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  • 特許-熱利用システム及びその運転停止方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-22
(45)【発行日】2024-01-05
(54)【発明の名称】熱利用システム及びその運転停止方法
(51)【国際特許分類】
   F23G 5/46 20060101AFI20231225BHJP
【FI】
F23G5/46 A
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019224558
(22)【出願日】2019-12-12
(65)【公開番号】P2021092368
(43)【公開日】2021-06-17
【審査請求日】2022-10-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000192590
【氏名又は名称】株式会社神鋼環境ソリューション
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100187908
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 康平
(72)【発明者】
【氏名】山口 修史
(72)【発明者】
【氏名】迫田 健吾
(72)【発明者】
【氏名】尾家 俊康
【審査官】古川 峻弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-009624(JP,A)
【文献】特開2017-145812(JP,A)
【文献】特開2010-025440(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23G 5/46
F23J 15/00-15/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱源流体が流通する熱源流路と、
前記熱源流路から流入する前記熱源流体から熱媒体へ放熱させる熱交換器と、
前記熱交換器で前記熱媒体が前記熱源流体から回収した熱を利用する熱利用設備と、
大気圧よりも高圧状態に加圧された液状の前記熱媒体が流通する配管からなる流路であって、前記熱交換器と前記熱利用設備とを接続する循環流路と、
前記循環流路を通じて前記熱交換器と前記熱利用設備との間で前記熱媒体を循環させる循環ポンプと、
前記循環流路内の前記熱媒体の温度を検知する温度検知部と、
前記循環流路内の前記熱媒体を冷却する冷却機構と、
前記熱利用設備の運転を停止させた後、前記温度検知部により検知される前記熱媒体の温度が大気圧下での沸点以下の所定の温度以下になるように、前記循環ポンプを制御して前記熱媒体を前記循環流路に流通させつつ前記冷却機構を制御して前記熱媒体を冷却する制御部と、を備えた、熱利用システム。
【請求項2】
前記冷却機構は、
前記循環流路に両端が接続された流路であって、前記循環流路から前記熱媒体が流入すると共に前記循環流路に前記熱媒体を合流させる冷却流路と、
前記冷却流路に配置され、冷却媒体との熱交換により前記熱媒体を冷却する冷却器と、
前記循環流路から前記冷却流路への前記熱媒体の流入及びその停止を切り替える切替弁と、を含み、
前記制御部は、前記熱媒体が前記循環流路及び前記冷却流路を流通するように、前記循環ポンプ及び前記切替弁を制御する、請求項1に記載の熱利用システム。
【請求項3】
前記熱源流路から前記熱交換器への前記熱源流体の流入及びその停止を切り替える熱源流体切替部をさらに備え、
前記制御部は、
前記熱源流体切替部を制御して前記熱源流路から前記熱交換器へ前記熱源流体を流入させると共に、前記循環ポンプを制御して前記熱媒体を前記循環流路に流通させ且つ前記熱利用設備を作動させることにより、前記熱媒体が前記熱源流体から回収した熱を前記熱利用設備で利用する熱利用運転と、
前記熱利用運転の後、前記熱源流体切替部を制御して前記熱源流路から前記熱交換器への前記熱源流体の流入を停止し、前記温度検知部により検知される前記熱媒体の温度を大気圧下での沸点以下の所定の温度以下まで下げると共に前記循環ポンプ及び前記熱利用設備を停止させる冷却停止運転と、
前記冷却停止運転の後、前記温度検知部により検知される前記熱媒体の温度が大気圧下での沸点以下の所定の温度を超えた時に、前記循環ポンプを制御して前記熱媒体を前記循環流路に流通させつつ前記冷却機構を制御して前記熱媒体を冷却する再冷却運転と、を実行するように構成されている、請求項1又は2に記載の熱利用システム。
【請求項4】
前記制御部は、前記冷却停止運転において、前記熱利用設備を停止した後、前記循環ポンプを制御して前記熱媒体を前記循環流路に流通させつつ前記冷却機構を制御して前記熱媒体を冷却し、その後前記循環ポンプを停止させる、請求項3に記載の熱利用システム。
【請求項5】
前記温度検知部は、前記循環流路のうち前記熱交換器の出口と前記熱利用設備の入口との間の部位に設けられている、請求項1~4のいずれか1項に記載の熱利用システム。
【請求項6】
熱源流体が流通する熱源流路と、前記熱源流路から流入する前記熱源流体から熱媒体へ放熱させる熱交換器と、前記熱交換器で前記熱媒体が前記熱源流体から回収した熱を利用する熱利用設備と、大気圧よりも高圧状態に加圧された液状の前記熱媒体が流通する配管からなる流路であって、前記熱交換器と前記熱利用設備とを接続する循環流路と、前記循環流路を通じて前記熱交換器と前記熱利用設備との間で前記熱媒体を循環させる循環ポンプと、前記循環流路内の前記熱媒体の温度を検知する温度検知部と、前記循環流路内の前記熱媒体を冷却する冷却機構と、を備えた熱利用システムの運転を停止する方法であって、
前記熱利用設備の運転を停止させた後、前記温度検知部により検知される前記熱媒体の温度が大気圧下での沸点以下の所定の温度以下になるように、前記循環ポンプを制御して前記熱媒体を前記循環流路に流通させつつ前記冷却機構を制御して前記熱媒体を冷却する、熱利用システムの運転停止方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱利用システム及びその運転停止方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に記載されているように、下水汚泥等を焼却する焼却炉より排出される高温の排ガスから熱を回収して利用する熱利用システムが知られている。このような熱利用システムは、排ガスが有する熱エネルギーの有効利用の観点から望ましく、近年注目を集めている技術である。
【0003】
特許文献1に記載された熱利用システムは、焼却炉から排出された排ガスの熱により白煙防止空気を加熱する白煙防止器と、加熱された白煙防止空気を煙突まで導く流路上に配置された熱回収用ボイラと、熱回収用ボイラの前後に配置された一対のダンパと、熱回収用ボイラを迂回するバイパスラインと、を備えている。この熱利用システムによれば、熱回収用ボイラにおいて、白煙防止空気を熱源として蒸気を発生させることができる。そして、発生した蒸気は、所定の利用先に送られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2012-242029号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載された熱利用システムにおいて、蒸気の利用先が停止している間には、熱回収用ボイラの前後のダンパを閉じ、バイパスラインを通じて白煙防止空気(熱源流体)を煙突に直接導くことが考えられる。ここで、ダンパの前後には圧力差が生じるため、これにより白煙防止空気が閉状態のダンパから漏れてボイラ側にリークすることがある。その結果、利用先の停止中に白煙防止空気の熱によって熱媒体(蒸気の発生源)の沸騰や膨張が起こって熱媒体が配管から噴き出し、配管等の機器が破損するという問題が起こり得る。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、熱利用設備の停止時における熱媒体の噴き出しを抑制することが可能な熱利用システム及びその運転停止方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一局面に係る熱利用システムは、熱源流体が流通する熱源流路と、前記熱源流路から流入する前記熱源流体から熱媒体へ放熱させる熱交換器と、前記熱交換器で前記熱媒体が前記熱源流体から回収した熱を利用する熱利用設備と、大気圧よりも高圧状態に加圧された液状の前記熱媒体が流通する流路であって、前記熱交換器と前記熱利用設備とを接続する循環流路と、前記循環流路を通じて前記熱交換器と前記熱利用設備との間で前記熱媒体を循環させる循環ポンプと、前記循環流路内の前記熱媒体の温度を検知する温度検知部と、前記循環流路内の前記熱媒体を冷却する冷却機構と、前記熱利用設備の運転を停止させた後、前記温度検知部により検知される前記熱媒体の温度が大気圧下での沸点以下の所定の温度以下になるように、前記循環ポンプを制御して前記熱媒体を前記循環流路に流通させつつ前記冷却機構を制御して前記熱媒体を冷却する制御部と、を備えている。
【0008】
上記熱利用システムによれば、熱利用設備の運転停止後において、熱媒体を循環流路に流通させつつ冷却機構により熱媒体を冷却することができる。これにより、熱利用設備の運転停止後に熱源流体が熱交換器へリークする場合であっても、冷却機構により熱媒体の温度上昇を抑制することができる。したがって、本発明の熱利用システムによれば、熱利用設備の停止時における熱媒体の噴き出しを抑制することができる。
【0009】
上記熱利用システムにおいて、前記冷却機構は、前記循環流路に両端が接続された流路であって、前記循環流路から前記熱媒体が流入すると共に前記循環流路に前記熱媒体を合流させる冷却流路と、前記冷却流路に配置され、冷却媒体との熱交換により前記熱媒体を冷却する冷却器と、前記循環流路から前記冷却流路への前記熱媒体の流入及びその停止を切り替える切替弁と、を含んでいてもよい。前記制御部は、前記熱媒体が前記循環流路及び前記冷却流路を流通するように、前記循環ポンプ及び前記切替弁を制御してもよい。
【0010】
この構成によれば、熱媒体の冷却が必要な時にのみ、循環ポンプ及び切替弁を制御して熱媒体を冷却器へ流通させることができる。このため、冷却媒体が流通していない状態で熱媒体が冷却器へ流通することによって冷却器が熱損傷を受けるのを防ぐことができる。
【0011】
上記熱利用システムは、前記熱源流路から前記熱交換器への前記熱源流体の流入及びその停止を切り替える熱源流体切替部をさらに備えていてもよい。前記制御部は、前記熱源流体切替部を制御して前記熱源流路から前記熱交換器へ前記熱源流体を流入させると共に、前記循環ポンプを制御して前記熱媒体を前記循環流路に流通させ且つ前記熱利用設備を作動させることにより、前記熱媒体が前記熱源流体から回収した熱を前記熱利用設備で利用する熱利用運転と、前記熱利用運転の後、前記熱源流体切替部を制御して前記熱源流路から前記熱交換器への前記熱源流体の流入を停止し、前記温度検知部により検知される前記熱媒体の温度を大気圧下での沸点以下の所定の温度以下まで下げると共に前記循環ポンプ及び前記熱利用設備を停止させる冷却停止運転と、前記冷却停止運転の後、前記温度検知部により検知される前記熱媒体の温度が大気圧下での沸点以下の所定の温度を超えた時に、前記循環ポンプを制御して前記熱媒体を前記循環流路に流通させつつ前記冷却機構を制御して前記熱媒体を冷却する再冷却運転と、を実行するように構成されていてもよい。
【0012】
この構成によれば、熱媒体を一旦冷却した後に、熱交換器の残留熱や熱交換器側への熱源流体のリーク等によって熱媒体の温度が再上昇する場合であっても、熱媒体を再冷却することにより、熱媒体の沸騰による噴き出しを抑制することができる。
【0013】
上記熱利用システムにおいて、前記制御部は、前記冷却停止運転において、前記熱利用設備を停止した後、前記循環ポンプを制御して前記熱媒体を前記循環流路に流通させつつ前記冷却機構を制御して前記熱媒体を冷却し、その後前記循環ポンプを停止させてもよい。
【0014】
この構成によれば、熱媒体を循環流路において循環させつつ冷却することにより、熱媒体の温度を効率的に下げることができる。
【0015】
上記熱利用システムにおいて、前記温度検知部は、前記循環流路のうち前記熱交換器の出口と前記熱利用設備の入口との間の部位に設けられていてもよい。
【0016】
この構成によれば、熱交換器から流出した後の高温の熱媒体の温度に基づいて冷却機構を制御することにより、熱媒体の沸騰による噴き出しをより確実に抑制することが可能になる。
【0017】
本発明の他の局面に係る熱利用システムの運転停止方法は、熱源流体が流通する熱源流路と、前記熱源流路から流入する前記熱源流体から熱媒体へ放熱させる熱交換器と、前記熱交換器で前記熱媒体が前記熱源流体から回収した熱を利用する熱利用設備と、大気圧よりも高圧状態に加圧された液状の前記熱媒体が流通する流路であって、前記熱交換器と前記熱利用設備とを接続する循環流路と、前記循環流路を通じて前記熱交換器と前記熱利用設備との間で前記熱媒体を循環させる循環ポンプと、前記循環流路内の前記熱媒体の温度を検知する温度検知部と、前記循環流路内の前記熱媒体を冷却する冷却機構と、を備えた熱利用システムの運転を停止する方法である。この方法では、前記熱利用設備の運転を停止させた後、前記温度検知部により検知される前記熱媒体の温度が大気圧下での沸点以下の所定の温度以下になるように、前記循環ポンプを制御して前記熱媒体を前記循環流路に流通させつつ前記冷却機構を制御して前記熱媒体を冷却する。
【0018】
上記熱利用システムの運転停止方法では、熱利用設備の運転を停止した後、熱媒体を循環流路に流通させつつ冷却機構により熱媒体を冷却する。これにより、熱利用設備の運転停止後に熱源流体が熱交換器へリークする場合であっても、冷却機構により熱媒体の温度上昇を抑制することができる。したがって、本発明の熱利用システムの運転停止方法によれば、熱利用設備の停止時における熱媒体の噴き出しを抑制することができる。
【発明の効果】
【0019】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、熱利用設備の停止時における熱媒体の噴き出しを抑制することが可能な熱利用システム及びその運転停止方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の実施形態1における廃棄物処理設備の構成を模式的に示す図である。
図2】本発明の実施形態1に係る熱利用システムの構成を模式的に示す図である。
図3】上記熱利用システムにおける制御部の各機能を示すブロック図である。
図4】本発明の実施形態1に係る熱利用システムの運転停止方法を説明するためのフローチャートである。
図5】本発明の実施形態2に係る熱利用システムの構成を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面に基づいて、本発明の実施形態に係る熱利用システム及びその運転停止方法を詳細に説明する。
【0022】
(実施形態1)
<廃棄物処理設備>
まず、本発明の実施形態1に係る熱利用システム1が適用される廃棄物処理設備100の構成を、図1に基づいて説明する。図1は、廃棄物処理設備100の全体構成を模式的に示している。廃棄物処理設備100は、例えば下水汚泥等の廃棄物を焼却処理する設備であり、焼却炉2と、空気予熱器3と、白煙防止予熱器4と、ガス冷却器5と、バグフィルタ6と、排煙処理塔7と、煙突8と、熱利用システム1と、を主に備えている。
【0023】
図1に示すように、廃棄物処理設備100では、焼却炉2から排出される排ガスG1を煙突8まで導くための排ガス流路9が設けられている。当該排ガス流路9上において、空気予熱器3、白煙防止予熱器4、ガス冷却器5、バグフィルタ6及び排煙処理塔7が、排ガスG1の流れ方向の上流から下流に向かって順に配置されている。
【0024】
焼却炉2は、下水汚泥等の廃棄物を焼却処理するものであり、例えば流動床式焼却炉である。図1に示すように、焼却炉2の底部には空気流路82の下流端が接続されており、当該空気流路82を通じて燃焼用空気A1が焼却炉2内に供給される。焼却炉2で廃棄物の焼却時に発生し、炉外へ排出された排ガスG1は、排ガス流路9を通じて空気予熱器3へ向かって流れる。
【0025】
空気予熱器3は、排ガスG1と燃焼用空気A1との間で熱交換を行う熱交換器である。具体的には、ブロワ81により圧送された燃焼用空気A1が空気予熱器3内へ導入され、当該空気予熱器3において高温の排ガスG1により加熱される。そして、加熱された燃焼用空気A1は、上述の通り空気流路82を通じて焼却炉2内へ導かれる。一方、燃焼用空気A1との熱交換により温度が下がった排ガスG1は、空気予熱器3から排出された後、排ガス流路9を通じて白煙防止予熱器4へ向かって流れる。
【0026】
白煙防止予熱器4は、白煙防止空気A2を排ガスG1の熱により加熱するための熱交換器である。具体的には、白煙防止ファン83により圧送された白煙防止空気A2は、白煙防止予熱器4において排ガスG1と熱交換することにより加熱される。白煙防止予熱器4で加熱された後の白煙防止空気A2の温度は、例えば600℃程度である。
【0027】
加熱された白煙防止空気A2は、白煙防止予熱器4から排出された後、熱利用システム1を通過して煙突8まで導かれる。後に詳述する通り、熱利用システム1では、排ガスG1により加熱された白煙防止空気A2の熱を回収して有効に利用することができる。一方、白煙防止空気A2との熱交換により温度がさらに下がった排ガスG1は、白煙防止予熱器4から排出された後、排ガス流路9を通じてガス冷却器5に導入される。
【0028】
排ガスG1は、ガス冷却器5で冷却された後、バグフィルタ6を通過することによりダスト等が除去される。その後、排ガスG1は、排煙処理塔7でSOx等が除去された後、煙突8から大気中に放出される。図1に示すように、白煙防止予熱器4で加熱された白煙防止空気A2は、熱利用システム1を通過した後、煙突8において排ガスG1に合流する。これにより、白煙防止空気A2の熱で排ガスG1が加温され、排ガスG1に含まれる水蒸気の凝縮を抑制することにより、白煙の発生が防止される。
【0029】
<熱利用システム>
次に、本実施形態に係る熱利用システム1の構成を、図1図3に基づいて説明する。熱利用システム1は、白煙防止予熱器4(図1)で排ガスG1により加熱された白煙防止空気A2から熱回収して利用するシステムである。図2に示すように、熱利用システム1は、熱源流路10と、熱交換器20と、熱源流体切替部30と、熱媒体循環流路40と、循環ポンプ43と、冷却機構50と、温度検知部51と、熱利用設備60と、を主に備えている。以下、これらの構成要素をそれぞれ説明する。本実施形態では、白煙防止予熱器4で排ガスG1により加熱された後、当該白煙防止予熱器4から流出した白煙防止空気A2を「熱源流体」の一例として説明する。但し、熱源流体はこれに限定されない。
【0030】
熱源流路10は、熱源流体が流通する配管からなり、上流端が白煙防止予熱器4の出口に接続されていると共に、下流端が煙突8に接続されている(図1)。より具体的には、熱源流路10は、白煙防止予熱器4から流出した白煙防止空気A2を熱交換器20の入口まで導く上流側熱源流路11と、熱交換器20の出口から流出した白煙防止空気A2を煙突8まで導く下流側熱源流路12と、を有している。これにより、白煙防止予熱器4から排出された白煙防止空気A2が、熱交換器20を通過した後に煙突8まで導かれる。
【0031】
熱交換器20は、熱源流路10(上流側熱源流路11)から流入する熱源流体から熱媒体H1へ放熱させるためのものである。図2に示すように、熱交換器20は、熱源流体が流通する高温側流路22と、熱媒体H1が流通する低温側流路21とを有し、各流路を流れる熱源流体と熱媒体H1との間で熱交換を行う。これにより、熱媒体H1が熱源流体から熱回収し、加熱される。熱媒体H1は、例えば水や有機溶媒等の液状の媒体である。
【0032】
熱源流体切替部30は、熱源流路10(上流側熱源流路11)から熱交換器20(高温側流路22)への熱源流体の流入及びその停止を切り替えるためのものである。図2に示すように、本実施形態における熱源流体切替部30は、熱源流体バイパス流路31と、上流弁32と、下流弁33と、バイパス弁34と、を有している。
【0033】
熱源流体バイパス流路31は、熱交換器20を迂回するように熱源流路10に接続されている。具体的には、熱源流体バイパス流路31の上流端は上流側熱源流路11に接続されており、熱源流体バイパス流路31の下流端は下流側熱源流路12に接続されている。バイパス弁34は熱源流体バイパス流路31に配置されており、当該バイパス弁34の開閉を切り替えることにより、上流側熱源流路11から熱源流体バイパス流路31への熱源流体の流入及びその停止が切り替わる。
【0034】
上流弁32は、熱源流体の流通及びその停止を切り替える弁であり、図2に示すように、上流側熱源流路11のうち熱源流体バイパス流路31の上流端が接続される部位よりも熱交換器20側に配置されている。下流弁33は、上流弁32と同様に熱源流体の流通及びその停止を切り替える弁であり、下流側熱源流路12のうち熱源流体バイパス流路31の下流端が接続される部位よりも熱交換器20側に配置されている。つまり、上流弁32及び下流弁33は、熱源流路10において熱交換器20の前後にそれぞれ配置されている。
【0035】
本実施形態における上流弁32、下流弁33及びバイパス弁34は、それぞれバタフライ弁である。熱源流体切替部30によれば、上流弁32及び下流弁33を開くと共にバイパス弁34を閉じることにより熱交換器20への熱源流体の流入を許容し、一方で上流弁32及び下流弁33を閉じると共にバイパス弁34を開くことにより、熱交換器20への熱源流体の流入を停止すると共に熱源流体バイパス流路31へ熱源流体を流入させることができる。
【0036】
熱媒体循環流路40は、大気圧よりも高圧状態に加圧された液状の熱媒体H1が流通する流路であり、熱交換器20(低温側流路21)と熱利用設備60とを接続している。図2に示すように、熱媒体循環流路40は、熱交換器20における低温側流路21の出口21Aと熱利用設備60における熱媒体H1の入口60Aとを接続する第1循環流路41と、熱利用設備60における熱媒体H1の出口60Bと熱交換器20における低温側流路21の入口21Bとを接続する第2循環流路42と、を有している。熱媒体H1は、第1循環流路41を介して熱交換器20から熱利用設備60へ向かって流れ、且つ第2循環流路42を介して熱利用設備60から熱交換器20へ向かって流れることにより、熱交換器20と熱利用設備60との間で循環する。本実施形態では、熱交換器20で100℃以上の温度(例えば150℃程度)まで加熱された水(熱媒体H1)を液状態のまま循環させるため、熱媒体循環流路40内を加圧する加圧機構(図示しない)が別途設けられている。この加圧機構は、例えばコンプレッサやブロワ等であり、廃棄物処理設備100内における計装空気を熱媒体循環流路40の配管内に供給する。
【0037】
図2に示すように、第1循環流路41には、冷却機構50、膨張タンク44及び温度検知部51が、熱媒体H1の流れ方向の上流から下流に向かって順に配置されている。また第2循環流路42には、循環ポンプ43が配置されている。当該循環ポンプ43を作動させることにより、熱媒体H1が熱媒体循環流路40を通じて熱交換器20と熱利用設備60との間で循環する。
【0038】
冷却機構50は、熱媒体循環流路40内の熱媒体H1を冷却するためのものであり、冷却流路56と、冷却器54と、入口側切替弁55と、出口側切替弁57と、を含む。図2に示すように、冷却流路56は、熱媒体循環流路40(第1循環流路41のうち膨張タンク44よりも熱交換器20側の部位)に両端が接続された流路であり、第1循環流路41から熱媒体H1が流入すると共に、冷却器54を通過した熱媒体H1を第1循環流路41に合流させる。
【0039】
冷却器54は、冷却流路56に配置された熱交換器であり、冷却媒体との熱交換により熱媒体H1を冷却する。具体的に、冷却器54は、熱媒体H1が流れる高温側流路54Aと、冷却媒体が流れる低温側流路54Bとを有し、高温側流路54Aと低温側流路54Bとの間で熱交換可能に構成されている。高温側流路54Aは、冷却流路56に接続されている。冷却媒体としては、例えば冷水を用いることができるが、これに限定されない。
【0040】
入口側切替弁55は、第1循環流路41から冷却流路56への熱媒体H1の流入及びその停止を切り替えるためのものである。入口側切替弁55は、例えばON-OFF弁であり、冷却流路56のうち冷却器54の入口側の部位に配置されている。
【0041】
出口側切替弁57は、冷却流路56から第1循環流路41への熱媒体H1の流入及びその停止を切り替えるものである。出口側切替弁57は、例えば調整弁であり、冷却流路56のうち冷却器54の出口側の部位に配置されている。なお、入口側切替弁55が調整弁で且つ出口側切替弁57がON-OFF弁であってもよいし、入口側切替弁55及び出口側切替弁57の両方がON-OFF弁であってもよいし、入口側切替弁55及び出口側切替弁57の両方が調整弁であってもよい。
【0042】
温度検知部51は、熱媒体循環流路40内の熱媒体H1の温度を検知するセンサであり、検知温度に応じた信号を出力する。図2に示すように、本実施形態における温度検知部51は、熱媒体循環流路40のうち熱交換器20の低温側流路21の出口21Aと熱利用設備60の入口60Aとの間の部位、具体的には、第1循環流路41のうち膨張タンク44よりも熱利用設備60側の部位に配置されている。しかし、温度検知部51の位置はこれに限定されず、熱媒体循環流路40における任意の位置(例えば第1循環流路41のうち冷却流路56が接続された部位と熱交換器20との間の部位)に配置されていてもよい。
【0043】
熱利用システム1は、熱利用設備60を迂回するように熱媒体循環流路40に接続された熱媒体バイパス流路53と、熱媒体循環流路40(第1循環流路41)から熱媒体バイパス流路53への熱媒体H1の流入及びその停止を切り替える熱媒体切替部52と、をさらに備えている。本実施形態における熱媒体切替部52は、三方弁により構成されており、第1循環流路41のうち温度検知部51よりも熱利用設備60側の部位に配置されている。
【0044】
熱媒体切替部52は、1つの入口ポート52Aと、2つの出口ポート(第1出口ポート52B及び第2出口ポート52C)とを有し、入口ポート52A及び第1出口ポート52Bが第1循環流路41に接続されていると共に、第2出口ポート52Cが熱媒体バイパス流路53に接続されている。熱媒体切替部52は、入口ポート52Aと第1出口ポート52Bとが連通する第1切替状態(熱媒体H1が熱媒体バイパス流路53へ流入せず、熱利用設備60へ流入する状態)と、入口ポート52Aと第2出口ポート52Cとが連通する第2切替状態(熱媒体H1が熱利用設備60へ流入せず、熱媒体バイパス流路53へ流入する状態)との間で切り替わる。図2に示すように、熱媒体バイパス流路53は、一端(上流端)が上記三方弁の第2出口ポート52Cに接続されていると共に、他端(下流端)が第2循環流路42のうち循環ポンプ43よりも熱利用設備60側の部位に接続されている。
【0045】
熱利用設備60は、熱交換器20で熱媒体H1が熱源流体から回収した熱を利用するものであり、本実施形態ではバイナリー発電装置である。すなわち、熱利用設備60は、熱媒体H1が熱源流体から回収した熱エネルギーを利用して電気エネルギーを生成する設備であり、低沸点の冷媒である作動媒体W1が循環する作動媒体循環流路62と、当該作動媒体循環流路62上に配置された作動媒体ポンプ66、蒸発器61、膨張機63、発電機64及び凝縮器65と、を有している。作動媒体ポンプ66、蒸発器61、膨張機63及び凝縮器65は、作動媒体W1の流れ方向においてこの順に配置されている。なお、熱利用設備60は、バイナリー発電装置に限定されるものではない。
【0046】
作動媒体W1は、作動媒体ポンプ66により加圧され、蒸発器61に向かって送り出される。蒸発器61は、熱媒体H1が流通する高温側流路61Aと、作動媒体W1が流通する低温側流路61Bとを有する熱交換器である。図2に示すように、高温側流路61Aの入口60Aに第1循環流路41の下流端が接続されており、高温側流路61Aの出口60Bに第2循環流路42の上流端が接続されている。また低温側流路61Bの出入口には、作動媒体循環流路62が接続されている。
【0047】
蒸発器61では、熱源流体から熱回収した後の熱媒体H1が高温側流路61Aへ流入し、低温側流路61Bへ流入した液状の作動媒体W1が当該熱媒体H1の熱により蒸発する。そして、蒸発した作動媒体W1により膨張機63のタービンが回転し、その回転力により発電機64において発電が行われる。このようにして、熱媒体H1が熱源流体から回収した熱を発電に利用することができる。
【0048】
熱利用システム1は、当該熱利用システム1の各種動作を制御するコントローラである制御部90(図3)をさらに備えている。図3は、制御部90の機能ブロック図である。図3に示すように、制御部90は、受付部91と、判定部92と、弁制御部93と、ポンプ制御部94と、記憶部95と、を含む。
【0049】
受付部91は、温度検知部51から送られる検知信号を受信する。判定部92は、受付部91により受信された検知信号のデータと記憶部95に格納された設定温度のデータとを比較し、それらの大小関係を判定する。弁制御部93は、上流弁32、下流弁33、バイパス弁34及び入口側切替弁55の開閉状態を切り替え、出口側切替弁57の開度を調整し、また熱媒体切替部52を第1切替状態と第2切替状態との間で切り替える。ポンプ制御部94は、循環ポンプ43の起動及びその停止を切り替えると共に、作動媒体ポンプ66の起動及びその停止を切り替える。受付部91、判定部92、弁制御部93及びポンプ制御部94は、上記コントローラの中央演算処理装置(CPU;Central Processing Unit)により実行される各機能であり、記憶部95はメモリ等の記憶装置により構成されている。
【0050】
制御部90は、熱利用設備60の運転を停止させた後、温度検知部51により検知される熱媒体H1の温度が大気圧下での沸点以下の所定の温度以下になるように、循環ポンプ43を制御して熱媒体H1を熱媒体循環流路40に流通させつつ冷却機構50を制御して熱媒体H1を冷却する。以下、この制御の具体的な内容を、本実施形態に係る熱利用システムの運転停止方法において、図4のフローチャートに従って説明する。
【0051】
<熱利用システムの運転停止方法>
次に、本実施形態に係る熱利用システムの運転停止方法を説明する。本方法は、上記熱利用システム1の運転を停止する方法であり、熱利用設備60の運転を停止させた後、温度検知部51により検知される熱媒体H1の温度が大気圧下での沸点以下の所定の温度以下になるように、循環ポンプ43を制御して熱媒体H1を熱媒体循環流路40に流通させつつ冷却機構50を制御して熱媒体H1を冷却する。
【0052】
まず、制御部90は、熱源流体切替部30を制御して熱源流路10から熱交換器20へ熱源流体を流入させると共に、循環ポンプ43を制御して熱媒体H1を熱媒体循環流路40に流通させ且つ熱利用設備60を作動させることにより、熱媒体H1が熱源流体から回収した熱を熱利用設備60で利用する熱利用運転を実行する(ST10)。具体的には、ポンプ制御部94が循環ポンプ43及び作動媒体ポンプ66を作動させ、弁制御部93が上流弁32及び下流弁33を開状態にすると共に、入口側切替弁55、出口側切替弁57及びバイパス弁34を閉状態とし、且つ熱媒体切替部52を第1切替状態とする。これにより、熱媒体H1との熱交換を介して作動媒体W1が蒸発し、蒸発した作動媒体W1により膨張機63のタービンが回転し、発電が行われる。
【0053】
次に、制御部90は、上記熱利用運転の後、熱源流体切替部30を制御して熱源流路10から熱交換器20への熱源流体の流入を停止し、温度検知部51により検知される熱媒体H1の温度を大気圧下での沸点以下の所定の温度以下まで下げると共に循環ポンプ43及び熱利用設備60を停止させる冷却停止運転を実行する。この冷却停止運転において、制御部90は、熱利用設備60を停止した後、循環ポンプ43を制御して熱媒体H1を熱媒体循環流路40に流通させつつ冷却機構50を制御して熱媒体H1を冷却し、その後循環ポンプ43を停止させる。具体的には以下の通りである。
【0054】
まず、ポンプ制御部94が作動媒体ポンプ66を停止させることにより、熱利用設備60の運転が停止する(ST20)。続いて、弁制御部93がバイパス弁34を開き(ST30)、その後上流弁32及び下流弁33を閉じる(ST40)。ここで、バイパス弁34を開く前に上流弁32及び下流弁33を先に閉じると、白煙防止ファン83(図1)等の輸送設備の故障が起こり易くなる(いわゆる閉め切り運転)。これに対し、上述の通り、先にバイパス弁34を開くことにより、このような不具合の発生を防止することができる。
【0055】
次に、判定部92が、温度検知部51による検知温度Tが第1設定温度T1を超えるか否かを判定する(ST50)。第1設定温度T1は、大気圧下での熱媒体H1の沸点以下の所定の温度(例えば60~99℃)であり、記憶部95(図3)にデータが格納されている。そして、検知温度Tが第1設定温度T1を超える場合は(ST50のYES)、弁制御部93が入口側切替弁55及び出口側切替弁57を開く(ST60)。本実施形態では、上記熱利用運転中において熱媒体H1の温度が150℃程度であるため、ST50において「YES」と判定される。これにより、熱媒体H1が熱媒体循環流路40を流通すると共に、その一部が冷却流路56へ分流して冷却器54により冷却された後に熱媒体循環流路40に合流する。
【0056】
そして、熱媒体H1が冷却器54により冷却された後、判定部92が、温度検知部51による検知温度Tが第2設定温度T2以下であるか否かを判定する(ST70)。第2設定温度T2は、第1設定温度T1と同様に、大気圧下での熱媒体H1の沸点以下の温度(例えば60~99℃)であるが、第1設定温度T1よりも低い温度である。第2設定温度T2のデータは、記憶部95に格納されている。
【0057】
検知温度Tが第2設定温度T2以下である場合は(ST70のYES)、弁制御部93が、熱媒体切替部52を第1切替状態から第2切替状態へ切り替える(ST80)。その後、ポンプ制御部94が循環ポンプ43を停止させると共に、弁制御部93が入口側切替弁55及び出口側切替弁57をそれぞれ閉じる(ST90)。なお、ST10~ST90までの間は熱媒体循環流路40内は加圧状態とされ、それ以降当該加圧状態は解除される。
【0058】
制御部90は、上記冷却停止運転の後、温度検知部51により検知される熱媒体H1の温度が大気圧下での沸点以下の所定の温度を超えた時に、循環ポンプ43を制御して熱媒体H1を熱媒体循環流路40に流通させつつ冷却機構50を制御して熱媒体H1を冷却する再冷却運転をさらに実行する。具体的には以下の通りである。
【0059】
まず、判定部92が、温度検知部51による検知温度Tが第1設定温度T1を超えるか否かを判定する(ST100)。そして、検知温度Tが第1設定温度T1を超える場合には(ST100のYES)、ポンプ制御部94が循環ポンプ43を作動させ、弁制御部93が入口側切替弁55及び出口側切替弁57をそれぞれ開く(ST110)。これにより、循環ポンプ43を一旦停止した後に、熱交換器20の残留熱により熱媒体H1の温度が上がる場合や閉状態の上流弁32から熱交換器20への熱源流体のリークにより熱媒体H1の温度が上がる場合でも、熱媒体H1を熱媒体循環流路40及び冷却流路56に流通させることにより再冷却し、熱媒体H1の温度上昇を抑制することができる。
【0060】
その後、判定部92が、検知温度Tが第2設定温度T2以下であるか否かを判定し(ST120)、検知温度Tが第2設定温度T2以下まで下がると(ST120のYES)、ST90に戻る。一方、検知温度Tが第2設定温度T2を超える間は(ST120のNO)、冷却器54による熱媒体H1の冷却が継続される。
【0061】
以上の通り、本実施形態に係る熱利用システム1によれば、熱利用設備60の運転停止後において、熱媒体H1を熱媒体循環流路40に流通させつつ冷却機構50により熱媒体H1を冷却することができる。これにより、熱利用設備60の運転停止後に熱源流体が熱交換器20へリークする場合であっても、冷却機構50により熱媒体H1の温度上昇を抑制することができる。したがって、熱利用システム1によれば、熱利用設備60の停止時における熱媒体H1の噴き出しを抑制することができる。
【0062】
(実施形態2)
次に、本発明の実施形態2に係る熱利用システム1Aを、図5に基づいて説明する。実施形態2に係る熱利用システム1Aは、基本的に上記実施形態1に係る熱利用システム1と同様の構成を備え且つ同様の効果を奏するものであるが、冷却機構が水冷方式ではなく空冷方式である点で上記実施形態1と異なっている。以下、上記実施形態1と異なる点についてのみ説明する。
【0063】
図5は、実施形態2に係る熱利用システム1Aの構成を模式的に示している。実施形態2における冷却機構50Aは、熱交換器20に向かって冷風を送る送風機により構成されている。これにより、熱交換器20が冷却されると共に、当該熱交換器20内の熱媒体H1及び熱媒体循環流路40内の熱媒体H1も冷却され、上記実施形態1と同様に熱媒体H1の沸騰による噴き出しを抑制することができる。なお、冷却機構50Aは、熱交換器20に向かって冷風を送るものに限定されず、熱媒体循環流路40(第1循環流路41及び第2循環流路42の一方又は両方)に冷風を送る送風機であってもよい。
【0064】
このようにすれば、廃棄物処理設備100において、熱媒体H1を冷却するための適当な冷却媒体がない場合でも、熱媒体H1を冷却して熱媒体循環流路40からの噴き出しを抑制することができる。冷却機構50Aを作動させるタイミングは、上記実施形態1において冷却器54に熱媒体H1を通過させるタイミングと同じであってもよい(図4参照)。また上記実施形態1における水冷方式の冷却機構50と実施形態2における空冷方式の冷却機構50Aとが併用されてもよい。
【0065】
(その他実施形態)
ここで、本発明のその他実施形態を説明する。
【0066】
上記実施形態1,2において、冷却流路56の両端は、第1循環流路41のうち膨張タンク44と温度検知部51との間の部位に接続されていてもよいし、第2循環流路42のうち熱媒体バイパス流路53が接続された部位と循環ポンプ43との間の部位に接続されていてもよいし、第2循環流路42のうち循環ポンプ43よりも熱交換器20側の部位に接続されていてもよい。
【0067】
上記実施形態1において、冷却流路56が省略され、冷却器54が第1循環流路41に配置されていてもよい。
【0068】
今回開示された実施形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと解されるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなくて特許請求の範囲により示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0069】
1,1A 熱利用システム
10 熱源流路
20 熱交換器
30 熱源流体切替部
40 熱媒体循環流路(循環流路)
43 循環ポンプ
50 冷却機構
51 温度検知部
54 冷却器
55 入口側切替弁(切替弁)
56 冷却流路
60 熱利用設備
A2 白煙防止空気(熱源流体)
H1 熱媒体
図1
図2
図3
図4
図5