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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-22
(45)【発行日】2024-01-05
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/00 20060101AFI20231225BHJP
   G03G 15/20 20060101ALI20231225BHJP
   G03G 21/16 20060101ALI20231225BHJP
【FI】
G03G21/00 370
G03G15/20 510
G03G21/16 152
G03G21/00 386
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2019188406
(22)【出願日】2019-10-15
(65)【公開番号】P2021063911
(43)【公開日】2021-04-22
【審査請求日】2022-10-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100101498
【弁理士】
【氏名又は名称】越智 隆夫
(74)【代理人】
【識別番号】100106183
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 弘司
(74)【代理人】
【識別番号】100136799
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 亜希
(72)【発明者】
【氏名】木村 俊範
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 光彦
(72)【発明者】
【氏名】石川 直樹
【審査官】稲荷 宗良
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-164825(JP,A)
【文献】特開2010-139596(JP,A)
【文献】特開2008-076491(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0181623(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 21/00
G03G 15/20
G03G 21/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録材にトナー像を形成する画像形成手段を有する画像形成部と、
前記画像形成部から搬送される前記記録材に前記トナー像を定着させる定着手段を有する定着部と、
交流電源から第1電源ケーブルを介して前記画像形成部へ供給されるべき電力を受け取る第1のAC受取部と、
前記交流電源から第2電源ケーブルを介して前記定着手段へ供給されるべき電力を受け取る第2のAC受取部と、
前記画像形成部に取り外し可能にコネクタにより接続され、前記第1のAC受取部を介して前記定着手段へ供給されるべき電力を受け取る第3のAC受取部と、
前記第3のAC受取部から前記定着部へ電力が供給されているか否かを検知する接続検知部と、
前記画像形成部を制御する第1の制御部と、
を備え、
前記接続検知部は、前記交流電源から前記第2のAC受取部を介して受け取った電力に基づいて生成される前記接続検知部の動作のための電圧が供給され、
前記第1の制御部は、前記接続検知部の検知結果に基づいて前記第3のAC受取部が前記画像形成部に接続されているか否かを検知することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記定着部は、前記画像形成部の筐体とは別の筐体で構成され、前記画像形成部から分離可能に前記画像形成部に接続されていることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記定着手段は、
前記交流電源から前記第2のAC受取部を介して前記電力が供給される第1の加熱部と、
前記交流電源から前記第3のAC受取部を介して前記電力が供給される第2の加熱部と、
を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記画像形成部は、
記第1のAC受取部を介して前記交流電源から供給される電力から前記第1の制御部のための直流電圧を生成する第1の電源部と、
前記第1のAC受取部を介して前記交流電源から供給される電力を前記第3のAC受取部へ分配する第1の電力分配部と、
を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
記録材にトナー像を形成する画像形成手段を有する画像形成部と、
前記画像形成部から搬送される前記記録材に前記トナー像を定着させる定着手段を有する定着部と、
交流電源から第1電源ケーブルを介して前記画像形成部へ供給されるべき電力を受け取る第1のAC受取部と、
前記交流電源から第2電源ケーブルを介して前記定着手段へ供給されるべき電力を受け取る第2のAC受取部と、
前記画像形成部に取り外し可能に接続され、前記第1のAC受取部を介して前記定着手段へ供給されるべき電力を受け取る第3のAC受取部と、
前記第3のAC受取部から前記定着部へ電力が供給されているか否かを検知する接続検知部と、
を備え、
前記接続検知部は、前記交流電源から前記第2のAC受取部を介して受け取った電力に基づいて生成される前記接続検知部の動作のための電圧が供給され、
前記画像形成部は、前記接続検知部の検知結果に基づいて前記第3のAC受取部が前記画像形成部に接続されているか否かを検知するものであり、
前記画像形成部は、
前記画像形成部を制御する第1の制御部と、
前記第1のAC受取部を介して前記交流電源から供給される電力から前記第1の制御部のための直流電圧を生成する第1の電源部と、
前記第1のAC受取部を介して前記交流電源から供給される電力を前記第3のAC受取部へ分配する第1の電力分配部と、
を有し、
前記定着部は、
前記第1の制御部から分離可能に前記第1の制御部に電気的に接続され、前記定着部を制御する第2の制御部と、
前記定着手段の温度を制御する温調制御部と、
前記第2のAC受取部を介して前記交流電源から前記定着手段へ供給されるべき電力を分配する第2の電力分配部と、
前記第2の電力分配部により分配された電力から前記接続検知部、前記第2の制御部および前記温調制御部を動作させるための直流電圧を生成する第2の電源部と、
を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
ユーザインターフェースを有し、
前記第1の制御部は、前記接続検知部の検知結果に基づいて前記第3のAC受取部が前記第1の電力分配部に電気的に接続されていないと判断した場合に、前記ユーザインターフェースにエラーを表示させることを特徴とする請求項4又は5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記定着手段は、
前記交流電源から前記第2のAC受取部を介して前記電力が供給される第1の加熱部と、
前記交流電源から前記第3のAC受取部を介して前記電力が供給される第2の加熱部と、
を備え、
前記第1の制御部は、前記第2のAC受取部を介して前記第1の加熱部へ供給される電力及び前記第3のAC受取部を介して前記第2の加熱部へ供給される電力をそれぞれ制御するように前記温調制御部を制御することを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記第1の制御部は、前記第1の制御部に前記接続検知部が電気的に接続されていないと判断した場合に、前記ユーザインターフェースにエラーを表示させることを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記交流電源は、商用電源であることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記画像形成部は、前記記録材を排出する排出口を備え、
前記定着部は、前記画像形成部から排出された前記記録材を受け入れる受入口を備え、
前記受入口は、前記排出口から分離可能に前記排出口に連通していることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、交流電源から電力を受け取る複数のAC受取部を有する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、市場で多様な記録材に対応したプロダクションプリンタ、複合機などの画像形成装置が求められている。記録材の厚みによっては通紙時に定着器の熱が奪われやすく、次の記録材を定着するまでの温度復帰に時間がかかり生産性を落としてしまう。そこで、交流電源の電圧を上げ、定着ヒータへの供給電力数を増やすことで、温度復帰時間を短縮した構成が採られている。また、海外の地域によって異なる商用電源の電圧値を高精度で判別する電源電圧判定装置を備えた画像形成装置が提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2008-026175号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
たとえば、日本の一般家庭用コンセントの電源定格は100V:15A(1.5kW)であり、その電源ケーブルは広く流通している。その他の電源定格として、電気工事が必要となるが単相の200Vや三相の200Vも選択可能である。200V用の電源ケーブルは、種類によっては30A(6kW)まで電力を供給できる。しかし、一般家庭用の電源ケーブルと比べると、200V用の電源ケーブルは、定格出力が高いためケーブル径は太く、流通量が少ないプラグ形状を持っていることもあり、高価である。
【0005】
そこで、200V用の高価な電源ケーブルを使用せずに、一般家庭用の安価な電源ケーブルを複数本使用して、画像形成装置に電力を供給することが望まれる。この場合、画像形成部を介して定着部へ電力を供給することができる。しかし、画像形成部から定着部への電力を供給する供給部が適切に接続されていない場合、定着部による記録材へのトナー像の定着が適切に行われないことがある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施例による画像形成装置は、
記録材にトナー像を形成する画像形成手段を有する画像形成部と、
前記画像形成部から搬送される前記記録材に前記トナー像を定着させる定着手段を有する定着部と、
交流電源から第1電源ケーブルを介して前記画像形成部へ供給されるべき電力を受け取る第1のAC受取部と、
前記交流電源から第2電源ケーブルを介して前記定着手段へ供給されるべき電力を受け取る第2のAC受取部と、
前記画像形成部に取り外し可能にコネクタにより接続され、前記第1のAC受取部を介して前記定着手段へ供給されるべき電力を受け取る第3のAC受取部と、
前記第3のAC受取部から前記定着部へ電力が供給されているか否かを検知する接続検知部と、
前記画像形成部を制御する第1の制御部と、
を備え、
前記接続検知部は、前記交流電源から前記第2のAC受取部を介して受け取った電力に基づいて生成される前記接続検知部の動作のための電圧が供給され、
前記第1の制御部は、前記接続検知部の検知結果に基づいて前記第3のAC受取部が前記画像形成部に接続されているか否かを検知することを特徴とする。

【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、交流電源から異なる電源ケーブルを介して定着部へ正常に電力が供給されるように接続されているか否かを検知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】画像形成装置及び定着装置を示す図。
図2】画像形成装置及び定着装置の制御ユニットのブロック図。
図3】第3のAC受取部の接続検知を示す流れ図。
図4】プリント動作を示す流れ図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は、画像形成装置100及び定着装置300を示す図である。図1に示すように、画像形成部としての画像形成装置100は、中間転写ベルト3の上面に沿って画像形成ユニット(画像形成手段)1a、1b、1c、1dが配列されたタンデム型中間転写方式によって記録材P上にトナー像を形成する。トナー像が形成された記録材Pは、定着部としての定着装置300へ搬送される。定着装置300は、トナー像を記録材Pに定着させる。これによって、画像形成装置100及び定着装置300は、記録材P上にフルカラー画像を形成するフルカラープリンタである。
【0010】
定着装置300は、画像形成装置100の筐体から独立した別の筐体に収められている。定着装置300は、画像形成装置100から分離可能に画像形成装置100に接続されている。しかし、定着装置300は、画像形成装置100と一体に構成されていてもよい。なお、画像形成装置100と定着装置300の組み合わせも、画像形成装置という。
【0011】
記録材Pを収容する給送カセット4は、画像形成装置100の下部に設けられている。給送カセット4は、画像形成装置100の本体30から引出し可能である。ユーザは、給送カセット4を本体30から引き出して記録材Pを給送カセット4に補給し、再び給送カセット4を本体30に押し込んで装着する。分離ローラ8は、給送カセット4から給送される記録材Pを一枚ずつに分離し、レジストレーションローラ9へ搬送する。記録材Pの先端は、停止されたレジストレーションローラ9に当接し、一旦レジストレーションローラ9で待機させられる。レジストレーションローラ9は、中間転写ベルト3上に形成されたトナー像の先端が記録材Pの先端に一致するように記録材Pを二次転写部T2へ搬送する。
【0012】
画像形成ユニット1a、1b、1c、1dは、それぞれの現像器51a、51b、51c、51dで用いるトナーの色が異なる以外はほぼ同一の構造を有する。画像形成ユニット1aは、ブラックのトナー像を形成する。画像形成ユニット1bは、シアンのトナー像を形成する。画像形成ユニット1cは、マゼンタのトナー像を形成する。画像形成ユニット1dは、イエローのトナー像を形成する。以下、画像形成ユニット1aを説明し、画像形成ユニット1b、1c、1dの説明を省略する。特に必要な場合を除き、符号の添え字a、b、c、dを省略する。
【0013】
画像形成ユニット1は、感光ドラム10、帯電器41及び現像器51が一体的に設けられた交換ユニットとして構成されている。感光ドラム10は、アルミニウム製シリンダの外周面に、帯電極性が負極性の感光層を有する。感光ドラム10は、駆動モータ(不図示)から駆動力を伝達され、所定の回転速度(プロセススピード)で回転する。帯電器41は、感光ドラム10の表面を均一な負極性の電位に帯電する。
【0014】
露光装置6は、ブラックの分解色画像を展開した走査線画像データに基づいてON/OFF変調されたレーザービームを回転ミラーで走査し、均一に帯電された感光ドラム10の表面上に静電潜像を形成する。現像器51は、感光ドラム10の表面上に形成された静電潜像へブラックのトナーを付着させ、ブラックのトナー像を形成する(反転現像)。
【0015】
一次転写ローラ2は、中間転写ベルト3を感光ドラム10へ向かって押圧し、感光ドラム10と中間転写ベルト3の間に一次転写部Tを形成する。一次転写ローラ2に正極性の直流電圧が印加されることにより、感光ドラム10の表面上に担持された負極性のトナー像は、一次転写部Tを通過する中間転写ベルト3へ転写される(一次転写)。
【0016】
中間転写ユニット20は、画像形成ユニット1の下方に配置されて画像形成装置100から回転駆動に係る部材の着脱無しに一体に着脱して交換が可能な交換ユニットであって、中間転写ベルト3の支持機構及び駆動機構を含む。中間転写ベルト3は、テンションローラ27、ベルト駆動ローラ26及び二次転写内ローラ25に掛け渡して支持され、ベルト駆動ローラ26によって駆動されて矢印R2方向に回転する。中間転写ベルト3は、伸び縮みすることない無端状のベルト部材である。
【0017】
一次転写ローラ2a、2b、2c、2dは、画像形成ユニット1a、1b、1c、1dにそれぞれ対応して設けられている。一次転写ローラ2a、2b、2c、2dは、それぞれ感光ドラム10a、10b、10c、10dに向かってバネ付勢されることによって中間転写ベルト3を感光ドラム10a、10b、10c、10dに当接させ、トナー像の一次転写部Tを形成する。
【0018】
二次転写外ローラ22は、二次転写内ローラ25によって内側面が張架された中間転写ベルト3に当接し、中間転写ベルト3の外側面と二次転写外ローラ22の間に二次転写部T2を形成する。二次転写内ローラ25は、中間転写ユニット20に設けられている。一方、二次転写外ローラ22は、画像形成装置100の本体30に設けられている。二次転写内ローラ25は、トナー像の二次転写部T2で中間転写ベルト3を張架している。電源(不図示)から二次転写外ローラ22へ正極性の直流電圧が印加されることによって、接地電位に接続された二次転写内ローラ25と二次転写外ローラ22の間にトナー像の転写電界が形成される。
【0019】
トナー像が形成された記録材Pは、排出ローラ12、13に掛け渡して支持された排出ベルト14によって画像形成装置100の排出口110から排出される。排出口110から排出された記録材Pは、定着装置300の受入口310によって受け入れられる。画像形成装置100の排出口110は、定着装置300の受入口310に分離可能に接続され、連通している。定着装置300は、定着器(定着手段)5を含む。定着器5は、定着ローラ5a及び加圧ローラ5bを含む。加圧ローラ5bは、定着ローラ5aに圧接されて定着ローラ5aと加圧ローラ5bの間に加熱ニップを形成する。定着ローラ5a及び加圧ローラ5bは、それぞれ定着ヒータ(第1の加熱部)305a及び定着ヒータ(第2の加熱部)305bを有する。記録材Pが加熱ニップによって挟持されて搬送される過程で、記録材Pは、加熱及び加圧されてトナー像が溶融し、記録材Pの表面にフルカラー画像が定着される。定着ローラ5a及び加圧ローラ5bには、定着ヒータ305a及び305bの温度を測定するためのサーミスタ15a及び15bがそれぞれ設けられている。
【0020】
フルカラー画像が定着された記録材Pは、排出ローラ11によって定着装置300から排出され、排出トレイ7上に積載される。画像形成装置100は、入出力インターフェースを備えたユーザインターフェース(以下、操作部という)202を有する。ユーザは、操作部202を介して上記のようなプリント動作を指示することができる。操作部202は、画像形成装置100及び定着装置300の状態、例えば画像形成枚数及び画像形成中か否かの情報、ジャムの発生及びその箇所等をユーザに示すための表示を表示する表示部203を有する。また、サービスマンに対して、サービス作業の効率を向上させるために動作不良に至った原因の表示及び本体設置時又は現像器交換時の初期化動作の案内表示を表示し、操作開始を受け付ける。
【0021】
図2は、画像形成装置100及び定着装置300の制御ユニット200のブロック図である。図2において、AC電力供給ラインである電源ライン600~602,604~607,609,610は、最も太い線で示されている。DC電力供給ラインである電源ライン603,611~613は、AC電力供給ラインよりも細い線で示されている。CPU104aの通信制御ラインである信号ライン700~705は、最も細い線で示されている。
【0022】
まず、画像形成装置100の電源ライン600、601、602及び603の接続を説明する。画像形成装置100は、商用電源等の交流電源(AC電源)から電源プラグ(以下、第1のAC受取部という)101及び第1電源ケーブルである電源ライン600を通して電力が供給される。図2においては説明を簡潔にするために、画像形成装置100には、1本の電源ライン600が設けられている。しかし、画像形成装置100の電源ケーブルの本数は、1本に限定されるものはない。画像形成装置100には、複数本の電源ケーブルが設けられていてもよい。
【0023】
第1のAC受取部101を介して受け取るAC電源の電力は、電源ライン600を通して第1の電力分配部102へ供給される。電力は、第1の電力分配部102から電源ライン601を通して画像形成搬送用AC-DC電源(第1の電源部)103へ供給される。また、電力は、第1の電力分配部102から電源ライン602を通して中継コネクタ132へ供給される。画像形成装置100の中継コネクタ132は、定着装置300のコネクタ(以下、第3のAC受取部という)332に取り外し可能に接続される。AC電源の電力は、中継コネクタ132を介して第3のAC受取部332から定着装置300の内部へ供給される。
【0024】
画像形成搬送用AC-DC電源103は、AC電圧(交流電圧)をDC電圧(直流電圧)へ変換し、DC電圧を生成する。画像形成搬送用AC-DC電源103は、電源ライン603を通して画像形成搬送制御部106、CPU104a及び操作部202へDC電源の電力を供給する。画像形成搬送制御部106及びCPU104aは、第1の制御部を構成する。DC電源の電力は、画像形成搬送制御部106を介して各負荷(不図示)及びセンサ類(不図示)へ供給される。
【0025】
次に、定着装置300の電源ライン604~613の接続を説明する。定着装置300は、商用電源等の交流電源(AC電源)から電源プラグ(以下、第2のAC受取部という)301及び第2電源ケーブルである電源ライン604を通して電力が供給される。図2においては説明を簡潔にするために、定着装置300には、1本の電源ライン604が設けられている。しかし、定着装置300の電源ケーブルの本数は、1本に限定されるものではない。定着装置300には、複数本の電源ケーブルが設けられていてもよい。
【0026】
第2のAC受取部301から受け取るAC電源の電力は、電源ライン604を通して第2の電力分配部302へ供給される。第2のAC受取部301の電力は、第2の電力分配部302から電源ライン605を通して定着搬送用AC-DC電源(第2の電源部)303へ供給される。第2のAC受取部301から受け取るAC電源の電力は、第2の電力分配部302から電源ライン606を通して温調制御部304へ供給される。第2のAC受取部301の電力は、温調制御部304から電源ライン607を通して定着ヒータ305aへ供給される。定着ヒータ305aは、図1に示す定着器5の定着ローラ5aに内蔵されている。
【0027】
第3のAC受取部332は、電源ライン608によって電気的に接続検知部308に接続されている。第3のAC受取部332から受け取るAC電源の電力は、電源ライン608を通して接続検知部308へ供給される。第3のAC受取部332の電力は、接続検知部308から電源ライン609を通して温調制御部304へ供給される。第3のAC受取部332の電力は、温調制御部304から電源ライン610を通して定着ヒータ305bへ供給される。定着ヒータ305bは、図1に示す定着器5の加圧ローラ5bに内蔵されている。
【0028】
接続検知部308は、第3のAC受取部332が画像形成装置100の中継コネクタ132に接続されているか否かを検知する。接続検知部308は、AC電圧のゼロクロス検知のように第3のAC受取部332からAC電源の電力が供給されていることを検知できる構成であればよい。第3のAC受取部332が中継コネクタ132に接続されているか否かを検知する接続検知方法は、これに限定されるものではなく、他の接続検知方法が用いられてもよい。
【0029】
温調制御部304は、トライアックのようなAC電源の電力の供給及び遮断機構(スイッチ機構)を備えている。温調制御部304は、定着ヒータ305a、305bが適切な温度になるように、AC電源の電力の供給期間を制御する温調制御を行う。本実施例においては、定着ローラ5aの定着ヒータ305aに加えて、加圧ローラ5bに定着ヒータ305bが設けられている。定着ヒータ305a、305bによって定着温度の立ち上げ時間を短縮し、通紙時の急激な温度低下を抑えている。
【0030】
定着搬送用AC-DC電源303は、AC電圧(交流電圧)をDC電圧(直流電圧)へ変換する。定着搬送用AC-DC電源303は、電源ライン611を通して定着搬送制御部(第2の制御部)306へDC電源の電力を供給する。DC電源の電力は、定着搬送制御部306を介して更に各負荷(不図示)及びセンサ類(不図示)へ供給される。定着搬送用AC-DC電源303は、電源ライン612を通して温調制御部304へDC電源の電力を供給する。温調制御部304へ供給されたDC電源の電力は、温調制御用電源として使用される。定着搬送用AC-DC電源303は、電源ライン613を通して接続検知部308へDC電源の電力を供給する。接続検知部308へ供給されたDC電源の電力は、接続検知用電源として使用される。
【0031】
次に、CPU104aの信号ライン700~705の接続を説明する。CPU104aは、画像形成装置100及び定着装置300を統括的に制御する。CPU104aは、信号ライン700によってROM(記憶部)104bと通信可能に接続されている。CPU104aは、信号ライン701によってRAM(記憶部)104cと通信可能に接続されている。CPU104aは、ROM104bに保存されたプログラムに従って、予め決められた画像形成シーケンスに纏わる様々なシーケンスを実行する。その際、CPU104aは、必要なデータをRAM104cに保存する。RAM104cには、例えば、画像形成時に印加する高電圧の設定値、各種データ、操作部202からの画像形成指令情報などが保存される。RAM104cは、画像形成装置100の電源が切られた場合でも、バッテリー(不図示)から電力が供給されてデータを保持する。
【0032】
CPU104aは、信号ライン702によって画像形成搬送制御部106と通信可能に接続されている。CPU104aは、画像形成搬送制御部106を介して、画像形成装置100内の各負荷(例えば、モータ、ソレノイド、クラッチ)の駆動、センサ類の情報取得及び画像形成制御(例えば、高圧出力制御、ドラム駆動制御)を行う。また、CPU104aは、信号ライン703によって操作部202と通信可能に接続されている。
【0033】
CPU104aは、信号ライン704によって中継コネクタ131に接続されている。中継コネクタ131は、定着装置300の信号ライン705に接続されたコネクタ331に接続される。CPU104aは、信号ライン704、中継コネクタ131、コネクタ331及び信号ライン705を介して定着装置300と通信を行う。また、コネクタ331は、信号ライン705を介して、定着装置300内に設けられた定着搬送制御部306、温調制御部304及び接続検知部308に接続されている。
【0034】
CPU104aは、定着搬送制御部306を介して、定着装置300内の各負荷の駆動及びセンサ類の情報取得を行う。定着ヒータ305a、305bが適切な温度になるように、CPU104aは、温調制御部304のスイッチ機構を制御して定着ヒータ305a、305bへ供給されるAC電源の電力を制御する。CPU104aは、定着ローラ5a及び加圧ローラ5bにそれぞれ設けられたサーミスタ15a及び15b(図1)の温度情報に基づいて、温調制御部304を制御して定着ローラ5a及び加圧ローラ5bを所定の温度にする。CPU104aは、第3のAC受取部332と中継コネクタ132の接続検知を行う接続検知部308の検知状態を取得する。
【0035】
本実施例においては、画像形成装置100の消費電力と定着装置300の消費電力の合計値は、第1のAC受取部101の電源ライン600の定格電圧と第2のAC受取部301の電源ライン604の定格電圧の合計値の範囲内に設定されている。定着装置300の消費電力のほとんどは、定着ヒータ305aによって消費される。定着装置300に設けられる複数の定着ヒータ305a及び305bのうちの一つの定着ヒータ305bへ第1のAC受取部101からの電力が画像形成装置100を経由して供給される。これによって、画像形成装置100の消費電力及び定着装置300の消費電力のそれぞれを、一般家庭用コンセントの定格消費電力の範囲内に納めることができる。
【0036】
定着装置300は、画像形成装置100から第3のAC受取部332を介して電力が供給される。画像形成動作は、中継コネクタ131がコネクタ331に接続され且つ中継コネクタ132が第3のAC受取部332に接続された状態で、実行される。中継コネクタ131にコネクタ331が接続されていない場合、CPU104aは、定着装置300と通信ができないので、操作部202の表示部203にエラーを表示し、ユーザやサービスマンにコネクタ331の接続を促す。
【0037】
第3のAC受取部332は、電源ライン608を介して接続検知部308に接続されている。接続検知部308は、第3のAC受取部332が中継コネクタ132に接続されているか否かを検知し、信号ライン705を介して検知結果をCPU104aへ送信する。CPU104aは、接続検知部308の検知結果に基づいて、中継コネクタ132と第3のAC受取部332の接続状態を瞬時に検知できる。第3のAC受取部332が中継コネクタ132に接続されていない場合、CPU104aは、接続検知部308からLowレベルの信号を受信する。CPU104aは、操作部202の表示部203にエラーを表示し、ユーザやサービスマンに第3のAC受取部332の接続を促す。
【0038】
定着ヒータ305aのみでも定着可能な温度に温調制御が可能であるが、定着装置を通紙する時の温度低下を抑えることができず、画像品質が低下してしまう懸念がある。通紙時に温度低下が発生した場合には、プリントジョブの途中から定着性が低下するので、画像品質の低下を検知することが困難である。定着装置300に複数の定着ヒータを設けて通紙時の温度低下を抑制することができるが、定着装置300の消費電力が定格消費電力を超えるおそれがある。本実施例においては、定着装置300に設けられた複数の定着ヒータ305a、305bのうちの一方の定着ヒータ305aへは定着装置300の第2のAC受取部301から電力が供給される。他方の定着ヒータ305bへは第3のAC受取部332から電力が供給される。この場合、第3のAC受取部332が中継コネクタ132に接続されていないと、定着ヒータ305bへ電力が供給されない。そこで、CPU104aは、接続検知部308を用いて第3のAC受取部332の接続を検知できるように構成されている。
【0039】
次に、図3を用いて、CPU104aによって実行される第3のAC受取部332の接続検知を説明する。図3は、第3のAC受取部332の接続検知を示す流れ図である。CPU104aは、ROM104bに保存されたプログラムに従って第3のAC受取部332の接続検知を実行する。接続検知が開始されると、CPU104aは、接続検知部308からロジック信号であるHighレベルの接続検知信号が出力されているか否かを判断する(S700)。
【0040】
第3のAC受取部332が中継コネクタ132に接続されていない場合、接続検知部308は、Lowレベルの信号を出力する。第3のAC受取部332が中継コネクタ132に接続されている場合、接続検知部308は、Highレベルの信号を出力する。接続検知信号がHighレベルでない場合(S700でNO)、CPU104aは、操作部202の表示部203に「画像形成装置と定着装置の接続を確認してください」を表示させ、ユーザやサービスマンに接続確認を促す(S701)。CPU104aは、接続検知部308からの接続検知信号がLowレベルである間、表示部203に上記メッセージを表示させて待機する。ユーザやサービスマンが第3のAC受取部332を中継コネクタ132に接続すると、接続検知部308からの接続検知信号は、LowレベルからHighレベルへ変わる。
【0041】
接続検知信号がHighレベルである場合(S700でYES)、CPU104aは、接続検知を終了する。なお、コネクタ331が中継コネクタ131に接続されていない場合、CPU104aは、接続検知部308からの接続検知信号を検知できない。この場合、CPU104aは、第3のAC受取部332が中継コネクタ132に接続されていない場合と同様に、接続検知信号がLowレベルであると検知する。そのため、第3のAC受取部332の接続検知は、コネクタ331の接続検知も兼ねている。
【0042】
次に、図4を用いて、電源オン後の動作を説明する。図4は、電源オン後の動作を示す流れ図である。CPU104aは、ROM104bに保存されたプログラムに従ってプリント動作を実行する。CPU104aは、画像形成装置100の電源が投入されると、画像形成搬送用AC-DC電源103によって電力が供給され起動する。CPU104aは、起動時に図3に示した接続検知を実行する(S800)。CPU104aは、印刷指示が入力されたか否かを判定する(S801)。印刷指示がなければ(S801でNO)、再びS800の接続検知を実行する。
【0043】
印刷指示が入力されると(S801でYES)、CPU104aは、画像形成搬送制御部106を介して帯電器41、感光ドラム10、露光装置6及び現像器51を制御し、感光ドラム10上に形成された静電潜像をトナーで現像してトナー像にする(S802)。CPU104aは、画像形成搬送制御部106を介して二次転写内ローラ25、二次転写外ローラ22及びベルト駆動ローラ26を制御し、記録材Pにトナー像を転写する(S803)。CPU104aは、定着搬送制御部306及び温調制御部304を介して定着器5を制御し、記録材Pを加熱及び加圧して記録材Pにトナー像を定着させる(S804)。CPU104aは、定着搬送制御部306を介して排出ローラ11を制御し、記録材Pを排出トレイ7へ排出し(S805)、プリント動作を終了する。プリント動作が終了すると、再びS800に戻る。
【0044】
本実施例では、図4に示すように電源起動時や印刷指示を待機している時にCPU104aが接続検知を実行する。しかし、接続検知を行うタイミングは、これに限定されるものではない。たとえば、CPU104aは、プリント動作中に接続検知を実行してもよい。逆に、電源起動時に接続検知を行った後の印刷指示を待機している期間では接続検知を実行しないようにしてもよい。また、画像形成装置100と定着装置300とのメカ的接続を検知する検知機構が画像形成装置100と定着装置300との非接続から接続への変化を検知したときに接続検知を実行するようにしてもよい。また、画像形成装置100と定着装置300とのメカ的接続の検知ではなく、CPU104aと定着搬送制御部306との通信確立により、画像形成装置100と定着装置300との接続をCPU104aが判断してから接続検知を実行してもよい。なお、本実施例においては、定着ローラ5a及び加圧ローラ5bに、定着ヒータ305a及び305bがそれぞれ設けられている。しかし、定着ヒータの数はこれに限定されるものではない。たとえば、定着ローラ5aのみに複数本の定着ヒータが設けられていてもよい。あるいは、加圧ローラ5bのみに複数本の定着ヒータが設けられていてもよい。あるいは、定着ローラ5a及び加圧ローラ5bのそれぞれに複数本の定着ヒータが設けられていてもよい。
【0045】
本実施例によれば、商用電源から画像形成装置100を介して定着装置300へ交流電源の電力を受け取る第3のAC受取部332が正常に接続されているか否かを検知することができる。
【符号の説明】
【0046】
1・・・画像形成ユニット(画像形成手段)
5・・・定着器(定着手段)
100・・・画像形成装置(画像形成部)
101・・・第1のAC受取部
300・・・定着装置(定着部)
301・・・第2のAC受取部
308・・・接続検知部
332・・・第3のAC受取部
600・・・電源ライン(第1電源ケーブル)
604・・・電源ライン(第2電源ケーブル)
図1
図2
図3
図4