(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-22
(45)【発行日】2024-01-05
(54)【発明の名称】距離測定装置
(51)【国際特許分類】
G01S 13/76 20060101AFI20231225BHJP
G01S 7/40 20060101ALI20231225BHJP
【FI】
G01S13/76
G01S7/40 104
G01S7/40 160
G01S7/40 191
(21)【出願番号】P 2019202172
(22)【出願日】2019-11-07
【審査請求日】2022-10-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】下牧 裕和
【審査官】東 治企
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-060499(JP,A)
【文献】特開2011-007681(JP,A)
【文献】特開2011-080893(JP,A)
【文献】特開2009-156636(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0238759(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 7/00-7/42
G01S 13/00-13/95
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
航空機から質問信号を受信するアンテナと、
擬似質問信号を生成する第1及び第2生成部と、
前記質問信号及び前記擬似質問信号を受け、これらの信号に応答して応答信号を前記アンテナに送信する第1及び第2送受信部と、
前記応答信号を受け、前記応答信号の形式をチェックする第1及び第2監視部と、
前記第1及び第2生成部、前記第1及び第2送受信部、及び前記第1及び第2監視部の間の経路を切り替えるスイッチ部と、
を具備し、
前記第2送受信部を試験する場合、前記スイッチ部は、前記第1生成部の前記擬似質問信号を分配し、前記分配された一方の信号を前記第1送受信部に送信し、前記分配された他方の信号を遅延させて前記第2送受信部に送信し、前記第2生成部の前記擬似質問信号を前記第1送受信部に送信する
距離測定装置。
【請求項2】
前記アンテナに接続され、前記応答信号を取り出して前記第1及び第2監視部に送信する第1方向性結合器をさらに具備する
請求項1に記載の距離測定装置。
【請求項3】
前記スイッチ部は、前記第2送受信部の前記応答信号を前記第1監視部に送信する
請求項1又は2に記載の距離測定装置。
【請求項4】
前記スイッチ部は、前記第2送受信部の前記応答信号を前記アンテナに送信しないように終端させる
請求項1乃至3のいずれかに記載の距離測定装置。
【請求項5】
前記第1送受信部を試験する場合、前記スイッチ部は、前記第1生成部の前記擬似質問信号を前記第2送受信部に送信し、前記第2生成部の前記擬似質問信号を分配し、前記分配された一方の信号を前記第2送受信部に送信し、前記分配された他方の信号を遅延させて前記第1送受信部に送信する
請求項1に記載の距離測定装置。
【請求項6】
前記スイッチ部は、前記第1送受信部の前記応答信号を前記第2監視部に送信する
請求項5に記載の距離測定装置。
【請求項7】
前記スイッチ部は、
前記質問信号と前記擬似質問信号とを結合して前記第1送受信部に送信する第2方向性結合器と、
前記質問信号と前記擬似質問信号とを結合して前記第2送受信部に送信する第3方向性結合器と、
をさらに具備する
請求項1乃至6のいずれかに記載の距離測定装置。
【請求項8】
前記スイッチ部は、
前記第1生成部の前記擬似質問信号を分配する第1分配器と、
前記第1分配器により分配された一方の信号を遅延させる第1遅延器と、
前記第2生成部の前記擬似質問信号を分配する第2分配器と、
前記第2分配器により分配された一方の信号を遅延させる第2遅延器と、
を含む
請求項1乃至7のいずれかに記載の距離測定装置。
【請求項9】
前記スイッチ部は、
前記第1生成部と、前記第1送受信部、前記第2送受信部及び前記第1分配器との経路を切り替える第1スイッチと、
前記第2生成部と、前記第1送受信部、前記第2送受信部及び前記第2分配器との経路を切り替える第2スイッチと、
を含む
請求項8に記載の距離測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、航空機に距離情報を提供する距離測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
航空機に距離情報を提供する距離測定装置(DME:Distance Measuring Equipment)が知られている。距離測定装置は、航空機から送信された質問信号を受信し、一定時間後に応答信号を出力する。質問信号及び応答信号は、ペアパルスを含む。距離測定装置から出力される応答信号の波形は、国際規格により厳密に規定されている。国際規格の規定内容には、パルス幅、及びパルス間隔などが含まれる。規格に適合した応答信号を距離測定装置が出力することにより、規定の範囲(覆域)の航空機は、応答信号を受信でき、距離測定装置との距離を算出することが可能となる。
【0003】
距離測定装置は、応答信号を監視し、応答信号が規格に適合しているか否かをチェックする機能を有する。応答信号をチェックするための監視機能は2重(2系統)で用意され、応答信号は厳密にチェックされる。
【0004】
距離測定装置は、基本的に24時間運用を想定して設計されている。そのため、送受信系を2重に持っている。一方の送受信系が故障した場合、もう一方の送受信系に切り替え、故障した送受信系を、運用を止めずに修理することが可能な設計となっている。
【0005】
距離測定装置は、2系統の送受信系のうち一方を通常運用している間に(運用している送受信系を運用系と呼ぶ)、運用していない送受信系(待機系と呼ぶ)を試験運用として立ち上げ、待機系の応答信号をチェックする。そして、通常運用を待機系に切り替えても使用可能であることを確認するための保守作業が行われる。その保守作業の際、運用系の監視機能のみ(1系統のみ)を用いて、応答信号のチェックを行っているのが現状である。
【0006】
この場合、運用系では単一の監視機能で応答信号のチェックを行うため、対応する監視機能が故障した場合、正しい応答信号が出力されない可能性がある。これは航空機へ正しい情報が与えられない可能性があることを示しており、システムの信頼性低下につながってしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明が解決しようとする課題は、信頼性を向上させることが可能な距離測定装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
実施形態に係る距離測定装置は、航空機から質問信号を受信するアンテナと、擬似質問信号を生成する第1及び第2生成部と、前記質問信号及び前記擬似質問信号を受け、これらの信号に応答して応答信号を前記アンテナに送信する第1及び第2送受信部と、前記応答信号を受け、前記応答信号の形式をチェックする第1及び第2監視部と、前記第1及び第2生成部、前記第1及び第2送受信部、及び前記第1及び第2監視部の間の経路を切り替えるスイッチ部とを具備する。前記スイッチ部は、前記第1生成部の前記擬似質問信号を分配し、前記分配された一方の信号を前記第1送受信部に送信し、前記分配された他方の信号を遅延させて前記第2送受信部に送信し、前記第2生成部の前記擬似質問信号を前記第1送受信部に送信する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、実施形態に係る距離測定装置のブロック図である。
【
図3】
図3は、通常運用時における信号の流れを説明する図である。
【
図4】
図4は、試験運用時のスイッチ部の動作を説明する図である。
【
図5】
図5は、試験運用時における信号の流れを説明する図である。
【
図6】
図6は、通常運用及び試験運用の切り替え動作を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施形態について図面を参照して説明する。以下に示す幾つかの実施形態は、本発明の技術思想を具体化するための装置および方法を例示したものであって、構成部品の形状、構造、配置等によって、本発明の技術思想が特定されるものではない。なお、以下の説明において、同一の機能及び構成を有する要素については同一符号を付し、重複説明は必要な場合にのみ行う。
【0012】
[1] 距離測定装置の構成
図1は、実施形態に係る距離測定装置1のブロック図である。距離測定装置は、DME(Distance Measuring Equipment)と呼ばれる。距離測定装置1は、2つの系統、すなわち第1系統(#1系という)と第2系統(#2系という)とを備える。
【0013】
距離測定装置1は、アンテナ10、方向性結合器(directional coupler)11、スイッチ部12、#1系用の送受信部13-1、#2系用の送受信部13-2、#1系用の増幅器14-1、#2系用の増幅器14-2、終端回路15、#1系用の擬似質問信号生成部16-1、#2系用の擬似質問信号生成部16-2、#1系用の応答信号監視部18-1、#2系用の応答信号監視部18-2、及び制御部19を備える。
【0014】
アンテナ10は、電波を送受信する。すなわち、航空機から送信された質問信号を受信し、また、質問信号に対応する応答信号を送信する。
【0015】
方向性結合器11は、アンテナ10に接続される。方向性結合器11は、アンテナ10から送信される応答信号を取り出し、応答信号監視部18-1、18-2に送信する。
【0016】
スイッチ部12は、アンテナ10、送受信部13-1、13-2、擬似質問信号生成部16-1、16-2、及び応答信号監視部18-1、18-2の間の経路を切り替える。
図1には、#1系に対応する回路を抽出して示している。スイッチ部12は、#1系用の回路と同じ回路を#2系用として備える。スイッチ部12は、スイッチ23を備える。スイッチ23は、#1系と#2系とを切り替える。スイッチ部12の詳細な構成については後述する。
【0017】
送受信部13-1は、アンテナ10から質問信号を受信し、擬似質問信号生成部16-1、16-2から擬似質問信号を受信する。送受信部13-1は、質問信号及び擬似質問信号に応答して、応答信号を生成する。応答信号は、送受信部13-2の機能も、送受信部13-1と同じである。
【0018】
増幅器14-1は、送受信部13-1からの応答信号を増幅し、この増幅した応答信号をスイッチ部12に送信する。
【0019】
増幅器14-2は、送受信部13-2からの応答信号を増幅し、この増幅した応答信号をスイッチ部12に送信する。
【0020】
終端回路15は、アンテナ10に出力しない送信信号を終端させる。
【0021】
擬似質問信号生成部16-1は、擬似質問信号を生成する。擬似質問信号は、質問信号と同一形式である。擬似質問信号生成部16-1は、サーキュレータ17-1を備える。
【0022】
サーキュレータ17-1は、擬似質問信号と、送受信部13-1から送信される応答信号との経路を切り替える。サーキュレータ17-1は、送受信部13-1から送信される応答信号を応答信号監視部18-1に送信する。
【0023】
擬似質問信号生成部16-2の機能も、擬似質問信号生成部16-1と同じである。擬似質問信号生成部16-2は、サーキュレータ17-2を備える。
【0024】
応答信号監視部18-1は、方向性結合器11により取り出された応答信号を受信する。そして、応答信号監視部18-1は、この応答信号をチェックする。また、応答信号監視部18-1は、試験時、送受信部13-1から送信された応答信号をチェックする。応答信号監視部18-2の機能も、応答信号監視部18-1と同じである。
【0025】
制御部19は、距離測定装置1の動作を統括的に制御する。
【0026】
次に、スイッチ部12の構成について説明する。
図2は、
図1に示したスイッチ部12のブロック図である。スイッチ部12は、#1系用のサーキュレータ20-1、#2系用のサーキュレータ20-2、#1系用の方向性結合器21-1、#2系用の方向性結合器21-2、#1系用のスイッチ22-1、#2系用のスイッチ22-2、#1系用の分配器24-1、#2系用の分配器24-2、#1系用の遅延器25-1、及び#2系用の遅延器25-2を備える。
【0027】
サーキュレータ20-1は、増幅器14-1、方向性結合器21-1、及び送受信部13-1に接続される。サーキュレータ20-1は、質問信号及び擬似質問信号と、応答信号との経路を切り替える。サーキュレータ20-1は、質問信号及び擬似質問信号を送受信部13-1に送信し、応答信号を方向性結合器21-1に送信する。
【0028】
サーキュレータ20-2は、増幅器14-2、方向性結合器21-2、及び送受信部13-2に接続される。サーキュレータ20-2は、質問信号及び擬似質問信号と、応答信号との経路を切り替える。サーキュレータ20-2は、質問信号及び擬似質問信号を送受信部13-2に送信し、応答信号を方向性結合器21-2に送信する。
【0029】
方向性結合器21-1は、サーキュレータ20-1とスイッチ23との間に接続される。方向性結合器21-1は、アンテナ10からの応答信号の経路に、擬似質問信号生成部16-1、16-2からの擬似応答信号を結合する。また、方向性結合器21-1は、送受信部13-1からの応答信号を取り出し、分配器24-1、24-2に送信する。
【0030】
方向性結合器21-2は、サーキュレータ20-2とスイッチ23との間に接続される。方向性結合器21-2は、アンテナ10からの応答信号の経路に、擬似質問信号生成部16-1、16-2からの擬似応答信号を結合する。また、方向性結合器21-2は、送受信部13-2からの応答信号を取り出し、分配器24-1、24-2に送信する。
【0031】
スイッチ22-1は、端子T11、T12、T13、T14を備える。端子T11は、擬似質問信号生成部16-1に接続される。端子T12は、方向性結合器21-1に接続される。端子T13は、方向性結合器21-2に接続される。端子T14は、分配器24-1に接続される。スイッチ22-1は、#1系が通常運用の場合は、端子T11と端子T12とを接続し、#2系が通常運用の場合は、端子T11と端子T13とを接続し、試験運用の場合は、端子T11と端子T14とを接続する。
【0032】
スイッチ22-2は、端子T21、T22、T23、T24を備える。端子T21は、擬似質問信号生成部16-2に接続される。端子T22は、方向性結合器21-2に接続される。端子T23は、方向性結合器21-2に接続される。端子T24は、分配器24-2に接続される。スイッチ22-2は、#1系が通常運用の場合は、端子T21と端子T22とを接続し、#2系が通常運用の場合は、端子T21と端子T23とを接続し、試験運用の場合は、端子T21と端子T24とを接続する。
【0033】
分配器24-1は、擬似質問信号生成部16-1からの擬似質問信号を分配し、方向性結合器21-1と遅延器25-1とに送信する。また、分配器24-1は、方向性結合器21-1からの応答信号をスイッチ22-1に送信する。
【0034】
分配器24-2は、擬似質問信号生成部16-2からの擬似質問信号を分配し、方向性結合器21-2と遅延器25-2とに送信する。また、分配器24-2は、方向性結合器21-2からの応答信号をスイッチ22-2に送信する。
【0035】
遅延器25-1は、擬似質問信号を所定時間だけ遅延させ、この遅延させた擬似質問信号を方向性結合器21-2に出力する。
【0036】
遅延器25-2は、擬似質問信号を所定時間だけ遅延させ、この遅延させた擬似質問信号を方向性結合器21-1に出力する。
【0037】
[2] 距離測定装置1の動作
上記のように構成された距離測定装置1の動作について説明する。距離測定装置1は、通常運用及び試験運用の2種類の動作を実行可能である。
【0038】
[2-1] 通常運用
まず、通常運用について説明する。#1系が通常運用であるものとする。
図3は、通常運用時における信号の流れを説明する図である。
【0039】
アンテナ10は、航空機から質問信号S1を受信する。航空機が送信する質問信号S1は、パルス信号からなり、例えばペアパルスを含む。アンテナ10からの質問信号S1は、スイッチ部12を介して、送受信部13-1に送信される。
【0040】
航空機が送信する質問信号は、国際規格(代表的には、ICAO Annex10やEUROCAE ED-57など)で予め決められている。国際規格の内容には、パルス幅、及びパルス間隔などが含まれる。送受信部13-1は、質問信号S1が航空機からの受信信号であるか否かを判別する。航空機からの受信信号であることが確認できた場合、送受信部13-1は、質問信号S1を受信した時間から一定時間後(Xモードでは50マイクロ秒、Yモードでは56マイクロ秒)に応答信号S2を出力する。応答信号は、パルス信号からなり、例えばペアパルスを含む。応答信号は、国際規格で予め決められている。
【0041】
応答信号の規格をチェックするために、擬似質問信号が用いられる。応答信号の規格は、例えば、質問信号の受信から応答信号の送信までの時間間隔(Xモードでは50マイクロ秒、Yモードでは56マイクロ秒)、応答信号の波形、応答信号の出力レベル、及び単位時間当たりの送信パルス数などが含まれる。
【0042】
擬似質問信号生成部16-1は、擬似質問信号S3を生成する。擬似質問信号S3は、航空機から受信した質問信号S1と同一形式である。擬似質問信号生成部16-1により生成された擬似質問信号S3は、スイッチ部12に送信される。
【0043】
同様に、擬似質問信号生成部16-2は、擬似質問信号S3を生成する。擬似質問信号生成部16-2により生成された擬似質問信号S3は、スイッチ部12に送信される。
【0044】
スイッチ部12に含まれるスイッチ22-1、22-2は、#1系及び#2系のうち通常運用として使用する系統の送受信部と、擬似質問信号生成部16-1、16-2とを接続する。これにより、擬似質問信号生成部16-1、16-2により生成された擬似質問信号S3は、通常運用として使用する系統の送受信部に送信される。
【0045】
送受信部13-1は、受信した擬似質問信号S3に応答して、一定時間後に応答信号S2を出力する。航空機から受信した質問信号S1と、擬似質問信号生成部16-1、16-2により生成された擬似質問信号S3とは同一形式であるため、送受信部13-1は、質問信号S1と擬似質問信号S3とを区別することなく、応答信号S2を出力する。
【0046】
送受信部13-1から出力された応答信号S2は、増幅器14-1で規定の出力(例えば1kW)まで増幅される。増幅器14-1から出力された応答信号S4は、スイッチ部12に送られる。スイッチ部12に含まれるスイッチ23は、2系統の送受信部13-1、13-2のうち一方を通常運用系として選択し、選択した方の送受信部の応答信号をアンテナ10に出力する。応答信号S4は、アンテナ10で指向性に応じて空中へ放出される。
【0047】
航空機は、距離測定装置1から出力された応答信号S4を受信すると、質問信号S1の送信から応答信号S4の受信に要した時間を利用して、航空機と基準位置(例えば、距離測定装置1の設置位置)との距離を測定することができる。
【0048】
一方、アンテナ10に接続された方向性結合器11は、応答信号S4を2系統分取り出す。方向性結合器11により取り出された応答信号S4は、応答信号監視部18-1、18-2に送信される。
【0049】
応答信号S4は、応答信号監視部18-1、18-2により2重にチェックされる。応答信号監視部18-1、18-2は、応答信号S4が規格に適合するか否かをチェックする。応答信号S4が規格に適合しない場合、応答信号監視部18-1、18-2は、アラームを発生する。
【0050】
例えば、擬似質問信号生成部16-1と応答信号監視部18-1とは一体化されている。擬似質問信号生成部16-1は、擬似質問信号S3のトリガー信号を応答信号監視部18-1に送る。応答信号監視部18-1は、応答信号S4とトリガー信号との時間間隔を判定し、応答信号S4が規格に適合するか否かをチェックする。同様に、擬似質問信号生成部16-2及び応答信号監視部18-2は、応答信号S4のチェックを行う。
【0051】
[2-2] 試験運用
次に、試験運用について説明する。#2系が試験対象であるものとする。#1系は、通常運用を実行している。
【0052】
図4は、試験運用時のスイッチ部12の動作を説明する図である。スイッチ22-1は、端子T11と端子T14とを接続する。これにより、擬似質問信号生成部16-1と分配器24-1とが接続される。分配器24-1は、擬似質問信号生成部16-1により生成された擬似質問信号を分配し、方向性結合器21-1及び遅延器25-1に送信する。遅延器25-1は、擬似質問信号を所定時間だけ遅延させ、この遅延させた擬似質問信号を方向性結合器21-2に出力する。
【0053】
スイッチ22-2は、端子T21と端子T22とを接続する。これにより、擬似質問信号生成部16-2と方向性結合器21-1とが接続される。
【0054】
図5は、試験運用時における信号の流れを説明する図である。
【0055】
擬似質問信号生成部16-1は、擬似質問信号S3を生成する。擬似質問信号生成部16-1により生成された擬似質問信号S3は、スイッチ部12に送信される。スイッチ部12は、擬似質問信号S3を送受信部13-1に送信し、また、遅延させた擬似質問信号S5を送受信部13-2に送信する。
【0056】
擬似質問信号生成部16-2は、擬似質問信号S3を生成する。擬似質問信号生成部16-2により生成された擬似質問信号S3は、スイッチ部12に送信される。スイッチ部12は、擬似質問信号S3を送受信部13-1に送信する。
【0057】
送受信部13-2は、応答信号S6を生成する。送受信部13-2から出力された応答信号S6は、増幅器14-2で規定の出力まで増幅される。増幅器14-2から出力された応答信号S7は、スイッチ部12に送られる。
【0058】
試験運用の際は、試験対象(待機系ともいう)の送受信部13-2の応答信号は、アンテナ10に送信されず、終端回路15に出力され、大気中には放出されない。
【0059】
待機系の応答信号S7は、方向性結合器21-2及びスイッチ22-1を介して、擬似質問信号生成部16-1に送信される。擬似質問信号生成部16-1に送信された応答信号S7は、サーキュレータ17-1を介して、応答信号監視部18-1に入力される。
【0060】
応答信号監視部18-1は、スイッチ部12からの応答信号S7と、アンテナ10からの応答信号S4との両方チェックできる機能を有する。また、応答信号監視部18-1は、遅延器の遅延時間を加算して、応答信号をチェックする。
【0061】
応答信号監視部18-2は、前述した通常運用と同様に、アンテナ10からの応答信号S4をチェックする。
【0062】
このように、運用系の応答信号S4は、応答信号監視部18-1、18-2を使用して2重にチェックすることができる。また、待機系の応答信号S7は、応答信号監視部18-1を使用してチェックすることができる。
【0063】
なお、#1系が試験対象である場合、スイッチ22-1は、端子T11と端子T13とを接続する。スイッチ22-2は、端子T21と端子T24とを接続する。これにより、信号の流れは、#1系と#2系とが入れ替わる。
【0064】
[2-3] 通常運用及び試験運用の切り替え
次に、通常運用及び試験運用の切り替え動作について説明する。
図6は、通常運用及び試験運用の切り替え動作を説明するフローチャートである。
【0065】
距離測定装置1は、通常運用を実行している(ステップS100)。
【0066】
制御部19は、任意の入力手段をユーザが操作することにより、試験運用への切り替え操作がなされたか否かを監視している(ステップS101)。
【0067】
切り替え操作がなされた場合、制御部19は、スイッチ部12の状態を試験運用に切り替える(ステップS102)。
【0068】
続いて、制御部19は、試験運用の応答信号が応答信号監視部18-1、18-2に入力されるよう制御変更する(ステップS103)。
【0069】
続いて、制御部19は、試験運用を実行する(ステップS104)。制御部19は、応答信号監視部18-1、18-2と、遅延器25-1、25-2の遅延時間を共有する(ステップS105)。応答信号監視部18-1、18-2は、遅延時間を加算して、応答信号の波形をチェックする(ステップS106)。
【0070】
続いて、制御部19は、任意の入力手段をユーザが操作することにより、通常運用への切り替え操作がなされたか否かを監視している(ステップS107)。
【0071】
切り替え操作がなされた場合、制御部19は、スイッチ部12の状態を通常運用に切り替える(ステップS108)。
【0072】
続いて、制御部19は、通常運用の応答信号が応答信号監視部18-1、18-2に入力されるよう制御変更する(ステップS109)。
【0073】
続いて、距離測定装置1は、通常運用を実行する(ステップS110)。
【0074】
[3] 実施形態の効果
本実施形態では、通常運用において、運用系の応答信号を、応答信号監視部18-1、18-2で2重にチェックすることができる。
【0075】
また、試験運用において、擬似質問信号を両方の系の送受信部に一定の遅延時間を加えて分配する。そして、応答信号をチェックする際は、遅延時間を加算して待機系の応答信号をチェックする。これにより、運用系の応答信号を2重でチェックできるとともに、待機系の応答信号が国際規格に適合することを確認できる。
【0076】
結果として、距離測定装置1の信頼性を向上させることができる。
【0077】
なお、本実施形態は、DMEの地上装置に適用する場合について説明したが、これに限ることなく、同様の送信系統を有するSSR(Secondary Surveillance Radar)、ASR(Airport Surveillance Radar)、あるいは汎用のモノパルスレーダなどにも適用することが可能である。
【0078】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0079】
1…距離測定装置、10…アンテナ、11…方向性結合器、12…スイッチ部、13-1,13-2…送受信部、14-1,14-2…増幅器、15…終端回路、16-1,16-2…擬似質問信号生成部、17-1,17-2…サーキュレータ、18-1,18-2…応答信号監視部、19…制御部、20-1,20-2…サーキュレータ、21-1,21-2…方向性結合器、22-1,22-2…スイッチ、23…スイッチ、24-1,24-2…分配器、25-1,25-2…遅延器。