(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-22
(45)【発行日】2024-01-05
(54)【発明の名称】つけまつげ用のアプリケータおよびそれを含むキット
(51)【国際特許分類】
A41G 5/02 20060101AFI20231225BHJP
【FI】
A41G5/02
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019226587
(22)【出願日】2019-12-16
【審査請求日】2022-12-16
(73)【特許権者】
【識別番号】391023932
【氏名又は名称】ロレアル
【氏名又は名称原語表記】L’OREAL
【住所又は居所原語表記】14 Rue Royale,75008 PARIS,France
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133086
【氏名又は名称】堀江 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】マリーン・ルアルデス
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンドラ・マリン
(72)【発明者】
【氏名】アレクシィ・レオナール
【審査官】村山 達也
(56)【参考文献】
【文献】特公昭48-007948(JP,B1)
【文献】特開2011-005013(JP,A)
【文献】特開2007-222271(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41G 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の個別のまつげ繊維(110)がベースライン(120)により互いに略平行につながれた、つけまつげ(100)を、使用者の自まつげに装着するために使用されるアプリケータ(1)であって、
下側基板(10)と、
前記下側基板(10)に少なくとも部分的に重なる上側基板(20)と、
ヒンジ軸(X
0)を定めるヒンジ(30)であって、前記下側基板(10)および前記上側基板(20)を結合する、ヒンジ(30)と
を備え、
前記下側基板(10)が前記ヒンジ軸(X
0)に対して前記上側基板(20)よりもさらに延び、それによって、その上に置かれる前記つけまつげ(100)を支持するための支持エリア(12)を形成し、
前記アプリケータ(1)が前記下側基板(10)と前記上側基板(20)との間で前記つけまつげ(100)の前記まつげ繊維(110)の少なくとも一部の先端を保持することを可能にするために、前記ヒンジ(30)に隣接する前記上側基板(20)の結合縁部(22b)の反対側の前記上側基板(20)の自由縁部(22a)が、前記支持エリア(12)の近傍で前記下側基板(10)に加圧接触することができるように、前記上側基板(20)が前記ヒンジ(30)以外の場所で前記下側基板(10)に結合可能で
あり、
前記上側基板(20)の前記自由縁部(22a)と、前記ヒンジ(30)に隣接した前記下側基板(10)の結合縁部(14b)の反対側の前記下側基板(10)の自由縁部(14a)との両方が、第1の仮想軸(X
1
)であって、前記ヒンジ軸(X
0
)に平行である第2の仮想軸(X
2
)に略垂直であり、前記下側基板(10)の下に、前記下側および上側基板(10、20)に略平行に延びる第1の仮想軸(X
1
)を中心にして湾曲しており、
前記下側基板(10)および前記上側基板(20)が、前記上側基板(20)が前記下側基板(10)に加圧接触しない自然状態であるとき、前記上側基板(20)の前記自由縁部(22)の曲率半径(R
2
)が、前記下側基板(10)の前記自由縁部(14a)の曲率半径(R
1
)よりも小さい、アプリケータ(1)。
【請求項2】
前記上側基板(20)の前記自由縁部(22a)には、少なくとも部分的に前記自由縁部(22a)に沿って延びており前記下側基板(10)と加圧接触することができる隆起部(24)が設けられる、請求項1に記載のアプリケータ(1)。
【請求項3】
前記下側および上側基板(10、20)が、第3の仮想軸(X
3)であって、前記ヒンジ軸(X
0)に平行または略平行であり、前記下側基板(10)の下に延びる第3の仮想軸(X
3)を中心にして少なくとも部分的に湾曲している、請求項
1または2に記載のアプリケータ(1)。
【請求項4】
前記上側基板(20)の前記自由縁部(22a)、および前記ヒンジ(30)に隣接した前記下側基板(10)の結合縁部(14b)の反対側の前記下側基板(10)の自由縁部(14a)が、凹形状を有する、請求項1から
3のいずれか一項に記載のアプリケータ(1)。
【請求項5】
前記下側および上側基板(10、20)の前記自由縁部(14a、22a)の翼弦線(C
1、C
2)が、前記ヒンジ軸(X
0)に対して、ある角度を形成する、請求項
4に記載のアプリケータ(1)。
【請求項6】
前記上側基板(20)の前記自由縁部(22a)、および前記ヒンジ(30)に隣接した前記下側基板(10)の結合縁部(14b)の反対側の前記下側基板(10)の自由縁部(14a)が、直線状または略直線状であり、前記下側および上側基板(10、20)の前記自由縁部(14a、22a)が、前記ヒンジ軸(X
0)に対して、ある角度を形成する、請求項1から
3のいずれか一項に記載のアプリケータ(1)。
【請求項7】
前記上側基板(20)および前記下側基板(10)の一方には、少なくとも1つのボス(26)が設けられ、前記上側基板(20)および前記下側基板(10)の他方には、前記ボス(26)をスナップ嵌合することができる少なくとも1つの穴(16)が設けられ、前記ボス(26)および前記穴(16)が、前記ヒンジ(30)以外の場所で前記上側基板(20)を前記下側基板(10)に結合するように協働する、請求項1から
6のいずれか一項に記載のアプリケータ(1)。
【請求項8】
前記ボス(26)および前記穴(16)から成る結合機構(S)が、前記自由縁部(14a、22a)および前記結合縁部(14b、22b)を結合する前記下側および上側基板(10、20)の2つの側縁部(14c、22c;14d、22d)の各々に設けられる、請求項
7に記載のアプリケータ(1)。
【請求項9】
前記ヒンジ(30)以外の場所で前記上側基板(20)を前記下側基板(10)に結合するために、前記下側基板(10)および前記上側基板(20)が、前記自由縁部(14a、22a)および前記結合縁部(14b、22b)を結合する前記下側および上側基板(10、20)の2つの側縁部(14c、22c;14d、22d)の各々で互いに溶着または接着される、請求項1から
6のいずれか一項に記載のアプリケータ(1)。
【請求項10】
1つの窓(18)が前記下側基板(10)に形成され、別の窓(28)が前記上側基板(20)に形成され、前記下側基板(10)の前記窓(18)および前記上側基板(20)の前記窓(28)が少なくとも部分的に互いに重なる、請求項1から
9のいずれか一項に記載のアプリケータ(1)。
【請求項11】
前記アプリケータ(1)が、透明または半透明のプラスチック材料で作られる、請求項1から
10のいずれか一項に記載のアプリケータ(1)。
【請求項12】
請求項1から
11のいずれか一項に記載の少なくとも1つのアプリケータ(1)と、
複数の個別のまつげ繊維(110)が前記ベースライン(120)により互いに略平行につながれたつけまつげ(100)の少なくとも1つのセットと
を備え、
前記つけまつげ(100)の前記まつげ繊維(110)の少なくとも一部の先端が、前記アプリケータ(1)の前記下側基板(10)と前記上側基板(20)との間に解放可能に保持され、
前記つけまつげ(100)が、前記アプリケータ(1)の前記下側基板(10)によって支持される、
キット(A)。
【請求項13】
前記キット(A)が、前記使用者の右眼用の前記アプリケータ(1)およびそれによって保持された前記使用者の右眼用の前記つけまつげ(100)と、前記使用者の左眼用の前記アプリケータ(1)およびそれによって保持された前記使用者の左眼用のつけまつげ(100)とを備える、請求項
12に記載のキット(A)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、つけまつげを使用者の自まつげに装着するために使用される、つけまつげ、特に房状のつけまつげ用のアプリケータに関する。本発明はまた、そのようなアプリケータと、つけまつげとを含むキットに関する。
【背景技術】
【0002】
現在多くの女性が、美容上の目的で房状のつけまつげを日常的にまたは時々使用している。一般的に、つけまつげは、アプリケータを使用して、使用者の自まつげに装着される。より具体的には、つけまつげを使用者の自まつげに装着する前に、使用者は、適切な量の接着剤を使用者の自まつげに塗布する。その後、使用者は、アプリケータを操作することによって、アプリケータによって支持または保持されたつけまつげを、接着剤が塗布された使用者の自まつげと接触させる。最終的に、アプリケータを使用者の顔から離すことによって、つけまつげはアプリケータから分離され、それによってつけまつげの装着を完了する。
【0003】
そのようなアプリケータの様々なタイプがある。たとえば、特許文献1および特許文献2は、第1の脚部と、ヒンジジョイントにより第1の脚部に回転可能に結合された第2の脚部とを含むアプリケータであって、第1の脚部と第2の脚部との間につけまつげを保持することができる、アプリケータについて説明している。特許文献3および特許文献4は、つけまつげが配置された本体と、本体から延びる2本の脚部とを含むアプリケータであって、2本の脚部が本体の単一平面に対して角度をなしているアプリケータについて説明している。特許文献5は、第1の可とう性部材に固定された第1のクリップと、第2の可とう性部材に固定された第2のクリップとを含むアプリケータであって、第1のクリップがつけまつげの一方の端部を把持し、第2のクリップがつけまつげのもう一方の端部を把持する、アプリケータについて説明している。特許文献6は、ハンドル、シート、およびカートリッジ嵌合構造を有するカートリッジと、シートに装着されたまつげストリップと、締め付けパッド付きの上部アームを有するアプリケータとを含む、アプリケータシステムについて説明している。特許文献7は、つけまつげが解放可能にその上に装着されたトレイのみを備えるアプリケータについて説明している。特許文献8は、つけまつげを支持するための支持部材を含むアプリケータであって、凸形状から実質的に凹形状につけまつげを反転させるように調整可能なアプリケータについて説明している。特許文献9は、供給ホイールと、巻き取りホイールとを含むアプリケータであって、供給ホイールが複数のポケットを有するテープを備え、ポケットは、個々のつけまつげまたはつけまつげの房が分配ピボットから分配されるまで、それらを固定する、アプリケータについて説明している。
【0004】
一般に、つけまつげ、特に房状のつけまつげは、それらが繊細な構造であるために扱いが難しい。アプリケータがつけまつげをしっかりと保持できることが望ましいが、つけまつげに過度の保持または維持力が加えられると、つけまつげを損傷することにつながり得る。たとえば、この場合、まつげ繊維が曲がることが起こり得る。他方では、アプリケータによって保持されたつけまつげが、所望の場所に、たとえば、使用者の自まつげに装着された後にそれらが容易に解放可能であることもまた望ましいが、つけまつげに加えられる保持または維持力が小さすぎる場合、つけまつげは取扱い中にアプリケータから離れ落ちる可能性がある。上述のアプリケータを含む様々な既存のアプリケータは、これらの相反する要求を完全には満たしていない。これに加えて、多くの従来のアプリケータは、複雑な構造を有し、高い製造コストを生じている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】国際公開第2016/153773号パンフレット
【文献】米国特許出願公開第2015/216246号明細書
【文献】国際公開第2014/110145号パンフレット
【文献】米国特許出願公開第2013/160783号明細書
【文献】米国特許第8196591号明細書
【文献】米国特許第9215901号明細書
【文献】国際公開第2013/095719号パンフレット
【文献】米国特許出願公開第2015/0201692号明細書
【文献】米国特許出願公開第2014/0263392号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、既存のアプリケータに関する上述の問題を解決することである。具体的には、本発明の目的は、つけまつげを損傷することなくつけまつげをしっかりと保持することができ、つけまつげが所望の場所に、具体的には使用者の自まつげに装着された後、つけまつげを容易に解放することができる、新規のアプリケータを提供することである。本発明のさらなる目的は、構造が単純であり、したがって低コストで製造することができる新規のアプリケータを提供することである。本発明のまたさらなる目的は、そのようなアプリケータと、アプリケータによって保持されるつけまつげとを備える新規のキットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の目的を達成するために、本発明は、複数の個別のまつげ繊維がベースラインにより互いに実質的に平行につながれたつけまつげを、使用者の自まつげに装着するために使用されるアプリケータであって、下側基板と、下側基板に少なくとも部分的に重なる上側基板と、ヒンジ軸を定めるヒンジとを備え、ヒンジが下側基板および上側基板を結合し、下側基板がヒンジ軸に対して上側基板よりもさらに延び、それによって、上側基板の上に置かれるつけまつげを支持するための支持エリアを形成し、アプリケータが下側基板と上側基板との間でつけまつげのまつげ繊維の少なくとも一部の先端を保持することを可能にするために、ヒンジに隣接した上側基板の結合縁部の反対側の上側基板の自由縁部が、支持エリアの近傍で下側基板に加圧接触することができるように、上側基板がヒンジ以外の場所で下側基板に結合可能である、アプリケータを提供する。
【0008】
本発明はまた、上述の少なくとも1つのアプリケータと、複数の個別のまつげ繊維がベースラインにより互いに実質的に平行につながれたつけまつげの少なくとも1つのセットとを備えるキットであって、つけまつげのまつげ繊維の少なくとも一部の先端が、アプリケータの下側基板と上側基板との間に解放可能に保持され、つけまつげがアプリケータの下側基板によって支持される、キットを提供する。
【0009】
本発明によれば、アプリケータの下側基板は、その上に置かれるつけまつげを支持するための支持エリアを含む。そのために、つけまつげは、アプリケータ上の2つの異なる点において、すなわち(i)つけまつげが互いに向き合う下側基板および上側基板によって挟まれる第1の点と、(ii)第1の点からさらに離れている支持エリア上の第2の点とにおいて、アプリケータと接触することができる。結果として、本発明によるアプリケータは、既存のアプリケータと比較してつけまつげをしっかりと、安定して保持することができる。さらに、これはまた、下側および上側基板によってつけまつげに加えられる圧力が、アプリケータに支持エリアが存在しないときよりも小さくてよいことを意味する。そのために、アプリケータによる圧迫が原因でつけまつげに起こり得る損傷が、大いに抑制される。それだけではなく、アプリケータによる圧迫の程度は、既存のアプリケータのそれよりも小さいので、本発明によるアプリケータは、つけまつげが所望の場所に、具体的には使用者の自まつげに装着された後に、つけまつげを容易に解放することができる。これに加えて、本発明によれば、アプリケータは、たった1枚の材料シートから、たとえば好適なプラスチックシートから製造することができる。すなわち、本発明によるアプリケータは、構造が単純であり、したがって、既存のアプリケータと比較して低コストで製造することができる。
【0010】
本発明の好ましい一態様によれば、上側基板の自由縁部には、少なくとも部分的に自由縁部に沿って延びており下側基板と加圧接触することができる隆起部が設けられてもよい。本発明のより好ましい態様によれば、隆起部は、上側基板の自由縁部全体に沿って、またはほぼ自由縁部全体に沿って延びてもよい。隆起部は、四角形、台形(具体的には、逆台形)、半円形などを含む、様々な断面を有してもよい。
【0011】
本発明の好ましい一態様によれば、上側基板の自由縁部と、ヒンジに隣接した下側基板の結合縁部の反対側の下側基板の自由縁部との両方が、第1の仮想軸であって、ヒンジ軸に平行である第2の仮想軸に実質的に垂直であり、下側基板の下に、下側および上側基板に実質的に平行に延びる第1の仮想軸を中心にして湾曲していてもよい。上側基板の自由縁部と下側基板の自由縁部との両方の曲率半径は、正面から使用者の顔を見るとき、平均的使用者のまぶたの曲率半径に対応するように設定されてもよい。
【0012】
本発明の好ましい一態様によれば、下側基板および上側基板が、上側基板が下側基板と加圧接触しない自然状態であるとき、上側基板の自由縁部の曲率半径は、下側基板の自由縁部の曲率半径よりも小さくてもよい。この場合、上側基板が、ヒンジ以外の場所で下側基板に結合されるとき、上側基板の自由縁部は、より強く力を込めて広げられ、下側基板を圧迫し、したがって、つけまつげをより確実に保持している状態が実現され得る。
【0013】
本発明の好ましい一態様によれば、下側および上側基板は、第3の仮想軸であって、ヒンジ軸に平行または実質的に平行であり、下側基板の下に延びる第3の仮想軸を中心にして少なくとも部分的に湾曲していてもよい。本発明の別の態様によれば、下側および上側基板は、湾曲していなくてもよく、すなわちそれらは平らであってもよい。さらに、本発明の別の好ましい態様によれば、下側および上側基板は、それの自由縁部の領域においてのみ、第3の仮想軸を中心にして湾曲していてもよい。
【0014】
本発明の好ましい一態様によれば、上側基板の自由縁部、およびヒンジに隣接した下側基板の結合縁部の反対側の下側基板の自由縁部は、凹形状を有してもよい。この凹形状は、上から使用者の頭部を見るとき、平均的使用者のまぶたの曲率半径に対応するように設定されてもよい。さらに、本発明の好ましい一態様によれば、下側および上側基板の自由縁部の翼弦線は、ヒンジ軸に対して、ある角度を形成してもよい。本明細書では、下側および上側基板の自由縁部の「翼弦線」は、凹形状を有する自由縁部の弧の2つの端点を結ぶ直線と定義されることに留意されたい。
【0015】
本発明の好ましい一態様によれば、上側基板の自由縁部、およびヒンジに隣接した下側基板の結合縁部の反対側の下側基板の自由縁部は、直線状または実質的に直線状であってもよく、下側および上側基板の自由縁部は、ヒンジ軸に対して角度を形成してもよい。下側および上側基板の自由縁部が、ヒンジ軸に対して、ある角度を形成する、本発明のそのような好ましい態様によれば、使用者の右眼および左眼にそれぞれ対応する(互いに対称である)異なる平面形状を有する2つのタイプのアプリケータが提供されるべきである。これは、下側および上側基板の自由縁部が凹形状を有するアプリケータにも当てはまる。
【0016】
本発明の好ましい一態様によれば、上側基板および下側基板のうちの一方には、少なくとも1つのボスが設けられてもよく、上側基板および下側基板のうちの他方は、ボスをスナップ嵌合することができる少なくとも1つの穴が設けられてもよく、ボスおよび穴は、ヒンジ以外の場所で上側基板を下側基板に結合するように協働してもよい。本発明のより好ましい態様によれば、ボスおよび穴から成る結合機構は、自由縁部および結合縁部を結合する下側および上側基板の2つの側縁部の各々に(好ましくは、自由縁部にできるだけ近い位置に)設けられてもよい。
【0017】
本発明の好ましい一態様によれば、下側基板および上側基板は、ヒンジ以外の場所で上側基板を下側基板に結合するために、自由縁部および結合縁部を結合する下側および上側基板の2つの側縁部の各々で互いに溶着(超音波、加熱、もしくは誘導加熱による)または接着されてもよい。下側および上側基板の溶着または接着は、自由縁部にできるだけ近い位置で行われるスポット溶着またはスポット接着であってもよい。代替として、溶着または接着は、側縁部の広範囲にわたって行われてもよい。
【0018】
本発明の好ましい一態様によれば、下側基板に1つの窓が形成されてもよく、上側基板に別の窓が形成されてもよく、下側基板の窓および上側基板の窓は、少なくとも部分的に(好ましくは、概ね全体に)互いに重なってもよい。下側基板上と上側基板上との両方に窓を形成することによって、使用者は、重ねられた窓を通して、鏡に映された使用者の顔の一部、特に使用者の眼および使用者の自まつげの周りのエリアを視覚的に確認することができる。そのために、使用者は、視野がアプリケータ自体によって遮られることなく、使用者の自まつげにつけまつげを効率よく、速く装着することができる。
【0019】
本発明の好ましい一態様によれば、アプリケータは、たとえば、PP(ポリプロピレン)、PET(ポリエチレンテレフタラート)、PVC(ポリ塩化ビニル)などの、透明または半透明のプラスチック材料で作られてもよい。アプリケータが透明なプラスチック材料で作られる場合、使用者が鏡に映された使用者の顔の一部を少なくともある程度まで視覚的に確認することも可能である。
【0020】
本発明のキットの好ましい一態様によれば、キットは、使用者の右眼用のアプリケータ(すなわち、右手アプリケータ)およびそれによって保持された使用者の右眼用のつけまつげと、使用者の左眼用のアプリケータ(すなわち、左手アプリケータ)およびそれによって保持された使用者の左眼用のつけまつげとを備えてもよい。
【0021】
次に本発明の非限定的および代表的な実施形態について、添付の図面を参照して以下で詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の一実施形態によるキットの概略図である。
【
図2】本発明の一実施形態によるアプリケータの、アプリケータがつけまつげを保持していない斜視図である。
【
図3】
図1に示すアプリケータに変えられるプラスチックブランクシートの斜視図である。
【
図4】
図3に示すプラスチックブランクシートの平面図である
【
図5】下側基板部分側から見た、
図3に示すプラスチックブランクシートの正面図である。
【
図6】上側基板部分側から見た、
図3に示すプラスチックブランクシートの背面図である。
【
図7】
図3に示すプラスチックブランクシートの側面図である。
【
図10】
図2に示すアプリケータの、アプリケータがつけまつげを保持している、拡大側面図である。
【
図11】本発明の別の実施形態によるアプリケータの斜視図である。
【
図12】本発明のさらに別の実施形態によるアプリケータの斜視図である。
【
図13】使用者が
図2に示すアプリケータを使用して使用者の自まつげにつけまつげを装着する手順を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
次に、
図1~
図13を参照しながら、本発明のいくつかの例示的な実施形態について説明する。各図では、各要素の幅、長さ、高さ、および直径の縮尺比率は一定ではない場合がある。いくつかの図では、いくつかの要素が、強調のために実際よりも大きく描かれていることに留意されたい。
【0024】
図1は、本発明の一実施形態によるキットを概略的に示している。
図1において参照文字「A」で示すキットは、使用者の所望の場所につけまつげを装着するために使用される、以下で詳細に説明するアプリケータ1、ならびに、アプリケータ1によって保持されたつけまつげ(具体的には、房状のつけまつげ)100を含む。より具体的には、この実施形態では、キットAは、使用者の右眼用のアプリケータ1およびそれによって保持されたつけまつげ100と、使用者の左眼用のアプリケータ1およびそれによって保持されたつけまつげ100とを備える。一対の右および左アプリケータ1と、つけまつげ100とから成るキットAは、これに限定はしないが、保管、輸送、陳列、または販売のために好適な箱Bに保管されてもよい。本明細書では、右眼用のアプリケータ1およびつけまつげ100の組合せ、ならびに左眼用のアプリケータ1およびつけまつげ100の組合せが、まとめて「キット」と呼ばれる。しかしながら、右眼用のアプリケータ1およびつけまつげ100の組合せのみ、または左眼用のアプリケータ1およびつけまつげ100の組合せのみが、「キット」と呼ばれる場合がある。さらに、アプリケータ1の形状を変えることによって、同じアプリケータが左眼と右眼の両方に使用されることがある。
【0025】
つけまつげ100は、複数の個別のまつげ繊維110と、これらのまつげ繊維110を互いに実質的に平行につなぐまたは結合するベースライン120とを備える。まつげ繊維110は、合成繊維または天然繊維であってもよい。たとえば、まつげ繊維110は、絹繊維、綿繊維、ウール繊維、亜麻繊維、セルロース繊維、レーヨン繊維、ポリアミド(ナイロン(登録商標))繊維、ビスコース繊維、アセテート繊維、アクリルポリマー繊維、ポリオレフィン繊維、ポリエチレンテレフタラート(PET)繊維、ポリブチレンテレフタラート(PBT)繊維、ガラス繊維、シリカ繊維、炭素繊維、ポリテトラフルオロエチレン(テフロン(登録商標)など)繊維、不溶性コラーゲン繊維、ポリエステル繊維、ポリ塩化ビニル繊維もしくはポリ塩化ビニリデン繊維、ポリビニルアルコール繊維、ポリアクリロニトリル繊維、キトサン繊維、ポリウレタン繊維、ポリエチレンフタラート繊維、人毛、または上述のポリマーなどのポリマーの混合から形成される繊維、たとえばポリアミド/ポリエステル繊維であってもよい。
【0026】
まつげ繊維110は、任意の形状を有してもよく、たとえば、湾曲していても、ストレートであってもよい。まつげ繊維は、円形または多角形(四角形、六角形、もしくは八角形)の断面を有してもよい。まつげ繊維110の端部は、けがを防ぐために丸くおよび/または滑らかにされてもよい。まつげ繊維110の量(数)は、10~数10であってもよい。まつげ繊維110は、2mm~20mmの長さを有してもよい。まつげ繊維110の直径は、約0.1~0.8mmであってもよい。
【0027】
まつげ繊維110を互いにつなぐまたは結合するベースライン120は、まつげ繊維110と同じ材料で作られてもよい。ベースライン120は、まつげ繊維110の少なくとも1つの長さに等しい長さを有してもよい。ベースライン120の直径は、約0.1~2mmであってもよい。ベースライン120は、無色、透明であってもよく、または黒色、白色であってもよく、または黄色、赤色、青色、緑色、桃色、すみれ色などの色、もしくは別の色を有してもよい。まつげ繊維110は、ベースライン120に結び付けられる、接着される、または他の方法で装着される場合がある。
【0028】
この実施形態では、以下で再び詳述するように、つけまつげ100のまつげ繊維110の少なくとも一部(好ましくは大部分)の先端が、アプリケータ1によって解放可能に保持される。そのために、つけまつげ100は、アプリケータ1から容易に分離可能である。具体的には、この実施形態では、つけまつげ100は、アプリケータ1によって底部側からさらに支持される。
【0029】
ここから、説明は、アプリケータ1の説明に移る。使用者の右眼用のアプリケータ1および使用者の左眼用のアプリケータ1は、対称的な形状および構造を有するので、以下では使用者の右眼用のアプリケータ1について、
図2~
図10を参照しながら説明する。
【0030】
やはり本発明の一実施形態であるアプリケータ1は、使用者の自まつげにつけまつげ100を装着する(または配置するのを支援する)ために使用されるよう意図されている。
図2に示すように、アプリケータ1は、下側基板10と、上側基板20とを備える。下側基板10および上側基板20は、少なくとも部分的に、この実施形態ではそれの自由縁部を除いてほぼ完全に、互いに重なっている。アプリケータ1はさらに、ヒンジ軸X
0を定めるヒンジ30を備える。ヒンジ30は、下側基板10および上側基板20を互いに一体的に結合する。以下で詳細に説明するように、下側および上側基板10、20の自由縁部は、本明細書では、ヒンジ30とは反対側のそれらの縁部を意味する。
【0031】
アプリケータ1は、
図3に示す単一のプラスチックブランクシート1'から作られる。プラスチックブランクシート1'は、たとえば、PP(ポリプロピレン)、PET(ポリエチレンテレフタラート)、PVC(ポリ塩化ビニル)などから作られる。プラスチックブランクシート1'は、具体的には、必要とされる剛性を与えながら、上側基板部分の変形(湾曲)を可能にするのに十分な可とう性を有する。さらに、この実施形態では、透明なプラスチック材料が、このブランクシート、したがってアプリケータ1を形成するために使用される。他の実施形態では、プラスチックブランクシート1'、したがってアプリケータ1は、半透明材料およびさらに不透明材料で作られる。
【0032】
アプリケータ1と同様に、アプリケータ1用のプラスチックブランクシート1'は、
図3~
図7からわかるように、下側基板部分10'と、上側基板部分20'と、ヒンジ部分30'とを備える。
図3~
図7は、様々な方向から見たプラスチックブランクシート1'を示している。すなわち、
図3は、プラスチックブランクシート1'の斜視図であり、
図4は、プラスチックブランクシート1'の平面図であり、
図5は、下側基板部分10'側から見たプラスチックブランクシート1'の正面図であり、
図6は、上側基板部分20'側から見たプラスチックブランクシート1'の背面図であり、
図7は、プラスチックブランクシート1'の側面図である。以下では、本発明の一実施形態によるアプリケータ1について、プラスチックブランクシート1'に関して
図3~
図7を適切に参照しながら説明する。
【0033】
上述のように、最終的にアプリケータ1になるプラスチックブランクシート1'は、下側基板部分10'と、ヒンジ部分30'と、上側基板部分20'とが一列に一体的に結合された形状を有する。一般に、
図3~
図7に示すプラスチックブランクシート1'は、プラスチック材料シートをカットし、打ち抜いて所定の形状にし、次いでそれをたとえば熱処理によって3次元的に曲げることによって形成される。代替として、プラスチックブランクシート1'は、射出成形によって形成されてもよい。アプリケータ1は、このようにして得られたプラスチックブランクシート1'を、ヒンジ部分30'を中心として曲げ、さらにヒンジ部分30'以外の場所で、上側基板部分20'を下側基板部分10'に結合することによって形成される。この実施形態では、プラスチックブランクシート1'の厚さ、より正確には下側および上側基板部分10'、20'の厚さは、ヒンジ部分30'に向かって増大する。
【0034】
図3は、後で詳細に説明する、上側基板部分20'(すなわち、上側基板20)に設けられた隆起部をわかりやすく示している。さらに
図3および
図4は、同じく後で詳細に説明する、下側基板部分10'(すなわち、下側基板10)および上側基板部分20'(すなわち、上側基板20)を互いに結合するために使用されるボスおよび穴をわかりやすく示している。
【0035】
次に
図2を参照し、また
図3~
図7を適切に参照すると、アプリケータ1の下側基板10は、自由縁部14aと、ヒンジ30に隣接した結合縁部14bと、自由縁部14aおよび結合縁部14bを結合する2つの側縁部14c、14dとを含む。下側基板10の自由縁部14aは、ヒンジ30に隣接した下側基板10の結合縁部14bと反対側に存在する。同様に、アプリケータ1の上側基板20は、自由縁部22aと、ヒンジ30に隣接した結合縁部22bと、自由縁部22aおよび結合縁部22bを結合する2つの側縁部22c、22dとを含む。上側基板20の自由縁部22aは、ヒンジ30に隣接した上側基板20の結合縁部22bの向かい側に存在する。
【0036】
この実施形態では、上側基板20の自由縁部22aと下側基板10の自由縁部14aとの両方が、上から見たとき使用者のまぶた(右まぶた)の輪郭に対応する凹形状を有する。これに加えて、
図4に示すように、下側基板10の自由縁部14aの翼弦線C
1は、ヒンジ30のヒンジ軸X
0に対して角度θ
1、たとえば15°~45°を形成する。同様に、上側基板20の自由縁部22aの翼弦線C
2もまた、ヒンジ30のヒンジ軸X
0に対して翼弦線C
1と同じ角度θ
2を形成する。ここではその説明を省略する左眼用のアプリケータ1は、右眼用のアプリケータ1と対称の形状を有する。別の実施形態では、下側および上側基板10、20は、(丸みを帯びた角を除いて)直線の自由縁部を有する場合がある。すなわち、
図12を使用して後で説明するように、下側基板10の自由縁部14aと上側基板20の自由縁部22aとの両方が、直線状(または実質的に直線状)であってもよく、下側および上側基板10、20の自由縁部14a、22aは、ヒンジ30のヒンジ軸X
0に対して所定の角度を形成してもよい。
【0037】
図2に示すように、アプリケータ1の下側基板10は、ヒンジ30のヒンジ軸X
0に対して上側基板20よりもさらに先に、たとえば約1~10mm延び、それによって、下側基板10の上に置かれるつけまつげ100を支持するための支持エリア12を形成する。
【0038】
以下でより詳細に説明するように、アプリケータ1の上側基板20は、ヒンジ30以外の場所で、この実施形態では、下側および上側基板10、20の自由縁部14a、22aの近傍で、下側基板10に結合可能である。この構成では、上側基板20の自由縁部22aは、アプリケータ1が下側基板10と上側基板20との間でつけまつげ100のまつげ繊維110の少なくとも一部の先端を保持することを可能にするために、支持エリア12の近傍で下側基板10と加圧接触することができる。
【0039】
再び
図2を参照し、適切に
図3~
図7を参照すると、上側基板20の自由縁部22aは、上述のように、細長い隆起部24が設けられている。隆起部24は、自由縁部22aのほぼ全体に沿って延び、下側基板10に加圧接触することができる。この実施形態では、隆起部24の断面形状は、逆台形であるが、つけまつげを損傷する危険性がなければ、様々な他の断面形状が採用され得る。
【0040】
アプリケータ1の正面図を示す
図8に示すように、上側基板20の自由縁部22aと下側基板10の自由縁部14aとの両方が、第1の仮想軸X
1を中心にして湾曲している(自由縁部14a、22a間の接触エリアの曲率半径は、
図8ではR
3で示されている)。第1の仮想軸X
1は、ヒンジ30のヒンジ軸X
0に平行である第2の仮想軸X
2と実質的に垂直であり、下側基板10の下に、下側および上側基板10、20に実質的に平行に延びる。代替実施形態では、第1の仮想軸X
1は、第2の仮想軸X
2に完全に垂直である仮想軸に対して数度~数10度の角度を形成してもよい。
【0041】
さらに、下側基板10および上側基板20が、
図5および
図6に示すように、上側基板20が下側基板10に加圧接触しない自然状態であるとき、上側基板20の自由縁部22aの(ヒンジ30のヒンジ軸X
0に平行な仮想軸X
2'に実質的に垂直であり上側基板部分20'の上に延びる仮想軸X
1'を中心とする)曲率半径R
2は、下側基板10の自由縁部14aの(実質的に仮想軸X
1を中心とする)曲率半径R
1よりも小さい。すなわち、たとえば、
図3および
図4に示す平らな状態では、上側基板20の自由縁部22a、したがってそれの隆起部24は、下側基板10の自由縁部14aよりも丸い(すなわち、曲率半径R
1>曲率半径R
2)。結果として、下側および上側基板10、20が、ヒンジ30以外の場所で結合されるとき、隆起部24は、上述のように下側基板10に強く押し付けられ得る。これは、上側基板20の自由縁部22a、したがって隆起部24が、それの最初の曲率半径よりも大きい最終的な曲率半径に拡大されるからである。
【0042】
好ましい実施形態によるアプリケータ1は、第1の仮想軸X
1を取り巻く上述の湾曲に加えて、第1の仮想軸X
1を取り巻く湾曲とは別の第2の曲率を含む。すなわち、
図9に示すように、下側および上側基板10、20は、ヒンジ30のヒンジ軸X
0に平行(または実質的に平行)であって、下側基板10の下に延びる第3の仮想軸X
3を中心にして、曲率半径R
4で湾曲している。
図7もまた、下側基板部分10'が第3の仮想軸X
3を中心にして、曲率半径R
4で湾曲していることを示す。さらに
図7は、上側基板部分20'が、ヒンジ30のヒンジ軸X
0に平行(または実質的に平行)であって、上側基板部分20'の上に延びる第4の仮想軸X
3'を中心にして曲率半径R
5で湾曲していることを示す。曲率半径R
5は、曲率半径R
4と実質的に等しい。他の実施形態では、下側および上側基板10、20は、第3の仮想軸X
3を中心にして自由縁部14a、22aの領域のみが湾曲していてもよい。
【0043】
上述のように、アプリケータ1の上側基板20は、ヒンジ30以外の場所で下側基板10に結合可能である。この実施形態では、そのような結合可能機能は、ボス26と、それに対応する穴16とから成る結合機構Sによって実現される。より具体的には、
図3および
図4から最もよくわかるように、上側基板20には、2つのボス26が設けられ、下側基板10は、それぞれのボス26をそれにスナップ嵌合することができる2つの穴16が設けられる。ボス26および穴16は、上側基板20を、ヒンジ30以外の場所で、すなわち、下側および上側基板10、20の自由縁部14a、22aの近傍で、下側基板10に結合するように協働する。具体的には、この実施形態では、ボス26と、穴16とから成る結合機構Sは、下側および上側基板10、20の側縁部14c、22cおよび側縁部14d、22dの各々に設けられる。しかしながら、代替実施形態では、下側基板10には、少なくとも1つ、好ましくは2つのボスが設けられ、上側基板20には、下側基板10のボスをスナップ嵌合することができる少なくとも1つ、好ましくは2つの穴が設けられる。
【0044】
再び
図2を参照し、適切に
図3~
図7を参照すると、アプリケータ1に窓が形成される。より具体的には、
図3および
図4から最もよくわかるように、窓18が下側基板10に形成され、窓28が上側基板20に形成される。下側基板10の窓18および上側基板20の窓28は、互いにほとんど重なる。この実施形態では、これらの窓18、28の形状または輪郭は、限定されないが、窓18、28の形状または輪郭は、それらが形成される基板10、20の形状にほぼ幾何学的に類似している。
【0045】
上述のように、アプリケータ1およびつけまつげ100が組み合わされてキットAになるとき、つけまつげ100のまつげ繊維110の少なくとも一部の先端は、アプリケータ1によって、すなわちアプリケータ1の下側基板10と上側基板20との間に解放可能に保持される。これに加えて、
図10に示すように、つけまつげ100は、アプリケータ1の下側基板10の支持エリア12によって支持される。そのために、この保持状態でつけまつげ100は、2つの異なる点、すなわち(i)つけまつげ100が互いに向き合う下側基板10および上側基板20の隆起部24によって挟まれる第1の点P
1と、(ii)第1の点P
1からさらに離れている支持エリア12上の第2の点P
2において、アプリケータ1と接触する。結果として、アプリケータ1は、つけまつげを1点のみで保持するように構成された従来の製品と比較してつけまつげ100をしっかりと、安定して保持することができる。
【0046】
さらに、下側および上側基板10、20によってつけまつげ100に加えられる圧力は、支持エリア12が存在しない既存のアプリケータよりも小さいので、アプリケータ1による圧迫が原因でつけまつげ100に起こり得る損傷が大いに抑制される。それだけではなく、アプリケータ1による圧迫の程度が、支持エリア12が存在しない既存のアプリケータよりも小さいので、アプリケータ1は、つけまつげ100が所望の場所に、具体的には使用者の自まつげに装着された後に、つけまつげ100を容易に解放する。
【0047】
これに加えて、アプリケータ1は、ただ1つのプラスチックシートから製造できるので、アプリケータ1は構造が単純であり、したがって、複雑な構造を有する既存の製品と比較して低コストで製造することができる。
【0048】
現在好ましいと考えられるキットAおよびアプリケータ1の構成要素について、
図1~
図10を参照しながら説明したが、本発明に関して様々な他の変更形態を考えることができる。
図11は、本発明の別の実施形態によるアプリケータ1の斜視図である。この代替実施形態では、アプリケータ1は、それの中央付近に1つの結合機構Sを有する。より具体的には、上側基板20は、1つのボス(図では認識できない)を有し、下側基板10は、上側基板20にあるボスに対応する1つの穴(やはり図では認識できない)を有する。ボスおよび穴は、前に説明した実施形態のように、上側基板20が下側基板10に結合可能であるように、互いにスナップ嵌合することができる。さらなる態様では、下側基板10は、それの中央付近に1つのボスを有する場合があり、上側基板20は、それの中央付近にボスに対応する1つの穴を有する場合がある。
図11は、上述のアプリケータにある隆起部24に対応する機能を示していないが、そのような機能がさらに追加される場合があることは明らかである。
【0049】
図12は、本発明のさらに別の実施形態によるアプリケータの斜視図である。この代替実施形態では、下側基板10および上側基板20は、ヒンジ30以外の場所で上側基板20を下側基板10に結合するために、重なっている側縁部で互いに溶着される。この実施形態では、下側基板10および上側基板20は、超音波溶着、熱溶着、または誘導加熱溶着によって、側縁部に沿って所定の長さ(たとえば、数mm~数10mm)にわたり連続的に溶着される。
図12では、溶着されたエリアは、参照文字「W」で示されている。この溶着は、ドット状に、またはドットの列状に実施されてもよい。溶着による下側基板10と上側基板20の結合は、温度および湿度に対するより高い耐性が必要とされる場合、好ましい。
図12もまた、上述のアプリケータにある隆起部24に対応する機能を示していないが、そのような機能がさらに追加される場合があることは明らかである。
【0050】
さらなる態様では、下側基板10および上側基板20は、ヒンジ30以外の場所で上側基板20を下側基板10に結合するために、それの2つの側縁部の各々で互いに接着される、または他の方法で接合される場合がある。実際には、下側基板10と上側基板20の結合に溶着が使用されるとき、溶着プロセスは、それらの間につけまつげ100をセットした後に行われる。
【0051】
以下で、
図13を参照しながら、使用者の所望の部分、具体的には使用者の自まつげに、
図1~
図10を参照しながら説明したアプリケータ(したがってキット)を使用して、つけまつげを装着する方法について説明する。本明細書で説明する方法は、使用者の自まつげにつけまつげを「下」から装着するためのものである。しかしながら、使用者の自まつげにつけまつげを「上」から装着する方法は、当業者には明らかであろう。
【0052】
つけまつげを装着する前に、接着剤(接着剤組成物)が、
図13(a)に示すように、ブラシ130を使用して下から使用者の自まつげに塗布される。接着剤は、アクリルポリマーおよびコポリマーから選ばれてもよい。接着剤はまた、ウレタンポリマー、ポリウレタン、Bio-PSAなどのシリコーン、エチレン/酢酸ビニルポリマー、スチレンまたは天然ゴム、クロロプレン、ブタジエン、イソプレン、ネオプレンなどをベースとするブロックコポリマーから選ばれてもよい。
【0053】
その後、
図13(b)に示すように、つけまつげ100を保持するアプリケータ1、すなわちキットAは、使用者の指先でつかまれ、下から使用者の自まつげの近くに持って行かれる。鏡でチェックしながら、アプリケータ1を正確に操作することによって、次いでつけまつげ100を使用者の自まつげに接触させる(具体的には、両方の根元を互いに接触させるべきである)。結果として、つけまつげ100は、自まつげにあらかじめ塗布された接着剤により使用者の自まつげに装着される。この操作を行いながら、使用者は、重ねられた窓18、28を通して、鏡に映された使用者の顔の一部、特に使用者の眼および使用者の自まつげの周りのエリアを視覚的に確認することができる。
【0054】
最終的に、アプリケータ1は、使用者の顔から(好ましくはアプリケータ1の支持面12に平行な方向に沿って)離される。結果として、
図13(c)に示すように、つけまつげ100は、アプリケータ1から容易に解放され、使用者の自まつげにとどまる。このようにして、つけまつげ100の効率のよい、迅速な装着が完了される。
【0055】
本発明の好ましい実施形態について、図面を参照して詳細に上記で説明した。しかしながら、本発明は、これらの実施形態に限定されず、本発明の範囲から逸脱することなく、上記で説明した実施形態に、様々な改変および変更が行われる場合があり、そのような改変および変更もまた、本発明の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0056】
1 アプリケータ
10 下側基板
12 支持エリア
14a 自由縁部
14b 結合縁部
14c 側縁部
14d 側縁部
16 穴
18 窓
20 上側基板
22a 自由縁部
22b 結合縁部
22c 側縁部
22d 側縁部
24 隆起部
26 ボス
28 窓
30 ヒンジ
100 つけまつげ
110 まつげ繊維
120 ベースライン
130 ブラシ