置から症例に関する情報を取得するように構成されていてもよい。
【0015】
図2は、診断支援装置100のハードウェア構成の一例を示す図である。CPU111は、主として診断支援装置100内の各構成要素の動作を制御する。メインメモリ112は、CPU111が実行する制御プログラムを格納したり、CPU111によるプログラム実行時の作業領域を提供したりする。磁気ディスク113は、オペレーティングシステム(OS)、周辺機器のデバイスドライバ、後述する処理等を行う各種アプリケーションソフトウェアを実現するプログラムを格納する。CPU111は、メインメモリ112、磁気ディスク113に格納されているプログラムを実行することにより、図1に示す入力情報生成部101、所見情報生成部102、推論部103、表示制御部104として機能する。表示メモリ114は、例えばモニタ300に表示させる表示用データを一時記憶する。
【0016】
診断支援装置100は、I/Oインターフェイス116を介して、画像やテキスト等の表示を行う表示装置であるモニタ300やユーザがポインティング入力や文字等の入力を行うために使用する入力装置400に接続されている。モニタ300は、例えばCRT(Cathod-ray Tube)モニタや液晶モニタ等である。また、入力装置400は、例えばマウス及びキーボード等である。
【0017】
診断支援装置100内の各構成要素は、共通バス116によって互いに通信可能に接続されている。診断支援装置100は、上記の各部の処理を行う複数のCPUを有していて
もよい。例えば診断支援装置100は、以下に説明する推論部103として実行する処理を専用に行うGPUを有していてもよいし、推論部103の機能がプログラムされたFPGA(Field-Programmable Gate Array)を有していてもよい。
【0018】
次に、診断支援装置100の各部について説明する。入力情報生成部101は、症例情報端末200から受信した情報、例えば医用画像、臨床情報、付帯情報を用いて入力情報を生成する。ここで入力情報とは、推論部103に入力され、推論部103によって実行される推論に用いられる情報を要素とする、情報の集合である。また、入力情報生成部101は、症例情報端末200から患者情報および撮影情報も受信する。入力情報生成部101が、医用画像を取得する取得手段の一例である。
【0019】
所見情報生成部102は、入力情報生成部101から出力された医用画像および付帯情報に基づいて所見情報を生成し、生成した所見情報を入力情報生成部101に出力する。なお、所見情報生成部102は、医用画像上の異常陰影の位置を入力情報生成部101から出力された付帯情報に基づいて特定してもよいし、周知の画像処理を用いて特定してもよい。所見情報生成部102が、医用画像から所見情報を導出する所見導出手段の一例である。
【0020】
本実施形態では、入力情報生成部101が医用画像と付帯情報を所見情報生成部102に出力し、所見情報生成部102が医用画像と付帯情報を基に所見情報を生成する。生成された所見情報は、所見情報生成部102から入力情報生成部101に出力される。そして、入力情報生成部101は、取得した所見情報と臨床情報を組み合わせて入力情報を生成し、生成した入力情報を推論部103に出力する。
【0021】
図11に、本実施形態の診断支援装置100における、医用画像の推論処理の流れを模式的に示す。所見情報生成部102は、所見情報ごとに分類モデル(導出器)を有し、分類モデルから得られる所見情報の尤度を入力情報生成部101に出力する。入力情報生成部101は、所見情報生成部102から出力される尤度形式の所見情報を、そのまま尤度形式として出力するかあるいはバイナリ形式として設定して出力する。バイナリ形式が第1のデータ形式の一例であり、尤度形式が第2のデータ形式の一例である。また、入力情報生成部101が、導出された所見情報における所見項目の確からしさを表す値のデータ形式を、第1のデータ形式と第2のデータ形式のいずれかのデータ形式に設定する設定手段の一例である。入力情報生成部101は、データ形式を設定した所見情報を推論部103に出力する。推論部103は、推論器を有し、入力情報生成部101から出力される所見情報を基に、医用画像に含まれる部位に関する診断名の推論を行い、推論結果を出力する。
【0022】
本実施形態では、推論部103は、入力情報生成部101が生成した入力情報を基に、対象とする症例に関する診断名を推論する。第1実施形態においては、肺の異常陰影に関する診断名の推論を例に説明する。推論部103は、医用画像に含まれる肺の異常陰影が、複数の診断名の候補それぞれに該当する確率を推論結果として取得する。そして、推論部103は、取得した推論結果を表示制御部104に出力する。なお、推論部103が、推論手段の一例である。
【0023】
表示制御部104は、診断支援装置100の各部や症例情報端末200から取得した情報を表示する。具体的には、表示制御部104は、症例情報端末200から医用画像を取得し、取得した情報をユーザが読影可能な形式でモニタ300に表示する。そして、表示制御部104は、モニタ300に表示される医用画像上に異常陰影が存在するとユーザが考える領域の座標情報の入力をユーザに要求するGUIをモニタ300に表示する。この
GUIを介してユーザが入力した情報は、医用画像の付帯情報として症例情報端末200に送信される。また、症例情報端末200は、付帯情報を医用情報とともに診断支援装置100に送信する。また、表示制御部104は、推論部103が出力した推論結果をモニタ300に表示してユーザに提示する。
【0024】
なお、図1に示す診断支援装置100の各部の少なくとも一部を独立した装置として構成してもよい。また、診断支援装置100の各部は、1つ以上のソフトウェアを用いて実現されてもよい。なお、第1実施形態では、図1に示す診断支援装置100の各部は、それぞれCPU111が実行するソフトウェアによって実現されているものとする。
【0025】
次に、本実施形態において診断支援装置100によって実行される処理について説明する。図3は、診断支援装置100によって実行される処理の一例を示すフローチャートである。第1実施形態では、CPU111がメインメモリ112に格納されている各部の機能を実現するプログラムを実行することにより、図3に示す各処理が実現される。
【0026】
以下の説明では、各所見情報を所見名F(n=1~N)を用いて所見情報Fと表し、各臨床情報を臨床名C(j=1~J)を用いて臨床情報Cと表す。また、全所見情報の集合をF=∪F、全臨床情報の集合をC=∪Cで表す。各所見情報Fは具体的な所見内容を示す所見項目(カテゴリ値)を有する。また、各臨床情報Cは具体的な数値を示す実数値または具体的な臨床内容を示すカテゴリ値を有する。所見情報Fと臨床情報Cがカテゴリ値を有する場合は、それぞれのカテゴリ値をfnk、cjkで表す。この場合、所見情報Fにおけるカテゴリ値の集合をF=∪fnk、臨床情報Cにおけるカテゴリ値の集合をC=∪cjkで表す。なお、kの値は所見情報や臨床情報に応じて決まる。また、臨床情報Cjが実数値を有する場合は、それぞれの実数値をcで表
す。
【0027】
所見情報および/または臨床情報がカテゴリ値を有する場合、各カテゴリ値の確からしさを尤度で示すデータ形式と各カテゴリ値の確からしさをバイナリ値(0又は1:2値)で示すデータ形式のいずれかのデータ形式が採用される。以下の説明では、各カテゴリ値の確からしさを尤度で示すデータ形式を尤度形式と称し、各カテゴリ値の確からしさをバイナリ値で示すデータ形式をバイナリ形式と称する。また、尤度形式であることをL()を用いて表し、バイナリ形式であることをB()を用いて表す。例えば、所見情報Fが有するカテゴリ値の確からしさを尤度形式で表す場合は、L(F)と表され、L(F)={L(fn1),L(fn2),…,L(fnk)}(fnkは各カテゴリ値)が成り立つ。また、所見情報Fが有するカテゴリ値の確からしさをバイナリ形式で表す場合は、B(F)と表され、B(F)={B(fn1),B(fn2),…,B(fnk)}(fnkは各カテゴリ値)が成り立つ。
【0028】
図4は、第1実施形態における所見情報と臨床情報におけるカテゴリ値とその確からしさを表す値との対応関係の一例を示す。図4に示すように、所見情報Fの「形状」は、f11「球形」、f12「分葉状」、f13「多角形」、f14「不整形」の4種類のカテゴリ値を有する。また、所見情報Fの「切れ込み」は、f21「強い」、f22「弱い」、f23「なし」の3種類のカテゴリ値を有する。また、臨床情報Cの「発熱」は、c11「あり」、c12「なし」の2種類のカテゴリ値を有する。また、臨床情報Cの「CEA」(腫瘍マーカーの一種)は、連続値である実数値cを有する。
【0029】
また、以下の説明では入力情報をEで表す。Eはすべての所見情報および臨床情報で構成され、E=F∪Cで表される。図4に例示する所見情報と臨床情報とカテゴリ値を用いる場合、E={f11,f12,f13,f14,f21,…,fN1,fN2,fN3,c11,c12,c21,c22,c31,…,c}が成り立つ。また、入
力情報の要素ごとに、尤度形式とバイナリ形式のいずれのデータ形式も用いることができる。
【0030】
さらに、以下の説明では、診断名をDで表す。第1実施形態では、推論部106が肺の異常陰影に関する診断名の推論を行い、推論される診断名は「原発性肺癌」、「癌の肺転移」、「その他」の3つ診断名のいずれかであるとする。以下では、診断名をd(u=1,2,3)で表す。また、dは「原発性肺癌」、dは「癌の肺転移」、dは「その他」である。また、入力情報Eが推論部103に入力された場合に診断名dが推論される確率(以下、推論確率と称する)をP(d|E)で表す。
【0031】
以下に、図3のフローチャートの処理について説明する。まず、ステップS3000において、CPU111は、症例情報端末200から医用画像、臨床情報、付帯情報を取得する。本実施形態の例では、付帯情報には異常陰影の座標情報が含まれている。
【0032】
次に、ステップS3010において、CPU111は、ステップS3000で取得した医用画像と付帯情報に基づいて、尤度形式の所見情報L(F)={L(F),L(F),…,L(F)}を生成する。さらに、CPU111は、バイナリ形式の所見情報B(F)={B(F),B(F),…,B(F)}を生成する。
【0033】
本実施形態において、診断支援装置100のメインメモリ111には、医用画像から所見情報を導出する導出器が格納されている。導出器は、医用画像に所見情報ごとの分類の正解ラベルが付与された、医用画像のデータ群を用いてCNN(Convolutional Neural Network)により構築される。CNNは機械学習の一例である。導出器は、分類モデルの出力データをソフトマックス関数で処理することにより、分類の尤度を合わせて取得することができる。なお、CPU111は、導出器に入力される医用画像に前処理を施してもよい。例えば、CPU111は、ステップS3000で取得した付帯情報を基に、医用画像からROI(Region Of Interest)やVOI(Volume Of Interest)を切り出した部分画像を生成する前処理を実行してもよい。また、CPU111は、医用画像の特定の領域をマスク処理する前処理や、コントラスト強調等の画像処理を行う前処理を実行してもよい。
【0034】
ステップS3010では、CPU111は、導出器から出力される尤度形式の所見情報L(F)を基に、バイナリ形式の所見情報B(F)を生成する。図5は、尤度形式の所見情報L(F)を基にしたバイナリ形式の所見情報B(F)の生成の一例を模式的に示す。また、図10は、所見情報Fにおける尤度形式の所見情報とバイナリ形式の所見情報の関係を示す別の図である。図5図10に示すように、1つの所見情報におけるカテゴリ値の中で最も高い尤度を持つカテゴリ値が1となり、それ以外のカテゴリ値が0となる。なお、図5図10に示す以外の方法でバイナリ形式の所見情報を生成してもよい。例えば、各カテゴリ値の尤度を閾値以上か否かを基に0か1かを判断し、1つの所見情報において1を値に取るカテゴリ値が複数存在するようにバイナリ形式の所見情報を生成してもよい。
【0035】
次に、ステップS3020において、CPU111は、ステップS3000で取得した臨床情報と、ステップS3010で取得した所見情報とに基づいて入力情報を生成する。CPU111は、所見情報ごとにデータ形式(L(F)またはB(F))を切り替えて入力情報を生成する。CPU111は、図6に示すテーブル600を参照して、所見情報ごとにデータ形式を決定する。図6に示すテーブル600は、所見情報生成部ID、推論部ID、所見情報Fを示す所見名称、各カテゴリ値のデータ形式が対応づいた表である。ここで、所見情報生成部ID(図中「XXXX」は0001~9999)と推論部ID(図中「YYYY」は0001~9999)は、所見情報生成部101と推論部103
の機能を実現するモジュールが作成または更新されるたびに発行される識別情報である。所見情報生成部IDと推論部IDは対応するモジュールに参照可能に保存される。例えば、モジュールのバージョン情報としてモジュールに埋め込まれる。なお、本実施形態において、モジュールはメインメモリ112に格納される。
【0036】
図6に示すように、一例として入力情報生成部IDが0004であり、推論部IDが0002である場合、入力情報に使用する所見情報FはF={L(F),B(F),B(F),…,L(F)}となる。ここで、図4からわかるように、所見情報Fは「形状」、所見情報Fは「切れ込み」、所見情報Fは「鋸歯状辺縁」、所見情報Fは「巻(気管支)」である。また、ステップS3000で取得した臨床情報CがC={B(c12),B(c22),…,c}であるとすると、入力情報EはE=F∪Cで表される。
【0037】
次に、ステップS3030において、CPU111は、ステップS3020で生成した入力情報を基に、診断対象である肺の異常陰影に関する推論を実行する。そして、CPU111は、診断名ごとの推論確率P(d|E)={P(d|E),P(d|E),P(d|E)}を取得する。このとき推論を行う手法としては、ベイジアンネットワーク、サポートベクターマシン、ニューラルネットワーク等を用いた手法が挙げられる。第1実施形態では、一例としてベイジアンネットワークを用いて推論を行うものとする。
【0038】
次に、ステップS3040において、CPU111は、ステップS3030で取得した推論結果をモニタ300に表示することでユーザに提示する。ここで、CPU111は、入力情報である所見情報や臨床情報を合わせてモニタ300に表示してもよい。さらに、CPU111は、個々の入力情報の推論結果に対する影響度を回帰分析によって算出し、算出した影響度が閾値以上である入力情報を表示するなど、表示する入力情報を制限してもよい。
【0039】
図7は、ステップS3040において、モニタ300に表示される推論結果を含む画面の一例である。表示画面700には、ステップS3000で取得される医用画像7000と、ステップS3030で取得される推論結果7010が含まれる。医用画像7000には、異常陰影の部位7020も表示される。また、表示画面700には、患者情報や撮影情報も含まれる。ユーザは、表示画面700に表示される推論結果7010、患者情報、撮影情報等を参照しながら、医用画像7000に対する読影を行う。
【0040】
第1実施形態に係る診断支援装置100によれば、医用画像の推論に用いられる分類モデルへの入力情報を、所見情報のデータ形式を所見ごとに尤度形式とバイナリ形式とで切り替えて生成することができる。このように生成された入力情報を元に推論を行うことで、すべての所見情報が尤度形式で構成された入力情報やすべての所見情報がバイナリ形式で構成された入力情報を使用する場合に比べて、より好適なデータ形式で所見情報を用いた推論結果が得られる。これにより、より信頼性の高い推論結果をユーザに提示することができる。特に、分類モデルにおいて上記のIDの組み合わせが異なるモジュールを選択的に使用する場合や、複数のモジュールを統合して推論結果を出す場合等、推論に用いられるモジュールが複数存在する場合に効果的である。
【0041】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について説明する。なお、以下の説明において、第1実施形態と同様の構成については、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。第2実施形態では、診断支援装置を用いてテーブル600を作成する。
【0042】
図8は、第2実施形態に係る診断支援システム2の機能構成の一例を示す図である。診断支援システム2は、診断支援装置800と症例情報端末200を有する。診断支援装置800は、入力情報生成部101と、所見情報生成部102と、推論部103と、表示制御部104と、試験データ生成部801と、テーブル保存部802とを有する。試験データ生成部801は、推論部103に試験的に入力される入力情報(以下、試験情報と称する)を生成する。テーブル保存部802は、推論部103が試験データ生成部801によって生成された試験情報に基づいて行った推論結果を用いて、テーブル600を更新する。試験データ生成部801が、所見情報の試験データを取得する試験データ取得手段の一例であり、医用画像と診断名の正解ラベルとが対応付けられた正解データを取得する正解データ取得手段の一例である。
【0043】
図9は、診断支援装置800のCPU111が実行する、テーブル600を更新する処理の一例を示すフローチャートである。CPU111は、メインメモリ112、磁気ディスク113に格納されているプログラムを実行することにより、入力情報生成部101、所見情報生成部102、推論部103、表示制御部104、試験データ生成部801、テーブル保存部802として機能する。本実施形態では、診断支援装置800のCPU111は、上記の分類モデルに試験情報を入力し、推論精度が高くなる所見情報ごとのデータ形式の組み合わせを決定してテーブル600を作成する。
【0044】
ステップS9000において、CPU111は、試験用の正解データセットを取得する。ここで、試験用の正解データセットとは、医用画像に所見情報ごとの正解ラベル(正解の所見項目)と診断結果の正解ラベル(正解の診断名)とが付与されているデータ群である。また、試験用の正解データセットは、診断支援装置800において使用される導出器の分類モデルを構築する際に使用する正解データセットとは異なるデータ群として用意されている。
【0045】
次に、ステップS9010において、CPU111は、ステップS9000で取得した試験用の正解データセットに含まれる各医用画像に基づいて尤度形式の所見情報L(F)={L(F),L(F),…,L(F)}を生成する。さらに、CPU111は、L(F)に基づいてバイナリ形式の所見情報B(F)={B(F),B(F),…,B(F)}を生成する。CPU111は、各画像に対して生成した各形式の所見情報をメインメモリ112に保存する。なお、バイナリ形式の所見情報が第1の試験データの一例であり、尤度形式の所見情報が第2の試験データの一例である。
【0046】
ステップS9020において、CPU111は、ステップS9010で取得した所見情報L(F)およびB(F)を用いて試験用の入力情報を生成する。ここで、試験用の入力情報は、所見情報ごとに尤度形式(L(F))またはバイナリ形式(B(F))(nは1~nの自然数)のいずれかを選択し、すべてのデータ形式の組み合わせを網羅するように生成される。すなわち、所見情報の数がN個である場合、所見情報ごとにL(F)とB(F)の組み合わせが異なる2種類の入力情報が、試験用の正解データセットに含まれる各画像について生成される。CPU111は、各画像に対して生成した入力情報をメインメモリ112に保存する。
【0047】
次に、ステップS9030において、CPU111は、ステップS9020で生成した試験用の入力情報をメインメモリ112から読み出し、各入力情報を用いて診断対象である肺の異常陰影に関する推論を実行する。そして、CPU111は、試験用の各入力情報に対する診断名(d、d、d)ごとの推論確率を算出する。これにより、試験用の正解データセットに含まれる各画像について、各入力情報と各診断名の推論確率との組(2×3組)が得られる。
【0048】
次に、ステップS9040において、CPU111は、各入力情報に対して推論の精度を算出する。ここで、推論の精度とは、入力情報のL(F)とB(F)の組み合わせを用いて各画像の推論をしたときの診断名ごとの推論確率のうち最も高い確率となる診断名が正解ラベルの診断名と一致する割合である。より具体的には、入力情報をV(i=1~2)とする。また、入力情報VにおけるL(F)とB(F)(n=1~N)の組み合わせを用いてある画像に対して推論を行ったときの診断名d、d、dの推論確率をP(d|V)、P(d|V)、P(d|V)とする。そして、試験用の正解データセットに含まれるすべての画像にわたって入力情報Vを用いて推論を行ったときに、推論確率P(d|V)、P(d|V)、P(d|V)が最も高い推論確率と正解ラベルの診断名とが一致する割合が推論の精度となる。
【0049】
さらに、CPU111は、推論の精度が最も高い入力情報を特定する。そして、CPU111は、特定した入力情報におけるL(F)とB(F)の組み合わせを、ステップS9010で使用した所見情報生成部104のIDおよびステップS9030で使用した推論部106のIDと対応付けて、テーブル600に保存する。上記の処理により、CPU111は、尤度形式によって構成された試験データとバイナリ形式によって構成された試験データとの間で推論の精度を比較し、推論の精度が高くなるデータ形式を特定することができる。
【0050】
本実施形態によれば、試験用の正解データセットに含まれる画像を用いて、所見情報生成部104と推論部106との組み合わせにおいて推論の精度が最も高くなる所見情報ごとのデータ形式(尤度形式かバイナリ形式か)を特定することができる。
【0051】
以上が本件開示の技術に係る実施形態の説明であるが、各実施形態の説明は本件開示の技術を説明する上での例示であり、本件開示の技術は、発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更または組み合わせて実施することができる。例えば、上記で説明した診断支援装置100の各手段の少なくとも1つの機能は、症例情報端末200等の診断支援装置100の外部の装置が担ってもよい。例えば、症例情報端末200が、医用画像を取得する取得手段として機能してもよい。また、上記の実施形態において、推論部103は、複数の推論器を多段接続して各診断名の推論を行ってもよい。また、以下に上記の実施形態の変形例について説明する。以下の各変形例も適宜組み合わせて実施されてよい。
【0052】
(第1実施形態の変形例1)
第1実施形態では、ステップS3020において所見情報生成部ID、推論部ID、所見情報に基づいてデータ形式が特定される。これに代えて、所見情報生成部ID、推論部ID、所見情報のいずれか1つまたは2つに基づいてデータ形式が特定されてもよい。例えば所見情報生成部IDと推論部IDのいずれか一方と所見情報に基づいてデータ形式が特定されてもよいし、所見情報生成部IDのみに基づいてデータ形式が特定されてもよい。あるいは、入力画像の画像特徴量等の情報によってさらに細分化された項目ごとにデータ形式が特定されてもよい。
【0053】
(第1実施形態の変形例2)
第1実施形態では、ステップS3020においてテーブル600を用いてデータ形式が特定される。これに限らず、テーブル600を用いずにデータ形式が特定されてもよい。例えば、所見情報ごとに異なる導出器を用いて所見が導出されるように構成し、導出器の所見導出精度に基づいて所見情報ごとにデータ形式が切り替えられてもよい。
【0054】
(第1実施形態の変形例3)
第1実施形態では、ステップS3010において尤度形式の所見情報とバイナリ形式の所見情報とが生成され、ステップS3020において各形式の所見情報が選択的に使用さ
れた。これに限らず、ステップS3010では尤度形式の所見情報が生成され、ステップS3020において必要に応じてバイナリ形式の所見情報に変換されてもよい。
【0055】
(第2実施形態の変形例1)
第2実施形態では、ステップS9020において、所見情報生成部104の出力を基に試験用の入力情報が生成される。これに限らず、試験用の正解データセットに含まれる正解ラベルを基に試験用の入力情報が生成されてもよい。試験用の正解データセットに含まれる正解ラベルを用いる場合、所見情報のデータ形式は必然的にバイナリ形式となるため、尤度形式の入力情報に変換される場合は、人為的に生成された尤度が用いられる。また、試験用の正解データセットに含まれる正解ラベルを用いる場合は、入力情報の一部に人為的に誤りを発生させる。また、誤りの発生がそれぞれ異なるように数千パターンのデータセットが生成され、生成されたデータセットを用いて上記の処理が実行されることで、統計的に推論精度が最も高くなる所見情報ごとのデータ形式が特定されてもよい。
【0056】
(その他の実施形態)
本発明は、上記の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(たとえば、ASIC)によっても実現可能である。
【0057】
上記の各実施形態における情報処理装置は、単体の装置として実現してもよいし、複数の装置を互いに通信可能に組合せて上記の処理を実行する形態としてもよく、いずれも本件開示の技術の実施形態に含まれる。共通のサーバ装置あるいはサーバ群で、上記の処理を実行することとしてもよい。情報処理装置および情報処理システムを構成する複数の装置は所定の通信レートで通信可能であればよく、また同一の施設内あるいは同一の国に存在することを要しない。
【0058】
上記の実施形態には、各実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムを、システムあるいは装置に供給し、そのシステムあるいは装置のコンピュータが該供給されたプログラムのコードを読み出して実行するという形態を含む。したがって、実施形態に係る処理をコンピュータで実現するために、該コンピュータにインストールされるプログラムコード自体も本件開示の技術に係る実施形態の1つである。また、コンピュータが読み出したプログラムに含まれる指示に基づき、コンピュータで稼働しているOS等が、実際の処理の一部又は全部を行い、その処理によっても各実施形態の機能が実現され得る。
【符号の説明】
【0059】
100・・・診断支援装置、101・・・入力情報生成部、102・・・所見情報生成部、103・・・推論部、111・・・CPU
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