(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-22
(45)【発行日】2024-01-05
(54)【発明の名称】臭気抑制のための組成物
(51)【国際特許分類】
C08L 23/00 20060101AFI20231225BHJP
C08L 23/26 20060101ALI20231225BHJP
C08K 3/22 20060101ALI20231225BHJP
C08L 23/04 20060101ALI20231225BHJP
【FI】
C08L23/00
C08L23/26
C08K3/22
C08L23/04
(21)【出願番号】P 2019564497
(86)(22)【出願日】2019-02-22
(86)【国際出願番号】 US2019019195
(87)【国際公開番号】W WO2019168757
(87)【国際公開日】2019-09-06
【審査請求日】2022-02-10
(32)【優先日】2018-02-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(73)【特許権者】
【識別番号】590002035
【氏名又は名称】ローム アンド ハース カンパニー
【氏名又は名称原語表記】ROHM AND HAAS COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100128484
【氏名又は名称】井口 司
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】クラソフスキー、アルカジー エル.
(72)【発明者】
【氏名】サン、クフ
(72)【発明者】
【氏名】ルー、ケレン
(72)【発明者】
【氏名】マテウッチ、スコット ティー.
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアムソン、アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】ルイス、ホセ エドアルド
(72)【発明者】
【氏名】シン、ハープリード
(72)【発明者】
【氏名】ギャラガー、ミッシェル
(72)【発明者】
【氏名】ボーンカンプ、ジェフ
【審査官】渡辺 陽子
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-059950(JP,A)
【文献】特開2014-087702(JP,A)
【文献】特開2008-274097(JP,A)
【文献】特開2001-187830(JP,A)
【文献】特開2000-015751(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 23/00
C08L 23/26
C08K 3/22
C08L 23/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
組成物であって、前記組成物の総重量に基づいて、
(A)85重量%~99重量%のオレフィン系ポリマーと、
(B)15重量%~1重量%の臭気抑制剤であって、
(i)
酸化亜鉛粒子であって、100nm~3000nmのD50粒子サイズ、前記
酸化亜鉛粒子1gあたり1m
2~9m
2の表面積、および0.008m
3/g~0.015m
3/gの多孔度を有する、
酸化亜鉛粒子、ならびに
(ii)亜鉛イオノマー、のブレンドを含む、臭気抑制剤と、を含み、
前記組成物が、ASTM D5504-12に従って測定した場合、3日間で70未満のメチルメルカプタン臭気抑制値を有する、組成物。
【請求項2】
前記オレフィン系ポリマーがエチレン系ポリマーからなる、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記エチレン系ポリマーがLLDPEである、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
組成物が、前記
酸化亜鉛粒子および前記亜鉛イオノマーに含まれる亜鉛として0.1重量%~9重量%の亜鉛を含む、請求項1~3のいずれかに記載の組成物。
【請求項5】
前記組成物が、第5族~第12族金属(ただし亜鉛は除く)を含まない、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
前記酸化亜鉛粒子対前記亜鉛イオノマーの重量%比が、前記臭気抑制剤の総重量に基づいて3:1~1:7である、請求項1~5のいずれかに記載の組成物。
【請求項7】
前記酸化亜鉛粒子対前記亜鉛イオノマーの重量%比が、前記臭気抑制剤の総重量に基づいて1:3~1:7である、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
前記臭気抑制剤が、前記組成物の総重量に基づいて1重量%~10重量%の量で存在する、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
前記
酸化亜鉛粒子が、100nm~3000nmのD50粒子サイズと、
前記
酸化亜鉛粒子1gあたり1.0m
2~5.0m
2の表面積と、
0.010m
3/g~0.015m
3/gの多孔度と、を有し、
前記組成物が、3日間で55以下のメチルメルカプタン臭気抑制値を有する、請求項7または8のいずれかに記載の組成物。
【請求項10】
前記組成物が、前記
オレフィン系ポリマーからなる連続相と、前記
亜鉛イオノマーに埋め込まれた前記
酸化亜鉛粒子のドメインからなる不連続相と、を含む、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
前記ドメインが、500nm~10,000nmの平均直径を有する、
請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
前記亜鉛イオノマーが、
エチレンモノマーと酸基を有するビニルコモノマーとのコポリマーの亜鉛塩である、請求項1~11のいずれかに記載の組成物。
【請求項13】
前記亜鉛イオノマーが、
エチレンモノマーとアクリル酸コモノマーとのコポリマーの亜鉛塩である、請求項1~12のいずれかに記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
オレフィン系ポリマーから作製された物品の多くの使用は、煩わしい悪臭に遭遇する。不快な臭気の一般的な発生源には、硫化水素(H2S)放出組成物およびチオール含有組成物が含まれる。オレフィン系ポリマー物品が臭気を除去するか、そうでなければ抑制できることが望ましい多くの用途が存在する。そのため、多くの産業は、H2S、メルカプタン、およびチオールなどの硫黄系臭気物質を気相から除去できる材料を求めている。一般的な例は、プラスチック製のゴミ袋ライナー(すなわち、オレフィン系ポリマー物品)の臭気を除去することができる能力である。
【0002】
酸化亜鉛(ZnO)粒子および亜鉛塩は、H2Sおよびメルカプタンなどの多くの臭気生成分子を消費することが知られている。他の全ての要因が等しい場合、ZnO濃度および臭気抑制は直接関連していることが既知であり、すなわち、ZnO濃度が特定のオレフィン系ポリマー物品で増加するにつれて、臭気抑制の効果も増加する。
【0003】
臭気抑制は、ZnOが増加するとともに増加するが、オレフィン系ポリマー物品に効果的に組み込むことができるZnOの量に対して制限が存在する。例えば、インフレーションフィルムトラッシュライナーの製造では、ZnO粒子の高充填により押出ダイのリップ形成が増加し、それによってフィルムの欠陥が発生する。また、ZnO粒子の高充填はヘイズを増加させ、オレフィン系ポリマーフィルムの透明性の劣化および/またはフィルムの色の劣化をもたらす。ZnO粒子の高充填は、衝撃強度およびフィルム引裂強度などの機械的特性にも悪影響を与える。それにより、加工パラメータおよび最終用途の機械的要件により、オレフィン系ポリマー組成物へのZnO粒子の充填に実際的な制限が課せられる。
【0004】
したがって、最終用途のための加工性、所望の光学、および所望の機械的特性を維持するために、好適な亜鉛充填を同時に保有しながら、改善された臭気抑制を有するオレフィン系ポリマー組成物の必要性が存在する。そのようなオレフィン系ポリマー組成物から作製された臭気抑制物品に対する必要性がさらに存在する。
【発明の概要】
【0005】
本開示は、組成物を提供する。一実施形態では、組成物は、(A)85重量%~99重量%のオレフィン系ポリマーと、(B)15重量%~1重量%の臭気抑制剤とを含む。臭気抑制剤は、(i)酸化亜鉛の粒子および(ii)亜鉛イオノマーのブレンドである。酸化亜鉛粒子は、100nm~3000nmのD50粒子サイズ、1m2/g~9m2/gの表面積、および0.020m3/g未満の多孔度を有する。組成物は、ASTM D5504-12に従って測定した場合、3日間で70未満のメチルメルカプタン臭気抑制値を有する。
【0006】
定義
元素周期表へのいずれの参照も、CRC Press,Inc.,1990-1991によって出版されたものへの参照である。この周期表における元素の族への参照は、族の番号付けの新しい表記法による。
【0007】
米国特許実務を目的として、任意の参照される特許、特許出願、または刊行物の内容は、特に定義の開示(本開示に具体的に提供される任意の定義に矛盾しない範囲で)、およびこの技術分野における一般的知識に関して、参照によりこれらの全体が本明細書に組み込まれる(または、その同等の米国版が参照によりそのように組み込まれる)。
【0008】
本明細書に開示されている数値範囲は、下限値および上限値を含む、下限値から上限値の全ての値を含む。明確な数値(例えば、1もしくは2、または3~5、または6、または7)を含む範囲については、任意の2つの明確な数値間の任意の部分範囲が含まれる(例えば、1~2、2~6、5~7、3~7、5~6など)。
【0009】
反対の記載、文脈から暗黙のうちに、またはこの技術分野において慣習的にそうでないと述べられていない限り、全ての部およびパーセントは重量に基づいており、全てのテスト方法は本開示の出願日現在のものである。
【0010】
「凝集物」とは、凝集しているか、そうでなければ一緒になって単一の塊を形成している複数の個々の固体微粒子である。
【0011】
本明細書で使用される「ブレンド」または「ポリマーブレンド」という用語は、2種以上のポリマーのブレンドである。このようなブレンドは、相溶性であっても、そうでなくてもよい(分子レベルで相分離していない)。このようなブレンドは、相分離していても、していなくてもよい。このようなブレンドは、透過電子分光法、光散乱、X線散乱、および当該技術分野において既知の他の方法から決定される、1つ以上のドメイン構成を含有していても、していなくてもよい。
【0012】
「組成物」という用語は、組成物を構成する材料の混合物、ならびに組成物の材料から形成された反応生成物および分解生成物を指す。
【0013】
「含む(comprising)」、「含む(including)」、「有する(having)」という用語、およびそれらの派生語は、それが具体的に開示されているかどうかに関わらず、任意の追加の成分、工程、または手順の存在を除外することを意図しない。いかなる疑義も回避するために、「含む(comprising)」という用語の使用を通して請求される全ての構成要素は、特段の記述がない限り、ポリマーであるか、ポリマーでないかに関わらず、任意の追加の添加剤、補助剤、または化合物を含んでもよい。その一方、「から本質的になる(consisting essentially of)」という用語は、操作性に必須ではないものを除き、いかなる後続の列挙の範囲から他の任意の構成要素、ステップ、または手順を考慮しない。「からなる(consisting of)」という用語は、具体的に描写または列挙されていない任意の構成要素、ステップ、または手順を考慮しない。「または(or)」という用語は、特段の記述がない限り、列挙されたメンバーを個別におよび任意の組み合わせを指す。単数形の使用には、複数形の使用が含まれ、またその逆も含まれる。
【0014】
「エチレン」系ポリマー」は、(重合可能モノマーの総量に基づいて)50重量パーセント(重量%)超の重合エチレンモノマーを含有し、任意選択で少なくとも1つのコモノマーを含有し得るポリマーである。エチレン系ポリマーは、エチレンホモポリマー、およびエチレンコポリマー(エチレンおよび1つ以上のコモノマーから誘導される単位を意味する)を含む。「エチレン系ポリマー」および「ポリエチレン」という用語は、同義に使用され得る。エチレン系ポリマー(ポリエチレン)の非限定的な例としては、低密度ポリエチレン(LDPE)および直鎖状ポリエチレンが挙げられる。直鎖状ポリエチレンの非限定的な例としては、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、超低密度ポリエチレン(ULDPE)、極低密度ポリエチレン(VLDPE)、多成分エチレン系コポリマー(EPE)、エチレン/α-オレフィンマルチブロックコポリマー(オレフィンブロックコポリマー(OBC)としても知られる)、実質的に直鎖状または直鎖状のプラストマー/エラストマー、および高密度ポリエチレン(HDPE)が挙げられる。一般に、ポリエチレンは、チーグラーナッタ触媒などの不均一触媒系、4族遷移金属およびメタロセン、非メタロセン金属中心、ヘテロアリール、ヘテロ原子アリールオキシエーテル、ホスフィンイミンなどの配位子構造を含む均一触媒系を使用して、気相流動床反応器、液相スラリープロセス反応器、または液相溶液プロセス反応器で生成され得る。不均一触媒および/または均一触媒の組み合わせもまた、単一反応器または二重反応器構成のいずれにおいても使用され得る。
【0015】
「エチレンプラストマー/エラストマー」は、エチレンから誘導される単位および少なくとも1つのC3~C10α-オレフィンコモノマーから誘導される単位を含む均一な短鎖分岐分布を含有する、実質的に直鎖状または直鎖状エチレン/α-オレフィンコポリマーである。エチレンプラストマー/エラストマーは、0.870g/cc~0.917g/ccの密度を有する。エチレンプラストマー/エラストマーの非限定的な例には、AFFINITY(商標)プラストマーおよびエラストマー(Dow Chemical Companyから市販されている)、EXACT(商標)プラストマー(ExxonMobil Chemicalから市販されている)、Tafmer(商標)(Mitsuiから市販されている)、Nexlene(商標)(SK Chemicals Co.から市販されている)、ならびにLucene(商標)(LG Chem Ltd.から市販されている)が挙げられる。
【0016】
「高密度ポリエチレン」(または「HDPE」)は、エチレンホモポリマー、または少なくとも1つのC4-C10α-オレフィンコモノマーもしくはC4-C8α-オレフィンコモノマーを有するエチレン/α-オレフィンコポリマーであり、0.940g/cc、もしくは0.945g/cc、もしくは0.950g/cc、0.953g/cc~0.955g/cc、もしくは0.960g/cc、もしくは0.965g/cc、もしくは0.970g/cc、もしくは0.975g/cc、もしくは0.980g/ccの密度を有する。HDPEは、単峰性コポリマーまたは多峰性コポリマーであり得る。「単峰性エチレンコポリマー」は、分子量分布を示すゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)において1つの明確なピークを有するエチレン/C4~C10α-オレフィンコポリマーである。「多峰性エチレンコポリマー」は、分子量分布を示すGPC中に少なくとも2つの異なるピークを有するエチレン/C4~C10α-オレフィンコポリマーである。多峰性は、2つのピークを有するコポリマー(二峰性)ならびに3つ以上のピークを有するコポリマーを含む。HDPEの非限定的な例は、DOW(商標)高密度ポリエチレン(HDPE)樹脂(Dow Chemical Companyから市販されている)、ELITE(商標)強化ポリエチレン樹脂(Dow Chemical Companyから市販されている)、CONTINUUM(商標)二峰性ポリエチレン樹脂(Dow Chemical Companyから市販されている)、LUPOLEN(商標)(Lyondell Basellから市販されている)、ならびにBorealis、Ineos、およびExxonMobilからのHDPE製品を含む。
【0017】
「インターポリマー」は、少なくとも2つの異なるモノマーの重合によって調製されるポリマーである。この総称は、2種の異なるモノマーから調製されるポリマーを指すために通常用いられるコポリマー、および3種以上の異なる種類のモノマーから調製されるポリマー、例えばターポリマー、テトラポリマー等を含む。
【0018】
「直鎖状低密度ポリエチレン(または「LLDPE」)」は、エチレンから誘導される単位および少なくとも1つのC3~C10α-オレフィン、またはC4~C8α-オレフィンコモノマーから誘導される単位を含む不均一な短鎖分岐分布を含有する、直鎖状エチレン/α-オレフィンコポリマーである。LLDPEは、従来のLDPEとは対照的に、たとえあったとしても少しの長鎖分岐を特徴とする。LLDPEは、0.910g/cc~0.940g/cc未満の密度を有する。LLDPEの非限定的な例としては、TUFLIN(商標)直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(The Dow Chemical Companyから入手可能)、DOWLEX(商標)ポリエチレン樹脂(Dow Chemical Companyから入手可能)、およびMARLEX(商標)ポリエチレン(Chevron Phillipsから入手可能)が挙げられる。
【0019】
「低密度ポリエチレン」(または「LDPE」)は、エチレンホモポリマー、または0.915g/cc~0.940g/ccの密度を有し、かつ広いMWDを有する長鎖分岐を含む少なくとも1つのC3~C10α-オレフィンまたはC4~C8α-オレフィンを含むエチレン/α-オレフィンコポリマーからなる。LDPEは、典型的に、高圧フリーラジカル重合(フリーラジカル開始剤を有する管状反応器またはオートクレーブ)によって生成される。LDPEの非限定的な例としては、MarFlex(商標)(Chevron Phillips)、LUPOLEN(商標)(Lyondell Basell)、ならびにBorealis、Ineos、ExxonMobilなどからのLDPE製品が挙げられる。
【0020】
「多成分エチレン系コポリマー」(または「EPE」)は、エチレンから誘導される単位、および特許文献米国特許第6,111,023号、同第5,677,383号、および同第6,984,695号に記載の、少なくとも1つのC3~C10α-オレフィン、またはC4~C8α-オレフィンコモノマーから誘導される単位を含む。EPE樹脂は、0.905g/cc~0.962g/ccの密度を有する。EPE樹脂の非限定的な例には、ELITE(商標)強化ポリエチレン(Dow Chemical Companyから市販されている)、ELITEAT(商標)先端技術樹脂(Dow Chemical Companyから市販されている)、SURPASS(商標)ポリエチレン(PE)樹脂(Nova Chemicalsから市販されている)、およびSMART(商標)(SK Chemicals Co.から市販されている)が挙げられる。
【0021】
「オレフィン系ポリマー」または「ポリオレフィン」は、(重合可能モノマーの総量に基づいて)50重量パーセント超の重合オレフィンモノマーを含有するポリマーであり、任意選択で、少なくとも1つのコモノマーを含み得る。オレフィン系ポリマーの非限定的な例には、エチレン系ポリマーまたはプロピレン系ポリマーが挙げられる。
【0022】
「ポリマー」は、同一の種類または異なる種類であるかに関わらず、重合形態でポリマーを構成する複数のおよび/または繰り返しの「単位」または「mer単位」を提供するモノマーを重合することによって製造される化合物である。したがって、一般的な用語ポリマーは、通常1種類のみのモノマーから調製されるポリマーを指すのに用いられる、用語ホモポリマー、および通常少なくとも2種類のモノマーから調製されるポリマーを指すのに用いられる、用語コポリマーを包含する。また、例えばランダム、ブロック等の全ての形態のコポリマーも包含する。「エチレン/α-オレフィンポリマー」および「プロピレン/α-オレフィンポリマー」という用語は、それぞれ重合エチレンまたはプロピレンと、1つ以上の追加の重合性α-オレフィンモノマーとから調製される、上に説明するコポリマーを示す。ポリマーはしばしば、1つ以上の特定のモノマー「から作製される」、特定のモノマーもしくはモノマーの種類「に基づく」、または特定のモノマー含有量「を含有する」等として称されるものの、この文脈において、「モノマー」という用語は、非重合種ではなく、特定のモノマーの重合レムナントを指していることが理解されることに留意されたい。一般的に、本明細書におけるポリマーは、対応するモノマーの重合形態である「単位」に基づいていると称される。
【0023】
「プロピレン系ポリマー」は、(重合可能モノマーの総量に基づいて)50重量パーセント超の重合プロピレンモノマーを含有するポリマーであり、任意選択で、少なくとも1つのコモノマーを含み得る。プロピレン系ポリマーには、プロピレンホモポリマー、およびプロピレンコポリマー(プロピレンおよび1つ以上のコモノマーに由来する単位を意味する)が挙げられる。「プロピレン系ポリマー」および「ポリプロピレン」という用語は、交換可能に使用され得る。好適なプロピレンコポリマーの非限定的な例としては、プロピレンインパクトコポリマーおよびプロピレンランダムコポリマーが挙げられる。
【0024】
「超低密度ポリエチレン(または「ULDPE」)」、および「極低密度ポリエチレン(または「VLDPE」)」は各々、エチレンから誘導される単位および少なくとも1つのC3~C10α-オレフィンコモノマーから誘導される単位を含む不均一な短鎖分岐分布を含む、直鎖状エチレン/α-オレフィンコポリマーである。ULDPEおよびVLDPEはそれぞれ、0.885g/cc~0.915g/ccの密度を有する。ULDPEおよびVLDPEの非限定的な例としては、ATTANE(商標)超低密度ポリエチレン樹脂(Dow Chemical Companyから入手可能)およびFLEXOMER(商標)極低密度ポリエチレン樹脂(Dow Chemical Companyから入手可能)が挙げられる。
【0025】
試験方法
D10、D50、およびD90粒子サイズは、Coulter Corporationから入手可能なCoulter LS230レーザー光散乱粒径測定器を使用して測定する。D10粒子サイズは、粉末の質量の10%がこの値未満の直径を有する粒子からなる粒径である。D50粒子サイズは、粉末の質量の50%がこの値未満の直径を有する粒子からなり、粉末の質量の50%が当該値を超える直径を有する粒子からなる粒径である。D90粒子サイズは、粉末の質量の90%がこの値未満の直径を有する粒子からなる粒径である。中央体積平均粒子サイズは、Coulter Corporationから入手可能なCoulter LS230レーザー光散乱粒径測定器を使用して測定する。粒子サイズ分布を、等式Aに従って計算する。
【数1】
【0026】
ダーツ衝撃強度は、ASTM D1709に従って測定され、結果はグラム(g)で報告される。
【0027】
密度は、ASTM D792、方法Bに従って測定される。結果は、1立方センチメートルあたりのグラム(g/cc)で記録される。
【0028】
示差走査熱量測定(DSC)。示差走査熱量測定(DSC)を使用して、広範囲の温度にわたるポリマーの溶融、結晶化、およびガラス転移挙動を測定することができる。例えば、RCS(冷蔵冷却システム)およびオートサンプラを備えたTA Instruments Q1000 DSCを使用し、この分析を行う。試験中、50mL/分の窒素パージガス流を使用する。各試料を約175℃で薄フィルムに溶融圧縮し、その後、溶融試料を室温(約25℃)まで空冷する。3~10mg、6mmの直径の試料は、冷却されたポリマーから抽出され、秤量され、軽いアルミニウムパン(約50mg)内に載置され、圧着閉鎖される。次いで、その熱的特性を決定するために分析を行う。
【0029】
試料の熱挙動は、試料温度に上下の勾配を付けて熱流量対温度プロファイルを作成することによって決定する。熱履歴を除去するために、まず、試料を180℃まで急速に加熱し、3分間等温保持する。次に、試料を10℃/分の冷却速度で-40℃まで冷却し、-40℃で3分間等温保持する。次いで、試料を10℃/分の加熱速度で180℃まで加熱する(これは「第2の加熱」勾配である)。冷却および第2の加熱曲線を記録する。冷却曲線は、結晶化の開始から-20℃までのベースライン終点を設定することによって分析される。熱曲線は、ベースライン終点を-20℃から溶融終点に設定することによって分析される。決定した値は、外挿された融解開始Tmおよび外挿された結晶化開始Tcである。(1グラムあたりのジュール単位の)融解熱(Hf)、および以下の等式を使用して計算されたポリエチレン試料の結晶化度%:結晶化度%=((Hf)/292J/g)x100。ガラス転移温度Tgは、Bernhard Wunderlich,The Basis of Thermal Analysis,in Thermal Characterization of Polymeric Materials 92,278-279(Edith A.Turi ed.,2d ed.1997)に記載のように、試料の半分で液体熱容量が増加したDSC加熱曲線から決定する。ガラス転移領域の下および上からベースラインを引き、Tg領域を介して外挿する。試料の熱容量がこれらのベースラインの中間となる温度は、Tgである。
【0030】
エルメンドルフ引裂(または引裂)は、ASTM D1922-15、機械方向(MD)に従って測定され、結果はグラム力(gf)で報告される。
【0031】
ASTM D1238(230℃/2.16kg)に従ってg/10分でのメルトフローレート(MFR)を測定する。
【0032】
ASTM D1238(190℃/2.16kg)に従ってg/10分でのメルトインデックス(MI)(I2)を測定する。
【0033】
形態。ポリマーの形態(および特に亜鉛イオノマー/酸化亜鉛ドメインのサイズ)は、光学顕微鏡(OM)および走査型電子顕微鏡(SEM)を利用した顕微鏡法によって決定される。
【0034】
A.試料調製
OMおよびSEM-フィルムを受け取った状態で検査し、FC7凍結切片作製チャンバーを備えたLeica UC7ミクロトームで、-80℃でダイヤモンドナイフを使用して低温で断面を作製する。厚さ約5ミクロンのフィルム断面を、浸漬油を含むガラススライド上に置き、ガラスカバースリップで覆う。SEM検査のために、低温研磨されたフィルムの断面をアルミニウムの試料マウントに置き、Emitech K575Xターボスパッタコーターを使用して20秒間イリジウムプラズマでスパッタして、走査型電子顕微鏡用に試料を導電性にする。
【0035】
B.技術
OM-オリンパスヴァノックス(Vanox)の研究用顕微鏡が透過型ノマルスキーの下で使用され、断面から画像をキャプチャする。Leica MZ-16ステレオ顕微鏡もまた、透過照明および反射照明の下で使用される。画像はOlympus Streamデジタルソフトウェアを使用してキャプチャされる。
【0036】
SEM/EDX-FEI Nano600走査電子顕微鏡は10kVの加速電圧で動作し、二次および後方散乱電子画像(SEIおよびBEI)をキャプチャした。
【0037】
臭気抑制/臭気抑制値。臭気抑制は、揮発性の硫黄含有化合物の量を中和するか、さもなければ低減する組成物の能力である。本開示において、メチルメルカプタンの臭気抑制は、ASTM D5504-12に従って、飛行時間型質量分析(GCxGC/TOFMS)と組み合わせた二次元ガスクロマトグラフィーで測定される。DOWLEX 2085Gから形成されたフィルム、エチレン/オクテンLLDPEをTedlar(登録商標)バッグ(ポリフッ化ビニル)に入れることにより、対照試料を調製する。その後、対照用のTedlar(登録商標)バッグに、ヘリウムガスキャリア内の既知量のメチルメルカプタンを充填し、Tedlar(登録商標)バッグを閉じる。試験試料は、それぞれの試験組成物から形成されたフィルムを置くことにより調製され、各試験フィルムはそれぞれのTedlar(登録商標)バッグに入れられる。その後、各Tedlar(登録商標)バッグに、ヘリウムガスキャリア内の既知量のメチルメルカプタンを充填し、Tedlar(登録商標)バッグを閉じる。臭気抑制能力を評価するために、各バッグからGC試料を所定の時間間隔で採取する。試験試料のメチルメルカプタン濃度をLLDPE対照メチルメルカプタン濃度で割ることにより、各試験試料の臭気抑制値(OSV)を計算する。各試験試料の臭気抑制値は、対照フィルムのメチルメルカプタン濃度のパーセンテージとして報告される。
【0038】
臭気抑制試験は以下に示されるように実施される。
【0039】
試料調製:
1.フィルムは、1.0gのフィルムを細長い片(約1cmx30cm)に切断することで形成される。
【0040】
2.各フィルムは、各Tedlar(登録商標)バッグに挿入される(1個のバッグにつき1枚のフィルム)。Tedlar(登録商標)バッグは、SKC 1L試料バッグ(SKC Tedlar(登録商標)試料バッグ、1リットル、カタログ番号232-01)である。
【0041】
3.Tedlar(登録商標)バッグからバルブを外し、綿棒の柄を使用して、フィルムの細長い片をバルブの開口部を通してバッグに挿入する。バルブを試料バッグに戻し、バルブを締めてバッグを密封する前に、バッグから空気を絞り出す。
【0042】
4.Tedlar(登録商標)バッグに、0.98Lのヘリウム(AirGas、Ultra Grade Helium)を充填する。
【0043】
5.気密性ガラスシリンジを使用して、ヘリウムを充填した各Tedlar(登録商標)バッグに、1000ppmvのメチルメルカプタンを含む20mLのヘリウムガスを注入する。
【0044】
6.0.50mLの気体試料を、所定の時間間隔で各Tedlar(登録商標)バッグから取り出す。
【0045】
7.各0.50mLの気体試料をGCxGC/TOFMSに注入して、メチルメルカプタン濃度を分析する。ガスクロマトグラフ:LECO熱脱着GCxGC変調器およびスプリット注入口を装備したAgilentモデル6890(Agilent Technologies、2850 Centerville Road,Wilmington,DE 19808から入手可能)、または同等品。検出器:LECO Pegasus飛行時間型質量分析計(TOFMS)(LECO Corporation、3000 Lakeview Avenue,Saint Joseph,MI 49085から入手可能)、または同等品。クロマトグラフィーデータシステム:LECO ChromaTOF 4Dソフトウェア(LECO Corporationから入手可能)、または同等品。カラム:一次カラム:Supelco Petrocol DH、50mX0.25mm ID、0.50μm、二次カラム:Agilent DB-1701、1.5mX0.10mm ID、0.10μmのフィルム厚。二次カラムは主要GCオーブン内にある。GCxGC変調:2次元目の分離時間:3秒、熱パルス時間:0.40秒、ステージ間の冷時間:1.10秒。変調器の温度オフセット:主要オーブンの15℃上。キャリアガス:圧力ランプを介して補正された一定流量の1.5mL/分のヘリウム。注入口:Woolを有する4.0mm ID Precision Inlet Liner(カタログ番号21023-213.5)で無効化されるRestek Siltek(Restekから入手可能)、または同等品。スプリット注入モード、スプリット比:30:1、温度:250℃。
【0046】
8.注入量:気密ガラスシリンジによる0.50mLの気体試料。オーブン温度:主要GCオーブン:40℃、8分。補助オーブン:オフ(使用されていない)。LECO TOFMS検出器:低質量:20;高質量:150;取得率:100Hz;検出器電圧:1650ボルト;電子エネルギー:-70ボルト;質量検出モード:自動;トランスファーライン:250℃;イオン源:200℃;溶媒遅延:0分。
【0047】
9.臭気抑制計算。臭気抑制=(X日目の試料試験バッグ(試料フィルム)中の濃縮ガス)/(X日目の対照フィルムを有する試験バッグ中の濃縮ガス)*100。
【0048】
非限定的なOSV計算の例が提供される。3日間で、対照試料のメチルメルカプタンのGCピーク面積のピーク面積は119221であるが、試料フィルムのGCピーク面積は30566である(両方とも任意の単位)。試料の臭気抑制値は(30566/119221)*100=57.8である。メチルメルカプタンの濃度をメチルメルカプタンのGCピーク面積と相関させるために、較正曲線を生成する。そのようにして、メチルメルカプタンのGCピーク面積またはメチルメルカプタンの濃度を使用して、臭気抑制値を計算することができ、ピーク面積はピーク面積と比較され、濃度は濃度と比較される。
【0049】
多孔度および表面積。ブルナウアー-エメット-テラー(Brunauer-Emmett-Teller)(BET)多孔度および表面積分析は、Micromeritics社の加速表面積および圧入法機器(ASAP 2420)を用いて実施される。試料は、分析前に真空下で、105℃でガス抜きされる。
【0050】
ASAP 2420機器は、試料の静的(容量)測定法を採用しており、液体窒素温度で固体に物理的に吸着(物理吸着)することができる気体の量を測定する。多点BET測定のために、窒素吸収量を、予め選択された相対圧力点で、一定温度で測定する。相対圧力は、77ケルビン(K)の分析温度での窒素の蒸気圧に対して加えられた窒素の圧力比である。多孔度の結果は、1グラムあたりの立方メートル、またはm3/gで報告される。表面積の結果は、1グラムあたりの平方メートル、またはm2/gで報告される。
【0051】
亜鉛総量。組成物中に存在する亜鉛の総量は、ASTM D6247に従って、X線蛍光分光法(XRS)を用いて決定される。結果は100万分の1、またはppmで報告される。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【
図1】酸化亜鉛粒子がその中に分散されたポリエチレンを含む従来技術の組成物の走査型電子顕微鏡(SEM)画像である。
【
図2】本開示の一実施形態による、オレフィン系ポリマーとその中に分散された臭気抑制剤とを含む組成物のSEM画像である。
【発明を実施するための形態】
【0053】
本開示は、組成物を提供する。一実施形態では、臭気を抑制するための組成物が提供され、(A)85重量%~99重量%のオレフィン系ポリマーと、(B)15重量%~1重量%の臭気抑制剤とを含む。臭気抑制剤は、(Bi)酸化亜鉛の粒子および(Bii)亜鉛イオノマーからなるブレンドである。酸化亜鉛粒子(Bi)は、100nm~3000nmのD50粒子サイズ、1m2/g~9m2/gの表面積、および0.020m3/g未満の多孔度を有する。組成物は、ASTM D5504-12に従って測定された場合、メチルメルカプタンへの3日間の曝露で70未満のメチルメルカプタン臭気抑制値を有する。
【0054】
A.オレフィン系ポリマー
本組成物は、オレフィン系ポリマーを含む。オレフィン系ポリマーは、プロピレン系ポリマーまたはエチレン系ポリマーであり得る。プロピレン系ポリマーの非限定的な例としては、プロピレンコポリマー、プロピレンホモポリマー、およびそれらの組み合わせが挙げられる。一実施形態では、プロピレン系ポリマーは、プロピレン/α-オレフィンコポリマーである。好適なα-オレフィンの非限定的な例としては、C2およびC4~C20α-オレフィン、またはC4~C10α-オレフィン、またはC4~C8α-オレフィンが挙げられる。代表的なα-オレフィンとしては、エチレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、および1-オクテンが挙げられる。
【0055】
一実施形態では、プロピレン/α-オレフィンコポリマーは、プロピレン/エチレンコポリマーの重量に基づいて、プロピレンから誘導される単位を50重量%超、または51重量%、または55重量%、または60重量%~70重量%、または80重量%、または90重量%、または95重量%、またはプロピレンから誘導される単位を99重量%含有するプロピレン/エチレンコポリマーである。プロピレン/エチレンコポリマーは、プロピレン/エチレンコポリマーの重量に基づいて、逆数的な量のエチレンから誘導される単位を、すなわち50重量%未満、または49重量%、または45重量%、または40重量%~30重量%、または20重量%、または10重量%、または5重量%、または1重量%、または0重量%のエチレンから誘導される単位を含む。
【0056】
一実施形態では、オレフィン系ポリマーは、エチレン系ポリマーである。エチレン系ポリマーは、エチレンホモポリマーまたはエチレン/α-オレフィンコポリマーであり得る。
【0057】
一実施形態では、エチレン系ポリマーは、エチレン/α-オレフィンコポリマーである。好適なα-オレフィンの非限定的な例としては、C3~C20α-オレフィン、またはC4~C10α-オレフィン、またはC4~C8α-オレフィンが挙げられる。代表的なα-オレフィンとしては、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、および1-オクテンが挙げられる。
【0058】
一実施形態では、エチレン/α-オレフィンコポリマーは、エチレン/C4~C8α-オレフィンコポリマーであるLLDPEである。LLDPEは、以下の特性のうちの1つ、いくつか、または全てを有する。
【0059】
(i)0.910g/cc~0.930g/ccの密度、および/または
(ii)121℃~123℃のTm、および/または
(iii)0.5g/10分~1.0g/10分のメルトインデックス。
【0060】
好適なLLDPEの非限定的な例は、Dow Chemical Companyから入手可能なDOWLEX 2085である。
【0061】
B.臭気抑制剤
本組成物は臭気抑制剤を含む。臭気抑制剤は、酸化亜鉛(「ZnO」)粒子(Bi)および亜鉛イオノマー(Bii)のブレンドである。
【0062】
B(i)酸化亜鉛
臭気抑制剤は、酸化亜鉛(または「ZnO」)の粒子を含む。ZnO粒子は、100nm~3000nmのD50粒子サイズ、1m2/g~10m2/g未満の表面積、および0.020m3/g未満の多孔度を有する。
【0063】
一実施形態では、ZnO粒子は、以下の特性(i)~(iii)のうちの1つ、いくつか、または全てを有する。
【0064】
(i)100nm、または200nm、または300nm、または400nm~500nm、または600nm、または700nm、または800nm、または900nm、または1000nm、または2000nm、または3000nmの粒子サイズD50、および/または
(ii)1m2/g、または2m2/g、または3m2/g、または4m2/g~5m2/g、または6m2/g、または7m2/g、または8m2/g、または9m2/gの表面積、および/または
(iii)0.005m3/g、または0.006m3/g、または0.008m3/g、または0.010m3/g~0.012m3/g、または0.013m3/g、または0.015m3、または0.020m3/g未満の多孔度。
【0065】
好適なZnO粒子の非限定的な例には、Zochem Inc.からのZochem 102、Zochem 104、およびUS Research Nanoparticlesから入手可能なZnO粒子が挙げられる。
【0066】
B(ii)亜鉛イオノマー
臭気抑制剤は亜鉛イオノマーを含む。本明細書で使用される「亜鉛イオノマー」(または「ZnI/O」)という用語は、エチレンと酸基を有するビニルコモノマーとのコポリマーの亜鉛塩に基づくコポリマーを指す。酸基を有するビニルコモノマーを有する好適なコモノマーの非限定的な例には、メチル/メタクリル酸、ビニルアクリル酸、メタクリレート、n-ブチルアクリル酸、およびアクリル酸が挙げられる。
【0067】
亜鉛イオノマーは、結合がイオン性(すなわち、鎖間イオン結合)ならびに共有結合である架橋ポリマーである。亜鉛イオノマーは正および負に帯電した基を有し、これらは互いに関連しておらず、極性特性を有する亜鉛イオノマーを提供する。
【0068】
好適な亜鉛イオノマーの非限定的な例には、エチレン/アクリル酸コモノマーの亜鉛塩、エチレン/メチル-メタクリル酸コポリマーの亜鉛塩、エチレン/ビニルアクリル酸コポリマーの亜鉛塩、エチレン/メタクリル酸コポリマーの亜鉛塩、エチレン/n-ブチルアクリル酸コポリマーの亜鉛塩、およびそれらの任意の組み合わせが挙げられる。
【0069】
一実施形態では、亜鉛イオノマーは、エチレン/アクリル酸コポリマーの亜鉛塩である。好適な亜鉛イオノマーの非限定的な例は、Dow Chemical Companyから入手可能なAMPLIFY I/O 3701である。
【0070】
C.組成物
本組成物は、(A)85重量%~99重量%のオレフィン系ポリマーと、(B)15重量%~1重量%の臭気抑制剤とを含む。臭気抑制剤は、オレフィン系ポリマーマトリックスに混合されるか、さもなければブレンドされる。臭気抑制剤は、(Bi)酸化亜鉛(ZnO)粒子および(Bii)亜鉛イオノマー(ZnI/O)のブレンドである。酸化亜鉛粒子は、100nm~3000nmのD50粒子サイズ、1m2/g~9m2/gの表面積、および0.020m3/g未満の多孔度を有し、以下で組成物1と称される。組成物1は、メチルメルカプタンへの3日間の曝露で70未満のメチルメルカプタン臭抑制値を有する。
【0071】
臭気抑制剤は、組成物1の1重量%~15重量%の量(組成物1の総重量に基づく)で存在し、ZnO対ZnI/Oの比(以下、「ZnO-対ZnI/Oの比」)は、臭気抑制剤の重量に基づいて3:1~1:7である。ZnO-対ZnI/Oの比は、3:1、または2:1、または1:1~1:2、または1:3、または1:4、または1:5、または1:6、または1:7であり得る。
【0072】
一実施形態では、本組成物は、エチレン系ポリマーである85重量%、または90重量%~95重量%、または97重量%、または99重量%の構成成分(A)を含む。本組成物は、構成成分(B)の逆量、または15重量%、または10重量%~5重量%、または3重量%、または1重量%の臭気抑制剤を含み、ZnO-対ZnI/Oの比は1:3、または1:4、または1:5~1:6、または1:7である。酸化亜鉛粒子(Bi)は、100nm、または200nm、または300nm、または400nm~500nm、または600nm、または700nm、または800nm、または900nm、または1000nm、または2000nm、3000nmのD50粒子サイズを有し、酸化亜鉛粒子もまた、1m2/g、または2m2/g、または3m2/g~4m2/g、または5m2/g、または6m2/gの表面積を有し、酸化亜鉛粒子もまた、0.0050m3/gの、または0.0070m3/g、または0.0090m3/g~0.010m3/g、または0.013m3/g~0.015m3/gの多孔度を有し、以下で組成物2と称される。組成物2は、メチルメルカプタンへの3日間の曝露で55以下のメチルメルカプタン臭抑制値を有する。
【0073】
一実施形態では、組成物2は、1000ppm、または5000ppm、または10000ppm、または20000~30000ppm、または40000ppm、または50000ppm、または60000ppm、または90000ppmの総亜鉛を含む。本明細書で使用される場合、「総亜鉛」という用語は、酸化亜鉛(Bi)および亜鉛イオノマー(Bii)からの亜鉛金属の凝集体である。
【0074】
一実施形態では、エチレン系ポリマー(A)は、いかなる他のポリマーも除いた組成物中に存在する(臭気抑制剤中のZnI/Oを除く)。言い換えれば、エチレン系ポリマーは、亜鉛イオノマー以外の組成物中の単独のポリマー構成成分(唯一のポリマー構成成分)である。さらなる実施形態では、単独のポリマー構成成分はLLDPE(亜鉛イオノマー以外)である。
【0075】
一実施形態では、国際純粋応用化学連合(IUPAC)第5族金属~IUPAC第12族金属を除いた総亜鉛が組成物2に存在する。本明細書で使用される「第5族金属から第12族金属」には、IUPAC第5族金属(Chemical Abstracts Service[CAS]VB)、IUPAC第6族金属(CAS VIB)、IUPAC第7族金属(CAS VIIB)、IUPAC第8族金属(CAS VIIIB)、IUPAC第9族金属(CAS VIIIB)、IUPAC第10族金属(CAS VIIIB)、IUPAC第11族金属(CAS 1B)、IUPAC第12族金属(CAS IIB)が挙げられる。亜鉛は第12族金属であり、カドミウムおよび水銀に適用することを除くこと理解される。本明細書で使用される「他の第5族~第12族金属を除いた総亜鉛が存在する」という用語は、組成物中の亜鉛の存在および第5族~第12族金属の不在を指し、組成物は、0ppm、または0ppm超、または1ppm、または2ppm~3ppmの第5族金属~第12族金属を含む。
【0076】
一実施形態では、組成物2は異相組成物であり、エチレン系ポリマー、構成成分(A)、および成分(B)の不連続相からなる連続相を含む。不連続相は、別々のドメインの形態である。ドメインは、亜鉛イオノマーに埋め込まれた酸化亜鉛粒子からなる。ドメイン(ZnO粒子がその中に埋め込まれた亜鉛イオノマー)は、OM/SEM顕微鏡法に従って測定した場合、500nm~1000nm、または3000nm~5,000nm、または7,500nm、または10,000nmの平均直径を有する。
【0077】
出願人は、1:3~1:7のZnO-対ZnI/Oの比、(i)100nm~3000nmのD50粒子サイズ、(ii)1m2/g~6m2/gの表面積、および(iii)0.005m3/g~0.015m3/gの多孔度を有するZnOを含む臭気抑制剤を有する組成物2が、臭気抑制において予想外の改善をもたらすことを発見した。ドメインは、エチレン系ポリマーからなる連続相に均一に分散される。
【0078】
D.用途
本組成物は、ポリマー材料、特にオレフィン系ポリマーが、メルカプタン、H2S、ジスルフィド、またはアミンに曝露されるあらゆる用途に使用され得る。本組成物の好適な用途の非限定的な例には、ごみライナー、家禽用おむつ、オストミーバッグ、マットレス、マットレスカバー、家禽包装、自動車内装部品、カーペット繊維、およびカーペット裏地が挙げられる。
【0079】
一実施形態では、組成物はフィルムに形成される。フィルムは、本組成物を含み、本組成物は(A)85重量%~99重量%のオレフィン系ポリマーと、(B)15重量%~1重量%の臭気抑制剤とからなる。臭気抑制剤は、(i)酸化亜鉛の粒子および(ii)亜鉛イオノマーからなるブレンドある。酸化亜鉛粒子は、100nm~3000nmのD50粒子サイズ、1m2/g~9m2/gの表面積、および0.020m3/g未満の多孔度を有する。組成物は、ASTM D5504-12に従って測定した場合、3日間で70未満のメチルメルカプタン臭気抑制値を有する。
【0080】
一実施形態では、フィルムは、組成物2から形成されたインフレーションフィルムであり、組成物2は、3日間で70未満の臭気抑制値を有し、インフレーションフィルムは、
【0081】
(i)600g、または700g、または750g~775g、または800g、または825gのダート衝撃強度、および/または
(ii)300gf、または350gf、または375gf~400gf、または425gfのエルメンドルフ引裂強度を有する。
【0082】
他の全ての要因が等しい場合、ポリマー組成物に存在するZnOが多いほど、臭気抑制能力が高い。ZnO粒子の表面積および気体臭気抑制は直接的な相関関係をたどり、ZnO粒子の表面積が大きいほど臭気抑制能力が高い。同様に、ZnO粒子の多孔度および気体臭気抑制もまた直接の相関関係をたどり、ZnO粒子の多孔度が大きいほど臭気抑制能力が高い。
【0083】
ZnO充填およびZnO粒子の形態は、ポリマーマトリックス中に存在する場合、加工性および物理的特性に影響する。表面積の大きいZnO粒子(すなわち、10m2/g以上の表面積を有するZnO粒子)は、ZnO粒子が埋め込まれているマトリックスポリマーの粘度を増加させる傾向があり、ポリマーの溶融処理を低下させ得る。表面積の大きいZnO粒子はまた、ポリマーマトリックスへのZnO粒子の均一な分散も阻害する。さらに、ポリマーマトリックスに添加された大きなZnO粒子(平均直径が3ミクロンを超えるZnO粒子)は、ポリマーフィルムの特性を低下させることが知られている。大きなZnO粒子は問題が多く、しばしば、ポリマーマトリックス内の亀裂、裂け目、ひび割れの開始部位として作用し、引裂強度、伸長、およびダート衝撃などの物理的特性を低下させる。
【0084】
驚くべきことに、本組成物(すなわち、組成物1および/または組成物2)は、加工性を損なうことなく、かつフィルム特性を損なうことなく、同じまたはより良好な臭気抑制能力を呈する。出願人は、ZnI/OがZnOと相乗的に働き、より多くのZnOを含むZnOポリマーマトリックスシステムと比較して、より少ない総亜鉛(およびより少ないZnO)で臭気抑制を改善することを発見した。ZnI/O単独では、臭気抑制能力はほとんどないか、またはまったくない。D50 100~3000nmのZnO粒子、1~9m2/gの表面積、および0.02m3/g未満の多孔度と組み合わせた場合、臭気抑制を相乗的に改善するZnI/Oの能力は予想外である。
【0085】
一例として、これに限定されないが、本開示のいくつかの実施形態について以下の実施例において以下に詳細に説明される。
【実施例】
【0086】
実施例で使用される材料を、以下の表1に提供する。
【表1】
【0087】
1.フィルム
CS1~CS8およびIE1~IE8の組成物は、LLDPE、ZnO(存在する場合)、ZnI/O(存在する場合)、およびTiO2(存在する場合)を、30mm共回転噛み合い型Coperion Werner-Pfleiderer ZSK-30(ZSK-30)二軸押出機で混合することによってインフレーションフィルムに形成される。押出機は、250rpmのスクリュー回転速度で1時間あたり40ポンドで操作される。ダイ圧力は450~500psiに維持される。溶融温度は約240℃に維持される。窒素パージは、供給口で適用される。冷却には標準の水浴が使用され、ペレットを生成するためにストランドカットペレタイザーが用いられる。ペレットは使用前に周囲条件で保管した。
【0088】
インフレーションフィルムは単層フィルムである。
【表2】
【0089】
以下の表3では、ダート衝撃および引裂強度の値は、厚さ0.023mmのフィルム用である。TiO2 MBを含むフィルムは、0.023ミリメートルの厚さを有するCS7フィルムを除いて、0.056mmの厚さを有する。
【0090】
2.臭気抑制
臭気抑制値は、臭気抑制試験方法で上に説明されるように、ASTM D5504-10に従って192時間(8日間)にわたって測定される。
【0091】
対照試料(CS)CS1~CS8および発明例(IE)IE1~IE8の質量1g(1cmx30cmおよび表2の厚さ)を有するフィルムの細長い片を、上に開示されている臭気抑制試験方法に記載されているように、メチルメルカプタンおよびヘリウムガスキャリアで満たされたTedlar(登録商標)バッグに入れる。
【0092】
比較試料(CS)であるCS1~CS8を調製する。CS1は、DOWLEX 2085を含む対照試料であり、CS2は、93重量%LLDPEおよび7重量%TiO2マスターバッチの対照試料である。
【0093】
CS3およびCS4は、ZnOおよびLLDPE(対照)のブレンドであり、ブレンド中のZnOの量は変化する。
【0094】
CS5、CS6、CS7は、亜鉛イオノマーおよびLLDPE(対照)のブレンドであり、ブレンド中の亜鉛イオノマーの量は変化する。
【0095】
CS8は、ZnO、TiO2、およびLLDPE(対照)のブレンドである。
【0096】
IE1~IE8は、LLDPEからなる本組成物の発明例であり、ZnOおよびZnI/Oからなる臭気抑制剤である。
【0097】
CS1~CS8およびIE1~IE8の臭気抑制値(OSV)は、以下の表3に提供される。
【表3-1】
【表3-2】
【0098】
表3では、CS3~CS4(ZnOのみ、5重量%)は、少ない充填(5重量%)のみのZnOが、3日間でわずかな程度のみの臭気抑制を呈することを示す(それぞれOSV81、87)。
【0099】
CS5~CS6は、ZnI/Oのみが臭気を抑制する能力がないことを示す(3日間でそれぞれ114、105のOSV)。
【0100】
CS7は、TiO2とブレンドしたZnI/Oが、低い臭気抑制能力のみを有することを示す(3日間でOSV92)。
【0101】
IE1~IE8はそれぞれ、著しい臭気抑制能力を示す(3日間でそれぞれIE1、IE2 OSV56、67)。例えば、CS4(OSV:87)よりも大きな臭気抑制(それぞれOSV:56、67)を提供するIE1およびIE2の能力は予想外である。特定の理論に縛られることなく、ZnOおよびZnI/Oは相乗的に働き、ZnOの臭気抑制能力を改善する。さらに予想外であるのは、それだけでは効果のない臭気抑制剤であるZnI/OがZnOと相乗的に働き臭気抑制を改善するという発見である。出願人は、亜鉛イオノマーの不在下でZnOの量のみを増加させるのとは対照的に、ZnOをZnI/Oとブレンドすることにより臭気抑制が改善することを発見した。
【0102】
図1は、95重量%LLDPE(DOWLEX 2085G)にブレンドしたCS3(5重量%ZnO、D50=300nm)のSEM画像である。
図1は、LLDPEマトリックス相に分散したZnO粒子を示す。
図2は、IE1(90重量%LLDPEにブレンドした5重量%ZnO/5重量%ZnI/O)のSEM画像である。
【0103】
図2のSEM画像は、ZnI/OがバルクLLDPEとは別の相であり、ZnO粒子がZnI/O相にカプセル化されて、ZnI/Oに埋め込まれたZnOのドメインを形成することを示す。特定の理論に縛られることなく、ZnI/O-ZnOドメインの形成は、臭気分子の加速された拡散に寄与すると考えられる。ZnI/Oは、極性ガス(すなわち、メチルメルカプタンなどの硫黄系ガス)に対してより透過性である。ZnI/Oの透過性は、臭気ガスのZnOとの相互作用を促進し、臭気の抑制に寄与する。
【0104】
図2のSEM画像は、ZnI/OがZnO粒子を取り囲み、カプセル化していることを示す。ZnI/Oは、ポリマー-粒子界面での空洞化を防ぎ、ポリマー全体の破裂を防ぐ。ZnI/O-ZnOドメインは開始部位を創造しない。
【0105】
表3では、フィルムCS1~CS8はそれぞれ、700g未満のダート衝撃強度を呈するが、フィルムIE1およびIE2はそれぞれ、700gを超えかつ750gを超えるダート衝撃強度を呈する(それぞれのダート衝撃値810g、773g)。
【0106】
表3は、ZnOのみを含むフィルムと比較して、本臭気抑制剤(ZnOおよびZnI/O)を使用した場合、IE1およびIE2のダート衝撃強度の物理的特性が維持または改善されることを示す。実際、IE1およびIE2は、対照フィルムCS1の未充填フィルム試料と比較して、全てのフィルム特性(ダート衝撃、引裂)の改善を示す。
【0107】
驚くべきことに、出願人は、本臭気抑制剤(ZnO-ZnI/O)が、D50 100~3000nmのZnO粒子、1m2/g~9m2/gの表面積、および0.020m3/gの多孔度を利用して、より少ない総亜鉛を使用して効果的な臭気抑制を可能にする一方で、改善されたダート衝撃強度(すなわち、600g以上、または700g以上のダート衝撃強度)を有するインフレーションフィルムを同時に生成することを発見した。フィルム特性を維持および改善しながら、本組成物および臭気抑制剤により、より少ない亜鉛で臭気抑制を改善する能力は予想外である。
【0108】
本開示は、本明細書に含まれる実施形態および例示に限定されず、実施形態の一部、および異なる実施形態の要素の組み合わせを含むこれらの実施形態の変更された形態を、以下の特許請求の範囲に該当するものとして含むことが、特に意図されている。
本願発明には以下の態様が含まれる。
項1.
組成物であって、
(A)85重量%~99重量%のオレフィン系ポリマーと、
(B)15重量%~1重量%の臭気抑制剤であって、
(i)酸化亜鉛の粒子であって、100nm~3000nmのD50粒子サイズ、1m2/g~9m2/gの表面積、および0.020m3/g未満の多孔度を有する、酸化亜鉛の粒子、ならびに
(ii)亜鉛イオノマー、のブレンドを含む、臭気抑制剤と、を含み、
前記組成物が、ASTM D5504-12に従って測定した場合、3日間で70未満のメチルメルカプタン臭気抑制値を有する、組成物。
項2.
前記オレフィン系ポリマーが、他のポリマーを除いたエチレン系ポリマーである、項1に記載の組成物。
項3.
前記エチレン系ポリマーがLLDPEである、項2に記載の組成物。
項4.
組成物が、0.1重量%~9重量%の亜鉛を含む、項1~3のいずれかに記載の組成物。
項5.
前記亜鉛が、第5族~第12族金属を除いて存在する、項4に記載の組成物。
項6.
酸化亜鉛(Bi)対亜鉛イオノマー(Bii)の重量%比が、前記臭気抑制剤の総重量に基づいて3:1~1:7である、項1~5のいずれかに記載の組成物。
項7.
前記B(i)対B(ii)の重量%比が、前記臭気抑制剤の総重量に基づいて1:3~1:7である、項6に記載の組成物。
項8.
前記臭気抑制剤が、前記組成物の総重量に基づいて1重量%~10重量%の量で存在する、項7に記載の組成物。
項9.
前記酸化亜鉛(Bi)の粒子が、100nm~3000nmのD50粒子サイズと、
1.0m2/g~5.0m2/gの表面積と、
0.010m3/g~0.015m3/gの多孔度と、を有し、
前記組成物が、3日間で55以下のメチルメルカプタン臭気抑制値を有する、項7または8のいずれかに記載の組成物。
項10.
前記組成物が、前記エチレン系ポリマーからなる連続相と、前記亜鉛イオノマー(Bii)に埋め込まれた前記酸化亜鉛粒子(Bi)のドメインからなる不連続相と、を含む、項9に記載の組成物。
項11.
前記ドメインが、500nm~10,000nmの平均直径を有する、項9に記載の組成物。
項12.
前記亜鉛イオノマーが、エチレン/メチル-メタクリル酸、エチレン/ビニルアクリル酸、エチレン/メタクリレート、エチレン/n-ブチルアクリル酸、およびエチレンアクリル酸の群から選択されるポリマーの亜鉛塩である、項1~11のいずれかに記載の組成物。
項13.
前記亜鉛イオノマーが、エチレン/アクリル酸コポリマーの亜鉛塩である、項1~12のいずれかに記載の組成物。