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特許7408368レンズアレイユニット、イメージセンサユニット、画像読取装置、画像形成装置、及びレンズアレイユニットの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-22
(45)【発行日】2024-01-05
(54)【発明の名称】レンズアレイユニット、イメージセンサユニット、画像読取装置、画像形成装置、及びレンズアレイユニットの製造方法
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/028 20060101AFI20231225BHJP
   G02B 3/00 20060101ALI20231225BHJP
【FI】
H04N1/028 Z
G02B3/00 A
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2019224282
(22)【出願日】2019-12-12
(65)【公開番号】P2021093668
(43)【公開日】2021-06-17
【審査請求日】2022-11-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003133
【氏名又は名称】弁理士法人近島国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】若山 広樹
【審査官】橋爪 正樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-032729(JP,A)
【文献】特開昭63-153515(JP,A)
【文献】特開2005-313340(JP,A)
【文献】特開2000-292602(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/024- 1/207
G06T 1/00
G02B 3/00 - 3/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列方向に配列された複数のレンズ、及び前記複数のレンズを挟む第1側板及び第2側板を含むレンズアレイと、
前記第1側板の外側面に接する第1支持部、及び前記第2側板の外側面に接する第2支持部を有し、前記第1支持部及び前記第2支持部で前記レンズアレイを挟んで支持する、樹脂で構成されたフレームと、を備え、
前記第1側板の外側面は、前記配列方向に間隔をあけて画成され、前記第1支持部と嵌合する複数の第1凹部を有
前記複数の第1凹部の各々は、径が100μm以上1000μm以下、深さが50μm以上400μm以下であり、
前記複数の第1凹部において隣り合う一対の第1凹部のピッチは、300μm以上3000μm以下である、
ことを特徴とするレンズアレイユニット。
【請求項2】
配列方向に配列された複数のレンズ、及び前記複数のレンズを挟む第1側板及び第2側板を含むレンズアレイと、
前記第1側板の外側面に接する第1支持部、及び前記第2側板の外側面に接する第2支持部を有し、前記第1支持部及び前記第2支持部で前記レンズアレイを挟んで支持する、樹脂で構成されたフレームと、を備え、
前記第1側板の外側面は、前記配列方向に間隔をあけて画成され、前記第1支持部と嵌合する複数の第1凹部を有し、
前記第2側板の外側面は、前記配列方向に間隔をあけて画成された複数の第2凹部を有する、
ことを特徴とするレンズアレイユニット。
【請求項3】
前記複数の第1凹部の各々は、径が100μm以上1000μm以下、深さが50μm以上400μm以下であり、
前記複数の第1凹部において隣り合う一対の第1凹部のピッチは、300μm以上3000μm以下である、
ことを特徴とする請求項に記載のレンズアレイユニット。
【請求項4】
前記複数の第2凹部の各々は、径が100μm以上1000μm以下、深さが50μm以上400μm以下であり、
前記複数の第2凹部において隣り合う一対の第2凹部のピッチは、300μm以上3000μm以下である、
ことを特徴とする請求項2または3に記載のレンズアレイユニット。
【請求項5】
前記複数の第1凹部において、前記第1側板の前記配列方向の中心部に位置する一対の第1凹部の第1ピッチが、前記第1側板の前記配列方向の端部に位置する一対の第1凹部の第2ピッチよりも狭い、
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のレンズアレイユニット。
【請求項6】
前記複数の第1凹部において隣り合う一対の第1凹部のピッチは、前記第1側板の前記配列方向の端部から中心部に向かうに連れ、1μm以上5μm以下ずつ狭くなる、
ことを特徴とする請求項に記載のレンズアレイユニット。
【請求項7】
前記複数の第1凹部において、前記第1側板の前記配列方向の中心部に位置する第1凹部の第1深さが、前記第1側板の前記配列方向の端部に位置する第1凹部の第2深さよりも深い、
ことを特徴とする請求項乃至のいずれか1項に記載のレンズアレイユニット。
【請求項8】
前記複数の第1凹部の各々の深さは、前記第1側板の前記配列方向の端部から中心部に向かうに連れ、1μm以上5μm以下ずつ深くなる、
ことを特徴とする請求項に記載のレンズアレイユニット。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか1項に記載のレンズアレイユニットを備える、
ことを特徴とするイメージセンサユニット。
【請求項10】
原稿が載置される原稿台と、
前記原稿の画像を読み取る、請求項9に記載のイメージセンサユニットと、を備える、
ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項11】
請求項10に記載の画像読取装置と、
前記画像読取装置によって読み取った画像情報に基づいて、記録媒体に画像を形成する画像形成部と、を備える、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項12】
配列方向に配列された複数のレンズと、前記複数のレンズを挟む第1側板及び第2側板とを含むレンズアレイを形成する工程と、
前記レンズアレイを成形型にセットし、前記成形型に樹脂材を射出して、前記レンズアレイを挟んで支持する、前記第1側板の外側面に接する第1支持部、及び前記第2側板の外側面に接する第2支持部を有するフレームを形成する工程と、を有し、
前記レンズアレイを形成する工程では、前記第1側板の外側面に、前記配列方向に間隔をあけて複数の第1凹部を形成し、
前記フレームを形成する工程では、前記複数の第1凹部に嵌合させた前記第1支持部を形成
前記複数の第1凹部の各々は、径が100μm以上1000μm以下、深さが50μm以上400μm以下であり、
前記複数の第1凹部において隣り合う一対の第1凹部のピッチは、300μm以上3000μm以下である、
ことを特徴とするレンズアレイユニットの製造方法。
【請求項13】
前記複数の第1凹部の各々を、レーザ光で形成することを特徴とする請求項12に記載のレンズアレイユニットの製造方法。
【請求項14】
前記レンズアレイを形成する工程では、前記第2側板の外側面に、前記配列方向に間隔をあけて複数の第2凹部を形成する、
ことを特徴とする請求項12又は13に記載のレンズアレイユニットの製造方法。
【請求項15】
前記複数の第2凹部の各々を、レーザ光で形成する、
ことを特徴とする請求項14に記載のレンズアレイユニットの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レンズアレイユニット、イメージセンサユニット、画像読取装置、画像形成装置、及びレンズアレイユニットの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ファクシミリやスキャナなどの画像読取装置に用いられるイメージセンサユニットは、イメージセンサと、イメージセンサに読取対象物からの光を結像するレンズアレイと、これらを支持するフレームと、を有している。
【0003】
特許文献1に記載のレンズアレイは、フレームに設けられた開口部に挿入され、フレームに固定される。レンズアレイは、使用時にフレームから外れないように、かつレンズアレイとフレームとに隙間ができないように、UV硬化剤などの接着剤を用いてフレームに固定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-50705号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、レンズアレイをフレームに固定するのに接着剤を用いると、接着剤の分、材料費がかかり、コストアップを招いていた。
【0006】
本発明は、コスト削減を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
開示の第1態様は、配列方向に配列された複数のレンズ、及び前記複数のレンズを挟む第1側板及び第2側板を含むレンズアレイと、前記第1側板の外側面に接する第1支持部、及び前記第2側板の外側面に接する第2支持部を有し、前記第1支持部及び前記第2支持部で前記レンズアレイを挟んで支持する、樹脂で構成されたフレームと、を備え、前記第1側板の外側面は、前記配列方向に間隔をあけて画成され、前記第1支持部と嵌合する複数の第1凹部を有し、前記複数の第1凹部の各々は、径が100μm以上1000μm以下、深さが50μm以上400μm以下であり、前記複数の第1凹部において隣り合う一対の第1凹部のピッチは、300μm以上3000μm以下である、ことを特徴とするレンズアレイユニットである
本開示の第2態様は、配列方向に配列された複数のレンズ、及び前記複数のレンズを挟む第1側板及び第2側板を含むレンズアレイと、前記第1側板の外側面に接する第1支持部、及び前記第2側板の外側面に接する第2支持部を有し、前記第1支持部及び前記第2支持部で前記レンズアレイを挟んで支持する、樹脂で構成されたフレームと、を備え、前記第1側板の外側面は、前記配列方向に間隔をあけて画成され、前記第1支持部と嵌合する複数の第1凹部を有し、前記第2側板の外側面は、前記配列方向に間隔をあけて画成された複数の第2凹部を有する、ことを特徴とするレンズアレイユニットである。
【0008】
開示の第態様は、配列方向に配列された複数のレンズと、前記複数のレンズを挟む第1側板及び第2側板とを含むレンズアレイを形成する工程と、前記レンズアレイを成形型にセットし、前記成形型に樹脂材を射出して、前記レンズアレイを挟んで支持する、前記第1側板の外側面に接する第1支持部、及び前記第2側板の外側面に接する第2支持部を有するフレームを形成する工程と、を有し、前記レンズアレイを形成する工程では、前記第1側板の外側面に、前記配列方向に間隔をあけて複数の第1凹部を形成し、前記フレームを形成する工程では、前記複数の第1凹部に嵌合させた前記第1支持部を形成し、前記複数の第1凹部の各々は、径が100μm以上1000μm以下、深さが50μm以上400μm以下であり、前記複数の第1凹部において隣り合う一対の第1凹部のピッチは、300μm以上3000μm以下である、ことを特徴とするレンズアレイユニットの製造方法
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、コストを削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】(a)は、第1実施形態に係る画像形成装置の一例であるプリンタの説明図である。(b)は、第1実施形態に係る画像形成エンジンを示す説明図である。
図2】第1実施形態に係るイメージセンサユニットの分解斜視図である。
図3】(a)は、第1実施形態に係るレンズアレイユニットの斜視図である。(b)は、第1実施形態に係るレンズアレイユニットの断面図である。
図4】(a)は、第1実施形態に係るレンズアレイの側面図である。(b)は、第1実施形態に係るレンズアレイの断面図である。
図5】第1実施形態に係るレンズアレイユニットの部分断面図である。
図6】(a)及び(b)は、第1実施形態に係るレーザ加工装置の模式図である。
図7】(a)~(c)は、第1実施形態に係る製造方法を説明するための模式図である。
図8】第2実施形態に係るレンズアレイユニットの断面図である。
図9】第3実施形態に係るレンズアレイユニットの断面図である。
図10】第4実施形態に係るレンズアレイユニットの断面図である。
図11】(a)~(c)は、実施例における加工前のレンズアレイを示す説明図である。
図12】実施例における引張試験の説明図である。
図13】実施例における測定結果を示す図である。
図14】実施例における測定結果を示す図である。
図15】実施例における測定結果を示す図である。
図16】実施例における測定結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0012】
[第1実施形態]
図1(a)は、第1実施形態に係る画像形成装置の一例であるプリンタ100の説明図である。プリンタ100は、電子写真方式のレーザビームプリンタである。プリンタ100は、プリンタ本体300と、プリンタ本体300の上部に配置された画像読取装置200と、を備えている。プリンタ本体300は、筐体300Aと、筐体300Aの内部に配置され、シートに画像を形成する画像形成部の一例である画像形成エンジン350と、を備える。シートとは、普通紙、コート紙等の特殊紙、封筒、及びインデックス紙等の紙、オーバーヘッドプロジェクタ用のプラスチックフィルム、並びに布などを含む記録媒体とする。
【0013】
図1(b)は、第1実施形態に係る画像形成エンジン350を示す説明図である。画像形成エンジン350は、図1(b)に示すように、電子写真方式の画像形成ユニットPUと、定着装置7と、を備える。画像形成動作の開始が指示されると、感光体である感光ドラム1が回転し、感光ドラム1の表面が帯電装置2によって一様に帯電される。すると、露光装置3が、画像読取装置200又は外部のコンピュータから送信された画像データに基づいてレーザ光を変調して出力し、感光ドラム1の表面を走査して静電潜像を形成する。この静電潜像は、現像装置4から供給されるトナーによって現像されてトナー像となる。
【0014】
このような画像形成動作に並行して、不図示のカセット又は手差しトレイに積載されたシートを画像形成エンジン350へ向けて給送する給送動作が実行される。給送されたシートは、画像形成ユニットPUによる画像形成動作の進行に合わせて搬送される。そして、感光ドラム1に担持されたトナー像は、転写ローラ5によってシートに転写される。トナー像転写後に感光ドラム1上に残ったトナーは、クリーニング装置6によって回収される。トナー像が転写されたシートは、定着装置7へと受け渡されて、ローラ対に挟持されて加熱及び加圧される。トナーが溶融しシートに固着して画像が定着したシートは、排出ローラ対によって筐体300Aの外部に排出される。なお、両面印刷の場合には、反転搬送部8によってシートは反転した状態で搬送され、画像形成エンジン350によって裏面に画像を形成された後に筐体300Aの外部に排出される。
【0015】
また、プリンタ本体300には制御部400が搭載されている。制御部400は、プリンタ100を統括制御する中央処理装置(CPU)と、CPUが実行するプログラムや画像情報及び設定情報を記憶するメモリを含む。制御部400は、画像形成エンジン350を制御して、記録媒体であるシートに画像を形成させる画像形成動作を実行可能である。
【0016】
なお、画像形成エンジン350は、記録媒体としてのシートに画像を形成可能な画像形成手段の一例であり、上述の直接転写方式に代えて中間転写体を含む中間転写方式の構成を用いてもよく、インクジェット方式等の他の機構を用いてもよい。
【0017】
画像読取装置200について説明する。画像読取装置200は、原稿トレイ201に載置された原稿Sを自動的に給送するADF(Auto Document Feeder)210と、原稿台221を有するスキャナ部220と、を備える。原稿台221は、光が透過するよう、例えばガラスで構成されている。ADF210は、原稿台221が開放可能となるように、スキャナ部220に対して開閉可能である。なお、原稿Sとして用いられるシートは、白紙でも、片面又は両面に画像が形成されていてもよい。
【0018】
ADF210は、原稿Sから画像情報を読取り可能なイメージセンサユニット10を有し、スキャナ部220は、原稿Sから画像情報を読取り可能なイメージセンサユニット10を有する。イメージセンサユニット10,10は、原稿Sの2つの面に光を照射し、2つの面で反射した反射光を受光して画像情報を読取るものである。
【0019】
ADF210によって原稿Sを給送しながら原稿Sから画像情報を読取る動作について説明する。まず、操作者が原稿Sを原稿トレイ201に載置する。そして、操作者が不図示の操作部を介して読取開始を指示すると、ADF210は、原稿Sをイメージセンサユニット10,10による読取位置へ向けて搬送する。
【0020】
その後、所定のタイミングでイメージセンサユニット10,10による画像情報の読取りが開始される。スキャナ部220に配置されたイメージセンサユニット10は原稿Sの第1面(表面)から画像情報を読取り、ADF210に配置されたイメージセンサユニット10は原稿Sの第1面とは反対の第2面(裏面)から画像情報を読取る。イメージセンサユニット10,10の読取位置を通過した原稿Sは、排出トレイ202へ排出される。
【0021】
また、画像読取装置200は、スキャナ部220の原稿台221に載置された原稿から画像情報を読取る動作を実行可能である。この場合、原稿台221に原稿が静置された状態で、イメージセンサユニット10が原稿台221に沿って副走査方向(図1(a)中左右方向)に移動することで、原稿から画像情報が読取られる。
【0022】
イメージセンサユニット10とイメージセンサユニット10とは、同一の構成である。以下、各イメージセンサユニット10,10の構成について説明する。図2は、第1実施形態に係るイメージセンサユニットの分解斜視図である。図2に示すイメージセンサユニット10は、図1(a)に示す各イメージセンサユニット10,10である。
【0023】
なお、画像読取装置200がADF210を備える場合について説明したが、ADF210を備えていない場合であってもよい。この場合、画像読取装置200は、イメージセンサユニット10を有しておらず、イメージセンサユニット10のみ有していることになり、図2に示すイメージセンサユニット10は、イメージセンサユニット10ということになる。
【0024】
図2に示すように、互いに直交する三次元の方向を、X方向、Y方向、Z方向とする。X方向は主走査方向、Y方向は主走査方向に直交する副走査方向、Z方向は、X方向及びY方向に直交する方向である。
【0025】
イメージセンサユニット10は、略直方体形状に形成されている。イメージセンサユニット10の長手方向が主走査方向となる。イメージセンサユニット10は、フレーム11、光源部20、レンズアレイ30、配線板35、及びイメージセンサ37を備える。これらの部材は、読み取る原稿のX方向の幅寸法に応じた長さに設定される。
【0026】
フレーム11は、イメージセンサユニット10の各構成部材を収容する空間が形成された支持部材である。フレーム11は、X方向に長い略直方体形状に形成されている。フレーム11は、光源部20、配線板35、及びレンズアレイ30などを支持できるように凹凸状に形成されている。
【0027】
光源部20は、主走査方向であるX方向に沿ったライン状の光を原稿に出射するよう構成されている。光源部20は、Y方向に間隔をあけて配置され、X方向に延びる一対の導光体25と、一対の導光体25のX方向の両側に配置された一対の光源21と、を有する。各光源21は、発光素子として複数のLEDチップ22を含むLEDモジュールである。複数のLEDチップ22は、透明樹脂によって封止されている。LEDチップ22には、例えば赤、緑、青、赤外又は紫外の波長の光を発するLEDチップが適用可能である。
【0028】
各導光体25は、各光源21から入射された光を原稿に向かって出射する。各導光体25は、例えばアクリル系の透明な樹脂材料により形成され、X方向に長い棒状に形成されている。各導光体25は、X方向の端部に形成された、光の入射面26を有する。入射面26は、X方向に対して直交するYZ面と平行な面であり、光源21からの光が入射される。また、各導光体25は、原稿等と対向する側に形成され、各導光体25の内部を伝搬する光を、原稿に向かって出射させる出射面27を有する。また、各導光体25は、出射面27と対向して形成され、入射面26から入射された光をX方向に伝搬させると共に、出射面27側に反射させる反射面28を有する。
【0029】
配線板35は、X方向に長い平板状に形成されたプリント配線板である。配線板35の実装面36は、Z方向に対して直交するXY面と平行な面である。配線板35の実装面36上には、イメージセンサ37と、各光源21を発光させたり、イメージセンサ37を駆動させたりするための不図示の駆動回路と、が実装されている。
【0030】
レンズアレイ30は、原稿からの反射光を、イメージセンサ37上に結像する光学部材である。レンズアレイ30に対してZ方向の一方の側には、光源部20が配置され、反対の他方の側には、イメージセンサ37が配置されている。即ち、光源部20とイメージセンサ37との間にレンズアレイ30が配置されている。
【0031】
イメージセンサ37は、原稿から反射されレンズアレイ30によって結像された光を受光して電気信号に変換する。イメージセンサ37は、複数のイメージセンサICからなる。各イメージセンサICは、複数の光電変換素子を含む。イメージセンサICの数及びイメージセンサICに含まれる光電変換素子の数は、原稿の読み取りの解像度に応じて決定される。複数のイメージセンサICは、実装面36上にX方向に直線状に配列されている。なお、イメージセンサ37は、原稿等からの反射光を電気信号に変換できるものであればよく、上述した構成に限定されない。
【0032】
図3(a)は、レンズアレイ30及びフレーム11の一体物であるレンズアレイユニット80の斜視図である。図3(b)は、ZY平面と平行な図3(a)に示す仮想平面P0でレンズアレイユニット80を切断した場合の断面図である。図4(a)は、第1実施形態に係るレンズアレイ30の側面図、図4(b)は、第1実施形態に係るレンズアレイ30の断面図である。図5は、レンズアレイユニット80の部分断面図である。
【0033】
第1実施形態では、図3(a)に示すレンズアレイ30とフレーム11とは、インサート成形により一体に形成されている。図3(b)に示すように、フレーム11は、レンズアレイ30を挟んで支持する一対の支持部111,112を有する。支持部111は、第1支持部であり、支持部112は、第2支持部である。
【0034】
図4(b)に示すように、レンズアレイ30は、配列方向であるX方向に配列された複数のレンズ40を有する。各レンズ40は、Z方向に延びるロッドレンズである。レンズ40の長手方向であるZ方向の一方には、図2に示す光源部20が配置され、他方には、イメージセンサ37が配置される。
【0035】
図3(b)及び図4(b)に示すように、レンズアレイ30は、複数のレンズ40をY方向の両側から挟み込む2つの側板41,42を有する。複数のレンズ40と一対の側板41,42とは、接着剤で固定され、一体化されている。側板41は、第1側板であり、側板42は、第2側板である。支持部111は、側板41の外側面141の一部又は全部と接する。支持部112は、側板42の外側面142の一部又は全部と接する。外側面141は、第1外側面、外側面142は、第2外側面である。第1実施形態では、支持部111は、外側面141の一部と接し、支持部112は、外側面142の一部と接する。なお、レンズアレイ30の方向の両端面は、光入射面又は光出射面であるため、フレーム11には覆われず、露出している。
【0036】
側板41は、外側面141にX方向に間隔をあけて画成された複数の凹部51を有する。側板42は、外側面142にX方向に間隔をあけて画成された複数の凹部52を有する。複数の凹部51の各々は、第1凹部である。複数の凹部52の各々は、第2凹部である。第1実施形態では、複数の凹部51は、X方向に1列に配置されており、複数の凹部52は、X方向に1列に配置されている。
【0037】
図5に示すように、支持部111は、側板41の外側面141において、複数の凹部51を画成している部分を含む領域に接するように形成されている。支持部112は、側板42の外側面142において、複数の凹部52を画成している部分を含む領域に接するように形成されている。即ち、支持部111は、複数の凹部51に嵌合する形状に形成されている。また、支持部112は、複数の凹部52に嵌合する形状に形成されている。具体的には、支持部111は、複数の凹部51に嵌合する複数の凸部121を有し、支持部112は、複数の凹部52に嵌合する複数の凸部122を有する。第1実施形態では、レンズアレイ30とフレーム11とは、インサート成形により一体に形成される。よって、支持部111の複数の凸部121が外側面141の複数の凹部51に嵌合された状態で、外側面141と支持部111とが密着されている。また、支持部112の複数の凸部122が外側面142の複数の凹部52に嵌合された状態で、外側面142と支持部112とが密着されている。これにより、支持部111と側板41との接合強度が高まり、フレーム11に衝撃力が加わっても、支持部111が側板41の外側面141から剥離するのが防止される。また、支持部112と側板42との接合強度が高まり、フレーム11に衝撃力が加わっても、支持部112が側板42の外側面142から剥離するのが防止される。
【0038】
レンズアレイ30を平面視して、即ちレンズアレイ30をY方向に見て、各凹部51は、ドット形状、即ち円形状に形成され、各凹部52は、ドット形状、即ち円形状に形成されている。なお、凹部51の形状及び凹部52の形状は、Y方向に見て円形状に限定するものではない。例えば、凹部51又は凹部52の形状は、Y方向に見て楕円形状や長穴形状等、どのような形状であってもよい。なお、接合強度の観点から、凹部51及び凹部52の形状は、ドット形状であるのが好適である。各凹部51は、各レンズ40の光学性能の観点から、有底孔であるのが好ましい。同様に、各凹部52は、有底孔であるのが好ましい。
【0039】
フレーム11に作用した衝撃による応力は、側板41のX方向の端部411,412よりも、側板41のX方向の中心部413の方が大きい。よって、複数の凹部51のうちいずれかは、側板41のX方向の中心部413に形成されているのが好ましい。また、フレーム11に作用した衝撃による応力は、側板42のX方向の端部421,422よりも、側板42のX方向の中心部423の方が大きい。よって、複数の凹部52のうちいずれかは、側板42のX方向の中心部423に形成されているのが好ましい。
【0040】
また、フレーム11に作用した衝撃による応力は、側板41のX方向の全体、及び側板42のX方向の全体に分散する。よって、複数の凹部51は、側板41のX方向の一方の端部411から他方の端部412まで形成されているのがより好ましい。また、複数の凹部52は、側板42のX方向の一方の端部421から他方の端部422まで形成されているのがより好ましい。
【0041】
複数の凹部51の各々の開口径D1は、100μm以上1000μm以下であるのが好ましく、300μm以上800μm以下であるのがより好ましい。同様に、複数の凹部52の各々の開口径D2は、100μm以上1000μm以下が好ましく、300μm以上800μm以下がより好ましい。
【0042】
複数の凹部51の各々のY方向の深さL1は、50μm以上400μm以下であるのが好ましく、100μm以上300μm以下であるのがより好ましい。同様に、複数の凹部52のY方向の各々の深さL2は、50μm以上400μm以下であるのが好ましく、100μm以上300μm以下であるのがより好ましい。
【0043】
複数の凹部51において隣り合う一対の凹部51のピッチP1は、300μm以上3000μm以下であるのが好ましく、500μm以上2000μm以下であるのがより好ましい。ここで、隣り合う一対の凹部51のピッチP1とは、隣り合う一対の凹部51において一方の凹部51の中心と他方の凹部51の中心との距離である。同様に、複数の凹部52において隣り合う一対の凹部52のピッチP2は、300μm以上3000μm以下であるのが好ましく、500μm以上2000μm以下であるのがより好ましい。ここで、隣り合う一対の凹部52のピッチP2とは、隣り合う一対の凹部52において一方の凹部52の中心と他方の凹部52の中心との距離である。
【0044】
複数の凹部51は、X方向に一定のピッチP1で配列されている。また、複数の凹部52は、X方向に一定のピッチP2で配列されている。各凹部51のY方向の深さL1は、複数の凹部51の間で同一である。各凹部52のY方向の深さL2は、複数の凹部52の間で同一である。
【0045】
開口径が100μm以上1000μm以下、深さが50μm以上400μm以下であり、複数の凹部51において隣り合う一対の凹部51のピッチが、300μm以上3000μm以下であると、光学特性およびレンズアレイ30とフレーム11との接合強度をより高めることができる。
【0046】
次に、イメージセンサユニット10の製造方法の各工程について説明する。
【0047】
(第1工程)
第1工程では、図4(a)及び図4(b)に示すレンズアレイ30を形成する。第1実施形態では、凹部51及び凹部52が形成されていない加工前のレンズアレイを用意し、そのレンズアレイに凹部51及び凹部52を形成することで、レンズアレイ30を形成する。各凹部51及び各凹部52の加工は、切削加工、ドリル加工、研磨加工、又はレーザ加工のいずれでもよいが、加工時間を短縮する観点から、レーザ加工が好ましい。
【0048】
図6(a)及び図6(b)は、レーザ加工装置500の模式図である。具体的には、図6(a)は、レーザ加工装置500を側面視した模式図であり、図6(b)は、レーザ加工装置500を正面視した模式図である。第1実施形態の第1工程S1では、図6(a)及び図6(b)に示すレーザ加工装置500を用いて、加工前のレンズアレイ30Xにレーザ加工を施すことで、図4(a)及び図4(b)に示すレンズアレイ30を形成する。
【0049】
レーザ加工装置500は、レーザ501と、レーザ501を支持する架台502と、加工対象物である加工前のレンズアレイ30Xを支持可能な支持台503と、を有する。支持台503は、レンズアレイ30Xをレーザ501に対してX方向に直線移動させることができるステージである。レーザ501には、YAGレーザ、COレーザ、グリーンレーザ、UVレーザ、又はファイバーレーザを用いることができる。レーザ501によるレーザ光L0の発振動作は、連続波発振動作又はパルス発振動作のいずれであってもよい。
【0050】
第1工程S1について詳細に説明する。まず、加工前のレンズアレイ30Xを準備する。加工前のレンズアレイ30Xは、X方向に配列された複数のレンズ40と、複数のレンズ40をY方向の両側から挟み込む加工前の2つの側板41X,42Xと、を有する。即ち、用意したレンズアレイ30Xの各側板41X,42Xには、凹部が未形成である。側板41Xがレーザ501に対向するようにレンズアレイ30Xを支持台503にセットする。
【0051】
レーザ501にレーザ光L0を間欠的に出射させ、支持台503によりレンズアレイ30XをX方向に移動させる。出射させたレーザ光L0により、側板41XのX方向の一方の端部411Xから他方の端部412Xまで、側板41Xの外側面141Xに複数の凹部51を形成する。複数の凹部51を形成後、レンズアレイ30Xを裏返しして支持台503にセットする。
【0052】
レーザ501にレーザ光L0を間欠的に出射させ、支持台503によりレンズアレイ30XをX方向に移動させる。出射させたレーザ光L0により、側板42XのX方向の一方の端部421Xから他方の端部422Xまで、側板42Xの外側面142Xに複数の凹部52を形成する。これにより、図4(a)及び図4(b)に示すレンズアレイ30を形成する。
【0053】
なお、予め作製されたレンズアレイ30Xを準備する場合について説明したが、これに限定するものではない。側板41X,42Xを準備し、側板41Xに複数の凹部51を形成し、かつ側板42Xに複数の凹部52を形成した後に、複数のレンズ40を、側板41,42で挟み込んで接着固定して、レンズアレイ30を形成してもよい。
【0054】
また、端部411Xから端部412Xに向かって外側面141Xに凹部51を順番に形成する場合について説明したが、これに限定するものではない。端部412Xから端部411Xに向かって外側面141Xに凹部51を順番に形成してもよい。同様に、端部421Xから端部422Xに向かって外側面142Xに凹部52を順番に形成する場合について説明したが、これに限定するものではない。端部422Xから端部421Xに向かって外側面142Xに凹部52を順番に形成してもよい。また、一対の端部411X,412Xの一方から他方に向かって外側面141Xに凹部51を形成するのが、生産性の観点から好適であるが、他の順番であってもよい。同様に、一対の端部421X,422Xの一方から他方に向かって外側面142Xに凹部52を形成するのが、生産性の観点から好適であるが、他の順番であってもよい。
【0055】
また、側板41Xに凹部51を1つ形成するのに、複数回レーザ光L0を照射してもよいし、1回のみレーザ光L0を照射してもよい。同様に、側板42Xに凹部52を1つ形成するのに、側板42Xの同じ位置に複数回レーザ光L0を照射してもよいし、1回のみレーザ光L0を照射してもよい。レーザ光L0の照射回数は、形成する凹部のサイズ及びレーザ光L0の出力強度に応じて決定すればよい。形成しようとする凹部のサイズに応じて、レーザ光L0の照射位置を微小量ずらすことで、凹部の輪郭とその内側を形成するようにしてもよいし、同じ位置に照射して凹部を形成してもよい。また、複数の凹部51は、加工時間や加工コストを考慮すると、X方向に1列に配列されているのが好ましいが、2列以上あってもよい。同様に、複数の凹部52は、加工時間や加工コストを考慮すると、X方向に1列に配列されているのが好ましいが、2列以上あってもよい。
【0056】
(第2工程)
第2工程では、フレーム11を形成する。即ち第2工程では、インサート成形により、図3(a)及び図3(b)に示す、レンズアレイ30とフレーム11とが一体化したレンズアレイユニット80を形成する。インサート成形方法には、成形型の内部に溶融状態の熱可塑性樹脂を射出する方法、又は成形型の内部に熱硬化性樹脂を射出する方法を用いることができる。熱硬化性樹脂としては、例えばフェノール、ユリア、メラン、エポキシなどが挙げられる。熱可塑性樹脂としては、例えばPS、ABS、POM、PP、PMMA、PA、PPS、PC、PC+ABSなどが挙げられる。これら樹脂材の中で、PC、又はPC+ABSが好適である。また、樹脂材には、繊維フィラーを配合してもよい。繊維フィラーとしては、炭素繊維、ガラス繊維、金属繊維、有機繊維などが挙げられる。以下、樹脂材が熱可塑性樹脂である場合について説明する。
【0057】
図7(a)~図7(c)は、インサート成形を行う第2工程を説明するための模式図である。図7(a)~図7(c)に、第2工程の各工程S2-1~S2-3を図示している。図7(a)~図7(c)に示す成形型600は、不図示の射出成型機に設置されている。成形型600は、金型であり、第1型の一例である固定型601と、第2型の一例である可動型602とを有する。
【0058】
まず、図7(a)に示す工程S2-1において、成形型600が型開きされた状態で、固定型601及び可動型602のいずれか一方、例えば固定型601にレンズアレイ30を支持させる。
【0059】
次に、図7(b)に示す工程S2-2において、成形型600を型締めすることにより、成形型600の内部にレンズアレイ30がセットされる。成形型600の内部には、キャビティ610が画成される。レンズアレイ30は、光入射面及び光出射面に樹脂が回り込まないように、成形型600に支持される。そして、レンズアレイ30の外側面141において複数の凹部51を含む一部領域、及び外側面142において複数の凹部52を含む一部領域がキャビティ610に露出される。なお、キャビティ610の内部でレンズアレイ30が移動しないようにレンズアレイ30を位置決め支持することが可能であれば、外側面141の全部、及び/又は外側面142の全部がキャビティ610に露出されるようにしてもよい。
【0060】
不図示の射出成型機により、成形型600の内部、即ちキャビティ610に、熱可塑性樹脂を溶融させた溶融樹脂M1を射出することで、キャビティ610に溶融樹脂M1が充填される。キャビティ610に充填された溶融樹脂M1は、レンズアレイ30の外側面141の一部領域及び外側面142の一部領域に接触し、複数の凹部51及び複数の凹部52に入り込む。キャビティ610に充填された溶融樹脂M1が成形型600の内部で冷却されて固化することにより、溶融樹脂M1の硬化物であるフレーム11が形成される。形成されたフレーム11の支持部111は、外側面141の一部領域と接している。フレーム11の支持部112は、外側面142の一部領域と接している。
【0061】
そして、図7(c)に示す工程S2-3において、成形型600を型開きし、フレーム11とレンズアレイ30とが一体となったレンズアレイユニット80が、成形型600から取り出される。その後、図2に示すイメージセンサ37が実装された配線板35をフレーム11に固定することで、イメージセンサユニット10が形成される。
【0062】
第1実施形態によれば、複数の凹部51及び複数の凹部52により、レンズアレイ30とフレーム11との接合強度を高めることができるので、レンズアレイとフレームとを接合するための接着剤が不要となり、その分、製造コストを削減することができる。
【0063】
なお、2つの側板41,42のうち、一方の側板に形成した複数の凹部によってレンズアレイ30とフレーム11との接合強度を確保できる場合には、他方の側板には複数の凹部を形成しなくてもよい。
【0064】
[第2実施形態]
第2実施形態のレンズアレイユニットについて説明する。図8は、第2実施形態に係るレンズアレイユニット80Aの断面図である。第2実施形態においては、第1実施形態と異なる点について説明し、同様の点については、説明を省略する。第2実施形態では、レンズアレイユニット80A以外の構成は、第1実施形態と同様であり、また、レンズアレイユニットの製造方法、即ちイメージセンサユニットの製造方法も、第1実施形態と同様である。
【0065】
レンズアレイユニット80Aは、フレーム11Aと、レンズアレイ30Aとを備える。フレーム11Aの材料は、第1実施形態のフレーム11の材料と同様である。レンズアレイ30Aは、配列方向であるX方向に配列された複数のレンズ40を有する。レンズアレイ30Aは、複数のレンズ40をY方向の両側から挟み込む2つの側板41A,42Aを有する。複数のレンズ40と一対の側板41A,42Aとは、接着剤で固定され、一体化されている。側板41Aは、第1側板であり、側板42Aは、第2側板である。フレーム11Aは、レンズアレイ30Aを挟んで支持する一対の支持部111A,112Aを有する。支持部111Aは、第1支持部であり、支持部112Aは、第2支持部である。支持部111Aは、側板41Aの外側面141Aに接し、支持部112Aは、側板4Aの外側面142Aに接する。外側面141Aは、第1外側面、外側面142Aは、第2外側面である。
【0066】
側板41Aは、外側面141AにX方向に間隔をあけて画成された複数の凹部51Aを有する。また、側板42Aは、外側面142AにX方向に間隔をあけて画成された複数の凹部52Aを有する。複数の凹部51Aの各々は、第1凹部である。複数の凹部52Aの各々は、第2凹部である。第2実施形態では、複数の凹部51Aは、支持部111Aが接する位置にX方向に1列に配置されており、複数の凹部52Aは、支持部112Aが接する位置にX方向に1列に配置されている。
【0067】
レンズアレイ30Aを平面視して、即ちレンズアレイ30AをY方向に見て、各凹部51Aは、ドット形状、即ち円形状に形成され、各凹部52Aは、ドット形状、即ち円形状に形成されている。なお、凹部51Aの形状及び凹部52Aの形状は、Y方向に見て円形状に限定するものではない。例えば、凹部51A又は凹部52Aの形状は、Y方向に見て楕円形状や長穴形状等、どのような形状であってもよい。なお、接合強度の観点から、凹部51A及び凹部52Aの形状は、ドット形状であるのが好適である。各凹部51A及び各凹部52Aの加工は、切削加工、ドリル加工、研磨加工、又はレーザ加工のいずれでもよいが、加工時間を短縮する観点から、レーザ加工が好ましい。各凹部51Aは、各レンズ40の光学性能の観点から、有底孔であるのが好ましい。同様に、各凹部52Aは、有底孔であるのが好ましい。
【0068】
複数の凹部51Aのうちいずれかは、側板41AのX方向の中心部413Aに形成されているのが好ましい。また、複数の凹部52Aのうちいずれかは、側板42AのX方向の中心部423Aに形成されているのが好ましい。
【0069】
複数の凹部51Aは、側板41AのX方向の一方の端部411Aから他方の端部412Aまで形成されているのがより好ましい。また、複数の凹部52Aは、側板42AのX方向の一方の端部421Aから他方の端部422Aまで形成されているのがより好ましい。
【0070】
複数の凹部51Aの各々の開口径D1は、100μm以上1000μm以下であるのが好ましく、300μm以上800μm以下であるのがより好ましい。同様に、複数の凹部52Aの各々の開口径D2は、100μm以上1000μm以下が好ましく、300μm以上800μm以下がより好ましい。
【0071】
複数の凹部51Aの各々のY方向の深さL1は、50μm以上400μm以下であるのが好ましく、100μm以上300μm以下であるのがより好ましい。同様に、複数の凹部52Aの各々のY方向の深さL2は、50μm以上400μm以下であるのが好ましく、100μm以上300μm以下であるのがより好ましい。
【0072】
複数の凹部51Aにおいて隣り合う一対の凹部51AのピッチP1は、300μm以上3000μm以下であるのが好ましく、500μm以上2000μm以下であるのがより好ましい。同様に、複数の凹部52Aにおいて隣り合う一対の凹部52AのピッチP2は、300μm以上3000μm以下であるのが好ましく、500μm以上2000μm以下であるのがより好ましい。
【0073】
各凹部51AのY方向の深さL1は、複数の凹部51Aの間で同一である。複数の凹部51Aにおいて、側板41AのX方向の中心部413Aに位置する一対の凹部51AのピッチP11が、側板41AのX方向の端部411A,412Aに位置する一対の凹部51AのピッチP12よりも狭い。ピッチP11は、第1ピッチ、ピッチP12は、第2ピッチである。これにより、側板41Aにおいて応力が集中しやすい中心部413Aと支持部111Aとの接合強度を高めることができる。
【0074】
各凹部52AのY方向の深さL2は、複数の凹部52Aの間で同一である。複数の凹部52Aにおいて、側板42AのX方向の中心部423Aに位置する一対の凹部52AのピッチP23が、側板42AのX方向の端部421A,422Aに位置する一対の凹部52AのピッチP24よりも狭い。ピッチP23は、第3ピッチ、ピッチP24は、第4ピッチである。これにより、側板42Aにおいて応力が集中しやすい中心部423Aと支持部112Aとの接合強度を高めることができる。
【0075】
第2実施形態では、複数の凹部51Aにおいて隣り合う一対の凹部51AのピッチP1は、側板41AのX方向の端部411A,412Aから中心部413Aに向かうに連れ、1μm以上5μm以下ずつ狭くなる。これにより、側板41Aと支持部111Aとの接合強度をより高めることができる。
【0076】
また、複数の凹部52Aにおいて隣り合う一対の凹部52AのピッチP2は、側板42AのX方向の端部421A,422Aから中心部423Aに向かうに連れ、1μm以上5μm以下ずつ狭くなる。これにより、側板42Aと支持部112Aとの接合強度をより高めることができる。
【0077】
以上、第2実施形態においても、第1実施形態と同様、接着剤を省略することが可能となるので、その分、製造コストを削減することができる。
【0078】
なお、複数の凹部51Aは、加工時間や加工コストを考慮すると、X方向に1列に配列されているのが好ましいが、2列以上あってもよい。同様に、複数の凹部52Aは、加工時間や加工コストを考慮すると、X方向に1列に配列されているのが好ましいが、2列以上あってもよい。
【0079】
また、2つの側板41A,42Aのうち、一方の側板に形成した複数の凹部によってレンズアレイ30Aとフレーム11Aとの接合強度を確保できる場合には、他方の側板には複数の凹部を形成しなくてもよい。また、2つの側板41A,42Aのうち、一方の側板を、第1実施形態で説明した側板41又は42と同様に構成してもよい。
【0080】
また、ピッチP1,P2が端部から中心部に向かうに連れ、徐々に狭くなる場合について説明したが、これに限定するものではなく、段階的に狭くなるようにしてもよい。
【0081】
[第3実施形態]
第3実施形態のレンズアレイユニットについて説明する。図9は、第3実施形態に係るレンズアレイユニット80Bの断面図である。第3実施形態においては、第1実施形態と異なる点について説明し、同様の点については、説明を省略する。第3実施形態では、レンズアレイユニット80B以外の構成は、第1実施形態と同様であり、また、レンズアレイユニットの製造方法、即ちイメージセンサユニットの製造方法も、第1実施形態と同様である。
【0082】
レンズアレイユニット80Bは、フレーム11Bと、レンズアレイ30Bとを備える。フレーム11Bの材料は、第1実施形態のフレーム11の材料と同様である。レンズアレイ30Bは、配列方向であるX方向に配列された複数のレンズ40を有する。レンズアレイ30Bは、複数のレンズ40をY方向の両側から挟み込む2つの側板41B,42Bを有する。複数のレンズ40と一対の側板41B,42Bとは、接着剤で固定され、一体化されている。側板41Bは、第1側板であり、側板42Bは、第2側板である。フレーム11Bは、レンズアレイ30Bを挟んで支持する一対の支持部111B,112Bを有する。支持部111Bは、第1支持部であり、支持部112Bは、第2支持部である。支持部111Bは、側板41Bの外側面141Bに接し、支持部112Bは、側板4Bの外側面142Bに接する。外側面141Bは、第1外側面、外側面142Bは、第2外側面である。
【0083】
側板41Bは、外側面141BにX方向に間隔をあけて画成された複数の凹部51Bを有する。また、側板42Bは、外側面142BにX方向に間隔をあけて画成された複数の凹部52Bを有する。複数の凹部51Bの各々は、第1凹部である。複数の凹部52Bの各々は、第2凹部である。第3実施形態では、複数の凹部51Bは、支持部111Bが接する位置にX方向に1列に配置されており、複数の凹部52Bは、支持部112Bが接する位置にX方向に1列に配置されている。
【0084】
レンズアレイ30Bを平面視して、即ちレンズアレイ30BをY方向に見て、各凹部51Bは、ドット形状、即ち円形状に形成され、各凹部52Bは、ドット形状、即ち円形状に形成されている。なお、凹部51Bの形状及び凹部52Bの形状は、Y方向に見て円形状に限定するものではない。例えば、凹部51B又は凹部52Bの形状は、Y方向に見て楕円形状や長穴形状等、どのような形状であってもよい。なお、接合強度の観点から、凹部51B及び凹部52Bの形状は、ドット形状であるのが好適である。各凹部51B及び各凹部52Bの加工は、切削加工、ドリル加工、研磨加工、又はレーザ加工のいずれでもよいが、加工時間を短縮する観点から、レーザ加工が好ましい。各凹部51Bは、各レンズ40の光学性能の観点から、有底孔であるのが好ましい。また、同様に、各凹部52Bは、有底孔であるのが好ましい。
【0085】
複数の凹部51Bのうちいずれかは、側板41BのX方向の中心部413Bに形成されているのが好ましい。また、複数の凹部52Bのうちいずれかは、側板42BのX方向の中心部423Bに形成されているのが好ましい。
【0086】
複数の凹部51Bは、側板41BのX方向の一方の端部411Bから他方の端部412Bまで形成されているのがより好ましい。また、複数の凹部52Bは、側板42BのX方向の一方の端部421Bから他方の端部422Bまで形成されているのがより好ましい。
【0087】
複数の凹部51Bの各々の開口径D1は、100μm以上1000μm以下であるのが好ましく、300μm以上800μm以下であるのがより好ましい。同様に、複数の凹部52Bの各々の開口径D2は、100μm以上1000μm以下が好ましく、300μm以上800μm以下がより好ましい。
【0088】
複数の凹部51Bの各々のY方向の深さL1は、50μm以上400μm以下であるのが好ましく、100μm以上300μm以下であるのがより好ましい。同様に、複数の凹部52Bの各々のY方向の深さL2は、50μm以上400μm以下であるのが好ましく、100μm以上300μm以下であるのがより好ましい。深さが50μm以上であると、レンズアレイ30Bとフレーム11Bとの接合強度を高めることができ、400μm以下であると凹部をフレーム内部に形成することができる。
【0089】
複数の凹部51Bは、X方向に一定のピッチP1で配列されている。また、複数の凹部52Bは、X方向に一定のピッチP2で配列されている。複数の凹部51Bにおいて隣り合う一対の凹部51BのピッチP1は、300μm以上3000μm以下であるのが好ましく、500μm以上2000μm以下であるのがより好ましい。同様に、複数の凹部52Bにおいて隣り合う一対の凹部52BのピッチP2は、300μm以上3000μm以下であるのが好ましく、500μm以上2000μm以下であるのがより好ましい。
【0090】
複数の凹部51Bにおいて、側板41BのX方向の中心部413Bに位置する凹部51BのY方向の深さL11が、側板41BのX方向の端部411B,412Bに位置する凹部51BのY方向の深さL12よりも深い。深さL11は、第1深さ、深さL12は、第2深さである。これにより、側板41Bにおいて応力が集中しやすい中心部413Bと支持部111Bとの接合強度を高めることができる。
【0091】
複数の凹部52Bにおいて、側板42BのX方向の中心部423Bに位置する凹部52BのY方向の深さL23が、側板42BのX方向の端部421B,422Bに位置する凹部52BのY方向の深さL24よりも深い。深さL23は、第3深さ、深さL24は、第4深さである。これにより、側板42Bにおいて応力が集中しやすい中心部423Bと支持部112Bとの接合強度を高めることができる。
【0092】
第3実施形態では、複数の凹部51Bの各々の深さL1は、側板41BのX方向の端部411B,412Bから中心部413Bに向かうに連れ、1μm以上5μm以下ずつ深くなる。これにより、側板41Bと支持部111Bとの接合強度をより高めることができる。
【0093】
また、複数の凹部52Bの各々の深さL2は、側板42BのX方向の端部421B,422Bから中心部423Bに向かうに連れ、1μm以上5μm以下ずつ深くなる。これにより、側板42Bと支持部112Bとの接合強度をより高めることができる。
【0094】
以上、第3実施形態においても、第1実施形態と同様、接着剤を省略することが可能となるので、その分、製造コストを削減することができる。
【0095】
なお、複数の凹部51Bは、加工時間や加工コストを考慮すると、X方向に1列に配列されているのが好ましいが、2列以上あってもよい。同様に、複数の凹部52Bは、加工時間や加工コストを考慮すると、X方向に1列に配列されているのが好ましいが、2列以上あってもよい。
【0096】
また、2つの側板41B,42Bのうち、一方の側板に形成した複数の凹部によってレンズアレイ30Bとフレーム11Bとの接合強度を確保できる場合には、他方の側板には複数の凹部を形成しなくてもよい。また、2つの側板41B,42Bのうち、一方の側板を、第1実施形態で説明した側板41又は42、又は第2実施形態で説明した側板41A又は42Aと同様に構成してもよい。
【0097】
また、深さL1,L2が端部から中心部に向かうに連れ、徐々に深くなる場合について説明したが、これに限定するものではなく、段階的に深くなるようにしてもよい。
【0098】
[第4実施形態]
第4実施形態のレンズアレイユニットについて説明する。図10は、第4実施形態に係るレンズアレイユニット80Cの断面図である。第4実施形態においては、第1実施形態と異なる点について説明し、同様の点については、説明を省略する。第4実施形態では、レンズアレイユニット80C以外の構成は、第1実施形態と同様であり、また、レンズアレイユニットの製造方法、即ちイメージセンサユニットの製造方法も、第1実施形態と同様である。
【0099】
レンズアレイユニット80Cは、フレーム11Cと、レンズアレイ30Cとを備える。フレーム11Cの材料は、第1実施形態のフレーム11の材料と同様である。レンズアレイ30Cは、配列方向であるX方向に配列された複数のレンズ40を有する。レンズアレイ30Cは、複数のレンズ40をY方向の両側から挟み込む2つの側板41C,42Cを有する。複数のレンズ40と一対の側板41C,42Cとは、接着剤で固定され、一体化されている。側板41Cは、第1側板であり、側板42Cは、第2側板である。フレーム11Cは、レンズアレイ30Cを挟んで支持する一対の支持部111C,112Cを有する。支持部111Cは、第1支持部であり、支持部112Cは、第2支持部である。支持部111Cは、側板41Cの外側面141Cに接し、支持部112Cは、側板4Cの外側面142Cに接する。外側面141Cは、第1外側面、外側面142Cは、第2外側面である。
【0100】
側板41Cは、外側面141CにX方向に間隔をあけて画成された複数の凹部51Cを有する。また、側板42Cは、外側面142CにX方向に間隔をあけて画成された複数の凹部52Cを有する。複数の凹部51Cの各々は、第1凹部である。複数の凹部52Cの各々は、第2凹部である。第4実施形態では、複数の凹部51Cは、支持部111Cが接する位置にX方向に1列に配置されており、複数の凹部52Cは、支持部112Cが接する位置にX方向に1列に配置されている。
【0101】
レンズアレイ30Cを平面視して、即ちレンズアレイ30CをY方向に見て、各凹部51Cは、ドット形状、即ち円形状に形成され、各凹部52Cは、ドット形状、即ち円形状に形成されている。なお、凹部51Cの形状及び凹部52Cの形状は、Y方向に見て円形状に限定するものではない。例えば、凹部51C又は凹部52Cの形状は、Y方向に見て楕円形状や長穴形状等、どのような形状であってもよい。なお、接合強度の観点から、凹部51C及び凹部52Cの形状は、ドット形状であるのが好適である。各凹部51C及び各凹部52Cの加工は、切削加工、ドリル加工、研磨加工、又はレーザ加工のいずれでもよいが、加工時間を短縮する観点から、レーザ加工が好ましい。各凹部51Cは、各レンズ40の光学性能の観点から、有底孔であるのが好ましい。また、同様に、各凹部52Cは、有底孔であるのが好ましい。
【0102】
複数の凹部51Cのうちいずれかは、側板41CのX方向の中心部413Cに形成されているのが好ましい。また、複数の凹部52Cのうちいずれかは、側板42CのX方向の中心部423Cに形成されているのが好ましい。
【0103】
複数の凹部51Cは、側板41CのX方向の一方の端部411Cから他方の端部412Cまで形成されているのがより好ましい。また、複数の凹部52Cは、側板42CのX方向の一方の端部421Cから他方の端部422Cまで形成されているのがより好ましい。
【0104】
複数の凹部51Cの各々の開口径D1は、100μm以上1000μm以下であるのが好ましく、300μm以上800μm以下であるのがより好ましい。同様に、複数の凹部52Cの各々の開口径D2は、100μm以上1000μm以下が好ましく、300μm以上800μm以下がより好ましい。
【0105】
複数の凹部51Cの各々のY方向の深さL1は、50μm以上400μm以下であるのが好ましく、100μm以上300μm以下であるのがより好ましい。同様に、複数の凹部52Cの各々のY方向の深さL2は、50μm以上400μm以下であるのが好ましく、100μm以上300μm以下であるのがより好ましい。深さが50μm以上であると、レンズアレイ30Cとフレーム11Cとの接合強度を高めることができ、400μm以下であると凹部をフレーム内部に形成することができる。
【0106】
複数の凹部51Cにおいて隣り合う一対の凹部51CのピッチP1は、300μm以上3000μm以下であるのが好ましく、500μm以上2000μm以下であるのがより好ましい。同様に、複数の凹部52Cにおいて隣り合う一対の凹部52CのピッチP2は、300μm以上3000μm以下であるのが好ましく、500μm以上2000μm以下であるのがより好ましい。
【0107】
複数の凹部51Cにおいて、側板41CのX方向の中心部413Cに位置する一対の凹部51CのピッチP11が、側板41CのX方向の端部411C,412Cに位置する一対の凹部51CのピッチP12よりも狭い。ピッチP11は、第1ピッチ、ピッチP12は、第2ピッチである。これにより、側板41Cにおいて応力が集中しやすい中心部413Cと支持部111Cとの接合強度を高めることができる。
【0108】
複数の凹部52Cにおいて、側板42CのX方向の中心部423Cに位置する一対の凹部52CのピッチP23が、側板42CのX方向の端部421C,422Cに位置する一対の凹部52CのピッチP24よりも狭い。ピッチP23は、第3ピッチ、ピッチP24は、第4ピッチである。これにより、側板42Cにおいて応力が集中しやすい中心部423Cと支持部112Cとの接合強度を高めることができる。
【0109】
第4実施形態では、複数の凹部51Cにおいて隣り合う一対の凹部51CのピッチP1は、側板41CのX方向の端部411C,412Cから中心部413Cに向かうに連れ、1μm以上5μm以下ずつ狭くなる。これにより、側板41Cと支持部111Cとの接合強度をより高めることができる。
【0110】
また、複数の凹部52Cにおいて隣り合う一対の凹部52CのピッチP2は、側板42CのX方向の端部421C,422Cから中心部423Cに向かうに連れ、1μm以上5μm以下ずつ狭くなる。これにより、側板42Cと支持部112Cとの接合強度をより高めることができる。
【0111】
複数の凹部51Cにおいて、側板41CのX方向の中心部413Cに位置する凹部51CのY方向の深さL11が、側板41CのX方向の端部411C,412Cに位置する凹部51CのY方向の深さL12よりも深い。深さL11は、第1深さ、深さL12は、第2深さである。これにより、側板41Cにおいて応力が集中しやすい中心部413Cと支持部111Cとの接合強度を高めることができる。
【0112】
複数の凹部52Cにおいて、側板42CのX方向の中心部423Cに位置する凹部52CのY方向の深さL23が、側板42CのX方向の端部421C,422Cに位置する凹部52CのY方向の深さL24よりも深い。深さL23は、第3深さ、深さL24は、第4深さである。これにより、側板42Cにおいて応力が集中しやすい中心部423Cと支持部112Cとの接合強度を高めることができる。
【0113】
第4実施形態では、複数の凹部51Cの各々の深さL1は、側板41CのX方向の端部411C,412Cから中心部413Cに向かうに連れ、1μm以上5μm以下ずつ深くなる。これにより、側板41Cと支持部111Cとの接合強度をより高めることができる。
【0114】
また、複数の凹部52Cの各々の深さL2は、側板42CのX方向の端部421C,422Cから中心部423Cに向かうに連れ、1μm以上5μm以下ずつ深くなる。これにより、側板42Cと支持部112Cとの接合強度をより高めることができる。
【0115】
以上、第4実施形態においても、第1実施形態と同様、接着剤を省略することが可能となるので、その分、製造コストを削減することができる。
【0116】
なお、複数の凹部51Cは、加工時間や加工コストを考慮すると、X方向に1列に配列されているのが好ましいが、2列以上あってもよい。同様に、複数の凹部52Cは、加工時間や加工コストを考慮すると、X方向に1列に配列されているのが好ましいが、2列以上あってもよい。
【0117】
また、2つの側板41C,42Cのうち、一方の側板に形成した複数の凹部によってレンズアレイ30Cとフレーム11Cとの接合強度を確保できる場合には、他方の側板には複数の凹部を形成しなくてもよい。また、2つの側板41C,42Cのうち、一方の側板を、第1実施形態で説明した側板41又は42、第2実施形態で説明した側板41A又は42A、又は第3実施形態で説明した側板41B又は42Bと同様に構成してもよい。
【0118】
また、ピッチP1,P2が端部から中心部に向かうに連れ、徐々に狭くなる場合について説明したが、これに限定するものではなく、段階的に狭くなるようにしてもよい。また、深さL1,L2が端部から中心部に向かうに連れ、徐々に深くなる場合について説明したが、これに限定するものではなく、段階的に深くなるようにしてもよい。
【0119】
[実施例]
図11(a)~図11(c)は、実施例における加工前のレンズアレイ30Xを示す説明図である。図11(c)には、図11(a)に示す領域XICの拡大図を示す。レンズアレイ30XのX方向の長さは225mmであった。レンズアレイ30XのZ方向の長さは4.3mmであった。レンズアレイ30XのY方向の厚みは、1.25mmであった。各側板41X,42XのY方向の厚みは、0.45mmであった。
【0120】
側板41Xの外側面141X及び側板42Xの外側面142Xに、レーザ光を照射して複数の凹部を形成した。レーザ発振器には、キーエンス社のレーザマーカMD-X1020を用いた。凹部の開口径及び深さを、キーエンス社のレーザ顕微鏡VK-X100を用いて計測した。凹部の開口径及び深さは、複数の凹部の中から5つを選び、それらの平均値とした。
【0121】
次に、凹部が形成されたレンズアレイ30を、フレーム11を形成するための成形型に設置し、インサート成形により、レンズアレイ30とフレーム11からなるレンズアレイユニット80を形成した。
【0122】
フレーム11は、A4サイズのシートに画像を形成するプリンタ100に用いる形状とした。フレーム11の樹脂には、帝人社のPC+GF40%を用いた。成形機には、住友重機械工業社の型締め力100t、φ25スクリュの成形機を用いた。溶融樹脂の温度は280℃、成形型の温度は80℃とした。
【0123】
インサート成形後、フレーム11の引張試験を行った。図12は、実施例における引張試験の説明図である。フレーム11のX方向の中心位置に貫通孔61を1つあけ、レンズアレイ30のY方向の中心を通る直線について貫通孔61と対称な位置をバイス60に固定し、貫通孔61にプッシュプルゲージ62を取り付けた。プッシュプルゲージ62をY方向に引っ張ることでレンズアレイユニット80の引張強度を測定した。なお、図12において図示は省略するが、レンズアレイユニット80A,80B,80Cについても同様に作製し、図12に示す装置を用いて同様に引張強度を測定した。
【0124】
さらに、明出力および解像度の2つの光学性能について、実施例及び比較例のレンズアレイユニットと、接着剤によりレンズアレイ30Xをフレームに接着した従来例のレンズアレイユニットとを比較した。
【0125】
第1実施形態に対応する実施例1~8と、比較例1,2の測定結果について説明する。レーザ光の照射条件と測定結果を図13に示す。なお、従来例の光学性能と同等の場合を「A」、従来例の光学性能よりも劣る場合を「B」とする。
【0126】
実施例1では、凹部の開口径が312μmであった。比較例1では、レンズアレイ30Xにレーザ加工を施さずにインサート成形したため、開口径は0である。実施例2では、凹部の開口径が788μmであった。実施例3では、凹部の開口径が201μmであった。
【0127】
引張試験の結果、引張強度は、実施例1、2では8kg以上、実施例3では2kg、比較例1では0kgであった。実施例1~3では、従来例と同等の光学性能が得られ、評価「A」であった。比較例1では、レンズアレイ30Xとフレームとの間に隙間が空いていた。そのため、従来例と同等の光学性能が得られず、評価「B」であった。
【0128】
実施例4では、凹部の深さが106μmであった。実施例5では、凹部の深さが399μmであった。比較例2では、凹部の深さが458μmであった。インサート成形後、3つの条件とも引張強度8kg以上であった。実施例4、5では、従来例と同等の光学性能が得られ、評価「A」であった。比較例2では、凹部がレンズ40にまで達していたため、従来例と同等の光学性能が得られず、評価「B」であった。
【0129】
実施例6では、隣り合う2つの凹部のピッチが500μmであった。実施例7では、隣り合う2つの凹部のピッチが2000μmであった。実施例8では、隣り合う2つの凹部のピッチが2500μmであった。引張試験の結果、引張強度は、実施例6、7では8kg以上、実施例8では3kgであった。実施例6~8では、従来例と同等の光学性能が得られ、評価「A」であった。
【0130】
以上、実施例1,2,4,5,6,7によれば、レンズ40において高い光学性能を実現することができ、形成されるレンズアレイユニット80においても、8kg以上の引張強度を実現することができる。3kg以上の引張強度があればフレーム11に作用する衝撃による応力に耐えうることができる。8kg以上であればより強い衝撃が加えられた場合であっても十分耐えることができる。
【0131】
第2実施形態に対応する実施例9と、第1実施形態に対応する実施例10の測定結果について説明する。レーザ光の照射条件と測定結果を図14に示す。実施例9では、レンズアレイの両端部における隣り合う2つの凹部のピッチを、1500μmとした。そして、実施例9では、レンズアレイの中央部に向かうに連れて-5μmの変更量でピッチを変更した。即ち、X方向の中心部に向かって5μmずつ徐々にピッチを狭くした。実施例10では、隣り合う2つの凹部のピッチを、一方の端部から他方の端部に亘って一定の1500μmとした。インサート成形後、実施例9では、加工時間13sに対して引張強度は10kgとなった。一方、実施例10では、加工時間11sに対して引張強度6kgとなった。即ち、引張強度について、実施例9では実施例10よりも向上した。実施例9,10では、従来例と同等の光学性能が得られ、評価「A」であった。
【0132】
実施例9によれば、凹部の加工時間も短縮することができ、形成されるレンズアレイユニット80Aにおいても、8kg以上の引張強度を実現することができる。
【0133】
第3実施形態に対応する実施例11と、第1実施形態に対応する実施例12の測定結果について説明する。レーザ光の照射条件と測定結果を図15に示す。実施例11では、レンズアレイの両端部における凹部の深さを、100μmとした。そして、実施例11では、レンズアレイの中央部に向かうに連れて-2.5μmの変更量で深さを変更した。即ち、X方向の中心部に向かって2.5μmずつ徐々に深さを深くした。実施例12では、凹部の深さを、イメージセンサの一方の端部から他方の端部に亘って一定の100μmとした。インサート成形後、実施例11では、加工時間13sに対して引張強度は10kgとなった。一方、実施例12では、加工時間4sに対して引張強度3kgとなった。即ち、引張強度について、実施例11では実施例12よりも向上した。実施例11,12では、従来例と同等の光学性能が得られ、評価「A」であった。
【0134】
実施例11によれば、凹部の加工時間も短縮することができ、形成されるレンズアレイユニット80Bにおいても、8kg以上の引張強度を実現することができる。
【0135】
第4実施形態に対応する実施例13と、第1実施形態に対応する実施例14の測定結果について説明する。レーザ光の照射条件と測定結果を図16に示す。実施例13では、レンズアレイの両端部における凹部の深さを、100μmとした。そして、実施例13では、レンズアレイの中央部に向かうに連れて-2.5μmの変更量で深さを変更した。即ち、X方向の中心部に向かって2.5μmずつ徐々に深さを深くした。更に、実施例13では、レンズアレイの両端部における隣り合う2つの凹部のピッチを、1500μmとした。そして、実施例13では、レンズアレイの中央部に向かうに連れて-5μmの変更量でピッチを変更した。即ち、X方向の中心部に向かって5μmずつ徐々にピッチを狭くした。実施例14では、凹部の深さを、イメージセンサの一方の端部から他方の端部に亘って一定の100μmとした。また、実施例14では、隣り合う2つの凹部のピッチを、一方の端部から他方の端部に亘って一定の1500μmとした。インサート成形後、実施例13では、加工時間11sに対して引張強度は10kgとなった。一方、実施例14では、加工時間3sに対して引張強度2kgとなった。即ち、引張強度について、実施例13では実施例14よりも向上した。実施例13,14では、従来例と同等の光学性能が得られ、評価「A」であった。
【0136】
実施例13によれば、凹部の加工時間も短縮することができ、形成されるレンズアレイユニット80Cにおいても、8kg以上の引張強度を実現することができる。
【0137】
なお、本発明は、以上説明した実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想内で多くの変形が可能である。また、実施形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、実施形態に記載されたものに限定されない。
【符号の説明】
【0138】
10…イメージセンサユニット、11…フレーム、30…レンズアレイ、40…レンズ、41…側板(第1側板)、42…側板(第2側板)、51…凹部(第1凹部)、52…凹部(第2凹部)、80…レンズアレイユニット、111…支持部(第1支持部)、112…支持部(第2支持部)、141…外側面(第1外側面)、142…外側面(第2外側面)
図1
図2
図3
図4
図5
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図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16