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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-22
(45)【発行日】2024-01-05
(54)【発明の名称】縦型拡散炉
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/22 20060101AFI20231225BHJP
【FI】
H01L21/22 511S
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019175640
(22)【出願日】2019-09-26
(65)【公開番号】P2021052141
(43)【公開日】2021-04-01
【審査請求日】2022-07-06
(73)【特許権者】
【識別番号】390009667
【氏名又は名称】セイコーNPC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(72)【発明者】
【氏名】菱沼 邦之
(72)【発明者】
【氏名】田中 英男
【審査官】早川 朋一
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-022291(JP,A)
【文献】特開平04-349623(JP,A)
【文献】特開2008-066662(JP,A)
【文献】特開平08-227862(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/22
H01L 21/324
H01L 21/205
H01L 21/31
C23C 16/00-16/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心軸が鉛直上下方向に沿って配置される周壁部と、前記周壁部に接続し、前記周壁部の上方を覆うように設けられた上壁部と、前記上壁部に設けられた導入ガスを導入する導入部と、を有するプロセスチューブと、
前記プロセスチューブの内部において前記導入部の下方に配置され、上方から吹き付けられる前記導入ガスを、前記プロセスチューブの径方向に拡散させた後、下方に導く拡散部と、
下方に進むにつれて先細り、先端部が下方に凸状である先細部を有し、前記拡散部において前記導入ガスを前記径方向に拡散させる変流部の下方に設けられ、前記設けられた位置に対応する前記変流部の幅の最大寸法と比較して前記中心軸の軸方向に沿う高さの寸法が大きい、整流部と、
を有する拡散整流部と、
を備え
前記拡散部の鉛直上下方向の下側を向く拡散部下面の外周縁と前記整流部の鉛直上下方向の上側を向く整流部上面の外周縁とが一致するように、前記整流部の外形と前記変流部の外形とが連続し、
前記先細部は、前記拡散部と前記整流部との境界部から下方に進むにつれて漸次小径となる、
縦型拡散炉。
【請求項2】
前記整流部の前記中心軸を含む断面の形状は、略対称な形状となる請求項に記載の縦型拡散炉。
【請求項3】
前記拡散部は、前記中心軸と略直交する拡散板である請求項1または請求項に記載の縦型拡散炉。
【請求項4】
前記整流部と前記プロセスチューブの内壁と前記拡散部とは、同一の材料で形成される請求項1から請求項のいずれか1項に記載の縦型拡散炉。
【請求項5】
前記整流部と、前記拡散部とは、着脱可能となっている請求項1から請求項のいずれか1項に記載の縦型拡散炉。
【請求項6】
前記拡散整流部の前記拡散部と前記整流部とは、一体形成されている請求項1から請求項のいずれか1項に記載の縦型拡散炉。
【請求項7】
前記拡散部と、前記整流部とは、前記中心軸を含む断面の形状が略対称な形状となる請求項1から請求項のいずれか1項に記載の縦型拡散炉。
【請求項8】
前記拡散整流部は、前記径方向に沿う幅の寸法が最大となる最大幅部を有し、
前記最大幅部の上部は、前記最大幅部から上方に進むにつれて漸次小径となり、
前記最大幅部の下部は、前記最大幅部から下方に進むにつれて漸次小径となる請求項1から請求項のいずれか1項に記載の縦型拡散炉。
【請求項9】
中心軸が鉛直上下方向に沿って配置される周壁部と、前記周壁部に接続し、前記周壁部の上方を覆うように設けられた上壁部と、前記上壁部に設けられた導入ガスを導入する導入部と、を有するプロセスチューブと、
前記プロセスチューブの内部において前記導入部の下方に配置され、上方から吹き付けられる前記導入ガスを、前記プロセスチューブの径方向に拡散させた後、下方に導く拡散部と、
下方に進むにつれて先細り、先端部が下方に凸状である先細部を有し、前記拡散部において前記導入ガスを前記径方向に拡散させる変流部の下方に設けられ、前記設けられた位置に対応する前記変流部の幅の最大寸法と比較して前記中心軸の軸方向に沿う高さの寸法が大きい、整流部と、
を有する拡散整流部と、
を備え、
前記拡散部は、前記中心軸に沿って貫通する拡散孔を有し、
前記拡散部の前記拡散孔は、略同径かつ、略等ピッチに複数設けられ、
複数の前記拡散孔は、前記軸方向から見て、隣り合う前記拡散孔の中心点同士を直線で結ぶことにより描かれる図形が前記中心点を角部とする正多角形となるように配置され、 前記整流部は、前記軸方向から見て、前記正多角形の重心と重なる位置に設けられている縦型拡散炉。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、縦型拡散炉に関する。
【背景技術】
【0002】
縦型拡散炉は、複数のウエハを同時に加熱処理できる装置として使用されている。例えば、特許文献1に記載の縦型拡散炉は、ウエハを内部に収納し、加熱処理を行うプロセスチューブを備えている。プロセスチューブは、軸方向が鉛直上下方向に沿って配置される。プロセスチューブの内部には、加熱処理に用いる導入ガスを導入する導入部がウエハの上方に設けられている。プロセスチューブの内部には、導入部とウエハとの間に導入ガスを拡散する拡散部が設けられている。導入部を通してプロセスチューブの内部に導入された導入ガスは、拡散部により拡散された後、拡散部の下方に配置されたウエハに吹き付けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開昭62-154722号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の縦型拡散炉では、拡散部の下方で導入ガスの後方乱流が発生するため、導入ガスをウエハまで均一に到達させることは困難であった。
【0005】
本発明は、拡散部の下方で導入ガスの後方乱流が発生することを抑制し、導入ガスをウエハまで均一に到達させることができる縦型拡散炉を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様は、中心軸が鉛直上下方向に沿って配置される周壁部と、前記周壁部に接続し、前記周壁部の上方を覆うように設けられた上壁部と、前記上壁部に設けられた導入ガスを導入する導入部と、を有するプロセスチューブと、前記プロセスチューブの内部において前記導入部の下方に配置され、上方から吹き付けられる前記導入ガスを、前記プロセスチューブの径方向に拡散させた後、下方に導く拡散部と、下方に進むにつれて先細り、先端部が下方に凸状である先細部を有し、前記拡散部において前記導入ガスを前記径方向に拡散させる変流部の下方に設けられ、前記設けられた位置に対応する前記変流部の幅の最大寸法と比較して前記中心軸の軸方向に沿う高さの寸法が大きい、整流部と、を有する拡散整流部と、を備え、前記拡散部の鉛直上下方向の下側を向く拡散部下面の外周縁と前記整流部の鉛直上下方向の上側を向く整流部上面の外周縁とが一致するように、前記整流部の外形と前記変流部の外形とが連続し、前記先細部は、前記拡散部と前記整流部との境界部から下方に進むにつれて漸次小径となる縦型拡散炉である。
【0009】
また、本発明の一態様は、上記の縦型拡散炉において、前記整流部の前記中心軸を含む断面の形状は、略対称な形状となる。
【0010】
また、本発明の一態様は、上記の縦型拡散炉において、前記拡散部は、前記中心軸と略直交する拡散板である。
【0011】
また、本発明の一態様は、上記の縦型拡散炉において、前記整流部と前記プロセスチューブの内壁と前記拡散部とは、同一の材料で形成される。
【0012】
また、本発明の一態様は、上記の縦型拡散炉において、前記整流部と、前記拡散部とは、着脱可能となっている。
【0013】
また、本発明の一態様は、上記の縦型拡散炉において、前記拡散整流部の前記拡散部と前記整流部とは、一体形成されている。
【0014】
また、本発明の一態様は、上記の縦型拡散炉において、前記拡散部と、前記整流部とは、前記中心軸を含む断面の形状が略対称な形状となる。
【0015】
また、本発明の一態様は、上記の縦型拡散炉において、前記拡散整流部は、前記径方向に沿う幅の寸法が最大となる最大幅部を有し、前記最大幅部の上部は、前記最大幅部から上方に進むにつれて漸次小径となり、前記最大幅部の下部は、前記最大幅部から下方に進むにつれて漸次小径となる。
【0016】
また、本発明の一態様は、中心軸が鉛直上下方向に沿って配置される周壁部と、前記周壁部に接続し、前記周壁部の上方を覆うように設けられた上壁部と、前記上壁部に設けられた導入ガスを導入する導入部と、を有するプロセスチューブと、前記プロセスチューブの内部において前記導入部の下方に配置され、上方から吹き付けられる前記導入ガスを、前記プロセスチューブの径方向に拡散させた後、下方に導く拡散部と、下方に進むにつれて先細り、先端部が下方に凸状である先細部を有し、前記拡散部において前記導入ガスを前記径方向に拡散させる変流部の下方に設けられ、前記設けられた位置に対応する前記変流部の幅の最大寸法と比較して前記中心軸の軸方向に沿う高さの寸法が大きい、整流部と、を有する拡散整流部と、を備え、前記拡散部は、前記中心軸に沿って貫通する拡散孔を有し、前記拡散部の前記拡散孔は、略同径かつ、略等ピッチに複数設けられ、複数の前記拡散孔は、前記軸方向から見て、隣り合う前記拡散孔の中心点同士を直線で結ぶことにより描かれる図形が前記中心点を角部とする正多角形となるように配置され、 前記整流部は、前記軸方向から見て、前記正多角形の重心と重なる位置に設けられている。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、拡散部の下方で導入ガスの後方乱流が発生することを抑制し、導入ガスをウエハまで均一に到達させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】第1実施形態の縦型拡散炉の平面図である。
図2】第1実施形態の縦型拡散炉の部分断面図である。
図3】第1実施形態の拡散整流部の斜視図である。
図4】拡散整流部の一例(第1実施形態の変形例)を示す斜視図である。
図5】第2実施形態の拡散整流部の斜視図である。
図6】第2実施形態の拡散整流部の断面図である。
図7】拡散整流部の一例(第2実施形態の第1変形例)を示す断面図である。
図8】拡散整流部の一例(第2実施形態の第2変形例)を示す断面図である。
図9】拡散整流部の一例(第2実施形態の第3変形例)を示す斜視図である。
図10】第3実施形態の縦型拡散炉の部分断面図である。
図11】第3実施形態の拡散整流部の平面図である。
図12】拡散整流部の一例(第3実施形態の第1変形例)を示す平面図である。
図13】拡散整流部の一例(第3実施形態の第2変形例)を示す平面図である。
図14】拡散整流部の一例(第3実施形態の第3変形例)を示す平面図である。
図15】拡散整流部の一例(第3実施形態の第4変形例)を示す平面図である。
図16】縦型拡散炉の一例(第3実施形態の第5変形例)を示す部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(第1実施形態)
以下、本発明に係る縦型拡散炉1の第1実施形態を図1から図4の図面を参照して説明する。
【0021】
図1は、第1実施形態の縦型拡散炉1の平面図である。
図2は、第1実施形態の縦型拡散炉1の部分断面図である。
図1及び図2に示すように、第1実施形態の縦型拡散炉1は、プロセスチューブ10と、拡散整流部30と、を備えている。
【0022】
プロセスチューブ10は、周壁部11と、上壁部12と、底部13と、を有している。
周壁部11は、略円筒形状となっている。周壁部11は、中心軸Oが鉛直上下方向に沿って配置されている。周壁部11は、排気管15を有している。排気管15は、周壁部11の下端に設けられている。排気管15は、周壁部11から径方向に沿って突出形成されている。排気管15は、上方から導入された導入ガス3をプロセスチューブ10の外部に排出する。
周壁部11の外側には、ヒーター(不図示)が配置される。ヒーター(不図示)は、周壁部11の内部を加熱し、ウエハ2の加熱処理を行う。
【0023】
以下の縦型拡散炉1の説明では、必要に応じて、X、Y、Zの3次元直交座標系を用いている。具体的には、排気管15に沿う方向であって、プロセスチューブ10の径方向に沿う方向をX方向と定義する。また、水平面上でX方向と直交する方向であって、プロセスチューブ10の径方向に沿う方向をY方向と定義する。また、X方向及びY方向と直交する方向であって、プロセスチューブ10の中心軸Oに沿う方向をZ方向と定義する。Z方向は、鉛直上下方向と一致しており、+Z側を鉛直上方と定義する。
【0024】
上壁部12は、略円板状に形成されている。上壁部12は、XY平面に略平行である。上壁部12は、周壁部11の上方を覆っている。上壁部12の外周縁は、周壁部11の上端と全周にわたって接続されている。上壁部12は、導入ガス3を導入する導入部16を有している。
【0025】
導入部16は、上壁部12から+Z側に突出している。プロセスチューブ10の中心軸Oを含む導入部16の断面は、-Z側に開口するU字状となっている。導入部16の中心軸は、プロセスチューブ10の中心軸Oと一致している。
導入部16は、上面部17と、周面部18、とを有する。上面部17は、略円形状の板である。上面部17は、上壁部12よりも+Z側において、上壁部12と略平行に配置されている。周面部18は、略円筒形状となっている。周面部18は、上壁部12と上面部17とを接続している。周面部18は、導入孔19を有している。導入孔19は、XY平面に沿って貫通している。導入孔19は、縦型拡散炉1の外部に設けられた導入ガス3を導入する導入管20と接続している。導入管20は、縦型拡散炉1の外部に設けられた導入ガス供給源(不図示)と接続している。
【0026】
図2に示すように、底部13は、プロセスチューブ10の下部を開閉する蓋部21と、ウエハ2を保持する保持部22と、を有している。保持部22は、例えば複数のウエハ2を保持する。保持部22は、それぞれのウエハ2をXY平面に対して略平行となるように、Z方向に所定の間隔で保持する。
【0027】
拡散整流部30は、プロセスチューブ10の内部において、導入部16とウエハ2との間に配置されている。拡散整流部30は、拡散部31と、整流部32と、を有している。
【0028】
図3は、第1実施形態の拡散整流部30の斜視図である。
図2及び図3に示すように、拡散部31は、導入部16よりも-Z側に配置されている。第1実施形態において、拡散部31は、プロセスチューブ10の中心軸Oと略直交する(Z方向と略直交する)拡散板31aである。拡散板31aは、略円板状に形成されている。拡散板31aの中心軸Oを含む断面の形状は、プロセスチューブ10の中心軸Oを挟んで略対称となっている。拡散板31aは、後述の支持部品4を介して上壁部12に支持されている。拡散板31aは、+Z側から吹き付けられる導入ガス3をプロセスチューブ10の径方向に拡散させた後、下方(-Z側)に導く。拡散板31aは、拡散部上面33と、拡散部下面34と、変流部35と、を有している。
【0029】
拡散部上面33は、Z方向と略直交する略円形状の平面である。拡散部上面33は、後述の支持部品4と接続されている。拡散部下面34は、Z方向と略直交する略円形状の平面である。拡散部下面34は、拡散部上面33よりも-Z側に位置する。拡散部下面34は、拡散部上面33と略同一形状となっている。変流部35は、+Z側から吹き付けられる導入ガス3をプロセスチューブ10の径方向に拡散させる。第1実施形態においては、拡散板31aの全体が、変流部35として機能している。
図1及び図2に示すように、支持部品4は、円柱形状の部品である。支持部品4は、拡散板31aの円周上に等間隔で3個配置されている。支持部品4の上面は、プロセスチューブ10の上壁部12に接続されている。支持部品4の下面は、拡散部上面33と接続されている。
【0030】
図2及び図3に示すように、整流部32は、拡散部下面34に着脱可能に接続されている。整流部32は、拡散板31aの変流部35よりも-Z側に配置されている。整流部32は、プロセスチューブ10の径方向外側から見て径方向に沿う変流部35(第1実施形態においては拡散板31a)の幅(XY平面に沿う幅)の最大寸法と比較して、プロセスチューブ10の中心軸Oの軸方向(Z方向)に沿う高さの寸法が大きくなっている。整流部32の中心軸Oを含む断面の形状が、プロセスチューブ10の中心軸Oを挟んで略対称な形状となっている。整流部32は、整流部上面36と、先細部37と、を有している。
【0031】
整流部上面36は、Z方向と略直交する略円形状の平面である。整流部上面36は、拡散部下面34と同一の略円形状の平面となっている。整流部上面36の外周縁は、拡散部下面34の外周縁と一致するように重ね合わされている。整流部上面36と拡散部下面34とは、接続されている。整流部32の外形と拡散板31aの外形とは、連続している。ここで、外形が連続しているとは、導入ガス3の流線方向について、形状の急激な変化がないことをいう。
先細部37は、拡散板31aと整流部32との境界部38から-Z側に進むにつれて漸次小径となっている。先細部37の先端部39は、-Z側に凸状となっている。
【0032】
整流部32とプロセスチューブ10の内壁23と拡散板31aとは、同一の材料で形成されている。整流部32とプロセスチューブ10の内壁23と境界部38とを構成する材料には、例えば石英やシリコンカーバイトがある。
【0033】
(第1実施形態の変形例)
図4は、拡散整流部30の一例(第1実施形態の変形例)を示す斜視図である。
なお、図3に示すように、第1実施形態においては、拡散整流部30は、拡散部31(拡散板31a)と整流部32とが別体形成されている。これに対して、図4に示すように、拡散整流部30は、拡散部31と整流部32とが一体形成されていてもよい。
【0034】
以上説明したように第1実施形態における縦型拡散炉1は、周壁部11と上壁部12と導入部16とを有するプロセスチューブ10と、拡散板31aと整流部32とを有する拡散整流部30とを備えている。上述したように、周壁部11は、中心軸Oが鉛直上下方向に沿って配置される。上壁部12は、周壁部11に接続し、周壁部11の上方を覆うように設けられる。導入部16は、上壁部12に設けられた導入ガス3を導入する。拡散板31aは、プロセスチューブ10の内部において導入部16の下方(-Z側)に配置される。拡散板31aは、上方(+Z側)から吹き付けられる導入ガス3を、プロセスチューブ10の径方向に拡散させた後、下方(-Z側)に導く。整流部32は、下方(-Z側)に進むにつれて先細り、先端部39が下方(-Z側)に凸状である先細部37を有する。整流部32は、拡散板31aにおいて導入ガス3をプロセスチューブ10の径方向に拡散させる変流部35の下方(-Z側)に設けられる。整流部32の中心軸Oの軸方向(Z方向)に沿う高さの寸法は、整流部32が設けられた位置に対応する変流部35の幅の最大寸法と比較して、大きい。
【0035】
上記構成により、縦型拡散炉1は、拡散板31aによって拡散された導入ガス3を、整流部32の外形と周壁部11の内壁23に沿って流動させる。整流部32の外形に沿って流れる導入ガス3は、下方(-Z側)に進むにつれて、徐々に整流部32の外形から離間していく。離間した導入ガス3の流れは、プロセスチューブ10の中心軸Oの軸方向(Z方向)に沿う平行流に変換される。また、周壁部11の内壁23に沿う導入ガス3の流れは、プロセスチューブ10の中心軸Oの軸方向(Z方向)に沿う平行流である。これにより、導入ガス3は、整流部32よりも-Z側に配置されたウエハ2の位置においては、プロセスチューブ10の中心軸Oの軸方向(Z方向)に沿って略平行に流れるようになる。したがって、縦型拡散炉1は、拡散板31aの下方(-Z側)で導入ガス3の後方乱流が発生するのを抑制し、導入ガス3をウエハ2まで均一に到達させることができる。
また、先端部39が-Z側に凸状である構造は、ウエハ2がプロセスチューブ10の内部に収納される際に、ウエハ2とともに巻き込まれてプロセスチューブ10の内部に侵入した外気や、加熱処理時に対流によって上昇したガスが、整流部32の内部に入り込むことを抑制する。これにより、縦型拡散炉1は、プロセスチューブ10の内部に導入ガス3を流動させるだけで、真空引きを行うことなく、導入ガス3以外のガスを排出することができる。
【0036】
先細部37は、拡散板31aと整流部32との境界部38から下方(-Z側)に進むにつれて漸次小径となっている。
上記構成により、拡散板31aにより拡散された導入ガス3は、整流部32の外形に沿って流動する際に、プロセスチューブ10の径方向の外側に離間することを抑制できる。
【0037】
整流部32の外形と変流部35の外形との少なくとも一部は、連続している。
上記構成により、導入ガス3が境界部38に沿って流動する際、プロセスチューブ10の径方向の外側に離間することを抑制できる。
【0038】
整流部32の中心軸Oを含む断面の形状は、略対称な形状となっている。
上記構成により、中心軸Oを挟んで左右対称な導入ガス3の平行流が生成され易くなる。これにより、ウエハ2に対して均一に導入ガス3を分散できる。
【0039】
拡散部31は、中心軸Oと略直交する拡散板31aである。
上記構成により、拡散板31aを簡単な加工で製造できる。これにより、縦型拡散炉1の生技性を向上できる。また、縦型拡散炉1の製造費も低減できる。
【0040】
整流部32とプロセスチューブ10の内壁23と拡散板31aとは、同一の材料で形成される。
上記構成により、縦型拡散炉1の内部を洗浄する際に、部品毎に洗浄手法を選択することなく、同一の洗浄手法により洗浄できる。
【0041】
整流部32と、拡散板31aとは、着脱可能となっている。
上記構成により、必要に応じて、拡散板31aまたは整流部32のいずれか一方を、新品に交換できる。
拡散板31aは、導入ガス3を吹き付けられるため、整流部32と比較して早く劣化すると予想される。一方で、整流部32は、導入ガス3の流れを平行流に変化させるため、高い形状精度が求められる。すなわち、整流部32は、高い形状精度を実現するために、多額の製造費がかかると予想される。このような事情を鑑みると、劣化した拡散板31aを新品に交換し、整流部32を継続使用することにより、縦型拡散炉1の維持費を低減できる。
【0042】
拡散整流部30の拡散板31aと整流部32とは、一体形成されている。
上記構成により、縦型拡散炉1には、拡散板31aと整流部32との境界部38が存在しない。これにより、境界部38にガス等が残留することを抑制できる。
また、導入ガス3が拡散板31aの外形から整流部32の外形に移る際にプロセスチューブ10の径方向外側に離間することを抑制できる。
【0043】
拡散板31aと、整流部32とは、中心軸Oを含む断面の形状が略対称な形状となる。
【0044】
上記構成により、中心軸Oを挟んで左右対称な導入ガス3の平行流が生成され易くなる。これにより、ウエハ2に対して均一に導入ガス3を分散できる。
【0045】
(第2実施形態)
次に、本発明に係る第2実施形態について図5から図9を参照して説明する。なお、第2実施形態の構成のうち、第1実施形態と同様の構成については、同一の符号を付しその説明を省略する。
【0046】
第1実施形態では、拡散部31の拡散部上面33はZ方向と略直交する平面である。これに対して第2実施形態では、拡散部上面33は+Z側に凸状となっているという点で、第1実施形態とは異なっている。
図5は、第2実施形態の拡散整流部30の斜視図である。
図6は、第2実施形態の拡散整流部30の断面図である。
図5及び図6に示すように、拡散整流部30は、最大幅部40を有している。
最大幅部40は、プロセスチューブ10の径方向外側から見て、プロセスチューブ10の径方向に沿う(XY平面に沿う)幅の寸法が最大となる部分である。最大幅部40は、拡散部31と整流部32との境界部38と一致している。
【0047】
拡散部31は、最大幅部40(境界部38)から上方(+Z側)に進むにつれて漸次小径となっている。拡散部31の外形は、プロセスチューブ10の中心軸Oを挟んで略対称な釣鐘型である。
【0048】
整流部32は、最大幅部40(境界部38)から下方(-Z側)に進むにつれて漸次小径となっている。整流部32の外形は、プロセスチューブ10の中心軸Oを挟んで略対称な釣鐘型である。整流部32の外形は、拡散部31の外形と連続している。
先端部39は、-Z側に凸状となっている。
拡散部31及び整流部32の外形が釣鐘型である場合は、導入ガス3は、拡散整流部30の外径に沿って流れ易くなる。そのため、導入ガス3は、プロセスチューブ10の中心軸Oの軸方向に略平行に流動し易くなり、ウエハ2に対して均一に吹き付けられる。また、整流部32の剛性が高い。
【0049】
(第2実施形態の変形例)
図7は、拡散整流部30の一例(第2実施形態の第1変形例)を示す断面図である。
図7に示すように、拡散整流部30の最大幅部40は、拡散部31と整流部32との境界部38と一致していない。このように、拡散整流部30の最大幅部40は、境界部38と一致していなくてもよい。
【0050】
図8は、拡散整流部30の一例(第2実施形態の第2変形例)を示す断面図である。
図8に示すように、拡散整流部30の外形は、拡散部31と整流部32との境界部38から下方に進むにつれて尖る涙滴型であってもよい。第2実施形態の第2変形例において、導入ガス3は、プロセスチューブ10の中心軸Oの軸方向(Z方向)に略平行に流動し易くなり、ウエハ2に対して均一に吹き付けられる。
【0051】
図9は、拡散整流部30の一例(第2実施形態の第3変形例)を示す斜視図である。
なお、図9に示すように、拡散部31及び整流部32の外形は、プロセスチューブ10の中心軸Oを挟んで略対称な角錐であってもよい。第2実施形態の第3変形例において、拡散部31及び整流部32の形成を容易に行える。
【0052】
以上説明したように第2実施形態における縦型拡散炉1において、拡散整流部30は、径方向に沿う幅の寸法が最大となる最大幅部40を有し、最大幅部40の上部は、最大幅部40から上方に進むにつれて漸次小径となり、最大幅部40の下部は、最大幅部40から下方に進むにつれて漸次小径となっている。
【0053】
上記構成により、導入ガス3は、拡散整流部30の上部に吹き付けられると、最大幅部40まで緩やかにプロセスチューブ10の径方向(XY平面に沿う方向)に拡散される。導入ガス3は、最大幅部40を通過後、拡散整流部30の外形から順次離間していく。次いで、導入ガス3は、導入ガス3の流線同士が略平行になって、プロセスチューブ10の中心軸Oに沿って流れる。したがって、縦型拡散炉1は、導入ガス3をウエハ2に対して、最大幅部40の上下にくびれがある場合と比較して、より均一に分散できる。
【0054】
(第3実施形態)
次に、本発明に係る第3実施形態について図10から図14を参照して説明する。なお、第3実施形態の構成のうち、第1実施形態または第2実施形態と同一の構成については、同一の符号を付しその説明を省略する。
【0055】
第1実施形態では、拡散部31(拡散板31a)には、Z軸方向に貫通する孔が設けられていない。これに対して第3実施形態では、拡散部31(拡散板31a)には、Z軸方向に貫通する孔が設けられているという点で、第1実施形態と異なっている。
図10は、第3実施形態の縦型拡散炉1の部分断面図である。
図11は、第3実施形態の拡散整流部30の-Z側から見た平面図である。
図10及び図11に示すように、第3実施形態では、第1実施形態と同様に、拡散部31は、プロセスチューブ10の中心軸Oと略直交する(Z方向と略直交する)拡散板31aである。拡散板31aは、略円板状に形成されている。拡散板31aの外径は、プロセスチューブ10の内径と略同径である。拡散板31aの外周縁は、周壁部11の内壁23と当接している。拡散板31aは、プロセスチューブ10の内部を+Z側と-Z側とに仕切っている。拡散板31aは、拡散孔41と、変流部35と、を有している。
図11に示すように、拡散孔41は、プロセスチューブ10の中心軸Oに沿って(Z方向に沿って)貫通している。拡散孔41は、略等ピッチに複数配置されている。複数の拡散孔41は、略同径である。複数の拡散孔41は、プロセスチューブ10の中心軸Oの軸方向から見て、隣り合う拡散孔41の中心点42同士を直線で結ぶことにより描かれる図形が中心点42を角部とする正方形43(請求項における正多角形に相当)が描かれるように配置されている。
第3実施形態において、変流部35は、拡散孔41の位置以外の拡散板31aの部分である。また、整流部32が設けられた位置に対応する変流部35の幅の最大寸法とは、整流部32の周辺に配置される複数の拡散孔41同士の最大離間距離の寸法である。
【0056】
整流部32は、Z方向から見て、拡散孔41の中心点42を角部とする正方形43の重心44と、重心とが一致するように複数配置されている。整流部32の中心軸は、プロセスチューブ10の中心軸Oに略平行である。整流部32は、中心軸を挟んで略対称となっている。
整流部32は、最も近くに設けられた拡散孔41と接している。
【0057】
(第3実施形態の変形例)
図12は、拡散整流部30の一例(第3実施形態の第1変形例)を示す-Z側から見た平面図である。
なお、図12に示すように、複数の拡散孔41の中心点42を直線で結ぶことにより描かれる正多角形は、正三角形43であってもよい。
【0058】
図13は、拡散整流部30の一例(第3実施形態の第2変形例)を示す-Z側から見た平面図である。
なお、図13に示すように、複数の拡散孔41の中心点42を直線で結ぶことにより描かれる正多角形は、正六角形43であってもよい。
【0059】
図14は、拡散整流部30の一例(第3実施形態の第3変形例)を示す-Z側から見た平面図である。
なお、図14に示すように、拡散孔41と整流部32とが、一直線上に交互に配置されていてもよい。
【0060】
図15は、拡散整流部30の一例(第3実施形態の第4変形例)を示す-Z側から見た平面図である。
なお、次のように拡散孔41と整流部32とは、配置されていてもよい。例えば、図15に示すように、拡散孔41は、同心円状に配置されている。整流部32は、同心円状に配置されている。拡散孔41と整流部32とは、拡散孔41の中心点42または、整流部32の中心点が描く円の直径上に交互に配置されている。
【0061】
図16は、縦型拡散炉1の一例(第3実施形態の第5変形例)を示す部分断面図である。
なお、図16に示すように、拡散板31aの外径がプロセスチューブ10の内径よりも小さくてもよい。
図16に示す場合には、導入ガス3が、拡散孔41に加えて、拡散板31aの外周縁とプロセスチューブ10の周壁部11との間を通過する。
また、整流部32の外形の少なくとも一部と、拡散板31aの外周縁とが連続している。これにより、拡散孔41を通過せずに拡散板31aの外周縁を通過する導入ガス3による後方乱流の発生を抑制できる。
【0062】
以上説明したように第3実施形態における縦型拡散炉1において、拡散板31aは、中心軸Oに沿って貫通する拡散孔41を有している。
【0063】
上記構成により、導入ガス3は、拡散孔41を通過する。これにより、導入ガス3は、プロセスチューブ10の径方向(XY平面に沿う方向)に均一に拡散されやすくなる。これにより、導入ガス3は、ウエハ2に対してXY平面に沿う方向に均一に分散されやすくなる。
【0064】
拡散板31aの拡散孔41は、略同径かつ、略等ピッチに複数設けられ、複数の拡散孔41は、軸方向から見て、隣り合う拡散孔41の中心点42同士を直線で結ぶことにより描かれる図形が中心点42を角部とする正多角形43(正方形43、正三角形43、正六角形43)となるように配置され、整流部32は、軸方向から見て、正多角形43の重心44と重なる位置に設けられている。
【0065】
上記構成により、導入ガス3は、拡散板31aのどの拡散孔41から通過しても、均一に拡散される。したがって、導入ガス3はウエハ2に対してXY平面に沿う方向に均一に分散される。
【0066】
以上、本発明の好ましい実施例を説明したが、本発明はこれら実施例に限定されることはない。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、構成の付加、省略、置換、およびその他の変更が可能である。本発明は前述した説明によって限定されることはなく、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される。
【0067】
拡散部31は板状でなくてもよい。
拡散部31の対称性の判断基準となる軸線は、プロセスチューブ10の中心軸Oから、拡散部31の-Z側で導入ガス3の後方乱流が発生しない程度に離れていてもよい。
【0068】
整流部32の対称性を判断する基準となる軸線は、プロセスチューブ10の中心軸Oから、拡散部31の-Z側で導入ガス3の後方乱流が発生しない程度に離れていてもよい。
整流部32は、プロセスチューブ10の内壁23または拡散部31の少なくとも一方と材料が異なっていてもよい。
整流部32の先端部39の下方に(-Z側に)凸状の形状は、プロセスチューブ10の中心軸Oを含む断面で見た際に、1つの頂点を有する形状に限られない。XY平面に沿う略平面形状も含む。すなわち、先端部39は、Z方向と略直交する平面であってもよい。
但し、先端部39の中心軸Oを含む断面が1つの頂点を有する場合は、整流部32の外形に沿って流動した導入ガス3の流れがZ方向に平行となり易いという点で優位性がある。
【0069】
ある直線または軸、面に「沿う」とは、基準となる直線または軸、面に対して略平行であることを意味する。この略平行とは、縦型拡散炉1が備える効果を奏功する範囲でずれている場合も含む。
【0070】
導入ガス3は、正多角形43(正方形43、正三角形43、正六角形43)の重心44が整流部32の中心軸の軸線上に配置される場合、整流部32の中心軸の軸線上に配置されない場合と比較して、ウエハ2に対しより均一に分散される。
【0071】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上述した実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上述した各変形例を適宜組み合わせても構わない。
【符号の説明】
【0072】
1…縦型拡散炉、3…導入ガス、10…プロセスチューブ、11…周壁部、12…上壁部、16…導入部、23…内壁、31…拡散部、31a…拡散板、32…整流部、35…変流部、37…先細部、38…境界部、39…先端部、40…最大幅部、41…拡散孔、42…中心点、43…正方形、正三角形、正六角形(正多角形)、44…重心、O…中心軸
図1
図2
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図4
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図16